ここは、PS「女神異聞録ペルソナ」「ペルソナ2罪・罰」
PS2「ペルソナ3」「ペルソナ4」
アニメ「ペルソナ トリニティ・ソウル」のSS投稿スレです。
感想等もこちらで。このゲームについて気になる人はゲーム本スレにもお越しください基本sage進行で。
煽り・荒し・sageなし等はスルーするか専ブラでNG登録して下さい
■SSを投下される方へ
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トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」 #は半角で。
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・460kb近くなったら次スレを立てるか聞くこと。立てる人は宣言してから。
※ペルソナ4のネタバレあり
「……」
「な、なに千枝?」
「ううん。なんでもない」
視線を外して千枝は答えた。
前から差はあったが、更に差が出来た気がした。
チラリとりせを見た。
(さ、流石は元アイドル……。胸だけなら、でも、他が)
ハッキリ言って着やせするタイプのりせ。とてもじゃないが敵わない。
(だ、駄目……。くじけちゃ駄目よ里中千枝! まだ希望が――ッ)
勢い良く振り返り直人を見た。恥ずかしそうに服を脱ぐ直人。
そこから膨らみが見える。どう判断しても……。
(ま、負けた−。ぅぅ、男装していたのにも負けるなんて)
「……だいじょうぶ?」
「え、ええ。大丈夫。心配してくれてありがと菜々子ちゃん」
直人じゃなくて直斗。
直斗巨乳説
6 :
無題1:2008/07/21(月) 00:32:29 ID:V5GjxAIw
いつも俺を慕ってくれるりせ。
可愛いりせ。優しいりせ。俺の言う事ならなんでも聞きそうなりせ。
だからほんの少し悪ふざけを考えただけだった。
「ミスコンで、全校生徒の前でスカートまくってみせろ。大好きな先輩の言うことだから、
できるよな」
もちろん冗談で、次の瞬間には平手打ちか、軽く流されて終わる予定だった。
したら、どうだ。
「えっ……。…先輩、本気…なの…?」
それまでのうるさいほどのはしゃぎっぷりが嘘のように硬直し呟いた。
「…あ?ああ、本気だよ」
「!」
「…りせの俺への愛が本物かどうか、確かめてやるって言ってるんだ」
予想と違う空気に怯みそうになったが、俺は白を切ることにした。
「そっか…。それでいいんだ、先輩は…」
「…何が?」
「内容は冗談みたいなのだけど…、させたいってのは、本気なんだ…?」
……・・・…。
「…はは、やっぱ…バッカみたい。私、酷い勘違い女だよね。ホント…
……一方的に好かれて、先輩だって、迷惑だった、のに…ね」
「…!?」
唐突な言葉に耳を疑った。りせ、何だって?何を言いだすんだこいつは…
何泣きそうな顔になってんだ…おかしいだろ、そのリアクション…
って、…そうじゃない。何かがまずい。何か重大なミスを、犯してしまった…?
なんとなく、やばいであろうことはわかっているのに言葉が出ない。
「…知ってて、…し…知ってて。それでも、それでも好きで……やだ、なんで
涙出るの…。……わかってたのにね…。…今更…ますますバカみたい……
…先輩、今まで迷惑かけて、ごめん…ね。…私、これ以上嫌われたくない」
「ちょ、待て…」
「だからもう、先輩の傍うろちょろしない。付きまとったりしない」
「聞け、りせ!」
7 :
無題2:2008/07/21(月) 00:33:17 ID:V5GjxAIw
「…ごめん…ごめんなさい。今まで、ありが…!?」
気がつけば俺はりせの頬を思い切り張っ叩いていた。りせは目を見開いてますます涙目にな
った。
「この、馬鹿りせ!馬鹿りせ!アホりせ!ボケチー!」
「…え、ひど……先輩、酷い…ってかボケチーってなに…」
「今まで散々くっついてて、何でさっきのであんな解釈になるんだ、空気読め」
「え…」
「あそこは『先輩の意地悪…。先輩の前だけでなら、いいけど(はぁと)』って返すとこだ
ろ!」
「へ…?な、なに…、そういう、流れだったの…?」
「あ…いや……それはまあどうでもいい、とにかく!意味不明なことばかり口走って…
一方的に好き?迷惑?誰が…?誰をだ…、言ってみろ!」
「え…あの……、先輩……?」
「俺はそう言ったか?それに、もう俺の傍をうろちょろしないって、どういうことだ。
…俺の傍に居ないりせなんて、それこそ…迷惑だ。ありえない。わかるか!」
「………!」
そこまで息切れしそうになりながら言い切ったものの、その後に続ける言葉がどうも
うまく浮かばなかった。くそ。りせが悪いんだ。わけのわからんこと言うからだ。
俺自身もわけがわからなくなってきたのは、りせのせいだ。
「りせのせいだ!」
ビクッと身じろぎするりせを無視して俺は睨みつけた。
「せ、先輩…私、…先輩の傍に居ても、いいの……?」
「ああ、もういい。これ以上言っても意味がない。とにかくお前はずっと俺の傍を
うろちょろしてればいいんだ。どうだ、国語2のりせにもわかりやすい解答だろ」
「酷い、酷すぎるよ先輩……でも…」
さっきまで情けない泣き顔をしていたりせが、キュッと口をしめて見上げてきた。
「やっぱり大好きっ…!!」
「!?…おいっ、馬鹿いきなり……イテッ!頭打った…」
8 :
無題3:2008/07/21(月) 00:34:09 ID:V5GjxAIw
………。
腕の中にすっぽり収まるりせに"うめぼし"をしてやりたくなる衝動に駆られながら、
…やはり、どうしようもなく充足を覚える俺は一体何なのだろう。
俺はこれでも学内ではクールガイと言われているんだぞ。
りせと居るとただの馬鹿みたいじゃないか。
……ただの馬鹿で居たい、とかそんなクサいことは考えてないぞ。
「りせ、やりたいことがある」
「…なぁに、先輩?」
「セッ……!!」
「先輩こそ空気読んでよ、バカぁ…!」
完
これは良スレ
まとめないの?
*P2・P4ネタばれあり
*気ままに投下します。
― 車の中 ―
男 「さっきの踏み切りを超えてから稲羽市みたいだな。」
女 「そうなんだ? 思ってたよりも都会ね。」
男 「そういうのは、思っていたほど田舎じゃなかったって言うんだ。
そんなことより、天城屋旅館までは、あとどのくらいだ?」
女 「んんと、500メートル先にケロリンマートがある角を右に曲がって、あとは道なりにまっすぐ」
12 :
P4×罰:2008/07/22(火) 20:21:23 ID:854CIFHB
― 天城屋旅館 入口 ―
仲居 「天城屋旅館へようこそ。」
男 「予約していた者なんだが。」
仲居 「お待ちしておりました。こちらにお名前をいただけますでしょうか。」
女 「あっ、わたしが書くね。ええと・・・『芹沢うらら』・・・と。」
仲居 「それではお部屋にご案内致します。こちらになります。」
― 天城屋旅館 松の間 ―
うらら 「へー、結構いい部屋取ってくれたのね、周防兄も。」
男 「たまたま空いた部屋って聞いたけどな。そこそこ滞在する予定で宿泊していた客が
つい最近、急にいなくなったらしい。・・・後は、分かるな?」
うらら 「あー、そういうことね・・・。どうりで話がうますぎると思ったわ。」
14 :
P4×罰:2008/07/22(火) 20:50:13 ID:854CIFHB
― 天城屋旅館 松の間 ―
女将 「本日は天城屋旅館にお越しいただき誠にありがとうございました。
どうぞごゆるりとおくつろぎくださいませ。」(退場)
うらら 「へー、随分と若い女将なのねえ。まだ高校生くらい?」
男 「そんなことより、さっさと仕事の段取りを決めちまうぞ。」
うらら 「あっ!!」
男 「!? どうした?」
うらら 「その前にとりあえず1回目の温泉に入ってくるから、その間に車の荷物まとめといてよ。
打合せはそれからでいいでしょ。じゃ、頼んだからね、パオフゥ。」(退場)
パオフゥ 「ふー、・・・何で女って生き物は何度も温泉に入りたがるのかねぇ。」
― 天城屋旅館 松の間 夜 ―
うらら 「で、今回の周防兄からの依頼って、殺人事件の解明よね?」
パオフゥ 「全員死亡する前に謎の失踪。死体は死因不明で、アンテナや電柱に吊り下げられるか・・・。」
うらら 「何だか見せしめみたいな殺し方よね。犯人は被害者を相当恨んでいるのかしら?」
パオフゥ 「さあな。ただ、警察の資料を見る限り、誰にも気づかれずに一晩で死体を吊るすなんて芸当は
常人にはできなさそうだ。」
うらら 「それじゃあ、普通の殺人事件じゃないってこと? ああ、それでわたしらにお鉢が回ってきたわけか。」
パオフゥ 「なんだ、今ごろ気づいたのかよ。そうでなきゃあの堅物が公費で老舗旅館なんてとるわけないだろう。」
支援
17 :
P4×罰:2008/07/22(火) 21:40:21 ID:854CIFHB
― 天城屋旅館 松の間 夜 ―
パオフゥ 「1人目の被害者は山野真由美。職業はアナウンサー。
演歌歌手の柊みすずの夫で議員秘書の生田目太郎と不倫疑惑中・・・。
これ以外に今回の事件に関係のありそうな情報はないみたいだな。」
うらら 「いろいろと狙われそうよねえ。不倫相手の奥さんだけでなく、
自分のファンからも逆恨みとかされてたんじゃないかしら?」
パオフゥ 「アナウンサーなんざ原稿読み上げるだけの仕事だろうによ。」
18 :
P4×罰:2008/07/22(火) 21:59:54 ID:854CIFHB
― 天城屋旅館 松の間 夜 ―
パオフゥ 「2人目の被害者は小西早紀。地元の八十神高校に通う高校生。
1人目の被害者の第一発見者ってこと以外は、普通の学生だな。」
うらら 「最初に発見したときに、犯人にとって見られたらまずいものを見てしまった、
で、その口封じのために殺されたって線かしらね?」
パオフゥ 「もしそうなら、もっと早く始末されている可能性の方が高い。
そうなっていないってことは、別の理由があったと考えるのが自然だな。」
19 :
P4×罰:2008/07/22(火) 22:10:30 ID:854CIFHB
― 天城屋旅館 松の間 夜 ―
パオフゥ 「いずれにしろ、被害者を殺して一晩のうちにアンテナとかに吊るすっていうのが特徴だな。
警察も消防隊を動員して死体をおろしたくらいだ。普通の人間の仕業じゃねえ。」
うらら 「複数犯っていう線は?」
パオフゥ 「まだなんともな・・・。動機がはっきりしねえ以上は。」
うらら 「山野アナは痴情のもつれだとして、小西さんは死体発見者の線がなくなると、
もう個人的な恨みとかしか思いつかないね。」
パオフゥ 「ただ、こんだけ短期間のうちに真似しづらい方法で死体をあげてるってことは、
両方とも同一犯の可能性が高いな。」
うらら 「うーん・・・。二人の被害者に共通する動機ねえ・・・。」
20 :
P4×罰:2008/07/22(火) 22:36:01 ID:854CIFHB
― 天城屋旅館 松の間 夜 ―
パオフゥ 「あと、両方の被害者に共通しているのは、死因が不明ってことだな。
司法解剖によれば、クマにでも襲われたような感じらしい。」
うらら 「・・・・それって、もしかしてペルソナの仕業ってこと?」
パオフゥ 「さあな。まあ、今のところ分かっているのはこんなもんだ。
明日になったら地元警察署の捜査資料が見られるはずだから、
本格的な捜査はそれからだな。」
うらら 「周防兄が手配してくれてるんだっけ?
それと、街の地理関係も知っておきたいわね。」
パオフゥ 「あと、色々と調達したいものもあるな。確かまとまって買い物ができる場所がなかったか?」
うらら 「この辺だとジュネスしかないみたいね。隣町に行けば大きいデパートとかあるみたいだけど、
車で行くにしても少し時間がかかるかな。」
パオフゥ 「酒が売ってりゃどこでもいいさ。」
うらら 「・・・そればっかりね、まったく。」
4/14 終了
>一旦終了します。続きは気が向いたらまた。
アゲ
22 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/27(日) 10:25:13 ID:bpDADd1L
おあげ
23 :
P4×罰:2008/07/27(日) 17:03:12 ID:h/N4udtz
上の4/14は4/16に修正します。行き当たりばったりでサーセン。
>4/17 午前
−稲羽警察署−
若い刑事 「これが1件目の事件の資料です。
被害者の遺留品、死体発見者の実況見分調書と供述調書、あとは電聴ですね。
若い刑事 「そして、こっちが2件目の事件の資料です。
といっても、まだこっちは整理中のもあって、読みづらいかもしれませんけど。
一応、1件目の事件については、今後も関係者の取調べを続ける予定です。
うらら 「忙しい中、ごめんなさいね。」
若い刑事 「いえいえ。公安の方から話は聞いてるんで、別に構わないっすよ。」
パオフゥ 「ところで、歌手の柊みすずが海外公演中だったっていうのは、間違いないのか?」
若い刑事 「あ、やっぱり気になっちゃいます? 三角関係のもつれなんじゃないかとかね。
いや〜、僕も最初はその線で考えていたんですけどね〜。
でも、通話記録もあるんで、事件発生当時海外にいたのは間違いないんですよね。」
24 :
P4×罰:2008/07/27(日) 17:13:18 ID:h/N4udtz
−稲羽警察署−
中年の刑事 「 足立ー! 資料渡すのにいつまで時間かかってんでだ! そろそろ地取りに行くぞ!」
足立 「はーい! 今すぐ行きますよー!」
足立 「いやー、すいませんねぇ。
どうしても、外部の人間に捜査資料を見せるのに反対な刑事もいて・・・。」
うらら 「そりゃ、自分らが必死に捜査しているのに、
捜査もしない人間に資料だけ見られたんじゃ、
あまりいい気はしないでしょうね。」
パオフゥ 「まあ、こっちはこっちの用でやってるだけだ。お宅らの領分に割り込むつもりはねぇ。
住み分けだと思って、勘弁してくれ。」
足立 「あはは・・・。まあ、何か分かったら教えてくれると助かります。
じゃ、資料を見終わったら言ってください。僕らも正午には戻りますけど、
もしいなかったら、適当に捜査課の人間に言ってください。」(退場)
パオフゥ 「・・・さて、思っていたとおり、あんまり資料は多くないな。
この量なら、午前中には終わるだろうな。」
うらら 「とりあえず、気になるところをピックアップして、午後からは事件現場に行ってみましょう。」
25 :
P4×罰:2008/07/27(日) 17:25:43 ID:h/N4udtz
> 4/17 午後
−車の中−
パオフゥ 「警察の資料も、事件現場にも、めぼしい手がかりはなしか・・・。」
うらら 「でも、あの死体の写真は、やっぱり人間の仕業って感じじゃないわよね。」
パオフゥ 「かといって、ペルソナだの何だの引っ張り出すのは早計という気もするがな。
とりあえず、俺らはこの件にペルソナ使いが咬んでいるかどうかさえわかりゃいい。
咬んでなけりゃ警察の領域だし、咬んでいれば周防たちがどうにかするからな。」
うらら 「そうね。
さてと・・・。とりあえず、ジュネスで必要なもの調達して、いったん帰ろっか。」
パオフゥ 「その前に、ガソリン入れたいんだがな。」
うらら 「あ、だったら、もう少しまっすぐ走っていけば、確かMOEL石油があったわよ。」
26 :
P4×罰:2008/07/27(日) 17:35:57 ID:h/N4udtz
−ガソリンスタンド−
店員 「らっしゃーせー。」
パオフゥ 「ハイオク、満タンでな。」
店員 「ハイ、ありがとうございまーす。」
パオフゥ 「・・・ちょっと煙草吸ってくる。」
うらら 「はいよ。」
27 :
P4×罰:2008/07/27(日) 17:45:30 ID:h/N4udtz
−ガソリンスタンド−
店員 「この街には旅行か何かで?
それとも、単に通りすがりだったり?」
うらら 「・・・。
ちょっと野暮用でね。天城屋旅館に宿泊してるの。」
店員 「へー。いいっすねー。
まあ、ここら辺だと、あの旅館くらいしか魅力ないですしね。
旅行って、ご夫婦だけでですか? お子さんとかは?」
うらら 「えっと・・・、まだ夫婦ってわけじゃないから。」
パオフゥ 「・・・ガソリンはもう入ったのか?」
店員 「あ、すいません! 今すぐ入れますんで!」
28 :
P4×罰:2008/07/27(日) 17:47:05 ID:h/N4udtz
−車の中−
パオフゥ 「おい。さっきのガソリンスタンドの店員・・・。
気がついたか?」
うらら 「うん。ちょっと普通の人間っぽくなかった。
ペルソナ使いってわけでもないみたいだけど。」
パオフゥ 「ああ。何だか妙な感じだな。」
うらら 「もしかして、事件の犯人とか。」
パオフゥ 「特に殺気みたいなものは感じられなかったけどな。
だが、一応気にはしておいた方が良さそうだ。」
−ガソリンスタンド−
店員 「外の街からペルソナ使いが2人・・・。
これはなかなか面白いことになりそうだな・・・。」
>SSでなくなってきたので自重します。
アゲ
保守
31 :
後輩と後輩1:2008/08/10(日) 00:34:48 ID:IStWKbn4
//ペルソナ4ネタバレ込み
//完二&直斗メイン 苦手な方はスクロールお願いします
//少女漫画風味長文です
2012年、お盆前。
いつものメンバーで街に程近い山上の旅館に泊まる、約束の日だ。
「…暑」
入れ替わりの多いホームでは、コンクリートから熱気がむんと上がっている。
ハンカチで汗を拭きなおしていると、仲間たちが荷物を抱えて列車から降りてきた。
「やっぱ都会は空気が違うね〜…あ、いたいた、おっす!」
むき出しの四肢がまぶしい千枝が盛大に手を振ってきた。
「よう!いつもと逆だな?」
慣れた足取りで陽介が続く。
「先輩、きちゃった!」
眼鏡姿のりせに腕をとられた。
女子高生に秋波を送っていたクマも抱擁してくる。
「センセイ、クマのこと覚えてた?!」
「お久しぶりです、先輩」
空色の鞄を手にした涼やかな立ち姿の直斗が、千枝の隣に立つ。
その後ろで、ピンク色の鞄や白いスポーツバックを余分に担いでいる完二が、遠慮がちに頭を下げた。
「ゴールデンウィークぶりっす」
「連絡入れてた雪子だけど、結局、明日の夜になるって」
「残念だな」
「それまであたしたちで楽むからねー!」
陽介が完二を見て、直斗に視線を移す。それから俺を見て肩に手を回した。
「つもる話は腰を下ろしてからな、相棒」
32 :
後輩と後輩2:2008/08/10(日) 00:51:08 ID:IStWKbn4
和室を二部屋借りたかったのだが、シーズンのためだろう、一室しか借りることができなかった。
旅館の人に部屋まで案内された後、陽介が部屋分けを伝える。
「男は和室で雑魚寝、里中と天城、りせちゃんと直斗は洋室なー」
「リフォーム同好会、つくったっす」
進級して少し大人びた完二が、ご馳走を前に報告してきた。
再会した時は不気味なほど静かだった彼だが、部屋に落ち着いた直後
『先輩、会いたかったぜ!』と泣きそうな声で拳を合わせてきた。
「リフォームつっても、部活道具の補修とか。服の修繕やアレンジとかっす。言ってみれば、物に関する便利屋すね」
向かいに座っている直斗が続けた。
「改造も受けつけています。何かありましたら、遠慮なく送ってください」
完二を挟んで隣のりせが声をあげた。
「人が足りないから、私も入ったんだよ。先輩に秘密にしていた理由はこーれ!」
回りこんできたりせがプレゼントをくれた。包みを開ける。…これは。
「目覚まし時計、それから金庫機能がついています。後で操作方法を説明しますから、是非使ってください。これ、音に反応して歩くんですよ」
「先輩にりせのこと思い出してほしくって、こうなっちゃった!きゃはっ」
「…外っつーか、人形は俺がつくったッス」
一番照れているのは完二だ。
割烹着を着たミニチュア番長を手に入れた。
「よかったね、センセイ!」クマは自分ごとのように嬉しそうだ。
「ありがとう」礼を言うと、下級生三人組が頭の上に花を咲かせた。陽介が俺の背中を叩く。
オレンジジュースをついでくれた千枝が、ひまわりのように明るく笑った。
「修行してたら柵へこませちゃってさ、ほんと助かったんだ」
「…キツネくんの賽銭箱を直しに行ったりもしました…。楽しかったな」
笑顔だった直斗が、表情を暗くして俯いた。
明るかった完二が、苛立しそうな顔をする。
二人を見た千枝が、まずいといわんばかりの表情になった。
…見間違いというわけではなさそうだ。
何があったのだろうか。
33 :
後輩と後輩3:2008/08/10(日) 00:56:39 ID:IStWKbn4
不足品の買い足しがてら、陽介と千枝に事情を聞いた。ロビーの端で足を止める。
「それが、細かいことはよくしらねぇんだよな。完二と直斗、今上手くやってないっつか…喧嘩中つーの?」
中庭のししおどしが鳴った。稲羽の龍・里中千枝が声を上げる。
「え?いつ喧嘩した?」
「あれ?オマエが言ったんじゃなかったか?」
「喧嘩したなんて聞いてないよ」
千枝が腰に両手を当てる。
「ラブレターの返事が来ないんだって」
「へぇーラブレターね。なるほどラブレター…って恋文!?」
本日一番の大声だ。
「あれ?言ってなかったっけ?」
首をかしげる千枝に、やれやれと陽介が首を振る。
「なるほどね。色恋沙汰でぎくしゃくしてるってワケ」
「にやけんなバカ」
「で、どっちがラブレター出したんだ?古式ゆかしいお嬢様か?完二くんは嬉し恥ずかしで返事保留中なんだな?」
「ううん、完二が出した」
34 :
後輩と後輩4:2008/08/10(日) 01:11:21 ID:IStWKbn4
和室の大部屋に戻り手招きをすると、完二がひょいとついてきた。
廊下に連れ出し、単刀直入に訊ねた。
「ラブレターを出したというのは本当か?」
「っはぁああ?!」 完二が青くなった。「何知ってんすか!」
何も言えずに陽介ともども黙る。千枝が手を合わせて深々と頭を下げた。
「里中先輩…」
「まぁまぁいいじゃない。俺たちが相談に乗るよ?で、何でラブレターなんか出したんだ?」
「すっすっすっ…素のアイツが愛しいに決まってるからだろゴルァ!」
「…完二。…そっちじゃなくてさ。…別の方法あるじゃんかよ、ってことなんだけどな…」
「き…気持ちが通じやすそうとか、…そういう理由っす」
完二は頬を桜色に染めた。つられて陽介が目をそらす。
「乙女だな。下駄箱か?」
完二が頷く。
「手紙の件は…里中先輩にも相談したっす」
「…ベジタリアンに肉の調理法聞いてどうすんだよ」
「あぁ?里中先輩は肉好きだろ」
「テンパってんな。で、お返事の確認ができてないわけ?」
悲痛な表情で完二が黙る。千枝が代弁した。
「前後でそう様子が異なるわけでもないからさ、聞きづらいって言うか」
「なるほどな。なかったことにされてるのかも…っていう悩みだな。それは」
分かる部分があるのだろう、陽介までつらそうだ。
「勇気出したな、オマエ」
完二がぽつりぽつり喋りだした。
「…なんか、すげぇトモダチ扱いされちまって。…探偵のマネして遊んでいるときだったんすけど、相棒好きだ、つーこと、言われて」
「ん?上出来じゃん。つか、青春じゃね?」
「…アイツ、俺のこと、男扱いしてないんスよ」
完二が肩を落とした。
「…俺だけ、その…あれでも…アイツの傷が後で深くなるかもしんねーし。
こっちもさっぱりしねぇから、ちゃんと伝えておくことにしたっす」
風呂に入る際、千枝が直斗に手紙の話を振ってみるということで、後々ロビーで集合することにした。
35 :
後輩と後輩5:2008/08/10(日) 01:28:58 ID:IStWKbn4
完二はソファに座っている。大人しくしているのが精一杯のようだ。
陽介はというと、ガラス越しに旅館の外を眺めながら、立ち位置を決めずに行ったりきたりしていた。
「お」 曲がり角から千枝が姿を現した。
竹柄をあしらった浴衣の湯上り姿が色っぽい。タオルを首にかけたまま、歩み寄ってくる。
「手紙、読んでないって」
「…そすか」
完二が腰を上げた。
「…家、変わりないか、電話してくるっす」
脱臼したのではと不安になるほど肩を落としながら、完二は行ってしまった。
去り行く大男の背を見送り、空いたソファに千枝が腰を下ろした。
首に巻いたタオルであご周りをぬぐう。その表情は意外にも明るい。
「直斗くん、悩んでたよ」
「部活仲間からのラブレターが恐くて読めません、ってか」
「ううん、手紙の話は、読んでません、で終わった」
「そ、そうか…で?」
「友人が急によそよそしくなったって」
「ああ?」 陽介は首をかしげた。「…それって…完二じゃねーの?」
「アンタもそう思う?」
「あいつら以外、直斗に親しい学友の気配は無いぜ…」
陽介はがっくりしている。「…里中。完二に言うべきなのは、そこじゃないのか?」
「確信なかったから」
「本人に直接聞けよ!!つか、手紙読んでないって!それ完二からって多分分かってねーだろ?!」
「あ、それについては聞き忘れた」
「おいおいおい…肉が足りてないのか?」
「す、すまんでござる…。ま、まぁ、私なりの収穫もあるから、聞いてよ、ね?」
36 :
後輩と後輩6:2008/08/10(日) 01:41:53 ID:IStWKbn4
「勘なんだけどさ」 千枝が頭と声量を下げた。
「完二、男扱いされてないって言ってたじゃん?それって直斗くんが自分を女扱いしてないから、じゃない?」
「そ、そうか?」ソファに座った陽介が腕を組む。「単に完二を男扱いしてないだけの気もするけどな」
「下着、トランクスっぽかったよ。前と同じ」
「里中さん?」
男女の慎みのギャップに、陽介は首をかしげている。
「…ま、だとしたら、すれ違いかもしれねーな」
「だから、直斗くんが女らしさに目覚めれば、男に興味が無いのか、それとも完二に興味が無いのか」
「どっちかはっきりする可能性がある、ってこと?おー、分かるかも?」
陽介が立ち上がる。「俺たち先輩が一肌脱いじゃいましょうか!」
「脱いじゃいますか?」
「脱ごう」
そうだ、一肌脱ごう。千枝と陽介に小声で案を言った。
「…マジで脱ぐ気かよ」
「前例あるから、違和感ないし、いいんじゃない?」
千枝は完二が消えた方向を見た。
「じゃ、明日の夜は過激な王様ゲームってことで」
悪戯っぽく陽介が微笑む。
「他の奴らには黙ってろよ。あ、天城には伝えとけ」
37 :
後輩と後輩7:2008/08/10(日) 02:08:25 ID:IStWKbn4
翌日、朝。旅館にこもるのも何なので、予定通りみんなで街に繰り出した。
都会が珍しい千枝は視線を上げっぱなしだ。一方、場慣れした陽介は、仲間たちの方に気が向いている。
少しの間解散し、1時間ほど自由行動にして、待ち合わせすることにした。
用があると言い、直斗を買い物に連れていった。
受験勉強の気分転換になる推理小説を選びたい。というのは口実で、今夜の祭りの主役から様子を聞くためだ。
直斗のファッションは相変わらずで、傍から見ると男か女か分からない。
少し疲れているようだが、表情は以前より相当柔らかくなっている。
「今度、オススメのものを選んで送りますね。巽くんとは小説の話をしませんし、
久慈川さんは探偵自体にもう興味が有りませんから。先輩と愉しみを共有できればうれしいです」
完二の名が出たので、本人について聞いてみた。
「巽くん、ですか」 直斗は顎に指を当てた。「助けてもらっているところは、ありますね」 目元を伏せて微笑む。
「己を積極的に受け入れている巽くんといると、あるがままでいいんだ、そう思えます。
それに、彼に誉められると嬉しくて。…巽くん、嘘が嫌いだから」
直斗は帽子のつばを下げなおした。
「ただ、最近、僕は避けられているみたいで。話をしようにも…。先輩、もし心当たりがあれば、教えていただけませんか」
直斗の視線が揺れた。心当たりならある。
しかし、今夜の計画のために黙っていることにした。話を変えた。
「…下駄箱の手紙?ええ。きていますよ。封筒だけでその類のものだということが分かります。
誰からかは知りませんが、柄からすると女性でしょう。…もしかして、先輩たちが出した謎なぞだったんですか?」
38 :
後輩と後輩8:2008/08/10(日) 02:15:57 ID:IStWKbn4
話しているうちに、集合場所にたどり着いた。
「なおとーっ」
愛らしいワンピース姿のりせが小走りに寄ってきた。続く千枝が黒のショッピング袋を直斗に差し出す。
「うっす。受け取りたまえ」
「僕に、ですか?」
「もっちろん」 りせが促した。「似合いそうなのがあったから買ったんだよ。直斗じゃなきゃ駄目なんだから」
「あ…」 直斗が袋を覗いた。「可愛い…。神棚に飾っておきます」
「うっ、本気か!?」
「い、いいえ。おじいちゃんの嬉しい時の口癖で、つい」
礼を言う直斗は、あからさまに照れていた。
陽介が寄って来た。後ろには完二とクマが名物ラベンダーアイスを食べながらついてきている。
「りせちゃーん、俺にもプレゼント、あるんだろ?」
「花村先輩にあるわけないじゃーん」 2人とも楽しそうだ。
「つれねーな。で、何を渡したんだ?」
「先輩セクハラ〜、きゃははっ」りせは直斗の腕をとって、完二たちの方に行ってしまった。
陽介が千枝に話を振る。
「キャミ?」
「パンツ」
39 :
後輩と後輩9:2008/08/10(日) 02:37:51 ID:IStWKbn4
陽介とクマは温泉から早々上がった。
目に見えて落ち込んでいる完二が、俺の背中を流しなおすと言ったためだ。
話でもあるのだろうと思い、素直に受け入れた。だが、この後輩は口を開かず、黙々と背中を流し続けた。
サウナの汗を流し、浴室から出ると、完二は脱衣所の扇風機の前で涼んでいた。
浴衣を着て隣に座った。フルーツ牛乳を渡された。
完二はまた体を成長させたようだった。浴衣は日本人男性のサイズでは足りず、
外人向けに用意している同じ柄のものと取り替えている。
「…先輩、直斗と二人で歩いてるとこ、見たっす」
前を向いたまま、完二がつぶやいた。
「…どこ行ってたんスか」
前を向いたまま返事した。
「…逢い引き」
「肉食いに行ったんすか」
完二がため息をつく。
「…先輩の料理、久しぶりに食べてぇっす。忘れられねっす」
「そうか」
料理を振舞う。望むところだ。
だが、手持ちのアイテムは、飲みかけの乳飲料しかない。
「…直斗、先輩のこと、好きなんスかね」
顔を横に向けた。くたびれた刑事と探偵にのみ許されるような雰囲気で、完二が天を仰いでいる。
ここは…。
「直斗が俺を好きなら、お前は何か結論を出せるのか?」
…やってしまったようだ。
お前は何か誤解している、そう伝えた方がいいのは分かる。
だが、空気があまりにも重い。
…そっとしておくことにした。
和室に戻ると、宴の準備が整っていた。
40 :
↑:2008/08/10(日) 03:01:45 ID:IStWKbn4
一段落。続き出来て置かせてもらえそうだったら、
別パロスレに行くと思います。
続きものっそ期待
っちょ…! あなたが神か
キツネの神社に続き投下祈願の絵馬おいてきますね
ありがとうございますorz
千枝「ねえねえ、番長君」
千枝「保守って何?何のこと?」
古い制度を守ろうとすることだ
ニア 野球のキャッチャーのことだ
落ちそうなスレを救済することだ
千枝に正しいと思う答えを伝えた
千枝「あー、やっぱそうなんだ。実はあたしもそうじゃないかって思ってたんだよねー」
千枝「へへっ、サンキュー、番長君」
スレが上がったような気がする
保守
アゲ
47 :
結婚前夜:2008/09/15(月) 18:32:26 ID:LhDME57S
SS投下させて頂いてもよろしいでしょうか。
※内容
・P4
・番長×りせ
・番長の名前は便宜上勝手に名付けさせて頂きます。
↑の事から「りせは俺の嫁」「番長は俺の嫁」「俺の番長はこんな名前のイメージじゃない」
という方が多いようでしたら投下は差し控えさせて頂きます。
俺はいいと思うよー
49 :
結婚前夜〜堂島遼太郎〜その1:2008/09/16(火) 22:55:03 ID:DaLVMimV
注意事項
・番長×りせ
・便宜上番長には名前があります。
・番長の名前は『流島 頼人』。
以上の点が苦手な方はスクロールでお願いいたします。
『久慈川りせ(22)電撃結婚&電撃引退!!』
『お相手はアイドル活動休止時代に支えてもらった先輩!?』
『次代を担う新人女優の突然の引退に、芸能界に激震走る!!』
どのチャンネルを回しても変わり映えのしない陳腐なテロップと番組内容に頼人は溜息を付きたくなる。どうしてまぁ他人の事でここまで騒げるのか。
子供の頃から感じていたが、改めて馬鹿馬鹿しいと感じる。
そんな頼人の気分を察したのか、堂島がテレビを切る。
「はっはっは、それだけお前の嫁さんに世間は注目してるってこった」
「まだ嫁さんじゃないですよ。入籍は明日ですから。それにしても、そんなにりせは注目されてたんですか?」
メディアの伝達の速さは6年前に嫌というほど目の当たりにしたが、改めて凄まじいものだと他人事のように感心する。
「何だ、自分のカミさんだろう」
叔父の堂島は呆れたように頼人を見やる。
今日は久々に堂島家に来ていた。
叔父が休みを取れるというから、というのが一つ。
もう一つはある報告をする為に。
50 :
結婚前夜〜堂島遼太郎〜その2:2008/09/16(火) 23:12:09 ID:DaLVMimV
四分の一くらい残っていた酒を頼人は飲み干すと、堂島は嬉しそうに注いでく。
軽く頭を下げると、小さく一口口にする。日本酒の持つ甘味と仄かな酸味が舌に広がっていく。
「一応歌番組とかは見てます。りせのところだけ。ドラマの方は全く観ません。昔から」
有りそうで無い作り話を現実に生きる人間がさも事実のように繰り広げるテレビのドラマが頼人は昔から嫌いだった。
映画ならば、娯楽、芸術と完全に割り切れるのだが、子供の頃、チャンネルを変えると幼児がバラバラにされたという報道と快楽殺人者を主人公にしたドラマと、白々しい平和ボケした能天気な歌が同時に放送されているのを見てからはテレビそのものを余り見なくなった。
多分、テレビを噛付いて見ていたのは6年前の事件のあの一年間くらいではないだろうか。
「絶対にキスシーンを撮らない女優」
「は?」
キスシーンなどという、叔父の口からは死ぬまでに一度聞くか否かという単語が飛び出したことに、らしくも無く間の抜けた声を上げる。
「はは、知らんようだな。お前の嫁さんのあだ名だそうだ。ウチの若い連中にも随分なファンがいてな。十代の小娘が濡れ場を演じている今では、逆にそういうところが受けているんだとよ。全く、果報者だな」
わざとらしく唇を吊り上げ、意地悪気に笑みを浮かべる堂島を見ると、今更ながらに月日を実感する。
多少目立つようになってきた白髪。それとは逆に昔に比べて無駄な力が抜けたおかげで増してきた貫禄。
「アイツを貰える時点で充分過ぎるほど自覚してますよ」
「オイオイ、この年で惚気られても困るぞ」
照れ臭そうに笑う堂島につられ、自分も笑っているのだとわかった。
いつの間にか空いていた堂島のグラスにお返しになみなみと注いでやる。
「それにしても驚きです。叔父さんがそんな事に詳しいのに」
自分が何気に言った言葉が余程以外だったのか、堂島は目を丸くすると深々と溜息を吐いた。
「菜々子だよ…」
「菜々子…ああ、菜々子もりせのファンでしたね」
アイドル休止前から、菜々子はりせの大ファンだった。
特に特捜隊のメンバーとなり、頼人と付き合い始めてから家に出入りするようになった彼女に、菜々子はブラウン管の向こうの偶像としてではなく、自分を可愛がってくれている姉としてもりせを慕うようになっていた。
51 :
結婚前夜〜堂島遼太郎〜その3:2008/09/16(火) 23:27:07 ID:DaLVMimV
「まぁ、明け透けに言えばアイツ、段々主婦みたいになってきてな。
夕飯の時間はりせちゃんのドラマ、酒を飲んでる時間はりせちゃんの話に俺を付き合わせるんだよ」
溜息交じりの叔父の言葉に、先程とは別の意味で頼人は年月を感じた。
以前も菜々子に対してどこか強く出られなかった堂島だったが、家事全般を菜々子にこなされるようになってからはいよいよチャンネル権すらもなくなってしまったらしい。
「年々立場が弱くなってますね」
「誰のせいだと思ってるんだ?」
「……俺のせいなんて言わないですよね」
「馬鹿野郎。お前のせいだ、お前の」
なみなみと注がれたお酒が、零れるのも構わず豪快に一息で飲み干す。
僅かに勢いを持ってテーブルに置かれた空のグラスは、テレビの消えた居間にはやけに大きく響いた。
「菜々子はな、お前が居なくなってから友達を積極的に増やすようにはしていたみたいなんだ。けれどな、それでもやっぱり一人きりの夜は寂しいらしくてな。寂しさを紛らわす為でもあったんだろう殆ど家事をこなせるようになるのに大して時間はかからなかった」
俺の仕事はコーヒーを淹れる事くらいか。少し寂しそうに笑う堂島の気持ちが頼人にはわかった。母親の代わりを勤めようと無意識に思っているだろう菜々子のいじらしさ、自分がいなくなったことで否応無く家事をこなせるようにならなければならなかった環境。
テーブルの上に広げられた肴に目をやる。
焼いたししゃもに、山芋の短冊切り、きゅうりの浅漬けに里芋のに転がし。
もうすぐ13歳の少女がこれらを手早く準備したのだ。誰のせいでもないが、それでも、菜々子の過ごした年月は健気で、そして少し寂しく頼人には思えた。
「スイマセン…」
自然と口を吐いて出た謝罪。
多分、それは菜々子に向けられたものなのだが、それでもこの言葉を自然と頼人は口にしていた。
52 :
結婚前夜〜堂島遼太郎〜その4:2008/09/16(火) 23:37:49 ID:DaLVMimV
「オイオイオイ、勘違いするなよ?俺が言いたいのはその後だ」
「その後?」
「この前の三者面談でな、期末試験の結果を見せられたよ。学年3位。上位10人が市外の進学塾に通ってる中で、
自宅学習だけでこの成績は大したもんだって担任から絶賛されたよ。普通ああいうのは保護者に生徒の問題点をそれとなく仄めかして、
後で親からそれとなく注意させるのが目的なのにだぞ。学生の本分も家の事もこなされちゃ、俺に何を言えってんだ…」
成る程、つまり家で菜々子に年々頭が上がらなくなってきた所に三者面談で駄目出しを堂島の方が食らってしまったということなのだろう。
くっくっくと笑いながら酒を口にすると、多少酔いの回った目つきで舌からねめつけるように堂島が見てきた。
「もう一つ、お前のせいだと言っておきたいのはだな。去年のことだ」
「去年……お盆のことですか?」
「ああ、あの時以来菜々子が微妙に変わってだなぁ」
去年のお盆というのは、頼人が堂島にある報告をしに行った時のことだ。
それまでの熱に浮かされたような、悪く言えば視野狭窄で感情が先立った恋愛関係から結婚を前提とした交際として、
一区切り付けることにした頼人は、りせと共に堂島の家を訪問し、その旨を伝えた。
その時の事を、頼人は一年も前の事なのに、昨日の事の様に思い出せる。
堂島は『久慈川りせさん。どうかコイツの事を、頼人の事をよろしくお願いします』そう言って正面から深々とりせに向かって頭を下げた。
頼人の記憶の中において、そこまで他人に頭を下げる堂島の姿は初めてのことだった。
『こ、こちら、こそ、これから、も、よろしくさせて頂きます!!』
りせは恥ずかしさと、緊張で頬を染め、感激に目を潤ませながらも、必死につっかえつっかえに言葉を搾り出した。
普通逆なんじゃないのだろうか…?思ったが、やはりそれでも二人のやり取りに目頭が熱くなっていた。
「あの後、菜々子の奴お前の使ってた部屋に閉じ篭って一晩中泣いてな…アイツそれまで『お前のお嫁さんにしてもらうから学費が大変なら大学行かない』なんてマセたこと言ってたからな」
初耳だった。
53 :
結婚前夜〜堂島遼太郎〜その5:2008/09/16(火) 23:56:24 ID:DaLVMimV
あれから、何処となく余所余所しくなっていたのは感じていたが、
そういう年頃なのかと思っていた。
第一に、そのお嫁さん発言は覚えていたものの、
本気にしていたかと問われれば『NO』であった。
既に自分はりせと付き合っていたし、兄妹のいなかった菜々子にとって傍にいてくれる自分を慕う気持ちは
無邪気な子供特有のものだと思っていた。
時と共に成長し、恋愛感情というものを自覚する年頃になるにつれて
風化していくものと思っていた。
「それからりせちゃんのドラマなり、バラエティを観ながら話す事が単なるファンというよりも、
何だろうな、こういうと語弊があるかもしれんが『姑』っぽいというか、『恋敵』の弱点を
見定めようとしているようにも感じられるときがたまにあるんだよ」
いつしか手酌で少量ずつ早いピッチで飲みながら堂島は、これまでの中で最も深い溜息を吐く。
頼人の中ではどうしても基本が7歳の菜々子であるため、堂島の話にイマイチ現実味を覚えないのだが、
6年間菜々子を見守ってきた彼の溜息はそれが事実であるという事を深く物語っていた。
「と、まぁここまでは俺の愚痴だ。済まなかったな付き合わせて」
口直しにキュウリの浅漬けに箸を伸ばすと、堂島は随分とスッキリとした顔で口にする。
「何と言うか、菜々子も…女の子だったんですね」
54 :
結婚前夜〜堂島遼太郎〜その6:2008/09/17(水) 00:12:37 ID:u2+BjqtB
ポツリと不用意に漏らした一言に堂島の眉がピクリと釣り上がる。
言葉が足りなかった事に己の不注意を呪う。
そして、酔うと沸点の低くなる目の前の親馬鹿の導火線に火が付く前に言葉を継ぎ足す。
「変な意味じゃなくて、俺の中の菜々子ってジュネスが大好きで、我慢強くて、健気な妹なんですよ。男とか女とか以前に…だからちゃんと女の子してて、女の子として成長してるんだなぁって…」
「馬鹿タレ。そんなセリフを呟くのは10年早い」
小突くような真似をすると、堂島は男臭い笑みを浮かべる。
それは、自分がこの家にいた時、堂島の話に付き合っていた時に彼がよく浮かべていたものだった。
「それよりお前、今日は何か言いたいことがあったんじゃないのか?」
不器用だけれど、思い遣りに満ちた言葉に、感傷が込み上げる。
不意に自分が高校生に戻ったような錯覚に陥る。
只一つ、違っている点は、6年前のような事件の渦中にあるが故の猜疑心。
何らの形で関わっていた自分を疑わざるを得ない自己嫌悪がその瞳には最早微塵もないという点。
純粋に、年の離れた兄として、父親にも似た無骨な温かさのみが伺えた。
「りせがね、引退するんですよ」
グラスを温めるように、両手で包みながら言葉を口にする。
堂島は黙って、プレッシャーを与えまいとするように少しだけ、僅かに視線を頼人の瞳からズラしながら聞いている。
「アイドルを休止して、自分を見つめ直して、色々アイツなりに考えて選んだのがアイドルとしての再出発だった」
自分を偽り続けているという重荷。本当の自分とのギャップ。
それらに苦しみながらも、結局その『仮面』もまた自分であるという答えを見つけ出した
彼女の夢は、アイドルとして、歌手として、女優として夢を与える道だった。
あの甘えん坊なりせが、自分と過ごせる時間を犠牲にしてまでもそう決めた道だった。
妙な寂しさと、力になれたという誇らしさが去来したのを覚えている。
「けどね、アイツはその夢を断ち切った」
膿を搾り出すような声を出していると頼人は自分自身では気付いていなかった。
55 :
結婚前夜〜堂島遼太郎〜その7:2008/09/17(水) 00:33:40 ID:u2+BjqtB
「断ち切らせたのは俺です」
半分以上残っていた酒を一気に飲み干す。
こんな時、自分がアルコールに強い体質で良かった、頼人が両親に感謝している数少ない事だった。
「女優辞めろとでも言ったのか」
責めるでもなく、怒るでもない、ただ促すだけの言葉。
「いえ、結婚を決めた時、俺はあいつに夢を諦めてもらおうなんて言いませんでした」
勿論、思ってもいませんでしたよ。
力なく笑って、頼人は続ける。
「引退を決めたのはアイツです。……子供が出来たって聞いてからすぐに」
研究室で生徒達の論文の整理を頼まれていた時だった、りせのプライベート携帯からの電話が飛び込んできたのは。
『せんぱ〜い!!!聞いて聞いて〜あのね、今日病院行ってきたの』
『病院?どうした、どこか具合が悪いのか?』
海外ロケで二週間程離れていた間に体調でも崩したのか、それにしては声が弾んでいる。
様々な「?」を押し殺しながら彼女の言葉に耳を傾ける。
余程興奮していたのか、要領を得ない彼女の言葉は本当に作詞して歌を出しているのだろうかと本気で思った。
ただ、要点を言うとこうだった。
『ロケの間ずっと吐き気に悩まされて、マネージャーの勧めで病院に行ったところ妊娠しているのがわかった』
ただ、そこまでなら純粋に自分も跳び上がるほど喜べたのかもしれない。
次の言葉を聞くまでは。
『それでね、今の映画の撮影が終わったら引退しようと思うの』
「休止」ではなく「引退」とハッキリと言い切った。その言葉だけやけに鮮明に耳朶を打った。
56 :
結婚前夜〜堂島遼太郎〜その8:2008/09/17(水) 01:15:17 ID:u2+BjqtB
「そりゃあ唐突でビックリするだろうが、りせちゃんが決めたことだろう。素直に子供が出来たことを喜んでやればいいじゃないか」
現に、俺は今お前に聞いてかなり嬉しいぞ、そう言いながら堂島は手酌再びでなみなみと
注ぐと頼人のグラスに軽く当てた。
乾杯のつもりらしい。
「帰国してすぐ俺のマンションに飛び込んできましたよりせは。俺もずっと待ち侘びてた。
正直嬉しいのと驚きと疑問で頭がぐちゃぐちゃでしたから」
一体何が不満なのだと言いたげな堂島の視線に、らしくもなく苦笑で返す。
「話し合ってみてビックリしました。引退の訳を。専業主婦になりたいからだって」
中々耳にしないセリフだ、「専業主婦になりたい」だなどという言葉は。
差別用語と言われていても、今尚世間一般では平凡の代名詞のような使われ方を
しているそれに、女優が、それも将来を嘱望されている、まだ女優と呼ぶのも覚束ない年齢のりせが言ったのだ。
自分一人の収入で養えるかどうかの前に、純粋に腑に落ちず、思わず「本気なのか?」と問いただした。
まるでいつかの時のように。ただ、動揺している側と冷静な側が違うだけで。
「訳を聞いたら実にシンプルでした。『子供に寂しい思いをさせたくない』って」
ようやく合点がいったように堂島が息を呑むのがわかる。自分だってそうだった。
「俺はりせに昔漏らしたことがあるんですよ、親を親と思ったことはないって…」
57 :
結婚前夜〜堂島遼太郎〜その9:2008/09/17(水) 01:55:08 ID:u2+BjqtB
本当に何気ない会話だった。
高校の屋上で二人でお弁当を広げてお互いのおかずを突き合っていた時の何気ない会話。
『先輩は何でお父さんやお母さんの事を「あの人」とか言うの?私先輩の口からお母さんっていう単語聞いた事ないよ?』
大きなリスや猫を思わせる瞳を瞬かせながら見上げてくる彼女に、彼女だからこそ話した。
『何だろうな。嫌いなんじゃないんだ。此処まで自分を育ててくれた恩はあるし、仕事に誇りと生き甲斐をもって取り組める人という点では尊敬でさえしている』
警察官という仕事一つでも千枝のように正義感から目指そうとする者がいる一方で足立のように拳銃が撃ちたかっただけ、という下らない理由でなった人間がいる。
あの戦いでそれを知ってからは一層尊敬の念は強くなった。
両親の口から自身の仕事に対する不満や泣き言を聞いた記憶は無かった。子供心に両親は仕事を楽しんでいたし、活き活きと取り組んでいた。
『じゃあ何で…』
『尊敬しているのはあくまで大人として、社会に出ている大先輩として。親として見たらやっぱり俺は正直良い感情は無い。堂島家にお世話になった時も事後承諾だったし、正直最初は高校2年の大事な時期にって恨んだ』
今では感謝してるけどね。そう付け加えると、わかりやすい程りせはホッとした笑みを浮かべた。
思わず菜々子にするように、くしゃくしゃと頭を撫で回してやった。
『だからかな、叔父さんと菜々子と暮らしてみて、初めて夕飯を囲むっていうことが楽しいと思えた。あの事件で二人が居ない家で過ごして初めて辛いと思った』
それまで当たり前だと思ってたことがあんなに辛いとは思わなかった。
『だから俺にとっての家族は叔父さんと菜々子だけだよ。あの人達のお世話に今はなってるけどいずれ、出来るだけ早くあそこは出る。あそこは俺の「家」じゃないから』
あの時、何故かりせの顔を見れずにそう呟いていた。
見ておけば良かったのかもしれないが、それはあとの祭りというものだろう。
58 :
結婚前夜〜堂島遼太郎〜その10:2008/09/17(水) 01:59:34 ID:u2+BjqtB
「りせはそんな俺の何気ない愚痴をずっと覚えてたんですよ。
だから自分達の子供に俺のような思いはさせたくない。子供にきちんと『お母さん』て言って貰えるような家庭を作るのが夢だって…
けど、そんなのはりせが気に病むことじゃない」
自分が勝手に思ったことであって、そんな泣き言の為に夢を諦めるのはおかしい。
「……お前は、りせちゃんの夢が、お前の子供にお前と同じ思いをさせたくないっていう夢の為に女優をやめるのはおかしいといいたいわけか…」
酒気を帯びた大きな溜息を一つ、堂島はゆっくりと吐き出す。
気を落ち着けている様であり、何かを考えている様でもあった。
いつしか、二人のグラスは空になっていた。
頼人は話しながら、堂島は聞きながら、それぞれ少しずつ飲んでいた酒瓶は既に空になっていた。
「なぁ頼人。例えばだ。例えば…ああ〜あ、例えば、そうだな、そうこうしよう。例えばお前の研究室の生徒に将来実家の農家を継ぎたいと思ってる奴がいるとする。宇宙飛行士になりたい奴がいるとする。二人は当然何もかもバラバラだ。動機も、きっかけも、まあ当然能力もだ」
酔いが回ってきたせいか、堂島は上手く纏らないのを忌々しげに、時折唇を歪にゆがめながら言葉を模索するようにたどたどしく口を開く。
「ああ〜…でだ。それでその二人がだ、実家の農家を継ぎたいと思ってる奴は能力としては宇宙飛行士にだって何にだってなれる。ノーベル賞も夢じゃないとする。逆に宇宙飛行士になりたい奴はどれだけ頑張っても学校の教師になれるかどうかってところだ。
それで、お前はどうする?」
一瞬酔いが吹き飛んだように、胡乱下になって、宙を彷徨っていた堂島の目に強い光が宿る。
刑事として戦っている時のような、男の目だ。
その光を真正面から受け止めて、顔にこそ出さないまでも、頼人はハッとなる。
脈絡も無く、唐突に投げ掛けられた質問に、普段よりも数段低下している頭の回転をもってしても、頼人には堂島が何を言いたいのかわかった。
59 :
結婚前夜〜堂島遼太郎〜その11:2008/09/17(水) 02:03:12 ID:u2+BjqtB
「お前だったら諦めさせるか?無理だって。説得するか?勿体ないって」
「出来ませんよ…そんなこと。出来ないですよ、本人にとってはそれが一番の夢なんだったら、それこそ尚更」
わかってるじゃないか、と堂島はにやりと兄貴分のような笑みを浮かべる。
「他人にとっては無謀でも本人にとっては絶対に可能だと信じられるものもある。そんなもんもあれば他愛ない、下らないことでも本人にとってはどうしても譲れないもんもあるだろ」
菜々子を放っておいてでも千里の仇をずっと追いかけてた俺のように。
言葉にこそしないものの、頼人には堂島がそう続けたように聞こえた。
周囲の警察連中が諦め、同僚達に呆れられ、哂われ、疎まれても尚追い続けていた。
「頼人…夢に逃げるんじゃない、夢を目標を言い訳にしないで、追い続けることを昔俺に教えてくれたのは……お前だろう?」
りせもそうだ、自分との、自分の夢との戦いから逃げ出し、向かい合って、それでもう一度進んだ。
そうして叶えた。そして今度も彼女はそうではなかっただろうか?
「りせちゃんがお前との結婚に逃げようとする子には俺には思えんよ」
「同感です」
「じゃあ、もうお前が俺に話すことはないな?さぁ、明日は入籍だったな?もう寝たらどうだ?」
二人とも、いつしかすっかりと酔いが醒めていた。
確実に酔っている筈なのに妙にさっぱりとした気分だからだろうか。
「叔父さん…ありがとうございます」
頼人は立ち上がると空いた皿を一つに纏め、台所の流しに持っていく。
堂島はまだ暫らくは起きているつもりなのかソファーに深々と腰掛ける。
どちらからとも無くではあったが、二人の親子のような、兄弟のような宴は終わった。
「叔父さん、おやすみ」
多少フラ付く足を堪えて階段に登ろうとする。
「頼人」
頼人に堂島が声をかける。
「はい?」
「いい忘れていたが、結婚…おめでとう」
「ありがとうございます」
此方を見ずに祝いの言葉をぶっきらぼうに投げ掛けた堂島の耳が真っ赤だったのは、酔いのせいなのかどうなのかは頼人にはわからなかった。
けれど、今日、こうして酒を酌み交わせた事は良かった。良かったとそれだけは断言できた。
61 :
結婚前夜〜堂島遼太郎〜ラスト:2008/09/17(水) 02:32:46 ID:u2+BjqtB
堂島はソファーに半ば沈み込むように座ると、ぼんやりと居間のテーブルに目をやる。菜々子の作ってくれた肴は殆ど食べきったせいか、テーブルには堂島の好きなスルメやさきいかといったものが散らばっているだけだ。
らしくもなく、年甲斐もなく夢とかについて熱く語ってしまったようだ。
昔からあの甥っ子と話していると奇妙な感覚に陥る。
年齢は離れている筈なのに、対等の友人のように感じる時もあれば、菜々子と同じく面倒をみてやりたい息子のようにも感じる。
ついついお節介を焼きたくなるような弟にも思えた。
もっとも、もし兄弟としてそだっていたなら間違いなく全てにおいて優秀な弟と比べられる不出来な兄になる自信はある。自慢ではないが。
自分には娘しかいない、しかし息子がいればこんな感じなのだろうか。
奈々子と過ごす時に覚える安らぎと、同時に胸に抱く守ろうという使命感。
頼人と過ごす時に覚えるのは安らぎというよりも頼もしさ、そこからくる安心感。
あの甥っ子にはつくづく助けられてしまっているな、そう実感して苦笑が漏れる。
『小さくて、些細なものでも本人にとっては重要な夢がある』
そんなようことを先程甥っ子に話した。
頼人には言いそびれたが、一つそんな小さな夢が叶った。
『いつかお前とも酒を酌み交わしたいな』
まだあの甥っ子がこの家に住んでいた頃。話に付き合えと言った時に、酒を飲もうとした甥っ子を冗談半分に叱りつけながら交わした些細な、戯れのような約束。
しかし、足立が消え、頼人が帰り、夜一人酒が自ずと増えるようになってから、そんな些細な約束が年々自分の中に根付いていった。それが叶ったのだ。
「ありがとな…頼人」
そして幸せになれよ、と声に出さずに呟きながら堂島は夢の中へと落ちていった。
きっと明日の朝には菜々子の雷が待っているのだ、と小さく苦笑を浮かべて。
62 :
結婚前夜〜堂島菜々子〜その1:2008/09/17(水) 03:03:40 ID:u2+BjqtB
「まだ起きてたの?」
お父さんとずっとお酒を飲んでいたのか、月明かりだけが差し込む部屋でもお兄ちゃんの顔は
色白なせいもあってか、頬が赤くなっているのがわかる。
「たまたま目が覚めたの。そっちこそ、こんな時間まで飲んで…知らないよ?お父さんいつも次の日二日酔いに苦しんでるんだもの」
本当はずっとお兄ちゃんの部屋にいたのだけれど。その事を突っ込まれない内に、それだけ言うとお兄ちゃんの脇を通り過ぎる。
「なぁなこ」
あ、この声…
昔、まだお兄ちゃんがこの家にいた時、私の機嫌が悪かったり元気が無い時にお兄ちゃんは
今のように甘えるような声を出していた。幼かった私は、お兄ちゃんみたいに大きな男の人
が自分に甘えてくれる事に、妙なおかしさと、拙い優越感と母性本能を感じていた。
そんな懐かしさに動きを止めてしまったのが良くなかった。腕を掴まれたと思ったら、
私はいつの間にかスッポリとお兄ちゃんの腕の中にいた。
63 :
結婚前夜〜堂島菜々子〜その2(ラスト):2008/09/17(水) 03:04:41 ID:u2+BjqtB
鼻を突くお酒の匂いと、お父さんとは違う懐かしいお兄ちゃんの香り。
懐かしさと嬉しさと恥ずかしさでさっきまでウトウトしていた頭が一気に覚醒する。
「お、お、お兄ちゃんッ!?」
浮気?夏の思い出?一夜の過ち?友達に借りた本に載ってた単語が頭を駆け回る。
「ようやく菜々子と話せた。昔みたいに今日は一緒に寝ようか?」
「一緒にッ!?そ、そ、それって…」
「最近避け気味だったろう?兄妹のスキンシップ」
そう言って、普段は大人びてる癖に時折見せる陽介お兄ちゃんと同じ悪戯っ子のような笑み。
兄妹という都合の良い言葉に一瞬甘えてしまいそうなる、けれど…
「ダメッりせちゃんに告げ口しちゃうよ?」
「それは困るな」
フリーズと言われたように両手を挙げるお兄ちゃんは、6年前と変わってなかった。
見様見真似の手品をやっては喜ばせてくれた、菜々子のお兄ちゃん。
「菜々子…反抗期?お兄ちゃん寂しいんですけど」
「反抗期じゃないよ、でもお酒臭いお兄ちゃんには反抗期かな」
そういうと、さっきまでのおふざけな態度は一瞬でナリを顰める。
「しっかりさんになったね菜々子は。それじゃあお兄ちゃんは寝るとしますか」
「うん、おやすみ」
おやすみ、と返してくれるお兄ちゃんの部屋から出て、自分の部屋のベッドに倒れ込む。
耳も、頬も、おでこも熱い。きっと真っ赤だ。部屋の電気を消しておいて良かった。
心臓の音がバクバクと鳴ってるのがわかる。ギリギリのところで我慢できた。
きっとあれ以上一緒にいたら「りせちゃんと結婚しないで」と言ってしまっていたのかもしれない。
だから今はこれが限界。もう少し待って。
もう少し待ってくれたらきっと全開の笑顔で「おめでとう」っていってあげられるから。
今はまだ。もう少し待って、ね?お兄ちゃ
64 :
結婚前夜〜堂島家:2008/09/17(水) 03:10:27 ID:u2+BjqtB
長々と書いてきましたが、とりあえず結婚前夜堂島家篇は終了。
またネタが纏り次第投下しようと思っております。次は花村陽介篇で。
注意事項で書くべきでしたが、この話は番長×りせ『前提』と説明すべきだったと激しく後悔。
りせちーが出てくる事に期待していた人にとっては詐欺同然であり、誠に申し訳ございません。
余談ですが、菜々子はすくすく純粋に育つのもいいけど、しっかり者でツンデレっぽくてもいいなぁと
いう妄想で書きましたのでどうかご容赦の程を。
保守
>>64 GJ!
まさに結婚前夜、未来への期待と不安が交錯する男同士への語らいの真骨頂(?)を
見せられた気分でした!堂島さんの男前っぷりや菜々子ちゃんの健気さがとっても
「らしい」感じで、正直この作品こそ未来なのではと錯覚しそうです。
67 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/20(土) 20:19:36 ID:/NlDuQFP
68 :
神様遊戯 〜その1〜:2008/09/28(日) 19:26:35 ID:KlMshj5e
ノーマル&真EDに関するネタバレがあるので注意です。
多少キャラのイメージが壊れている可能性があるのでその場合は作者の妄想乙とスルーorスクロールでお願いします。
結婚前夜の続きの合間に書いたもので、著しく世界観も時間軸も異なります。
『君は彼に勝てないよ』
耳に届くのは不快な声。嘲りと冷やかさが混ざり合った不快な声
目の前には自分を苛立たせる男。飄々と掴み所の無い嫌な奴。思えば初めて出会った時から気に入らない奴だと思っていた、顔にこそ出さなかったが。
互いにエモノを出し合うものの、その差は思っていた以上に歴然。ぎこちないこちらを嘲笑うようにスルリスルリとかわしていく。
ホントに嫌な奴だ。
『君は彼に勝てないよ』
またあの声が頭に響く。気に入らない目の前の奴は件の力を発現させる。
その瞳にはこちらがどこか期待してたような熱も闘志のようなもののも無く、かといって命を奪ってしまうかもしれないという当然抱くべき不安や恐れも見られない。
つくづく嫌な奴だ。
『君は彼に勝てないよ』
声がまたもや聞こえたと思った時には既に全てが終わってしまっていた。
自分は倒れ伏し、気に入らないアイツはそれを見下ろしている。さもわかりきっていた事といわんばかりに。
「何だよ…もう終わりなのかよ」
失望と諦めの篭った情けない声。
何のことはない自分の声だった。
69 :
神様遊戯 〜その2〜:2008/09/28(日) 19:39:11 ID:KlMshj5e
「好きにすればいい…未来を変える力っていうのが君たちにあるなら…」
自分はここまで未練がましい奴だったのかと疑いたくなる程、喉から出てきたのは情けない声。
けれども奴は…気に入らないあのガキは涼しげな顔で一目自分を見ただけで何を言うわけでもなく思いを馳せるように遠い目をする。
きっと自分の妹の事を想っているのだろう、それくらいはわかった。
端から自分等欠片も眼中になかったのだろう。自分でさえも遊び相手として、目障りな相手として見下していたつもりだったというのに、余計そんな自分が惨めで滑稽に思えた。
『だから言ってあげたのに、君は彼に勝てないよ、って』
救急車で搬送される自分の頭にまた不快な声が響く。
妖艶な娼婦。
無垢な童女。
そう思わせる声。
「…うるさいよ…アンタがけしかけたんじゃないか…」
初めて言い返す。医師達は精神錯乱か何かと思っているようだが、今更体裁など取り繕ってもしょうがない。ジュネスのガキの言っていた「現実の裁き」とやらを受ける身なのだから。
「大体…アンタ言ってたじゃないか…アイツと同じ力を与えた……って」
だったらこちらは拳銃を持ってて、その上シャドウまで支配下に置いていたのだ。世間知らずの正義の味方気取りのガキ共に負ける筈がないのではないか。
「生田目の奴と僕は違う…」
あんな湯の沸いた脳ミソの勘違いしたオッサンとは違う。
『…ん、何?ああ、同じ力がどうだって話?』
声の主は自分から話しかけておきながら自分の存在自体を忘れていたような間の抜けた声を出す。ホントに神様かよ、と殺意と共に撃ち殺してやりたくなるが、自分では天地がひっくり返っても敵わない相手だと理解してもいる。
自分は声の主の使いっぱの、更に体の良い傀儡なのだ。
『私は同じ力は与えたよ確かに。事実目覚めたばかりの“彼”相手なら余裕で勝てただろうね』
70 :
神様遊戯 〜その3〜:2008/09/28(日) 19:52:56 ID:KlMshj5e
どうでも良さそうな声が癪に障る。
自分に興味の欠片もないというのが伺いしれる。
「じゃあ何だよこの結末は…何でこんな結果になるんだよ…」
呪いのような呻き声が喉を震わす。幾分の一でも恨みが届けばいいと心底思って。
『あははは、それは本気で言ってるのかい?』
初めて興味を抱いたのか、今までにない程声が大きく響く。けれども俺にはその興味というのが俺という存在にではなく、俺の愚かさに向けられたものだとはっきりわかる。
朦朧とした視界に白装束の女の姿が現れる。妖艶な嘲笑と無邪気な笑みを併せ持つソレが声の主だとすぐに気付く。
『初めて君が微かに面白い存在に思えたよ』
コロコロと笑うその表情はまるで童女。
『君は彼の仮面を見なかったのかい?』
どれのことだよ、あり過ぎてわからねぇよ。
『全部さ。いいかい、君には彼と同じ種を与えた。彼は希望で君は虚無と、分類こそ違えど』
知ってるって、だからアイツが初めて目覚めた時は自分のとそっくりで驚いたんだ。
『けれども君と戦った彼は違う仮面を付けてたろう?君にとっては手に入れた“特別な力”は彼にとっては“単なる始まり”に過ぎなかったんだよ?わかる?』
そこまで言われてようやくソレの言わんとしてもいる事がわかった。要は俺が傍観者でいた間、あのガキはひたすら走り続けていたんだ。
『ようやく愚か者なりに理解したね。そう、立ち止まってる者と前に走り続ける者に差が出来ない筈がないでしょう?』
だから、とソレは続ける。俺にシャドウと同調する力を与えたのは俺が選ばれたのではなく、ソレ自体も予想外に開いたあのガキと俺との力の差を何とか埋める為の苦肉の策だった、と。
「何で…そんな事したわけ…?」
ソレの言う通りなら俺は文字通り瞬殺されていただろう。けれども束の間の優越感に浸る暇もなければ、あるいはこれ程惨めな思いを抱かずに済んだのに…
そう言うと、ソレはまたコロコロと鈴を転がすように笑う。
『だってあんまりにも呆気無かったら彼への試練にならないだろう?』
事も無げにソイツは俺をあのガキの為に用意した単なる踏み台だと言い切った。
71 :
神様遊戯 〜その4〜:2008/09/28(日) 20:00:28 ID:KlMshj5e
はは、何だよそれ…
ここまでして結局誰も、俺に力を与えた奴でさえ俺に興味なんか無かったって事かよ。
『何を今更。君は“虚無”だろう?“空っぽ”でさえないんだよ?何も元から無い者に興味なんか沸くわけがない』
君だって世界全てに興味無かったから力に身を委ねたんだろう?それともそれは単なる振りで、誰かに君は関心を持たれたかったのかい?
その言葉は驚く程すんなりと響いた。そうか、そうだったのか、と素直に思う。だとすればあの天城屋の小娘の言う通り自分の方こそただのガキだ。
ふと見れば、白装束の神と名乗るソイツは熱に浮かされた少女のような、どこか恋い焦がれるような笑みと共に次第にその姿を薄くしていく。
きっとあの気に入らないガキ ― 堂島さんの甥っ子君に思いを馳せているのだろう。無邪気で性悪な神様は最早俺の存在ごと忘れ去ったように一瞥すらせずにその姿を消した。
「くくく…はははははは…」
「お、おい、大丈夫か」
付き添い、いや監視の警官が不審な顔で伺うように覗き込んでくるが、構う事なく堰を切ったように笑いが止まらない。惨めで滑稽な気持ちも限度を超えると笑いが込み上げてくるものだと初めて知った。
もうとうに自分のゲームは終了していたのだ、きっとあの少年がこの町に来た時点で。
ようやく湧いてきた実感と共に込み上げてくる笑い声が酷く虚ろで、自分は本当に何処までも下らない存在なのだと理解した。
72 :
神様遊戯 〜その5〜:2008/09/28(日) 21:57:58 ID:KlMshj5e
一つ目の役者は思った以上に出来が悪かった。
折角与えた種を育て方を誤って腐らせてしまったのだ。
それでもそれなりに面白かったのはあの姿。
いつの時代であったのか忘れてしまったが、自分を救世主とか、神託を受けた者だと思い込んだ男。
裸に薄汚れたぼろきれだけをみに纏い、支離滅裂な事を呟いていた。
単なる異常者であり、市中の民から哀れみと蔑みと嫌悪の眼差しで石飛礫を投げつけられているというのに、本人は尚自身を神に救世を託された者と信じていた。
託した覚えは無いのにと当時の神々は首を傾げていたのが酷く可笑しかったのを思い出した。
二つ目の役者は思った以上に下らなかった。
折角与えた種を芽吹かせただけでそれを大木と勘違いしていたのだ。
自分の身の程も弁えずに傍観者を気取って見下していた。
異国の童話に自身の手が届かない果実を、酸っぱくて食べられた物ではないと嘲笑う狐の話があったが、まさにその話の狐のような男だった。
折角お膳立てをしてあげたのに、自分が与えた力を、“彼”に与えた力の出来損ないを得意げに振りかざした挙句、自分の子に飲み込まれた末に打ち倒された顛末は見ていて欠伸が漏れた。
三人目の役者は思った以上に素晴らしい。
与えた種を芽吹かせ、糧とし更なる芽を、枝を、葉を、実を生み出し。
異なる種とも混ざり合い、何時しか若木ながらも大木たる佇まいを見せている。
73 :
神様遊戯 〜ラスト〜:2008/09/28(日) 22:01:45 ID:KlMshj5e
自分自身此処までとは思いもよらなかった。
そして、遠くを見通すその硝子色の視線の先には自分がいるような予感がする。
彼の周りに集う者達の中には自分と憎くて愛しい彼の者の子供等を模した仮面を持つ者達がいる。
皆、苛烈で峻烈で激しい赤い炎のような熱を持っている。悠久の刻を経て風化した筈の憎しみと苛立ちが燻ぶり始める。そんな中で“彼”はたった一人異彩を放つ。
真っ赤に燃え盛る炎、すぐに燃え盛り、すぐに鎮火する炎の中心で、ゆっくりと熱を帯、地の底の更に底、遥か奈落の底から燃え盛るような冷めているようでその実酷く熱く、消えにくい蒼い炎を瞳の奥に点している。
ゆっくりと燃え上がる熱は誰にも知られること無く、依然更に温度を上げている。
ぶるりと、とうに使い物にならなくなっている腹の奥が疼く。
ぞくりとした憎しみと怒りは、自身の深き最奥を焼き爛れさせた忌むべき炎を思い出してのモノ。
とろりとした愉悦と歓喜は、陳腐な赤い炎っではなく、未知の蒼い炎を想ってはしたなく溢れ出たモノ。
『君は気付かずに通り過ぎていくのかなぁ…あの愚鈍な子供達のように。
それとも知っていて目を逸らすのかなぁ…憎くて愛おしいあの人のように。
それとも…それとも…あはははははははは…ははは…ははははは…はははははははははは』
独りぼっちの神様は恋の歌を謡うように、幾千もの呪いの言霊を吐き出す。
何時しか一人で焼け爛れた自身を慰める独り遊びから、彼の立つ舞台へと舞い降りる日を夢見るように。
神様の遊戯が始まるのもうすぐ。
神様の遊戯が終わるのはもうすぐ。
板違いが何やってんだ。
削除依頼は出してあんの?
文が下手くそすぎる
>>68 GJ
ナミさんの足立に対する無関心さと微かに持った興味があっさり薄れていく様と
番長への恋慕にも似た期待の描写が激しく良かった
77 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/13(木) 17:09:25 ID:6mmbxFyL
ペルソナ4のSSが多めに掲載しているサイトをどなたか御存知ありませんか?
何でこの板にPスレwwwwwwww
>>77 エロパロ板アトラス系の保管庫オヌヌメ
板違ってるけどいいのかここ…
他に無いから使っちゃうぞ?
どうぞ
81 :
オッスオッス漢花村陽介祭り:2008/12/21(日) 11:37:56 ID:PVcLDOUY
はやく
82 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/01/03(土) 10:04:20 ID:+Q6T1d8h
早く
早く
ペルソナシリーズはギャルゲです
Ptsもペルソナも専用スレがあるからそこに投下してくれ。
Ptsのみ慎スレ中心っぽいが。
ageー
ほう
sage
î
うn
ほ
92 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/11/18(水) 00:59:12 ID:V4pp0gPM
マイナーなギャルゲーSS祭り!変更事項!
1. SS祭り規定
自分の個人サイトに未発表の初恋ばれんたいん スペシャル、エーベルージュ、センチメンタルグラフティ2、canvas 百合奈・瑠璃子シナリオ
のSSを掲載して下さい。(それぞれの作品 一話完結型の短編 10本)
EX)
初恋ばれんたいん スペシャル 一話完結型の短編 10本
エーベルージュ 一話完結型の短編 10本
センチメンタルグラフティ2 一話完結型の短編 10本
canvas 百合奈・瑠璃子 一話完結型の短編 10本
BL、GL、ダーク、18禁、バトル、クロスオーバー、オリキャラ禁止
一話完結型の短編 1本 プレーンテキストで15KB以下禁止
大文字、太字、台本形式禁止
2. 日程
SS祭り期間 2009/11/07〜2011/11/07
SS祭り結果・賞金発表 2011/12/07
3. 賞金
私が個人的に最高と思う最優秀TOP3SSサイト管理人に賞金を授与します。
1位 10万円
2位 5万円
3位 3万円
sage
94 :
名無しくん、、、好きです。。。:
九死に