コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 23
■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.規制に掛かりやすくなっていますので、支援要請の旨も冒頭に書いて下さい。 逆に数レスほど使用の場合、支援は要らない旨を書いてください。
3.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください。
4.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
5.ゲーム内容以外で本編放送前バレ情報があるSSは始めに注意書きを。
6.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
7.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で。
・トリップがあってもコテハンがないと領地が作れず、??????自治区に格納されます。
■全般
1.支援はあくまで規制を回避するシステムなので必要以上の支援は控えましょう。
2.次スレ建設について
・950レスもしくは460kB近くなったらスレを立てるか訊くこと。立てる人は宣言してから
・重複その他の事故を防ぐためにも、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えることが推奨されます
※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例 940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など
3.誤字修正依頼など
・保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は以下のアドレス(
[email protected])に
※修正依頼の際には 作品の管理番号(その作品が始まる際の、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)を“必ず”記述して下さい
例 0003-0342 のタイトルを ○○○ カップリングを ○○○
(↑この部分が必須!)
もし、管理番号を記述されず○スレ目の○番目の……などという指定をされると処理が不可能になる場合があります
4.睡眠は1日7時間は取りましょう
現在、絵の投下取扱いについて意見調整中です。
絵の投下をしてみたい方、絵を見たい方は、以下の仮ルールに則って行動してください。
尚、この仮ルールの試用期間は8/31〜9/7とします。
9/7 17:00までに立てるスレにはこの仮テンプレを貼ってください。
試用期間中に出た問題点の取り纏めは9/7の本放送終了後、21時頃から開始予定ですが、
その時間帯に参加できない住民はそれ以前に自分の意見を取り纏めて投下しておく等して対応願います。
(画像投下仮ルール)
1.ロスカラSSスレ派生画像掲示板(
http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic)に
タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。 尚、コテとトリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメやSSにインスパイアされた場合は、それを書く(例…R2の何話をみてテンさん描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投下。
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像版の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など)
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮を願います)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投下は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行き、感想を画像掲示板に書く。
(原則としてこちらの投下レスに絵の感想レスをつけないこと)
絵に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
5 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/05(金) 21:25:31 ID:KgmyRBdU
「久しいのう、ルルーシュ」
「シャルル・ジ・ブリタニア!?まだ俺は神根島に向かっていないのに、なぜ貴様がここに!」
「ワシもSSにチャレンジしてみたのだ。ほれ、ライ×マリアンヌのSSだ」
「きっ貴様、自分の妻をカップリングに……!母さんを何だと思っている!!」
「アーカーシャの剣のシステムを使えば、SSを作ることなど造作もない」
「く…全く、貴様は皇帝失格だ!しかし……」
THREAD 20『職人 合格』
「……という夢を見たんだ、ライ」
「重傷だねルルーシュ。ていうか僕も斑鳩から逃げ出した設定なのか?」
「まあな。今は蜃気楼で神根島に向かっているところだ」
「だとしたら、君の好きなSSのネタが生まれないんじゃ?カレンも神楽耶様も天子様も…」
「そうだな。ナナリーはいなくなって、黒の騎士団にも戻れないのでは、俺がSSを書こうにも…」
「じゃあ…(そうか、それで神根島に向かって…。ルルーシュは皇帝を道ずれにするつもりか……)」
「ああ。やはり俺に残された道は1つ……ライアニャだ」
「………は?」
「だがアーニャはナイトオブラウンズ……つまり、俺達は皇帝に勝ってアーニャを貰い受けねば」
「いや…ちょっと待て……」
「学園に来た時のネタは尽きたが、まだライアニャには考察すべきネタが多々あるはず。ライ、存分にイチャついてネタを作れよ」
「なんか胃が痛くなってきた……」
「ふはは、止められるものなら止めてみよ。我がSSへの渇望に敵う者がいるのなら」
「さあ神よ、投下の時はきた……」
「違うな、間違っているぞ、シャルル・ジ・ブリタニア。投下をするべきは神ではない。この俺だ!」
「決着?ワシには剣も銃もギアスも効かぬというのに、どうやって?」
「ありがとう。貴様がこのスレッドを立ててくれたおかげで勝利の目算がたった…」
「ぬう!?我がライルルが規制されただと!?」
「貴様が作ったこのシステムが今、俺を楽しませる魂の楽園となった。さぁ、俺と共に永遠のSSに酔いしれるがいい」
>>5 全力でGJでした!
いきなり夢オチで吹いたw
>>1 乙!
そして早くも投下きてるしww
流石です!もふもふ卿!
あ…最後の方、間違えて修正前のを投下してしまった…。ちょっとおかしくなってる……
まいっか。24秒という記録も作れたし
>>1 乙っす!
>>9 もっふーも乙!あなたも段々化け物じみてきたなあww
あと、読み返したけどどこもおかしくないような・・・。
今の内に言ったほうがいいんじゃない?トーマス卿が気にされると思う。
>>9 24…秒…?
ギアスでも持ってるんですかあなたはww乙です
r 、
| }
_ .⊥⊥.. _
/ ̄`vく二、 `ヽ
ト、 }/ ,rk.斗-┤
レ>イ ,r比^´ _jヘ、
`{_,必'ト、ーrf汀j>=ミ、
>>1乙!
ト、 {Y⌒Lj_iノ´ {{´_{^Vi \ __
_}ノ^i `ー{__r_ァヘ r‐、く  ̄ ̄}´ { 、
/  ̄`} rく 〉:::} } ` { | { ヽ、
l 二ユ ヽヽ_/.:::// .ィ¬=┤ ,込二ユ、
{\ r┘ ___ノヽ}::/^ー===」:::::::::::::{ / >、
} } ヽ / { /´{ __ { {::::::::/くヽ、 / /::::::ヽ、
ハ、廴ノ / ∨{,/ `ヽヽ `=´ `¨丁ゝ_/::::::::::::::::::\
} } { ∨ } } | ` 、:::::::::::, ⌒ヽ、
! | `T二 `ヽ ! f^il} | | | \::/ , -‐‐`┐
| レ‐'´:::::::ヽ } {ヽ ∨l | | | `く-‐=ミ/
l l::::::::::::::/ー'⌒ヽヽリ }_} | /´ ̄ ̄{
! L、:::::/ }、{-イ , ───┤ ′ }
l }:::/ | \| _ イ/ ̄ ̄ ̄厂 { ′
_j レ' 辷二]二 イ{ | j /
{ { / } } } } | , /
ヽ`二ニニユ′ レ' j/ | , /
`¨¨¨¨´ L.. 斗-‐……‐-} / /
{_]-‐ァ………‐-{ 厶_ /
GJ!
>>1乙!
>>5 職w人w合w格w
てかこの早すぎる投下がもう定番になっている恐ろしき事態
前スレ埋まったね。じゃあ本格的にこのスレ開始するか。
あのさ、縁起でもないって叩かれそうなんだけどさ。
もしトーマス卿が暫く来れない場合とかを考えて、前スレのログ保存しといたほうがいいかな?
>>16 いや、万に一、いや、億に一、むしろ、無量大数に涅槃寂静の可能性を考えて
保存しておく方がいいと思う
>>17 トーマス卿は何者なんだwこのスレにはギアス能力者が多すぎる
>>17 やっといた。俺だけじゃなくて複数の人間が保持しとくとなおいいかもね。
…しかし、つくづくあの人の体ってもうあの人一人のものじゃないんだなあw
>>19 ありがとう。
この板だと埋まったスレは二、三日で落ちるし、助かると思うよ
>あの人の体ってもうあの人一人のものじゃないんだなあ
これを読んでエッチな想像をした最低な俺も前スレ保管しときます。HTML形式でいいんだっけ?
じゃあ、わたしはmhtで保存しときま〜す
学校とか仕事がはじまって投下へったな〜
やっぱ作家さんは高校生ぐらいまでが多いのかな
このスレも23まで来て、初期の頃から考えると大きくなったわけだが、
少し原点回帰すべきところがあるんじゃ無いだろうか。
初期のお約束と言うか、ライというキャラは、永遠の2番手であり、
空気を読み、でしゃばらず、というキャラであったと思う。
個人的解釈だが、序盤で世界に色がなく、無感情・無表情であるライを
染め上げるのが各ルートであることから、ライは誰かと関わってこそ、
輝くキャラであると思う。単独ではなく誰かとセットでこそ、活躍する、
それがライクオリティだと思う。古参はともかく最近の職人さんはそこを
注意して書いて見るといいんじゃ無いかとあえて苦言する。
かといって、ライを活躍させるなと言うわけでなく、あくまでライ視点で
ともに戦果や、喜びを分かち合うといったものが、ロスカラであると思う。
長々と長文スマン。最近ちょっとライと言うオリキャラになってる作品も
あるから気になってしまった。決して、否定的な意見では無いと思って欲しい。
まぁ、こんな偉そうな事を言うだけかよ、って言われそうだが、
近いうちに、新しい職人として投下できるように現在執筆してます。
といっても、駄作になってしまいそうな予感w
>>25 最近の職人さんの作品はあまり読んでないからわからないけど、ライの性格や活躍云々に関しての内容は個人的には間違ってないと思う
執筆頑張って下さい。お待ちしてます
なんかR2になって一期のEDの曲だったモザイクカケラきいたら
すごいこう深い曲に感じた
>>27 ちなみに、どなたの作品を読んでるんですか?
>>25 ライクオリティは言いすぎ。それはあなたの好みだと思うよ。特派でのクラブと
ランスのセットで活躍は好きだけどセットだけじゃ物足りない。紅蓮と一騎打ち
が欲しかったなと思ったし、単独とセット両方あった方が俺は良いかな。
職人さんが増えるのは嬉しいです。期待して待ってます
しかしほんと勢いの落差が激しいな、ここ
>>25 それはあなたの好みのライでしょう。
> 初期のお約束と言うか、ライというキャラは、永遠の2番手であり、
?完全に見解の相違です。お約束と言えるレベルなのでしょうか。
> 空気を読み、でしゃばらず、というキャラであったと思う。
天然で空気も読めない一面もあったし、解放戦線篇なんて、言ってしまえばでしゃばりだと思いますが?
いや、解放戦線篇が嫌いな訳じゃなくてね。ルートによって違う面が出ているってことです。
>序盤で世界に色がなく、無感情・無表情であるライを
> 染め上げるのが各ルートであることから、ライは誰かと関わってこそ、
> 輝くキャラであると思う。単独ではなく誰かとセットでこそ、活躍する、それがライクオリティだと思う。
それで輝くキャラであることは同意しますが、自ら単独行動を希望したり、ギルとの一騎打ちなど単独で活躍する場面もあった。
>あくまでライ視点でともに戦果や、喜びを分かち合うといったものが、ロスカラであると思う。
それは……個人的には同じ気持ちですけど、受け取る側によって大きく変わる部分であると思います。
ギアス篇ラストでは、ライというキャラが他の人々にどう映っていたかを表していて好きだっし。
あなたのライ像は分かったが、ここまでくると原点回帰どころかライのキャラクターを狭めているよ
投下いいですか?だいぶ長いので、支援お願いしたいのですが
>>32 まあどっちも永遠に決着の付かない話題だと思われ。マターリ次の投下を待ちましょうよ。
それにしても、最後の更新から丸2日経過か…関西全域に大規模な規制がかかっているとか?
支援します
投下します。
長編の続きではありません。気晴らしに書いた短編です。
長いので、支援お願いします。
!注意!
パラレルワールドの学園ものです。
ハーレムっぽいので、嫌いな人はスルーでお願いします。
――それは考えうる中で、最も幸せな世界の物語――
地球歴98年4月20日
午前5時
東アジア州日本地区
トウキョウシティ1−23−4−5
アイボリーカラーのスタイリッシュな一軒家、そこに面した緑の庭
手入れの行き届いた青々しい芝生を、東の空からゆっくりと昇る太陽が照らし出す。
ブン、ブン、と何かを振るうような音
音の出所は、一人の青年
ふりまく爽やかな汗
家の色と同じ、アイボリーの柔らかそうな髪が揺れる。
細いながらもしっかりと筋肉のついた体躯。
手に持つは、今や国際スポーツのケンドーの竹刀。オリンピック種目にはないが。
気持ち良さそうに竹刀を素振りし、微笑む容貌は、なんとも綺麗、邪気がない。
支援
「あと、百、回!」
青年は、名前をライという。
家の前のそれなりに大きな門には表札、そこにはエニアグラムの文字。
ブン、ブン、ブン
清々しい朝である。
――――――――――――――――――――――
朝の素振りでかいた汗を、シャワーで流してサッパリしてから、キッチンに立つ。
朝食を作るためだ。本当は当番制なんだけれど、最近はずっと僕が担当している。
姉さんはここ数か月ほど、以前にも増して仕事が忙しいみたいで、昨夜も僕が起きている間は帰って来れなかった。
でもこうやって僕が学生をしていられるのも姉さんの御蔭なのだから、これくらいは当然だと思う。
メニューは一般家庭のレベルには至っていると言っていいだろう。今日はパン食だ。
トースト、スクランブルエッグ、ベーコン、サラダ、スープ、そして食後のコーヒー
もっと何か凝ったものを僕が作れればいいんだろうけど、姉さんは構わないと言う。僕の作ったものなら生ゴミでも絶対余裕だと。
いや、さすがにそれは。僕がそう言うと、今度生ゴミを出してみろと言いだした。困ってしまい苦笑いを浮かべたら、冗談だ、と、いつものように豪快な笑いが返ってきた。
姉さんには敵わない。
「よし、出来た」
我ながら慣れたもので、平凡ながらも盛り付けも含め、それなりに様になっている。
時計を見れば6時30分。
そろそろいつもの朝食の時間だ。
支援
支援
「いい朝だなー!」
するとタイミング良く元気な声とともに、僕とよく似た象牙色の髪が視界に入ってきた。
綺麗に整えられた前髪も、両サイドにサラリと、でもだらしなくない程度に垂らされた揺らめきも、柔らかそうに舞っている。
同級生の女の子達がこぞって秘密を聞きにくる程の抜群のスタイル。今はそれはパジャマに包まれているけど、それすらもモデルのように着こなしている。
鼻をスンスンと鳴らし、テーブルの上の朝食を見、ついで僕に視線を動かしてから、彼女はいつものようににっこりと笑った。
「おはようライ!うん、今日も実にウマそうだ!」
「顔洗ってきたら、ご飯にしましょうか。ノネット姉さん」
姉さんは笑顔、僕も笑顔だ。清々しい朝だなぁ。
――――――――――――――――――――――
地球歴っていうのは、人間が宇宙に進出したその年を元年とする歴だ。
つまり人が宇宙に出てから今年で98年目という事になるんだけれど、まだまだ普通の一般人にとって宇宙は身近な存在とは言えない。
それなりの時間とお金、それに体力も必要だから、意外と狭き門なのだ。
そしてもう一つ、人が宇宙に飛び立つようになって変わったことがある。
地球連合
かつてのように、世界が幾つかに分裂していては人類の宇宙進出はままならない。
その理念の下に人類の宇宙進出と同時に形成された政治連合体で、間違いなく人類史上最大の組織だ。
その成立に伴って、強力な軍事力と政治力を駆使し、世界の統一は急速に推し進められた。
それから一世紀近く。何百年も前のように、帝国と合衆国が世界を二分して戦争する、なんて事もなくなり、地球は20の州とその下の数十箇所の地区に分かれている。
何が言いたいかといえば――
とりあえず今は、とても平和な時代だってことだ。
閑話休題
支援
支援
――――――――――――――――――――――
「なあライ、学園はどうだ?可愛い子はいるか?んん?」
朝食を食べ終え、コーヒーを飲んでいた時、姉さんがその澄んだコバルトブルーの瞳を細め、もの凄くイイ笑顔で聞いてきた。この笑顔は僕をからかう時のもの。
最初の頃はこれで結構どぎまぎしたものだが、10年も一緒に暮していればいくら僕でも慣れる。
姉さんには負けるが、キッチリ笑顔で返した。
「まだ高等部に入ってそんなに経っていないから、わからないですね」
「なんだつまらん。それでも私の弟か」
ふーやれやれ
肩をすくめ、やけにクサイ芝居をする姉さん。僕の答えがお気に召さなかったようだ。一体なんて言えばいいのやら。
「いいか、ライ。私はお前がモテないのかなんて事は心配してはいないのさ。ただ…絶望的な女難の相というか、いつの間にか彼女を名乗る女がいたり、気付いたら籍を入れられていた、なんて事がありそうでなぁ」
姉としては複雑なんだ、そう言って姉さんは豪快に笑うけれど、心配の方向が変だと思う。
僕の表情は苦笑に変わらざるを得ない。
「もう、姉さんは。いつも言ってるでしょ?僕なんて女難の相とか以前に、全くモテないですって。僕なんかより、スザクやルルーシュの方がよっぽど心配ですよ」
言葉と共に、幼馴染の二人の姿を思い浮かべる。タイプは正反対と言って良い彼らだけど、幼馴染の贔屓目なしでも、あの二人は同世代の仲間たちから抜きん出ていると思う。
本当に凄い奴らで、幼馴染として僕も鼻が高い。一緒にいる事に気おくれを感じないと言ったら嘘になるけど、それでも彼らとの時間は特別だ。
なぜか最近、ルルーシュが以前にも増してピリピリとした視線を送ってくるような気がするけど。
気付くと、心なしか姉さんが口元を引き攣らせていた。どうしたんだろう?
「…姉さん?」
「……お前、本気か?悪いが、姉さん益々心配になってきた」
「なんでですか」
変な姉さんだなぁ。
支援
――――――――――――――――――――――
「今日も遅くなるからな。先に寝てていいぞ」
朝の出勤タイム
そう言って姉さんは、家の前に出した自分の車に飛び乗る。青いスポーツカーだ。流線形のフォルムが朝日を受けてキラキラと輝く。
とてもカッコいいし、凄く姉さんに似合っているけど、僕は知っている。あの車の値打ちは一般車のそれより桁が二つ違うことを。
万能高エネルギー源サクラダイトを贅沢に使ったTOYUTA最高傑作。確かそう銘打って発売されたはずだ。
青はライの色だからな。あっさりとこのカラーにした理由を聞いた時、姉さんはそんな嬉しい答えをくれた。よく覚えている。
ふと、姉さんが僕をえらく真剣な表情で見ているのに気づいた。少し驚く。
「…な、何ですか、姉さん」
「ライ…」
目を瞑り、穏やかな顔を僕に向ける姉さん。……え?何?どうしたの?
なんだかやたらと色っぽいその姿に、暫し僕が顔を紅潮させたまま固まっていると、姉さんは薄らと目を開き、上目づかいに僕を見る。
そこには先ほどとは打って変わって、悪戯が成功したようなニヤリ笑いが浮かんでいて、
「こういう時は、いってらっしゃいのキスだろう?」
「…………」
ポカーン
思わず呆然とする僕に、姉さんは噴き出した。
「あはははは、さあ行こうか!」
サングラスをかけ、本日最後の予定の笑顔で僕に手を振ると、姉さんは愛機を急発進させた。僕は慌てて自分を取り戻す。
支援
支援
「姉さん!…ったく。いってらっしゃいっ!」
遠くなっていく青いスポーツカーに、僕も負けじと大きく手を振り見送った。
「本当に姉さんは…。よし」
姉さんが見えなくなり、振っていた手を下すと、僕も学園へ行く準備を始めるために家に戻る。
振り向いた目の前には、ちょっとした大きさの門、表札にはエニアグラムの文字。それを見ながら無意識の発露が口をついた。
「もう十年か…」
本当に、時間がたつのは早い。
そう思いながら僕は門をくぐった。
――――――――――――――――――――――
ピンポーン
姉さんを見送ってから三十分ほどして、家のチャイムが鳴り、僕は制服を着、教科書の入った鞄を持って家を出た。
門を通り、そこにいるいつものメンバーに笑顔で朝の挨拶をする。
「おはよう、ルルーシュ、ナナリー」
「…ああ、おはよう」
「おはようございます、ライさん」
支援
支援
支援
一人は、男とは思えないくらいの艶のあるサラサラの黒髪と対照的に色白の綺麗な肌を持ち、なぜか少し不機嫌そうな表情の青年。
名前は、ルルーシュ・ランぺルージ
もう一人は、車椅子に座った少女。
ふわふわと柔らかそうなミルクティー色の髪、人間の庇護欲をひどく刺激するような透き通った白磁の肌、目は閉じられているが、満面の笑みを浮かべている。
生まれつき体が弱く、医療の発達した現在でも、彼女の足は自力で動かず、彼女の目は光を映さない。だが、それを感じさせない明るさと強さが彼女にはある。
名前は、ナナリー・ランぺルージ
幼馴染の兄妹に声をかけてから、すこし離れた位置にいるメイド服の女性にも一礼する。
「咲世子さんも、いつもご苦労様です」
それに対して、メイド服の女性――篠崎咲世子さんも僕に向かって無言で軽く頭を下げてから、脇に止めてあったリムジンに乗り込んだ。
彼女はいつも僕の家までこの二人を車で送ってきてくれる。
僕はあまり喋ったことはないが、ルルーシュとナナリーの信用具合から考えて、気遣いのできる、とてもいい人なのだろう。
リムジンが走り去るのを見送ると、申し訳なさそうにナナリーが口を開いた。
「ライさん、すみませんが今日もお願いできますか?」
「もちろんだよ、ナナリー」
そう言って、僕はナナリーの車椅子の押し手を握る。
学園までのナナリーの車椅子の押し役。最近これは、ナナリー本人のお願いもあって僕の仕事になった。
それまでは毎日毎日ルルーシュの仕事だったのに、今月の初めから交代している。
その理由は単純なもので、ルルーシュの左手にあった。なかなか重厚に巻かれた痛々しい白い包帯。全治二か月の骨折だ。
ルルーシュから聞いた話では、「たまたま」落ちていた髪留めを拾おうと地面に伸ばした彼の手を、ナナリーが車椅子で「間違って」轢いてしまったらしい。
支援
支援
車椅子。しかも乗っていたのがあの軽そうなナナリーだというのに、そんな重症になるのか。と僕は驚いたが、もう一人の幼馴染の言葉でつい納得してしまった。
『まぁ、ルルーシュだしね』
そうか…。そうだよね。ルルーシュなら、仕方がないか。彼って運が悪いしね。
『……そういうことじゃないんだけど』
そんなわけで、ルルーシュに代わって僕が学園までのナナリーの車椅子押し役を承ったのだ。
学園まであのリムジンで行けばいいのに、と思う人もいるだろうが、そこはそれ。やはり朝は日光を浴びて歩かなくてはいけないだろう。
特に病弱なナナリーにとっては、確かに過度な日光は体に悪いものの、やはりある程度必要なのも事実。
「いつもありがとうございます、ライさん」
歩き出してすぐ、そんな事を考えているとナナリーが可愛らしく頬を染め、僕に言った。やはり実の兄以外にこういうことをされるのは、少し恥ずかしいのかもしれない。
ゆっくりと車椅子を押しながら会話する。
「そんな。お礼には及ばないよ、ナナリー。好きでやっている事だし、僕もナナリーを助けることができて嬉しいんだ」
「それでもです。本当にありがとうございます。…でも、ふふ」
顔を赤くしたまま、くすぐったそうに笑うナナリー。不思議に思い、僕は聞き返す。
「ん?何だい?」
「実は私も、ライさんにこうして学校まで連れて行ってもらえるのが嬉しいんです。だから…」
「そっか。同じだね、僕たち」
「はい!同じです」
ニコニコと笑いが二個。なんとも暖かい朝だな。春の陽気も手伝って、とても元気になる。
支援
支援
だが――
ギロリッ!
そんな音が聞こえてきそうな視線を感じて、僕の全身に緊張が走る。何か…そう、これはケンドーの試合、藤堂師範のような人と相対した時に感じられる、殺気のような。
「………」
横を見れば、やはりここ最近、明らかに不機嫌な表情を崩さない幼馴染が一人。
むすーっとした表情は、なんだか声をかけにくくはあるけど、放っておくこともできない。意を決して向き直る。
「…ルルーシュ、何だか元気がないけど、どうかした?手が痛むのかい?」
ちらり、と僕を一瞥。
「……別に。何でもないが?」
明らかに何でもなくなさそうなんですけど。
そう思ったけど、話すのも嫌だねって感じで前を向いてしまったルルーシュが相手では僕に出来ることは少ない。
もう一人の幼馴染なら、笑顔でトンデモナイ事を言い出してルルーシュの絶対守護領域を崩せるんだろうけど…。
「お・に・い・さ・ま」
ビクゥッ!!
幼馴染の一人として、学校までになんとかしなくては。でも、実際のところどうすれば……って、え?
そんな風な僕の苦労を無視するかのように、ルルーシュが反応した。むしろ反応しすぎて、挙動不審の域だ。一体どうして……と僕が思っていると、
「ライさんが、困っていらっしゃいますよ?」
にっこり
車椅子の聖母は見惚れるような笑みで、自らの兄を見た。朝日が後光のように彼女を照らすその光景は、まるで一枚の絵画のように僕には感じられた。
それがルルーシュにも伝わったのだろう。汗をたらし、コクコクと青い顔で首を振ると、彼は僕に向かって口を開いた。
「す、少しな。て、手が痛まれるのかもしれなくない」
言語は滅茶苦茶だったけれど。
支援
sien
支援
――――――――――――――――――――――
今ではこの辺りで、ほとんど見かけなくなった純和風の日本家屋。博物館や写真などで見る、城と言われる建築物に使われた、屋敷をぐるりと覆う塀。
そびえ立つ、うちとは比べ物にならない程の立派な門。内側に林立する、よく手入れの行き届いた様々な木々。
あの後、何とか言語機能を回復させたルルーシュを交えて、ナナリーの車椅子を押しながらの会話を楽しみ、歩くこと10分少々。
僕たちはこの日本地区の中でも特に有名な、通称「枢木屋敷」の門前に立っていた。
そう、もう一人の幼馴染――枢木スザクを迎えに来たのだ。
彼の家はこの地区がまだ日本国という一つの国であった頃からの名家で、屋敷も何度か増改築が行われているが、基礎の部分は相当の年代ものらしい。
そのせいか、この屋敷の門前では僕は不思議と緊張する。見えない威圧感に、早く立ち去るべきなのだろうと考え、さっそく呼び鈴を押した。
ピンポーン
ガラッ!ダッ!ヒュンッ!シュシュッ!シュバッ!スタッ!
多分音にすればこんな感じ。
気付くと、スザクが僕たちの目の前に立っていた。門は開いてすらいない。
一拍置いてから、っ!とルルーシュが声もなく仰向け反る。見えないとはいえ、ナナリーは平然としているというのにえらい差だ。
おそらく彼にはスザクの動きがわからなかったんだろうけど、僕にはギリギリ捉える事が出来た。つまりこういうことだ。
呼び鈴の音
玄関を開ける。駆け出す。飛ぶ。木々の間を飛び移る。門外に飛ぶ。着地。
信じられないといった顔のルルーシュ。ようやく姿勢を戻し、
「お、おい!スザク!」
「やあ、おはよう。ライ、ナナリー、ルルーシュ」
スザクの朝の挨拶に遮られる。
支援
支援
「おはよう、スザク」
「おはようございます、スザクさん」
「あ、ああ。おはよう、スザク。……って、そうじゃない!」
「じゃあ行こうか。割と時間ギリギリみたいだし」
「そうだね。じゃあ行くよ、ナナリー」
「はい。ライさん、お願いします」
「あはは、相変わらず二人は仲いいね」
「ありがとうございます、スザクさん。もっと言ってください」
「ま、待て!お前ら!!」
声を荒げるルルーシュに、スザクは不思議そうな顔で向き直る。
「ルルーシュ、どうしたんだい?何だか変だよ。手、痛いの?」
「え?俺!?俺が変なのか!?」
「うん」
「いや、違うだろ!間違ってるのは俺じゃない!お前たちの方だ!」
「はいはい」
「反応が薄い!?」
くそっ!と悪態をつくルルーシュ。
「スザク!お前のさっきの動きはなんだ!?ナナリーにぶつかったりしたらどうするつもりだっ!」
「……は?」
「『……は?』じゃないっ!!いいか、さっきの動きで誤ってナナリーにぶつかったりしていたら、お前はどう責任を取るつもりだったのかと聞いているんだっ!」
「責任って……ライとナナリーの仲人をするとかってこと?」
「あ、スザクさん、それ素敵です!」
支援
支援
そのナナリーの言葉に「スザークッッ!!!」と顔芸を披露しつつスザクの首を掴もうとするルルーシュや、スザクの天然にノってあげているナナリーを見て、可笑しくなった僕もつい悪ノリをしてしまう。
「じゃあ僕とナナリーの結婚式の仲人は、スザクに任せようかな」
「「「…………え?」」」
時が、止まった。
――――――――――――――――――――――
僕が悪ノリするのは、世界平和のためによろしくないんだと、ついさっき悟った。
肉体的なダメージは、横で足を引きずっているルルーシュほどではないけれど、精神的な疲労は大きい。
よく覚えていないが、あの後「世界を壊す!手始めにして唯一の目的はお前だ!ライッ!!」と叫んだ筋肉ルルーシュと、笑顔でそのルルーシュと互角に渡り合っていたスザクがいたような……。
……ダメだ。何も思い出せない。というより、思い出してはいけない気がしてきた。物理法則とか無視して動いていたようだし、僕の脳が認識を拒んだのかもしれない。
「ライ、大丈夫かい?」
笑顔で僕を気遣ってくれるのはスザクだ。僕が困っている時、彼はいつも助けてくれる。いや、彼だけじゃない。
少しアレだが、ルルーシュも、ナナリーも。
皆、何だかんだ言って僕が困っている時は傍にいてくれて、励ましてくれる最高の仲間だ。そうだ。その仲間がちょっと人間をはみ出したからって、何だと言うんだ!友達は友達じゃないか。
「ああ。大丈夫だよ」
スザクの気遣いに、僕も笑顔で答える。納得してくれたみたいで、彼は前を向き、歩みを進める。
前を見れば何やら、「結婚…仲人…邪魔者……お兄様…」といった単語をブツブツと呟きながらも、ナナリーはいつも通り、車椅子に大人しく座っている。
ルルーシュは先ほどより少し顔色が悪いが、しっかり足を引きずって歩いているし、スザクも何も言わないので大丈夫なのだろう。多分。
支援
支援
イエスユアマ支援スティ
彼らとは、もう幼年学校からの付き合いらしい。
「らしい」、というのは幼年学校時代の記憶が全く、それはもうスパーンと僕にはないからだ。
僕の実際の記憶は、7歳。つまり小学校一年生だが、その年にノネット姉さんに抱きしめられている所から始まる。
いや、まぁ…何と言うか、都合のいい記憶の出発点だとは自分でも思うけど…。
どうやら僕は、かつて本物の、血の繋がった家族と暮らしていた家で餓死寸前のところを、近所に住んでいたノネット姉さんに助けられたらしい。
僕の本物の家族は、僕が幼年学校を卒業する年、自動車事故であっけなく死んだ。僕を除いて。
そして両親の残したちょっとした遺産と共に、親族をたらい回しにされた僕は、そのうちに失踪。
昔住んでいて、だが取り壊されていなかったその家で、クモの巣と共に生きていたらしい。
どれもこれも僕自身は覚えていない、他人から聞いた話。
それらの話を聞いて、特に感じることはなかったし、思ったことといえば一つ。
失踪して昔の家に帰って来るほど本物の家族が好きだったのに、こんなにあっさりと忘れているなんて変じゃないか?ということだった。
医者の一人は、「愛していたがゆえに喪失の事実に耐えられず、記憶から抹消することで自我を保ったのだ」と、子供に対してとしては些か微妙な言い回しを口にした。
さらに――
スザク達に聞いた話では、幼馴染は本当は六人組だったらしい。
僕、スザク、ルルーシュ、ナナリー
その四人に加えて、死んだ僕の妹。サクヤという名前だったらしいが、当然覚えていない。もう一人は、僕の家族の事故の直前に引っ越してしまった女の子だという。
その子の事を聞いても、彼らは答えてくれない。というか、知らないフリをする。そういう約束になっているらしい。
何年後か、何十年後か。再会するまでは絶対にその子の話はせずに、再会した時わからなかった奴には壮大な罰ゲームが下される。そういうことだそうだ。
支援
『本当は今、そんな約束があったということを話しているだけでもルール違反なんだけどね』
十年前、尚も問い詰める僕に、スザクは困ったように言った。彼はこの当時からなんとなく僕に甘く、幼き日の僕はそこを突いたのだった。
僕の方も、記憶を取り戻したくないと言ったら嘘になる。誰だって自分の過去が一部分完璧に欠落しているなんて気持ち悪いし、それを取り戻すヒントは集めておくだろう。
『名前だけでも!』
『名前は一番ダメなんだ』
幼少スザク、にべもない。しかし子供の僕は粘った。
『じゃあ、どんな子だったか!』
『…うーん……まぁ、しょうがないかな。記憶のためだもんね。僕が言ってたって皆には内緒だよ?』
『もちろん!さすがスザク!』
『えーっとねぇ……元気があって…』
『うんうん』
『ちょっとガサツなんだけど本当は優しくて…』
『ふむふむ』
『強くて、カッコイイ』
『なるほどなるほど。それで?』
『おしまい』
『おしまい!?』
『これ以上は、いくらライでもダメだよ』
『そんな事言わないでよ、スザクー!』
『…………』
『ねえスザクー!スザクー!教えてよー!教えてったらー!頼むよー!』
『………………』
『スーーザーークーー!おーーしーーえーーてーー!』
『………………………』
『ねぇ……スザク…………うぅ…ヒック…』
『!?』
『おじえでよぅ……うぇ…ぐすっ……』
支援
『わ、わかったよ!教える!教えるから、泣きやんで!ノネットさんに見つかったら殺される!!』
『ホントに!?やったーー!』
『……やられた。嘘泣きか……。ふぅ…ライには勝てないなぁ。ルルーシュなら楽勝なのに』
『スザク、ラストヒント!ラスワン!ラスワン!』
『うーんとねぇ………』
『わくわく、わくわく』
『うーーん……そうだ!』
『お!』
『君のことが大好きだった!』
『…へ……?』
『そうだ、そうだ。これが最大のヒントだね。君のことが大好きだったよ』
『…うーん……どれくらい?』
『引っ越す時に、君と二人で「かけおち」しようとしてたくらい』
『「かけおち」って何?』
『崖落ちみたいなものだよ』
『えー!僕、崖から落ちたくないよ?』
『あなたを殺して、私も死ぬー!ってやつだよ』
『……なんだか、思い出したくなくなってきた』
『もういい?』
『うん…。ありがとう、スザク。それと』
『ん?』
『…嘘泣きして、ゴメン』
『………………』
『……スザク?』
『…だから君はモテるのかもしれない』
『……?』
『何でもない。ほらルルーシュ達の所へ行こう!』
『うん!』
閑話休題2
支援
支援
子スザクと子ライ可愛すぎるwww
支援
――――――――――――――――――――――
僕が幼き日の自分に思いを巡らせていた時、後ろから足音がしてきた。
弾むように元気が良く、かつ軽やかなステップ。それがだんだんと近づいてきて――
「会長ターーーーックル!」
ムニ
ムニ
音にすれば、こんな感じ。何の音かは推して知るべし。
「うわぁ!?」
背中に感じる柔らかな感触に、僕は素っ頓狂な声を上げた。が、ナナリーの車椅子だけは手放さない。よかった。
まだ何かをブツブツと呟いている彼女の無事を確認すると、背中に抱きついているブロンドの女性にすぐ振り返り、抗議する。
「ミレイさん、危ないですよ!」
「そうですっ!!会長は一体何を考えているんですか!いい加減にして下さい!ナナリーが無事だったからよかったものを……」
僕より凄まじい抗議、というより雄叫びのようなものが、さっきまで足を引きずっていたルルーシュから入ったが、この女性は相変わらず何処吹く風だ。
「ごめんねー。でも、ライならナナちゃんを支えつつも、私を受け止めてくれるだろうと思ったわけよ。そして見事、その通り!ルルーシュじゃあ、ちょっと無理だからねぇ」
「なっ!?」
ルルーシュは固まってしまった。
「僕を信用してくれるのは嬉しいんですけど……」
「まぁそれだけ私の想いが深いってことで、ね?」
支援
そう言って、クスッと笑うミレイさんは確かに綺麗だった。
キラキラと光を受けて輝くブロンドの髪、世界をその中に綺麗に映し出す碧い瞳。歴代人気ナンバーツー生徒会長、ミレイ・アッシュフォード、さすがである。
でも、この体勢は少しマズい気が……。
「と、ところで、あの、ミレイさん?」
「んー?」
「…いつまで、背中に抱きついてるんですか?」
「ふふふ。当然!学園まで、よ」
フッと息をかけられる。
もちろん未だに、ミレイさんは僕に抱きついているわけだから、顔も僕の頭の部分、もっと言うと、今現在は耳元に極端に寄せられているわけで…。
だから、その、息なんてかけられると、
「ほわぁ!?」
「あははは!ライってひょっとして耳、弱かったっけ?」
「そうですよ」
ミレイさんはすぐに脇にいたスザクに尋ね、彼もまた笑顔で何でもないように答える。って、ちょっと待て、スザク何でそんなこと知ってるんだ!?
僕の魂の叫びにも、許しは請わないよ、とスザクは満面の笑み。ミレイさんも、ごめんねー、と、またえらく誠意のない謝辞を口にしつつ、離れようとしない。
(いつもいつもコレで流されるんだ!)
僕は彼女のオモチャじゃないっていうのに、毎日いいように遊ばれている。毎日こうやって背中に抱きつかれたまま、学園までからかわれるんだぞ!
同じクラスのリヴァルなんかは僕を凄い目で睨んでくるけど、遊ばれる僕の身になってみろ。
(よし、今日こそは!)
と、驚いた拍子に眦に浮かんだ涙をそのままに、決然とミレイさんと目を合わせた。
真剣に彼女の碧眼を覗き込む。ミレイさんが息をのんだ気配がした。
スwザwクw
支援
支援
(よし、いける!これで…)
僕の怒気が伝わったはず、と思ったのに――
なぜか、ミレイさんは、喉を、ごくり、と鳴らして
「…あ、あはは。やっぱ、ライはズルイ…わよ」
頬を染め、ぎこちない笑みを浮かべながら、明後日の方向を見た。そして、
(え、えぇ!?)
瞬間
彼女は
僕の首筋に、顔をうずめた。
(なんで!?)
仕方無いよ、だって今日ばかりはライが悪いしね、とはスザクの言葉だった。
ルルーシュは、だって俺のジャンルじゃ…と言いながら、地面に「の」の字を書いていた。
ナナリーはなんだか不気味な独り言を続けていた。
結論――今日も流されました。
支援
支援
まだ続くんですが、さすがに一人で時間とりすぎですかね?
他に投下される方いれば替わろうかと思うんですが
じゃあ7時まで待って何も無かったら投下再開でどう?それまで休憩として
早く続きを
支援
>>93 では、そのやり方でいかせてもらいます
一旦休憩します。ひとまず支援ありがとうございました。
あんまり時間をあけると待ちくたびれる人がいると思うので
>>93の言うように10分程度様子見て職人さんが現れないようなら
投稿再開でよろしいかと。
俺余計なこと言っちゃったかな…。ところでコウ卿、これってタイトルはないんですか?
投下再開します
支援
支援
>>97 いや書き込むのがコウ卿より遅かったウチと比べたらだいぶ…
――――――――――――――――――――――
こうして僕たちが――主に僕やルルーシュが――毎朝様々な苦労をしながらも、歩いて登校している学園、その名をギアス学園という。
ギアス学園について少し説明しよう。
ギアス学園とは、地球連合の全面出資の元で創立された学園で、第一本校は当時中立地帯として絶対的な治安の良さを誇っていた、東アジア州日本地区に建造された。つまり、今僕たちが通っている所だ。
中高一貫のハイレベルかつ実用的な知識・技術の習得やトップアスリートの育成などを目標に、世界中から優秀な人材を集めた、まさにエリート校としてのスタートだった。
今年で創立80年になるわけだが、各界に優秀な人材を輩出しており、今や名実ともに世界最高峰の教育機関として君臨している。
地元の小学校を卒業した時、ルルーシュ、スザク、僕の三人はこの学園の入学試験を受けた。
何故なら、三人のうちの一人――ルルーシュが、この学園に入ることを幼い頃より義務づけられていたからだった。
その理由は至極単純で、彼の父親――シャルル・ジ・ブリタニアこそが、ギアス学園の学園長を務めているためだ。彼のファミリーネームがランぺルージなのもこの辺に理由がある。
当初彼は反発したが、ギアス学園が正真正銘世界最高の教育機関であること、スザクと僕――二人の親友がどちらも自分と同じ所を受けると聞き、受験を決意した。
結果は、三人とも見事合格。
ルルーシュと僕は一般入試で、スザクはスポーツ特待生として。
ギアス学園は世界中から生徒を集めている。
どの州に住んでいるかも、人種も、主義も、宗教も問わない。まさに実力・結果主義の学園だった。
けれどそれは、かえって僕たちに都合が良かった。何故ならスザクがいたからだ。
どうやら彼の祖先は名家ではあったが奴隷階級から成り上がった一族らしく、それをわざわざ調べてきてスザクに嫌がらせをする低能のクズが毎年いたのだ。
スザク本人は全く気にしていないようで、笑って流していたが、ルルーシュと僕はちょっとしたお仕置きを敢行。毎年何とかクズの更生に努めてきた。
それを気にする必要がない。そんな最先端の環境で学生をやれることは、明らかに僕たちにとってプラスだった。
支援
東棟と西棟
この二つは、同じ門をくぐる学園の敷地内にありながらも、それぞれの生徒会を持ち、それぞれの校舎があり、それぞれの教師がいる。
つまり、ほとんど別々の学校のように機能しているのだ。実際のところ日常生活の面では、一部の例外を除き、あまり交流はない。
ただし、大きな交流として二つの棟の対抗戦という形で行われる学園行事が用意されるなど、伝統的に対抗意識は強い。
同じ学園内においても、常に競い合い、高め合うというギアス学園ならではのシステムだった。
ちなみにクラス替えは棟内で毎年あるが、棟替えは中等部から高等部に進学する時の一回だけだ。
僕たち三人は、中等部の頃は全員東棟で三年間同じクラスという、ご都合主義全開の学園生活だったが、高等部に進学する時にルルーシュとスザクは西棟、僕は東棟になった。
スザクなんかは高等部での棟が発表された時は、ライとは別の棟かぁ、と残念がりながらも、いつもの爽やか笑顔だったのだが、今年中等部に入学したナナリーと棟が別になったルルーシュは、予想通り発狂した。
全然関係ないんだけど、その日の帰り道、僕たちがいつも登下校時に歩く道端には、自動販売機や街路樹が転がっていて危なかった。
先に帰ったスザクとルルーシュは躓いて転んだりしなかっただろうか、と心配になったのを覚えている。
僕がミレイさんと出会ったのは、中等部に入った時だった。
彼女は元々ランぺルージ兄妹と知り合いで、当時中等部二年生ながらも、東棟生徒会の副会長を務めていた。
ギアス学園の生徒会は棟ごとに一つであり、中等部と高等部の生徒が合同で運営するからだ。
その縁で、僕たち三人も東棟生徒会に入り、去年まで一緒に活動してきた。彼女は僕たちをとても可愛がってくれて、御蔭で充実した中等部時代を送ることが出来た。
彼女は現在、東棟高等部二年生であり、東棟生徒会の生徒会長でもある。
僕は今年も、ナナリーは今年から、東棟の生徒だから当然東棟生徒会に入っている。ちなみに僕は今年から副会長だ。
支援
支援 これを短編と呼ぶことにものすごく抵抗がある
すいません。ミスしました。
>>103の前にこの文が入ります。
ギアス学園は世界中から生徒を集めている。
どの州に住んでいるかも、人種も、主義も、宗教も問わない。まさに実力・結果主義の学園だった。
けれどそれは、かえって僕たちに都合が良かった。何故ならスザクがいたからだ。
どうやら彼の祖先は名家ではあったが奴隷階級から成り上がった一族らしく、それをわざわざ調べてきてスザクに嫌がらせをする低能のクズが毎年いたのだ。
スザク本人は全く気にしていないようで、笑って流していたが、ルルーシュと僕はちょっとしたお仕置きを敢行。毎年何とかクズの更生に努めてきた。
それを気にする必要がない。そんな最先端の環境で学生をやれることは、明らかに僕たちにとってプラスだった。
世界中から集められた学生の数は、中等部、高等部ともに約五千名ずつ。
その生徒たちは、さらに各学年ごとに二つの棟に分かれて学園生活を送るのだ。
支援
支援
そして、わかっている人も多いとは思うが、今年の西棟生徒会の生徒会長は公約の一つに、東棟生徒会に囚われた自分の妹を奪還する事を掲げている生徒である。あえて名前は言わない。
さらに、校則違反の生徒に笑顔で体罰を命じる風紀委員長も西棟生徒会のメンバーだったりする。
東棟と西棟の対立は、実は今年が最高潮なのではないかとする声もあるのだ。
閑話休題3
――――――――――――――――――――――
ミレイさんに背中に抱きつかれ、独り言を呟くナナリーの車椅子を押し、横でニコニコ笑っているスザクと、ギロリッと睨みつけてくるルルーシュに口元を引き攣らせながら、僕はようやく学園の門が見える位置までやって来た。
生徒の模範となるべき生徒会のメンバーに対する周囲の視線はやはり厳しく、学園が近いために、そこら中にいる多くの男子生徒からルルーシュと似たような雰囲気が放たれていた。主に僕に向けて。
やはり新米の副会長の分際で、皆の静かな朝を邪魔しているからだろう。確かに僕たちは騒がしいし、これでは僕がこの騒ぎの中心にいるように見えてしまう。
「はぁ……」
思えば、地元の普通の公立小学校の頃から、僕には同性の友達が少なかった。ルルーシュとスザクを除けば、数人がいいところだ。
おそらく、押しに弱くて流されやすい僕の性格が好かなかったのだろう、剣道を始める前で、体の弱かった小学校低学年の頃は「スケコマシ」やら「資源独占野郎」だの言われてイジメられたものだった。
言葉の意味はわからなかったけど、きっと彼らの間だけで通じる酷いイジメ文句だったんだろう。
特に酷い事を仕掛けてきたのは、幼稚園のお遊戯会で使うような仮面を被り、ゼロという名前を名乗った男の子で、何度も落とし穴に落とされそうになった。アシバーストだ。
仮面に遮られていたけれど、聞き覚えのある声だったから、クラスメイトの誰かだったんだろう。正体は最後まで分からなかったけれど、ショックだった。
ただ、その度にスザクが僕の前に立ち、僕をいじめていたクラスメイト達を笑顔で突き飛ばしたりして助けてくれていた。特にゼロは、突き飛ばされると空中で幻の五回転半を披露するほどだった。
けれど正直僕は、この事に関してはあまりスザクに頼りたくなかった。
一つはあまりに自分が情けないと思ったからだし、もう一つはスザクが出てくると、「集団リンチ」が「集団をリンチ」する事になってしまうからだった。
とはいえ、簡単にこの性格が直るわけもなく――
結局僕は、未だに同性の友達が少ない。剣道を始め、体を鍛えだしてからは、イジメこそなくなったものの子供の時より少しマシという程度だ。
落ち込むが、まだまだ諦めてはいけない。そうだ。人生は長い。なら、これからしっかり直していこう!
なんとか前向きに思考を進め、顔をあげる。すると、視線の先、校門の前に見知った背中を二つ見つけた。声をかける。
「ジノ、アーニャ」
振り向く影は、二つ。
金髪碧眼、華麗な容姿に加えて体格の良い長身という、絵に描いたような貴公子と、石竹の髪に人形のように整った、けれどどこか儚げな容姿の小柄な美少女
貴公子はジノ・ヴァインベルグ、美少女はアーニャ・アールストレイムという。
二人とも西棟生徒会のメンバーで、ジノは中等部三年生、アーニャは中等部二年生、僕の後輩だ。棟は別だけど、生徒会どうしの交流で仲良くなった。
やぁ、と僕が手を軽く上げる隙もあればこそ。アーニャが、とててててー、と僕の目の前、独り言を呟くナナリーの脇まで足早に走り寄って来る。早いな。
「ライ、おはよう。それと、ひさしぶり」
「うん。おはよう。久しぶりだね、アーニャ」
笑顔で挨拶を交わす。
ふ、とアーニャも軽く微笑んだ。何故か周囲がザワ、と色めき立った気配がしたが、どうしたんだろう?
気になったが、途端視線を動かしたアーニャが、む、と唇の形を変化させたので、とりあえず彼女に意識を集中させる。
アーニャは右手をあげると、人差し指を真っ直ぐ伸ばした。
>>105 改行多いからレス数が多く、長く感じるだけでは?
支援
支援
支援
「それ、何?」
「ん?」
彼女の指の指し示す先を辿ると、僕の首に腕をまわし、背中に張り付いたまま離れないミレイさん。
風邪でも引いていたのか、赤くした顔をふせたまま、無言を貫いている。いや、時折「あー」やら「うー」やらと意味不明な呟きが聞こえはするが。
後でメディカルルームに連れて行った方がいいかもしれない。
というかアーニャはミレイさんとも知り合いなのに、なんでわざわざそんなこと聞くんだろう?
「ミレイさんだよ?何だか体調が悪いみたいで、さっきからずっとこんな調子なんだけどね」
「…………」
どこか憮然とした表情のアーニャ。どうしたんだろう、と思っていると、
「ん」
いきなり綺麗な石竹の髪を纏った頭を突き出してきた。
ああそれか、と納得する。最近はそれぞれ生徒会の業務が忙しくて彼女と会うことも少なかったから、本当に久しぶりだな。でもこんな場所でするのは珍しい。
そう思いながらも、懸命に背伸びをして頭を突き出しているアーニャはとても可愛らしかったので、ぽふ、と右手を彼女の小さな頭に置いた。それからゆっくりと動かす。
なでり
「ん」
なでりなでり
「んー」
なでりなでりなでり
「むふー」
アーニャは目を細め、気持ち良さそうに息を吐いた。
支援
支援
>>111 いや、普通にボリュームたっぷりだと思うw あ、ほめ言葉ですよコウ卿
支援
これは僕とアーニャの間での約束事みたいなもので、去年の丁度今頃、それなりに仲良くなったアーニャが生徒会の仕事を一生懸命やっていたので、思わず頭を「いい子、いい子」といった感じに撫でたのが始まりだった。
どうやら彼女は誰かに頭を撫でられるのがお好きなようで、僕も彼女の柔らかい髪を撫でることができるのは嬉しかったから、アーニャが頭を僕に突き出すのが合図ということで、今日まで続いている。
「アーニャ気持ち良さそうだな」
彼女の後ろから、ゆっくりと歩いてきたジノが言う。
「おはよう、ジノ」
「どうも先輩、おはようございます」
声をかけた僕に挨拶を返し、女性なら誰でも見とれるんじゃないかと僕が思っている笑顔を浮かべるジノ。
容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群、性格も老若男女誰にでも好かれる気さくな彼は、秘かな僕の目標だ。
ある一点を除いて――
「どれどれ、俺も撫でてみようか」
そう言って、ジノはアーニャの頭に手をかざす。あ、やばい。
ギラリ
「は?」
「がぶりちょ」
パクッ!ガジガジ
「…………」
ガジガジガジガジ
ガジガジガジガジ
支援
「…っ!?ぐわーーーっ!」
今まで細めていた目をギラリと光らせ、カウンターでジノの手に噛みつくアーニャ。ジノは悲鳴を上げる。…そりゃ痛いよな。
どうもアーニャは一部の人にしか自分の頭を撫でさせないらしく、それ以外の人が少しでも触れようとすると、全力で抵抗するらしい。
一部の人と言ったけど、僕は自分以外の人が彼女の頭を撫でているのを見たことがないので、僕の知らない人なのだろう。
って、それよりも!
「ジ、ジノーーー!こら、アーニャ!ジノを離してっ!」
僕はすぐさま片手でアーニャを抱きかかえるようにして、ジノから離す。けれど少し遅かったようで。あ、歯型ついちゃった。血出てるし。
大丈夫かと問えば、ジノは引き攣った笑いを浮かべ、手を振った。涙目だったけど。
「だ、大丈夫ですよ。ほら、俺ナイトオブスリーだし。く、くそぅ…ほ、本気出しとけばよかったぁ。」
本気とかあるのか、この場合。
そんな突っ込みをしたい誘惑に駆られたけど、いつもの事なので流しておく。
ちなみに、彼が名乗ったナイトオブスリーというのは、彼自身が広めたもので、西棟生徒会における生徒会長、副会長に次ぐナンバースリーであるという意味だ。…本人の中では。
実際のところ、彼以外の生徒はナイトオブスリーを、この日本地区に古くから存在する伝統芸能「カブキ」の役柄、「三枚目」という言葉と重ねて使っている。
もちろんこの事を、彼は知らないし、僕も教えられない。…可哀想過ぎて。
これこそが、ジノを目標とする僕にとっても、唯一真似したくないところなのである。
「せ、先輩。これって病院行ったほうがいいですかね?本気で」
いいんじゃないか、行かなくても。
「ライ、もう一回」
ん、と突き出された頭を無意識のうちに撫でる。
支援
支援
「ねえルルーシュ、相変わらずだよね。ライって」
「邪魔をするなスザク!今のうちにナナリーを!ええい、この手を離せっ!襟首を掴むな!」
「結婚…一姫二太郎…庭付き一戸建て…お兄様…排除…」
「うー、あー。ライ、そ、その顔はダメだって言ってるでしょうが…会長命令よ…もぅ……」
「むふー」
「や、やばいな、本気で痛いんだが…」
ワイワイガヤガヤ
僕たちのせいで、校門前の朝の喧騒は最高潮
これでまた僕は嫌われるんだろうなぁ。睨んでる人多いし。…あっ、目が合って舌打ちされた。はぁ、落ち込む。
途方に暮れて、見上げた空は青かった。
だからこの時、僕が彼女の視線に気付けなかったのは、ちょっと仕方がないと思う。
支援
支援
――――――――――――――――――――――
「新しい部下…ではなく生徒を紹介する」
あの後、校門前の騒ぎをなんとか収めて、今は教室で朝のホームルーム。
教卓の前で僕のクラスの担任のコーネリア先生が、いつもの厳しい口調で言い放った事実に、クラスの皆が小さくない驚きを発する。
それはそうだろう。
この学園は基本的に入学試験という期日の決まった試験以外での入学を認めないため、転校生という存在はなく、従ってこの場合も制度や方針が変わっていない限り有り得ない事だからだ。
しかしすぐにその驚きは消え去る。
「転校生というわけではない。入学試験は受けたが、この地区に引っ越してくるのに時間が掛ったため、今日からの合流となった」
そして先生は教卓側の入口に声をかける。
「入れ」
シュンと扉が開き教室に入って来た転校生に、クラスの皆がさっきのものとは別の種類の驚きを発する。
「カレン・シュタットフェルトです。北ブリタニア地区に住んでいました。今日から、よろしくお願いします」
一礼して、微笑む。
おお!スゲー可愛いじゃん。うん、美人だわー。いやったー!掃き溜めに鶴だな。ちょっとそれどういう意味よ!そのまんまの意味に決まってんだろ。何ですってー!
転校生――少し違うが――を迎えたクラスとして、とても健康的な反応を皆が繰り広げている。
支援
支援
(確かに、綺麗な子だな)
真っ直ぐ整えられた燃えるような真紅の髪、その中に穏やかな湖を湛えたような大きな空色の瞳、スッと通った鼻筋に、弱々しいながらも微笑を浮かべる口元
ドクン
(でも……何だろう、この感じ)
シュタットフェルトさんと目が合う。
ヒクッ
何だか彼女の表情全体が引き攣ったような気がしたけど、気のせいだろう。
「では、席は……ああ。ライの隣が空いているな。シュタットフェルト、あの一番後ろの脆弱者の隣に座れ」
ピタッ!
先生のその言葉が終わるや否や、突然クラスの喧噪が消え去った。
僕が不思議に思っていると、多くのクラスメイト――主に男子――がギギギと音がしそうな動きで此方を振り返る。ちなみに僕の席は真ん中の列の一番後ろだ。
ふざけんな!カ、カレンさんまでー!?ネリちゃん勘弁してくれよ!誰だ今ネリちゃんと言った脆弱者はっ!!死ね死ね死ね死ね死ね!一人で夜道歩く時は精々背中に気をつけな!
今回は声には出されていない。にも関わらず、何故か僕には彼らの言葉が一字一句洩れることなく聞こえてきた。まるで脳に直接響いているみたいによく聞こえる。
…皆そんなにシュタットフェルトさんと隣になりたかったのか。僕は驚いた。
まぁ確かに彼女は美人だ。でも僕の隣になったからって普通に話せばいいんだし、そんな席くらいで…。
僕の考えていることが表情に出ていたのだろう、皆の無言の大攻勢が、一段とその勢いを増した。それはもう視線の暴力と言えるくらいだ。
支援
支援
「よろしくね、ライ君」
気が付けば、彼女は僕の席の横に移動していた。僕も一旦クラスメイトの視線から逃れるために彼女に向き直る。
ドクンドクン
(…あ……?また、この感じ)
「こちらこそよろしく。シュタットフェルトさん」
妙な感覚がさっきから僕を捕えて離さない。
……何だ、これ。
注意がそちらに持っていかれる。集中できない。
だから僕は、何かを待っていたような彼女の表情が、一瞬泣きそうに歪んだのも、彼女が次の言葉を発するのにどれだけ表情を引き攣らせていたのかも、見抜くことができなかった。
支援
「…ところで、校門のところで見たんだけれど、ライ君ってモテるのね。女の子三人も侍らせて」
ドクンドクンドクン!
胸にせり上がってくる。感覚、感情……記憶?
「私ね、そういう人って…」
知らないけれど、これって……
ドクンドクンドクンドクン!!
「大っ嫌いなの」
――懐かしい――
そして、僕の意識はそこで途切れた。
支援
終わりです。支援大変ありがとうございました。
タイトルはそのまんま「ギアス学園」です。
>>136 GJッス!
何このパラレル素敵ー!!
アーニャに噛みつかれたジノ、ご愁傷様です。
次回も盛大に期待してます
>>136 コウ卿、GJでした!
うん、凄まじいまでのボリューム、大変面白かったです
見えないほどの速度で現れるスザクとか、通学中独り言呟き続けるナナリーとか
たっぷり笑いましたが、なにより、過去のゼロwww
なんというか、ただGJと言うのが精一杯なほど素晴らしかったです
……これ短編!? もちろん続きますよね
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちさせていただきます!
>>136 強くてかっこよくてライ大好き。そりゃそうですよね!!
全編とおしてわくわくが止まりませんでした。
そこはかとない不安の種が蒔いてあるのにもドキドキ。
楽しかったです!
ありがとうございました!
乙です!これってここで終わり?なんかとっても勿体無い気が…とにかくお疲れ様でした。
次の投下も楽しみに待ってます!
>>136 乙です
ヒロイン勢との絡み、特にカレンとの出会いなんかはこれ何てギャルゲー?でしたよ
続きがある事を期待してます
二十分ごろ投下させていただきます
145 :
カズト:2008/09/06(土) 20:20:10 ID:ChbQVESo
では投下させていただきます
タイトル「追憶の旅路 第四章 家族のひととき」
カップリング ライ×カレ
今回はゆるーくホームドラマ風にいきます
オリジナルキャラも増えてきたので今まで出てきた分を簡単に紹介します
本編をイメージしたキャラもいますが
海堂清四郎 命の護衛としてブリタニアに行く
ブリタニア軍人として、ライの教育係として毎日奮闘する武人
アルベルト=フォン=ブリタニア ライの父親 国王 ライを嫌ってる
後宮の女に入れあげ民の信頼を失っている
ダニエルとロベルト ライの兄達 ライを虐めている
裏畑 海堂の部下 草の者 手練のシノビであり「草の者」の隊長
仙沢 海堂の部下 中年の男性 歴戦の勇士
クレイジー=ホーク 「北の蛮族」の王 世界最強の戦士 ギアス使い
L・L 謎の女 ホークにギアスを与えたコード所有者
支援
147 :
カズト:2008/09/06(土) 20:22:18 ID:ChbQVESo
城に帰還したライは走って来る海堂を見つけた
「若君!無事と聞いておりましたが、良くぞ帰ってこられました!」
「カイドー!無事で何よりだ!あの状況で、生きていて嬉しいよ!」
「はい!私も生きていた事が不思議です!
ささ、命様がお待ちですぞ」
「うん、早く母上に会いたい!」
足早に母親の部屋へと向かう
部屋に着きドアを開ける
「母上!ただいま帰ってまいりました!」
「ライエル!」命はライに向かってきて
バシッ……命の平手が飛んだ
「え……は、母上……?」
そして、ギュッと抱きしめた
「あなたって子は……こんなに心配かけて……
行方知れずと聞きました…でも、帰って来てくれて何よりです……」
「母上……ごめんなさい……」ライも母親をギュッと抱きしめた
「命様……私の力不足でした……責めるならこの私を……」
「いいえ、あなたはよくやってくれました……
それより、積もる話もありそうだから紅茶を入れました
、咲久耶もこちらへ来る頃です……あら、ちょうど来ました」
「ライエルお兄様!お帰りなさいませ!」
「サクヤ……!ただいま!心配かけてごめん……」
こうして、四人のティータイムが始まるのだった
支援
149 :
カズト:2008/09/06(土) 20:24:18 ID:ChbQVESo
カイドーの話によると、クレイジー=ホークとの一騎打ちは、
完全に追い詰められていたのだとか、敵兵にも囲まれて、
逃げる事ができずなかった絶体絶命の状況
突然、ホークは馬から降りカイドーにもそれを要求したのだとか、
死を覚悟したカイドーは馬から降り、刀を納め、
イアイ(居合い)の構えをとり、奴が間合いに、
入ってきた時の相打ち狙いだった
しかし、奴は海堂を睨み続け、その時に妙な感覚に陥って、
そうこうしている間に味方が戻ってきて奴は撤退し、無事だった様だ
僕の方もカイドーとはぐれてからの事を、話した
森の中で、敵兵と出会い、この戦の真実、女性の死体、
そこから、命からがら逃げてきた事にした
当然、ギアスの事はうまく隠したウラハタの救助、
センザワとの出会い、彼を助ける為、兵士達の士気を鼓舞した事
領土内の町の惨劇についても話した
支援
151 :
カズト:2008/09/06(土) 20:25:53 ID:ChbQVESo
「まあ……そのような事が……
私にとっては生きていた事が、何より嬉しいです」
「うん……でも、いろんな事がわかった気がする……
カイドー、センザワの事だけど大隊長のままにしてほしいんだ
日本人だからって中隊長止まりなのは、宝の持ち腐れだよ……」
「おお!そうですか!私が王に掛け合いましょう!仙沢も若君の事を
相当褒められていたようで……」
「お母様!お兄様!海堂さん!ケーキが焼けました!
初めてなのであんまりうまく焼けませんでしたが……」
咲久耶が手作りのケーキをお茶請けに持ってきた
「いい香りだよ、サクヤ、いただくよ……うん、おいしい」
「あ、ありがとうございます!お兄様!」
頬を赤らめながら咲久耶は笑みを浮かべる
ライにとっての至福の時間であった
海堂はライにとって、すでに父親そのものであった
四人はこうして、家族としての時間を過ごした
ティータイムが終わり、命が真剣な顔になり口を開いた
「ライエル、私は今夜、帝都ペンドラゴンに向かいます……」
「えっ!どのような御用件で?」
「裏畑の手の者が、隣国と「北の大国」との
密貿易の繋がりを突き止めましたこの証拠をもって、
皇帝陛下に隣国の討伐の勅令を得ようと思います!」
「勅令を得る事ができれば、不利な状況を覆す事ができるでしょう!」
海堂が力説する
支援
153 :
カズト:2008/09/06(土) 20:26:39 ID:ChbQVESo
「帝都には、咲久耶も連れていきます、
咲久耶には今回の行幸で見聞を広めてほしいのです」
「そうですか、サクヤ……母上がついてるとはいえ大丈夫かい?」
「はい!私もいろんな事を見て、聞いて、学ぼうと思います!」
「そうか、体には気をつけるんだぞ、サクヤ」
「はい!」
「海堂、ライエル!留守は任せましたよ!」
「「はい!」」
ライと海堂は力強く頷いた
夜
命を見送り、部屋に戻ったライは、深呼吸をした
(母上とサクヤはしばらく城にいないか……
よし、実行は早いほうがいいかもしれない……
町の様子から父上の信頼は完全に地に落ちている、許すものか……
しかし、どうする?父上には一度ギアスを使ってるからなあ……)
ライは、ふと一つの考えに至った
(あそこは、あんまり行きたくないなあ……
でも仕方が無い……行くしかない!後宮に!)
そう決意をして、ライは眠りについた……
154 :
カズト:2008/09/06(土) 20:27:49 ID:ChbQVESo
ウラバナシC
「ハイオ共和国」……それが、「北の蛮族」と呼ばれる者達が
形成している国家という共同体の名前である
クレイジー=ホーク一派による一党独裁制の共和制国家である
政治形態をこのような形にしているのは、
国民である彼らに近代化の概念が全国民に浸透してないため、
数少ない進んだ概念を持っている者達が引っ張っていっているのだ、
教育制度を充実させていく事でいずれは、
民主主義による立憲君主制へと移行していくヴィジョンを持っていた
むしろ、精神文化を中心に、部族単位で生活していた者達の中から
いきなり「国家」という概念を持ち、この「共同体」を形成できる実行力
とカリスマ性を持つ者が出てくること自体が、
彼らを「未開の蛮族」と見ていたブリタニアと大陸中の国からしてみれば
異常事態とも言える出来事なのである
ネイティブ……そう大陸に移住してきた者達は原住民である彼らを
便宜上そう呼んでいる……
彼らは、海を越え見知らぬ大陸に移住してきた者達を厚遇した
しかし、入植者が増大していくに従って、歪みが生まれていった
入植者が持ち込んだ伝染病、風土病によって、
免疫のないネイティブたちは人口を激減させていった
さらに、知識と武器を背景に土地を奪い始め、
ネイティブたちを奴隷として売買するようにもなっていき、
両者間の感情は悪化の一途を辿っていた……
彼らの争いは未だに続いており、小競り合いは日常茶飯事であった
その中で、現れたのがクレイジー=ホークだった
彼は幼い頃から、入植者の横暴と戦っていた勇敢な戦士だった
そして、いつの間にかL・Lと呼ばれる女が彼の側にいる頃に
多くの部族をまとめ上げ、国家を形成したのであった
支援
156 :
カズト:2008/09/06(土) 20:30:03 ID:ChbQVESo
リーブランドのとある大会場
この国の住民、兵士達が王の目覚めということで、
いまや遅しと待ちわびていた……
建国者であるクレイジー=ホークが会場へと現れ壇上へと上がっていく
彼らは狂気じみた歓声で、彼を迎えた……
ホークは手を上げて彼らを静めた……
「皆の者!我が国とブリタニアとの争いも現在膠着状態に入っている!
この国も、領土を広げて皆の安全と生活を確保できるようになった
ここで、さらに国を開拓し、我が国の内政を充実させねばならない!!
いずれ、彼らとの和解の道を模索していく事になるだろう!
憎しみのみでは我らは滅びの道を歩むだろう!
皆の者考えよ!自ら考えるのだ!共存の方法を!
グレイトスピリッツはそう望んでおられる!」
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
狂気じみた歓声が会場の遥か外まで響いていた……
「お疲れ様でした、王よ……」壇上を降りたホークをL・Lが出迎える
「L・Lよ……例の件はどうなっている?」
「はい……虐殺を命じた者は、すでに処刑しておきました……」
深々と頭を下げながら彼女はニヤリと口を歪めていた……
「この件で、さらにブリタニアとの溝が深まってしまった
皆はこの集会でどれだけ理解しているのだろうか……
憎しみは燃やせば燃やすほど、
火の如く手に負えないようになってくるというのに……」
「はい……悲しい事であります……」白々しく彼女は頷いた
「今日の政務は終えているのか?」ホークがL・Lに尋ねた
「はい、もちろんです……王よ、お試しになられるのですか?
先の戦で手に入れた力を……」
「うむ、遥か遠くの島国ながら、面白い国だ……ニッポン……
力自慢のものを何人か連れて来い……」
支援
158 :
カズト:2008/09/06(土) 20:31:34 ID:ChbQVESo
ホークの屋敷の広場に四人の巨漢が彼を囲んでいる……
「かかって来い!手加減無しだ!」ホークが身構える
「おおおおおおおおおお!!」
一人の男が王に向かっていき右の拳で殴りかかった
ホークが男の右腕を取り、一本背負いで
背中を叩きつける直前で腕を引き上げる!
「次だ!」男達はホークに近づけなかった
ホークから近づいていく、二人目の男が苦し紛れに蹴りを放つが、
腕に蹴り脚をとられ、軸足をもう片方の腕で取られて、転ばされる
三人目の男は、当身で体制を崩され、右腕を右手で掴まれ、
前に引き込まれ、後ろに回られ、裸締めをかけられた、
落ちる前に離されはしたが……そして、四人目も同様であった……
ホークの使った技は、柔術の技であるが、
この大陸には技それ自体が伝わっていないのだ
ましてや、彼の運足、間合い、型は完全に熟練者のそれであった
「素晴らしい……これがセイシロー=カイドーの持っていた
ジュージュツ(柔術)というものか……
無駄な力を使わずに敵を制する技……
彼の持っているブシドー(武士道)という倫理概念も
我が国に取り入れねばなるまい……彼の持ってる力は、
王としての私と、この国に多くのものをもたらすであろう……
感謝せねばなるまいが……このギアスを与えてくれたL・Lに……」
支援
160 :
カズト:2008/09/06(土) 20:32:22 ID:ChbQVESo
クレイジー=ホークの持ってるギアスは「能力転写」
ギアスをかけた相手の持ってる能力を自らの物として
自分が決めたレベルに応じてコピーしていく力である
条件 @
LV1 対象者の記憶、知識などをコピーしていく
LV2 LV1に加え、対象者の身体的技術をコピーしていき、
それに対して自らの体内に、あらゆる神経を張り巡らせる
LV3 LV2に加え、相手の人生の経験の機微を自らに取り込む
レベルの高低、経験の差によって、反動も大きくなり、それによって
深い眠りに、つかなければならない……
特に、LV3は自分の考えが変節してしまう恐れが高いので、
強い精神力が必要であり、ほとんど使わない
本人の能力より、対象者の能力が低い場合、
意味をなさず反動も少ない
A相手の目を直接見なければならず、射程は50メートル内
B同じ対象者からはレベルの高低を問わず使用は一度きり
C使用された対象者はダウンロード中に軽い酩酊状態が起こる
使用者である本人も同様の状態が起こる
Dあくまでコピーなので、対象者にはCを除き何の影響もない
天性の戦闘センス、幼い頃の経験に加え、
政務の合間のトレーニングもあり
それが、彼を「世界最強の戦士」たらしめているのだ……
彼が本気になれば、帝国最強の騎士である「ナイトオブワン」ですら
5分と持たずに、死体に変えられてしまうだろう
支援
何だ?このギアスは?
厨設定バリバリですねww
コピーすれば「ナイトオブワン」ですら5分と持たずに、死体ww
これはさすがに・・・・・・
もう、ロスカラじゃないような気がする。
164 :
カズト:2008/09/06(土) 20:51:56 ID:ChbQVESo
深夜
L・Lが森に佇んでいた
「少しばかり厄介になってきたわ・・・」
国として安定しているせいか穏健派が少しずつ増えているわ
過激派の様子はどうなっているの?」
影に向かって尋ねた
「はっ・・・今は過激派が多数派を占めていますが
中には穏健派に理解を示すものも少なくありません・・・」
「なるほどね・・・虐殺の件はあなたがうまくごまかしてくれたようね
あの国を取り込んで現場に苛政を行わせているものの
支援
166 :
カズト:2008/09/06(土) 20:55:34 ID:ChbQVESo
ホークの耳に届くのも時間の問題みたいね・・・
両者の感情を悪化させているものの
「ブリタニア崩し」を次の段階に移すか、もう少し様子を見るか・・・
あなたは引き続き過激派の中に入って煽っていて頂戴・・・
「はっ、了解しました、盟主様・・・」
そう言って、影は闇に消えた・・・
支援
168 :
カズト:2008/09/06(土) 21:00:22 ID:ChbQVESo
投下終了です
今回はライよりも「北の蛮族」設定に文字を費やしました
最初はヨーロッパに領地をもってたら
○ンギス=ハーンの黄金の氏族(アルタン・ウルク)
を使おうと思いました
オリジナルギアス
○ン肉まんのオリジナル超人よろしく
考えさせてもらいました
先週の放送時で
ビスマルクがこの能力だったらどうしようと思いました
いわゆるネタ殺しですな
何とか書き上げました
>>168 カズト卿、GJでした!
オリジナル色が強くなると難しいと思いますが、頑張ってください
というかオリジナルギアスといい、ブリタニア崩しといい
どこの忍者漫画!?とツッコミたくなるんですが
次の投下を待っています!
乙でした。が今回の作品はロスカレのSSというより
は完全なオリジナルのファンタジーな作品でしたね。
それはそれで面白いと思いますが、最初のカプで
ライ×カレンと書いてあるのにカレンが全くでてこなかった
のはかなり問題があるかと、せめて最初か最後にカレンのセリフなり
描写をいれるとか、最初の時点で出てこない旨を書いておかないと
後で問題がある気がします。
苦言を書きましたが、次回の投下をお待ちしております。
>>136 幼年学校って年齢的には中学生くらいが行くんじゃなかったっけ?
幼年学校出てるのに中等部に進んでるのはちょっと違和感が。
初等学校という意味で書かれたんなら幼年学校と初等学校はイコールではありません。
話の本筋に関係ないしょーもない突っ込みですいません。
>>171 今調べたらその通りでした。
自分の中では幼年学校=幼稚園(Kindergarten)となってました。
無知ですいません。指摘ありがとうございます。
>>172 普段ならここでトーマス卿から「修正しましょうか?」と言ってくるくるんですが…
えっとみんな、トーマス卿に22スレ目をHTMLとテキストで圧縮して送っときました。
ですんでトーマス卿が戻って来られるまでメールで送付するのは控えた方がいいと思います。
>>168 シリーズをずっと読み通してるとそうではないことは分かるんですが、ほかの方が言うように、今回の話だけ読むとこれのどこがライカレ?と感じる人もいるかもしれませんね。
>>173 お疲れ様です。一応こちらでも保管してます。トーマス卿の無事を祈るばかりです。
>>174 部屋作ってもらうってのはどうかな?
スレチだったらすまん、軽い疑問をぶつけさせてもらいます。
ライは学園に迷い込んで来た時どんな服装だったんですかね?
C.C.と同じような拘束服(?)だったら、ルルーシュは怪しいと思うだろうし、出かけるときも学制服しか持ってないっていう設定が多い気がして…。
ロスカラをやれば分かるんですかねぇ?
>>176 >>ロスカラをやれば分かるんですかねぇ?
まさか…ロスカラやってないのにSS書いてるんじゃないよね?
>>178 言葉が足りなかったスマン、やり直して、じっくり見れば分かるのかなと思った。
ほんとトーマス卿どうしたんかなぁ・・・
今までに無いパターンだ
心配なこと極まりないな
サイトを移転するって、言ってから来なくなったような気がしてるのは、俺だけか?
ならば、移転準備中とかかな
700近いSS移動するのはもっそい労力必要だろうし
……待つだけしか出来んのは辛いな
>>183 前スレの830が最後のカキコ、そして今にいたるまでなんの音沙汰もない。
あの人は7月の半ばごろ今回とおなじような大改装をしたが、その時も途中報告は欠かさずしてた。
今の状態は明らかに異常。
まだたかが2日じゃないか
もう少し待つことはできんのかね。毎日スレ覗いてるほど暇ではないんだろう
かと言っても今までは一日何回も来てた(ような気がする)から
さすがに2日も見ないと不安になってくるんだぜ
>>183 確かに…せめて、連絡の一つは欲しかったな。
待つにせよ、期間が分からないと不安になるのが人の性だからな。
もしかしてここに顔を出さないだけで保管庫の更新はやってるとか?
それとも……「連絡のひとつもできない状態」にあるとか?
>>188 う〜ん、それはどうかな?
保管庫の更新をしてるとは正直考えにくい…。
連絡の一つも出来ない状況か…
全てのSSを新しいサイトに移すためにPCもケータイもフル活用してるとか?
管理人さんすごい人気だなw
>>188 隅まで確認したが、022-839が最終でそれ以後動いた形跡はない。だとするなら、4日の18時頃が実質的な
最新更新と考えていいだろう。
>>189 いや…188はもっと深刻な事態を想定してるのかも知れん…
みんなきいてくれ。俺たちが今すべきことはこのスレをもりあげることだと思うんだ。
心配するのは俺も同じだが、そのレスで埋まるのはきっとトーマス卿の臨むところではないだろう。
>>191さんの言う通りですな。
だったら、俺のやることは一つだ。
書きかけのSSを最大のスピードで書き上げて、最大のスピードで推敲して、最大のスピードでここに投下すること。
トーマス卿の不在が心配される中なのですが・・・画像掲示板からの事務連絡です。
>>4 >試用期間中に出た問題点の取り纏めは9/7の本放送終了後、21時頃から開始予定ですが、
>その時間帯に参加できない住民はそれ以前に自分の意見を取り纏めて投下しておく等して対応願います。
とのことですが、この時間帯当方不在のため
絵板からの要件を残しておきます。
話し合いがされる際の材料にしていただければと思います。
●画像掲示板は、SSスレッドでの話し合いの結果に従います。
・保管庫などでの画像の収納する際の範囲、方法等はSSスレでの結論に準じます。
但し、収納は画板へのリンクではなく、ダウンロードしたデータを使用してください。
また、必ず本人の意思確認を経る形での収納としてください。
・コメントの扱い(本スレで触れても可になるか、画像板のみでコメントするかなど)
についても、本スレでの結論に準じます。
設置した人間としては、SSスレのために取った掲示板なので
スレッドが潤滑に進むならば(訪問される方に不都合のない範囲で)
どのような扱いになってもかまわないと考えています。
以上になります。それでは、皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
盛り上げるためにも皆で感想書こう!
>>136 GJでした!
ボリューム十分でヒロインみんな可愛い
ツンデレ(になりそうな)幼なじみカレン
ちょっと腹黒妹ポジションナナリー
色っぽい生徒会長ミレイ
撫でられ子犬アーニャ
設定も面白いし、このまま終わらせるには勿体無い!ぜひ続きを!
>>168 どシリアスで登場人物がカッコイイです
確かに設定に関しては賛否両論あるでしょうが、もう少しオリジナル要素を押さえ気味にすれば、引き立つ文章だと思います
構成はしっかりしているので、きっとこれからもっと面白くなると思います。続きをお待ちしてます!
>>168 少々辛口なことを言わせて貰うと、LCのライが主人公である必要がないように思えてしまう。
ライというオリキャラが出ているオリジナルっぽく感じてしまう。個人的にだが、ちょっと苦手なタイプの作品だ。
しかもほとんどオリジナルに近い形の長編だから、読者を惹きこませる工夫が必要だと思う。
夜分遅くに申し訳ありません。
投下したいのですが、17レス近く使用します。
こんな時間に支援して頂けるような奇特な方はいらっしゃいませんか?
支援します
支援しますぜw
有り難うございます。その前に例の如く注意書き等を少々。
タイトル 〜 別れ(後編)〜
カップリング ライ×カレン
前作 〜 別れ(中編) 〜 の続きになります。
話の根幹は黒騎士ルートを通ってのR2準拠ですが、もう色々と破綻してますので、出来ればIF物として読んで頂ければ幸いです。
以下注意点
●ライの契約者を台詞だけですが捏造して出してます。
●ライの両目暴走。
●ギルフォードの性格が掴めてない感じがあります。
それでは投下行きます。
支援
〜 別れ(後編) 〜
ライが目覚めた時、そこには見慣れた天井があった。
――学園の天井に似ているな。
そんな事を思いながら、首だけを動かして辺りを見渡す。すると壁の色彩や机等の調度品を見て本当に学園だと気付く。
しかし、その事がライの思考を余計に混乱させた。
――全部夢だったのか?
そう思いながら体を起こして窓の外を見ると、外はすっかり暮れて夜の帳が落ちていた。
が、その空は燃えるように赤く、遠くに見える租界の建造物の間からは、時折鋭い閃光が走る。
そして、その光に呼応するかのように、低く鈍い音が窓ガラスを揺らす。それは戦いの音だった。
――夢じゃない!!
慌てて、ベッドから飛び起きて部屋を出たところで、すぐ近くを血相を変えて慌ただしく走り去ろうと
している女性隊員を見つけて呼び止めた。
「何があったんです!?状況は!?」
「ああっ!!戦闘隊長!!……実は……」
両肩を掴み、必死に状況を求めるライに対して、隊員は悲痛な面持ちで話し始めた。副指令が撃たれた事。
ゼロの突然の戦線離脱。仲間の相次ぐ戦死。次々と知らされる凶報に、ライはただ唖然とするばかり。
すると、目の前の隊員は、耐え切れなくなったのか、遂には泣き崩れてしまった。
そんな彼女を見てそのままにしておくのは躊躇したが、今はそんな事をしている暇は無いと判断したライは、
彼女から扇の居場所を聞くと、
「貴方は、今の自分がやれる事をして下さい」
そう言い残すと、全速力で駆け出した。
やがてライが扇の元に着いた時には、全ては終焉へ向けて走り出していた。
彼は移動式のベッドに横になり、他の隊員からの治療を受けながら、誰かと連絡を取っている。
ライは側まで駆け寄ると
「扇さん、一体誰に?通信相手はゼロですか?」
その問い掛けに、扇は苦痛で顔を歪ませながら、目線で通信機を持っていた隊員を見やり、ライに手渡すように促した。
支援
『もしもし?扇さん!?』
慌ててそれを受け取ったライの耳元に響いたのは彼女の声。
「カレン?」
『っ!?』
突如として相手が変わった事に驚いたカレンだったが、その声の主を直に理解すると申し訳なさそうに一言、
――ごめんなさい――と謝った。
そんな彼女の謝罪に対して、ライは――気にしていない――と宥める様に言った後、ゼロの居場所を問い質したが、
『分からない。急に戦線を離脱するって。でも探そうにも何処を探したら……』
彼女は、悲しみを湛えたような声色で弱音を吐く。
それを聞いて、――確かにこの混戦の中見つけるのは至難の業だ――と思ったライが言葉に詰まっていると、
不意に扇が空を指さした。それを追うライの視線の先には、租界から離れる様に飛び去って行くランスロットの姿が。
「ラクシャータ……が、発信器を……な」
扇の痛みに耐えながらなんとか発した言葉を聞いたライは、瞬時に理解し通信機に向かって大声で叫んだ。
「カレン!!そこからランスロットが見えるか!?」
『っ!?……見えるけど……』
突然のライの大声に驚きながらも、彼女もまた空を見つめ飛び去って行くランスロットを見つけそう返した。すると、
「スザクを追え!彼がこんな時に戦域を離れる理由なんて一つしか無い。僕の分までゼロを護ってくれ!」
ライの言葉を聞いたカレンの瞳に力が宿る。通信機からは、彼女の短くも力強い了解の言葉も後に、
『接収した空輸機を私に回せ!!最優先だっ!!』
怒鳴り声が響いた。恐らく、側にいる隊員に命じているのだろう。
しかしその声からは、先程ライが彼女に感じた戸惑いの声は消えていた。
『行ってくるわ』
「ああ、気を付けて」
『あなたもね』
その言葉を聞いたライは、唇を噛みしめると名残惜しそうに通信を切った。それは、カレンと共に行けない事への苛立ちか、
それとも又してもゼロを護れない自分への不甲斐なさか、あるいはその両方か……。
しかし、これが不幸にも最後の会話となるとは、この時の二人はまだ知る由もなかった。
支援
すぐ側で二人のやり取り、その一部始終を聞いていた扇は――認めて良かった――と、
撃たれた事による痛みも忘れて瞳を閉じると、純粋にそう思った。しかし、そこである違和感に気付く。
そして再び瞳を開いた時、自分の目に飛び込んできたライの表情を見た瞬間、それが杞憂では無いと悟る。
蒼い瞳は、ある種の思いを抱いている事を雄弁に物語っていたのだから。
――駄目だ!
扇は止めようとしたが、再び襲う痛みが今度こそ彼の言葉を遮ってしまう。
「これ、お借りします。他の皆さんは、扇さんを……副司令をよろしくお願いします」
ライは手に持った通信機を示してそう言った後、扇を治療している他の隊員に頼み事をすると、
踵を返してその場から立ち去って行く。
その後ろ姿は頼もしくもあったが、どこか寂しそうで、それを見た他の隊員は、
妙な胸騒ぎを抱いたまま、彼を見送った。
―――――――――――――――――
戦況は悪化の一途を辿っていた。ライは直ぐさま部隊の状況把握に勤めようと、
コンソールパネルに指を走らせる。
だが、浮かび上がった状況は散々たるもの。先程聞いた隊員の話より遥かに悪い。
今でも戦線を維持出来ているのは、指揮官が藤堂だからだろう。
ライがこれから取るべき手段を必死に模索していると、突如短い電子音が鳴り仲間の悲報を告げた。
そこに表示されたのは一人の女性の名前。
――井上さんまでっ!!
ライは、あの日優しくカレンを抱きしめ頭を撫でていた井上の事を思い出すと、
突然、拳を作りパネルを殴りつけた。
ガンッ!!という鈍い音が辺りに響く。他の隊員も驚いた様子でライを見やるが、
今の彼に声をかけれるような勇気のある者は
この場所には誰一人として居なかった。もし居たのなら、未来は変わっていたのかもしれない。
しかし、そうはならなかった。
ライの心の中で青白い炎が音も無く燃え上がる。それは嘗て彼が持ち、記憶を失う事でずっと忘れていた感覚。
支援
記憶を思い出した今となっても、それまでの記憶が何とか封じてきたが、カレンにとって姉とも言える女性が
死んだ瞬間を目の当たりにした事で、とうとうタガが外れた。そして、何かに向かって問い掛ける。
――何故、僕はこうも無力なんだ!?……そうか、そうなんだな?まだ……足らないのか。なら……。
それは願ってはいけない事。だが、ライは心の中で叫んでしまった。
――寄越せ!!力を!!
ルルーシュのギアスは王の瞳。その瞳を見る者はすべからく心奪われる。
では、ライのギアスは?彼のギアスは王の声。その声を聞く者も又、すべからく心奪われる。
ライが願ったその瞬間、彼の右目に紅い鳥が浮かび上がった。ライは鈍い痛みを感じた後、ふと契約者の言葉を思い出す。
――これ以上望まない方がいい。望めば運命に飲み込まれるよ?以前の僕にとっては、
それは喜ばしい事だったんだけどね。でも、いつの間にか僕はその時は来て欲しくないと思っちゃったんだ。
我侭を言ってごめんね。これは僕が出来る精一杯の償い。だから……おやすみ。
忠告も聞かずに、また力を望んでしまった事に対して、ライは自嘲気味に笑った。
――結局、これが僕の本質なんだろうな。次は右目か。僕は左目で一度全てを失った。
次はここに居る皆か?大切な皆を傷つけ続ける事が僕の運命なのか?
けれど、もうさせない。見ていろ!!
今、ライの決意は固まった。彼は通信機を片手に何処かに連絡を取った後、
「全隊員は速やかに撤収作業を開始しろ!完了後、ポイントT3で残存部隊と合流後、ルート8を通り脱出。負傷者を見捨てるな!」
周りに居た隊員に対してそう命じると、振り返る事無く自分の月下の場所を知っていそうな人物の元へ向かった。
背後から無数に発せられる――了解!!――との声を聞きながら。
――だが、ライは知らない。契約者の忠告、その本当の意味を。そして、彼の右目にもギアスが発現した時、
世界のどこかで歯車が動き出す音が鳴った事を――
程なくして、その人物は見つかった。
「ラクシャータさん!」
「あらぁ。思った以上に早く起きたみたいね。成る程、参考になったわぁ」
そう言った彼女は、口元を僅かにニヤつかせた後、キセルをくわえた。
――ラクシャータさんが準備した薬だったのか。
その事実に対して、以前のライなら――実験台にしないで下さい――とでも言っただろうが、
今の彼は寧ろ今までお世話になった事に対する感謝の念しか浮かばず、つい口元が緩んでしまった。
それを見て、いつものライの様子と違う事を不審に思った彼女が、
「なぁに?ニヤニヤして気持ち悪ーい」
結構酷い事を言われたはずだが、ライはさして気にした様子も無く
「僕の月下の事なんですが――」
「何?残念だけど、坊やを乗せるなってゼロからキツく言われててさぁ」
そこまで言うと、彼女はキセルから口を離して面倒くさそうに言ったが、
「何処に置いてあるか答えろ」
これで近くになければ、計画は頓挫しかねないところだったが、ライには確信があった。
彼女はナイトメアを自分の子供のように大切に扱っていた。こんな時に何処かに置いて来るなど有り得ない。
絶対に近くに持って来ていると。そして、それは当たりだった。
「いいわよぉ。場所は――」
そう言うと彼女ライの愛機の待機場所を教えた。幸い、今の場所からはそれほど離れていなかった。
ここからなら走って10分程度の場所。彼女が元に戻るまでの間、頭の中で地図を開くと最短距離を導き出す。
そうしていると
「あらぁ?坊や?」
どうやら意識が戻ったらしい彼女は、ライが目の前に居る事に驚いたらしく、珍しい声を上げる。
それを聞いたライは再び心の中で感謝した後、
「先程、ディートハルトさんに連絡しました。この地区はまだ騎士団の制圧下ですから、
今のうちに彼と一緒に神楽耶様の所へ。その後は彼に従って下さい」
「……………………」
何かがあった。しかしそれが何だったのかは未だに掴みきれていない様子で考え込んでいる彼女を余所に、
軽く頭を下げてお礼を言うと走り出す。自らの愛機の元へ。
「あ、ちょっと!」
慌てて引き止めようとしたラクシャータだったが、ライは振り返る事無く走り去って行った。
―――――――――――――――――
支援
学園地区の外れにあるトレーラーまで辿り着くと、ライはそこで片膝を付きながら主の帰還を
待ち続けている蒼い月下を見つけた。
急いで乗り込むと、その場所から今もなお前線で戦っている部隊に通信を送る。
『黒の騎士団総員に告ぐ!!』
通信機から聞こえてきた声に、藤堂は一瞬ゼロが戻ってきたのかと思ったが、すぐに彼の声だと気付いた。
「ライ君か!?」
『これより撤退戦に入ります!』
一瞬、何を言い出すのかと思ったが、直に考え直す。
――彼も勝てないと踏んだのか。
政庁の想像以上の防衛力と、親衛隊を率いるギルフォードとグラストンナイツの火力に押され、
前線を死守する事のみに気を取られていた藤堂は、いつの間にか引くべき時を見失っていた。
いや、それだけならまだどうにかなっただろう。ゼロの不在。それが今の彼らには何よりも大きかった。
「卜部さん、ポイントT3に向かって下さい。今、そちらに数十名向かってます。合流したら、彼らを率いて撤退を!!」
唯一激戦区から外れた場所に居る卜部に対してそう頼むと、直に返事があった。
『今何処に居る?レーダーに映ってないが?』
ライは先程扇から拝借した通信機を使っていた。加えて、月下はまだ起動準備も完了していない。
レーダーに映らなくて当然の状態だったが、
「……先程被弾した影響かもしれません。……早く撤退を!!」
そう言って嘘を吐いた。しかし不思議と心は痛まなかった。
『君も来い!!』
次に卜部から言われた言葉は、甘い誘惑だった。恐らく、今までの彼ならそうしただろう。
だが、ライは再び嘘を吐く。
「……既に囲まれてます。脱出は……難しいです」
『紅月の事はどうするつもりだっ!?』
だが、その名前を聞いた時、ライの心は張り裂けんばかりの痛みに襲われた。
隠し続けた本音が露になりそうになる。
支援
支援
――離れたくない。
しかし、ライのギアスは再び暴走した。血塗れの母と妹。そこにカレンや、多くの仲間の姿が重なり、
――もう二度と失いたくない。
だからこそ、決して言う訳にはいかなかった。
「お願いが……あります。彼女に、愛していると伝えて下さい。それとゼロに、共に歩めなくてすまないと」
『お前まさか――』
「カレンは、きっとゼロを連れて来てくれます。彼女なら、やってくれます!!」
卜部の言葉を遮ると、ライはそう力強く言い切った。言暫しの沈黙。彼の今の独白は残存する全部隊に届いている。
しかし、誰も何も言う事が出来ない。彼の決意の固さ。その言葉から溢れ出た明確な意思に圧倒されていたのだから。
そして、ライはその静寂を打ち破るように
「以上、黒の騎士団戦闘隊長兼作戦補佐……皇ライ。通信終了!!」
『待っ――』
ライはそう告げると、慌てて止めようとした卜部の言葉を無視すると、通信機を叩き壊した。
スピーカーから何かをぶつける様な激しい音が聞こえ、その音にハッと我に返った朝比奈が叫ぶ。
『藤堂さん!!救出を!!』
同時に千葉や仙波もそれに同調する。が、藤堂は
「卜部、聞いていたな?」
『……はい』
「お前は彼を信じてポイントへ向かえ」
『しかしっ!!』
抗議を口にしようとしたが、上官でもあり卜部自身も崇拝する藤堂の命令である。逆らう事など出来る筈が無かった。
『……了解……しました。ですが、中佐は?』
「ここが抜かれては後方部隊までやられる。それに、あんな言葉を聞かされるとな。
こちらも最後までみっともなく足掻いてみるとしようか」
藤堂は、嘗てゼロに言われた言葉を言い終わると不敵な笑みを浮かべた。
『……ご武運を』
その決意を聞いた卜部は、悔しそうな声を滲ませながらそう言うと通信を切った。
支援
sienn
『お供しますよ、藤堂さんが居る所が俺の場所ですから』
『私もです、中佐』
『同じく』
残りの四聖剣は、あくまでも藤堂に付いて行く事を宣言した。それに彼らは直ぐ側で付き従っているのだ。
そんな彼らに藤堂自ら撤退せよと言うのは寧ろ無粋以外の何物でもない。
「済まない。……では、行くぞ!!」
『『『承知!!』』』
藤堂は決意を込めた言葉を彼らに送ると、心地よい良い返事が返って来た。
そして藤堂は、一気に攻勢に出て来るブリタニア軍をその鋭い眼光で睨みつけると、真っ向から受けて立った。
それは軍人としての最後の意地でもあり、ライの覚悟に対する敬意の現れでもあった。
―――――――――――――――――
同時刻、神根島
ここでは、一足早く一つの戦いに決着が着こうとしていた。
「近付くな!!こいつはルルーシュだ!!君や日本人を、それにライまで利用した男だ」
そう言いながらスザクは、ルルーシュを片手で地面に押さえつけたまま、自身の後ろから彼を
助けようとしたカレンに対して、振り向く事無くもう片方の手に持った銃を向けた。
その事実に、カレンは体を硬直させた。銃を向けられた事実にでは無く、
ルルーシュが自分とライを騙し続けていたという事実が、彼女の行動を阻害したのだ。だが、
「利用?ライを?」
スザクの最後の台詞を聞いたルルーシュはそう言うと――馬鹿め――と言わんばかりの表情で軽く笑った。
「何が可笑しい!?」
「アイツを利用しただと?違うな、間違っているぞスザク!アイツは、ゼロである俺を唯一受け入れてくれた男だ!!」
「なっ!?」
「えっ!?」
その言葉にスザクの両目が大きく見開かれる。それはカレンも同じ事。
しかし、その言葉は彼女にとって更に理解出来ないものだった。
支援
――ライは知っていた?何で?どうして?
疑問が頭の中で渦を描く。その事により、ゼロを、ルルーシュを助けなければという思考は完全に停止した。
無理もない。敬愛する上司が同じ学園のクラスメート。今はその事実を受け止めるだけでも精一杯だったのだから。
「どういう事だ?彼の優しさにつけ込んだのか!!」
鬼のような形相で問い詰めるスザクに対して、しかし、ルルーシュはそんな彼の言葉をあざ笑いながら
「似てるんだよ、俺とあいつは」
短くそう答えた後、
「だが残念だ。出来る事ならスザク。お前も一緒に来て欲しかった。俺とお前とライ。
3人が力を合わせれば出来ない事なんて――」
「甘えるなっ!!」
ルルーシュを押さえつけていたスザクの腕により一層力が籠る。その圧迫感から、
ルルーシュは短く呻き声を上げたが、すぐに憎々しげに声を発する。
「この分からず屋がぁ!カレン!撃て!スザクを!!」
「カレン!!まだこんな男を信じるのか!」
以前のゼロからの命令ならば、カレンは迷う事無く撃っただろう。
しかし、彼女はすでに真実を知ってしまった。――ゼロはルルーシュだった――と。
知ったばかりのその事実を冷静に受け止めて、尚かつ受け入れる。そんな余裕は今の彼女には無かった。
それに、ライもゼロの正体を知っていたという更なる事実が、彼女から考えるという事を完全に奪い去っていた。
――嫌、何が何だか分からない。
そして、彼女はその場から…………逃げるように走り去った。震える体を必死に押さえて。もう限界だったのだ。
背中から走り去る足音と小さくなっていくカレンの気配を感じたスザクは、全ての意識を目の前にいる男、
自分を睨みつけている嘗ての友に向けると
「君を終わらせる」
冷めた表情で短く告げると、持っていた銃を床に落としルルーシュの鳩尾に強烈な一撃を加えた。
「かはっ!!」
短く苦悶の声を上げたルルーシュは、赤く光る左目をゆっくりと閉じながら、意識を失っていった。
―――――――――――――――――
支援
ライは顔をしかめながら必死に操縦し続けていた。そこかしこから響く警告音。
その音でコックピット内は騒然としていた。
だが、ライにとってそれは愛機の悲鳴のように聞こえ、思わず耳を塞ぎたくなる。
しかし、それは出来ない。今止める事は出来なかったのだ。
「済まない、月下」
短く詫びると、レーダーに目線を落とす。飛び込んで来たのは藤堂達の状況。
先程まで善戦していた彼らの機体は今は活動を止めていた。
LOSTはしていない事から、考えられるのはエナジー切れ。そして、機体のすぐ両脇には
彼らの機体を取り押さえるようにして立つ敵の反応。
先ず鹵獲されていると見て間違いなかった。だが、だとしたら尚の事、彼らは無事だろう。
ライは一先ず安堵の息を零した。
――その場で処刑は先ず無い。藤堂さん達と対峙していたのがあのギルフォードなら。
妙な話だが、ライは敵の指揮官に一定の信を置いていた。武力・胆勇・高潔・忠誠・慈悲・信義・礼節・崇高。
およそ騎士道と言われるそれを身に宿す男。コーネリアの騎士、ギルバート・G・P・ギルフォード。
彼ならば動かなくなった相手を殺すような事はしない。
ライはフッと微笑んだ後、後方より自らを破壊しようと追い掛けてくる敵集団に向けて意識を集中させる。
――少し離し過ぎたか。
そう思うと月下を少し減速させた。それに気付いた敵集団は、ここぞとばかりに迫るが、
ライの月下はそれをあざ笑うかのように急加速して突き放す。
まるで捕まえてみろとでも言わんばかりの態度。彼らはその態度に怒りライフルを乱射して追い縋る。
――そうだ、もっと追って来い!
ライは心の内でそう願いながら、倒壊した建物の間をまるで縫うように逃げ続けた。
―――――――――――――――――
『卜部さん!!戦闘隊長が!!』
率いていた隊員の声に誘われるように卜部がレーダーを見やると、敵の真っただ中に一機の味方信号が。
それには「Rai」と表示されていた。
壊れてなどいなかった。全ては自分をそう仕向ける為。ライの意図に気付いた卜部は、
「あいつ!!……」
支援
悔しそうに叫び奥歯を噛み締めた後、再び周りの状況を見やる。
すると、ライは16機近いナイトメアに追われながらも逃げていたのが分かった。
その事からも、この期に及んでまだ一人でも多くの仲間を救おうと、敵の意識を自分に向けさせている事が
見てとれた卜部は驚嘆の声を上げた。
「囮になっているのか!!」
そのお陰か、後詰めの為に控えていた神楽耶達は既に戦域を離脱する事に成功しており、レーダーの端に僅かに映るのみ。
『前方に味方部隊!!!』
その言葉に慌てて前を見た卜部の目に、数十人の仲間の姿が映った。ライが合流させると言ったその言葉通りに、彼らはそこに居た。
「流石だ……」
卜部はそう呟いた後、
――捕まっても良い。生き延びてくれ。彼らと紅月の為にも。
そう願いながら、今なお戦い続ける彼を救えない自らを憎みながら戦域を離脱した。
―――――――――――――――――
敵側で最初に異変に気付いたのはギルフォードだった。自分達が藤堂と対峙している間に、
両翼から後方部隊を責めれば、一気に落とせたものを。
その両翼に布陣した部隊は、何故か後方では無く明後日の方向に進んでいたのだ。その事を不審に思った彼は、
報告を求める為に回線を開いた。
「私はギルバート・G・P・ギルフォード。各部隊状況を知らせよ。何故包囲を解いた!?」
暫しの沈黙の後、荒い息使いと共に部隊の一人が返答した。
『奴です、あの蒼いナイトメアが……双璧の一翼を追いつめました。これより破壊します』
その言葉を聞いて、彼はレーダーを凝視した。そこには1機のナイトメアが、まるで味方を引き連れるように映っていた。
その事から、直に敵パイロットの意図を見抜いた彼は思わず心の内で賞賛した。
彼の目から見ても、また騎士道精神から見ても、――仲間を、あるいは部下を護る為に自らを囮とする行為――
それは紛れも無く騎士と呼べる行いだった。
だが、そこで一つの興味が湧いた。ゼロに忠誠を誓う双璧、その一翼。
何故あのような者に使えるのか理解出来なかった彼は、
支援
「了解した。しかしそいつは並の相手では無い。無理に戦わずエナジー切れを誘え。その後は捕らえよ。
我々もこれより援護に向かう」
『Yes, My Lord』
そう言うと部下からの返答を聞いたギルフォードは通信を切った。命じたのは破壊では無く捕獲。
そう、彼はほんの少し興味が湧いたのだ。
その言葉は、直ぐ側で両腕を背中に回され憮然とした態度でいた藤堂達にも聞こえ、彼らは皆が皆
信じられないと言った表情を浮かべた。たった一機で、まだ粘り続けていたのかと。
―――――――――――――――――
「ライフル残弾なし。エナジーも少ない。輻射波動は……使えないな。もって後5分と言った所か……」
ライはそう呟くと、なおも後方より追い縋る部隊に目をやった。が、先程とは打って変わって、一向に攻めて来ず、
淡々とした様子でライを追うだけだった。
だが、それを見たライは瞬時にそれまでの破壊では無く捕獲に命令が変わった事を理解した。
その事に対して、恐らくそう命じたであろう人物を思い浮かべると
「感謝するべきかな?」
そう言うとほんの少し笑った。そう、全ては計算の上での事。今の自分の行動は、彼からは騎士の様に見えるはず。
それに自分の実力も知っている。破壊しようとすれば部下に要らぬ犠牲が出る事も彼なら控えようとするだろう。
ならばこそ、ギルフォードならそう命じるだろうと読んでいたのだ。
「だけど、僕は清廉潔白な騎士なんかじゃ無い。血潮に塗れ狂気を纏い、仲間を騙した只の嘘吐きだ」
その言葉と共に、ライは操縦桿から手を離す。ゆっくりとした動きで速度を落としていく月下。そうしてついには停止した。
その動きを見た敵は、ついにその時が来たと思っただろう。ライはモニターにそっと手を触れながら愛おしげに呟く。
叫び声はいつの間にか止んでいた。
「すまない。無茶をさせた。」
その時脳裏を過ったのは、いつか聞いたラクシャータの声。――敵に渡しちゃ駄目よ?――彼女にとっては、
自分の子供が鹵獲されて、弄られる事など許されないのだろう。しかし、それはライにとっても同じ事。
ならば取りうる手段は一つ。
「大丈夫だ、僕も逝くから」
ライのギアスは暴走している。皆の側にいれば傷つけるだけ。今の彼にとって、それだけは絶対に許されない事だった。
支援
そうしてライは、出撃前に機体に装着させた流体サクラダイト、その起爆スイッチに手をかける。
包囲していた敵部隊がここぞとばかりに殺到する。その動きからは警戒した様子は感じられなかった。
完全にエナジー切れだと思ったのか。或は、自分がいの一番に捕獲する事で功績を上げようと思ったのか。
「そうだ、来い。もっと近付いて来い」
そう呟いて今までの彼からは、凡そ似合わない邪悪な笑みを浮かべると、ライは暴走し赤く輝くギアスの紋章を宿した両目を
ゆっくりと閉じて、
――連れて逝く。この呪われた力も一緒に。
そう心の中で呟くと…………スイッチを押した。
―――――――――――――――――
卜部が無事に戦域を離脱した時、後方から轟音が轟いた
振り返ると、火柱が上っている。
慌ててレーダーを見た卜部の目に飛び込んできたのは、
先程まで反応のあったライの月下。そこにはLOSTと表示されていた。それを中心に円を描くように居た敵の
ナイトメアまでも、次々とLOSTしていった。
――自爆――嫌な言葉が卜部の脳裏を過った。そして思う。
――あれ程の爆発が起こせるとしたら、サクラダイトか。
「馬鹿、野郎がっ!!」
苦々しげに吐き捨てると、握り込んだ拳をモニターに映るLOSTの文字に叩き付けた。何度も何度も。
そうして、卜部は暫く見続けた後、心の中で炎の中に消えたライに敬礼を送ると、レーダーに目をやり
指示を出しすと移動を開始した。遥か前方の海岸線に佇む一機のナイトメアの元に。
―――――――――――――――――
神根島より戻ったカレンは、紅蓮から降りると膝を抱えて一人、海岸線に佇みながら考え込んでいた。
目に映るのは漆黒の海。
――ライはゼロの正体がルルーシュだと知っていた。
やがて東の空が明るんで、海が薄らと蒼い色を帯びる。それを見たカレンは、
「会いたい……ライに。会って聞かないと……」
誰に聞かせるでもなく、ポツリと自身の想いを口にした。
「紅月!こっちだ!」
支援
突然後ろから声を掛けられ、力なく振り向いたカレンが見たのは、手を振る卜部と彼に従う騎士団の面々。
彼女は立ち上がると皆の居る場所にゆっくりと歩み寄る。だが、その足取りは重く、
卜部は近づいて来た彼女の姿を見て、思わず息を飲んだ。それはいつもの彼女の姿ではなかった。
顔色は生気を失ったかのように青白く、泣いていたのか瞼は薄らと腫れていた。
「一体……何があった?ゼロはどうした?」
しかし、カレンは何も答えない。ただ、誰かを必死に探すかのように、周囲を見やるのみ。
その様子を見た卜部はすぐに理解した。彼を捜しているのだと。だが、今はまだ言えない。
言えば目の前の少女は壊れてしまいそうなほど、危うい存在に見えたから。
「この区域にも直に追手が来る。一先ず脱出――」
「卜部さん。これで全員?」
カレンは卜部の言葉を遮ると、後ろに佇む皆を見て尋ねる。なんと少ない事だろう。
かつて、あれほどの数の仲間が居たというのに。力なく頭を垂れる者。空を見上げ、遥か虚空を見つめる者。
みな一様に疲れ果てているようだった。だが、そこで気付いた。見慣れた灰銀の色が無い事に。嫌な予感がし、
鼓動が早まるのが分かった。が、カレンはそれを必死で押し殺して尋ねる。
「彼は、ライは……何処?」
「彼は――」
そこで卜部は言い淀んだ。
――今の紅月に誰が言える?彼が死んだなどと。それに俺自身、彼の死を直接確認した訳じゃない。
LOSTしただけで、無事に脱出している可能性も否定できん。
卜部は必死に前向きな考えを抱こうとする。が、本当は薄々感じていた。あの爆発の中、
生きていられる人間など居る筈も無い事を。
――あの時、あいつの言葉を押し切ってでも助けに行くべきだった。
だが、それは出来なかった。何故ならば、彼はほんの一瞬恐れたのだから。
その結果、自分よりも遙かに若く日本を背負うべき男が死んだ。卜部は、――自分は死ぬ覚悟も度量もある――と
思っていた。その筈だったのに動けなかったのだ。悔しさと不甲斐なさが卜部の体を駆け巡り、
彼はそれに耐えるかのように眉間に皺を寄せながら固く瞳を閉じる。
だが、感傷に浸っている暇はない。問われた以上は何かしらの言葉を彼女に伝えなければならなかった。
そう思うと、軽く息を吐いた後、両目を開けると努めて冷静に言葉を紡ぐ。
支援
支援
「彼は、撤退する部隊を守るために、自ら囮役を引き受けた」
――今この事実を知れば、彼女は耐えられるだろうか?
「その際に、サクラダイトを乗せた月下で、敵もろとも……」
卜部は、穏便に、出来る事なら希望を持たせるような言葉を彼女に伝えようとした。
だが、彼は知らなかった。それは彼女にとって死を告げる言葉と同義だという事を。
「今は、生死不明だ」
生死不明。兄の時と同じ言葉。カレンは自分の中の世界が音を立てて壊れていくのを、確かに感じた。
―――――――――――――――――
黒の騎士団とそれに呼応した人々による日本解放の為の武力蜂起。
後にブラックリベリオンと呼ばれる戦いより三日後……。
〜神聖ブリタニア帝国、謁見の間〜
ここでもまた、一人の男の人生が終わろうとしていた。
「やめろぉっ!!また俺から奪う気か!!母さんやナナリー、そしてライの事まで!!」
左目を塞がれたルルーシュは、その端正な顔に憎しみの表情を貼り付けて叫ぶ。
そのルルーシュを見下ろすように立つ男の両目には、赤い鳥の紋章が浮かんでいた。
その男の名は、神聖ブリタニア帝国第98代皇帝、シャルル・ジ・ブリタニア。
ルルーシュの父親でもある男。
「うわああああああ!!」
ガラスが砕けるような音がルルーシュ頭の中に響き、彼の世界もまた壊れていく。
最後の記憶が頭の中で音を立てて崩れると、彼は意識を失った。
「枢よ。そ奴を連れて行くがよい」
ルルーシュを押さえつけながら跪き、頭を垂れていたかつての親友、枢スザクはその言葉を拝聴した後
「Yes, Your Majesty」
そう短く答えると、かつての友の肩を担ごうと手を伸ばす。すると、不意に背後にある扉が開き、
何者かが入ってきた。驚いたスザクは慌てて振り返るが、その者の姿は見えども顔は逆光で伺い知る事は出来なかった。
その者はスザクからの警戒の念を一身に受けながらも、悠々とした足取りでこちらに近づいて来る。
その姿に、スザクの中で警鐘が鳴る。――危険だ、逃げろ――と。
しかし、スザクはそんな自身の内なる警告と必死に戦いながら、何とか皇帝を護ろうと前に立ち塞がる。
支援
「陛下、お下がり下さい!!」
だが、そんなスザクを余所に、皇帝は突然の来訪者であるにも関わらず、全く動じる様子無く言い放った。
「構わぬ……して、何用か?」
皇帝にそう問われた者は、その問い掛けと共に纏っていた気配を消した。
が、御前であるにも拘わらず一切の答礼をする事無く、意識を失い床に俯せになっているルルーシュの側まで歩み寄る。
その時になって、スザクはようやくその者の顔が見て取れた。が、その顔を見たスザクは思わず息を飲み、体を震わせた。
――どうして、ここに?
そんなスザクの背中に浮かんだ動揺を感じ取ったのか、皇帝はほんの僅かに口元を歪ませた。
だが、その者はそんな二人の様子をまるで気付いていないかのように無視すると、
片膝を付き意識を失ったルルーシュの髪を掴み、顔を引き上げると酷く高揚の無い声を発した。
「この男がゼロか」
そう言って暫しの間じっくりと観察するかの様に覗き込んだ後
「若いな、しかしこの歳で我らに反逆するとはな」
さも愉快だとでも言わんばかりの口調で独り言のように呟いた。その者は一通り笑った後、
ルルーシュの髪を静かに放し、ゆっくりと立ち上がると、尊大な口調で
「ゼロなる者が如何ほどの男か、少し興味が湧いたのだ」
その時になり、その者は初めて皇帝の眼を見据えて答えた。
だが、そこには一片の敬愛の念も感じられなかった。寧ろ不敬意外の何物でも無いような鋭さを秘めた蒼い瞳。
しかし、皇帝はそれを咎める事無く、寧ろ愉快そうな笑みを浮かべるのみ。
その姿を見て、スザクは震えるような声で呟くようにその男の名を呼んだ。かつての友の名を。
「ラ…イ…?」
次の瞬間、スザクの言葉を聞いた男は、驚いたようでその蒼い瞳をほんの少し開かせたが、
直ぐにスッと眼を細めると問い掛けた。しかし、それは最早スザクが幾度となく聞いた彼の声ではなかった。
優しさも憂いも無い凍てついた声。自分に向けられた明確な敵意を含んだ声。
「誰だ?貴様は」
世界の歯車は動き始めた。ゆっくりと、しかし……確実に。
その先にあるのは幸せな世界か。それとも更なる絶望か。答えを知る者は、まだ誰も居ない。
支援
切れ端のようで、良いとこ取り?のような次回予告?のようなもの
「君は僕に協力する義務があるんだよ?」
「何を今更……」
――助けて。
「お前はV.V.と行動を共にせよ」
「私に子守りをしろと?」
――私が……壊れる……よ。
「ほら、彼に挨拶して」
「よろしく……お願いします」
――この眼……暗殺者か。
――ライ……。
以上で投下終了です。色々無茶しました。
ユフィに撃たれたら最後に登場させるのが無理になるので、(どんな回復力ですか?と突っ込まれそうでしたので)
中編は無理矢理頭痛ネタで逃げました。最後が書きたかったんです。自己満足ですいません。
この戦いも、いつものライなら上手く逃げ切りそうだったので、無理矢理ギアス暴走させました。
そうすれば、昔の暴走を思い出しているライのトラウマになって、逃げないのでは?との自己解釈です。
両目にしたのは自分の趣味と、本編の影響です。両目ギアスのライって格好良さそうだと思ったので。
他の有名な職人さんはラウンズルートや騎士団ルートでしたので、自分は皇帝・嚮団ルートで進めてみたいと
思います。お一人、似たような道を進みそうですが。あの方は特区成立後なので、被る事は無いと思いたい。
後は、まあ単にナイトメア戦を表現するのが苦手な事と、あの紅蓮と肩を並べられるナイトメアを思いつかなかったのが最大の理由です。
何とか本編のトンデモ展開に沿えるように作りたいです。もう少し下ごしらえをすれば、R2に突入出来る……と思います。
何それ?と突っ込まれかねん話も出てきます。
感想、批判なんでもいいので、頂けると有り難いです。
最後に、こんな真夜中に支援して下さった皆様、ありがとうございました。
支援
もう寝るんで感想は明日。支援
乙です。
脱字を見つけたので報告
×「枢よ。そ奴を連れて行くがよい」
ルルーシュを押さえつけながら跪き、頭を垂れていたかつての親友、枢スザクはその言葉を拝聴した後
○「枢木よ。そ奴を連れて行くがよい」
ルルーシュを押さえつけながら跪き、頭を垂れていたかつての親友、枢木スザクはその言葉を拝聴した後・・・
>>236 とりあえず自爆したはずなのに何故か無傷でブリタニア本国にいる事や
暴走状態のギアスは伏線?と突っ込んでみる
>>236 夜中に覗きに来てみてよかった…!
と思える読みごたえある一編をありがとうございました。
面白かった!
ラスト、ライの現れるシーンはその冷たさにドキリと。
鮮烈でした。
ごちそうさまです。
続きを読める日を楽しみに。お待ちしています。
>>239 あうぅ・・・すいません。その通りですorz
>>240 はい。それは次回のお話で。その為に3日の期間を空けてスザクがルルーシュを
連れて来たという設定にしてますので。
ライカレ厨卿、乙であります!
支援!!
そして、ぜひこのままシリーズ化を!!
しかし、結納時の明るく緩かった空気が逆に痛い、そして泣ける。
最初に言っておく、泣けるでぇ
>>236 ライカレ厨卿、GJでした!
重くて暗く、読んでいて冷めた興奮がかんじられました
……というかボロ泣きです
この先がどうなって行くのか、非常に楽しみでありました
次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
>>236 面白かったです。最初の雰囲気が一転してこうなるとは・・・続きが非常に気になりますね
誤字報告
確か、ギルフォード・G・P・ギルバートだったはず
高揚のない声→抑揚のない声
>>246 指摘するのなら、ちゃんと確認してからにしようぜ
>>248 まあまあ…
あのちょっといいかな?今日の9時からの議論なんだけど、このままトーマス卿が
来なかったらどうする?不在のままで決行?
>>247 >>248 全くもって申し訳ない。
以前見た誤字をそのまま覚えてたようだ。
ライカレ厨卿も、申し訳ありません
トーマス卿は今規制されてんのかなあ?
ああ確かに……。
その可能性も否定できない。
ライカレ厨卿、GJです。
すこし遅いですが感想を。
ライが自爆する様子と、最後登場したときの皇帝に対する態度。
本当に読みやすく、長編と思わせないほど自分には短く思えました。
自分ももっと頑張らねばと、やる気も出てきました。
次回の投下心待ちにしています。
>>195 保管庫でこのシリーズを最初から読むことをお勧めしますよ。
こういう展開となってる経緯とかが理解できると思うよ。
その上で「やっぱり俺にはだめだ」とか感じるのならばスルーしか手はないかと。
かく言う俺も「ここら辺の設定はギアスっぽくないんじゃね?」と感じる部分とかなくはないですけどね。
>>236 乙です。
どシリアスな長編が増えてきてうれしい限りw
ちょっと気になったのが、死んだはずなのに時を置かずしてなぜか皇帝の下にライらしき人物がいるってパターンが増えてますねぇ。
そのあたり含めて明かされる日をお待ちしております。
っさて、今日の放送でどんなSS(妄想)が生まれるかな?
今日含めて後4話だっけ?
15:00頃から投下してもいいですか?
支援は必要ですか?
前書きと終了宣言含めて9レスほどなのでお願いします。
Ich Breche Zusammen の実質七話目。
第二部? 「Invasionskrieg」辺スタート
特区(ユフィ)IF
カップリングは存在しません。
ディートハルトばっか。
特派出演。
短め?
ライでません。
居ないと思いますがほのぼのとか期待される方はスルー。
これと終了宣言込みで9レスほどになる予定。
支援
特区での戦いは終結した。
少なくとも式典会場での戦いは。
殆どの人間が死んだ。
ゼロは傷を負い、ライは行方不明。
ゼロの負傷はもちろん、
零番隊隊長としてゼロを支える紅月カレンと並び称される
戦闘隊長のライが居なくなったことは騎士団に少なからぬ衝撃を与えていた。
救えなかった。
民も、仲間も。
彼らは悔やんだ。
されど、今は後ろを振り向くときではない。
彼らは進む。
未来を手に入れるため。平和を手に入れるため。
日本を取り返すために。
Ich Breche Zusammen 第二部
Invasionskrieg 第一話 「 道 行 ── ゆくて ── 」
「皆さん、これより戦闘隊長から預かった作戦のブリーフィングを開始します。」
黒の騎士団が人種を問わない性質の物であるとはいえ、
明らかに多数派ではないブリタニア人でありながら、その能力の高さを買われて
情報系統担当の幹部となった男、ディートハルト=リートは言った。
ここは全速で移動中のG1の中に存在する会議室のひとつである。
「手元にある資料を見ていただいたかと思います。これは先ほど急いで作成したものであり、
いささか分かりづらいかもしれませんが、狙いはシンプル。
政庁を落とすことです。それは即ちコーネリアを倒すということに他なりません。」
ディートハルトの言葉に、紅月カレン、藤堂鏡志朗、扇要ら騎士団幹部はうなずく。
この場にゼロとC.C.は居なかったが、少なくともゼロの部屋にも資料は届けてある。
説明しなくとも、彼ならばそれを見ただけで理解できるはずだ、とディートハルトは確信を持っている。
自分とて一度の説明で理解し、藤堂たちですら資料を活用すれば中身を解することができたのだから。
支援
「概要ですが、紅月隊長、つまり紅蓮弐式はヤマナシ基地へ、四聖剣のうち二人はカナガワ、もう二人はトウキョウ租界の攻略、
それぞれ中隊規模の軍を率いていただき、トウキョウに関しては、藤堂将軍も攻略に参加していただきます。
他の基地からの増援に関しては、各地のレジスタンスに意図的に会場の情報を流し、
怒りを煽ることによって奮起させ、一瞬であったとしても敵軍を足止めさせます。」
つまり、囮だ。日本人たちは顔をしかめる。
ゼロとてここまで明らかに騎士団を捨て駒扱いをしなかった。
いや、或いは言葉をつくろい、事前に言わず、事後に悟らせなかっただけなのかもしれないが。
少なくとも彼が善意でそうしたわけではないのは確かだろう。
目的を果たすために気づかせない。障害をわざわざ作る意味もない。
「レジスタンスには熟達指揮者が多くない。恐らく長くは持たないでしょう。
各地から増援が来れば、我々は挟撃され、あえなく敗北することになる。
ゆえに我らには速度が求められます。
我々のトウキョウ租界侵攻時には内通者が工作を行い、敵戦力を減少させます。
そこを一気に攻め立てる。策はほかにも存在しますが、
実働部隊の働きはおおまかに言ってこれだけです。」
少なくとも、あなた方の仕事は。
支援
──枢木スザクは、アヴァロン内に与えられていた自室に戻る事無く、
メディカルルームに泊り込んでいた。
ユーフェミアに関しては、脳波にも異常は無く、大した外傷も存在しないという事で
ひとまず安心して良いという報せがすぐに入ったが、ライはそうもいかなかったからだ。
それにユーフェミアは気分が落ち着くまで面会謝絶ということだった。
恐らくそれは建前で、二度と表舞台に立つことなど無いだろうことは、スザクにもわかった。
ライは、治療を施すにしても黒の騎士団の制服のままでは流石に不味かったので、
それは破り捨て、自らの軍服を羽織らせ即座に医者のもとへ運び込んだ。
明らかに軍規違反だったが、スザクは構わなかった。
そんなことを考えている暇は無かった。
あのままあそこに放置して助かる見込みなどなきに等しい。
スザクとて軍属の端くれ、その程度の事は即座に思いつく。
けれど、彼は騎士団に連絡する術も持たず、更にはアヴァロン以上に
まともな医療が受けられる場所が直ぐに見つかるとは思えなかった。
「おや、枢木少佐。」
シュン。と扉が開いて、手術室からドクターらしき人物が出てきた。
スザクは顔を上げて彼を見る。
支援
支援
「彼は、ライの容態はどうですか!?」
「彼、ライ君って言うのか?彼は異常だよ。新しい細胞ができる速度が普通よりはやい。
それに薬物を投与したような跡もある。それ以外にも色々体をいじられているようだ。一体何処で拾ってきたんだ?」
「いえ・・・彼の出自は自分も。それで、容態は?」
「脳に少しばかり障害が残るかもしれんが、
一命は取りとめた。傷口も常人の倍ほど速いスピードで再生を始めている。
こちらから促進してやれば、もっと早く
ふさがるだろう。ただ、意識は暫く戻りそうも無い。血を流しすぎた。あれだけ流れてたら、
生きてるだけで御の字のだよ。ま、その代償だろうな。」
「そう・・・ですか。」
ほう、と息をつく。死ななかった。彼は生きている。
仲の良い友人なんです、とスザクが言うと、よかったな、君も休みなさい、ずっとそこに居たんだろう?
と言ってそのドクターは出て行った。
名誉ブリタニア人にも差別意識の無い人物だったらしい。
恐らく、名誉である自分の頼みに全力を尽くして応えてくれたのだろう男に、
スザクは暫く頭を下げ続けた。
ありがとうございます、と最大限の感謝をこめて。
支援
支援
sien
ディートハルトは実働部隊を効果的に動かすための仕込みに忙しかった。
だからその通信についイラついても仕方なかった、と彼自身は思っている。
『ディートハルト、メインコンピュータの掌握は?』
「完了済みです。今現在私の部下とラクシャータ、それにその部下が作戦条件を整えているところです。」
『よし、引き続き作業を急がせてくれ』
「了解しました」
藤堂の写った画面が消え、通信が終わる。ディートハルトはふぅ、とため息をついた。
急がせる、と言ったところでどうしろというのか。
軍事畑出身の彼になら少しは暗号化された通信のパターン解析や、
そもそもの情報操作の難しさはよくよく把握しているはずだ。
その準備が些細な綻びで台無しになることも。
今回の作戦とて恐らく前々から存在したものではない。
現状を分析した結果戦闘隊長のライがその場で考え出したものだろう。
それ自体には問題は無い。策は前もって考えるだけのものではない。
実際にその場に臨み、そこにある物を材料として最大限味方に有利になるように利用する。
それは戦略の初歩だ。戦場において、机上から眺めるだけの策など無用。
実際を知らずに理にはたどり着けない。そう、そのことは問題ないのだ。
問題は、その策を実行するに当たって微調整していく人間が存在しないことだ。
彼の計画を理解する。それを為す頭脳だけなら、ディートハルトはもちろん、
ラクシャータや藤堂とて持っている。
それに藤堂はほかの二人と違い、軍事的な価値観、戦略眼など、研究者やメディア人種には無い知識もあり、
その上一般軍人に比べて明らかに鋭い感性を持っている。
それでも、だ。
かつて奇跡と呼ばれた藤堂であろうと、ゼロの如き采配を振るう非情さも、
ゼロの如き深謀を企てることは出来ない。
それは騎士団において明らかな事実であった。何者にも否定できない現実。
そのゼロが頼ったのだ。
今思えば、そもそも、戦闘隊長として任務を任されるライには、
ほかの団員には無い行動の自由が与えられていた。
目的を与えられ、ブリーフィング後には確かに行動は決まっている。
たいていはゼロが示したとおりに決まる。
しかしライは時に口を挟み、自ら最上を提案し、
自らの役割を求められれば的確に答えてみせ、確実に任務を遂行していた。
ゼロと同じとはいわずとも、近いところで世界を見る目があったはずだ。
けれど居ない。ゼロは撃たれ、意識を無くして治療を受け、ライ自身は行方が知れない。
誰もこの問題に気づいていない。高度な作戦の些細なほころびは、その小ささゆえに気づかれないかもしれない。
気づいたとしても、その対応を誤れば、それは明らかに作戦を壊す。目的を違わせ、行動を揺るがしかねない。
それを正せるのは、少なくとも最も高い確率で最善の答にたどり着くのはゼロとライの二人なのだ。
しかし、とディートハルトは首を振った。
「所詮、無いものねだりでしかない、という事か。」
彼の呟きを聞き届けたのは、一心不乱に作業を続けるラクシャータ達の後姿だけだった。
支援
次で投下終了?
以上です。
場面転換が激しくてすみません。
書き出しに悩んで以前書いた文と混ぜたりくっ付けたりしたのでグダグダorz
トーマス卿。帰ってこられましたら、序章の次にある一つ目の一話(0017-0166)を
表示だけIch〜mmen 第一部 ESturz 第一話〜
という風にしてもらえるとありがたいです。
本文の方はそのままで。
ともあれ?
皆様支援ありがとうございました。では。
序章が0017-0166じゃないの?
>>277 ですね。
保管庫では序章が0017-0166、第1話が0017-0329となっていますね。
あと40分をきったね
今日はどんな超展開が待っているんだろう・・・
びくびくしながら続きを書いてます
皆様お久しぶりです。長い間音信不通の状態が続いて申し訳ありませんでした。
ただいまより、滞っていた分の更新作業を開始致します。
トーマス卿、おかえりなさい!
お〜か〜え〜り〜な〜さ〜い〜!
しんぱいしてました〜
2スレも投下してなかったわたしが言えるこっちゃないかもですがw
うん。よかった! おかえりなさいです
帰って来られた…よかった本当に…!これで今日の本編を思いっきり楽しめますよ!
ただ、もし良かったらでいいんですが、一体なにがあったのか聞かせて貰えないでしょうか?
管理人さんを責めるということではなく、みんな心配してたので気になってると思うんです。もちろんわたしもその一人です。
そこまでプライベートに突っ込むのはどうかと…
よかった! よかったですよ! おかえりなさい(大泣)
これで心置きなく日課の投下が行えます。(あ、投下は大分後になります……)
色々あったので、本当に心配してました!
しかし、トーマス卿のいないこのスレがこんなに不安になるものだとは改めて気付かされました。
とにかく、よかった! おかえりなさい!
>>284 5日の夜から病院で過ごしてました。詳細は(もし需要があるのでしたらですが)また後ほど、業務連絡と共にお答え致します。
>>287 あ、なるほどー。それじゃ確かにネットは出来ませんね。
……って、病院!?い、いや、こうして話せているのなら大事ではないとは思うのですが…
無理はしないでくださいね?この2日間不安で不安で…
看板を門前に出せば医者と名乗れた時代
片腕のトーマス卿が運ばれたのは外科医のオレンジの所であった
斬り跡を熱による血管の凝固
後に縫合する場合、骨を切り詰める必要があった
麻酔無き時代の話である
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ…
みたいな妄想をしていましたが、トーマス卿が無事で良かった良かった!
なにこの超展開。死んだ・・・。また死んだ・・・
4と12がテンさん以上の噛ませ犬。どんな機体かすらろくに確認できんかったぞorz
もう色んな意味で超展開過ぎるだろ・・・
これもあと3,4話で終わらせるための(ry
4と12がテンさん以上の噛ませ犬。どんな機体かすらろくに確認できんかったぞorz
何だこれ…なあ、何でカレンはキスしたの?
誰か教えてくれよ……orz
今回になってもノネット姉さんは登場せず
やだよ・・・姉さんが噛ませ犬ってのは・・・orz
>>294 自分の思いにケリをつけるためのキス。ライがいない世界だから、ルルーシュを好きになってたわけですよ、カレンは。
ライがいたら…あとはわかるな?
そしてこの酷い噛ませ犬の中でノネットさん生存
このまま出なくてもいい、死なないでくれ…
>>294 オレは決別のチューだとオモッテイルヨ・・・・
また今回のハイパー超展開で職人さんのアイデアがパーになっちゃったりしてるんだろう
まあ浮かんでる人もいるだろうけど
スザクの位置をライにしたssが何個も投下される予感
でもその代わり咲世子さん生存か
もしかして醤油魔人生きてるのか…?
てかギアスほんと変わったよな
なんだあの要塞ってのは・・・天空の城じゃねえか・・・
今週のギアスを見ていない僕はどうすれば…完結するまで見ない方が良いのか?
>>302 BIGLOBEがあるじゃないか
予告はたっぷり30秒verだ!
つまるつまらないを通り越して
わけがわからねーぜ!
みんなのレスをみていたらイデオン的展開なのは解った
書きかけのSSを完成させてから見ることにしよう
一期のギアス
ギアス以外は特にぶっ飛んだことも無いアニメ
二期(R2)のギアス
ラ○ュタ登場 爆弾の犠牲者生存
さすがWAWAWA監督
シュナ兄が皇帝と認めるのはライだと言う展開が浮かんだ
そうきますか
もうわけわからん。
ラウンズのかませ犬っぷりも、カレンのキスも、ラピュ○も、シュナイゼルも、ナナリーも
唯一の救いはリヴァルと玉城だけって…どんな作品だよ、ホント…
ライカレが今回でどう影響するのか気になるな
今までの未遂はルルーシュが悪いみたいな展開を書く人居たけど今回は・・・
職人さんは本編が終わったら投下しようと思ってたssを1から練り直してる途中です
職人の皆様に全力で次の言葉を贈りたい。
「あっちはあっち、こっちはこっち」
>>313 全力で同意!
ロスカラこそが公式である
と、自己催眠をかけてみる
・・・・・・・・・・・・催眠にかかりましたw
しかし正にいいニュースと悪いニュースだな
いいニュースはトーマス卿復活とナナリー生存
悪いニュースは言わずもがな
モニカとか結局どんなキャラかわからず死んじゃったラウンズのキャラは好き勝手やっていい、と前向きにとらえた俺
ドロテア(だっけ?)はあの登場期間から速攻逝くだろうとは思ってたけど
まさかモニカまでとはな・・・
これはロスカラで補完しろと言うスタッフの心遣いか
>>276 水守卿、GJでした!
……重い、故に面白い
ライが、騎士団が、どうなって行くのか大変気になりました
次の投下を全力を挙げて待っています!
そして、おかえりなさいました、トーマス卿
心配のあまり、夜も爆睡しておりましたよ
お身体に気を付けて頑張っていただけますか
もうラウンズもカレンもいい…
ただただ続編でライCみたい…
そういえば少し前にロスカラスタッフが続編出したいって言ったって噂ほんとかな?
公式の超・鬱展開は、逆にロスカラ2制作への布石だと最近マジで思うようになってきた。
何事もポジティブ・シンキングだよね!
>>320 その話は聞いた事あるよ
さて、構想考えるか……
闇は本編、光はここに。闇が濃いほどに、光もまた際立つのですよ!
まあ冗談は置いといて、割り切るのが宜しいかと。(ライカレ厨卿や余暇卿が心配だ……)
アレは鬱なのか?
20話くらいまではそう思ってたが
今となっては随分清々しい希ガス
ライ(フラグ一級建築士)vs谷○監督(ライのフラグクラッシャー)
ライを全力で支援
そしてこのスレと職人様も全力で支援
携帯でR2見てたんだが……黒い肌のラウンズの字幕にノネットっと書いてあった…………
>>322 CCに起こされて始まる黒の騎士団ルートから始まって
1週クリアするとVVに起こされるブリタニアルートとか?
ノネットさんは無事なのだろうか…
公式HPだとシュナ派になってるけど、ラウンズはことごとく死んでるし…
どこかでこっそり死んでましたってオチは無しにしてね。
ノネットさんとライ&スザク(特派ルートベース)の話書いてるのに、モチベーションがorz
>>323 ご心配していただき、ありがとうございます。思ったより大丈夫でした。
カレンが捕まった時や、シャーリーが死んだ時よりは全然平気。
とりあえずジノとどうなるか、この先生き残るのか、焦点はそこです。
ライカレは書きますよ、リーライナさんを割り込ませるかもしれんけど。
>>323 本編準拠でラグナレクの接続まではある程度構想練れてる
後は執筆速度だけだったが、今回の話でがた落ちです
取り敢えず生きてる……
何とか頑張りますorz
微エロのキスシーン書いといて良かった……
オレ、このショックから立ち直ったらピコハンで執拗にルルーシュを叩くライを書くんだ…
そうじゃないと明日からやってられん…orz
>>307 そして皇妃はナナリーと申すか?
更に「敵です」発言まで食らったらルルがまたレッツリフレインになりそうだな。
333 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/07(日) 18:35:37 ID:0y/SFW7g
>>328 本編は別物と考えるんだっ!
自分もノネットさんが、かなり心配だが
ここまで来たらもうでないよねっ!?って感じに思ってますよっ!!
来週辺りにネリ様の近くにいたらどーしよかと心配になるが…(汗)
>>332 神楽耶に言ったように『壊す』覚悟とやらができてるんじゃないかな。
でもルルだしなwww
とりあえず神楽耶カワイソスな展開だった
ルルーシュは色々な意味で「世界の敵になっている」と思うのだが、気のせいだろうか…。
もしや、これも監督の狙いか!?
「世界(観)の前では人(キャラ)はゴミのようだ」とそのうちシュナイゼルが言いそうだな。
とにかくロスカラファン(特にライカレな人)は俺も含めしばらくは傷心を癒す必要があるな…。
というわけで今日はもう落ちます…。
ライアニャ派の俺にはまだ希望があるということか
ルルーシュ・スザク・CC・ジェレミア・ロイド・セシルさん
なんかこの6人がよかった
>>338 つまり
>>5は全てを予見していたのかな…その上でライアニャしかない、と
ライカレの人達は本編にライがいないから、カレンがルルーシュに惹かれたとは考えないのか?
>>341 わかっていても割り切れないってやつだな
俺は本命C.Cだから今回でルルC確定っぽくてそっちの方がキツい
自分はライカレ派だけど、やっぱり今回のはきつい内容だった?
あれは離別のキスだと思ったんだけど・・・
>>341 ライとルルーシュは境遇とか似てるしな。俺もそう理解してる。
だが納得できなくて困ってる…
トーマス卿も勝ち組だよな……全てを受け入れて、自分のパートナーってことにしちゃってるんだから。
俺なんてorz
>>344 あれだろ
キスいうのもあるが
カレンがルルーシュに恋愛感情だったのがキツいんじゃない?
>>341 そういう理解はしてるんだ。
ロスカラでのライとのラブラブっぷりがそれを証明してると思うし、
キスといっても離別の演出だったし。
でもやっぱ割り切れないんだよね…。
>>343 そうだよなあ。ライカレよりライC派のほうがつらいかもしれないなあ。
>>347 でもそれって、薄々気がついていたでしょ?
今更に感じたが
>>348を見ると自分はライカレに対する情熱が足りないんだろうか・・・
R2の本編で言えばカレンはルルーシュを愛してるよ
だから離れるのわかっててもキスをした
愛してるから自分がゼロを殺すと宣言したわけだ
まあロスカラは特区成立みたいに本編無視できるんだから何とかなるといえばなるな
ただシャーリーやユフィみたいにカレンもルルーシュを愛してしまったとなると
俺は非常に攻略しにくくなった
物語の唐突さによる驚きはあるけど、なんか構成として美しくないと言うか、
バタバタしちゃって、こう、なんというか、
色々惜しいなあ、本編。
ロスカラやった人間が 本編<ロスカラ になるのもむべなるかな。
カレンのキスも、なんかとってつけたような印象になっちゃったし。
離別だったら、顔近づけるけど直前で未遂、そのまま耳元で「さよなら」の方が絵になりそうだったし。
>>351 なんか前話辺りから構成が微妙になってきているような気はしている
やっぱあの話をあと3,4話で収めるってのもなかなか骨が折れる作業なのかな
流れを切るが40分ごろに投下するよ?
続けられるかはわかりませんが
支援するつもりで行きます
>>352 はっきり言って全体の進行をしくじったんだと思う。
キャラの無駄遣いとか見ても、掘り下げと切り捨ての部分を明らかに間違ってるだろ。
拡げた風呂敷を畳むのに躍起になっているのが随所に見える、ってのは言い過ぎかな?
>>351 離別の決意はしたけどそれでもルルーシュのことを愛してたってことだろ
たまらなくなってキスした
LCの方がアナザーワールドなんだからLCでの出来事に対して
カレンの行動が不自然だとかそんなことは無い
ゲームやってない人にしてみればカレンがルルーシュにキスするのもわかるだろうし
ただLC大好きでライカレ大好きな俺はこの展開どうしてくれるんだよと
今までは未遂だし雰囲気でしそうになったとかで通るが
今回はカレンからのキスだからなぁ普通にへこむ
まあキスの意味合いを本編とLCで変えれば成り立たないことも無い
本編では愛情ありきのキスだがLCでは同情心でのキスとか
そろそろロスカラスレかR2スレ池
はいはい議論はそれまで
職人さんが投下できないなw
360 :
萌は文化:2008/09/07(日) 19:41:24 ID:fDARyF0a
では時間で投下します
全部で8レスくらいです
特派温泉ルートの続き「×お土産屋巡りをする」です
カップリングはライ×ユーフェミアですが微妙です
注意点
・基本的にギャグな流れになってます
・タイトルに対してお土産屋を回ってません
・本編見て気力が下がり途中で妥協して終わらせたので終わりが酷いかも←なら止めろって
支援
支援
363 :
萌は文化:2008/09/07(日) 19:45:57 ID:fDARyF0a
×お土産屋巡りをする
普段世話になってるミレイさんや学園のみんなにお土産を買いに行こう。
早速、旅館を出発した僕だったがお土産屋を探しているとある人だかりを発見した。
「あれ? あれは…」
僕は人だかりの中心に困り顔のユフィを見つけた。
「なあ、あれユーフェミア様じゃね?」
「本当だ。ユーフェミア皇女殿下だ」
「あ、あの……私は……」
どうやらユーフェミア皇女殿下というのがバレたらしく、たくさんの人に囲まれて困っているようだ。
今はまだ無事みたいがだが下手をしたら大惨事になりかねない。
早く救出しなければ。
しかし、下手に出て行っても人混みに飲まれるだけだし……そもそもあの人混みを追い払わなきゃいけないし………そうだ!
「おーい、カレン!」
僕は別の友人の名前をよく聞こえるようにわざと大声で叫びながらユフィの元へ近いた。
「やあ、お待たせカレン」
「はい?」
事情が飲み込めず、ユフィは不思議そうに首をかしげた。
「この人だかり……また、ユーフェミア皇女殿下に間違われたのかい? もう、だから髪型変えたほうがいいって言ってるのに…」
片目をつむって合図をするとユフィは僕の思惑がわかったらしく小さく頷いた。
364 :
萌は文化:2008/09/07(日) 19:48:56 ID:fDARyF0a
「でもあなたが好きって言ってくれたし…」
僕の演技に合わせてユフィも演技をした。
「馬鹿だな、僕が好きなのはあくまで君なんだから髪型なんて気にしなくていいのに」
僕はそのままユフィの肩に手を置いて抱き寄せた。
「あ!」
「(ごめん我慢してね)」
驚いたユフィに小声で囁くとユフィはコクン、と少し恥ずかしそうに頷いた。
「さあ、行こうかカレン」
「は、はい!」
僕らはそのままユーフェミア皇女殿下ではないと思いガッカリする人達から逃げるように立ち去って行った。
「ふぅ、なんとか誤魔化せたかな?」
しばらく歩き、人が少なくなった所で僕は一息ついた。
「ありがとうライ………あ、その」
恥ずかしそうにモジモジするユフィを見て、僕は未だにユフィの肩を抱いていることに気がついた。
「あ、ご、ごめん!」
慌てて僕はユフィから手を離した。
支援
しえーん
367 :
萌は文化:2008/09/07(日) 19:53:15 ID:fDARyF0a
「い、いえ、………それより、ライもお土産探しですか?」
「うん、普段、世話になってる学園のみんなにと思ってね。ところでユフィ、スザクは?」
「はい? どうしてスザクの名前が出るのですか?」
「え?」
のほほんとしながら首をかしげるユフィ。
「いや、だってスザクはユフィの騎士だし………あ、そっか、旅行中はノネットさんが護衛って言ってたね」
「 ? ノネットさんは旅館でジェレミア卿と卓球してますが?」
「え? じゃあ、ヴィレッタ卿?」
「ヴィレッタ卿は温泉に、セシルさんは天然の温泉を探しに行きました」
淡々と説明するユフィ。
ロイドさんがユフィの護衛につくとは思えないし、まさかとは思うけど…
「ねえ、ユフィ」
「はい、何でしょう?」
のほほんと笑うユフィに僕は恐る恐る聞いた。
「もしかして1人?」
「はい、そうですよ」
さぞ当然のように素敵な微笑みを向けるユフィ。
ええと、つまり、ブリタニアの皇女様は護衛もつけずに普通に観光を楽しんでいいて、一緒に旅行に来たブリタニアの軍人の方々は遊び呆けていると。
……大丈夫なのかなブリタニア軍。
いや、僕も軍人だけどさ。
支援
369 :
萌は文化:2008/09/07(日) 19:58:57 ID:fDARyF0a
「ユフィ……よかったら一緒に行動していいかな?」
「いいんですか? ありがとう。嬉しいです」
子どものように手を叩いて喜ぶユフィ。
なんて言うか………この旅行、色々抜けてるよね。
「そうそう、旅行の方から聞きましたが、こちらに面白いお土産屋さんがあるそうですよ」
楽しそうに笑うユフィに腕を引かれ、ついた場所は何やら少し……いや、かなり怪しい雰囲気の今にも倒れそうな古臭い瓦屋根の建物だった。
例えるなら、和風のおばけ屋敷そのままって感じ。
「………ここホントにお土産屋?」
悪いけどとてもそんな風には見えない。
ユフィも隣りであらら、と苦笑いしている。
「で、でもちょっと変わってますけどきっと大丈夫ですよ。では失礼します」
そう言うとユフィは入口の戸に手を伸ばすた。
すると…
ウィンッ
「あ、自動ドアなんだここ」
見た目に反してのハイテク技術を使っているな。
とりあえず店内に入るといきなり立派な鎧武者の甲冑がガラスケースの中に展示されていた。
「うわー、すごいですね。サムライってやつですよね」
「確かに、立派だね………ん?」
よく見るとケースに値段が貼られている。
どうやらこの甲冑は売り物
370 :
萌は文化:2008/09/07(日) 20:01:24 ID:fDARyF0a
大丈夫なのかこの店?
「見てくださいライ! このお面、可愛いですよ」
不安になる僕を尻目に、ハシャぎながらユフィが持って来たのは木で作られた猫と般若のお面だった。
猫はともかく般若はかわいいのか?
「このお面、お姉様のお土産にどうでしょうか?」
それは般若の方ですか?
猫の方ですか?
どちらにしても止めた方がいいと思います。
「コーネリア様にもっとこう………別のものの方がいいんじゃないかな?」
「そうですか? かわいいのに残念です」
残念そうにお面を元の場所に戻すユフィ。
コーネリア様へのお土産はまずいと思うけど、値段は結構手頃でいいお土産だと思うな。
よし、リヴァルへのお土産はこれにしよう。
なんか注意書きに取扱い注意と書かれているがたぶん大丈夫だろ。
僕は般若と猫の隣りのキツネのお面をリヴァルのお土産にすることにした。
「あら? ねえライ、この人形、五寸釘とセットで売られてますがどうしてですか?」
すると今度はユフィがワラで作られた人形と五寸釘がセットで売られていたのを見つけて指差した。
そういえば以前、咲世子さんから聞いたことあったな。あれは確か…
支援
支援
373 :
萌は文化:2008/09/07(日) 20:04:38 ID:fDARyF0a
「確か、知り合いに教えてもらった話だと、エリア11ではワラ人形に五寸釘を刺すと願いごとが叶うっていう古くから伝わるおまじないがあるらしいからきっとそれだと思うよ」
「まあ、そうなのですか。ではお姉様にはこれを買って行きましょう」
「それじゃあ、僕も友達に一つ買って行こう」
こうして僕はワラ人形の他に赤いお守りや、日本人形、かんざしなどをお土産用として購入した。
「今日は付き合ってくれてありがとうございます」
「いや、僕も元々お土産屋を探しに行くつもりだったから気にしないでいいよ」
一通りお土産を買い終えるた僕達は旅館に向かってゆっくりと2人ならんで歩いていた。
「でも、助かったのは事実ですからお礼は言わせてください」
「うーん、でも結果的には僕も助かったし、やっぱりお礼の必要はないよ」
僕がそう言うとユフィは不満そうに頬を膨らませた。
「何ですかそれ、私からのお礼は嫌なのですか」
「え、嫌なんてそんなつもりは…」
「だったら罰として私のお礼を受け取ってください」
「罰って………わかったよ」
何が罰かは知らないけどとりあえずここはユフィに従うことにした。
しえんしえーん
375 :
萌は文化:2008/09/07(日) 20:09:28 ID:fDARyF0a
「はい、それではライ」
ユフィは僕の正面に立つとニッコリと微笑んだ。
するとユフィは自分の顔を近付け、僕の頬に柔らかいものがく触れた。
「…………え?」
「それじゃあ行きましょう」
頬に触れたものが何か理解する前に僕はユフィに腕を引っ張られ歩きだした。
僕はユフィの後ろ姿を見ると、ユフィの耳が真っ赤に染まっていた。
376 :
萌は文化:2008/09/07(日) 20:10:40 ID:fDARyF0a
おまけ
ミレイ「はーい、今日はライが仕事だから来れないけどライから旅行のお土産を預かって来たわよ」
皆にお土産を配るミレイ
ナナリー「これはかんざしですか? 今度ライさんに会ったらお礼しないといけませんね」
リヴァル「…なあ、このお面、つけたら外れなくなったんだけど…」
ニーナ「呪われてるからつけたら3日は外れないって説明書に書かれてるけど…?」
リヴァル「マジでか!? どうすんのこれ!?」
ルルーシュ「(ワラ人形と五寸釘だと? もしかして俺は嫌われてるのか?)」
カレン「(このお守り……安産祈願って書いてあるけどもしかしてライ、そういうことなの……?)」
ミレイ「ちなみに私のは日本人形もらったわ。すごいのよ。夜になったら勝手に髪の毛が伸びるのよ」
シャーリー「会長! それ、呪われてますって!」
377 :
萌は文化:2008/09/07(日) 20:13:07 ID:fDARyF0a
以上で終了です
本編見てカレンとナナリーでショックを受けた私です
でもまだセシルさんが!
ライセシがある!
今回のSSは我ながら酷いですね。
もっとラストを真面目に書けばよかったですね
支援ありがとうございました
では私は風呂に逃げます
乙でした!
「(ワラ人形と五寸釘だと? もしかして俺は嫌われてるのか?)」
ルルーシュwww
やっぱギャグは和みますねぇ・・・
>>377 萌は文化卿GJ! 心が洗われるようなSSどうもありがとうございました!
ライセシ楽しみに待っています!
秋の夜は長くて退屈?そんな時は当保管庫にお越しください。保管嚮団はお越しいただいた全ての皆様に、今日の娯楽と明日の寝不足を提供いたしますw
以下、業務連絡などを箇条書きでお伝えいたします。
※この3日間、病院から出られなかった管理人ですが、無為に過ごしていたわけではありません。睡眠以外は改装に費やしておりました。
・キャラ別部屋を増やしました。ノネット・シャーリー・ニーナ(←ピンクもふもふ卿に捧げます)・ミレイ・ミーヤ の5人です
・領地TOPからキャラ別部屋に行けるようになりました
・新サーバーの運用試験の一環として、過去ログの全保管を始めました。本スレへのリンクから行けます。(相対参照ではない)
過去からネタを拾うもよし、議論を見るのもよし、自分の恥ずかしい誤字脱字を見て赤面するもよし!
また、これにより、テンプレの大幅な圧縮ができると思います。(精々、前スレ1つ程度。現在、改行制限で2つに分かれているリンク集を1つに纏められる)
0022-0953
保管嚮団をネタにしてくださってありがとうございます、感無量です。コ○ケについてですが、年末にまた参戦致しますので、宜しければまたその時にでもネタにしてやってください。
以下、修正済みの誤字脱字とかいろいろ
0022-0863
修正済みです
0022-0866
シャルルン → シャルル
0023-0005
道ずれ → 道連れ
0023-0242
何故あのような者に使えるのか → 何故あのような者に仕えるのか
>>239氏の指摘した箇所
>>246氏の指摘した箇所(ギルの名前を除く)
0023-0276
一応修正しておきました。不備があれば仰ってください。
2100からの議論ですが、予定通り参加させていただきます。宜しくお願い致します。
さすがだ!
>>381 スゲー
あなたの気持ちがIDにまで伝わったようだ
これぞまさしく想いの力!
ライカレ厨卿GJです!全ての選択肢が作られてよかったですが、反面これでこのシリーズ終わりという一抹の寂しさも…次の投下全力で待ってます!
ト、トーマス卿…病院で改造してたって…なんだか目からしょっぱい水が…
寝不足はシャレになってないですw 油断すると徹夜とかしちゃいそうだ。
萌は文化卿、乙であります
しかし、呪いのアイテムがお土産とは……真に恐ろしきは天然か!!
ところでミレイさんの日本人形、頭を撫でたら目が光ったり、日を追うごとに首が回ったり伸びる髪が長くなったりするのでしょうかww
ホントだw IDがGJになってるw
もうすぐ9時・・・ちょっと時間が足りないなぁ
もうじき書き終わりそうな感じなんです
話し合いが終わる頃には推敲も全部終わるかもです。それから投下したいと思いま〜す
御錬師です。
修正お願いします。
0022ー0850 「時の流れに身を任せ」
のタイトルを
『時の流れに身を任せ〜若き元エースの一日〜』
ジャンルを『ほのぼの』に
0021-0074「この空の下何処かで〜この空の向こうにある色〜」
タイトルを『〜風が届ける友の知らせ〜』に
のCPを無しに
>>377 萌は文化卿GJでした。
なんだか和みました。何故かはわかりませんが、とてもほのぼのとしました。
あれかな。やっぱり本編のせいなのかな……(´・ω・`)
変な物しか売ってないお土産屋というと、私は某大仏様の前を思い出しますが、
どこかモデルがあるのでしょうか?あるなら行ってみたいですね。
最後になりますが、卿のおかげで私にもささやかなネタ神様が降臨したようです。
ありがとう。
時間になりましたので、絵の取り扱いに関する議論を始めたいと思います。
>>4を参照。前回から出た意見については、0022スレの830と(保管庫より閲覧可)、0023スレの193を参照してください。
では皆さん、よろしくお願いいたします。
>>388 了解しました。議論と平行して行います
※しつこいようですがSS投下が最優先です
参加しま〜す
とは言っても、反対ではないし、これまでの議論の内容に異論はないので
気の利いたようなことが言えないのがもどかしい・・・なぁ
>>388 0021-0074で確認したいのですが、
メインタイトル サブタイトル
この空の下何処かで 〜風が届ける友の知らせ〜
このようになるのでしょうか?当方では、メインタイトル(シリーズ名も兼ねる)とサブタイトルを厳密に区別しております。
トーマス卿お久しぶりです。
今、ライカレ厨卿の別れ後編の最後の方が消えていました。
お手数をかけますが修正をお願いします。
少し割り込み申し訳ない、感想です
>>377 萌は文化卿、GJでした!
お土産に呪いグッズ……ちょっと欲しい
あと、選択肢完結、乙ですね!
色々笑わせていただきました!
次の投下を待たせていただきますよ!
>>393 修正しました。ありがとうございました。
>>395 この神速…久しぶりに見たわ。やはりここはこうでなくては!
微力ながら議論に参加させていただきます!
御錬師です。
>>392 自分の作品全て(0020-0304)(0020-0888)(0021-0074)(0022-0850)の4つ、
〜〜の部分は全てサブタイトルに変更お願いします。
修正お願いします。
取り敢えず、領地の方を修正しました。他のINDEX関係はもうしばらくお待ちください。
>>397 メールを送ったほうがよろしいかと思われますが
>>400 読ませていただきました。私は、
(画像投下仮ルール)
に沿う形でいいと思います。
ただ、これですと、SS以外のコードギアスの絵も認めるという事ですよね?
私はそれでも構わないと思います。
意見出ませんね。正直これまでで出尽くしている感があります(個人的にですが)
多分どうやっても完全に意見のまとまりを見る事はないでしょうからいいとは思うんです
とはいえ、そうなると「そのとき参加できなかった者の意見は無視か」や「イヤな人間の意見はスルーか」
となるのでしょうけど
とはいえ、すでに議論のための議論と化してる状態では予定としてこの時間にとしてあるのに参加しませんでしたってのは
反対の理由にはならないのではないでしょうか
また「それがイヤな、嫌いな人もいる」という意見は「では好きな人の意見はどうなるのか」ということになりますから反対の理由足りえないのでは?
すでに出尽くした(したらばの方でこんな意見出てましたよね?)意見ですが、気になったのであげてみました
ちなみに蒼い運命の人です。一応自分の意見として責任はとりたいので署名(?)です
画像投下の取り扱いに関しても
十分じゃない?
と聞きたいくらいです。わたしは
>>401 ただ、これですと、SS以外のコードギアスの絵も認めるという事ですよね?
厳密には、SS以外の「ロスカラ」の絵ですね
一ついいですか?美術館についてなんですけど、画像投下版がある限り
必要がないと思います。
理由としては2箇所に同じ絵があっても意味ないと思うからです。
あくまで美術館に収めたいのなら投下版に投下した絵が消えそうになった
ら収めるとう方法をとった方がいいとおもいます。
・この一週間では投下数が少なく検証不足→もう一週間様子を見る
or
・投下数は少ないものの、大きな問題はなかった
→掲示板運用及びSSスレへの投下自体は現行ルールで取敢えずは問題なし
の二択しか思い付かない
美術館云々に関しては、美術館に格納する分には嫌な人はスルーすればいいんだから
トーマス卿の好きにすればいいんじゃないかと思います
ただし、スルー派がスルーしやすくする為に、4のテンプレに以下二つを追加
・SSスレに投下した時点で絵師は美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投下時のレスにその旨を明言してください
また、トーマス卿は絵の保管についてはこのスレでは報告しないことも重要かと
代替としては画像掲示板に報告するor保管庫に更新情報ページを作って報告する形が考えられるかと思います
また、絵の感想については、SSスレではNGのままがよいかと思います
>>405 仰る事は尤もなのですが……
・画像掲示板は永久的な保管庫を兼ねるものではない
・「消えそうになる」というタイミングがわからないので、画像掲示板も常時監視しなければならなくなる
・「絵を投下しました」のタイミングで拾う形にすれば、監視はここだけですむ
というわけでして……2カ所同時監視というの流石に。すいません。
>>407 では、2週間後とか期限をつけるのはどうですか?
現在投下された絵はまだ消えてないことですし。
409 :
401:2008/09/07(日) 22:05:42 ID:0xPf2s0P
>>401 ・アニメやSSにインスパイアされた場合は、それを書く(例…R2の何話をみてテンさん描きました)
という記述がありましたので、アニメの絵も認めるのかな? という勘違いをしてしまいました。
なるほど。
ならば、投下を認めるのは、
・SS以外の「ロスカラ」の絵。
・SSの挿絵
以上。
という理解で、よろしいでしょうか?
もいろん。この場はそれを議論する場だとは存じていますが、
一応議事禄に書いてあることの確認という意味で
それにしても、絵の投下数が少ないよねえ。これじゃ406さんの言うとおり
検証不足かもなあ。しかも本編の超展開でSSそのもの投下も少なくなる
だろうし、この状況で絵の投下が増えるとは思えないしなあ。
>>406 >絵の保管についてはこのスレでは報告しないことも重要
はい。それはそのほうがいいと私も考えております。
>>408 今の速度ならばそれでもいいですが、仮に今より速くなると矢張り常時監視が必要になってしまうのです……。
>>409 それが一番無難かと。あの画像掲示板はあくまで「ここから派生した」ところですので。
たとえ超展開でも書く気まんまんなわたしのような人はまだまだいるはず・・・
ただ、わたしってば他の人に比べても非常に遅いんですよね。投下するのが
動きを止めたか
セシルさんをお持ち帰りするならいまのうちだな
>>407 トーマス卿の大変さを含めて、絵の投下の報告はこのスレにあっても良いと思います。
そして、トーマス卿はそれを確認して保管。
保管を拒否したい人はそのむねをここの絵投下の報告レスに書く。
そして絵の感想はここに書かない。保管完了報告も同様。
いままでの意見をまとめると、こういうことですよね?
>>411 なる程、よくわかりました。
ではもう議論も出尽くしたようですし、決定でいいんじゃないですか?
この議論を読んで決まりかけてる美術館の方針
・このスレに投下宣言がされたものは即座にこちらに保管する(
>>410氏すいません。こちらの負荷状況を鑑みるにこれしかありませんでした)
・画像の保管報告&感想はこちらでは一切しない。これは私に限らない(全て向こうかな?まあこれはあちらの管理人様の意見も聞かねばなりませんが……)
・SSスレに投下した時点で絵師は美術館への保管に同意したものと見なされます(←いいですね。採用させていただきます)
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投下時のレスにその旨を明言してください(←これもGOOD!)
言い忘れました。
投下宣言がされたものは即座にこちらに〜よりも、何らかの理由で保管を希望しない場合は〜の方が優先されます。
>>416 この書き方ですと、このスレに絵の投下が良くなったように
見えますけど、勿論スレに直接投下は厳禁ですよね?
>>418 そうですね。基本は現在の
>>4になると思います。画像を投下自体は全て向こう、こちらにはその報告だけということで。
すいません、言葉が足りなかったというか拙かったというか。
えっと、じゃあ今回の議論で出た形でいいんですかね?それならば、テンプレの文言とかは取り敢えずおいといて、
画像掲示板の方に、今までこちらで投下宣言が為されたものの収容可否を伺おうと思うのですが。
いいと思いますよ。
>>406>>409を反映して、テンプレいじりました
後、保管できないようなものが投下される可能性も考慮して、文言追加しました
微妙なラインとして、
・挿絵として描いた絵が職人さんにスルーされても泣かないこと
(何らかの理由ですぐに閲覧できない、職人さんが絵はスルー派の場合も考えられます)
とかも、思い付いたのですが余分かな?
あと、当然ながら過去に遡って適用するわけにはいかない&このスレではテンプレでないので
投下済みの絵とこのスレに投下される分はトーマス卿に向こうで確認をとってもらう形になるかと……
関連外部板として、ロスカラSSスレ派生画像掲示板(
http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic)があります。
画像を投下したい方は画像掲示板の注意も精読の上、以下のルールに従って投下してください。
(画像投下ルール)
1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。 尚、コテとトリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメやSSにインスパイアされた場合は、それを書く(例…R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投下。
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像版の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など)
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮を願います)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投下は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行き、感想を画像掲示板に書く。
(原則としてこちらの投下レスに絵の感想レスをつけないこと)
絵に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投下報告をした絵師は以下の項目に同意したとみなされます。
・SSスレに投下した時点で絵師は美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投下時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)
>>423 概ねいいんですが、4の2つ目のSSスレに投下した時点はを投下報告に
変えたほうがいいですね。勘違いしそうなので。
>>423 私的にはそれで全く問題ありません。424氏の指摘された箇所を修正するとより完璧かと。
>>423 賛成です。
それにトーマス卿が問題ないとされたのなら、なおの事です。
追いつきました。
>>423-424 異論ありません。
トーマスさんがご無事で(?)何よりでした。
みなさんおつかれさまです。
急用で席はずしてるあいだにあらかた終わってるorz
俺は423に賛成です。あとはトーマス卿の終了宣言かと
―では。
このレスをもちまして、390より開始した第3回画像取り扱い会議を
>>423氏のものを採用するということで終了したいと思います。
参加してくださった皆様、まことにありがとうございました。私は今から画像掲示板に行って、絵師の方に既にここで投下宣言が
なされた分についての収集可否を伺おうと思います。では失礼いたします。
※議事録の纏めは明日中ということでお願い致します
>>427 当面、流動食しか食べれない状態です(泣
>>422のテンプレ追加は余分と言うことでいいですか?
まあ、いずれにせよテンプレ自体の可否は24時間おいた方が無難ですが…
紛らわしいとの意見があったので「投下」を全て「投稿報告」に変更の上、前文を微修正しました。
関連外部板として、ロスカラSSスレ派生画像掲示板(
http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic)があります。
画像を投稿及び投稿報告したい方は画像掲示板の注意も精読の上、以下のルールに従ってください。
(画像投稿報告ルール)
1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。 尚、コテとトリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメやSSにインスパイアされた場合は、それを書く(例…R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像版の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など)
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮を願います)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行き、感想を画像掲示板に書く。
(原則としてこちらの投稿報告レスに絵の感想レスをつけないこと)
絵に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したとみなされます。
・SSスレに投稿報告した時点で絵師は美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)
みなさんおつかれさまでした
>>流動食?!
大丈夫とおっしゃるならとは思いますが、お体を大事にしてくださいね
終わってから投下と宣言してましたが、遅くなりましたし明日の夜にということで
それではおやすみなさいです
>>429 ご苦労様でした。
ただ、議事録のまとめは急がずに養生した方がよろしいかと。
>>429 流動食とは・・・
はやくおいしいご飯を食べられるようになるといいですね。どうかご自愛を。
>>431 ちょっとした誤字?かと思うのですが
2の三行目「画像版」は「画像板」の方かと思います。
関連外部板として、ロスカラSSスレ派生画像掲示板(
http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic)があります。
画像を投稿及び投稿報告したい方は画像掲示板の注意も精読の上、以下のルールに従ってください。
(画像投稿報告ルール)
1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。 尚、コテとトリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメやSSにインスパイアされた場合は、それを書く(例…R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像板の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など)
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮を願います)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行き、感想を画像掲示板に書く。
(原則としてこちらの投稿報告レスに絵の感想レスをつけないこと)
絵に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したとみなされます。
・SSスレに投稿報告した時点で絵師は美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)
こんばんはKOUSEIです。
話も一区切り付いたようですので、
トーマス卿の復帰祝いといってはなんですが、前回の続きを投下させていただきます。
>>435 orzなんかスミマセン
OKだと思います。
えーと、議論終わったようですので、0時15分ぐらいから投下してよろしいでしょうか?
あ、KOUSEIさんどうぞ。
タイミング悪かったですね。
すみません
>>436 支援します。438さんはそのあとが宜しいかと。
>>438 あっ、もしかして、昼ぐらいに議論が終わった後、投下宣言してた人ですか?
(すみません。今さっきそのレスみました)
そちらが宣言が先でしたので、今回はおゆずりします。
すみませんでした。
>>441 ゆずりあって投下されないんじゃ意味無いとおもうんでお先に投下したらどうですか?
>>443 分かりました。
では次から投下させていただきます。
シーン6『アッシュフォード 学園』Bパート
アッシュフォード学園。その校庭。
「びびび、びびったぁぁぁ……」
紅月カレンは、精巧につくられたラッコの着ぐるみの中で、先ほどの衝撃に今だ心揺さぶられていた。
「あ〜、もう。遭遇することは予想してたけど……」
このアッシュフォード学園に潜入すると決めた以上。今回のイベントの主役であり、アッシュフォード学園に復学しているスザクと遭遇する可能性はもちろん認識していた。
しかし、それはせいぜい遠目から眺めるとか見つけるとかそれぐらいで、まさかぶつかって、こけさせられて、更には助け起こされて「大丈夫ですか?」なんて声をかけられるとは微塵も思わなかった。
「私だってバレてないわよね……」
そう心配して。カレンは今まで逃げてきた道を振り返る。
学生は数多くいる。そして何人かは物珍しそうな目でこちらを眺めているが。それらはあくまでレジスタンス紅月カレンに対してではなく、彼女を包んでいるラッコの着ぐるみに対しての好奇の視線であり、監視や敵意のそれとは違っていた。
カレンは、昔から体術や格闘技をやりこんでいるので、そういう視線の判別は何となくつくし、例え追跡や尾行をされていても、よほど技量の差が無い限りは、それに気付くことができる。例え、それがあのスザクだとて例外ではない。
今のカレンはそれほどスザクとの生身での技量の差は無いはずであった。それは、先ほど顔を合わせた時に何となく分かった。だから……。
「まぁでも。スザクと顔を合わせられたのはある意味幸運だったかな」
それは過信ではなく、純粋にそう思えたし、カレンはそう言えるだけの事をこの一年にしてきた。
カレンは今下着に近い服装をしている。着ぐるみに包まれた悩ましげな肢体には、良く見ると目立たないまでも数多くの傷跡があった。
それは、彼女が“彼”を助けると心に決めた時からこの一年間積み重ねてきた修行という名の苦行の証だった。その代わり、彼女は女ながらに星刻に『大した女だ』と認められるまでの実力を持つに至った。
しかし、それでもスザクと生身で殺し合いをしたとしても素手同士なら今も百パーセント敵わないだろう。でも、こちらにナイフ一本でもあれば……。
「勝率は五分って所かしら」
支援
支援
カレンはその事実を実感し、それこそ魔女のように影のある笑みを浮かべた。
これは一年前、銃と持っていてもスザクには敵わない。と感じていた頃に比べたら大きな進歩だった。この一年、死ぬような修行を重ねてきた成果だった。
体に刻まれた傷。
確かに。女性であるカレンにとって自分の体に傷が付くのは耐え難い事ではあった。しかし……。
カレンは“彼”の女になるために、とうに女を捨てた。
“彼”を必ず助け出す。それは自分の体以上に優先される事柄だった。日本解放ももちろんそうである。
いや……。
カレンが修行を重ねてきた理由はもう一つあった。その目的は日本解放やライ救出に遠く及ばないものだが、しかし、確実に果たしたいものだった。それは……。
スザクを殺す。
あの男は生きていては駄目だ。それがカレンがこの一年で出した答えの一つだった
スザクが生きている限り。日本解放においても、ライ救出においても、いや、両方果たせた後でも必ず障害になる。それに、なによりアイツは、彼を――ライを撃った。
許せるものではない。絶対に。絶対にだ。その事を考えただけでも、殺意が膨張して爆発しそうだった。もはや、スザクとは手を取り合うどころか同じ向きで歩く事さえ不可能なのだ。
彼は……ライはスザクと同じ向きに向かって歩き出そうとした途端――行政特区に前向きな考えを持ち始めた途端、カレンの傍から消えた。
繰り返さない。そんな事は繰り返させない。そのためにも、その原因を抹殺するしかない。
(スザク。今日は見逃すけど、次に会う時は……って、ん?)
と、ここでカレンは、今回スザクを見逃す事になった原因を見つけた。
学園の隅の方で歩く一人の少女。
「あ、あの女ぁぁぁ!?」
いた。どこで手に入れたのかアッシュフォード学園の制服を着ている。変な耳飾り。綺麗な緑の長髪。物憂げで、苦労など知らなさそうな素直なお人形さんみたいな顔。美少女だ。しかもとびきりの。しかし、中身はたちが悪いただの不良魔女。
「C,C,ぅぅぅ!!」
カレンは着ぐるみを動かしてドタドタとC,C,の方に向かって走る。
それは、着ぐるみにしては相当早いスピードだった。どれぐらい速いかというと、周りの人間がその速さに驚いて「お〜」と感嘆して拍手を送るぐらいである。
支援
支援
しかし、当のC,C,はそんなカレンに気付いていないようで、何食わぬ顔で校舎の角を曲がり。カレンの視界から消えた。
「逃がすかぁ!」
カレンもすぐにその角を曲がった。だが、
「…………あれ?」
そこに魔女はいなかった。いたのは走ってきた着ぐるみを奇妙な目で見ている学生達だけだった。
(ああ、もう! 一体、どこに消えたのよ!?)
カレンは睨みつけるようにあたりを見渡す。その時、
「あっ」
カレンの視界に一つの出店が入り。彼女はC,C,の捜索も忘れて気が抜けたように立ち尽くしてしまった。
○
「ふぅ……」
ロイ・キャンベルは一階のトイレで用を足しながらため息を付いた。
「酷い目にあったな……。いや、現在進行形で酷い目にあってるか……」
ロイは視線を下げてみる。見えるのはもちろんチャイナ服だった。
結局、服は返してもらえなかった。
返してください。と頼んでも、女子学生が返してくれないし、なによりジノが「返さなくていいよ〜。俺達このまま回るから」と言って取り合ってくれなかった。
服を返してくれないとか小等部のイジメか! と突っ込みたくなるが、なによりアーニャからも「このまま回ろう」と頼まれてしまったため、ロイはしぶしぶ、まだこの格好をしていた。
「何か……僕って女性に弱い気がするな……」
と、ロイはそんな事を思ったりした。
女子生徒にこのチャイナ服を着てください! と頼まれた時も断れなかったし。アーニャのこのまま回ろうという頼みも断れなかった。
それに、ノネットさんから模擬戦を頼まれたら絶対に付き合ってるし、モニカさんから、お買い物に付き合ってと言われたら付いていく。それに、ローマイヤさんから、一緒に図書館で勉強しませんか? という誘いも断った記憶が無い。
カノンさん……は違う。女じゃなかった。セシルさんの魔王の夜食は(逃げる暇が無くて)差し出されたら食べるし、カリーヌ様のお誘いもほとんど断らない。ナナリー総督の頼みも公私問わず大体引き受けてるし、ドロテアさんの時だってetc,etc……。
(……ちょっと待てよ)
と、ここでロイは、ある恐ろしい考えに至った。
(僕ってもしかして女性の尻に敷かれているタイプ?)
支援
しえん。
支援
女性の頼みを断れない。それは、女性に逆らえないという意味とイコールではないだろうか? しかし、それはあまりに男として情け無いような……。
(ば、馬鹿な。違う、そんなわけ無いじゃないか)
ロイは即座にその考えを否定した。
旧来より。騎士とは己のプライドより、女性を大切にするものである。女性を敬うこと。それが騎士の本懐。だから自分は騎士として女性の頼みをあまり断らないのだ。決して、女性に対して自分の意志が弱いわけではない。多分……。
と、ロイはかなり歪曲した騎士道を心の支えとして、何とか心身の体面をギリギリで死守した。
「さ、さぁ、スッキリしたし。こんな馬鹿みたいな考えもスッキリ忘れて、この祭りを楽しむとしよう」
ロイは暗い思考を振り払うように明るく言って便器を離れる。ちなみに、すでにチャイナ服を着て歩き回る事に対する恥ずかしさとかは感覚が麻痺したのか、あまり感じなくなっていた。激痛を伴う生傷もやがて麻痺して痛くなくなるのと同じ原理かもしれない。
「ん? あれは……」
その時。ロイがふと窓の外に視線を移すと、トイレを隠すように茂っている木々の隙間から見慣れた着ぐるみが見えた。
それは、スザクがぶつかって倒してしまった。ラッコの着ぐるみだった。
○
「懐かしいな……」
カレンはクレープ屋を見つめながら、少しだけ昔の事を思い出していた。
一年前。あれは学園の文化祭での出来事だった。二人で待ち合わせして、そして、この学園の色々な場所を回った。
クレープ屋もその一つだった……。
もちろん、このクレープ屋を営業しているのはあの時と違う学生だし、よく見れば営業している場所も全然違う。しかし、久しぶりにこの思い出深い学園に足を踏み入れたというのもあって、カレンはどこか感傷的な気分に浸りやすくなっていた。
(ライに買ってもらったクレープ。美味しかったな……)
記憶が溢れてくる。
一年前。
自分がクレープ屋を見ていたら。「僕が奢る!」と言ってきかなかった彼。
そもそもお金もあまり持ってないくせに、珍しく良い顔をしようとした彼。
そして、自分が豪快にクレープを頬張っていて、その仕草を「地が出るよ」と注意したくせに、直して大人しく食べている自分に、
支援
支援
<僕はやっぱり。大人しく食べてるカレンより、ガツガツ元気良く食べてるカレンの方が好きだな>
と、言った彼。
「バカよねホント。女の子に言う台詞じゃ無いわ……」
カレンは懐かしそうに微笑んだ後、
「……」
悲しげな顔で俯いた。
彼の笑顔。
忘れられない。忘れようとも思わない。忘れたくない。なぜなら、その笑顔はもう一年以上、記憶の中でしか見ていない……。
(……もう、会えないのだろうか)
そんな考えが、何度頭をよぎっただろう……。
(……あ、やだ)
気が付くと、カレンの目頭はじんわりと熱くなっていた。
ここでカレンは、今日の自分は感傷的な気分に浸りやすくなっている事を自覚した。
それは仕方が無いのかもしれない。
懐かしい空気。懐かしい場所。懐かしいざわめき。懐かしい光景。かつて、ライと共有したものがここには悲しいほど多く溢れている。
「うう、湿っぽいのは止めよう……」
カレンは心の汗を指で拭う。その時、
「ラッコさん」
「!」
誰かから呼びかけられて、カレンは体を震わす。そして素早く振り返った。
そこには、
「どうも。こんにちは」
男がいた。
銀のツインテール。顔が見えないぐらいの分厚いぐるぐる眼鏡。筋肉の凹凸が良く分かるピチピチのチャイナ服。
(オ、オカマ? それとも変態?)
カレンはあまりの光景に数歩下がる。その行動に気付いて、チャイナ服の変態は困った顔で微笑んだ。
「あ、いえ。怪しいものじゃないです」
(いや! 充分怪しいし!)
カレンは心の中で突っ込んだ。
実を言えば。カレンは不幸にも変態とか怪しい男とかそういうのに数多く出会ってきた。
支援
支援
支援
カレン・シュタットフェルトとしてこの学園に通っていた時期。彼女はモテた。そりゃあもうすごく。
見た目は文句無しの美少女。清楚なお嬢様。そして、病気がちで内気となると、どうやら、そういう趣向の方々の琴線に触れたらしく。
下校の途中、いきなり通路から男が飛び出してきて「はぁ、はぁ。お嬢さん。ほ〜ら」とか、女性の衣装に身を包んだ男が「ハァハァ、お嬢ちゃん。履いてる○ンツ売って」という出来事も一度や二度ではなかった。
もっとも、カレンは実際は内気どころか中身は肝っ玉母ちゃんもびっくりの強気な少女なので、そのたんびに、変態の骸を死屍累々という言葉が相応しいぐらいに積み上げていったものだ。
だが、カレンとて女である以上、そいつらには多少ながらも恐怖を感じていた。
そして今、目の前に立つ男は、そいつらと似たような格好をしていたので、思わず後ずさりしてしまうのは、そういう経験をしてきたカレンにとって仕方が無い防衛反応であった。
しかし、カレンがそうやって警戒バリバリだとは気付いていない様子で、その男は至極普通に話しかけてきた。
「実はさっきあなたがぶつかったのは私の友人でしてね。大丈夫でしたか? どこかお怪我なんかは……」
(へ? 友人? スザクの?)
その言葉が、カレンの警戒を少し解いた。
成程。とカレンは納得した。この女装した男は、先ほどの件で、心配して話しかけてきただけのようだ。
そもそも、目の前の男が本物の変態だったとしても、カレンは着ぐるみを着ているわけであり、普通こんな着ぐるみの中に入っているのは男だと思うだろう。つまり、目の前の男は本当の変態だったとしても、その今の言葉だけは信頼に値する。
カレンは喋るわけにはいかなかったので、すぐに着ぐるみにガッツポーズを取らせた。<私は大丈夫です>というアピールをしたのだ。
それが伝わったらしく、女装の男は安堵した様子で微笑んだ。
「良かった。大丈夫なんですね。安心しました」
そして、男は視線を横に逸らし、どこかを見つめた。
「クレープ。お好きなんですか?」
その言葉で。カレンは男がクレープ屋を眺めたのだと理解した。
男はカレンの答えを待たずに言った。
「奢りますよ」
(へっ?)
支援
支援
驚いているカレンを尻目に、男はチャイナ服のスカートを扇情的になびかせながらクレープ屋に歩いていく。そして店員の学生に声をかけた。
「すみません。クレープ二つ」
「はい二つね」
「ちょっとオマケして下さい」
「可愛いおじょうちゃんに言われたら断れないな。それにしても、えらく手の込んだ女装だね」
「はは、どうも……」
という会話を売り子の学生と交わし。男はクレープを二つ手にとって、こちらに戻ってきた。
そして、その二つの内の一つをカレンに差し出した。
「どうぞ」
(え……?)
カレンは男から差し出されたクレープを見つめ、固まってしまった。
男は首を傾げた。
「クレープ屋。ずっと眺めてましたよね?」
「……」
カレンは答えない。ただ呆然とクレープと男の顔を交互に見るだけ。
「これは、友人の非礼のお詫びの代わりです。どうか受け取ってください」
そして、男は更にグッとクレープを差し出してきた。
「……」
その時。カレンの中で男がクレープを差し出す姿と……彼の姿が被った。
<はい、カレン。クレープ>
「……」
当然の事だが。目の前の男はライではない。
こんな全体的に野暮ったくないし、女装してももう少し可愛いと思う。つまり全然似ていないのだ。
でも……。
「?」
カレンが何もアクションを起こさないでいると、男はあれ? と首を傾げた。
「あの、もしかしてクレープ嫌いでした? 僕の勘違いだったかな……。ラッコさんがずっとクレープ屋を見てたから、僕はてっきり――」
少し困った表情で話す男。
支援
支援
口調は似ていない。仕草も似ていない。何も似ていない。銀髪ぐらいしか同じじゃない。でも、
<カレン>
男がクレープを差し出す姿とライがクレープを差し出す姿が確かに被った。いや、被ってしまった。
「……」
同時に、カレンの中から言い様の無い感情が湧き上がった。
(……ライ)
そして、その感情はあっという間に許容量を越えて溢れ出した。
今まで傍にいなかった男を、不意打ちに近い形で感じさせられた事によって、心の中で堰きとめられていたものがあっさりと決壊したのだ。
(何でいないの?)
分かりきっている答え。それでもカレンはそう問いかけずにはいられなかった。
(何で私の傍にいないの?)
自分が弱かったから、守られた。
(何で私、こんな見ず知らずの男の前でこんな気持ちにならなきゃいけないの?)
自分が弱かったから守れなかった。
(いてよ……。傍にいてよ……嫌だよ。私、あなた以外の男の前で泣くなんて嫌だよ……)
不条理だと分かっている。それでも、カレンは傍に本物のライがいてほしかった。ずっと一緒にいてほしかった。ずっと一緒に……。
この一年。後悔ばかりが先にたった。
なぜ、一年前。彼は自分の事が一番大切だといってくれたのに、自分はそんな彼の気持ちに怯えを抱いたのか。
なぜ、愛されたいと思っていたのに、愛し合う関係になる事に恐怖を抱いたのか。
なぜ、日本解放を言い訳に、その問題を先送りにしたのか。なぜそもそも言い訳などしたのか。
<正直に言えばねカレン。僕は日本解放より、それより、平和な世界で君と過ごせるなら、それで――>
そう言われた時、なぜ、自分は「日本解放をおろそかにしないで!」と怒ったのか。
分かっていたのに。ライが日本の事を疎かにしていない事なんて自分が一番よく分かっていたのに……。
なぜ、逃げたのか。なぜ、
<嬉しいわライ。私もあなたの事は好きよ。大好き。一番好き。でも、日本解放もちゃんとやってよね>
と、悪戯っぽく微笑みながら、彼の胸に飛び込んで顔を埋めなかったのか。今はこんなにもそうしたいと思うのに、なぜその時はできなかったのか。
支援
支援
確かに。それは、ライがいなくなった事とは何の関係も無い。
でも、それでもカレンはその時、自分が素直になっていれば今の状況も色々と変わっていたと思えて仕方が無かった。
しかし……それも全ては過去の事。それらは失ってから気付いた。失ってから後悔した事。
後悔して、そして正直死にたいとも思った。
でも……それでも寂しくても悲しくても、死にたいような気持ちになっても、カレンは彼が守ったこの命を粗末にするわけにはいかなかった。
だから、その寂しさや悲しさをエネルギーに変えて今まで頑張ってきた。かつて言えなかった事をライに絶対に言うんだ。と足を踏ん張ってやってきた。
それなのに……。
なぜ、こんな男の前でこんな……。それがエネルギーではなく、単純な寂しさと悲しさに戻されてしまったのか。
気付けば。今度こそ心の汗などと言い訳のしようのない本物の涙がカレンの頬を伝った。幾筋も、幾筋もだ……。
『お〜いロイ。何してるんだ〜?』
その時、カレンの思考を遮るように明朗な声が響いた。潤んだ瞳で彼女が声のする方に顔を向けると、そこには二階に並ぶ窓の一つから身を乗り出している男女がいた。
一人は金髪で長身。そしてカラフルなドレスに身を包んだ男。そしてもう一人は、ピンクの髪を布の髪留めで結った、ウェイトレスの格好をした少女。
カレンはその男女に見覚えがある気がした。しかし、どこで見たかは思い出せない。
「あ、ジノ。それにアーニャ」
(!)
にこやかに言う目の前のチャイナ服の男の言葉で、カレンの頭の中の欠けたピースがカチリとはまった。
(まさかジノ・ヴァインベルグとアーニャ・アールストレイム!)
そこはカレンは歴戦の勇士。暗い感情などその事実で一気に吹っ飛んだ。
ナイトオブスリーとナイトオブシックス。まごうことなきカレンの敵がそこにはいた。
一瞬見間違いかとも思ったが、見れば見るほど間違い無かった。前に一度見た写真とそっくりだった。
それに、今思い起こせば、あの二人は先ほど自分がスザクとぶつかって、起き上がれなくてもがいていた自分を助け起こす時、そのスザクと親しげに会話していた。
支援
支援
あのナイトオブラウンズであるスザクと同じ目線で会話できる人物は、相当限られる。
(待って。となると、今、私の目の前にいる、あのスザクと同じ目線で会話していた男は……)
カレンはゆっくりと目の前のチャイナ服の男に視線を戻す。相変わらずラウンズの二人に微笑みを送っているこの男。
確か。この男はあの金髪の男にロイ。と呼ばれていた。
(ロイ……そうか。こいつロイ・キャンベルか!?)
カレンは驚きで更に一歩下がった。
ナイトオブゼロ。ロイ・キャンベル。
そうだ、間違いない。ラウンズの中でも特に目立たない存在だから、この男に関しては完全に失念していた。
(そうか、こいつにライの面影を見たのは、銀髪の他にKMF乗りの体つきをしていたからか……)
KMFに乗っている者には操縦者独特の体が出来上がる。長時間の訓練をこなすラウンズなら尚更だろう。
そのKMFを操縦するという私生活からかけ離れた行動を何百時間と繰り返す事によって、体つきがその行動に順応するために、通常なら付かない体の部位に筋肉を形成するのだ。それは、肩の周りであったり、手首の辺りだったりするのだが……。
なるほど、確かにこの男の体つきは見れば見るほどKMFのパイロットだったライとそっくりだった。ピチピチの服を着ているからそれが尚更良くうかがえる。
それでも。完全にそっくりというわけではない。どちらかと言えば、このロイという男の方がライより筋肉の付きが一回り大きい。しかし、その体の特徴は本当に良く似ていた。
『おっ、なんだ。そこにいるのはさっきのラッコさんじゃないか。良かったなアーニャ。お前一緒に写真撮りたかったんだろ?』
『ロイが捕まえててくれてラッキー』
『つうわけで、悪いけどラッコさん。ちょっと一緒に写真とってくれないかな? 今からそっち行くから』
男――ナイトオブスリー。ジノ・ヴァインベルグは叫ぶように言うと、窓枠に手を置いて身をさらに乗り出そうとした。どうやら二階から飛び降りる気らしい。
カレンはジノの行動に唖然とした。
何て奴だ。と思った。
子供が真似をしたらどうするのだ。良い子のみんなには絶対に真似をしてほしくない。っていや、そんな事より……。
(マズイ! あいつこっちに来る?)
そう、それがとりあえずは一番の問題だった。
支援
支援
カレンはその場から、すぐに逃げ出そうとした。
でも、いきなり走り出したら怪しまれないだろうか? と足を止めた。しかし、あの金髪の男、どこと無く好奇心旺盛な子供のような顔をしている。もしそれこそ子供の悪戯みたいに着ぐるみの頭を取られたりしたら万事休すではないか。
このエリア11にわざわざやって来るラウンズの事だから、黒の騎士団のエースである自分の顔もおそらく知っているだろう。
ここに留まり続けるのは危険すぎる。ああ、でも、やっぱり、いきなり逃げるのは怪しいし……。
と、こんな事を考えてる間にも、ナイトオブスリーは窓枠に手をかけて飛び降りようとしている。
どうするか迷って結局カレンは。
○
『私。忙しいのでキュイ』
「へ?」
ロイは驚きのあまり上ずった声をあげた。
『クレープありがたく頂きますキュイ! それじゃ!』
と、ラッコは妙に高い声を発しながら、ロイが持っていたクレープを強引に受け取り、そのまま土煙が上がるような勢いで走り去ってしまった。
取り残されたロイは、
「……キュイ?」
と呟いて、疑問符を浮かべた。
おそらく、このキュイ。というのはラッコの鳴き声のつもりなのだろうが、自分だったら恥ずかしくてとてもあんなセリフは喋れない。
ロイがラッコの去っていった方を見ながら、突然の事に呆然としていると、同じく窓枠に手をかけながら呆然としていたジノが上からポツリと呟いた。
『……あのラッコ。走るのが趣味なのか?』
『さぁ?』
隣のアーニャが首をかしげて答えた。ジノはロイを二階から見下ろした。
『なぁ、ロイ。お前ら何してたんだ?』
ロイは友人を見上げた。
「え、いや。ラッコさんがクレープを物欲しそうに眺めてたから、さっきのスザクのお詫びも兼ねて奢ったんだ」
『ふ〜ん』
ジノが無機質に答える。そして彼はその視線をロイの手に向けた。
『ところでロイ、何持ってるんだ?』
「ん? ああ、これか。クレープだよ」
『美味しそう……』
そう呟いたのはアーニャだった。ロイはそんなアーニャを見て言った。
「アーニャも食べる? チョコバナナでいい?」
支援
支援
『イチゴクリームがいい』
「よし。ジノは?」
『俺は奢ってくれるならクレープより、ブリタニアロールの方がいいな』
「はいはい。了解」
そして、ロイはまたクレープ屋に行こうとしてきびすを返す。しかし、ここで「ん?」と、あることに気が付いた。
ロイはまたすぐに振り返り、いまだに同じ窓でこちらを見下ろしている同僚二人を見上げ、聞いた。
「……ってジノ。そこって男子トイレだよね」
そのはずだった。ロイがさっき用を足したトイレはそのジノ達がいる場所の真下。ならば、建物の構造上その上――ジノ達がいる二階もまたトイレのはずだった。
『? ああ、そうだよ。俺がここで用を足してる時に、お前を見つけたんだ』
で、それが何? と言った感じでジノが聞き返してくる。どうやら彼は、この摩訶不思議に気付いていないらしい。
仕方無いので、ロイはストレートに言った。
「……なんでアーニャがそこにいるんだ」
『へ?』
ロイが言うとジノは素っ頓狂な声を上げ、ゆっくりと隣の(当たり前だが女の子の)アーニャを見る。
アーニャはなにやら淡々と携帯を弄っていた。
『……ってそうだよ! なんでお前がここにいるんだアーニャ!?』
『?』
アーニャはジノの声に対して不思議そうな顔をした。
○
ようやくコスプレ衣装のレンタル時間が終わって元の服を返してもらったロイは、
「いいかいアーニャ!」
と、しつこいようだが本日何度目かになる兄貴分としての自覚と責任を抱きながら、強い口調で言った。
「これからは勝手に男子トイレに入っちゃ駄目だ!」
すると、レンタル時間を延長して、いまだにウェイトレスの格好をしているアーニャは、小動物の食事を思わせる仕草でクレープを頬張りながら首を傾げた。
「なぜ?」
「………………はっ?」
ロイは予想外のアーニャの返答に思わず聞き返す。アーニャは口に含んだクレープをゆっくりと咀嚼した後、更に言った。
「なぜ私が男子トイレに入っちゃいけないの? 男子トイレは男子が用を足す所であっても、女子が入っていけないという道理はない」
支援
支援
支援
しえん
アーニャは言い切った。
ロイは神に尋ねた。
(コノコ、ホンキデショウカ、カミサマ……)
当然の事ながら、この問題は道理は無くても道徳はある。しかし、そんなものをどう説明すればいいのか……。
「いや、あのねアーニャ……」
「それに、それを言うなら」
とアーニャはロイの言葉を遮るとスッと振り返り運動場の隅にあるトイレを視線で示した。
そのトイレには女子トイレの入り口の前に長蛇の列が並んでいた。こういうイベントでは良くあることだが、女子トイレというのはよく混む。
しかし、それだけなら、遊園地とかでもよく見るただの日常的な風景だが、その女子トイレの隣にある男子トイレからは、今まさに、中年の“おばさん”が満たされた顔で手をハンカチで拭きながら出てきた。
ロイは愕然とし、ジノはそれを見てプッと噴き出した。
「あ〜。確かに。それならあのおばさんも注意しなきゃいけなくなるな」
「いや、あれはその、何ていうか、少々お年を召した方だけが行える特別な行動というか……。いや、そもそも、あれは正しい事ではなくて……なんと言えばいいのか……」
と、ロイは頑張って理論を説明しようとするが、段々とゴニョゴニョとした言葉になり、最終的には、
「…………ジノ」
とロイは助けを求めるように、同じく服装を元の私服に戻したジノを見た。ジノは肩をすくめて、
「頑張りたまえキャンベル卿。私ではなくて兄貴分である君の仕事だと思うよ」
と言った後、押し殺した笑みを浮かべただけだった。あと、いつもプライベートでは使わないその丁寧な口調が、ロイはなんか腹立たしかった。
「……」
しかし、同僚が役に立たない以上、自分がやるしかなかった。
そう観念して、ロイは言葉を選びながらアーニャに説明した。
「……じゃあ、ちょっと下品な話になるけど。アーニャが用を足している時に僕が女子トイレに入っていったら君はどう思う?」
「ロイが?」
アーニャはそれを聞いて眉をひそめ、顔を俯かせて考え込んだ。
そのまましばらく悩み続けた後、おそらく手に持ったクレープが原因と思われる、生クリームを付けた小さな口から出た答えが、
「分からない。だって、ロイがそんな事をする所を想像できない」だった。
「成程。一理ある」
ロイは頷き、更に言った。
支援
「じゃあ、仮定を変えよう。もし君が用を足している時にジノが女子トイレに入っていったら君はどう思う?」
「ジノが……?」
アーニャは、心底嫌そうな顔をして即答した。
「どう思う以前にトリスタンの角に括り付けて、シュタルケハドロンで吹っ飛ばす」
その返答に、ロイは授業で答えを尋ねた学生から正解を聞いた教師のように満足げに頷いた。
「だろう。だから次からはやっちゃ駄目だよアーニャ。君のやった事は人に多大な不快感と嫌悪を与えかねない行為なんだ」
「……分かった。良く理解した。次から気をつける……」
「分かってくれて嬉しいよアーニャ。ほら、口にクリームが付いてる」
「ありがとう、ロイ」
「落ち着いて食べればいいから」
「うん。分かった」
ロイが微笑みながらアーニャの口元をハンカチを取り出して拭い。アーニャも淡々ながらも頬を朱色に染めながらお礼を言う。
そんな仲むつまじい兄妹のような二人が、穏やかで和やかな空間を生み出す中。ジノだけが輝くような笑顔にくっきりと青筋を浮かべて、
「 な ぁ 、 お 前 ら 。 実 は 俺 の 事 嫌 い だ ろ ? 」
と左腕に右手を添える決闘申し込み寸前の姿勢を取り、更に背後から暗い空気を醸し出しながら呟いた。
ロイはその呟きにしてはやけに大きな声で発せられたジノの言葉を聞いても、何食わぬ顔でアーニャの口を拭ったハンカチをしまい、それからゆったりとあたりを見渡した。
「とまぁ、ジノいじめはこれぐらいにしておいて……ここにはもう何も無いね」
この辺りにもう出店は無い。あるのは校舎とその周りで生い茂る木々だけだった。どうやら、いつの間にか学園の隅の方にまで来てしまったらしい。
「もどる?」
アーニャの言葉に、ロイは頷く。
「そうだね。一般人があまりこういう場所に来ても、学校側は迷惑だろうし」
ジノも「いじめ、駄目、絶対……」と呟いた後、少々ふて腐れた態度で同意した。
「……面白そうなもんはここにはなさそうだしな。って、んっ?」
「どうしたのジノ?」
ロイが聞くと、ジノは前方を指差した。
「なぁ、あれKMFじゃないか?」
「え?」
ロイがその方向に顔を向けると……確かにあった。KMFだ。
三人は早足でそのKMFが置いてある場所まで移動した。
支援
「これは……基本フレームのみだね。MR1か」
「そうだな。外装も外されてるし。コンパクトに折りたたまれてる」
ロイとジノは身を屈めながら、そのKMFをしげしげと眺めた。
「? 何これ?」
その時、男二人と違って少し離れた場所でKMFを観察していたアーニャが、何かを見つけて拾い上げる。
「ん? どうした」
ロイとジノは、KMFを見るのを止めてアーニャに近寄り、それを横から覗き込んだ。
「これは……計画書みたいだね」
ロイは更に言葉を続ける
「どうやらこのKMFを使って、この計画書に印が付けてある場所までトマトを運ぶみたいだ。へぇ〜凄いな。巨大ピザを焼くんだね」
「校庭にあったでっかいかまどはそのためのやつか。しかしトマト? そんなのどこにもないぞ?」
ジノがあたりを見渡すと、アーニャがそのジノの裾を引っ張って言った。
「ここじゃない。多分ここ」
アーニャが計画書の中にある地図に指を当てる。そこには確かに<トマト置き場>と書かれていた。
「しかも。運ぶのはスザク」
「そうか。じゃあ、関係者じゃない僕達はここから離れた方がいいだろうね。アーニャ。その計画書を元あった場所に戻しておいて」
「分かった」
と、ロイの言葉に従ってアーニャが再びその計画書を地面に置こうとすると、その横からひょいっと長い腕が伸びてきて、計画書をアーニャから取り上げてしまった。
ジノだった。
「ジノ?」
ロイが不思議そうな顔を向ける。
「まぁ、待てよ二人共。要はそのトマトをKMFで会場に届ければいいんだろ?」
ジノはそう言うと、計画書を手で弄びながら不敵に笑った。
シーン6『アッシュフォード 学園』Bパート 終わり。Cパートに続く。
投下終了です。
深夜にもかかわらず支援ありがとうございます。
それにしてもまたCパートまでいってしまった……。
もうちょっと構成考えてコンパクトにまとめないとな……。
そういえば先日。絵心が全く無いと自覚しながらも、自分でロイ・キャンベル(蛇の方じゃないです)を書いてみようと思い立ち、書いてみたんですよ。
そしたら、その絵を見た友人が、
友人「なにこれ。髪の長い野比○び太?」
……。
……うん、確かに。そう言われればそうとしか見えない……。
そうですね。SSもろくに書けない私が、欲を出して絵に手を出そうとしたことがそもそもの間違いですよね……。
ではまた来週。
>>490 KOUSEI卿、GJでした!
中盤に号泣、終盤は吹きまくり
なんとも忙しく、面白いSSでした!
ジノの扱いが不憫すぎるw
続きを全力を挙げて待たせていただきます!
乙でした〜
ぼくは貴方の作品を本編並みにたのしみしています。
それにしても。今回はカレンが光ってましたね〜キュイが最高
でした。アーニャのボケも良かったし。
本編の超展開にも負けずにがんばってください。
乙です、非常に面白かったです。
ジノ、お前って奴は何てコメディ体質な…w
しかし何故カレンは声が同じという点は気にしてないのだろう?
GJ!
うーむ、一番ライを愛しているカレンでも流石に見分けることは出来なかったか…
しかしルルーシュといい、彼らには「ライは成長してるかも? わかりにくいようにされてるかも?」という発想はないんだろうかw
…しかしさりげにライアニャの兄妹っぷりが微笑ましいぜ。
でもアーニャ、それ恋人フラグどんどん潰してますから!
KOUSEI卿 GJ!
たまたま起きててよかったっ!!
ロイ、君の場合は尻にしかれるというかなんというか…
うん、某一級フラグ建築士の如く気づいてないよね(遠い目)
カレンは切ないですね…。
ちょっとばかしホロリときそうでした。
ジノ。…うん、ガンバ。でも日頃の行動のせいもあると思うよ?w
アーニャとなんだかいい兄妹ですねwアーニャがどう思ってるかともかくww
続きも全力で期待してます!!
これからも頑張ってくださいっ!!!
>>490 感想をダラダラ書くのは性に合いません
ですので簡潔に言わせて貰います
ライを想うカレンこそ本物!!
大変癒されました
以上、次回投下をお待ちしております
KOUSEI卿、乙であります。
今回カレンの悲哀に泣いた。
冒頭で見せたカレンとライの別離が切なすぎた分、今回はより一層深く感じました。
読み返すと、ライカレの描写はまだあまりない筈なのに二人の深く濃く、カレンの想いが伝わってきます
……それでも、「声を聞いて気づけよカレン」と思ったのは僕だけでしょうか(KY発言スミマセン)
しかし、一転して終盤でのアーニャの寄行とジノ弄りw
シリアスな空気が台無しだ〜!でも、それがGJ!!
次回も楽しみにしています!
KOUSEI卿最高!待ちに待ったカレンとの再会ですね。カレンの想いがとても丁寧に表現されてて泣けます。
というわけで、私も一言。
『ライカレこそ正義!』
昨日二人ほど投下する人がいたようですが、その人達は今いないのでしょうか?
もしいないのであれば9時ぐらいに投下します。
9時か…大丈夫だと思う。支援は出来ないんで無事に完遂されることを祈ってます。
501 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/08(月) 08:26:18 ID:gE9MGWlY
KOUSEI卿、GJです!
言ってやりたい、カレンに目の前にいるのがライだと言ってやりたい…
でもこのままほのぼの兄妹やってるアーニャも見たい…どうすればいいんだ!?
それにしても卿のジノははっちゃけてるなあ。いいぞ、もっとやってくださいw
本編でもこれくらいやってれば空気なんて言われず…やだなあ、嘘だよジノ君。なんでトリスタンでこっちに来るのかな?
>萌は文化卿
日本文化を正しく知らないとはいえ、ユーフェミアとライの土産センスにワロタww しかしライよ、
ノネット達の心配よりユーフェミアが一人で来たことに怒るべきなのでは……?
お守りもらって妄想していたカレンでしたけど、ユフィを助けるために名前を使ったことを知れば、後
が怖いなぁ。
>KOUSEI卿
切ない。あまりに切ないカレンの想いの後にラウンズのギャグ。とても上手く勉強になります!!
しかしすぐ目の前にいるのにライに気がつかないカレン。気づくのは一体いつになるのでしょうかね。
アーニャの常識のなさは本編同様面白かったです。ジノへの対応が容赦無かったのは笑えましたが、も
し例えがライだったらなんと答えていたのか……。
さてReturn Colors9話投下いきます。
最後の投下より五分以上経過し、 支援がなく続きがない場合はお猿さんに引っかかったものと判断してく
ださい。また後で続きを投下します。
作者名 RC
タイトル Return Colors
カップリング 現在のところなし
注意事項
このSSはギアス編の続きとなっています。
本編に出てこない地名や設定は捏造だらけです。
人物も本編に近づけるように書いていますが齟齬は当然あります。
主人公はライです。
一話の長さは結構あります。今回は24、25ぐらいスレを使うと思います。
規制に引っかからないよう、支援をよろしくお願いします。
Return Colors 九話 〜双璧の修復〜
「ああ、そうか。物資は確保できたか。……中身は問題なかったんだな。それはよかった」
騎士団アジトの執務室。CCからの通信を受けながらライは手元のノートパソコンを高速
でブラインドタッチしている。
「それにしてもここまで騎士団が弱体化しているなんて思わなかった。要である物資強奪
も。なんなんだ、これは」
モニターに表示された今まで強奪したリストを見て、ライは呆れた表情になる。
もしルルーシュがこれを見れば、激怒して、冷笑でも浮かべ、痛烈な皮肉を軽く二つ三
つは放っているような、さんざんたる有様だ。
「卜部さんの情報が悪い? 人のせいにするぐらいなら自分で動いたらどうだ。……まぁ、
いいさ。とにかく帰還してくれ」
通話を終えて、ライは作業に集中する。
ライが騎士団と合流して早一ヶ月。その間、彼の仕事は物資強奪ではなく、かといって
NKFで戦うことでもなく、全く別のことに追われていた。
組織の立て直しである。
ブラック・リベリオン後弱体化した黒の騎士団。戦力的にはもちろん騎士団内部の内政
も損傷は激しい。
資金の流れ、物資の補給――これは主に強奪――、人材の流出。現在の黒の騎士団は、
かつての隆盛は影も形もなくなっている。ライが騎士団に入ったときよりもひどくなっている。
それらを何とか立て直そうと連日ライは机とノートパソコンの前から離れず、頭を悩ま
せていた。
「ゼロが捕まったこともあるが……やはり最大の原因は現総督のカラレスだな」
中でも特にひどいのが人材の流出だ。目の前に表示されたグラフを見ても、ブラック・
リベリオン後から騎士団員の数が急激な勢いで減少しており、その勢いがさらに増したの
が現在のエリア11の総督、カラレスが圧政を敷き始めた時期と重なるのだ。
ブリタニアにいる間、ライは当然のことながらエリア11のことも情報を集めており、
カラレスのことも知っている。
矯正エリアに派遣された彼は調査して知った人物通りの人間で、ナンバーズへの弾圧も
激しく、黒の騎士団のような反抗勢力を壊滅させることにも力を入れている。騎士団員の
数が急激に減ったのも、下の団員達が彼の恐怖政治を見て己が命を惜しんだことも要因の
一つだろう。
騎士団側としては人材の流出――はっきり言えば脱走だ――に歯止めをかけるだけの力
はないと言っていい。と言うよりも幹部であった三人がそれに対して全く手をつけていな
いのだ。
『戦う気のないものを置いていても仕方があるまい』
卜部に問いただしたところ、平然とそんな答えが返ってきた。カレンも同様の態度で、
CCに至っては全く興味なさげに「しょうがあるまい」と一言だけ。その時ライは微妙な表
情で頷いたが、内心では呆れていた。
逃げ出している人間が全員末端の人間だけならば百歩譲って問題ないと考えられる。し
かし中層、または上層部に位置するものまで逃げ出している状況には大いに問題がある。
罰則を設けるべきかとも思ったが、それも意味のないことなのでやめた。現状で罰を用
意してしまえば流出が激しくなるのに協力するようなものだからだ。
「せめて藤堂さんがいれば、幾分かましな状況だっただろうに……」
ライと同じ騎士と将の器を持つ日本において最高峰の人材。奇跡の藤堂。彼がもし捕ま
っていなければここまでの弱体化はなかっただろう。
はっきり言って、今の騎士団は日本各地に潜伏している他の犯行組織と何ら変わりがな
い。現在のエリア11に駐屯しているブリタニア軍と真っ向勝負すれば、あっさり壊滅す
るだろう。
『いっそのこと、お前がゼロになったらどうだ?』
数日前、さんざんたる内政について三人の幹部を叱責していたときにCCがいつもの人を
からかう笑みでそう言っていた。自分の能力を見てではなく、ただの冗談としていったの
が丸わかりな顔だった。
当然ライとしてそんな言葉は真に受けない、考えることもない。第一自分がゼロの仮面
を被って成りきったとしても、自分は決してゼロにはなれない。
今までゼロ、ルルーシュが起こしてきた数々の奇跡。あれは彼と同じ能力を持つ人間、
もしくは彼以上の才覚のものがいればできる、と言うものではない。あれは彼だけにしか
できないことだ。
支援
「だとしても……」
ゼロの復活は、今騎士団が抱える様々な問題を一気に解決できる最良の手段ではあるの
だ。彼が復活すれば人材の流出は大きく減るだろうし、他組織とのコミュニケーションに
おいてもこちらが有利になるのは間違いない。
だがそうするためにはただゼロが復活した、と言う噂を流すだけでは意味がない。万人
がその意味を知らなければならない。その為にゼロには"奇跡"を起こして貰わなければ
ならない。
とはいえそんな奇跡を起こせるような都合のいい状況は転がっているわけはない。そも
そもルルーシュは記憶を失っており、しかも偽りの弟まで――特異な能力を持ったあの少
年――が側にいる。騎士団の内情、ルルーシュの記憶、偽りの弟――
「……月下の調子でも見てこよう」
悩む余り頭痛を覚えたライは腰を上げ、体を慣らす。気がつけばCCの通信から数時間が
経過している。
軽く柔軟をすると、左腕に痛みが走りライは顔をしかめる。端整な顔立ちが暗く歪む。
「……くそ」
スザクから受けた傷は完治していない。エリア12に到着し、エリア11への密航ルー
トで向かう最中、医者に診て貰ったが思った以上に深い傷らしく、短時間での回復は望め
ないという診断だった。
痛みと共に一瞬脳裏をよぎる嵐の中の激闘。沸々とわき上がる怒りを静め、ライは格納
庫へ向かう。
「……カレン?」
格納庫につき、眼にする彼女の姿。他の人の姿はなく、彼女一人だ。
カレンは自身の愛機である紅蓮二式とその隣に並ぶライの蒼の月下の間で、何やら思い
悩む表情を浮かべている。
「カレン、どうしたんだ?」
「ひゃいっ!?」
近づき呼びかけると、素っ頓狂な悲鳴を上げ、こちらを振り向く。
「な、何よ」
「いや、それは僕が聞きたいんだけど。それよりもそんな顔してどうしたんだ。何か悩み事かい?」
支援
言って一歩近づくと、カレンはきっとライを睨みつける。が、すぐに気まずげな表情となって視線をそらす。
「……別に、何でもないわよ」
言って素早く横を通り過ぎる。振り向いたときには格納庫の扉に前にいる。
「……カレン」
相変わらずな態度に、ライは柳眉を下げる。
再会してからと言うものの、どうもカレンの態度が以前と違う。何故かライに対してそ
っけない。悪く言えば、冷たい。
笑顔などは全く見せず、返答にも一言二言。話でもしようと話しかけたときにも何かと
用事があると言って立ち去ってしまう。
「……やはり、怒っているのか」
記憶を消したこと。ブリタニアにいたこと。――自分の戦う理由に対して。
ライは紅蓮と月下を見上げる。かつて赤と蒼に染め上げられたこの二機は一つの字があ
った。ライは内心でその名を呟く。
――騎士団の双璧
ゼロと彼ら二人がいるところに敗北はない、と言う意味でつけられた渾名だという。事
実三人が揃った状況での明確な負けは一つとしてない。
もしブラック・リベリオンのときも自分が欠けていなければ負けなかったのだろうか。
ふと、ライはそんなことを思う。
「君の主人は、どうしたら機嫌を直してくるのかな」
呟き、ライは紅蓮二式のボディに触れる。
ルルーシュとナナリーの幸せのために己が全てをかける。そう誓いを立てて、エリア1
1へやってきた。その為なら何でもするし、誰に疎まれ、憎まれようとも構わないと思っ
ていた。
だが実際そうされることに、意外なほどダメージを受けていることにライが気がつく。
だが他の人間ならこうもショックを受けなかっただろう。
騎士団においても、生徒会においてもカレンはルルーシュ、ナナリーに次ぐ大切な人だ。
そしてそれは今も変わっていない。だからこその痛みなのだろう。
「でも、仕方がない、か」
日本解放のために戦う彼女に面と向かって騎士団を利用すると言い切ったのだ。あのよ
うな態度を取られるのも仕方がない。
「――それに、慣れているしな」
他者からの悪意と敵意は狂王のときに散々味わったことだ。大切な人から向けられたこ
とはないが、その痛みにもじきに慣れるだろう。
――所詮僕はここにいるはずのない人間なのだから
両手でライは頬を叩くと、表情を引き締め月下に歩み寄る。コクピットハッチを開き、
中に入り起動プログラムを稼働させた。
誰もいないアジトの通路を最初カレンは早足で歩いていたが、徐々にその即後は遅くな
り、止まる。
後ろを振り向く。人の姿は見えない。足音は聞こえない。……ライは追ってこない。
「……何やってるんだろう。私」
憂鬱だった気分がさらに重くなる。思わずカレンは横の壁に体を押しつけてしまう。
ルルーシュとナナリーのために戦う。彼ははっきりそう言いきった。
それは悪いこととは思わない。自分とて母親との幸せな日々を取り戻すために日本解放
を、ブリタニアを倒すことを目指している。自分たちを利用していたルルーシュでさえ、
大切な人の思いで戦っていたのだから。
だが、何故かカレンは彼への態度を軟化させることはできない。仲間だ、友達だと思っ
ているのに、どうしてもあのようなつんつんとした態度を取ってしまう。
――私は、何に対して納得がいっていないんだろう?
もう何度目か解らない自問にカレンは頭を悩ませる。
ライは頼りになる。KMFの腕前では自分と並ぶし、頭脳においてもゼロ、ルルーシュに
匹敵するものを持っている。誰にでも優しいし、周囲の和を取り持つことも上手だ。気が
つかないところで支えてくれたりもしている。
騎士団の双璧。以前気づかぬうちに誰かからそう評されていたことに、カレンは素直に
嬉しかった。戦場において共に立てば何でもできるような気がしたし、誰にでも負けない
気持ちだった。
彼に対してはゼロに抱いていた信頼、心酔とも似て非なる感情があった。
それがなんなのかはっきりとは解らないが、悪い思いでないことは確かだ。でなければ
好意を抱くこともなかった。
でも今、自分は以前のように彼に対して優しくない。笑顔も見せてない。――何故?
「本当に、何やってるのよ。私は……」
壁から体を離し、カレンは再び歩き始める。しかし後ろから見たその姿はとても頼りな
く見えた。
「リフレイン?」
いつもの幹部を集めた会議中、唐突に卜部がそのような単語を口にした。
「確か麻薬の一種ですよね。効果は、懐かしい過去を見せるとか」
「ああ。以前何度か黒の騎士団がリフレインの工場を潰したことはあるが、リフレイン自
体がなくなったわけではない。
小さく細々としたルートは日本のあらゆるところに張り巡らされて、それを見つけ潰す
のも黒の騎士団の所用の一つではあった」
「で、そのリフレインがどうしたんです? 卜部さん」
「……トーキョー租界のとある場所で作られているという情報を入手した。それがゲット
ーの日本人に流れ、多くの中毒者を作り上げているらしいのだ」
にがを噛みつぶしたように卜部が言うと、血相を変えたカレンが立ち上がる。
「早速潰しに生きましょう!」
「ちょ、ちょっとカレン。待ってくれ」
鼻息粗く言うカレンにライは驚くも、静止の言葉を投げかける。
すると当然と言うべきか、カレンはこちらを睨みつけてくる。
「どうして止めるの? 麻薬を作ってる工場なんてさっさと潰した方がいいじゃない」
「それはそうだけど、落ち着いて考えるんだ。現在の騎士団の状況とその工場の場所を」
言ってライは机に広げられている租界の地図を指で叩く。
「租界でも総督府に近い場所にその工場はある。となれば警備は厳重だろうし、脱出ルー
トも限られる。
仮に襲撃が上手くいってもすぐさま政庁から軍が駆けつける」
支援
「……サザーランドの十機や二十機、あなたの月下や私の紅蓮なら何とかなるでしょ。そ
れに卜部さんもいるのよ」
「それはそうだが余りにも多勢に無勢。何よりリフレインを手に入れてもこちらにはほと
んど、と言うか全くメリットがない。余りにもリスクが大きすぎる」
騎士団としての立場からしたらリフレイン工場を潰すことは間違っていない。だがこち
らはかつてとは比べものにならないほど弱体化している上、メリットがほとんど無くデメ
リットばかり目立つ。利が全くと言っていいほど得られないこの作戦を実行する気にはな
れない。仮に実行するとしたら最低ラインとして騎士団の戦力が充実してからだ。
「それじゃあ見逃せっていうの!?」
怒鳴り、机を叩くカレン。その鬼気迫る表情を見て、ライは驚きよりも疑問が芽生える。
「……何を、そんなに憤っているんだ? カレン」
正義感が強く、日本人という立場に誇りを思っている彼女ならこの情報にいきり立つの
はわかるが、それにしても熱くなり過ぎだ。リフレイン工場を潰すことばかり考えていて、
その実行の難しさやメリット、デメリットの部分に目がいっていない。
ライの問いにカレンは答えず、ただ彼を睨めつけるばかりだ。刀のように鋭く、烈火の
如く熱を秘めた双眸。しかし何故か目尻にはかすかな涙も見える。
どうしたものかと思い、ライはCCへ視線を送るが、彼女はこちらへ全く視線を向けない。
どうやら傍観することに決めたようだ。続いてライは卜部に視線を向ける。卜部は卜部
で腕を組み、目を閉じたまま熟考している。
いたたまれない沈黙が周囲を満たす。ライは灼熱のようなカレンの視線から顔をそらし、
今一度考える。
――やはり、デメリットが多すぎる
個人的に考えてもできればリフレイン工場は潰したいが、リスクを考えると作戦の実行
にどうしても頷けない。どうやってカレンを諭すべきかライの脳が稼働し始める。
だがそこで唐突に卜部が目を見開き、言う。
「今一度確かな情報か確認し、間違いがなければ工場を潰そうと思うのだが、どうだろう」
「卜部さん!」
「卜部さん!?」
卜部の提案にカレンは嬉しげな、ライは驚愕の声を上げる。
513 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/08(月) 09:13:23 ID:inRRU4Nk
支援
支援
規制かな?
517 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/08(月) 09:41:06 ID:t7SvAiNu
しえん
>>516 だね
支援があるとはいえ、投下間隔が短い気がする
支援
駄目そうかな?
PSPで保管庫のSS読めないのですが…
フレームページは無理じゃね?
一応支援
まさかこの状況で動くことを決意するとは。今一度情報を確認するというのはライへの
配慮だろうが、だとしても――
「リスクが大きすぎます! それに、罠という可能性もある!!」
リフレインはブリタニアから見ても麻薬の一種で取り締まる必要がある。そのリフレイ
ン工場が総督府の近くにあるということ自体おかしいことなのだ。大勢のイレブンがリフ
レインに溺れればゲットーのみならず租界のイレブンにも流れ、大量の中毒者を作り、異
変が本国に察知される。仮にも一エリアの総督に任じられるほどの人物であるカラレスが
ブリタニアを害するような真似をするとは到底思えない。
これはあくまでライの予想だが――もしかしたら各地に潜伏する黒の騎士団を引きずり
出すために流した偽情報だとしたら? 仮に本当だったとして何故今まで噂レベルでもい
いからこの情報が入って来なかったのだ? リフレインを作っている工場は大きい。人員
も多いだろうしゲットーのイレブンに流しているのであれば情報が漏れるにしても、さし
て時間はかからないはずだ。
それに元々もたらされた情報自体怪しすぎる。工場側からしたら危険度の高いはずがこ
こまで明確に場所まではっきりした情報として外に漏れるなど。卜部さんの情報ルートは
入ってくる情報は多いが、デマも多いことはライもよく知っている。もう一度確認すれば
信憑性は高まるだろうが、そうだとしてもやはりリスクが高すぎる。
「だからもう一度確かめるって言ってるでしょ。何もなければ動かない。あれば動く。そ
れだけよ」
工場へ襲撃することが決まっているようにカレンが言う。
再びライはCCを見るが、やはり彼女は興味なさげにチーズくんを弄んでいる。どうやら
周りにライの味方はいないようだ。
「……わかった」
苦渋の面でライは頷いた。そして今回ばかりは卜部の情報が間違っていることを願った。
宵の空を暗雲が覆っている。暗く星や月が見えない空は、まるでライの心情をそのまま
表しているかのようだ。
月下のコクピットの中、作戦開始時間を待ちながらライは何度目か解らないため息をつ
く。目の前のモニターに映る工場は、今回の作戦行動が行われる場所だ。リフレインが作
られている工場だが、表向きは医療の薬品を作っているところらしい。
再度の調査の結果、工場でリフレインを製造していることが確認された。それを聞き今
回の作戦が決行されることとなった。
「何事もないといいのだけれど……」
ライが言っているのは予想外のトラブルのことだ。工場付近の警備や防衛システムなど
はギアスを使って調査、解除済みだ。何事もないのであればすんなりリフレインを消却し
工場を破壊して逃げられるだろう。
だが不安は尽きない。何故か心に何かが重くのしかかる。これは過去に幾度か体験した
ことがある虫の知らせという奴だ。
このような気分になると決まって予想外のこと――しかも悪いことが起こる。ライは起
こりうる可能性のあるトラブルを幾つも想定し、どうやって対処するかを先程から何度も
何度も繰り返している。
そうしている内に作戦時間が来た。ライは月下を起動させ、隣の紅蓮、卜部の月下と共
に工場へなだれ込む。
電灯のつかない工場内は普通の人間では一寸先も見えない。月下のカメラで電灯のスイ
ッチを確認したライは一般隊員達に明かりをつけるよう伝え周囲を警戒する。
光が工場内を照らすと、積まれた段ボール箱へ駆け寄る団員達。徐々に聞こえるサイレ
ン音にライは月下の操縦桿を握り直す。
『……何これ!?』
遠鳴りだったサイレン音がはっきり聞こえてきたときに、カレンの素っ頓狂な声が響く。
『どうしたんだ、カレン』
『これは…リフレインじゃないわ!』
『――その通り。まんまとはまってくれたな。黒の騎士団』
卜部の叫びに返すように突如聞こえてくる男の声。カメラを向ければ工場に設置された
スピーカーからその声は響いている。
『死にゆく愚かな下等なイレブン共よ。冥土のみやげとして我が名を名乗っておこう。
私はカラレス。エリア11を治める総督である』
『これはどういうこと! ここではリフレインを製造してゲットーの日本人を餌食として
いるはず! なのに何故こんなものがあるの!』
カレンの叫びを聞き、カラレスは嘲りの声を上げる。
『馬鹿か貴様は。皇帝陛下の忠実な臣下である私がブリタニアを害するものを作ることを
政庁の膝元で許すはずは無かろう。
だがここでリフレインを作っていた、というのは半分真実ではある』
そこまで聞いて、ライは全てを理解した。そしてすぐさまコクピット内に設置された赤
色のボタンを押す。
『認めたくないことではあるが我らが同胞にも愚か者はいるのだよ。ここは医療に使用さ
れる薬品を作る工場だが、その環境を利用して前責任者は一部をカモフラージュしリフレ
インを製造してイレブンどもへ売り、私腹を肥やしていたのだよ』
すると妙な音が蒼の月下より響く。それを聞き一般団員達はすぐさま工場から姿を消す。
月下に設置したエマージェンシーコールだ。作戦中、予想外のことが起きた場合に使用
されるそもので、今頃彼らはライが用意した脱出ルートを使って逃げているはずだ。
『それが発覚したのはつい最近のことだ。当然前責任者は罰したが、これは貴様達を誘き
寄せる格好の餌になると判断したのでな。わざと情報を漏らしたのだよ』
『その答えは、完全じゃないな』
『ライ!?』
月下のモニターを見ながらライは淡々と言う。センサー類を強化した蒼の月下のモニタ
ーには工場の周囲に集結している敵機を映している。
それを眺めながら、ライはコクピットの側面に設置された赤いボタンを何度も何度も押す。
『ここで製造したリフレインは処分せずゲットーに住む一部の日本人にわざと横流しをし、
その噂を広めるよう言っておいたんだろう? 騎士団に確実に情報が届くように。
実際、多くのリフレイン中毒者がいれば、噂にも信憑性が立つからな』
今回の作戦が実行された一つの要因として、騎士団の団員がリフレイン中毒者の集まり
を目撃し、彼らから話を聞いたという事実がある。その後ライは団員から中毒者達がどこ
にいるかを聞いたが、訪れたその場所に中毒者達が現れることはなかった。
その後も噂が絶えなかったことを考えると、おそらくは故意に情報を流出していること
が騎士団側に知られないようにするため、中毒者達には場所を変えるよう指示でも出した
のだろう。
支援
『ほう、そこまで理解するとは。下等なイレブンにも、少しは頭が回る奴がいるようだな』
変わらぬ嘲りの声が聞こえるスピーカーにライは月下の飛燕爪牙で返答する。
「カレン、卜部さん。ルートZ1を使って逃げます」
「…う、うん」
「わかった。だが外はすっかり囲まれているな」
先程より増えた敵の数。僅かに焦燥をにじませる卜部の声。しかしライは平然として言う。
「何この程度なら僕たち三人でも何とかなりますよ。――解っていると思いますけれど考
えるべき事は無事に逃げ切ることです。最悪機体が損傷しても破棄して逃げるんです」
ラクシャーター、もしくはロイド当たりが聞いたら怒りそうな言葉だな、とライは内心で呟く。
入り口に向けて月下をゆっくりと移動させる。カメラやモニターに映る無数の光を見て、
改めて敵機の数を確認する。
こちらのKMFの数を軽く十倍は超えている数だ。だがライはひるまない。大勢ではあ
るが絶望的な数ではないし、今ここにはスザク達ラウンズもいない。この程度で怯んでな
どいられない。
「ゼロが帰ってきて日本を解放するまで、僕らは死ぬわけにはいかないんですから」
力強く言って、ライは光の群れに向けて月下を疾走させた。
「カレン、右上に三! 卜部さん、後方から追ってくる二機へ牽制をお願いします!」
深夜に包まれたトーキョー租界を三機のナイトメアが縦横無尽に動き回っている。
先頭を走るのはカレンの紅蓮二式。真ん中がライの乗る蒼の月下、最後尾が卜部の月下だ。
狭い街中で、次々とわいて出てくるサザーランドやグラスゴー。もし真っ向勝負ならば
瞬時に撃破できる相手。しかし当初の予定通り、三人は逃げて逃げて逃げまくっていた。
カラレスは今晩、本気で黒の騎士団を壊滅させるつもりだったのか用意したナイトメア
の数が半端ではない。さしものライ達も逃げるだけでも一苦労である。
蟻のように群がるブリタニア軍に紅蓮二式や卜部の月下は大忙しだ。だが三人の指揮を
執るライは特に苦労している。目まぐるしく解る周囲の状況を把握し、予測し、最短かつ
安全なルートを取捨選択し続けている。それだけでも大変だというのに二人の手が回らな
かったときにはフォローもしている。
支援
正直なところ、このような状況にもかかわらずライが少しの動揺も見せず、能力を遺憾
なく発揮できているのは数ヶ月だけとはいえブリタニア軍人としてシュナイゼル式の元で
戦ってきたことが大きい。
元々指揮官に必須な能力を持っていたライだが、ブリタニア軍での自主学習と戦場の経
験が積み重なり、ライ・ランペルージ卿の時でも並ならぬ能力を発揮。さらに王であった
頃の記憶とライ・ランペルージの記憶を取り戻した今、それは常軌を逸したレベルのもの
へとなっていた。
目の前のサザーランド二機を紅蓮の飛燕爪牙とライのハンドガンがそれぞれ右足、頭部
を吹き飛ばす。よろめく二機の間を鮮やかな動きですり抜ける紅蓮と月下二機。
「よし、もう少しで租界から出られるぞ」
『ええ!』
『今回はだいぶ損傷したからな。アジトに戻り、早いところ機体の整備を行わなければ』
卜部の言葉にライは目を見開き、低い声で言う。
「……いえ、アジトには戻りません」
『え? 何でよ』
心底不思議そうなカレンは言う。どうやら卜部もカレンも気づいていないようだ。
「アラカワゲットーに小さいですがアジトがあります。そこへ向かいます」
『アラカワって……どうしてそんな遠くのアジトに行くのよ』
租界外縁部とその前に立ちふさがるブリタニア軍のKMFをカメラは捕らえる。
「二人とも、おかしいとは思いませんでしたか。僕たちはあの工場へ襲撃をかけました。
しかしカラレスはこちらが来ることが解っていたかのようにスピーカーで話しかけ、多く
のナイトメアも用意されていた」
『え?』
『……!』
惚けたようカレンの声と、息を呑む卜部の様子が聞こえる。
とりあえず最後の障害を排除するべく、ライは月下を疾走させる。突然加速したライの
月下に紅蓮や卜部の月下は追いついてこられない。
支援
支援
支援
サザーランドとグラスゴーの混成部隊。数は五機。放たれる銃弾を蒼の月下は鮮やかに
舞ってかわす。
懐に入り込むと同時、廻転刃刀がサザーランドの胴体を斜めに切り裂く。続いて側にい
たグラスゴーへ飛燕爪牙を放ち、頭部を吹き飛ばす。
瞬きした次の瞬間、斜めに両断されたサザーランドが爆発する。ライは月下をさらに前
進、加速させる。
残る敵機は慌てた様子で銃を構えるが、その動きは余りにも鈍重だ。流星の如き速さを
見せるライの月下は一番近くの敵には廻転刃刀をたたき込み、後方に残っている二機には
ハンドガンの銃弾を撃ち込む。
三機が砕ける様を見ず月下を振り向かせ、頭部を無くしたグラスゴーの元へ跳躍。コク
ピットブロックに逆手に構えた廻転刃刀を突き刺す。
僅か数十秒で排除は終わり、同時に追いつく紅蓮と月下。
『…ねぇ、ライ』
震える声でカレンが話しかけてくるが、ライは答えず月下を走らせる。外縁部を爆破し、
三機のナイトメアはゲットーへ降り立つ。
しばらく廃墟だらけのゲットーを走り、隠れる場所を見つけ身を隠す。
『それじゃあ、アジトは、残っているみんなは……』
「カラレスと話している間にアラカワゲットーのアジトに向かうよう暗号電波を送っておいた。
ブリタニア軍から襲撃されるより前に暗号電波が届いていれば、逃げているだろう」
ライの言葉に、重苦しい沈黙が周囲を満たす。
『……私、ちょっとアジトに行ってくる』
「カレン!?」
『すぐアラカワゲットーに向かうから、二人は先に向かってて』
『……な。待て、紅月!』
慌てた様子の卜部が声をかけるも、紅蓮は高機駆動走輪を回転させアジトの方へ走り去
っていく。
『くそっ。ライ、後を追うぞ』
「はい!」
小さくなった紅蓮の後を慌てて二機の月下が後を追う。フルスピードを出しているのだ
ろう、ライの月下は紅蓮の姿を見失わないようにするので精一杯だ。
支援
支援
十数分ほど疾走し、アジト前にたどり着く。立ちつくす紅蓮の横に並び、そして眼前の
光景を見て、ライは唇を噛みしめる。
「…!」
視界に映る崩れたアジトに使用していた廃墟は炎に抱かれ、黒煙を吹いている。ひび割
れ、砕けているコンクリートの地面にはサザーランドのライフルの弾倉が転がり、ランド
スピナーによって刻まれた爪痕がいくつも見える。
そして周囲に散らばっているかつて人だったものやその一部、闇に隠れて見えないがお
そらくおびただしい血痕も残っているだろう。破壊された無頼の残骸も見える。
「く……!」
――こうなるべき事を、予期しておくべきだった……!
この惨劇はライの責任だ。こちらの襲撃が読まれていると想定した時点で、黒の騎士団
内部に相手の内通者がおり、自分たちが不在の間にこうなる可能性も考慮しておくべきだった。
一体どれだけの人員を失ったのか。無事に逃げたものはいるのだろうか。罪の意識に震
える体を必死に押さえ、冷静さを失わないよう必死に感情を抑え込む。
『……うああああああっ!』
獣のような咆哮を放ったカレンに、ライははっとなる。ランドスピナーを唸らせ、真紅
の機体が跳躍する。
「カレン!? どこへ……!」
叫びじみた問いをライが放つがカレンは答えない。赤のナイトメアが遠ざかっていく。
慌ててそれを追うライと卜部の月下。
『ライ! スピーカーのセンサーを最大値まで上げてみろ! 銃撃の音が聞こえる!』
紅蓮を追う最中、卜部に言われたとおりセンサーを上げる。すると進行方向より銃撃や
爆発音が聞こえてくる。
「…!」
銃撃の正体はすぐに判明した。アジト近くのゲットーでサザーランドやグラスゴーが周
囲を蹂躙している。
「団員はこちらに逃げたのか!?」
思わず声に出してしまうライ。答えは返ってこない。
支援
『紅月! 待て!』
卜部の静止も空しく、甲壱型腕を振り上げた紅蓮がブリタニア軍へ突っ込んでいく。
それとライと卜部の月下に気がついたサザーランドらは一斉に機体をこちらに向ける。
「くっ! カレン!」
すかさずフォローに入るライ。牽制の銃弾を放ち何機かの注意を自分へ向けさせる。
「落ち着けカレン! 今の状況で戦ってもこっちの負けは確定的だ!」
工場より全力で逃走したときにエナジーの半分を使いきっている。ライの月下がそうな
のだから他二機も同様と見ていいだろう。
眼前に映るだけのサザーランドならどうにかなる。しかしモニターには次々敵機の光点
が現れ出す。その数は三十、いや四十以上だ。
廃墟や瓦礫を壁にして目まぐるしく攻撃、回避、牽制を繰り返す青の月下。しかし徐々
に周囲にはサザーランドの数が増えてくる。ライの表情が焦りを帯び、冷や汗が頬を伝う。
「南東の方角は敵の数が少ない! 一転突破して逃げるぞ!」
『そんなことできるわけないじゃない!』
十手ナイフ──呂号乙型特斬刀をサザーランドから引き抜く紅蓮。悲痛なカレンの叫び
が機体から響く。
『ここのゲットーの人達も、アジトの皆だって……。私が、私の軽率な行動で殺したよう
なものなのよ!
それなのに尻尾を巻いて逃げるなんて、できるわけないじゃない!』
十近いミサイルを跳躍してかわす紅蓮と青の月下。すぐさまその方向へ爆走する紅蓮。
主の激情のまま戦場を舞う紅蓮。豹のごとく力強さとしなやかさが兼ね備わった動きだ
が、今日は感情が理性を抑え込んでいるのか無鉄砲、無防備な姿が多くみられる。
並のパイロットならば数回は撃破されているだろうが、パイロットとしての彼女の腕と
本能がそれらを回避、防いでいる。
だがいつまでも持つというわけでもない。ライも必死に援護、フォローに回っているが、
このままでは卜部も含めて全滅は必至だ。
「責任は君だけにあるわけじゃない! 僕にだってあるし、卜部さんだってそうだ!」
『だけど! 私が、リフレインにこだわったから! いくらお母さんのことがあったからって──!』
支援
輻射波動でまた一機撃破する紅蓮。すぐさま反転した別のサザーランドに向かっていこ
うとしたその時、
「っ! カレン!!」
月下のカメラが今撃破された敵機の近くの廃墟の影に、大型キャノンを構えたサザーラ
ンドの姿をとらえる。
咄嗟にキャノンの射線上にライは月下を走らせる。砲弾が発射されたのと同時、青の月
下はその先へライフルを撃つ。
「ぐあああっ!」
敵機の撃破が確認されたと同時、砲撃を受けた衝撃に体が揺さぶられる。あまりの激し
い揺れに体は揺さぶられ、体や頭が幾度もコクピット内部に激突する。
『ライ──!』
途切れ途切れの意識の中、カレンが叫ぶ声が脳裏に響く。今にも落ちそうな意識を歯を
食いしばり、引き留める。
『ライ、ライ!!』
「……だ、大丈夫。それよりも早く、ここから……」
かすかな放電がコクピット内で踊っている。気力を振り絞り、ライは機体の損傷具合を
確認する。
『だ、だけど……』
『撤退するぞ! 紅月』
モニターに映っていた二つの敵機を撃破した卜部の月下がそばに寄ってくる。
『卜部さん…』
『しっかりしろ! ここで死ぬ気か! 今は逃げることだけを考えろ!!』
『っ! ……わかりました。ライ、月下は動ける?』
「……いや、駆動系をやられたようだ。まともに動けそうにない。すまないがコクピット
ブロックを持ってくれ」
近距離で大型ランチャーの砲撃をまともに受けたせいか、月下は想像以上に激しく損傷
していた。
支援
左碗部が完全に破壊され、左脚部も動作不良を起こして動かない。また全体の稼働系に
も影響しているのか、無事な右碗部や脚部もレスポンスがさっきとは比べものにならない
ぐらい低下している。
──こんな形で、月下を失うなんて……!
悔しさに歯噛みし、ライは月下本体の自爆スイッチを入れて、コクピットブロックを分
離させる。
『よし、撤退するぞ!』
卜部の声と同時に大きく揺れるライの体。小さな振動が体を揺らす中、耳に聞こえてく
る爆発音。
「ごめんな。月下……」
失ってしまった相棒へ、ライは謝罪の言葉を放つ。その時、ふと額から何かが流れてく
る感触がする。
ふと手をやり、見ると、額へ触れた指先は真っ赤に染まっている。
「さっきの攻撃で……」
力なくつぶやき、ライの意識は闇に落ちた。
気がつき、ライの視界に入ったのは二つだ。
ひとつは薄汚れた天井、もう一つはその天井に備え付けられた小さな電球。
体は重く、気だるいが動けないというほどではない。ゆっくりと視線を周りに向ける。
いくつかのベットに薬瓶らしき瓶がいくつも並べてある棚。入口だろう扉のそばには診
察室にあるような机といすが並んでいる。
そこまで確認して、ライはここがどこなのかを思い出す。
「アラカワのアジトか……」
つぶやき、同時に無事に逃げてこられたと言う事実にほっとするライ。
あちこちに包帯が巻かれ、絆創膏が張られた体を起こそうとしたとき、ゆっくり入口の
扉が開かれる。
「カレン……」
「……ライ! 目が覚めたのね」
柔和に微笑むカレン。久しぶりに見るその表情にライは一瞬目を奪われる。
支援
「ダメよ、まだ動いちゃ」
体を起しかけていたライを、カレンが優しく抑える。
「ここはどこなんだ?」
「アラカワゲットーのアジトよ。まったく、びっくりしたわ。ここへ到着してコクピット
ブロックを開け得たらあなた気絶してるんだもの。
あれから丸一日眠り続けていたのよ」
「状況は、騎士団の皆は……」
カレンの表情から笑みが消える。わずかに顔が俯く。しかし視線はまっすぐライをとら
えている。
「……あなたの知らせのすぐ後に襲撃を受けたらしいわ。さすがに全員、とまではいかな
いけれど、無事な人たちもいるわ」
「……そう、か…」
安堵の息を吐き、ライはゆっくりベットに体を横たえる。
「……ごめんなさい」
「カレン?」
「あなたは自分や卜部さんにも責任があるって言ったけれど、今回のことは、やっぱり私
に責任があるわ。
死なせてしまった人たちのことも、あなたの負傷も」
「カレン、それは──」
「あの情報を聞いて、私が熱くならなければ、あなたの言うことを聞いていれば、このよ
うなことにはならなかったもの。
馬鹿よね、私。こういうことは私よりもあなたやルルーシュの方がずっと優れているっ
てわかってたのに」
自嘲の笑みをカレンは浮かべる。目じりには涙が浮かび、少しでも刺激すれば泣き出し
そうな表情だ。
その光景を想像し、胸が痛む。ライはそっと、優しく言葉をかける。
「…カレン。どうしてあそこまでリフレインの工場を破壊することにこだわったんだ?」
長い、長い沈黙の後、カレンは口を開く。
「……私のお母さんも、リフレインを使用していたの」
「カレンの、お母さんが?」
支援
支援
普段のカレンとはまるで違う、か細く弱弱しい声で彼女は語りだす。
それはライの知らぬ話だった。そしてライは、彼女が日本解放を目指し、日本人として
黒の騎士団で戦う理由を理解した。
自分がルルーシュやナナリーが幸せに暮らせる世界を作るため戦うように、彼女は母親
と再び親子として暮らせる場所を作るために戦っていることを──
「なるほど。それを聞けば君の激昂ぶりも納得がいく……」
「……でも、私が頭に血を上らせたせいで、あんなことに……」
そこまでいってカレンはうつむき表情を隠す。全身が細かく震え、膝に固められた両の
拳に水滴が落ちる。
ライは何も言わず、視線を逸らす。今度は何も言葉を発しない。
「…ねぇ、ライ」
室内に響いていたかすかな嗚咽の音が収まったとき、涙交じりの声でカレンが訪ねてくる。
「なんだ?」
「どうして私をかばったの?」
あまりにも唐突な質問に、ライは目を丸くする。
「……どうしてって、なぜそんなことを聞くんだ?」
「だって、あなたは私たちと違って日本解放のためにここにいるわけじゃない。ルルーシ
ュ達のためにここにいる。そのあなたが……」
不安げで不思議そうにこちらを見るカレンにライは愕然として、次にカチンとくる。
疲労や痛みのせいか、内なる思いを躊躇することなく口に出す。
「好きだからだよ」
「……え?」
「僕は君のことが好きだ。大切な人だ。戦友であり友達だからだよ。
確かにルルーシュとナナリーの二人は大切だよ。だけど大切な人が彼らだけだなんて、
僕は一度も思ったことはないし、言った覚えもない」
何故か固まるカレンにライは感情に突き動かされるまま、彼女への思いを、内情を激流
のような勢いで吐露していく。
ルルーシュとナナリーのために騎士団を利用する、という思いもある。だがそれとそれ
だけの思いで自分は戦っているわけではない。エリア11へ戻ってきたわけではない。
支援
支援
「ミレイさんたち生徒会メンバーはもちろん、今ここにはいない扇さんや玉城さん、藤堂
達も、僕にとっては大切な友達で、仲間だよ」
記憶を探し、ギアスに恐れ、戸惑う中、彼らの存在がどれだけライを癒してくれたのか。
ルルーシュやナナリーに比べるほどでないにしろ、彼らもライにとっては大切な人たちだ。
「カレン、僕がアッシュフォード学園や黒の騎士団にあれほど早く馴染めたのは君のおか
げなんだよ。
学園では記憶を通り戻すためいろいろな場所を案内してくれたし生徒会の仕事も手伝っ
てくれた。いろいろなことも教えてくれた。
騎士団ではナイトメアの模擬戦や任務でも君は近くにいてくれた。ブリタニア軍と戦う
時も君がそばにいると誰にも負けない、何でもできるような気がした」
今では一番大切な二人ルルーシュとナナリー。しかし最初からあの二人と仲が良かった
わけではない。
記憶をなくし、人や物事に無関心な自分へ最初に親身に接してくれたのはミレイとカレ
ンだ。この二人があってはじめてライは生徒会の中に入り込めた、あの二人と親しくなれ
たといっても過言ではない。
そして黒の騎士団ではただ一人の顔見知りだった彼女。学校とはまるで違う姿や性格だ
ったが、入ったばかりの自分を気遣う態度だけは全く変わりがなかった。
そして戦場で紅蓮を駆るその勇壮かつ鮮烈に輝くその姿は、生と死が入り乱れる場所に
あって誰よりも頼りに思え、美しく思った。
「君は僕にとって大切な友人だ。かけがえのない人だ。嘘じゃない、誓ってもいい」
そう言いきってカレンを見つめると、ライの表情は訝しげなものへと変わる。
「……カレン?」
「え? あ、な、何?」
「どうしたんだ、顔を赤くして……」
どういうことなのか、カレンは熟しきったリンゴの如く顔を真っ赤にしている。
先ほどとは一変したその様子にライは先ほどの感情の乱れも忘れ、心配げに言葉をかける。
「もしかして風邪でも引いていたのか? すまない、気がつかなくて」
支援
「ち、違うわ。なんでも、ないの」
頬の赤みがさらに増し、慌てて離れるカレン。
「そうか? 無理してないだろうな? ここに来たのも僕の見舞だけじゃなくて薬を取りに──」
「へ、平気よ! 風邪なんて引いてないから! 本当に、平気、だから。……あ、そうだ。
お腹空いてるわよね。ちょっと待ってて、すぐご飯を持ってくるから」
ひどく狼狽しているカレン。慌てた様子で立ち上がり、部屋から出て行ってしまう。
「……何なんだ? 風邪も引いていないのに赤くなるなんて。カレンの奴、本当に大丈夫
なんだろうか…」
カレンのおかしな態度に首を傾げるライ。と、再び扉が開く。
「目が覚めたか」
「CC。無事だったか」
「当然だろう。私はあの程度で死にはしない」
不敵な笑みを浮かべた彼女は腕と足を組んだ尊大な姿勢で椅子に腰を下ろす。
「怪我の具合は悪くないようだな」
「ああ。あと一日程度休めば問題はないとは思う」
「確かにな。だがこの左腕はそうではないようだな」
包帯が巻かれた個所へ、そっと触れるCC。ひんやりと冷たい彼女の手が心地いい。
「……知っていたのか」
「お前が倒れてここに運び込まれたときに聞いたのさ。これはどうした。戦闘中のものではないな」
「スザクと刃を交えたことは話しただろう。その時のものだ」
言うと、CCはそれ以上何もいわない。手を離し、席を立つ。
「……CC。ブリタニア軍の襲撃でどれぐらいの団員が死んだ?」
「六割…いや、七割ほどかな」
まるで明日の天気を言うかの如く、あっさりとした口調でCCは言う。
「……多いな」
「仕方があるまい。お前が教えてくれた直後、アジトのレーダーにサザーランドが引っ掛
かったのだ。
私や他のものを逃がすために無頼や生身で戦ってくれた戦闘班は壊滅状態だ」
支援
「そうか……」
「ちなみに今日のニュースでは昨日の騒ぎはいつもの通り、テロリスト撲滅のため軍が出
動したということになっていた。
近くのゲットーを襲ったのも、テロリストが逃げたからだという」
「そうなのか?」
「馬鹿を言え。ブリタニア軍が襲ったゲットーはこことは正反対の位置にある。どうせカ
ラレスが我々への見せしめのために、近くのゲットーを襲うよう指示を出したのだろう」
CCの確信じみた予想は、決してはずれではないだろう。カラレスという男は、そんなこ
とは平然とやってしまう男だとライも知っているからだ。
「焦るな」
己の不甲斐なさ、ルルーシュ、ナナリーの奪還、黒の騎士団の編成──。そのほか様々
なことに対し自己嫌悪と焦燥感を感じていた時に、唐突に飛び込んでくるCCの言葉。
ライを見るCCは普段の冷淡な表情に見える。しかしそこにわずかだが気遣いのようなも
のも感じられる。
以前とは明らかに違う彼女の変化にライは驚きつつも、ぶっきらぼうに答える。
「……わかっている」
「だと、いいがな」
出ていくCCを見送って、再びライは天井へ視線を向ける。
今回の作戦の失敗で、一体どれだけの被害が出たのだろうか。自分の月下も失い唯でさ
え少なかった騎士団人も七割も失ってしまうとは。
黒の騎士団をつぶせなかったことによりカラレスは今以上に日本人や黒の騎士団らの抵
抗組織の弾圧を激しくするだろう。今の騎士団に、それを耐えることはできるのか──
先のことを考え懊悩していると、突然勢いよく入口の扉が開かれる。
驚き身を起こすと、目にしたのはお盆を持った態勢で右足を上げているカレンだ。
「何、してるんだ」
ライは思わず唖然とした声を出す。
「何って、ほら。食事を持ってきたのよ」
開いた扉を再び足で閉じ、そばにやってくるカレン。そしてライを見て怪訝そうな顔になる。
「……どうしたの。暗い顔して」
支援
「え、いや。別に」
ライは内心を悟られまいとカレンからお盆を受け取る。盆の上に乗っている器にはお湯
に浸された白米と野菜が入り混じっている。
「これは?」
「お粥よ。日本で病人に食べさせるといったら、これよ」
「カレンが作ったのか?」
「そうよ。味は問題ないとは思うけど……まぁ、食べてみて」
言ってカレンは盆の上に乗っているスプーンのようなものを渡してくる。
ライは受け取り、器の中身を救って口へ運ぶ。
程よく柔らかい米と野菜が口の中でうまい具合に混じり合う。薄く味付けもされており、
なるほど、これは──
「うん。おいしい。体が温まる」
「……よかったぁ」
子供のような無邪気な笑みを見せるカレンに、ライは思わず微笑する。
彼女に感謝するようにライは一口一口味わって粥を口に放り込む。気がつけば器の中身
は空となっていた。
「ありがとう。美味かったよ」
「どういたしまして。──ところで、さっきは何を悩んでいたのかしら」
盆を受け取ると、カレンは唐突に聞いてくる。
まっすぐな彼女の視線にライは思わず口に出しかけるが、何とかそれを抑える。
「……いや、大したことじゃないよ」
心配させまいと笑みを浮かべて言ったのだがなぜかカレンは眉を吊り上げる。
「ライ、さっきあなた言ったわよね。私は……友達。仲間だって」
途中、何故か躊躇して、頬を染めてカレンは言葉を紡ぐ。
「あ、ああ」
「その悩みごとに、私は力になれない?」
「それ、は」
力になれなくはない。黒の騎士団の問題は彼女にも関わることだ。
だが現状その問題はどうしようもない。だから話すことは──
「ぁ」
支援
小さくかすれた声をライは出す。それは目の前にあるカレンの真剣な、しかしどこか不
安げな表情を見て、気がついたのだ。──彼女のつれなかった態度の原因は、自分にあっ
たことを。
騎士団と合流し、そのさんざんたる内情を見た自分はいつの間にか彼女を──さらに言
うなら卜部やCCも──頼らなくなっていた。戦場においての戦力としては信頼を置いては
いたが、それ以外では大したことはできない、と勝手に決め付けていた。それの証拠に騎
士団の内政は全てライが一人受け持っていた。協力も求めなかったし、相談さえもしなかった。
──何をやっていたんだ。僕は
そのような態度を自分が取ればカレンの態度にも納得がいった。そしてそんな態度をと
っていた自分を、強く恥じる。それはどう見ても友人に対する態度ではない。
――ルルーシュとナナリーが幸せに暮らせる世界を創る。その為ならばカレンさえも利用
するのだから、そのような気遣いはいらないと思うが
内に潜む冷静な自分が語りかけてくるが、ライは納得しない。今の態度を変えない限り、
カレンとの仲は修復されない。騎士団の双璧たる二人がその本領を発揮できないとなると
戦力に大きく影響してくるし、ライが望む未来が訪れないことにもなりかねない。
――いや、そんなことは関係ない
カレンはルルーシュの全てを、そして過去のライを知って、なおかつ信じようとしてい
る。そんな彼女を駒として利用するなど、彼女のみならず友や自分への侮辱に他ならない。
「いや、そんなことはないよ」
そう言うと輝くような笑みをカレンは見せる。それを見て、ライは心が安まるのを感じる。
正直なところ、ライの最優先事項はランペルージ兄妹のことだ。騎士団の掲げる日本解
放がなされずとも、自分の望みが叶うのならばそれでもいいと思っていた。
だが、自分を助けてくれた友人であり、自分の全てを知る戦友であり、自分を信じよう
としている彼女――紅月カレンの想い、願いを知った以上、それ無視することはできない。
今のライは友人への友情に報いるためにいるのだから。
――やるべき事が一つ増えたな
穏やかな表情のカレンと話しながら、ライは"ランペルージ兄妹の幸せな世界"の横に
"日本解放"という新たな項目を追加した。
つづく
支援
支援
9話終了です。前回久しぶりの投下にもかかわらず覚えていてくれた方々と、支援してくれた皆さん、ありがとうございます。
以前申し上げたとおり日本編は今回で終わり、次からはR2本編にオリジナル展開を交え
た話になります。今回も前回同様センスのない題名通りのお話です。
前回の最後を読めばわかりますが仲違いした二人をどうやって仲直り出せるか。足りない
頭で考えたところ、カレンの事情を使わせて貰いました(このSSはギアスEND後なの
で、カレンの事情は知りません)
あとランペルージ兄妹第一だったライの中で、カレンのランクがアップしています。これ
が後々伏線として使えるような使えないような……??
それではまたお会いしましょう
>>560 RC卿、乙&GJでした!
満足感と何故か達成感をかんじました
このように長い文章を書くのは大変だと思いますが、頑張ってくださいね
カラレス総督を凄いとかんじる日が来るとは……
ライの苦悩?も解決したようですし、次回から本編突入とのことで
全力を挙げて続きを楽しみにさせていただきます!
RC卿、GJ。
ここでカレンフラグですか。
ああ、これからどうなる、どうするライ。
RC卿GJでした!
流れを切って申し訳ないのですが、一晩明けて読み返したら、文章や改行がおかしいと思う箇所があったので修正しました
また、一部表現を画像掲示板に合わせるなどの変更をしました
(基本的な内容は変わっていません)
絵板管理人様
個人的見解ですが、文字数制限などで不可能でないならば、絵板の注意書きに以前こちらに書き込まれた
・画像の持ち帰りについて
・画像の削除について
の二点を入れておいた方が良いのではないかと思います
ご検討ください
関連外部板として、ロスカラSSスレ派生画像掲示板(
http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic)があります。
自作画像を画像掲示板に投稿したい&SSスレに投稿報告したい方は画像掲示板の注意も精読の上、以下のガイドラインに従ってください。
(画像投稿報告ガイドライン)
1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
例:
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像板の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など、
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(不適切な例:ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)
すみません
トーマス卿
今気づきましたので修正のお願いを…
>>369の
どうやらこの甲冑は売り物らしい。
の後に
ただ、気になるのは値札の横に小さく『夜になると勝手に暴れ出すので注意してください』と書かれているのだが…
と入れてください
出来ればでいいのですいませんお願いします
>>563 ご指摘ありがとうございます。
絵板の注意書きに削除についての文言を加えました。
文字数制限(300文字)がきびしかったこともあり現状の妥協点に・・・
以前明示した、「投稿作品の蓄積保管をしないこと」に関しては
当方がSSスレでの「画像版の保管庫」になるつもりではないということ、
従って永続的に作品を閲覧できる状態にはならないということを
はっきりさせておくために提示させていただいた点であったこと、
また、投稿掲示板側で「お持ち帰り」の件に触れてそれ推奨することになるような?
文言も奇妙かと思ったことからもこちらを削ることにしました。
(投稿掲示板でログが流れてそれきりになるのは一般的な仕様だと思うので
それほど問題はないのではとも考えました。
ログは200件ほど残るそうなので早々に作品が消えることはなさそうです。)
もし、ご指摘の点と筋違いの理解をしているようでしたら申し訳ありません。
>>560 乙です!
感想で書きたいところが色々あったはずのに終盤のツンデレで全て頭から吹っ飛んでしまった。
カレンかわいいよカレン。
19:00頃に投下します。前書き、あとがき含めて12レス分になるので、
支援お願いします。
支援
ありがとうございます、そろそろ投下します。
作者:余暇
タイトル:白銀の騎士、再び 第三話「ライの決意、ノネットの想い」
(追加設定)
・R2時点でマリーカは15歳だったので、ほぼ一年前の今作は14歳の設定。
・親衛隊ルートを通ってるので、シュナイゼルとライの直接の面識はなし。
今回はEUとの停戦協定が締結される前日の話が中心。
ノネットさん視点で話は進みます。
『白銀の騎士、再び』
第三話「ライの決意、ノネットの想い」
マリーカが私の屋敷に来た日の夜。私、ノネット・エニアグラムは自室で考え込んでいた。
「ライの奴、本当に大丈夫なんだろうな。まあ、夕方には治っていたから大したことではなかったんだろうが……。」
私はこの屋敷の居候にして、将来はラウンズの座も狙えると期待している、あの男のことを気にしていた。
「あいつはちゃんと、キューエルの最期をマリーカに伝えられるのだろうか。精神的な負担にならなければいいが。」
いくら以前に比べて体調が落ち着いているとはいえ、長時間他人と接するのは慣れていない。もしまた、以前のように……。
「いや、電話で話した時、あいつの意思は固かった。私が止めたところで意味はないだろう。せめて、見守ってやらねば。」
私は、EUとの停戦協定が結ばれる前日のことを思い出していた。
EUとの停戦協定が締結される前日、アヴァロンにて。
「停戦協定、でありますか。」
私とルキアーノはシュナイゼル殿下に呼ばれ、停戦の旨を告げられた。
「EUには今回の作戦で大きなダメージを与えることができた。向こうは互いの利権が絡んで結束力が大幅に低下し、
これ以上の戦闘は無理だと思ったらしく、先ほどこちらに停戦の意思を伝えてきたよ。」
「加えて、こちら側の被害も大きいのと、兵たちの士気低下も著しく、
これ以上続けても被害を大きくするだけと殿下が判断なされたのです。」
殿下と、その副官のカノンが事情を説明した。
「じゃあ、他の戦線はどうなんだ?ここはすぐにでも協定を破棄されそうなのか?」
ルキアーノがカノンに尋ねる。
「残念ながら、EU戦線はしばらくの間平穏を保てそうですわ。それと、他の戦線もすごく落ち着いていますの。
敵方の体力が相当弱ってきているみたいですよ。ブラッドリー卿はすぐにでも戦地に行かれたいようですけど、ご期待に添えず申し訳ございません。」
柔らかな笑みを浮かべつつ、カノンが答えた。
「けっ、じゃあしばらくは暇なのかよ。そんなのやってられるか。なあ、ノネット。」
ルキアーノが面白くなさそうに吐き捨てた。本当に血気盛んな奴だ。
「ふう、殿下の御前で口汚いぞ、ルキアーノ。それに、私をお前と一緒にするな。戦うのが嫌いなわけではないが、
好きこのんで他人の命を奪おうとまでは思わん。戦わずに済むのなら、それに越したことはない。」
「ふん、戦うのは嫌いじゃねえのに命を奪うのは嫌いだあ?何とも矛盾した思考だなあ、ナイトオブナインさんよお?」
「……言ってろ。」
矛盾しているのはわかっている。戦場で強い相手と相対した時に心躍る瞬間はある。だが、たとえどんな人間でも、
軽々しくその命を奪っていいものではない。だから、軽い気持ちで人の命を弄ぶこいつは嫌いだ。
574 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/08(月) 19:07:55 ID:KIZeT7T1
支援
「まあ、それぞれ思うところはあるだろうが、明日にはEU戦線は一旦作戦を終了する。」
シュナイゼル殿下が口を開いた。
「幸い他の戦線も落ち着いているから、兵士たちには束の間の休息を与えようと思う。訓練を再開させるまでの間、
現状から考えて二週間くらいは休ませても構わないと思っている。二人はどう思う?」
「殿下の仰せのままに。さぞ兵士たちも喜ぶことでしょう。」
反対する理由などない。私はすぐさま賛同した。
「…まあ、殿下がそうおっしゃるのなら反対はしませんぜ。俺個人としては、暇なのはご勘弁願いたいですがね。」
ルキアーノも、しぶしぶと言った感じで賛同した。
「ありがとう。では、正式な通達は明日にしてくれ。今日は戦闘は起きていないとはいえ、まだ協定の締結には至っていない。
兵士たちの集中力を削ぐわけにもいかないからね。」
「「イエス、ユア・ハイネス。」」
私とルキアーノは一礼し、退室しようとしたが、
「ああ、エニアグラム卿。少しだけ残ってもらえるかな?」
殿下が私を呼び止めた。何事だろうか。
sage忘れすいません
支援
「確か君は、ライという騎士と知り合いだそうだね。」
殿下が口にしたのは、ライの名前だった。
「殿下、彼をご存知でしたか。」
「ああ、直接の面識はないが、コーネリアや特派のロイド伯爵から話を聞いたものでね。
かなり優秀な人材だそうじゃないか、君もかわいがっているそうだね。」
「ええ、彼はナイトオブラウンズも狙える腕や人格を備えていると、私は考えます。」
シュナイゼル殿下にも興味を示されるとは、コーネリア殿下ではないが、本当に人好きのする男だ。
「エリア11平定や、特区日本成立に大きく貢献したと聞きますが、今は体調を崩して、
エニアグラム卿の領地で療養中なんですって?」
カノンが尋ねてきた。そこまで調べていたか。
「ええ、もう三ヶ月近くになります。初めの頃に比べると大分落ち着いているようですが、まだ軍に復帰するには早いようです。
若いし将来も有望なので、あわてて復帰させる必要もないとは考えますがね。」
「エリア11の女性軍人の中で密かに人気だという、美形の騎士。私も一度、お目にかかりたいですわ。」
カノンが妖しげな笑みを浮かべる。人の趣味をとやかく言うつもりはないが、
ライをあっち方面に目覚めさせるのは、正直気が引ける。
「早く会ってみたいね、彼に。あのコーネリアが認めるほどの人材だ、ものすごく興味がある。
彼によろしく伝えておいてくれないか?私が会いたがっていた、と。」
「わかりました、きっと彼も喜ぶことでしょう。」
私は殿下に一礼し、退室した。殿下の含み笑いの奥に何かが見え隠れしていたが、その真意はわからなかった。
(彼が復帰した時にはうまく私の手札に加えたいものだが、コーネリアが簡単に手放してくれるかどうか。
もう少し様子を見る必要がありそうだね。)
支援
, ' , ' f | l ', ヽ. ,' __ノヽ、_ノヽ_ノヽ_ノヽ、_ノヽ_ノヽ
. / ./ {. { j , } .! / )ちょっとあんた達!!
,' ,' i ヽ、,\-┘ '-y、 i |, ' <
! , ! ! ./,, ==ゝ、 _ノ__,ヽノ 丿 i ! ! いいかげんにDS版コードギアスの黒の騎士団のエースが
t | t ヽ、/ '' 〃_)i. ` ´ rf´)iヾ,ヽ/ 丿ノ 丿 扇さんでもオレンジでも、ましてやヘルマンのおっさんでもなく、
. \ t. ゝ-v’ { i、リ! |f_j| ,'_ / ´ ∠__この私だという事実を認めなさいよ!!
` ‐- !ゝf ‐、 -‐‐' ヽ .ヒタ .fノ ヽ,.-‐- 、,. -‐-、,. -‐- 、,. -‐-、,. -‐- 、,. -‐-
', l } .:::::::::. ,〜-┐ .::::::. }| ヾ、
l ゝ、_` / l ,.' ! }.} 、
ノ _. \ { ,' , イ ヽ ノノ 丿!
t ‐--‐' / `/"ヽ` 、 ヽ - ' _,-'⌒!`` =' '‐-‐' l
` ‐-ッ' ./ { .∧ ` ー ',-' !`i ヽ ノ
私はその足で、ルキアーノの部屋へ向かった。一つ確認したいことがあったからだ。
「ルキアーノ、いるか。」
すぐに扉が開き、奴が顔を出した。
「何だ、俺に何か用か?」
「うむ、ヴァルキリエ隊の休暇はどうするつもりだ?期間はどれくらいになる?」
あまり好きなタイプではないが、努めて明るく振る舞う。
「まあ、一応二週間の予定だぜ。その後演習をする予定だがな。」
「そうか、わかった。ありがとう。」
私は部屋を立ち去ろうとしたが、
「待ちな。」
ルキアーノに呼び止められた。
「何だ、どうかしたか?」
「マリーカを説得しようとしても無駄だぜ。あいつはこのEU戦線が初陣だったのに、それなりの戦果をあげた。
あいつはそのうち、血の味を覚えて忘れられなくなる。何より肉親を奪われたことによる復讐心は消えることはねえ。
あいつが人の心を失うのも…」
「ふざけるな!彼女がどれだけ悩んでいるのか、お前は知ってるのか?自分の手で人を殺すことの重みに
つぶされそうになっているんだぞ。彼女の心は私が守る、彼女の純粋な心を、
肉親を想う気持ちを利用したお前などの思い通りにはさせん!」
「くくく、泣かせるねえ。ま、せいぜい頑張りな。ハハハハハ!」
ルキアーノは自室へと消えていった。
(ふっ、私としたことが、つい感情的になってしまったな。だが、どうしても奴だけは好きになれん。)
私は自室に戻ってすぐに、紅茶を飲んで一息ついた。そして、停戦後のことを考えた。
「やはり、一度マリーカとじっくり話し合う必要がありそうだ。あいつの胸の内を把握しておかねば。
だが彼女を屋敷へ連れていくとなると、必然的にライと顔を合わせることになる。
あいつは果たして、外の人間と触れ合って大丈夫だろうか?だが考えようによっては、
相互作用で二人ともいい方向へ向かうことも考えられる。あいつに確かめてみるか。」
私は、ライに電話をかけた。
『もしもし。』
「やあ、ライ。私だ。」
『あ、ノネットさん。お元気そうですね。』
ライの声が明るくなる。不思議と私もさっきまでの重い気分が軽くなった。
「調子はどうだ?」
『おかげさまで、大分落ち着いていますよ。本当にノネットさんのおかげです、ありがとうございます。』
「いや、最終的にはお前自身の力で立ち直らなければならんのだからな。私はその手伝いをしているだけだ。」
『いえ、それでもノネットさんがいなければ、僕は……。』
「ふふっ、嬉しいことを言ってくれる。」
彼と話すうちに、気分が高揚するのを感じていた。先輩として、保護者として。そして、一人の女として。
(だがあの朴念仁は、どうせ私の気持ちには気づいていないのだろうな。いずれ、はっきりさせねばな。)
「あっ、そうだ。シュナイゼル殿下がお前のことを気にしておられたぞ。
コーネリア殿下やロイド伯爵からお前の話を聞いて、会ってみたくなったそうだ。」
『えっ、シュナイゼル殿下が?そうですか、光栄です。でも、殿下にそこまで言われるほど、自分に魅力があるとは思えないんですが。』
「おいおい、お前はまだそんなことを言ってるのか?コーネリア殿下や私が認めたのだ、もっと自信を持て。」
こいつは相変わらず、人からの評価に対して鈍感な奴だ。
「それともう一つ、明日EUと停戦協定を結ぶことになる。他の戦線も落ち着いているので、一度そっちに帰れそうだ。」
『そうなんですか?ノネットさんがEU戦線に行かれて一ヶ月くらいになるんですよね?今度はどれくらい休めそうなんですか?』
「うむ。一般兵は二週間くらい休めるそうだが、私はラウンズだからな。いつ仕事が入るかわからんし、はっきりしないな。」
『そうですか、大変ですね……。』
ライの声が、少し寂しそうなものに変わる。
「ところで、外の人間に会う気はないか?」
『外の人間?誰か連れて来るんですか?』
「うむ。私の幼馴染なんだが、新兵でありながら他のラウンズの親衛隊に抜擢された子でな、それだけに色々悩んでいるそうなんだ。
彼女の悩みを聞いてあげたくて、そっちに連れて行きたいんだがな。よく気が利く優しい子だから、お前のリハビリにもいい効果が
あると思うんだが、どうだ?と言っても、お前の中にある『やばい何か』次第だがな。」
そう。ライの体に変調をきたし、彼が人と接触することを怖れる原因になった力。それが制御できないなら、マリーカに会わせるのは酷だ。
彼は思案した後、その口を開いた。
支援
親衛隊ルートを通ってもシュナイゼルと会う機会があるんだけど
一回目は特派の施設、2回目は特区会場(確かいたよね)
『大丈夫だと思います。いつまでも怖がってるわけにもいきませんし。それに、もしおかしくなっても、
その時はちゃんとノネットさんに伝えますから。』
「随分と頼られているんだな、私は。まあいい、決まりだな。明後日かその次の日には着くと思うから、
菓子などを用意しておいてくれ。変にケチらず、上等な物を用意しろよ。」
ライに頼られている。どういう感情が彼をそうさせているのかは知らないが、私はその事実だけでも嬉しかった。
『わかりました。ところで、どんな人なんですか?新兵ということは、若い人なんですか?』
「ああ、確か十四だったか。お前より年下のかわいらしい少女だ。だからフランクに、優しく接してやれ。第一印象は重要だぞ。」
『はあ、わかりました。ところで、名前は?』
「うむ。マリーカ・ソレイシィだ。」
『ソレイシィ?……まさか!』
電話口の向こうで、ライが驚きの声を上げる。私はそれに違和感を覚えた。
「どうした、何を驚いて…」
『ノネットさん!もしかして彼女、キューエル・ソレイシィ卿の関係者の方ですか?』
「あ、ああ。キューエルは彼女の亡くなった兄だが。ん?ちょっと待て。お前はキューエルを知ってるのか?」
ライはしばらく黙った後、重い口を開いた。
『はい、ナリタ戦の前に一度だけ会ったことがあります。
そしてナリタ戦で彼ら純血派を助けに行ったんですが、キューエル卿だけは助けることができなかったんです。』
「そうだったのか、そんなことが……。」
私は驚いた。ライとキューエルの間に接点があったとは。
だがそうなれば、彼は救えなかった男の妹と顔を合わせることになる。精神的な負担が大きいのは目に見えていた。
支援
「ライ、残念だが今回は…」
『ノネットさん、彼女に会わせて下さい。』
「何だと?」
驚いた。今まで他人と顔を合わせることを怖れていたあいつが。だがおそらく……。
『彼女に会って謝りたいんです、お兄さんを助けられなかったことを。』
やはりそうか。ライは責任感の強い男だ、ずっと罪悪感があったのだろう。
「だが、大丈夫なのか?それはお前にとって、大きな負担になるのではないか?
『やばい何か』が何らかの影響を及ぼすことも考えられるぞ。」
『わかっています。でも、気持ちに整理をつけたいんです。マリーカさんにどう思われようが、ちゃんと伝えたいんです。
キューエル卿とのことや、ナリタ戦でのことを。』
「お前……。」
彼もああ見えて意地っ張りな男だ、おそらく半端な意志ではないだろう。ならば私ができることは一つ、彼を見守ってあげること。
「わかった、お前の好きにしろ。だが、そのことを話す時は必ず私も立ち会うからな。
そうでなければ、お前の変調に気づいて止められる人間がいないだろう?」
『ありがとうございます、ノネットさん。その時にはお願いします。』
「ああ、任せろ。とにかく、近いうちに彼女を連れて帰るから、それまでに準備しておけよ。
掃除や菓子の準備もだが、心の準備もな。」
『わかりました、それじゃ。』
私は電話を切った。思いもよらない展開だった。まさかこんなことになるとは。
「だが、あいつが決めたことだ。そうしなければ前には進めないのならば、
私はその手助けをしてやるだけのこと。これで、事態が好転すればいいのだが。」
そして私は翌日、マリーカを自分の屋敷に招待することとなる。
「ライ、いいか。」
所変わって、自分の屋敷内。あの日のことを思い出してもう一度確認したくなった私は、ライの部屋の扉を叩いた。
「どうぞ。」
部屋の中からライの声がして、私は扉を開けて中に入った。
「どうかしましたか?」
普段と変わりのない彼の様子。
「本当に大丈夫なのか?マリーカにちゃんと話せるのか、キューエルのことを。」
彼の表情が引き締まる。
「ええ、大丈夫ですよ。これはいつか、通らなきゃならない道だと思うんです。
そしておそらく、胸のわだかまりを解消しないと、僕は前に進めない。
もう一度立ち上がって、コーネリア殿下や仲間のために自分のできることをしたい。
お願いです、ノネットさん。彼女と話をさせて下さい。そしてもし、僕が持つ力が暴走しそうになった時は……。」
「ああ、わかってる。私が止めてやるよ、だから安心しろ。」
私は力強くうなずいた。ライの覚悟は本物だ。自分の弱さを知り、それを乗り越え、さらに一回り成長しようとしている。
ならば私もできる限り協力しよう。
「明日、キューエルの墓参りに行くつもりだ。その時に話すか?」
「はい、僕も一緒に行きます。そしてマリーカに話そうと思います。彼女にとっては辛い話だと思いますが、それでも彼女には知る権利がある。」
「よし、わかった。今夜はもう休め。しっかり明日に備えるんだ、じゃあな、おやすみ。」
「おやすみなさい。」
そして次の日、私たちの周りの世界は、少しずつ動き始める。
以上です、支援ありがとうございました。
>>584 確かに会う機会はありましたが、特派ルートと違い、直接の会話はなかったと思います。
会話がない=直接の面識がない、と解釈していました。
昨日親衛隊ルートをやったばかりなのですが、また確認します。
>>589 乙でした。
ああーやっぱりノネットさんはいい人だw
ライ復活も時間の問題みたいだし、次回の
投下を楽しみにしています。
シュナイゼルとライの会話ですけど、確か、クラブの性能
と次期量産機(ヴィンセント)について話合うイベントがありました。
でも強制イベントじゃないので、親衛隊ルートでも出ないことも有るかもしれません。
おのれ、猿め! 私の支援を邪魔するとは!
>>589 余暇卿、GJでした!
テンさんのあまりのチンピラぶりに吹いたw
次回、自らの罪?を告白するライと告白されたマリーカ
それぞれがどういった描写になるのか楽しみです
続きを期待しつつお待ちさせていただきます!
>>590 そんなイベントがあったんですか。何回かやったけど、完全に見落としました。
ご指摘ありがとうございます、確認してみます。
クラブとヴィンセントに関する話は、後半に持っていこうと思います。
それまでは、シュナイゼルとの会話は未経験にしておきます。
>>592 自分の疑問で余計な事させてすまん
親衛隊ルートだとスザクともう1人の騎士って感じで挨拶程度のものだった
>>560 遅ればせながらRC卿GJ!ライの天然っぷりとカレンのツンデレっぷりが絶妙なハーモニーを奏でてましたな。そしてここでカレンフラグ。実に自然なギアスENDからのライカレ(?)移行だと思います。次回も大期待です!
どうもこんばんは〜。蒼い運命の人でございます
昨日はしたらばのアレで見事釣り針に引っかかってました。まさにクマー
それはさておき、昨日投下のつもりだったお話を投下にきましたが、みなさんいらっしゃいますか?
支援するしか無いじゃないか!!
釣り糸を食いちぎらんばかりの貴方に感動したりしてました
支援します
まったくもって大人気ないというか、お恥ずかしいというか・・・
人間、やはり眠い時には寝ないといけないと思いました(以上言い訳終わり
今回“も”ふと思いついた話です。続きでなくて、申し訳ないです
■本日の前書き■
○レス数はあとがきも含めて14レス
○ライ×マリーカ とはいえ、ほとんどカップリングと言えない状態だったり
○ある意味テンさん×ライ ※BL・やおい・腐女子要素はありません
○オリジナル設定、オリジナル機体てんこもり
○主人公はいじめられてこそ華。ウフフフフ・・・
○我がドイツ軍の科学力は世界一ィィィィィ!
○※ライが荒んでいます。が、無害です
支援
■涙の理由■
そこは軍艦の中の一室。で、あるのにそこにいるのは部屋の雰囲気に似つかわしくない華やかな女たちだった。
最年長に見える者にしてもせいぜい20代。中には10代とおぼしき少女までいる。それら女たちは揃いも揃って軍服を身に纏い、誰かを待っていた。
「アテンション!」
静寂を破り、ブリーフィングルームに飛び込んできた言葉。その言葉の主を室内の全員が起立して出迎える。
敬礼する彼女たちに答礼する男。彼女たちの隊長である彼の名を「ライ」と言う。
「よろしい、着席してくれ。みんな寝ているところを起こしてすまない。緊急事態だ」
たちどころにざわめく室内。それを沈めるのは年長者らしき若い女だった。
「みんな静かに」
彼女に頷いてライは静かに室内を見回した。
「眠い者もいるようだが、現在の状況を聞けば眠気も吹っ飛ぶ。もう一度言うが、緊急事態だ」
デスクの端末に小さな携帯端末をセットし、正面の大型モニターに映像を映し出す。
それはこれから向かう予定の地だった。
ウクライナ。
黒海の北部に位置するヨーロッパ有数の穀倉地帯。天然資源にも恵まれ、古くから工業地帯として繁栄してきた地である。
EUとの戦いのため、これより彼女らが配属される土地・・・・・・だった。それはもはや過去形となったのだ。
「現地時間〇〇二五。約三時間前にEU軍の電撃作戦によって南部クリミア半島のセヴァストポリ要塞が陥落したとの連絡が入った」
今度は動揺を含むどよめきで室内が満ちる。
「統帥本部の発令により、我がグラウサム・ヴァルキリエ隊はナイトオブテン、ルキアーノ・ブラッドリー卿の指揮下において本要塞の奪還作戦参加を命ぜられた」
質問はあるか? との言葉に、挙手と共に発言を求める声があがった。
先ほど仲間たちのざわめきを静めた女だ。
「リーライナ、何か?」
「本作戦は我らだけで行われるのですか?」
ライは明確に否定する。「現地の正規軍との共同作戦となる。すでに先方と話はつけてある」と。
三度ざわめきが室内を席巻する。
しかし、今度は動揺といった類のものではなかった。
『さすがはわたしたちの隊長。仕事が早い!』
そういったライへの尊敬であるとか、好意を意味する類のものだ。
しかし、それらを完璧にいなしてみせるライは、その表情を変えることなく、静かにするようにと部下たちを諭した。
「敵EU軍の戦力にはパンツァーフンメルの後期生産型に空戦タイプのパンツァーファルケが多数確認されているとのことだ。ただ、未確認ながら第七世代相当の強力な機体の存在を示唆する報告もあがっている」
「隊長はEUにそんな強力な──第七世代ナイトメアを作る技術があるとお思いですか?」
また別の隊員の言葉に頭を振るライ。
「未確認だと言っている。しかし、」
ライは表情を変えずに言う。
「己が優れているのだからと、相手は劣っているはずなどと思い込まないことだ。我々は勝つための爪と牙を持っている、それなのに相手はそれらを持っていないと決め付ける道理はないだろう?」
しかし、先ほどとは違い、そのライの発言には賛同とは異なる反応しかかえってこないようだ。
『わたしたちの隊長は心配性だから』そんな程度の認識しかない。
彼女らが特別なわけではなかった。敵国の軍隊に対するブリタニア軍人の印象などどこも対して違わない。
我ら最強のブリタニア軍に、EUなどが、中華連邦などが、ナンバーズどもが何するものぞ。そんなものなのだ。
「本艦はこれより戦闘態勢に移行し現地へと向かう」
部下の女たちに注目させ、質問がないことを確認するとライは言葉を発した。
「程なく出撃になるだろう。最終ブリーフィングは45分後。各員、乗騎の最終チェックを怠らないように」
解散! その合図でブリーフィングは終わった。
・
・
・
ブリーフィングルームを出たライを追いかけようとマリーカはすぐに部屋を出た。
今度こそ先陣を務めさせていただきたい、と嘆願するためだ。
『結果を出してみせる。わたしなら出来る!』
それをいちいち口に出してしまうところがまだまだ子供だという証拠だ、などと先輩のリーライナに言われてしまう自分なのだが、
──口に出すからこそ、やり遂げるという気持ちが明確な形を持てるのだ──
そう思うマリーカなのだ。
支援
そして、それを子供のようだと笑わずに『よい考え方だと思う』そう認めてくれたのがライだった。
実績を示す場を与えてもらう。戦果をあげて実績を作る。そして隊長に自分を認めてもらう!
『やってみせる。わたしならやれる!』
──君になら出来る───
隊長はそう言ってくれるだろうか?
ブリーフィングルームを出て何度目かの角を曲がったところでマリーカはライの背中をとらえた。
「ライ隊長───」
そう呼ぼうとしたとき、それを躊躇わせる人影が彼女の視界に映った。
『ブラッドリー卿・・・』
それは彼女が属するグラウサム・ヴァルキリエ隊の主。隊長であるライが仕えるナイトオブテン、ルキアーノ・ブラッドリーの姿だった。
マリーカは彼が苦手だった。彼女だけではない。ヴァルキリエ隊のほとんどの隊員が彼を苦手に思っていた。
──ブリタニアの吸血鬼──
それは彼女たちの主を端的に表す表現だ。
総ての血を一滴残らず流させるような攻撃的な戦いぶり。吸血鬼という異名は彼の総てを表しているわけではないにしろ、その一端については過不足なく示している。
『何を話ししているんだろう・・・』
攻撃的で凶暴で、品位の欠片もない“ただ強いだけ”の男。それに対し、騎士としても指揮官としても全幅の信頼をもてる、何よりも人として“尊敬ができる”男。
この二人が主従として、どのような時も常に一緒にいる、その理由がわからなかった。
一度聞いてみたことがある。
「隊長はなぜブラッドリー卿に仕えているのですか?」
答えはなかった。ただ、曖昧な微笑みがかえってくるだけ。
もう少し近寄れば話の内容を聞けるだろうか? そっと近くに寄ろうとした時、ぐっと彼女の手を引く者があった。
「何をしてるの! マリーカ!」
小声で叱るリーライナ。
すいません・・・と小声で謝りつつも、二人の様子を窺えなかったのが残念なマリーカだった。
・
・
・
支援
支援
支援
「まったく呑気な女どもだな」
そうですね、と興味などまるでなさそうに答えるライ。
それは、普段彼女たちと接っしている時とはまるで違う彼の姿。
そんな荒んだ様子のライを面白そうに見るルキアーノ。
ルキアーノにとって自分は退屈しのぎの出来る玩具でしかないはずなのに、なぜこうも自分を面白そうに見るのだろうか?
だが、どうでもよいと思う。彼が自分にもつほどには、彼に興味を持てはしないライであった。
──僕には関係ない。どうでも、いい・・・───
そう思いつつ、しかし任せられた仕事はきちんとこなすのがライという男だ。
「現地の正規軍との交渉は済んでいます。こちらとしては・・・」
「オレの邪魔にならなければ、それでいい」
はい、と答えるライ。
「ブラッドリー卿が暴れる邪魔にならない部隊展開を提案し、総て呑ませました。この戦場でも貴方好みに、好きなように暴れられることでしょう」
そのような言い方なのに、ライの言葉には嫌味が感じられない。ルキアーノが彼を気に入った理由だ。
ライは今までつきあってきたどんな人間とも違うように思えた。ある意味、ルキアーノが初めて興味をもてた人間なのかもしれない。
「だが、な。そういうことで言えば、だ」
ルキアーノは正面からライの頭を両の手で、挟み込むように抱えた。
「それはつまり、キサマ自身にとっても、自分好みに暴れられる戦場になった。そういうことじゃないか」
舌なめずりをするように言う。ライの表情は変わらない。
「前にも言っただろ? キサマはオレと同じ側の人間だ、と」
「僕と貴方が同じ側の人間ですか」
「そうともさ」
自分の視線を目をそらすことなく、真正面から受け止めるところ。そんなところも彼を気に入った理由の一つだ。
「戦場に立つたびに感じるだろう? 立ち塞がる者を打倒し、破壊し、砕き、引き千切る度にこみあがる赤黒いヨロコビを」
ライは何も答えない。
ルキアーノはそんなライを離さない。
フッとルキアーノは笑った。「まぁ、いいさ」悪魔のような禍々しい笑み。吸血鬼の笑顔。
「キサマはオレのモノだ。ゆっくりと待つさ。キサマが自分自身で自分の中のバケモノに気がつく時を、な」
「そんな時がくると?」
来るさ、とルキアーノは即答した。
「そう、遠いことはないだろうぜ」
支援
それだけ言ってルキアーノはライを解放し、背を向けた。
「ヴァルキリエ隊の運用に関しては?」
何事もなかったように問い掛けるライ。対するルキアーノも、
「いつもどおりだ。キサマに任せる」
何事もなかったように答えるのだった。
・
・
・
「コントロールよりヴァルキリエ隊各機! 正規軍攻撃隊とのライムラグは10分。敵迎撃機を一機たりとも攻撃隊に近づけるな!」
母艦カールレオン級浮遊航空艦「カムロドゥノン」発令所からオペレーターの檄が飛ぶ。
「了解」
短い返答に「グッドラック!」の返礼を受け、ライは新たに愛機となったヴィンセント・エアを編隊の先頭につけた。
エリア11での第七世代KMF「ランスロット」の成功を受け、その量産の前段階として先行試作された新鋭機だ。
その名前はライの記憶の奥底を刺激するものだった。胸に鈍い熱を感じさせるそれを、彼は無視する努力を続けていた。
「ライ隊長、搭載火砲の具合はいかがでしょう?」
オペレーターとは違う女の声がライの耳をうつ。
ヴィンセントの手には空戦には不向きと思える、物干し竿にも似た長大な銃器が抱えられている。それのことを言っているのだ。
「使ってみないことにはなんとも言えないが・・・。格闘戦に不向きであろうことは間違いなさそうだ」
プラズマ徹甲弾を撃ちだす新型のKMF携帯型リニアガンである。
これも「ランスロット」の成功を受けて開発されたものだった。「ランスロット」専用KMF携帯火砲[V.A.R.I.S.] を参考に、「ランスロット」のような大容量コンデンサ搭載機でなくても運用が可能なリニアガンとして開発された機材だ。
KMFの主要な携帯火砲はいわゆる「コイルガン」。電磁石の反発によって弾丸を発射する銃器であったが、「リニアガン」はその初速、破壊力においてそれらを遥かに凌駕する。
ライのヴィンセントによって運用されるこのリニアガンはスマートリンクシステム(射撃者が見た物を装着したアイウェアで識別し、照準を微調整する)等々、多くの新システムを搭載した試作品だった。
「ライ隊長ならうまくやれますわ」
技研より派遣されたその女に「ありがとう。そう願うよ」と告げる。
どうもていの良いモルモット扱いされているのではないか? 器用に色々とやってみせるのも考え物だな。そのような自覚は最近ようやく生まれた。
支援
支援
ライの「ありがとう」という言葉に敏感に反応したのは技研より派遣された技術者の女・・・ではなく、マリーカの方だった。
「なんで隊長はいつもあんなのとばっかり・・・」
ぶつぶつとコクピット内で文句を言い連ねる。出撃直前での最終ブリーフィングでやっと言い出せた先陣を務めさせてほしいという願いをやんわりと退けられたことも不満の種になっていた。
「大体あの女ってば、いつも隊長にべったりすぎるのよね」
新型機の整備やらあのでかい銃の調整だの、なんだかんだと言ってはライにつきまとっているように見えるのだ。
そうやって不平を鳴らしているのが機動に表れたのだろう。エレメントを組むリーライナから叱責が飛ぶ。
「集中しなさい!」
さすがにハっとして、操縦桿を握りなおすマーリカだった。
「ヴァルキリエ隊、スタンバイ。敵迎撃機との会敵まであと10分」
カムロドゥノンからの通信。フロートユニットの翼下に下がった投下型増槽を投棄し、ライ指揮下のヴァルキリエ隊各機は戦闘速度に入った。
『隊長の機体、とてもキレイ・・・』
白い機体に蒼いラインの塗装。それは物語に描かれる騎士のイメージそのものだった。
自分たちの緋色に塗装されたサザーランドも嫌いではないが、白と蒼のコントラストで彩られたヴィンセントはマリーカの美意識をとても強く刺激する。
「ヴァルキリエ・リーダーより各機」
戦闘機動に移るとのライの指示が飛ぶ。
「敵は運動性が低いとはいえ火力は高い。舐めてかかって命の無駄遣いはするな」
「イエス、マイロード!」女たちの声が飛び交う。正面にはすでにセヴァストポリの基地がその姿をみせようとしている。
ライのヴィンセントの背後で緋色のサザーランド達が編隊を組み直し始めた。
二機編隊でエレメントを構築し、二個のエレメント──四機で最少戦闘単位としてまとめる。
そうしてできた戦闘単位を「ラーズグリーズ」「レギンレイブ」「ヘルヴォル」「ヒルド」と戦乙女の名を冠したセクションとして運用するのがライの戦術だった。
一方のエレメントが攻撃に入る際にもう一方は高度を上げて援護にまわり、次は援護を担ったエレメントが攻撃に入り、先に攻撃側だったエレメントが援護行動に移る。その繰り返し。
攻撃の際もかならず援護が確保される、それがライが隊員に遵守を要求する“僚機を失わずに勝利する”戦術だった。
支援
まず出来うる限りの安全を確保した上で攻撃をしかける戦術。それは少し慎重にすぎるのではと考える者も多い。マリーカもその一人だ。
『わたしだったら、もっと強気でもいけるはず!』
彼女とて十代の若さでナイトオブラウンズの親衛隊に抜擢された逸材。実力はある。認められもしている。
だが、その思いが若さゆえの傲慢でもあることに彼女は気が付いていなかった。
「目標視認! 正面にセヴァストポリの海軍基地!」
同時に蒼い空の端々に黒いゴマ粒が見て取れるようになってきた。
「ヴァルキリエ・リーダーより各機。全機突入せよ! グッドラック!!」
ライの戦闘開始の命令が行き渡る。グッドラック──健闘を祈る!
ゴマ粒がぐんぐんと大きくなる、それは鋼鉄のファルケ(隼)。EU軍の主力航空型KMF。
黒海──黒色の硫化鉄を含む堆積物があるため黒く見える海。その洋上で戦乙女たちの戦いが始まった。
・
・
・
最初の会敵から30分が過ぎた。
「レギンレイブセクション、戦果報告!」
リーライナの声にマリーカは「レギンレイブ2、撃墜3!」と報告する。三番機、四番機はそれぞれ一機撃墜、二機撃墜との報告だった。
やはりEUが迎撃機としてあげてきたナイトメアはパンツァーファルケだけのようだ。
ファルケ──隼とは名ばかりの鈍重な、不恰好なナイトメアもどき。
『こんなのが相手なら、いくらだって相手できる』
敵の迎撃機はその数を大きく減らした。もう残り少ない。正規軍の攻撃隊にその手が向かないよう戦闘空域に拘束しつつ戦ってきたが、もはや連中は死に体だ。
『いくらでも、相手できる?』
エナジーフィラーも機銃弾も、まだ十分戦闘継続に耐える。短射程ミサイルもまだ温存してある。いざとなれば白兵戦闘だって・・・。
『わたしなら、できるっ!!』
スロットルを開き、残存の敵に向かって機体を急進させる!
「マリーカ、何を!?」
「やってみせるんですよ!」
編隊から離れるマリーカにリーライナは驚くが、しかしその意図をすぐに見抜く。
「勝手なことをしないの! 戻りなさい!」
支援
支援
「ちょっと、命令違反よ?!」
僚機のパイロットからも通信が入るが、もうマリーカは止まらない。
「持ち場を離れないで! マリーカ!!」
方位270に単独の敵機。マリーカが狙いを定めると同時に敵機もこちらに気が付いたようだ。
「ごめんなさい。でも、わたしは戦果を。実績を!」
ヘッド・トゥ・キルで倒してみせる。すれ違い様にライフル弾をフロートユニットに叩き込んだ。
「一つっ!」
煙を吐きながら墜落していく敵機を一瞥し、すぐに次の敵機を探す。いた。
次の敵機は080に二機。距離は800もない至近。さらに距離を詰めてロックオン。右の敵機に短射程空対空ミサイルを放って仕留める。
「二つ目っ!」
これで五機目の撃墜。今日のエースは確定だ・・・この調子ならもっといけるかも?
左側の敵機はロールをかけて急速離脱を試みている。もちろん逃しはしない。
その三機目の敵をライフルの有効射程にとらえ、マリーカはトリガーにかけた指に力をかけた。
刹那。
「きゃあぁぁぁぁっ!!!」
機体を襲う激しい衝撃にたまらず悲鳴をあげる。
コクピットの中を警告音が鳴り響く。モニターに被弾を示す警告表示が出ていた。不吉な赤い警告灯も。
──フロートユニット被弾:損害70% 戦線離脱の要を認める──
「そんな?!」
必死に機体のたてなおしをはかるマリーカ。フロートユニットの揚力はまだ生きているのが救いだった。
「一体どこから? いつ接近されたの? なんでこんなっ!」
再び警告音がマリーカの耳目をうつ。敵機接近。自機の直上!
全力で支援
それは美しい機体だった。
鳥を思わせる流れるようなフォルム。空の色の機体。
それが矢のような鋭さをもって突進する。光の尾を引いて、砲弾さながらに飛ぶ!
『これがナイトメアの速さなの?!』
視認したと同時にまたも激しい衝撃が機体と自分とを襲った。
「きゃあぁぁぁぁっ!!!」
直撃! 30mmの徹甲弾がサザーランド・エアの装甲を抉る。小爆発を起こし、マリーカ機の右腕がライフルとともに脱落した。
「死ぬ?!」
恐怖が浮かび、それは瞬く間にマリーカの総てを覆い尽くす。
「いやあぁぁぁぁぁっ!!!」
助けて! 死にたくない! 操縦桿を無意味に動かす。パニックを起こしていた。機体は無意味にその手足を動かすばかり。
マリーカのサザーランドをパスした蒼いナイトメアは大きく旋回し、再びこちらにその機首をめぐらした。
その大推力で一撃を加えるのだ。今度こそ一撃で屠るつもりなのだ。
ほんのまばたきほどの一瞬で、敵はマリーカ機に迫る。手が届こうかの位置にまで文字通り“飛んだ”。
「・・・ライさん」
マリーカの口をついて出る言葉。
そのとき。
ドガアァーーーーッ!
銃弾の着弾とは違う衝撃にサザーランドの機体が跳ね飛ばされた。
「レギンレイブ2! 生きているのなら返事をしろ!!」
ライのヴィンセントだった! ヴィンセントに蹴り飛ばされたサザーランドはその反動で大きく飛ばされ、銃撃の難を避けることができた。
ヴィンセントの腕部・脚部を大きく振り姿勢を制御するライ。振り向くとともに腰だめに抱えたリニアガンを連射する。
無照準での連射。牽制の射撃。
「次っ、そこォ!」
フロートユニット翼下の短射程AAMを発射。回避に入る敵機に肉薄をかける!
蒼いマシンはチャフを焚いてミサイルの追跡をかわす。その間にライのヴィンセントはリニアガンの射程にその機影をとらえていた。
おっと猿防御!間に合うかな?支援
機体のファクトスフィアにリニアガンの複合センサーを連動させ、既存のKMF用携帯火砲と比較にならない射撃精度を実現したという。
技研の技術者どもはそう言っていた。そしてそれは事実だった。この火砲によって、今日この戦場で12機の敵機を屠ったライだ。
ライは照準レティクルの中で激しい機動をくりかえす蒼いマシンに向かって今度はセミオートで連続射撃を行った。
一射目、回避。二射目、回避。
三射目が至近弾となった。
銃の射撃精度の高さは間違いないものだと感じ取れた。それでも後方をとれていながら、三射目でようやく至近弾というのは。
『マシンの性能か、パイロットの腕か』
おそらくその両方だろう。ライはそう一人ごちた。
あの機体の機首にペイントされたエンブレム。ライは見逃していない。黒いチューリップのパーソナルマーク。
『あれがEUのエース。カラヤ1か』
光の尾を引いて戦域を離脱していく蒼い機体。それをライは見送る。どのみちあの速力。追いつけるわけがない。
味方の撤退のための時間稼ぎは完了したということなのだろう。
戦域外より突如尋常ではない速度で進入し、ルキアーノに一撃を与え、迎撃部隊を包囲するヴァルキリエ隊機に一撃を与え、混乱を作り出して友軍の離脱のための隙をつくった。
やはりなと思った。EUも第七世代・・・もしくはそれ以上の力を持つ高性能ナイトメアフレームの開発に成功していたか。
『あの光の尾。従来型の電気熱ジェット推進ではないな』
技研のデータバンクで見た光量子推進システムの理論概要に酷似している・・・そう思った。
まぁ、いい。ライは頭を振った。この戦域での戦闘は終わったのだから、と。
ヴィンセントを回頭させる。その下方で大破したサザーランドを僚機たちが支えていた。
「コントロールよりヴァルキリエリーダー。敵戦力は総て撤退。ヴァルキリエ隊全機はカムロドゥノンへ帰投されたし」
了解と答え、ライは配下の女たちへ帰投の指示を飛ばす。
戻ってからもまた仕事だな、とぼやくライの視線は大破したサザーランドへ向いていた。
『確か、マリーカ・ソレイシィと言ったか』
興味はなかった。彼にとって何もかも総てが瑣末なことに過ぎない。
ただ、隊長としての義務は果たさなければならない。それだけだった。
支援
支援
支援
・
・
・
パンッという乾いた音がマリーカの頬の上にたった。
脚が一瞬浮いたものの、倒れはせずに踏みとどまる。10代の若さとはいえ彼女は軍人だった。
「申し訳、ありません・・・でした」
修正を加えたのは無論ライだ。彼女たちの指揮を預かる、責任をもつものとして、それは義務だ。
「不要な行動は味方全体を危機にさらす。なぜ命令に従わなかった?」
なぜだかライは苛立っていた。事の経緯を聞くほどに苛立ちは募った。彼女に対しての苛立ち? そうではない。自分でもなぜだかわからない。
『僕はもう何に対しても興味など持たないはずなのに』
しかしこの苛立ちは厳然として存在している。これはなんだ? 何に対して僕は苛立っている?
「一時の感情と身勝手な意思で動くなど、愚か者のすることだ。君は自分の行動の重大さを理解しているか?」
「はいっ・・・」
彼女はその目に涙をたたえていた。だが、それをこぼすまいと歯を食いしばっている。軍人としての節を守ろうというのか。口答えなど一切しない。
──かまうな! 不要な行動は味方全員を危機にさらす。命令通り撤退しろ!──
『え?』
不意に胸の奥底にしまったはずの思い出が蘇った。
──・・・・・・なぜ私の指示を無視した? 一時の感情と身勝手な意思で動くなど・・・・・・無能のやることだ──
『そうか、そうだったんだな』
ライは自身の苛立ちの理由を今、知った。
「マリーカ・ソレイシィ。自室に戻りたまえ。処分は追って沙汰する」
叱責の言葉を飲み込み、譴責を打ち切ってライは背を向けた。同僚たちがマリーカに駆け寄ったのが気配で悟れた。
振り返らない。
振り返れば・・・きっと見苦しい顔を見せてしまうだろうから。
だから。
全力で支援
支援
支援
・
・
・
「うっ、うぅ、うえぇぇぇぇ・・・」
ライの姿が見えなくなってから、マリーカは嗚咽を始めた。リーライナを始め何人かの同僚たちが駆け寄る。
子供の様に泣きじゃくるマリーカを慰めながらリーライナは思った。
『この子は自分がなぜ涙を流すのか、わかっているのだろうか』
先の戦闘でエレメントを組んでいた自分だけが聞いていた。
死を間近に感じた時のマリーカのつぶやきを。
──・・・ライさん──
あれだけいつも「兄さん、兄さん」と言っていたマリーカが最期と覚悟した時に呼んだ名前はその兄の名ではなかった。
「マリーカ、泣かないで」
その震える背をさすりながら慰める女たち。
『貴女の涙の理由はなに? 失態を演じたから? それとも・・・』
隊長としてマリーカを譴責するライの姿が思い浮かんだ。
「うわあぁぁぁぁぁん・・・・・・」
リーライナは知らない。もちろんマーリカも、ヴァルキリエ隊の他の女たちも。
別室でいま一人涙を流している者がいることに。
「うっうっうっ・・・」
ライも自分にあてがわれた士官用個室、その暗い部屋の中で一人嗚咽していた。
収まるとともにベッドサイドの机に置かれたグラスをあおる。
一気に飲み干し、むせて、それでもまたボトルからグラスへなみなみと注ぐ。そして飲み干す。
最近酒量が増えた。
『酒豪だったあの人たち程じゃあない』
そう言い訳しながら再びグラスをかたむける。そしてまた、泣いた。
──命令通り、計画通りに動かねば、騎士団全体が危機に陥る。お前は自分の行動を理解しているのか──
胸の奥に熱を感じるのは酒のせいだけではない。先ほど自分がマリーカに放った言葉はかつて、自分に向けられた言葉と同じものだったと思い出していた。
なんと皮肉なことか!
支援
支援
支援
命令に背き、譴責を受けた自分が、自らが受けたと同じ言葉を部下に発していたなどとは。
『いま、君はどうしている? ゼロ・・・』
トウキョウ租界での決戦の後、刑死したとは聞いた。だが、ライはそんなこと信じていなかった。
藤堂中佐、仙波さん、朝比奈さん、千葉中尉、卜部さん・・・。貴方方が今の僕を見たらなんと仰るだろうか。
その名が、顔が、瞼の裏に浮かぶたびに、ライの枯れたはずの涙をとめどなく溢れさせた。
圧倒的な力量の差の前に破れ、死ぬはずだった自分がこうして生きながらえてブリタニア軍にいるという事実。
それを日常のものとして受け入れている自分に気が付いた時、この心は砕け散った。
ルキアーノが、あの吸血鬼が何を思って戦場で相対し、戦い、降した敵である自分を生かしているのかは知らない。
いまではそれを含めて何もかもがどうでもよくなっていたと、そう思えていたはずなのに。
なのに。
「なぜ、心が痛いんだ。涙が止まらないんだ。なぜ、いまさらっ! いまになって急に!」
誰か教えてくれ! 誰もいない暗い部屋の中でライは叫ぶ。
捨てたはずの心が痛む理由を。枯れたはずの涙が流れる訳を。この涙の理由を教えてくれ。
応える者は誰もいない。暗い部屋の中、そこにはただ、ライの嗚咽だけがあった。
無意識にその胸に手をあてるライ。
それは捨てきれぬモノ。
少尉の階級章。
過去をもたない彼のこれまでの総てを。思い出を象徴するもの。どうあっても捨て切れなかった唯一のモノ。
いくつかの隔壁を隔て、二人の男女が泣いていた。
なぜ、涙が零れ落ちるのか?
互いにその嗚咽の意味も不確かなまま、二人は泣き続けていた。
ただ、涙を溢れさせていた。
溢れさせていた。
全力で支援
支援
【ぎあすあとがき劇場 V.V.といっしょ】
投下終了と同時にわたしの横でV.V.がつぶやいた。
「ねぇねぇ、あおちゃん」
──なぁに? と聞き返すわたし。
「急になんなの? 空色の機体とか、無理矢理っぽいカラヤ1とか。かなり???なんだけど」
──わたしはですね、ギアスで一つだけ不満な点があるんですよ。
「と言うと?」
可愛く首をかしげるV.V.にわたしは答えた。
──EUのあまりの雑魚っぷり。存在そのものが疑問な程に超・雑魚なところが!
「はぁ?」
なにそれって感じで呆れ顔を見せる彼。「だって、それは・・・」
──まぁ、百歩譲ってEUはいいんです。EUなんて。しかしですね、我が祖国がないがしろにされるのは許せないッ!
「祖国? だって、あおちゃんってば日本じ・・・」
──我がドイツ軍のおぉぉッ! 科学力はあぁぁぁッ! 世界一ぃぃぃぃぃぃぃぃぃッッッ!!!
飲んでいたほうじ茶を吹き出すV.V. 汚いなぁ。誰が片付けると思っているんだろう。
「ドイツってあおちゃ・・・」
──そもそも納得いかないんですよね。我がドイツが技術力でヤンキーごときに遅れをとってるなんて設定とか
「ヤンキーって、あおちゃ・・・」
──カラヤ・アイン! 世界最高のエースを生んだ、我がルフトヴァッフェを越える蒼穹の騎士などあるものかっ!
「いやいやいや、それって第二次世・・・」
──つーか、主力がフンメルってなにさ。V号W号戦車の車体を流用した自走砲じゃないかっ!
「・・・・・・」
──くたばれヤンキーゴーホームッ! ルフトヴァッフェに栄光あれっ!!!
「(もう、帰って・・・・・・・)」
V.V.相手にドイツ軍人のなんたるかを語り続けるわたし。
こうして、ドイツ軍人たちの夜はふけていくのでした(マテ
相変わらずのクオリティの高い文章でおなかいっぱいになります。GJ!
ついでにV.V.乙ww
以上ですた〜
最初はライ×マリーカの、ちょっと捻った6レスくらいの甘々短編だったんですが
いつのまにかこんなんになってしまいました
趣味丸出しです。丸出しどころかモロ出しです。あぁ・・・
とりあえず、お風呂入って寝ようかな。うん
それでは、またです! 感想とかツッコミとかよろしくお願いしま〜す!
なるほど、携帯でのマルチポストが規制でしたか……理解は幸せ!
>>638 BLUEDESTINY卿、GJでした!
……切なさが止まらない
というかこれの前後の詳細なSSをお願いプリーズしたいくらいです
それほどまでに良いSSでした!
っていうかラストJ○J○ネタw
……これ↑、伏せ字になってなくない?
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
マリーカ可愛いなぁ、QLが羨ましいな、あんな妹がいて。
>>636 セヴァストポリ要塞と聞いて列車砲グスタフを連想した私は一般人。GJ、お疲れ様でした。
長文なのに飽きさせない内容の濃さ、いつも感心と感動を与えてくれます。
ここからは私の独り言として。
沈黙などを表す際に、「・・・」を使っておられますが、正しい形としては「・・・」ではなく、「……」なのですよ……。(機種依存文字云々とはまた別)
あ、いえ、わかっていてその上で使っているというならばいいんです。ただどうしても気になってしまって、確認を取りたかったっていうか。
気分を害されましたらすいません。スルーしてくださって結構です。
>>638 GJ!
あまりに脇だったEU(とテンさんとヴァルキリエ隊)の栄光に幸あれ。
祖国が滅びようと最期の1機までルフトバッフェはルフトバッフェであり続けるのさ…
そして立ち直れない酔っぱライさんの明日はどっちだ!
こんな高クオリティの後に低クオリティの俺が15分くらいに投下するぜ
感謝します
では時間で投下
13レスくらい
ライマーユニーシリーズの番外編でタイトル「劇場版 狂王」
注意
・ギャグです
・基本的に世界観、キャラともにぶっ壊れてます
・狂王とありますがライの過去とは何も関係ありません
・広い心の方だけ見てください
では投下
おおーまってました!!支援
キターーー!
支援!!!
648 :
萌は文化:2008/09/08(月) 23:21:24 ID:Fc2BcoqU
「というわけで『狂王』の映画化が決定した」
何が、というわけなのかは不明だが、ゼロのこの一言により黒の騎士団は劇場版『狂王』の製作会議がおこなわれた。
「今回は基本的にはDVD版を元に、総集編3部作にしたいと思う。なお、今回は私と朝比奈ではなく井上が監督、脚本を担当することになった」
ゼロが説明すると皆に狂王の台本が配られた。
「ゼロ、キャストに私の名前がないのですが?」
DVD版には出演していたのに台本に自分の名前がないのを見て不思議に思ったカレンが手を上げた。
「ああ、それなら時間の都合でカットした」
「え?」
いきなりの降格宣言を受け、カレンの表情が凍った。
「カットって! 私は確か主人公のライの同級生で、ライの唯一の心のオアシスなヒロインだったのにカットですか!?」
納得いかずに問い詰めるカレン。
「そうだ。今回は井上の要望で出来るだけ大人向けに作るそうだ。だからヒロインは同級生ではなく主人公ライが居候している親戚のお姉さん役の千葉にやってもらう」
「え? 私が戦闘隊長の相手役?」
予想してなかったゼロの言葉に驚いた後、すぐに頬をほんのり赤くする千葉。
支援
650 :
萌は文化:2008/09/08(月) 23:23:27 ID:Fc2BcoqU
「そうだ、井上の予定では話の流れこそはDVDと同じだが、性格や人間関係は大きく変えるようだ。特に主人公のライの性格は大きく変更するらしいぞ」
「大きく変更って?」
台本をパラパラ見ていたライが井上の方を見ると、井上はニッコリ笑った。
「それはね、前回の『狂王』のライ君はホストなのに少し子どもで純粋な人物だったけど今回は、手段を選ばない冷酷な人物像を目指しているの」
「冷酷って……それ受け入れられるんですか?」
「フフフ、ライ君、女性はね、ちょっと危ない香りがしたり、クールで頭がいい男性に憧れたりするものよ。ノートに名前を書いたら死ぬ作品の主人公とか」
「それは危ない香りではなく危ない人じゃないんですか?」
こんな感じで会議は続き、井上が監督、脚本で『劇場版 狂王』が製作された。
支援
支援
653 :
萌は文化:2008/09/08(月) 23:26:07 ID:Fc2BcoqU
『劇場版 狂王』
『僕の名前はライ。最近高校を卒業したばかりで現在アルバイトで生活をしているフリーターだ。母親は昔、交通事故で亡くなり、父親は有名な政治家だったが、金を横領していたのがバレて僕が産まれる前から刑務所の中。会ったことすらない。
そんなわけで僕は長い間、親戚の間では煙たがれ、親戚の間をたらい回しにされていた。他人が見れば絵に描いたような不幸な人生。でも僕は別に不幸だとか思っていない。何故なら…』
「ただいま」
古臭いアパートの一室で独白してるライ。
そこに千葉が帰って来た。
「お帰り凪沙さん」
優しい笑みで千葉を迎えるライ。
『彼女、千葉凪沙に出会えたからだ』
ライは立ち上がるとキッチンに向かい作り置きのシチューを温め始めた。
「どうだ? 就職先は見つかったか?」
「嫌、最近は不景気みたいで…」
料理を温め終わるとライは千葉と2人分の食事をお盆に乗せてテーブルに運ぶと2人は食事を始めた。
「別に進学してもよかったんだぞ? これでも貯金はあるんだから」
「いやですよ凪沙さん。お金を払ってまで僕は勉強したくありませんよ」
他愛のない話をしながら2人は食事した。
支援
支援
656 :
萌は文化:2008/09/08(月) 23:28:48 ID:Fc2BcoqU
食べ終わったライは自分の食器を片付け始めた。
「バイトか?」
「はい、今日は夜勤なんで朝帰りになります」
「そうか気をつけてな」
「はい、行ってきます」
千葉に見送られてライはアパートから出た。
『凪沙さんは親戚にたらい回しにされた僕を唯一引き取ってくれた人だ。自分1人の生活に精一杯なはずなのに、彼女は僕のために自分の人生を捨ててまで僕を引き取ってくれたのだ。彼女は僕のことを弟程度にしか思ってないだろう。
だが僕は彼女を1人の女性として愛している。僕は彼女ためにならなんだって出来る。だって彼女こそが僕の全てであり、僕の生きている意味なのだから』
バイトに向かうライは明るい夜の街を歩いていた。
「そこの君」
ライが呼び止められて振り返るとそこには狂王とかかれたプラカードを持ったゼロが立っていた。
「よかったらホストをやらないか?」
「ホスト?」
決して仮面マントの怪しい男にツッコミを入れずにライは眉をひそめた。
「そうだ。貴様はその素質がある。理由は私の直感だ」
「それ信用あるのかい?」
「当然だ。私はゼロだからな」
「そうか…」
興味なさげに呟くライ。
ゼロの言葉にも決してツッコミは入れない。
支援
ゼロwww支援
659 :
萌は文化:2008/09/08(月) 23:31:58 ID:Fc2BcoqU
「どうだ? お前なら間違いなくNo.1ホストになれる。それにホストになれば儲かるぞ。お前なら一月に何百万、年収何千万も夢ではないかもしれないぞ」
熱心にライを勧誘するゼロ。
しかし、ライはつまらなそうに頭をかいていた。
「でもホストって知らない女性の相手しなきゃいけないだろ? 悪いけど僕はある1人の女性意外には興味ないんだ」
「ほう、これまた一途な奴だな。まあ、いいだろう。一応私の名刺を渡しておこう。気が変わったらいつでも来い、歓迎するぞ」
ゼロはライに名刺を渡すとそのまま去って行った。
「『ホストクラブ狂王』か、凪沙さん以外の女性を口説くなんて考えたくもないな」
そう言うとライは名刺をポケットに入れてバイトへ向かった。
「ただいま………あれ? 凪沙さん?」
バイトから帰宅したライは居るはずなのに千葉の返事がないことに不安を感じて部屋に入った。
「凪沙さん? な、凪沙さん!!」
ライが部屋に入ると苦しそうに倒れている千葉を発見した。
場面は変わって病院に
「あー、ダメね。お姉さんは完全に今危ない状態。半年以内に手術しないと死ぬわね」
医者(ラクシャータ)はレントゲンを見ながら軽い口調で言った。
支援
支援
ラクシャータ自重www支援w
663 :
萌は文化:2008/09/08(月) 23:36:24 ID:Fc2BcoqU
「どうすれば治るんですか!?」
「今言ったでしょ。人の話聞いてた? お姉さんは今、半年は寝たきりになって半年以内に手術しないと死んじゃう病って言う珍しい病気にかかってるのよ。だから手術しないと死んじゃうのよ」
「それで凪沙さんは助かるのですか!?」
「だ〜か〜ら!」
完全にパニック状態のライは医者(ラクシャータ)の話しをまるで聞いていなかった。
そのため明らかに変な病名にライはツッコミを入れなかった。
「手術って………一体いくらかかるのですか?」
やっと落ち着いたライは医者(ラクシャータ)の話しを聞いていた。
「やっと話しを聞いたわね。そうね、大体、一千万くらいかな」
「なっ! そんなに!?」
あまりの金額に驚くライ。
「だってこの病気珍しいからね。ついでに私、最近新車買ったらお金がないのよね。だから一千万」
何がだからなのか?
とりあえず一千万を要求する医者(ラクシャータ)
「そんな大金ありません」
「あらそう、困ったわね。まあ、半年の間は寝たきりだけど死にはしないからお金が出来たら声かけてね」
「一千万………そんな大金……ハッ!」
ライはポケットからゼロからもらった名刺を取り出した。
支援www
これは酷い医者ww
ウ○ップかよw
支援
ヤブ医者だww支援
668 :
萌は文化:2008/09/08(月) 23:39:48 ID:Fc2BcoqU
「儲かるか……」
場面変わって夜のネオン街
ライは名刺をくれたゼロの元へ訪れた。
「ほう、どうした? 興味のない女を口説くのは嫌じゃなかったのか?」
「金が必要になったんだ。それだけだよ」
嫌味たらしく言うゼロの言葉に顔色一つ変えずにライは言った。
「まあ、いい。では早速私のホストクラブへ案内しよう」
「私のって……君、もしかしてホストクラブのオーナーなのかい?」
「フッ、その通りだ。すごいだろ」
自信満々にポーズを決めるゼロ。
「そうだね」
「…………」
ゼロの自慢を軽く流したライは狂王と書かれた看板の店の前に案内された。
「ここが私の店だ」
そう言うとゼロは店の扉を開けてライを手招きした。
「ズルズル〜、ん? ゼロ誰それ?」
「もしかして、最近スカウトしたって言ってた人かな?」
店に入ると何故が六畳一間の畳の部屋の中心でラーメンを食べてる杉山と朝比奈が居た。
「紹介しよう、ここがホストクラブ狂王、そして彼らが私のホストクラブのホス……トォ!?!」
にこやかな笑みを浮かべたライは無言でゼロの頭を2人がラーメンを食べてるテーブルに叩きつけた。
ちょww
ラクシャータヒドスww
店がしょぼいwww支援
支援
672 :
萌は文化:2008/09/08(月) 23:44:16 ID:Fc2BcoqU
「君は僕を馬鹿にしてるのかい?」
「べ、別にそんなつもりはないぞ!」
「じゃあ聞くけど、客は1日に何人来る?」
「………何人来る?」
ゼロは助けを求めるようにドン引きしている杉山を見た。
「え、えっと……3日に1人か2人です」
杉山が言うとライは容赦なくゼロの頭を叩きつけ続けた。
「ま、ま、待て!! わかった! わかったから止めてくれ!」
「………」
ライがゼロをつかんでいた手を離すとゼロは慌ててライから距離をとった。
「金が欲しいか? ならば勝ち取れ! いいか…………待て! 話は最後まで聞け!! とりあえずその包丁は元の場所に戻してくれ! ………つまりだ、そんなに金が欲しいならまずは貴様がこの『狂王』を立て直せ!!」
「………!」
「そう、正直今の狂王は経営が苦しい。だがもし貴様が立て直してくれると言うなら私は全力で貴様に賭けよう。さあ、どうする?」
まるでライを挑発するように手を差し伸べるゼロ。
「…………面白い。大金が手に入るかどうかは僕しだいってことか。いいだろう、その話乗ったよ」
ライはゼロの手をつかみ握手をした。
「僕達の紹介は無視かい?」
「まあ、脇役だしな」
切ねえwww支援
支援
寂れ過ぎww
675 :
萌は文化:2008/09/08(月) 23:46:48 ID:Fc2BcoqU
そんな2人を見ながら杉山と朝比奈は静かにラーメンをすすっていた。
そして…
「それで厨房は……」
「ふむふむ、ここに……」
「って立て直すって本当に店を建て直すとこからかよ!」
元々の店を打ち壊し、ライとゼロの設計、監修の元で現在『狂王』は建て替え工事中であった。
「当然だよ。あの店内じゃダサすぎてお客さんが来るわけないじゃないか」
「だったら店内をリフォームするだけでよかったじゃないか!」
「………あ」
杉山に突っ込まれるとライは一瞬固まったがすぐにそっぽを向いて作業に戻った。
「ここはみんなゼロからスタートするためにね」
「いや、嘘だろ! あ、って言ったし!」
「ん? 呼んだか?」
「呼んでないからゼロは黙っててくれ!」
『そんなこんなで新しい『狂王』が完成した。そして僕のホストとしての新しい生活がこれから始まるのであった』
つづく
其処からwww支援
支援
678 :
萌は文化:2008/09/08(月) 23:49:57 ID:Fc2BcoqU
「総集編と聞いていたが結構違ったな」
ジノとアーニャと一瞬に映画館から出て来たノネットは背伸びをしながら言った。
「ライ様………素敵だった」
完全にトリップ状態のアーニャ。
しかし、ジノは1人渋い顔をしていた。
「どうしたジノ?」
「いや、面白かったには面白かったんだがな……」
「何? ………ライ様にケチをつける気?」
いつになく感情をむき出しでアーニャはジノを睨んだ。
「いや、単純にライマーユニーが出ないのがな……」
残念そうに呟くジノ。
「衝撃の〜」
すると遠くからジノに向かって走って来る人物が居たがジノは気づかずに話しを続けた。
「私が好きなのはライ様じゃなくてライマーユニーなんだよ。正直ライ様にあまり興味はな…」
「ファーストブリット!!」
「グホッ!!?」
「も、モニカ!?」
遠くから走って来たモニカはその勢いのままジノにドロップキックを喰らわし、ジノは大きく吹き飛んだ。
支援
支援
681 :
萌は文化:2008/09/08(月) 23:52:23 ID:Fc2BcoqU
「は〜い、ノネット久しぶり」
優しく微笑みノネットに手を振るモニカ。
「お前も映画見に来てたのか?」
「当然よ。だってライ様だもの! 今月はもう3日置きくらいに見に来てるわ」
キャーキャー言いながら幸せそうにクルクル回るモニカ。
「お、おい、いきなり何しやがる!!」
「………足りない」
「え?」
蹴られたジノは起き上がりモニカに文句を言おうとつかみかかった。
するとジノは逆にモニカに投げ飛ばされた。
「そう、あなたに足りないもの! それは!」
仰向けに倒れたジノにモニカは馬乗りになった。
「情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!」
「ちょ!!」
何かにとりつかれたように馬乗りの状態でジノをひたすら殴りつけるモニカ。
「そして何よりも!」
そしてモニカはトドメとしてジノの足をつかみジャイアントスイングで投げ飛ばした。
モニカひでぇww支援
支援
支援
685 :
萌は文化:2008/09/08(月) 23:54:42 ID:Fc2BcoqU
「ライ様への愛が足りない!!」
投げ飛ばされたジノは映画館の看板に綺麗に突っ込んだ。
「ライ様あってこそのライマーユニー。ライマーユニーはいいけどライ様に興味ないなど言語道断。そんなのこの私が許さないわ」
「モニカ………」
ポーズを決めるモニカに感動して涙を流すアーニャ。
「モニカ………ライ様は、ライ様は」
「ええ、アーニャ。素敵な人よ。子どもぽくてかわいい笑顔や、今回の映画みたいにクールなお顔。そしてあの人の何気ない仕草の一つ一つが全てに私は虜。魅力的な人よ。そう、ついに私は見つけた! 文化の真髄を!!」
力強く拳を握り力説するモニカ。
「いきなりドロップキック、馬乗りパンチ、ジャイアントスイングはひでーじゃねぇかモニカ!!」
ボロボロになったジノがモニカに文句を言いに戻って来た。
「んなことわかってるわよ!! この蛇野郎!!」
「え? なんでそこまで言われなきゃいけないの?」
「受けなさい! 私の(ライ様への)愛を! 瞬殺の〜!」
「ギャァー!!」
なんか大変なことになってるジノ達から離れ、1人自販機でジュースを買っているノネット。
「………今日も平和だな」
ジュースを飲みながらノネットはそんなことを呟き、ライ様の魅力を拳で語るモニカ達を眺めていた。
クーwwwガーwww
支援
支援
ノネットさんはライ様好きじゃなのか?支援
689 :
萌は文化:2008/09/08(月) 23:59:20 ID:Fc2BcoqU
おまけ
ラジオを聞いている皇帝とV.V
ゼロ『次のハガキは……ペンネーム、ブリタニアエンペラーさんからです。私はライマーユニーさんのデビュー当初からの大ファンです。これからも頑張ってください………だそうだ』
ライマーユニー(ライ)『ありがとうございますブリタニアエンペラーさん。あなたみたいな人に支えられて今の僕が居るんですよね。お礼にオリジナルステッカーをプレゼントしますね』
皇帝「ヌアッハハハハ! あやつめ、やりおったな!!」
V.V「よかったねシャルル。ハガキ読んでもらえて」
ゼロ『では次のハガキは……ああ、最早お馴染みのペンネーム、V2さんからです』
皇帝「ヌアッハハハハ!?」
ライ(ライマーユニー)『ホント、V2さんは毎回毎回おハガキありがとうございます。今回は特別に僕のサイン入りの番組オリジナルTシャツをプレゼントしますね』
V.V「………ニヤリ」←勝ち誇ったような笑み
皇帝「あやつめ、やりおったな!!」←悔しそう
遂にラジオまで!?支援
しかしもう、今さらだが反逆はどうなったかと問いry
反逆のルルーシュじゃなくなってるwww
692 :
萌は文化:2008/09/09(火) 00:03:09 ID:Z9orxg6j
以上で終了です
かなり迷走してますね
番外編なのに無駄に3部作
全部書くかは不明です
支援ありがとうございました
眠い、私はもう寝ます
むしろ何に反逆してるw支援
お疲れさまでしたw
いや〜最高でしたw
流石スレのギャグ王!!(誉め言葉)
是非続きを御願いします。!!できればライマーユニーよりも
長く!あと出来ればカレンのバージョンも!
次回の投下を熱望しております。
>>692 萌は文化卿、GJでした!
ゼロwww六畳一間てwwww
杉山、朝比奈、いつまでラーメン食っとんねんwww
よく考えたら、ブリタニアをぶっ壊せてる=反逆成功?
いつもながら大変面白いSS、こんなカタチでGJでした!
ライマーユニーも、狂王も、続きが気になって仕方がないんです
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
追い付けないーっ!
>>490乙でした
R2が始まったばかりの頃、一年間記憶がないまま過ごしたとはいえ、ルルーシュ成長してねえぇぇぇっ!
と思っていた&
一期のイメージで、スザク(人外の域)>一般ラウンズ(人類の上限)≧藤堂(熟達者)、カレン(資質に恵まれた自己流)
という感じでとらえていて、紅蓮可翔式無双にポカーンとしてしまった私にとっては、
ライとカレンが鍛練により確実に成長していると思われるようなエビソードはメチャメチャGJでした!
女性の頼みを断れない自分を誤魔化すライも笑えてよかったです
>>560乙でした
甘いものは大好きだが、人間は甘いものだけでは生きていけない
何か上手く言えませんが、五臓六腑に染み渡る薬膳というか、健康になれそうなバランスの取れた食事をいただいた気分です
ストイックな文章も、調味料を極限にまで抑え、素材の良さを引き立てている感じがしました
何か変な感想ですみません
あと、誤字ではないかと思うものを二つあげます
>>503 NKFで戦う→KMFで戦う
>>537 一転突破→一点突破
>>589乙でした!
鉄火肌で姉御という表現が相応しいノネットさんですが、この話では姉御というより
(マリーカの)お姉さんって感じで新たな魅力に目覚めた気がしました
>>638 色んな意味で胸の熱くなる作品でした
軍事物に弱い私は、グットラックが出てくる度に某妖精の女王の名を冠した機体の出てくる話を連想してしまいました
(アニメ版しか見てないけどw)
>>566 対応ありがとうございました
おっしゃられる通り、持ち帰りを推奨する形になるのはおかしな話なので、今の形で良いのではないかと思います
素晴らしいカオス……この流れならば、書いた自分でもよくわからないコレを投下しても許される気がする!
というわけで、投下したいがやはり10分ほど感想の時間を待つべきか!?
ですよね、なら待ちます。
あ、お風呂入れてこなきゃ……
私は我慢弱い!
という訳で
>>699卿、申し訳ありませんが限界です
他の方、支援は任せました
……おやすみ
>>700 すいません。時間をおいたら冷静になって、
そしたら「これ意味分からん過ぎだろ。投下してもリアクションに困るだろjk」
と思い悩んでいたんですが、言った以上はやはり投下することにしました。
というわけで、投下します。あとがきいれて、6〜8レスくらいです
・ギャグ? 否、カオス。本編の展開並みにカオス。
・書いた人の体験談が元ネタ。
・キャラ、壊れてます。
・つまらんって思っても、石は投げないで。
支援
アッシュフォード学園の食堂で、ライは彼の友人達と昼食を楽しんでいた。
メンバーはライ、ミレイ、シャーリー、そしてミーヤ。
ちなみに配置はライの正面にミレイ、ライの隣に座るシャーリーの正面にミーヤだ。
ライはリヴァルも誘ったのだが、彼曰く「あの集団の中に入る勇気が無い」と断られた。
あの集団って、生徒会でいつも一緒のメンバーじゃないか。ミーヤだってクラスメートだし。
そう疑問に思っていたライは、リヴァルの指す集団が昼食時、ライの席を中心に座る女子全員のことであることに気付かない。
実際、今仮にライが周囲を見渡せば彼の近くの席は女子が占領していて、男子はその様子を離れた席から(おびえた様子で)眺めていることに気が付いただろう。
しかし、ライは基本的に食事の時は食事に集中するタイプ、しかも今回は親しい友人達との語らいも楽しんでいる最中だ。
やけに女子が多いことに気が付きはしたものの、彼はそうした周囲を特に気にしなかった。そう、“いつものこと”なのだから。
「しかし、昨日は久しぶりにライの部屋に遊びに行ったけど、随分物が増えてたわねぇ」
「ええ。友達が遊びに来るたびに、何故か色々とお土産とかで置いていくんですよ。
この間ニーナが来た時は、夜仮●とかいう人形を貰いました。不思議なんですが、あれを枕元に置いてから安眠出来るんですよね」
そういう効果があるんでしょうか、と首を傾げたライは、そこで何かを思い出したように、そうそう、と言葉を続けた。
「どういうわけか、物を貰うとその代わりみたいに僕の物が無くなっちゃうんですよね。
下着とか歯ブラシとかなんですけど、無くなっている物が物ですから盗まれたとかではないと思うんですが。
会長が遊びに来た日も靴下がどこかに行っちゃって。会長知りませんか……って、会長に聞いても分からないですよね」
「ソウネ、チョットココロアタリナイワ」
自分の言葉に苦笑するライから微妙に視線を逸らしたミレイは、何故かカタコトだった。
「キャハハ! シャーリーったらドジっこなんだから!」
「そ、そんなに笑うことないでしょ」
何か面白い話でもしていたのか。シャーリーと話していたミーヤが、肩を揺らして笑いだした。
ついでにミーヤの学園ナンバー1の胸もぶるんぶるん。
一瞬それを見たライの頭に「ノーブラ」という単語が過ったが、まさかそんなことはないだろう。
ライの視線に二人は気づいたらしく、悪戯っぽい笑みを浮かべたミーヤを見て、シャーリーが、げっ、という顔をした。
「聞いてよマイハニー。シャーリーったらこの間、タッ「キャァー!」ップ付けずに泳いでたんだよ!」
何かを告げようとしたミーヤの声と、両手をあわあわとばたつかせながらのシャーリーの悲鳴が微妙に重なる。
そのせいでミーヤの言葉が完全には聞き取れなかったライだが、彼の耳にはミーヤが「タンクトップ」と言ったように聞こえた。
(タンクトップ? 水泳で使うのか?)
疑問に思い、隣に座るシャーリーに顔を向ける。彼女は真赤になってうつむいていた。
シャーリーの様子を不審に思いながらも、ライは素直に疑問を口にした。
「シャーリー達は、タンクトップで泳いでるの?」
「タンクトップ? なんでそんなのが出てくるの?」
「いや、だって今タンクトップって……」
怪訝そうな顔をしたミーヤは、ライが何を勘違いしているのかを察して、また肩を揺らして笑った。
釣られたようにミレイも笑っており、隣のシャーリーは何かを言い淀んでいるようだった。
ちなみに、動きに合わせてまたぶるんぶるんと胸が揺れる。今回はミレイも一緒だ。
その胸を見て、ライは思った。
(あれ、絶対泳ぐのに邪魔だよなぁ)
考えてることがちょっとずれているライ。
そのライに意を決した様子のシャーリーが、おずおずと口を開いた。
「あのね、ライ。ミーヤが言ってたのはタンクトップじゃなくて、その……タック・トップ、だよ」
「ああ、タック・トップか」
何故か恥ずかしそうなシャーリーに告げられ、ライは思考する。
タック・トップ、タック・トップ……思考の果てに、ライは結論を得た。
タック・トップって、なんだっけ?
「ねぇ、シャーリー」
「な、なに?」
ライはやっぱり素直に、その疑問を口にした。
「タック・トップって、なに?」
支援
ピタッ
ライがそんな音を聞いた気がした瞬間、時が止まった。
笑っていたミレイもミーヤもパチクリ、と瞬きしながらライを見ているし、
顔がまるでトマトのようにどんどん赤くなっているシャーリーも、身じろぎ一つしない。
ライはそこで急に周りが静かになったことに気付き、ついで四方から視線を感じて、辺りを見回した。
ライの近くに座っていた女子達は頬を朱に染め、皆ライを見ていた。ちなみに目が合うとキャーとか言って手で顔を覆ったりしている。
「ライ、タック・トップを知らないの?」
異様な雰囲気に呑まれたライは、明らかに碌でもないことを考えている顔のミレイの言葉に素直に頷く。
「知らないなら、しょうがないよねっ。シャーリー、ハニーがタック・トップのことをシャーリーに直接教わりたいって」
ミーヤが固まってしまっているシャーリーに語りかける。なぜか、妙に色っぽい声で。
ライはようやく、自分が何かまずいことを聞いてしまったことに気付いた。
「た、タック・トップは……」
「あの、シャーリー? 別に無理に教えてくれなくても……」
怯みまくりのライの声は、どうやら届いていないらしい。シャーリーは目をグルグルとなんだか面白い感じにし、
あうあうと赤面したまま言葉にならない言葉を漏らしていたが。
プシューっと頭から湯気を立ち昇らせると、がたんと音を立てて立ち上がり、
「……ライの」
食堂全体に響き渡る声で叫んだ。
「ライのむっつりドスケベえろえろだい・まじぃぃぃん!!!」
「え、えろえろ大魔神!?」
ガビーンという擬音が聞こえそうなリアクションを取るライに背を向け、
シャーリーは泣きながら駆け去って行った。
呆然とその様を見送るライだが、はっと気付いた時には、既に周囲を女子に包囲されていた。
支援
「もう、シャーリーったらあれくらいで」
仕方ないな〜と笑うミーヤ。そのミーヤの自分を見る視線が、
獲物を見る肉食獣のそれに思えて、ライは思わず椅子ごと後ずさる。後ずさるが、
背後からも同様の感じて振り向くと、そこには何やら舌舐めずりをするミレイの姿が。
「しょーがない。シャーリーの代わりに、私達がタック・トップが何なのか、
直に見せて、触れさせて、教えてあげる」
「いや、結構です」
即座に逃げ出そうとするライ。が、しかし。
「咲世子さん」
ミレイに呼ばれた瞬間、何処からか表れた白スク……ゲフンゲフン!!
忍者装束の咲世子がライを拘束した。
「ちょ!? 咲世子さん、その服R2からでしょ!」
「元気があれば何でもできる」
「何言ってるのあなた!?」
「連れて行って」
「イー!」
ショ(ピー)ッカー(←伏字失敗)みたいな返事をしてずるずるとライを引きずっていく咲世子。
ライは必死にもがいているが、咲世子はまるで意に介していない。
「私、レオタード取ってくるー」
「念願の、白スク水を手に入れたよ!」
「じゃ、私はこの間買ったプ●グスーツとかいうので」
その後を、きゃいきゃい言いながら付いてくる女の子達。
急な展開に付いていけないライ。せめてルルーシュかスザクが入ればなんとかなったかもしれないが、生憎と二人とも休みだ。
引きずられ、食堂の外へと連れ出される間際、ライはミレイの今日の靴下が、男物であることに気付いた。
そしてその靴下が、自分の物であることにも。いや、ミレイだけではない。
ライを取り囲んでいる女子達全てが、ライが無くしたと思っていた物を身に付けている。
ただでさえ混乱していたライの頭脳は信じがたい事実を目にしたことで思考を放棄し、意識を手放した。
BAD END
支援
投下終了と同時にジャンピング土下座。
俺が実際に体験したことを元にして書いた(タック・トップでなくニップレスで、びんたされただけでしたが)
いや、書いていたのですが、なぜかわけのわからない方向へ……おかしいな。シャーリーにエッチって言われて終わるはずだったのに……
ちなみにタック・トップというのは、新体操とか水泳の選手とか他にも色々ですが、
そういう人達が体にフィットする服(レオタードとか水着とかですね)を着たときに乳首のふくらみを隠すためのものです。
ニップレスってのは、日本だけで使われている名前なのでタック・トップとしました。
軽くセクハラなので、俺みたいな痛い目をみたくなければ女の子に聞いてはいけません。
……なにも殴られなくてもいいんじゃないかと過去を振り返りながら、さよ〜なら〜
>>712 ……改めて思った
卿は(良い意味で)イカれてるw胸が揺れる表現がツボッたw
何ですかその擬音はw
面白かったです。またの投下をお待ちしてます
>>692 萌は文化卿 乙です。
いやあ、モニカ可愛いよモニカ 本編瞬殺…orz
本編はみんな死に杉で超展開で意味不明なのでこういう話読んでると癒されます
>>712 千葉はライの嫁卿 乙です。
シャーリー可愛いよシャーリ− …なぜ死んじゃったんだ…orz
ライは小物類をお持ち帰りされるのに飽き足らず自分がお持ち帰りされるわけですね、わかります。
調べようと思ってた所だったので解説ありがとうございます。
完全パラレルなのに妙にリアル感のあるような話でしたが
やっぱ世界には男にはよく分からないこともあるよねw 読んで正直そう思った
それにタックトップとやらが何だろうとシャーリーの恥ずかしさとか気持ちが分からないし
おはようございます。
誰かおられるでしょうか?
投下したいと思いますが、いかがなものでしょう?
いるよ
9レスくらいなんですけど、よかったら支援お願いできますか?
いいですよ
すみません。
では、支援お願いします。
タイトル 蒼天の騎士 16話 ナナリーの騎士団
カップリング なし
○注意点○
このSSは、オリジナル展開の為、アニメとも違う話になっています。
また、ナイトメアや設定なども本編とは違う解釈やオリジナルの部分が多々あります。
それらが駄目な方は、スルーをお願いいたします。
合計で9スレの予定です。
なお、投下は2分前後ごとに行う予定ですので、5分超えた場合は、トラブル発生と思っていただいて結構
です。
その際は、再度投下しなおします。
あれ?なぜここで止まってるの?
移転完了か。
あー、そういうことね。失礼した。
保管庫の外部リンクに、運営板の鯖落ち情報スレへのものを足しておきました。
以後、サーバーに繋がらないというときは先ずこちらをご覧ください。
(TOPページでのダウン実況はこれまで通り、出来る範囲で行います)
オハヨウゴザイマシタ
なるほど、鯖落ちでしたか……理解は幸せ!
>>712 千葉はライの嫁卿、GJでした!
伏せ字失敗ってなんやねんw
なんかもう、色々笑わせていただきました
ラストの解説無ければ意味が分かりませんでしたが、他の部分も笑えましたよ
次の投下を楽しみに待っていますよ!
727 :
721:2008/09/09(火) 11:08:27 ID:LEWolqeg
すみません。
仕事に出る前に投下したかったんですが、規制にかかってしまい出来ませんでした。
(現在、仕事の休憩中でネットカフェから…)
後日、また投下いたしますので、その時はまたよろしくお願いいたします。
>>727 全力で了解いたしました
質問です
携帯にマルチポスト規制がかかるんですが
オレンジ支援解禁してOK?
>>728
普通でいいじゃん
>>729 普通だと規制に引っかかるんです
支援→支援
だと引っかかって
支援→全力で支援→支援
だと引っかからなかったので
じゃあ、普通に支援→支援。→支援でよくね?
別にどっちでもいいじゃん。
長々と意味不明なネタ支援じゃないんだし。
俺は支援→支援で引っかかったことはないけどな。
サーバー情報のスレ行ったら、こんなスレも見ていますのところにここが載ってた。
これも保管庫の影響だろか?
やっぱPSPで保管庫みれね〜布団の中でニヤニヤできね〜
管理人さんには悪いけど不便になったな…
俺携帯でネットしないorz
バケットはいってても高いよ…
しかたない、暗記で我慢だ。
布団の中って書いてあったorz
>>737は全力を挙げて見逃せ!
コテハンで失礼致します。
>>734氏 見られないとは、具体的にどのような症状なのでしょうか?
関門ページ(
>>1に記述してあるアドレス)は行けますか?
743ではないですが、フレームが元凶だと思われます。この際廃止してみては?
734でした。フレームについては一考するべきとおもいます。
21:30に投下しますが、よろしいでしょうか?
フレーム有りかなしか選べるサイトとかどう?
あれって別に容量倍とかにはならないよね?
毎度ありがとうございます、ピザーライです
SSをお届けに参りました
今回はRegain Colorsの続きをお持ちしました
それでは、お召し上がりください
支援
「なるほどね、中々のキレ者がいたといったところだね」
「用意していた計画も間に合わない。この手を打たれる前に天子を手に入れるつもりだったんだが」
「強硬手段・・・・・かな?」
ライは今出来る作戦などを考えるが、それしか思いつかなかった。
「それは最後の手段だ。まず私は朱禁城へ向かわせてもらう。君も来るかね?」
「僕は先に潜入しておくよ、何かあったときのために影で動いておくよ」
「頼むぞ、ライ」
そうやってライはゼロたちより先に朱禁城へと向かった。
ライはギアスを使い、簡単に潜入することに成功していた。
もちろん変装をすることにした眼鏡とウィッグを付けるだけだが、雰囲気は変わるものだ。
「すごい数だな」
来賓者の顔ぶれを見ながらライはゆっくりと歩いていた。
しかし、周りに対して注意を払う。警備の数などの確認も必要かもしれない。
そうやっていると一瞬だけだが、微かな殺気を読み取りライの体が自然と反応を示した。
若干腰を落とし半歩足を後ろに下げる。
(気配は・・・・・後ろ!)
そうやってライはすぐに後ろを向くと・・・・・・。
ピロリロリッ!
何やら電子音が聞こえてきた。
完全に後ろを向くと女の子が携帯をこちらに向けていた。
「記録」
「へ?」
そうやってアーニャは携帯を操作し始める。その姿をライはポカンと見つめていた。
そんな2人に長身の男が近づいてきていた。
「アーニャ、記録ばっかやってないで食べたらどうだ?アンタもどうだい」
「えっと・・・・・」
ライはどう言っていいのか分からなかった。
しかし、その2人の服装を見てもう一度顔を見直すとライの表情が驚きの顔へと変わった。
そうこの2人はあのナイトオブラウンズの2人だ。
ナイトオブスリーのジノ・ヴァインベルグとナイトオブシックスのアーニャ・アールストレイムだ。
支援
「名前は?何て言うんだ?」
「えっと・・・・・・」
そうやって携帯に打ち込みを続けるアーニャ。
「アールストレイム卿、さすがに他の来賓の方を写すのは」
そんな3人の中にまた1人妙齢の女性がやってきた。
見るからに軍人らしくないが、この2人と一緒にいるということは軍の関係者なのだろう。
「ダメ?」
そうやってライのほうを見上げるアーニャの顔にライは一瞬止まってしまったが、やがて笑顔を見せる。
「別にダメじゃないよ」
笑顔のままライはアーニャの頭を優しく撫でてしまっていた。
何だか昔の妹の姿を重ねてしまったようだ。
「へぇ〜、アーニャの頭撫でられるやつノネットたち以外にもいたとはな」
「え?あ・・・す、すみません」
「あ・・・・・」
ライも我に返ったのかすぐに手を引っ込めるが、何故か残念そうなアーニャの顔があった。
「お?こりゃ参ったな。なぁ、今度俺らと・・・・・・っと、悪い。話はまた後でな」
シュナイゼル第二皇子の到着で辺りが騒がしくなっていた。
ジノとアーニャはすぐに動くとライの前からいなくなっていた。
その後、多少のいざこざが起こったが、全員無事に斑鳩に戻った。
支援
格納庫で暁の調整をライはしていた。
今回の作戦は少なからず大規模なKMF戦が行われる可能性がある。
「・・・・・・・・」
調整をしながらライはゼロとシュナイゼルのチェス勝負、ニーナの騒動などを思い出していた。
「今回の計画はシュナイゼルが動いていたというわけか」
シュナイゼルを見た瞬間からこの人物は何か腹に抱えていると感じた。
そして、チェス勝負を見てもシュナイゼルの力量が少しは分かったつもりだ。
「しかし、あそこまで取り乱したニーナは初めて見たな」
いつも大人しそうだった彼女があそこまで変わってしまったことに驚いた。
並々ならぬ想いをユーフェミアに持っていたことは明らかだ。
それ故に周りのことに対して盲目になってしまわないことを祈った。
そして、ルルーシュはもう引き返さないだろう、それならば自分は・・・・・。
「ルルーシュを守るのが僕の役目だ」
自分と同じような人間を二度と作らないために。
「ねぇ、ライ。少し休憩しない?」
呼ばれて下を見ればカレンがドリンクを持って立っていた。
ライは頷くと暁から降りてくる。
「ありがとう、カレン」
「いいわよ、別に」
そうやってライはドリンクを飲む。何故かお互いが黙り込んでしまう。
支援
「そういえばこうやってカレンと2人きりってのはルルーシュ探しに行った時以来だね」
沈黙に耐えられなかったライは笑いながら話しかけてくる。
「確かにいつもライの傍にはC.C.がいたから」
今はC.C.はライの部屋でピザでも食べている頃だろう。
もしかしたらこの前のことを聞くチャンスかもしれない。
「ねぇ、ライ。あなたも・・・・ギアスが使えるの?」
「え?何で・・・・それを・・・・」
「・・・・・扇さんたちを助ける前の日・・・・私、起きてたの」
「そう・・・だったんだ」
ライはカレンから目を逸らす。聞かれたくないことだと思っていたらしい。
「あなたは・・・・何者なの?」
ライは何も答えない。カレンはそのまま言葉を続ける。
「C.C.はあなたのことを昔から知っている感じだった。でも、私もルルーシュも知らない。
でも、色々と引っ掛かるところがあるの。あの月下だってそうだった」
そうやってカレンはあの蒼い月下を思い出す。あの月下とカレンは共に戦った記憶がある。
それはライが乗った月下と瓜二つの戦い方だった。こんな偶然があるのだろうか?
「ライ、答えて・・・・・あなたは・・・・・」
「今日はもう遅い・・・・・カレンも寝たほうが良いよ」
ライは仮眠室へと向かって歩いていった。それは明らかな拒絶だった。
「ごめんね」ライはカレンの横を通り過ぎる時そうやって小さく呟いた。
「何で・・・・何で私じゃ駄目なの?・・・・ライ」
カレンは涙を流しながらライの蒼い暁を見上げた。
支援
格納庫から足早に出たライは涙が零れそうなのを耐えていた。
もし今までのことを全て話せばどんなに楽なのか、思い出してもらえたらなどと考えてしまう。
しかし、話してしまえば彼女のことだ。自分を放っておいてくれないだろう。
もしかしたらいつかギアスが暴走してしまった時に自分の近くにいるかもしれない。
そして、暴走してしまった自分は彼女や他の皆を傷つけるかもしれない。
ライはそれが・・・・・自分の知る、大切に思っている人たちがギアスによって死ぬのが怖い。
C.C.でさえ遠ざけたかった。ギアスが効かなくても自分の傍にいてはいけないと思った。
ギアスがなくても彼女を不幸にすることなど出来るのだから。
あの時、C.C.の前で泣いたのは自分の弱さだ、甘えだ。
そういうものは一切捨てる時が来るかもしれない。
だからこそ、カレンの言葉を拒絶した。
「あぁ・・・・くそっ・・・・僕は・・・・・」
ライは必死に溢れてくる涙を耐えた。いっそ泣いてしまえば楽なのかもしれない。
もしこの場にC.C.がいたら何と言ってくれるだろうか。抱きしめてくれるだろうか。
「駄目だな・・・・僕は・・・・・C.C.に甘えてしまっている」
ライは頭を横に振ると気持ちを切り替える。
今は・・・・・まだ大丈夫。だからこそ、皆の自分の大切な人たちのために僕は戦おう。
それが・・・今の僕に出来ることだ。
そうして、夜は更けていった。
支援
以上でした!いかがでしたでしょうか?
今回のカレンとの会話は結構悩みました。全てを話すか、話さないか
多分、カレンとかルルーシュがライを思い出すのはまだまだ先にします
あ、サブタイトルは第13話「哀しみの決断」でお願いします
それでは、また次の配達で!
>>758 GJです!続きお待ちしてました。予告どおりすれ違ってましたねえ。切ない…
カレンがライを思い出した時、どんな反応を示すのか楽しみです。
次回の投下をお待ちしてます。
>>758 GJ、お疲れ様でした。サブタイトルをご要望通りにして保管致しました。
>>743 現在の当方の技術力では、INDEX関係をもう一つ作ることしか思いつきません。
それに加えて4000近いリンクの修正……。考えてはいますが、未定とさせていただきます。申し訳ありません。
761 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/09(火) 22:20:29 ID:OGTYBWsc
ちょっと遅くなりましたが・・・
>>758 ピザの配達人卿GJでした!
これは・・・近いうちに記憶が戻るかな?
なんて事を考えていますが実際どうなんでしょ?
楽しみにしながら、かつ気長に次回の投下を待たせていただきます。
すまん
sage忘れたorz
>>760 ここで言う事では無いのかもしれませんが。
SS保管庫のRC卿の「Return Colors 9話 〜双璧の修復〜」が閲覧できません。
私だけなのでしょうか?
>>763 修復いたしました。ここで言ってくださることは、少なくとも私にとっては大変ありがたいです。
>>764 確認しました。
素早い対応ありがとうございます。
23時ごろ投下してよろしいでしょうか?
支援するでありますよ
支援表示ありがとうございます。
合計で9レスの予定です。
よろしくお願いいたします。
タイトル 蒼天の騎士 16話 ナナリーの騎士団
カップリング なし
○注意点○
このSSは、オリジナル展開の為、アニメと違う話になっています。
また、ナイトメアや設定なども本編とは違う解釈やオリジナルの部分が多々あります。
それらが駄目な方は、スルーをお願いいたします。
なお、投下は2分前後ごとに行う予定ですので、5分超えた場合は、トラブル発生と思っていただいて結構です。
その際は、再度投下しなおします。
支援
行政特区日本。
新しいエリアのあり方を模索するという形で始まったこのシステムに、今変革の時がきていた。
ナナリー総督誘拐事件と政庁の機能停止という非常事態に仮で実施されたエリア全体の行政特区化。
その仮で行われた処置が大きくエリア11を変化させた。
活気がエリア全体を覆い、エリア11は、かって経済大国といわれ世界に名を知られた頃のような片鱗さえ見せ始める。
そして、本来ならば少しずつ特区を広げ、エリアのほとんどを特区化するというナナリーとライの考えは、事件を期に一気に進められる事となった。
まず、監視機構を残して行政権利の特区日本への譲渡を実施。
そして、その政務のほとんどは、ブリタニア人と日本人による議会が行う形へと移っていった。
その結果、ブリタニアの支配圏でありながら、エリア11は半独立国家という新しい国の姿をとる事になったのである。
その流れやエリアのあり方は、多くのブリタニア人の反感を買いエリアを離れるものも多かった。
しかし、それ以上にナナリーの考えに賛同、或いはこの新しいエリアの形に期待し残ったものも少なくなかったのである。
蒼天の騎士(16) ナナリーの騎士団
「面白くない流れだね…」
シュナイゼルは、集められた資料に目を通すと机の上に放り投げた。
772 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/09(火) 23:05:38 ID:OGTYBWsc
支援
ここは、ブリタニア本国の宰相室。
側には副官のカノンがついている。
「そうですね。あの事件がきっかけとはいえ、一気に流れが変わってしまいました。
また、反対者が多数を占めるとはいえ、一部に賛成するものも現れ始めています…」
そう言うと新たなファイルを手渡す。
そこには、行政特区賛成者や推奨者、企業などがリストアップされていた。
「アッシュフォード家やエニアグラム家はわかるが、アスプルンド家やゴッドバルト家、さらにコーネリアまでとはね…」
「はい。アスプルンド家は、ロイド伯が皇コンツェルンの招待でエリア11の技術開発施設に参加していますし、ゴッドバルト家は、ジェレミア卿がナナリー様の騎士団に参加している以上仕方ないかと。
また、コーネリア殿下もユーフェミア様の推し進めた事業という事もあり、全面的に支持を表明されています」
報告を聞きながら、デスクを指で叩くシュナイゼル。
それは、彼が思考をめぐらしている時の癖であり、それを知っているカノンは気にせず報告を続ける。
「また、行政特区推進派の繋がりは強く、現時点での切り崩しは逆効果になる恐れもあり、中々難しいと思われます」
またsage忘れたorz
支援
報告が終わり、静寂が部屋を包み込む。
ただ、シュナイゼルの机を指で叩く音だけが、コツコツと響く。
しばらくして考えがまとまったのだろう。
その動きが止まる。
「今のところは、もっとも影響力の強いコーネリアを中央から遠ざけておくぐらいしかできないか…」
「EU戦線の司令官として、赴任してもらうのが一番問題ないかと…」
「よし、それでいこう。ところで、例の件は進んでいるのかい?」
「ニーナの方はうまくいっています。2〜3日後には実施可能です」
「そうか…成功したか…」
シュナイゼルが、表には出さない策士としての顔でにたりと笑う。
「また、積み上げの方ですが、今のところ6割程度は確実に掌握出来ます。また、さらにうまく立ち回れば8割は硬いと思われます。」
「積み上げに関しては、もう少し確実に上げておきたいが、そろそろ拙そうだね…」
「はい…。ナイトオブワンが動き始めているそうです」
「よし…。積み上げはここまでだ。3週間後のエリア11視察で実施する…」
「イエス、ユア マジェスティ」
カノンは深々と臣下の礼をすると部屋から退出していった。
一人になって、シュナイゼルは画面に映る人物データに目を通し、楽しそうに呟いた。
「ふふふ…、さぁ、どう出る……狂王…」
その画面には、皇帝の他、数名しか見る事は出来ないはずのライの本当の人物データが映し出されていた。
支援
行政特区日本の中心都市富士宮市に作られたブリタニアエリア11管理機関の敷地内にある中央ビル。
そのビルの大広間では、ナナリーの騎士団に所属する騎士たちの任命式が行われていた。
大画面のディスプレに編成図が表示され、名前が映し出される。
団長は、ライ・エニアグラム卿。
副団長は、ジェレミア・ゴッドバルト卿。
行政補佐官としては、特区成立に尽力を尽くしたミス・ローマイヤを初めとする初期スタッフの名前が並んでいる。
そして、なによりその場に居合わせた者を驚かせたのは、黒の騎士団からの参加者がいた事だろう。
それもかって黒の騎士団の双璧といわれ、ブリタニアから赤き死神と呼ばれた紅蓮のパイロットが率いるゼロ番隊…。
「紅月カレン以下12名、ゼロの命により騎士団に参加いたします」
膝をつき、臣下の礼をとるカレンと12名の彼女の部下達。
「参加していただきありがとうございます。カレンさん」
ナナリーは、そこで一度言葉を切ると質問する。
「参加の前に貴方に聞きたいことがあります。もし、ゼロと敵対する事があれば貴方はどちらに付くのですか?」
そう、誰もが疑問に思う事を、ナナリーははっきりと聞いたのだ。
その打ち合わせにはない言葉に、周りはざわついた。
支援
そのざわつきの中、カレンは顔を上げるとライを見て微かに微笑み、そして、ナナリーの方を向きはっきりと宣言した。
「私たちが命じられたのは、行政特区日本を推し進めるナナリー皇女殿下の手となり足となり尽力を尽くせという事です。
ナナリー皇女殿下が行政特区日本を推し進める限り、例え相手がゼロであっても、我々はナナリー皇女殿下の味方として尽くすだけです。」
その言葉に微笑むナナリー。
「わかりました。よき答えです。私、ナナリー・ヴィ・ブリタニアの名において、皆様を喜んで歓迎いたします」
その宣言に会場は一気に沸きあがった。
僕は、この結果にほっとした反面、ナナリーの政治的センスと度胸、それにカレンの判断に驚かされた。
この場合、ただ信用しろといわれても誰も信用はしないだろう。
また、双方に大きな確執とわだかまりは間違いなくある。
だが、味方である条件がはっきりしており、その条件が満たされる間は裏切る事はないという説明は実にわかりやすく、誰もが納得しやすい。
確かにこんな事では、確執やわだかまりが完全に消える事はないだろうが、これで多くのものは彼らを迎え入れるだろう。
力強い味方…そして、良き仲間の一員として…。
支援
その日の夜、富士宮市に作られた新しい総督宅では懐かしい面子が集まり、簡単なパーティが行われた。
参加者は、ナナリー、僕、咲世子さん、そして、カレン。
新しい同居人と友人との再会を祝して行われたものだ。
もちろん、新しい同居人とは、カレンの事である。
前回の事件の教訓から、ナナリーの側についていることの出来る女性の護衛役の必要性が急務であり、その条件を満たしているものが騎士団にはカレンしかいなかったのだ。
もちろん、反対する意見はあった。
しかし、ナナリーは、彼らにカレンが学生時代の友人であると説明し、何かあったときは自分が責任を取りますと言い切った。
そこまで言われてしまっては、反対派もこれ以上反対する事は出来ず、認めるしかなかったのである。
そして、カレンはこの館の一員となった。
「ふう…」
久しぶりに味わう楽しく心休まる時間に、安堵の息が漏れる。
「あらあら、どうしたのですか?」
微笑みながら咲世子さんが飲み物を手渡してくれる。
「いやぁ、こういう安心できる時間って久しぶりだなぁって…」
「そうですわよね、ちゃんとカレンさんにも浮気釈明できたみたいですし…」
ぶっ…。
危うく飲みかけたものを噴出しそうになった。
支援
「ど、どうして…それを…」
僕が恐る恐る尋ねると咲世子さんがにこにこと笑って携帯用動画末端を見せる。
そこには、抱き合って見詰め合う僕とカレンの姿。
そして…。
「い、いつの間にっ…」
真っ赤になってそれを奪い取ろうとする僕に、咲世子さんの更なる追い討ち…。
「だ、駄目ですわ…ライさまっ…。せめて御二人のいないところでお願いしますぅ〜」
色っぽい声でそんな台詞を叫ぶ。
仲良く談笑していたカレンとナナリーがこっち側を振り向く。
カレンの冷たい目がきつい…。
「あの…カレンさん、どうしたんですか?」
状況がわからないナナリーがカレンに説明を求めている。
(カレン…頼む誤魔化してくれ…)
拝む格好までしてなんとか援護を期待したのだが…。
「ああ、ライが咲世子さんに手を出そうとしているのよ」
実に容赦ない言葉が返ってきた。
「ち、違うんだ…ナナリーっ…こ、これは…」
慌てて弁解しようとするのだが、その言葉は咲世子さんの声で遮られる。
「ああんっ…駄目ですわっ…ライさまっ、そんなところぉ…」
実に楽しそうに怪しい声をあげている。
(ああ…オワッタァ…)
がっくりと崩れ落ち呆けてしまいそうになる僕の耳にナナリーの笑い声が響く。
「くすくすくす…咲世子さん、ライさんをからかうのは程ほどにしておいてくださいね」
それと同時に笑い出すカレン。
「なによ、その必死な顔は…。しっかりしなさいよ、ライ」
「へ?!」
そこまで言われ、僕は気が付いた。
そう、僕は完全にみんなに弄ばれていたのだ。
(なんで…こうなるんだ…)
うれしいんだけど、とても泣きたい気持ちになってしまった…。
そして、楽しい宴の時はあっという間に過ぎていき、別れる間際にナナリーはカレンにそっと囁く。
「私、まだ諦めていませんから…」
その宣言に、カレンは微笑みながら同じように囁き返した。
「いいわ、受けてたつわよ。私だって負けられないもの」
そして、二人は楽しそうに笑いあった。
支援
支援
猿った?
猿だな
こりゃ
○次回予告
ゆっくりと悪意は周りを犯し始め、人々はそれに気が付かない。
そして、そのことに気が付く時、それは手遅れの証。
そうなった時、人々に出来ることはあるのだろうか…。
シュナイゼルによる演出、脚本の悪意による物語は、今始まろうとしている。
次回「蒼天の騎士17話 嵐の前の…(仮)」
支援ありがとうございました。
またよろしくお願いいたします。
なお…猿が出ました。
最後に…。
どうも間が悪いのとタイミング悪いターンが続いているようです。
オハヨウゴザイマシタ
えぇ、お察しの通り寝落ちですorz
>>758 ピザの配達人卿、GJでした! 今回も美味しくいただきました!
悲しいねぇ……記憶を取り戻して、わかり合える時はいつになるんだろうか
続きが楽しみであり、そろそろあのイベントかと思うと不安にもなりますね
>>789 あしっど・れいん卿、GJでした!
行政特区日本のこれからの行方、シュナイゼルの出方、ルルーシュはどうなるのか
そして何よりこの、すぐに修羅場に発展しそうな展開にドキドキです
貴公らの次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
あしっど・れいん卿GJでした
本編に合わせてだいぶクライマックスかかってますね
この状況が次回にはどう動くのか、全力で期待しながら待っています!
なお・・・自分も猿が出ました。
>>739 アドレスには行けますがフレームが上側と左側の分しか表示されず、右に表示される文が読めないのです。
>>758 GJ!
配達人郷の作品はロスカラ本編で不足気味だったライC分を補完してて良いですね。
本編の方はカレン贔屓しすぎじゃね?と思ってしまったので、続編でたらこんな感じの話がみたいなといつも思います。
>>792 では、フレーム非対応ではなく、動作保障外みたいなものですかね?
うーん、当方PSPを所有していないので確認しようがない。ご不便をお掛けして申し訳ありません。
皆様、おはようございます。突然ですみませんがまたしてもアンケートをとりたいと思います。
保管庫を見るときは……
1.主にPC(≒フレーム対応ブラウザ)だ
2.主に携帯電話やPSPなど(≒フレーム非対応ブラウザ)だ
数字で結構ですので、会話などに併せて書き込んでいただければ。
※当然ですが、今直ぐどうこうといったことではありません
※取り敢えず、期限はこのスレ中とさせていただきます
>>794 2、主に携帯電話からです
今のところ特に問題はありません
ちなみにPSP(1000)を付けたところ、
>>792と同じく、本文が表示されませんでしたが
ファイル→リンク先を別のタブで開く
で見ることが出来ました
797 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/10(水) 10:17:10 ID:Ao7mTn/4
>>789 おはようございます。
久し振りの投下、楽しく読ませて頂きました。
カレンとナナリーのバトルはまだまだ続くようで楽しみですね。
あとシュナイゼルの策謀も楽しみですね。
あと一つきになったのですがシュナイゼルの敬称はハイネスではなかった
でしょうか?
では次回の投下を楽しみにしていいます。
トーマス卿のアンケートは1で御願いいたします。
801 :
789:2008/09/10(水) 11:43:52 ID:nmdkWpei
>>798 シュナイゼルと二人きりですので、カノンはあえてこう言ってます。
カノンにしてみれば、シュナイゼルが皇帝に一番ふさわしいと思っていると思うので。
こうやっていつもハッパかけてるんですよ…きっと…www
>>794 トーマス様お疲れ様です。
1ですね。
>>801 あしっど・れいん卿
にしてはシュナイゼルが妙にギラギラした印象を受けますね。
もっと穏便な手で、
気付いたら彼は既に自分達の上に居て抱き込まれていた。
な感じと思います。
トーマス卿の質問ですが私は2です。
>>789 カノンとシュナイゼルの性格、関係性が自分の考えているものと大分違うようで、かなりビックリしました
こういう捉え方もあるのか……
>>794 1、2併用ですが、最近は2メイン
携帯でPCサイトビューアを使用
本文は別窓扱いで表示してくれてるようです
(
>>795の作業をビューアが勝手にやってくれている感じ)
携帯で見たいのですが見れないので1です
>>794 自分は1のみですね、携帯とかで見たことないです
1です
俺も1だな
809 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/10(水) 18:52:14 ID:0QfN7Cab
1です
>>794 1 2両方ですかね
フレームあるとみにくいのはたしかですが・・・こればっかりはしかたないとおもってます
成る程……1が多いですが2も結構ありますね。引き続き意見をお待ちしております。
ところで本日未だに1つの投下も無いですが、……まさかとは思いますがアンケートのせいで
投下を躊躇されてるなんてことはないですよね・・・・・・?
>>811 いつも思うんですが、気にしすぎでは?
……なんか罪悪感がわいてくるんですけど
>>812 これぐらいで丁度いいと思ってますよ。ただでさえ、出しゃばりすぎで不快に思われている方が
おられますから、せめて誠意ぐらいは見せないと。
(そうか?と疑問に思うかも知れませんが、一時期に比べて表に出てくるのは結構控えるようにしています。
誤字脱字などの提言、依頼や呼び掛けへの応答はこれまでと同じく即時対応が原則ですが)
>>813 まぁ、夏休みも終わってますし。そんな日もありますよ。
では30分くらいに投下していいすか?
支援します。
817 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/10(水) 21:20:03 ID:i5JT15sF
支援
818 :
萌は文化:2008/09/10(水) 21:32:44 ID:bLUzrKy7
では時間なので投下しますよ
タイトル「 夢 」
普段と芸風変えてギャグではありません。
偶には真面目に書いてみたくてやりました。
カップリングはライ×セシル
注意点
・最初だけ微エロかも
・普段ギャグしかやらないからキャラ描写が荒い、酷いかもしれません
では投下
支援
支援
821 :
萌は文化:2008/09/10(水) 21:35:37 ID:bLUzrKy7
「セシルさん、好きです」
そう言うとライ君は私の唇を強引に奪った。
「………ん」
抵抗が出来ないほど力強く、彼は私を抱きしめる。
とはいっても、私自身、抵抗する気などまるでなかった。
むしろ無意識の内にライ君の口付けに酔いしれていた私は、より強く彼を求めていた。
彼はそのまま私をベッドに押し倒し、覆い被さるように私を見下ろしていた。
吸い込まれそうな彼の瞳に、私の理性は吸い込まれたのだろう。
私の中で、ある欲求が身体に訴える。
彼が欲しい。
私を見つめるあの銀髪の少年がたまらなく欲しいと。
「綺麗ですよ」
囁く彼の吐息が私の肌に触れる。
熱っぽい彼の吐息がますます私の身体を熱くする。
彼ははだけた私の胸元からゆっくりと首元まで舌で舐めあげる。
頭がボーっとする。
……もう、私も限界だった。
ライ君が欲しい。
どうしようなく欲しい。
狂おしいほど欲しい。
私はライ君を………
と、いう夢を見た。
「…………あら?」
目が覚めると自分のベッド中だった。
支援
支援
し〜え〜ん〜
825 :
萌は文化:2008/09/10(水) 21:38:55 ID:bLUzrKy7
恥ずかしい。
我ながら恥ずかしい夢を見た。
よりにもよって、ライ君とあんなことする夢だなんて。
「………欲求不満なのかしら」
私の口から今日何度なのか、羞恥のため息が出た。
今日はライ君は休み。
正直助かった。
今の私はライ君と普通に接する自信がない。
今別室ではスザク君とロイドさんがランスロットの件で細かい調整の話をしている。
そのため、今この部屋には私1人しかいない。
率直に言うとすごく暇。
動いてる最中はそうでもないのだが、特にやることもないとたびたび私の脳裏にどうしても今朝の恥ずかしい夢が思い浮かぶ。
忘れよう忘れようと思えば思うほど、私の脳裏にはより鮮明に熱い視線で私を求めるライ君の姿がはっきりと思い浮かび、そのたびに私の顔が熱くなる。
「………どうしてあんな夢」
確かにライ君は格好よくて素敵な男性だと思う。
でも今まで弟みたいでかわいい年下の男の子くらいにしか思っていなかった。
「でも夢の中のライ君………たくましかったな」
思い返せば夢の中のライ君はすごくたくましい体つきをしていた。
「本当のライ君もやっぱりあんななのかしら………って何考えてるのかしら私ったら!」
支援
支援
828 :
萌は文化:2008/09/10(水) 21:41:18 ID:bLUzrKy7
私は慌てて自分の妄想を振り払う。
うう、本当に何してるんでしょ私。
自分の頬に触れると指先から顔の熱が伝わってくる。
今日はライ君が休みで本当によかったと思う。
今日は私はどうしようもなくおかしい。
これも全て今朝の夢のせいだ。
このまま、明日ライ君に会った時にちゃんと顔を見て話せるのかしら?
「セシルさん」
「ひゃん!?」
突然背後から肩を叩かれ、油断していた私は飛び跳ねて後ろを向くと学生服のライ君が驚いた様子でこちらを見ていた。
「ら、ら、ら、ライ君!?」
な、何でライ君がここに居るの!?
今日は休みのはずだったんじゃ!?
「す、すみません。そんな驚くとは思わなかったもんで…」
ライ君は私を驚かせようとちょっとしたイタズラのつもりだったらしい。
でも今の私にとっては心臓が飛び出すかと思うほどビックリした。
ライ君はあまりの私の驚きように逆にビックリしたようだ。
「い、いいえ。ごめんなさいね。ちょっとビックリしちゃった。それより今日はどうしたの? 確かライ君は休みだったはずよね?」
出来るだけ平常を装って私は言う。
………ダメ、やっぱり今朝の夢のせいでライ君を直視出来ない。
支援
支援
831 :
萌は文化:2008/09/10(水) 21:43:05 ID:bLUzrKy7
「ええ、今日は午後からスザクと約束があったので、暇でしたからスザクを迎えに来たんですよ」
ライ君が言うと私は時計を見た。
時計の針はつい先程、正午を回ったばかりのようだ。
「あ、あら、そう。スザク君ならそろそろ戻って来ると思うわよ」
何とか答える私。
きっと今の私はさぞかし、挙動不審に見えることだろう。
「じゃあ、スザクが来るまで待たせてもらいますね」
「ええ、いいわよ。ゆっくりしていってね」
恥ずかしいからダメ!
何て言えず、了承するとライ君は普段と変わらぬ様子で私の向かいに座った。
うう、今の私の目の前に座るなんてもしかしてライ君、確信犯じゃないのかしら?
「…………あ」
ライ君と目が合った。
ライ君は私と目が合うと前髪を揺らし、ニッコリと微笑みを浮かべた。
「〜〜〜!」
私の脳裏に今朝みた夢の中のライ君の映像がフラッシュバッグする。
私の体温、心拍数が一気に急上昇。
もう、私は自分でどうしようもないほどライ君を意識してしまっている。
「セシルさん?」
「ヒャイ!?」
支援
支援
834 :
萌は文化:2008/09/10(水) 21:45:24 ID:bLUzrKy7
いきなり私の顔を覗きこむようにライ君は顔を近づけて来た。
近い! ライ君の顔が近い!
「大丈夫ですか? 顔、真っ赤ですけど?」
それはあなたのせいです。
いや、私の責任かしら?
「そ、そそ、そう? もしかして冷房が弱いのかしら」
私は冷房をチェックするフリをして急いでライ君から離れて背中を向ける。
ライ君に気づかれないように私は自分の顔を指先でチェックしてみる。
顔が熱い。
やっぱりあんなの夢を見たら意識してしまう。
こんなんじゃろくに話も出来ない。
ああ、どうしよう。
スザク君達が来るまでライ君と2人っきりなのにどうしたらいいのかしら?
「…………2人っきり?」
私は今、ライ君と2人っきり。
今さらながら気付いた私は、すでに限界だと思ってた私の体温がさらに上昇した。
「何かいいましたセシルさん?」
「はい、いいえ!? 別に何も!」
明らかに緊張している私の声。
ライ君は「そうですか」と呟き、特にすることもなく天井をボーっと眺めていた。
支援
836 :
萌は文化:2008/09/10(水) 21:49:23 ID:bLUzrKy7
(ら、ライ君と2人っきりだなんて)
いつもなら気にならないのに、今日はライ君に一体どう接したいいのかまるでわからない。
うう、お願いスザク君早く来て。
このままじゃ私……
「あれ、ライ。もしかして迎えに来てくれたのかい?」
私の祈りが届いたのかスザク君がタイミングよくやって来た。
どうしてかしら、自分ね祈ったはずなのに、何かが胸につっかえる。
「でもごめんね。どうやら夕方まで長引くみたいなんだ」
スザク君は申し訳なさそうに頭を下げた。
「そうか、なら仕方ないね」
「僕からお願いしたのにすまないね。また今度お願いするよ」
「うん、わかったよ。それじゃあスザク、セシルさん、また明日」
「うん、また明日」
「え? あ、うん、さようならライ君」
軽く会釈をしてライ君は帰って行った。
どうしてかしら……居なくなってホッとしたはずなのになんか胸の辺りがもやもやして釈然としない。
「じゃあ、セシルさん。僕はお昼を取りに行ってきます」
そう言ってスザク君も外出した。
何故かしら、つい先程まで1人でもなんとも思わなかったのに、ライ君が居なくなった瞬間、とてもこの部屋が広く感じた。
支援
支援
839 :
萌は文化:2008/09/10(水) 21:53:07 ID:bLUzrKy7
夕方
仕事が終わり、私は晩ご飯の食材を買って帰ろと近くのスーパーへ向かって歩いていた。
「あら、あれは…」
遠目からライ君らしき後ろ姿を発見した。
あの銀髪の後ろ姿はたぶん間違いない。
けど……
「誰、かしら…?」
ライ君の隣りに学生服を着た赤髪の女の子が一緒に歩いていた。
一瞬、チクリと胸が痛んだ。
「学校の友達かしら……」
別にライ君に女の子の友達がいても不思議ではない。
なのに………気になって仕方がない。
ライ君と赤毛の女の子は一緒に公園の方へと歩いて行く。
気がつくと私は、無意識の内に2人の後を追い、公園へと向かっていた。
「…………どこ行ったのかしら?」
公園に入るな否や、すぐに2人を見失ってしまった。
「あ、居た…………!」
しばらく探すと2人を発見した。
でも私はすぐに2人を見つけたことに深く後悔した。
支援
支援
842 :
萌は文化:2008/09/10(水) 22:02:16 ID:bLUzrKy7
「ライ…君……!」
まず見えたのはライ君の後ろ姿。
そしてライ君は赤毛の娘を抱き寄せて…………キスをしていた。
「…………ウソ」
別にライ君に彼女がいても不思議でも何でもないはず。
そもそも2人っきりで散歩してたのを見つけた時点で充分予想出来たことだ。
なのに……なのに……どうして、どうしてこんなに胸が痛いの!
「………あ……あら?」
私の目から大粒の涙が零れた。
それも1粒、2粒じゃない。
次から次へと滝のように溢れて止まらない。
「あ、あれ? ………私は」
知らなかった。
知らなかった、私はこんなに………こんなにもライ君のことが好きだったなんて。
「………ッ」
ダメだ、どうしようもなく、涙が止まらない。
私は逃げるようにその場から走り出した。
「あれ? セシルさ……グハッ!」
後ろからライ君の声が聞こえたけど私は止まらないで走り続けた。
こんな姿見られたくない。
きっと今の私は酷い顔だと思う。
支援
支援
今週のギアスを見た……
奥森医院のかずい先生の所に行ってくるついでに支援
846 :
萌は文化:2008/09/10(水) 22:07:30 ID:bLUzrKy7
それに……こんな、こんなみっともない姿………!
その夜、帰宅した私は真っ直ぐにベッド飛びこんだ。
何で早く気付かなかったのだろう?
自分の気持ちに。
そうすればこんな苦しい思いもしなくてすんだのに……!
胸がこんなにも、こんなにも苦しい…!
私は泣いた。
声を殺して泣いた。泣き疲れるまでずっと泣き続け、私は枕を濡らした。
支援
>>845 乗り越えろ。俺は乗り越えた。っていうか記憶消すんじゃないw
支援
849 :
萌は文化:2008/09/10(水) 22:11:16 ID:bLUzrKy7
以上で終了
次回に続きます
うん、これが限界
シリアスに挑戦するにはまだ早かったか………
支援ありがとうございました
私は逃走します
お疲れ様でした〜
いやいや、十分完成度も高い作品でしたよ。
セシルさんの心情が良く出てたと思います。
では次回の投下を楽しみにしています。
>>849 序盤がエロくてドキドキしました。
842でグハッってライどうした。
萌えは文化卿のセシルさんが素敵です。
続き、お待ちしております。
>>849 萌は文化卿、GJでした!
読んでいて胸が締め付けられるような痛みを感じました
結構なシリアスさだと思いますよ
ライのセリフが気になり、それが次回へとどう続いていくのか非常に楽しみであります
次の投下をお待ちしております!
乙でした〜
次回が気になる引きですね〜
セシルさんに幸せな結末が訪れることを祈って、次回をお待ちしてま〜す
>>849 やはり…萌は文化卿ですね。
さすがです。
ライセシ書かせたら、貴方にかなう人はいないでしょう。
今回も楽しく読ませていただきました。
続きが気になってしかたありません。
無理は駄目ですけど、早めの投下をお待ちしておりますwww
(矛盾してますけど…www)
・・・画像掲示板投稿報告です・・・
タイトル「お楽しみはそこまでだ!」
0022-0884
184卿
ロスカラさん 第二話 リフレイン より
ずばーん!とロッカーから現れるゼロとC.C.
そして井上さんに押し倒されているライ、という絵面が
とても素敵でど真ん中でした。
この先もゆるーくアレンジされたコードギアスの世界を
楽しみにお待ちしています。
・・・
小さなキャラでのイメージ画です。
押し倒し押し倒されていますがエロくはないと思います。
ご覧いただければ幸いです。
・・・
今日は動きが少ないな・・・
>>855 見たいけど、画像スレに行けないよ……。
セシルさんがライにひかれることに戸惑う描写が可愛らしく、魅力的だと思います。
特にライが帰ったところの心境の描写が好きです。
セシルさんから離れますが、「学生服を着た赤髪の女の子が」のくだりで、
つい、学ランに白ハチマキ姿のカレンを連想してしまいましたw
引っ掛かった箇所が三つありました。
>>836「自分ね祈ったはずなのに」は「自分で〜」ではないでしょうか?
わざとかも?とも思ったのですが
>>821の「吸い込まれそうな彼の瞳に、私の理性は吸い込まれたのだろう。」で
吸い込むが二重になっているのがちょっと気になりました。
また、よくある勘違いなんですが
>>831の「確信犯」は誤用です。
「何か」を「信じきって」、その「信念の元に起こす犯罪」が確信犯と言われるものであり、
一般に誤用されている「判っていてわざとやっている」というニュアンスであれば、
字義的には故意犯とでも呼ぶのが近いのではないかと言われています。
(故意犯という言葉が広く使われているというわけではありません)
趣味の文章を公開する場で確信犯の誤用をあえて指摘する必要はないのでは?
ん、別にいいんじゃない?これは本人だけでなく皆のためになるし。
引っかかるような指摘(糾弾ともいう)かというとそうでもないし。
これで延々語られたら流石に引くが。
>>859 誤字指摘どうもです
「確信犯」は誤用なのか、知らなかった
>>821はあえてだったんですがやっぱり日本語に違和感でしたか、難しいですね
じゃあ私もついでに。839の最後です。
でも私はすぐに2人を見つけたことに深く後悔した。
↓
でも私はすぐに2人を見つけたことを深く後悔した。
この方がしっくりくるような気がするんですけど…
どなたかいらっしゃいますか?
投下したいのですが、本編のみで13レス程度使用しますので
支援して頂きたいのですが・・・。
支援
早っ!!w
有り難うございます。ではその前に例の如く注意書き等を少々。
タイトル 〜 胎動(前編)〜
カップリング 無し
前作 〜 別れ(後編) 〜 の続きになります。
話の根幹は黒騎士ルートを通ってのR2準拠ですが、もう色々と破綻してますので、
出来ればIF物として読んで頂ければ幸いです。
以下注意点
●暗いお話。
●前回時の伏線を回収する為にオリジナル設定入れてます。
●以前、捏造したライの本名が出ます。
●特定のキャラの台詞を蒼月編やら学園編から引っ張ってます。
●王様ライの性格はちょっと微妙。自分の想像が入り過ぎてるかも。
それでは投下行きます。
支援
人は死の間際、それまでの事を思い出すという。所謂、走馬灯というものだ。
では、今まさに死を迎えようとしている青年にも、それは見えたのだろうか?
いや、その答えは否だった。何故なら……。
〜 胎動(前編)〜
ライは暴走し紅く輝くギアスの紋章を宿した両目をゆっくりと閉じて、
――連れて逝く。この呪われた力も一緒に。
そう心の中で呟くと…………スイッチを押した。そうする事で彼の全ては終わる筈だった。だったのだが……。
その瞬間、突如としてコックピット内に警報音が鳴り響いた。その音に驚いてたライが慌てて瞳を開けると、
飛び込んで来たのはメインモニターに表示された「脱出」の二文字。
その事に対して、ライが疑問の声を上げる間も無くあっと言う間に装置は作動すると、彼を乗せたコックピットは
光に包まれ始めた月下から切り離され、彼を捕獲しようと近付いて来た敵の頭上を一瞬のうちに飛び越えた。
エナジー切れだと思いすっかり油断していた敵集団は、慌ててコックピットブロックが飛び去った方向に機首を向け
後を追おうとしたが、直後に至近距離で起きた爆発に巻き込まれ、一瞬のうちに炎の中に消えていった。
ライも直撃こそ免れたものの、脱出ブロックは激しい爆風と熱に錐揉みにされ、開いたパラシュートも一瞬で
燃え尽きてしまうと、吸い寄せられるように瓦礫が散乱している地面に叩き付けられた。
転がり続ける脱出ブロックの中で、ライは体をぶつけながらも、両手で操縦桿を掴み両足に力を込めて
瞳を閉じると、眉間に皺を寄せながら必死な形相でそれに耐える。
どれだけ転がっただろうか。次に朦朧とした意識の中で彼の瞳に映ったのは、火花を散らしつつも
「脱出」の文字を点滅させるモニター。そして、それに呼応するかのように発せられる警告音。
やがて文字は薄れてゆき、音も途切れ途切れになってゆく。
ライは、それを茫然自失といった様子で見続けていた。そして、それが完全に消え去ったのを見届けると、
顔を伏せて肩を震わせた。ブロック内で火花を散らせる音に混じりながらくぐもった声が響く。
音を響かせて点滅しながら消えていったモニター。それはライにとって、月下の鼓動のように聞こえたのだ。
支援
それが、完全に止まった。今、彼の愛機は死んだ。一緒に逝く筈だったのに。その事に悲痛な思いを抱きながら、
――また、僕だけ生き残った……。
そう思うと、急に力が抜けていった。
――何故、急に脱出装置が作動したんだ……?
悲しみの淵で考え込んでいたライは、ふと何かに気付いたようでハッとした表情を浮かべた後、
震える手でハッチを開けると、そこから這うようにして抜け出した。
暫く這い続け、倒壊したビルの真横に辿り着いた時、次に彼が聞いたのは背後より響く小規模な爆発音。
その音に誘われるかのように、地面に這い蹲った姿のまま振り向いたライの瞳に、炎上する脱出ブロックが見えた。
その様子を見ながら、ライは先程感じた事に思いを馳せる。何故急に脱出装置が作動したのか。
彼が思いついたのは、全くもって荒唐無稽なものだった。それを一体誰が信じるだろうか。
いや、恐らく誰も信じない。例えラクシャータが聞いたとしても、渋々ではあるが接続不良だと切り捨てるかもしれない。
だが、ライにとってあれは月下が自らの意思で作動させたのでは無いのかと思えたのだ。
それは、どれほど無茶な操縦をしようとも、必死に従い続けた月下が彼に対して見せた最初で最後の反逆。
ライがこれ以上仲間を死なせたくないと思ったように、月下も主を死なせてはならないと思ったのだろうか。
だが、最早真相は分からない。調べる術は、眼前で音を立てて燃えているのだから。
ライは痛む肢体に力を込めると、直ぐ側にあった壁に手を置くと、体を支えて何とか立ち上がった。
すると、軽く脳震盪を起こしていたのか、目眩を起こし思わず足下から崩れ落ちそうになる。
慌てて両手を付いて何とか耐えたが、地面を見つめた瞬間、視界がドロドロと歪むと、ライは堪らずその場で吐いた。
不快な胃液の味が口内に広がる。そうして吐き終わったライは、再び煌々と燃え上がる脱出ブロックを見つめると、
漠然とした面持ちで問い掛けた。
「僕に生きろというのか?」
物言わぬ愛機。その最後の行動から彼が推測した事が事実かどうかは分からない。だが、確かにライは生きていた。
しかし、今の彼には……。
支援
ライは暫しの間、返って来る事の無い言葉を待ち続けた後、憂いを帯びた表情を浮かべると脱出ブロックから
逃げるように視線を逸らして周囲を見渡す。すると、直ぐ右手の地面に大口を開けた闇があるのに気付いた。
「地下道……か」
そう呟くと、ライはその闇に引き寄せられるように、フラフラとした足取りで入っていった。
―――――――――――――――――
内部は天井部分が所々崩落しており、その間から僅かに月明かりが差し込んでいた。
その為、暗闇ではあったが歩く分にはさほど障害にはならず、ライは10分程、左肩を壁に預けるように歩き続けた後、
ふと立ち止まると思い出したように振り返った。背後に見えたのは薄暗い闇。
入り口付近で燃えている筈の月下の明かりも届かぬ場所まで来た事を理解すると、ライはズズッと壁に背を預けるように
腰を下ろすと力なく項垂れた。今はもう何も考える事が出来なかった。
何かを考えるだけでも、頭がどうにかなってしまいそうで。ただ、今はこうしていたかったのだ。
どれだけ時が経っただろうか。不意に地下道の更に奥の方より足音が近付いて来た。
直ぐにライはその事に気付いたが、今は顔を向けるのも億劫だった。だが、意識だけはその足音に集中させる。
やがて、その足音が複数ある事に気付いたが、流石に人数までは分からなかった。
――地下に逃げ延びた隊員か?それともブリタニアからの捜索部隊か?もし後者なら、今の僕を見つけるなんて
不幸な連中だ。
そうこう考えながら近付いて来る複数の足音に耳を澄ましていると、足音はライより5mほど近付いたところで急に止まり、
不意にその内の一人が独り言のように呟いた。
「見つけた」
ライの耳に響いたその声に敵意は無かったが、安堵する声でも無かった。ただ、――見つけた――という短い言葉。
野太い声だったので、恐らく男だろうと思った後、先程考えていた事――隊員かブリタニア軍か――そのどちらでも
無いのか?と思い、訝しみながら顔を上げたが、瞳に飛び込んで来た自身を照らすライトの光に思わず目を背けた。
その反応を見た連中は、急に慌てた様子で彼の周囲の壁や床に光を向ける。その仕草を見たライは少し口元を緩めながら
「奇妙な連中だ」
支援。すまない来訪者のようだ!だれか頼む!
わざと聞こえるような声で素直な感想を口にした。それはまるで自分に不快な思いをさせるのを極端に恐れているように
感じられたからだ。そしてライは再び顔を向けたが、一瞬、理解出来なかった。何故なら、連中は本当に奇妙だったのだ。
目に映る4人全てが儀式めいた黒い衣服を全身に纏っていた。ご丁寧に顔まで黒い布で覆っており、
鼻と額の間のみを開けている。そこから目元は見えるが、素顔までは全く伺い知る事が出来ない。
僅かに男か女かの判別がつく程度。ライは、半ば呆然とした表情で端から順にその連中に視線を合わせていく。
すると、ライと目が合った連中は順に驚きの声を声を上げるとともに騒ぎ出した。
「暴走しているっ!?」
――暴走だと?まさか……この連中はギアスを知っている!
そう判断したライはそれまでの表情を引き締めると、鋭い口調で言い合いをしている連中に向けて問い質そうとしたが、
「お前達は下がっていて良いよ」
急に男達の後ろから幼い声、そう、まるで子供のような声が聞こえた。
その言葉と共に、男達が左右に分かれると、真ん中より一人の少年が現れた。
少年は自身の身の丈よりも遥かに長い黒色の外套を纏い、髪も背丈と同じ程伸ばしている。
その姿を見た瞬間、ライの脳裏に言い知れぬ不安が去来すると共に、その少年の顔立ちにどこか面影があるのを感じた。
――似ている。彼に……。けれど違う。彼じゃない。
ライは心に動揺が広がりそうになるのをグッと押し込めると、努めて平静に、しかし睨みつけながら問う。
「誰だ?」
それなりの威圧は含めた筈だった。その証拠に、両脇に控えていた少年より遥かに大柄な男達は一斉に後ずさったのだから。
しかし、少年はそんなライの言葉に一歩も動じた様子無く、寧ろ平然と受け止めたかと思うと、嬉しそうに
口元に三日月を浮かべるだけで何も言おうとしなかった。だが、その事がライの不安を更に煽る結果となり、
「答えろ。君は誰だ?」
ライは思わず命じた。だが、黒衣の男達の名前が返って来るだけで、肝心の少年は口元に軽く手を添えて笑ったまま
相変わらず答えようとする素振りも見せない。
了解!全力で支援する。
「ギアスが効かない?」
その事に動揺したライは、思わずそう口にした後考える。黒衣の男達の反応は確かにギアスが効いた事を意味していたが、
目の前の少年にはまるで効果が無い。
まさかと思ったライは少年を見つめて、自身の出した結論から瞳を大きく見開くと、
「そう、僕にギアスは効かないよ」
その表情を見た少年は、口元の三日月を崩す事無くその時になって初めて答え、
「でも、話は後。君はこれから僕と一緒にある所まで来てもらうよ。弟を待たせるのは兄として心苦しいんだ」
まるでライの意思など関係ないかのように、急に饒舌になった少年がそう告げると、両脇に控えていた男達が一斉にライに歩み寄る。
三人が力任せにライを地面に押さえつけ、残った一人が手慣れた手つきでライの口元にマスクを付けようとする。
その瞬間、ライは――止めろ!!――と命じたが、既に一度掛けてしまっていた為、効果は無かった。
それを目の前で見ていた少年の三日月が急に崩れると、少年は、大丈夫かな?といった様子で少し不安そうに両眉を落とした。
「終わりました」
男の一人がそう告げると、少年は地面に押さえつけられて、マスクの間からくぐもった声を発しながら睨み付けるライを尻目に
「それじゃあ、行こうか」
まるで遊びに行くかのように高揚のある声を発した。だが、次の瞬間、ライは我が目を疑った。
少年の足下から地下道に広がる闇よりも更に濃い闇が湧き出たかと思うと、次第に辺りを包み込んでいったのだ。
ライは必死に逃げようと体を動かすが、4人掛かりで押さえ付けられビクともしない。
そうしている間に、闇は彼らを包み込んで行った。やがて、その闇が周囲と同化するかのように薄れていくと、
そこには少年とライ、そして彼を押さえつけていた男達。その姿は何処にも無かった。
―――――――――――――――――
そこは不思議な空間だった。その場所で一人の男が本を読んでいた。ページを捲る音が黄昏の空間に響く。
男が読んでいる本。それは黒く重厚な本だった。外装は丁寧な黒皮で製本され、表には男の国の国旗が彫金されていた。
長年に渡り代々受け継がれてきたその本は、古代から現代に至るまで、その国に貢献した数多の英雄の姿絵と共に
その偉業の数々が記されていた。すると、それまで流すように読んでいた男の手が不意に止まる。
支援
男はそのページに目をやるとスッと目を細めた。よく見るとそのページだけは他と違っていた。余程多くの人間に読まれたのか、
至る所が黒ずんでボロボロになっている。だが、他と一番違ったのは、描かれるべき英雄の姿絵が存在していない事。
想像図さえも記載されておらず、それはまるでその姿を意図的に隠すかのようにも思えた。その代わりと言っては何だが、
そのページは夥しいまでの文字で埋め尽くされ、そこには一人の若き王の残忍さや狂気を描いた嘘のような奇怪な逸話が
数多く書かれていた。
そこに記されている一人の王の物語。
それは、王であった父親と異母兄二人が相次いで不可解な死を
遂げた事から始まる。その事で王位継承権が、当時、末の王子でしかなかったその王に継がれ、彼は齢14で玉座に座った。
ここから、その王の狂気じみた嘘のような話が始まる。王は力ある者であれば、如何なる者であろうと重用した。
だが、それに異論を唱えるような臣下は一人として居なかったという。
何故ならば、どのような傍若無人な振る舞いを行う者であろうとも、王の御前でたった一言だけ言葉を聞けば絶対的な忠誠を誓ったからだそうだ。
そして恐ろしいまでの武力を得た王は、狂気じみた謀略を駆使し、即位より僅か2年でそれまで数十年に及んだ蛮族との戦いに勝利し、
北の地に追いやると、凄まじい速度で瞬く間に周辺国を蹂躙し尽くした。
しかし、やがて王は自らの狂気に囚われたのか、再び攻め込んで来た蛮族を治めていた国と護るべき母親や妹までも巻き込み、
果ては庇護すべき民さえも戦いに狩り出して蛮族を滅ぼし尽くすと、最後は自らも炎の中に消えたとされている。
そこまで読み終わると、男は不意に後ろより声を掛けられた。
「皇帝陛下、嚮主V.V.がお戻りになられました」
皇帝と呼ばれた男は振り向く事無くその報告を聞くと、開いていた本をパタリと閉じる。
それを合図とするかのように、黒衣の衣服に身を包んだ男は再び口を開く。
「ですが、一つ問題が……ギアスの力が第2段階に入っているとの事」
「そうか……」
そう答えると、皇帝は好都合だとでも言わんばかりの小さな笑みを浮かべた。そして一拍置いた後、まるで無邪気な子供のように
閉じた本を黄昏の空間に放り投げた。その本はゆっくりと弧を描くように落ちて行き、やがて雲海の中に消えていった。
支援
そう、最早必要無いのだ。幼少の頃より憧れ、目指した存在。誰よりも憧れ続けた結果、徹底的に調べあげ、
彼のこの世界での存在理由を知った時、皇帝は心の底から驚喜した。
自身の目的、彼はそれを叶える最後の鍵だったのだから。が、一度は手に収めかけたにも関わらず、逃げられた。
そして再び見つけた時、彼のすぐ側には厄介な存在が居た。手を出すのは容易ではなかった。
だからこそ、それとなく兄に情報を送った。そして、兄が欲しいと言った時、内心ほくそ笑んだ。
これで何もせずとも手に入ると思ったからだ。後はそれをより確実なものにする為に、兄に対して曖昧な態度を示した。
そうすれば、兄は更に食いつくだろうと思ったからだ。結果、今に至る。連れて来てくれたのだ。しかも暴走のおまけ付きとは。
――やっと手に入れた。ならばもう、あのような本など必要ない。
口元を僅かにつり上げて心の内でそう呟くと、皇帝は踵を返し悠然とその場より立ち去る。
向かう先は謁見の間。そこに待つ兄、いや……ライに会う為に。
―――――――――――――――――
騎士団のパイロットスーツにマスクを付けられたライは、闇が晴れると自分が先程とは違う場所で抑え付けられていた事に愕然とした。
そこは先程のような月明かりが照らす薄暗い地下道ではなく、丁寧な外装を施された部屋で、少し前方に天井より光が注がれて輝く
玉座めいた物が見え、玉座から反射した光が部屋を薄く照らしている。それらを見たライは記憶の中に似たような場所を見つけた。
――王宮に似ている。
次に起き上がろうと体を動かすが、彼の肢体は先程と同じく黒衣の男達に押さえつけられており、身動き一つ出来ないでいた。
その事に怒りを感じたライは、右手を押さえ付けている男を睨みつけると、不意に直ぐ前を布が擦れる音と共に、一つの影が通り過ぎた。
振り向いて目線を上にすると横切ったのは先程の少年だった。ライは怒りを露にし、紅く燃え上がるような瞳で睨み付けると、
それに気付いた少年は、視線を足下にいるライに落とすが、特に気にした様子も無い。
暫しの間、互いに視線をぶつけ合っていると、ライは突然部屋に誰かが入ってきた気配を感じた。
支援
少年もまた、それに気付いた様子でライから視線を外すと、気配のする方向へ顔を向ける。
ライもそれにつられるかのように視線を動かすと、入ってきた人物を見て驚愕した。
「やあ、シャルル。彼を連れてきたよ」
目の前で嬉しそう告げる少年を見て、
「感謝しますよ、兄さん」
険のある表情で、少年を見下ろすように立っていた大柄な男がそう答えた。
その男の髪は白髪で、老いに片足を突っ込んだように顔には皺が目立ち始めてはいたが、その目は年相応とは呼べず、
寧ろ若々しい精気に溢れていた。
ライはその男を知っていた。友の最終目標でもあり、カレンや仲間から日本を奪った存在。
世界の3分の1を支配する超大国。神聖ブリタニア帝国皇帝シャルル・ジ・ブリタニア。
そこで二つの疑問が浮かんだ。ここに皇帝が居るという事は、ここは帝都と言う事になる。しかし、トウキョウ租界からどうしていきなり
こんな場所に居たのかライには理解出来なかった。そして、皇帝が目の前の少年に対して言った――兄さん――という言葉。
――兄だって?あの少年が?然し……。
嫌な予感がした。本当の兄弟かどうかという事にでは無く、少年にはギアスが効かなかった事。そして地下道で見た不可思議な現象。
それらを見ても、少年は間違いなく契約者。そして皇帝がその少年と一緒に居るという事は……。
「お初にお目にかかる。ライゼル・S・ブリタニアよ」
――僕の名前を知っている!?
必死に思考を巡らしている最中に、突然皇帝から呼び掛けられただけでなく、ライは誰にも話していない自分のもう一つの名を
呼ばれた事に目を見張る。ライの驚きが余程愉快だったのか、皇帝は顔に更なる皺を作り口元に三日月を浮かべながら続けた。
「息子が大層世話になったようだ」
――息子?クロヴィスの事か?
自分を半ば無理矢理目覚めさせ、いいように身体を弄くり回したバトレーの嘗ての君主を思い出すが、そこで思い直した。
世話をした覚えなどまるで無い事を。
支援
携帯からカキコ
猿が来ました。出直します
すいません
そうですか。残念です。続きの投下をお待ちしております。
投下間隔が短すぎるのでは?殆どが2分を切っています。
書けるかな?
>>886 すいません。焦り過ぎてました。
続き行きますので支援お願いします。
はい支援
ライが怪訝な表情で睨みつけると、それを察したのか
「分からぬか?息子とはゼロ、いや、我が不肖の息子。ルルーシュの事よ」
皇帝は平然とした様子で、とんでもない事をサラリと言ってのけた。その言葉はライの体を駆け巡り、
彼はまるで雷に撃たれたかのような衝撃を受けると、今までで一番大きく瞳を見開いた。
――ルルーシュが息子?じゃあ、ルルーシュは皇子という事に……なら、ナナリーも?だとすると
クロヴィスやユーフェミアは……。
そこまで考えて、ライはルルーシュが余りにも自分と――二人の異母兄を殺した自分と――似過ぎて
いる事に更なる衝撃を受ける。しかし皇帝はそのライの表情に満足したのか
「戯れ言はこれまでにしておこうか。では、本題に入るとしよう」
急に険のある表情に戻ったかと思うと、静かにそう告げた皇帝の両目がゆっくりと赤い色を帯びてゆく。
そして、見上げていたライの瞳に映ったのは、今の自分と同じ両目にギアスを宿した皇帝の姿だった。
――やはり!駄目だ、ルルーシュ!皇帝と会っては!
先程の懸念が確信へと変わり、ライはこの場に居ない友の身を案ずるが、皇帝はそんなライの様子を
さして気にした素振りも見せず淡々とした口調で語る。
「今の御主の瞳に宿る微かな光。さしずめ希望といった所か。それは我らにとって今は不要なもの。
さて、両目を開かせよ」
その言葉にライは慌てて顔を伏せたが、両腕を押さえていた黒衣の男達は無言で頷くと、その言葉通り
ライの髪を無理矢理掴み引き起こす。
――くっ!一体……どんなギアスを……。
「記憶を書き換える。学園での事。騎士団での事。その全てを忘れ、古の姿に――」
ライの心に疑問が浮かび、そんな彼の心の内を知ってか知らずか、皇帝は今までとは一変して穏やかな口調で
そう告げたが、逆にそれはライにとっては何よりもおぞましい声に聞こえた。
――いや、嫌だっ!!
ライはその言葉を聞いた瞬間、血の気が引いて行くのを感じた。そして半狂乱になり必死に首を振って
視線から逃れようとするが、灰銀色の髪が僅かに揺れるだけ。
支援
それは凡そ抵抗とは言えない貧相なものだったが、それでもライは必死に逃れようとする。
忘れたくなかった、諦めたく無かったのだ。目覚めた後に彼が出会った多くの人々。
彼らと過ごしたかけがえのない日々。それは、最早ライにとって無くてはならない物。
それを護る為に嘘まで吐いたというのに。だが、それらを全てを失った時、自分はどうなるか。想像する必要さえ無かった。
更に目の前に居る男、皇帝はきっと自分を利用する。そうでなければ記憶を書き換える必要など無い。
殺せば良いだけの事なのだから。そうなった時、ルルーシュがゼロとして生き続ける限り、自分は間違いなく彼らの前に立ち塞がる事になる。
そうなればきっと互いに傷つけ合う事になる。自分が傷つくのは構わない。
しかし、仲間を傷つけてまで生きるなど、今のライには耐えれない。そんな事になるくらいなら死んだ方がマシだったのだから。
――止めろ、止めてくれっ!!
次に何とか言葉を発しようと躍起になるが、僅かにマスクの間からくぐもった声が漏れるだけ。
最早、言葉にさえならない。最後の抵抗空しく、彼のギアスは完全に封じられていた。
「本当の御主に戻るがいい!!」
皇帝は両手を広げて外套を靡かせると、三日月につり上がった口元からそう告げた瞬間、赤い鳥が羽ばたいた。
――うわあああああっ!!
壊れて行く、彼の世界が音を立てて。それはさながら走馬灯のようだった。
学園での事。記憶を失っていた自分を温かい心でもって接してくれた皆の笑顔が消えて行く。
――会長チョーーーーップ!!
そう言ってライの頭を軽く叩いた後、楽しそうに何か思い出した?と問い掛けるミレイの姿。
――私はライの事を友達だと思ってるよ?
会って間もないというのに、一番最初に自分の事を友達だと言ってくれたシャーリーの笑顔。
――あの、折り紙教えてくれませんか?
そうして初めて桜を折れた時、満面の笑顔で嬉しそうに笑ったナナリーの姿。
――君も、特区日本に参加して欲しいんだ。
意思の強い眼差しで、自身の気持ちをぶつけてきたもう一人の親友、スザク。
支援
――お前のそういうところ、マジで羨ましいよ。
会長に想いを寄せていながら、中々振り向いて貰えず落ち込んでるリヴァルの横顔。
――あ……ありがとう。
最初は警戒していたが、次第に打ち解けてくれるようになったニーナ。
それら全てが音を立てて砕け散った。
ギアスによって赤く染まったライの瞳。その奥に確かに宿る柔らかい光が徐々に薄れて行く。
騎士団での事。自分を信頼してくれた皆の笑顔が消えて行く。
――何だ?これはやらんぞ?
幸せそうにピザを食べるC.C.の横顔。
――どうだライ?驚いたか?
仮面を外して柔らかく微笑んだ後、自らに手を差し伸べてくれたルルーシュの姿。
――あなたが好きよ、ライ。
そして最後に、頬を染めながら自分に満面の笑顔を浮かべてくれた、ライにとって初めて恋い焦がれた大切な女性(ひと)。
カレンの姿が音を立てて砕け散った。それと同時に、
ライの瞳の中にあった光もフッと四散すると、最後に一筋の涙が頬を伝うと彼は意識を失った。
この時、ライという男の人生は終わった。
黒衣の男達はライの体から力が抜けるのを感じると、やっと終わったかと言った素振りで軽く息を吐くと、
彼のギアスを封じていたマスクを外した後、彼の身体から手を離そうとする。しかし、
「まだ駄目だよ」
それまで無言で一連の流れを面白そうに眺めていた少年は、咎めるように忠告する。
その言葉に慌てて押さえ直す男達。
「そう、何があっても離したら駄目だよ。しっかり押さえててね。これからが本番なんだから」
その様子を見た少年は満足げな表情を浮かべた。
暫くして、真っ先に異変に気付いたのは彼を押さえ付けている男達だった。
支援
彼らは互いに顔を見合わせると――どういう事だ?――と目に疑問を浮かべる。
何故なら、自分達が押さえ付けている青年の身体からは先程とは打って変わって一切の気配が消えていたのだ。
鼓動はある。体温も感じる。だが、何かが違う。例えるならば人というよりも物に触れているような感覚に近い。
そんな動揺する彼らの様子に気付いた少年は、
――やっとお目覚めか。さて、腕の見せ所かな?
そう心の内でほくそ笑みながら、彼の正面に立つと恐ろしく優しい声で話し掛けた。
「おはよう」
その言葉とともに彼の肩がピクリと動く。続いてゆっくりと顔を持ち上げた後、静かに双眼を開いたが
既にそこには先程見た光は無い。あったのは紅く毒々しい瞳だけ。その瞳が少年を捉えると僅かに揺れた。
そんな彼に対して、少年は――よく眠れた?――と問い掛けると、
「お前か……V.V.……何故起こした?」
「時が来たんだよ」
さしたる驚きも無く平然とした様子で彼は問い掛けたが、V.V.と呼ばれた少年は嬉しそうに答えるのみ。
すると、自分が見下ろされている。その事実を非常に不愉快に感じた彼は、立ち上がろうとするが、
そこで自分が妙な男達に押さえ付けられている事に気付くと
「私を押さえ付けているこの下郎共は何だ?お前の僕か?」
不愉快さを隠す事無く再度問い掛ける。だが、VVは何も答えない。その態度に今度は止めさせろと
言わんばかりに視線を浴びせるが、その時、不意にV.V.の横に現れた影に視線が移った。
そこに居たのは、皇帝の姿。然し、今の彼には誰だか分かっておらず
「誰だ?貴様は」
だが皇帝は答える代わりに、まるで彼を挑発するかの如く睨みつけた。その態度を見て彼の瞳が危険な色を孕む。
「答えろ。貴様は誰だ?」
「我は、神聖ブリタニア帝国皇帝、シャルル・ジ・ブリタニア」
彼の"命令"に対して皇帝は簡潔に返した。
「神聖ブリタニア帝国?貴様が皇帝だと?」
彼はほんの少し怪訝な表情を浮かべながら呟いた。ブリタニアは知っている。しかしどこか違う名前。
そして、自分の知っている皇帝とも違う。このように覇気に溢れる者では無かったから。
支援
「もういいよ。離してあげて」
彼が思考の海に沈もうとしていると、突如としてVVが黒衣の男達に命じた。
それを受けて彼を押さえ付けていた手が一斉に離れる。それを見やるとV.V.は皇帝を指差して
「彼も僕の協力者だよ。君も僕に協力する義務がある筈だけど?」
「協力だと?それは契約の事を言っているのか?何を今更……お前は何も話さなかったでは無いか。
その皇帝とやらを使い願いを叶えればよいだろう?」
彼は抑揚の無い言葉を浴びせながらゆっくりと起き上がるとVVを見下ろした。
「神を殺す為には力ある者は多い方がいいよ」
「神を殺すだと?それがお前の願いだったのか?」
その言葉に彼は少々驚いた。神などという存在をVVが信じているなど思ってもいなかったからだ。
彼が詳しく聞こうと口を開いた時、
「それについては、我から話そう」
皇帝が割って入った。そして淡々とした様子で語り始めた。神を殺し、世界の嘘を破壊する事が自分たちの目的なのだと。
彼はその話を最初は馬鹿馬鹿しいといった面持ちで興味無さげに聞いていたが、やがて母と妹の話になった時、
初めてあからさまに表情を変えた。彼は静かに唇を噛み締め瞳を閉じる。涙こそ流さなかったが、
その顔は泣いていると言ってもおかしくは無い様な表情だった。
「御主の母と妹もまた、神の犠牲者だ。無論、御主もな」
皇帝の哀れむような声。それを聞いた時、彼はゆっくりと顔を伏せた。その姿を背後から見ていた黒衣の男達は、
青年が涙を必死に耐えているのかと思ったが、それが間違いであったと直に気付く事となる。
突如として、冷えきった何かがその部屋を包み込んだ。次に彼らの目に飛び込んで来たのは、
彼を包み込むようにして燃え上がる青い炎。黒衣の男達は声も出ない。今直ぐこの場から逃げたい衝動に駆られたが、
地下道で感じた時よりも比べ物にならぬ程の殺気を感じ、今度は身動き一つ取る事が出来なかった。
だが、皇帝とVVはそんな彼から発せられる殺気を平然とした面持ちで受け止める。
「いいだろう。母と妹の仇だ。協力してやろう」
静かに顔を上げてそう答えた彼の瞳には光が宿っていた。だが、それは柔らかさの欠片も無く、
触れるもの全てを切り裂き兼ねない程の鋭さを持った光だった。それを見た二人は同じように邪な笑みを浮かべた。
支援
「では、まずその暴走を押さえねばな」
「何だと?」
皇帝にそう言われて初めて彼は自分のギアスが暴走している事を知らされた。
「嘗ての、全てに絶望した頃の御主ならまだしも、為すべき目的を得た今なら容易い筈。力に飲まれる程、弱き者ではあるまい?」
先程と同じく、邪な笑みを浮かべたまま皇帝は諭すように言った後、
「捩じ伏せよ」
威厳のある声でそう告げた。自分に出来て、御主に出来ない筈が無いとの思いを込めて。
皇帝の挑発にも似た言葉に、言ってくれるなと愉快そうに笑った後、彼は静かに瞳を閉じる。
その途端、青白い炎が先程よりも激しく燃え盛った。
そして、時折彼の噛み締めた唇が妖しく歪むと、その間から断続的な息使いが聞こえた。
しかし、最初は荒々しかったそれが次第に治まっていくに連れて、彼を包んでいた炎も緩やかになり、最後には消え失せた。
それを機に、彼の後ろで自由を取り戻した男達は、その場に力なく座り込んでしまった。
そんな彼らの様子を遠目に見たV.V.は――情けないなぁ――と一人心の中で愚痴った後、目の前に佇む彼を見上げた。
ゆっくりと開かれていく彼の瞳。やがてそれが開き切った時、そこに紅い色は無く、あったのは蒼い色。
それを認めた皇帝は
「見事なり」
そう言ってさも愉快そうに笑った後告げた。
「では、これより御主はV.V.と行動を共にせよ」
「私に子守りをしろと?」
「僕は子供じゃないんだけど?」
その命令が不服だったのか、彼は眉間に皺を寄せて問い返すと、紫色の瞳をスッと細めたV.V.が彼の言葉を咎めるように言うが、
彼はそれを一蹴した。
「黙れ。見た目の問題だ」
「見た目など気にする必要は無い。良いな!?」
皇帝は、最後に目の前の彼が果たして自分と歩むに相応しいか試す意味も込めて、普段のような異論は許さぬという口調で割り込んだ。
それを聞いた彼は瞳を閉じて思慮に耽ると、皇帝は彼からの答えを静かに待った。暫しの沈黙。
皇帝の問い掛けに黙るなど不敬そのもの。しかし、咎める事はしなかった。
支援
彼がどんな言葉を返してくるのか興味があったのだ。もし、彼が他の者と同じく聞き飽きた言葉を返すのならば、
幼き日に抱いた思いを捨て去って駒として使うだけ。しかし、もし違った時は……。
「やむを得ん。引き受けてやろう」
沈黙を切り裂いたのは尊大な言葉だった。それは聞き飽きた言葉――Yes, Your Majesty――では無かった。
この時確信した。この者こそ幼き頃自分が憧れた男だと。
皇帝である自分の前でも、何ら恐れる事なく自身の思いをこともなげに言い放つ存在。
自分に対して、こうも威風堂々と接する者は、最早V.V.しか居なかった。力を得る者は同時に孤独も得る。
そんな現状に身を置いていた皇帝にとって、彼の態度は実に新鮮に感じられ気が付くと自然と笑みを浮かべていた。
そして、そんな彼の態度をV.V.も気に入ったのか、先程の不機嫌さもどこへやら、目元を緩ませると嬉しそうに笑った。
「光栄に思え。私と肩を並べて立つ事が出来るのだ。この私、ライゼル・S・ブリタニアとな」
そんな二人の様子を余所に、彼、ライゼルはそう言い切ると、口元に三日月を作り冷笑とも言える笑みを浮かべた。
その蒼い瞳に狂気を宿して……。
支援
支援
以上で投下終了です。
猿食らってしまい、ご迷惑おかけしました。申し訳ありません。
……カオスな展開になりつつあるような気がする。
記憶を書き換えられるシーンはよさげな台詞が思いつかないのもあるので
蒼月編から持って来たりしてます。その後の王様ライですが……なんぞこれ?
次回も暗いお話しになりそうです。
WcPgt3e8卿
支援して下さってありがとうございました。
こちらこそ、お疲れ様でした。
シャルルとV.V.の策謀が光りましたねえ。
全てを忘れて元に戻ったライがどうなるのか楽しみです。
次回の投下を楽しみにしています。
40分ごろ投下します。
>>905 お疲れ様でした。カオス……結構じゃないですか。先の読めない展開、非常に楽しみです。
次回の投下を心よりお待ちいたしております。
>>907 あ……ありがとうございます!(←なぜここでお礼を言うか?それはまた投下後に)
支援します。
支援に加わります
支援に馳せ参じた!
0021-0074 「この空の下何処かで 〜風が届ける友の知らせ〜」
の続編で0022-0850 「時の流れに身を任せ 〜若き元エースの一日〜」
から、2,3日後の行政特区でのお話。
注意点
ライは、出てきません。手紙ぐらいです。
ココでの一人称の僕はスザクです。故にスザク視点。
諸事情で、オマケは今回から、無しです。
それでは。
支援
海の向こうからの手紙〜潮風に乗せて白騎士へ〜
行政特区が成立して半月と一寸が経った。
僕は今、政庁の役員寮の一室を借りて生活している。
政庁に行く前、ポストを開けてみると、封筒が入っていた。その封筒の消印は、
本国になっていた。
行方不明になっていた彼からだ。
封筒の裏の差出人の所に、「ライ」とだけ書いてあるから間違い無い。
住所が書いてなので返事を出すことが出来ない。
だが、これで少し安心した。
彼が元気にしているという証拠だからだ。
自分の執務室に入ると、今朝届いた封筒を開けた。
中には手紙が二通入っていた。
一つはコーネリア皇女殿下宛。
もう一つは僕宛てだ。
手紙にはこう書かれていた。
支援
支援
「 前略
お久しぶりです。
そちらは元気でしょうか。こちらは、元気にやってます。
本来ならもっと早く連絡を入れるべきなのですが、
僕の方も込み入った事情が多々ありまして、
連絡が遅れた事に御詫び申し上げます。
それと、なんとか、記憶が無事戻ったこと御報告します。
今自分は自分が記憶を失う原因である、難病を本国で治療及び、親衛隊復帰の為のリハビリ中なので、暫くそちらに行けません。
重々御詫び申し上げます。
最後に、ユーフェミア副総督や生徒会、特派の皆さんに宜しくお伝えください。
そちらもお元気で。
また会う日まで。 ライ」
支援
支援
支援
手紙を読み終えた僕は、その日の仕事を終えた僕は、彼から預かった手紙を、コーネリア総督に渡すため、トウキョウ祖界に行った。
移動はそんなに時間はかからない。
トウキョウ祖界に着いた僕は、特区日本関連の書類と手紙を渡すべく、総督の執務室に入った。
「行政特区日本の枢木スザクです。ユーフェミア代表から書類を届けに参りました。」
「入れ。」
「失礼します。」
「総督、こちらが例の書類です。」
「自分はこれで失礼します。」
「まて枢木。」
「何でしょうか、総督。」
「これは何だ。」
そう言って総督の手にあったのは、彼から総督宛ての手紙だった。
「それは今朝、ライから届いた手紙の中に入っていた物で、その手紙をコーネリア総督に渡して欲しいと彼に頼まれたもので、」
「解った。下がれ。」
「失礼します。」
支援
支援
そして僕は、特区の寮に帰った。
明日ユフィやルルーシュ達に手紙の事を話さなきゃ。
そう思つつ手紙の返事を書く。
その手紙の末文にこう書かれていた。
「僕達は待っているよ。君が帰ってくるのを。この特区を今よりもっと成長させて。君が帰る場所を造って。」と。
翌日手紙をコーネリア総督から
「奴に手紙があるなら一緒に出してやる。」
と言われ、昨日書いた手紙を渡した。
たぶん明日には届くだろう。
彼は今何をしているだろうか。
きっと何処かでこの海の向こうで元気にやっているだろう。
支援
支援
以上です。
ちなみに、スザク視点は今回で最後。でも、
ライ視点で、再開まで、一寸スザクはオヤスミ。
CPは無し。ジャンルは、「ほのぼの」で。
やはり17年も生きてると、体が歪んで、しょうがない。
でも、SSだけは、これからも続けます。
生まれて17年。今日で。これからも、ご支援よろしくお願いします。
お疲れ様でした。
心が暖かくなる好い作品でした。
次回の投下も楽しみにしています。
あと誕生日おめでとうございます。
>>927 GJです。平和というのはいいものですな。
そして17歳おめでとうございます。これから先の投下も楽しみにお待ちしてます!
そして30越えて未だこのスレに棲息している俺に謝れ
なんかいいですね。ほのぼのする感じが、
誕生日おめでとうございます。
俺とひとまわりも違うのか。
トーマス卿、保管時に、各レスとレスの間に、一行あけてください。
後タイトルの〜〜部分はサブタイトル扱いで。お願いします。
トーマス卿、さすがに早いですよ。もうあるとは。
西暦2008年8月末、大量破壊兵器“フレイヤ”は東京租界のみならずこのスレをも焼き尽くした。
書き手が消え、そして読み手も消えた。
無残に荒れ果て、スレや保管庫の存続自体も危ぶまれた悪夢のような出来事。
だが、その身に大きな傷を刻み、血に塗れながらも尚、歩みは止まらない。
御錬師卿の作品をもって新たな歴史がまた一つ―
―作品総数700到達―
>>931 レス間の行あけはしておきました。一応ご確認願います。誕生日おめでとうゴザイマシタ!
700作品到達おめでと〜
初代スレからずっと作品を拝見させていただいてきましたが、職人みんさんに、GJと叫びたいです。
オハヨウゴザイマシタ
理解は幸せ、また寝落ちしましたですね、この私はorz
>>905 ライカレ厨卿、GJでした!
カオス? 望むところだ!
むしろこの三倍は持ってこい!
なんだか、旧ライがカッコいいぜ!
この続きが気になるSS
貴方の次の投下をお待ちしております!
>>931 御錬師卿、GJでした!
平和は素晴らしい、このほのぼのさ、まさしくGJ!
そして誕生日おめでとうございましたか!
17で歪むなら年末までギリギリ10代の私は30度くらい曲がっております
次の投下を待っています!
>>933 オール・ハイル・SSスレ
この圧倒的な物量、凄まじい
そしてそれを保管しきる貴方に私は感服いたしました!
おおおおお身体に気を付けて、頑張っていただけますか!?
トーマス卿もいつもお疲れ様です。
付け足しのようになってしまい申し訳ありません。
若いですねえ皆さん……羨ましい。
さて、現行スレですが458kBになりましたので、規定に従い次スレ建設を試みさせていただきます。
では、しばし失礼致します。
乙
埋めますか?
埋めSSを待ちましょう。
こんばんわ。
10分で書いた埋めSSを投下します。
2〜3レスですけどよろしいでしょうか?
キター!どうぞ
まってました。
タイトル 続・二重人格
カップリング ライ×アーニャ
シャルル×マリアンヌ(おまけ)
前回の「二重人格」の続きです。
よろしくお願いいたします。
一応支援
支援
続・二重人格
「ライ…お腹すいた…」
二人で劇場版狂王のデータディスクを見た後、アーニャが僕にぽつりと言った。
「そうだね。何食べようか?」
しばし考え込んだ後、アーニャは僕にしかわからない笑顔で答える。
「ライ特製の肉じゃがをご飯にかけたやつ…あれがいい」
「あれか…」
どうやらアーニャの中では丼ものがマイブームのようだ。
「OK。ちょっと待ってね。すぐ作るから…」
僕は、キッチンに向かおうとしたが、なんか寂しい。
「そういや、最近、マリアンヌが出てこないね」
きょとんとしてアーニャが考え込む。
「…そうだね…電波こない…」
少しアーニャも寂しそうだ。
僕もあの一人漫才みたいな言い争いが見れなくて少し寂しい。
あれはあれで味があったなぁ…と思ってしまう。
「原因、思い当たるものあるの?」
「……」
少し考えているアーニャだったが、思い当たる事があったのかぽつりと言う。
「学園の…裏の神社の境内でお昼寝してから…かなぁ…」
「どんな神社なの?」
疑問に思って聞いてみる。
「えーと…へんな紋章があった。…ぎあす神社っていう…へんな神社…」
「うーーん…」
嫌な予感がしたが、あえて突っ込まない事にした。
「じゃあ、これで二人きりだね」
僕の何気ない言葉に、真っ赤になるアーニャ。
「…うん…」
二人で見詰め合った時だった…。
「ピザだ。ピザが食べたいぞ、ライっ」
いきなりアーニャの口から聞いたことのある口調で注文する言葉が出た。
「「へ?」」
アーニャと二人で動きが止まる。
「だから、何度言わせる…ピザだ。ピサが食べたいぞ」
反応が無い為だろう。
再び、繰り返し注文する声。
「あー…電波…きた…」
アーニャが残念そうな声でぽつりと言う。
「そうだね…」
僕は苦笑したが、この状況を楽しく思い始めていた。
やっぱり、賑やかなのがいいな…。
・おまけ
そのころのマリアンヌ。
Cの世界で…。
「マリアんっ…ひどいではないかっ…私というものがありながらっ…」
シャルルは、ごつい顔をうるうると涙を流している。
「あー、ごめんね、シャルルんっ」
赤子をあやす様にシャルルを抱きしめると頭をやさしくなでる。
(こういう意外なところがかわいいのよねぇ…)
「よしよし…」
二人にとっては、これはこれで幸せなのかもしれない…。
支援
支援
すみません。
以上で終了です。
ああ…へんな電波きたんで一気に書いてしまいました。
埋めSSなんで許してください。
なお…間違い発見してしまった…。
>>シャルルは、ごつい顔をうるうると涙を流している。
↓
シャルルは、ごつい顔でうるうると涙を流している。
が正しいです。
すみません…。
>>956 あしっど・れいん卿、GJでした!
変な電波飛んできとるw
あと皇帝www自重www
想像したらヤwwバwwイww
次の投下を待っています
あと、皆さんに質問です
議論とかするための避難所は需要ありますか?
あるんならしたらばにでも作っとこうかと思うんですが
乙でした〜
成る程、この設定はあの世界なのですね?
じゃあ気になるのは、ここでの狂王は誰がやってるってことですね。
やっぱり本人ですかね。
次回の投下を楽しみにしてます。
あと一応使ったことを断ったほうがいいですね。
おかしなことを言ってくるのがいると思うんで。
ヤフーに外部板つくらない?
って話はー?
>>956 修正して保存いたしました。
>>957 一応お訊きしますが、本音で語る場所はご存じでしょうか?
>>958 あー、そうですね。
ありがとうございます。
萌えは文化卿、「劇場版狂王」使わせてもらいました。
問題があったら、変更いたしますのでよろしくお願いいたします。
>>953のシャルルのセリフで
一瞬エロい場面を想像した自分はものすごく反省したらいいと思うよ!
ほのぼの乙でした。ギアス神社、いいですね。
なんかブリタニアのギアス教会にワープできそうなんだぜ
>>960 もちろんオフコースです
あそこは一応関係無い扱いですから
非公開型で、したらばにでもと思いまして
両方というのもありかもね。ところでトーマス卿、最近寝るのやけに早くないか?
>>964 病院に入院してたらしいからね。
それに…早いといってももう0時www
>>964 具合悪くてちゃんとご飯も食えないらしいから。
それでも更新作業をやってくれてるんだからいたわらないと。
皆感覚が麻痺しまくってるね
……賛成も無ければ反対も無い
勝手に立てれば? ということなのか
>>967 見てる人が少ないか、この本スレに類が及ばなければ
良いってことじゃないのかなあ?
因みにぼくは後者
>>968 それ、議論スレの意味ないやん
……時が来るまでは止めとくかな
>>967 私は反対かなぁ。
これ以上乱立するとどうかなぁって思っちゃう。
基本的に前説&後説なしのいきなり投下でやっていましたが、
今までも名前欄などを使って謝ったりしていましたが、今回の引きはさすがにどーなんだろう?と、
改めてトーマス卿に謝っておきたくなったので久しぶりに投下宣言をします。(後説はないです)
トーマス卿。毎度毎度ネタにしてすみません。
予定していた引きは違う形だったんですが、書いているうちに手がすべりました&元の落ちを忘れました。
orz
しかも、平行して書いていたネタと微妙に噛み合わなくなってしまいました。
上手く(強引にとも言う)救済できるか、また没になるか微妙なラインだ……。
<注意事項>
・いつもと同じく、VVと咲世子の会話のみ形式のスレネタSS
・咲世子さんがアッー!な人なのはお約束で、VVとトーマス卿の仲をあれこれ妄想するのもお約束です
・今回は某青い方にも謝罪を。あの呼び方、可愛くて好きなんです
・咲世子さんのテンションはいつも以上に高く、暴走&迷走してます
・本文は4レスですので、支援はなくて大丈夫かと思います
・これが700本目でなくて、本当に良かった!
「誰だよ!こんなSS待ってるみたいなこと言うヤツは!」と、
私をビビらせた
>>938が、トーマス卿だと言うことに今気付いた……。
おどかさないでください。心臓に悪いです……。
「VV様っ!VV様ーっ!!」
「何?うるさいよ、咲世子」
「次週予告はご覧になりましたかっ!?」
「ああ。咲世子、生きてたみたいだね。執念って凄いと思ったよ」
「信じることが、力になるんですよ!想いの力で世界は変えられるんですっ!」
「さりげなくカレン派を敵に回してない?その発言」
「どうしてですか?」
「だって、このスレで恐らく最大派閥であろうカレン派の誰一人として、
ルルーシュとカレンのあんなシーンは望んでいなかったはずだよ」
「まあ!VV様ったら、らしくありませんわ!
前にも申し上げましたが、SSとは現実から目を背けた結果の集大成的な側面もございます。
如何様にでも解釈あるいは抹消して、捏造すればよいのです!本編は本編、SSはSSです!」
「咲世子は呆れるくらい強いね」
「家政腐としての基本スキルです!ひとたび主人公を愛してしまったら、その周囲にヒロインが存在するのは必定!
そんなことで挫けていては、アッー!なんて妄想していられません!」
「それは……見習いたいのか見習いたくないのか、微妙なスキルだね」
「存分に妄想するためには、身に付けておいた方が良いかと思います♪」
「まあ、そうかもね。それにしても、本当に今日の咲世子ははしゃいでるね。
そんなに本編への復帰が嬉しいの?怪我していたみたいだけど?」
「きっとシュナイゼル様の計画に賛同できなくてナナリー様と共に逃げ出した折の、名誉の負傷と信じております!」
「怪我をして、服を脱いで、包帯ぐるぐる巻きなのにヘッドドレスはそのままなのがシュールだよね」
「メイドとしてのたしなみですから!」
「……今日は本当にテンション高いね。復帰を真剣に望んでいたのは知っていたけど、ここまでとは思わなかったよ」
「あ、いえ。実は、別件でも興奮しておりますので、寧ろ、そちらのせいかと思います」
「別件?咲世子が本編復帰以上に興奮するような?
えーっと『本編でルルーシュ様ととスーさんが乗馬デートしていたんですっ!』とか?」
「まあ、VV様!大分、腐道に通じてまいりましたね!」
「不本意だけどね。君の相手を何回もしていたら、嫌でも何となく判ってきたよ。
何か耐性もついてきた気がして、本っ当に嫌なんだけどね」
「でも、ざーんねんでした!貴方間違えちゃったのー!」
「ええっ!?今さら残念シスターネタ?」
「このSSはスレSSなんですよ?スレに関する事に決まってるじゃないですか!」
「今までだってスレ以外のネタも使ってきたし、たった今、本編ネタを使ったばかりじゃないか。
前のSSを保管庫で確認してきたら?」
「ざーんねんでした!手持ちの過去ログで確認しちゃったのー!」
「繰返すことでネタが面白くなると思ったら、大間違いだからね」
「すみません。つい、期待と興奮がとまらなくて暴走してしまいました」
「君の場合、常に暴走している気がするけどね。じゃあ過去ログで何かあったって事?恥ずかしい誤字でもみつけた?」
「確かに誤字も見つけましたが、これはその類いの過去は振り返らないSSですから没問題(メイウェンテイ)です」
「日本では無問題(モウマンタイ)の方がメジャーじゃない?」
「SSスレですので没にこだわってみました」
「細かすぎて伝わらないと思うよ。で、本題は?」
「はい。過去ログで今までのネタの確認と反応レスの確認をしておりましたところ、
あの大失態を演じたゲリラ回で『・・・書こうかなライ×ロロ・・・・・・・』というレスが……」
「咲世子は本当にロロネタが好きだね。確かにそういうレスはあったけど、
あれは『×』という記号にこだわりのない人が、ライ+ロロをそう書いたんじゃないの?
それに板的に本当の『×』は駄目!絶対!『アウトー!』だよ」
「承知しております。私も真の『×』を求めているわけではございません。
ちょーっとだけライ様とロロ様が仲良くしているところを読みたいだけです。後は妄想で補います。
『ツンデレのデレは要らない』と同じ原理です」
「それなら、どうして今更そのレスに興奮しているの?数は少ないけど、今までだってロロが出ているSSはあったじゃない?」
「レスをくださった方が重要なんです!何気無くIDをチェックしてみたら……」
「みたら?」
「何と!VV様ともお親しい某あおちゃんだったんです!これぞディスティニーです!!」
「へ……っ?」
「もちろん、いくら某あおちゃんと言えどもガチなライロロをここに投下することはないでしょうけど、
ガチなライロロバトルとかは、あるかもしれません!
いずれにせよ、あおちゃん解釈のライロロが読めるなんて、素晴らしい事です!」
「咲世子、あれはあくまでも『書こうかな』だよ。ちょっと、そんな気分になっただけで決定事項じゃないよ」
「判っております!でも、夢と希望を抱いてもいいじゃないですか!」
「でも、『あおちゃん』はスレの皆が期待する長編を抱えてるし、このスレでも単発で、
しかも続きを望まれるような作品を投下してるんだよ?ライロロなんて書いてる暇はないよ」
「ちょっと引っ掛かる言い方ですが、まあ、スルーしておきます。
それに実際に書いていただけるかは問題ではありません。書いていただけるかもしれない事が重要なんです!
書いていただけるかもしれないと思うだけで、焼き菓子三種は焼けちゃいます!」
「そこは普通、ご飯三杯はいけるっていうべきじゃないの?」
「ご飯は一膳しかいただきません。他の物も好き嫌いせず、バランス良くいただかなけれぱいけませんよ?VV様」
「ご飯は駄目なのに、お菓子ならいいの?パンがなければケーキを、とかはいうけどさ」
「焼き菓子は食べるわけではなく、焼くんです。もし、本当に投下されたら、
……私、百人規模のティーパーティーが開けるくらい焼いてしまうかもしれません!」
「つまり、嬉しいとお菓子が焼きたくなるんだね」
「はいっ!」
「じゃあ、もし投下されたら僕にマドレーヌを焼いてよ。貝型じゃない方で。
アルミの型も嫌だな。風味付けはレモンで、ちゃんと国産の使ってね」
「え?それは別に構いませんけれど……」
「そう、じゃあ楽しみにしてるね。ところで咲世子。そろそろ帰った方がいいんじゃない?
久しぶりの出番に備えて色々する事もあるんじゃないの?」
「え?いえ、その……」
「オリンピックを機にテレビを新調した人も多いだろうし、大画面でのアップに備えてお手入れとかしなくていいの?」
「ええ、それはまあ、それなりに」
「早く帰って睡眠もたっぷりとらないとね。睡眠不足は美容の大敵でしょ?じゃあね。バイバイ」
(……何故かしら?前ほど露骨ではないものの、追い返されたような……。
次に来るときにマドレーヌを持っていけば、機嫌をなおしていただけるという事なのかしら?)
・
・
・
・
・
「ふう。やっと帰った。まったく毎回毎回アッー!な話ばかり聞かされて疲れちゃうよ。
こんなに話を聞いてあげているんだから、ちょっとくらい報酬もらってもいいよね?
ホントにもう、まかり間違って変なものに目覚めちゃったらどうしてくれるのさ……」
「VV様」
「うわっ!咲世子!帰ってなかったの!?」
「マドレーヌはただいま手元にございませんが、代わりにパウンドケーキをお持ちしました」
「あ、ありがとう」
「ところでVV様。今のお話ですが……」
「あ、やっぱり聞こえてたよね……。まあ、いいんだけど」
「VV様が間違って『変なもの』に目覚めたり、耐性ができたというのなら、
それは私の影響ではなくトーマス様の影響ではないでしょうか?」
「はっ?」
「私とは、ごくたまーに短時間会うだけですけど、トーマス様とは毎日長い時を共に過ごされているんですよね?
既に『変なもの』に目覚めていらっしゃるトーマス様と……」
「……えっ?ええーっ!?」
「私、VV様が『変なもの』に目覚める日を楽しみにしておりますね」
「……………」
「それでは、失礼いたします。またいずれの時か、スレの埋立てでお会いいたしましょう」
「……………う、嘘ーーーっ!?」
>>975 乙&GJでした!
クスリと笑える面白さ、これもまた良いSSです
てんどんは面白いですが加減が難しいですよね
次のスレ末?もお待ちしております!
むしろネタに使ってくれてありがとうとゆーか…
いっちゃいますよ? 書いちゃいますよ? 限界の向こう側へ突き抜けちゃいますよ?
978 :
977:2008/09/12(金) 01:25:18 ID:zInGYoEE
途中できれちゃった
なんにせよ、乙ですっ!
次回の梅も楽しみにしてまーす!
>>975
GJでした!
>>971 ネタ扱い大いに結構!寧ろもっと(ry
待ってたのはネタでも冗談でもありませんよ?少なくとも、領地はともかくシリーズ部屋を作りたいと真剣に思うぐらいには。
次の埋めの時ということですが、最近の速度だと結構掛かりそうですな……。
ま、首を長くしてお待ちしております。ともかくGJ、お疲れ様でした。
埋めにはいっていいかな?
ume
梅
ウメ
477KB
質問です
朝比奈ってライのことどう呼んでましたっけ?
確認しようにも今、手元に無いんで
少尉とか君だったような
確認したいのですが
クラブにはスラッシュハーケンは二つしかないんですよね?
>>988 スザクの時のような描写は無いから分からない
なるほど
朝比奈がライ君で卜部が……作戦補佐殿だっけ?
>>990 「くん」じゃなくて「きみ」だ。
例)
朝比奈「君は、おもしろい戦い方をするねぇ」
卜部は少尉とか肩書きの他に、「あんた」があったな。
例)
卜部「あんた、ゼロの片腕なのかい?」
>>992 重ね重ねありがとうございました
段々記憶が薄れていくな……早く返してもらうか
>>1000なら次は、お姉さんキャラ祭り決定!!(ラクシャータ含む)
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。