コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 22
1 :
名無しくん、、、好きです。。。:
2 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/08/31(日) 18:16:27 ID:2mXm6Sb/
3 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/08/31(日) 18:17:41 ID:2mXm6Sb/
■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.規制に掛かりやすくなっていますので、支援要請の旨も冒頭に書いて下さい。 逆に数レスほど使用の場合、支援は要らない旨を書いてください。
3.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください。
4.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
5.ゲーム内容以外で本編放送前バレ情報があるSSは始めに注意書きを。
6.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
7.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で。
・トリップがあってもコテハンがないと領地が作れず、??????自治区に格納されます。
■全般
1.支援はあくまで規制を回避するシステムなので必要以上の支援は控えましょう。
2.次スレ建設について
・950レスもしくは460kB近くなったらスレを立てるか訊くこと。立てる人は宣言してから
・重複その他の事故を防ぐためにも、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えることが推奨されます
※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例 940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など
3.誤字修正依頼など
・保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は以下のアドレス(
[email protected])に
※修正依頼の際には 作品の管理番号(その作品が始まる際の、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)を“必ず”記述して下さい
例 0003-0342 のタイトルを ○○○ カップリングを ○○○
(↑この部分が必須!)
もし、管理番号を記述されず○スレ目の○番目の……などという指定をされると処理が不可能になる場合があります
4.睡眠は1日7時間は取りましょう
4 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/08/31(日) 18:18:49 ID:2mXm6Sb/
現在、絵の投下取扱いについて意見調整中です。
絵の投下をしてみたい方、絵を見たい方は、以下の仮ルールに則って行動してください。
尚、この仮ルールの試用期間は8/31〜9/7とします。
9/7 17:00までに立てるスレにはこの仮テンプレを貼ってください。
試用期間中に出た問題点の取り纏めは9/7の本放送終了後、21時頃から開始予定ですが、
その時間帯に参加できない住民はそれ以前に自分の意見を取り纏めて投下しておく等して対応願います。
(画像投下仮ルール)
1.ロスカラSSスレ派生画像掲示板(
http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic)に
タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。 尚、コテとトリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメやSSにインスパイアされた場合は、それを書く(例…R2の何話をみてテンさん描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投下。
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像版の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など)
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮を願います)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投下は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行き、感想を画像掲示板に書く。
(原則としてこちらの投下レスに絵の感想レスをつけないこと)
絵に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
----以上でテンプレは終了です。----
5 :
SS書いて死んだ:2008/08/31(日) 18:19:17 ID:y+q6qxVr
THREAD 19『裏SS』
「裏SSは板違いだ、ルルーシュ」
「ライ……ナナリーがいなくなったんだ、だから…せめて…」
「駄目だ。なぜ19話なら『ネタ切れ』ってタイトルにしなかったんだ」
「……THREAD12で使ったからな」
「やめ」
(僕はずっと道具だった…)
「るんだ、ロロ!どうして投下なんかを続」
(最初は嚮団の支援者で)
「けるんだ!俺」
(その次は兄さんの…。っ…ああ、確かに僕は兄さんに利用されて投下していたのかもしれない。でも…あのSSだけは本物だった!)
「はお前のことを」
(あのSSのお陰で。ようやく僕は……職人になれた!…っ!)
「利用して……ロロ!!」
「だから、もう…」
(僕は…)
「やめてくれ。SSを書くな!死にたいのか!!」
「僕は、道具じゃない、職人なんだ。だってこれは、僕の、意思なんだからーーー!!!」
「…………ロロ、どうしてSSを書いた?俺はお前を…」
「兄さんは嘘つきだから……。嘘、だよね?……SSはもういい、なんて…」
「そうか、すっかり見抜かれていたんだな。さすがは俺の弟だ」
「そう、だよ…。僕は兄さんのことなら、何でもわかる……」
(そうだロロ、……お前の兄は嘘つきなんだ)
(ライナナ、ライカレ、ライアニャ、ライカグ、ライ天。俺は全てを失った。これが残された結果…。
いや、報いか。でも、だからこそ……ありがとう、ロロ。
お前がつないだこのスレッド、俺にはまだ成さねばならないことがあったんだよな。そう、俺がSSを書く。それこそが…)
乙ww
本編とスレの進行具合が不釣合いで久しぶりに見たなwwww
>>5 乙で〜す、しかし本編どころか本スレまで抜いてどれだけになるだろう、、、、
我々はもしかして怪物を作り上げてしまったのではないのか、、、、、w
>>1 乙!
>>5 乙&GJでした!
めちゃくちゃ久しぶりな気がしたが、そんなことは……無かったか?
1000 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/08/31(日) 19:00:56 ID:Nex5M9E0
1000なら本編でカレンはルルとはくっつかない(見苦しい)
そしてライとくっつくわけですね
わかります
ルル「フハハハハハハハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハ!」
皇帝「ヌゥアッハッハッハッハッハ、フハッハッハッハッハッハ!」
ライ「ルルーシュと皇帝が対峙しながらひたすら笑っている、一体何が……」
C.C.「あれか。気にするな、2人とも笑い茸を食べただけだ」
ライ「あの笑い方で普通なの!? ってかベタ過ぎるよ!」
同時刻フリタニア某所
「スラ○ム、お前の大事なものは何だ? そう、命だ!」
「るきあの」の攻撃。かいしんのいちげき。スラ○ムに100のダメージ。スラ○ムを倒した!
「ヒハハハハハハハハハハ、クハハハハハハハハハハハハ!」
「ブラッドリー卿、合同演習に来ないで何をしている?」(大剣を構えるビスマルク)
支援したほうがいいのかな?(汗
17 :
食卓:2008/08/31(日) 19:14:09 ID:H3EWtRau
すみません、投下宣言忘れてました。
しかも「フリタニア」って……orz
>>16 もう終わりなんで支援は不要です。すみません。
>>13 誰とくっついてもいいからとりあえず
死なないでほしい
本編見た後の空気無視して40分くらいに投下していいかな?
12レスくらい
>>17 食卓の騎士卿、GJです!
ちょっ、るきあのってw
初期ドラ○エww
22 :
萌は文化:2008/08/31(日) 19:39:57 ID:wncPOnLg
ありがとうございます
では特派温泉ルートの続き「△遊技場に行ってみる」です
カップリングはなし
注意点
ギャグです
ええギャグです。
お約束って難しいね
では投下
支援
24 :
萌は文化:2008/08/31(日) 19:43:13 ID:wncPOnLg
△遊技場に行ってみる
よし、誰かいるかもしれないし、遊技場に行ってみよう。
僕は遊技場に向けて歩きだした。
遊技場に行くと、浴衣姿のジェレミア卿とノネットさんが何やら2人で盛り上がっていた。
「2人とも何をしているのですか?」
「む、ライ卿か。いや何、温泉といったら定番だとユーフェミア様がおっしゃっていたので2人で卓球をしていたのだが…」
「今のところ私の5勝4敗だ」
「卓球……ですか?」
「何だ、知らないのか? 卓球っていうのはな…」
それから僕はノネットさんから卓球のルールの説明を受けた。
「面白そうですね。やってみましょう」
「そうか、では私が全力を持ってお相手を!!」
「初心者相手に全力出してどうするんですか」
やる気満々のジェレミア卿に浴衣姿のヴィレッタ卿がため息混じりでツッコミを入れた。
「あれ、ヴィレッタ卿も来たのですか?」
「ああ、ちょっと汗を流してから温泉に入ろうと思ってな」
「ほう、ちょうどいい。ライの練習をかねてダブルスをやろうじゃないか」
こうして僕達はしばらく普通に卓球を楽しんだ。
「なあ、ライもある程度なれたとこで何か賭けて勝負しないか?」
突然ノネットさんがそんなことを言い出した。
支援
支援
27 :
萌は文化:2008/08/31(日) 19:47:03 ID:wncPOnLg
「賭けですか?」
「そう、トーナメントして負けた奴は優勝した奴の命令を一つきくとか」
「ほう、それは面白そうだ。ヴィレッタはどうだ?」
「私は構いませんが」
どうやらみんな賛成らしい。
どうせ反対しても多数決だ。
僕も素直に同意することにした。
「僕も構いませんよ。ようは負けなければいいのでしょう?」
「ほう、その発言は私への挑戦と受け取った」
「フフフ、ナイトメアの操縦ならいざ知らず、この勝負! 全力でお相手しよう!」
「先程までのお遊びではなく、本気でやらせてもらうぞライ卿」
あれ?
なんか僕の軽はずみな発言で皆の闘争心に火をつけちゃったぽいぞ。
まずい。
冷静になってみたらこのメンバー、誰が勝っても絶対変なことを言い出すぞ。
特にノネットさんを勝たせたら大変なことになる気がする。
「よし、じゃあみんなコレを引け。同じ色引いた奴と勝負だ」
ノネットさんが作ったクジを引くと僕とジェレミア卿が青、ヴィレッタ卿とノネットさんが赤を引いた。
「じゃあ、先に私とヴィレッタ卿からやるか」
ノネットさんが言うと2人はラケットを手に卓球台に向かった。
「手は抜きませんよ」
「フフ、当然だ」
支援
29 :
萌は文化:2008/08/31(日) 19:49:19 ID:wncPOnLg
お互い真剣な面持ちで構えるノネットさんとヴィレッタ卿。
「ではルールは、先に15ポイントを先取した方の勝ちでジュースなし。で、いいですよね?」
僕が確認すると2人は無言で頷いた。
「では、始めてください」
僕が合図すると2人の真剣勝負が始まった。
最初はなかなかいい勝負だった2人だが、最後は5点差をつけてノネットさんの勝利に終わった。
「クッ! 私のライ卿1日ネコミミ執事計画が…」
よほど悔しかったのかその場に崩れるヴィレッタ卿。
っていうかそんなことやらせるつもりだったのかヴィレッタ卿……。
「では、次は我々だぞライ卿」
続けて僕とジェレミア卿の試合を始めることになった。
「言っときますが本気でやりますよ」
「フフフ、ではお互い全力でやろうかライ卿」
互いに意気込む僕とジェレミア卿。
「よし、じゃあ始め!」
ノネットさんが叫ぶと、ジェレミア卿のサーブが飛んでくる。
支援
31 :
萌は文化:2008/08/31(日) 19:52:01 ID:wncPOnLg
「ハハハ! なかなかやるなライ卿!」
互いにマッチポイントを迎え、戦況は互角。
気の抜けないラリーが続く。
「あ!」
手元が狂いピンポン玉を高く上げてしまった。
これは相手にとって決定的チャンスだ。
「フフフ、もらったぞライ卿!!」
このチャンスを見逃すジェレミア卿ではない!
万事休すか……!
仕方ない。
出来ればこんな手は使いたくなかった!
けど手段を選んではいられない!
言うしかない!
そう、ジェレミア卿がもっとも過剰反応するあの言葉を……!
「オレ…」
そこまで言って僕は言葉を飲みこむ。
ダメだ。
他人の誇りを傷つけてまで僕は勝ちたいのか!
そうだ、ジェレミア卿は何一つ卑怯な真似などしていない。
こんなのフェアじゃない!
そうだ、僕は負けたんだ。
素直に受け入れよう。
僕はラケットをそっと下ろした。
支援
33 :
萌は文化:2008/08/31(日) 19:54:07 ID:wncPOnLg
「スマァーッシュ!!」
ジェレミア卿のスマッシュが炸裂…
「ああ、運動して喉乾いたな。なんか飲みたいな。オレンジジュースとか…」
「オレンジだとォォ!!」
スマッシュが炸裂………しなかった。
ジェレミア卿は大きく空振りし、ピンポン玉が卓球台に転がった。
「ライ卿の勝利〜」
ヴィレッタ卿が僕の勝利を宣言する。
ああ、さっきの僕の心の葛藤はなんだったのか?
複雑な心境の中、僕は無事に勝利を収めた。
「グゥ……! なんてことだ! 今夜はこのメンバーで朝まで飲みたかったのに……」
「あ、意外と普通な命令だったんですね」
うーん、ジェレミアが優勝するのだったら勝たせてもよかったかもしれないな。
「フフフ、では決勝戦と行こうかライ」
余裕の笑みを浮かべでノネットさんは卓球台に立った。
「ちなみに聞きますが、ノネットさんは勝ったらどんな命令をする気ですか?」
「ん〜、そうだな」
ノネットさんは少し悩みながらヴィレッタ卿と落ちこむジェレミア卿を見た。
「じゃあ、ライを朝までネコミミメイドのコスプレさせて、朝までみんなで飲み明かすってのはどうだ?」
支援
35 :
萌は文化:2008/08/31(日) 19:57:57 ID:wncPOnLg
流石ノネットさんだ。
負けた2人の願いをまとめて叶えてあげるなんて!
しかも、ヴィレッタ卿の願いをパワーアップですか。
でも結果的に僕だけ罰ゲームみたいで理不尽だと思います。
「「おおー!!」」
コラそこ!
嬉しそうに拍手しない!
「なるほど、ならば僕は絶対に負けるわけにはいきませんね」
負けられない戦いがここにある!
僕のラケットを握る力が強まる。
っていうかネコミミメイドなんて絶対嫌だ!
「では行くぞライ!」
カツンとサーブを打つノネットさん。
僕が打ち返すと長いラリーが続いた。
「なあ、ライ?」
激しいラリーが続く中、ノネットさんが話しかけてきた。
「何ですか……?」
「昨日、一緒に風呂に入って気づいたが…」
「………?」
「セシルの胸は美乳だな。でかくて形もいい」
「ぶっー!!」
吹き出した僕はそのまま大きくピンポン玉を打ちもらした。
支援
37 :
萌は文化:2008/08/31(日) 20:02:10 ID:wncPOnLg
「1点先取〜♪」
ニタニタと余裕の笑みを浮かべるノネットさん。
おのれ、まさか心理戦でくるとは。
落ち着け、ここは平常心だ。
落ち着いて戦えばそう簡単に負ける戦いではないはずだ。
一度、深呼吸してから僕はサーブを打った。
「…………あ!」
手元が狂ったのかノネットさんの打ち返したピンポン玉は大きく弧を描いて落ちてくる。
これは………もらった!
「昨日、背中を流す時にどさくさでユーフェミア様の胸を揉んだが………すごいハリだった」
「〜〜〜!!」
しまった!
今の発言で手元が狂い、普通に打ち返してしまった!
この玉はノネットさんにチャンスだ。
仕方なく僕はノネットさんのスマッシュを受ける体制をとる。
「昨夜セシルが寝言でお前の名前を呼んでたぞ」
話しながらスマッシュを打つノネットさん。
よし、これなら打ち返せる!
「ああ、確かにうるさかったな。すごいいやらしい声で『ライ君! ライ君〜!』って乱れてたな」
「ええ!! ってしまった!」
ヴィレッタ卿の発言に気をとられ、僕はスマッシュを見逃してしまった。
支援
ノネットさん、マジ外道www支援
40 :
萌は文化:2008/08/31(日) 20:06:58 ID:wncPOnLg
「ふむふむ、愛されてるなライ卿」
何故かメモをとるジェレミア卿。
一体何に使う気だ!?
「ちなみに寝言で連呼してたのは本当だがエッチな声というのはウソだ!」
ククッと笑うノネットさん。
ノネットさんはそのままヴィレッタ卿とハイタッチをした。
おのれ、よくも騙したな………じゃなくてなんて卑怯な手だ!
「今度こそ!!」
「はは、いいね!いいね!」
その後、ノネットさんの心理攻撃は続いたが、流石にいつまでも引っかかる僕ではない。
次第に点数も追いつき、ついにお互いマッチポイントまで迎えた。
「フフン、やるなライ」
「こんな姑息な手段にいつまでも引っかかるわけにはいきませんよ!」
「そうか、なら……さあ、行こうか!」
最後の1球はノネットさんのサーブからスタートした。
また、激しいラリーが続く。
「………とう!」
チャンス!
ノネットさんの心理攻撃にさえ気をつければこれで決まる!
僕はラケットを構える。
支援
支援
43 :
萌は文化:2008/08/31(日) 20:11:34 ID:wncPOnLg
「実は私は今ノーブラだ」
「!!」
しまった!
動揺してピンポン玉を打ち上げてしまった!
ノネットさんのスマッシュがくる!
それに備えなくては!!
「だからな、さっきから動くたびに胸が揺れて大変なんだ」
「え?」
我ながら馬鹿な手にかかったと思う。
視線がノネットさんの胸元に釘付けになってる間に、すでに決着はついてしまっていた。
ちなみにノネットさんの胸はすごく揺れてました。
「フフフ、残念だったな男の子」
「しまったぁぁぁ!!」
この時ばかりは僕は男としての本能を呪った。
そして、その日の夜
「キャー、よく似合ってますよライ!」
「ライ君………かわいい」
「うん、よく似合ってるよライ」
上からユフィ、セシルさん、スザクの感想。
敗北した僕はノネットさんの言った通り、ネコミミメイドのコスプレをして宴会に参加していた。
というかすでに宴会ではなく、僕のコスプレ鑑賞会になりつつあるが……。
44 :
萌は文化:2008/08/31(日) 20:16:08 ID:wncPOnLg
「かわいいですライ! かわいいですライ!」
「わかったから落ち着いてユフィ」
興奮するユフィをなだめる僕。
うう、泣きたくなってきた。
「ああ、抱きしめてなでなでしたい…」
セシルさん、そんな綺麗な瞳で見つめないでください。
「ニャーン」
スザク、そのネコじゃらしアーサーのために作ったやつだよね?
なんで持って来てるの?
っていうかいくら親友でもぶん殴るぞ!
「ライ卿………持ってきて良かった」
うっとり頬を染めるヴィレッタ卿。
うん、今さらだけどなんでこんなもの持って来たんですかヴィレッタ卿?
「まあ、ライ卿。一杯どうだ」
「いえ、未成年なので……」
ジェレミア卿のお酌を断る僕。
ジェレミア卿、まさかあなたが一番まともに見える日がくるとは思いもよらなかったよ。
「ノネットさん! ライに私が持って来たこの服を着せていいですか?」
ユフィ、が出したのはボンテージ生地のへそ出しルックのハネの生えた小悪魔を意識した服だった。
わかりやすく言うと某日本一なやりこみゲームに出てくる貧乳魔神みたいな服。
だから何故そんな服を旅行に持って来た!?
支援
なんてもの持ってくるんだユーフェミアww 支援
47 :
萌は文化:2008/08/31(日) 20:21:51 ID:wncPOnLg
「よかったらこれも着てみない? 暇だからその辺にあった物で作ってみたのだけど…」
何故かいつになくノリノリのロイドさん。
ロイドさんが出した服は昔のRPGとかに出てきそうなレオタードの形をした鎧だった。
ロイドさん、何作ってやがりますか!
「いいね、いいね! もっと面白い服はないか? 旅館の人に聞いくるか」
ちょっとお酒も入って興奮気味なノネットさん。
ハハハ、シャレにならん!
僕は全力で自由への逃走を図った。
「あ、逃げた」
「スザク! ジェレミア卿! ライを逃がしてはいけません!」
「「イエス、ユア、ハイネス!」」
ユフィの命令によって僕の前に立ちふさがるジェレミア卿とスザク。
「そこをどけぇー!!」
「行かせない!」
「これこそが我が忠義の証!!」
突破しようとしたが2対1では勝ち目もなく、僕はあっさり拘束された。
「この白いワンピースなんてどうかしら?」
「じゃあ、この網ブーツと組み合わせましょう」
「せっかくだから化粧もさせましょうか」
「イヤァァァ!」
こうして、僕は女性陣の着せ替え人形にされ、旅行最後の夜はふけていった。
BAD END
支援
支援
ロロって死んでたのね……支援
51 :
萌は文化:2008/08/31(日) 20:30:16 ID:wncPOnLg
おまけ
このコーナーはBAD ENDを迎えたあなたを救済するコーナーです。
意味がわからなかったり元ネタがわからない人はスルーしましょう。
ゼロ「よく来たな。我が反逆道場にようこそ」
C.C「見事なパクリだな、このコーナー。まあ、次はないだろうな、このコーナー。それで? 今回の敗因は?」←ちゃんとブルマ着用
ゼロ「ズバリ、ノネットにケンカを売ったことだ。準備もなしで戦を挑むのは愚の骨頂。愚か者のやることだ!」
C.C「だが、一度『遊技場に行く』を選ぶと次に選択肢は出なかったぞ。それにこれは素直にライノネにしなかったこのSSが悪いのではないか?」
ゼロ「その通り、だから戦略的勝利などくれてやれ。さあ、最初の選択肢に戻って、温泉や露天風呂でドキドキイベントを体験したり、お土産屋を巡ってデートしてこい!」
C.C「そうは言うが、まだ露天風呂しか投下は終わってないぞ?」
ゼロ「何? フン、だが安心しろ! 何故なら俺はゼロ! 奇跡を起こす男だ!」
C.C「何が安心なんだ?」
ルルーシュ「全て終わったら、またここで花火(SS)をあげよう」
C.C「お前はさっきから何を言っている?」
52 :
萌は文化:2008/08/31(日) 20:34:10 ID:wncPOnLg
以上で投下終了
セシル部屋より先にローマイヤー部屋が出来たことに軽くショック受けた私。
でもミス・ローマイヤー好きだからいいや。
ちなみに私は卓球のルール知りませんし、やったことありません。
支援ありがとうございました。
>>52 GJ!
猫耳を何故持っている!?ヴィレッタ!ジェレミアが一番まともなのに吹いてしまった。
後、誤字で卓球のルールの所でジュースとなっていたけど、デュースだったと思うよ。
ネコミミ、ブルマ……
なんと甘美な響きなことか
支援!!!!!!!!!
>>52 GJ! なんだろうな。みんなが持ってきた衣装をライが来ても違和感がまるでないんだが
>>52 GJ!ノネットさんアンタ卑怯だwww
ジェレミアが意外と普通なことに驚いたw
あとロイドさん暇だからってその辺にあった物で服を作れるアンタ凄ぇwww
次の投下を全力でお待ちしております
>>52 ノーブラてw卑怯すぐるw
しかし、楽しそうな世界で実に微笑ましいです
癒されましたよ
またの投下お待ちしてます
>>54 ネットで見たところ、どちらでも問題ないような感じです。
強いていうなら好みの問題レベルかな?
オハヨウゴザイマシタ
……寝落ちですorz
>>52 全力でGJでした、萌は文化卿!
壮絶な心理戦?でしたね
勝負の世界に卑怯は存在しないって誰かが言ってたような気がする
準備良すぎる人達より、その場でんなもん作るロイドさんに吹いたw
次の選択肢、×か□か、全力でお待ちしましょう!
21:47くらいから投下したいのですが支援大丈夫ですか?
雷鳴の慟哭の続きです
カップリングは無いんですが、最後の方に兄妹でキスするシーンがあります。
でも、そんなにべたべたしてないんで安心してみてください。
剣の名前ですが、某格闘ゲームのお方が持ってる剣と同じ名前です。
前スレでライの名前がどうこう言いましたが、忘れてください…書いてたら、上手く持ってけなくなったんです…orz
傭兵の隊長がテンさんっぽいですが、別人です。(もしかしたら、テンさんの先祖かもしれないですね?w)
ひょっとしたら、文章がおかしいかもしれません。その時はご指摘ください、今後の参考にさせていただきます。
最後に、主要3人の年齢です。
ライ17歳 紫音15歳 母上40歳
5レスくらいです。それでは、投下します。
65 :
雷鳴の慟哭:2008/08/31(日) 21:50:17 ID:rRKYrh2v
〜第2話〜 混乱、絶望、そして…
一瞬の出来事だった、私自身なぜこうなったのか……いや、理由は分かっている、私のギアスが怒りと共に無意識的に発動されたのだ。
ギアス、それは謎の少年0.0.(ゼロツー)からもらった、他人の意思とは関係なく命令をすることが出来る力…これが発動してしまったのだ。
兵士だけでなく、民までもがその手に武器を持って城を出て行く。
「ま、待てっ!今の命令は取り消す!だから、行くなっ!!」
しかし、皆は聞いてはくれない…皆は一心不乱に「ブリタニアの勝利を我が手に!」「ラインフォード様の信頼のために!」と、言いながら、戦場へと赴いている。
「くっ、何故だ!…何故こんなっ!!」
「お兄様?」
紫音の声が聞こえ、顔を上げる。しかし、私は言葉を失った。
「私も北の蛮族を皆殺しに行ってまいります!」
「頼、私も母親としての役目を果たしに行ってきます。」
「ち、違うんだ!今のは、今のは…!!」
その瞬間、私の頭の中に声が響く。
「(何が違うんだい?もう命令は取り消せないよ?君がギアスを発動させたからね。)」
「(貴様は…0.0.!!)」
「(だから、行ったでしょ?この力は君を孤独にするって、ま、いつかこうなるのは目に見えてたけどね?)」
「(うるさいっ!黙れっ!!今から私は皆を止めに行かねばならんのだ!貴様と問答している場合ではないっ!!)」
「(あ、そう。じゃあ、行ってくれば?まぁ、無駄だと思うけどね。アハハハハ…。)」
不愉快な声が消えた後、私は「封雷剣」を携え、愛馬である「疾風」に跨り、民たちがいるであろう戦場に向かった。
支援
67 :
雷鳴の慟哭:2008/08/31(日) 21:54:37 ID:rRKYrh2v
戦場は町の中になっていた。家は焼け落ち、人は傷つき、倒れ、この世の地獄を目の前で見ているような、気分に私はなった…。
「こ、これは…なんてことだ…!私が、私が命令したばかりに!!」
目の前では、敵は確かに死んでいる、しかし、それ相応に、いやそれ以上に民も死んでいるのであった。
「みんな!もういい!!いいから、やめてくれ!!」
誰も、私の声に聞く耳を持たない…。
「くそっ!!これでは、ダメではないか!私の力が足りないからか?
……いや、力はあった。ただ、兄上や父上にその力を使い、王になり、敵を殺すときにもこの力を使い…
挙句の果てには、自分が傷つけないようにしていた、紫音や母上、そして、民にまで使ってしまった…。私は、間違っていたのか?」
しかし、その問いに答えられるものは誰もいなかった。
「私には、何が出来る?これほどまでに民を犠牲にし、何が…。だが、これで俯いたら誰に詫びればいい!?現実を受け止め、この戦いを止める!それが、私の戦いだ!!」
しかし、顔を上げた瞬間、目の前は凄惨な光景になっていて、私は愕然とした。民が1人残らず死んでいたからであった。もう、戦ってるのは兵士だけ…私は近くに倒れている民に声を掛けた。
「おい、起きてくれっ!おい!」
その民の腹からは内臓がはみ出しており、とてもじゃないが生きてるとは思えなかった。
「う、嘘だ!!みんな、死んだなんて嘘に決まっている!!……!紫音は!?母上は!?どこにいるんだ!?」
探そうと辺りを見回したら、ある異変に気がついた。兵士たちが傭兵どもに何もしないで殺されているのが見えたからだ。
「(何故、戦わないのだ?……あ、あれは!!)紫音!!母上!!」
兵士は戦わないのではなく、戦えなかったのだった。2人が人質にされていて、手を出そうにも出せなかったのだ。
支援
69 :
雷鳴の慟哭:2008/08/31(日) 21:56:06 ID:rRKYrh2v
「貴様ら!!紫音と母上から離れろっ!!」
「お?ようやく来たか、狂王さんよぉ…。てめぇの大切なものは俺たちの手の中にあるぜ?抵抗すれば、2人は殺る!!それが、いやなら剣を捨てるんだな!」
「お、お兄様…。」
「頼、逃げて…。」
「……剣を捨てれば、2人は助かるんだな?」
「あぁ、助けてやるぜ?ヒャハハハハ!!」
それを聞いた私は、躊躇いはあったが剣を捨てた。
「捨てた!捨てやがったぜ!こりゃ、傑作だ!おい、てめぇら、狂王を抑えとけ!」
「へいっ!!」
男の手下2人が私を押さえつける……!!まさか!
「貴様っ!まさか!?」
「そうだ、この2人はここで殺す!焦りで頭に血が回らなかったのか?バーカ、最初っから約束なんざ、守る気はねぇよ!!」
「やめろ!やめろっ!頼む!やめてくれっ!!」
「聞こえねぇなぁ?おい、殺れ!」
“ドスッ”剣が刺さる音と共に2人は崩れ落ちた…。
「ヒャハハハハ、やった!やってやったぜ!!後は狂王さえ殺れば、大金は俺のモンだ!!……ん?雨か?こいつらの涙雨ってか!?ヒャハハハハ!!」
「……その薄汚い口を閉じろ、下衆が!!」
「ハァ?何言ってやがんだ?てめぇ、この状況分かっ――――」
「閉じろと言っているっ!!」
そして、私は発動させる…今度は意識的に―――
「ラインフォード=エス=ブリタニアが命じる!貴様たちは、今すぐここで死ね!!」
「ハッ!こいつバカじゃねぇか?死ねっつって死ぬ奴がどこに――――」
ギアスが聞いたのか、口を閉じる。そして、すぐ後に…
「「「イエス・ユア・マジェスティ!」」」
傭兵どもが、1人また1人と自殺していく、そんな光景など私にはどうでもよかった…。
私は、母上と紫音の元に駆け寄った。
支援
支援
72 :
雷鳴の慟哭:2008/08/31(日) 21:58:39 ID:rRKYrh2v
紫音!しっかりしろ!死ぬな!!」
「お、お兄…様?」
「紫音!!大丈夫か!?」
「私は、もう、ダメなようです…。全身の…感覚が、もう、ないんです…。でも、最後に…お願いが、あります…。」
「最後なんて、言うな!!…何だ、何をすればいい?私に出来ることなら何でも―――!」
私は、何が起きたのか分からなかった…気付けば、紫音と唇が重なっていた。
「いけない事、というのは分かってます…でも、どうせ、死んでしまうのなら…大好きな、お兄様に…ファースト…キス…上げ…たかったんです…。」
「紫音?紫音!」
「お兄…様………愛、して…ます…。」
紫音の体が、糸の切れた人形のようになってしまった…。
「紫、音?シ、オ、ン…?……う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
雷が鳴り響く、私は紫音をそっと、横たえさせて、母上の方に向かった。
「頼?…紫音?…無事?」
「は、母上!しっかりしてください!!」
「頼?…紫音は?」
「し、紫音は…生きてます。」
思わず声が上ずる、生きてます…この言葉だけで、涙が出そうになる。
「そう、分かったわ…。頼、聞きなさい。」
母上は悟ったのだろうか?紫音が死んでいることを…。
「母上?」
「私はもう死ぬでしょう…力が入りません…ただ、最後に言いたいことがあります…。」
私は黙ったまま、話しを聞いた。
「頼、私たちの復讐なんて、考えてはだめですよ?…あなたにはまだ、先がある…。誰からも頼られる大人になりなさい。そして、私たちと同じような人たちが出ないようにしなさい…。それだけが、私の願いです。」
やはり、紫音が死んだことは悟られていた。
「しかし、母上、私の国にはもう誰も国民が――――」
「頼、分かりましたか?」
「はい…。」
支援
74 :
雷鳴の慟哭:2008/08/31(日) 22:00:26 ID:rRKYrh2v
私は、母上が何を考えているのか分からなかったが、ただ、いつか、私と同じような境遇を持った人に会うという、母上の予言のような感じに私は取れた…。
「よろしい、これで安心して逝けます…。紫音と共に待ってます…その時は、みんなで…楽、し、く…。」
「母上?母、上?…母上ぇぇぇぇぇぇ!!」
そして、私は2人を同じところに横たえた。
「母上、紫音…すいません。こんなところに寝かせておくなんて…。母上、復讐は考えるなと、言いましたが…復讐はします。北の奴らを抹殺してきます。…紫音のために…。」
そして、私は「封雷剣」を拾い、天に掲げた。剣に落雷が落ちる。
「雷鳴よ!私はお前の荒々しさを1度借りる!!私の名は頼!……いや、雷だ!!」
もう1度雷が落ちる。
「紫音、待っててくれ…お前の仇は私が取る!!」
75 :
雷鳴の慟哭:2008/08/31(日) 22:03:22 ID:rRKYrh2v
以上です、途中一行に文字が多いといわれ、編集しました(汗
好き嫌いが分かれそうな作品になりそうです…。大丈夫かな?
トーマス様
0021-0875の続きなんで、くっつけ作業お願いします。
最後の消し忘れた…orz
最後の最後で…ハァ…。
GJと乙です。これからどうなっていくのかワクワクがとまらない。次の投下楽しみにしてます。
誤字があったので
65の だから、行ったでしょ? は だから、言ったでしょ?だと思います
トーマス卿のことだから既にきづいてたりしてw
>>77 ぬぉー!ご、誤字がぁー!う、う、…僕はいつまでたっても半人前…orz
完璧だと、思ってたのに…
指摘ありがとうございます。
トーマス卿修正よろしくです!
>>75 相互リンクを張って部屋を作りました。
>>77氏の指摘された誤字も対処済みです。
ご自身の領地よりご確認ください。
トーマス卿
は、早い…早すぎる…いや、むしろ速い!
スピーディーな作業感服します!
トーマス卿
0022-0072の一番最初にかぎかっこをお願いできますか?
お手数おかけします
>>75 ブランフォード卿、GJでした!
……素朴な疑問なんですが、剣に雷落ちたらヤバイんじゃ
とりあえず、冷静になれていないライがどういう道を行くのか気になりますね
続きをお待ちしております、全力で
「紫音!しっかりしろ!死ぬな!!」
ですね。修正しました。
22:35に投下をしたいのですが、よろしいですか?
こんばんは!毎度ありがとうございます、ピザーライです!
今日もSSをお届けに参りました
今回はRegain Colorsの12話を用意しました
それでは、お召し上がりください
>>82 後のサンダーブレイクである…
ごめんなさい、ちょっと電波を受信しただけなんですw
>>84 超展開にも動じず投下する職人の方々に敬服しつつ
支援します
第12話「別れ」
ゼロによる特区日本参加の宣言があって1日が過ぎた。
ルルーシュはそのまま学園に戻っている。
「まさかあんな作戦を持ち出すとはね」
ライはゼロによる作戦を思い出すと吹き出してしまう。
「トンチ使って・・・・・まるで一休さんじゃない」
「だが、確かにアレならどうにかなるだろう」
ライの部屋ではC.C.やカレンが集まって今度の作戦について話し合っていた。
「でも、その作戦をゼロが説明した時の藤堂さんびっくりしてたよね。あの顔は貴重だよ」
未だにライはあのことを思い出しているのか笑っている。
ライのその顔はとても嬉しそうだった。
「嬉しそうね、ライ」
「そうだね、嬉しいよ」
そうやって素直に笑うライの顔を見てカレンは顔を赤くしてしまう。
「とはいえ、予定日をどうにか伸ばせるだけ伸ばさないと」
「そうだな、アレを作るのには時間が掛かる。何せ百万人だからな」
「でも、問題があるとすれば・・・・・」
「「あるとすれば?」」
ライが深刻そうな顔をするためにC.C.とカレンが聞き返してしまう。
「またあの衣装を着ないといけないってこと」
そんな風に溜め息を付くライをC.C.とカレンはポカンと見てしまう。
そして、数秒後にはC.C.とカレンはおかしそうに笑い転げ、ライは不服そうな顔をしていた。
配達ですな。支援!
>>82 剣の名前は、「封雷剣」ですよ?設定的に大丈夫なのです!w
トーマス卿
助かります。
風呂に行くんで支援はまかせました!
支援w
あ、割り込んでた。
支援
そして、ゼロの国外追放は成功した。
「スザク」
僕は離れていく式典会場を見ながらそう呟いていた。
スザクは今一体何を考えているのだろうか。
あの時、僕が始めて出会った頃の彼はとても素直で正義感が強かった。
その彼をギアスという力が壊してしまった。
あんなに仲の良かったルルーシュとスザクがこんな風になっていたことを知った時、凄く悲しかった。
「何でこんな風に離れ離れにならないといけないのかな」
生徒会室にいたときのあんな距離にもう戻ることは出来ないのかな?
ギアスは、王の力は・・・・・その者を孤独にする・・・・か・・・・。
それを僕は1度体験した、ルルーシュもそうなってしまうのだろうか?
いや、そんなこと僕がさせない。
それにスザク、僕が君の目を醒まさせてみせる。君はルルーシュを許せるはずなんだから。
(それまで・・・・・ナナリーを守っていてくれ。
そして、ナナリー。絶対にルルーシュを君に会わせてあげるからね)
沈んでいく夕暮れを見ながら僕はそう願い、そして誓った。
支援
支援
「はっきり言ってもう使い物にならないわね〜」
ラクシャータは蒼い月下を見ながらそう語る。
甲壱型腕が斬り飛ばされ、間接部分はボロボロ、駆動系は修復不可能な状態だった。
「はっきり言ってアンタの動きにもうコイツが付いていけなかったのさ」
そうやって煙管で月下を叩くラクシャータ。
しかし、その顔はとても嬉しそうな顔をしていた。
「しかし、コイツは普通のやつじゃ使えないってのにそのコイツが付いていけないってアンタ何者なのさ」
「さぁね?」
ライは質問に肩をすくめて答えるだけだ。
「まぁ、データが取れていいんだけどね〜。こいつを応用してあの機体もう少し改造してもよさそうだね〜」
「出来ればラウンズと同等、それ以上にしてほしい」
「そのつもりよ〜。アンタ専用の最高の機体に仕上げるつもり、楽しみにね〜」
そうやってラクシャータはデータを持つと格納庫の奥へと行ってしまった。
とりあえずライは急遽ライ用に改造された暁直参仕様・改に乗ることになるそうだ。
暁は月下と同じように左腕に輻射波動を備え付けられるらしい。
ライはボロボロになった自分の愛馬を見上げながら呟いた。
「今まで一緒に戦ってくれてありがとう」
そうして月下を撫でながら月下と戦ってきた日々を思い出しながら別れを告げた。
支援
「うむ、おおよそ掴んだ」
藤堂は新型のナイトメアのマニュアルを読み終える。
ライはというと後ろのキッチンの方で千葉や他のメンバーと共に何かを作っている。
「後は戦闘空母か。斑鳩にガウェインのシステムを移したわけだな」
「蜃気楼とか他にも使ったけどね〜。何しろ本体は海中から引き上げた時点でボロボロだったから」
「一緒に沈んでいた機体は?」
「ナイトギガフォートレスとかいうやつか」
そんな会話を聞きながらライはジッとオーブンから目を離さないでいた。
「あ、あの、ライさん・・・・何でそんなにジッと見ているんですか?」
さすがにライの行動が理解できないのか、3人組のうちの1人の綾芽が話しかけてきた。
しかし、ライが手で綾芽を制して未だにオーブンを見つめている。
「・・・・・・今かな」
そうやってライはオーブンから2枚のピザを一気に取り出した。
そこにはチーズが良い具合に溶けたおいしそうなピザが出来上がっていた。
「うわ〜、おいしそ〜」
「この焼き加減が一番おいしいんだ」
そうやって感嘆の声を上げる3人組ともうピザに対して自信を持っているライ。
「良かったら食べてね。藤堂さんもラクシャータさんもどうぞ!」
「うむ、頂こう。君のピザは騎士団でも有名だからな」
「ありがとうございます」
そう言うとライはピザの1枚を皿に乗せるとどこかへと走っていった。
「どこに行ったんでしょう?」
「C.C.の所だろう・・・・・ふむ、うまいな」
「最初はゼロの愛人だと思ってたんだけどね〜、乗り換えたのかしらね〜・・・・やっぱりおいしいわね〜」
そんな会話をしながら藤堂とラクシャータはピザを食べるのだった。
支援
「C.C.〜、ピザを持って・・・・きた・・・・よ?」
ライがドアを開けるとそこにはルルーシュに覆いかぶさっているカレンの姿があった。
その姿を見てお互いが硬直してしまう。ただC.C.はピザが届いたのを見て目を輝かせている。
「えっと・・・・・ご、ごめん!」
そう言ってライはそのままUターンして走り去る。ピザを未だに持ったままで。
「あ、待て。私のピザ!」
その後をC.C.がライ(ピザ)を追いかけていった。
「ちょ、嘘!ライ、待って!誤解よ、何で私がルルーシュなんかと!」
そうやってカレンもライの後を追いかけていった。
残されたルルーシュはというと・・・・・・。
「・・・・・相変わらずだな」
そう言いながら溜め息を付いてしまう。
しかし、そんな風景が自分にとっては大切なものだと感じていた。
支援
支援
以上です。いかがでしたでしょうか?
今回は特にお話が進まなかったような・・・・・・。
というか、見せ場(100万人のゼロ)をカットした所為かもしれませんね
次はカレンとライのすれ違い・・・になると思います、お楽しみに!
それにしても今回の超展開はさすがに驚きました
これをどう調理するのかは自分の腕次第なので頑張りたいと思います
では、また次の配達で!
GJ、お疲れ様でした。久しぶり……と思ってしまうのは、きっと感覚が麻痺してしまっているんでしょうねw
次回の投下をお待ちいたしております!
>>103 ピザの配達人卿、GJでした! 今回も美味しくいただきました!
100万のゼロ、カットか……ちょっと残念
もはやピザ職人となっているライに吹いたw
C.C.、タバスコはいいのか?
次の配達を心待ちにしています!
>>103 相変わらず美味なSSをありがとうございます
超展開にも負けず? 頑張ってください
どうもこんばんは。百年前に生まれた人です。
短いですが、SSが書けたので投下したいのですが、大丈夫でしょうか?
>>75 遅レスだがGJ! かなり感情移入するタチなので涙がボロボロこぼれました
>>103 こちらもGJ! そうだよな、いくらライでもあの格好はいやだよな。そしていつの間にピザマスター?になったのかw
支援しますか?
>>109 準備したんですが、1〜2スレ程なので支援はなくても大丈夫そうです。
代わりに感想をお願いします。
大丈夫そうなので投下します。
タイトル:0 の もと
カップリング:なし
『撃っていいのは、撃たれる覚悟のある者だけだ!』
ルルーシュはあまり夢をみない。正しくは憶えていない。目覚める前に夢を見たとしてもほとんどが昔の記憶の再現でしかなく、気持の良いものが少ない。
しかし今日に限っては夢を見たというのにその夢が、子供の頃にあった事実なのか、それとも全て夢という空想だったのか判断できずにいた。
暫くするとC.C.が部屋に入ってきた。。
「どうしたルルーシュ、いくら今日は黒の騎士団の集会が昼からとは言え寝過ぎじゃないか? 一段と間抜け面じゃないか」
「何でもない。ただ、恐らく昔の事を夢で見ただけだ」
ルルーシュはベッドから起き上がりながら魔女の悪態を無視しながら洗面所に向かった。
「夢で見るほど良いことでもでもあったのか?」
「ああ、ナナリーが生まれる前の晩の事だ。その日は母上が検診の為にアシュフォード系列の病院に行った時に破水が始まってな、そのまま病院でナナリーを産むことになったそうだ。
俺はその日母上に着いて行かずに一人でアリエスの離宮に残っていた。他の皇族にとって願ってもないチャンスだったろうよ。皇子が一人と少数の護衛しか居なかったんだから」
顔を洗い、寝間着を着替える。
「よく生き残っていたな。そんな絶好の機会を他の皇族どもは何もしなかったのか?」
「したさ。数人だが賊が忍び込んできてな、殺されそうになった。けど、助けに来てくれた人がいたんだ」
「助けに? そんな奇特な奴がいたのか、あのブリタニアに?」
「ああ。まだ幼かった俺は何も憶えていないが、その人は確かに俺を助けてくれた。命を救ってくれた。名前は教えてくれなかったが、母上の友達だと言っていた。
母上に名前を聞いたんだが、憶えていない。多分男だったと思う。ただ、綺麗な蒼い眼をしていた事は憶えている。
その人は次の日にアシュフォードの使いやユフィとコーネリア、クロヴィスが来るまで一晩中そばに居てくれたんだ」
C.C.がチーズ君人形を抱きながら不思議そうに唸った。
「フム、それだけ覚えてるのに何が恐らくなんだ?」
「ああ、助けに来てくれた時にな、賊の一人が命乞いしたんだ。そうしたら『撃っていいのは、撃たれる覚悟のある者だけだ!』って言ってた思うんだ」
「何だそれは? まるでお前じゃないか。いや、ゼロの元がその蒼い眼の男か? 成程ゼロはそいつの模倣犯という訳か」
「模倣犯とは酷いな。参考にしただけさ」
ニヤリと笑いながらルルーシュはその蒼い眼をした人物を思い出そうとしたが、結局は思い出せなかった。
少しだけ、悲しい気持ちになった、あの人は結局誰だったのか。
以上です。
設定としては、『閃光と亡霊』を通った第1期本編としてます。
ライがまともに出ていないのにロスカラSSとして投下して良かったのか…、
と投下した後に思いました。
百年前に生まれた人卿
GJと乙でした。ルルーシュのゼロのもとがあったなんて…!
その続きでライと出会ったらルルーシュはどんな反応をするんでしょうね?
次の投下を心より、お待ちしております!
>>113 百年前に生まれた人卿、乙でした!
なんというか、こう、読み手の想像を掻き立てるようなSSですね
短く、細かく描写されていないからこそ、面白いといったかんじです
全力で次の投下を待っています!
(あえてコテハン使います)
突然ですが、質問です。
皆さんは感想返しはいるとおもいますか?
新参者の私は返さないと失礼かなと思い、返してますが…どうでしょう?
参考までにお願いします
>>113 なんだかじんわり。そんな一瞬の邂逅。
読んだら少し、切ない気持ちになりました。素敵です。
チビルルーシュ&ライというのもなんだか見て見たい絵面ですw
>>116 ならば私もあえて付けて応えます
いる、とも、いらない、とも言えませんね
私も感想返しをしていますが、無ければ失礼というほどではないと思いますよ
ただ、意見や疑問には答えた方がいいかもしれませんね
なお、これは私個人の意見であり、他の人の意見も聞いてみて
自ら判断してくださいね
>>116 別に新人だからとか、そんな事は気にしなくていいと思います。
そして今までこのスレを見てればわかると思いますが、いちいち返レスする必要はありません
業務連絡です。
ローカルルールの調整など、トーマスさんをはじめ
皆さんおつかれさまでした。
すでにご利用いただけた方もいらっしゃいますが
画像掲示板の注意書きを調整して架け替えました。
皆さんに楽しく使っていただける板になることを祈っています。
それでは!
えーと、絵板卿、とお呼びすればいいのかな?
拝見しましたが、某職人様のおかげで幸先のいいスタートを切り出せそうです。
お疲れ&ありがとうございました。
>>113 GJでした。全然有りな話だと思いますよ
またの投下をお待ちしてます
>>116 自分は話の中で疑問に感じた感想を頂いた場合は返すようにしたいと思ってます。
ただ、その疑問が今後予定している話で説明予定なら失礼ながら返しませんが。
全力支援者Y卿、
>>119 解答ありがとうございます。
では、意見や質問には答えていくという方向性にします。
ご協力、感謝します!
もうすぐ投下いたします
9月になりました。8月の作品投下は257でした。
願わくば、今月もこの勢いが続かんことを。
すいません、支援不可能です……。どなたかお願いしますです。
くそ、携帯だからか絵板に感想書けないぜorz
>>124 支援します
128 :
カズト:2008/09/01(月) 00:10:29 ID:qVfQKkL+
では投下します
タイトル「追憶の旅路 第三章 戦場の光と影」
カップリング ライ×カレ
注意点
・オリジナルキャラまだ増えます
支援
130 :
カズト:2008/09/01(月) 00:12:17 ID:qVfQKkL+
しばらくして、平原に一個大隊を見つけた
「若君!我が軍の一団が見えやした!あの者たちと合流しやしょう!
ん?様子がおかしいなあ……あの方向だと、国に戻っちまいます……」
「おお!裏畑か!若君は無事のようだな!」
中年くらいの太目の軍人だ、
ライは雰囲気から彼が歴戦の勇士と感じた
「仙沢!お前も無事で何よりじゃねえか!状況はどうなっている?」
「それがワシにもわからんのだ……いきなり撤退命令が下り、
その途中で敵軍の襲撃に遭い、大隊長が戦死、
指揮系統が混乱しながらの退却という状況なのだ……」
「センザワとか言ったな、お前はカイドーとはどういう間柄だ?」
ライが尋ねる「はじめまして若君、自分は仙沢中隊長です
私はあのお方にお仕えする武家の者です、
裏畑も同じようなものです……あと、旭川と奈良崎がおります……」
「……ふーむ、よし!大隊長が不在なら、お前が、大隊長をやれ!」
「え?私がですか?日本人ですが……」
「かまわん!非常時だ!
それに、カイドーの部下なら、信頼できる!やってくれるな?」
仙沢は海堂を全面的に信頼してくれるのに感激した
「……イエス!ユアハイネス!」
「では、ライエル=スメラギ=フォン=ブリタニアの名において
そなたを臨時で大隊長に任ずる!!」
支援
132 :
カズト:2008/09/01(月) 00:13:35 ID:qVfQKkL+
「しかし……士気が著しく落ちてますなあ……」
確かに、撤退の理由もわからず仙沢も大隊長になったばかりで、
指揮もまだ纏まっていない、そんな中、裏畑が血相を変えて報告に来た
「若君!仙沢!敵の大隊に発見された!あと一時間ぐらいで
こっちに向かって来ます!この士気じゃあ、あっという間に全滅だ!」
「むう……裏畑!若君に護衛をつけて脱出しろ!
我ら大隊で食い止める!!」
「承知した!」
「まて、センザワ!同じ大隊単位なら、
差があるのは士気だ!皆を集めるのだ!」
ザワザワ……800人ほどが集まっている
ライは少し高い岩から彼らを見下ろしている……そして、深呼吸した
「皆のもの!聞け!我は、アルベルト=フォン=ブリタニアが三男
ライエル=スメラギ=フォン=ブリタニアである!!」
(ライエル殿下だって!?)
(まさか、本当に戦場に出ておられたとは……)
(まちがいない!ライエル様だ!!)
(若いながら、なんと凛々しい……)
兵士達の目に少しずつ光が宿ってきた……
133 :
カズト:2008/09/01(月) 00:14:23 ID:qVfQKkL+
「これより、我々は敵の大隊と戦闘を交える!!
撃退するには、諸君らの力が必要だ!!
我々は戦い!生き延びねばならん!!
この戦は、隣国が我々と「北の蛮族」との密貿易を
捏造して起こされたものだ!!」
ザワザワ……兵士に不安の色が宿る
「我々は、無実の罪で賊軍になろうとしている!!
恥じる事のない我々がだ!!
生きてこそ!証明しようではないか!我々の潔白を!!」
兵士達の体に少しづつ、火がつくのを、ライは感じていた!
(よし!今だ!)ライは右手を握り、
「生き延びよう……いや、生き延びるぞ!!」
天に突き上げ、叫んだ!
「オールハイル!ブリタニア!!」
『オールハイル!ブリタニア!!』
『オールハイル!ブリタニア!!』
『オールハイル!ブリタニア!!』
兵士達の士気が最高潮になったのを見届けたライは
岩から降り、仙沢に後を託した……
仙沢はライのカリスマ性に驚嘆を覚え、思った……
(この方は、「王の器」をすでに持っておられる!
なんとしても、生きて城に帰さねば!!)
「後は頼むぞ……」そう言って裏畑にもたれ掛かって眠った
支援
支援
136 :
カズト:2008/09/01(月) 00:16:23 ID:qVfQKkL+
目が覚めると、馬の上にて裏畑の背中にもたれていた……
周りには、数十人の護衛がいた
「あ、ウラハタ……ここは……?」
「もう、我が国の領土内ですぜ、仙沢も敵を追い返したようです、
後で追いつく事になります……ここは町なんですが……
どうも、「北の蛮族」の襲撃を受けたみたいで……」
ライが町を見回すと、ひどい有様だった……
家は焼け、人の死体がそこら中に転がっていた……
親を亡くし泣いて腹をすかせてる子供もいた……
ライは馬から降り、袋から残った携帯食料を出し、子供にあげた
子供は嬉しそうに、受け取りそれを食べる……
不味そうな顔をしたが、それでも飲み込んだ……
(美味しくないんだよな……これ……それでも、食べている……)
突然、ライに石が飛んできた!
ガッ
「あ、痛っ……」
ライの額から血が滲んだ……
「オイ!一体何しやがんだ!ライエル殿下に!」
裏畑がライの前に出て楯になる
情報を集め、事情を聞くと、ライは怒りを覚えた
戦況は、右翼と中央軍を合流させ第一軍とした事で、戦況を立て直した
第一軍は隣国の拠点の町をいくつか海堂の指揮によって占拠し、
状況を有利な方向へと持って行った
137 :
カズト:2008/09/01(月) 00:17:12 ID:qVfQKkL+
しかし、ここでアルベルトが一個師団を率いて城から出陣したのだ
そのため国境には最小限の兵しか、
配置できず、その隙を狙われて「北の蛮族」の襲撃を受けたのだ
国元の兵士は少なく、奴らのされるがままに、
この町は虐殺の憂き目にあったのだ……
なんとか、師団を国に戻し、追い返したものの、
海堂が占拠した拠点を半分放棄する事になったのだ
(父上の考えはわかっている!後宮の女に入れあげて、
税も増やし人気が落ちていたんだ!
隣国の奴らに圧倒的に勝利する事で、
自分の権威を保とうとしたんだ!
そんなことの為に、この町は!!)
父上に対して、憎悪が湧き上がった……
(父上……あなたはおしまいだ……
もう、この世にあなたの居場所はない!)
ライの中に、黒い感情が湧き出てくる
「狂王伝説」
この映画の観客であるカレンは
自分の知らないライに変わり始めているのを感じた……
支援
139 :
カズト:2008/09/01(月) 00:18:43 ID:qVfQKkL+
ウラバナシB
リーブランドの漆黒の森にL・Lは佇んでいた……
「……いる?」彼女が言うと、闇からその姿を現すものがいた
「はっ……ここに……」漆黒の布に包まれた少年がいた
「報告をお願い……」
「はっ、現在、拠点の半分を奪還……
軍を立て直し次第、侵攻に入ると……」
「遅い……駄目ね……あの国も、商売上手にはなったけど、
戦の機微を忘れたのかしら……あんな嘘すぐばれるのに……
この状況も、アルベルト王が馬鹿やらかしたおかげなのに」
「それと、クレイジー=ホーク隊の襲撃を受け、
行方不明になっていたライエル皇子が生還し、
無事に領内に帰還……」
「なんですって……随分と運がいいわね……それとも……
ふふっ……楽しみが増えそう……それと、本国のジジイどもには、
「ブリタニア崩し」は順調だと伝えればいいわ……
っ!誰かいるわ!お願い!」
「はっ……」少年は闇に溶け込む……
「ぎゃっ……」森にいた第三者は始末された……
少年は再び姿を現した……
彼の左目にも赤い光の鳥が宿っていた……
「たまたま、迷い込んできただけのようね、
気付かれたとは思わないけど、用心しなさい……」
「はっ……以後気をつけます……」
「では行きなさい……」
「了解しました……我らが盟主L・L様……」
そう言って、影は再び闇に消えた……
支援
141 :
カズト:2008/09/01(月) 00:23:18 ID:qVfQKkL+
投下終了です
ここから少しずつダークライへとなっていく予定です
考えれば考えるほど、話が広がってきます
恐るべしギアス!
今日のギアスでも最終回がまだ読めそうにありません
せめて、カレンが死にませんように
カレンが誰ともくっつきませんように
おめでとう!
ライはダークライにしんかした!
>>141 カズト卿、GJでした!
ダークライですか……そんなポ○モンがいた気が、いえ、なんでもないです
成長し、様々なことを知り、変わっていくライ
おそらく、根本的な部分は変わってないんでしょうが……
もうアレですよ、面白くて瞳孔開きっぱなしですよ!
続きが気になりっぱなしなSSの一つです
次の投下を楽しみに待っています!
カズト卿GJ&乙でした!
ライのカリスマ性が見られると共に狂王の陰りも…今後が楽しみです!
あなたの次の投下をお待ちしております
カズト卿、乙であります!
しかし、海堂といい裏畑といい、もしかして先祖ですかw
ここのSSって捏造ラウンズくらいしか、リリーシャ出てなかったよね?
ボツになったとはいえ、ルルーシュの女装そっくり案があったと判った今となってはアッー!臭くて書きにくいよな……
投下したいのですが、どなたかおられますか?6レス程度使うので支援をお願いしたいのですが。
一応いますよw
>>148 すげえw じゃあ遠慮無く。今回は余暇卿からの投下代行依頼です。
--------以下、注意書きを含む本文 --------
作者:余暇
タイトル:ココアのように
カップリング:ライ×C.C.
(設定と注意)
・ミーヤが少しだけ出てきますが、ライとはクラスメートになっています。
・甘いです。
・本文のみだと4レス分あります。
こっそり支援
『ココアのように』
「おいしいココアはいかがですかー。」
放課後、食料品店で買い物をしていると、飲み物コーナーで実演販売をするミーヤを見つけた。
「ミーヤ、何してるの?」
「あっ、ライ君。私ね、ここでアルバイトしてるんだ。」
「へえ、頑張ってるな。ところで、これは何?」
「ココアだよ。飲んでみて、おいしいよ。」
ミーヤがココアの入った紙コップを差し出した。ココアか、知識としては知ってるけど、飲んだことはないな。
「じゃあ、遠慮なく。」
僕は紙コップを受け取り、湯気を立てるココアを飲んでみた。
「おっ、甘いな。チョコレートみたいだ。普段はコーヒーや紅茶しか飲まないけど、こういうのもたまには新鮮でいいかもね。」
「でしょー?じゃあさ、一袋買ってってよ。私へのねぎらいの意味も込めてさ。」
「ははは。わかった、じゃあ一つ買わせてもらおうか。アルバイト頑張って。」
「ありがと〜♪じゃあ、また明日ね。」
そういうわけで、僕はココアを買っていくことにした。
行ける!!この支援二式なら!!!!
部屋に戻ると、チーズの匂いが充満していた。
「遅かったな。」
「……またか。」
ベッドの上でC.C.がうつ伏せになり、足をバタバタさせながらピザを食べていた。
「『またか』とはつれない男だな。せっかく恋人が帰りを待っていたというのに。」
「いや、それは嬉しいけどさ、ここまで匂いが充満すると……。」
「何だ、やらんぞ。」
「いらない。」
いつもの会話。C.C.がからかい、僕があしらう。こんな何気ないやり取りの中でも、いや、こんなやり取りだからこそ、僕たちは幸せを感じ取っていた。
「早速だがコーヒーを入れろ。」
「今帰ってきたばかりなんだけど。と言っても、君は聞き入れないんだろう?わかった、すぐに持っていく。」
僕は買い物袋を台所に置いて、ふと思った。確か、コーヒーを切らしたから買い物に行ったはずなのに、コーヒーを買った記憶がない。買い物袋の中を見る、やっぱり……。
「しまった、コーヒーを買いに行ったのに、そのコーヒーを買い忘れてるよ。」
「何だと?お前、ボケるにはまだ早いだろう。いや、遅すぎるのかこの場合は?まあいい、何か他にはないのか?」
「ココアならあるけど。」
「ココアだと?ココアは買って、コーヒーは買わないとはどういうつもりだ。」
「ごめん、うっかり。それで、飲むのか?」
「ああ、構わん。仕方ないからな。」
「やれやれ」といった表情で、C.C.が答えた。僕はすぐに、二人分のココアを作った。
支援・ルゥをなめアッー!!!!
僕がココアを持っていくと、C.C.は素肌の上にワイシャツを羽織っただけという煽情的な姿で、ソファの上に身を投げ出していた。
「ほら、起きなよ。持ってきたから。」
「何だ、襲わんのか?」
「……ノーコメントで。」
「つまらん。」
C.C.は体を起こし、僕はその隣に腰をおろした。
「甘ったるいな。」
それが、ココアを飲んだC.C.の第一声だった。
「チョコレートをそのまま溶かしたのかというくらい甘いぞ。」
「まあ、確かにね。コーヒーの苦さとは全く違って、ひたすら甘いな。」
「ふむ、甘すぎる。」
「嫌だったか?だったら今からコーヒーを買いに…んむっ。」
途中まで言いかけた僕の口を、C.C.の唇がふさいだ。僕の中に侵入してきた彼女の舌も、ほんのり甘くなっている。しばらくキスを堪能した後、彼女は離れた。
「ぷはっ……。いきなり何だよ。」
「嫌なわけないだろう。まるで私たちのようにひたすら甘い。私は好きだぞ?」
彼女は妖艶な笑みを浮かべ、そう言った。
「だったら、キスなんかしないでそう言ってくれれば……。」
「お前がくだらないことを言おうとするからだ。だから口をふさいでやった。それに、お前だって楽しんでいたではないか。」
僕は言い返せなかった。実際、彼女とのキスを楽しんでいたから。
支援
「私は昔、ココアのような甘い関係をいくつも積み重ねてきた。」
ふと、物憂げな表情でC.C.がポツリと言った。
「C.C.?」
「ただ愛が欲しかった、それだけだった。だが、本物の愛に出会うことはなかった。どれも偽りの愛、虚構にすぎなかった。」
彼女の悲しく、寂しい過去。そのために負った心の傷を癒してあげたくて、彼女の心を温めたくて、彼女を守りたくて。だから僕は彼女を愛し抜くことを誓い、彼女も僕を受け入れてくれた。
でも、彼女の心に僕の愛は、どう映っているのだろうか。やはり虚構なのか。いや、たとえそう思われたとしても、僕は彼女を愛し続ける。そう思った僕は、C.C.を抱き寄せた。
「……どうした?」
「C.C.、君が僕の愛をどう感じているのかはわからない。でも、たとえ偽りに見えたとしても、僕は君を愛し続けるよ。いつか君が、本物の愛を見つけることを願いながらね。」
「馬鹿者、何を勘違いしている。本物の愛なら既にこうして、私の腕の中にある。」
そう言うとC.C.は僕の背中に腕を回し、柔らかい体を預けてきた。二人の心音がすぐ近くで共鳴し合う。
「お前との愛は本物だ。二度と出会うことのない、絶対に手放したくない、本物の愛だ。だから、これからも私を愛してくれるか?身も心も溶かしてしまうくらいに。」
「ああ、わかってるよ。勘違いしてすまなかった。君が望むように、これからも君を愛し続けるよ、永遠にね。」
「そうか、ありがとう。じゃあ早速、私をお前の愛で満たしてくれるか?」
「うん。お望みどおり、いくらでも。」
僕はC.C.とキスをした。二人だけの甘い空間、ゆっくり流れる時間の中を、ココアのように濃密で甘い二人の愛が満たしていった。
これが最後の支援かな?
支援
あとがき
以上で終了です。
ライC物は初めてなので、うまく書けたかどうか……。
実はギアスの小説を買ってきました。当然、マリーカの参考資料です。
どうやら、自分が描いていたキャラ付けでもいけそうな気がします。
書き始めた長編の方は少しお待ちください。
虫食いの方には、リーライナさんともども出演決定です。かなりおいしいキャラになる予定。
当然ライカレもネタが浮かび次第、書く予定です。
--------以上、後書きを含む本文終了--------
皆様、重ねて申し上げますが、これは 余暇 卿の創作物です。
ご支援、ありがとうございました。
>>余暇卿
いいですね、GJです!!!!
甘さが素晴らしくてなんだか目が覚めましたww
これからも頑張ってください
>>トーマス卿
投下代行お疲れ様です
こんな時間で生活は大丈夫なんですか?ww
>>160 いや〜なんか偶然目が覚めましてね。メール確認したら投下代行の依頼が……w
もう今からじゃ眠れないので、起きてます。
書いてなかった感想まとめて上げまーす
かなりの量なので二つに分けますね
>>51 萌えは文化卿GJ!
何そのフェ○トネタww
知らなかったのか空気を読んでの事なのか誰も突っ込んでいないww
>>75 ブランフォード卿GJ!
なんか・・・もう切なすぎるorz
変に爽やかなBGMなんかかけてなかったら泣いてたかも知れません
・・・いや、マジで
>>103 ピザの配達人卿GJ!
ライの新しい専用機・・・やっぱオリジナルの機体になるんだよな
どんな機体になるか凄く楽しみだw
・・・てかいつからライはイタリアンシェフになったww
>>113 百年前に生まれた人卿GJ!
まさかゼロの元?がライだったとはw
にしても何と言うか、切ない?雰囲気ですね
閃光と亡霊のほうも楽しみに待ってます!
>>141 カズト卿GJ!
なんだか最近ライの狂王時代の話多いような気がしますね
全てに特別なよさがあって、カズト卿のssも惹かれるような内容でした
にしてもダークライ・・・やっぱポケモンのほうが思い浮かんでしま(ry
>>余暇卿GJ!
いや〜卿のssはやっぱり甘甘ですなぁ。
もう読んでるのが恥ずかしくなるくらい(もちろんいい意味で)
ライC初めてらしいですが全く違和感が無いのがこれまた凄い。
まとめてになりますが、卿達?の次の投下を全力でお待ちしております!!
そして最後になりましたがトーマス卿代理投下乙です!
なんというか・・・タフですねぇ。
最近日に日に体力落ちていく自分とは正反対ですよ
折角時間が出来たので、前スレ973で行った、検索エンジンに関するアンケートについて今の内に言っておきたいと思います。
某所で言われてたことですがこの場を借りて言っておきます。(ここも見てますよね?必要ならば向こうで改めて言いますが)
私がお金を出して検索上位にするということではありません。サイトの構造やhtml構文とかのレベルの話です。
3スレ目あたりから、「フレームを使うと検索ロボットに嫌われる」の旨の忠告をいくつかいただいておりました。私はそれを知りつつ、サイトの性質上使っていましたが、
ここに来て根本的な疑問が浮かび上がったのです。
「そもそも目立つのはいいことか?」
一般的なサイトならばまだしも、ここは二時創作系のサイト(しかも2ch)。職人様としては多くの人に読んでもらいたいのでしょうが、うーんどんなものなのかな。
ということで、あんなアンケートをとってみました。何もあれで決定とかではなく、住民の皆様の声を知りたかっただけなのです。
しかし、現時点では、2“寄り”で進みそうな感じです。弁護士の先生からも忠告を頂きました(今日明日変化があるとかではありません。構文やら構造とか、一朝一夕でどうこうできることではありませんので)
意図してなかったとはいえ、混乱を招いてしまったことをお詫び致します。
※600記念絵については早急に対処します。遅れて申し訳ありません。
>>165 あんまり極端にしなくてもいい程度ですが、私も2のものです。前スレのアンケートを
見たときは「10年もあそこに行ってるのにわからないのか」と、正直いって愕然としましたが、
一安心しました。二次創作サイトの責任者として正しい判断を下されたと思っています。
忠告をしてくれたその弁護士さんにもGJを贈りたい気分です。
お体に気をつけてこれからも頑張ってください。厳しい意見もあるでしょうが、それは概ねこのスレのためを思っての発言ですから。
>>166 有り難うございます。皆様の期待に応えられるよう、勉強いたします。
取り敢えず、600記念絵に簡単ですが警告文付けました。いずれ警告ページから飛ぶようにしますが、数日単位が必要です。
対応が遅いこと、重ねてお詫びいたします。
《画像投下レス》
おはようございます。
TV放送21話を見て、やっぱりナイトオブゼロはライだよなぁ(笑)と思ったので、依然描いていたものを彩色して仕上げてみました。
タイトルは「ナイトオブラウンズ…ライ」です。
注意点としては、イメージですので自分のイメージ壊したくない人は気を付けてください。
以上かな…。
それでもokな方は、よかったら見に来てくださるとうれしいです。
>>159 余暇卿、GJでした! そして、トーマス卿、代理投下乙でした!
とりあえず、あえてシンプルに言うならば、甘い、ですね
泣きそうなくらい甘いです
次の投下を待ってます!
>>165 早急にこの声明を発表したのはよかったです。
敢えて苦言を呈しますが、あなたはもはや軽はずみな言動が出来ない立場だということを肝に銘じたほうがいいかと。あ、褒めてるんですよこれ。
あなたがこのスレや私たちにどれだけ貢献してくれているかは、ここの住人ならばみんな知っています。ただ、その貢献ゆえの影響力というものを
今一度考えていただきたいのです。
えらそうですいませんが、これもあなたにたいする感謝の形だと受け取っていただければ幸いです。
ここじゃ絵の感想はいまのところ御法度か。向こうで書いてきます。
27分位から投下してもいいですか?7レスほどです。
45分までなら支援できます
前回自爆でトリップをさらした水守です。変えました。
このジャンルは初挑戦。
何か始まりそうで何も始まらないSS
これも立派なOP詐欺?
○ のっとしりあっす。←これ重要
連載との落差が余りに激しいので。
シャルルとV.V.とライ。
三人は旧知の仲。
キャラ崩壊。
では。頑張ってすばやく投下します。
うっすらと視界が開ける。
その風景はいつか自ら眠りにつくことを望み、
その結果臨んだその場所と同じだった。
── 仮面 の 残像 ──
支援
「久しいな、ライよ」
「は。まことにお久しゅうございます」
膝をついたまま、玉座に居る壮年の男に返す。
俯いたまま体を震わせている青年は、ライ。
この青年の反応は当然かもしれない。
何せ相手は世界を自国とそれ以外で二分できてしまうほどの
超大国、神聖ブリタニア帝国の第98代唯一皇帝なのだから。
皇帝たるシャルル・ジ・ブリタニアも平然とそれに応じている。
彼の前であけすけにものを言えるものなど、彼の子であっても
そうは居ない。それは余程の愚者か、
あるいは生きることを知らぬものだけだろう。
通常ならば。
ライはどちらでもなかった。
「ふふふふふ・・・くぅっ耐えられないっ・・・・」
段々と彼の体の震えが大きくなり、次第にもれ聞こえてきたのは
恐怖の声や怨嗟などではなかった。
先ほどまで俯いていたのはただ堪えるためだった。
笑いの波を。腹筋へのダメージを。結局堪え切れなかったが、
その努力は賞賛されて然るべきだろう。
支援
「何がおかしい、ライよ」
「いやっ、何でも・・・ないよっ、シャルルっっ。
くっ・・・ははははははっ」
「久しぶりの再会で爆笑なんて、流石だね、ライ。」
「何が流石ですか、兄さん」
どこからか現れたV.V.と、いきなり敬語を外したライの言いように、
やれやれ、といった様子でシャルルは肩をすくめた。
ロールした髪がぐにゃりと曲がる。
誰も試したことはなさそうだが、意外とやわらかそうな髪だ。
いや、そもそもシャルルの皇帝姿が面白くて仕方ないというか、
やはり皇帝になったんだねとか、何故ロールしているのかとか
年喰ったねとかいろいろ言いたいことがあったが、
ライはとりあえず抑えた。
そして、まず最初に言うべきことを言った。
「あー、その、なんだ。目覚めたのは少し前なんだけど、記憶が戻ったのがこの間の神根島でね。
今まで会いにこれなかったんだ。それで・・・何ていうか・・・ただいま」
「お帰り。」
「誰も待ってなどおらなんだわ」
「シャルル、君はまだ幼いね。素直に喜べばいいのに」
「ふふ、相変わらずだね、二人とも」
からかうV.V.と、フン、と不機嫌そうに鼻を鳴らすシャルル。
普段は割と素直に兄の忠告を聞く彼だったが、
ライが絡むと少し意固地になった。
ライは、姿かたちは変わってしまったけれど(主に片方だけ)
かつての友人の変わらぬ心根の一端を垣間見た気がして、相好を崩した。
「それにしても、老けたね、シャルル。いつの間にか君のほうがお兄さんだ」
「というかもうお爺さんだけどね」
「兄さん?」
シャルルの不機嫌ランクがひとつ上がった。
「そういえばシャルル、君には108人も妻が居るそうだな。」
「それがどうした、分けてはやらんぞ?」
「いらん。」
ライは断言した。
「しかし僕は嘆かわしい。あのシャルルがこんな好色になってしまって」
「僕もお兄さんとして悲しいよ。」
よよよ、と泣き崩れる真似事をするライ。
なぜかV.V.もそれに付き合って泣きまねをする。
その様子はまるで迷子の少年のようだ。
支援
「ふ、貴様ら一体何がしたいというのだ・・・」
ピクピクと頬が引きつっている。
「うわ、シャルルが怒った。V.V.逃げるぞっ」
「了解。行こう、ライ。」
「だぁまぁぁらっしゃあぁぁぁいっ!!」
「うわっ。」
切れた。
余りの迫力にライは動きを止める。ビリビリ部屋全体に響く。
昔は持ってなかった特技っすね、とライは激しく動揺しつつ思った。
いや、そんな思考をする時点でしつつではなく
まさにその思考が動揺そのものなわけだが。
支援
ライ、貴様そんなにふざけてばかりでは狂王の名が泣くぞ?
それと兄さん。ライとの再会が嬉しいのはわかりますが、はしゃぎ過ぎでは無いですか?」
ぴしり、とライたちの動きは固まった。
腐っても皇帝。シャルルでも皇帝。ロールでも皇帝。寧ろ皇帝ロール。
神聖ロール帝国第九十八代唯一ロール、シャルル=ジ=ロールか。
(違うな、間違っているぞライ。ロォォォールハイル・ブリタァァニァァア!!だ。)
何処かから聞き覚えのある変声機で変えた声が聞こえた気がした。仮面の残像も見えた。
だめだ、僕は既に錯乱している。というか最後の方はなんだ、意味が分からない。ロールハイルって・・・。
ライは頭を振って意識をはっきりさせる。
意識がはっきりしただけで、特に態度は改めるつもりは無かったが。
どこかの筋がプッツンと逝ったらしいシャルルを見て、
ああなるほど確かにこれなら、とライも少々納得した。
能面のようになった皇帝の顔は迫力があった。
「ふん。わかったようだな。次からは少し真面目にするがよい。」
これで少しは反省したろう、とシャルルはご満悦だった。
V.V.とライは表向きしょんぼりしていた。
(久しぶりにシャルルがハイになったよ)
(これで昔の髪型なら・・・いや、ロールだからこその迫力か?)
しかし、ライ達は裏でこんなふざけた思考をしていたというのだから、
たとえ皇帝になっても、世界はなかなか思い通りにいかないものだ。
〜おまけ〜
──○十年前──
「よく似合っているよシャルル!」
「僕もそう思うよシャルル!」
「な、これはっ・・・何故私の髪がロールしているっ」
(全身鏡を前に絶叫)
「ふふふふふ」
「ふははははは」
「ライ・・・兄さん・・・。あなたたちの仕業ですかっ!!」
(あのときの悪戯は一段だけだったんだけどなあ・・・。
しかも僕が眠りについてからやり始めるなんて・・・、それ何てツンデレ? ←井上仕込み)
人間、何がきっかけで目覚めるかわからないものだ。
ライは心底思った。
支援
こんなのっ……俺のジャンルじゃっっ……。
というわけで以上です。↑はあとがきなので、
間違って収納されないようお気を付けくださいませ。
それとは別に183の出だし、 ライ、貴様そん〜 の所 「 をコピペし損なったので
その修正をお願いします。
支援ありがとうございました。では。
>>186 水守卿、GJでした!
……ジャンルなのかよっ!
ロール・ハイル・ブリタニアww
どんだけロールに固執するんだw
次がシリアスでも、ノットシリアスでも
全力でお待ちしておりますよー!
KOUSEIです。
インターネットが繋がったり繋がらなかったりで泣きたくなる今日この頃。昨晩も結局繋がりませんでした……。
今はパソコンの状態が良いみたいなので、今の内に前回の続きを投下します。
<オリキャラ。オリ設定注意!>です。
○ロイ・キャンベル。
0007-0290参照。
○クラブ・コンクエスター
0007-0290参照。
○ライ
0012-0009参照。
○青い聖騎士(パラディン)
中華連邦、E.U.軍におけるロイの二つ名。
緻密な戦略と、スマートな戦術。青い騎士を駆り、被害を最小限に留めようとするその戦いぶりはパラディンの名に相応しい。
ただ、敵には多くの被害を。が信条であるブリタニア軍内部では、その名は蔑みの意味をも持つ。
支援します
ターン6『アッシュフォード 学園』Aパート
「おお! ここがアッシュフォード学園か!」
ジノが学園の入口で子供みたいに嬉しそうな声をあげる。
それに伴って、何人かの学生からの失笑を交えた視線がナイトオブラウンズの三人に注がれた。
ロイ、ジノ、アーニャである。
今日。三人は白い軍服を脱ぎ捨てて身分を隠し、このアッシュフォード学園で行われる<枢木スザク歓迎会>にお忍びで遊びに来ていた。
アーニャはゴスロリチックなフリフリのピンクのワンピースにリボン。ジノは黒いスーツみたいな服の上に青を基調とした半袖の上着を
羽織り。そしてロイはジーパンに大きめな黒いTシャツというラフな出で立ちだった。
「ジノ」
ロイは重たい眼鏡を掛け直しながら、はしゃぐ長身の友人を肘でつつく。
「少しは控えてくれ。僕はともかく、君とアーニャは有名人なんだから。学生に正体がバレたら騒ぎになりかねない」
「何言ってるんだよロイ! そうなったらそうなったら楽しいじゃないか!」
大いに瞳をキラキラさせて言う帝国最強の騎士の一人、ナイトオブスリー。ジノ・ヴァインベルグ。
「……」
ロイは呆れた。そして制止は不可能と悟った。こうなったジノは、親にねだってねだって、生まれて初めて遊園地に連れて来てもらった
子供と同じだった。
「あっ」
その時、唐突にアーニャが声をあげた。男二人はその声に従って「んっ?」と顔を向ける。
すると、
トコトコトコ……。と、大きな着ぐるみが前を通り過ぎて行った。
三人は顔を合わせる。
「……モグラかな?」
「ビーバーだろ?」
「ラッコ」
ロイとジノが疑問符を浮かべる中、アーニャだけが携帯で写真を撮りながらきっぱりと言い切った。
「そうかぁ?」
そう言うジノに、アーニャは疑問の瞳を向ける。
「なんで? そうとしか見えないのに」
首をかしげるジノに合わせて、これまた首をかしげるアーニャ。その姿は鏡合わせみたいで面白かった。
支援
「こういう事は女の子の方が理解が早いものなのかもね。さて」
ロイは辺りをグルリと見渡す。生徒達が趣向を凝らした露店が数多く並んでおり、その中のいくつかはロイの好奇心をそそるが、
「とりあえずスザクを探そう。見学はそれから――って、あれ?」
「うぉ〜。珍し! なぁなぁ、見てみろよ二人とも」
「記録」
「とりあえずやる事も無いみたいだし、庶民の学校を見学するか?」
「賛成」
いつの間にか。二人はすでロイから離れ、はるか彼方ですでに露店巡りを開始していた。
「おいロイ。何やってるんだ。置いていくぞ!」
「ロイ。早く」
ずいぶんと先に進んだ二人が大きな声でロイを呼ぶ。
「二人共。だから目立つ事をするなと……」
言い掛けて、ため息一つ。
(……まぁ、いいか)
頭をポリポリと掻きつつ、ロイはそう思った。
ジノとアーニャの自由奔放な行動を受けて、自分だけが色々と心配しているのがロイは無性に馬鹿馬鹿しくなった。
「ちょっと待ってくれよ二人とも」
ロイは小走りで駆け出す。
正体がバレて騒ぎになった時の事は、そうなった時に考える事にした。
『ではこれより。ナイトオブセブン歓迎会を始めま〜す! 主賓挨拶』
『にゃ〜〜〜〜〜』
そして、アナウンス越しのスザクの声が、今回のナイトオブセブン歓迎会の開始を告げた
○
看板やら呼び込みの人達で溢れ返っている廊下は、学校にしては広々とした造りのはずだったが、今だけはひどく手狭に感じられた。
活気もすごい。人の往来も激しい。そして熱い。しかし生徒達はその熱気をさらに高めるかのように声を張り上げていた。
「ホラーハウスです! そこの銀髪のお兄さんとピンクの髪の子。ご兄妹でいかがですか!?」
「映画。機動戦士トリスタンSEED上映中で〜す!」
「占いいかがですか? 恋愛金運仕事運なんでも占います!」
「はは、すごいな」
学生が持つエネルギーに面食らいながらも、ロイは楽しげな声を上げた。
支援
支援
「しかし、人が多いな。俺とロイはともかく、これじゃあアーニャははぐれちゃうかもな」
と、ジノ物珍しそうにキョロキョロと辺りを見渡す。そんな彼に対してアーニャは眉をひそめた。
「ジノ。私はそこまで子供じゃ――」
「そうだね。じゃあ手を繋ごうかアーニャ」
「へっ?」
突然とも言えるロイの言葉に、アーニャはキョトンとして立ち尽くした。
ロイはそのままアーニャの横を通り過ぎ、数歩先行してから振り返る。
「あっ、いや、はぐれないように。と思ったんだけど……」
「……」
アーニャはしばらく、ゲフィオンディスターバーに捕らえられたKMFのように何も反応しなかったが、
「嫌かい?」
とロイが聞くと、彼女は即答した。
「嫌じゃない。全然」
「そうか。じゃあ……はい」
ロイが手を差し出す。すると彼女は恐る恐る「うん……」と、その手を取る。それはどことなく余所余所しく弱い握り方だったが、そこは男であるロイが強く握り返した。
「さ、行こうか」
ロイはニコッと笑って再び歩きだす。少し遅れて、アーニャはどことなく嬉しそうな表情を浮かべながら引っ張られるようにして後に続いた。
そんなアーニャに、ジノがニヤニヤ顔で耳打ちした。
「おいおい、アーニャ。それじゃあまるで子供のようだぞ」
「ジノ、うるさい」
アーニャに睨まれ「おお、怖っ」と、ジノは大きな体を身軽に翻し、そのまま二人の後に続く。
しばらく、歩いていると、
「おっ」
とジノが足を止めて、ロイの肩を叩いた。
「見ろよ二人とも。コスプレ喫茶だって」
ロイが視線を向けると、そこには確かに“コスプレ喫茶”という看板が掲げられたお店があった。
「コスプレ……」
隣のアーニャがなぜか嬉しそうに呟いた。
「? ジノ。寄りたいのか?」
ロイが尋ねるとジノはまたキラキラした瞳で、
支援
「だってコスプレだぞ! こんな面白いのをスルーする手は無いだろ!?」
「いや、『無いだろ!?』って言われても困るよ。……ね、アーニャ」
と、同意を求めてロイがアーニャの方に顔を向けると。
「ロイ。入ろう」
なんか帝国最強の騎士ナイトオブシックス様はえらく体がウズウズしているご様子だった。彼女のその瞳がキラキラと輝いているように見えるのは、多分見間違いでは無いだろう。
「……もしかしてアーニャ。こういうの好きなのかい?」
「うん」
即答だった。よくよく考えてみればアーニャの好むゴスロリ系の服もコスプレに近い要素を持っているわけであり、その彼女がコスプレに強い感心を抱いていても不思議ではない。
「……そうか」
多数決で言えばニ対一。 いつもなら、ロイはしぶしぶこの数の暴力に従うところだが、
(……なんだ。この悪寒は)
理由は分からないが、なぜか体が『この店に入るな!』と警鐘を大音量で鳴らしまくっている。
そして、ふと気付けば自分の背中は冷や汗で濡れていた。
ロイは少々考え込んで…………本能に従う事にした。
「……二人とも。悪いけどここは猛烈に嫌な予感がするんだ。急いで通り過ぎよ――」
「三名」
「三名ね〜」
しかし、ジノとアーニャはすでにこのお店の生徒らしき人物に来店を告げて店に入る所だった。
「ちょ! だ、駄目だよここは! なぜだか分からないがとにかく駄目――ってうわ!?」
と言っても、アーニャと手を繋いでいるのロイは、不意打ちなのもあって彼女のその小さな体からは想像できない凄い腕力に負けて、ドンドン教室にいざなわれていく。
「ちょっと、アーニャ? 待った! 待って! お願いだから!」
「……何?」
ロイが大声で言うと。アーニャはようやく足を止めてくれた。ロイは咳払い一つして告げる。
「悪いけどアーニャ。僕はここに入りたくないんだ」
「なぜ?」
「なぜ? って聞かれても困るんだけど。……とにかく僕は嫌なんだ。悪いけどここはジノと二人で――」
その時、ロイは何者かにトンと背中を押された。
「!」
ロイが振り返ると、そこには、
「そんな事言わずに、寄っていって下さいよ」
と、満面の笑みを浮かべた女子生徒が三人いた。
「妹さんも入りたがっていますし」
支援
「金髪のお連れさんはすでに着替え始めてますよ」
「はい、三名様ご案内〜♪」
「あっ、いや、僕は……」
「行こうロイ。きっと楽しい」
アーニャは今度は両手で、ロイの腕を強く引っ張った。そして、後ろからも女子生徒達が彼をグイグイと押した。
『楽しくお着替え〜♪ ちなみに、着替えた服装のまま、校内も回れま〜す♪』
「やめろ! 放して! 駄目! ダメだってば!」
結局。ロイは計四人の女の子の力に逆らえず、入店を果たした。
○
五分後。ロイは鏡に映る自分の姿を見て目を覆いたくなった。
「良くお似合いですよ。そのチャイナ服♪」
「うわ、見た目と違って、結構筋肉質〜♪」
「しかも、メガネ取るとイケメンだし♪」
「イケメンチャイナ萌え〜♪」
「……」
ロイはチャイナドレスを着ていた。いや、着させられていた。もちろん女の子用のスリットが大きく入ったお色気タップリのあれだ。もう泣きたくなる。
肌にフィットしたドレスはロイの鍛え上げた筋肉の凹凸を如実に表し、正直化け物。しかもロイの腹筋は六つに割れているのでさらに収集がつかない。そして、そんな固い筋肉に対比するように胸に詰め込まれた柔らかい物体。
そりゃあもう、動くたんびにプリンのような弾力を表現しつつプルンプルン震えた。
「……」
ロイは中華料理屋に入店して、自分みたいな店員が出てきたら間違いなく注文もせず一目散で逃げる自信があった。
「……ぐすっ」
ロイは言い様の無い虚しさと、悲しさと、切なさに包まれた。
自分は一体何をしているのか? こんな格好をして……。
そう考えると目頭が緩んだ。
ロイは滲む涙を隠すように、着替える時に強制的に外された、自分のトレードマークとも言える分厚い眼鏡をかける。
すかさず、先ほどからカメラのフラッシュをたいていた女性陣から抗議の声があがった。
「え〜。眼鏡かけないで下さいよ〜」
ロイは反論した。
「嫌です! というか僕の元の服はどこですか! すぐに着替えま――」
「待ってみんな!」
支援
その時、一人の女子生徒がロイの言葉を遮った。その場の人間はロイを含めて全員その子に注目する。
「いや、私は眼鏡をかけてもこれはこれで良いと思う……」
少女が言うと、女性陣は一斉にこっちを見て、
『確かに〜』
と頷くと、一斉に黄色い声をあげた。
「そう言われれば〜♪」
「眼鏡で男のチャイナガール〜♪」
「奥に秘める美形を、分厚い眼鏡で覆い隠すっていうのもマニアックな気がするけどー♪」
「眼鏡取ったら美形なのは王道よね〜♪」
「王道は皆に愛されるからこそ王道〜♪」
(ああ、もう何でもありなんだな……)
と、ロイは所詮男なんて女の玩具なんだなと悟った。
その時、このクラスの女子生徒が、女性専用の試着室の前で皆に告げた。
「お連れさんの着替えが終わりましたよ」
ロイは顔を向ける。
「ご対〜面〜」
開かれる布。中から現れたのは、
「アーニャ!?」
ロイは驚きで息を飲んだ。
アーニャが着ていたのはウェイトレスの衣装だった。頭には布の髪留め。左胸には『あーにゃ』と書き込まれたプレート。その姿は、確かに喫茶店にでもいそうなウェイトレスだった。
(いや、違う……間違っているぞ僕!)
ロイはすぐに自分の考えを否定した。理由は簡単。
短い。短いのだスカートが。あれではウェイトレスではなくて、いかがわしいお店の店員だ。
「アーニャ! 一体何て格好を――」
兄貴分としての自覚と責任を抱いて、ロイが注意をしようとアーニャに詰め寄ると、彼女は、
「ロイ」
「何?」
するとアーニャは右手を右目の前に持っていき。
「アーニャビーム」
それを淡々と言った。淡々とお言いになられましたこのアールストレイム卿は。
ロイは呆然と立ち尽くした。
『…………』
支援
帝国最強の騎士、ナイトオブシックスとナイトオブゼロの間に長い長い長い沈黙が訪れる。
「……」
「……」
「…………」
「…………ロイ。アーニャビーム」
しかし、ロイが何か喋らないと、アーニャはその発言とそのポーズを一生止めそうになかったので、
「……アーニャサン。ナンデスカソレハ」
ロイが片言で聞くと、ようやくアーニャはポーズを止めて、腕を下げた。
「これを着たらこう言うのが決まり。それにこれを言うと男が喜ぶ。この服をくれた、学生のお姉さんにそう言われた」
「……」
「違うの?」
と彼女は小鳥のように首を傾げた。その表情は相変わらず変化に乏しいが、少しだけ頬が薄い朱色に染まっている。多分……本人も少し恥ずかしいのだろう。
ロイは頭痛がしてきた。そして、グッと限りなく強く指で眉間を押さえた。しかし、すぐに、普段の彼からは想像できない程暗く、醜悪で、それでいて全てを見下すような狂った王のような笑顔を浮かべた
「オッケー。とりあえず、僕の妹分を弄んでくれたその生徒にはお礼をしよう。すぐに。今すぐにね。むしろ、その生徒にはお願いしよう、死んでいただけますか? と、もちろん笑顔でね。
そうだ。なんなら命令してやろう。ロイ・キャンベルが命ずるとか言ってね。ふ、ふふふふ」
「ロイ。怖い……」
「……もちろん。冗談だ」
ロイは首を振りながら、昂ぶる気分を落ち着かせた。
「着替えが終わりましたよ」
その時、今度は男子用更衣室の前の男子店員が声をあげた。
「ご対面〜」
男性店員が告げるとなぜか教室の証明が消え、その更衣室にどこからともなくスポットライトがあたる。
続けて断続的なドラムの音。更衣室の下からモクモクと上がるドライアイスの煙。
無意味に豪華すぎる演出だった。
やがてドラムの音が一度強く鳴って、それを最後に止まる。続けて、どこからともなく女性の歌声が聞こえてきた。
静かな〜、この夜に〜、あなたを〜。待ってるの〜。
ロイは、その歌を聴いてアーニャの時とは違った意味で驚き、おののいた。
支援
「……えっ、いや、まさかジノ! あの『止めてよね。本気だしたら、ロイドが僕に適うわけ無いだろ』のあの男じゃないだろうね? ちょっと待て! それはマズイ! あれは賛否両論が激し過ぎる!」
「ロイ。なぜにロイド?」
「それは大人の事情だよアーニャ!」
尋ねるアーニャにロイは説明する。いや、そんな事をしている場合では無かった。
ロイは急いで、カーテンを開けようとする店員を止めようとする。しかし、間に合わなかった。
カーテンは軽快な風切り音と共に開かれた。
更衣室の中なら出てきたのは、あの自由と言う名の男――、
「は〜い。ラ○ス・クライン改め、ジノ・クラインで〜す」
ではなく、女装したジノだった。いや、この際どっちでもかまわない。男でも女でも荒れるカップルだあれは。
感想。
――ジノめぇぇ! やりおったなぁぁぁぁぁ!!。
しかも、微妙に手の込んだ服を着ている所が、無性に腹立ってしょうがない。
「ジノ。キモイ」
アーニャが完全に引きながら言うと、ジノはのしのしと大股で彼女に接近し、不自然な程化粧タップリのその顔を満面の笑顔にした後。
「どうかしらアーニャさん♪」
媚びるような声で言った。
「うっ……」
アーニャは顔を青くし、嗚咽を漏らして口を塞ぎながら後ずさりした後。急いでロイの背中に隠れた。
「あら〜? なぜお逃げになるの!?」
「何が『お逃げになるの!?』だよジノ……」
自然と間に立つ事となったロイは昨日のワインの飲みすぎが原因のとは違う吐き気を感じながら、ゲンナリした様子で言った。
「君には羞恥心と言うものは無いのか」
ジノは声を元に戻して、「ははは」と笑った。
「何言ってるんだよロイ。今日は祭りだろ? だったら、楽しまなきゃ損じゃないか。と、それより」
ジノはクルリと一回転した。それに伴って、可愛らしく長いスカートがフワリと広がった。
しかし、その仕草は女性がやってこそ本領を発揮するものであり、ジノがやったら癪に障るもの以外の何物でもなかった。
「どうだ二人とも。この服装凄く愛らしくないか? 我ながら良く似合ってると思うんだが」
「君は僕にどんな答えを期待しているんだ……」
「変態……」
アーニャがロイの背中から顔を出して、ポツリと呟く。
支援
すると、ジノはチッチッチ。と舌を鳴らしながら指を振った。
「分かってないなアーニャ。男は皆変態と言う名の紳士なのさ」
すると、アーニャは少し考え込んでから、ロイの背中の服をグッと握り「……そうなの?」と、ロイを見上げて尋ねた。
ロイは即答せず、眼鏡をクイッとかけなおして、
「男の一人として。まことに遺憾である」
と、どこかの政治家のように淡々と答えた。
「じゃあ、ロイは変態じゃないの?」
「アーニャには僕が変態に見えるのかい?」
アーニャは首を振った。
「見えない。ロイは誠実。でもジノは変態」
「そうだねジノは変態だ」
「変態ジノ」
「ああ、変態ナイトオブスリーだ」
すると、ここでジノが苦笑いで言った。
「ロイ。お前、自分も似たような格好してて、よく俺にだけそんな事言えるな」
「うっ……」
ロイには返す言葉がなかった。
「そうだね。その通りだ……」
ロイはガクッとうなだれた。その様子を見てアーニャが、
「ロ、ロイは大丈夫。その服。よく似合ってる」
と、珍しく慌てた様子でフォローを入れる。しかし、それは全くフォローになっていなかった。
けど、その自分を励まそうという気持ちはありがたいので一応礼は言っておく。
「ありがとうアーニャ……」
「お礼はいらない」
そしてアーニャは、微笑んで、
「本当に可愛いから。その格好。本当の女の子みたい」
とロイの介錯を立派に務めた。
「……お、女の子」
ロイが更に落ち込む前に、その背中をジノがバシンと叩いた。
「おいおい。落ち込む暇は無いぞロイ。さぁ、この服のまま次行ってみよぉ!」
「へ?」
支援
支援
ロイは暗い気分も一瞬で忘れて、素っ頓狂な声を上げた。
「ま、待ってくれジノ。この格好でか? この格好で学内を回ろうって言うのか君は!?」
大げさに腕を広げて反論するロイ。その仕草の過程で、胸の詰め物がブルンブルン震えた。
ジノも胸の詰め物を盛大に震わせながらロイに向き直り、何言ってるんだコイツ。とでも言いたげな顔をした。
「? 当たり前だろ。みんな似たような格好でうろついてるじゃないか」
確かに。周りを見ると仮装している学生は沢山いる。しかし、そんな仮装の集団の中でも自分達は明らかに“濃い”。
「さっき映画もやってたみたいだし。他にも色んな出し物やってたからなぁ。全部回れるかなー」
「しかもこの格好で全部の場所を回るつもりなのか!?」
「さっ、行くぞ二人とも。――お姉さん。この服借りてくね〜」
と、ジノはこのクラスの女子学生にヒラヒラと手を振りながら、チャイナ服のロイを引っ張って教室から出ようとした。
「ジノ。待って」
そんなジノをアーニャが呼び止めた。ジノは眉をひそめて振り返る。
「んっ。なんだよアーニャ。まさか、その服で出歩くのが恥ずかしいのか?」
「ちがう」
アーニャは否定して首を振った後、言った。
「まだロイに聞いてない」
「何を?」
「感想」
すると、ジノはその言葉で何かを察したようで、その化粧の濃い顔がニヤ〜とした笑みを浮かべた。
「ああ、なるほど。気が回らなくて悪かったなアーニャ」
そしてジノはロイの手を離し、
「ほれ、出番だぞ色男」
と、ドンと背中を押した。ロイはよろめきながら、アーニャの前で止まる。
「もう。何するんだよジノ!」
「ロイ」
ジノを睨んだ所で、アーニャが声を掛けてきた。ロイは目元を緩めて、
「ん? なんだい。アーニャ」
「感想聞きたい……」
「感想?」
ロイは首を捻った。感想と言われても、何のことかさっぱり分からなかった。
「感想って……何の?」
「それは……」
支援
アーニャは何も答えずに俯いてしまった。どことなくその顔は少し――いや、かなりがっかりしているようにも見えた。
「ど、どうしたのアーニャ?」
「おいおいロイ。何の? って事は無いだろ……」
呆れたジノが、ロイに詰め寄った。
「感想って言ったら一つしかないじゃないか」
「だから何さ」
「アーニャのこの格好だよ」
と、ジノがアーニャを指で示し。言った。
そこで、ロイはハッとして、自分がアーニャに掛けるべき言葉に気付いた。
「あっ、そうだよアーニャ! 今すぐそんな服は脱いで――」
ゴツン!
そして着替えるんだ! と言おうとしたらロイはジノに頭を殴られた。しかもグーで。
「いったぁ……何するんだジノ!」
ロイは涙目で睨む。しかし、
「ロイ。お前ちょっとこっちに来い!」
ジノはロイ以上の鋭い視線で睨み、彼の腕を掴むと、教室の隅まで引っ張っていった。
「何するんだよジノ! ちょっといい加減に――」
(うるさい黙れ)
小声でピシャリと言われてロイは息を飲んだ。ジノは更にヒソヒソ声で続ける。
(いいかロイ。今日は祭りだ。祭りでそんな無粋な事は言うな)
(だってジノ。あの格好はどう見ても、スカートがみじかい――)
(馬鹿!)
またジノはゴツンとロイの頭を殴った。ロイは再び涙目になってうずくまり、ジノを睨んだ。
(殴った! 二度も殴ったね! ノネットさんにも二回連続で殴られた事無いのに!)
(それはお前がいつも一回で気絶するからだろ!)
ツッコミを入れてジノは、その化粧が濃い顔をグッとロイに近づけた。
(いいかロイ。お前は過剰に反応しすぎなんだよ。この変態め)
(へ、変態。僕が?)
(ああ、そうだよ。もっと素直に見るんだ。そして一人の男としてアーニャを見ろ。そして誉めろ。いいから誉めてやれ。それが男の責務だ、納税と同じぐらい大切な義務だ)
(納税って無いと国家転覆するけど……女性を誉める事の重要度はそれと同レベルなの?)
(馬鹿! 国家が転覆しても、女のご機嫌を取っておけば人類は繁栄するんだよ! だからむしろ、納税なんかより大切な事だ!)
(……)
支援
国の中枢を担うべき貴族である上にラウンズである人間にしては最悪な発言だったが、ジノの言葉には妙な説得力があった。
(いや、でもジノ。あれはさすがに――)
(返 事 は !)
(イ、イエス、マイロード……)
変に圧力のある顔で詰め寄られて、ロイは思わず頷いてしまった。
「よし。分かればよろしい。では行ってきたまえ“青い聖騎士”君」
そしてそのまま、背中をドン! とまた叩かれた。ロイは納得できないものを感じつつも、再びアーニャの前に立った。
「……」
アーニャは先ほどのロイとの会話で自信を失ったのか、何も言わず小さく腕を広げただけだった。その行動は服装を強調するためのもの。というのはなんとなく分かる。
そして、その服装に対する感想を自分に求めている。というのもロイは理解した。
「あ、いや……」
それでもロイは困った。感想と言われてもその内容が思い当たらない。ただ不謹慎な服を着ているな〜。としか感じられない。
――そして一人の男としてアーニャを見ろ。
ジノに言われた言葉を思い出す。
(一人の男として。か……)
そういえば不思議なものだな。とロイは思った。
元々、アーニャは自分がラウンズに入ったばかりの頃、その世話係に任命された少女であり、いわば面倒を見てくれた先輩である。
それが今では、自分はアーニャを妹のように見て、そしてできる限り彼女の面倒を見たい。守りたいと願っている。
もちろん、実際問題自分がアーニャの面倒を見ているという事は無い。いや、その立場は昔のままで、いまだに自分はアーニャに面倒を見続けてもらっている。と言っても過言ではない。守りたいという点に関しても、むしろ助けられる事の方が多いぐらいだ。
でも、そこに仕事とか余分な要素を取り除き、ただ純粋にロイとアーニャの今の関係と言えばやはり先輩と後輩と言うよりは、兄と妹の関係の方がしっくりとくる気がする。更に言えば、お互いそれを受け入れているふしがある。
もっと言えば。ロイは兄として、アーニャは妹として……二人はこの約一年でそれを当たり前の関係にしてしまったとも言える。そしてもちろん。今まで一度もその関係が男と女になった事はなかった。
ロイにとってアーニャは先輩であり、そしてその次は妹だった。
支援
しかし、ジノは今回それを捨ててアーニャを見ろと言った。ジノは何だかんだでロイが最も信頼している友の一人だ。その友がそう言うからには、今この場でだけでも、その兄と妹という観念を捨て去る事が正解なのだろう。
(アーニャは一人の女。僕は一人の男。か……)
そして、ロイはアーニャを見る。男として純粋に。
「……」
幼いながらに鍛えられた体。引き締まって、スラリと長い脚が短いスカートから伸びている。
表情はいつも通り淡々としているが、瞳だけはロイを見ながら不安そうに揺れている。
肌を故意的にさらけ出し、扇情的な感情を強制的に男の本能に叩きつける服装は誘惑感タップリだが、それと同時にお客様に奉仕するというウェイトレス独特の清楚感さがあり、それが誘惑感と上手く相殺されて、新たな極致を生み出している。
胸元にはひらがなで「あーにゃ」と書かれたプレート。そして、それを強調するかのように、しかし控えめにそびえる胸元。そして、そのすぐ下にある細くもゴムのような強い弾力を感じさせる腰のくびれ。
ロイはそれらを見て。フッと自重ぎみに微笑んだ。
(そうだな。答えは一つしか無いのに、馬鹿だな僕は……)
そしてロイは、正直に感想を述べた。
「とても可愛いよアーニャ。良く似合ってる」
すると、今回ばかりは、無口な少女も花が咲いたように微笑んだ。
○
(驚いたな。アーニャがあんな顔で笑うなんて)
<コスプレ喫茶>の入り口。そのドアに身を隠しながら中の様子を覗いていたスザクは、教室の中の様子に驚くと同時にクスリと笑った。
(相変わらずだなロイは……さて)
そして、スザクはすぐに表情を笑顔から険しいものに戻し、教室の中にいる同僚達を改めて冷めた視線で見つめた。
(特に問題は無いみたいだな……)
同僚三人が来ていると機情から連絡を受けて、急いで飛んできたスザクはそう判断した。
この学園は、“彼”にとって思い出深い場所であり、もしかしたら何かしらの変化やアクションが起きるかもしれない。と思ったが……どうやら杞憂だったようだ。もちろん、だからと言って油断はしない。
支援
一応“彼”の存在は機情にも秘密にされているから、ジノ達の正体が生徒にバレて騒ぎになった時の保安のため。という名目でヴィレッタ隊長に三人の監視を頼んであるし、何か怪しいそぶりがあれば連絡が来るはずだった。
なんなら後で自分が地下の機情に出向いて何か不審な所は無かったか映像を調べたり、ジノ達に聞けばいい。
どちらにしろ、自分一人だけで一度に二人を。というのは無理がある。ならば今回、自分は“アイツ”の監視に集中した方が良いだろう。
もっとも、本当なら“アイツ”のいるこの学園内に“彼”はいて欲しく無いというのがスザクの本心だが。だからと言って来てしまった三人を帰らせる理由も見つからないので、まぁ、これは仕方が無い。
そう思って、スザクは同僚達に何も告げず。ドアからゆっくりと離れて、元来た道を戻ろうとした。すると、
ドスン!
『きゃあ!』
「うわっ」
と、ちょうどこちらに歩いてきていた誰かとぶつかった。スザクはその衝撃によろめきながらも何とか転ばなかったが、相手は。
『……!』
地面に転んでジタバタ。ジタバタ。ジタバタ。と陸に打ち揚げられた魚のようにもがいていた。
ちなみに、それはラッコの着ぐるみだった。どうやら、自力では立てないらしい。
「ああ、すみません。大丈夫ですか!」
スザクは急いで駆け寄る。すると、背後から、
「何やってるんだスザク?」
と声がかかった。ジノだった。どうやら騒ぎを聞きつけてやってきたらしい。その隣にはロイと、そのロイの腕に細い腕を絡ませたアーニャがいた。
「ああ、三人とも。とりあえず今は手伝ってくれ」
「よしきた」
「分かった」
スザクが頼むと、ロイとジノ(というか、改めてみると二人とも凄い格好)が、着ぐるみの両側に立ち。『せーの!』という掛け声と共に三人で助け起こした。
着ぐるみは制動を取り戻し、なんとか立った。
「大丈夫ですか?」
スザクがラッコについた汚れを手で払いながら心配して聞くと、着ぐるみは、
「!!」
なぜかスザクを見て、体をビクッと震わせた。
「すみませんでした。どこか怪我は?」
スザクが更に聞くと、ラッコは大きな頭をブンブンと横に振った後、助け起こしてくれたお礼なのか頭を何度か下げて、そのままドタドタと廊下を走り去っていった。
支援
「……何だあれ?」
ジノが呟く。それに「さぁ?」と答えてスザクは改めて三人に向き直った。
「来てたんだ。三人とも」
スザクは、あくまで“たった今三人を見つけたばかり”。という態度を心がけた。
それにジノは笑顔で答えた。
「ああ、挨拶に行くのが遅れて悪かったなスザク。どうしてもロイがコスプレしたいって言うから」
ジノに指を指されたロイが、「なっ!」と息を飲んだ。
「それは、君だろジノ!」
チャイナ服のロイが、歌姫のジノに詰め寄った。
「はは、良く似合ってるよロイ」
スザクが誉めると、ロイは肩をガクッと落とした。
「それ以上は言わないでくれスザク……あっ、そうだ。良かったら僕達と一緒に回らないか?」
ロイの誘いを、スザクはやんわりと断った。
「ごめん。これから僕は、生徒会の手伝いをしなきゃいけないから」
「そうか、残念だ……」
本当に残念そうに微笑むロイ。スザクの中で、小さな針が心をチクリと刺した気がした。
スザクは、頑張って微笑んだ。
「ああ、本当にすまない」
「いや、気にしないでくれ」
少しがっかりした様子のロイにジノがもたれかかった。
「まぁ仕方ないさロイ。このお祭りはスザクが主役なんだし、やることも多いだろうさ」
「そうだね」
「ごめん。せめて君たちも楽しんでいってくれ。帰りは一緒に帰ろう」
そしてスザクは、今度はアーニャに向き直った。
「アーニャ。その格好良く似合ってるよ」
「ありがとう。スザク」
「じゃあ、僕はこれで」
喜ぶ少女にスザクは微笑みを向けた後、彼はきびすを返した。
背後からは三人の同僚の談笑が聞こえてくる中、スザクだけが極秘の任務に戻った。
ターン6『アッシュフォード 学園』Aパート 終わり。
支援
投下終了です。
こんな時間にもかかわらず支援感謝です。
本編でルルーシュの口からナイトオブゼロの名を聞く日が来るとは思わなかったな〜。
まぁ、ナイトオブゼロの意味は違うけど。ちょっと感動。
>>222 KOUSEI卿、GJでした!
ジノー、アウトーwww
アーニャが可愛いとかスザクの悲痛さとか色々あったように見えたけど
ジノの暴走には負けるぜ
次の投下を全力で待っています!
GJ!
いいなぁこのトリオ……是非ずっとこんなノリでいて欲しい。
しかしこのジノ、ノリノリである。
こんにちは、百年前に生まれた人です。
『閃光と亡霊』の続きではなく、ブランフォード卿やカズト卿の過去話を読んで、
自分も書きたいと思ったのでライの王様時代について書きました。
計算したら今までよりも長く、7〜8スレ程投下すると思いますので、
誰か支援お願いします。
『閃光と亡霊』の続きを期待されてる方すみません。ただいま鋭意執筆中です。
投下、よろしいでしょうか?
>>225 OKですよ
支援しましょう、そう、全力で!
では、投下します。
タイトル:『狂 王 誕 生』
シリアス・カップリング無
↓から始まりです。
『狂王』
その名はブリタニアの王の中でも一層特別な意味を持つ。
当時新大陸に入植し、ブリタニア公の血縁として北の辺境を納める王の三男として生まれ落ちた男子は、王である父を殺し王位を簒奪。
それを良しとしない二人の兄は弟に刃を向けるが返り討ちに遭い、王位後継の正統性を決定づけた。
その後、国内を平定すると共に来襲する北の蛮族との戦いに明け暮れる。
北の蛮族との最後の戦いで王都を戦場とし、蛮族の全滅へと追い込む。しかし王都に住むほとんどの住人と王の妹と母の命を引き換えにして。
それ故に、黒髪の王子は狂王と呼ばれたのであった。
支援
目の前に積まれたのはもう動かない人だったものの山。
その山から流れる血で造られた河に王は唯一人、膝をつき絶望した。
王が放った言葉を聞いた全て者達は、
老いも若きも男も女も区別なく、
好いた者も嫌った者も信用する者も信頼できぬ者も差別なく、
王を守護する騎士も静かに日々を過ごす平民も悪事を生業とする犯罪者も貴賤を問うこともなく、
皆その手に剣を、槍を、刃を、武器とも言えぬ武具を持ち、王の命令を熟そうと歩を進めた。
ただ王の命令に従うために、ただただ『北の蛮族を皆殺し』にする為に。
自分の命を惜しみもせず、体を顧みず、目の前の敵を殺して殺されていった。
こんな筈ではなかった。ただ一時の激情で放った言葉は命令の筈だった。しかしその言葉はギアスとなり王都の住人達を、死を恐れぬ狂気の兵へと変貌させた。
取り消そうとした。止めようとした。やめろと叫んだ。しかし一度ギアスにかかった者達を止める事はできなかった。
ならばせめて、この戦が一刻も早く終わるようにと戦場を駆け目に映る蛮族を片っ端から斬り捨てた。
蛮族の数が減ると守るべき領民の数も減っていった。敵も味方も倒れていった。
戦が終わると二本の足で立っていたのは自分だけだった。
誰か生き残っている者はいないか? 母は? 妹は?
赤い鳥が羽ばたく様が刻み込まれた瞳の痛みを無視して死体だらけの都を捜し回る。しかしいくら捜しても生者は見つからなかった。
物言わぬ母と妹を見つけた時、王は希望を喪った。
支援
太陽が沈み、星明かりの下で王は膝をついたままの彫像のように動かずにいた。
「やあ、久し振り」
突然と、足音も気配もなく一人の人間が王の背後に立ち気軽に声をかけた。けれども王は何の反応も返さない。
「ひどい戦いだったね。僕も長いこと生きてきたけど今回の暴走は特に酷いね。けど君が生きていてくれて良かったよ。他の人間は兎も角、契約者の君には生きててくれないと」
お前以外の人間の命には興味がない、と彼は平然と言ってのけた。
「……ろし…れ」「何だって?」
「殺して、くれ」掠れた小さな声で王は彼に自らの死を願った。
「ん〜、殺すのは無理だね。折角の契約者を殺すなんて勿体ないじゃない。それなら長い長い眠りにつくなんてどうかな? 死にはしないけど死んだように眠り続けるのは」
死ぬ事が無理だが、死ぬように眠り続けろと。
それならそれで構わない。ただ大事なものを守る為に王になり生きた。だが、もう生きる希望も意味も喪った。自らの手で壊したのだから。
確かにその姿を見た者は思っただろう。死にもの狂いという言葉があるなら王はまさにそれだった。彼の提案を呑もうとした時、
「死ねぇっ! 狂王!!」どこにいたのか、片腕を失いながらも生き残った蛮族が駆け寄り、今尚生きている王の命を奪おうと短剣を振り下ろした。
「危ない!!!」気安く話しかけていた彼が王と蛮族の間に立ち、王に向けたられた殺意を自らの体で受け止めた。
彼の胸に短剣が突き刺さる。蛮族が彼の体に突き刺さった短剣を引き抜くよりも速く王は腰に提げた剣を抜き蛮族の首を切り落とした。
彼は倒れ、蛮族は歪んだ顔を浮かべたまま死に、王は安堵し愕然とした。
安堵した? 安心した? ほっとした?
今さっき死ぬ事を望んだ自分が、命が助かったと思って安心してしまったことに王は嫌悪した。大切なものたちを奪った罰を欲したと言うのに、一時でもその罰から逃れられたことに。
「………ぅぅうううああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
王は叫び続けた。声が枯れるようと、喉が潰れることになろうと。ただ、自らの存在が消えることを願うかのように狂うほどに叫び続けた。
支援
「凄い声だね。何かあったの?」
突き刺さった短剣を胸から引き抜き彼は気軽に王に話しかけた。
「魔術師よ。先程の願い、変えて欲しい」王は彼―――魔術師に訊ねた。「その不死、私にも授けれないか?」
魔術師はキョトンとするが、すぐに笑顔を浮かべて答えた。
「出来るよ。願ってもない僕の願いはそれなんだよね。けれど良いのかい? そうなったら、君はもう家族とは会えないし、多分一生苦しむよ」
王は言った。
「構わん! 死ぬことが罰だと、許しだと思ったのが間違いだった。死ぬ事はただの逃げだ。そんなもので赦されてたまるものか。
唯一人、生き続けて生き続けて、死を望んでも苦しんで生き続けることこそが罰だ! どんなに赦しを得ようとしても、赦しなど………あるものか」
「分かった、分かったよ。別に僕は君がどう思ってコレを引き継ごうがあまり興味はないんだよ。それじゃ、譲るよ。精々その考えが長続きすることを祈っておくよ」
魔術師は倒れると同時に、王の左胸に激痛が走った。瞳の赤き鳥は消え、左胸へと刻み込まれた。
『狂王』
それは神憑った知略知謀で敵兵の用兵を読み切った様を、狂ったかのように前線で多くの敵を屠る姿を表すにはこれ程似合う言葉がないことから人は狂王と呼んだ。
若輩にしながら父と兄を廃し王位を簒奪した者を人は決して清廉潔白な者とは思わない。
しかしその姿を見た者は思っただろう。民の為に、国の為に死にもの狂いで働き続けた真に王たる王だと。
疲弊した国を建てなおし、北から攻め上げる蛮族を打ち倒すのに正気は必要ではないと言ったとも伝えられている。
だが、狂王がいなければ今日のブリタニアは無かったとも言われている程、彼の働きは偉大であったのは誰もが知るところである。
支援
屍を築き造られた山、多くの血が流れ生まれた河、死で造り上げられた庭園に王は唯一人で立ち上がる。
母と妹と同じ、美しかった黒髪はくすんだ銀灰色に変わり、顔には先刻まで刻まれた絶望は消えて何も映さずに、しかし爛々と輝く青き瞳には狂気を孕んだ怒りが描かれていた。
真に狂い、真に王たる者が、今生まれたのであった。
『狂王ライ』
北の蛮族との戦いが終結すると間を置かずに次々と周辺の蛮族と貴族たちの領土を併合吸収。
北部が手に入ると東部・南部・西部へとも狂ったように手を伸ばし次々と勢力下へと置いていき、新大陸の全てを手にし、ブリタニアの基盤を作り上げたのである。。
その様子は現代のパックス・ブリタニアーナのようであったと後の専門家は語る。
彼は後に、エリザベス3世がブリタニア公リカルドの尽力で新大陸へと逃れくるまで生き残ったと云われている。
その際に、植民地である新大陸に遷都した時に以下の発言をし、不遜に嘲笑いながら玉座を去っていったと伝えられている。
「くれてやろう! 恵んでやろう! イングランドからの敗走者よ! だが憶えておけ、人々は貴様の事を支配者とは思わない。お情けで国を恵まれた負け犬だと!
そう、貴様は負けただけでなく、格下と思われていた相手からも情けをかけられたのだ」
支援
以上です。支援ありがとうございました。
7スレも行きませんでした。ここの機能をまだ把握してない自分が情けないです。
>>237 百年前に生まれた人卿、GJでした!
まえがき〜あとがきまで7レスぐらいって事だと思ったんですが
新しい展開ですね、コード継承とは
短編のようですが、ここから本編に繋げるのもいいかもしれませんね
長編の続き、期待しています
次の投下を待ってます、ドゥーマイベストで
あとがきに書き忘れましたが、自分の書くライは、若干どころかSです。
テンさんとどっこいどっこいかそれ以上になる時があります。でも後悔はしません。
>>238 自分の中では、本文だけでスレ数を数えてました。
やはり、まえがき〜あとがきまで含めて計算した方が良いのでしょうか?
>>239 ライはサディスティック星の王子みたいになるのかな
まえがき〜あとがき、って書かれていたら分かりやすいですね
私はそういう風に書いてますが、個人の認識の差なので
別にどっちでもいいと思いますよ
申し訳ありませんが、時間の制約があるので感想は失礼させていただきます。
>>165 自分も早く回答が示されてホッとしました。
特に弁護士については、相談に行った後の発言なだけに、一体何を相談してどんな結論に至ったんだ?と
不安だったので、一端を知り、適切な助言をしていただけそうな方であったことに安堵しました。
二次創作は著作権者の目溢しの下で行われている危ういものです。
利権が絡まなければ多目にみてもらえるとは思いますが、目立てば何か不測の自体が起き、
締め付けが厳しくなってしまうのではないかと不安に思います。
検索の上位に来ることを望むのは、多くは、いわゆるライト層ではないかと思います。
そのライト層から将来の職人が生まれるのは確かですが、彼らが二次創作や著作権に対する認識が甘いのもまた事実です。
また、2chに投下している以上、読んでもらう相手は同好の名無しさんであると思っています。
読んでもらいたいというなら、多くの「人」ではなく、多くの「名無しさん」にです。
2ch外から来た人を否定するわけではありません。
しかし、ライト層の認識に不安を覚えるのと同程度には、2ch内のお約束を知らない事に不安を覚えています。
おそらく、私はこのスレの住民である前に同人者であり、ネラーなのだと思います。
重ねて言いますが、ライト層や2ch初心者を排除したいと思っているわけではありません。
流れが淀めば腐敗してしまうものです。
ただ、二次創作や2chのお約束的といった堰が流されてしまうことのないように、
その流れが急激なものにならない事を、そして流れが急激になることを助長する方向にならない事を望んでいます。
>>222 いいな〜、この3人。スザクもこんな風になればいいのにと思いました
ジノの姿を思い浮かべそうになりましたが、アーニャで打ち消させてもらいました
ライはやっぱりチャイナなんですね、ご愁傷様?
>>239 GJでした!これからライがどうなるのか気になります
しかし、1つ思ったことが投下はKOUSEI卿の終了宣言から15分後では?と思ってしまいました
要らぬ注意ではあるとは思いますが、気になったので・・・・
次の投下をお待ちしております
>>242 って、失礼投下宣言を間違えておりました
うあ〜〜〜、本当に申し訳ありません・・・・本当に
ちょっと吊ってきます
>>222 KOUSEI卿、GJでした!
ジノのコスプレ姿を想像して思わずふいたw
このトリオにはこのままでいてほしいなぁと思いました。
次回の投下をお待ちしてます!!
>>239 百年前に生まれた人卿、GJです!
Sなライもまた味があっていいですね。
これから閃光と亡霊につながるんでしょうか?
とにかく続きが気になります!
次回の投下お待ちしています!
>>243 でも、実際あの15分はどっちの方が良いのだろう?
投下自体が15分後ならそれで良いのかしら。
あれは感想などを書く流れが切れてしまうから、と言ったような形で提案されたルールでしたよね?(間違ってたらすみません)
ならば、感想レスが落ち着かない時に投下宣言するのは控えた方が良いのではないでしょうか。
今回に限っては時間指定も無かったので、割り込みを避ける為に感想投下も躊躇してしまう状況だったので。
>>222 KOUSEI卿GJでした!
いつも続きを楽しみに待っておりました!
なんかもうメインヒロインがアーニャに見えてきてしまう…カレン、君は今いずこ…
そして、ジノが良い味だしていました、また続きを楽しみに待っております。
>>239 百年前に生まれた人卿GJでした!
やはり狂王時代のライは少し悪…いや、かなりかしら、だったと自分も思っています。
長編の続きも楽しみにまっております。
>>241 長文は結構だが結局は何を言いたいのかがわからん
>>246 つまり2ch内外問わず色んな人が保管庫やこのスレにssを読みにくるのは良いが、それは二次創作としての限度やマナーを守って行われるべきであると思いますということじゃないですか?
もしかして私、スルーすべきだった?
まあそういうことだろうな
銀飯卿へ
「機情編」が某投稿掲示板に修正され、転載されていたけど
銀飯卿本人による投稿だろうか?
>>249 アクセス規制中+クロスとかやりたいから手元のストック使ってテスト中らしいですよ
17:20からとうかしたいと思います。
支援できる方、よろしくお願いします。
は〜い支援します。
定刻になったので投下したいと思います
舞台裏の暮らし
〜セーラー服 へ 接続〜
・ギャグです
・ライ×V.V.
・10〜13レスぐらいあります。
※注意※
・(ラグナレク の 接続)をまだ見てない人は読まないほうがいいです
・ライがまた女装するんでそういうのが苦手な方は全力でスルー
・死んだあの人たちがまたよみがえってきます・・・
・あとV.V.も女装するんで気をつけてください
・ちょっと捏造設定あり
支援
「9月だね……」
「そうだな……」
「今年の夏もあっという間に過ぎていってしまったよ……」
暑かった夏もおわりを告げた。いや、じっさいはまだ暑いけど。
時が過ぎるのは早いものである。
僕たちは窓辺で雲を眺めていた。特別することもなかったからである。
「暇な人たちだね」とか突っ込まないでください。
「もうすぐギアスも終わっちゃうね……」
「悲しいこと言うなよ」
「秋だから何でも許されるよ」
V.V.が先ほど結ってくれた三つあみが風に吹かれて小さく揺れた。
秋といってもまだ早いかも知れないけど、僕たちの心は秋を通り越して冬だった。
「ライ?何かあったの?」
「いや、僕の出番なかったなーって……」
「ライはこの特区以外行くところないと思うよ。ここが君の居場の所、ぼくたちの居場所だよ」
「……」
「まだ終わってないよ。そうだ、ギアスみようよ」
「……分かった」
支援
僕たちはリビングに戻るとテレビの前に座った。V.V.がリモコンを探しにあちこちうろつきまわる。
この光景もあと何回みれるのかな?と思うとやっぱり寂しくなる。
「あった!」
V.V.は人面機関車の小物入れの中からリモコンを見つけ出した。この機関車グッズは気がつくと増えているという代物で、気をつけていないと
機関車の囲まれたまま寝なければならないという状況にもなってしまうのだ。この前はそれのせいで大変な目にあった。
これからは気をつけないと。
V.V.はリモコンの再生ボタンを押した。あと数回しか聞けないオープニングが流れる。
タイトルが流れ、本編が始まった。
「シャルル……」
「V.V.……」
「ぼくは……嘘をついたつもりはなかったのに……。ただシャルルのことが好きなだけだったのに……」
「V.V.……ほら、あっと……」
「結局計画もなくなっちゃったし……」
「でも、確かにナナリーの言う「優しい世界」と皇帝たちが言う「優しい世界」は違っていたんじゃないかな?」
「ライ……」
「それに……」
「それに?」
「もし、死の世界がなかったら僕とV.V.は会うことはなかっただろ?僕だってこの特区にくることもなかった。あのままずっと眠り続けているか、ルルーシュのしかけた
爆弾に巻き込まれて死んでたと思うよ。V.V.が言ったんじゃないか。「ここが僕たちの居場所」だって」
「ライ……。そうだね。……ライはぼくたちの母に少し似ているよ」
「そうか?会ったことないからよく分からないけど」
「うん。似ているよ……」
規制?
「ルルーシュが皇帝か……」
「今回は超展開だね。……ねぇライ」
「なんだ?」
「ライも皇帝になってみる?この特区の……」
「なに言ってるんだ?冗談だろ?」
「そうだよ。冗談だよ(なりたくないのかぁ。ちぇ)」
「まったく」
次回予告まで見終わるとV.V.はリモコンの停止ボタンを押した。
「今回は超展開すぎて大変だったね」
「そうだな」
なんだか今日は本編の展開のこともあってかV.V.のテンションは低かった。なにかおもしろそうな話題でもだそうかと思ったけどなにも思い浮かばなかった。
ふとV.V.のほうに顔を向けると、なにか考え事をしている様子だった。
「ねえライ」
「なんだ?」
V.V.はまた何か変な遊びを考え出したようだった。ギアスの見てからは変な遊びタイムに入るというお約束化している。少し間が開くとV.V.は僕をほうを指差して笑った。
「せっかく三つあみにしているんだからさ、セーラー服着てよ」
「なんでそうなるんだ?」
なんでセーラー服と三つあみが関係あるんだ。その前に僕は男だということを知らないのか?
今までさんざん女装させられたけど……。僕は女じゃなくて男なんだ!
私怨
「そんなことは分かっているよ。あのね一日体験してみない?この特区にある学校のさ」
「ええ!学校なんてあるのか!?」
「あるよ。実は東京租界よりも設備とかいろいろいいんだよ。この特区はさ」
そんなこと初めて聞いた。ここはブリタニア人もイレブンも中華連邦の人だって住んでいるわけだから文化の違いもあるだろう。
だから一人一人の文化にあったあの世の人生をおくれるというわけか。
そのためには設備もキチンとしなくてはならないということなのだろう。多分。
「シャーリーがね、その学校に通っているみたいだ。会ったことはないけどね。ちなみに許可については大丈夫だから心配しなくてもいいよ」
「行動がはやいですね。でも面白そうだな。もちろん公共の場だから男子の制服だろ?」
久々に男物が着れるのではないかと思うと顔が勝手にニコニコしてしまう。必死で冷静を保とうとするもののやっぱり嬉しさにはかなわない。
だがV.V.はどういうわけかにやりと笑った。いやな予感がする。
「何いってるの?女子の制服だよ?」
かくして僕の楽しみはあっという間に崩れ落ち、僕は男子生徒ではなく女子生徒として学校一日体験をすることになったのである。
でも学校にいくことは少し楽しみだし、V.V.もたまには良いこと言うな。
支援
----------------------------------------------------------
綺麗な空がどこまでも広がっていた。葉桜になってしまった並木の一本道を僕とV.V.は歩いていた。
風が吹くと揺れる木々は爽やかなハーモニーを奏でている。
「……な・ん・でお前がいるんだ!」
僕の隣にはV.V.が歩いている。それも女子の制服を着て、だ。僕はみつあみでセーラー、ちなみに靴下は白のハイソックスである。かなり屈辱的な姿である。
V.V.はというと長い髪の毛を緑色のリボンで二つくくりにしていた。僕と同じくセーラー服、そして三つ折にした白靴下を着用している。
「だってさ、前々スレの597さんから『V.V.も女装してみたら?』という意見をいただいたからだよ。前々スレ597さんネタ提供ありがとう!」
「そういうことですか。じゃあ文句はいえないな」
「だからねライ。今日は一日ぼくたちは女の子なんだよ。前に教えられた女の子の口調とかしぐさとかを発揮するチャンスだよ」
そういえば何気に忘れられているが、僕は一番初めに専属の先生をつけられて女の子について教えられているのだ。
ふと誰かが僕の肩を叩いた。振り向くとそこには意外な人物がいた。
「ライ?ライじゃない!どうしたの?」
「シャーリーじゃないか」
僕の肩を叩いたのはシャーリーだった。アッシュフォード学園のブレザーの制服とは違う青色のセーラー服をまとった彼女は
爽やかな笑顔をこちらに向けた。
「ライはいつもおかしな格好をしているね。あはは、ルルも女装とかよく似合っていたな〜」
シャーリーの「ルル」と呼んだとき、なぜか僕は心臓が飛び出そうだった。ルルーシュを思い出したと同時にロロの顔も思い出した。
まさかロロもこの特区にいるのではないか。もしいたらシャーリーを会う確立が高い。
会ってしまったらシャーリーはどうなってしまうのか。
支援
そんな僕を思考を読んだV.V.は僕に耳打ちしてきた。
「ライ。心配しなくてもいいよ。ちなみにこの学校にはロロもいるよ」
「!?ロロが!まさか、そんな……」
「だからライは心配しなくて大丈夫だって。この特区では恨みっこなしなんだから」
「そんなことあるのか……」
僕の思考はしばらく停止した。自分を殺した人間だぞ?普通なら殺したくなるほど恨んでいる方が普通じゃないか?
いや、でもこの特区はそういう人たちも必然的に多くなってしまう。なにせここはイレブンもブリタニア人も中華連邦の人もいるのだから。
そういうルールなのだろうか?多分一生考えても答えはでてきそうにないので僕はそこで悩むのをやめた。
「ライ?どうしたんだろう……急に考え出しちゃって……」
「大丈夫、いつものことだよ」
「あなたは誰?」
「ぼくはV.V.。ライの兄だよ。よろしく」
「あっ、そうなんだ。私はシャーリー。シャーリー・フェネットです」
いつのまにか勝手に自己紹介を済ませているV.V.。女装しておきながら「兄」と名乗るお前がすごい。
そして僕たちの格好に突っ込まないシャーリーもすごいと思った。
「じゃあ行こうか」
「うん!」
「ライ、置いてくよ?」
「ああ、ごめん」
こうして僕たちは学校へと向かって並木道を再び歩き始めたのだった。
支援
----------------------------------------------------------
「疲れた……」
「ご苦労様〜。さすがライだね。モテモテ〜」
「だってライだからね。モテないライはただの主人公だよ」
昼休み。僕たちは学校の中庭でお弁当を食べていた。ちなみになぜ授業シーンがないかというと、授業シーンまで書くと大変だからという作者のかってな都合なのである。
この学校に入ってから今に至るまでに告白された回数は10回ほどに上る。
みんななに考えているんだ。僕は男だぞ。でもさすがにその真実だけはいえないので、別の理由をつけて丁重にお断りした。
「その前にV.V.!なんでお前「兄」なのに僕たちと同じ学年なんだ!」
「だってライがいないとつまらないからね」
「理由になってないだろ!」
「あははー。ライおもしろーい!」
僕たちはそんな会話を楽しみながらお弁当をつついていた。V.V.がプチトマトをフォークで思いっきりさしたらトマトの液が顔にかかってしまい
シャーリーにハンカチでふき取ってもらっていた。みているとなんだかすごく和む光景だった。
3人でそんなやりとりをしていると誰かがこちらにむかって駆け寄ってきた。男子生徒のようである。とっさに僕は警戒した。反射的にに片足が一歩後ろに下がる。
駆け寄ってきたのはロロだった。本編では青白い顔で最期を迎えてしまったが、見ているかぎり顔色も治っていた。
ギアスはこの特区ではつかえないとV.V.がいっていたからロロも無事健康少年に戻ったのだろう。いいことだ。
ロロもこの特区には最近入ってきたばかりなので色々と大変そうだ。
「あれ?シャーリーさん?」
「ロロ〜!ロロじゃない!こっちおいでよ!」
「シャーリーさん。この人は?」
「この人はライ。私の友達だよ」
「はじめましてロロ・ランペルージです」
「僕は……」
支援
支援
うっかり男口調で挨拶しそうになった。危ない危ない。
ロロとは初対面だから慎重にならねば。いや、初対面でもないか。一度殺されそうになったことがあったな。
改めて僕はロロに挨拶をした。
「私はライです。よろしくね」
「よろしくお願いします」
やけに丁寧な挨拶をしてくるロロ。どうやら僕のことは覚えてないようである。それはそれでいいのだが。
あの時追いかけてきた少年はロロだと思うと今でもぞっとする。ギアスをかけた兵たちがロロの手にいぎられたナイフによって次々と殺されていく光景は僕にとって小さなトラウマになっていた。
ロロはV.V.顔をみて少し驚いた表情をした。ええ、あなたの反応が一番普通ですとも。なにせ元教団の教主様が女装しているだから。
V.V.はそんなロロに無駄なくらいキラキラした笑顔で挨拶をした。
「ロロ久しぶり。元気にしてた?」
「え、あっと…V.V.、久しぶりです…」
2人が会話をしている間、僕はロロの横顔をぼーっとみていた。ロロを見ているとルルーシュのことが思い浮かぶ。そうか、ロロもシャーリーもルルーシュのことが大好きだった人たちじゃないか。
なんだかルルーシュのことが少しうらやましくなった。みんなから好かれるだなんて幸せじゃないか。
そんなことを考えているといきなりロロから話しかけられた。ぼーっと見ていたから視線を感じたのだろう。でもなぜかロロはムダに頬が赤かった。風邪気味なのか?
「ライさん……。えっと……その……」
「何かしら?」
ロロがもじもじしながら僕に話しかけてきた。だからなぜ顔が赤いんだ。
「……やっぱなんでもない……です」
「そうですか」
それから僕たちはロロも加わっておしゃべりを続けながらお弁当を食べた。
支援
お弁当を食べ終えると同時に僕たちは帰ることにした。
まだ話し足りなかった。もっと話したかった。でも僕とV.V.はこれで体験終了なのだが2人には授業が残っている。
「じゃあ僕たちは帰るよ。バイバイ」
「じゃあねライ、V.V.。また会おうね」
「ライさん、V.V.……さようなら……」
「じゃあね、2人とも」
こうして僕たちは久々の再開と新たな友人を手に入れた。
最初はV.V.のあきれた遊びにつきあうだけだった。でも気がついたら楽しんでいた。
多分僕は学校に行きたかったんだと思う。母上や咲久耶が生きてたころは学校だなんてなかった。でも僕が一年前に目覚めた世界はとても楽しかった。
学校での暮らし、黒の騎士団としての生活。大変だったけど楽しかった。
それがまた体験できた。半日だけだったけど。
それでもかなり満足した。なによりシャーリーに会えたことがとても嬉しかった。
支援
並木道を下っている最中、僕はV.V.に話しかけられた。皇帝のことでショックを受けている様子はもうなかったので少し安心した。
「ライ……またフラグを立てたね……」
「フラグ?なにそれ?」
「さぁ?なんだろうね?」
「……V.V.」
「なに?ライ」
「今日は……ありがとう。久々に学校にいけてうれしかった」
なんでこんなこといっているのか自分でも分からなかった。こんなこというだなんて僕らしくない。
でもV.V.にお礼をいいたかった。僕を学校に連れて行ってくれたことを。
「ライに喜んでもらえたならぼくもうれしいよ」
「そうか。今日はお礼に晩御飯はお前の好きなものを作るよ」
「流石ライだね。期待してるよ」
僕はふと空を見上げた。いつもと変わらない空だった。いつもと変わらない?いや少し違うようにも見える。
見上げた空はどこまでも青く青く広がっていた。
支援
支援
(こんなこと口が裂けてもいえないけどライには感謝してるよ。ぼくに居場所を与えてくれたからね。学校はそのお礼だよ。にしてもシャルル、君もコッチにきちゃったんだね。
コッチでは君は皇帝にはなれないよ。いや、ぼくがさせないから。覚悟しててよ)
投下終了。支援ありがとうございました。
なお、前々スレ597さん、ネタ提供ありがとうございました。
ライノネものは現在製作中。書き終わりそうになったが、読み直してみたらおかしかったので大部分変更。
修正するのが大変だよ・・・。前々スレ598、599さん。ネタ提供ありがとうございました。でもぜんぜん別の話になってしまいました・・・。
はじめはきちんと勘違いから始まったのに・・・。ごめんなさい。提供してくれたネタと全然違う話になってます。許してください。
ライ×C万歳卿は偉いなぁ。受験生だから勉強か〜。耳が痛い・・・。受験生なのに遊んでいる自分が恥ずかしい・・・orz
乙でした〜面白い中にもなんか切ないものを感じたのは
僕だけか?次回の投下を楽しみにしてます〜
ワラビ餅卿GJでした!
今回はロロを落としたかw
・・・ん?ロロは女装にやられたのか?それともライという男(ry
卿の次回の投下を全力でお待ちしております!
>>278 ワラビ餅卿、GJでした!
女装しながら兄と宣言するV.V.のどこか間違ったブレイブや
ロロwwとか思いながらもどこか切ないですね
貴公の次の投下を全力で待っています!
勉強なんて飾りです、偉い人にはそれが分からんのです!
>>278 乙&GJ
タイトル見ただけでふきましたw
ライが女装に慣れきって、女子の制服<学校になってるのは、笑ったらいいのか、泣いたらいいのか……
ロロの誤解がとける日が楽しみでもあり、怖くもあります
でも、言われなくても判っているかと思いますが、受験勉強はちゃんとしてくださいねーっ!
>>246 すみませんでした
意味不明な長文カコワルイですね
大意としては
>>247さんが解読してくださった内容で間違ってないです
>>272 俺が女装に萌えてしまうようになったのは卿と管理人さんのせいだと思ってるw
GJっす!誤字かもしれないので置いときますね
× 生きてたころは学校だなんてなかった
○ 生きてたころは学校なんてなかった
乙です。今回も笑わせていただきました。
誤字だと思うので置いときます
×もしいたらシャーリーを会う確立が高い。
○もしいたらシャーリーに会う確立が高い。
>>284 さらにいえば、確立じゃなくて確率っす…重箱スマソ
あ、ホントですね。
シャーリーをの方に気をとられすぎて気づきませんでした。
お恥ずかしい。
287 :
ワラビ餅:2008/09/01(月) 20:46:04 ID:EeGL/Khe
ワラビ餅ですケータイから失礼します。みなさん、誤字指摘してくださってありがとうございます。 何回か推敲したはずなのに…。 トーマス卿、訂正のほうよろしくおねがいします。
今日は千葉さんの誕生日なのにSSが投下されてない……千葉さん可哀想だ(´・ω・`)
>>288 もっと早く言ってくれれば……。
あと3時間で執筆……。いけるか?
千葉さん出ませんが、投下いいですか?できれば支援お願いします
支援します
投下します。『Guardian』―Episode3―です。
これも間が空いて知らない方が多いと思いますので、保管庫で見てもらえれば。支援お願いします。
!注意!
親衛隊ルートからのオリジナル展開です。
設定などは小説版に準拠している部分があります。
構成の関係で、時制がわかりにくいかもしれないので、説明します。
今回の最初のシーンの時制は、Episode1の冒頭からの続きです。
今回の二つ目のシーンの時制は、Episode2の終わりからの続きです。
『Guardian』―Episode3―
均衡は一瞬だった。
けたたましいアラートと眼前の点滅するディスプレイは、明らかな限界を訴えている。
高速で機体状況を理解したライは、魂が抜けたように呆然と傍らに立つダールトンのグロースターを、シールドを展開した方とは逆の腕で引っ張り上げ、瞬時に後方に跳び下がった。
今自分達がいた場所に、防ぎきれなかったハドロン砲の残滓が突き刺さる。
「はあっ!!」
だが次の瞬間には、グロースターを放し、蒼穹の機体は憎き巨大な漆黒に向かって猛然と突き進んでいる。
その攻勢は放たれた弓矢の如く鋭く、そして力強い。
額に備わっている一角も相まって、まさに鬼神と呼ぶに相応しい勇姿であった。
「くそっ!」
ガウェインのコックピットの中、クラブの突如の乱入による驚愕を何とか押し込め、悪態をついたルルーシュと舌打ちをしたC.C.がほぼ同時に反応する。
「ここで終わらせる!」
ライは叫び、再び放たれるハドロン砲を今度は難なく避けると懐に潜り込み、機体の左肩を突き出した半身の姿勢で体当たりした。
接触の一刻に絶妙のタイミングでフロートを全開にする。
「私も!お前もだっ!」
「ぐっ!」
怒声と共に、ガウェインの胸部に重い一撃がぶつけられた。衝撃で思わずC.C.が呻く。
そのまま政庁の屋上から突き出し、二機はどんよりとした暗い夜空に躍り出た。高高度の空中戦に移行する。
しかしその代償か、クラブの左腕の接続部がグシャリと音をたてて拉げた。
支援
支援。ついでと言ってはなんですが、
ノネットさんがベアトリスを何と呼ぶかご存じの方いましたら教えてください。
「馬鹿が!C.C.、距離を!」
「もうやっている!」
ガウェインのコックピットの喧噪を止ますことなく、クラブはそのまま強行する。
そこに一切の打算はない。
粗雑にして自分にも負担がかかる捨て身の攻撃。普段のライならば絶対にしないであろう選択。
非効率的であり隙も大きい。
クラブの背面には未だ強力な武器だってある。
そこに一切の思考はない。
戦闘技術としては下策中の下策。
パイロットになりたての新米だって分かる最低の戦い方。
現に装甲の厚いガウェインは体勢を崩したものの、ダメージはほとんどない。
――けれども、それでも
そこに確かな意味はあるのだ。
そうやって身を削ることが、たとえそれが単に自傷行為の延長に過ぎないものだったとしても。
己の全てを賭けてでも守りたい。
主を、友を、仲間を。その想いを。
それだけは嘘のない、ライ自身の想いの表れだから。
支援
許せないと思う。憎しみが溢れるのを止められない。
自分にはそんな資格はないと、ライ自身が一番よく知っているのにも関わらず、だ。
彼の頭をよぎるのは優しく暖かい桃色、厳しくも誇り高き紫、豪快に破顔する強面の慈父
みんな壊された。奪われた。
戦争ならば、相反する想いがぶつかった結果ならば、あるいは仕方がないのかもしれない。
諦めることも納得することも出来ないが、理解はできたかもしれない。
だけど違う。そうじゃなかった。
それよりももっと悲惨で、下劣で、救いようのない。
他人の想いを捻じ曲げ、利用し、ボロ雑巾のように捨て去る。
人間として最低な行為。
……かつてライ自身がしたように。
それは許されないこと。あってはならないこと。
――人ならざる力は、いつの時代でも悲劇しか生まない。
それは憎まれるべき力。消え去るべき力。
そう、消え去るべきは一人の、その名に無を冠する者だけではない。
――消え去るべきは、その力。そして自分も含めた、それを利用した全ての人間!
支援
支援
「だから!!」
ドゴォッ!
フロートの出力を限界ギリギリから一気に落とし、敵を突き放す。距離を取る蒼穹と漆黒。
「………………」
数瞬の睨み合い。
先に動いたのは漆黒だった。
「…いくぞルルーシュ。私は、まだお前に死なれては困るからな」
「ああ…。俺も死ぬ気は」
ルルーシュはトリガーに指をかける。酷薄な笑みを浮かべ、
「ないっ!」
一気に引き金を引いた。ズアッ!と肩部から放たれたハドロン砲が、夜天を赤く染める。
すかさずC.C.も動く。ガウェインの両手十本の指からハーケン射出。巧みに操り、敵の動きを制限しようとする。
「せあっ!」
しかし、ライの反応は早い。左肩の火花を散らしながら、クラブのフロートを吹かす。急上昇でハドロン砲を軽々と避け、だが確実に敵に迫っていく。
前後左右上下にあらゆる動きを駆使し、追撃のハーケンもかわす。かつてロイドがその動きを称えて口にした、そう、まさに亡霊のような動き。
支援
俊敏で無駄のない動きを続けつつ、反撃とばかりに背部に搭載されたヴァリスを抜き放ち、構えた。照準は微塵もぶれない。
ビュンと空気を裂くように、青色の銃口からライトグリーンの閃光が放たれる。
ビュン!ビュン!!ビュン!!!
止まらない。
撃つ!撃つ!!撃つ!!!
「あたれーーーーっ!」
連射。速射。病的なまでの憎しみが込められた、どす黒い怨念の矢の斉射だ。それが様々な角度からガウェインに降り注ぐ。
「ちいっ!」
堪らずC.C.はハーケンを引き戻し、ガウェインは大きく弧を描くような回避運動を行う。
攻撃のヒットこそないが、ここにおいて、両機の攻撃の手数と機体特性の相性がそのまま動きに現われてきた。
片や現時点で遠距離最強のハドロン砲を持ちながらも、その巨体ゆえに機動力と近中距離戦という点で大きな欠点を持つガウェイン。
片や一撃の威力では劣り、決定打に欠けるもののあらゆる距離に対応できる武装を持ち、限界ギリギリのGを叩き出す高機動機ランスロット・クラブ。
加えて言えば、今回に限っては両機のパイロットの間に絶対的な、絶望的な差があった。
それはパイロットとしての腕――つまり操縦技術だけではなく、もっと単純にして直接的なもの。
そう。所謂、感情――精神的なものだった。
少なくとも、今のライには迷いや躊躇いはおろか、相手を、ガウェインに乗るパイロットを生かそうという気持ちはない。
支援
支援
「これでっ!」
ヴァリスによる牽制で、回避に専念させられたガウェインの攻撃が止んだため、クラブは容易に距離を詰めてきた。
コックピットの中でライの左手が踊る。
手元のキーボードは、かつてランスロットに乗るスザクが一度だけ使った武装。パスワードは、ロイドの好物。
「終わりだ!!」
ハーケンブースター。
自動追尾型のスラッシュハーケンが一度に四基、ガウェインに襲い掛かる。
「なにっ!」
「ランスロットのあれか!?」
魔王と魔女は目を見開く。そこに一瞬、しかし、決定的な隙が生まれた。必死に操縦桿を捌く。
だが、間に合わない。
ズガァン!!
一拍の遅れが致命傷となった。ガウェインの右肩部――虎の子のハドロン砲を含む右腕にハーケンが二基突き刺さる。
弾ける衝撃と火花。体勢を崩す漆黒の巨体。
「ぐうっ!」
「がはっ!……っ!上か!」
視界を数秒失った二人の隙を逃さず、クラブはガウェインの真上へ高速移動、急降下する。
支援
支援
「ゼローーーーッ!」
「C.C.!機体傾斜を90傾けろ!後ろに反らせるんだ!」
「面倒な動きばかりっ!」
真上から強襲するクラブに対して、ガウェインも地表に背を向ける格好で相対する。
ルルーシュは照準を合わせると、向かってくる敵を睨みつけ、再度伝家の宝刀を抜いた。
「フン……消え去れっ!」
再度充填された禍々しい赤が、ガウェインの左肩を染める。
一門しかないが、十分だ。あのスピードなら避けられない!
――勝った!
だがそれが、ルルーシュの慢心。この死闘の決着への、最後のピース。
今のクラブは、ライは止まらない。逃げない。恐れない。
一見すれば、まるで狂気の沙汰だ。
「そんなものに!」
だが、真っ直ぐに見据えられた彼の眼差しには確かな意思が宿っていた。
炎のように輝き、揺らめいているそれは、彼に正真正銘の勝機がある事を示していた。
自らの命を賭けた策。
失敗すれば、瞬間その身は炎に包まれるだろう。
それも良いかもしれない。自分一人ならば。
頭をよぎったのはそんな愚にもつかない思考。
けれど、今は。
そう今は、彼方の政庁には、傷つき倒れた主が、呆然と立ち尽くす慈父が。
迫る赤き閃光。突き進む青き弓矢。
「負けて堪るかーーー!!」
コックピットに響き渡る咆哮。
切り離されるフロートユニット。
慣性で直進した飛行ユニットは、そのまま赤黒い波動に衝突した。ユニットは粉々に潰えるが、ハドロン砲の勢いもまた弱まる。
「なっ!?」
その声はガウェインに乗る二人のもの。
弱まったハドロン砲に、左腕のシールドを展開したクラブは突っ込む。
直進する赤黒とライトグリーンが鍔迫り合い、ライトグリーンを纏った左腕が吹き飛び、赤黒が裂けた。
支援
支援が少ないな……猿は大丈夫かな
支援
閃光
爆煙
目がくらむ
視界を奪われる
だが
次の瞬間
爆煙を裂き
魔王と魔女
二人の目の前に現れたのは――――
「っ!まずい!」
隻腕の、鬼
機体の数か所に小さくない破損があったが、故にその恐ろしさを増した、悪鬼
目を見開く
鬼は叫ぶ。そして、右手に抜き放った真紅の剣――MVSを構え、
助太刀いたす!支援。
「はああああああああああぁっ!!!」
ズシャアッッ!!!
――鬼の刃が、ガウェインの胸部をコックピットごと突き刺した。
バチバチと、火花が散る。
だが正確にコックピットだけを貫いたためだろう、爆散せず、そのまま動きを止めるガウェイン。ゆっくりと地表へと堕ちてゆく二機。
フロートもなく、クラブもまた動けない。
脱出装置を使えばいいのだが、ライはそれをしない。仮面の男の生死を、この目で見届けるまでは。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
荒く息をつく。
自分も死ぬかもしれない。
けれども、ライに後悔はない。恐怖もない。
これでいい。
今はこれが皆を、自分が守りたいと思う人達を、守ることになる。今度こそ守ってみせる。
そして全てが終わった、その時には―――
燃えるなあ。支援
――――――――――――――――――――――
ユーフェミアの遺体が安置された医務室を出たライは、足早に格納庫に向かった。
無論、トウキョウ租界にて現在進行形で行われている決戦に参戦するためであったが、その心に、表情に浮かぶものは、普段の彼にはありえないものであった。
すなわち、任務ではなく私闘。自身が解放されたいがための復讐。
この世界に目覚めて以来初めて、ライは理性による命令ではなく、感情――それもとびきりの憎悪に身を任せようとしていた。
当然その感情の奔流は相手だけではなく、自分自身にも降りかかるものではあったが。
そしてたどり着いたアヴァロンの格納庫において、彼は自分と同じ、瘴気とでもいうべきものを纏った人間を見つける。
茶色の癖っ毛、白銀のパイロットスーツにその身を包んだ‘元’騎士。
一見するだけでは、普段とは寸分も変わらぬ見慣れた姿。
しかし、横顔から覗くその翡翠の瞳を、見る者の背筋が凍る程に暗く燃やしている青年――枢木スザク。
ライが彼に向かって歩み寄ると、気付いていたのだろう、スザクは音もなくライに向き直った。
無二の親友と称するに何の躊躇いも覚えることのない間柄であり、共に守るべき人をその手のひらから零した二人は、いっそ清々しいほど、これ以上ないくらいに乾いた表情で向かい合った。
周囲のメカニック達の喧噪や、戦艦の駆動音が驚くほど静かに感じられる。
ふと、スザクが手に持った何かを無造作に放った。
受け取ったライの右手に納まった‘それ’は、ライの愛機ランスロット・クラブの起動キー。
支援
支援
支援
「俺は行く」
そのスザクの言葉は小さく、簡潔であったが、何故か格納庫によく響いた。
押し殺し損ね、溢れようとする様々な感情のためだったかもしれない。
視線を手元から戻した目の前の銀灰の親友に、無表情のままスザクは続ける。
「君は止めるかい」
「…………」
ライは目を瞑り、ゆっくりと首を横に振ることで否定の意志を示した。
「…そうか」
沈黙
この時、二人が相対してから初めて、スザクの様子に変化があった。
痛みを耐える様に顔を少し顰めると共に、躊躇いがちに言葉を発する。
「…今までの自分を放棄する俺を、軽蔑するかい」
スザクの変化に当然ライは気付いたが、沈黙を守り、同じ動作を繰り返す。
平坦な表情で行われるそれは、胸中の苦悩を押し込めるかのように頑なであった。
(軽蔑か…)
幾度めか分からぬ自嘲がライの精神から滲みだす。
この目の前の親友は自分の過去を、今まさに自分たち二人の憎悪の対象となっている仮面の男と同じ事を、同じ罪を犯してきた自分の過去を知ったならば、どうするだろうか。
そんな疑問が彼にはある。
支援
支援
それこそ軽蔑どころではないだろう。
(…殺される、まではいかなくても、結局は)
‘死’というものに対してライには恐れはないし、幻想も抱いていない。
むしろ望んでいる、と言ってしまってもいいかもしれない。
しかし彼に、枢木スザクに殺されることは、さらに言えば彼の記憶において、自分がそのような存在と見なされることは避けたかった。恐れていた。
今さら何を、と自身を恥じる気持ちは当然ライにはあるし、それが卑怯であり、調子のいい逃げでしかないのだと突き放す分別もある。
だが、頭では理解していても――――
それゆえの沈黙であり、目を開き、発せられたライの言葉は、彼の胸中の葛藤や過去を知らないスザクには特別な印象を与えなかった。
あるいはそれが、今のライに踏み出せるギリギリのラインであったのかもしれない。
「私には君を軽蔑する資格なんてないよ、スザク」
――何故ならば、自分こそが彼以上に軽蔑されるべき存在であるから
「同じだよ、私も。憎しみに囚われたままに、力を振るおうとしている」
――そう、同じだ。あの仮面の男と同じ、最低の人間だ
「だけど君は日本も諦めないだろう?」
――私が‘未来’を、大切な人達が笑って過ごす瞬間を守りたいと思うように
「でも、それだけじゃダメだ。君は」
――決定的なところで、君と私は違うのだから
支援
支援
突然饒舌になったライに少し驚いていたスザクだったが、早口に切り上げたライに続きを促すように真っ直ぐな視線を向けた。
受けた視線に同じく目を向けながら、このあたりの誠実なところはこんな時でも変わらないのだな、とライは妙な点に感心していた。
彼の口は、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「君は自分のことを、枢木スザクのことも…諦めるな。日本と同じように、自分のことも嫌いになるな」
発せられた、優しく、甘美な響きを帯びた言葉にスザクは目を細め、しばし視線を床に落としてから、かぶりを振る。
今の彼にとってはあまりにハードルが高く、魅力的な行為。だが、この期に及んでそれは無理というものだ。
大体どうして、その様なことができようか。
日本を想いながらも、今から自分がやろうとしている事は、ある意味日本を殺すこと。
しかも個人的な復讐のために、だ。これまでの自分の行ってきたエゴの中でも最上位に入るかもしれない。
その後どんなに償うと誓おうと、美辞麗句を並べたてようと誤魔化せない。
‘同胞殺し’
ふと何度も浮かんだ単語が、この時は今まで以上に自分に似合っていて、スザクは心中で苦笑をもらした。
けれど、自分を止めることはできない。
たとえ間違っているとしても、それを彼女が望むはずがないとしても、命を捨ててでも大切なものを――自分の彼女への想いを貫き通したいのだ。
ああ、なるほど。
そう考えた瞬間、神根島、二人で焚き火を前に向かい合った真紅の少女の言葉がすとん、と胸に落ちてきた。
『命よりも大切なものって、あるでしょうっ!!』
そういう事なのかもしれないな。スザクは思う。少し、気付くのが遅すぎたみたいだけど。
支援
支援
「君は枢木スザクを、捨ててはダメだ」
――今ならまだ間に合う。君は引き返せる
思考を一旦そこで止め、スザクは真っ直ぐに視線を向けてくれるライの言葉を胸に刻む。
この親友は、こんな時まで自分に新たな目を与えてくれる。本当に、自分にはもったいない存在だ。
けれど、此処だけは、譲れない。今の自分を許すなど、俺にはできない。
困ったように寂しげな笑みを浮かべながら、否定の意を返そうとするスザク。しかし、彼を遮るようにして放たれたライの言葉は、スザクの目を見開かせ、四肢の自由を奪った。
「ユーフェミア様の好きになった、君だろう!」
――スザク、君は、私のようになってはいけないんだ!
支援
支援
今回はこれで終わりです。支援大変ありがとうございました。
>>334 GJーー!!!!
燃 え た 。
息をつかせぬ展開に、気がついたら呼吸も止めてました。
>>334 GJ!
クラブvsガウェインはゲームにはなかったので、とても燃えました。
スザクとライの会話も文章が上手で読みやすい!
続きが楽しみすぎます
次回の投下を心よりお待ちしてます!
>>334 コウ卿、全力で、全身全霊をもって、GJでした!!
胸が、目頭が熱くなり、最初から最後まで徹底的にクライマックスなテンションで読ませていただきました!
燃える展開、悲しき心情、このほとばしる熱いパトスをどうすればいいんだ!
素晴らしい、とても、大変素晴らしきあなたのSS、こんなカタチでいただきマシタ!
おおおおお願いです、コウ卿、続きを全力で待たせていただけますか!?
GJ!
ルルーシュ死んだw
まさかこのあと血と内臓でぐしょぐしょになったC.C.が責任とって契約者かわれとかいいにくる展開かな?
恐いな…
コウ卿の投下完了宣言より15分経ちましたので、お知らせを。
>>186 ご指摘の箇所、修正しました。
>>241 ありがとうございます。至らぬところ多々ある私ですが、これからも宜しくお願い致します。
>>287 >>283氏
>>284氏
>>285氏 が指摘された分に加え、以下を修正しました。
機関車の囲まれたまま → 機関車に囲まれたまま
ギアスの見てからは変な遊びタイム → ギアスを見てからは変な遊びタイム
僕をほうを指差して笑った。 → 僕の方を指差して笑った。
ロロの手にいぎられたナイフ → ロロの手に握られたナイフ
元教団の教主様 → 元嚮団の嚮主様
……そして。
千葉様、誕生日おめでとうございます。我々保管嚮団よりささやかではありますが、贈り物をさせていただきます。
―千葉凪沙、部屋創設―
GJ!
素晴らしい。ライの悲痛な叫びが聞こえてくるかのようでした……
もしユフィがこの二人の姿を見たら、きっと悲しむだろうし、二人もそれをわかってる。
でも、やっぱり譲れないんでしょうね……改めて、GJでした
>>339 なん……だ……と? トーマス卿、あなたは……!
粋な男だなぁ畜生! ならば俺も、千葉さんに贈り物をしようじゃないか!!
というわけで、投下してもよろしいかな
支援します
GJを言わせてくれ!臨場感が伝わってきて手に汗握りながら読んでましたよ!
コウ卿の連載再会…この数日うれしいことばかりです。もういちどGJ!
>>339 トーマス卿…なんて憎い。やることが憎いよ!
あなたならやってくれると信じてたぜ!
では行こうか、すべてのライ千葉好きよ。
らぶらぶな作品じゃないのが残念だが、千葉さんが出るから許してほしい!
では行くぜ! 俺はやるぜ!!
お久しぶりです!支援
おお……お久しぶりです!部屋を作った甲斐があったというもの!
皆様すいませんが、支援の方よろしくお願いいたします。
目の前で繰り広げられる巨人の戦いを、ギルバートは息を呑んだ。
両者の間に、奇策も秘策も無い。敵を打倒する為、ただ己の力を揮うのみ。
より速く、より重く。ただ愚直に、苛烈に、凄絶に、真っ向からぶつかりあう。
たった、それだけのことなのに。その様は、あまりに美しかった。それこそ、
武骨な鉄の巨人を、栄光と共に語り継がれる伝説の騎士の姿に見紛うほどに。
だが、それも当然。この伝説の再現とも言える光景を作り出しているのは他ならぬ、ナイトオブラウンズの一人。
世界広しと言えども、「アーサー王伝説」に登場する最強の騎士達の称号を与えられている彼等以外に、
これほどの境地に至れる者はいまい。
で、あるならば。
「何者なのだ、あの敵は……! 相手はあのナイトオブナイン、ノネット・エニアグラム卿だぞ!!」
ギルフォードを戦慄させている、当のライ本人は知る由もないことだが。
アーサー王と共に、ブリタニアに今も語り継がれる伝説の王がいる。
短く苛烈な生涯を歩みながらも、その輝かしい功績から今尚多くの人々を虜にしている王。
多くの騎士達を率い戦ったアーサー王が騎士の王ならば、彼は、孤独の王とでも言うべきか。
偶然か、それとも神の悪戯か。その王の名は、ライサンダーと言った。
おまかせあれ!支援!
いきなりミス! こちらを保管お願いします。
目の前で繰り広げられる巨人の戦いを見て、ギルバートは息を呑んだ。
両者の間に、奇策も秘策も無い。敵を打倒する為、ただ己の力を揮うのみ。
より速く、より重く。ただ愚直に、苛烈に、凄絶に、真っ向からぶつかりあう。
たった、それだけのことなのに。その様は、あまりに美しかった。それこそ、
武骨な鉄の巨人を、栄光と共に語り継がれる伝説の騎士の姿に見紛うほどに。
だが、それも当然。この伝説の再現とも言える光景を作り出しているのは他ならぬ、ナイトオブラウンズの一人。
世界広しと言えども、「アーサー王伝説」に登場する最強の騎士達の称号を与えられている彼等以外に、
これほどの境地に至れる者はいまい。
で、あるならば。
「何者なのだ、あの敵は……! 相手はあのナイトオブナイン、ノネット・エニアグラム卿だぞ!!」
ギルフォードを戦慄させている、当のライ本人は知る由もないことだが。
アーサー王と共に、ブリタニアに今も語り継がれる伝説の王がいる。
短く苛烈な生涯を歩みながら、その輝かしい功績から今尚多くの人々を虜にしている王。
多くの騎士達を率い戦ったアーサー王が騎士の王ならば、彼は、孤独の王とでも言うべきか。
偶然か、それとも神の悪戯か。その王の名は、ライサンダーと言った。
支援
投下作品すべてに感想を書ける人は本当にすごいと思うんだ。
これもスキルなんだろうね。
>>222 KOUSEI卿お疲れ様でした。
ライトテイストな作品は読みやすいので好きですよ。
R2本編が重い&斜め上な展開になっているので、卿の作品には
いい意味で癒されてます。ありがとう。
あと、蛇足かもしれませんが歌詞の部分は伏字にした方がいいかもしれません。
まあ、何だかんだと問題になりやすい部分ですので。ご一考いただければ幸いです。
>>278 ワラビ餅卿お疲れ様でした。
初期のぶっ飛んだ空気はどこへやら、今回はちょっとしんみりしたお話になりましたね。
これもまた特区あの世なんでしょう、きっと。次回を楽しみにしています。
(強いな……)
一太刀交えただけで、ライは相手が自分に匹敵する存在であることを悟った。
超人的な速度と精確さを持って無頼改を操り、その驚異的な集中力で時間を切り刻む。
相手が並みのパイロットであれば、今のライにはまるで止まっているかのように見えたことだろう。
だが、この敵は違った。敵はライと同じ速さで動き、考え、ライの命を奪おうとその凶器を微塵の無駄も無く振ってくる。
ライの刀と敵の槍。両者の間でお互いの武器が間断無く打ち合わされ、その度に辺りに火花が散る。
強敵の一瞬の隙を見逃さず、自分で称賛したくなるほどの斬撃を相手に見舞う。
これ以上無いというタイミングで放ったにも関わらず、敵は傷つきながらも躱してのけた。
その事実にどうしようもないほど苛立ちながらも、ライは歓喜した。
よくぞこれほど練り上げたと。こうして、自分の前に立ちふさがってくれたと。
自分が徐々に興奮しだしていることを自覚しながら、態勢を整える為に一旦距離を取ろうとした瞬間、
厭らしいと表現したくなるほど精確な銃撃が加えられる。死に物狂いで回避したが避け切れず幾つか貰う。
初めて自分に銃弾を食らわした敵。てっきり白兵戦を得意とするタイプだと思っていたのだが、
射撃の技術も超一流らしい。背筋に寒いものを感じながらも、ライは自分が笑っていることに気付いた。
「どうかしているのかな、僕は」
互いの命を賭けた、極限の連続。だからこそ、その心地良い緊張感に身を浸し、ライは笑っていた。
記憶を失う前の自分が何者であるのか知らないし、神など信じてさえいないが、今だけは、神に感謝しよう。
この、素晴らしい宿敵に出会わせてくれたことを。
支援
支援
やらかした。また投下中に感想おとしちまったよ……orz
支援
支援
敢えてコテハンで
>>351 え、歌詞?どこですか!?
フェイントを交えた自分の槍捌きを、全て完全に防ぎきって見せた青い機体のパイロットに、
ノネットは敵ながら手放しの称賛を贈った。よくぞ、この私にここまで付いて来れるものだと。
この敵の実力はどう控え目に見積もってもラウンズクラス。自分と互角か、或いはそれ以上の力の持ち主である。
実際、この敵から感じる不気味なまでの底知れなさは、彼のベアトリス・ファランクスの持つそれに似ていた。
今のノネットは思考して戦ってはいない。ただ本能が発する"ヤバい"という警鐘に応えるまま腕を振っているに過ぎない。
どこからか這い寄る死の気配を感じた。こんな感覚は彼女にとってとても久し振りで、懐かしいとさえ思った。
油断が死に直結する本当の死闘。状況が状況でなければ、さぞや愉しい闘いになっただろうに。
いや、違うか。自分は既に、この殺し合いを愉しんでいる。
(殿下の身が危ないというのに、私は……)
湧き上がる衝動を抑えられない。高揚する精神。嘗てないほど力強く鼓動する心臓から送り出される血液が、
ノネットの騎士としての闘争本能を加速させる。悲しいかな、武人の性とでも言うべきか。
敵の刃が、グロースターの装甲を削る。危うく両断されかけたことにひやりとしても、
躍動する身体の高ぶりが、熱が、すぐさま身を焦がし突き動かす炎となって彼女を戦わせる。
「あはっ! そこでその動き!?」
距離を取る敵に向けた銃弾は、常軌を逸しているとしか思えない敵の回避行動のために、ろくなダメージを与えることが出来なかった。
その動きをみて確信する。この敵は、自分の宿敵とも言える存在であると。そして今だけは、神に感謝しよう。
この、素晴らしい宿敵に出会わせてくれたことを。
支援
歌詞の話が出てますが、大丈夫ですか? 中断しても良いですが
支援
>>359 気にせずどうぞ。
どこだろう……
某歌姫の歌詞では?
支援
中断させてしまって申し訳ありません。
投下終了後でも問題ないと思いましたが、先に言ってしまいます。
>>203の下から二行目
「静かな〜、この夜に〜、あなたを〜。待ってるの〜。」
一応タイトル付でCDに収録されてます。
問題の部分もわかったようなので、投下を再開しようと思いますが、よろしいですか?
支援しますよー
支援します!
では、次から再開します
鋼鉄の侍と鋼鉄の騎士。両者が繰り広げる攻防は、荒々しく、何もかもを破壊するほど暴力的であった。
だというのに、何故か。千葉には、闘いに興じるその姿が、美しいとさえ思えた。
自分如きでは至れぬ強さを目にしたことへの諦観もなく、
依然として変わらぬ、自分の置かれた危機的状況さえも忘れて。
呆けたように、その美しい闘争に見惚れていた。その闘争の主役たる、青い無頼改に。
先程助けられたからか。或いは、彼が振るう得物が千葉にとっても馴染み深い剣であるからか。
千葉は彼の一挙一動から一瞬たりとも目を離せずにいた。
大胆にして繊細。剣の扱い方が日本のそれよりも、寧ろ西洋的なものであることに千葉は気付いたが、
一見力任せな一撃一撃は、彼女は到底真似できぬ技術によって放たれていることを彼女は理解していた。
同時に、この場にいた誰よりも両雄の闘いを見続けていたからか。千葉は徐々に、
本当に少しずつだが、敵が彼の動きに追い付かなくなっていることに唯一気付くことの出来た人間だった。
相手は千葉が最高の武士と信じて疑わない藤堂をして苦戦を強いられた強敵を、
千葉自身に、圧倒的な実力差を思い知らせたあの鬼神を相手に。
「黒の騎士団……ゼロがいなければ何も出来ない連中と思っていたが、こんな男もいたのか」
千葉の呟きと共に、両者の機体が距離を取った。唐突に訪れた平静に首をかしげた千葉も、
全体図でブリタニア、黒の騎士団両軍の動きを見てその意味を悟った。
『どうやら、お前さんの大将は殿下の首を獲り損なったみたいだね』
『そのようですね』
『おまけに、黒の騎士団の連中は徐々に撤退し始めてるようだし。
まぁ、私でもそうするがね。ゼロも引き際は心得ているようだ』
『そのようですね』
青年は淡々と応じているが、両者の立場は逆転していた。
『随分と落ち着いてるじゃないか。さっきまでは、私達が攻められてた。
殿下の元に急ぐ私達を、お前が通せんぼしてたわけだが、今となっちゃあ、
撤退しなきゃならないお前を、この私が通せんぼするわけだ』
『そうなりますね』
支援
支援
支援
あくまで冷静に対応する青年に、相手は少々驚いたようだ。
その驚きは、千葉も同様。戦場に広がっていた混乱は収束しつつあり、
更に藤堂達と親衛隊との数の不利を埋めていた「コーネリアの危機」という要素が消えた以上、
敵は援軍が到着するまで時間を稼ぐだけでいい。それこそ、先程まで千葉達がそうしていたように。
見れば親衛隊は青年と向き合っているグロースターを中心に陣形を変え、
藤堂達も破損している千葉の機体を中心の陣形を取っていた。
『千葉、機体はどうだ』
「……動かすだけならば、可能です」
藤堂の通信に、苦渋の表情を浮かべる千葉。
それはつまり、戦闘行動は不可能であるということだった。
千葉の言葉を受け、藤堂は無言のまま厳しい表情となった。
青年の協力を得られれば、包囲の一点突破も可能であるかもしれなかった。
尤もそれは、全員が万全の状態であればの話であったが。千葉を庇いながらでは、それも難しい。
じりじりと消耗し、時間を稼がれ、藤堂達は全滅するだろう。
(それだけはだめだ)
奇跡の藤堂は、藤堂鏡志朗は、日本の希望だ。絶対に失ってはならない人物だ。
自分如きのせいで、独立への火を消すわけにはいかない。
意を決し、千葉が口を開こうとした矢先に。
『あはははは! 気に入った。今回は、私が退こうじゃないか』
場違いな楽しげな笑い声と共に、グロースターのパイロットは言い放った。
支援
『どういうつもりですか、エニアグラム卿!』
動揺と怒気を隠しきれぬギルフォードの言葉に、ノネットはあくまで軽い調子で応じた。
「どういう、と言われてもね。言葉通りさ。殿下は無事だったし、私は楽しんだ。
充分じゃないか。分かったら、とっとと帰るぞギルフォード」
『何故ですか! 今ならばあの藤堂を、そして黒の騎士団のエースを討てるのですよ!』
言い募るギルフォードにからっとした笑顔でノネットは言った。
「黒の騎士団も馬鹿にしたものじゃないな。こんなに楽しかったのは久しぶりだよ。
こんな楽しい男を、こんなところで潰してしまうのは勿体無い」
『何を……相手は敵なのですよ!』
「そんなことは分かってるよ。だが、そう決めてしまったのだ、しょうがないだろう?
どうしてもと言うなら止めはしないが、私は先に帰らせてもらうぞ。
私でもキツい相手に、果たしてお前でどれくらい持つかな? 五……いや、三分持ったら褒めてやるよ。
お前でそれなら、果たして他の奴はどれくらいやりあえるかな?」
『……』
ぐっ、と言葉に詰まるギルフォード。ギルフォードとて帝国に名の知られる騎士の一人だが、
ナイオブラウンズの中でも凄腕で知られるノネット・エニアグラムの実力は、次元違いと言っても過言では無い。
そのノネットをして「厳しい」と言わしめる敵と戦うのは、出来るならば避けたいのが正直なところだ。
支援
支援
『……それほどの相手ですが、あの青い機体のパイロットは』
「強い。そしてそれ以上に底知れないねぇ。
隠したって何にもならんから言うが、正直冷や冷やしっぱなしだったよ。
なんたって手を抜いてるようには見えないのに、本気にも見えないんだからな。
まるでベアトリス……あ、今急激に死にたくなった」
憂鬱そうな溜息を吐き何やらぼやいているノネットの言葉は、最早ギルフォードに届いていなかった。
ベアトリス・ファランクス。元ナイトオブラウンズにして、現皇帝主席秘書官兼特務総監。
現在のナイトオブワン、ビスマルク・ヴァルトシュタイン。そしてそのビスマルクに匹敵すると噂される、
ナイトオブフォー、ドロテア・エルンスト。最強の帝国軍の中で、最強の存在であるこの両者をして、
「負けるとは思わない。だが、勝てるとも思えない」
そう言わしめたほどの、まさに化け物。まだあれで二十代半ばだというのだから、末恐ろしい。
そのベアトリスの強さを知るノネットに、まるでベアトリスのようだと口にさせるほどの相手。
自分が怖気立っていることを、ギルフォードは認めざるを得なかった。
「まぁ、なんだ。あれだけ堂々と言ってしまったんだ。
ここは私の顔を立てると思って一つ、退いてはくれないかギルフォードよ」
『……Yes, My Lord』
「すまんな」
『いえ……こちらこそ、感謝しています。では』
通信を終えると、ギルフォードは部下に撤退を指示した。
部下達は不満気であったが、ギルフォードの厳しい表情を見て不満を呑みこみ、撤退を開始した。
「と、言うわけだ。お前も、とっとと帰るといい。
……ああ、そうだ」
言いつつ、自身も機体の踵を返したノネットは、無言のまま佇む宿敵に目を向けた。
「お前、名前はなんて言うんだ?」
四円
ライは次々に撤退していく敵を油断なく見据えながら、
目の前の酔狂な敵の言葉にどう答えるべきかしばし思考した。
感情としては、名を尋ねられた以上名乗ってやりたいところであるが、ライが名乗ることで軍にライという人間を特定され、
ミレイや学園の友人達に危害が及ぶ可能性がある。それはあってはならないことだ。
だが、自分を見逃すと言った―――それもただ純粋に、惜しいと考えただけでそれを決めた―――敵を、
無碍に扱いたくないという気持ちも確かなのだった。
ライはしばし黙考し、ふと浮かんだ自分の考えに苦笑する。
我ながら気取った、滑稽な名だ。センスを疑う。だが、言い得て妙かもしれない。
そうしてライは、その名を、後にブリタニア軍の中で畏怖と共に語られることになる、
黒の騎士団としてのライの名を口にした。
「亡霊(ファントム)」
『なに……?』
「僕の名だ。ファントムと、そう呼んでくれ」
ライの言葉を聞いた相手は初めこそ黙り込んでいたものの、
やがてわざわざ機体の肩を揺らす、などという真似をして見せるほどに大笑した。
『あっはっはっはっは! これは良い!! ゼロの部下、ファントムか!
全くどうして、ふざけてるようで似合ってしまうのだから面白いな!! そうか、ファントムか!』
ひとしきり笑った後、相手は相も変わらずの楽しそうな声で告げた。
『私はナイトオブナイン、ノネット・エニアグラムだ。また何れ、剣を交えることもあるだろう。
その時を楽しみにしているよ、ファントム』
それを最後に、今度こそノネットは去って行った。
その背中を見送ると、ライは藤堂達に向き直る。傷ついた機体に手を貸しながら、
あちらも撤退するところのようだった。
「では、僕もこれで失礼します」
『助太刀、感謝する。名は……ファントムで宜しいかな?』
意外にユーモアのある人物だったらしい。悪戯っぽいとも言える笑みを浮かべる藤堂を見て、
自分自身で名乗っておきながら、今更ながらに恥ずかしくなるライ。
「あー、いや、その……」
ライが言葉を探していると、他の機体のパイロット達からも次々と通信が来た。
『いや、正直助かったよ。ところで、名前はゼロに合わせたの? それともゼロの命名?
なかなか、良いセンスしてるねぇ』
『なんと、こんな若者だったとは……ワシも負けてられんわい。
まだまだ強さを磨く機会を与えてくれてたことにも、感謝せんといかんな』
『全くだ。折角生き残ったんだからな。それに、先程の戦いで何か掴めた気もする。
次はブリタニア共をもっと叩き斬ってやるぜ。それにしても……』
ずいっと、通信ウィンドウに四聖剣の一人の男―――卜部の顔がアップになる。
不躾なまでにじーっと自分の顔を見詰めてくる卜部に動揺するライ。
しかし男の顔のアップの、なんと暑苦しいことか。
「あの、なにか……?」
『ああいや、すまんすまん。あれだけ強い奴だから、一体どんな奴かと思っていたら、
こんな華奢な色男だとは思わなかったものでな』
「はぁ……?」
何とも反応に困る発言である。はっはっはと笑う卜部を遮るように、新たなウィンドウが表示される。
支援
整った、凛々しいシャープな顔付き。短く切り揃えられた黒髪の艶やかさは、大和撫子だからこその美しさだろう。
綺麗な人だ。不謹慎と思いつつも、ライは素直にそう思った。
『仲間が失礼した。気を悪くしないでもらいたい』
「あ、いえ」
『私は四聖剣の一人、千葉凪沙。先程、あなたに助けられた無頼改のパイロットだ』
為す術なく敗北したのが悔しいのだろう。千葉の顔に浮かぶ表情は硬い。
「そうでしたか、間にあって良かった。怪我はありませんか?」
『問題無い。まだまだ戦える。尤も、あなたがいなければ、今頃どうなっていたか分からないわけだがな。
あなたには借りが出来た。いつか、この借りを返せればいいのだが』
そこで一度区切ると今までの真剣な顔つきから一変、戸惑うような、恥じらうような表情を千葉は浮かべた。
その変化の理由が分からずライは内心で首を傾げた。
「あの、なにか?
『あ、いや……』
『千葉、名残惜しいのは分かるけど、藤堂さんが先程からお待ちだよ?』
『なっ!? も、申し訳ありません中佐!』
眼鏡をかけた男―――朝比奈のからかうような指摘を受けた千葉は、
微笑ましいほどに動揺を見せると、最後にライに頭をさげ、通信を終えた。
『では、私達はこれで失礼する。また君と共に戦う日があったなら、必ずや君の力になろう』
「ありがとうございます。その時は、頼りにさせて頂きます」
ライの言葉に力強く頷いた後、藤堂と四聖剣は去って行く。
ライもまた、予め指示されたルートを使い、撤退を開始した。
こうして、ライに幾つかの出会いを齎したナリタ攻防戦は、
明確な勝者もいないまま……痛み分けに近い形でその幕を下ろしたのだった。
支援
以上になります。
ギルフォードファンの人、なんかギルフォードが雑魚みたいに書いてすいません。
でもゲームの模擬戦で、あっさりやられたのが印象に残っているもので、
今回はこういう形にしました。
とりあえず千葉さんの誕生日に間に合って良かった。満足です。
それでは、まあぁぁたみぃぃてギィィアスゥゥ!
GJ、お疲れさまでした。途中、遮る形になってしまって申し訳ありませんでした。しかし、事が事だったので何卒ご容赦願います。
以下、質問兼確認
・
>>349に於いて、「ギルバート」と「ギルフォード」が混在しているのですが、如何いたしましょうか?
・カップリング表記は如何いたしましょうか?
コウ卿へ。歌詞引用の件ですが、あの程度ならば大丈夫です。ご安心ください。
GJ!
相変わらずのハイクオリティな文章、ゴチになりました!!
また見るギアスww
千葉はライの嫁卿
GJ&乙でした!途中トラブルもありましたが…
千葉ライのファーストコンタクトですね?続けばどうなるのやら…
次の投下を楽しみにお待ちしております!
さて、0:25から投下してもよろしいでしょうか?
>>384 ……あ。畜生、ギルめ。ギルバートとギルフォードってややこしいんだよ!
俺の名前もそうですね、すいません。
ギルフォードで統一お願いします。どうもすいませんでした。
カップリングは……どうなんだろう。The reborn world自体ヒロインはもちろん千葉さんなんですが、
それらしい描写もないしなぁ……まぁ、千葉さんの部屋が出来たから、せっかくだからカップリング決めとこう。
というわけでカップリングはライ千葉でお願いします。重ね重ねすいません。
>>383 ライは千葉の嫁卿、GJでした!
燃えるね、ただ、ライ千葉というよりかライノネに見えそうです
あと、なんかライの強さに違和感が……もっとこう、ギリギリ食らい付くみたいな
本編でスザクと二人がかりでやっとこさ、みたいなかんじだったので
次の投下をお待ちしております、そう、全力で!
>>386 支援しましょう
投下前に質問いいですか?
ライが名前だけで別人っていう作品は投下できるものでしょうか?
>>387 了解しました。領地よりご確認ください。
皆様、少々早いですがお先に失礼いたします。支援、宜しくお願い致します。
支援しますよー
>>388 そこは、ほら、せっかく千葉さんの誕生日に投下したんだし、
千葉さんの部屋も出来たんだし、という、ことじゃ、だめ……ですかね?
ライの強さは、俺もやりすぎかとおもったんですけど……R2が俺の感覚を狂わせたとしか
GJ!
とりあえずナリタだけでも読みたいなと思ってましたが、これだけのクオリティの物読まされたら続きも読みたくなってしまった。
黒の騎士団合流後でも街中で偶然ノネットと知り合ってしまうエピソードでも何でもいいのでこの話も単発ではなくシリーズ化希望!
2,3分程早いですが…
ベテランの皆様の連載が再会される中、1日に1回は投下しているブランフォードです。
今回も雷鳴の慟哭の続きです。
人を殺すシーンがありますが、あっさりしてるので大丈夫かと…。
ライの感情の起伏が激しくなってるので、嫌ぁ〜、という人もいるかもしれませんが
がんばって投下します。
私自身長編が初めてなせいか、気付かないところで矛盾が起きてるかもしれません…汗
その時は、うまく理解していただければ幸いです。
5レスくらいです。支援のほうお願いしますでは、参ります。
394 :
雷鳴の慟哭:2008/09/02(火) 00:25:42 ID:bsGFq+0n
〜第3話〜 復讐の果てに
仇をとりにそのまま行こうとしたが、紫音や母上の遺体をそのままにしておくわけにはいかないと思い、私は復讐のときまで冷静になろうと心に決めた。
「ラ、ラインフォード様…。」
兵士の1人が私に話しかける、紫音と母上のために死んでいった兵士たちも5人になってしまった。
「今まで、よく戦ってくれた。もうこの国は終わりだろう…。お前たちは生き延びるのだ。」
「ラインフォード様は、どうなさるのですか?」
「私か?……北の奴らを皆殺しに行ってくる。」
淡々と喋る私に、兵士は動揺していた…。
「し、しかし、お一人などと…!危険です!私たちも最後まで―――」
「もうよい…そういえば、お前たちは前線に出てたな?」
「は、はい…。出てましたが?」
「そうか、ならば悪いが、この力使わせてもらう…。」
「な、何を!?」
私は息を吸い込み、静かな口調で命令する。
「ラインフォード=エス=ブリタニアが命じる。お前たちはこの地を離れ、生き延びよ。」
ギアスはかかった、かかったはずだった…。
「わ、私は、さ、最後まで、ラインフォード様と……ぐ、うぐっ、うおぉぉぉぉ!!」
抵抗してるのか?それほどまでに…。
「分かりました、命令に従います。ラインフォード様、お元気で…。」
「あぁ、お前たちもな…すまない…。」
これで良い、これで…。傷つくのは私一人で充分だ。
そして、私は今まで雨に濡れていた、紫音と母上を担いで城まで戻ることにした。
支援
別にベテランというわけではないですが……
支援
397 :
雷鳴の慟哭:2008/09/02(火) 00:28:05 ID:bsGFq+0n
「最期くらいは綺麗な服を着たいですよね?」
私は2人をベッドに寝かせ、服を取りに行き、着替えさせた。
着替えさせているときに2人の腹部に致命傷でもある、剣の刺し傷があった。それを見ると、怒りと共に悲しみも込み上げてきた。
「母上、紫音…。」
愛しいように呟く、そうすると、2人の最期が脳裏に浮かんだ。
母上、遠い地から来たと言われる、黒髪の素敵な女性だった。母上の占い、といったか、それはほぼ確実に的中するものばかりで、教えられることが多かった。
最期に遺した言葉も、占いからの予言なのだろうか?真実は母上にしか分からない。
紫音、私のたった一人の妹…今までは気付かなかったが最期に、私を愛してると言ってくれた優しい妹。きっと、私も愛していたのかもしれない…ただ、その気持ちに気付くのが遅すぎた…。
守れなかった、大切な人だったのに、私よりも輝ける未来があったはずなのに…!
「母上、紫音…今だけは、今だけは『皇 頼』として、泣いても良いですか?」
そして、私は泣き続けた…もう2度と俯かないために…。
―――――どれくらいの時間が経っただろう?外にはまだ、雨が降り続く。
「さて、行くか…後悔の時間はもう、終わりだ。」
その手に剣を掴む、すると刀身に自らの目が両方、赤い鳥の模様がついているのに気付いた。意識していないのにギアスがスイッチしている。これはもしや―――
支援
399 :
雷鳴の慟哭:2008/09/02(火) 00:31:11 ID:bsGFq+0n
「暴走…か。」
「(そうだよ、君のギアスはもう既に暴走している、それでも行くのかい?)」
「私はもう孤独になった、これが暴走してようと、してまいと関係は無い。むしろ、好都合だと思っている。これから復讐をするのには最高の状態だ。」
思わず唇が歪む、もうそろそろ私は正気でいられなくなるからだろうか。
「(ふ〜ん、でも死なないでね?僕の願いが、叶えられなくなるから。)」
「ふっ、それは出来ない願いだな。私は全てが終われば死ぬつもりだ。」
「(それは、させないよ。君は自由には死ねない、僕と契約したんだから。君の命運は僕が全て握ってると、言ってもいいよ?)」
「そうか、それならば好きにしろ…どうなろうと、私の知ったことではない。」
「(自分のことなのに、他人のことみたいだね?まぁいいけど、それなら僕の自由にさせてもらうよ。だから、勝手に殺されないでね?)」
0.0.が嫌な笑い声を出す。
「嫌な笑い声だ、安心しろ、殺されることはまずない。もう、話しかけるな。私は復讐に行く。」
そういって、私は一方的に会話を切る。
「さて、復讐を始めるとしようか…。紫音、待っててくれ、必ず北の奴らを抹殺して見せるからな。」
そんなことを紫音が望むのだろうか?と、考えることもなく私は「疾風」に跨り、北の地を目指した―――――。
支援
支援。すいません、これにて落ちますので。
では皆様、あまり夜更かしせぬようお気をつけください
402 :
雷鳴の慟哭:2008/09/02(火) 00:35:07 ID:bsGFq+0n
どれだけ進んだのだろうか、気がつけば北の国との国境にいた。
「ずいぶん来たのだな。すまんな、疾風、お前には無理をさせたな。」
疾風は疲れた様子もなく、猛々しく鼻を鳴らした。
ここから先は私にとっても未開の地、どうなるか分からない、私は馬から降りて歩いていくことにした。
「疾風、私はここから歩いていく、だから、ここで待っててくれ。」
疾風は静かに地面に座る。……すまない、疾風、戻ってくることの無い主を恨まないでくれ。さよならだ、我が愛馬「疾風」よ…。
疾風と別れ、しばらく歩くと見張りと思える人物が2人ほど見える。
「ん?き、貴様は狂王!ラインフォード=エス=ブリタニア!?」
「な、何!?何故、ここにい――――」
言い切る前に切り殺す。そのような声すらも憎悪の対象になる。
「私は、ラインフォード=エス=ブリタニアではない!!私の名は、雷だ!!」
名乗ると同時に雷が落ち、復讐心にも火がついた。
「ひ、ひぃっ!!」
「死んでいった者たちに地獄で詫びるのだな!……死ねっ!!」
「た、助け……ぎゃあああああ!!!」
切り捨てた後、剣の血を払いとる。
「ふはは、脆いものだな!?人間は!こうも簡単に死んでしまうとは…!!これならば、簡単に滅ぼせる!!クックックッ、ハハハハハハハ!!」
私はそのまま狂気に陥った。
「蛮族どもよ!我を恐れよ!!我が名は雷っ!貴様たちを地獄へと導く死神なり!!」
そして、気付けば女子供も関係なく皆殺しにしていた。
支援
404 :
雷鳴の慟哭:2008/09/02(火) 00:38:28 ID:bsGFq+0n
正気に戻ったとき、自分のやったことを思い出していった。
女子供関係なく殺し、束になってかかってきたらギアスを使い殺し合いをさせた。
まさに、「狂王」。
「ふふ、何が…何が『信頼の王』だ。やってることは蛮族どもと同じではないか…。
母上はこのことを伝えたかったのかもしれない…。紫音、ごめん…私の両手は許されないほどに血に汚れすぎた…。」
思わず、私の目から涙が零れる。
「あれ、おかしいな?もう、後悔しないって決めたのに…。もう、疲れた…。0.0.いるんだろ?出てきて私を好きにしてくれ。」
そういうと、後ろから人影が見えた。
「やぁ、お疲れ様。どうだい、蛮族どもと同じことをした感想は?」
私には何も返す言葉が無かった…。
「聞いても、無駄か…。つまんないの。さて、きみには少しばかり眠ってもらうよ?」
「眠る?死ぬのではなくか?」
「うん、この地面のしたにギアス関係のものが埋まっててね、その装置を使って君には冷凍睡眠してもらうよ。」
「何故だ?」
「それは、言えないけど来たるべき刻が来れば分かるよ。まぁ、その前に封印を解かれるかもしれないけどね…。」
0.0.は意味深にニヤッっとした。
「ふ、そうかならば好きにしろ。今の私は何もする気が起きない。」
そして、私は目を閉じる。
「おやすみ…。」
0.0.が、そんなことを言った気がした。
「紫音、母上、どうやら僕はそちらに逝くことは出来ないようです…。でも、いつかそちらで会えたら、いい…な…。」
私は“王”になってから始めて自分のことを“僕”と言った。
そして、永く深い眠りに落ちた…。
時代は流れ、100年という月日が流れていた…。
支援
これにて、投下終了です。
ここから、LOST COLORSにオリジナル要素も混ぜ込みつつ執筆していく予定です。
とりあえず、この物語の序章は終わりです。次もがんばらなきゃ!!
>>401 遅くまでありがとうございました。明日(?)にでも、見ていただければ嬉しかったりしますw
ライが記憶を消してないのも何かの伏線かな
最後に支援ありがとうございました!また、よろしくおねがいします
>>406 ブランフォード卿、GJでした!
最初に聞いておく、馬の名前を出した意味は?
伏線とかなら答えは聞いてませんよ
暗いクライマックスですね、腹の辺りが引き締まるような暗さです
ここからどういう風に繋がっていくのか気になりますね
次の投下を全力で待たせていただきます!
トーマス卿
0022-0394のサブタイと本文の間に一行だけ改行お願いします
まだ誰かいるかな?
居れば、ちょっとだけ支援をお願いしたいんだけど。
いないっぽいな。
また明日にしておくよ。
支援します
って遅かったか・・・・・・
なんか可愛いなwww
ふと自分の感想がダジャレになってることに気付いた
orz
……もう寝よう
・・・画像板投下報告です。・・・
「ちびキャラーず」
トーマスさんが美術館にクロヴィス殿下を迎えたいと仰っていたことからいただきました。
主に生徒会の皆さん、他何名かにSSスレの発展を祈ってもらいました。
ギアス登場人物をDS盤上的に小さくしたものです。
横に長いので携帯の方には優しくない絵かも・・・
ご覧いただければ幸いです。
>>388 一応無頼改の性能はグロースターと同等だしな。
スザクというランスロット以外に騎乗するとヘボっていう足引っ張りもいなかったからありなんじゃないか?w
>>419 無頼改ってそんなに性能高いのか?
無頼ってサザーランドより旧式であるグラスゴーの改造機だったよな?
その無頼のカスタム機である無頼改が、サザーランドより上のグロースターと同等ってどんな魔改造だよ。
っていうか月下いらないじゃん。
もともと世代間の性能差はあんまりないらしいぞ。
紅蓮とかランスロット見てると凄い隔たりがあるだけで。
実際本編でもコーネリア親衛隊のグロースターと藤堂ら操る無頼改が
対等にやり合ってる描写があった 気がする
>>388 本編でギルフォードと藤堂が渡り合ってたくらいだからそんなに違和感無いぞ?
千葉はライの嫁卿も前ライが強くなってるって注意書きあったし
>>421 月下はグロースターと同等、もしくはそれ以上って性能らしいが
>>442氏の言うとおり本編のナリタ攻防戦で藤堂と四聖剣がグロースターと真っ向勝負できてる場面あったしな
凄いよこの月下、無頼とは大違いだ!
調べてみた。
無頼改
無頼の改良型。
指揮官機は白を基調としている。
出力を強化している他、刃がチェーンソー状の日本刀を装備している。
キョウトから日本解放戦線へ供与され、藤堂が指揮官機を、四聖剣が量産機を一度だけ使用。
設計上は第四世代ナイトメアフレームの強化改良型だが、第五世代のグロースターと互角の戦闘能力を持つ。
しかし、無理な強化の為か、熟練者でないとその性能を十分に発揮できなくなっているためか量産はされていない。
だそうだ
《画像版投下報告》
タイトル「千葉中尉誕生日記念(1日遅れだけど)」
もしゲーム中に誕生日イベントがあったらと思い、千葉中尉誕生日という事もありましたので描いてみました。
あくまでパロディということでお楽しみいただけたらと思っております。
よかったら見に来てくださるとうれしいです。
>>427 え?本当?
誕生日ってまままままさかさんじゅういt(ry
まるでマイナスのように言うが
未婚で30過ぎでしかもそれを意識してるっぽいとか
最高じゃないか
家に帰ったら、先に来てたライによるサプライズバースデーケーキで頬を染めるんだな
けどケーキキャンドルがしっかり31本立ってて複雑な表情になる千葉さんだ
お前ら・・・前向きだな
えっ!?千葉さんて31歳なの?
てっきら32歳だと思ってたよ
千葉(4×8)だけにwww
>>433 だれがうまい事を言えと…ww
でも、そういうのは個人的に大好きですwww
解放戦線>騎士団合流ルートで適当に
>431ケースを少しいただいた
いくらキョウトの支援があるとはいえ、こまごまとした物資までそう潤沢なわけでもない。
だからだろうか、おそらくはハンドメイドらしいいわゆる焼きっぱなしケーキのたぐいだろうそれを、
休憩に訪れたであろうその女性に見せながら、銀髪の青年はにっこりと笑う。
「見た目は地味ですけど、ちゃんと教わって作ったんで味は保障しますよ!」
先に休憩していた同僚達の一人が、青年の横から顔をだし彼女とそのケーキを見比べ
得心がいったようににやついた。
「卜部と厨房借りてなにやってんのかと思ったけど、そーゆーことかあ」
なおも、へええなどとわざとらしく言うその男の頭を、女の拳がごつりと容赦なく襲う。
眼鏡割れたらどうすんのとぼやく声をさらっと無視して、青年が彼女を席へとエスコートする。
最近本当にこの同僚達との付き合い方を熟知してきたものだと、内心笑いながらも、
少しばかりむずがゆい思いで女は椅子へ腰を下ろした。
なにしろ『当日』は作戦活動と重なって、この青年には残念がられたばかりだ。
だから、このケーキと、テーブルのセッティングの意味くらいは、わかりすぎるほどにわかっている。
む、とやや引きしめた表情で彼女が座ったのをきっかけに、他の同僚達もテーブルのまわりに集まってきた。
どこか緊張の抜けない姿に、青年が笑いかけそして口を開く。
「遅れちゃいましたけど、誕生日おめでとうございます千葉中尉!」
ろうそくの数の正確さが気になったものの、それでも喜びを隠し切れずに千葉凪沙は青年に、
そして同僚達に笑顔を返したのだった。
うおー…GJです。
やべぇ、床転がりまわりたいくらいの会心の作だと思います。
これで千葉スキーが増えそうな予感…www
>>435 GJでした!
しかし、「卜部と厨房借りて」で蒸しケーキとかいう
つまらんギャグが浮かんでしまったorz
>>435 GJッスよ
自分も千葉さんもの書こうとしたがPSPのロスカラやったことないから千葉さんがどんな感じかわからなくて挫折orz
>>438 すみません…。
個人的には、ツボだったんですが…「「卜部と厨房借りて」で蒸しケーキ」www
こういうの大好きなもので…
千葉さんの話で盛り上がってる……何だか感慨深い気分になったのはなぜ?
>>388でライは千葉の嫁というミスをしたのに今、気付いた
誰かツッコミいれてよorz
千葉はライの嫁卿、すいませんでした
>>442 > 誰かツッコミいれてよorz
ヒント:多分あんまり間違ってない
>>442 気にしてませんよ〜。だから敢えて
ニアそっとしておこう。
指摘する。
を選択したのです。
先日、「名前の間違えやすさトップクラス」の称号をもらったばかりなので。
ややこしくて寧ろすいません。
これだけじゃなんなので、今思いついた小ネタを投下します。
1レスで終わるので、つまらなくても許してくださいな。
「いよいよだ! いよいよだぞぉ、マリーカ!」
「はい! いよいよですね、ジェレミア卿!」
「うぅむ! 今日、我々がユーフェミア皇女殿下の護衛を任されたということは、
それだけユーフェミア皇女殿下、そしてコーネリア皇女殿下に信頼されている証である!」
「全くもってその通りですね、ジェレミア卿!」
「うぅむ! なればこそ、その期待に応えてこその純血派! 万一、殿下の身に危機が迫ったその時は!
盾となり、例え死しても殿下達をお守りするのが我等が任務! 我等が喜び!!」
「例え火の中水の中! 君の為なら死ねる! って感じですね、ジェレミア卿!」
「そうだ! その意気だマリーカァ! むっ、右方に敵影!」
「すかさずスラッシュハーケン! 出てこなければ、やられなかったのに!」
「左方に敵が!」
「必殺の、ハイパーMVS斬りだぁ!」
「マリーカァ! 前方、上空に敵機!」
「ハドロン砲で消し飛ばす!」
「む、あんなところにライ卿が」
「生まれる前から愛してました! 私のカダヤになってください!!」
「パーフェクトゥ! 完璧な対応だぁ、マリーカ!」
「有り難き幸せです、ジェレミア卿!」
「元気な人達だなぁ。僕には真似できないや」
「寧ろ真似てはいけない部類の輩ですから、気にしなくても宜しいかと」
シチュエーションとか色々カオスですが、勘弁を。
カダヤの元ネタは、トーマス卿ならわかってくださると信じてます。
では、お目汚し失礼しました。
こういった職人不明の小ネタも保管されるのかな?
「0022-0446を以って、累積投下数が第666個目を数えた。この保管は容易じゃないよ」
「……現サーバーでの管理は中止せざるを得ません」
「出来うるだけ低額で済ませたかったけど、しょうがないね。
―保管庫の直接移転を行う」
―業務連絡―
保管庫の次期移転先が正式に決定致しました。Yahooのジオプラスです。本日より運用試験を開始、
完全移転は9月末頃になると思います。それまで現保管庫の更新は継続して行いますのでどうぞ
ご安心ください。(上で管理は中止とか行ってるのは、あくまでもネタです。低額云々も然りです)
「―ふと疑問に思ったんですが」
「なに?」
「何でV.V.が取り仕切ってるんですか?」
「保管“嚮団”。僕は嚮主。主とは一番偉い人。こんな事も解らないなんて、やっぱり幼いね君は」
「……」
……666とか、そんなちょっと区切り良い感じの作品が、
よりによってあんなんだなんて……orz
何はともあれ、いやもうほんと、言葉が見つからないっす。トーマスさんに足を向けて眠れないぜ……
これからも色々と大変でしょうが、ガッツですよ!
>>446 千葉はライの嫁卿、GJでした!
ガン○○とかダン○○とかガ○○レとか
うーん、GJ!
>>450 トーマス卿、全力で乙&GJです(現在進行形)
>>448 > こういった職人不明の小ネタも保管されるのかな?
ははは!君は甘いよ!
ピンクもふもふ領で「正義戦隊」とか「無題」とか書いてあるのを見てごらん!
「無題」の方は、黙っていたのに次スレのIDで拾われて保管されるという徹底ぶりさ!
画像掲示板の画像が携帯からは見れないの私だけ?
私の投下したSSの絵描いてくれた人がいたから見てみたいのに見れないorz
美術館からも見れないし…
>>455 例の画像関係で議論が起きた際に、絵師から消してくれって言われたらしい。
>>455 えーと、その絵師です。
大変申し訳ないですが、美術館にあった分は、もうそのままアップはしません。
その代わりといってはなんですが、画像掲示板の方により描き込んだものを徐々にアップする予定です。
それで勘弁してください。
後、携帯で画像掲示板の画像が見れない場合は、機種によってかなり違うみたいですけどあると思います。
そうなった場合は、456さんが言われているようにPCかPSPで見られる事をお勧めします。
PSPは、意外とネットを見るだけだったら、便利ですよ。
(私も活用してます)
申し訳ありません。どなたかいらっしゃいますか?
投下したいのですが、11レス程度使用しますので支援お願いしたいのですが・・・。
>>455 画像板の絵自体が閲覧できないということでしょうか。
私のところから(ソフトバンク)は見られるようですが・・・
一日分の投稿SSをがっつり読みましたが、小ネタからシリアスまで
なんだろうこの満腹感。幸せです。
支援いたします。
有り難うございます。では、その前に例の如く注意書き等を少々。
タイトル 〜 別れ(中編)〜
カップリング ライ×カレン
前作 〜 別れ(前編) 〜 の続きになります。
黒騎士ルートを通ってのR2準拠を目指してますが、本編があれですから……。
多分、別物になります。というか。もうなってます。大幅に改変してますので、
出来ればIF物として読んで頂ければ幸いです。
今回の注意点!!
●特区不成立。
●前半はちょと暗めの話。
●カレンの性格がデレ。
●ライの性格もデレ。
●二人はデレデレ。
それでは投下行きます。
支援
嗅ぎ慣れた匂いが鼻孔を擽り、聞き慣れた声が聴覚を刺激する。
それらが頭の中で混ざり合い、闇に沈んだライの意識を呼び起こし、彼は次第に覚醒へと向かう。
――僕はこれを知っている。嘗て、幾度となく嗅いだ匂いだ。
――僕はこれを知っている。嘗て、幾度となく聞いた声だ。
それは……死の匂いと断末魔の叫び声。
〜別れ(後編)〜
ライは激しい頭痛で目覚めると共に、あの感覚を両腕に感じ言い知れぬ絶望感に襲われた。
記憶の激流が頭の中を駆け巡り、先程から会場中に響き渡る音と相まって、それがライの心を壊しに掛かる。
――止めてくれっ!!もう何も見たくない!!聞きたくない!!
そう思いライは硬く瞳を閉じ、両耳を塞ぐ。すると、
――ライッ!
不意にカレンの声が聞こえた気がした。慌てて声がした方を振り向くが、視界の中に彼女は居ない。自分の左手が見えるだけ。
――ああ……そうか。……ありがとう、カレン。
それを見やったライは、納得した様子でこの場に居ない彼女に心より感謝した。そして彼はゆっくりと立ち上がる。
相変わらず頭痛は酷かったが、先程まで頭の中で暴れていた記憶は嘘のように治まっていた。
ライはふらつきながらも、会場へ向けて歩み始める。
だが、辿り着いた時、自分の目に飛び込んで来た光景に彼は我が目を疑った。
それは、先程暴れていた記憶の中にあった光景……かつて自分が引き起こしたソレに余りにも似ていた。
たった一つの点を除いては……。
「何だ……これ……」
紫色の巨人が、人々を蹂躙していた。
その光景を見るや否や頭痛は一層酷くなり、立っていられなくなったライはその場に両膝を付き、
呆然とした様子で眺める事しか出来ないでいた。
支援
すると、それまでライに背中を見せ、黒いマントを靡かせながら発砲を繰り返していたグロースターが、
ゆっくりと振り向くとライに照準を合わせる。
しかしライは――これから自分が撃たれるというのに――まるで他人事のように、
その姿をバイザー越しに生気の失った瞳でただ眺めていた。
すると次の瞬間、グロースターの姿がグニャリと歪んだかと思うと、人の姿になった。
剣先を向けて、死笑を浮かべる……かつての自分の姿に。
「危ない!!」
その言葉と共にライに向けて発砲するグロースター。
だが、間一髪その声の主に突き飛ばされると、ライは床を転がる。
「ライ!何をぼうっとしてるんだ!」
声の主はスザクだった。だが、今のライにはその声は届いていない。
ただ、茫然自失といった表情で、床を眺めるのみ。
スザクはそんなライを抱え上げると、発砲を繰り返すグロースターから逃げ、二人は壁の裏に身を隠した。
そうしてスザクはライの背中を壁に預けると、耳元にあるインカムで発砲を繰り返す部隊に対して通信を試みながら
「君はここに居てくれ。僕はこの騒ぎを……ユフィを探さないと」
そう言うと駆け出して行った。
――何故また僕にあの光景を見せる?僕は許されない存在なのか?
床を見つめながら、ライは己の運命を呪い続ける。しかし、そんな彼に走り寄る一つの影。
その人物は、ライの側まで来ると彼の腕を掴んでグイと引き起こした。
「ライ、行くぞ……どうした?ライッ!?」
だが、幾ら呼びかけようとも、ライは反応を示さない。
――クソッ!!このままでは埒があかないな。
そう思った声の主は、反応が無いライに心の中で詫びながら彼の右頬を殴りつける。
その痛みにライの意識が戻り、彼は恐る恐る顔を上げると、視線の先には仮面の男が居た。
「……ゼロ?」
「無事で良かった。歩けるか?無理なら肩を貸そう」
反応があった事に安堵したゼロはライの左手を自分の肩に回した。
支援
「済まない……けど、これは一体、何が……?」
「っ!……後で話す。今はここから脱出するのが先決だ」
一瞬言葉に詰まったゼロだったが、そう答えただけでライに肩を貸し支えるようにして歩き出した。
が、ゼロの足下はお世辞にも頼り甲斐があるとは言えなかった。しかし、それは無理もない事。
これは彼にとってはジャンルでは無いのだ。
ゼロはスザクのように出来ない自分にもどかしさを感じつつも、必死に友人を支えながら歩く。
そう、こんな所で弱音を吐いている暇など彼には無い。
彼は自分が引き起こした悲劇に終止符を打たなければならないのだから。
全ては己と……そして何よりもユーフェミアの為にも。
―――――――――――――――――
何とかガウェインの所まで戻り、コックピットに滑り込むようにして入った所で、
二人は自分達の格好に気付いた。
今の二人は、ルルーシュがライを抱き抱えるような
――皮肉にも出発前にC.C.が提案したお姫様だっこの――状態だった。
ライは、色んな意味を内包した頭痛に襲われ、意識を持って行かれそうになるが必死に耐える。
「驚いたぞ。ここまでするとは」
二人を出迎えたC.C.が、ガウェインを操縦しながら声を掛けると、ゼロは徐に仮面を取ると、事の一部始終を話し始めた。
「俺じゃない、俺はギアスを掛けていない。いや、掛けたつもりはなかった」
ルルーシュの腕の中でその言葉を聞いたライはその言葉で我に返り、確信めいたものを感じ取り呟く。
「暴走……か?」
突然の言葉に、ルルーシュは驚いたような表情を浮かべるが、ライはそれを無視して問い続ける。
「C.C.、どう……なんだ?」
「ああ……間違いない」
ライは観念したような口調で自分の言葉を肯定したC.C.を見て、
「僕と……同じ……か……」
彼を護ると誓ったのにと、ライはルルーシュが自分と同じ道を歩みそうになっている事に苦しむ。
ギアスの暴走、それには負の要素しか無いという事を、ライは身をもって知っているのだから。
「お前と同じだと?おい、どういう事だ?」
支援
ルルーシュに真剣な眼差しでそう問われたライは、吐き気を押さえながら、何とか言葉を紡ぐ。
「全部……思い出したんだ。僕のギアスも……かつて制御できなくなった事が……ある」
そして話す。北の蛮族に攻め入られた際に戦意高揚の為、全ての民が居る場で演説を打った事を。
使った覚えなどまるで無かった。だが、結果として全ての民にギアスは掛かってしまった。
皆が皆、手に武器を取り叫ぶ。
――全ては我らが王の為、蛮族共を皆殺しにしろ!!――と。
だが、その時ライは見てしまった。他の者と同じように、武器を手に取りそれを掲げる純白の衣装に身を包んだ二人の姿を。
一瞬、ライは見間違いでは無いか?と自分を疑ったが、直にその考えを否定する。
この国で、自分が白い衣装を着る事を許した人間は、母と妹、たった二人だけだったのだから。
次の瞬間、ライは慌てて止めようと手を伸ばすも、二人は人の波に飲まれて消えてしまった。
国が沸騰し、狂気が溢れ出る。民衆はまるで津波のように蛮族共に襲いかかった。
そこには戦術や戦略など微塵も無かった。腕が切り落とされようと、脚が砕かれようと。
ただ、民衆は命ぜられるがまま戦い続けた。
やがて……どれだけの時が流れただろうか。その場には最早人の気配は感じられず、無数の屍がその姿を晒していた。
そんな中を返り血を浴びて血塗れになったライは一人、永遠とも思える時を彷徨い続け、そして……ついに見つけた。
変わり果てた二人の姿を。純白の衣装は、血と泥に塗れ二人は折り重なるように息を引き取っていた。
この身をどれだけ血で染め上げてでも、護りたい存在だった二人。自分のように醜い色に染まって欲しくなかった。
その意味も込めて贈った純白の衣装。だが、結局それは叶う事無く、ライは二人の亡骸を抱くと、
久しく忘れていた涙を流しながら天を仰ぎ慟哭する。
そんな折、突如として自らの契約者が現れ、ライは誘われるように眠りについた。
そこまで話して、頭痛が一層酷くなるのを感じたライは顔を顰める。
「そう……か」
そう短く言葉を発した後、ルルーシュは自嘲気味に思った。俺とお前は一体どこまで似ているのだろうなと。
「C.C.、このまま……ラクシャータさんの所まで、飛んで……くれ」
「何をするつもりだ?」
支援
ライはC.C.に話し掛けたつもりだったが、そこにルルーシュが眉間に皺を寄せて疑問の言葉を投げ掛ける。
そんな彼を見ながら、ライは苦しそうな表情を浮かべて答える。
「あそこ……には、僕の……月下がある」
「お前っ!!――」
「こう……なったら、戦うしか……ない。皆を護る為に……も」
「その状態でだと?駄目だ!今のお前を戦わせる訳にはいかない!!」
「だが、僕は……皆を護ら……ないと――」
ライの表情を見てルルーシュは考えた。今のライは、元々白かった肌が更に白く、唇の血色もまるで死人のよう。
やっとの思いで言葉を発しているような状態。しかし、彼の内なる意思の成せる技か、瞳だけは力強く光を放っていた。
今のライなら、例えどれだけ反対しようとも、それを押し除けて出撃しかねない。
そして、そんな彼を止める事など生半可な事ではない。
ライにとって悪夢とも言える記憶、それと同じ光景を作り出してしまった。
ライをここまで追い込んだのは自分の責任。その上、更に戦わせるなど愚の骨頂だと、そう結論付けると、
「ライ、今は大人しくしていろ!」
ルルーシュは、まだ何か言おうとしていたライの言葉を遮り、彼の瞳を真っ直ぐに見つめるとそう"命令"した。
「……ああ、分かっ……た」
好むと好まざるとに関わらず、その"命令"に従うしかなかったライは、今まで皆を護る為に戦うという意思によって
何とか意識を保っていたが、ほんの一時とはいえそれを否定され、再び崩れるように意識を失った。
―――――――――――――――――
「会場で何が起こったのっ!?」
カレンはモニターに映る会場内での惨状を悲痛な面持ちで見つめながら叫ぶ。
が、他の隊員も事態の把握が出来ていない様で
『今調べてるよっ!!』
焦りが混じった声色が返って来るだけだった。
――これは一体何?ゼロは?ライは?何で応答が無いのっ!?
モニター越しに起きている惨劇を見つめながら、カレンは自身の鼓動が早まり、息が荒くなるのを感じた。
支援
――今すぐにでも飛んで行きたい――そんな衝動に駆られながらも、――自分は隊長。命令無しに動く事など許されない――と、
隊長としての自分と、一人の女としての狭間で揺れ動く心を必死に押さえながら、二人からの通信を待つ。
最初の問い掛けから時間にして僅か数分。だが、それはカレンにとって永遠ともいえるような時間に思えた。
静寂が紅蓮のコックピットを支配しかけたその時
『黒の騎士団総員に告ぐ!!』
頼もしい声が、コックピット内に木霊した。
――ゼロ!?ああ、良かった……でも、ライは?
カレンは敬愛する指揮官の無事な声を聞きホッと胸を撫で下ろした後、最愛の男性(ひと)の声が無い事に動揺する。
だが、そんなカレンの心境を余所にゼロは言葉を続けた。
『ユーフェミアは敵となった!!行政特区日本は、我々をおびき寄せる卑劣な罠だったのだ!!』
「ライは!?ライは無事ですか!?」
カレンはゼロの言葉を遮るかのように問い掛けた。無礼とは分かっていても押さえきれなかったのだ。
突然カレンから問われたゼロは、少々驚いた様子で一瞬言葉を詰まらせたが、
直ぐにさも当然と言わんばかりの口調で伝えた。
『ああ、無事だ』
その言葉を聞いたカレンは心底安心した様子で、軽く息を吐くと共に怒りを覚える。
まだ、多くの日本人が会場内に居るのだから。
――良かった。でも、ブリタニアめ!騙し討ちをするなんてっ!!
そう思い、次は皆を助ける事に集中しようと気持ちを切り替える。自身の操縦桿を握る手に力が籠もる。
主君からの言葉を今か今かと待ち侘びていたカレンだったが、続いたゼロの言葉に、一瞬息を詰まらせる。
『だが、今は意識を失っている』
「えっ!?」
『私はこれより一旦、ラクシャータのいる場所まで引く。そこでライを降ろした後に合流する。
ラクシャータ、聞いているな?準備をしておけ!』
通信機からは気怠気な声で了解した旨の言葉が発せられるが、今のカレンには聞こえていない。
――意識不明?どういう事?
支援
さるの意味がようやくわかりました。
支援。
『自在戦闘装甲騎部隊は式典会場に突入!!ブリタニア軍を壊滅し、日本人を救い出せ!!そして――』
先程とは比べものにならない怒りが沸き上がり、カレンは自分の心が真っ赤に燃え上がるのを感じた。
『ユーフェミア・リ・ブリタニアを――』
――許さない。
『見つけ出して殺せ!!』
――受けさせてやる。報いを!!
紅蓮の炎にその身を委ね、脇目もふらずに彼女は飛び出して行く。ライや皆を傷つけた、ブリタニアを破壊する為に……。
―――――――――――――――――
左手をそっと包み込むような暖かい感触と、鼻孔をくすぐる甘い香り。
それは彼女の体温と香り。
何とも言えない幸せな気持ちがライの頭の中を駆け巡り、彼は静かに瞳を開く。
ライ視界に彼女の姿が飛びこんで来た。
その姿に安堵感を覚えつつ、ゆっくりと体を起こした。
すると、先程まで自分を虐げていた頭痛が殆ど無い事に軽い開放感を抱くと共に、気になっていた事を口にする。
「カレン、皆は無事か?」
「会場に居た大勢の日本人に犠牲が出たわ。けど、大丈夫、全部終わったから」
カレンは涙ぐみながらそう告げると、ライに体を預けると彼の胸元に顔を埋め――あなたが無事で、よかった――と
震えるような声で言った。
「終わった?ユーフェミアはどうなったんだ?」
「ゼロが……撃ったわ」
顔を上げずにそう答えた後、カレンはあの後起きた事を話し始める。
富士の行政特区を落とした黒の騎士団。
ゼロはその場で新たなる国家、合衆国日本の成立を内外に宣言した事。
これから東京租界に向けて進軍を開始する事。
各地のレジスタンスや名誉ブリタニア人達が自分達の行動に呼応し、
今は作戦準備の真っ最中だという事。
支援
そこまで聞いて、ライは――そういえば――と思い窓の外を見やる。
意識を失う前よりも日は落ちて、窓から差し込んだ夕日が部屋の中を照らしていた。
次に耳を澄ましてみると、外からはカレンの話した通り、引っ切りなしに各方面との
連携状況を伝えるアナウンスが鳴り響いていた。
カレンは一通り話し終わった後、
「ちょっと待ってて」
そう言って顔を上げて体を起こすと、ベットの脇に備え付けてあった電話機を取り、
背中を向けて何処かに電話を掛ける。
「私です。はい……ええ……お待ちしてます」
短い会話だけを行った後、受話器を置いたカレンはライに向き直る。
「ゼロからあなたが目を覚ましたら連絡するように言われてたのよ。直に行くって」
そう言い終わると、再びカレンはライに体を預けると、彼の胸に顔を埋めて押し黙る。
まるで――ゼロが来るまでもう少し……――とでも言わんばかりに。
暫しの間、カレンは何も話さずじっと彼の体温と鼓動を感じていた。
そう、今のカレンには言葉など要らなかったのだ。
ただ、彼は無事で、自分はこうしていられるという現実。それだけで十分だったのだから。
ライもまた、カレンと同じ気持ちを抱きながら彼女の背中に両手を回す。
しかし、言葉にこそ出さなかったが、一方ではルルーシュを護ると誓いながら、
逆に護られた自分に対する情けなさも抱いていた。
やがてそんなライの心の内を感じ取ったのか、カレンはゆっくりと顔を上げると、
ジッとライの瞳――海のような蒼い瞳――を見つめる。
ライもまたカレンの瞳を見つめると二人は互いにどちらとも無くキスを交わした。
互いの無事を確認するかのように何度も何度も。
それはまるで啄むようなキスだったが、やがてそれは熱を帯び情熱的なものへと変わる.
今の二人には、外から絶え間なく流れるアナウンスも聞こえていない。
ただ、互いの唾液を交換する扇情的な音が聞こえるのみ。
思春期真っ盛りの二人、加えてどちらもとは言えないが血気盛んな戦士。
支援
加えて一線などとうの昔……いや、そんなに昔では無いが越えている。
子供じみたキスで済む筈が無い。だからこれは当然と言えば当然の結果。
だが、最後まで行かないのはある意味成長の証だろうか。
暫くして、互いに唇を離すと惚けた表情を浮かべるカレンを見てライは静かに微笑む。
すると、それに満足したのか、カレンは再び彼の胸元に顔を埋めた。
―――――――――――――――――
「無事で何よりだった」
ゼロからの労いの言葉を掛けられたライだったが、自分は何も彼の役に立てていない不甲斐なさからか、
頭を垂れて謝罪の言葉を口にした後、顔を上げるとゼロに対して目で合図する。
それに気付いたゼロは
「カレン、少し席を外してくれ。ライと二人きりで話がしたい」
顔を動かす事無く、扉の側で壁にもたれかかり、腕を組んでジッと自分達の会話を聞いていたカレンに告げた。
彼女は一瞬戸惑いの色を浮かべたが、ライも軽く頷いたのを認めると
「分かりました」
そう言うと名残惜しそうに部屋から出て行った。だが、恐らくはすぐ外で話が終わるのを待っているだろう。
扉が閉まる音を聞いたゼロはライに問い掛ける。
「さて、これでいいか?」
「ありがとう。今の僕の言う事は、多分聞いてくれないだろうから」
そう言うとライは困ったような笑顔を浮かべた。
「で、話とは何だ?」
そう言ってゼロは仮面を外して素顔を晒す。左目に浮かぶギアスの紋章が痛々しい。
ライは知らないが、これはルルーシュのライに対する誓い。ライと二人の時、その時だけはゼロの仮面を被らない事。
だが、そんなルルーシュの想いを知らないライは彼の左目を見て、
嘗ての自分を思い出し心を痛めながら問う。
「あの時、僕にギアスを使ったのか?」
「……ああ」
返ってきたのは簡潔な肯定の言葉。だが、ライはそれで納得出来る筈も無く、更に問い掛ける。
支援
「何故?」
「ああでもしなければ、あの時のお前は止められないと判断したからだ。お前は強情な所があるからな」
そう言うとルルーシュは力なく笑った。
「僕が強情だって?」
「いや、済まない。しかし、俺は後悔していない。ギアスを掛けた事に対しては、謝る気はないぞ?」
「君も強情だな」
ヤレヤレといった様子で首を左右に振りながら、ライは素直な感想を口にするが
「では、お互い様という事になるな」
ルルーシュからの指摘に納得してしまったライは、不意に肩の力が抜けるのを感じながら静かに笑みを浮かべ、
ルルーシュもそれにつられる様に笑みを浮かべた。
暫しの沈黙の後、一息吐いたルルーシュは真顔に戻り、今後の事について語り始め、
それに対してライはカレンから大筋で聞いていた事を伝える。
「これからの事だが……」
「カレンから聞いている、トウキョウ租界に攻め込むんだな?」
「ああ、この機会を逃す手は無い」
「じゃあ、僕も――」
「駄目だ!」
ライの言葉を強めの口調で遮ると、ルルーシュは懐より資料を取り出して手渡した。
ライはそれを受け取ると、ルルーシュの言葉に耳を傾けながら静かに読み始める。
「ラクシャータの検診結果だ。結論から言う。お前の脳波の乱れはまだ治まっていない。
よって、今あの月下を乗りこなす事は不可能だそうだ」
只でさえ通常の月下より遥かにピーキーな設定のライの蒼月下。
瞬発力においては紅蓮さえも凌駕するが、それ故に体に掛かる負担も並大抵では無く、
あの月下を乗りこなすには搭乗者の体調も重要な要素になる。
と言っても、乗れる人間など騎士団の中ではライ以外に存在しないのだが。
――ラクシャータさんの言葉か。なら、そう……なんだろうな。
ライの月下の生みの親でもある彼女の検診結果まで突き付けられてしまい、
流石のライもそれを無視する事は出来なかった。
もし仮に無視しようとしても、自分を止める為にギアスまで使ったルルーシュが、
次にどんな手を打ってくるか想像に難くない。
支援
――下手をすれば、縛り上げてでも止めようとするな。その役目を担うのは恐らく……。
嬉々とした笑みを浮かべる魔女の姿と、鬼気迫る表情を浮かべる紅髪の女性の姿を思い出したライは、
慌てて首を振るとその映像を消した。
それに、正直言ってライも自分の体調が万全で無いという事は理解していた。
――しかし、まさか月下に乗る事さえも許されないとはな……。
そう思うとライはルルーシュからの宣告にガクリと肩を落とした。
「分かったら、ここで安静にしていろ」
その様子を見て静かに諭すように告げるルルーシュだったが、その言葉がライに一つの決意を抱かせる。
「せめて、僕も連れて行ってくれないか?」
「お前っ――」
突然のライの頼みに――今まで一体何を聞いていたんだっ!?――とでも言いたげなルルーシュの視線を、
彼は真っ向から受け止めて答える。
「僕はもう自分に誓ったんだ。君やカレン、それに皆を護ると。月下に乗れなくれも、何か出来る事がある筈だ」
――縛り上げたとしても、這ってでも来る気だな。
ライの決意を秘めた眼差しに、とうとう折れたルルーシュは――全く強情な奴だ――と思い軽く鼻で笑った後
「……ありがとう」
心よりの感謝の言葉を口にした。そして思う。
――結果として、俺はユフィだけじゃない、大勢の式典参加者も巻き添えにした。
いや、俺が殺したと言ってもいい。だが、それを知った上で、お前はそれでも付いて来てくれるのか。
……ならば、やるしかない。もうこれ以上、大切な存在を失う事など……。
そう考えたルルーシュは、一つの決意を秘めながら、おもむろに立ち上がると告げた。
「これから作戦会議を始める。無理にとは言わないが、出来る事なら出て欲しい」
「ああ、勿論だ」
その言葉を嬉しく思ったライは笑顔を浮かべた。
ライの笑顔を見た時、ルルーシュの決意が僅かに揺らいだ。
支援
支援
が、彼の中では既に一度決めた事、変更は無い。彼も同じく強情なのだ。
ルルーシュは、――済まない――と心の中で詫びながら
「では、俺は先に行っている。ちゃんと身支度をしてから来いよ?」
そう言うと仮面を被り部屋から出て行った。
ゼロが部屋から出ると、案の定というべきか、すぐ外にはカレンが居た。
部屋から出てきたゼロの姿を見つめる彼女に対して、
彼は懐から小さい袋に入った錠剤を取り出すと、彼女に向けて一言
『ライに飲ませてくれ』
カレンはそれを無言で受け取ると小さく頷いた後、入れ替わるように部屋の中に入っていった。
以上で投下終了です。
ゲームでは、ゼロは仮面を外して素顔を晒してくれました。それはルルーシュにしてみれば、
ナナリーには嘘を吐かないという誓いと同じくらい、ライの前では偽りの自分(ゼロ)では無く
ただのルルーシュでいたいと思ったから。もしくは境遇が似ていたり、同じ能力者というのも
あるかも知れませんが、それ程に信頼しているという自己解釈をして、本人は至って真面目に
友情っぽく見えるように書いてみたのですが……。
お気づきになった点があれば、指摘して頂けると有り難いです。
カレンとの甘めの話は見逃して下さい。どうせもう書けなくなるので……。
次回はこのタイトル通り、お別れのお話しになります。
しかし、未だに本編に入れない。ああ、次はブラックリベリオンか……。
ナイトメア戦どうしよう……。
感想、批評何でも結構ですので頂けると有り難いです。
支援して下さった皆様、誠にありがとうございました。
(メインタイトルが未だに決まらない……)
PCにさる来たけどもう書けるかな?
>>489 真剣に読みました。
カレンルートEDの目覚めのあとのキス、ルルーシュルートEDのギアス。
同じところをおさえているのに、彼らにもたらされている結果は天地ほどに違う。
ときどきちょこっと入るお姫様抱っことかw
キスのあとのカレンとかw 和めるところがあるのも素敵だなあと。
面白かったです。ごちそうさまでした。
後編、心より楽しみにお待ちしています。
>>489 ライカレ厨卿、GJでした!
暗く明るい、熱く冷たい、甘く苦い
相反するものが同一となる感情を抱きました
上手く練り込められているかんじが良いです、Yesです!
続きを全力でお待ちさせていただきます!
ライカレ厨卿、GJお疲れ様です。
ときに、464でいきなり後編と書かれてあるのですが、中編の間違いですよね?
>>494 お手数取らしてしまい申し訳ありません。
ありがとうございました。
ちょっとスレチで申し訳ないんだけど、トーマス卿に質問。
450で引越し先をジオプラスにしたと言っておられましたが、テキスト主体のサイトってそんなに容量が
必要なんでしょうか?たしかあれって一月に500円いりますよね?
>>496 ・将来的に画像掲示板の絵の永久保管を考慮
・全過去ログの保管
・PHPを用いた次世代検索機能のため(他のコースではCGIが使えない)
・広告が邪魔
こんなところですね。ただ、広告ですが、宣伝用バナーを張るページを設けて、宣伝料を運営費に充てようという考えはあります。
この先さらに大きく(それこそジオプラスの1GBでも足りなく)なったときに、サーバー維持費その他を自腹で全て賄うのはキツいですので。
いろいろ考えておられるんですね。感服いたします。
考えてみれば今のプロバイダ料金だって全てトーマス卿が払ってるんですよね。
サーバー運営費とかになったら、個人的には逆にお金を払いたい気分です。質問に丁寧に答えてくださってありがとうございました。
誰かいますか?
遅れた誕生日祝いだけど、捨てるのももったいないから、投下したいな。
支援します
同じく支援します。
ななりー生存バレ記念支援
ありがとー。
・タイトルは「花の名前」です
・千葉さん、三十路おめでとうございました
・昨夜、数秒違いで支援申し出てくれた人ありがとう
・三時間じゃ書けなかったYO
・保管する場合は名無しでお願いします
・5レスで終了
朝比奈の発言にライは手にしていた大量の備蓄食糧を放りだした。がこんがんがんごろごろと派手な
音を立てつつ、缶詰は倉庫の床を転がっていく。
「朝比奈中尉、今、なんて……?」
耳を疑う。手が震える。
「え、だから、夏休み明けの一日目でしかも避難訓練の日だから、昔から誕生日は忘れられがち
だったって千葉が」
「そんな大事なことはもっと早く言ってください!!」
ライは脇に挟んでいた防災用品一覧表を朝比奈の顔面に押し付け、疾風の如く走り去った。
「おおーい。これどうするんだー……ってやっぱり、俺が片付けなくちゃならないわけ?」
一面に散らばった乾パンと蹴躓いたライがひっかけていった段ボールから溢れ出した防災頭巾を
見て、朝比奈はうんざりと溜息を吐いた。
「千葉ー。照れるのはわかるけど、自分の誕生日くらい教えておけっての」
支援
「カレン!」
「何ッ?! 敵襲?」
避難訓練の一環である炊き出しを手伝っていたカレンは、全速力でやってきた友人に驚きの声を上げた。
いつも沈着冷静な彼が焦燥にかられた表情で走ってくるなど、今まで見たことがない。
紅蓮のキーはいつでも肌身離さず持ち歩いている。ポケットの中のそれを握りしめ、どんな強大な敵でも
絶望せずに立ち向かうと覚悟した彼女の肩をライはがしっと掴んだ。
「女性が誕生日に欲しいものってなんだ?」
咄嗟のことにカレンの頭の回転はついていけなかった。
「……もう一回聞いてもいいかしら?」
「誕生日には何が欲しい?」
「ゆ、指輪……とか」
言ってからカレンははっとした。遅れて恥ずかしさに顔が熱くなる。近い距離にある彼の顔を
見られない。
「ラ、ライ、……あのね、」
「ありがとう! カレン! 君は僕の最高の友達だ!」
爽やかに親指を立てつつ、来た時と同じ速度で遠ざかって行くライにカレンは同じように返すしか
なかった。カレンは少しだけ、ほんの少しだけ溜息を吐いた。
「言っちゃえばよかったのに〜」
後ろから突然、肩を組まれて、カレンはよろめいた。
「井上さん!」
「だって、ずっと好きなんでしょ?」
井上の声は軽い調子だが、深いところにカレンに対する気持ちが籠っていた。
「いいんです。だって、私にとっても彼は最高の友達ですから」
支援
ライは街を走っていた。しかし、時刻は既に午後九時を回っている。駅前の店も飲食店を除いては
シャッターを閉め、宝飾店はどこも明かりを落としている。その上、彼は重大なミスに気づいた。
「指のサイズもわからない……」
彼の足は次第に失速し、最終的には道路の片隅に立ち止まった。そんな彼を道行く人々が通り過ぎて
いく。仲睦まじく手を繋ぐカップルや肩を組んで笑い合う男女。煌めくネオンの下にある群像から
ライは切り離されているような気がした。
千葉を愛している。でもそれだけだ。ライは彼女のことを何も知らなかった。戦場でどんな戦い方を
するか、どんな戦法が得意か。そんなことは知っていたが、生身の千葉を、一人の女性としての千葉凪沙
のことを何一つわかってはいなかったのだ。愛しているなんて、自分の独りよがりだったのではないか?
コンビニエンスストアの明るい窓を眺めながら、ライは呆然と立ち尽くしていた。
「こんなとこで何ぼさっと突っ立ってんだよ」
ガラの悪い声がして、ライは慌てて端に避けてから振り返った。
「玉城」
「よぉ」
玉城はコンビニの袋を両手に下げ、不遜な態度でそのうちの片方をちょっと上げてみせた。
「扇の奴、打ち上げだっつーのに酒ひとつまともに用意できねぇんだから」
彼はがさごそとビニール袋を探り、冷えた缶ビールを取り出した。ぷしゅっという音をさせて開封する
と、一気に煽る。
「何してんだ、帰るんだろ? 手ぶらならこっち持ってけよ」
ビールのぎっしり詰まった方をライに渡し、玉城は空いた手をぶらぶらと振った。ライはそんな玉城の
後を少し離れてついて行く。
支援
「そんで? お前なんであんなとこで暗い顔してたわけ?」
「それは……」
ライは口籠った。うまく言い表せない。
「玉城、その、好きな人に自分が何もできない時、どうする?」
「あ? お前、その女になんかしてやりたいの?」
玉城は既に一杯調子である。こんな酔っ払いに聞くなんて随分、自分も弱っているのか。ライは心の
うちで苦笑した。
「その人は素晴らしい人で……でも僕は好きだと思うばかりで、その人のことを何も知らなかったんだ」
玉城は黙って、また一口ビールを飲んだ。いつの間にか街の灯りは後方に消え、周りは風が草を鳴らす
音と虫の声だけになっていた。
「……いいんじゃねぇの、別に」
彼はぽつりと答えた。
「別に、何もかも知ってて、なんかしてやんなきゃいけねぇってことはねえんじゃね?」
「それはどういう……」
「だーかーらー! そいつのことが好きなら傍にいてやりゃいいんだよ!
金がなくても、飯がまずくても、そいつのことが好きなら、今すぐ行けっつーの!」
玉城の一言にライは目が覚めるような気がした。肝心なこの気持ちをライはまだ千葉にきちんと
伝えられていなかった。戦いを理由に、忙しさを理由に。
「ありがとう、玉城! 行ってくる!」
「ぎゃー! お前、アホかー!! ビール持ったまんま走るなっつーの!!」
玉城は頭を抱えて絶叫したが、再び走り出したライにはもう届かなかった。
ビールは扇に預け、ライは月下の格納庫に向かった。途中で赤い花をつけた一茎を手折る。
空に向かって凛と伸びる姿が千葉に似ていると思ったからだ。
「千葉中尉」
一部だけ点けられた明かりの下、千葉は青い月下を見つめていた。
「少尉……? どうした、こんな時間に」
千葉は不思議そうに首を傾げた。短く切られた髪がさらりと流れる。その表情はあまりにいつもと
同じで、ライは今さらながら緊張を感じた。自惚れでないならば、互いに好意は持っていると思った。
しかし、二人ともそれを言葉にしたことは今までなかったのだ。
「中尉、遅くなりましたが、誕生日おめでとうございます!」
ライは下を向いて手にしていた花を差し出した。あまりに稚拙な贈り物で千葉は呆れているだろうと
思い、彼は顔を上げられなかった。
「……ありがとう」
返ってきた声は思いのほか優しかった。ライはそっと頭を上げる。千葉は微かに笑みを浮かべて、
穏やかな表情をしていた。
「ありがとう。知っていたのだな」
花を受け取り、千葉は再び繰り返す。ライは彼女のこんな表情を見たのははじめてだった。言葉は
自然に口から付いて出た。
「あなたが、好きです」
ライは顔が赤くなるのを感じたが、同時にようやく伝えられたという達成感もあった。
千葉は一寸、瞠目したが、すぐにいつもの様子に戻る。
「お前はこの花の名前を知っているか?」
「……いえ、不勉強で」
赤い花は千葉の手の中でくるりと回る。
「そうか。ならば教えてやろう」
千葉はライの耳元に口を寄せて答えた。
吾も恋う。私もあなたに恋しています。
支援
以上です。
支援ありがとうございましたー
>>513 こ、これは…大甘ですねwww
でも、ベタベタよりも千葉らしいと思いました。
そして…玉城…。
やっぱ、こいつは愛すべきキャラクターですよ。
私もこいつは大好きで、意外とまともな事言ってるんですよね。
ほんと、いい話でした。
やっぱ、捨てなくて投下して正解だと思います。
捨ててたら…もったいないおばけ(カレンバージョン)が枕元に出てたかも…。
>>513 玉城がいいやつすぎて感動した
千葉さんもう三十路なんだ知らなかった
そういえばナナリーが生きてる可能性でてきたね
うん。
主内是留の配下でルルーシュの敵になるんだってよ
どっか行け荒らし野郎
バレなのか妄想なのかは知らんが
バレだったらそういう類のスレ行こうな
えーっと・・・
2230から投下したいのですが、よろしいですか?
>>767 多分ナイス話題転換。
一番は騎士団篇のカレンルートなんだが、純血派篇のジェレミアの純粋さも捨てがたい。
本編のジェレミアはもうあの可愛さが無くて格好良さだけだから尚更愛しく感じるんだぜ
コテ外し忘れたorz
すみません…
522 :
520:2008/09/02(火) 22:13:37 ID:PHfk6PkQ
ごめん誤爆。初めてやった…orz
お詫びといっちゃなんですが支援します。
支援します。
続きかしらん…わくわくわく…。
こんばんわ。先日、投下したやつの後編です。
戦闘描写初挑戦。難しいなぁ…しょぼいかもしれないです。
・時間軸のズレにより、青月下VSパーシヴァルという展開
・玉城が結構活躍。
・残念ながら、死亡する人物がいます。
・カップリングは ライ×カレン
・おそらく10〜15レス程度のはずです…
では、投下します。
きたーーーっ…。
支援っ…。
支援
それは明日くるかもしれない。1ヵ月後か1年後かもしれない。
この世に住むものに終わりは必ずくる。
それは恐ろしいことだ。だが、明日という希望があるから人は生きていける。
どんなに辛いときでも、希望があるなら生きていける。
きっと…
キューピッドの日の災難 最終章 3、カレンとライ 後編
黒の騎士団の戦力はもうほとんど残されていない。
カレンの紅蓮。藤堂の専用月下。そして…玉城の無頼。
他は全てつぶされた。ゼロの無頼もやられたが脱出はしたらしい。だが負傷したに違いないだろう。
先ほどから指示がないのがその証拠だ。
今彼らは建物の影になんとか隠れている。このまま戦っても全滅するため藤堂が指示したのだが、
それは全滅するのをほんの少しだけ先延ばしにするだけの手だった。
「おい!…ゼロもやられちまったんだぞ!!俺達…もう…」
「玉城、あきらめるな!私たちがやられたら…もうここからアジトは近いんだよ?負傷した扇さん達が見つかってしまう。
もしそうなったら…だから、私たちは勝たないと!」
「でも、どうやって!?ゼロもいねぇんだぞ?」
「それは…」
「……」
返答できず、カレンは黙ってしまう。藤堂も先ほどから沈黙のまま二人の会話を聞いているだけ。
しえんっ…。
支援
黒の騎士団の終わり。
そして、自分たちに確実に近づいてくる死。
目の前の相手、パーシヴァルに対して打てる手はもう打ちきった。ゲフィオンディスターバーも破壊され、ゼロの指揮もなくなった。
もうなにもない。もう…
この静かな空気を破ったのは藤堂だった。
「紅月。私がやつに特攻をかける。その隙に紅蓮の輻射波動の一撃で決めるんだ」
それはもはや作戦ではない。博打だ。当然カレンは反対する。
「藤堂さん、無茶です!そんなことしたら…」
「もう手はない!ここで我々が負ければ、仙波や卜部が逝ったのはなんだったのだ?
藤堂鏡志朗、仲間の死を無駄にさせるようなことは絶対にせん!」
「藤堂さん…」
仲間のため。厳島の奇跡から共にした戦友を失った者にできることは、もうそれしか残っていなかった。
「玉城…君は下がっていろ。」
「え?なんでですか?俺だって…」
「戦闘の邪魔だと言っているんだ!!だから…扇達のところにでも行っていろ…」
『邪魔』。
薄々気はついていた。自分が黒の騎士団にとって必要でないことぐらい。だが、面と向かって言われるとここまできついとは思わなかった。
玉城の目から悔し涙が溢れる。言い返す事ができない自分が一番悔しかった。
「畜生…畜生ぉおおおおおお!!!!」
玉城は無頼を走らせ新宿ゲットーの廃墟の中に消えていった。
「藤堂さん!あまりにもひどすぎませんか?玉城だって…」
数秒後、カレンに返ってきた声は震えていた。必死に涙を堪えようとしていたのだろう。
「俺は…俺はもう、仲間を失いたくないんだ……」
カレンはその言葉を聞き、自分の目にも何か熱いものがこみ上げてくるのを感じた。
藤堂は死んだ仲間の無念を晴らすだけでなく、カレンや玉城、黒の騎士団全員を失いたくない、守りたいから特攻するのだ。
カレンはそんな男の決意に、何も言うことは出来なかった。
支援
支援
やがて、藤堂は建物の影から飛び出し漆黒の月下をパーシヴァルと対峙させる。
『おいおい、どうしたぁ?かくれんぼは終わりかぁ?』
藤堂は無言で廻転刃刀を構える。
『どうやら…自分の大切なものを失われる覚悟は出来たようだなぁ』
ルキアーノも機体の右腕のクローを高速回転させドリルに形状を変える。
先に動いたのは藤堂だった。そのあまりの速さにルキアーノも一瞬だが反応が遅れた。ハーケンを利用し宙高く跳んだ藤堂の月下は
必殺の三段突きを繰り出す。
一撃目、二撃目…パーシヴァルはギリギリのところで避けていく。最後の三撃目。
パーシヴァルの右肩を掠め、装備されているハーケンを破壊する。そしてその瞬間、確実に隙が出来たように見えた。
「はぁああああああ!!」
カレンはその隙を見逃さず、紅蓮の象徴である輻射波動をルキアーノに向ける。だが…。
『おしかったなぁ、おい』
突然、両腿部からハドロン砲が現れ赤黒い光の弾丸が、一つは紅蓮の右腕に。もう一つは月下の頭部に直撃する。
藤堂の月下は戦闘不能になり、強制的にコックピットが脱出する。
カレンの紅蓮弐式の右腕は吹き飛び失われた。
ほんのわずか見えた好機が、最悪の絶望的状況へと変わった。
藤堂はどうやら無事脱出できたらしい。だが、黒の騎士団はもう終わりだ。
残った機体は、自分の右腕のない紅蓮だけ。カレンは自分の最後を静かに待つしかなかった。
支援
支援
『さて…後はお前だけだ。黒の騎士団のエースさんよぉ』
ルキアーノは自分の唇を舐めた。敵から命を奪う、それがルキアーノにとって最高の時だ。
パーシヴァルがドリルを紅蓮に向け構える。もうすぐ…もうすぐあの、何物にも変えられない瞬間がくる。
しかし、その瞬間はすぐには訪れなかった。
地上からアサルトライフルの銃声。それが空中にいるパーシヴァルのフロートユニットに正確に命中する。
フロートユニットは壊れ、ルキアーノはすぐにユニットをパージした。その数瞬後、爆発するパーシヴァルの翼。落下する機体。
その様子をみたカレンがすぐに銃声のした方を見る。そこには…
「まさか…玉城!?」
一騎の無頼がライフルを構えたまま動かずにいた。そのパイロットもどうやら自分のやった行動に驚きを隠せずにいた。
「へ・・・へへへ。やったぜ…やってやったぜ!俺だって…俺だって!!」
「やった…やったよ!玉城!!」
玉城のまさに奇跡の活躍に喜ぶカレン。
『お前かぁ…俺の邪魔をしたのはぁああああ!!!』
ルキアーノが叫んだと同時にハドロン砲が発射し、玉城の無頼の両足にあたり無頼はその場で崩れる。
「玉城!速く脱出を!!」
「わかってらぁ!」
玉城は無頼の脱出レバーを引く。何も反応が起きない。引いても引いても、カチッカチッと虚しい音が鳴るだけ。
「おい…おい嘘だろ!?」
何度やっても脱出機能は作動しない。その様子をルキアーノは歪んだ笑顔で眺める。
『どうやらお前の命はここまでのようだなぁ。』
パーシヴァルは左腕のシールドのミサイルの照準を無頼にあわせる。
「やめて!お願い!やめてぇええ!!」
カレンは懸命に紅蓮を動かそうとするが、紅蓮の動きが鈍い。おそらくさっきのダメージが脚部まできているせいだ。
支援
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突如、パーシヴァルの背後に一騎のKMFが現れる。
そのKMFはパーシヴァルの機体の左腕をすでに掴んでいた。その腕の形は紅蓮と同じもの。
『まさか――』
振り向くと青い月下がそこにいた。月下はすかさず左腕の輻射波動のエネルギーを開放する。
内部から破壊されていくパーシヴァルの左腕。ルキアーノは先のフロートユニット同様、左腕もパージすることになった。
左腕が一瞬遅れて爆発する。ルキアーノはその爆発で体制が崩れないようパーシヴァルのランドスピナーを走らせ、
目の前の月下、ライの月下との距離をとった。
玉城がやられる!その瞬間、目を逸らしていたカレンは何がなんだかわからなかった。玉城は死んでいない。相手は左腕が無くなっている。そして…
ライの青い月下が確かにこの戦場にいる
『カレン、聞こえるか?』
紅蓮のモニターにライからの通信が入る。久しぶりにみた彼は本当にすこしやつれて見えたが、昨日の戦闘でみせた弱弱しい雰囲気を全く感じさせなかった。
『カレン。今は戦闘中だ。だから君と話せる。』
「うん…」
『でも、今だけじゃ嫌なんだ。だから、この戦いが終わった後もう一度僕と話してくれるかい?』
その言葉がカレンにとってどれだけうれしかったことか。そして、この状況をどれだけ恨んだことか。
でも、きっかけは掴めた。もうこの二人は気づいていたのかもしれない。雪解けはもう秒読みをきっていた。
支援
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パーシヴァルに動きがみえた。
ライはそれを横目にカレンに指示をだす。
「カレン、玉城と藤堂さんと一緒に逃げるんだ。今の紅蓮じゃ戦えない。僕が奴を…」
『駄目!ライ、死に急いじゃ駄目だよぉ!!』
カレンの言葉に首を傾げてみせるライ。そして優しい笑みを浮かべ言った。
「僕が奴を倒すから。」
その言葉を聞いたカレンは心の底から「勝てる」という気持ちになった。
状況は未だよくないのに、なぜかそう思える。カレンはライに笑顔で答えた。
『わかったわ。…信じてるから…』
「ああ。」
紅蓮は玉城の無頼へむけランドスピナーを走らせていった。
新宿ゲットーでの戦いは一騎打ちの図になる。
ライの月下とルキアーノのパーシヴァル。
外見だけで判断するならルキアーノの方が不利に見えるだろう。飛行ユニットと左腕を失っているからだ。
だが、地上での戦闘に支障は一切ない。下半身は無傷なので最高のスピードで戦闘を展開できる。
ライの月下はさっきの輻射波動の反動のせいかギシギシと関節部分から嫌な音が響く。ラクシャータの言うとおりならライは
輻射波動をあと一回しか使うことができない。
ライの月下は既に悲鳴を上げ始めていた。しかし、ライはあせらない。勝機があるからだ。
最大のネックであったフロートユニットが無くなった。
地上戦ならば、勝機など幾らでも作れる。そう考えていた。
支援
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ライとルキアーノは同時に動いた。
ルキアーノは猛牛のごとくドリルを構え突っ込んでくる。ライはハーケンを廃墟となったビルにむけ発射し、ハーケンを巻き上げる力で避ける。
そして、ビルの壁面に張り付く。壁面を蹴って弾丸のごとくパーシヴァルに攻撃。
ルキアーノは向かってくる月下にクローで応戦した。ライの月下の廻転刃刀とパーシヴァルのクローが鈍い音をあげながらぶつかり合う。
ライはぶつかり合った後の反動を利用し横に跳び、今度は輻射波動をルキアーノにむけた。それはフェイント。
後一度しか使えない輻射波動は、最後の最後までは使わない。だが、ルキアーノはライの月下の状態を知らない。
左腕を破壊された瞬間が脳裏に焼きついてるため、反射的に避けてしまう。ライはそこを右腕の廻転刃刀で切りかかりに行く。
今、確実に押しているのはライであった。しかし喜んでいる暇はない。モニターには(左脚部分に異常)という文字が点滅していた。
「もう…限界か…」
ライはコックピット内で思わず舌打ちした。追い詰め始めてはいる。相手…ルキアーノは月下の輻射波動を無意識に恐れているのだ。
だが、もう時間はあまり残されていない。ライは一気に「詰み」にかかる。
ハーケンを利用し、月下は俊敏な動きを見せる。並みのパイロットではその動きについていけないだろうが、ルキアーノは
ナイトオブラウンズの一人。ライの動きは一挙一動みえていた。だが、みえるだけ。
体の反応は一瞬遅れる。それにより徐々に追い詰められていくパーシヴァル。
ルキアーノもコックピット内で舌打ちする。自分はラウンズ。並みの相手では自分の相手などにはなれないはずだ。
だが、目の前の相手は確実に自分を追い込んでいる。ルキアーノは最後のカードを切る用意をした―――――
支援
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ライの廻転刃刀の振り上げにより、パーシヴァルの右腕がかちあげられる。連続攻撃で月下はパーシヴァルの腹部に蹴りをいれる。
その攻撃を受けきれず吹き飛ぶパーシヴァル。
『この野郎がぁああ!!調子に乗るなぁああああ!!!』
両腿部から放たれるハドロン砲。ライはそれをいとも簡単にかわした。狙いが無茶苦茶だ。そう思った瞬間、後ろから爆発音が聞こえた。
ルキアーノの笑い声が響く。
今の攻撃は自分を狙ったものではなかった。ハドロン砲の弾丸は紅蓮の両足にあたっていた。その手には藤堂と玉城を乗せ、なんとか二人は落とさなかったようだが
これで、紅蓮は…カレンは動けない。
『お前がいけないんだぜぇ?避けちまったからなぁ。』
「彼らはもう戦えない!だから…」
『ああ。だから、戦えないゴミは俺が掃除してやるよ!』
再び放たれようとするハドロン砲。
「間に合えぇえええええ!!!!」
ライは叫び、紅蓮の前に最高速で移動する。振り返った時にはもう、ハドロン砲は放たれていた。
ライは月下の左腕を突き出し、開放した。ハドロン砲と輻射波動の凄まじいエネルギーがぶつかりあう。
コックピット内に響く警告音。ライの月下が限界を迎えようとする。ギリギリのところで攻撃を防ぐことは出来た。だが……
「カレン!大丈夫か?」
「うん。でも…あなたの月下が…」
『フハハハハ!!!なんだぁ?お前の機体はもう限界じゃねぇか!』
月下の左腕からはバチバチと音が鳴り、両足も機体を支えることが出来ず膝をつく形になる。
終わった。この戦いは僕の負け。輻射波動はもう使えない。機体はもう満足に動かない。
パーシヴァルが近づいてくる。さっきのお返しと言わんばかりに月下に蹴りを入れた。
吹き飛ぶ月下。着地も出来ず、頭から落ちることになる。
衝撃がコックピット内に襲う。ライは頭から鈍い痛みを感じた。傷が開き、血が止まることなく流れていく。
意識が少しずつ薄れていくのを感じる…
ライはアジトで現れた少年…V.V.の言葉を思い出していた。
支援
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sien
――――――――――
「君は…誰だ?」
率直な疑問をライは口にした。目の前の少年はなぜかゾッとするような笑みのまま言った。
「フフフ…僕の名前はV.V.。君にね忠告しようと思って」
「忠告?」
「そう。言ったけど、今君がこのまま行っても状況は変わらないよ。君はただ死にに行くだけ。」
「V.V.。随分な自信じゃないか。未来でも読めるようになったのか?」
C.C.が口を開いた。
「C.C.、君の知り合いか?」
僕の質問にV.V.が答える。
「うん。僕とC.C.は昔からの知り合いだよ。でもねC.C.、今は君には興味がないんだ。僕が興味があるのはライなんだ」
再び、ニヤリと笑うV.V.。僕はどうしてこんなにこの少年のことを恐れているのだろう?
「とにかくね。僕が言いたいのは戦闘に行けば死ぬってことなんだ。僕は君にはまだ死んで欲しくないからね」
V.V.はそう言うと、背を向けて闇の中へと消えていった。
―――――――――――
もしかしたら…いや、おそらく僕はここで死ぬのだろう。もう自分が死ぬことに関してはどうでもよかった。
でも、騎士団の皆を…カレンを死なせたくはない!!だから…
支援
支援
ルキアーノのパーシヴァルがドリルを構え突進してくる。ライはそれをあえて避けなかった。
右腹部に直撃し右腕が宙に舞う。ルキアーノはこの瞬間、勝利を確信した。
しかし次の瞬間、相手の左腕が頭部を掴んでいることに気がつく。
『おい…まさか、てめぇ死ぬ気か?そんな機体じゃあ…』
「ああ、そうだ。僕の機体は限界を超えている。お前の予想どおりだ。でもお前も死ぬ。」
『お、おおおお前の大事なものは…い、命だろう?なら…』
「違う。僕の大事なものは自分の命じゃない。」
僕の大事なもの。黒の騎士団の皆。アッシュフォード学園の生徒会メンバー。そして、カレン。失いたくない。だからもう覚悟はできている。
「さようならだ。『ブリタニアの吸血鬼』さん。」
『やめろ、やめろぉおおおお!!!』
左腕の輻射波動からエネルギーが溢れる。パーシヴァルは内部から溶解されていき、爆散した。
すでに限界だった月下は反動に耐え切れず、自身までも輻射波動の影響を受け内部から壊れていく。足が解け始め崩れ落ちていく月下。
ライはあらゆる戦いを共にした愛機が崩壊していくのを感じながら、意識を手放した。
誰かが僕の体に触れている…様な気がする。
泣いているような声が遠くから聞こえる。
目を開けようとした。瞼が重い。体に力が入らない。左腕の感触が無い…
なんとか目を開けた。いつもの様に鮮明な視界じゃない。ピントがずれた様にぼやけている。
支援
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すぐそばに赤いものが見えた。…カレンの髪だ。
自分の顔が少し濡れているのに気がついた。…カレンの涙だ。
カレンは泣いていた。大粒の涙を溢しながら。でも、僕にはよく見えない。
カレンが何か言っている。でも、僕にはよく聞こえない。
カレンが僕を抱きしめているのに気がついた。でも、僕には彼女の温もりがほとんど感じられない。
他の皆も僕とカレンの周りにいた。良かった、ゼロも玉城も藤堂さんも皆無事だ。
でも、泣いている。皆、皆。
(なんで、皆泣いているの?)そう声に出そうとした。
……声も上手くでない。
僕は一体どうしたんだ?その疑問の答えはすぐにわかった。
「…イ…ライ……死…め…死ん…だめぇ……死んじゃ…だめ!」
カレンの声がかすかに耳にはいる。「ライ、死んじゃ駄目」。確かにそう聞こえた。
そして、僕は全て理解した。
V.V.の言ったとおり僕は死ぬのだ。
別に死ぬことは怖くない。ただ、約束を…ナナリーとの約束は守らなければならない。
僕は全身の力を振り絞り声をだす。おそらくもう自分に残された時間は少ない。
「…レン…カレン…ご、ごめんね……君を…傷つけて…」
か細い声であったが、確かにカレンには伝わった。
カレンが再び僕に向かって叫んでる。でも、もう何も聞こえない…
最後の力を振り絞って僕はカレンに自分の気持ちを伝えた。
「…か、カレン…好き……だ…愛…して…る…」
僕は言い切るとゆっくりと瞼を閉じた。これで悔いはもうない。沈んでいく意識の中、ライはどこかの神殿のような場所がみえた。
その先に、長い影と短い影がみえる。二つの影は僕をみて笑ったような気がした――――
「ライ!ライ!…いや…いやぁあああああああ!!!!!」
カレンの叫びが新宿ゲットーに響いていく。黒の騎士団の双璧の一人、ライは大切なものを守りきり息をひきとった。
支援
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新宿ゲットーの戦いは、黒の騎士団は多大な被害を被った。しかし、ブリタニア側もナイトオブラウンズの一角を失うという予想外の事態。
早急に黒の騎士団殲滅の作戦が準備される。しかし、それも『行政特区日本』が成立し黒の騎士団が参加したため、作戦が実行されることはなかった。
特区日本成立後、ルルーシュはゼロの正体を親友であるスザクと、ライのことで責任があると考え、カレンに明かした。
二人とも、なんとなくではあるが気がついていたようだ。
特区成立3日後、ライが戦死してから1週間後、ルルーシュとカレンは生徒会メンバーにライの死を告げた。
全員がショックをうけ、泣いた。ミレイはシャーリーに抱かれる形で泣き、ナナリーも大きな声をあげ泣いた。
そして、ライの葬儀がアッシュフォード学園内で行われた。
黒の騎士団も参加し、自分の騎士であるスザクとルルーシュ・ナナリーの親友と聞きユーフェミアも参列していた。
二ヵ月後――
私は気がつくとまたライのお墓に来ていた。あなたが死んでから私は何度泣いただろう?
正直、今も泣きそう。でもいつまでも泣いていられないよね。
ライ。今日はね、おわかれに来たの。特区日本は出来たとはいえ、まだまだ不安定でいつブリタニアに壊されてもおかしくない。
ユーフェミアも皇族の地位を失ったし、今はシュナイゼルが後ろ盾してくれてるけど、それもいつまで持つか…
だから、私決めたの。あなたが守った皆を今度は私が守るために。
今日、ゼロと共にブリタニア本国に行くわ。そして皇帝に…
あなたにたぶんしばらく会えなくなると思う。それで、おわかれ。
でも、必ず帰ってくるわ。
『カレン、そろそろ出発だ。』
ルルーシュ…じゃなくてゼロが迎えに来てくれたみたい。それじゃ…
「ライ…行ってきます。」
私はライの墓に背を向けて、ゼロと共にブリタニア本国へと向かった。
支援
支援
アーカーシャの剣。
それは、神殿のようにみえるが全く違うものだ。
神を滅ぼすもの。ブリタニア皇帝シャルル・ジ・ブリタニアはそう言っている。
シャルルは双子の兄、V.V.と普段は見せない笑みで話していた。
「…そうです、兄さん。明日、エリア11からゼロと紅月カレンが私のもとに…」
「へぇ〜。じゃあ予定どおり、紅月カレンをラウンズに加えるの?」
「どうですかねぇ。しかし、おそらくそうなるでしょう。」
シャルルの言葉を聞くたびに、V.V.から笑みがこぼれる。
「シャルル、君は本当におもしろいね。でも、今日は僕もおもしろい人物を呼んできたよ。」
カツン…カツン…
アーカーシャの剣に、一人の男の足音が響く。
シャルル・ジ・ブリタニアはその姿を見た瞬間、驚きを隠せなかった。
騎士のような服を纏ったその男は、どこか王の雰囲気を漂わせていた。
整った顔。銀色の長い髪。目は鷹のように鋭い。
しばらくの沈黙のあとV.V.が口を開いた。
「彼をね、僕の騎士にしようと思うんだ。皇帝である君には一応許可を貰わなきゃいけないと思って今日ここに来てもらったんだよ。」
シャルルは、V.V.の言葉を聞くと大声で笑う。
「フハハハハハ!!!いいですよ、兄さん。ではそなたに我が兄、V.V.の騎士になってもらおう!」
シャルルとV.V.がみつめる中、その男は片膝をつき恭しく頭を下げ言った。
「……Yes,Your Majesty」
支援
支援
以上です。
どうも、誰かのSSに似てしまった気が…すいませんorz
「キューピッドの日の災難」はこれで終わりですが、
一応、次から別物になって続きます。
キューピッドの日じゃもう限界なので…
感想・批判がありましたら是非。
支援ありがとうございました!
最後に一応予告的なもの
彼は主のために動く。
主のあたえる任務を遂行する。
たとえ、それが彼の大切な人を殺すことになっても…
〜Knight of V.V.〜
>>567 乙です。死にネタ!?かと思いきや更に!?
つまり生殺しが今しばらく続くわけですねw
次回のご更新を楽しみにしてます。
>>567 やられたーっ…。561で終わったと思ってたら…。
なんか、うれしい悔しさだなぁ。
しかも…続くし…。
さすがとしか言えない…。
もう、R2のサントラ聞きながら読んでたら、ゾクゾクしました。
ポタラ卿のすごさをたっぷりと堪能させていただきました。
これは、続編も期待大です。
次回作もワクドキで待ってますんで、よろしくお願いしまーすっ。
>>567 乙です。そうきたか……。
V.V.は何を企んでいるんだろう。次回お待ちしてます。
さて、23:35頃に投下してもいいですか?
支援できず、すいません。
>>567 乙でした!まさか、最後にこのような展開になるとはっ!
次回も楽しみにお待ちしてます!
支援します。
>>513 GJでした!
甘いです、あぁ甘いです、甘いです
甘い中にカレンの微妙な切なさと玉城の良さとがいい感じにブレンドされてて、GJでした!
>>567 ポタラ卿、乙でした!
D、DEADEND……orz
と思っていたら続きが!?
GJは言わないよ、続きが気になるから
貴公らの次の投下を全力でお待ちしております!
>>570 先ほどは出来なかったが、今なら…!!
全力で支援します!
ポタラ卿GJ!死ネタで落ち込んでいたらまさかの続編?たのしみすぐる!
トーマス卿、早くこれの保管を…!
>>575 すでに保管されている…。
は・はやいよ、トーマスさんっ…。
ありがとうございます、そろそろ投下します。
ようやく規制解除。長かったぜ……。
作者:余暇
タイトル:白銀の騎士、再び 第二話「ファースト・コンタクト」
(設定)
・親衛隊編コーネリアEND後
・ノネットさんとマリーカは幼なじみ。
・ナリタ戦では純血派を助けに行ってます。
・ライは特区式典後、ノネットさんの屋敷で三カ月近く療養中。
そのため、ギアスの暴走は落ち着いてきました。
・マリーカはエリア11士官学校出身。(小説版に準拠)
マリーカ視点で進みます。7レス分あります。
支援だ
支援
『白銀の騎士、再び』
第二話「ファースト・コンタクト」
ここはノネットさんが住む屋敷内の居間。私はソファに腰掛け、ノネットさんとともにライさんを待っている。
そこへ、彼がお茶の入ったポットやお菓子をトレイに乗せて戻ってきた。
「お待たせしました。ビスケットやクッキーしかないですけど。」
「何だ、随分けちな奴だな。もっと遠慮なく高い菓子を買ってもいいと伝えたはずだが?」
ノネットさんは少し不服そう。
「しかし、僕も居候の身ですから。ノネットさんのお金をあまり使うわけにもいきません。
それに、僕って何故か高い買い物を渋る癖があって。向こうでも学園の友達と日記帳を選ぶ時に、
『君は値段ばかり気にするんだね』って言われちゃって。」
ライさんが笑顔で答える。もしかして、金銭感覚のしっかりした人なのかな?
「変に義理堅い男だなお前は。まあ、それがお前の長所でもあるがな。」
そう言いつつ、ノネットさんはお菓子を食べ始めた。
「さあ、どうぞ。長旅で疲れたでしょう?」
ライさんが私にお菓子を勧めてきた。
「あ、はい、いただきます。」
私はビスケットを口に入れた。うん、おいしい。紅茶によく合っている。
「どうかな?」
ライさんが尋ねてきた。
「あ、おいしいです。紅茶とよく合っていて、疲れが取れそうです。」
「それは良かった。」
彼は静かに笑った。本当に素敵な笑顔だなあ。でも、どこか儚い感じがするのは何故だろう?
支援
支援
「あ、そうだ。ライ、今日私が着ていた上着を、明日にでもクリーニング屋に持って行ってくれないか?」
ノネットさんが口を開いた。はっ、まさかあのことをライさんに!?
「えっ?いいですけど、どこか汚れたんですか?」
「あ、いや、ライさん。別に大したことじゃ…」
その場をごまかそうとした私の努力もむなしく、
「うむ、私に寄りかかって寝ていたマリーカに、思いっきり涎をつけられた。
しかも飛行機の中だけならまだしも、車の中でもだ。酷い奴だろう?」
「ふあっ!?」
ノネットさんにばらされてしまった。
「よ、涎を……。」
「ち、違うんですライさん!飛行機の中ではうっかり寄りかかってしまったので私のミスですけど、
車の中では、ノネットさんが寄りかかっていいって言うから。ていうか、さっきは許すって
言ってくれたのに、あれはウソだったんですかぁ!?」
ああ、どうしよう。完全に頭の中がパニック状態だよぉ。
「くくく……。アーハッハッハッハ!」
突然ノネットさんが大声で笑い出した。えーと、もしかして遊ばれた?
「本当にお前はからかいがいがある。人の話を真に受けすぎなんだよ。」
「むぅ〜、酷いですよノネットさん。昔からこんな扱いばっかり。」
「そう思うなら、いい加減引っかかるのをやめたらどうだ?」
「うっ……。」
昔からこうだ。いつもノネットさんにからかわれて、それをキューエルが笑って。私だって、好きで信じ込みやすい性格じゃないのに。
「ふふふ、マリーカさんって面白い人だなあ。」
ライさんまで笑ってるよ。これって、第一印象としてどうなのよ?
支援
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「あっ、そういえばライ。お前、どうしてマリーカを呼び捨てにしないんだ?」
不意に、ノネットさんが疑問をライさんに投げかけた。ああ、そう言えばそうだ。
「どうしてって、そりゃあ初対面ですから。ノネットさんから彼女は年下だってことは聞いていましたけど、やっぱり初対面なりの礼儀はね。」
「だが、これから二週間一緒に暮らすんだぞ。それでは息苦しいではないか。これからはマリーカを呼び捨てにしろ、いいな。」
ノネットさんが強引に決める。
「ちょっと待って下さいよ。『年下だしフランクに接してやれ』ってノネットさんに電話で言われたから、
一応敬語だけはやめてるんですよ。なのに、初対面でいきなり呼び捨てとは…」
「あのー。」
彼の言葉を遮り、私は手を挙げた。
「ライさん、ノネットさんの言うとおり、呼び捨てにして下さい。私は構いませんから。むしろ、私が呼び捨てにして欲しいんです。」
「えっ、どうして?」
ライさんが不思議そうな顔をした。
「だって私の方が年下なのに、『さん』付けだと何か遠慮されている気がするんです。せっかくお知り合いになれたんですから、
色々お話して仲良くしていただきたいんです。だから、今後は呼び捨てでお願いします。」
「ほら、本人が言うんだから、そうしろ。」
ノネットさんに促され、ライさんはおずおずと私の名を呼んだ。
「え、えーと。それじゃあ、マ、マリーカ。」
「はい、何でしょう?」
私は笑顔で応えた。彼に少しだけ近づけたような気がして、嬉しかった。
支援
支援
「ところで、ライさんはコーネリア殿下の親衛隊に入ってらっしゃるんですよね?」
「うん、そうだけど。」
「実は私、殿下とノネットさんに憧れて軍に入ったんです。」
「へえ。」
私は、自分が軍に入ったきっかけを話すことにした。少しでも自分を知って欲しくて。
「殿下は皇族の身でありながら、自らナイトメアを乗りこなして最前線で戦われて、ノネットさんは帝国最強の騎士、ナイトオブラウンズの一人。
その勇猛果敢に戦われるお二人の姿は、同じ女性としてすごく憧れるんです。それが、私が士官学校に通う一つのきっかけになったんです。」
「ふふっ、面と向かって言われると照れるな。だが光栄な話だよ。」
「ええ、殿下も同じことをおっしゃっておられました。」
私とノネットさんは、顔を見合わせて笑った。
「えっ、殿下にお会いしたことがあるのかい?」
ライさんが目を丸くした。
「はい、私はエリア11士官学校陸戦操機科に所属していたんです。殿下の身の回りのお世話は、士官学校の各中等教練過程において
成績トップの少女士官候補生が務めることになっていますので、私が短期間でしたけど殿下の身の回りのお世話をしていた時期があったんです。」
「へえ、君ってすごく優秀なんだ。これは驚いたよ。いや、そうでなきゃラウンズの親衛隊には選ばれないか。でも、僕は一度も君に会ったことがないな。何でだろう?」
「ああ、従卒は政庁の奥にあるプライベートルームで待機でしたから。そこは許可を得た人以外は立ち入り禁止ですし、私も政庁の表側にはあまり顔を出したことがないので。」
「なるほど、そういうことか。それじゃあ、知らないのも無理はないか。」
ライさんは納得したように頷いた。
支援
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「ところで、ライさんはどうして…」
「あっ、マリーカ。ちょっと待った。」
突然、ノネットさんが割り込んできた。どうしたんだろう?
「ライ、大丈夫か?少し顔色が悪いようだが。」
言われて私も、彼の顔を見た。確かに少し青ざめているようだ。
「ええ、少し疲れたみたいです。ノネットさん以外の人と話すのって、久しぶりだから。」
「えっ?」
私は驚いた。この屋敷に出入りする人は少ないとはいえ、そんなことって……。
「ああ、マリーカは知らなかったな。こいつは三ヶ月近く前に体調を崩してな、私が預かってこの屋敷で療養中なんだ。
最初の一ヶ月は誰とも話せないほど酷い状態だった。」
「ええっ、何か重いご病気だったんですか?すみません、何も知らずに長々と……。」
私は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。療養中の彼に無理をさせてしまっていたことを後悔していた。
「いや、言わなかった私も悪かったよ。最近はだいぶ落ち着いてきたから、そろそろ外の人間と触れ合っても
大丈夫だと思ったんだ。すまんなライ、軽率だったよ。」
ノネットさんもライさんに謝った。
「いえ、二人とも気にしないで下さい。これでも以前に比べれば軽い方ですから。それに、マリーカと話すことができて、
嬉しかったし楽しかった。だから、二人のせいじゃありませんよ。」
そう言うと、ライさんは静かに笑った。
「そうか、ならいいんだが。お前は部屋に戻って少し休んでろ。夕食の時間になったら呼んでやるから。」
「すみません、そうさせてもらいます。」
ノネットさんに促され、ライさんは居間を出ていった。去り際に彼が私に向かって、
「すまない。」
と、小さくつぶやいたような気がした。
支援
「すみません、ノネットさん。私のせいで……。」
私はノネットさんに謝った。自分が彼女についてきたせいで、せっかく良くなってきていた彼の体調が悪くなったと思っていた。
「いや、マリーカのせいではないさ。私の判断が甘かったのかもしれん、だが……。」
そこで、ノネットさんは言葉を切った。
「だが、お前を連れてきたのは間違いではないと今でも思っている。あいつのあんなに楽しそうな顔は、久しぶりに見た。
私はな、あいつの心と体が少しでも良くなればと思い、お前を誘ったんだ。」
「えっ?」
意外な言葉だった。私がいると、彼の心身に影響があるの?
「お前は周囲を和ませ、明るい雰囲気にできる子だ。お前と接することで、あいつも少しは自分を取り戻せるかもしれん。
実際初対面にも関わらず、あいつはお前に様々な表情を見せた。少し前までは無表情で、人前に出ることを恐れていたあいつが。」
「そうだったんですか。でも、私でお役に立てるかどうか。」
「ああ、話し相手になってくれるだけでいいんだ。それに、あいつもお前と……。」
「え?」
「いや、何でもない。とにかく、あいつと仲良くしてやってくれ。」
「あ、はい!わかりました。」
ノネットさんが何を言いかけたのか気になったが、私はライさんのために何かしてあげたいと思っていた。
(ライ。今の状態で本当に話せるのか?ナリタでのこと、キューエルのことを……。)
その後、夕食の時間にライさんは出てきたが、少し良くなった様子で安心した
支援
支援
その日の夜、私は夢を見ていた。兄・キューエルの夢を。
(あれはキューエル。それと…私?)
『マリーカ。純血派に救世主が現れたぞ!』
『救世主?』
(ああ、そういえばそんな話したっけ。ナリタ戦の少し前だったかな。)
『そうだ、あのエニアグラム卿が認めるほどのナイトメア操縦技術、判断力を持った、まさに逸材だ。』
『どうせまた、強引に声をかけたんでしょ。まったくもう。でも、ノネットさんが認めるような人だなんて。一体、どんな人なの?』
『ああ、その名もライ卿。白銀の騎士だ。』
(ライ……!?まさか、そんな!)
私は夢から覚めて、ベッドから飛び起きた。
「そうだ、思い出した。どこかで聞いたことがあると思った。ライという名の『白銀の騎士』。キューエルが救世主だと言っていた人。
そして今日会ったライさん。もしかして、キューエルが言っていたのは、あの人のことなの?」
もしそうだとしたら、何という運命のいたずらか。数日後に兄が戦死したショックですっかり忘れ去っていた人物。
その人物が今、ひとつ屋根の下にいる。
「あの人は、キューエルを覚えているのかな?たぶん覚えていないだろうな。会ったの一回だけだろうし、
キューエルが一方的に話しただけだろうから。でも、明日からどんな顔をしてライさんと接すればいいんだろう?
ねえキューエル、私はどうすればいいの?」
その後、私は朝まで満足に眠ることもできなかった。
支援
支媛
支援
支媛
支援
以上です、支援ありがとうございました。
どのタイミングで過去話を入れようか、模索中です。
まともな長編なんて初めてだし、どうなることやら。
とりあえず、じっくり書きます。
虫食いのように勢いだけでどうにかなるものでもないので。
連チャンで支援してた…orz
>>604 乙でした!この先二人はどんな展開になるのか、とても楽しみです!
次回の投下を楽しみにしてます!
もちろんのことながら虫食いの方も待ってます!
>>604 ギャグもいいけどシリアスもね
余暇卿、GJでした!
次回は重い話になるんでしょうかね
もちろん、虫食いだろうがライカレだろうが、全力でお待ちしておりますよー!
マリーカ、良いキャラだなぁ!
小説の方は読んでないからSSスレとかの各スレや用語集サイトでの情報でしか知らないけど
キューエルもジェレミアいじめを除けば良いキャラなんですよね〜
マリーカとライのこれからが気になります!
続きを全力でお待ちしてま〜す
ヴァルキリエ隊モノを書こうかな・・・。今書いてるの棚上げして・・・
>513
朝比奈、カレン。そして玉城。違和感がない良い支援です!
耳元でそっと花言葉をささやく千葉中尉も可愛いですね〜。
>ポタラ卿
誰が死ぬかと思っていたらまさかライとは。……しかも最後を見るかぎり生きているっぽいですね。
どうして生きているのか、そして帝国へ向かったゼロとカレンの運命は。
次回が非常に楽しみです!
>余暇卿
次回はキューエルの、ナリタでの話ですかね。ライのことだから馬鹿正直に言って、反感食らうかも知れ
ない。しかしノネットさん、涎のことは秘密にしておいてもいいのに。天然か、それとも場を和ませよう
としたのか?
マリーカも良いキャラですね。本編ではどうだったのかわかりませんが、つくづくあっけない戦死が悔や
まれる……。小説では良い子でしたけどね。
さて、お久しぶりですRCです。久々の投下させて貰います。
最後の投下より五分以上経過し、 支援がなく続きがない場合はお猿さんに引っかかったものと判断してく
ださい。また後で続きを投下します。
作者名 RC
タイトル Return Colors
カップリング 現在のところなし
注意事項
このSSはギアス編の続きとなっています。
本編に出てこない地名や設定は捏造だらけです。
人物も本編に近づけるように書いていますが齟齬は当然あります。
主人公はライです。
一話の長さは結構あります。今回は24、25ぐらいスレを使うと思います。
規制に引っかからないよう、支援をよろしくお願いします。
Return Colors 八話 〜再会〜
「何? もうホクリク地域からの物資が流れてこないだと」
正面のモニターに映る卜部の言葉を聞き、CCは眉をひそめる。
『ああ。先日運搬中にブリタニア軍に見つかってな。それを手がかりに『北の狼』がブリ
タニア軍に潰された。当然奴らが確保していた密輸ルートもだ』
「……やれやれ。最近のブリタニア軍はずいぶんと頑張る。わかった。次からは物資はオ
オサカ地区のルートを使おう」
『オオサカ地区のルートか。あの辺りはブリタニア軍の警戒もかなりのものだぞ』
「他に使えるルートがないのだからしょうがない。運ぶ量を分散させて運ばせる」
素っ気なく告げてCCは通信を終わらせる。座っている椅子に体を預けて、不服そうに頬
を膨らませる。
「それにしても、何故私がこうも頭を悩ませなければならないんだ」
ゼロの愛人という立場だったというのに。いくら人材が不足しているとはいえ――内心
で呟く。
「ただいまー」
疲れをにじませる声が玄関から聞こえる。椅子だけを動かし視線を向けるCC。
リビングへ入ってきたのはCCの同居人であり、黒の騎士団の幹部の一人でもある紅月カ
レンだ。
「はぁ、疲れた……。何か変わったことはあった?」
水を一杯飲んだ後、どかっと音を立てて椅子に座るカレン。年頃の女性がするにはかな
りはしたない体勢をしているが、今更CCはそんなことに突っ込まない。
「大したことはない。後で話す。ところでカレン。夕食はどうした」
「? ここに買ってきてあるでしょ」
「ピザがないようだが」
「はぁ? 何言ってるのよ。ちゃんとピザを買ってきたわよ」
心底かったるそうにカレンは言う。
「まさかとは思うが、これではないだろうな」
手にしたパックの中には三角に切られたピザらしきものが乗っている。
「それよ。スーパーで特売だったから」
「お前の目は節穴か! こんなものがピザと呼べるか!」
確かにパックにはピザと表記されてある。薄っぺらい生地にチーズやピザの具らしき物
体が乗っているが、こんなものはピザなどとは言わない。どれだけ高評価をしても"ピザ
らしき物体"としか言いようがないだろう。
CCは椅子から立ち上がるとカレンのバックを手に取る。
「何してるの」
「財布を借りようと思ってな」
「……一応聞くけど、何のために?」
「ピザを注文するために決まっているだろう」
返答を返すと同時、カレンは財布をひったくり、ピザらしき物体の入ったパックを付き
だしてくる。
「今日はこれで我慢して。明日はきちんとしたの買ってくるから」
「断る。こんなピザもどぎを食べるなど、私の舌とプライドが許さん」
「明日はきちんとしたピザを必ず買ってくる。もし破ったら明後日は好きなピザを頼んで
いいから」
投げやりに言うカレン。いつもならいくらかやり合ったりする――ほとんどCCが勝つ―
―のだが、それができないぐらい疲れているようだ。
「その言葉、忘れるなよ」
だがCCはその隙を見逃さない。不敵に笑い、カレンからピザらしきものが入ったパック
を受け取る。カレンも財布をしまうと惣菜のパックを開いて食事を始める。
食事を取っている間にCCは今日知った出来事今日知った出来事をカレンへ話す。
「『北の狼』が……」
「矯正エリアになってから黒の騎士団を初めとする犯行組織への弾圧も苛烈になっている
からな。ともあれこれでホクリク地区はもう使えないな。
オオサカは警戒が厳しい。トウカイはルートは無数にあるが組織自体が少なく、黒の騎
士団にさほど協力的というわけでもない。
桐原達が処刑され、キョウト六家も神楽耶を残して壊滅。物資ルートもとうとう残すと
ころあと一つか二つ。ラクシャータにディートハルトを中華連邦に亡命させたはいいが、
このままでは連絡を取る前にこちらが潰れかねないな」
平然と悲観的なことを言うCCにカレンがむっとする。
ブラック・リベリオンから数ヶ月。黒の騎士団は存命しているものの、その力は大きく
弱体化していた。
支援
理由は三つ。リーダーであるゼロの死亡、騎士団幹部の大半がブラック・リベリオンの
時にブリタニア軍に捕縛されてしまったこと。最後の一つは各地に細々と点在している独
立組織が次々とブリタニアに潰されているからだ。
ブラック・リベリオンの敗北は、黒の騎士団だけではなく日本全体の大きな傷となった。
ユーフェミア・リ・ブリタニアの虐殺行為――実際はルルーシュのギアスの暴走のせいだ
が――に憤った日本人はその怒りに突き動かされるまま黒の騎士団と合流、ブラック・リ
ベリオンと言う決戦に参加した。
事前に決戦を予定していた黒の騎士団も相当消耗したというのに感情に突き動かされる
まま動いた他の組織が無事なはずもない。ブラック・リベリオンに参加した小、中規模組
織の殆どがリベリオン後に壊滅となり、生き残った組織や大組織も騎士団同様に力を削が
れたままブリタニア軍に次々と殲滅させられていった。
また物資の補給が十分でないこともここには関係している。リベリオン以前はキョウト
の支援も受け、数々の実績を残したゼロの存在があった黒の騎士団は、他の組織からの協
力、支援も多かった。しかし敗北後組織が弱体化した上、ゼロの死亡。キョウトの重鎮達
が皇神楽耶を除き処刑されたこと、さらに各組織の内情が重なり、現在では組織同士の連
携もまともに取れないのだ。
「せめてゼロが、いやルルーシュがいればどうにかできるかもしれないが」
そうCCが言うと、カレンは複雑そうな表情を浮かべる。
――まだ、割り切れていないのか
ブラック・リベリオンの後、カレンに問われたCCは自分が知りうるゼロの、ルルーシュ
についての情報を全てカレンに教えた。ルルーシュの出自、戦う理由。そしてギアスのこと。
話し終わった後、カレンは今のように奥歯に物が挟まったような顔をしていた。理解は
できる、納得も。だが――。そう思っているような表情を。
「ルルーシュは、どうしてるの」
「前と変化はない。相変わらず学園に通い青春を謳歌している。――そして常に隣には"弟"
君がいる」
支援
あ、RC卿!?支援!
「相変わらず、監視されてるって訳ね……」
スザクに捕まったゼロだったが、どういう訳か再びエリア11に戻ってきていた。そし
てゼロ、黒の騎士団のことなどすっかり忘れ、ルルーシュ・ランペルージとして普通の学
生のような生活を送っている。
一体何がどういう事があってそうなったのかおおよその予想はついている。だが今はそ
れを置いておくとして、問題点はルルーシュがブリタニアから監視を受けているという事
だ。偽りの弟のみならず学園にも同じように教師に扮した監視員がいるため下手な手は出
せない。
「あまり頭を使うなよ。こういう事はお前の分野ではない」
口をへの文字にしているカレンへ、突き放すようにCCは言う。
「そう言うけど今騎士団は私と卜部さん、あなたの三人がまとめているのよ。私たちが考
えなくて、どうするって言うのよ」
「もっともな発言だ。だがお前の分野ではないことは確かだろう」
現在エリア11にいる黒の騎士団の団員にはルルーシュやディートハルトのような知謀
や策略に長けた人材が全くいない。ある程度頭が回る者はいるが、それはCCとさして変わ
らぬものだし他の優れていたもの達はブラック・リベリオン時にブリタニアに捕縛されて
いるか、戦いにより死亡しているかのどちらかだ。
ディートハルトにルルーシュの奪還作戦を考えてもらうことは、一度だけだが考えたこ
とはある。彼ならばCC達よりも成功率が高い作戦を提示できるだろう。
だが、同時に一つの危険も考えられ、やめた。現在黒の騎士団でゼロの正体を知ってい
るのはCC、カレン、卜部の三人のみ。もしディートハルトが正体を知れば卜部のように驚
くだけでは終わらない。ブリタニア人の、それも学生が何故ゼロになったのか、ルルーシ
ュのことを調べようとするはずだ。
そしてルルーシュの出自を知れば、ディートハルトの過剰とも言えるゼロへの期待と信
望――おそらくそれがディートハルトが騎士団にいる理由――はどうなるかわからないし、
ルルーシュがブリタニア皇族だという情報をどう扱うかも予測がつかない。ルルーシュに
とっても黒の騎士団にとっても、色々と面倒なことが起こる可能性がある。人格面はとも
かく、能力的には相当優秀な男なのだ。
今、他に誰かいないのか?!支援
CCとしては日本が独立しようが、ブリタニアに黒の騎士団が潰されようが、大したこと
ではない。
重要なのはただ一つ、契約者であるルルーシュの生存だ。ギアスを暴走させたとはいえ
彼はまだCCの契約者。マオのように壊れていない。終わっていない。CCの願いを叶えら
れる可能性を秘めている。
だからこそCCは今騎士団と共にいる。全ては契約者であるルルーシュを取り戻すために。
「今は力を蓄えながらルルーシュ、いやゼロの奪還の機会を待ち続ける。歯がゆいだろう
が無理に焦って行動を起こしても、ろくな事にはならないからな」
量的に少し物足りない夕食を食べ終わり、プラスティックの容器をゴミ箱に放り投げ、
タンスから下着や着替えを取ると、CCはシャワールームへ向かう。
「CC!」
平然としているこちらの態度に苛立ったのか、鋭い眼差しを向けてくるカレン。しかし
CCはそれを無視してシャワールームへ入った。
スザクの構えた銃より発射された一発の銃弾。それは的確にゼロの仮面を穿ち、二つに割る。
現れたのは見慣れた顔。アッシュフォード学園生徒会副会長、ルルーシュ・ランペルージ。
その彼が、ゼロと同じ強い自負心を感じさせる声で言う。
『そうだ。俺がゼロだ。黒の騎士団を率い、神聖ブリタニア帝国に挑み、世界を手に入れる男だ』
少年より発せられた言葉に、カレンは耳を疑う。
世界を手に入れる? 何を言っている? これは、この戦いは全て日本の独立のための――
『あ、あなたは。……私たち日本人を、利用していたの? 私のこともっ!?』
カレンは叫ぶ。自分と同じ答えが返ってくることを願って。今まで自分たちを導いてく
れたゼロ。そのゼロを信じて。
だがゼロ、いやルルーシュは見下すような笑みを浮かべて、
『結果的に日本は解放される。文句はないだろう?』
あっさりとカレンの思いを、踏みにじった。一瞬の躊躇すらなく。
結果的に日本は解放される。結果的に――結果的に!?
支援
支援
ルルーシュの言葉が脳裏を駆けめぐり、カレンの心に激憤が現れる。しかしすぐにそれ
はどうしようもない悲しみへとすり替わる。
扇は言った。ゼロはナオトの夢を継ぐ者だと。
だがそのゼロは今、なんと言った? 結果的に日本は解放される? 兄も彼と同じ事を
求めていたと?
――違うっ!
そう、違う。兄は世界など求めていない。自分や扇と同じものを求めていた。日本の独
立を。大切な人たちと一緒に暮らせる場所を。世界などを求めたりはしなかった!
――こんな、こんなやつに。私は、扇さんは、みんなは。利用されて――!
悲しみと衝撃の嵐が心の中で荒れ狂う。茫然自失となったカレンをよそにスザクとルル
ーシュは互いの感情を真っ向からぶつけ合う。
そして鳴り響く二つの銃声。ルルーシュの銃弾はスザクのインカムを破壊し、スザクの
銃弾はルルーシュの腕を弾く。
体勢の崩れたルルーシュへ飛びかかり、引きずり倒すスザク。
『ゼロッ!』
反射的にカレンはルルーシュをそう呼び、助けに向かおうとするが、
『こいつはルルーシュだ! 日本人を、君を利用した男だ! そんな男を守りたいのか、君は!!」
スザクの激情がカレンを止める。利用されたという事実が胸に突き刺さり、その事実を
認めるのが怖くなり、カレンは二人の前から逃げ出した――
「っ!」
カレンの目に映るのは明かりの消えた寝室。全身にはびっしょりと汗をかいており、呼
吸も荒い。
緩慢な動きで周囲を見る。隣ではチーズくんを抱えたCCがやけに幸せそうな顔で眠って
いる。時計の針は深夜の時刻を指している。
――また、あの夢……
起きあがって台所に向かうカレン。冷蔵庫から取りだしたミネラルウォーターをコップ
一杯に継ぎ、一気に飲み干す。
渇ききった喉が瞬時に潤う。しかし憂鬱な気分は全く晴れない。
窓の外へ視線を向ける。雲一つない夜空にはくっきりと形をなす満月が見える。
支援
支援
「あの後……」
自然に言葉が紡がれ、夢の続きが脳裏に展開される。
あの後、CCと合流しゼロ、いやルルーシュについて聞けることは全て聞いた。
共感すべきところもできないところもあった。だがそれでも胸に残るこのしこりは――
「ギアス……」
人の理を超えた超常の力。ルルーシュのギアスは絶対遵守。命令を下した全ての存在を
従わせる王の力。そうCCは言っていた。
だとすれば――自分がゼロのために戦ってきたことは、全てルルーシュに命令されたか
らなのか。ギアスで自分の意志をねじ曲げられて。
自分の戦う理由だけはそうでないと言い切れる。母のため、家族と幸せに暮らせる世界
を作るために戦っている。この思いには一変の偽りもない。
だがその思いにつけ込み、自分をいいように操っていたのではないか――神根島の後、
そんな不安がカレンの胸に内に根付いている。
彼に会って、確かめなければならない。真実を。そして自分の思いを。彼が、ルルーシ
ュが本当に自分が信頼したゼロなのか。再び共に戦っていけることができるかどうかを。
「寝よう…」
明日――時刻はすでに今日になっているが――も早い。夕方まで仕事があり、夜は紅蓮
二式の調整もある。休めるときに休んでおかなければならない。
私は倒れるわけにはいかない。自分の思いと、ルルーシュの真意を知るまで。そして日
本を独立させるその時まで。何があっても――
オオタゲットー。かつてエリア11が日本と呼ばれていた頃は東京都大田区という名前
だった。東京都内に存在した製造業の工場が最も多く存在した区域である。
その為ブラック・リベリオンが起こる前より廃墟の地下には黒の騎士団専用の工場があ
り、そして現在も以前に比べれば生産性はかなり落ちているものの稼働はしており、戦力
が減少した黒の騎士団にとってはさほど問題はない。
その工場に今日は黒の騎士団が使用しているほぼ全てのKMFが集結していた。
暗く広い工場内に並べられたナイトメア。その周りを黒の騎士団の整備班が、またゲッ
トーに住む協力者が汗と油にまみれて動いている。
工場の奥の隅に鎮座する紅蓮弐式と月下。現在の黒の騎士団において最大戦力とされる
二機は整備班でも特に腕の立つ面々が念入りに整備している。
支援
支援
他のナイトメアの整備を手伝っていたカレンは、紅蓮の調整が終わったという話を聞く
と、愛機の前に駆け寄る。
「できうる限り最高の整備をしまして。とりあえず乗って確かめてみてください」
カレンは頷き、コクピットへ入る。軽く腕を動かし、機体を走らせる。
「どうでしたか?」
「上半身の動きが私の反応にやや遅れてる。逆に下半身は反応がよすぎる。それと――」
乗って感じた異変をはっきりと事細かに告げるカレン。調整に自信があったのかいささ
か落ち込む整備班の面々。それを見て一瞬、悪いとも思うがすぐにそれを振り払う。
遊びではないのだ。悪いところは悪いとはっきり言わなければいけない。曖昧な言葉で
取り繕ってもいいことは何もないし、もし自分や紅蓮が撃破されれば、彼らの命はないのだから。
他のナイトメアの調整へ戻るとき、紅蓮の方を振り借る。駄目出しを食らった整備の人
たちは先程よりも気合いの入った表情で紅蓮の整備を再開している。
――うまくいけばいいんだけどなぁ
彼らの腕は悪いわけではない。ラクシャータの指導を受けた彼らは以前よりもはるかに
腕を上げている。紅蓮以外の機体なら何の問題もないだろう。
だがやはり紅蓮は特別なのだ。第七世代に相当するこの機体をカレンが望む"完璧な調
整"をできるのはおそらくラクシャータや彼女のチームだけだろう。
何機か整備を終えた後、休憩を取るカレン。そこへやってくるCC。
「紅蓮の整備はまだ終わらないのか」
「さっき駄目出しをしてね。ほら、あそこ」
「なるほど、頑張っているな。他の機体との整備とはやる気にかなりの差がある。結構文
句を言ったようだな」
いやな笑みを浮かべるCCへカレンは頬を膨らませる。
「ラクシャータさんがいれば、あそこまで言わなかったわよ。それに…」
カレンの視線が紅蓮の右腕に向けられる。
以前の猛獣や猛禽の爪や牙が組み合わされてできた掌ではない。三本の爪は鉄棒と刃を
組み合わせ、そのまま取り付けたような外見だ。右碗部もむき出しになっており、以前と
比べてひどく頼りないように見える。
支援
支援
甲壱型腕と言う名称の腕だ。ブラック・リベリオン時にランスロットによって破壊され
た右腕の代わりとして現在紅蓮の右腕に装着されている。特徴は以前の右腕と同じで輻射
波動が使える点。だがあくまで代わりのためか、その威力はさほど強くはなく、連射もき
かない。
「今は我慢するしかあるまい。ラクシャータ並みの技術者が見つかれば、少しは改善され
るかもしれないが」
「そんな人がそう簡単に見つかるもんですか。あとさ」
「なんだ」
「あの青い月下、いつまで持っておくの」
カレンの視線が紅蓮のさらに奥へ向けられる。
薄暗いその場所には多くの破損したナイトメアが並んでいる。それらの中にある青い月
下。左碗部がないものの、他のナイトメアとは違いさほど埃をかぶっていない。
「四聖剣の月下が破損したときのスペアだと言っておいたと思うのだが、何か問題でもあ
るのか」
「あるわよ。乗り手のいない機体を遊ばせておくほど、今の騎士団に余裕はないわよ。
独特な調整もされているし、ラクシャータさんがいない今じゃあ下手に変えることもできない。
あのままじゃ私や卜部さんはもちろん、藤堂さん達だってあれには乗れないわ」
藤堂、そして四聖剣。黒の騎士団においてカレンと並ぶエース格である彼らの専用機が
月下だ。彼らの乗る月下は搭乗者の力が100%発揮できるよう調整はしてあるが、さほどの
差はない。
しかしあの青の月下だけは別だ。先行試作型とはいえ各所の設定が他の月下に比べ大き
く変更されており、特に機動や反射系統の設定は通常の月下を大きく超えた調整が施され
ている。あの月下はカレンの紅蓮同様に"専用機"となっているのだ。
「ゼロ……も言ってたでしょう。誰も使用できないのであればさっさと分解するべきだって」
だが、その話が持ち上がるたびに何故かCCは強固に反対した。理由を聞こうにも先程の
ような真っ当な理由をこじつけて。
「どうしてそこまであの月下にこだわるの?」
そもそもカレンはあの月下がどうしてあるのか、それ自体わからない。あんな専用機に
乗っていた人間は騎士団にはいない。制作者であるラクシャータもあれの存在には首をか
しげていた。
「……こだわっている、か」
問いかけにCCは答えず、ただ青の月下を遠い目で見つめて、
支援
「わかった。それじゃあ卜部の月下が破損したときにはばらすことにしよう。整備の回数
も減らそう」
「……あくまでも、残す気なんだ」
「ナイトメア一機バラすのも結構な手間がかかるだろう。それともそんな手間が今の騎士団に――」
突然響いた振動。続く爆撃の音がCCの言葉の先を潰してしまう。
「何なの!?」
騒然とする整備場へカレンは叫んだ。
サザーランドのモニターには薄汚れたイレブンの姿が映っている。
視認と同時にライフルを向ける。発射された銃弾にイレブン達は周りの建物と共に原形
を留めない形へと変わる。
罪悪感は覚えない。相手はナンバーズ。しかもテロリストなのだから、死んで当然。
エリア11に駐屯しているブリタニア軍の騎士は心の中で冷たく吐き捨てる。
「ポイントF34を制圧。指示を請う」
『…ポイントE5へ向かわれたし。敵の主力部隊がいる模様。敵は黒の騎士団。注意されたし』
「了解」
短く返事を返してサザーランドのランドスピナーを機動。暗い廃墟をサザーランドが駆ける。
ここオオタゲットーが以前よりテロリスト達の機動兵器の重要な補給、整備拠点である
ことはエリア11駐屯軍の間では噂として流れていた。幾度か軍を派遣したことはあった
がそれらしい証拠や痕跡はつかめないままだった。
しかし先日捕まえたテロリストのイレブン――元日本解放前線の幹部だったらしい――
が吐いた情報により、再び軍を派遣。そしてとうとうトカゲのしっぽではなく、本体を見
つけることができた。それも大物の。
――イレブン共め、まだ逆らうつもりなのか。もうゼロはいないというのに
認めたくないことではあるが、ゼロが率いていた黒の騎士団はエリア11のブリタニア
駐屯軍にとって間違いなく驚異だった。世界各地のエリアで連戦連勝を重ねたコーネリア
殿下が幾度となくゼロに出し抜かれ、危機的状況に陥ったのだから。その際たるものが昨
年末に起きたブラック・リベリオンであろう。
支援
しかしそのゼロは捕らえられ、死んだ。NACの幹部達も処刑され、各地のテロリストも
力を弱め、確実に潰れていっている。
そんな状況にもかかわらず、黒の騎士団はしぶとく抵抗を続けている。ゼロのいた頃と
違い負け続きだというのに。
「薄汚いイレブン共が。今日こそひねり潰してやる」
下唇を舐める男。彼はここで死ぬと言うことは微塵も思っていない。
何せ自分はあのブラック・リベリオンの激戦を生き残ったのだ。この程度の状況で死ぬ
はずがない。ゼロを失い烏合の衆となった黒の騎士団など恐るるに値しない――
今日こそ黒の騎士団を壊滅させてやる。そう息込んだ、ふとセンサーが反応する。
熱反応。それも人の姿をしている。サザーランドの頭部を向けると瓦礫からブリタニア
軍の防備スーツを身につけている。
だが味方とは限らない。油断せずライフルを向け、外の音が拾えるようセンサーを調整。
「何だ、貴様」
『第四偵察中隊のアルフォンス・コナーです。テロリストから妙なものを押収しまして。
本部へご送信をお願いできますか』
歩いてくる兵士。両手には何やら奇妙な箱を持っている。
『わかった。だがその前にIDを確認させて貰う』
「わかりました。――でも、その前にあなたのサザーランドを僕にください」
何を言っているのだ? と思った瞬間、体の中に何かが入り込む。すると浮かんでいた
疑問は瞬く前に消えてしまう。
――サザーランドを渡す? そうだ、当然のことだ。今すぐ渡さなければならない
「わかった。大事に使えよ」
コクピットから出る彼。すぐその代わりのようにアルフォンスがサザーランドに乗り込む。
『ありがとうございます』
短く礼を言って、サザーランドは遠ざかっていく。
彼はそれを見送り、しばらくしてふと気がつく。
「……なぜ、私はここにいるんだ? 私のサザーランドは、どこに……」
支援
カメラにうつるサザーランドは六機。それらから霧雨のように放たれる銃弾を、紅蓮弐
式は壁に隠れてやり過ごす。
周囲を警戒しながらカレンは通信機に向かって問う。
「CC、避難状況は?」
『人員の七割は脱出した。後は殿役を務めているお前達だけだ』
「そう。よかった……」
どうやらブリタニア軍は、自分という獲物にまんまと引っかかってくれたようだ。
『安心している場合ではない。どうだ、逃げられるか』
安堵のため息をつくと、CCが冷淡な声で言ってくる。
モニターへ目を向ける。サザーランドの数はさらに増えている。
「ええ。あと五分もしたら向かうわ。卜部さん達には先に逃げるよう言っておいて」
『…わかった。伝えておく。カレン、無茶はするなよ。必ず戻れ。五分以にな』
通信が切れたと同時、コクピットに鳴り響く警告音。紅蓮が隠れているところへ飛んで
くるミサイル。
「ちっ!」
カレンはすぐに行動した。操縦レバーを引き、紅蓮を別の建物の陰に隠す。着弾し、発
生する爆発。敵の動きを見ながら、カレンはCCのところまでの脱出ルートを探す。
――厳しいわね
三対一程度なら特に問題はない。最初にいた六機相手でも建物などの遮蔽物を使えば撃
破できないこともない。
しかし先程まで六機しかいなかったサザーランドの数が、倍以上に増えている。しかも
最初に交戦したときもそうだったがブリタニア軍は紅蓮の戦闘スタイルを知っているよう
でこちらの間合いの外から射撃や大型キャノンによる攻撃を繰り返すだけだ。
何度かは攻撃がやんだ瞬間、カレンは紅蓮を飛び出させ何機かのサザーランドを破壊し
たものの、こちらが攻撃に映ると彼らは回避と牽制に徹底し、味方が到着したらすぐさま
反撃にうつるのだ。
逃げの一手という手もある。紅蓮が全力で逃げれば第五世代のサザーランドは追いつけ
ないだろう。だが、
「上手く逃げられるかしらね……」
ブリタニア軍とて馬鹿ではない。周囲に敵がいないこと、紅蓮がたった一機だけ残り、
交戦していることの意味を悟っているはず。
支援
支援
支援
「!」
再び鳴る警告音。振り向くと同時に角からライフルを構えたサザーランドが二機、姿を
見せる。
考えるよりも先に、カレンは操縦レバーを動かす。左碗部のグレネードランシャーを発
射。角寄りだったサザーランドがあっけなく破壊される。
爆風と爆煙を浴びながらランドスピナーを回転させ、瞬く間に間を詰める紅蓮。姿を見
せたもう一機のサザーランドの頭部を右手のかぎ爪がくわえ込む。
「食らえっ!」
叫びと同時に右手から発射される真紅の輝き。サザーランドにもそれが伝わり機体が不
気味に膨張する。
数秒の時間が経過した後、かぎ爪は離れ、同時に爆発するするサザーランド。
これぞ輻射波動。紅蓮を紅蓮たらしめている武器。
瞬く間に敵機を撃破したカレンだが、その表情には安堵どころか焦燥に染まっている。
先程の二機を撃破した瞬間、紅蓮のところへ雨あられと言わんばかりのミサイルが降って
きたのだ。
「くっ!」
紅蓮を巧みに走らせるカレン。精度はそう高くなく直撃こそないが、近くで爆発させら
れているのだ。僅かずつではあるが機体にダメージが蓄積されるのは間違いない。
さらに追ってくる、または廃墟の影から現れるサザーランド。次から次へと現れるそれ
らをカレンは必死に撃破、または行動不能にするものの、周辺の爆発とサザーランドから
の反撃で徐々に紅蓮の動きは鈍っていく。
「ここで私だけでも片付けておこうって事…!?」
紅蓮一機にここまで戦力を集中させることは普通考えられない。時間はとうに五分は過
ぎている。と言うことは皆は無事に逃げ切ったのだ。
一瞬表情を和らげ、すぐにモニターを見据える。いつの間にか攻撃は止んでいるが、そ
の代わりに紅蓮の周囲には無数の光点が見える。
――囲まれた
『聞こえるか、下等なイレブンよ』
夜の廃墟に、勝ち誇った言葉が響く。
『貴様に逃げ場はない。おとなしくナイトメアから降り、投降しろ』
カレンは耳を貸さず、モニターを見つめる。そしてどうやってこの場を脱出するかを思案する。
RC卿キター!!!
支援
落ちます。あとは頼むよ。最後に支援。
『10数える内に姿を見せろ。10……9……』
しかし妙案は浮かばない。万全の状態ならば強引に力業での突破も不可能ではないだろ
うが、現在の装備やエナジーの残量を考えればそんなことはとうていできない。
『8……7……6…』
絶体絶命の危機。しかしここで諦めはしない。そもそもこの程度で諦めるなら神根島で
紅蓮のキーを手に取ったりはしなかった。
それにまだ自分には力がある。紅蓮がいる。こんなところで死ぬわけにはいかない。
『5…4…3…』
姿勢をさらに低くして、操縦桿を握り直し、モニターを睨むように見据える。カウント
ダウンが終了と同時に飛び出すつもりだ。
『2……1』
――今っ!
紅蓮の操縦桿へ力を入れたその時だ。突然カレンの右斜めに位置していた三機のサザー
ランドがモニターより消え、その代わり一機のナイトメアが突っ込んできた。
そのナイトメアはあの青い月下だった。
「な……」
カレンは唖然とした。あの青い月下、あれは間違いなく黒の騎士団が保有していたものだ。
だが一部違う部分が見られる。左腕がないはずだったが、無頼の左腕が装着されている。
青の月下は廻転刃刀を右手に、ライフルを左手に持ち次々と敵機を撃破していく。その
あまりに速く的確な攻撃にブリタニア軍は全く為す術がない。
『な、なんだっ!? あの機体は!』
狼狽えた声がマイクを通して周りに響く。突然の乱入者にブリタニア軍が混乱したと見
たカレンは再び操縦桿に力を込めた。
飛び出す紅蓮。慌てた様子でライフルを構えるサザーランド三機。しかしその時にはす
でに紅蓮から飛燕爪牙が放たれている。
頭部を貫いた飛燕爪牙を引き戻し、左手に持つ呂号乙型特斬刀でコクピットへ突き立てる。
『き、貴様っ!』
しかしライフルが火を噴く前に、目の前の二機が横から銃撃を受ける。カレンは最初に
倒したサザーランドよりライフルを奪うと物陰に隠れ、援護者を見る。
支援
支援
『どうやら無事みたいだな。カレン』
いきなりの名指しにカレンは眉をひそめると同時に、何か懐かしさを感じる。
低く、柔らかい声。聞いたことのない声なのは間違いないのに、どうしてそう感じるのか――
「あなたは一体――」
『話は後だ。僕についてきてくれ』
「誰かもわからない奴の言葉を、素直に聞けると思うの?」
聞き返したその時、大型ランチャーを構えた鉄器を確認する。紅蓮、月下共に移動して
砲撃を回避する。
『疑うのはもっともだ。でも今は僕の言うことを信じてほしい。僕は君の敵じゃない。味方だ』
向かってくるサザーランドを、手にしたライフルで銃撃する月下。銃弾は正確にサザー
ランドの脚部や頭部を吹き飛ばし、戦闘不能に追い込む。
月下は完全に背を向けている。そのあまりに無防備な姿にカレンは反論を躊躇う。何よ
り月下から発せられる声が何故かカレンに敵意を抱かせない。
「……いいわ。今一時だけはあなたを信用する」
しばし迷うも、そう返事を返す。すると月下から明るい声が聞こえる。
『ありがとうカレン。――ところで、紅蓮はあとどのぐらい動く?』
「……あと十分ぐらいかしら。走ることだけに使えば十五分はなんとか」
『わかった。それなら問題ない。それじゃあ僕の後についてきてくれ』
そう言って走り出す月下はチャフスモークを噴出しながら走り出す。紅蓮もそれに続き、
同じようにチャフスモークを吐き出す。
時折サザーランドが立ちふさがるも青の月下は流れるような動きで相手の攻撃をかわし、
雷光のごとき一撃で戦闘不能に追い込む。その光景は、カレンに初めて見たランスロット
の戦う様を思い出させるほどだ。
そして同時に何故か安心し、何でもできるような気分になってくる。不思議な安堵感が体を包む。
『そろそろだ』
月下に乗っている青年が言うと、眼前に廃墟のビル群が見えてくる。そのどれもが大き
く、高い。十階はゆうにありそうなビルばかりだ。
モニターを見ると、ビル群の先には道路がなく、海しかない。つまり行き止まりだ。
カレンは月下に向けて通信回線を開いた。
支援
自分の月下とカレンの紅蓮を追ってくるサザーランドを見て、ライは冷笑を浮かべる。
相手側の心理はライには手に取るようにわかる。仕留める寸前だった極上の獲物を突然
の乱入者に邪魔された。許せない。獲物共々自分たちの手で始末してくれる――と言った
ところだろう。
――愚かだな。仮に真っ向勝負しても、お前達如きに僕達二人が負けるはずはないというのに
『ちょっとアンタ、目の前は海よ。これからどうするの!?』
「わっ!?」
突然響いたカレンの声に、思わず声を発するライ。怒鳴るような口調からするに相当焦
っているようだ。
「大丈夫だよ。こうなったときの策も用意している」
月下と紅蓮がビル群に入ったのを確認して、ライは通信チャンネルを開く。
「B01から全ユニットへ。Q1、Q2がポイントL06を通過後、L05へ到達した敵ナ
イトメアへ一斉射撃。全弾撃ち尽くすまで手を緩めるな」
『イエス、マイ・ロード』
感情のない返事を聞いて、ライはほくそ笑む。直後、モニターに敵の反応が表示される。
『敵!? しかもビルの中から……! ちょっと、どうするの!?』
驚きと焦りの混じった声で怒鳴ってくるカレン。
「心配いらない」
ライはひどく冷めた声で返答を返す。それと同時、ビル群へ突っ込んできたサザーラン
ドが突然爆発する。
『なっ…!?』
疑惑の声を上げるカレン。無理もない。ビルから姿を見せたはずの敵が味方であるサザ
ーランドへ攻撃しているのだから。
しかしそんな彼女に構わずビルにいるサザーランドはライの命令通り、全く休まず銃撃
の雨を降らせ、味方であるサザーランドを破壊する。ライたちを追ってきたサザーランド
は突然の味方からの攻撃に戸惑うばかりでまともな対応ができず、次々に破壊されるばかりだ。
支援
支援
「僕たちを見逃していれば、命を失わずに済んだものを」
ビルに潜んでいた十機余りのサザーランド。それに搭乗している全員、ライのギアスの
支配下にある。
CCと再開し月下に乗り込む前、カレン救出後に、しつこく追手が食い下がってきた時の
ことを考え、彼ら全員にギアスをかけ、ここに配置していたのだ。
『カレン、海へ向かうぞ!』
カレンに呼びかけてライは月下を加速させる。
視界に映る漆黒の海原。しかしそこには鈍い銀色に光る潜水艦の姿がある。ライがギア
スでエリア11に駐屯しているブリタニア軍から借り受けた物だ。
『さぁ、速く乗り込んで撤退しよう』
言うや、ライは愛機を跳躍させた。
「紅月! 無事だったか!」
潜水艦の中、紅蓮を降りたカレンの元へ安堵の表情を浮かべた卜部がやってくる。
「まったく、一人で囮を引き受けるとは……」
「すいません。それよりも卜部さん、あの青い月下には誰が乗っているんです?」
視線を向けると青の月下の前には何故かCCの姿がある。
月下のコクピットブロックが開き、パイロットが姿を見せる。
「俺も詳しいことはわからん。紅月とCCの通信が終わった後に、あの男がやってきた。そ
して我々にこの潜水艦を使えと」
CCと言葉をかわした後、一緒にこちらへ歩いてくる青年。身にまとっているのはブリタ
ニア軍の防護スーツ。
背丈はルルーシュより少し高いようだ。体つきは細身に見える。どこかルルーシュに似
た端整な顔立ち、髪は白、と言うよりも白銀に近く、空色に染まっている瞳は汚れ一つな
い水面のように澄んでいる。
しかし一目で彼が日本人でないことはわかる。カレンは襲いかかられても対処できるよ
う腰を低くする。隣の卜部も腰に携えてある日本刀へ手をやる。
するとこちらカレン達を見て微笑を浮かべていた青年は一瞬、哀しげな表情を浮かべ、
すぐにそれを消す。
「カレン、仮にも命の恩人に対してその態度はないんじゃないのか」
「仕方がないよ。初対面の、それも名前も名乗ってない人物に対しては真っ当な反応だよ」
支援
支援
呆れたように言うCCへ苦笑する青年。どうやら二人は知り合いのようだ。
「CC、お前の言うとおり確かに彼のおかげで我々も紅月は助かった。
だが彼は何者だ。突然我々の元を訪れ、こんなものを用意している。この潜水艦はどう見
てもブリタニア軍のものだろう」
つまらなそうな表情でCCは髪をかき上げながら、言う。
「こいつは私の知り合いだ。名前はライ・ランペルージ」
「……ランペルージ?」
ルルーシュと同じ性を聞き、思わずカレンは口に出す。
「初めまして紅月カレンさん。卜部巧雪さん。ライ・ランペルージと言います」
「こいつは以前からゼロが目をつけていた男でな。味方になるよう極秘裏に説得を続けて
いたのだが、ようやく重い腰を上げてくれたというわけだ。この潜水艦は手土産だそうだ」
やれやれと言ったような表情のCCにライは苦笑を深くする。
「日本人じゃないみたいだけど……ブリタニア人?」
「半分正解だよ。僕は半分ブリタニアの血が流れている、もう半分は日本人の血だけどね」
柔らかく微笑むライ。あまりにも様になっているその姿に思わずカレンは頬を熱くする。
「ハーフという訳か」
「まぁ、この姿のせいでそうは見られませんけどね」
「さて、もういいな? 私はこいつと色々話がある。しばらく部屋にこもるから何かあっ
たとき以外誰も入れないようにしろ。行くぞ、ライ」
CCは突き放すように言い、ライをつれて格納庫の扉を通っていった。
ライが自身に起きたこと、ブリタニアでの出来事を全て話し終えるとCCは表情を変えず、
しかし重いため息をつく。
「そうか……。やはりナナリーはブリタニア本国に」
「なぁCC。僕を目覚めさせた男、VVについて何か知っているか?」
「なぜ私にそのVVとやらのことを訊ねる?」
「君と彼の雰囲気が似ていたから、もしかしたら同族か知り合いかと思ったんだが。違う
のかい」
支援
CCはチーズくんを抱きかかえたまま、答えない。
「だんまりか。まぁ、いいさ。現状においてVVに関してはそんな重要な事じゃない。それ
よりも確認したいことがある。
特区日本で起きたユーフェミアの虐殺行為。あれはルルーシュのギアスが暴走したんだな?」
CCは驚いたように顔を上げる。
「……驚いたな。知っていたのか」
「はっきりと確証は持てていなかった。でもゼロの正体がルルーシュであることと、ルル
ーシュのユーフェミアへの評価を考えれば、自然とそういう結論になる。
いくらルルーシュでも妹であるユーフェミアに"日本人を虐殺しろ"などとギアスをか
けるはずがないからな」
ライはギアスの紋様が出現する右手で右目をそっと覆う。
「しかしわからない。何故VVはナナリーをさらっていったんだ」
「お前を目覚めさせたことも謎だな。自分の手駒にでもしようと思ったのか」
「それに――」
壁の向こうに人の気配を感じてライは言葉を切る。しかしそれが親しい人物であること
に気がつく。
「まぁ、わからないことを話し合ってもしょうがない。コーヒーでも入れ直すか」
下唇に人差し指を当ててCCにサインを送ると、まだ残っているコーヒーのカップをも
って立ち上がる。
排水溝に捨てると音もなくカップを置くと、静かな動きで扉のスイッチを押して開け、
盗み聞きをしている人物の目の前に立つ。
「わっ!?」
「何か用かな。カレンさん」
目を見開き、後ずさっていたカレンは視線を泳がせる。しかしやけになったような表情
になるとこちらをにらみ返してくる。
「話は終わったのね。それじゃあ今度はこちらからいろいろと質問させてくれるかしら」
トゲのある声で一方的に言い、彼女は乱暴な動作で部屋に入っていく。そんな彼女らし
い動作にライは思わず微笑んでしまう。
部屋に入るとカレンとCCがテーブルを挟み対面している。
「話があるから何かがあるまで入るなと言っておいたはずだが」
「返事を返した覚えはないわ。それに私に命令できる立場じゃないでしょう、あなたは」
支援
「暫定とはいえ今黒の騎士団をまとめているのは私ではないか?」
「正確には私と卜部さん、そしてあなたよCC。あなた一人じゃない」
「幹部の一人であることには違いないだろう。その言葉を蔑ろにするのか」
「大切なことを話していたんでしょう? なら私たちだって知る権利はあるわよね」
険しい表情のカレンに、CCは全く見向きもせずチーズくんを抱いている。剣呑な雰囲
気にライは少し冷や汗をかき、慌ててカレンと自分のカップをテーブルに置く。
コーヒーを見たカレンはまた鋭い眼差しを向けてくるが、黙ってカップを口に運ぶ。
ライもCCの横に座りカップに口を付ける。なかなかの味だが、舌に感じた苦みが今の
カレンの態度を連想させ、少し切なくなる。
――わかっていたこととはいえ、結構きついな
神根島にて眠る直前、自分を知る全ての人間へ"自分を忘れる"ようギアスをかけたお
かげでCCとVVを除いた全ての人間は自分のことを忘れた。だからこのような態度を取
られることもわかっていた。例えルルーシュ、ナナリーに次ぐ親しい関係だったカレンだ
としても。だがそうわかっていても実際のところくるものがある。
「だいたい彼は何者なの。あのナイトメアの操縦技術に戦術眼。それに初対面の私に対し
て、いきなりの名指し」
戸惑いと怒りの混じった表情でこちらを見るカレンを見て、また少し心が痛むがライは
微塵も表に出さない。
「ゼロが、ルルーシュが以前から目をつけていたって言ってたけれど、あれは嘘でしょう。
これほどの腕を持っているのならどんな手を使ってでも黒の騎士団に入れたはずよ」
やはり咄嗟のこととはいえ名指しはまずかったか。さて、どういう弁解をするべきか。
ライの頭が高速に動き始める。
「そんなにライの事が気になるのか。モテモテだな、ライ」
嫌らしい笑みを浮かべるCC。カレンは真っ赤になるが、羞恥よりも怒りの色が強い。
まずい、あれはかなり怒っている。
「とにかく説明して!」
立ち上がり、両手でテーブルをたたくカレン。止む得ずライは考えた出任せを口にしよ
うとするが、
「仕方がない、教えてやる。ライ、こっちにこい」
「? 何だ」
「もっと近くだ。隣に座れ」
側に立つライを、CCは強引に横に座らせるといきなり唇をふさぐ。
支援
支援
「んん!?」
「!?」
余りにも唐突な光景にカレンは目を見開き、ライは身動き一つ取れない。
突然の口吻は何も感じない。変わりにライの中の何かが触れられているような不快感が
わき起こる。
思わずCCを突き放そうとしたとき、彼女はすっと身を放す。
「CC。今のは……」
ライは問うが、CCは答えない。
「し、CC。あんた、なな、何、を」
恥ずかしさから顔を真っ赤にしているカレン。CCは無言のまま今度はカレンに近づくと、
艶を帯びた自分の唇をカレンの唇に会わせた。
――なっ!??
「!??」
目を見開くカレン。ライは先程同様反応できず唖然とその様子を見つめる。
「…あ」
数秒後に正気に返ったライは止めに入ろうと思ったが、二人の美少女の醸し出す官能的
な雰囲気の前に立ちすくむばかりだ。
そうやってライが躊躇っていると、CCは唇を離す。カレンは真っ赤な顔でしばらくぼ
ーっとしていたが、
「あ、ああああ、あんた! 何するのよっ!!」
動揺に震えている怒声を迸らせる。しかしCCは全く意に返した様子はなく、再びチー
ズくんをその胸に抱くと、
「思い出したか?」
そう言ってライを指さす。激怒したまま振り向いたカレンに、思わずライは後ずさる。
しばらく鬼の形相でこちらを睨んでいたカレンであったが、時間が経つにつれてゆっく
りと表情が変化する。最初は訝しげに、次に何かを思い出したかのように、そして最後に
先程ほどではないものの怒りの表情へと。
「……どういうことなの」
「な、何がだい?」
「どうしてライがここにいるの。今までどこに行ってたの。体の方は大丈夫なの」
淡々と言葉を続けるカレン。しかし言葉の裏からはマグマのごとき灼熱の怒りが発せら
れている。
支援
「どうして私は、あなたのことを、忘れていたのかしら」
「カ、カレン。落ち着こう」
ゆっくりとこちらに近づいてきて、カレンはライの両肩をつかむ。
ナイトメアの操縦で鍛えられた指が猛禽の爪牙のようにライの肩に食い込む。
「説明してくれるわよね。全部」
爆発寸前の怒りを含ませたカレンの微笑にライは激しく首を上下させた。
全てを聞き終えた後、カレンは怒りを静めた表情でライを見つめている。
正直、驚いている。彼が今より遙か昔の人間で、しかもブリタニア皇族と日本の貴族の
血を引いていること、ルルーシュと同じギアスの持ち主であること、そのギアスの副作用
により命が蝕まれていること、そのギアスの力が暴走しており、そのため皆に迷惑をかけ
ないためギアスを使って自分のことを忘れさせ、神根島で眠りについたこと。
どれも信じがたいことばかりだ。しかし表情に一変の偽りもなく、まっすぐな目で話す
ライを見ては信じざるを得ない。
「とりあえず教えられることは全て教えたけれど、納得してもらえたかな」
「ええ。……でも、幾つか確認したいことがあるわ」
ライは静かに笑みを浮かべてこちらからの問いを待つ。
「体の方は大丈夫なの? ギアスの副作用で、もう長くは……ないんでしょう?」
「うん。確かに記憶を取り戻したときには自分の体が弱っていることに気がついたんだけ
ど……。今ははっきりとはわからないんだ」
「どういうこと?」
「今は記憶が戻る前のようにどこにも変調が感じられないんだ。ブリタニアでも幾度かメ
ディカルチェックを受けたけれど異常はなかったし、情報を集めているときにも、それは
確認してる」
そこで一端言葉を切ると、ライは少し暗い表情になる。
「でも遠くないうちに変調は起こるとは思う。あの病が体の内に潜んでいることだけは感
じるんだ」
「直す方法は……」
「以前も言ったけれど不治の病みたいなものだからね。普通の治療じゃ無理だろう」
「そう……。それじゃあ、もう一つ」
ごくり、とつばを飲み込みカレンは言葉を紡ぐ。
支援ー
支援
支援
「そんな状態だってわかっているのに、どうしてあなたはまた日本へ、黒の騎士団へ戻っ
てきてくれたの。
こういう言い方はどうかと思うんだけれど……残りの寿命が少ないなら無理して戻って
くる理由はないんじゃない? あなたはブリタニアにいたわけだし、軍を辞めてゆっくり
と余生を送ることもできたんじゃないの?」
記憶の無かった以前とは違う。彼が騎士団のために戦う理由はないはずだ。
一拍間をおき、息を吐くライ。
「確かにそう言う選択もできただろうね。仮に君たちに何もなければそうしていたかもし
れない。
でも現実では黒の騎士団はブリタニアに破れた。そして――」
ライの表情が硬くなる。青の瞳が鋭利な刃物を思わせる鋭さを持つ。
「僕がもっとも守りたかったものが、無惨にも壊されていた。ルルーシュ・ランペルージ、
ナナリー・ランペルージ。二人の兄妹の、平和な生活が。
どうしてそうなったのか、誰が壊したか。理由は色々あるだろうけど、それだけはなん
としても認められなかった。あの二人の生活が壊されたことは……!」
静かな声音から、抑えきれない怒りが放電のごとく発せられる。
その迫力に、思わずカレンは気圧される。以前には全く見られなかった強烈な憤怒だ。
「僕はあの二人が幸せに暮らせる世界を作る。その為に残りの命を全て使うつもりだよ」
言いきったライの表情が、一瞬神根島で自分を見下したルルーシュのものと重なる。
続いて、CCから訊いたルルーシュの戦いの動機についても思い出す。
「その為に私たち黒の騎士団を利用するっていうの!?」
気がつけば、カレンは立ち上がり叫んでいた。
「…そうだね。その通りだ」
哀しげな表情になるもライははっきりと頷く。
いとも簡単に肯定されたことにカレンは何故かひどく落胆し、同時に怒りを覚える。何
か言おうとして口を開くが、そこへ平坦な声が割って入る。
「何はともあれ、お前が加わってくれるのはこちらにとってはありがたい。人材不足な今、
色々仕事を押しつけるとは思うが、頑張れよ」
支援
「ちょ、ちょっと待ってよCC! ライを騎士団に入れるの?」
「当然だろう?」
何、馬鹿なことを聞くんだ、と言った表情のCC。
「ライのKMFの腕前はお前とほぼ互角。頭の良さも、回転の速さもルルーシュ並みだ。団
員が減少傾向にある今、これほど優れた人材を逃す手はない」
「だけど……!」
CCの言うことはもっともだ。彼ほどの人材が入れば弱体化が止まらない騎士団にとって
ゼロに匹敵する救世主になる可能性すらある。
だが、カレンは何故か食い下がる。どういう訳か自分でも解らないが、納得したくないのだ。
「カレン。ライを拒否するならお前も騎士団から抜けなくてはいけなくなるぞ? お前だ
ってライと同じ理由で戦っているだろう」
「……!」
いやな笑みを浮かべたCCの言葉にカレンは口をふさがれる。
――こいつ、どこでそれを――!?
「それにわざわざブリタニアからやってきたこいつをお前の独断で入団させないつもりか?
なんなら卜部を呼んで幹部の話し合いで決めてもいいぞ?」
結果が見えていることをわざわざ言うCCへ、カレンは白旗を上げる。
「わかった! わかったわよ、もう。好きにしなさいよ!」
「決まりだな。これからよろしく頼む、ライ」
「ああ。よろしくCC」
握手する二人。そしてライはこちらによってきて、優しげな笑みを浮かべて握手を差し出す。
以前、何度も見た表情だ。一瞬心が和むが、すぐにそれを打ち消す。
「……」
「改めて、よろしく。カレン」
差し出された手にカレンは手を差し出し、重ねる。
無言の抗議というか、内にたまったもやもやを握った手に込める。渾身の力を込めて握った。
ライの柔和な微笑が一瞬、苦笑いに変わったように見えた。
つづく
ReturnColorsの部屋が機能してる!今までファイルがなかったのに!支援!
8話終了です。今回はタイトル通り再会です。
カレンの記憶復活は、まぁ、こんな事にしました。今回も沢山の支援をありがとうございます。
色々あって投下できず、気がつけば最後に投下してからスレが……17も進んでしまった……。
色々な職人が入ってきていろんなSSを載せたり、気がつけば画像掲示板ができたり、
僅か一ヶ月の間で凄まじく様変わりしましたなぁ。ここの変化の激しさは本編の超展開に
負けず劣らずですね。……褒めてますよ? うん。
では、また次のお話で。9話はおおよそ完成しているので数日中には投下できると思います。
GJ&お久しぶりです。相変わらず引き込まれますなあ。
自分も比較的初期からこのスレにいますけど、本当に様変わりしましたね。
そして一番変わったのは、10スレ目辺りから自分もSS職人の仲間入りをしたこと。
いろんな職人さんやトーマス様に感化されたクチです、はい。
これからも頑張って下さい。
RC卿GJです!もう諦めていたところに光が…起きてて本当に良かった!
リアルタイムで更新して部屋まで作ってくださったトーマス卿にも感謝です!
RC卿GJ!
半ば諦めていましたが、首を長くして待っていてよかったっ!!
無事(?)に合流したライ。彼の行く道は!?
ジノ&アーニャと戦場で会ったらどんな反応をするのかっ!
そしてナナリーとルルーシュはっ!?
次も期待が膨らみますっ!!
これからもがんばってくださいっ!!!
>>670 お久しぶりでしたか、RC卿
私は、素晴らしき貴方のSSをGJせよ!
オール・ハイル・RC!
長く、読みごたえのある文章、引き込まれて思わず支援を忘れそうな程でした
ROM専だった私が、支援をし、感想を書き、更には投下までしてしまっていましたよ
月日の流れは速いのか遅いのか、凄いですね、このスレは
続きがいつになろうとも全力を挙げてお待ちしていましょう!
>>670 お久しぶりです、覚えておられますでしょうか?保管庫の人です。最後に投下されてから実に二ヶ月。何かあったのかな、もう来られないのかなと
心配と憂いの日々でした。しかし、本日貴方の作品をリアルタイムで目にすることができて嬉しい限りです。これからまた宜しくお願い致します。
PS 部屋の件は本当に申し訳ありませんでした。さっき更新するときに気付いて愕然。
>>672 >起きてて本当に良かった!
激しく同意
GJです! 当然ですが、書く人によって戦闘描写は様々ですが、思わず惹き込まれました。
なんだか急に、懐かしい人たちが投稿してくれたなぁ。世代交代したかと思ったけど、そんなことはなかったぜ!
>>670 お久しぶり&GJ!たしかに自分も初期からいるけど結構様変わりしましたよね
相変わらず読み応えのある文章には脱帽です。
まさかルルーシュと同じ方法で記憶を戻すとはw
これからどうなって行くのか激しく気になります。
では次の投下を全力でお待ちしております。
>>672 >起きてて本当に良かった!
僕も激しく同意w多分明日寝不足に悩むだろうが後悔は無い!
GJ!
多々ある記憶復活でも、キスして復活は初めてみたな。
これでルルーシュも記憶がよみがえれば、C.C&ライ&カレン&ルルーシュで四間接キスだ。
>>670 以前保管庫を読み倒していた際にどうしようもなく引き込まれていました。
亡命という手段を取ったライ、残されるナナリー、
そしてスザクはライの言葉をどう受け止めるのか・・・
ずっと気になっていました。良かった。SSスレに通ってて良かった。
カレンとCCも絡んでとても鮮やかで。本当に面白かった!!
また続きが読めること、期待してもいいでしょうか。
いえ、勝手に、楽しみにしています。ありがとうございました!!
RC卿にはGJを何回いっても足りない。長文かつ飽きさせない内容。本当に凄いです。
支援に参加できなかったのは残念ですが、9話がじき投下されることを全力で待ってます。
次こそは支援大隊にさんかします!
なあみんな。やっぱりここでは夜更かしは三問の得っつうか必要なのか?
待ち焦がれてたお方がこられたことにもきずかず、今起きて呆然としている俺がいるんだがorz
RC卿、戻ってきてくれてありがとうございます!朝から歓喜してしまいましたよ。素晴らしい作品を読めて幸せです。次の投下もお待ちしております。
RC卿キター!
今日は嬉しい気持ちで過ごせそうだ。
>>670 おおっ!?久々の続き乙です!
なるほど、エリア12には潜水艦を調達しに寄ったのか。
騎士団側の事前の情報量が大きく変わって行動に変化が出そうですね。
太平洋ではどうなるのか早くもワクワクです。
というか冷静に考えたら
こんだけ力入ってる長編の投下は一ヶ月、二ヶ月待ったりするの普通だよね
このスレにいたらなんか感覚が麻痺する
685 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/03(水) 15:25:45 ID:eqxcd09B
それだけ、いろんな人がいろんな作品を投下しているからね。
幸せな事だと思うよ…本当に…。
すまねぇ…上げちゃった…。
ちと反省猿してくる…
む、すまぬ。
最近きたんだけど、ここの速さはSSスレとしては完全に異常だよ。いい意味だけどね。
やっぱ職人が多いからかな?
ここで、デビューって人も多いから…。
私もその口だし…
俺も読む専門だったのがいつのまにか書き手になっていた。
きっかけは管理人さんだという珍しいタイプw 他に類を見ない万全のサポート体制にはいつもたすけられてます。
WIKIなみの超高速更新、誤字脱字修正、投下代行、揚げればきりがない。いつもいつもお疲れ様です。
投下したいんですが、よろしいでしょうか?
人がおられないみたいなので、夜中にでも再度おこないたいと思います。
では、失礼いたしました。
まて、支援する!
………遅かったか?
ぬあ、一瞬目を放した隙に。
じゃあ、私が投下していい?
支援は必要ですか?
697 :
萌は文化:2008/09/03(水) 19:39:13 ID:83KQHknK
では…
支援はお願いします
10レスくらいです
特派温泉ルートの続きで「□温泉を満喫する」です
カップリングはセシル→ライ←ヴィレッタかな?
たぶん………ほのぼの(自信ない)
注意点
どこかギャグの流れが入ってる可能性があるので嫌な人は気をつけてください
では投下
ここはイタいインターネッツですね。
699 :
萌は文化:2008/09/03(水) 19:44:05 ID:83KQHknK
□温泉を満喫する
「朝からゆっくり温泉につかるのも悪くないかもな」
今日は旅館でゆっくりすることに決め、僕は温泉に向かった。
「おや、ライ卿か?」
入浴に必要な一式をとりに部屋に戻る途中、ヴィレッタ卿とセシルさんに呼び止められた。
「あ、おはようございます。お2人はどこかにお出かけですか?」
「いや、私は温泉に入ってから、ずっと部屋でゆっくりしてるつもりだが」
そういうヴィレッタ卿は今から温泉に行くらしく、入浴セット一式を抱えていた。
「私は近くにあるらしい天然温泉を探しに出かけようかと思って」
「ああ、旅館の人が言ってた天然の露天風呂のことですね」
「ええ、ライ君も一緒に行ってみる?」
「あ、いえ、今日は旅館でゆっくりさせてもらおうかと思っているので僕は…」
「あら、そう…」
すいません、と頭を下げるとセシルさんは少し残念そうに呟いた。
……せっかくセシルさんが誘ってくれたのだから一緒に行くべきだったかな。
「なら、ライ卿。せっかくだし、後でこっちの部屋に来ないか?」
「え?」
「っ!?」
ライは気づかなかったが、ヴィレッタの言葉にセシルは一瞬ビクッと反応した。
久々のスルー検定のお時間がやってまいりました。
おおっ投下されてる。支援
702 :
萌は文化:2008/09/03(水) 19:46:33 ID:83KQHknK
「私も今日は一日中旅館にいるつもりだからな。どうせライ卿も出かけないのなら一緒に部屋でゆっくりしようじゃないか」
「そうですね、たまには2人でそんなのも悪くないですね」
「っ! そ、そうだな…………2人っきり………でな」
突然恥ずかしそうに頬を染めるヴィレッタ卿。
あれ? 僕何か妙なこと言っただろうか?
「2人っきり…………って……ライ君とヴィレッタ卿が………?」
それに先程からセシルさんも厳しい表情でブツブツ独り言を言ってるけどどうしたのだろ?
「じゃあ、僕も温泉でくつろいでからお邪魔しますね」
「あ、ああ了解した」
僕は2人と別れ、温泉に向かった。
「まさに貸切状態だな」
温泉に来ると誰も居らず僕は身体を洗うと、誰も居ない広々とした空間を満喫しながら入浴をした。
「ああ、やっぱり温泉は違うな。そういえばこの旅館で他の客を見ないけどもしかしてこの旅館自体貸切なのかな?」
1人温泉に癒やされているライ。
ちなみにライの予想通り、予約したのはユーフェミアなので旅館を貸切にしています。
そのころ女湯では……
「何故ここに居る?」
「思った以上に天然温泉の場所が遠いみたいだったので諦めて引き返してきました」
ヴィレッタの隣りでゆっくり温泉に浸かるセシル。
支援
704 :
萌は文化:2008/09/03(水) 19:49:00 ID:83KQHknK
何やら2人の間には不穏な空気が流れている。
「では、今日出かける予定は…?」
「はい、ありません」
ニッコリと答えるセシル。
(私とライ卿の2人っきりの時間を邪魔する気か……!)
ぎりっと歯を噛み締めるヴィレッタ。
(ライ君だって男の子。雰囲気に流されてしまえばそのまま………そんなのダメ!)
グッと拳を握るセシル。
そんな2人の思惑を知らないライは…
「あ、泳いだ! ハハ、なんかかわいくて面白いな」
ロイドから借りたアヒルのおもちゃを泳がせて遊んでた。
「仕方ない。ここは腹を割って話し合うか…」
するとヴィレッタは大きく深呼吸した。
「私は…………ライ卿が好きだ」
「!!?」
真剣に、少し恥ずかしげに言うヴィレッタにセシルはあたふたしながらヴィレッタを見た。
「す、す、す、好きって! それって…」
「ああ、………たぶん、惚れてる。だから……ライ卿のことを譲ってくれないか?」
「な! だ、だ、ダメですそんなの!」
支援
支援
707 :
萌は文化:2008/09/03(水) 19:50:52 ID:83KQHknK
思わず立ち上がるセシル。
「な! おい! あまり大声出すな! まだライ卿が入浴中かもしれないだろ!」
真っ赤になって慌てるヴィレッタ。
女湯でそんな騒ぎがあるなかライは…
「おお! 水中でも動くなんてすごい…!」
ロイドから借りた潜水艦のおもちゃで遊んでいた。
「うっ……」
ヴィレッタに注意されて恥ずかしそうに再び湯船に浸かるセシル。
「それで、何がダメなんだ? 何か不都合でもあるのか?」
ヴィレッタに言われ、セシルはますます赤くなった。
「わ、私だってライ君のことが…………ブクブク…」
真っ赤になりながらセシルは言葉の途中で湯船に口元を沈めていった。
「………予想はしていたがやはりか」
「まあ、私も正直そうではないかと思ってましたけど…」
互いの告白を聞き赤面する2人。
「なら、話しは早い。ここは譲っていただきたい」
「な、何でですか!?」
「あなたはいつもライ卿と同じ現場にいるから私よりチャンスがあるだろ。だから今回は譲っていただきたい」
支援
支援
710 :
萌は文化:2008/09/03(水) 19:53:33 ID:83KQHknK
「だ、ダメです! いつも会ってるからって今は旅行中ですよ! 旅行では人間、解放的になりやすいっていいますから、そんなこと許したらライ君が……!」
「わ、わかったから大声を出すな!」
興奮して段々大声になるセシルを赤面しながらヴィレッタがなだめた。
「うっ……すみません」
「ああ………お互いライ卿にゾッコンのようだな」
「え………!」
「…………」
「…………」
無言で赤面する2人。
そのころ男湯のライは…
「魚型もあるんだ………おお! ちゃんと魚みたいに泳ぐんだ!」
ロイドから借りた魚のおもちゃに興奮していた。
「フフフ、話は聞かせてもらった!」
「「!!?」」
セシルとヴィレッタが脱衣場の入り口を見ると卓球で流した汗を流しに来たノネットが立っていた。
「の、ノネットさん!!」
「き、聞いてたってどこから!?」
「そうだな、私はライ卿が好きだ、というあたりから…」
「わー! わー! わー!!」
男湯にノネットの声が聞こえないように叫ぶヴィレッタ。
支援
支援
713 :
萌は文化:2008/09/03(水) 19:56:32 ID:83KQHknK
ちなみに男湯では…
ビチャ!
「うわっ! な、何だ…?」
「ハハハ、ライ卿。そんなおもちゃで遊ぶならどこの風呂でも出来る! せっかく広い風呂なんだからこれとかどうだ?」
いつの間にかジェレミア水鉄砲を片手に立っていた。
先ほどライに当たったのは水鉄砲から発射された水だったようだ。
「へぇ、面白そうですね」
いつになく目を輝かせるライ。
「フフフ、やるか?」
「………やりたいです」
すっかり童心に戻ったライとジェレミアが仲良く水鉄砲で遊び出していた。
「早い話しが2人ともライが好きなんだろ?」
「ノネットさん! だから声が大きいです!」
真っ赤になるヴィレッタとセシル。
「だったら………勝負だな」
キラーンと目が光るノネット。
「「勝負?」」
「そう、ルールは簡単、どっちが長く湯船に浸かっていられるか! まあ、早い話が我慢大会」
支援
規制?
716 :
萌は文化:2008/09/03(水) 20:03:18 ID:83KQHknK
「いや、別に勝負とかそんなの…」
「そうだな、そんなことしないで正面からライ卿にアタックしたほうが…」
ノネットの提案に乗り気ではない2人。
「負けたら旅行中は身を引く、勝ったら………そうだな、今日の宴会でやる予定の王様ゲームで私がイカサマしていい思いさせてやる」
「いい思い?」
ヴィレッタが首をかしげるとノネットはニヤリと笑った。
「早い話がハグとかキスとか…」
ノネットの言葉に2人の目つきが変わった。
「やります! やらせてください!」
「悪いが……絶対に負けない!」
メラメラとやる気に満ちてる2人。
(人間、恋をすると単純になるな………それとも純粋て言うべきか?)
ノネットは湯船に浸かりながらそんなことを思った。
「じゃあ、今からスタートだな」
「…………負けませんよ」
「こちらこそ、な…」
こうしてドキ! 女だらけのの我慢大会が始まった。
支援
支援
719 :
萌は文化:2008/09/03(水) 20:05:26 ID:83KQHknK
一時間後
「うう……」
少しクラクラしてきたセシル。
「どうした? もう……降参……か?」
同じくフラフラになってきたヴィレッタ。
「い、いえ! まだまだで……す」
「フッ、往生際の悪……い」
限界を迎えたセシルとヴィレッタはほぼ同時に湯船に倒れた。
「引き分けか………あれ? なんだか私も………目が回………る」
運動で水分を不足したまま、長時間熱い湯船に浸かっていたノネットも当然だが湯船に倒れた。
そして
「遅いと思ったら3人揃って何してるんですか。今、ジェレミア卿が氷もらいに行ってますからもう少し待っててください」
清掃に来た係の人に発見された茹でたこ状態の3人は布団に寝かされライに介抱されていた。
「うう、すまないライ卿……」
「ごめんねライ君……」
「…………」
苦しそうな声で謝るセシルとヴィレッタ。
支援
支援
722 :
萌は文化:2008/09/03(水) 20:07:37 ID:83KQHknK
ちなみにノネットは口を聞けないほど重症である。
「謝らなくてもいいですからゆっくり休んでください。今日はずっとそばに居ますから」
「ずっと……」
「そばに……」
ライの言葉に何を想像したのかセシルとヴィレッタは真っ赤になった。
「ところでなんでこんなになるまで浸かってたんですか?」
(言えない…………王様ゲームでライ君とキスしたかったなんて…)
支援
724 :
萌は文化:2008/09/03(水) 20:09:37 ID:83KQHknK
(知られたら恥ずかしさで死ぬ……)
結局、セシルとヴィレッタは旅行中にライに急接近することは出来なかったがお互いにかなり親しくなったとさ。
支援
726 :
萌は文化:2008/09/03(水) 20:12:54 ID:83KQHknK
おまけ
特派に遊びに来たヴィレッタ
セシル「あら、もうお昼。私お弁当ですけど良かったら一緒にどうですか?」
ヴィレッタ「ああ、かまわない。そうだ、せっかくだからおかずを交換しないか?」
セシル「まあ、いいですね。やりましょう」
ライ「(最近仲がいいなあの2人)」
数日後
ヴィレッタ「ムッ………!」
セシル「あ………!」
ヴィレッタ「………フン!」
セシル「っ!………フン!」
ライ「(あれ? なんか仲悪くなってる? ケンカ中かな…?)」
支援
支援
729 :
萌は文化:2008/09/03(水) 20:18:33 ID:83KQHknK
以上で終了です
規制め!規制め!
本当はギャグのつもりで書いてたらこんなになった……
支援ありがとうございました
あと、すまないが私の携帯だと画像掲示板に書き込めないからこちらで言わせてください
あしっど・れいん卿
GJ!!!
ありがとうございます!!
感謝、感激、感動の極みであります!
わからない人はスルーか画像掲示板へどうぞ
>>729 萌は文化卿、GJでしたー!
おもちゃで遊んでいる無邪気なライと水鉄砲勝負始めるジェレミア卿に吹いたww
残る一つの選択肢、お待ちしましょう、全力で!
乙でした〜
いやいや十分笑わせていただきましたよ。
っうか2人が真剣バトルしてる横でなにしてんだ!ライ!
見られたら百年の恋も覚めるわw
やはりギャグ書かせたら右に出るものはありませんね。
次は是非狂王で御願いします(哀願)
まあ上は半分冗談として、、、、w
次回の投下を楽しみにしています。
萌は文化卿、GJです!風呂場で子供のように遊ぶライ…新鮮だなあw
残りの選択肢もたのしみにしてますよ!
そしていつのまにかセシルさんの部屋ができてることに噴いた
中を見て萌は文化卿ばっかりなことにさらに噴いたww
何!! それは本当ですかい!?
ふう、もう……思い残すことは………ない
>>733 それは困る…。
折角セシル描こうと思ったのに…。
まだまだ貪欲にSS書いてくださいね。
では、感想を…。
萌は文化卿、貴方のSS大好きです。
今回も楽しませてもらいました。
しかし…ライ…かわいいな…www
GJでしたっ。
次回作もワクドキして待ってますぜぇ〜♪
えーと、投下予定者いないようでしたら、21時ごろ投下したいと思いますが、よろしいでしょうか?
なんかタイミング悪いのかな…。
また、今度にしますね。
いや、だから早いってw
支援しますよ
誰だか見当が付くが……、10分は待ちましょうよw 私もあんまり人のことは言えませんがね
テンプレの職人あてのところに投下宣言してから10分は待ちましょうとでも
入れといたらどうかな?
>>739 現テンプレの
>>3に入れるというならば、残念ながら不可能です。現在、改行などを含めた容量が2045Byte、ここの限界は2048Byte。
半角文字3つじゃどうしようもありません。
>>739テンプレ化するまでもないと思う。
このあたりはうまく流れを読んでいただくしかないんじゃないかな。
>>736 たしかに今日はタイミングが妙に悪いようですね。
うまい具合にみんあが目を放す隙をついてるようで。
もし見てらっしゃるのなら、21:30ごろなら支援できますよ〜。
>>736氏の動きがないようなら40分頃から投下しますが大丈夫ですか?
745 :
食卓:2008/09/03(水) 21:40:40 ID:a2s1Ehit
では、
タイトル「メアチェイス〜乱入編」
・今更だけど本編の設定色々と無視してます。
支援
「あれは…」
『なぜ奴がここに?』
『おいおい、夢じゃないだろうな?』
『こんな時に何のつもりだ…』
『生放送のお約束は何だ? そう、ハプニングだ!』
ライ、スザク、ジノ、ノネット、ルキアーノが見つめるその先に、彼らの行く手を遮るようにKMF蜃気楼はいた。
「ふ、まさかこんな形でこの地に戻る日が来ようとはな。
さぁ怯えるがいいブリタニアよ、今日お前の歴史は塗り替えられる。
KRよ、お前を止めてやる!」
蜃気楼のコックピットの中でゼロ、ルルーシュはオーケストラの指揮者の如く両腕を振り上げた。
メアチェイス〜乱入編
「な、なんということでしょう。これは―」
「むぅ…」
「うそぉ〜ん?」
「これってどういうことなんだい?」
「ふっ…少々遅い登場ではあったが、やはり来てくれたね」
ギルフォード、ビスマルク、ロイド、オデュッセウスが驚きに目を見張る中、シュナイゼルは静かに笑った。
「シュナイゼル殿下、如何いたしましょう?」
「皇帝陛下は何と?」
「それが、実行委員長のシュナイゼル殿下に全て任せると…」
「わかった。ゼロに繋いでください、ギルフォード卿」
「し、しかし…」
「大丈夫だよ。彼は私が呼んだんだからね」
支援
◆
『ゼロ、何故お前がここにいる!』
「愚問だな枢木スザク。
最速のナイトメアを決めるこのレースにブリタニアのナイトメアしか出ないのでは不公平だろう?
だから超合集国を代表して私がレースに参加しに来たに決まっているだろう」
『ふざけるな!』
『落ち着けよ、スザク。
なぁイレブンの英雄さん、さっき私の連覇に異を唱えたのには何か理由があるのかい?
もしあるのなら、ぜひとも教えてほしいものだね』
ゼロに手玉に取られるスザクにジノが助け舟を出した。
「ジノ・ヴァインベルグ、君の連覇は不可能だと言ったのにはもちろん理由がある。
何故ならば優勝するのは、この私だ!」
今いる場所を考えれば、あまりに大胆過ぎるゼロの発言に誰もが一瞬言葉を失う。
それでも3秒と間を空けずにスザクが反論する。
『残念だけどゼロ、レースの参加には手続きと登録が必要だ。
間違ったやり方での途中参加に意味は無い。
何よりブリタニアの騎士でもない君に、レースに参加する資格はない!』
『いや、彼は最初から参加者の1人だよ』
いきなりシュナイゼルの声が通信に割り込んだ。
しえん
「これはこれはシュナイゼル殿下。
この度は名誉あるブリタニアの祭典にお招き戴いたこと、深く感謝いたします」
『中華連邦以来だね、ゼロ。来てくれて安心したよ。
少々遅れての上にいきなりの登場だったので少し驚いたけどね。
ところで、私は黒の騎士団全員を招待した筈だけど、来たのは君1人なのかい?』
誰もが2人の会話の内容に驚き、それに聞き入る。
「そのことですがシュナイゼル殿下、招いていただいたお礼と不本意ながらこのようにレースを止めてしまった
御詫びを兼ねまして、及ばずながら私がKRの盛り上げに協力したいと思うのですが如何でしょう?」
『ほぅ、それは構わないけれど何をしてくれるんだい?』
「ふっ、それでは………
今より、黒の騎士団が総力を挙げて全てのコースの「障害物」となろう!」
(まさか、ルルーシュ!?)
ライはすぐさまベディヴィエールの整備班に通信を入れる。
同時にルルーシュは懐からスイッチを取り出し、そのボタンを押した。
◆
「な、これは!?」
「どうした、ギルフォード卿?」
「ヴァルハラの映像を見て下さい、障害物エリアに入っている第5世代以下のナイトメアが全て停止しています!」
「こ、これってゲフィオンディスターバー?」
「…ってなんだい?」
「第5世代以下のナイトメアを停止させる黒の騎士団の特殊兵器です」
「そうなのかい?すごいねぇ」
「こんなものをいつの間に…」
「昨日の最終点検の時まで何も無かった筈なのに、どうしてぇ?」
「ゼロの仕業か!?」
「ところで何でゼロがここにいるんだい?」
程度の差はあれ、驚き慌てる3人の解説者と実況のギルフォード。
もちろんこれはゼロの策略。
後続集団が障害物コースに入ったところで、昨夜コースの点検をしていたスタッフや作業員たちに
ギアスをかけ、秘密裏に運び込んだゲフィオンディスターバーを設置。
あとはタイミングを見計らって起動すれば大半のKMFが動けなる。
「ふむ、これは面白い展開になったね」
『シュナイゼル殿下に驚いていただけたのなら、私のサプライズは成功したと思って宜しいですかな?』
「そうかもね。ふふふ…」
『そうでしょう。くくく…』
(シュナイゼル、お前の考えは分かっている。サプライズのゲストなどそんなものは表向きの虚言でしかない)
(ゼロは気付いているだろうね。黒の騎士団に参加を要請した理由、それは彼らをこのKRの舞台にあげる事)
(ここで我々のナイトメアを相手に、ブリタニアのナイトメアが華々しく勝利を飾る)
(そうすれば全世界にブリタニアのナイトメアの性能を、改めて知らしめることができる)
(その結果、今後の他国の侵略に交渉面でも軍事面でも優位に立つことになる。無論、黒の騎士団にも)
(だから彼らには何としても来てほしかった)
(しかし、勝利するのがブリタニアではなく黒の騎士団のナイトメアならば…)
(間違いなくゼロはそのつもりで誘いに応じた。ここまでは私の計画通り)
(もちろん、俺が何かしらのイレギュラーを持ち込むことも想定の内なのでしょう?兄上)
(まずはゲフィオンディスターバーにより、第5世代以下のKMFの機能を停止させる)
(そして次は―――)
ウーたんw
支援
『第一作戦は成功した、このまま第二作戦に移行する。
朝比奈軍はナイトオブツー。
仙波軍はナイトオブフォー。
卜部軍はナイトオブファイブ。
千葉軍はナイトオブトゥエルブ。
洪古軍はナイトオブエイト。
玉城の部隊はナイトオブシックス。
残りの部隊はラウンズ以外の動けるナイトメアの機動力を奪いレースの継続を不可能にしろ。
敵の装備は軽装だ、こちらに分がある。
ただし、これは戦争ではなく我々はあくまでも障害物でしかない。
相手を死傷させることだけはするな。足止めだけでも構わん!
以降の後方部隊の作戦指揮は周香凛に任せる。
ディートハルト、映像は余すところ無く全世界にリアルタイムで放送しろ。最優先事項だ。
ラクシャータ、ナイトメアの修理回収は任せた。
扇、祝賀会を兼ねた打ち上げは派手にやるぞ。店の予約をしておけ!』
「「「「承知!」」」」
「「了解!」」
「お任せ下さい」
「了か〜い」
「任せとけよゼロ!」
「わ、わかった」
(さて、残るは…)
しえん
王城部隊がいる……www支援
◆
『おいおい、戦争並みの展開だな?』
『やり方はともかく、こういうのは嫌いじゃないな』
『レースの真実を知っているようだなぁ、ゼロ』
(おそらく次にルルーシュのとる行動は…間に合うか?)
突然の事態にも落ち着いてまずは静観を決め込む4人のラウンズ。しかし、
『こんなことは今すぐ止めろ、ゼロ!』
黙っていることのできない者もいる。
『何を怒っている、枢木よ。シュナイゼル殿下も許可したことだろう?
障害物による脱落など、レースにおいてはさして特別なことでもあるまい?フハハハハハハハハハ』
『貴様ぁぁぁぁ!』
『おい、止せスザク!?』
ジノの静止を振り切り蜃気楼に向かっていくランスロット。
(だめだ、間に合わない!)
心の中でライは歯噛みした。
>>756 どうせアーニャは放っといても負けるだろうから玉城当てたんだろうなw
支援
(やはり来たな、スザク。
KR条例第19項、レース中に他の選手に攻撃を加えた場合は無条件で失格となる。
これを使ってお前を引き摺り下ろしてやってもいいのだが…折角だ、派手に退場してもらおうか)
『今より第三作戦を発動する。カレン!』
『はい!』
作戦の発動を合図に、地上に隠れていた紅蓮可翔式が飛び出した。
『(カレン!?)』
驚くスザクとライを傍目に、フルスピードでランスロットに迫る紅蓮。
『やはり、ゼロの近くにいたか!』
すぐさま体勢を翻し紅蓮に向けてハドロンブラスターを構えるランスロット。
しかしそれよりも僅かに速く、紅蓮からゲフィオンネットが発射される。
『同じ手は2度も通用しない!』
『無論、通用すると思ってはいない。藤堂!』
『承知した!』
『何っ!?』
ランスロットを地上から迫る紅蓮と挟み込むように、上空から斬月が一気に降下してきた。
『くっ!』
紅蓮、斬月、ゲフィオンネットに囲まれるランスロット。逃げ道は絞られる。
『そこ!』
紅蓮の輻射波動砲弾がランスロットに向け放たれた。
並みの兵士ならこの時点で詰まれるところだが、相手は帝国最強の12騎士の1人。それすらも回避する。
『まだだ!』
今度は斬月の大太刀が真上から迫る。
『こんなことで!』
ギリギリで斬月をかわすランスロット。
『影の太刀!』
追撃にはシールドを展開して対応。だが、相手は1人ではない。
『ぐうっ!?』
背後からの衝撃にランスロットごとスザクは揺さぶられた。
ランスロットのフロートユニットを掴んだ紅蓮の掌より、出力を必要最小限に抑えた輻射波動が放たれフロートユニットが爆散した。
さらに斬月に両手両脚を切り落とされ、ランスロットは地に落ちた。
支援
ほんとスザクって猪だなぁw
支援
『これでスザクは脱落ね』
『2対1による奇襲と少々卑怯なやり方ではあったが…』
『気にするな藤堂。障害物として当然のことをしたまでだ』
◆
「#¥Щg□@Δ・★×〜!?」バタン。
解説席でランスロットの脱落を見たロイドは声にならない叫びを上げ、倒れた。
「衛生兵、アスプルンド伯爵が倒れた!直ちに医務室へ!」
慌てて叫ぶギルフォードの横で、徐にビスマルクとシュナイゼルが立ち上がった。
「殿下、ヴァルトシュタイン卿、どうなさいました?」
「すまんが用事を思い出した、これにて失礼する」
「私もこうなった以上は解説を続けるわけにもいかないからね。アヴァロンで直接運営指揮を執る」
それだけ言って退席する2人。
同時に衛生兵がロイドを担架に乗せ、運んで行った。
残されたのは実況のギルフォードと、
「…………えー、オデュッセウス殿下、今の状況に何か一言」
「う〜ん…よく分からないけど、これもシュナイゼルのサプライズなのかい?」
(姫様、お助けを!)
この時ギルフォードは騎士になってから初めて挫けそうになった。
◆
(ルルーシュから通信?)
スザクが脱落した直後、黒の騎士団用の秘密回線を通してライにルルーシュから通信が入った。
『ライ、聞こえているな?』
「ルルーシュ、何でこんなことを!?」
『お前が過去に立ち上げたこの歴史ある祭典を汚したことは本当にすまないと思っている』
「い、いや…まぁそれはいいよ」
(本当のことを言ったら………ルルーシュなら納得するかな?)
何となくそんな気がしたライだった。
支援
『しかしシュナイゼルからサプライズで出てくれと言われた以上、黙っているわけにもいかなかったのでな。
お前が今回のことでブリタニアに出向いているうちに計画を進めさせてもらった。
お前ならば大体の事情は察しているだろう?』
「何となくはね」
『ならば話は早い。俺がゴールするまで他のラウンズは足止めをしなければならない。
そして今はお前も例外ではない。後で埋め合わせはするから今は我慢してくれ』
「え?」
『よし、私はこのままゴールに向かう。紅蓮と斬月は蜃気楼を援護しろ』
通信をオープン回線に戻してゼロが叫ぶ。
『了解』
『承知』
3機がこちらに背を向ける。
『逃がすかよ、死んだスザクの為にも!』
『枢木の仇!』
『レースで必ず出るものは何だ? そう、脱落者だ!』
すぐさま後を追いかけようとする3人の後ろでライは「それ」を見つけた。
空中のラウンズ4人の真下、地上の小高い丘の上、木々の間に隠れた金色のヴィンセントを。
(思ったとおり、自分達に僕達をひきつけてロロのギアスでまとめて潰すつもりか)
◆
「ロロ、用意はいいか?」
『大丈夫だよ、兄さん』
「よし、ギアスでライを含めた4人の足止めを頼む。無理はしなくていいからな」
『わかっ――うわぁ!?』
「なに?どうした、ロロ!」
ギアスを使おうとしたロロのヴィンセントの四肢と飛翔滑走翼が一瞬で弾け飛んだ。
バランスを失い仰向けに倒れたヴィンセントの中でロロが見たものは、
フェイルノートを構えたヴェディヴィエールだった。
『ルルーシュ、悪いけどヴィンセントは破壊させてもらったよ』
誰よりも速くルルーシュの意図を察したライは、ロロのギアスによる妨害を予測し、
整備班にフェイルノートを撃ち出してもらい、ランスロットが戦っている内に腕を換装していた。
「ライ?何のつもりだ!」
『すまないとは思う。けどどんな理由であれこれを始めてしまった僕には、その責任があると思うんだ。
こんな大会でも楽しみにしてくれている人はいる、一年間この日を待ち焦がれた人だっている。
今勝利を目指している人達のため、過去にこれに挑んできた人達の為にも、乱入者に優勝を譲るわけにはいかない。
それに、スザクじゃないけどこういうのは正々堂々と決着を着けたい。
そして何より……僕自身がこのレースで他のラウンズにも、君にも負けたくはないんだ!』
「…成る程、お前自身が1人の騎士として、この場は譲るわけにはいかないと?」
『あぁ。悪いけど今回ばかりは君に協力できない』
「構わんさ、実を言えばお前がこういう行動をとることも最初から計画に入れていた」
『僕も、君ならそう言ってくれると思っていたよ』
「『ふっ…』」
お互いに口元を僅かに緩め、笑みを浮かべた2人だが次の瞬間には鋭い目つきに変っていた。
「カレン、藤堂、計画変更だ。少々早いが、第四作戦を始める。
紅蓮はパーシヴァル、斬月はベイリンを足止めしろ。
こいつらの武装は実戦と大差がない、注意しろ!」
『わかりました』
『承知した』
2機が反転し、それぞれのターゲットと相対す。
対するノネットとルキアーノも振り切れる相手ではないと悟り、交戦に入る。
その脇をフォートレスモードのトリスタンがすり抜け、蜃気楼に迫る。
『あの2機をベイリンとパーシヴァルに当てたってことは、君1人で私とライを相手にするつもりかい?』
「いや、私は選手なのでね。君達と戦うことはできない」
『ならさっさとそのナイトメアも飛行形態にしたらどうだい?
まさかその状態で私とトリスタンに勝てるとは思っていないだろう?』
「蜃気楼のあれはあくまでも移動のための姿。レースとは言え戦いの舞台にはこの姿こそがふさわしい」
『いい心がけだ。だからと言って、手加減を期待しないでくれよ!』
「心配ご無用。星刻!」
ゼロが高らかにその名を叫ぶと同時にトリスタンに高エネルギー体、すなわち天愕覇王荷電粒子重砲が放たれた。
『うおっと!』
急旋回で避けたトリスタンの前に神虎が立ちはだかる。
『君の相手は私だ、ナイトオブスリー』
『ちっ……』
トリスタンがナイトメアモードに姿を変え、鶴嘴型メーザーを構える。
図ってか図らずか、天帝八十八稜の時と同じカードが再現された。
唯一違うのは互いの立場、攻める側と攻められる側が逆転したことだろうか。
『中華連邦の時の意趣返しってわけかい?』
『勘違いをしてもらっては困るな。今の私はあくまでもレースの障害物だ。私情を挟むつもりはない』
『そうかい、なら――!』
一気に間合いを詰めるトリスタンを神虎は両腕のワイヤーを回転させ迎え撃つ。
しえん
768 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/03(水) 22:15:31 ID:cQkEV2jK
支援
◆
「大変な事態になってしまいました。
障害物エリアでは依然殆どのナイトメアが行動不能に陥ったままです。
動ける機体も黒の騎士団に足止めされ、障害物エリアを抜け出せません。
ナイトオブラウンズも殆どがその場を動けずにいます。
現在先頭はゼロのナイトメア。
その後ろをナイトオブイレブンのべディヴィエールが猛然と追っています。
最早ブリタニアの、KR運命はナイトオブイレブン、ライ・ランペルージ卿に委ねるしかないのでしょうか?
出来るならば私も今すぐ駆けつけたいのですが、この場は現場の選手達を信じ、責務を全うしたいと思います!
ん?これは…!」
「ところで、もしゼロが勝ったらどうなるんだい?」
「で、ですから……」
◆
蜃気楼を追うベディヴィエールは着実にその差を詰めていた。
フェイルノートは既に捨て、武装付きの腕の中では1番スピードに優れたバルムンクに換装を終え、
間違いなくまだ出てくるであろう障害物に備えつつも、全速力でライはルルーシュを追う。
『やるなライ。換装のロスタイムを経てなお蜃気楼に追いつくとは』
「あんな啖呵を切った以上、負けるわけにはいかないからね。
ところでその両腕を広げて飛ぶポーズを止めれば、もう少しスピード出るだろ、ハンデのつもりかい?」
『分かっていないな、ギリギリで勝っても意味がない。
余裕をもって、優雅な姿でゴールを飾ってこそ意味がある』
「優雅な姿かどうかはともかく、このままだと追いつかれるよ?」
『おいおいライ、まさかお前までこれで終わりと思っているわけではないだろう?
ジェレミア!』
『イエス・ユア・マジェスティ!』
優雅な姿www
支援
「やっぱり貴方が僕の相手ですか、ジェレミア卿!」
バルムンクから弾丸式ハドロン砲を撃ち、相手を牽制しながらライが叫ぶ。
『ライ。いえ、ラインバルト王。
貴方には神根島での非礼がある。
ルルーシュ様の力になって頂いている感謝がある。
共に戦場を駆けられる喜びがある。
幼き頃貴方の伝説を知り憧れた憧憬もある。
そして何より騎士として、いや、1人の男としての尊敬がある!
だが、今はそれら全てを秤に掛けたとしても、忠義が勝る!!』
(ごめんなさい、ジェレミア卿。
貴方の尊敬する男は人には言えない理由でこんなことを始めるような奴です)
自責の念に駆られながらもジェレミアと対峙するライ。
(どうする、簡単にどうにかできる相手ではない。だが時間をかけるとルルーシュに追いつけなくなる)
『貴方と一騎打ちを出来る日が来るとは何たる僥倖。
なればこそ、全力をもってお相手させていただく!』
サザーランドジークがヴェディヴィエールに突撃を仕掛ける。
「仕方ない!」
ライがジェレミアを迎え撃とうとしたその時、
支援
『まてぇい!』
裂帛の気合が籠められた大声が響き渡った。
「この声はロム・ス…じゃなくてヴァルトシュタイン卿?」
『むうっ!?』
ライとジェレミアが向けた視線の先にはエクスカリバーを抜いたギャラハッドがいた。
『ライよ、ここは私に任せてゼロを追うがいい』
「ヴァルトシュタイン卿、どうしてここにって――えぇ!?」
解説のはずの彼が何故ここにと驚いたライだったが、通信画面の映像を見てそれを越える驚きが彼を襲った。
ヴェディヴィエールの画面に映ったギャラハッドの操縦席。
そこには――――
ギャラハッドのマスクを被ったビスマルク・ヴァルトシュタインの姿があった。
「あ、あの…ヴァルトシュタイン卿、それは一体?」
『残念だが私はビスマルク・ヴァルトシュタインなどではない。私は謎の騎士、「ビスマル君」だ!』
「せめてギャラハッド仮面とか言って下さい!」
言い表せない悲しさにライの目に涙が滲んだ。
『ぬぅぅぅ…謎の騎士ビスマル君、一体何者?』
「あなたもお約束だな!?」
『ジェレミア・ゴッドバルト、貴殿の相手は私だ。
今宵の皇帝陛下より名を賜ったエクスカリバーは血に飢えているぞ?』
『面白い、ビスマル君。
我が忠義は如何なる刃にも断てぬことを教えてしんぜよう!』
言うが早いかライそっちのけで、戦い始める2人。
「……………………」
色々と言いたいことはあったがノリノリで戦っている彼らに背を向け、ライはルルーシュを追って再び走り出した。
ほんとうに大丈夫なのかブリタニアはw
支援
こwいwつwらw
支援
◆
「これは意外な展開になったね」
「ふふふふふ…兄さん、ナイトオブスリーの逆転は困難になりましたよ?」
「うん、悔しいけどそれは認めるよ。
でもシャルル、狂王が優勝しない限り僕の驕りは無しだよ?」
「ゼロが勝てば代金は折半ですが、もう結果は見えているでしょう?」
「それはどうかな?まだ「彼女」が出てきていないじゃないか」
「負け惜しみは兄さんらしくありませんね」
「シャルル、君はまだ幼いね。
あ、もしもしピザハットさんですか? KR特別フルコースセット10人前お願いします。住所は…」
「そうですかねぇ、兄さん?
あ〜もしもし酒屋ペンドラゴンさん? お酒の追加20ダースお願いします。はい先ほどのシャルール・ジブリータです…」
◆
予告
KR遂に完結?
優勝はライ?ルルーシュ?それとも…
777 :
食卓:2008/09/03(水) 22:36:47 ID:a2s1Ehit
以上です。いかがでしたでしょうか?
長くなりましたが支援ありがとうございました。
>>758 その通りですw
最初はルキアーノが脱落する予定でしたが、性格などを考えるとあそこで仕掛けるのは
スザクのほうがいいかなと考え脱落してもらいました。
>>777 食卓の騎士卿、GJでした!
ウー様の反応に大変癒されるw
テンさんの異様なノリの良さにも吹いたし、光魔法、カッコイイポーズを決めながら飛ぶ蜃気楼想像しても吹いたwww
そして、何より、ビスマル君には吹いたwww画面に向かっておもくそ吹いたwww
続きが楽しみで仕方ない
次の投下を待っています、全力で!
>>777 食卓の騎士卿、GJ!
とりあえずなにが起きてもあわてないウー様が大好きですw
そしてギルフォードに救いはないのか…
完結編を楽しみにしてますw
>>777 GJ!!
みなさんは誰が優勝すると思いますか?
私はアーニャの大逆転に「生まれて始めてのSS」を賭けるぜ!!
23:05頃に投下してもいいですか?
11レス分あるので、支援していただきたいです。
支援します
ありがとうございます、では投下します。
『虫食い同好会』シリーズです。
作者:余暇
タイトル:マスコットキャラ・オーディション
(注意)
・ルキアーノが別人です。他のキャラも大変なことになってます。
・いろいろカオスです。
11レス分あります。
>>777 ギルの胃に穴空くのも時間の問題だねw
簡潔篇お待ちしております。
そして支援
『マスコットキャラ・オーディション』
「マスコットキャラを決めよう。」
ここは虫食い同好会のアジトとなった、とある廃ビルの一室。卜部さんが唐突にそんなことを言い出した。
「マスコットキャラ?随分唐突ですね。ていうか、そんなの必要ですか?」
僕の質問に卜部さんが答える。
「必要だな。虫食い同好会及び、国際虫食い協会を広めるためにはマスコットは必要だ。
一応ポスターはあるが、今はこんなのしかないしな。」
そう言って卜部さんが見せたのは、麦わら帽子にランニングシャツという服装に、
虫捕り網と虫籠を装備して歯を光らせる、ブリタニア皇帝だった。僕はお茶を噴いた。
「なっ、何ですかこれ!?」
(ぐ……!一族の恥さらしめ!)
ゼロが拳をプルプル震わせている。
「皇帝陛下……。」
スザクも言葉を失った。
「俺も、最初これを見た時はびっくりしたぜ。まさかあのお方がねえ。」
『ブリタニアの吸血鬼』改め、『キレイなテンさん』ことルキアーノも、そうつぶやいた。
「そこでだ、新たにマスコットを決めるわけだ。早速だが、今からオーディションを行う。」
「オーディション?また唐突ですね。ていうか、応募した人いるんですか?」
「ああ、四人来てるぞ。」
四人も……。物好きだな。
「よし、では早速始めるぞ。まずは面接からだ。一人目の方、どうぞ。」
卜部さんに呼ばれて入ってきたのは、
「エントリーナンバー一番、セシル・クルーミーです。よろしくお願いします。」
セシルさんだった。意外というか、何というか。
支援
「セ、セシルさん!?どうしてあなたが?」
スザクが驚いている。そりゃそうだろうな、直属の上司だし。
「だって私、ロイドさんのお守りであまり参加できないから、せめて少しだけでもと思って。
それに、私だってまだマスコットとして通用すると思うの。だって、永遠の十七歳だから。」
えーと、最後のコメントはどう返したらいいんだろう?
「ではセシルさん、アンタは虫が好きかい?」
卜部さんが質問をぶつける。
「えーと、あまり好きではないですね、気持ち悪いので。」
一瞬にして場が凍りついた。セシルさん、この会の活動内容把握してますか?
「……クルーミー中尉。じゃあ、何故立候補したんだ?」
ルキアーノが低い声で質問する。まずい、少し怒ってる。
「それは、卜部さんに私のオスシを食べて欲しいからです。あっ、もちろん他の皆さんもね。
私のオスシで、皆さんを癒したいんです。そのためには、もっと同好会に貢献しなくてはと思いまして。」
セシルさんがにっこりと笑い、その場は絶対零度まで凍りついた。また、アレを食べさせられるのか?
ああ、スザクが泣き出した。隣のゼロがハンカチを差し出してる。
「何だ、枢木?そのオスシってのは、泣くほどうまいのか?」
事情を知らないルキアーノが首を傾げる。まったく逆だけど、今は言えない。
「あー……。アンタのことがわかった気がするよ。別室で待機しててくれ。次の人呼んでもらえるか?」
卜部さんも対処に困っている様子。
「わかりました、では失礼します。」
セシルさんが退室した後、入れ替わりで入ってきたのは。
「エントリーナンバー二番、紅月カレンです。よろしくお願いします。」
「なっ!?」
何故だ、何故カレンがここにいるんだ!?
支援
「カレン、どうして君がここに?君は会員じゃないだろう?」
「ええ、ライの言う通りよ。でも私はゼロの親衛隊長よ、
ゼロが危険な目に遭うなら守らなくちゃ。それにね……。」
カレンが急に顔を赤らめ、モジモジし始めた。
「最近同好会の活動ばかりで、ライったら全然私のそばにいてくれないんだもん。
私たち、恋人でしょ?一緒にいてくれなきゃ、嫌だよ……。」
カレンが瞳をウルウルさせ、僕を見つめる。僕はいたたまれない気持ちになり、カレンに近づいた。
「すまない、言い訳のしようもないな。君をそんなに悲しませていたなんて。」
「そうだよ。寂しすぎたら私死んじゃうよ、ウサギみたいに。」
「そんな悲しいことを言うな、もう寂しい思いなんかさせないから。」
「ライ……。」
いい雰囲気になった僕たちは、互いの顔を近づけ……。
「オホン!」
「「うわあ!?」」
後ろで卜部さんが咳払いをして、我に返った僕たちはあわてて離れた。
「紅月、すまんが続きは後にしてくれ。今は面接中だ。」
「す、すいません……。」(ちっ、もう少しだったのに!)
カレンは椅子に座り、僕も席に戻った。
「では紅月、虫は好きか?」
卜部さんがカレンに質問した。
「好きという訳じゃないですけど、嫌いでもないというか。蚊はうっとおしいから絶対に殺すし、
ゴキブリも気持ち悪いからすぐに駆除するし……。」
…何ていうか、カレンらしいな。
「そうか、わかった。では別室で待機してくれ。」
「え?もういいんですか?」
「ああ、構わんよ。次の人を呼んでくれ。」
首を傾げつつ、カレンが退室した。ていうか、「虫は好きか」って質問だけだよな。確かに重要だけど、それだけでいいのか?
支援
「では、次の人。」
卜部さんに呼ばれて入ってきたのは、金髪のロングヘアにコウモリの形をした髪留めを身につけ、
軍服を着た女性だった。……誰だ?
「ヴァルキリエ隊所属、リーライナ・ヴェルガモンです。よろしく…」
途中まで言って、彼女は僕を見つめた。そして……。
「ワオ、いい男♪」
「えっ!?」
彼女、リーライナさんに見つめられ、僕はタジタジになった。
「うふふ、こっちに来て正解だったわ。ルキアーノ様に言われて仕方なく来たけど、
こんないい男がいるなら、もうけものよね〜♪」
な、何かものすごいこと言ってる。ヴァルキリエ隊って、ルキアーノの親衛隊だよな?
直属の上司が目の前にいるんだけど……。
「おい、リーライナ。俺の目の前でよくもまあ、そんなことを……。」
ルキアーノが彼女を睨みつけている。まあ当然だな。
「はっ、ルキアーノ様!いつの間に!?」
いや、最初からいましたよ。気づいてなかったんですか。
「お前、また俺を無視か!俺が本国に戻ってからずっとそんな調子じゃねえか!」
「いや、そうおっしゃられても。以前のルキアーノ様は、いつもとげとげしくて、獲物を狩るような目つきで、
猛々しいオーラを身にまとってらっしゃいました。でも、今はすっかり丸くなっちゃって、毒気が抜けきっていい人に
なってしまわれました。そのせいで、ラウンズのオーラというか、存在感が希薄になったというか。目立たないんですよ。」
「んなあっ!?」
リーライナさんに暴言ともとれる発言をされ、ルキアーノは落ち込んでしまった。
「何だよ、俺がいい人になっちゃおかしいのかよ。俺って何なんだよ。『マスコットを決めるから』って卜部に言われて
連れてきただけなのに、どうしてここまで言われなきゃならねえんだよ。」
あーあ、すっかりいじけちゃった。
支援
支援
「オホン!え、えーと。リーライナさんだっけ?早速だが、面接を…」
何とか場を取り持とうと、卜部さんがリーライナさんに声をかける。何だか、振り回される卜部さんって珍しいな。
「え?ああ、ごめんなさい。どうぞ、質問なさって下さい。」
リーライナさんが着席した。
「では、アンタは虫が好きかい?」
お決まりの質問。
「うーん、種類によりますね。蝶なんかは綺麗でかわいいから好きですけど、クモやムカデなんかは気持ち悪くて嫌いです。」
ふむ、大体の女性ならそう答えるのかもな。まあ男女関係なく、クモが好きな人間なんてそんなには……。
「ふむ、例えばこういうのがダメなのか?」
そう言って僕の隣に座る卜部さんが出したのは、いつぞや皇帝から贈られてきたタランチュラ。
それを見た瞬間、僕は悲鳴をあげそうになった。ていうか、ずっと机の下に隠してたの!?ずっと僕の隣にいたってこと?やめてくれ、冗談が過ぎるぞ。
「ひっ、いやああああ!!」
リーライナさんは椅子から転げ落ち、部屋から逃げ出した。まあ、そうなるよな。
「ほう、これは見事な。」
ルキアーノがタランチュラの背中を触る。やめてくれ、見てるだけで鳥肌が立つ。
「皇帝陛下からいただいたんですから、大事に扱って下さいよ。でも本当にカッコいいな。」
スザクがルキアーノに注意する。スザク、君までそんなことを。
「もう嫌だ、この集団……。」
わかるよ、ゼロ。君は一人じゃない。でも今は耐えるんだ。
「あ、あのー……。」
その時、扉の隙間から一人の少女が声をかけてきた。
「わ、私の面接ってまだですか?」
「おお、マリーカ。いいぞ、入れ。」
ルキアーノが少女に声をかけた。てことは、彼女もヴァルキリエ隊?
「くくく、こいつはな、ヴァルキリエ隊のマスコット的存在。いわば『萌え』要員だ!」
ルキアーノが自慢げに話す。『萌え』、ね。彼からそんな言葉を聞こうとは。
「はう!ルキアーノ様酷いです。私は戦力外ですか?」
扉の隙間から飛び出してきたのは、茶色の髪を肩の上あたりまで伸ばし、コウモリの形をした髪留めを身につけた華奢な少女。
「私だってちゃんと戦力に…ひゃあっ!」
勢いよく飛び出したはいいが、つまづいて転んでしまった。
「いたた……。どうして私ってこんなにドジばっかり。でも私、負けないもん!私、ファイト!」
彼女は起き上がりつつ、胸の前で小さく拳を握った。その瞬間、僕たちの体に電流が走った。
(な、何だ?この、守ってあげたくなる衝動は?)
(かわいい…はっ、ダメだ!俺にはナナリーが、ナナリーという絶対的な存在が!)
(何だろう、よくわからないけど胸がドキドキする。今度ユフィに聞いてみようかな?)
(頑張り屋なのかな、○○コロガシみたいな?)
(くくく……。だから言ったろう?『萌え』だと!)
「あの〜、皆さんどうかされましたか?」
マリーカは五人のバカ野郎を見て、首を傾げていた。
支援
支援
「では気を取り直して。アンタ、名前は?」
卜部さんが椅子に座った少女に声をかけた。
「あ、はい。ヴァルキリエ隊所属、マリーカ・ソレイシィです。」
ふむ、緊張しているなあ。ガチガチに固まっている。
「ではマリーカさん。アンタは虫が好きかい?」
すっかりおなじみになった質問。しかし、彼女から返ってきた答えは意外なものだった。
「は、はい、好きです。だって、みんなあんなに小さいのに、一生懸命生きてますから。
他の虫に食べられても、鳥に食べられても、人間に忌み嫌われても、一生懸命その日を生きてますから。
エリア11には『一寸の虫にも五分の魂』って言葉があるんですよね?私、その言葉が好きなんです。何だか、今の私みたいで……。」
『今の私』?どういうことだ?
「私はかつて純血派を率いていた、キューエル・ソレイシィの妹です。私は兄を尊敬していました。いつか兄のような立派な騎士になって、
純血派にかつての栄光を取り戻したい。その一心で今まで頑張ってきました。」
「そうか、君はナリタで紅蓮弐式に倒された、キューエル卿の妹さんだったのか。助けることができず、すまなかった。」
((紅蓮に!?))
スザクの言葉に、僕とゼロは絶句した。なぜなら、彼女にとっては兄の仇であるカレンが、すぐそこにいるからだ。
下手をすれば、今すぐにでも刃傷沙汰になりかねない。
「いいえ、枢木卿のせいではありません。戦場に赴く以上、いつ死んでもおかしくありませんし、お互いに守りたいもののために戦って、
結果的に兄が敗れたのです。そりゃあ、相手の方を恨んだこともあります。でも、兄は果たして仇討ちを望むでしょうか?
いえ、兄が望むのは純血派の復権。今は地面を這う青虫でも、いつかきっと大空を舞う蝶になる。私はそのために、
虫食い同好会で精神力を鍛えるつもりです!」
僕は心を打たれた。兄の仇を許すと言った包容力、あくなき向上心。これは大物になるな。
支援
そこへ扉を勢いよく開けて、カレンが飛び込んできた。
「どうして?どうして私を許してくれるの?私が紅蓮のパイロット、紅月カレン。あなたのお兄さんの仇なのよ。
憎むべき人間なのよ。なのにどうして……!」
マリーカは、そっとカレンの手を握った。
「カレンさん、もういいんです。戦争なんですから兄だって死を覚悟していたはずです。
もう戦争は終わったんですから、いつまでも下を向いてるわけにはいきません。前を見て、笑って歩いて下さい。
あなた方は自分の力で、望んだ世界を手に入れたんですから。」
「で、でも私は……。」
「私は大丈夫です。周りに支えてくれる人たちがいますし、兄だって私の心の中に……。
あれ?おかしいな、さっきから涙が止まらない。わ、私…頑張りますから。兄の分まで、ヒック、い、一生懸命に……。」
カレンは力強くマリーカを抱きしめた。
「大丈夫!私がいるから、私もあなたを支えるから!罪滅ぼしになるかわからないけど、あなたのこと守るから!
兄を戦争で失った者同士として!」
「カレンさん。う、うわあああん!」
マリーカは大声で泣き出した。僕以外のメンツももらい泣きしていた。
(ナナリー。こんな悪い兄さんを許してくれ!)
(ユフィ、特区を宣言した君に感謝するよ。君が憎しみの連鎖を断ち切ったも同然だ!)
(藤堂さん、俺、虫好きで良かったよ!同好会作って正解だった!)
(へへっ、『ブリタニアの吸血鬼』と恐れられた俺が、随分涙もろくなっちまったもんだぜ。)
「あのー。」
そこへ、セシルさんがやってきた。どうやら事情を飲み込めていないらしい。
「これは一体、どういう……?」
僕は事情を説明した。
「まあっ!何て健気な人!」
早速セシルさんももらい泣きした。確かにいい話だし、彼女もいい子なんだけど、
この怒涛の展開は何だ?ついていけない自分がおかしいのか?
「あー、別にライさんはおかしくないですよ。たまにこうなるんです。」
見ると、いつの間にか戻ってきたリーライナさんが、緑茶をすすっていた。一体どこからそんな物を。
「本人に自覚はないんですけど、そのかわいさと健気さゆえに、周りの人間にオーバーリアクションを取らせることが、しばしばあるんです。
人呼んで、『マリーカ・マジック』。」
「マジック……。確かに、そんな感じはするな。一瞬ぐらついたし。」
そんな中、卜部さんが高らかに宣言した。
「よし!虫食い同好会のマスコットキャラは、マリーカ嬢ちゃんに決定!
マスコットは虫好きが最低条件、加えて嬢ちゃんは性格、容姿ともばっちりだ!」
無論、全会一致で可決された。
「あ、ありがとうございます!私、頑張ります!」
「ふむ、終わったみたいね。じゃあライさん、早速私とデートして下さる?」
「はい!?」
「何ですって!?」
リーライナさんに腕を引っ張られ、僕はあわてた。そこへカレンがやってきて、僕の反対側の腕をつかむ。
「残念でした!ライは私の恋人なの。アンタなんかに渡さない!」
「あら、彼女がいたんですか?でもこんな乱暴な人より、私の方がずっと魅力的でしょ、ライさん♪」
「なっ、こいつ!ライ、当然私を選んでくれるわよね?」
両側から腕を引っ張りあう二人。
「痛いってば、やめてー!」
何故こうなる、今日は何かおかしい!いや、今日に始まったことじゃないけど。
その後、国際虫食い協会から編入されたマリーカには会員ナンバー7番、リーライナさんには8番、
新規加入のカレンには9番が与えられた。どこまで増やす気だ。
支援
支援
一週間後。ブリタニア本国にて。
「あやつら、やぁりおったわ!」
「シャルル、何を泣いてるの?」
「おお、兄さぁん。これを見てくださぁい。」
彼が見せたのは、麦わら帽子にワンピース姿のマリーカが写ったポスター。
「これは…新しい虫食い同好会のポスター?かわいい子じゃないか。」
「ぶるあああ!わしのポスターの方が何倍もイケてるのにぃ、兄さんまでそぉんなことをぉ!」
頭が痛くなってきた。自分の弟ながら情けない。
「あのねえ、シャルル。本気でそんなこと思ってるの?シャルルが皇帝だから、誰も何も言えなかっただけだよ。
形だけでも褒め称えるしかなかったんだ。わからないのかい?」
「むうう、兄さんがそう言うのでしたなら、今回は負けを認めましょう。だぁが、わしとてまだまだ若いもんには負けぇん!
もっと自分を磨いてぇ、ナァイスガイになってみせるぅ!」
「はあ、もう好きにしてよ……。」
シャルルにつける薬ってあるのかな?いや、そんな物があれば苦労しないか。誰か助けてよ……。
支援
おまけ
マスコットキャラ・オーディションが開かれている部屋の天井裏に潜む影……。
「この篠崎咲世子、ナナリー様を巻き込むわけにはまいりませんので、ポスターにはなれません。
ですのでオーディションには参加せず、ここから皆様をお守りいたします!」
十分後。
「ああっ、ゼロ様がスザク様にハンカチを。これは写真に収めねば!よし、撮影完了!
これは色々な想像ができてしまいます。アッー!」
さらに十分後。
「おお、ライ様とカレン様がキスを!キース、キース!あ、卜部様に止められてしまいました。二人とも名残惜しそうですが、
私の妄想の中ではそりゃあもう、あんなことやこんなことをお二人で……。」
さらに十分後。
「ほう、ライ様をめぐるリーライナ様とカレン様の三角関係ですか。これは燃える展開ですね。
いっそのこと、ライ様がお二人同時にというのもありですね。ああっ、電波受信!」
さらに十分後。
「マリーカ様、これは強力なキャラですね。あっ、カレン様とマリーカ様が抱き合って!
こ、これは新ジャンルの幕開け!ああっ、今度はライ様の取り合いに!困り顔のライ様もまた、格別!」
「フフフ、今度の祭りはネタに困りませんね。皆様、ネタのご提供感謝いたします。
妄想全開、執筆速度MAXで参ります、いざ!」
篠崎咲世子、その裏の顔は、地上最強の職人。(もちろん一般向け以外で。)
支援
以上です、支援ありがとうございました。
>>808 余暇卿、GJでした!
皇帝、自重www
虫食い同好会のマスコットなのに、虫キライと言い切る人がスゲーよw
そして何、このマリーカの破壊力
そして皇帝、マジ自重www
大切なことなので二回言いました
貴公の次の投下を全力でお待ちしていましょう!
余暇卿、乙であります!
ドジっ子属性なマーリカに萌えたオレ!!支援!!!
>>808 余暇卿、GJでした!
咲世子さんイキイキしてますねw
そして、まさかの三角関係で虫食い同好会が修羅場に…
ライは大変ですねえwww
25分すぎから投下してもいいですか?
前説と終了宣言入れて6レスほどになると思います。
ライ→ローマイヤ
19話フレイヤ投下後。
恐らく両思いだった。
事件、しかして〜
を下敷きにして読んだほうがいい、のか?
久々ライ独白。ローマイヤさん出ません。
死ネタ。シリアス。
支援
支援
空は、同じだった。
何も変わらず
何も望まず
ただそこに、存在した。
〜回顧、しかして真には〜
──アリシア・ローマイヤです──
そういって、にこりとも言わずに頭を下げる。
それが、僕が初めて見たミス・ローマイヤ、いや、アリシアの姿だった。
空虚、空洞、空白。
どれも僕の心を表すのに適しているようでいて、
あまりにも適していない気がした。
空いた隙間は、ただぽっかりと何も無いわけではない。
確かにそこに存在するものは無いけれど、
それ以上に、残された部分がいたむ。
ひどく痛い。
何がこれほどまでに僕をさいなむのだろう。
──確かにそうなのでしょう。けれど!──
──それは理想です。誰もがたやすく口に出来、けれどかなえることのかなわない。──
そういって彼女は切り捨てた。
それはいけないことだろうか?
否、切って捨てられた総督、ナナリーは知らねばならなかった。
現実を。楽観と悲観の間。現実という不確定地点を。
己だけは無く、他者の意思の存在を。
弱者だけでなく、強者だけでなく。過不足無く行う政治は、
おそらく理想だった。理想はかなわないと口にした彼女は、
それでも彼女なりに、少なくとも祖国に報いるために理想を掲げ戦っていた。
僕には、そう、見えた。
必ず、帰ってきます。
かの姫とは別に、自ら、己の意思を告げた彼女。
ええ、待っていますと笑ってくれた顔に、自分はどんな感情を覚えたのだろうか。
いまや、思い返すこともかなわない。
支援
僕は、知らない。
本当のところ、彼女が何のために戦っていたのか。
僕は知らない。
実際、彼女が何を好んでいたのか。
僕は知らない。
本当は彼女が何を求めていたのか。
僕は知らない。
世界が、彼女を殺したわけを。
僕は、知らない。
だから、彼女を、もっと知りたかった。
これから、互いに知るはずだったのに。
けれど……
「もう、かなわない。」
そう、
たとえ、
どれ程望んだのだとしても。
支援
支援
今や詮無きことではあるのだけれど。
ただただ、ただただ。
僕は、貴女を、愛していました。
「……さようなら、アリシア。」
支援
以上です。
ナナリーがアウトオブ眼中なのは仕様。
多人数まとめて書いた経験なし、自身もなし。
それが水守クオリティ。
要は実力ぶそk(ry
支援ありがとうございました。
では。
>>825 乙でした。まるで詩を読んでいるかのような印象を受けました。
何か、切ない気分です。
多人数を書くのは大変ですからね、自分も苦労します。
何回かこなせば、何となくコツはつかめますよ。
文章力は高いと思うので、自信持って頑張って下さい。
>>825 先日からのアリシアさんSSになんだか不思議なトキメキを。
ストイックなところがいいんでしょうか・・・せつなくなりました。
昨日のVV・シャルル混合のお話も面白かったです!!
見た目はこの上なくデコボコな三人だろうに、とても仲の良い兄弟のようで。和みました。
水守さんのお話がとても好きです。
また、拝読できるのを楽しみにしております。
>>825 水守卿、GJでした!
自信は無くてもいいけど、自身をもってください
胸が締め付けられるような悲しみを感じることができました
次の投下を待っています
・・・画像板投下報告です。・・・
「咲世子さんはちからもち」
0021-633
「ロスカラスタート時隙間エピソード」 より
低頭身キャラでのイメージ画です。
ジャンルじゃないルルーシュが意識のない成人男性を運ぶのは苦労しただろうに
・・・という思いにひとつの答えを出していただきました。
ご覧いただければ幸いです。
何故かこんな時間に目が覚めたので、
>>4で挙げられている画像の取り扱いについて私から提言いたします。
現在の美術館についてですが、画像掲示板に挙げられたもののうち、こちらに投下報告があったものを保管していこうと考えています。
形としましては、こちらから画像掲示板へリンクを張るわけではなく、当方がこちらに保管してフォルダ内で完結させます。
また美術館の仕様については、現在のサムネイル方式と、「閲覧」という文字列にリンクを張るだけの2つを共存させます。
決定ではありません。私としてはこうしたいと思ったことを述べたまでです。……もう一眠りしてきます。
>>830 いいアイデアだと思いますよ。部分的にってことならそちらの負荷も軽いでしょうし、
このスレへの影響も少ないと思います。SSと同じようなかんじで管理番号が付けられるのかな?
ごめん、議論じゃなかった。831は単なる意見扱いにしてください。トーマス卿も回答は議論のときに
してもらえるとありがたいです。
以後なにもなかったかのようにどうぞ。↓
>>832 議論と意見交換は似てるけどそこまで神経質にならんでもいい気がwww
この程度のことで議論うざいとかどうとか騒ぐやついたら、それこそスルーすればいいだけだしね。
>>833 まあ、あの流れを知ってたら神経質になる気持ちも分かるし、好感の持てる態度だと思うよ。
あなたは833のトーマス卿の提案についてはどう思う?俺は、
>>4と組み合わせてやればいい感じでいけると思うんだけど。
833のトーマス卿じゃなくて830だった。ごめん
うおー・・・揚げてしまった。
こっちこそすまん…
ちーばちーばちばライのよめー
書いてた千葉さんのお誕生日SSが消えてしまったのでかっとなって歌った。今は反省してる。
ちょうど誰もいないようなので、突発的に思いついたネタを投下して逃げ去ります。
「それでは今回の作戦内容を伝える。
今回は性質上、戦場が広範囲になることが予想される。
その為、KMF部隊も幾つかに分けることにする。
まずA班は、藤堂、朝比奈両名が率いろ」
「承知した」
「目に物見せてやりましょう、藤堂さん」
「次にB班。これは卜部、仙波に任せる」
「おう、任せといてくれ」
「腕が鳴るわい」
「次に、C班だが、これは……カレンと千葉、お前達に頼む」
「了解。よろしく頼む、紅月……? どうかしたか?」
「い、いえ。よろしくお願いします」
「ゼロ。僕はどうすればいい?」
「ライは私と来てくれ」
「分かった。それじゃ、お互い頑張ろう、カレン」
「うん、しっかりね!」
「あーあ……ライと同じ班になりたかったな……」
短くてすいません。
カップリングはライ×カレンというか、ライ←カレンで。
こういう短いのも、ありですよね? それじゃまた
>>840 千葉はライの嫁卿、乙でした!
とりあえずゼロと組むライが不安です
次の投下を待っています、もちろん全力で
>>841 「ライは私と来てくれ」
「えっ…あ、わ分かった。それじゃ、お互い頑張ろう、カレン」
こうですかわかりません(><
>>808 GJです!シャルルの麦わら帽子にランニングシャツ・・・想像したら吹いたじゃないかwww
いい人になったばかりに影が薄くなっちゃったルキアーノ涙目すぐるwww
一気に女性会員増えたなwそしてまさかの三角関係ww
次の投下を全力でお待ちしております。
>>825 GJです。なんだか切なくなってきたっ・・・
自分は書いたことが無いから多人数を書く大変さは分かりませんが
自信を持っていいと思います
次の投下を全力でお待ちしております。
>>840 乙でした。ゼロとライが共に戦場に出たらどういう戦い方をするんだろうな〜
ライが切り込んでゼロが後ろで指示を出すのかな?
次の投下を全力でお待ちしております。
投稿したいので、誰が支援してください。
はい
支援
夜空が運ぶ懐かしさ 〜この空の向こうにある色〜 の続編に当たる作品です。
時の流れに身を任せ〜若き元エースの一日〜
3スレか2スレぐらいのシリアスCP無し。
支援
時の流れに身を任せ〜若き元エースの一日〜
ぼくは、カーテンから漏れる朝日の光で目を覚ました。
ノネットさんは昨日から、EUに短期遠征に出かけているため屋敷にいない。
ノネットさんの屋敷に居候生活を初めて半月が経った。
ギアスの暴走も少しづつ和らいでいた。そのため、発作を起こす事も少なくなった。
だけど完全におさまった訳では、無いのでまだ帰る訳にもいかない。
もう暫くはここにいる事になるだろう。
とは言っても、暇だ。
ここに来てから、殆んどやる事もないので暇で暇でしょうがない。
こっちにくる前は、軍と学校との二重生活、それに自分の記憶探しで暇な時間なんてなかった。
そのためか、この生活は少し落ち着かない。
取敢ず、朝食を取り、書庫に行くことにした。
いつもの日課だ。
午前中は書庫で勉強。知識はあって邪魔にならない。勉強と言っても、
書庫に有る本は殆んど政治学や経済学や軍事関係が殆んどで他には、
領地の歴史書や主要統計だ。
僕は、政治や経済を中心に知識を深めている。
それは、普通の学生が学ぶ域を超えているが、それでもそんなに難しくない。
バトレーのお陰なのかもしれない。
支援
気が付いたら昼になっていた。
昼飯を食べ、一旦自室に戻りジャージに着替えて、トレーニングルームで一汗かいていた。
これも日課になりつつある。
ここにある機材はどれも最新型。
いつものように、ランニングマシンでの走り込みを小一時間と、腹筋・スクワット・腕立て伏せを30回づつを終えた。
素振りをやるため木刀を探していたら、懐かしい物が埃を被っていた。
ナイトメアのシミュレーターだ。
特派ものより少し古い型で動くみたいだが、中の設定が初期のグラスゴー設定で
敵機データには、サザーランドとグラスゴーしか入っていない。
ナイトメア…暫く乗っていないな。
また今度これに乗ってみるか。
そう思いつつ木刀を見つけて、トレーニングを終えた。
外を見ると、日はもう落ちていた。
夕食を食べ終え、自室に戻り、窓から空を見上げていた。
まだ会う訳にはいか無いが、手紙位なら大丈夫だよな。
そんな事を思っていた。
僕は窓を閉めて、床についた。
次の日僕は親友に手紙を書いた。
支援
以上です。
誤字等有ったらお願いします。
自分の作品のイラスト募集中。
乙でした〜
日常のほのぼのした感じがよかったですね。
次回の投下を楽しみしてます。
トーマス卿に提言なのですが、昨日職人さんが投下の支援を求めた所
支援の書き込みが間に合わずに職人さんが投下を見合わせるケースが
多々ありました。つきましては職人さんが投下支援を求めた時に直ぐ返事
が無くても5〜10分位様子を見るというのを次スレの注意事項に加えてはいかが
でしょうか?
普通に考えたら5〜10分くらい待つのは普通だと思うからいらないと思うけど
>>854 御錬師卿、乙でした!
何気ない一日、淡々としたかんじが良かったと思います
細かいかもしれませんが、西洋ならば木刀ではなく木剣では?
では、次の投下を待っています!
>>856 容量がいっぱいいっぱいだったと思いますが
というか確か、いらないって結論出てたんじゃ?
>>854 乙でした
マッタリとした雰囲気が良かったです。
が、「ぼく」とか簡単な漢字は変換して欲しかったかな
次回投下を楽しみにしてます
>>857 そうですかね?
昨日の時間を見ると2〜3分で見合わせるケースが全部だったんで。
流石に投下の伺いたててから4分以内に結論出すのは早とちりさんの仕業だと思うんだが
>>858 そうなんですか?そうだとしたらよけいな差し出口を
しました。
御錬師です。
保管前に修正お願いします。
ジャンルを「シリアス」から、「未分類」へ
850の冒頭
「ぼくは、カーテンから漏れる朝日の光」
「僕は、カーテンから漏れる朝日の光」に。
お願いします。
読ませてもらってちょっと気になった、というかちょっと笑っちゃった(悪い意味じゃなくてね)のだけど、
ライはスザク並みの身体能力があるんだから、腕立てとか腹筋とかは、もうちょっと回数増やした方が自然かな、と思いました
誰もいないな……。
小ネタでも投下しますか。
題名「それいけ!シャルルマン」
注意
・キ ャ ラ 大 崩 壊 !
・元ネタは某パンマン
この題名と注意書きをみて「読んでもいいかな?」と思う人意外は読んではいけませんww
「「「「それいけ!シャルルンマン」」」」
★どこかのどかな某パン工場にて★
「スザクおじさぁん、ミレイさぁん今からぁああパトロォオールゥにぃいい、行ってきまぁああすぅうう。ぶるぁあ」
「がんばって行ってくるんだよシャルルマン」
「がんばるのよ!ガッツよ!」
「ぶるぁああああああああああああああ!行ってきまああああああああす」
「ふはははは!ほら見ろライちゃん。人がゴミのようだぞ!!」
「あのーゼロ?やるならさっさとやってください。というか「ライちゃん」って呼ぶのはやめて下さい」
「わかっている!だから今やっているじゃないか!」
「町中の花壇を荒らすだけっていうところが、さすが小さい子向けのアニメらしいといいますか……」
「ふんふふ〜ぶるぁあ♪今日もぉ街は平和ぁかなぁああ?んん〜?あれはぁぁぁあああゼロではあないぃぃかぁぁあああ!」
「HAHAHAHA!来たなシャルルマン!今日こそはお前を倒す!」
「ゼロが壊れていくよ……。どうすればいいんだ……」
「ゼロぉぉおおお!貴様ぁあああ綺麗なぁあああ花をぉぉおお!むしりとってくれたわああああああああああああああああ!!!!」
「ふん!そんな攻撃は効かない!食らえ!巨大ドライアー!スイッチオン!」
「うおおおおおおお!!!!!髪があああああ!!!!わしの髪があああ!!!ほどけてゆくぅぅうう!!貴様ぁあああああああ!!!」
「髪が……シャルルマンの縦ロールがほどけてゆく……。ゼロ……少し卑怯じゃないか?」
「そんなことはどうでもいい!勝てばいいのだ!勝てさえすればいいのだ!」
「髪があああ!!!力が抜けていくぅぅぅぅぅ…………」
「シャルルマンが絶体絶命のピンチだ!ゼロ!チャンスじゃないか?」
「少し待て!落ち着くんだライちゃん!」
「落ち着いているつもりだけど……。アレ?遠くのほうから誰か来る……」
「!!!!ほら!!!ライちゃんが慌てるから味方が着てしまったではないか!!!」
「僕のせいですか」
「シャルルマ〜ン!新しい髪だよ!それ!!!!」
「スザクおじさん、ありがとぉぉぉぉおおおおおお!!!!」
ピカリン!タッタラッタ、ラッタッタ〜♪タララ〜、タッタタラ〜タッタタラ〜タ〜〜〜〜〜♪(BGM)
「元気1000000000倍ぃぃぃぃいいいい!シャルル〜〜〜マンン!!!!」
「やはり蘇ったか……」
「いや、ぼーっとしてないでやっつければよかったのに……」
「やはり正々堂々と戦わねばならないだろう。ライちゃん、お前が言っていることは卑怯なことだ」
「ゼロ……さっき「勝てさえすればいい」って言ったよね……」
「……言った覚えは無いな……(目を横にそらす)」
「……」
「お前は万死にぃぃいいい!値するぅぅぅううううう!」
「何!?」
「シャルルゥゥゥウウウウ〜!!!!パァァァアアアアンチィィィ〜!!!!!!!」
「ぐばああああああああ!!!!!!ゼロゼロキ〜ン」
キラリンッ(遠くのほうに飛んでいく)
「ゼロ……。僕だけが生き残っちゃったよ……。とりあえずゼロを拾ってくるか」
「ふん!これでぇええやつらを一掃したぁあああ」
「シャルル〜マンがぁあああいる限りぃぃいい!世界はぁぁあああ安全なのだぁああああ!ぶるぁぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
勢いだけでやった。後悔はしてない……と……思う……。
気分を害された人、すいません。
あ、「シャルルン」にしちゃった。まいっか。
かwみwwwww
元気の倍率高ぇwwwww
面白かったです!
GJ!
>>868 GJでした!
吹きまくりですw
若本語にも、ほどけるロールにも、新しい髪にも
……ヅラかよ!
次の投下を待ってます!
クソワロタwwww創造したらふいちまったじゃねーか!!また投下たのんます!!
どーでもいいけど人いねーな。どうなってんだ?保管庫も更新止まってるし。
>>873 決してトーマス卿を責めるわけじゃないんだけど、更新が滞りそうなときってあの人の性格(ワラからいって事前に通達すると思うんだよね。
コミケの時とかそうだったじゃん。結局、コミケ期間中だろうが普段と変わらん速さだったのには噴いたけどw
スレの投下の速さの話しだったらごめんね
>>872 保管庫いって最新20個を見たら、最新更新が4日の2時半になってた。
今でちょうど30時間か。確かに異常事態だな。
わかった!トーマス卿はきっと過労で倒れちゃったんだよ!
……シャレになってねえええ!!!!!
うわーー…。
>>876 演技でもない事言うなよぉ〜…。
>>875 保管庫の最新はあてにならない事が多いよ、最新20個よりも新しい
のが、領地に保管されてることが珍しくないから気にすることない
むしろ投下が少ないのが何か気になる。
誰もいない。投下するなら今がチャンスか?
たとえ単騎でも(支援がなくとも)恐れはしない。だって、本文2レスだから・・・
今日は夜勤だし予定(14時)を早めて、これから(11時)から投下します。
一応支援
タイトル :ロスカラさん 第2話 リフレイン
カップリング:ライ←井上
ジャンル :コメディ? 崩壊キャラ(軽め?)で再構成もの
キャラの言動が、ほぼギャグです。5〜3頭身キャラが出て来る四コマ漫画を楽しむ感覚で、
読んでもらえれば幸いです。なので、カップリング表記は参考程度に考えてください。
萌は文化卿の「寝起きドッキリ」の設定をお借りしてます。
「リフレイン」の回でありながら、カレンもカレンママも出演しません。タイトルを見て期待した
人、ごめんなさい。この回で二人を弄る(オチャラケさせる)のは、不謹慎だと思いまして・・・
2レス使用予定(支援は不要)
支援
ロスカラさん 第2話 リフレイン
僕が黒の騎士団に入団して初めての任務は、リフレイン取引現場を急襲し更なる蔓延を食い止
める事だった。
「よお新入り、足引っ張るなよ。貴重な無頼を壊されちゃたまらねえからな。
「カレンの推薦だ。心配はしてないが、落ち着いてな。
「制服のサイズ大丈夫? きつくなかったかしら?」」」
「・・・着替え中なんで出て行ってもらえませんか、井上さん? わざわざ扇さん達の声真似まで
して、何のつもりですか?」
支給された制服に着替えている所に、さらっと特殊技能【声真似】で話し掛けてくる井上さん。
当然この場に玉城も扇さんもいないわけで、正面から覗きに来るなんて大胆すぎる。
「うーん、クールねえ。ちょっとそういうの好みかも? えい♪」
「うわっ!」
ズボンを履き替えるために、片足立ちになった不安定なところに体当たりを食らった。倒れた僕
の上に、井上さんが覆い被さってくる。
「ごめんなさい、すべっちゃった〜♪」
「絶対嘘だ! 今『えい』って、掛け声かけてた」
「ふふふ・・・気にしない、気にしない。分からない事があったら、何でも聞いてくれていいわ。
少しは先輩らしいとこ見せてあ・げ・る。さあ、お姉さんに全てを委ねなさい〜」
わわわ・・・世間一般の先輩は、こんな事しないと思う。いったい何を教えてくれるというのだ?
そして全てを委ねてしまったら、僕はどうなるんだ!?
全身に、井上さんの体温と柔らかさを感じる。甘い匂いに頭がクラクラしてきた。
(ああ、脳味噌がナマコになりそうだ・・・)
井上さんの顔が、だんだん僕の顔に近づいてくる。唇から目が離せない!
「ふふふ・・・」
バ ン ッ !
「「そこまでだ、井上!」――と、状況に流されかけているライ」
いきなり、ロッカーの中から登場するゼロとC.C.。
わっ!そんな所で今まで何やってたんだ? でも、危ない所だった。
「被写体の商品価値が下がる。それ以上はダメだ」
あーうん、分かった。隠し撮りしてたんだな?
「ライ。お前のセミヌードは、ばっちり撮らせてもらったぞ。こいつは高値(ピザ5枚分)で、売れそ
うだ」
「残念だがC.C.その動画は、暫く私が預かる。最初からセミヌードだと、後が続かないからな。
売出す時期は、私が見極める」
C.C.に向かって、『さあ、寄こせ』とばかりに腕を突き出すゼロ。
「いやだ、断る」「いいから、カメラを寄こせ!」
「いやだと言っている。あっ!」「フハハハハ・・・ イテッ!」
ゼロは強引にカメラを奪い大笑いするが、C.C.に脛を蹴飛ばされていた。
・
・
・
出撃前には色々あったが、僕の初仕事は無事終わった。取引現場を急襲し、大量のリフレイン
を押収した。
『リフレインは全て焼却。その様子は映像にし衆目に届けよう』との事だったが・・・
リフレイン焼却映像と共に、例の着替えの時の動画がネット上に流れた。明らかにゼロのミスだ。
しかしその後の迅速な対応で、あの動画は顔部分を騎士団マークで隠した修正版に差し替えら
れた。何故削除されなかったのか? それはあの動画により、女性の入団希望者や地下協力
員が激増した為だった。
「フハハハハ・・・全て、全て私の計画どうりだ!」
「ピザのなる木だったのだがな」
「何で、私とのラブシーンがカットされているのよー」
「ああ、消えてしまいたい・・・」
支援
>>876 今日の夜になればまたひょっこり戻ってくるよ。昨日はたまたま眠たかったんだろ。
>>879 前から領地の方を優先して、スレ一覧とかは後回しになってたからね。あ、いや、
それで管理人さんを攻めるとかそんなつもりは全然ないけど。
以上です。わ!人(支援者)が居た! ありがとうございました。
いまだに、投下のときはドキドキします。
井上さんが、これまでになく積極的に動いてくれました。これも萌は文化卿のおかげですね?
ありがとうございました。
>>887 184卿、GJでした!
一枚でピザ五枚分、Lサイズが3000円くらいだから一万五千円くらいか
……高いのか安いのか分からねぇ
井上さんスゲー、でも援護とかカウンターとか底力が欲しいね
続きを待っていますよ、全力で
投下が来ないうちにちょっと質問。ピンクもふもふ卿をみんなもっふーって言ってるけど、どっちが正しいの?
それは
ルルーシュとルルどっちが正しいのとかいうようなもののような
>>889 ジェレミア・ゴッドバルド卿をオレンジって呼んでるようなもんだから気にするな。
>>887 仕事から帰ってきて見たら…GJ
何故に私の初期作品の設定をwwww
ライ×井上に挑戦しようかな……………止めとこ、資料が少なすぎる
最近カプもののSSの投下が少ないと思うのは俺の思いこみ?
最近カプものだけでなく投下自体すくなくなってきたような気がする・・・。気のせいか?
まあ自分も最近は忙しくて投下してないけど・・・。
にしてもトーマス卿どうしたんだろうか?
>>896 いや、気のせいじゃないよ、昨日も短いが3つ今日も現時点までで短いの2つ
だし、一昨日までに較べると激減っていってもいいくらい。
一体どうしたんだろう、、荒れてるわけでもなし、議論が起こってる
わけでもないし、、、
某スレで、「今はロスカラの「衰退期」」だって言てった。
ロスカラ2がでればまた復活すると思うけど・・・。
さて、過疎っているならまたシャルルマンでも書きますか・・・。
または別のものでも。どちらも小ネタになってしまうが。
まあたまにはこういうときもあるということか。
今までが異常だしww
他のスレと比較したらすごいからな
ふと、おもった、過疎ってる理由ってただ単にスレの残りが少ないのと容量が
無いんで投下できなのかも?
単純に9月になったからだと思っていた。
学生が多かったんだなと。
あぁ確かに。
長めのSS書いてる職人さんからすれば途中で切れるのはごめんだし、投下した後も感想もらえるだけの余裕がスレにはあってほしいだろうしね
>>901 ああ〜それもあるかも、じゃあ今日位からまた増えるかな週末だから
じゃあ40分くらいに小ネタを投下するよ?
3レスくらいだからたぶん支援いらない
905 :
萌は文化:2008/09/05(金) 20:39:28 ID:SjpWJyup
では時間なんで投下
小ネタ「ゼロのゆるい1日」
注意
ギャグです
ゼロ以外は会話だけで進むので何やってるかわかりずらいかもしれません
念のため支援
907 :
萌は文化:2008/09/05(金) 20:42:22 ID:SjpWJyup
「ふむ、今日は大したニュースはないな」
格納庫でくつろぎながら新聞を眺めているゼロ。
「ちょっとライ! 今あの女の人に見とれてたでしょ!」
「え? あ、いや…」
「カレン、ちょっと女を横目で見たくらいでライを困らせるな。さて、と」
ギャースカ騒ぐカレンを注意し、新聞に目を戻すゼロ。
「ライく〜ん!」
「うわ、井上! 臭っ! 酒臭っ!」
「ちょっと井上さん! ライから離れてください!」
新聞を置いて今度はチラシに目を通すゼロ。
「杉山、井上をライから引き離せ。玉城と扇はカレンを止めろ。おっ、今日は卵が安いな…」
スーパーのチラシを真剣に見つめながら言うゼロ。
「井上、離れろ……う、酒臭せ。って暴れるな!」
「離せ杉山! カレンばっかりライ君と……不公平だ!不公平!」
「扇! 扇ー!! しっかりしろぉ!!」
「玉城、俺は……」
「最近、息抜きをしてないな。ディートハルト、何かないか?」
タンカで運ばれる扇を気にも止めずにゼロはディートハルトに話しかけた。
「でしたら、黒の騎士団で海水浴なんてどうでしょう」
「ほう、悪くはないな」
「食事はバーベキュー、夜は花火大会なんかもどうですか?」
手持ち無沙汰なので支援
909 :
萌は文化:2008/09/05(金) 20:45:47 ID:SjpWJyup
ふむふむとディートハルトの話を聞くゼロ。
「やっと見つけたぞライ。では早速私の部屋に行くぞ」
「え? ちょっと、何C.C?」
「ちょっと! ライを連れて何する気よ!!」
「何って、決まってるだろ。フッ」
「〜!! ゼロ! C.Cが!」
「すまんなカレン。今大事な話をしてるんだ。それで場所はどうする?」
カレン怒りを軽くスルーしてゼロは話しを続けた。
「それならおまかせください。すべて満足させてみせます」
「フッ、流石だなディートハルト」
ディートハルトを褒めるゼロ。
「ちょっと待ってよC.C」
「何だ? ああ、そうか、もう我慢が出来ないのだな。なら、仕方ないな」
「ちょっと!! 何脱いでるのよピザ女!!」
「だってライは私の部屋に行く前に我慢出来ないそうだ。私の魅力も恐ろしいな。チュッ」
「な! C.C!?」
「ピ〜ザ〜女!!!」
新聞紙をたたむとゼロは席を立った。
「卜部と南はカレンを止めろ。千葉はC.Cからライの貞操を守ってやれ。朝比奈は念のためライの逃走ルートの確保。誰か、藤堂を見かけたらカレンを止めるのを手伝うように言っておけ。ではディートハルト、この件については任せたぞ」
「ハッ、お任せください!」
そう言うとゼロは少し上機嫌で自室に帰って行った。
次回
黒の騎士団海へ行く!(ウソ、続きません)
910 :
萌は文化:2008/09/05(金) 20:48:06 ID:SjpWJyup
以上で終了
何気に小ネタ初投下
かなりテキトーです
若干季節外れの海ネタはやるならやっぱりライセシで(ry
乙でした〜w
ゼロ、、、、お母さんみたいだw
流石、ギャグ書かせたら天下一品ですね。
次回の投下を楽しみにしています。
>>910 萌は文化卿、GJでした!
マイペースすぎるだろwwゼロwww
というか新聞読んでる仮面男、シュールだww
ゼロが動じないってことは、たぶんいつもの事なんだな、と思いました
次の投下を全力を挙げて待たせていただきますか!
>>910 GJ!ゼロが超マイペースw
こういう小ネタもいいなあ。
さて、前説・本文・あとがきで計9レスの作品ができたけど、
容量的に次スレの方がいいんでしょうか?
大丈夫じゃないでしょうか?
支援必要ですか?
>>913 支援しましょう、全力で
……誰か次スレ立てられる人いる?
私は、携帯なので不可能でした
>>914 お願いします、21:25から投下します。
ではそろそろ投下します。
作者:余暇
タイトル:香ばしいもの
カップリング:ライ×カレン
(注意)
・オリジナルキャラで屋台のおじさんが出てきます。
本文は7レス分、ライカレは久々な気がする。
『香ばしいもの』
「少し寒いな……。」
今日はカレンと一緒に、租界で記憶探しをしていた。季節は秋真っただ中、夕方になると少し肌寒かった。
「もうすぐ冬がやってくるから当然よ。それより今日一日歩いてみて、何か思い出せた?」
カレンに尋ねられ、僕は考えた。残念ながら記憶に関するものは得られなかったようだ。
「うーん、何も思い出せなかったな。すまない。」
「そう、でも焦る必要はないわ。また明日も租界を歩きましょう。こういうことは根気よく続けないと。」
「そうだな。でもカレンには本当に感謝してる。君がいてくれるから心強いし、何だか毎日が楽しいんだ。本当にありがとう。」
「なっ……!べ、別に私は大したことしてないわよ?ただ、お世話係主任としてやるべきことをしているだけで。
そ、そりゃあ、一緒にいると少しは楽しいかなーとは思うけど……。」
急にカレンが顔を真っ赤にしてぶつぶつ言い出した。何か変なこと言ったかな?
支援
公園の近くまで来た時だった。どこからか香ばしい匂いが漂ってきた。
「ん?何だろう、いい匂いがする。」
「あっ、焼き芋!」
カレンが目を輝かせた。
「焼き芋?何それ?」
「サツマイモをアルミホイルに包んで焼くの。ホクホクして甘くて、とてもおいしいんだから。」
「へえ、そうなのか。じゃあ買ってくるよ。いつも記憶探しに付き合ってくれるお礼も兼ねて。」
「えっ、いいの?やっ…」
カレンが嬉しそうな顔をした、と思ったら、急に黙り込んでしまった。何か考え込んでいるらしい。
「あれ、カレン?」
「えっ!?あ、ああ。ごめんね、せっかくだけど今日はいいわ。あまりお腹すいてないの。だから、一人で食べてよ。」
「そうか、残念だな。とりあえず買ってくる。どうやらあの屋台で売っているらしい。」
「行ってらっしゃい。私ベンチで待ってるから。」
僕はカレンと別れ、焼き芋を買いに行った。僕は一本だけ買うつもりだったが、僕たちを遠目から見ていたらしい屋台のおじさんが、
「これ、あのお嬢ちゃんにサービス。いつも贔屓にしてもらってるからね。あと伝言。
『恋してるからってカッコつけても、いずれ化けの皮剥がれるぞ』って。」
と言って、もう一本サービスしてくれた。伝言の意味はさっぱり理解できなかったが。
公園のベンチに行くと、カレンが待っていた。
「お待たせ、一本サービスしてくれたよ。カレンはあそこの屋台の常連なんだって?」
僕にそう言われ、カレンはため息をついた。
「はあ。あのおじさん余計なことを。ええ、今までにも何回か通ったことあるわよ。でも、今日は本当に…」
「ああ、あと伝言。『恋してるからってカッコつけても、いずれ化けの皮剥がれるぞ』って。どういう意味なんだろう?」
すると、カレンが顔を真っ赤にした。
「あのオヤジィ〜!余計なことをペラペラと!」
僕は背筋が凍る思いがした。この気迫、紅蓮に乗っている時と同じだ。
「はっ、私ったらまた頭に血が昇って……。ご、ごめんなさい、みっともない所を見せちゃって。」
今度はシュンとなってしまった。さっきから様子がおかしい。
「なあ、カレン。一体どうしたんだ?何か様子が変だよ?」
「な、何でもない!とにかく早く食べないと、せっかくの焼き芋が冷めるわよ?」
そう言われ、僕はベンチに座った。
「なあ、本当にいらないのか?これ、屋台のおじさんがカレンにって…」
そう言って僕は焼き芋をカレンに差し出したが、
「だ、だからいいってば!全部ライが食べていいわよ。」
カレンはそっぽを向いてしまった。仕方がないので、とりあえず僕一人で食べ始めた。
サツマイモの皮をむいて、かじりついた。ホクホクして温かい。それにほんのり甘い。
「おいしいな、これ。すごく温まる。」
「でしょう?あそこの屋台のは特においしいんだから。」
カレンが笑顔で答える。
「なあ、本当にいいのか?こんなにおいしい物を僕一人でもらっちゃって。」
途端にカレンが眉をひそめた。
「いいって言ったでしょ!私は別にお腹がすいてないから…」
(グゥ〜。)
カレンのお腹から大きな音が鳴った。カレンの顔が耳まで真っ赤に染まる。二人の間に気まずい空気が流れた。
「「………。」」
えーと、お腹がすいてるということでいいのか?僕は焼き芋をカレンに差し出した。
「あのさ、せっかくもらったんだし、食べたら?無理は体に良くないよ?」
彼女の感情を逆なでしないよう、慎重に言葉を選ぶ。
「そ、そうね。こんなにいい匂いがするんだもの、お腹がすいてきて当たり前よね。これは生理現象、仕方ないわよ。
決して焼き芋を食べたくてずっと我慢していたとか、そういうやましい気持ちじゃないんだから!そこ重要ですから!」
そう言うと、カレンは僕から焼き芋を素早く奪った。
「やっぱり食べたかったんじゃないの?」
とは、絶対に言えなかった。何だか後が怖かったから。
支援
支援
カレンが焼き芋にかじりついた。
「う〜ん、おいしい。やっぱり秋と言えば、焼き芋よね〜♪」
ものすごく幸せそうな顔だ。彼女のこんな顔初めて見た。
「うっ、な、何?」
僕が見つめているのに気づき、カレンが表情を硬くする。
「え?あ、ああ。すごく幸せそうな顔だなあって。よほど焼き芋が好きなんだな。」
その言葉を聞いた途端、彼女の顔が赤くなった。
「わっ、悪い?どうせ私は食い意地張ってるわよ。秋と言えば真っ先に『食欲の秋』を連想する、食いしん坊ですよ。」
もしかして、怒らせた?そんなつもりはなかったんだが。
「ご、ごめん。別に怒らせるつもりはなかったんだけど。でもさ、変に我慢しているよりは、
こうして焼き芋を頬張って笑っている君の方が、ずっと魅力的だと思うよ。」
すると、カレンの顔がますます赤くなった。
「み、魅力的……。」
「カレン?」
顔を赤くしたまま、カレンは硬直してしまった。また何か、怒らせるようなこと言ったか?
支援
僕は不意に、彼女のさっきの言葉を思い出した。
「そういえばさ、さっきの『食欲の秋』って何だ?」
「えっ?ああ、日本の秋は気候や色々な面から見て、様々なことをするのに適してるの。スポーツとか、読書とかね。
お米に代表される食物も、秋に実りの季節を迎えるから、この時期が一番おいしいの。」
「なるほど、だから『食欲の秋』か。」
日本では色々な秋の過ごし方があるんだなあ。僕も色々な秋を体験する内に、記憶の手掛かりを得られたりするのだろうか?
何にせよ、たくさんのことを経験して、色のある世界を取り戻そう。そう、カレンと一緒に。
「カレン、もっと色々な秋の過ごし方を教えてよ。記憶探しの一環であると同時に、この世界のことをもっと知りたい。
そのために、君にもっと協力して欲しいんだ。いいかな?」
「ええ、もちろん。だってお世話係主任ですもの。それに、あなたの色々な表情を見せて欲しいから。もっとライのこと知りたいもの。」
僕たちは二人で笑い合った。
支援
支援
「「………」」
その後向かった黒の騎士団のアジトで、僕たちは腹部の張りをこらえていた。
(この感じは、アレか。まさか、焼き芋を食べるとこんな効果があったなんて。)
僕だって、人前でおならをするほど図太い神経の持ち主ではない。男の僕がこういう心境なんだから、女の子のカレンはなおさらだろう。
(そうか、カレンが焼き芋を食べたがらなかったのは、こういう理由があったのか。)
その時、廊下で玉城とすれ違った。
「オーッス。今日も二人連れ立っちゃって、見せつけて…ん?」
玉城が鼻をくんかくんかさせている。と思ったら指で鼻をつまんだ。
「うえっ、くっせー。カレン、お前まさか…」
ドゴッ。
「ごほぉっ!?」
玉城の腹にカレンの左ストレートが炸裂し、玉城はうずくまったまま動かなくなった。
「違うから……。」
「へっ?」
呆気にとられる僕に、カレンが告げた。
「私じゃないから!私は断じてしてないから!」
「何を?」とは聞くまでもなかった、いや聞けなかった。僕はただ、黙って首を縦に振ることしかできなかった。
支援
支援
以上です、支援ありがとうございました。
某所でネタ提供してくれた方に感謝。
あと、
>>922様、乙です。
>>936 GJ!焼き芋といったらやっぱりといった感じですね。
次回の投下も楽しみにしております。
>>936 余暇卿、GJでした!
ほのぼのしてていいですね
あと屋台のおっちゃんとか、玉城がいい味だしてますね
次の投下をお待ちしておりますよ!
>>936 GJ
いいなー季節ネタっていいなー
…現実にこんな女の子居たらいいなー
もうこのスレは埋めに入っていいのかな?
雑談程度に質問。無視してもOKなんで。
仮にこのLCSSスレの作品でLCR2化したらどう?
投下が無かったらでいいんだけどさ、保管庫の一番最後の更新ってどれかわかる?
千葉はライの嫁卿の紅月カレンの憂鬱ってのが最新みたいだけど、これ以降に更新されたやつってあるのかな。
>>943 脳内フルボイスじゃなくて普通に声付だからうれしくなる反面、
一度見たからネタがわかってしまうというのが…
個人的には公式が新しい設定を作ったりしてほしい
>>944 このスレと保管庫を見比べてみたけど、それが最新っぽいね。
…ちょっと呼んでみようか。トオオオオムァアアスウウウウウウウウウ!
保管庫の人も普通に忙しい時くらいあるんじゃね?
金曜だし、友達と飲みに行ったりとか。
このスレのために身を粉にしているような人だから
むしろ、たまには更新しない日があった方が安心する。
トーマス卿もだが、青い運命の人も来てないな。
大体1スレに最低一本は投下してたのに、もうまるまる2スレ投下がないじゃないか。
待っているんだがな
このスレの回転が早過ぎるんだよ。
本編の超展開に次ぐ超展開で書き直しが強いられる場合もあるし…
>>949 何度かかいたけど、この作品で本編放送中に展開に合わせて書くの
無理だと思うわ。
っかもうこのスレ投下無理だな、、、、
>>947 まあそうなんだけどね。でも、そういうときって「この日は滞ります」って言うと思うんだよね、あの人の場合。
なんか突発的なことでも起こったんじゃないかと心配してるんだ。
>>950 中編ぐらいなら大丈夫じゃね?支援しますよ
>>951 すいません、誤解を与える言いかたしましたが、
職人じゃないので投下できません、、、
「ローマイヤ様のお部屋ができた時はびっくり致しましたが、
とうとう千葉様のお部屋ができましたね!」
「咲世子……懲りずにまた来たんだね」
「次にお部屋が出来るのはどなたかしら?と思っている間に、最近躍進目覚ましいセシル様のお部屋まで出来て、
またもや没SSが一つ増えてしまいました」
「でも没って言っても、わりと再利用してるじゃないか。往々にして元の方が出来がよかったりはするけど」
「再利用しようのないネタもございます」
「まあ、コミケネタはリアルタイムじゃなきゃ意味がない話だったしね」
「そうなんです。スレSSと銘打っている以上スレの新鮮な話題を取り込まねば!
などとネタをいじっている間にスレが埋まっていたり、一ネタ書いて様子見していたら、
スレの状況が変わっていたり。本編の展開で『SSの構想が!』と慌てる職人様は大勢いらっしゃるかと思いますが、
スレの展開で『用意したSSが!』と慌てるのはこの人くらいでしょう」
「素直に普通のSSを書けばいいのにね」
「全く書いていないわけではないのですが……」
「ふうん。でも、名無しで投下するんだったら、明らかに同じ人間が書いていると判るような、
半ばシリーズっぽい話ってどうなの?」
「他のSSスレなら、問題は無いはずですけれど、このスレ的には微妙な気はいたします。
もっとも内容的には、このスレ以外ならフルボッコでも文句は言えないんですけど」
「判っていて続けるわけ?」
「いえ、前回で終わりにしておこうかと思っていたようなんですが……お叱りもうけましたし」
「ああ、一つ目と二つ目が凄く間があいたっけ。あれ、単に準備不足だよね。
文字数制限に引っ掛かって、その場で削除と修正を入れていたっていう、すっっっごく恥ずかしい話だよね」
「行数は何度も数え直してチェックしていたのですが、総バイト数が少なかったので油断していたら、
長ゼリフが2レス目に集中していたようで……」
「しょせん言い訳でしかないよね。ゲリラなんて銘打ったくせに、本当に恥ずかしいよ。
咲世子達が恥をかくのは勝手だけど、僕まで巻き込まないでくれないかな?」
「……次にお部屋が出来るのはどなたでしょうね?私としてはミレイ様を応援したいところなんですけれど」
「都合が悪くなると強引に話を変えるんだね」
なんて紛らわしい書き方をする奴…
流れ的に青い人だと思った俺のトキメキを返せ
「嫌ですわ、VV様。そんな話を続けても、スレ住民の皆様は楽しくないという配慮のもとでの話題転換です」
「ふうん。信じたわけじゃないけど、もっともな理由だからのってあげるよ。
でも、今月のトーマスは移転作業があるってことを忘れないでくれるかな?」
「でも、ローマイヤ様のように意外なキャラのお部屋が出来ても楽しいですよね!
そう、例えば……マリアンヌ様とか!」
「せめてマリーカにしておかない?……じゃなくて!だから、トーマスには移転作業という大事な仕事が……」
「でも、その前に、部屋数も充実してまいりましたし、
そろそろお部屋の一覧が真剣に欲しい感じですよね」
「人の話、聞いてる?咲世子?」
「トーマス様は、美術館とか、なぞらえるのがお好みのご様子ですから、
集合住宅っぽくしてみても面白いかもしれませんね。
ブリタニア軍棟とか、アッシュフォード学園棟とか黒の騎士団棟とか!」
「ナナリーとか君とかどこに配置するか微妙なキャラが複数いると思うんだけど?」
「既にお部屋のある方は入居住みという形にして、
作業中とか、近いうちに部屋を作るつもりの方のお名前を入居予定者として公開していただけたりすると、
ワクワクしてよいかもしれません」
「僕は逆に、名前があがってないキャラ好きの人達からの、怨嗟の声が聞こえてきそうな気がするな」
「……VV様はノリが悪い方なんですね」
「僕は咲世子の耳がちゃんと機能しているようで安心したよ。
自分に都合の悪いことは聞こえない不具合を抱えているんじゃないかと心配していたんだ」
「まあ、心配だなんて……。VV様はなんてお優しい方なんでしょう」
「当然のことだよ。僕はVVだからね」
「……………」
「……………」
「不毛ですから、お互いやめておきませんか?」
「賛成するよ。話も進まないしね」
「そういえば、私、このスレにいらっしゃる諸兄に言いたいことがあったのを思い出しました」
「またもや強引な話題転換だね。まあ言うだけ言ってみれば?」
「『女性の誕生日は覚えていても、年齢は忘れているのがイイ男というものです』
年齢の数だけ赤薔薇の花を送るとかしてはいけません!絶対です!」
「そういえば、本編準拠だと咲世子も四捨五入で三……っ」
「VV様は四捨五入で百歳でいらっしゃいましたっけ?」
「……このクナイの感触、懐かしいね。でもそれって、四捨五入とは言わないと思うな」
「VV様には年齢はあまり意味がございませんから、適当でいいんです。
この先も、ずっとそのままの姿でいらっしゃるんですから」
「そう言うセリフは同性のCCに言えば?僕はたかだか六十年だけど、CCは百年単位で生きているんだよ?」
「そうですね。コードを封印していただけだというのでしたら、元に戻った今は、また不老でいらっしゃるのでしょうし……」
「まあ、公式の関係図を信じるなら咲世子も死亡しているんだから、変わらないはずなんだけどね」
「諦めませんっ!最終回まではっ!」
「往生際が悪いとは正にこの事だよね」
「ですが、あのトンでも展開続きの本編ですよ?R2が始まった頃に、
ジェレミア様がルルーシュ様に忠誠を誓うようになるとか、スーさんがルルーシュ様の騎士になるとか言って、
マトモに取り合っていただけたとお思いですか?」
「まあ、よくて『妄想乙』扱いだったろうね」
「そうですよ!ですから、私は諦めません!死亡イベントもセリフも無しでなんて死ねません!」
「紅蓮聖天八極式の名付けイベントが死亡イベント代わりなんじゃないの?」
「!」
「開発者でも操縦者でもない咲世子が、騎士団のエース機に名前つけちゃったんだよ?
結構大きなイベントじゃないかな?」
「……………」
「ねえ、どう思う?咲世子?」
「あ、諦めません、最終回までは!最終回特別仕様EDとか!いきなりCパートで、ひょっこり生存確認とか!
あるかもしれないじゃないですか!」
「……咲世子は本当に往生際が悪いね。僕もそれくらい必死に頑張れば、本編で生き残れたのかなあ?」
「VV様!一緒に最終回まで頑張りましょう!更なるトンでもが起きることを信じて!」
「いや、さすがに僕は死亡イベントもあったし無理だと思うよ。
それに僕には保管嚮団の嚮主としての仕事があるし、回想出演だけで手一杯だよ」
「本編出演よりトーマス様と共にあることを選ばれると?そういう事なのですかはVV様!」
「え?いや、そんな咲世子が好きそうな意味じゃ……」
「そうなんですね!VV様!アッー!私は間違っておりました!トーマス様とVV様の仲を引き裂くような発言をして!
家政腐としても、このスレに集う一人としても間違っておりましたアッー!」
「さ、咲世子?」
「『トーマス、いつも夜遅くまで大変だね』とか優しく声をかけたり、
『あ、寝落ちしてる。まだ暑いからって油断していると風邪引いちゃうよ』何ていって、
タオルケットをかけたりなんかしちゃったりして!アッー!」
「咲世子、君、やっぱり、耳が悪いんじゃないの?」
「アッー!アッー!アッー!」
「……行っちゃった。ま、邪魔するヤツが消えたんだからいいか。
さあ、トーマスのところに戻って移転作業しなくちゃね。することたくさんあって忙しいなあ。
フラフラしている咲世子がちょっと羨ましいよ……」
ぬあー!人がトイレにウ○コ投下してる間にSS投下だと!?まさにゲリラ!!支援!!!
>>958 乙&GJでした!
……職人の大変さをかんじるSSですね
私?最近スランプ気味です、本編ほとんど関係無く
次の投下も待っていますよ
>>959 もう少しエレガントに言うべきだ
間に合わなかった・・・orz もう○ンコするのやめるわ
あと素朴な疑問なんだが、959を読んで思ったんだが、トーマス卿ってそもそも男なんだろうか?
>>960 GJ!心の底から笑わせてもらった!さりげなくトーマス卿に更なる仕事を貸す咲世子も鬼畜でいいw
次も待ってるぜ!
>>961 えっと…男…だよな?なあみんな?
>>963 お詫びとして、10時間以内にトーマス卿が来られなかったら裸踊りを披露します…もう寝よう。おやすみ
……ボツネタでも書くか
第08KMF特派
黒の騎士団との戦いの最中
「スザク、僕は軍を抜ける」
「何を言ってるんだ、ライ!?」
言い残し走り出すランスロット・クラブ
「何が友達の為に戦う、だ、仲間の為に戦う、だ!
僕は生きる、生きて!カレンと!添い遂げる!」
そう言って、KGFから放たれたハドロン砲に立ち向かうライ……
ボツ理由
・書ける気がしない
・というかどんな場面か分かんない
もし、これ書きたい人いたらどうぞ
では、おやすみー
>>965 ギアスにかかってそうな投げ出しっぷりやね。
埋め立てがわりに投下
・思い付きと勢いで書いた。後悔はしていない。
・嘘新番組番宣SS
・完全に一発ネタ。こういうのって早い者勝ちだよねw
・カレンが玉城の対象外で子ども扱いなのは公式のはずだけど、ソースを思い出せない……
・ライ×リリーシャ
リリーシャがオリキャラ状態なのは言うまでもない
・敬称はイメージ優先
・このレスを入れて、4レス予定
支援はなくても大丈夫じゃないかと
・勢いでかいたので、正直チェックは甘めです
広ーい心で読んでください
「なあ、ゼロ。俺の役職のけ…ん……」
「きゃーーーっ!ライさん!ライさんっ!ライさーんっ!!」
「どうしたんですか、リリーシャさん。大きな声を……玉城っ!?何故、ここに!?」
「ラ、ライ。これって……ゼロが……女ぁ?」
――暴かれた秘密
「ゼロが女だったなんて……。あんな、スゲェことするヤツが、どう見ても十代の少女だったなんて……!
しかも……可愛い……」
――進む誤解
「いや、確かに男にしちゃ細っせーとは思ってたけど。いや、女だっつっても年齢の割りには発育がイマイチ……」
――勘違いが勘違いを呼び
「玉城、先刻のことだけど……」
「いや、何も言わなくても判ってる!判ってるよ!ゼロが女だなんて、誰にも言いやしねぇよ。
扇にだってな!俺達だけの秘密だ!」
(……とりあえず、誤解させたままにしておいた方が無難、かな?
ルルーシュには連絡が取れないままだし……)
(ホント、黙ってるなんて水臭ぇよ、おまえら!俺たち親友じゃねぇか!)
――誤解が誤解を招く
「どういうことかね、ライ卿!君を信じて託したというのに、我が妹の素肌を……お、男に……っ!」
「僕のミスです。弁解のしようがありません。
リリーシャさんとジェレミア卿には本当に申し訳ない事をしたと思っています。
どんなに謝っても赦されることではないかもしれませんが、僕にできることなら何でも……」
「それは本当かね!?ライ卿!」
「それは本当ですか?ライさん!」
「え、ええ。僕にできることならどんなことでもします」
「そうか、では、責任をとってリリーシャと結婚してもらおう!」
「不束者ですが、よろしくお願いします!」
「ええぇぇぇっ!?」
――波乱含みの展開の中で
(何だ?何で俺、あの時のゼロを思い出してドキドキしているんだ?
確かに可愛かったけど、カレンより乳臭ぇガキンチョだったじゃねぇか!
あいつは、ゼロなんだ!スゲェヤツなんだよ!)
――玉城の純情が
「せ、責任?そういう責任なら玉城にとらせるべきでは……」
「玉城殿は気のよい方ではあるが、我が妹リリーシャを任せるには足らぬ」
「玉城さんは悪い方じゃないですけど、お調子者すぎるのがちょっと……」
「ゼロ!ルルーシュは?そもそもリリーシャさんを身代わりにすることにしたのはルルーシュなんだし!
総責任者として責任をとる立場にあるのはルルーシュだよ!」
「しかし、現場責任者はライ卿ではないのかね?」
「ルルーシュ様は凄い方ですし、敬愛しておりますけど、
正直に申し上げて自分そっくりの方と結婚するのはちょっと……。
それでは私もルルーシュ様も、ただのナルシストのようで嫌です」
(ぼ、僕だって親友そっくりの女の子はちょっと……)
――リリーシャの想いが
「私、ライさんが好きです!だから……っ!」
――黒の騎士団を揺るがす
(リリーシャさん自体は凄く可愛いと思うんだけど……。
でも、やっぱり、ル、ルルーシュと同じ顔っていうのは……ちょっと……)
「アッー!アッー!アッー!」
――咲世子の叫びが谺する時、起こった事件とは!?
新番組「こーどぎあっす☆影武者のリリーシャ」
200X年4月放映開始!
「ざーんねんでした!あなた騙されちゃったのー!」
〈もちろん始まりません&続きません〉
以上、二期没案ネタでした
基本まんまですが、リリーシャが影武者やるなら、
ジェレミアはこの時点でルルーシュ=黒の騎士団側についてるかな?ってことで、こんな感じになりました
どうやって改造オレンジ状態からジェレミア卿状態に復帰したのかは突っ込み禁止!
一発ネタなので、細かい設定はきちんと考えていません
個人的には、このネタver.と黒の騎士団の下っ端なルルーシュver.が見てみたかったと思いました
☆ロスカラオンリーの人向け解説
二期のボツ案の一つに、ジェレミアの妹リリーシャがルルーシュそっくりで、
ルルーシュの影武者をやるというネタがあった
偶然ゼロがリリーシャであることを知った玉城が惚れたりしてね、までが元ネタです
LC2のシナリオネタに使いたいって中の人に言われたらどう思う?
>971
極力自分で考えろと思う。
943と同じ人か?無視してもいいといいつつしつこくないか。
>>970 没ネタ面白いですよね。同じく下っ端バージョンは見てみたかったです。
しかしほんとに女の子ver.のルルーシュがいたら
女装ルルーシュの価値が半減しやしないだろうかと
逆に女装ルルーシュのほうが何故か美人度が高そうな気も
次スレは?
とっくに立ってるがな
もうそろそろ埋めてもいいんじゃない?
今しがた某所で見たんですが、管理人さんが亡くなられたっと本当ですか!?
すいません。管理人死んだとかいう書き込みをみて早とちりしてしまいました。縁起でもないこといってもうしわけないです。もっと落ち着くようにします。
でも、本当に管理人さんどうしたんでしょう?あれからなにか更新ありました?最新20個とかでなくても。
少しぐらい待とうよ
>>978 もっと落ち着いてください・・・
と苦言を呈すだけだとアレなので、
埋め用にある日受信したアホなネタを一つ
型月さんの某弓さんの台詞を改変↓
体はフラグで出来ている。
幾たびのフラグを立てて不敗
ただの一度も敗走は無く
ただの一度も理解してない。
彼の者は常に独りフラグの丘で空気を読む。
故に、女体に意味はなく。
その体は、きっとフラグで出来ていた。
「無限の建製」
女体に意味はありません。が書きたかっただけなんだ…
午前中に埋まったら管理人さんが今夜現れるってどうでしょう?
願望を込めて埋め
そんなこと言われたらな・・・梅
もいっちょ梅
埋め
スレが大きくなったからか、変な人も見かけるようになったな……埋め
埋め
埋め
埋め
埋め
埋め
埋め
埋めるか
埋め
>>981 俺も願望を込めて埋め
最近管理人さんのカキコが1日でもないとどうしたのかなって思ってしまうw 更新とか抜きにしてね
1000なら「コードギアス逆襲のライ」制作決定
>>970 GJでした!
これボツ!?
……もったいない
次の投下を待っています
1000なら優しいスレであるように
>>996 トーマス卿なら当然970のも保管してくれるさ!埋め
埋め埋めウマウマ
オール・ハイル・トーマス!
……優しい
>>1000でありますように
999ならトーマス卿がレベルアップ
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。