1 :
No.2:
3 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/04/11(水) 21:37:53 ID:r0Cd2xNV
あ゛にぎぃ!ア゛ッーー!ア゛ッー!!
乙です ノシ
乙ー。
……まさか使われるとは思わなかった……。
「気持ち悪いんだよこのウジ虫早く死ね」と罵倒されたら深く傷つくだろうなw
リアル姉にならいつも罵られてるけどね
引っ込み思案な妹もいいなぁーと思う
「お、お兄ちゃん…お、起きて…」
「ま、まって…お兄…ちゃん…」
「やだ…やだやだ…お兄…ちゃんと一緒が良い…」
どよ?ちなみに声は小さめで。ほら、萌えたろ?
一乙!
新スレ乙です!
「美佐子さん、もう時間だよ」
「ん?もうそんな時間か。二人ともお疲れ様。あがっていいよ。まさか康は一緒に帰ろうなんて考えてないよね?」
「も、もちろん」
午後8時。鉱先輩のクラスメイトの四羽先輩……の彼氏(?)の康先輩……の従姉の美佐子さんのお店(喫茶店)でのバイト終了の時間。……ちょっと紛らわしい。
店内の客はもうあまりいないけど夕方の混み具合がひどかったから洗い物が溜まってる。
「あ、じゃあゆな、洗い物してからんぐっ!?」
「……お疲れ様です」
洗い物を片付けから帰ろうと美佐子さんに声をかけようとしたゆなの口が塞がれ強引に裏へ引き摺られる。
更衣室に着いたところでようやく口に当てられた手が離され、生きてる事の素晴らしさを改めて実感する。
「ぷはぁっ!はぁ、はぁ、く、苦しかったですぅ……」
「…………」
「何するんですか紫乃先輩!ゆな、危うく帰らぬ人になるところでしたよ!?」
息を整えて私を引っ張って来た殺人未遂者に抗議する。
「………………?」
そんな『なんで?』みたいな顔されても……。
「先輩が口だけじゃなくて鼻まで塞いでたんです!」
「!……」
言われるまで気付いてなかったのか、ちょっと驚いたような顔をしてからゆなの頭を撫でてくる紫乃先輩。
ええっと……一応は悪いとは思ってくれてるんでしょうか?
「それで、急にこんな事して一体何なんですか?」
「……鉱くんと………………どう?」
今、『鉱くんと』と『どう?』……凄い端折られた気が……。
えぇと、最近何か進展はあったかという事でしょうか。
「実は……」
「……(コクコク)」
「もう先輩とは人には言えないような関係に」
なってないです。
「……………」
「この前なんて先輩が……きゃっ♥」
「…………………………………………………………」
じーっと紫乃先輩に疑いの眼差しで見つめられる。
「う……な、なんです?」
「………………………………………………………………………………………」
疑いの眼差しが……沈黙が痛い。新しい快感に目覚めそう!
というか呆れられてるような……。
『康!お前いい加減にしないと追い出すぞコラァ!…………』
店の方から聞こえてくる美佐子さんの怒鳴り声がよく聞こえてくる。
康先輩、また何かしたんでしょうか……。
「うぅ……すいません……いつも通りというか相変わらずというか……」
「♪」
紫乃先輩の目がまるで玩具を貰った子供みたいにきらーんと光った。ような気がする。
満面の笑み(実際はそんなに笑顔じゃないけど紫乃先輩の場合はこれで満面と言っていいと思う)で近付いてくる紫乃先輩。……正直、怖い。
「な、何ですか……?ゆな、紫乃先輩の気に触るような事何もしてないですよ?ホントですよ?」
ズルズルと後ろに下がりながら一生懸命弁解するも、ゆなの言葉が聞こえているのか聞こえていないのか無言のまま笑顔を崩さずに近づいて来る紫乃先輩。
「ホ、ホントに何もしてないですよ!?」
必死の弁解も空しくロッカーひ追い詰められる。
もうダメ……殺される。
「こ、この前、紫乃先輩の忘れ物を届けに来た紫乃先輩のお兄さんをちょーっと変質者と間違えて大声で人呼んじゃっただけで……あとはホントに何もしてないです!ごめんなさい!よく分からないけどごめんなさい!」
「…………初耳」
「…………え?それで怒ってたんじゃないんですか……?」
「…………(コク)」
「え……え?ええぇぇぇーーー!?じゃ、じゃあなんでそんな怖い顔で詰め寄ってくるんです!?それ以外はホントに何もしてないですよぉ〜!」
「……可愛い後輩に…アドバイス」
「ごめんなさーい!謝りますから!お願いだから許してくださいー!って……アドバイス……ですか?」
「……(コクコク)」
「えーっと…何のアドバイス、ですか?」
「鉱くんいちころ作戦……その五」
「な、なんだってー!?」
「…………?」
「なんでもないです……。それで、今度は何をさせる気です……」
今度、というのは前もあったということで。
前があるのにまたやるということは失敗したということで……。
「今度は……完璧」
グッと自身満々(多分)に親指を立ててくる紫乃先輩。
「いつもそう言って変なことばっかりじゃないですか!」
「……完璧」
そう言って更に立てた親指を誇張する紫乃先輩。
「……どうせ断ってもやらせるんですよね?」
ポンポンと慰めるように肩を叩かれた……。
「うぅぅ……いじめです。絶対いつか教育委員会に訴えてやります」
「〜♪」
紫乃先輩は明後日の方を向いて知らん振りする。こんな人がなんで『人魚姫』なんて呼ばれてるんでしょう……学校の皆は騙されてます。
絶対に魔女の間違いです……
「ゆなちゃん、声に出てるよ……」」
「ひぇえっ!す、すいません!すいません!今のはちょっとした冗談で……って四羽先輩、。どうしたんですか?」
紫乃先輩かと思って謝ったらいつの間にか更衣室に来ていた苦笑している四羽先輩だった。
「先輩なんてつけなくていいって言ってるのに……」
四羽先輩はこの通り紫乃先輩とは対極のとても優しい先輩で、紫乃先輩の意外な親友(?)。
男の人には少し他人行儀(女の人にもほとんど他人行儀だけど)なのに何故か康先輩だけは康くん(本名は康人)とあだ名で呼び、一緒の家に住んでて更に幼馴染らしいから学校では皆に付き合ってると疑われているけど、二人はそういう関係じゃないと否定している。
関係ないけど、紫乃先輩には違う学校にとても仲の良いもう一人親友がいるとか。
さっきの魔女発言で紫乃先輩に何か仕返しされるかとこっそり紫乃先輩を見てみると何故かご機嫌な様子。
「紫乃ちゃん、呼んだ?」
「…………(コクコク)
「え?いつ呼んだんですか?」
「ちゃんと呼ばれた訳じゃないんだけど、なんとなく呼ばれた気がして」
相変わらず四羽先輩は凄い。テレパシーでも使ってるんじゃないかっていう程紫乃先輩の事が分かっている。
学校ではよく紫乃先輩の通訳をしているとか。
「何か用事?」
コクっと頷いて手招きする紫乃先輩に近づいて行く四羽先輩。
あぁ。可憐な乙女(四羽先輩)が魔女(紫乃先輩)の魔手に……
「ゆなちゃん、また声に出てる……」
「はぁっ!!じょ、冗談ですよ……あは、あはははは……」
機嫌を損ねてないかと慌てて紫乃先輩を見てみると
「………………」
じーっと見つめられた。
「…………………………………………………………………………」
怖……。
「そ、それで紫乃ちゃん、用事って?」
四羽先輩がフォローしてくれた。
ああ四羽先輩、先輩は本当に良い人です。いつかこういう落ち着いた優しい人になりたい……紫乃先輩にも見習って欲しいものです。
こういう時、爪の垢を煎じて飲ませてやりたいって言うんでしたっけ。
「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
そんなことを考えてながら二人の方を見てみると四羽先輩は苦笑していて紫乃先輩にはまたじーっと見られていた。
というか……睨まれてる?
……もしかしてまた声に出てたんでしょうか。
「し、紫乃ちゃん…それはさすがに……それより用事。ね?」
「『それ』ってなんですか!?今紫乃先輩が何か言ったんですか!?」
「え……あの……言っていいのかな……。柔らかく言うと『騒がしくて小さい小学生の癖に』って」
「ち…小さい……小学生………」
うぅ……人が気にしてる事を……。
「それって硬く言うとどうなるんですか……」
「え、え〜と……ねぇゆなちゃん?私はね、世の中知らない方がいい事もあると思う……なんて」
四羽先輩……それ、フォローになってないです。
「四羽の言う通り……おチビ」
「ち……」
「ち?」
「ち……チビって言うなーっ!紫乃先輩だって小さい癖に!ゆなと大して変わらないじゃないですか!無いのは口だけでにして貰いたいですぅー!」
「………!」
「ゆなちゃん、ちょっと落ち着いて」
「おチビ……まな板……コケシ」
「し、紫乃ちゃんも落ち着いて」
「ゆなは少しずつ成長してるからいいんです!口数も胸囲も増えない人と一緒にしないでください!」
「ちょっと二人とも落ち着いて……」
「……(フルフル)」
「四羽先輩はゆなの味方ですよね!?」
「え?それはその……えぇと?」
◇ ◆ ◇
「「ごめんなさい」」
「…………」
「わかればいいんだ。わかれば」
「だ、ダメだよ。康くんも謝らなきゃ」
「そうだぞこのバカ」
そう言って康先輩が美佐子さんに叩かれる。
「いてぇ。すいません」
「分かればよろしい」
結局、あの後騒ぎを聞き駆けつけた康先輩が騒動を納め……たりはせず、二人を更に炊き付けた。
そして康先輩を四羽先輩が注意。ゆなと紫乃先輩の言い合いは加熱。
康先輩に白黒付けて貰おうとした所で喫茶店の主、美佐子さんが来て「給料無くされたい?」という笑顔の一言で鎮圧。
その後、店のボックスのひとつに座らされ今に至る。
「今日はなんでこんな騒ぎになったんだ?」
「ゆなに……アドバイス………恋の」
「! そういう事なら年上のお姉さんにまっかせなさい!」
水を得た魚のように美佐子さんが目を輝かせてゆなを見てくる。
「え?いや、その、ゆなはべつに自分で何とかしますから……」
「だよなー。この年で結婚してないやつに任せられる訳ないよな」
「そういう訳じゃなくて……」
「康、お前夕飯抜きな」
「なっ!マジか!?」
「マジ」
「……………orz」
なんでこの人たちと話すとこうも話がそれるんでしょう……。
「そういえば紫乃ちゃん、私に用があるって言ってたよね?」
「………(コク)」
紫乃先輩は頷いてから四羽先輩に耳打ちする。
「……………」
「うんうん」
「……………………、…………」
「え?そ、そうかなぁ」
「………。……?」
「え、えぇ!?私が!?む、むむむ無理だよっ!」
しばらく紫乃先輩が四羽先輩に何か話したら、四羽先輩が康先輩を見て赤面した。
「……星くんはいちころだった……」
星くんって誰でしょう?
「星?あーあの見込みある少年か。あの少年がいちころ?まさか。飛び道具でも使ったのか?」
「アレの何処が見込みあるんだ。ただのチキンだろ」
「星くん…バカにしちゃダメ……」
「そうだよ康くん」
「あーはいはい悪うござんした。で、あいつがどうしたって?」
ゆな以外は皆知ってる……何か疎外感……。
「あ、あのー……その人、誰ですか?」
「星くんは…………………………星くん」
「はぁ……星くん、ですか……」
紫乃先輩の説明じゃさっぱり分からない……。
「紫乃ちゃん、それじゃ分からないよ。あのね、静原星一さんっていってちょっとした事で知り合った紫乃ちゃんの親友のお兄さんなの」
「はぁ……その、星一さん?がどうかしたんですか?」
「紫乃ちゃんが昔ふざけておに……あぅ……」
またもや四羽先輩が赤面した。なんなんでしょう……。
「四羽……ごー」
「し、紫乃ちゃん…ホントにやらなきゃ、ダメ?」
「……(コクコク)」
なんなんでしょう?話がさっぱりわかりません。
「あ、あのね、康くん」
「なんだ?」
「あ、あの……そのー…………やっぱり無理だよぉ〜」
真っ赤な顔に涙を溜めて抗議する四羽先輩(何をするのか分からないけど)。
「なんだったんだ?」
「さぁ?なんだったんでしょう」
「やめてもいいよね?私頑張ったよね?」
「……………………………………………………………………………………………」
「う〜……わかったよわかりましたー。やればいいんでしょー……紫乃ちゃんのばかぁ……」
「四羽は……………出来る娘」
「う、うん……あ、あのね康くん」
真っ赤な顔を俯かせてもじもじと喋る四羽先輩。こ、これは……もしかして告白?
「なんだ」
「その、怒らないでね……?」
「くはー!ここで上目遣いっすかー!さすが四羽先輩!レベル高っ!」
「ゆな……あんた一体どういう育ちしてんだ……」
「…………うるさい」
ついテンションが上がってしまって紫乃先輩に怒られた。
「「すいません」」
「って何故か勢いで私まで謝ってしまったじゃないか!」
「………みーさん」
「はい。すいません」
美佐子さんをこうも簡単に謝らせるとは……紫乃先輩、さすがというかなんというか……。
そんな事をしていた時、四羽先輩が突然康先輩の腕に抱きつく。
「な、なんだっ!?なにする気だ!?」
途端に真っ赤に赤面する康先輩。既に赤かった顔をもっと真っ赤にしつつ上目遣いを意地する四羽先輩。
「お、お、お兄……ちゃん」
「…………は?」
「大す……す……やっぱりダメ…はぅ……」
体から力が抜け四羽先輩が椅子にへたれ込む。
「ちょっ!どうした!?」
慌てて康先輩が四羽先輩を抱きかかえる。
「紫乃ちゃん……私、頑張ったよね……?頑張ったから……もう、ゴールしても、いいよね?」
「……あかん……ダメや四羽……来たらあかん」
「紫乃先輩がエセ関西弁をっ!?」
そのまま四羽先輩の首が力なくカクっと倒れる。
「おい!四羽!?」
「………すー……すー」
そして、後には穏やかな寝息だけが残った。
「……寝た」
「ああ、寝たな」
「寝ましたね」
「みたいだな。……なんだったんだ?」
「ゆなの恋へのアドバイス……ですか?」
「……ダメ」
「はい?」
「……これじゃ…ダメ」
目に、紫乃先輩の目に何かが宿る。
紫乃先輩がゆっくりと四羽先輩に近付いて行く。
「ど、どうしたんだ紫乃?」
「………邪魔……持ってて」
そして四羽先輩を抱きかかえ美佐子さんへ渡す。
「あ、ああ……それはいいが、紫乃はどうするんだ?」
「私が……やる……」
そう言って康先輩の対面に立つ紫乃先輩。
「康くん」
「な、なんでしょう!?」
何故か敬語で返す康先輩。
「年下……好き?」
「え……?別に子供は嫌いじゃないけど」
「そう……」
紫乃先輩が突然康先輩に抱きつく。
「なっ!今度はなんだ!?」
紫乃先輩が熱の篭った視線で康先輩を見つめる。
「あのね……大好きだよ?お兄ちゃん♥」
「っ!」
紫乃先輩の大好き発言に湯気が出そうな程顔を赤くする康先輩。
……お兄ちゃん?あの変質者として職員室に連れていかれた人?
「な、何言ってんの、お前」
平静を装おうとしてるけど全然動揺を隠せてない康先輩。
「お兄ちゃんは…私のこと…きらい……?」
瞳を潤ませて不安そうな顔で尋ねる紫乃先輩。
「ああ……いや……嫌い、ではない……けど」
「…………こんな感じ」
安先輩からぱっと離れて服を払う紫乃先輩。
それを見て呆然とするゆなたち。
な、なにが『こんな感じ』なんでしょう……。
「…………?」
不思議そうな顔されても……。
「……?……?」
「いや、『?』じゃなくて。紫乃、あんたは何がしたかったんだ?」
四羽先輩を抱きかかえて呆然としていた美佐子さんが皆が気になっていた事を聞いてくれる。
「……………アドバイス?」
「あ、あのー……今のどこがアドバイスだったんでしょう?」
「…………はぁ」
何故か呆れられた!
紫乃先輩が未だにぼうっとしてる康先輩を見向きもせずに美佐子さんの元へ寄り、四羽先輩の頬をぎゅーっと抓る。
「……んん……い、いた……すー」
「……………起きて」
ぎゅう。
四羽先輩の頬がうにゅーっと伸びる。
「い、いふぁい!いふぁいっ!いふぁいよひのひゃん!」
四羽先輩の頬からぱっと手が離れる。
「……おはよ」
「お、おはよ……紫乃ちゃん……あぅぅ…痛い………」
涙を滲ませながら頬を擦る四羽先輩。
「…………」
自分で抓ったくせに無言で四羽先輩の頬をさする紫乃先輩。
この先輩は本当に何がしたいんだろう。
「うぅー。紫乃ちゃんが抓ったんでしょー……用があってもこういう起こし方はやめて……なんなの〜?」
紫乃先輩が四羽先輩に耳打ちする。
「………、……………………………………。………………?」
「あ、そっか。それで私……あぅぅ……」
「……。…………、……………………!」
紫乃先輩ってなんで四羽先輩にはあんなに話すんでしょう。
「康先輩」
「…………」
この人、まだ呆然としてたんですね。
「康先輩!」
「はっ!?な、なんだ?」
「紫乃先輩ってなんで四羽先輩相手だとあんなによく話すんですか?」
「あ、それは私も気になるな。なんでだ?」
このことは美佐子さんも気になってたのか話に参加してくる。……仕事はいいんでしょうか。
「いや、俺に聞くなよ……。大体、聞き耳を立ててみろ。紫乃の声が聞こえるか?」
そういえばいくら小声で話しているとはいえ、今まで一度も声が聞こえた事がないような。
「……全く聞こえないです」
「……聞こえないな」
「だろ?なんか紫乃が話してるというより四羽が紫乃の思考を読んでるっぽいぞ」
「まさか……いくらなんでも……」
「えぇーーーっ!?紫乃ちゃんそんな事したの!?康くんに!?」
四羽先輩の驚きの声で話が途切れる。
「………」
「で、でも……」
「…?…………、…………」
「うーん……本当に?そういう事なら……」
「……………………」
「うん……わかった……約束だよ?」
「……(コクコク)」
「嘘ついたらやだよ?」
「……(コクコク)」
この二人、一体どんな会話をしてるんでしょう……。
「あのね、ちょっと聞いてくれる?紫乃ちゃんの話なんだけど……私じゃなくて紫乃ちゃんの考えだよ?」
「はい。なんです?」
「『お兄ちゃん』っていう言葉には魔力をあって、この世の半分くらいの人はこれでいちころ。それで、草薙くんも間違いなくその半分の中に入るタイプだから、抱きついてお兄ちゃーんとか言って適当に甘えれば簡単に落とせる……って」
「……………康くんも」
「お、俺は関係ないだろ!?」
「そんな……だから昔あんなに優しかったのに今は……康くんのばか」
「四羽も信じるなよ!」
「康、お前そんな趣味あったのか……」
「ねーよ!!」
「でも紫乃ちゃんに言われて喜んでたって」
「喜んでねーよ!」
「………喜んでた」
「あ、あれは紫乃がよく喋るのが意外だっただけだよ!……多分」
「え?紫乃ちゃんはいつもよく喋ってるよ。ね?」
「……(コクコク)」
「あー…なんかもうどうでもいいや……」
「え……嘘だよ?冗談だからね?私は康くんの事信じてるよ?」
「ああそう。で、ゆなはどうすんの?」
「そうですねー……」
「信じてる?ねえ康くん。さっきのは冗談だよ。だから怒らないで。ね?」
「あ、あの〜、一応今ゆなが話そうとしてるんですけど……」
「………、………」
「あぅぅ……康くんそんなぁ〜……お願いだから捨てないで〜」
「だーっ!大丈夫だって!捨てないから少し黙ってろ!紫乃は四羽に変な事吹き込むな!」
「はぁ〜い」
「……ちっ」
「おまっ!紫乃、今舌打ちしただろ!?したよな!?喧嘩売ってんのか!?」
「………………はぁ」
「よしその喧嘩買った!」
「うるさいですよ康先輩!今日の主役はゆななんだから少し引っ込んでください!これじゃ誰の話か分からないじゃないですか!」
「…………?」
「紫乃先輩もこれ見よがしに『え?主役って私じゃないの?』みたいな顔しないでください!」
あ、でも、なんか…紫乃先輩喋ってない割に出番多いような……。
「あー、ちょっといいかな」
「何です?いくら美佐子さんでもこれっばかりは譲れないですよ?」
「それは別にいいけど。ここ、私の店。今、営業中。オッケー?」
「あ……あははははは。静かに、ですよね?」
「分かればよろしい。でも康は減給な」
「なんで俺だけ!?大体今客いないだろ!」
「お?給料欲しくないのか?」
「ぐっ……」
「で、結局ゆなはどうすんの?やるの?やらないの?」
「……なんかいまいち信用出来るような出来ないような……そんな話現実で通用するんでしょうか」
「『現実で』ってなんだ?」
「康先輩、それは聞かないお約束です」
「…………実証済み」
「う……確かに……あ、でもでも、先輩は妹さんいるから効かないんじゃないですか?」
「………星くん」
「『星一さんにも夢亜さんという妹がいるけど効果は抜群でしたよ』と言ってます」
「そうなんですか……じゃ、じゃあ、ゆなも試しにやってみようかな……」
「『星くん』だけでなんでそこまで紫乃が言いたい事を理解できるのかはつっこまないんだな」
「容量の都合上です。それくらい察してください」
「容量の都合ってなんだ?」
「そんなの決まってるじゃないですか……って、あれ?なんでしょう……」
◇ ◆ ◇
一気に大量投下したのはいいけど、ほとんどの描写をカットしてとことんギャルゲーぽく仕上げようとしたら
誰が喋ってるのか分からないぐちゃぐちゃ仕様になってしまいました……orz
>すばる先生
前スレでも書きましたが、GJです!凄いです!!
次回作を楽しみにしてますんで、次回も何卒お早めに……w
>すばる氏
乙カレー。
つ『緑茶』
>>すばるさん
GJです!
読み応えたっぷりでありがとうございます!
これくらいの人数なら
ちゃんと誰が喋ってるか分かりますよー!
どうでもいい事なんですがタイトル付け忘れてた。
>>12-16 『お兄ちゃんと呼んで欲しい? 回想そのいち』
>>16-23 『お兄ちゃん(ry 回想そのに』
次回、鉱の妹ストーカー編。
>>遊星さん どうもです。
次回投下分は話の流れは決まっていて書くだけなんですがいつになるやら……
気長にお持ちくださいですw
>>25 どうもです。
折角なのでその緑茶は次の投下で使わせていただきます。
>>26 どうもです。
久しぶりに2連休なんで張り切って書いてみました。
これくらいだったら大丈夫ですか。参考にさせていただきますです。
お兄ちゃん、緑茶に雑ぜてゴックンして・・・
>すばる氏
よくやるよなぁ。
>すばる氏
紫乃先輩は、岩男さんにアテレコさせるつもり?芹香先輩っぽいとオモタ。
「ヒマだ」
ケータイは使用禁止。
テレビには興味が無い。
ノートPCは仕事場……あとで母親にでも持ってこさせよう。
仕事の書類は義妹に取り上げられた。
仕事をしすぎたことによって、自分はつくづく仕事人間だなと思い知る羽目になってしまった。
ここで問1。
俺−仕事=?
「……まぁ、肉体としての人間が残るくらいか」
俺は別にそれでも構わない。
研究するのは好きだし、やりがいもある。
結婚しろという親からのプレッシャーも弟の結婚によって早々回避。
弟夫婦に孫が出来れば、もう俺の生涯独身街道は明るい。
あの弟も少しは役に立つものだ。
「ヒマだ」
もう一度呟く。
呟いても1秒ほどの暇つぶしにしかならないのに。だ。
散歩でもしようか。
……といっても点滴つけたままじゃなぁ。
「ヒマだ」
三回目。通算三秒の消費だ。
みんな何して過ごしてんだろう……。
そんなことを考えながらベッドに寝転がると、
「お義兄さーん、元気ですかー?」
能天気な看護婦……。
いいよなぁ、忙しそうで……。
「暇」
「でしょうね。いいことですよ」
「何が?」
「心と体を休めるのには丁度良いでしょう?」
「仕事休んでこんなことしてるんだ。逆に焦る」
「何だか定年退職したお父さんみたいですね。お休みの日とか何してるんですか?」
「……」
何してんだろ……。
「あ、えっと……あはははは……」
とりあえず笑ってみました。な感じの義妹。
確実に寂しいやつだと思われたぞ、これは。
「な、何かあったら遠慮なく言ってくださいね……?」
「何も無いから困ってるんだぞ、俺は……」
「何か本でも買ってきましょうか?」
「俺から書類取り上げといて?」
「あ、あんな難しいのはダメに決まってますよぅ!!」
「お前が決めるなよ……」
小言でグチを漏らす俺。
義妹は大袈裟に、ため息をついて、
「ホントに、お義兄ちゃんは気難しい人ですー」
ムカつく……。
「おっと、こんなこと言いに来たんじゃなかった」
「は?」
「よかったら、これどうぞ」
紙袋を机の上においていく義妹。
「何コレ?」
「私の本と……一応新聞も」
「本?借りて良いのか?」
「ええ。私はもう覚えちゃうぐらい読んでますから。暇だったら読んでください」
「ああ、悪いな」
「いいえー。義理とはいえ、兄妹じゃないですか」
こいつ、ちょっと良いヤツじゃないか……。
「お礼は期待してますよー」
前言撤回。
結局それか……。
「あの、お義兄さん……冗談ですよ?そんな絶望した顔止めてくださいよぉ……」
「……いや……感謝……してるよ?」
してるよ、してるってば……。
「だ、だからぁっ!!」
困ったように声を荒げる義妹。
「ま、礼をしたいのは山々だが……」
「だが……?」
何をすれば礼になるのだろう。
相手は仮にも女性だし。
「ま。時間はある。ゆっくり考えよう」
「ちょ、ちょっと自己解決しないでくださいよっ!!」
「人に言うことじゃない。気にするな」
「気になります」
「厄介な生き物だな……」
「人間ですもの♪」
人間単位でそんなこといわれても困る……。
「ところで、お前さん、仕事は良いのかね……」
「あ……」
やっぱり忘れてたか。
「じゃあ、お義兄さん、また夕食の時間に来ますねー」
「いいよ、来なくて……」
「あ、ヒドいー。そんなに私のこと嫌いですかー?」
「お世辞でも好きとは言えんな……」
「ヒドいっ……ヒドいわっ!!アナタのこと信じてたのにっ!!」
ベタベタなセリフで去っていく義妹。
個室で良かったよ。
「おい……おーい……」
突拍子も無い行動に全く反応できず、取り残される俺。
今更ながら、あんなのの姉と結ばれた俺の弟って一体……。
アイツの姉にはほとんど会った事ないけど。
「……忘れよう」
嫌なことは忘れるに限る。
頭の切り替えって大事だよな。
「ま、せっかくだし借りた本でも読むか」
紙袋の中を漁る。
デカくて薄くて硬い本。
……絵本だよ、これ。
「暇つぶしにもなりゃしねぇ……」
ブツブツ呟きながら、ページをめくり始める。
……眠い。
───────────────────────
ナース妹の続き。しかも、まだ続くっぽい。
当初の話の予定とズレるズレる……昔は伏線だったものが書いてくうちに……。
あと、すばる先生からいただいた名前、早速使うことになりました。
……ま、貼るのはまだ先ですがね。
GJです!次の続きも待ってます!
ho
syu
>>28 すいません……それがどんな状況か考え付かないです…………
>>29 ageるほどしょぼくて申し訳ないです。でも、長い目で見守っていたらいつかいいのを書けようになる……かも。
>>某173さん
夢亜や四羽もそうなんですが、紫乃には元になるイメージがなく、完全にオリジナルなので特に声は考えてません。
岩男さんの声でもいいかもですね。
紫乃はこのスレではゲスト的な位置でしか出しませんが、ちゃんとした紫乃の話を作るとちょっとイメージが変わるかも?
>>遊星さん
GJです!
今回の投下分、密かに結構好きなタイプでしたw
私の考えた名前が他の方の話で使われるというのはちょっと嬉しかったりw
「お義兄さん?お義兄さーん?」
遠くで声がする。
うるさいな……誰だよ……。
「お義兄ちゃん?おーい。甲斐性なしー」
……俺のことだよな。
「ガリガリメガネー?研究バカー?起きろー」
「……」
「起きないか……」
残念そうな義妹。
……ムカつく。
「……起きてるよ」
「おわっ!?お、おおおおおお、お義兄さま!?お目覚めになっていらしたのでございますですかっ!?」
「寝てる患者に悪口とは……なかなかよい趣味だな、義妹さんよ」
「お、おーっ、ほっほっほっほっ!!そんなことするのは、お義兄さまにだけですわっ!!」
……変なキャラが出てきた。
「……」
「あぅ……ノってくれなきゃ恥ずかしいじゃないですかー……」
顔を真っ赤にして、気まずそうに指をモジモジ動かす義妹。
「それなら、やらなきゃいいのに……」
「ぶー、私はお義兄さんに楽しんでもらおうと思ってー」
「いいから、そういうの」
「べ、別にアンタのためにやったんじゃないからね……っ!!」
「どっちだよ」
「あ、あははははは!!」
突然笑い出す義妹。
「お義兄さん、面白いー!!」
笑いながら面白いといわれた俺は、ちょっとムッとする。
「私、お義兄さんってもっとお堅い人かと思ってましたよー」
「……」
自分で言うのもなんだが、お堅い人間だと思うが……。
「あれ、お義兄さん。どうかしましたか?」
「俺ほどつまらない人間もそうはいないと思うけどねぇ……」
「そうですかー?じゃ、相性良いんですかねぇ、私達って?」
「相性ねぇ……」
「あ、そういうの嫌いですか?」
「いや、いいよ。後学の参考にする」
「む……そんなに真面目に聞かれると困っちゃいますけど……」
義妹はコホンと咳をして、
「お義兄さんはどう思います?」
少し考える。
「……まぁ、初対面に近い状況にしてはよく話してるほうだと思う」
「ですよねー?」
首をかしげて、同意を求めてくる義妹。
「じゃあ、いっその事、付き合っちゃいましょうか、私達?」
「……は?」
「あぅ……そのリアクションは悲しいです……。私のこと、眼中に無いですかー?」
「アンタだけじゃない。付き合うとかそういうの自体がどうでもいい」
「お義兄さん……」
哀れむような目の義妹……。
「お義兄さんって、女の人とお付き合いしたことありますー?」
口を開けばこんな話か……女って嫌だね。
「生まれてこの方、科学だけが恋人だ」
「それじゃわかりませんよねー」
「何が?」
「だって、それじゃ食わず嫌いじゃないですか。そういうセリフは、恋の甘さと苦さを味わってからですよー?」
「そんなもんかねぇ」
「ほら、研究だって、理論上は可能なことでも実験してみなくちゃ分からない、でしょ?同じですよ」
……ほぅ。
「なかなか言うじゃないか」
ただのバカじゃなかったんだな。
「納得していただけました?」
「少しはな」
「そうですかー」
いやらしいほどの笑顔を見せる義妹。
「ものは相談ですけどー。お義兄さんってお酒飲めますー?」
「人並みには」
「よし、決まり。退院したら二人で飲みましょ!」
「俺と……アンタ?」
「ええ。お仕事無しで、お義兄さんと話してみたいんで。いいですよね?」
覗き込むように、俺をジッと見つめる目……。
「ま、まぁ……いいんじゃないか?」
義妹の目に耐えられず、答えを急かす。
「じゃ、決まりー!明後日の夜なんてどうです?」
「……」
早い……。
いや……まぁ……その方が……いいけど……。
───────────────────────
別に勿体つけるほどのモンでもないのだけど、一応続き。まだまだ続くらしい。
書けば書くほど、ナースとは関係なくなるし、妹とは関係なくなるし……
もっと先のことを考えてから書き始めるべきだよなぁ。まぁ、もともと企画段階から妹感は相当薄いのだけど。
しかし、なかなかピッタリな名前を付けてもらったもんだなぁ。
Σd(・∀・)GJ!!
GJ!
続きが気になります!
翌朝。
「元気そうで何よりだね」
俺の顔をジロジロと眺める白衣の優男。
「そうですか」
何がおかしいのか、俺にはわからないが、
優男の後ろで、ニヤニヤと俺の挙動を眺めているいつもの看護婦が一人……。
「とりあえず点滴はもう外して……予定通り明日にでも退院できるでしょ」
一瞬喜んだ。
が、予定通りじゃ困るんだよな。
「よかったら、この機会にしっかりとした健康診断とかしようか?」
この医者も、なかなか良い度胸だ。
「いえ、結構……」
「そう。ま、気持ちは分かるけどね。医者としては一応……ね」
「そうですか……」
「じゃ、また明日の朝にでも」
一礼をして病室から出て行く優男。
彼が出て行くのを見届けるとすぐさま……
「おはようございます、お義兄さん」
さきほどと変わらぬ笑顔で、俺に話しかけてくる。
「何か……?」
「いえ……」
俺を見てはクスクス笑う義妹。
失礼な女だ、今更だが。
「失礼なヤツだな……」
「それは分かってますけど……」
「何だよ?」
「言いにくいんですけど、お義兄さん……寝癖ついてますよ?」
「……なんだ、そんなことか」
あまりの下らなさに、思ったことをそのまま口にしてしまう。
義妹は少し驚いたように、
「気にしないんですか?」
「そこまで無頓着じゃないが……必死になって気にするほどでもない」
基本、寝癖なんか付かないしな……。
「そーですかー」
つまらなさそうに返事をする義妹。
「いや、まぁ……わざわざありがとう」
「へ……?」
間抜けな声を出して、急に手を止める義妹。
「何か?」
「いえ……何だか、意外……」
「何が?」
「お義兄さんが、素直に『ありがとう』なんて言うとは思わなかったから」
義妹は花瓶に刺さった花をいじりながら、照れたように笑う。
「ほら、男の人ってそういうの口に出すの恥ずかしがるじゃないですか。
お義兄さんは特にそんなタイプだと思ってたんですけど……意外です」
「なら撤回させてくれ」
「あ、褒めてるんですよ!そういうの、良いと思います」
「そうかい……」
ここまで言われるってのは、妙にくすぐったい。
褒められるのに慣れてないんだな、俺。
「さてと、点滴外しますか。動かないでくださいよ、お義兄さん」
義妹の顔が、一瞬で仕事の顔に変わる。
真面目そのものな義妹が、俺の少し血色のよくなった腕を優しく掴む。
気まずいような。
心地よいような。
長いような。
短いような。
必要以上に大人しくしている俺に、義妹は怪訝な表情を見せて、
「どうしました、お義兄さん?」
「……いや……」
恥ずかしくて、たまらず目を反らす。
「ふふっ……」
義妹の微笑とともに、一陣の風が吹いた。
強い風だけど、気持ちよくて。
この狭い部屋に一枚の花びらを運ぶ風。
「桜、もう咲いてるんですね」
「……」
桜なんて、気にしてなかった。それも数年単位でだ。
久しぶりに見た桜。
そして……この初めての感覚はなんだろう。
戸惑う俺に、ふぅっと風が吹いた。
義妹の掌に載った桜が、その息とともに俺の胸の上に落ちた。
驚いて顔を上げると、義妹はニッコリと笑って、
「春って気持ちいいですよね」
「あ……っと、そう。そうだな」
「ですよねー」
風を探すように、窓辺に立つ義妹。
「こんなに気持ちいいのに、お仕事なんて嫌だなー」
そしてクルリと身を翻し、
「こんなこと言ったら、お義兄さんに怒られちゃいますよね」
「まぁな」
「では、もう一頑張りしますか。お義兄さんも大人しくしててくださいね?」
「おぅ。また後で、新聞頼む」
「はーい」
小さく手を振って病室から出て行く義妹。
その光景が、頭から離れない俺。
……優秀すぎる頭も問題だ。
───────────────────────
大体どの時期に書いていたのかわかってしまうな……。
まぁ、そこまで季節外れってワケでもないし、
北海道あたりの話だと思っていただければ……w
もう書きあがってんだから一気に貼っちまえば良いんだけど、
一気に貼るのがあんまり好きじゃないんでチマチマと。まだまだ続くみたいよ。
GJ!
書きあがっていらっしゃるなら是非とも毎日更新を…!
遊星さんに続き桜の時期を逃してしまっている私も明日から続きを書き始めます。
遅くても10日までには投下できるかと。
>>遊星さん
>もう書きあがってるからこれから毎日投下します。
これから毎日ここ見ますw
>>49さん
わざわざ有り難うございます。
毎日でも良いんですけど、毎日だと……ウザくない?w
>すばる先生
自分でハードルを上げてしまいました……w
とはいえ、すばる先生の作品が控えてる以上、
前座は前座らしく早めに貼ってしまわなければいけませんな。
今日の時間は早い。
早いは早いが、それに加え不安定。
ときどき早くなったり、遅くなったり、不便でしょうがない。
「お義兄さーん!!ご飯一緒に食べませんー?」
ほら、いつの間にか昼だ。
「え……俺と……?」
「はい。ほら、少しですけど栄養の出るもの作ったんですよー」
……焼肉と鰻……。
「嫌いでした?」
「いや、大丈夫。それにしても、アンタ料理上手いのか?」
「んー……お肉は焼いただけですし、鰻は蒲焼を買いましたからねー」
……ま、それもそうか……。
「でも、上手いかどうかは知りませんけど、よく料理は作りますよー」
「へぇ」
「お義兄さん、知ってます?実は……お姉ちゃんの手料理って、前はほとんど私が作ってたんですよ」
「え……?」
衝撃発言、というほどでもないが……驚きの発言に箸が止まる。
「コレ、絶対内緒ですからね?」
「あのバカ、随分嫁の料理上手を自慢してた気がするが……」
「うーん……喜んでいいのかなぁ……」
「あんまりよくないと思う」
「ですよねー……」
はぁっと大袈裟にため息をつく義妹。
「ま、それはさておき……どうぞ、お義兄さん」
「あ……ありがとう」
義妹から可愛らしい弁当箱を受け取る。
そして、一口。
「どうですか?」
「あ、あぁ。なんか久しぶり」
そもそも食事とか、食べる。とか意識したことがココ最近無かった気がする。
「私でよければ、これからも料理作りますよ?」
小さな口でご飯を頬張りながら、何気なく呟く。
「え……」
今までの人生ではありえなかった提案にしばし固まる俺。
義妹はそれを気にする素振りも見せず、
「あ、そうそう、リンゴ買ってきたんですよ、リンゴ。今剥きますねー」
小さな包丁片手にシャクシャクとリンゴを剥き始めた義妹。
どこか嬉しそうな横顔を見ながら……少し後悔の気持ちが。
「どうぞ。やっぱり入院したらリンゴ食べなくちゃですよね」
「……」
「リンゴ……嫌いですか?」
「い、いや……食べる」
出来るだけ義妹の顔を見ないように、リンゴを受け取り、齧る。
「美味しいですか?」
「あ、あぁ、美味いよ」
「それはよかった。さてと。あんまり長居するわけにはいきませんので、私は行きますね」
「あぁ、ありがとう」
「気にしないでください」
バイバイと小さく手を振って病室から消えた。
一人残る俺は心ここにあらず。
……随分、義妹に入れ込んできている自分に、戸惑い、驚き、その他諸々の感情を感じていた。
───────────────────────
一応二夜連続で。
随分貼ってきましたが、あと少しで終わります。
次回からは妹目線になっていくので、とりあえず今回は短いですがここまでってことに。
では、また明日にでも。
>>すばるさん
楽しみに待っております!
>>遊星さん
GJ!
僕も毎日このスレに参上します!
「はぁ……」
病室から飛び出た私は、壁に寄りかかり小さくため息を吐く。
ダメだ……どんどんお義兄さんの顔が見れなくなってく……。
気にしちゃダメだと思うほど、強く意識してしまう。
「こんなの初めてだな……」
「それは恋ね。病院じゃ治せないわよ」
突然の声。
「うわぁっ!?」
「そんなに驚くこと無いでしょ?」
「声、出てましたっ!?」
「ばっちり」
笑顔で答えてくれる女性。
名前は鈴宮鈴さん。この病院の女医さんで、私の大学の先輩。
明るくて、面倒見がよくて、良い人なんだけど……。
「しかし、あのメガネがそんなに良い男かね?」
口はちょっと悪い……。
「っ!?」
「驚くなよ。みんな気付いてるって」
しかも意地悪……。
「……好きになっちゃったみたいだから……」
「簡単で良いじゃない。里見はメガネが好きなんでしょ?」
「うん。でも、お義兄さんは……違うと思います……」
「里見……両思いなんて幻想よ?気持ちなんて関係作ってから何とでもなるわ」
「関係……」
「別にカラダで迫れってワケじゃないぞ?」
「分かってますよぅ!」
そういうと、鈴さんはニヤッと笑って、
「そんなら話は早い。告れ」
「えぇっ!?」
「里見、声デカいって」
「す、すいません……で、でも……」
「いいじゃない。後腐れするような関係じゃないでしょ?」
「それは……そうですけど……」
思わず暗くなる声。
鈴さんはお見通しのようで、
「拒否られるのが怖い?」
「……はい……」
「メガネの様子を見るに、その心配は無いと思うがねぇ……」
「え……」
「いや、こっちの話……とにかく告るったら告る!メガネは明日まで動けん。絶好のチャンスじゃない?」
「……ですよね」
「そうそう。次の機会なんて無いかもしれないんだから。ね?」
「鈴さん、わかりました!!私やります!」
「そうそう、その意気。じゃ、今夜結果報告を兼ねて飲みに行くわよ」
「ええっ!?」
「成功なら祝い酒、失敗なら……奢るわ」
「わ、わかりました」
鈴さんは満足そうに頷いて、
「じゃ、雑談ここまで。仕事に戻りますか」
「はい。鈴宮先生♪」
鈴さんの後に続いて、お仕事に戻る。
……とりあえず、目の前の仕事を何とかしなくちゃ。
───────────────────────
三日連続。
あと一回とそれに加え、エピローグ的なものを予定しております。
ついにすばる先生から頂いた名前が日の目を見ることとなりました。
……申し訳ないくらいチョイ役なのですが。
ホントに申し訳ないんで、気が向いたら、このキャラでスピンオフ的な作品を書いてみようかななんて思ったり。
では、また明日。
おお!女医さんも登場!GJです!
スピンオフ作品の方も是非とも希望です!
決断は思った以上に容易だった。
こちらも、それほど本気ということなのだろう。
仕事は終わったが、着替えるヒマも惜しくて。
そのままお義兄さんの部屋へ。
「……お義兄さん……?」
大きなドアを軽くノックをして、呼びかけると、
「あぁ、入れよ」
いつものぶっきらぼうなお義兄さんの声。
それに従いゆっくり中に入る。
「どうしたんですか、電気もつけずに……」
「あ、いや……考え事してたから」
「そうですか……」
会話が止まる。
薄暗い病室に、重い空気が漂い始めた。
「あ、あのっ……!!」
「あー……っと」
ほぼ同時に話を切り出してしまった。
「あっ……お義兄さん、どうぞ」
「いや……俺は出来れば後のほうが」
「……私も後の方がいいんですけど……」
「そうか……」
また止まる。
しかし、今度はそうは長くなく、
「少しいいか?」
「え……?」
「ここじゃ話しにくいから。屋上にでも」
「えぇ、いいですよ」
「じゃ、行こうか」
お義兄さんは、ゆっくりと体を起こし、私の先を歩いていく。
頭を整理しながら、お義兄さんのあとについていく。
本当は……このドキドキから早く開放されたいのにな。
そんなことを考えながら、いつのまにか屋上に。
満月に近い月が照らす屋上は、とても静かで、私の緊張を加速させる。
「寒くないか?」
「うん、大丈夫ですよ。お義兄さんは大丈夫ですか?」
「ああ……」
静かに頷くお義兄さん
そして、
「あの……」
ゆっくり話し出す。
「今まで世話になったな」
「いえ、別に構いませんよ」
「いや……それが言いたいわけじゃなくて……なんつーか……」
「え?」
私が聞き返した瞬間の出来事だった。
風が吹いた。
お義兄さんのほうから、私に向かって。
優しくて、温かい風が。
「その……里見歓奈。好き……だ」
「はい……?」
心臓が飛び出すように跳ねだした。
耳が自分の耳じゃないように、
目が自分の目じゃないように、
心が自分の心じゃないように。
「あ……あれ……」
ポロポロと涙が溢れてきて、どうしても止まらない。
「……変……だな……」
「わ、悪い!そ、その……泣かせるつもりなんて……」
「……ぃ」
「え?」
「悪くなんてないですよ!!嬉しくて……泣いてるんだから……!!」
「えっと……じゃあ……」
「……」
今度は私の番だったのに……ココから先は、言葉にならなかった。
それにきっと、今の顔はひどいものだと思う。
それでもお義兄さんは、優しく私を抱きしめてくれた。
「……」
こうしていると安心する。
……でも何で止まってくれないのかな、この涙は……。
「ホントに、俺なんかでいいのか……?」
返事の代わりに強く抱きしめる。
「いいんだな?研究バカだし、家事できないし、酒癖だってそんなによくないし……」
まだまだ続きそうなお義兄さんの自分責めを……ゆっくり唇で塞ぐ。
「それは……」
驚いた顔のお義兄さんに。
「それは……好きになる前に聞きたかったかな」
さっきの味を忘れないようにもう一度。
「倉音さん……好き」
風に祝福されながら、お義兄さんの愛を噛み締める。
月明かりが妙に優しい夜だった。
───────────────────────
「まさか、こんなことになるなんてなぁ……」
「ホント。まさかまたお姉ちゃんの妹になれるなんて……ね」
「なぁ……後悔してないか?飽きてきたりしてないか?」
「倉音さんはしてるの?」
「いや、俺は大丈夫だけど……歓奈は……」
「もちろん大丈夫。こんなに幸せなのに後悔なんか出来ないし、飽きるわけがないよ」
「そっか」
「それに……好きな人と飽きるほど一緒にいられるって素敵なことだと思う」
「歓奈……」
「あ、照れてるー?」
「そりゃ……」
「こんなもんで照れてちゃ、結婚式なんて出来ないよ?」
「……不安だな」
「不安なんてないよ。プロポーズだってちゃんとしてくれたし。二人なら大丈夫、でしょ?」
「ま、それもそうか……」
「そうそう。さぁ、帰って祝杯あげよー!」
「また飲むのか?」
「嬉しいときはお祝い。お祝いするにはお酒が必要なのだー。って私の先輩がよく言ってた」
「じゃ、人生で一番嬉しい今日は……かなり良い物を飲まなくちゃな」
「うんうん。その意気その意気。商店街寄って帰ろうか?」
「うん」
「あ、そだ。倉音さん」
「どうした、歓奈」
「これからも、よろしくね」
「ん?」
「これ、ずっと言おうと思ってたの。さ、行こう?」
「あー……っと、歓奈。俺もよろしく」
「うん」
───────────────────────
四日目。今日で最後です。
まぁ、正直書いてるコッチも小恥ずかしいのですが、
理想は幸せそうであることなので、こんな終わり方でも良いかなと思います。
最後に、毎日凝りもせずにコメントをくれた名無しの方々。
四日間続けてここに来ることができたのも、あなた方のお陰です。どうもありがとうざいました。
ほわ〜。
丁寧に書いてて、すごく感じ入るものがあった〜。
>>遊星さん
とても良かったです。GJ!
毎日更新してくれてありがとうございました!
ハッピーエンドの心地好い余韻…!
お姉ちゃんの話も読んでみたくなってしまった…
今度もし気が向いたら宜しくお願いします!
>>55 毎度の如く終盤に向かうにつれグダグダになっていくので期待は禁物かもです。
しかも
>>50のレスした後に100行くらい書いきそれきり手つかずという……
>>遊星さん
あまーい!乙です!
アク禁かかっていてレスできませんでしたが毎日見させていただきました。
確か次は文化祭の……
>>65さん
……褒めすぎじゃないでしょうか。
いや、まぁ、読み手が感じたものが全てなので、そう感じていただけたならいいんですけど。
>>66さん
歓奈の姉……誰とどう絡ませたら良いんだろう……。
現段階ではなんともなので、アイデアが降りてくるのをのんびり待ってください。
まぁ、何にせよスレ違いであることにはかわりなさそうですがw
>すばる先生
アク禁解除おめでとうございます。気持ちは物凄くわかりますよw
文化祭は……もういっそ忘れたほうがいいかもですよw
ってのもあんまりなんで……また昔書いてた別の話を近いうちに。
正直なところ、走るのはそんなに好きじゃない。冬は寒いし、夏は暑いし、何よりも疲れるし。
努力すればしただけの記録が出る。そこは好きかもしれない。
「お疲れ様!はい、タオル」
「ありがとうございます」
先輩が差し出してくれたタオルで汗を拭く。
「なんで先輩が私のタオル持ってるんですか」
「勿論、鈴夏ちゃんのバッグから取ってきたからだよ?」
またこの人は。まぁ、ありがたくない訳ではないけど。
「勝手に人のバッグ漁らないでくれませんか?」
「まぁまぁ♪それにしても、相変わらずそんなに走っても涼しい顔してるのが信じられないよ」
「そうでもないです。結構疲れてます」
「でも、この調子なら今度の大会が楽しみだね」
「……そうですね」
「あれ?浮かない顔ー。楽しみじゃないのかな?」
大会。そんなものに興味はない。
私には人と競う事の何が楽しいのか理解できないし、する気もない。
私が走ってる事と他人と競う事は関係ないから。
「そんな事ないです。その為に練習してるんですから」
「そっか。鈴夏ちゃんの足なら一位取るのは当たり前かな?」
「そんな事ないです。やるからには全力でやりますけど」
「謙遜謙遜♪それにしても、遂に公式戦デビューだね!初・体・験♥」
楽しそうに先輩が笑う。
「はぁ」
いつもの事だから呆れて溜息だって出てしまう。
「酷ーい。先輩に向かってそーゆー態度取っちゃうんだ?」
「ねぇ先輩?」
「ん〜?」
「帰りにどっか寄ってきません?」
「いいよ〜?珍しいね。鈴夏ちゃんの方から誘ってくるなんて」
「そうですか?」
そういえば珍しいかもしれない。なんとなく誘っただけなんだけど。
「うんうん。珍しいよ。もしかして……」
「なんですか?」
何か予定でもあったんだろうか。それなら無理に誘ったりしないけど。
「私に惚れたなっ!?」
「そんな訳あるはずないじゃないですか」
「あれれ。違った?」
バカかこの人は。女が女に惚れるはずがない。桜と一緒に脳細胞まで散ってるんじゃんだろうか。
「当たり前です。バカですか?」
「昔の偉い人がこんな事を言いました。『ムキになる そんなところが また怪し』」
「ああ。バカでしたね。バカにこんな事聞くのは失礼でした。すいません」
「酷いっ!」とかなんとか言ってる先輩をいつも通り溜息であしらい、なんとなく桜の方を見てみる。
「あ」
「私の魅力に気付いた!?」
あの人が桜の木の近くにあるベンチに座っていた。
最近兄さんとよくいる人。ゆな……だっけ?俯いて何か呟いてる。
「そうでしょう。そうでしょうとも。この話を聞いて私に惚れない訳が……」
「何の話ですか?先輩、意味分からないです」
「……どうせ私には魅力なんてないですよ。別にいいもんね。気にしてないもん」
「先輩」
「慰めなんていらないよ。私が欲しいのは愛なの。私を見て。read me!」
「いい加減うざいです」
「はい。ごめんなさい」
最近の兄さんの話にはよくあの人の名前が出てくる。あの人、兄さんの何なんだろう。
「さっきから何見てるの?……あぁ、ゆなちゃん?」
「先輩、あの人の事知ってるんですか?」
「知ってるも何もいつも騒いでるから有名だよ?」
「そうなんですか?」
敢えて先輩だっていつも騒いでるとは言わないでおく。また騒がれてもうるさいし。
「最近草薙君といるとこよく見るけど、あの二人って付き合ってるの?」
「なんで私に聞くんですか」
「兄妹だったらそういう話もするのかなーって思って」
「知りません。本人に聞けばいいじゃないですか」
私だって知りたい。最近の兄さんはよく分からない。
昔はなんでも分かったのに、いつの間にか分からない事の方が多くなってた。
「んー。それでもいいけど、鈴夏ちゃんに言ってないならまだ付き合ってないのかな?」
「まだってなんですか」
それじゃまるでもうすぐ付き合うみたい。兄さんにそんな話ある訳……
「ゆなちゃんのあの猛烈アタック受けてまんざらでもないみたいだし、付き合うのも時間の問題かなーって」
「……え?」
「え?って……え?もしかして気付いてなかった?」
「だって、なんで兄さんにそんな事するんですか」
「なんでって……好きだから、じゃない?」
「だから、なんで兄さんなんですか」
だって、兄さんは私の兄さんで。その兄さんが誰かと付き合うなんて考えた事ない。
「さすが草薙君の妹。鈍過ぎだね。草薙君は結構モテモテだよ?本人は気付いてないみたいだけど。あ、噂をすれば」
モテモテ?あの兄さんが?他の女の人と歩いてるとこなんて想像出来ない。
「待ち合わせかにゃ〜?……鈴夏ちゃん?」
本当に兄さんはあの人と?
そんな事……あるはずない。
あの兄さんが。私の兄さんが。
「おーい、鈴夏ちゃーん。私の事を好き好き大好きな鈴夏ちゃーん」
「……え?なんですか?」
「ツッコミもない……。どうしたの?」
「別に。急になんですか。意味分からないです」
「急じゃないんけど……もしかして、『きゃー!私の兄さんが他の女に取られちゃう!』なんて焦ってたり?」
「そんな訳ないです!別に兄さんは私のものってわけじゃないし、別に、兄さんが誰と付き合ったって……あ」
言ってから気付いた。先輩のいつもの悪ふざけ。それにムキになって反応するなんて……
「あ、あはははは……あ、ほら、なんて言うのかな?別にまだ付き合ってる訳じゃないみたいだし、よく見たら待ち合わせっていうより偶然会ったって感じだよ?ねっ!」
「…………」
先輩もまさか私がムキになると思ってなかったんだと思う。困ってる。
「その……ごめん」
「なんで謝るんですか」
ここからじゃよく見えないし、何話してるのかわからないけど、兄さんが楽しそうなのは分かる。
きっと、家であの人の事を話す時に見せる顔で笑ってるんだと思う。
昔は私と兄さんが話して、兄さんが私と話した事を笑いながら母さんたちに話してたのに。
いつの間にか、私が聞く立場になってる。
いつの間にか、私の居場所が変わってる。
きっとこのままじゃ、これからも変わってく。私の知らない所で。
「兄さんは。兄さんは、私の兄さん……ですよね?」
「え?そりゃあ、兄妹……だし」
「そうですよね。兄妹……なんだから」
「…………ねぇ、鈴夏ちゃん」
「なんですか」
「今日はもう練習終わりだよね?」
「はい」
「寄り道なんだけど、行き先は私が決めてもいいかな」
「どうぞ」
「よし、じゃあつけよう!」
「……は?」
「草薙くんとゆなちゃんを尾行するのですよ、ワトスンクン」
「アホですか?」
「春に桜の木の下でばったり会って何もないはずがない!今日、あの二人に何か起こると私の中の何かが告げている!」
バカなのは知っていたけど、遂に頭に妖精まで飼い始めたらしい。
「先輩、妖精は架空の生き物で現実には存在しませんよ」
「何言ってるの?そんなのあたりまえでしょ。鈴夏ちゃん、春だからって少し気が緩んでるんじゃないかな?」
「先輩がそれを言いますか」
「?」
『掛ける言葉が見つからない』とはこんな時の為にあるんじゃないだろうか。
「なんでもないです。尾行なんかしてどうするんですか」
「鈴夏ちゃん、気になるんでしょ?」
「それは……気にならなくはないですけど」
「つまり、私は可愛い後輩の為に一肌脱いであげようと思ってるんだよ!」
「必要ないです」
「本当は尾行なんてしちゃいけないこと……分かってる。分かってるよ。でもね、私には思い悩む鈴夏ちゃんを黙って見ているなんて出来ないの!」
「それって見つかったら全部私のせいにするってことですか?第一、別に悩んでないですし」
「あ、ちょうどホシの片方が動き出したね。これは中々グッドタイミングですぜ鈴夏さん。牛乳とあんぱんもお役目御免だね」
堂々と話を逸らされた。
……帰ろう。
「帰ります。勝手に一人でやっててください」
「なんで!?死ぬ時は一緒だよって言ってくれたじゃない!」
「言ってないです」
「じゃあ鈴夏ちゃんはあの二人が付き合う事になってもいいんだ?」
「それは……」
――――――――――――
>>69-73 無題
すいません……書き終わらなかったので急遽全部書き直しました。
ネタも無ければテーマもないですし、タイトルすら考えてないです……orz
本来は鈴夏単独で鉱とゆなをストーキングする予定だったんですが、その話はお蔵入りという事で。
次回予告が嘘になってしまいましたが、今回は鈴夏のキャラ紹介的なものと捕らえて貰えれば。
また今回みたいな事になったら目も当てられなくなってしまうので次回予告はしませんです。
>>遊星さん
楽しみにしてます。
>>遊星さん
のんびり楽しみに待ってますー!
文化祭の方も楽しみにしております!
>>すばるさん
GJです!
一人で尾行よりも二人で尾行の方が賑やかになりそう。
名探偵さんとワトスンクンの活躍ぶりに乞うご期待!?
でも先輩の様子から見て迷探偵になってしまいそうな気も…w
次回の投下も楽しみに待ってますー!
>すばる氏
今後の展開がにぎやかになりそうで期待できるとです。
今日は良い天気だ。
俺の部屋に差し込む暖かい日差しの中、何だか眠くなってきた。
「ふぁ……いっそ昼寝しちまうか」
大きなあくびを一つ。
そして、そのままベッドに倒れ込む。
目を閉じればすぐにでも夢の世界に突入できそうな……
ピンポーン
……玄関のチャイム。
「誰だよ……」
不機嫌をたっぷり込めて呟く。
ここで、ふと思い出した。
そういえば、あの注文したもの、そろそろ届くはず……。
俺は焦る気持ちを抑えて立ち上がり、小走りで玄関に。
印鑑片手にドアを開けると、そこには……
「突撃!お勉強会ぃー!!」
……教科書片手に、やたらテンションの高い隣人、相川梨那。
と、
「お勉強会ぃ〜!!」
「……ぉおべんきょう……かぃ……」
石川姉妹。
と、
「お邪魔します、州田先輩」
立花妹。
と、
「えと……はじめまして、州田先輩」
……この人、誰よ。
「あ……あぁ、はじめまして。えっと……」
「天童です。天童葵」
……あぁ、名前は知ってるぞ。
「あぁ……天童の妹さんか」
「あ、お兄ちゃんのお友達ですか?兄がお世話になってます」
「いやいや」
……これが噂の天童葵か、こんな近くで見たのは初めてだな……。
しかし、なるほど……いいなぁ、天童……。
「ささ、自己紹介も済んだし、上がって上がって〜」
何故か仕切っている梨那。
俺は、皆を引き連れ俺の家に侵入しようとしている梨那の首を掴んで
「これは一体、どういうことかな?相川クン?」
「にゃ?勉強会でしょ?」
「何で俺の家でやるかって聞いてんだよ……!」
少し力を込める。
「にゃにゃっ!!痛い痛いっ!!だって、テスト近いし、お兄ちゃん頭良いし……!!」
「そういう問題じゃねぇだろ……!!」
「に゙ゃあーっ!!」
思い切って爪を立ててみる。
オロオロと俺たちを見ている招かれざる客たち。
「……」
さすがに……ここに来て追い返すわけにもいかんか……。
「しょうがねぇなぁ……」
わぁ、俺ってば大人〜。
「いいんですか、州田センパイ?」
と、双子の姉、唯奈ちゃんが尋ねる。
……キミ、梨那の次ぐらいに乗り気だったじゃないか……。
「どうせ昼寝のつもりだったから」
「でも……本当にいいんですか?」
と、立花妹が心配そうに尋ねる。
同感、とばかりに首を縦に振る千奈ちゃん。
「ま、立花妹には夕飯ご馳走になったりするしな。その礼にはいいだろ」
「そうそう遠慮なく〜」
「梨那は黙ってろ」
「にぎゃーぁっ!!」
……つーわけで、女だらけの勉強会が何故か開幕してしまいました。
───────────────────────
大体、女ってのは何でこんな話すのが好きなのかねぇ……。
テーブルのまわりに群がる可愛い女の子+1から少し離れたソファ。
ため息交じりで、ページをめくる。
今やるべきことはハッキリ言って、ない。
だが、客人の手前、さすがに楽な姿勢をしすぎるわけにもいかず、仕方なく勉強してるフリ。
「ねぇねぇ、お兄ちゃん。ここ、教えてよー」
ノート片手にモソモソやってくる可愛くないの。
「またお前か……どこだよ……」
「ここー。なんでこうなっちゃうのー?」
「あぁっと……分子、分母に3をかけるんだ。そうすりゃ、この定理を使えるだろ?」
「ほぉー……そういえば授業で聞いたかもー。ありがとー」
笑顔で礼を言って、また群れの中に戻る一人だけ二年生の梨那……。
……って、よく考えたら、
「天童妹がいるんだよなぁ……」
天童妹は勉強も出来るらしいし……立花妹、石川妹だってそんな悪いとは思えない……。
ってことは、このまま俺は梨那専用の存在……?
「私がどうかしましたか?州田先輩」
やや前方から、天童妹の声。
少し驚いたがそのまま、
「いや……天童さんがいれば基本的には俺は必要ないなって」
「あはは、そんなこと無いですよ」
「確かに、二年の勉強は無理みたいだな」
横目でペンを握る梨那を見る。
天童妹はそんな俺を見て、
「ホント仲良いんですね?」
と、クスリと笑う。
「そう見えるか?」
「はい。ホントの兄妹みたいです」
「それ皮肉?まぁ、幼馴染なんて兄妹みたいなものだけどな」
「……そうですか……」
俺の一言に、急に沈む天童妹。
「何よ?」
「……いえ……州田先輩に言うことじゃ……」
「ふぅん……まぁ、あの天童だしな。難しいよなぁ」
「え……?」
驚いた様子の天童妹。
「違うか?」
とは聞いてみたものの、確信に近いものなら持っている。
俺の顔は不敵な笑顔に見えているかもしれないな。
「……さすが……ですね」
「まぁね」
誤魔化しても無駄だと判断したのか、思ったよりもあっさり答える天童妹。
「ふぅん……じゃ、妹が原因じゃないのかねぇ」
「原因……?」
「アイツの女嫌いは筋金入りだからな……いや、だったというか」
「え……」
「昔からね。ちょっと前までは会話も出来なかったんだけど、最近は随分楽しそうに話してやがるからな」
天童妹が、ギュッと拳を握る。
そうだ。この人はこういう難儀な人間だったな……。
フォローフォローっと。
「てっきり可愛い妹のお陰かと思ったんだが」
「……」
何も言わない天童妹。
「ま、いいんじゃない。真実はどうあれ、そういうことでさ。少なくとも、俺はそうだと思うけど」
「はい……」
「俺を疑ってる?」
「いいえ……じゃあ、そういうことにしておきますか……」
天童妹の瞳に、次第に力が戻る。
それを満足げに眺めていると、
ピリリリリリリリリ……
携帯の着メロが鳴り響く。
画面に書かれた名前。
タイミングだけは外さない男に、思わず笑ってしまう。
「おぅ、どうした天童」
ピクッと反応する天童妹。
「州田?悪いんだけど、問題集の58ページの問2を教えて欲しいんだけど……」
「……あー、この問題か……電話口で説明するの面倒だから、お前、俺の家来いよ」
「え?でも、俺、州田の家知らないぞ?」
「気にするな。迎えが行く」
「いいのか?」
「あぁ。家で待ってろよ」
「わかった、ありがとな」
「ふっ……こちらこそ」
「何故州田が礼を言う?」
「別に。じゃ、切るぞ」
「待ってるよ」
黙って電話を切る。
そして、天童妹に向き直って。
「つーことで、頼むわ」
「……はい」
「あぁ、ちょっと待って。例の問題の答え、今書くから」
「州田先輩……」
「ん〜?」
必死でペンを動かしながら返事をする。
「ありがとうございます……!!」
「べつに。暇つぶしさ」
「そうですか。じゃあ、私、先輩と相川先輩のこと応援しますから」
「……」
……茶化されるのには慣れてるよ。
「ほれ、書けた」
「ありがとうございます……」
「ま、友達だからな。あの天童だから、腹立つこともあると思うけど、頑張れよ」
「はい!!」
お辞儀をして、我が家を後にする天童葵。
「ありゃー、葵ちゃん帰っちゃったんだー」
その後姿を眺めながら、梨那が呟く。
「あぁ、用事があるんだと」
「そっか。残念ー。それより、お兄ちゃん、ここ教えてよー。」
「んー?どれ?」
「58ページの問2ー」
「あぁ、これはなー……」
今頃天童家では何が起こっているのやら……。
まぁ、天童だしな。
妹怒らせてないといいけど……。
───────────────────────
妹関係なくないか、コレ……大丈夫か、昔の俺。
この際だから言います、言っちゃいます。
散々引っ張った文化祭の話は、この話の後に繋がる話で、
未来双子葵でバンドを組む。みたいなノリだったのですが、
まぁ、演奏描写なんぞ当然書けず、
無駄にセルフコラボしたワリにはいつにも増して薄っぺらになってしまったので放置してたワケです。
部分部分は悪くないと思うんであとは流れを何とかできれば、納得できるかなと。
何にせよアイデア待ちな感じなので、ゆっくりと待っていただけたら。
>すばる先生
こういうノリ好きです。
続きを期待しておりますゆえ、お早めにw
GJすぎる!!
>……これが噂の天童葵か、こんな近くで見たのは初めてだな……。
>しかし、なるほど……いいなぁ、天童……。
「可愛い」と云う言葉を使わずに可愛いことを表現しているのがイイ。
>「そうですか。じゃあ、私、先輩と相川先輩のこと応援しますから」
予想外。でも逆に云えば、予想を読者にさせしめるだけの描写が
できているからなのだろう。
イイ!続きが楽しみ。焦らずしっかりと。
GJです!
勉強会、懐かしい…
集まった友達と喋りまくったり
ゲームやる方に夢中になっちゃって、
ちっとも勉強が捗らなかった記憶があります…w
文化祭でバンド、良いですねー!
ゆっくりまったり楽しみに待っておりますー!
保守。
文化祭のアイデア出てくれない。ホントに秋までかかったりして……w
その代わり別のネタばかり出てくる……例の日にでも使おうかな。
最近だんだん暑くなってきましたねぇ…
これ置いておきますんでのど渇いた方はどうぞー
っ【氷入り冷たい麦茶】×3
>>遊星さん
秋までって…まだ夏も来てないですよw
例の日って何の日だろう…
楽しみですー
氷入り冷たい麦茶よりも氷庫さんが欲しい今日この頃……
姉スレが活気付いてきてるので私もさぼってないでそろそろ続きを書き始めるとします。
遊星さん>
楽しみにしてますよ〜
>>88 >例の日
……一応二年前からやってみたりしてるんだけどな。
まぁ、いいや。7月12日です。詳しくは過去ログで。
>すばる先生
姉スレ、名前消すのを忘れて書いてしまった……。
ま、それはさておき……俺はしばらくアイデア無いので……
すばる先生。頼りにしてますよw
hosyu
>>すばるさん
楽しみに待ってます!
姉スレへの投下も待ってますよー!
>>遊星さん
失礼しました…
まだ祭りはだいぶ先だけど今から待ち遠しいっす!
期待しております!
94 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/06/02(土) 03:27:22 ID:AExunG9q
露と散れ
95 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/06/02(土) 03:29:53 ID:AExunG9q
剣道部のエース
黒髪ロングで昔の事故で右目が薄赤のオッドアイツンデレ寡黙
剣道するときは長い髪を束ねる
俺が世話しようとすると竹刀つきつけてきて
お兄の忠告はいらない
とか怒らせると
露と散れ
とかつぶやく
>>すばるさん
そうですかー
気長にお待ちしておりますので
お手すきの時はお願いします!
妹SSの続きも待ってますー!
サイトって小説のサイトでしょうか、
(既出でしたらすみません…)
97 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/06/04(月) 07:46:10 ID:hC7WVdp+
ロリっ子は?
>>95 妄想したらちょっと萌えました
>>96 ゆなの話がなかなか進まないので、とりあえず今書いてある分を2、3日中に投下します〜。
サイトの話を出したのは初めてですよ。一次・二次創作サイトにするのが目標です。多分。
スレタイとかコテとかヒロインとかで適当にググれば見つかるようにはしてあるんで、もし、興味があれば。
「せんぱ〜い!」
飲み物を買いに出てすぐ、さっき僕を送り出した声が後ろから聞こえてきた。
少し頬を火照らせながら走ってくる声の主は僕の元まで走ってきて、両手を膝に付き息を整え始める。
本当に出てすぐだから、これくらいで疲れるのはどうかな、とも思うけど、口に出さないでおく。
「先輩、やっぱり、ゆなも、一緒に、行きます」
「走ってこなくても、学校で待っててくれて構わないのに」
「だって、飲み物を買いに行くって、どこまで行くつもり、ですか」
「ん……一番近くの自販機まで……かな」
実はこの自販機、少し遠い。学校の中にある事にはあるのだけど、さすがに私服で学校に入るのもどうかと思いこちらを選んだ。
それが何か問題でもあったんだろうか。
「一番近くの、自販機って言っても、10分以上掛かるじゃないですか。だったらゆなも、行きます」
「……そう?そうだね。じゃあ、行こっか」
そう言って改めて前を向き歩き始めた僕だが、ゆなに動く様子はなくもう一度振り返る。
「でも、その……ちょっとだけ、待って貰えないかな、なんて」
さっきから言葉が変に途切れると思ったら、まだ疲れてたんだ……。
息を整え始めた時からずっと俯いていたから気付かなかったが、よく見るとまだ頬がほんのり赤かった。
この体力の無さには少し同情を覚える。
「べ、別に疲れたとかそういうんじゃないんですよ!?急いぐ理由もな、ごほっ……急ぐ理由も、ないから……」
慌てて誤魔化そうとするが全く意味が無くて、というか、逆効果だったり。
そんなゆなを見て、少し優しい気持ちになってしまったりもする。
「……別に無理しなくても大丈夫だよ。ちゃんと待ってるから」
「はぅ……すいません」
そう言って俯いてしまう。
「謝る事じゃないよ」
そう言って、なんとなくゆなの頭を撫でてあげる。
普段なら髪が乱れると怒るのに、ゆなが怒る様子はなかった。
それから特にする事もなく、ゆなを撫でる手の行き場もなく、沈黙。
「…………」
学校からは部活に励む声が聞こえ、空からは鳥の声が聞こえる。都会でも田舎でもない中途半端なこの地域だから、休日のこの時間は車も少ない。
「平和だなぁ……こんなに平和だと、なんていうのかな?悪い事が起こる前触れ、みたいな気がするのはなんでなんだろう」
「!」
上下していたゆなの肩がビクッと跳ねて固まる。
「どうしたの?」
「ゆな、何も企んでないですよ?」
「…………」
なんとなく―――本当はなんとなくなんかではないのだけれど―――行き場を失っていた手を離す。
「なんでそんな目で見るんです!?なんで離れるんです!?ゆな、今何も企んでないって言ったじゃないですか!」
「……うん……そうだね」
「だからなんでそんな目で……。先輩は、ゆなの事を信用できないですか…?」
目を潤ませながら上目遣いに見つめてくる。
この目をされるとまるで拾ってきた捨て猫を親に叱られ、もう一度捨てに行く時のような、どうしようもない罪悪感に捕らわれる。
僕は悪くないのに、まるで僕が悪いような。そしていつもゆなのペースになってしまう。
せっかくの平和な時間……なんとかこの時間を守らなくては。
なんとか……なんとか……
「……もう疲れはとれたよね?そろそろ行こっか」
そう言って僕はそそくさと歩き出す。
これは仕方ないこと。仕方ないこと。僕が悪いんじゃない。だって僕はこの子を助けようとした。なんて本当に拾った子猫をまた捨てるような心境になる。
「あからさまに話をそらされた!?」
「あはは……」
「しかも笑って誤魔化そうとしてる!」
「な、なんのことかな……」
「先輩、嘘つくの下手すぎです!」
「む……早く来ないと追いつけなくなっちゃうよ、歩幅的に」
「酷いです!気にしてるのに!」「
ゆなの心無い一言に傷つきつつ怒りつつ。
これはこれで平和というのかな、なんて思いながら歩き続ける。
この時僕は、この平和な時間があっさりと壊されるとは思ってもいなかった。」
◇ ◆ ◇
「ゆなの心無い一言に傷つきつつ怒りつつ。これはこれで平和というのかな、なんて思いながら歩き続ける。この時僕は、この平和な時間があっさりと壊されるとは思ってもいなかった。……そう。あの大人しい鈴夏が、まさかあんな事を……」
「何言ってんですか?」
「やだなぁ。ちょっとモノローグっぽく語ってみただけだよ。それで、どんな事をするの?」
「何もしません」
はぁ。と溜息をつき歩き出す。
「何もしない?中睦まじげなカップルを尾行してるのに?」
「っ!」
「あははー。図星突いちゃってごめんねー」
「これは、先輩がうるさいから、仕方なく……」
「自分から歩き出すほどノリノリなのにぃ?」
「先輩がうるさいから、仕方なくです!」
「はいはい、そういう事にしといてあげる」
―――――
エロゲー発売ラッシュに見事に引っ掛かってしまい、なかなかこっちに手が向きません……。
そんな私にいえるのはひとつだけ。本当、グダグダですいませんorz
>すばる氏
乙カレー。仔猫に関する比喩を、
あえて繰り返してるあたりが技巧的なのではないか、と。
旧家に生まれたかった
女みたいな顔で体が弱くていつも屋敷で療養してるから滅多に学校行けない
色白黒髪ストレートの妹がいて小さい頃から京都の分家のとこになんかの修行で住んでて京都弁話す
10年くらい会ってなくてある日帰ってきて
俺が咳しながら苦しんでる寝床に血のように赤い着物着て現れて
兄や、おひさしゅうございます
って言っておでこ撫でてくれんの
ちなみに絵柄はシャイニングティアーズぽい絵柄で
こんな妹欲しかった
兄
「ほしゅ」
妹
「お兄ちゃん!?なんで保守したの!?」
兄
「たまにしたくなるんだ」
妹
「たまにしたくなるの?」
「保守ってそんな簡単にしたくなるものなの?」
兄
「とりあえずね」
妹
「とりあえずしたくなるものなんだ?」
「私は怖くて書き込みすらしたことないけど……こういう所って結構みんな普通に書き込みしてるの?」
兄
「とりあえずね」
妹
「とりあえずで普通に書き込んじやうの!?」
「驚きだよ……カルチャーショックだよ……」
「じゃ、じゃあ私が保守してもその、叩かれたりageられたりしないかな?」
「でも、こういうのってタイミングとか重要だから、やっぱり私には無理……かな?」
兄
「とりあえずね」
妹
「とりあえず無理なの!?じゃあ、一体どうすれば保守出来るようになるかな?」
「やっぱりこういう匠の技は見て覚えるしかないの?」
兄
「とりあえずね」
という事でとりあえずCLANNAD風味に保守
106 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/06/28(木) 21:46:30 ID:XSYCdjW9
Hosyu
妹にエロマンガ読ませてます
わすれな
108 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/06/30(土) 16:46:07 ID:1T8mQqjU
新作待ち
「私の鍛え上げた背中を見てくれ
こいつをどう思う?」
妹「すごく…しょぼいです」
110 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/07/03(火) 21:19:25 ID:gRuy9VBH
上げ
>>すばるさん
GJです!
ゆなちゃんヤバイくらいに超カワイイ…
続きの投下待っております!
サイトも訪問させて頂きに参りますー!
>>105、兄ちゃん適当で笑えますねw
>>109も笑えましたw
誰もいないの?
一応いますよ〜。
>>111 どうもです。
次の投下まではちょっと時間かかりそうなのでしばし、というか結構お待ちを。
俺も一応……。
例の日の準備中ですので。しばらくお待ちを。
この空気の中でこんなことを言うのは非常に辛いのだけど……
自己満足祭りを今年も個人的に開催しようかと思います。
年々スケールダウンしていくので、今年あたり最後だろうなぁ。と思いながら見ていただければ、少しは楽しめるかも。
明日の事でしょうか?
楽しみに待ってます〜
>>すばるさん
いつまでも待ち続けておりますので
お手すきの時には是非続きをお願いしますー。
>>遊星さん
お祭り期待しておりますよー!明日は妹スレに全員集合!!
人間の成長とはなんと無情なものだろう。
昔はよかった。なんていいたくは無いけど……。
この場合は、絶対に昔はよかったと自信を持って言える。
なぜなら……
「大河ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
豪邸の中にそんな声が響く。
あまりの大音量に窓がビリビリと震えている。
「またですか……」
ため息をつきながら、重い腰をあげる。
大きな音を立てないように静かに、それでいて急いで歩く。
静かさと速さ、なかなかバランスが難しい。
俺を呼ぶ声のする部屋まで、つま先立ちで跳ねるように歩いていく。
「お呼びですか。ひかるお嬢様」
ドアを開けるとそこには、
「遅い!!」
目を吊り上げた少女が仁王立ちで俺を待っていた。
「呼んだら三秒で来なさいっていつも言ってるでしょ!?」
「……申し訳ありません」
「あと、ノックぐらいしなさいよ!!」
「……申し訳ありません。以後気をつけます」
ストレス……。
「まぁ、いいわ。早速だけど、大河!かぼちゃのプリンを買ってきなさい!!」
「は?」
「食べたくなったの!!昨日テレビでやってたでしょ!?アレが食べたいの!!」
「あの……」
「何よ!?」
「その店までは一時間はかかりますよね?さすがに今から一時間後には、お店は閉店してるかと……」
「だったら、もっと早く家出ればいいでしょ?」
「はぁ……?」
「大河は仮にも私の付き人でしょ?それぐらい察して、夕食後には買ってくるとか気を回せないの!?」
「……てめぇ……」
「いいのよ別に。大河は借金が大好きなのねー?」
「分かったよ!!行くよ!!行けば良いんだろ!!」
「行けば良いのよ」
もう静かにとか言っていられない。
ボロボロのスニーカーを装着し、一目散に駅に走る。
電車は完璧に把握している。
目的地に向かう電車まであと五分。
俺の足なら急げば間に合う。
しかし、問題は別のところに。
「あ……」
……電車代足りるか……?
───────────────────────
ひかる……いや、ひかるお嬢様は俺の従妹。
昔はホントに可愛くて素直で、俺のことをお兄ちゃんと慕っていたような女の子。
……でも、あくまでそれは昔の話。
今は見ての通りの暴君っぷりで。
親父の借金を肩代わりしてもらう代わりに、俺は住み込みでひかるお嬢様の付き人をやっている。
……住み込みといっても、家賃は納めてるし、食べ物だって自分持ち。決してラクではない。
まぁ、無利子で借金を立て替えてくれるんだから文句は言えないけどさ。
「……貧乏生活も楽じゃねぇな」
大通りをトボトボ歩きながら呟く。
閉店には間に合った。お目当てのプリンも最後の一個を買えた。
ただ、電車代が少し足りなかったばかりに、一駅分歩くことになってしまった。
「よかったよ、一個しかなくて……」
プリン=電車賃三駅分。いや、もっとか。
急がねばせっかく買ったプリンが温まってしまうと言うに。
いや、やっぱり問題はそこじゃねぇ。
「バイトの給料日まであと三日……」
……一応米ならある。
逆に言えば、米しかない……。
「三日白米か……」
キツいなぁ……。
……せめてチャーハンにならないかなぁ。
そんなことを考えながら歩いていくと、いつの間にか家の前。
……感じる。ひかるお嬢様の怒りのオーラを……!!
ドアを開けるのを躊躇ったが……仕方ない。借金、棲家、そして部屋の米を背負って、ドアを開ける。
「……!?」
ドアを開けると、お嬢様が立っていた。
さぞ怒っているかと思いきや、
「た、大河っ……!」
ちょっと嬉しそう……。
そんなにプリンが食べたかったのか……。
驚いたのも束の間。
「お、遅かったじゃない!!」
いつものお嬢……。
「すみません。ちょっと電車が……」
「まさか乗り遅れたなんて言うんじゃないでしょうね?」
「……いえ。申し訳ありません。言い訳は恥と肝に銘じます」
つーか、電車代足りなかったなんて恥ずかしくて言えねぇ……。
「まぁ、いいわ。それより大河!」
「はい。何でしょうお嬢様?」
「勉強見なさい。明日小テストなの」
「え?プリンは……」
「もう九時過ぎてるのよ?今から食べたら太るじゃない!」
……この女め……。
「何よ?」
「……いいえ、なにも……」
……胃に穴開きそう……。
「さ、行くわよ。誰かさんのせいで待たされたんだから」
……この溜まりに溜まったストレスよ……。
───────────────────────
「……何よ、自分は分かるー、みたいな顔してさ」
「僕が分からなくてどうするんです……」
「むぅ……」
数学は苦手なお嬢様。
ちょっと優越感。いやぁ、数学っていいですね!
「……」
「ほら、そこ計算ミス」
「……う、うるさい!分かってるわよ!!」
「それはよかった」
「何でよ……」
お嬢様のペンが止まる。
「え?だから、さっき言ったとおり、辺CDを……」
「そうじゃない……」
「は?」
「そんなに頭良いのに、何で就職なんてするのよ……」
「は……?」
「聞いてないよ、就職するなんて……」
「あぁ、進路調査書……か」
机の上の一枚の紙切れに目をやる。
「そんなこと言わなくても察して欲しいのですが」
「一人暮らしするの……?」
「それが理想ですね」
今でも半ば一人暮らしだけど。
「……」
「……?」
沈黙。
ガタッ。
そして、突然お嬢様が無言で席を立つ。
何か声をかける暇も無くおもむろに机の上の紙を掴んで……や、破ったっ!?
「な、何をするんですか!?」
「いいの、こんなのいらないんだから!!」
「いや、必要ですから!!」
「うるさいの!大河のものをどうしようと私の勝手でしょ!!」
「だからって……」
「うるさい!うるさーい!!就職なんて、絶対許さないんだから!!」
「え……?」
「大河は大学に行って、私も次の年に同じトコに入って、で、大河と一緒に勉強して、一緒にご飯食べて……
だから就職なんてダメなの!!絶対ダメなの!!」
「お嬢様……?」
だからってどこにそんな金があるのさ……。
「あの……別に就職するのはここが嫌いだからじゃないですよ」
「え……?」
「早く借金返さないと、旦那様に申し訳が立ちませんからね」
「だったら……だったら、なおさらダメ!!」
「何で?」
「……借金が無くなったら、大河が私のこと忘れちゃう……
私と大河の繋がりが完全になくなっちゃう……」
んー……弱いなぁ、こういうの。
「大丈夫だよ、ひかる」
見られないようにそっと涙をこぼす彼女の前では、俺はあのときの『お兄ちゃん』に戻る。
「お兄ちゃん……」
「俺はひかるのこと忘れないし、いつだってひかるの傍にいる」
「ホント……?」
「もう少し、ひかるが素直になってくれたらな」
「……意地悪」
「え……」
「なんでもないっ……!」
慌てて誤魔化すひかる。
俺はそんなひかるを見て、
「それで、今日はご機嫌斜めだったんだな……」
「……ゴメンなさい……大河お兄ちゃんと離れ離れになるって思ったら……」
打って変わって、しおらしいひかる。
「……ねぇ、大河お兄ちゃん。やっぱり大学行こうよ」
「でもなぁ……」
「お父さん、大河お兄ちゃんに期待してるんだよ?
だから、一杯勉強してすごく頭よくなってお父さんのお仕事手伝って……それからでも借金返せるよ」
「……うーん……」
「ね?」
いや、条件より何より
……この笑顔に勝てるものか……。
「わかった。大学……行くよ」
……言っちゃった。
「うん。お父さんに伝えとくよ」
嬉しそうなひかる。
しばらくニコニコしていたが
「ふぅ、安心したらお腹すいちゃった。大河、プリン持ってきてよ」
恥ずかしいのか、いつものお嬢様に戻る。
「食べるんスか?」
「うん。大河も半分食べる?」
「いや……自分は……」
「あら、大河に拒否権はないのよ?」
「……いただきます」
「そうそう。素直なのは良いことよ」
お嬢様とひかる。付き人と兄の間を行ったり来たりの二人。
どう考えたって前途多難以外になりそうにもないけど……
まぁ、人が言うほど、この暮らしも悪くはない気がしてきたよ。
───────────────────────
ウチの妹はおかしい。
信じられないくらい変な女だ。
どの辺が変かというと……
「あ、お兄様〜♥」
体中の骨が溶けそうなほど甘ったるい声で呼ばれた。
ため息とともに振り返ると、
「お兄様〜♥奈央ね、お兄様に会えなくて、すっごく寂しかったのー♥」
大袈裟なアクション込みで話し始める。
「あぁ、そうなんだ……」
「でも!でも♥こうして学校も終わったことだし、二人でお家に帰ろうねー♥」
「……あぁ、まぁ、結果そうなる」
「ふふっ、お兄様も結構大胆なのね♥」
「そうかな……?」
そうじゃないだろう……。
「気にしないで、お兄様♥お兄様の気持ち、奈央がしっかりと受け止めます♥」
感謝して良いのだろうか、これは。
「そうそう、お兄様ー♥今日は時間があるから、奈央が夕飯を作りますね♥」
「悪いよ」
「いいんですよ♥お兄様に尽くすことが奈央の幸せですから♥」
「そうなんだ……」
その幸せが非常に重いのだが……
「ね、ね♥お兄様♥夕飯は何が食べたいー?」
「いや、何でも……」
「もー、お兄様ったら遠慮深いんだからー♥」
このポジティブ思考が羨ましい……
「お兄様が素敵なのは分かりましたからー、せめて系統を教えてください。和?洋?中?」
「そうだなぁ……」
この場合は……
「奈央の一番得意な料理が……」
「お兄様、そんなに奈央の料理を……!
わかりましたお兄様!この私、愛するお兄様のため、一生懸命作りますわ」
「あぁ、頑張って……」
「あ!申し訳ありません、お兄様!食材の買出しに行ってきますので、お先に帰って待っててください!」
「あ、うん。頑張ってね」
「はい!では!」
名残惜しそうに僕の顔を見ていたが、覚悟を決めたのか勢いよく走り出した奈央。
こう言っちゃ悪いけど……やっと一人になれた。
───────────────────────
本当に、奈央のことはよく分からない。
確かに僕に懐いていたけど、ここまでだったかどうか。
「お兄様?」
不思議そうに僕の顔を覗き込む奈央。
「美味しく……なかったですか?」
「いや、そんなことは……」
「そうですか!沢山作りましたから、どんどん食べてくださいね!」
ドンと目の前に置かれる大盛りのポテトサラダ。
……こんなに食えないって。
それよりも、
「ねぇ、奈央……?」
「何ですの、お兄様?」
「……何かあったの?」
「え……?」
動揺の色が奈央の顔に浮かぶ。
こういう違和感はなかなか外れないものだ。
「いつもと何か違うから」
「……お兄様には敵いませんね」
奈央がぎこちない微笑みを見せた。
「僕でよければ、話聞くけど」
「……聞かないでください」
「……?」
「お兄様には言いたくありません……」
「ダメだ」
「……」
「そういう話ほど……僕が聞いといたほうが良い話だと思うよ。だから……奈央?」
「お兄様……」
奈央は覚悟を決めたのか、大きく息を吸い込み
「奈央は……見合いをすることになりました」
「……誰と?」
「許婚と聞きました……ですから、おそらく見合いといっても……」
「……」
「奈央は……お兄様と離れたくありません……」
俯いたままの奈央。
震えた声だけが耳に刺さる。
「奈央は……奈央は……」
「奈央……」
僕に出来ることは何だろう。
慰めることか?送り出すことか?
……違うよ。
もっと大事で大きな一言を、僕は持ち続けてきたんだから。
「奈央……僕は……僕も……」
「え……?」
「ずっと……奈央のこと……好きだから……だから、お見合いなんて止めてくれ」
「お兄様……?」
「ゴメン……僕はあんまり喋るの得意じゃないから」
「……お兄様……」
ガラにもないことを言ってしまった。
奈央が僕を不思議そうに見ている。
熱い頬を隠すため、俯いて奈央の返事を待つ。
「……お兄様」
その返事とは以外にも。
「では、お父様に早速連絡しませんとね♥」
「……は?」
「お兄様の気持ちはしぃっかり受け取りました♥これで二人は晴れて両想いですものね?」
「あれ……?お見合いは……?許婚は……?」
まさか……
「嘘?」
「嘘じゃありません。お見合いはする予定はありました。
でも、奈央はお父様に言ったんです『お兄様以外の人と結ばれるつもりはありません』と」
「……で?」
「お兄様次第ということで、許可を頂きました。もちろんダメでしたらきっぱりと諦めるつもりで」
「……許婚は?」
「うーん、随分昔に決められたものですから。今じゃ状況も違いますし、両家とも強制はしてないようです」
「……」
いいのか、それで……。
「もう聞きたいことは無いですか?」
「……一応」
「では難しい話はここまでにして、これからはずっと一緒ですねー、お兄様ー?」
「……ハメられた……」
「やーん♥お兄様、人聞きが悪いですわー♥奈央は、お兄様の本心を引き出しただけですもの♥」
「……」
奈央には負けっぱなし……。
……でも、試合には勝ったのかな。
───────────────────────
そりゃ、この歳になってできた妹だもの。
普通に可愛いし。
異性として意識するなって方が無理だって思うし……。
「お母さーん!!瞳のブラ、知らないー!?」
「ふぁ……」
小さく欠伸をしながら階段を下りる。
理由はどうあれ、珍しく早起きした自分を褒めながら、最後の一段を飛び降りる。
すると、
「きゃっ……!!」
角の向こうから現れた少女が、俺とぶつかりそうになって咄嗟に身を引く。
「お、お兄ちゃん……?」
「あ、悪い。瞳」
「おはよう、お兄ちゃん。今日は早いんだね?」
「……」
胸を見る。
……結構……ある……。
「どしたの?」
俺の顔を覗き込む妹。
「い、いやなんでも……それより急いでるんじゃないのか?」
「あはは、そうでした」
ペロッと舌を出して笑ってみせる妹。
……そりゃ……可愛いよな。
「じゃね、お兄ちゃん」
俺の脇をすり抜け、勢いよく階段を上がっていく妹。
「あぁ」
そして階段の上で振り返り、
「たまには早起きしなくちゃダメだよー?」
「分かってるよ」
適当に返事をして、ダイニングへ。
用意された朝食をモソモソと食べていると、
「お兄ちゃん」
ドアから顔だけ出した妹が
「じゃあ、行ってくるね?」
「ああ、朝練頑張れよ」
「うん。お兄ちゃんも、よかったら見に来てね」
「いつかね」
「約束だよ!」
底抜けに眩しい笑顔を見せながら、小さく手を振って家を出て行く妹。
……やっと行ってくれて、ホッとしたやら残念やら。
苦い顔でコーヒーを一口飲むと、
「あ……あのコ、お昼忘れてる」
後ろで義母が呟く。
「あぁ、よかったら届けますよ」
「ホント?あのコも喜ぶわ」
「……喜ぶ?」
「えっと……コッチの話。じゃあ、お願いね。お昼はチア部の部室にいるらしいから」
「わかりました」
俺の昼と、一回り小さい妹のお昼。
……どうやら俺もかなりの本気ぶりらしい。
───────────────────────
「さてと……行こうかね」
昼休みを告げるチャイムを聞いて立ち上がった。
チア部の部室とは聞いたが、そもそも部室の場所を知らない……。
まぁ、運動部の部室は一つに固まっていると聞いたから、大体の場所は分かる。
片手に弁当を二つ持って、歩き出した。
運動部部室群は屋外にあって、この熱気の中を歩いていくのは少し嫌だったが……仕方ない。
汗を流しながら歩いていくと、目的地にたどり着いた。
俺には何の用も無い場所。場違いも良いところだ。
「チア部チア部……っと……」
と呟いて気付いたが、部が部だけに怪しいセリフ……。
しかもそういう発言ほど、聞き流してくれないもののようで。
「こら!!何してるんだ、そこで!!」
思わず体が震える。
「……いや、別に俺は……」
言い訳しながら振り向くと、
「や。お兄ちゃん」
嬉しそうにこっちに歩いてくる瞳。
「何だ、瞳か……」
全身の力が抜ける。
「もー!声で分かってよね、声でー?」
「まぁ、それもそうなんだけど。ゴメン」
「あはは、素直でよろしい。それより何かご用?あ、何か部活始めるとか?」
「まさか」
即座に否定。
……瞳の前では言えないが、この炎天下。出来れば運動はしたくはない。
瞳は残念そうに唸った後、しばらく考えていたが、
少し遠慮がちに
「じゃあ……練習、見に来てくれた……とか?」
「近いな」
「……近い?」
何だか嬉しそうな顔。
……面倒になってきたので、ネタ晴らし。
「弁当、忘れただろ?」
「え……あ、そういえば……入れてないかも……」
「ほら、これ。お義母さんから預かってきた」
「わー!お兄ちゃん、ありがとー!!」
笑顔が眩しすぎる……。
「んじゃ、俺は……」
「あ……お兄ちゃん?」
「何か?」
「もうお昼ごはん食べちゃった?」
「まだ昼休み始まったばっかりだぞ?」
「あ、そうなんだ!」
笑顔がさらに眩しく……。
「よかったら、練習見ていって欲しいなーなんて……思うんだけど」
「練習?今から?」
「うん、大会が近いから。お昼半分だけ練習してるんだ」
「ほー、大変なんだな。しかし、俺で良いの?」
「うん。大歓迎だよ。人の目があったほうがやる気になれるし……それに……」
「それに?」
「ううん、なんでもない!!き、着替えてくるね!!」
俺からランチボックスを受け取ると、というか奪い取ると、一目散に部室へ走っていく。
答えを聞かれぬまま、残された俺。
「……なんだか、見ていく流れ……?」
一筋の汗が流れる。
……望むところといいたいが……。
───────────────────────
「あ、お兄ちゃん!」
更衣室から現れた妹。
ブルーのワンピース状のチア服を身にまとっている。
細く締まった二の腕や、ヒラヒラのスカートから覗く太腿が眩しい。
それより目が行ってしまうのは……無防備な二つの膨らみで……。
「お……お兄ちゃん……目が……えっちだよ……」
顔を赤らめながら、胸を隠すように腕を組む妹。
「は!?」
自覚なし。その分、性質が悪し。
「え、えへへー……し、仕方ないよね?お兄ちゃんも、男の人だしー……」
本人の必死のフォローが泣ける……。
「……ゴメン」
「え、あ……いいの。お兄ちゃんにやっと見てもらえて嬉しいよ」
頬を赤らめ、微笑を見せる瞳。
……あぁ、嫌な予感。
「似合う……かな?」
やっぱり……。
「うーん……」
そりゃ似合う。正直可愛いと思う。
だが。さっきの件もある……正直に言ったらさすがにヤバいのでは……。
「……答えにくいよね……。変なこと聞いてゴメンね?」
応えるより先に、後ろ向きな答えで納得してしまった妹。
「え、いやっ!そんなつもりじゃ!」
必死で取り繕うも、もはや手遅れ。
「ううん。いいのいいの。さ、練習練習!!」
誤魔化すように、仲間の待つ炎天下のグラウンドへ駆けて行く瞳。
……後悔。
───────────────────────
笛の音とともに、舞うチア部部員一同。
足が上がるたびに、その……素敵なものが見えるのだけど。
「チラリズム的にはイマイチ……」
……なにも口に出すこたぁねぇだろ、俺。
まぁ、見えても良い物なんだけどね、アレは。
「だからこそ……」
黙ってくれ。
それにしても、やっぱり瞳は可愛い。
……言い忘れた感があるが、恋愛感情は無い。無いったら無い。
「炎天下でついにおかしくなったか、俺も」
思考の乱れを感じ、思わず呟く。
瞳が頑張っている以上、俺も日陰で観察というワケには行かない。
だが、応援部を応援する気にもなれず、ただ呆然と立ち尽くす怪しい男な俺。
フィナーレに向けて加熱していくチア部一同と、茹っていく俺の脳。
そんな中で、俺はずっと妹に釘付けになっていることに気付いた。
俺の目を奪って放さないのは何だ?
一切の曇りも無い笑顔?
日焼けとは無縁の白い肌?
『全部』なんて言うのは安っぽいセリフみたいで癪だが……恐らくそれが正解。
気持ちが伝わるってのは、きっとこういうことなんだと思う。
「あ、おーい!!」
だんだん妹に染まっていく俺の脳に止めを刺す妹の声。
「ふぅ、お兄ちゃん。お待たせー」
「おぅ、お疲れ」
「あ、ゴメンね。付き合せちゃって」
「いや、見てるのも楽しかったし」
「そうなんだ。嬉しいなー」
タオルをギュッと握り締め、満面の笑顔。
あぁ、可愛いっ!!
「あ、あの……お兄ちゃん?」
「ん?」
「よかったら……お昼一緒に食べない……?」
「俺と?」
「うん……いつもはみんなと食べるんだけど……みんなが……」
チラッと後ろを見る瞳。
その視線の先には、楽しそうにこちらを見物しているチア部部員。
「ダメかな?」
「いや、全然」
……本心はかなり嬉しいです。
「うん、じゃあ行こう?いつもね、あの木の下で食べるんだ」
スキップするように歩く妹のあとに続く。
「あ、結構涼しい」
木陰となった芝生の上に腰を下ろす。
ここには良い風が吹くようで、さっきまでの暑さからしばし開放され、
体に溜まった熱気を吐き出すように大きく息を吐いた。
「あ……」
さっきまでの元気な瞳はどこへやら。
急に座るのを躊躇い始める瞳。
「どうした?」
「う、ううん!!なんでもない!!あ……あの……やっぱり一緒に食べるのは止めない?」
「……?まぁ、いいけど……何で?」
「……だって……汗……かいてるし……」
「気にしないぞ?」
「でも匂いとか……」
「気にしないって」
「ホント……?」
「本当だよ」
女の子ってのは大変だなぁ……。
いや、俺だって多少は気にするけどね。
「義理とはいえ、兄貴にそんな気使わなくても良いのに」
何気無く言った一言。
……だが、受け取る側は何かを感じてしまったようで。
「ダメだよ……」
俺の目の前にペタンと座り、真っ直ぐに俺の目を見る妹。
その姿、その視線にドキッとする。
「嫌われたくない……」
「へ?」
「お兄ちゃんのこと大好きだから……だから……そんなことで嫌われたくない」
真剣な眼差し。
……逃げることは許されない。それは男として恥ずべきことだから。
でも、真面目な方向に話を進められそうにない。
……なぜなら、俺の理性は熱で緩くなっているから。熱可塑性だっけ……?
「瞳ー!」
一気に距離を詰め、小さな肩を抱く。
汗?匂い?嫌われる?そんなの知るもんか。
「あぁ、もう!!お前は可愛いな!!」
「お、お兄ちゃん……?」
「ずっと可愛いと思ってたよ。チア服だって似合ってる」
「ど、どうしたの……?」
キョトンとした妹。
「何?何でそんなに俺の心をくすぐるわけ?」
「え……」
「あぁ、もうはっきり言うよ。俺も瞳のことが好きになった」
「ウソ……?」
「さすがにそんな嘘はつかないぞ」
「……信じていいの?」
「信じてくれなきゃ俺も困る」
……っていうか、今の状況がすでに困っている。
何してくれたんだ、俺は……。
せっかくちょっと静かで知的な……
「うぅ……」
「な、泣くなよ!」
「クスンっ……でも……」
ま、いいか。
「……飯にしようか」
「うん……いっぱいお話しようね?」
「あぁ」
俺に寄りそうように座る瞳。
下から俺の顔を覗き込んだその顔が眩しすぎて。
……少々短絡的で、その場凌ぎの告白。
いや、告白といえるかどうかも怪しいが。
とにかく、この兄妹、新たな段階を迎えたことは間違いないようだ。
「はいお兄ちゃん、あーんして!」
「え、えぇ!?」
「ずっと夢だったんだ。ね?」
「仕方ない……」
……今日は暑いことで。
───────────────────────
乙ですー。
懐かしい言葉でいうと久々のリアルタイムでした。
ひとつだけ。
確かに少し似ている設定ですが、ハヤテはそういうのじゃないですよ。
内容はエロゲの『君が主で執事が俺で』に似てます。
GJ!!お疲れ様でしたー!!
>>暴君妹
主人公の名前のせいか、
「大河ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
に、物凄い迫力と威圧感を感じた…w
ツンの時は凄い迫力だけどデレの時はやっぱり可愛い!
>>ゾッコン妹
僕の性格のせいか好みのせいか、
これはこれでありですけど
積極的すぎてちょっと怖かったかも…、
>>チア妹
ブルーのワンピース状のチア服を身にまとった姿。
そしてヒラヒラのスカートから覗く太腿、無防備な二つの膨らみ…、
イメージしてみて超エロース!!
主人公はエロスな上に乳フェチとみた!w
>>不幸妹
唐揚げ半分で許してくれる気前の良さに惚れてしまう!
テーブルの上が大惨事になるのも想像して笑えてきましたw
不運もこれくらいの不運なら見ていて微笑ましくて良いですねぇ。
>>いつもの姉弟
遊星さん、いい感じにビール飲んで酔っ払ってますねw
メガネは必須アイテムだとして
問題はスーツか白衣か…、うーん、どちらにするか悩む…w
139 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/07/17(火) 17:24:51 ID:hEHy2MF6
保守
140 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/07/19(木) 20:56:19 ID:s/5B0Fr6
期待あげ
141 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/07/19(木) 22:50:15 ID:oWcKdiN3
妹「お兄ちゃんどいてっ!そいつ殺せない!」
俺「来ちゃだめぇっ!!王蠱の幼虫なんかいないってば!」
リアルでこんな会話してみてぇ
妹「お兄ちゃんなんか大っ嫌い!」
とか言われてぇ
その夜に、
妹「ごめんね、やっぱりお兄ちゃん大好きだよ。」
とか謝られてぇ
それだけで萌死しそうだ。
>「ごめんね、やっぱりお兄ちゃん大好きだよ。」
俺はこの言葉を聞いて萌死する日を今か今かと待っている。
「お兄ちゃんなんか大っ嫌い!」 のフラグはもう半年も前に立ったはずなんだが・・・。
お兄ちゃんには夢が無いね。
小学校とかは今日から夏休みが始まるらしいですね。
懐かしき夏休み…
夏休みネタでアイデアが閃いたゾというそこのあなたっ!
そのネタを文章にしてこのスレに貼ってみませんか?!
あなたの才能を活かしてみる気はありませんか?!
…へんな言い方は止めにして、
もし夏休みでネタが閃いた方がいらしたら是非お願い致します。
もちろん新職人様も大歓迎ですので宜しくお願い致しますー
「?」
視線を感じて立ち止まる。視線というか、話し声が聞こえたような気がするんだけど……。
振り返ってみても、誰もいない。
―――ボフッ
「ふにゅっ」
「あ、ごめん」
さっきの僕の言葉に突進してきたゆなが、急にと止まった僕に反応しきれず突っ込む。
「うぅ〜急に止まらないでください……って、先輩、どうかしました?」
「うん。なんかさっきから、誰かに見られてるような気がするんだけど……」
「……?ゆなはいつでも先輩の事を見つめてますよ?今まで気付いてなかったんですか?もぅ♥」
「そ、そうなんだ…?」
「はい♪それはもう先輩がお風呂に入ってるときも、寝ているときも、いつでも……」
それ、世間ではストーカーっていうんじゃないだろうか?
というかそんな事を恥らいながら言われても反応に困るんだけど……まさか、本当じゃないよね…?
「……なんちゃってっ♪さすがにそこまではしませんけど、先輩の事はかなり知ってる自身がありますよ!なんでも聞いてください!」
そう言って目を輝かせてこちらを見つめてくる。
自分の事を自分で聞くって……一体何を聞けばいいのやら。
「あー……そういえばゆなちゃん?」
「はいっ」
「えーと……今日は僕にどうしても聞きたい事があるんじゃなかった?」
反応に困ることを言われて、無理矢理話を逸らしてみる。
「……なんでも聞いてください!」
「今聞いたけど……」
「なんでも聞いてください!」
「えーと……じゃあ、学校での僕はどんな感じ?変なとことかな…」
「カッコイイです!」
「そ、そう…ありがと……あははは……」
「いえいえ!本当のことを言ったまでですよ♥」
これは苦笑いであって、照れてるわけではないんだけど……
「ゆなならこう答えるに決まってるじゃないですか、もぉっ♥」
両手を頬にあて照れるような仕草をしながら一人でなにやら盛り上がり始める。
こうしてゆなは違う世界へと旅立つのだった。完
――――――
いや、冗談ですよ……?
このテンションはなかなか疲れるのでちょっと遊んだだけです。
最後の一行だけスルーしてくださいorz
過疎気味なのでとりあえず中途半端で投下しましたが、まだ続きます。
相変わらず投下の間隔が開きまくりですが最後までお付き合いいただければ。
待ってました!GJ!
ゆなちゃんは僕のツボにむっちゃジャストミートしてます!
続きも待ってますー!
>>149 どうもです。
そこまで褒められるとやる気が出てきちゃいますw
ですが今日からリトバスのネタバレ回避とプレイの為にしばらく2ちゃんを封印します。
続きを書くのは速くてもコミケ後くらいになるかと……
なので申し訳ないですが結構な期間待ってください……
コミケ後となると一ヶ月近く先になりそうですね…
続きが投下される日を楽しみにまったりと待っております!
保守
にいさま、ごはんができましたの!
雲ひとつ無い青空。
透き通るような青を背景に、ケヤキの木は葉を茂らす。
さらにその下では、太陽の光を受けて二つの影が揺れる。
「はぁ……」
鉛のように重いため息が口から溢れた。
隣の影は得意げな顔をしながら
「『空が青いと、俺が汚れているのがよく分かる……』って?」
「人の心を読むな、遥……」
ため息と同時に諌めると、
「それ、お兄ちゃんの口癖じゃない……」
呆れたと言わんばかりの口調で反撃してくる妹の遥。
「あとは……『どうせ俺なんか……』とか『絶望だ……』とか」
似てない口真似で俺の口癖を紹介する遥。
……正直、楽しい物ではない。
「妹にまで俺は嘲笑われているのか……」
「あ、ゴメンゴメン。機嫌直して!ねっ!?」
「気にするな、いつものことだ」
「あ、ちょっと、歩くの速いよー」
「いつものことだ」
「もー……」
不満を漏らしつつも、早足でついてくる妹。
「あ、そういえば知ってるー?」
「何を……?」
「希望ヶ丘って知ってる?」
「希望……希望……」
呟くたびに胸のあたりがズンと重い……。
「あぁ、ゴメン。お兄ちゃんってそういう言葉嫌いだよねー」
「大丈夫だ、耐えてみせる……」
「そんなに辛いんだ……。
まぁ、いいや、その……ヶ丘っていう映画がやるんだけど、それ、この辺で撮ってるらしいよ」
「……へぇ」
「それで、その映画誰が出るか知ってる?」
「……俺の知ってそうな芸能人?」
「んーん、全然」
「じゃあ振るなよ、そんな話題……」
「へへー。早く誰かに言いたかったんだよー!!だから、一番最初にお兄ちゃんに教えてあげようと思って」
「とっておきの情報どうも……」
心の底から必要としない情報にうんざりしながら、さらに歩みを速める。
「もしかしたら、この辺にも来るのかなぁ?」
「来ないだろ、こっちには」
「そうかなぁ」
「この辺で丘っていったら、蔵野公園のあたりだろ?」
「うん、多分」
「だったら、こっちじゃなくて十崎市のほうに行くんじゃないか?向こうの方がデカいし」
「夢が無いなぁ……」
「夢……」
「あ、ゴメン」
「……大丈夫。耐えられないほどじゃない」
「世話が焼けるなぁ」
といいつつも何だか嬉しそうな遥。
「うん、ホントお兄ちゃんったら世話が焼けるよ」
「二度も言うな……」
「三回目聞きたい?」
嫌なやつだ……
「急がないと遅刻するぞ」
「あ、待ってよー!!」
暑い一日になりそうな予感を、肌と頭皮で感じつつ。
まさか、あんなことが起こるとは、俺のご自慢のネガティブでも思いつかなかったのだが……。
───────────────────────
あの人を見たときから、ずっと書いてみたいと思っていた台本。
そのせいで妹ほったらかしで兄の性格から決めたワケですが……。
この兄妹の関係は気に入ってるんで、結果オーライといえなくもないかと。
ちなみに今回完璧な見切り発車で、オチはまだ決まってません。
期待は厳禁です。
157 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/03(金) 20:47:44 ID:0N/lRERK
ぽつりぽつりと浮かぶ綿雲を眼下にF-22が2機飛んでいた。
その隊長機のパイロット、真田幸輔が無線を開いた。
「……まもなく作戦空域だ。メビウス2、火器管制システムの確認をしておけよ。…………おい、ユキ?」
その呼びかけにユキと呼ばれた2番機のパイロット、真田美幸は我に返った。
「え? わ、何コウくん、火器管制システム? 何それ? って言うかなんで私達戦闘機に乗ってるの!?」
俺「そりゃ、これ俺の妄想SSだし。何やっても無問題だろ?」
「そういう問題!? って、今の声どこから聞こえてきた訳!?」
筆者の声が突然登場したにも関わらずツッコミを入れる美幸。流石、妄想の中の住人である。
その異様に高いテンションに幸輔は呆れる。
「何騒いでんだユキ。もうすぐ接敵するぞ、チェックは済んだのか?」
「っと、そうでした。メビウス2、システムチェック完了!」
いたって冷静な幸輔に窘められた美幸は、意識を本来の場所に戻す。
何も知らないそぶりだったのに何故チェックできたのかは謎。
って言うか、俺の事は完璧無視みたいですねコウくん。
「うっせぇ、その呼び方を許してるのはユキだけだ。気安く呼ぶな」
「……なんかキャラ変わってるよぉ、コウくん」
俺「そうだそうだ、筆者の俺に冷たく当たるな」
「調子に乗るな。あぁ、もう良い。作戦空域に入ったぞ。メビウス2、俺を援護しろ。行くぞ!」
「わ、メビウス2了解!」
そうして2機のF-22は翼を翻し敵と味方が入り乱れる空域へ突入していく。
「「メビウス1(2)、エンゲージ!」」
完
───────────────────────
なんか久しぶりにこのスレを見たら何か書きたくなって訳の分からない物書いてしまいました。
しかも2年以上前のネタを引っ張り出して……
しかもゲームのネタを取り入れちゃいました。
……戦闘機とかに興味のない人、ごめんなさい。
159 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/07(火) 22:22:46 ID:TBvyJy06
age
>>遊星さん
あの人って誰だろう…
これほどネガティブな主人公もめずらしいですねーw
期待は厳禁と言われてもやはり今回も期待してしまいます。
続きも待ってますー!
>>二姉持ちの弟さん
おお!姉スレの職人さんがこのスレに…!
作者みずからSSに登場するとは、なかなか面白かったですよー!
長編の新作も待っておりますー!
このスレは読み手の人数が少なすぎる気がする…
書き込みが無いだけで実際は読んでる人はもっといるのかもしれないけど…
夕方とはいえ、まだ十分すぎるほどの力を持つ太陽を今度は正面に受け、またも揺れる二つの影。
「ふぅ。今日も暑かったねー?」
ハンカチで汗を拭きながら、力の無い声で話しかける遥。
「いや、今でも十二分に暑い……」
「ホント……。ねぇ、コンビニでアイスでも買ってこうか?」
「そうだな」
二人の意見の一致を確認すると、そのままダレたままコンビニへ。
しかし、運命の分かれ道とはこういうところに存在するものだ。
「そういえば、坂野先生って知ってる?」
「……ああいうの俺は苦手だ……」
「だよねー」
遥との道中のたわいも無い会話。
一人の帽子の少女とすれ違った。
そんなこと、俺は気にも留めなかったのだが、
「……っ!?」
しかし、少女は驚いたように振り返ると
「……あの……ちょっといいですか?」
俺たちに向かって話しかけてきた。
いや、正確には俺たちではない……その視線は明らかに俺に向いている。
……変な目で見るなよ、遥……。
「……遥、頼む」
「あ、うん。えと……なんでしょうか?」
人と話すのが苦手な俺と人当たりの良い遥。
どちらが出るのが得策かは比を見るより明らか。
大体こういう場面では、俺は遥に任せることにしている。
「えっと……えっと……その人は……?」
困惑したように、俺を指差して尋ねる帽子の少女。
「え?あの人は私のお兄ちゃんですけど……」
「……」
何ですか。俺に用ですか。……勘弁してください……マジで……。
相手をしたくない俺は、気付かれないように一歩後ろに下がる。
が、そういうわけにはいかないようで。
「あの、人違いだったら申し訳ないんですけど……もしかして大野賢太郎君?」
「……え?」
確かにそれは俺の名前だけど……。
「知り合いなの?」
遥が鋭い目で俺に尋ねた。
「いや……確かにそうだけど……君は?」
「やっぱりそうなんだ!!」
「は?」
「ボクだよ、近野あきら!あきらだよ!!」
近野……あきら……。
その名前を頼りに記憶の糸を辿っていく。
しかし、俺よりも先に
「近野あきらっ!?」
「なんだ、遥の知り合いか」
「違うよっ!!ほら、朝話したじゃない!!」
「何を?」
「映画の話!!」
「あぁ……」
いかにも俺の嫌いなタイトルの……。
「その映画のヒロイン役の娘だよ!!」
「ふぅん……」
「お兄ちゃんの知り合いなんだ!?」
「……」
思い出せません……。
芸能人といわれるとますます分からん……。
「……忘れちゃったんだ……」
悲しそうな『あきら』と名乗る女……。え?俺が悪いの……?
「申し訳ない……」
「あ、あの……お兄ちゃん、女性が苦手なんです。だから……」
そんな彼女を気の毒に思ってか、遥が必死でフォローを入れる。
「いいんです。賢ちゃん私のこと忘れてるんじゃないかって覚悟は……してたから」
「……?」
もしかして……
「もしかして……」
「お兄ちゃん、思い出したの?」
「いや……でも、だって……」
「どうしたの?」
「あの……遥。俺、勘違いしてた……」
「何を?」
「確かに昔、それっぽい名前のヤツがいた。俺のことを賢ちゃんって呼んでた」
「うん。それで?」
「……男だと思ってた」
だって、一人称僕だし、あきらだし……。
「賢ちゃんまでそんなこと言うなんてぇ……」
きっと言われ慣れているのだろう。
不満そうに頬を膨らますあきら。
「でも、覚えていてくれて嬉しいよ!!」
「はぁ……」
といわれても、という感じ。
大体……あきらのことよく覚えてないし。
「ボクね、これは神様の贈り物だと思うんだぁ!!」
「……」
うわぁ……。怖いよ、このコ……。
「……」
遥もチラッと横目で、苦々しい視線を俺に向けた。
「どしたの?」
「いや……何でも……」
「ふーん。変なのー。あ、そだ。賢ちゃん。これ、あげる」
鞄から何かを取り出し差し出した。
「ボクの連絡先。ボクはもう戻らなくちゃいけないから……またゆっくりお話しようね!!」
黙って頷く。
「賢ちゃんもちょうだい?」
「あぁ……」
俺も自分のケータイの番号とアドレスを紙に書いて、あきらに渡す。
「ありがとう!!あとで絶対メール送るから!!」
「……」
メール……。
『あいうえお』は須らく『ぁぃぅぇぉ』になっていたり、
『wa』と読む『は』は『ゎ』になってたり、
顔文字や絵文字のせいで文章なのに文章じゃない、あのメールですか?
……絶対返せない……。
「じゃあ、賢ちゃん。またねー」
手を振って、遠くへ歩いていってしまうあきら。
その姿が完全に見えなくなってから……
「……無理……もう無理……」
「お疲れ様、お兄ちゃん」
「どうなっちゃうんだよ、俺……」
「確かに、お兄ちゃんには辛いかもね」
「辛いよ。何だよ、あのポジティブさんは……」
「うんうん。遥には分かるよ。もう帰ろうか、お兄ちゃん」
メールするという言葉が社交辞令であって欲しいと願う俺。
遥だけが俺の理解者だ……。
───────────────────────
続き。だが、これから先、さらに続くとは限りません。
>>158 なかなか斬新ですね……。参考にさせてもらおう……。
>>160 言って分からないとは思いますが、『仮面ライダーカブト』に出てきた矢車さんがモデルです。
絶望先生の影響も多少受けてますね。
>>161 まとめサイトのアクセス数見る限り、結構読んでるもんだと思いますけどね。
書き込みはこのスレの性質上少なくなるのはしょうがないのでしょうね。
まぁ、個人的には書き込みが少ない方がのんびりしていて良いと思いますがw
>>160 感想ありがとうございます。
現在のところ他にも色々やらなければならない事があるんで長編を書けるかどうか分かりません。
ちなみにこの短編書くにも20分くらいもかかっていたと思います…。
>>161 ROMの人は多いんじゃないでしょうか?
自分も最初はそうでしたし。
>>遊星さん
相変わらず素晴らしい作品ですね、見習いたいものです。
ちなみに自分の作品は第三者視点だったのがいきなり筆者視点になったりと、小説的にはアウトだと思いますよ。
それにしても凄いネガティブな主人公、筋金入りですねw
レス遅れました、すみません。
168 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/12(日) 21:33:52 ID:1sAREIPS
上げ
遊星さんのSSで、ライダー好きな俺はニヤリとさせられてますよ。桃色係長のテイストも入ってたんですね。
「ごちそうさま。美味かったよ、遥」
「お粗末様。ありがとう、お兄ちゃん」
カチャカチャと食器を片付け始める遥。
「あ、俺も手伝う」
「え?どうしたの?」
「……体、動かしていたい……」
「あぁ……それなら、手伝ってもらいましょうか」
「助かる……」
ため息をつきながら、スポンジを握る。
「ねぇ、お兄ちゃん?」
「ん?」
「この際だから、聞いてもいい?」
「あぁ、何を?」
「あきらさんとはどういう関係なの?」
嫌なことを聞く……。
まぁ、遥になら言ってもいいか。
「……どういう関係っていったって……」
「じゃあ、どうして知り合ったの?」
「……確か、小学一年だか二年だかのときに一ヶ月間だけ俺の学校に転校してきたんだ。で、知り合った」
「で、そのころは?」
「……質問攻めだな。別に特別な関係じゃないと思う。ま、記憶違いしてたくらいだし」
「ふぅん……お兄ちゃんは、昔は今みたいなのじゃなかったんだっけ?」
「……忘れた。でも、嫌だろ、こんな小学生……」
「今でも嫌だけど……」
……突き刺すような言葉。
妹の本音を聞けて嬉しい……ワケは当然無く、心が無惨に凹む凹む……。
「……絶望した……」
「わわっ!!冗談だよ、冗談!!」
「……ホントにか?」
「ホントだよ!!リアクションが暗いから、こっちが焦っちゃうよ、もう……」
「スマン……」
「謝ることじゃないけど」
食器を濯ぎながら、遥は呆れたようにため息を吐いた。
「変わっちゃうんだよね。人間も。人と人の関係も」
「……俺みたいな理系にはアレルギー出そうな話だな……」
「ゴメン。変な事聞いたね」
「あぁ。ま、俺に言わせればだな……変わるのは当然。大切なのは変わった中でどうするか、だろ」
「ふむふむ……で、すっかり変わっちゃったお兄ちゃんは、あきらさんとはどうするつもり?」
変な話題になってきた……。
だが、聞かれたからには答えねばならない。
満を辞して俺の口から出た言葉は、
「このまま自然消滅を狙う……」
「却下。それじゃ、あきらさんが可愛そうだよ」
「厳しいな……」
半ばマジだったのだが、即座に却下され少し不満が漏れる。
「甘やかすばっかりが妹の役目じゃないんだよ?」
胸を張って答える遥。
……甘やかすのも妹の役目じゃないと思うが。
「……じゃ、どうすればいいんだ……」
「普通で良いんじゃない?話しかけられたら話す。メールしてきたらメールする。受身は得意でしょ?」
「……今日はちょくちょく毒を吐くな……」
「べっつにー。とにかく、逃げるのだけはダメだからね!」
「やけに今野の肩を持つんだな」
「そうかな?……でも、やっぱり女の子のことは女の子が詳しいでしょ?私には分かるんだよ」
得意顔の遥。俺にはさっぱり意味が分からず、
「うん。で?」
「それだけ」
「答えになってないぞ」
「そうでもないよー」
「そうでもないのか……?」
「うん、そうでもないの」
……いつまで続くんだ。
「まぁ、要するに……近野とは普通に接すれば良いんだな」
「うん。頑張ってね」
「……頑張るよ」
頑張る自信が無い。
……まぁ、やるだけやってみるしか……ないよなぁ……。
───────────────────────
「おはよう、お兄ちゃん……眠そうだね?」
翌朝、いつもどおり爽やかな笑顔の遥が、いつも以上に顔色の悪い俺の顔を覗き込む。
「……寝てないからな」
「何で?」
「……嫌な夢……見そうだったから……」
「あ、そう……じゃあ、その様子だとメールとかはなかったんだ?」
「……ん」
無言でケータイを差し出す。
「えと……『今日は会えて嬉しかったよ』……普通だけど?」
声に出して読む遥。
思い出したくないからできれば控えて欲しいが……俺だって大人の事情は分かっているつもりだ。
「下」
「『お話したいことがいっぱ〜いあるから、
今度ゆっくりお話しようね。
明後日は撮影無いから、その日はどうかな?』……あぁ、なるほどね」
納得した顔で、ケータイを閉じる遥。
「行かなきゃダメか……?」
「うん。逃げるのは卑怯だよ、卑怯」
卑怯……。
それは……嫌だな。
「遥……」
すがるような気持ちで遥の名前を呼ぶ。
「遥はついていかないよ」
即答。
やはり遥にはお見通しと言うわけか……。
「……酷い……」
「あのねぇ……幼馴染と会うのに妹を連れて行くなんて前代未聞だよ?」
「やっぱダメか……」
「少しでもついていくなんて思わないでよ、そんなこと……」
遥はすっかり呆れている。
「なぁ……週刊誌の記者とかいるのかな……?」
「さぁ?でも、多分いないんじゃない?」
「近野に変なイメージつかないかな……」
「大丈夫だよ。ホント心配性……何だかんだで心配なんだ?」
「……俺と偶然出合ったことで、近野の人生が狂ったらって考えたら心配もするさ……」
「私は……私の人生は狂ったとは思ってないけどな」
「そりゃ生まれたときから俺がいたから。だから、遥の人生は生まれつき狂ってんだよ」
「……ネガティブだね」
なにやらガッカリした様子の遥。
……ここでその顔は違わないか?
「これも生まれつきだ。遥には申し訳ないな」
「難しいなぁ……」
「何が?」
「別に。で、それには返事したの?」
「まだ……」
「じゃ、早くしなきゃ」
遥に急かされるようにメールの返事を打ち込む俺。
……遥も常に味方ではないのだな……
───────────────────────
大分終わりも見えてきました。
この兄妹面白いんで、ぜひ続編も作りたいなと……。
>二姉持ちの弟様
20分で書けるって早くないですか?僕ならもっとかかると思いますが……。
まぁ、とにかく、新作のほうも期待しております。
>>169 ライダーネタを分かってくれる人がいて非常に嬉しいです。
これからも無理矢理ネタ混ぜていくんでよろしくお願いしますw
176 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/15(水) 21:37:27 ID:xLZcIDb0
age
新作期待
178 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/18(土) 03:21:55 ID:f9LBOTQs
容姿端麗頭脳明晰の妹に学校帰って寝てたら
その格好ヒドくお似合いねって冷めた眼差しで蔑まれたい
リアルはきゃあきゃあ笑いながら言いながら横に寝てくる超絶うざいこのみみたいな妹('A`)
ほとんど会話のみなSSってのもきもいな
れいぱあず作の荒らしコピペみたいw
リアル妹が駄目なので二次元に走った
現実はもういい
183 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/19(日) 13:54:42 ID:Dz2kQ7Yk
新作待ち
新作お願いします
185 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/22(水) 18:19:30 ID:Fl/0rhpe
上げ
186 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/24(金) 21:56:33 ID:y/2lxBbr
age
187 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/27(月) 19:52:59 ID:qxx74BIU
あげ
188 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/29(水) 20:49:34 ID:Ni/k/fCE
もはや保守しか居ないのか
189 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/29(水) 21:08:28 ID:wJOIh0rh
おにいちゃんのばか・・・
190 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/29(水) 21:31:02 ID:xn6mJxIz
妹「ねぇおにいちゃんお金貸してくれないかな?」
俺「手持ち1万しかないんだが…」
妹「じゃあ1万」
妹はツンデレだお
妹「あぇるぅす」
変にageるから人がいなくなるのに……
193 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/08/30(木) 12:54:52 ID:Se0yfunN
それにしても人がいない…
すまんsage忘れた
保守はしても作品にレスは返さない。そりゃ人もいなくなるわ
>>195 数人、最低でも4人程度は返してるような気が
一応私はいるんですが、投下するものがないのにコテ出してもなぁ…
という感じなのでROMってたりします…
ちょ・・・やめろ!ばかぁ!
中学時代
妹「あにぃ、神社の夜店行くなら私も連れてって」
俺「ええ〜、友達も来るけどいいの?」
妹「うん、お母さんに頼んで着付けしてもらう!」
俺「早くしろよ」(やれやれ)
>>200 で、妹を見て友達が羨ましがるのか
いいなあ
意外に萌えるな
全て思い通りにはいかないものだ。
来るな来るなと思っていれば、時間はあっという間に過ぎるし、
いっそ早く終わらせたいと思い始めたら時間は長い。
長いんだか短いんだかよく分からない時間を過ごし、近野との約束の時間になった。
俺が半径100m以内に存在するのも場違いなくらいの洒落た喫茶店で待ち合わせ。
……頼むから早く来い。
遅刻するのが怖くて、二十分も早めに来たのがモロに裏目に出た……。
「あ、賢ちゃん。早いねー。待った?」
約束の時間十分前。これまたオサレな格好の今野が現れる。
場違いすぎて泣けてきた……脇目も振らずに帰りたい……。
「いや……慣れてるから」
……このセリフは何か違う気がする……。
「ふぅん。大人なんだ」
大人……俺が……?
おっと。突っ込み入れすぎか、俺。
「今日は遥ちゃんは来てないの?」
「あぁ、まぁ、いろいろと……」
このノリ……つれて来てよかったのか……。
「じゃ、二人っきりだ?」
「そうなるな」
「そっか……二人っきりか」
必要以上にその言葉を反芻する近野。
「何か都合が悪い?何なら今から遥を呼んでも……」
「いやっ!!いいのいいの!!ほら、遥ちゃんに悪いよ!!」
「まぁ、それもそうだ」
アイスコーヒーの氷を噛み砕く。
しばし相手の出方を探るような世間話が続く。
が、いざというときにはなかなか話題が出てこないものだ。
次第に手詰まりによる沈黙が訪れる。
気まずそうに近野が切り出す。
「ねぇ……賢ちゃん。驚かないで聞いて欲しいんだ」
「あぁ……」
「ボク、賢ちゃんに会えてすごく嬉しかった。ううん、今でも嬉しい」
汗をかいたグラスを握り締める近野。
「あの時から……ずっと言おうと思ってたんだ。ボクは……賢ちゃんのこと……好きだって」
俺の目を見るな……。
「だから……ボクと……」
「近野」
答えは決まっている。
「……悪い。それはできない」
「え……」
「今野は……俺には眩しすぎる……」
「そっか……」
「もともと俺は女性がダメなんだ。察してくれると……有難い」
まさか俺が女を、まして芸能人をフるなんて思いもしなかったが……やはり、あまり良い気分ではない。
死ぬほど気まずくて、底のほうにうっすら溜まった水を飲み干す。
「えへっ……へへへっ……おかしいな、覚悟してたのに……」
流れてくる涙を隠すように、今野が俯く。
……どうすりゃいいんだ。
「近野、出よう……」
「うん……ゴメンね……」
「いいって……」
泣いたままの近野をホテルまで送る。
……何だってんだ、今日は……。
───────────────────────
「で……そのまま帰ってきたと」
買い物袋をぶら下げた遥が、昨日の話の経緯をたどる。
「それ以外できねぇよ……」
遥の倍の荷物を持った俺はため息と同時に答えた。
「まぁ、変に誤魔化さないトコがお兄ちゃんの良いトコだね」
「お褒めに預かりまして……」
ホントに褒められたのかという疑問は残しつつ。
「私の勘も馬鹿にできないね」
「……遥は知ってたんだ」
「うん。何となくだけど。目がね、恋する乙女の視線だったの」
「……恋……乙女……」
胃がキリキリする……。
「話が進まないよぉ……耐えて耐えて!!」
「オーケー……続けてくれ」
「はぁ……泣いちゃったんでしょ?撮影とか、影響ないか心配だよね」
「確かに……」
そう考えると責任重大な気も……。
「まぁまぁ、そう気を病まないで。何か甘いものでも食べに行こう?奢るからさ」
「そうだな……」
納得して進路を変える二人。
すると
「お兄ぃーちゃん!!」
反射的に遥のほうを向くが、当の遥すらも困惑した顔を見せている。
声の方向は……後ろ?
二人して振り返ると
「……近野?」
「こんにちは。お兄ちゃん、お買い物?」
「……あぁ、しかし……近野……?」
「お兄ちゃん。ボクのことは、あきらって呼んでよー」
「はぁ……で、何だその呼び方は……」
「えっと……一晩考えたんだけどー、ボク、まだお兄ちゃんのこと諦められないから……
だから、お兄ちゃんに女の子に慣れてもらうために、妹から始めようと思って。ねっ?」
「……はぁ……」
今一つ納得しかねる……。
『妹から』どこまでだよ……。
「遥ちゃん!!」
「は、はいっ!」
「ボク、遥ちゃんには絶対負けないから!!」
何の宣言だ……。
「え?……えっと……じゃあ、私も……」
お前もか、遥……。
「あはっ……あはは……さすがポジティブだね……」
「俺、ヤバいかも……」
「お兄ちゃん!ボクも荷物持つよー」
何故か妹が二人。
今度、胃薬買おう……。
───────────────────────
スレが下がれば俺の出番……っと。
このネガティブ兄の話はひとまず終わり。
このままどんどん色んな女の子と知り合ってくのも面白いかも。
……つか、ネガティブ妹ってのも面白そうだな。
GJ!!!
GJ!!ですが、このスレ的にはピンチの状態なんですよね(汗
でも、あきらに頑張って欲しいと思ってしまう自分、失格だ。
乙!!
今気付いたよ、これからもヨロ
>>206 >ネガティブ妹
ストライクゾーンかもしれん
ggggGJ!!!!!
>ネガティブ妹
待ってます!!
自分以外に全く懐かない妹に
朝優しい言葉で起こしてもらいたい
保守
眩しい太陽。
どこまでも続くアスファルトの黒は視覚的にもかなり暑い。
そんな猛暑の中、俺は妹と二人でスーパーまでの道を歩く。
しかも妹はいつものように俺にピッタリとくっついて……暑い……。
「なぁ、琴?」
「?」
「暑いから……」
「……」
フルフルと首を横に振る琴。
「守ってくれるって……言った……。だから、離れない……」
「そうでした」
まぁ、慕ってくれるのは嬉しいけどさ。
「使う……?」
ハンカチを差し出してくれる琴。
「ありがと。しかし暑いなー」
汗を拭いながら、『しまった』と思った。
「……迷惑なら……いいよ……」
寂しそうに呟いて、少しだけ俺から離れる琴。
「いや、別に迷惑じゃないよ」
「?」
言葉の代わりに首を傾げる琴。
「ホントだよ」
「じゃあ……」
再びくっついてくる琴。
さっきよりも近い……。
「……琴?」
会話が途切れそうだったので、少し無理矢理話題を切り出す。
「?」
「夕飯は何にするつもり?」
「安いから……キャベツ……」
「キャベツ……?」
単品……?
「うん。ロールキャベツと……お好み焼き……どっちがいい?」
「うーん、じゃあ、お好み焼きかな」
「じゃあ、今晩はロールキャベツ……」
えぇ……そりゃねぇだろ……。
「お好み焼きは明日……」
「え?」
「楽しみは……後の方が良い……」
「……まぁ、いいけど」
「うん。いい」
満足そうに呟いて、会話を終わらせる琴。
なんとも嬉しそうな横顔。
基本的に琴は無表情だから、この微妙な変化に気付くのは俺くらいのものだろう。
俺だけにしか見えない笑顔と考えると、とても可愛らしく思えてくる。
少々沈黙がちに歩いていくと、公園の脇の道、歩道全体が木陰に覆われた場所に差し掛かった。
「琴はさ」
「?」
「食べたい物とか無いの?」
「……我侭は言っちゃ駄目……」
琴の雰囲気が一変する。
空気が重い……。
「え?」
「いつも言われてた……だから……」
「琴……」
「ゴメン……忘れて……」
辛そうに俯く琴。
嫌な記憶、というワケではなさそうだが、俺も見ていて辛いことに変わりは無い。
「琴の気持ち、俺も少し分かるよ」
「お兄ちゃんも……?」
「琴は大人しくて真面目だから……人より強めに受け取っちゃうんだよね」
「……」
「それって凄く偉いことだと思うけど……いいんだよ、俺には我侭言っても」
「……いいの……?」
「いいよ。琴はいい子過ぎるから」
琴の手を重ねるように強く握る。
「ちょっとワガママなくらいで、丁度良いんじゃないかな」
俯いていた琴は、少し顔を上げて、
「……嫌いにならない?」
「え?何で?」
「琴の中には……お兄ちゃんしかいないから……嫌いになって欲しくない……」
「いや、そういうことじゃなくてね……」
「?」
「嫌いになる理由なんて、何処にも無いってことだよ」
「……信じても……いいのかな……」
「うーむ……信じてくれると嬉しいかな」
「じゃあ……お兄ちゃんに……喜んでもらいたい……」
ゆっくり顔を上げる琴。
その顔は先ほどよりも眩しい笑顔で。
「うん。いい顔だ」
「……え……」
顔を真っ赤にして再び俯いてしまった……。
まぁ、いいか。
「行こうか?」
「うん……」
歩き出す二人。
まだお互い気付いてないが、手は繋いだまま。
「琴はさ、俺の何処が好き?」
「……私なんかと……一緒にいてくれるとこ……」
「ははは、じゃあ、ずっと一緒にいようかな」
「うん……」
恥ずかしそうに返事をした琴。
無意識のうちにその手をぎゅっと握る。
「……?」
琴がハッとして俺の顔を見た。
だが残念ながら、俺はまだ自分で何をしているか気付かない。
「クスっ……」
笑顔の琴。
繋がった左手を少し上げる。
「おぉっ……!?ゴメン、琴!!」
やっと己のしていたことに気付き、慌てて手を離す。
「あ……止めないで……」
「え……?」
「手……繋ごうよ」
「え……」
「最初の……ワガママ……」
「う、うん……分かった」
木陰のような、穏やかな琴の笑顔。
確実に……琴に癒されている俺がいるのだった。
───────────────────────
……なんか、また日本語が上手に書けなくなっている……。
妹全然ネガティブじゃないし……可愛いけど……。
そもそもある一言セリフを言わせたいがために……こんな大掛かりな……。
しかも無理にねじ込んだ割にはインパクトないし……。
まぁ、ある意味スレタイ通りかw
GJです!!!!
もう最高ッすよ!!!
琴は俺が命に代えても守り通す!!
なんという萌え妹
投下乙です
222 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/09/17(月) 02:11:25 ID:17QJKmyD
投下来てたー
続きも待ってます
保守っと。
夏物はもう季節外れ……夏は短いなぁ……。
保守ですよお兄ちゃん
「はぁ……」
水銀でも混ざってるんじゃないかと思うほど重いため息。
「いつにも増してため息が重いね。何かあったの?」
いつにも増して能天気な隣の妹、遥。
「あんなことがあって、何かあったの?ってお前……」
あんなこと=新しい妹ができました……ありえねー……。
「尾を引いてるね……大丈夫?」
「大丈夫だと思うか!?」
思わず言葉が強くなる。
「思わないけど……」
「……女運悪いのかな、俺」
「むしろ良いんじゃない?芸能人の妹なんて、普通できないでしょ?」
「……やめてくれ……近野……じゃなくて、あきらが芸能人だってこと忘れようとしてんだから」
「何で?」
「眩しすぎるから……」
「うーん……よく分かんないけど……」
困ったような呆れたような顔をする遥。
ま、別に理解してもらおうとは思ってないが。
「こんなテンションで授業なんか受けたくねぇな……」
「ま、頑張って。私も授業聞きながら応援してるから」
「そりゃどうも……」
皮肉をたっぷり込めて呟いた後、下駄箱から上履きを取り出す。
「……?」
女が使うような可愛らしい封筒が落ちた。
爆弾か何かかと思い、思わず一歩下がる俺。
遥はその封筒をひょいと拾い上げ、
「もしかして……ラブレ……」
「それ以上言うな、遥」
遥から封筒を奪い取り、その封筒で遥の口を封じる。
「え?」
「この平成の時代だぞ?いまどき、こんな恋文があるか?」
「恋文……。まぁ、私もちょっと時代じゃないとは思うけど……」
「だろ?これは、罠だよ」
「罠ぁ……?」
呆れてらっしゃる……。
「ラブレターと勘違いして、浮かれた俺を嘲笑おうという誰かの罠だ……」
「誰かって……誰?」
「誰かは誰かだ。俺に恨みを持っている誰か」
「心当たりは?」
「無いけど……俺の知らないうちに……」
「ホント、ネガティブだね……」
呆れたといわんばかりの遥の言葉。
何度目だ、この言葉を聞くのは。
「羨ましいだろ?」
「全然。私は、罠よりはラブレターの方があると思うけどな」
冗談のつもりだったのに軽く流され、少し気まずい思いをしながら、
「甘いな、遥。物事は最悪の方向を予想して動かなければ」
「そう……まぁ、お兄ちゃんは女の子嫌いだし、ラブレターでもあんまり良い結果じゃないからね」
「その通り。まぁ、俺に用があるなら直接言って来いって話だ」
ま、俺も面と向かって話すのは苦手だけどさ。
「お兄ちゃんを好きになった人は大変だね……」
「その言葉、近n……あきらにも言ってやってくれ」
「あははっ。言って聞くようなコじゃないよ」
そうだ。だから困ってるんだった……。
「ともかく。こういうのは見なかったことにするに限る」
「……人として間違ってる気がするよ、お兄ちゃん」
「何を今更……」
謎の手紙を無意識にポケットに突っ込み、今日も日常へ飛び込んでいく。
まぁ……嫌な予感はしていたのだが。
───────────────────────
たまには誰か俺のリクエストに答えてくれないかな……。
ネガティブ兄、新シリーズ。しばらく続きます。
相変わらず妹成分は薄いですけど……まぁ、長めの保守だと思って読み飛ばしていただければ。
>>227 バカアニキがリクエストなんて100年早いのよ!
死ぬまであたしの為にSS書いてればいいの!
「……はぁ……」
一日の生活を終えた俺は、節目がちに昇降口に向かう。
ここは中庭を越える渡り廊下。
まぁ、渡り廊下といっても大層なものではなく、レンガ敷きの道にちょっとした屋根があるだけのもので、
そろそろ秋の気配があってもよさそうなもんなのにまだまだ暑いこの時期、風が通って涼しい。
「ふぅ……」
ふと誰もいない中庭中央の大きな木に目を向けると、木陰に一人の女が。
……だからどうしたというんだ。
「あ……」
木の下に立っている女も俺のほうを見て、何か気付いたように小さな声を出す。
「……」
気にしないフリ。それが一番楽だ。
というか、あの娘との距離は50mはある。
気のせいだ、うん。気のせい。
自己満足しながら徐々に歩く速度を速め、遥が待っている(と思われる)昇降口へ。
なんとかその場から脱出したと思いきや
「あのっ……!!」
この女……近寄ってきやがった……。
「……」
何だ……何だ……。
「大野賢太郎……くん……?」
「はぁ、まぁ……」
木の下の女に適当に答える。
大体なんだってんだ、この女……。
「来て……くれたんですね……」
来てくれた?この女……大丈夫かよ……?
「手紙を置いたのは良いけど名前書くの忘れちゃったから……来てくれるか、不安だったんです」
手紙……?
あぁ……あの手紙……。
……っていうか、こいつ誰だよ……?
疑問符が頭の中でグルグル回る。
「あ、あの……私……貴方のことが好きです。だから、お付き合いしてください……!」
……えぇー……。
あの近野だってまだもう少し段階踏んできたぞ……。
チラと女の顔を見る。
不安が可愛そうなほどにじみ出ているのが分かる。
そうか……そういうことか……。
「安心しな。ちゃんと断わるから」
「え……?」
「罰ゲームか何かなんだろ?事を大きくする前に俺から断わってやるから」
「……」
「まぁ、そういうことで」
朝の手紙も、嫌な予感も、全てが解決。
すがすがしい気持ちで昇降口に向かう。
俺だから良かったものの……こういう罰ゲームは酷いよな、うん。
───────────────────────
怒られた……。俺はただボクっ娘に萌えたかっただけなのに……。
続きます。早くもマンネリの予感。
まだ相変わらず日本語が上手く書けませんが……一度貼ってしまったからには。
なんかにやにやする
投下乙
うーん文才が致命的にたらんから俺は書けない・・・・・・
>>228 ツンデ・・・デレてはないかwww
232 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/02(火) 11:32:33 ID:wJcu1FO5
保守
「あ、お兄ちゃん。遅かったね?何してたの?」
昇降口では遥が少し不安そうな顔で俺を持っていた。
「あぁ……少し面倒なことに巻き込まれてたんだ」
「面倒なこと?大丈夫?」
「いいんだ、もう解決したから」
「そう?それならいいけど……ところで中庭が騒がしいけど……」
「本当だな……俺が通ったときには何も無かったんだけど」
割と運良いんだな、俺。
「見に行く?」
「いい。今日はもう人に会いたくない。腹減ったし帰る」
「私もお腹減ったー……帰ろうか」
「あぁ。そうだ、朝の手紙の謎が解けたぞ」
歩きながらさっきの話を遥に振ってみる。
「え?ホント?何だったの?ラブレター?」
「まぁ、広い意味でな。でも、罠でもあった」
「ん?どういうこと?」
「それはなぁ……」
「あ、ちょっと待って」
「何?」
「ケータイが……メールかな」
携帯電話を鞄から取り出し、なにやら操作している遥。
どうやらメールのようだ。
「へー……」
画面を見ながら小さな声を出す遥。
「何?」
「お兄ちゃん、この学校一のお嬢様って知ってる?」
「知らん。いるのか、そんなの」
「うん。宮原澄乃さんっていって……お兄ちゃん、萩野町の宮原医院は知ってるよね?」
「まさか……」
「そのまさか。お金持ちで、すっごい美人で、勉強もできて……知らないのお兄ちゃんだけだよ?きっと」
漫画かよ……。
「で、そいつがどうした?」
「うん。告白してフラれたんだって」
はぁ……?
「どうでもいいな……」
「でも、宮原さんいろんな人の告白を断わってきたんだよ?どんな人を好きになったのか気にならない?」
「ならない。大体俺みたいな日陰者に……そんな人間は眩しすぎる……」
「ま……それもそうだね。お兄ちゃんには相応しくない話題でした」
小さくお辞儀をして、謝るフリの遥。
「しかし……何でそんな情報がメールで……」
「友達から送られてくるんだよ」
「無駄な情報網だな……」
「時々は役に立つよ。授業変更とか。明日体操服が要るとか」
「あぁ……それはいいかもな」
「でしょ?まぁ……普段は……ガセばっかりだけど」
「……ま、そんなもんか」
すっかり気分が盛り下がった……。
「帰るか」
「そだね」
……今後の展開を予想しているのは遥を含む俺以外の人間。
しかも……恐らく全員が正解。
「……ねぇ、もしかしてなんだけど……」
しばらく黙って歩いていた遥が気まずそうに切り出した。
「何だ?」
「宮原さんをフったのは……お兄ちゃんだったりして……?」
「……冗談のつもりなら笑ってもいいけど」
「割と本気なんだよ……残念ながら……」
遥がため息混じりに語りだす。
「条件合いすぎなんだもん……何か心当たり無いの?」
「……無い」
「ホントに?」
いつにも増して厳しい遥。
「ある……かもしれない……」
「どんな?」
「中庭で……知らない女に告白された……」
「……やっぱり。どうして言わなかったの?」
「罰ゲームかと思ってたから……」
「はぁ……!?」
さすがの遥も驚いている。
「ねぇ……お兄ちゃん、それってすごく失礼じゃない?」
「そりゃまぁ……本気だったら失礼だが」
「本気なんだよっ!」
「本気なのか……?」
「お兄ちゃん?本気じゃないのに、お嬢様が手紙出して、暑い時に中庭で待って、お兄ちゃんに告白なんてする?」
「するかも……」
「しないのっ!!」
……遥……怖いっ……。
「はい……」
「悪いことは言わないから、謝った方が良いよ……?さすがにその勘違いは可愛そすぎるよ……」
「……結果同じなのにか?」
「気持ちが伝わらないよりはずっとマシだよ。だから、ね?」
こういうときの遥は何だか母親のようだ。
無駄に世話焼きで、妙に威圧感があって……そして、それに逆らえない弱い俺……。
「わかった……」
「うん。じゃ、宮原さん探してくるよ。きっと残ってると思うから!」
そう言うや否や、振り返って走り出す遥。
「え……そんないきなり……」
まさか今からとは思わず、呆然とする俺。
……謝るセリフ考えなきゃ……。
───────────────────────
別に下手でも良いから書きゃ良いのに……。
どうせ俺以下にはならないんだから……。
三回目。
結局、何が出てこようと妹との絡みがメイン。
237 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/10/06(土) 00:55:07 ID:YgdigRdt
しえん
良作の多いスレで素敵だ
それから待つこと十数分。
遥から連絡を受けた俺は、例の女が待つという屋上へ嫌々ながらも向かっていた。
階段を上りきり、屋上へ続く重い金属製のドアを力一杯押す。
「……」
「……」
いきなり目が合ってしまった……。
なにやら気まずい空気が漂い始める……。
「あの……」
相手の出方を窺っていると、相手がゆっくりと切り出した。
「先ほどは大変すみませんでした。驚かれたでしょう?」
「それは……まぁ……」
先に謝られてしまい、こっちから謝りにくくなった……。
「いや……でも……さっきは俺が……」
「いえ、全ては唐突だったこちらが悪いんです」
学生とは思えぬ大人の対応。
一応、今回は俺が悪いということで終わらせたいのだが……やり辛いったら無いな……。
「そういうワケでも無い。勘違いしたのは俺のほうだから。俺も少し誠意と常識に欠けてた」
おぉ、俺、政治屋みたい……。
まぁ、コレぐらいお堅い方が性別意識しないで済むか。
「……あの……改めてなんですが……」
来た……。
性別を意識しないと言った直後に……。
「私と……お付き合いしてください……」
「無理」
不意討ちに重い胃を押さえながら、必死に言葉を捻り出す。
「苦手なんだ、そういうの……だから……無理……」
「……何が……苦手だと言うんですか……?」
「何がって……」
好きとか、そういうことがだよ!!
「気に入らないところがあれば、私、直します。ですから……」
何?何なの、この本気ぶり……。
若干引いている俺。
悪いとは思うけど……何で俺ごときにそこまで言えるんだ……。
「いや……アンタが嫌いとかじゃなくて……」
何故見ず知らずの人間のフォローに回っているんだ、俺。
……大体、被害者俺じゃん……。
だんだん面倒になってきたぞ……。
「……女、嫌いだから。それ以上の理由はない」
「それは知ってました。やはりダメでしたか……」
「自分なら大丈夫と思ったか?そういう自信は嫌いだ」
「違います」
「何だよ?」
「……駄目でも……伝えたかったんです。生まれて初めての、感情をアナタに」
「非効率的」
「そうかも……しれませんね」
瞳に涙を浮かべながら、笑ってみせる女。
……やば……ちょっとやさぐれ過ぎた……。
どうしよ……これで恨み買ったら……。
「ゴメン、ちょっと卑屈になりすぎた……」
「いえ……でも、すっきりしました……」
「は?」
「まだ、時間はかかりそうですが……キレイに諦めることができそうです」
「そう……」
信じて良いのかな……。
「……悪かったな」
「謝ることじゃないですよ。さぁ、これでお開きにしましょう」
「あぁ……」
最後に微笑んでお辞儀をした後、ドアの方に静かに歩いていく女。
全てが終わると安心しかけたその時……。
ドアが勢いよく開く。
慌てて飛び退く女。ドアからは
「お兄ちゃーん!!」
近野……
「あ、あきらさん!!出てっちゃダメだって!!」
と、遥。
「遥!?」
「あはっ……あははは……ゴメン、止めてたんだけど……」
「お兄ちゃん!?遥ちゃんばっかり気にしてー、ボクもいるんだよー?」
「まさか……近野あきら……?」
あぁ……この女は初対面か。
つか、そんなに有名なんだ、こいつは。
「大野君、兄妹だったの?」
あぁ、こいつになんて説明すりゃ良いんだ……。
「遥……頼む……」
まさかの人任せ。
……だって俺には無理だよ……まともな説明は……。
「あ、うん。あの、宮原さん……これは……あの……何というか、変な事情があって……」
「変な事情……?」
まぁ、こっちは遥に任せておけば良いだろう。
あとは……
「?」
ニコニコと嬉しそうなあきら。
……っていうか、帰れよ、お前……。
「……何でいるんだ」
「お兄ちゃんの学校に遊びに来たら遥ちゃんがいて……それで、色々あって、こうなったの」
ヒマなのか……芸能人って……。
そんなこんなで、段々三人の女にエネルギーを吸い取られながら耐えていると、
「なるほど。理解しました」
……しなくていいのに……。
「では……私も仲間に入れてもらいましょう」
「はぁっ!?」「え?」「へ?」
俺と妹と妹のようなものが同時に、三者三様のリアクションをとる。
「お兄様……でよろしいですか?」
「……」
良くないよ……。
何にもよかねぇよ……。
そういうことじゃねぇんだよ!!
「ふふ……少し照れてしまいますね。でも、楽しいです」
……コイツも変なヤツだ……。
「……遥」
「……何?」
「どうしよう……俺……」
「……さぁ……。お兄ちゃん、私もどうしよう……」
「さぁ……」
常識外れのバカ二人に、相対的常識人が悩む悩む。
「お兄ちゃん」
「お兄様……」
俺を見るな……吐きそうだ。
「気持ち悪……」
「大丈夫ですか、お兄様」
俺のピンチに颯爽と背中をさすってくれる妹のようなものその2。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
心配してくれる妹のようなものその1。
「……頑張って」
力なく励ましてくれる妹。
……近いうちに、胃に穴が開く……。
「大丈夫ですかー?お兄様ー」
「元気出してよー。遊びにいこーよー、お兄ちゃん」
……いつか胃が無くなるな……。
───────────────────────
最後。
最初の話とほぼ流れが同じ……。引き出し少ねぇ……。
俺みたいなのばかりが出しゃばってもしょうがないので、しばらく大人しくしようか。
GJ!このスレを支えてる人がそんな事言わないで下さい
これからもwktkして待ってます
良作GJ!
作者さんもネガティブなんですか。
すごく面白いから自信持って。
次回作も焦らずマイペースで頑張ってください。
投下に早々に気付いた
毎度乙です、楽しみにしてますよ
乙です。
期待して待ってます
正直読んでるこっちの胃に先に穴が空きますなぁ・・・とにかくGJ!!1
コメント多い……何があったんだ……
>>244さん
俺は脆い上に見た目も悪いので支柱にするのには明らかに向いてません……。
ちゃんとした職人さんがいていただければもっと安定するのですが。
>>245さん
ネガティブです。暗いです。この主人公を暗く、ウザくした感じです。
>>246-247さん
普段全く褒められることが無いので、レスをいただけると人並み以上に喜びます。
が、褒めすぎると調子に乗るので程ほどに。あと、期待には恐らく応えられません。期待しないほうが良いです。
>>248さん
胃に痛みを感じる程のストレスを与えてしまうとは……ごめんなさい。俺なんかが支配するスレでごめんなさい……。
台本書きが雑談してすいません。
次回はいつぞやの文化祭話になるといいなぁと。
>>249 自分のペースで書いてくだされ
さてこのスレも4分の1消化か、いや1000まで容量が持つかわからんが
保守くらいはしようか……。
保守
もう葵は出ないのかな?
そして巴も完全に引退なのか・・・
hosyu
文化の日でございます。もう終わりかけですが。
ということで文化祭ネタを明日辺りからボチボチ貼っていこうかなと。
勝手に義務感を感じているだけです。自己満です。触れないでください。
wktk
「はぁ……」
妹の様子が少しおかしい。
帰りは遅いし、朝は早いし、ため息ばかりだし、時々ボーっとしながら机を叩いてるし。
それに何より……
「……何だ、コレは……」
「どうしました、兄さん?」
「……あんまり美味しくない……」
「え……でも、兄さんの好きな……」
「うん……っていうか、昨日の晩も食べたし……」
……飯が不味い。
いつもあんなに美味いのに……。
「え……そうでしたっけ?」
そう言う未来ちゃんの顔は真面目そのもの。
どうやらボケてるワケじゃなさそうだ。
「未来ちゃん大丈夫?どっか体悪いの?」
「……いえ……別に……」
「それじゃ、何か悩み?もしかして……恋っ!?」
「ち、ちがいますっ!!恋なんてしてません!!」
「まぁ、俺と未来ちゃんの関係は、もう恋なんて段階じゃないもんな」
「だから、ちがいますって!!兄さん、そろそろ怒りますよ!?」
……ノリが悪い……可愛くない……。
「あ……ゴメン。で、真面目に、何かあるの?」
「……仕方ありませんね……あんまり言いたくなかったんですけど……」
伏目がちに、語りだす未来。
未来の醸し出す空気の重さに、どんなことを告げられるのかと緊張する。
「……兄さんも、去年音楽の授業やりましたよね?」
「ああ」
「それでバンドを組んだじゃないですか……?」
「ああ、やったやった」
「で、発表会で一番上手だったグループは文化祭で発表することになったんですよ……」
……何か脱線してきた。
「それで……私たちが……選ばれちゃって……」
「おー!!凄いじゃん!!」
「凄くないですよ!!……私、凄く下手ですしっ!!」
手をパタパタ振って必死に否定する未来……。
可愛い……。
「でもさ、選ばれたんでしょ?」
「違うんです……バンドのメンバーが……唯奈ちゃんと千奈ちゃんと天童さんですよ……」
「……上手いのか?」
「ええ……ベースの唯奈ちゃんとギターの千奈ちゃんが息ピッタリで……ボーカルの天童さんも……」
「絶っ対上手いだろうな……」
「そうなんですよ……私が足引っ張っちゃってる感じで……」
「まぁ、気にする必要は無いんじゃない?天童、石川姉妹集めたって、結局は素人でしょ?気楽にやればいいよ」
「……兄さん……」
俯いたままの未来。
……あぁ、もうオチですか?
息を呑んで、その口から発せられる言葉を待つと、
「そうでもないんですよ……」
「は?」
「唯奈ちゃんが、発表用に相川先輩に作詞を頼んだそうなんですよ……」
「……無駄に豪華だなぁ」
未来の重圧を想像し、思わず頷いてしまう俺。
「もうプレッシャーだらけなんですよぉ……」
「なるほどねぇ……」
いっぱいいっぱいの未来……どういう言葉をかけたら良いんだか。
「俺、見に行くよ」
未来の隣に座り、小さな右手を優しく握る。
「えっ!?や、やめてくださいよっ!!」
「大丈夫だから」
顔は見えない。でも、十分だ。
「兄さん……」
未来も俺に答えるように、手を握り返す。
もう大丈夫だろう。
「でさ!!」
今度は出来るだけ明るく。
「上手くできたら、松茸でも買ってやるよ、やっぱ国産だよなー」
「いいんですか……?」
「ただし、俺を感動させなきゃだぞ?」
「……はい。肝に銘じておきます、兄さん」
やっと笑う未来。
基本未来ちゃんは可愛いけど、これが一番だよな。
「ところで、未来ちゃんは楽器何やってんの?」
「私ですか?私は、ドラムを……」
「女の子のドラムかぁ……あんまりピンと来ないな」
女性のドラムの方、ゴメンなさい。
「ま、可愛いと思うけどね」
「か、可愛い……!?」
「うん、可愛いよー」
バンドの苦労話を、少し嬉しそうに語る未来。
……それを見ちゃうと、文化祭、楽しみになってくるな。
───────────────────────
まぁ、文化祭1、2週間前の話って感じでしょうか。
時系列としては
>>77-82が文化祭一月半前、前スレ>499-501が文化祭一月前くらいかな……。
書いたのが随分前なので設定とかは完全に忘れています。
文句は昔の俺に言ってください。
GJ!
続き楽しみに待ってます
ステージの袖。
落ち着かない様子でグルグルと周りを歩き回る少女と、
落ち着いた様子で姿勢良くパイプ椅子に座るもう一人の少女。
「うぅ……キンチョーするぅ……」
「唯奈ちゃん、大丈夫?」
「……だ、だいじょーぶぃ……」
予想外の返答に、千奈は少し閉口する。
どうやら、並みの緊張じゃないらしい。
「千奈ちゃんはヘイキそうだねぇ?」
忙しく動き回る足を止め、羨ましそうに唯奈が尋ねた。
「うん、お兄さんも見に来るっていってたからね。頑張らないと」
「だからキンチョーするのにぃ……」
唯奈にしては珍しく、消えそうな声で弱気な発言。
その時、
「唯奈ー、千奈ー?いるかー?」
どこからか、二人の兄、真司の声が聞こえる。
「お兄さん?」
「お、お兄ちゃん?」
「あぁ、いたいた」
階段を上り、笑顔で現れる真司。
「二人だけ?天童さんと未来ちゃんは?」
「まだちょっと準備してますよ」
「そっか。じゃ、これ陣中見舞い。よかったらどうぞ」
のど飴や飲み物、お菓子などをいれたビニール袋を差し出す真司。
真司も千奈も、唯奈が受け取るものだと思っていたが、唯奈は生憎の状態。
少し遅れて、千奈がそれを丁寧に受け取った。
「……?」
真司はここで違和感に気付いたようで、
「唯奈?元気ないな?」
「……だって緊張するんだもん……」
「まぁ、そうだよなぁ」
この学校のアイドル的存在、天童葵目当てで集まった人だかりを思い出し、共感する真司。
「でも、唯奈の演奏を楽しみにしてる人もいるんだからさ。頑張れよ」
「それでも……」
鬱モード全開の唯奈。
真司は少しため息をついて、隣に立つ千奈と相談。
「どうしたら良いと思う?」
「お兄さんに任せますよ」
「……何か楽しそうじゃない?」
「ふふ、あわよくば私も励ましてもらおうかな。なんて思ってるんですけど?」
「ああ……でも、なんにしてもまずは唯奈だな」
「そうですね。頑張ってください」
「……頑張るよ」
微笑んだままの千奈に、力なく答える真司。
そして、唯奈に向き直り、
「唯奈」
「……」
相変わらず聞いているんだか聞いていないんだか、の唯奈。
真司はそんな唯奈の肩をつかんで、
「もう、他の人がどうとかそういうことは言わないよ」
「……?」
「他の人は考えなくて良いよ。俺を楽しませてくれ」
「お兄ちゃんを……?」
「そう考えて、少しは気が楽になってくれると良いんだけど」
とりあえず、真司的にはこれが精一杯。
恐る恐る唯奈の反応を待つと……、
「……バカ……」
「……え?」
「それが一番のプレッシャーなのに……」
「え……あ、ゴメン……」
「でも、不思議だよー。何だかやれそうな気がしてきたー!」
唯奈の瞳に光が戻る。
それを見て、真司からもため息が漏れる。
「よーし、千奈ちゃん。最後の練習しよう!!」
「うん。じゃあ、お兄さん、私たちはコレで」
「え……?千奈は良いのか?」
「ええ。私もおなか一杯です」
「おなか一杯って……まぁ、いいか。楽しみにしてるからな。頑張れよ、妹たち」
「うん、まかせといてよー!!」
元気な唯奈。
そして、唯奈の後ろで静かに笑う千奈。
いつもどおりの光景に満足した真司は、静かに客席へと降りていった。
───────────────────────
読み直してみると、前回からキャラを変えただけで話を変えていない……マンネリは昔からか……。
何かもともと無い自信がさらになくなってきました。もう早めに貼って終わりたい……。
文化祭の賑やかな雰囲気の中、俺は……悩んでいる。
制服の胸ポケットには一枚のチケット。
妹がボーカルを務めるバンドのライブの入場チケット。
かなり練習していたのは知っているし、
葵はわざわざ俺にチケットをくれたのだから、行くのが礼儀だとは思う。
だが……
「……無いっ、無い!?」
「やっぱりさっき財布出したときに落としたんじゃないか?」
そんなやりとりを俺の目の前で繰り返している男女。
どうも女の子が例のチケットをなくしてしまったらしい。
「うー……そんなぁ……」
「泣くなよ、奏。俺のあげるから、奏だけでも見てきなよ」
「ダメなのー……お兄ちゃんとじゃなきゃ意味無いのに……もう……今日はホントに不幸だよ……」
奏と呼ばれた女の子、ここからでは確認できないが、本当に泣きそうだ。
兄も必死でなだめているが、どうやら収まりそうにはない。
仕方ないよ、こんな一部始終見せられちゃ……。
「あの……良かったら」
女の子にチケットを差し出す。
「ふぇ……」
「え……いいんですか……?」
「僕一人で行ってもしょうがないですから」
「じゃあ……もらってもいいかな?」
「はい」
チケットを兄の方に手渡す。
「ありがとうございます……!」
嬉しそうにペコリと頭を下げる女の子。
ガンっ……
聞くだけでも痛くなってくるような鈍い音が……。
看板に頭を打ち付けたらしく、倒れた看板と頭を抑える少女。
「くぅー……」
額を押さえて身悶える女の子。
「だ、大丈夫か、奏……」
「だいじょーぶー……それよりも、ありがとうございましたぁ……」
こんな状況でも俺に礼を言ってくれる妹と、それを優しく見守る兄。
やっぱりチケット渡してよかったなと満足げにその場を離れる。
さて……これからどうしようか……。
───────────────────────
とりあえず、会場前に来てしまったが……入れるわけないよなぁ……。
葵に声だけかけて帰ろうかな。
などと、入り口前で迷っていると
「あの……チケットは?」
係りの生徒が申し訳なさそうに尋ねる。
「えっと……持ってないんですけど……ちょっとだけ入れてもらえませんか?」
「……こんなこと、前にもあったような……」
ボソッと呟く受付の人。
「え?」
「こっちの話です。さすがにチケットを持ってない方を入れるわけには……」
「ですよね……」
諦めて次の方法を探そうとしたその時
「あ、天童」
この声は……
「州田?」
「何だ、こんなトコで……?って、お前は去年のっ!?」
知り合いだろうか……受付の人を指差し驚いている。
「あ、州田先輩!」
「何だ、お前。また受付か……まぁ、俺も今年は持ってるからいいけどさ」
「あ、先輩も興味あるんですか?」
「ん……まぁ、いろいろと、な」
俺置いてけぼり……。
そういえば、中が静かだ……そろそろ始まるのかな。
「そうそう。で、天童は何してんだよ」
「それが……チケット、可愛そうな女の子にあげちゃって……」
「なんて面倒な奴だ……」
ため息を尽く州田。
「仕方ない、俺のをやろう」
「え……?州田はどうするんだよ……」
「俺……俺は……」
チラリと受付の生徒を見る。
「いや……無理ですよ?」
「無理か……」
「州田……やっぱり……」
などと三人の男が拮抗していると……
『おーい!!州田センパーイ!!聞こえますかー!?』
ホールの中から大音量で聞こえる声。
まさか、この声は葵……!?
「え……なんだ?なんだ?」
慌てている州田。
会場中の視線が入り口の州田に集まっている。
『あの人が、この学校一の天才!!そして、私たちの頼もしいマネージャー!!州田敬介先輩ですー!!』
「……は……?」
州田に大きな声援が送られている。
『マネージャーさーん!こっち来てくださいよーっ!!』
「仕返しのつもりか……あいつめ……」
州田は少し照れながら呟いた後、
「呼んでるけど、チケットいるかい?」
「え……いえ……そういうことでしたら行ってください」
「ありがと」
ゆっくりとそして堂々と舞台に歩いていく州田。
俺の手には一枚のチケット……。
「じゃあ、これで入れるんだね」
「あ、はい。っていっても、もう良い席は空いてないですけど」
「まぁ、仕方ないよ」
静かな音楽が始まり、苦手なムードのホール。
身を低くし、キョロキョロと席を探していると、
「おーい」
さっきの奏とかいう女の子が小さく手を振っている。
「え……」
「ここ、空いてますよー!」
手を上から下に『来い来い』の合図。
この距離で断わるわけにもいかず、早足で最後尾の席に座る。
「よかったー。お礼しなくちゃって思ってたんですよ」
「いや……お礼は良いけど、俺がいてお邪魔じゃないの?」
「え……あ……うーん……」
「ありがと、別の席探すよ」
ちょうど曲が終わりそうな気配。
ゆっくりと席を立つと、
「あ、あの……せめてお名前……って、おぉぉ!?」
少女が身を乗り出した瞬間……。
椅子が……壊れた……。
金属音が響き、いつの間にか視線独り占め……。
「きゅぅ……」
「か、奏!?大丈夫か」
「名前ぇ……」
倒れたまま小さく呟く女の子。
「ということなんで……とりあえず名前だけでも」
「僕は、二年六組の天童…」
そこまで言うと、先ほどまで目を回していた女の子が立ち上がり
「天童?じゃあ……」
チラッと舞台を見る。
「まぁ、そういうことだね」
「あわわわわわわわっ!!ご、ゴメンなさい!!私のほうが邪魔しちゃって!?」
「いやいや……いいけど……」
視線が……。
『あのー……大丈夫ですかー?』
葵の声……。
慌てる女の子を尻目に、葵と少しの間目が合う。
俺はここにいる。葵にそれが分かってもらえたようだ。
葵は小さく微笑むと、
『じゃあ、ちょっとアクシデントがあったけど……次の曲いってみよー!!』
大歓声のホール。
さっきとは打って変わって軽い楽しげな音楽。
そして本当に楽しそうな葵。
……あぁ、なかなか面白いじゃないか。
───────────────────────
今年の祭りで書いた奏の話みたいな感じに……あんまり妹関係ないし。
まぁ、次で最後だしね、我慢していただければ。
しかしアレだね……良い機会だし、俺ももうそろそろ引導を渡すべきかねぇ。
これはGJと言わざるおえない。
いつもながらGJです。
GJ!!!
さすがですね。
ho
「ふぅ……終わっちゃったんだなぁ……」
誰もいない体育館の裏、小さく呟いた。
嫌だ嫌だと思っていたが、皆で演奏するのがいつのまにか楽しくなって、
いざ終わってみると、何だか急に物悲しくなってしまった。
「ふぅ……」
冷たい風が吹いた。
ふと、あの人の顔を思い出す。
「そうだ、お兄ちゃんを探そう」
まだまだ文化祭も続いている。
少しでも良いから、何か思い出を作りたい。
そう考えたら、いても立ってもいられなくなった。
とりあえず携帯を取り出して、電話をかけてみるが、出てくれない。
「自分で探すしかないかぁ……」
ため息とともに、騒がしい校舎へ歩いていく。
───────────────────────
「いない……どこ行ってるんだろ……」
とりあえず、一通り学校中を見てみたが、出会うことは無かった。
あといるとすれば校庭と中庭くらい。
……それぐらいなら、探しに行くより高いところから見たほうが早そうだ。
迷わず上へ上と階段を上っていく。
そして、最後の階段を上り屋上のドアを開ける。
「?」
……力をかけてないのに、ドアが開いた。
「あ……葵……!?」
「あ、お兄ちゃん」
「な、何でここに!?」
驚いた様子のお兄ちゃん。
私はまったく動じずに、
「お兄ちゃんを探しにきたんだよ」
「俺を……!?」
「うん。ヒマだったら一緒に文化祭回ろうかなと思って」
「あー、葵……?」
「何?」
「あんまり……俺には関わらないほうが良いよ」
「……何で?」
「……そりゃ、まぁ……一応血の繋がりは無いわけだし、俺と変な噂が立ったら困るだろ?」
「……へ?」
「まぁまぁ、惚けるなって。相川から聞いたよ、この学校に好きな人がいるんだろ?
だったら、あんまり俺と一緒にいるべきじゃないんじゃないかと思ってさ」
……勘違いしてる……。
「まぁ、色々と葵が世話焼いてくれるのは有り難いけどさ、俺も昔は一人でやってたんだし、大丈夫だよ」
……そんなことも知らず、一生懸命私を説得しようとしているお兄ちゃん。
一応、お兄ちゃんなりに私のこと……。
「ふふふっ……」
「葵、俺は一応本気で……」
「いいんだよ、お兄ちゃん。そんなこと……無いんだから」
「……そうなのか?」
「うん。だから大丈夫。そんなことより……文化祭一緒に回らない?」
「いいのか?」
「うん。悪い虫がつかなくて丁度良い。でしょ?」
「……」
「よし、決まりね!!早速、噂流しちゃおうか?」
「はは、そこまではしなくても」
「……ちっ……」
失敗した……。
「葵?」
「なんでもないの!!さ、行こ行こ!!」
「ああ、どこ行きたい?」
「んー……まずは、ライブ成功のご褒美を頂こうかな?」
「あはは……まぁ、何か食べに行こうか」
お兄ちゃんと二人、初めての文化祭、それがなによりのご褒美。
残り少ない今日と言う一日……少しワガママになっても罰は当たらないよね?
───────────────────────
「……おっと、ゴメン、葵。電話だ」
ポケットからケータイを取り出すお兄ちゃん。……女……じゃないよね。
「ん?今、屋上。うん、葵も一緒……え、まぁ、そりゃいいけど、ちょっと葵に聞いてみるよ」
「何?」
「州田からなんだけど……終わったら打ち上げやるんだって」
「州田先輩?」
「うん。え……俺もなの?……は?俺がいなきゃ始まらないって……何が……」
お兄ちゃんは州田先輩に呟いたあと、受話器を押さえて
「どうする?」
「お兄ちゃん、一緒に行こうよ」
「え……俺も行っても良いの?」
「うん、もちろん。……あ、そうそう。州田先輩に『いろいろありがとう』って伝えて」
「え……まぁ……そりゃいいけど。州田と仲良いんだね?」
笑顔……。
何か勘違いされている気が……。
嫌な予感を感じている間に、電話口に戻るお兄ちゃん。
……ゴメンなさい、州田先輩……。また新しい誤解を生んでしまいました……。
───────────────────────
お久しぶりです。……いや、こんなに引っ張る気は無かったんですけど。
文化祭の話はこれで最後になります。
前にも言いましたが、俺みたいなのばかりが大きな顔をしていてもしょうがないので、
しばらく大人しくしております。気が向いたら、クリスマスにでも。
神GJ!!
GJ!です
乙!
これからも楽しみにしてます。
キモ過ぎるので晒しage
やっぱり俺的王道はツンデレ妹だな。
ツンデレ強し。
281 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/11/21(水) 10:09:21 ID:9j6Nc7Me
彼女とのデート中に突然現れて「お兄ちゃんを返して!」
どうよ?
賢しいな、逝っちゃいなよ!
どうよ?
兄が好きだけど兄妹だから結ばれない
→どうせ結ばれないならと嫌われるようにツンツン
→でも妹だから嫌われない、優しくされる
→もっと好きになってしまう
→でもどうせ結ばれないから(以下ループ
という経緯を辿っていくうちにテンパって
「もう、わかんないよ…っ! わかんなくなっちゃったよっ!」
とか壁に押しつけられ襟首掴まれて小一時間問い詰められたい
ほしゆ
285 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/01(土) 06:14:20 ID:SJmaXk5z
妹「磯野〜野球しようぜ〜」
別に・・・。
ほす
誰もこないなTT
ほ
290 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/16(日) 22:36:57 ID:fUTtLofY
保守 べっ、別に兄さんのことを思ってしたとか、そんなんじゃありませんからね! わ、わたしは・・・その・・・なんて言うか・・・・・・も、もう!兄さんなんて嫌いです!(/////)
292 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/18(火) 15:10:05 ID:nWzvx/82
ほ
293 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/18(火) 16:49:59 ID:3FflRz4F
( -ω-)が、がお
>>291 そしてヤンデレ化→泥沼化するわけですね
ほ
296 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/21(金) 18:13:52 ID:zjrnQdQe
ほ
あぶない!ふせろお兄ちゃん!
妹の上に伏せました
299 :
No.2:2007/12/22(土) 01:22:51 ID:nXs14U3/
「お兄ちゃん、お酒臭い!」
だっこ
「もう、飲み過ぎだったら!」
うるさい
「やだ、重いったら!」
うるさいうるさい
「なによ、ちょっと!」
うるさいうるさいうるさい
「相手を間違えてるんじゃないの!」
。。。。。。
「え、ふられたの?」
。。。。。。。。。。。。。。
「あんなに仲良かったのに?」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「うん」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
これ以上漏れが書くとくだくだになるので、この辺でw
300 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/22(土) 21:18:46 ID:OO+f9hTZ
俺の股間が疼きだしたぞっ!!
301 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/22(土) 21:36:44 ID:cbuU9h7/
302 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/22(土) 21:47:03 ID:BBwq6bOv
僕は二人兄妹で僕は中学3年の普通の男子生徒で
妹は中学1年生の女の子です。
僕は最近、妹が好きでたまりません。
いつも一緒にいて、一緒に妹とおしゃべりしているのですが
最近急に妹が「お兄ちゃん」と僕に呼びかけてきたら「ドキッ」
とするんですよ
どうしたらよいのでしょうか?
それは、兄として正常な反応だから、気にするな。
妹以外目に入らないという状態になったら、精神科を受診することをお勧めするが。
305 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/23(日) 16:42:26 ID:hg6Sb1VC
306 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/23(日) 22:12:12 ID:JCjMYjke
302で書いた人です。
僕の中学校一年生の妹は男子生徒からもてているそうですが
僕も妹が可愛いと思っていたので「やっぱりか」と思いました。
ぼくはそのせいで最近友達から「お前の妹可愛いなあ」とか
「お前いつも妹と何してるんだ?」とか僕の妹とばれたとき以降
よく言われるようになりました
自分的には嬉しいような嬉しくないような………
おにいちゃん!部屋から出てきて!
妹なんてそんないいもんじゃないぞ
蹴られるし踏まれるし俺が買ってきた
クレームブリュレ勝手に食うし
310 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/24(月) 20:58:08 ID:fw9InnBs
306で書いた人です
確かに妹のうざいところもあります
>>310 だからスレタイ嫁って言ってるでしょうが。
リアル妹の話はスレ違いなの。
日本がわかりますか?
それから自分のことを「書いた人」とか呼ぶのはやめようね。
>>311 リア厨みたいなゆとりに日本語は通じないから捨てておけ
そんな事よりヤンデレ妹を・・・
314 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/25(火) 11:51:05 ID:t9oesYMW
クリスマスってことでみんな殺気だってるんだぜ。
スレ違いなこと書くと命にかかわるぜ。
お兄ちゃんどいて!そいつ殺せない!
316 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/25(火) 19:08:42 ID:anFEwXlY
お兄ちゃん・・・・昨日一緒に買い物してた女の人・・・誰・・・・?
317 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/25(火) 20:23:07 ID:/WNvmNQA
お兄ちゃん・・ベッド温めておくから・・・早く来てね
318 :
名無しくん、、、好きです。。。:2007/12/25(火) 23:22:05 ID:KqQNRfPV
お兄ちゃん………大好き
310です。妹が甘えてきて困ってます。少しうざいんですが
にゃん
遅くなったけど、お兄ちゃんにプレゼント……私じゃダメ、かな……////
なに言ってるんだ、最高のプレゼントだよ
326 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/01/02(水) 22:33:54 ID:ZlN+91cc
>>320
うざい
保守
328 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/01/06(日) 07:30:09 ID:sunk7GHN
>>326
うざい
329 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/01/06(日) 12:04:23 ID:tMevot7F
330 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/01/06(日) 12:54:50 ID:WQDke/Zx
>>329
お前おかしい
精神外科教えてやるから
sageも知らないような輩は放置でよろしい。
いや…お似合いだと思うゼ
えっと…ここなんのスレだっけ?
妹に萌えるスレさ
肝心の妹が居ないもんなぁ…
お兄ちゃん精神病院にデート行ってみない?
338 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/01/14(月) 22:17:57 ID:thSmyIAD
お兄ちゃん・・・好きだよ。食べちゃいたいくらい・・・!!
かっこいい告白してくれたら付き合ってあげてもいいわよ!
340 :
No.2:2008/01/15(火) 00:56:06 ID:njuTKOIc
。。。
「だから?」
。。。。。。
「だから、何よ?」
。。。。。。。。。
「だからぁ〜、かっこいい告白してくれたら付き合ってあげてもいいって言ってるでしょ?」
ごめん
「もー、いつもこーなんだからw」
341 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/01/16(水) 03:50:38 ID:qVbwzCNQ
「ねぇ、そのプリンちょっとちょうだい」
……ダメか??
駄文だが、ネタを投下してもいいか?
344 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/01/18(金) 20:16:24 ID:4mSnI6Ba
346 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/01/19(土) 23:14:46 ID:OBRWqQTC
oけ
どいてそいつ殺せない
投下楽しみにしてます。
職人さん達はもういないの?(´・ω・`)
職人と言えるかは怪しいですが
一応私はいますよ
僕も一応。まぁ、今となっては一人のROMですが……。
僕も待ってます
356 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/02/09(土) 23:50:20 ID:X7pZvDY+
妹「兄さん、私結婚するね」
さっさと結婚して家から出てけこの引きオタニート
テメエの食いぶちまで何で俺が稼がにゃなんねーんだよ
357 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/02/10(日) 00:18:40 ID:k5y/Zsvo
お兄ちゃんのチンポ汁を私の子宮の中に沢山注いで妊娠させてぇ
358 :
u-ま:2008/02/10(日) 00:45:43 ID:TZQHelcS
はええヨ。
359 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/02/10(日) 06:28:42 ID:Ur1mmG25
うわ〜wお兄ちゃんのおっきい〜w
保守
何か新作はないものか
母親が殺されて5年がたつ。母を殺されたショックで思い精神病を患ってしまった妹の清澄も昔と比べ安定している。
母親代わりの天美さんにも懐き、段々ではあるが昔のように、そして家族っぽくなってきた。
―――――――――
朝ご飯は俺が作ることになっている。理由は簡単だ。
2人とも死ぬほど料理が下手だからだ。
死ぬ、いや、死ねればまだ楽。味が1日中舌に残り、俺を生き地獄へとお招きってわけだ。
だから、家庭科で5を採り、尚且つ調理実習の際には先生から絶賛を浴びた俺が作らないと、その日は1日病院で点滴とお付き合いというわけだ。
てなわけで俺が作っている。ついでに今日の朝ご飯はベーコンエッグとトースト。
「おはようございます、お兄ちゃん。」妹が起きてきたみたいだ。台所からリビングに目をやると、清澄がダイニングテーブルのイスに腰をおろしていた。
「おはよう清澄。」俺は冷蔵庫を開けると牛乳を取り出しグラスに注いだ。それをベーコンエッグ、トーストと共に清澄に差し出した。
「はい、どうぞ。」
「ありがとうです。」清澄はぺこっと頭を下げる。それから、朝食を始めた。
人がいない……。いつぞやのネガティブ兄シリーズでも貼ろうか……。
貼ってください…
「はぁ……ゴメンね、お兄ちゃん……」
ベッドに横になったまま、力ない笑顔の妹。
「謝るなよ。こういうときのための俺だろうがよ」
氷枕にタオルを巻いて、妹の額に乗せる。
妹は冷たさに少し驚いた顔をしながら、
「うん……ありがとう」
「やめてくれよ……何にもできないのに礼言われたら死にたくなるだろ……」
「……風邪引いても、お兄ちゃんのほうが弱気だ……」
「唯一の自慢だ。遥には負けないよ」
「もう呆れる元気もないよ……」
と言いつつも半分呆れている遥。少し元気になってきたという解釈で良いのだろうか。
「あ……そういえば……お兄ちゃん……」
「……何?」
「お腹すいてない?」
「少し。まぁ……その辺の物で食い繋ぐから」
「……そのこと……なんだけどね……」
「何だよ?」
「ゴメン……」
「何が?」
「……あんまり私から言わない方が良いと思うから……」
「え?」
「……すぐに分かるよ。私、寝るね?」
「あ、あぁ……お休み」
これ以上は何も言う気は無いとばかりに目を閉じる遥。
何故か思わせぶりな遥……何が起こるってんだ。
「はぁ……」
ため息。すると……。
ピンポーン
こちらの動きを見透かしたように玄関のベルが鳴る。
……あぁ、兄ちゃんにはなんとなく分かったぞ、遥……。
絶対来るぞ、あきらとかが……。
このタイミング的にコチラの状況は筒抜け。
居留守を使っても無駄なので、肩を落としたまま玄関に向かう。
「……」
覗き穴から外を見ると……誰だ、コイツら……。
落ち着き無くコチラの方を眺めている女と、腕を組んで立ってる生意気そうな女。
……遥の友達かな?
「開いてますよ」
一応無事を確認した俺は胸を撫で下ろし、ドアの前の二人に呼びかける。
「あ、お邪魔しますー」
「……」
ドアを開け、ゆっくり入ってくる二人の女。
「あ、賢太郎先輩、こんにちわー」
落ち着きの無い方の女がペコリと頭を下げる。
「……あぁ、こんにちは……」
「その顔……ひょっとして私のこと忘れてます?」
知り合いだったのか……?
「菊池七海!遥ちゃんのクラスメイトですよ。春に会いませんでした?」
「……会った……かもしれない……」
「遥ちゃんの言ったとおりだー。ね?亜紀ちゃん?」
生意気な方の女に同意を求める菊池。
亜紀と呼ばれた女は、俺を一瞥して……
「そうね」
……え?この女とは間違いなく初対面だろ……?
「私は、浅野亜紀。七海と一緒に会ってるハズだけど?」
初対面じゃなかった……。
この俺が、いちいち女の名前なんか覚えてられるかよ……。
「あぁ、そりゃ悪かった。で、本日は遥の見舞いですか?」
めんどくさそうだったので、できるだけ浅野の方を見ないように尋ねる。
「あ、はい……それと……」
……浅野の方を見る菊池
「な、何よ!?」
「なんでもないよねー?」
「そ、そう!!なんでもないわよ!!」
「……静かにしてくれ。遥、寝たとこだから」
つーか帰れ……。
「あ、そうなんですか?じゃあ、七海の出番はあんまり無いね」
そう帰れ……ん?
「じゃ、七海は遥ちゃん見てくるから、亜紀ちゃんは……ねぇー!?」
「わ、分かった!分かったわよ!」
「……」
いちいちうるせぇなぁ、こいつら……。
「遥の部屋は分かるよな?」
「はい、もちろん。じゃ、亜紀ちゃん頑張ってねー」
一人で、階段に向かう菊池。
……残された俺と浅野とか言う女……。
「何よ?」
「……」
俺が聞きたいよ……。
「キッチンは?」
「は?」
「キッチンはどこって聞いてるの」
「何故台所に?」
「料理作るに決まってるじゃない」
「……はぁ……」
なるほど、お粥とかを作ってくれるわけだな……。
「台所はここのドア開けて奥。じゃあ、任せよう」
もう付き合ってられない……とっとと消えたい……。
そう思いながら、浅野とか言う女に背を向けると
「何処行く気?」
「あ?俺は部屋に……」
「あ、アンタがどっか行っちゃったら鍋とか食器とかの場所が分からないじゃない!!」
……うるせぇ……。
「……何よ?」
「別に……ついてきな」
仕方ない。これも遥のためだ……。
ため息をぐっと堪えて、ドアを押す。
「何が要る?」
と言いつつ土鍋を探してみたり。
「とりあえず深い鍋とフライパンかしら」
ビニール袋を漁りながら答える浅野。
「……何を作るんだ?」
「パスタ。好きでしょ?簡単だし」
「……いや、俺は好きだけど……遥が……」
「え、遥……?」
あっけに取られた顔で俺を見つめる浅野。
「あれ……?遥の食事を作ってくれるんじゃ……?」
「べ、別にアンタのためってわけじゃないからね!?私は七海と遥に頼まれたから……っ!!」
……いちいちゴチャゴチャと……。
大体、恩着せがましいんだよ。
「ならお構いなく。一食抜いたって死にはしないよ」
「……な、何よっ……遥の気遣いを無駄にする気?」
「気にするな。遥と菊池には俺から謝っておく」
「……」
黙ってしまった……。
「……じゃあ、私、帰ります……」
言葉遣いまで変わった……何なんだ、コイツ……。
「あ、あぁ……気をつけて」
意外と呆気ないな。
遥の顔も見てかないのか、結構薄情なんだな……。
───────────────────────
許可が出たので貼りました。
ネガティブ兄,vsツンデレ編です。
作品を貼るのは四ヶ月ぶり。ネガティブ兄は五ヶ月ぶりになりますか。
時間がたつのは早いな……。
一応今回は前編。後編は又後日にでも。
正直、ネガティブとツンデレは相性が悪い……。
もうそんなにたったのか・・・
wktkしながら待ってますw
おつです!
上に続いてwktkしながら待ってますw
最近、名無しが減ったのでもっと盛り上げていきたいですね
372 :
月詠:2008/03/17(月) 04:17:30 ID:IXYLEuLP
書いてみる↓
今日の妹は変だ。
言い方を変えると、考え事をしている様に見える。
今朝は、そんなこと無かったので、学校で何かあったのだろう。
少し気になったので、夕食の時に質問をしてみた。
「今日、学校で何かあったのか?」
「………………え?」
返事をするまでに間があった。
これで、疑惑が確信に変わった。
「…………………」
「…………………」
無言で返答を促すが、妹も黙り込んでしまった。
俯き、俺と目を合わせない様にして、なにかを考え込んでいる様に見える。
しばらく静寂が食卓を支配したが、妹は小さく「…………うん。」と呟くと、突然顔をあげ、
「あの!!兄ひゃ…!?」
…………………噛んだ。
その後、食卓には、気まずい空気が流れ、妹は、顔を真っ赤にして、俯いたままだった。
あ〜、聞きそびれたなぁ。
長いので一旦切ります。
373 :
月詠:2008/03/17(月) 04:41:07 ID:IXYLEuLP
続きです↓。
その日の夜、いつもの癖で、ネット上のおもしろ画像を探していたら、時計の針が、いつの間にか深夜零時を回っていた。
そろそろ寝ようと思い、パソコンの電源を落とした時、控え目なノックの音がした。
「兄さん………おきてる?」ノックの音と同じ、控え目な妹の声。
「ああ、起きてるよ。」
今日、悩んでいた事で、相談をしに来たのだろう。俺は、出来るだけ優しい声で、返事をした。
「…………………」
「どうした?入っていいぞ。」
そう促すが、妹は部屋に入っては来なかった。
そのかわり、もう一度軽くノックをすると、
「いい……ここで話すから。」
と、かろうじて聞き取れる程度の声で呟いて、微かに震える声で話し始めた。
まだ続きます。
374 :
月詠:2008/03/17(月) 04:55:44 ID:IXYLEuLP
ラストです↓
「今日、クラスの友達から、兄さんに、手紙を渡して欲しいって、頼まれたの。」
「手紙…………」
自惚れかもしれないが…………何の手紙かは、想像が出来た。
「ここに置いておくから、後で………出来れば私が寝た後に………読んで。」
その言葉のすぐ後に、弱々しい足音が遠ざかって行った…………。
「俺は、駄目な兄貴で………酷い先輩だな。」
やっぱり手紙は、想像通りの物だった。
俺は、その手紙を、差出人の名前だけ確認して……………読まずに。捨てた。
長かったです。なんかすみませんでした。
375 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/03/17(月) 16:58:54 ID:uKqoTs09
376 :
童貞:2008/03/18(火) 21:09:24 ID:oj2dmu9B
取りあえず義妹で〇〇兄と呼んでくれるなら
「入るよ?」
「あ、はい……」
ドアの向こうに声をかけると、菊池の囁くような声が向こうから。
「ぐっすり眠ってますよ」
「そう……ありがと」
勉強机の椅子に座り、遥の寝顔を眺める。
「早かったですねー。もうお昼食べました?」
「いや、まだ」
「じゃあ、亜紀ちゃんまだ作ってるんですね」
「いや、帰らせた」
「はっ!?何ですっ!?」
「いや……嫌なやつに無理矢理料理作らせることも無いんだぞ?別に買ってくれば良いわけだし……」
「え?」
「いや、遥達に頼まれたから嫌々……みたいなこと言ってたし。だから帰ってもいいって……」
俺が言い終わると、菊池は何故か肩を落として……。
「……最悪の組み合わせ……」
「何が?」
「先輩はさすがですねぇ……」
「え?」
俺が聞き返す間もなく、
「亜紀ちゃん呼んできます」
「何で?」
「えーっと……私のお昼を作ってもらいませんと」
……ウチで飯食う気だったのかよ!?
「あ、そう……?じゃあ、行って来な」
「はい。先輩は遥ちゃんをよろしく」
「あぁ」
携帯電話を取り出し、スタスタと出て行く菊池を見送る。
ドアが閉まり、しばらく何も考えずにじっとしていると。
「あ、亜紀ちゃん!?何してんの!?」
ドアの向こうから聞こえる菊池の怒声……。
……聞こえてるって……。
「でも、亜紀ちゃんだってあれは知ってるでしょ!?」
聞いちゃいけないんだけど聞こえてくる……。
どうすりゃいいんだ……つーか、ストレス……。
「うん。大丈夫だって。うん。じゃあ待ってるね」
終わったみたいだな……。
ドアの向こうに意識を集中すると、
「お待たせしましたー」
何食わぬ顔で入ってくる菊池。
「何だって?」
「来させますよー」
「そう……」
「あ、先輩?」
「ん?」
「ツンデレって知ってます?」
「……まぁ、言葉の意味くらいなら」
要するに関わりたくないタイプの 性 別 ということだ。
「知ってるんだ……」
意外。とでも言いたげな……。
「どう思います?」
「いや……別に俺には関係ないし」
「そうでもないんですよねー」
「は?」
「ま、とにかく。そういうことなら良いです。そういう人もいるってことですよ」
「はぁ……」
いや、さすがに無いだろう……。
ドン引きしながら遥の寝顔を眺めていると
ピンポーン
玄関のベルが再び鳴る。
あぁ……女子濃度がまた上がる……。
「今度は私が行きましょうか」
ゆっくりと立ち上がる菊池。
彼女を少し見上げながら、
「頼む」
「いいえー。じゃあ、しばらくお待ちを」
ドアから出て行く。
階段を下りていく。
何か話している。
……聞こえない。
「ヒマだなー、俺……」
遥の顔をチラと見る。
……なんであんな厄介者たちと友達なんだか。
腹減ってきたな……。
「あ、あの……」
ドアの向こうから聞こえる声に以上に驚く俺。
なんだ、浅野か……って、浅野のほうかよ!?
「な、何か?」
「食事……よかったら……食べなさいよ」
ドアを開けて入ってきた浅野は、纏っているオーラが違う……。
……怖っ……毒か!?毒なのか!?
「あ、ありがと……」
とりあえず丁重に受け取る。
でもこれ、どうしよう……。
「……」
「……何か!?」
「あの……先輩……」
「は、はい?」
情けなっ……。
「さっきは……ゴメン……」
「えっ……あっと……」
何、何何何何っ!?
「私……ホントは……先輩のこと……」
「……」
え、何この不愉快なノリはっ!?
「先輩のこと……」
口を開く浅野。
……しかし、今日の俺は珍しく運がいい……。
「ん……ぅん……」
ベッドで小さな声がしたかと思うと、我が家のお嬢様が目を覚ます。
お嬢様はキョロキョロとあたりを見回して
「あ……あれ……邪魔しちゃった……?」
「ななな、なんでもないのよっ!!遥!!」
「え……だって今お兄ちゃんに告h……」
「してないっ!!してないんだからねっ!?」
騒がしい遥と浅野の会話。
俺はそれをすっぱり遮って、
「遥、調子は良いのか?」
「あ、うん。寝たらだいぶラクになったよ、お兄ちゃん」
穏やかに微笑む遥。
俺は遥の額に手を乗せて
「熱も大分引いてきたみたいだな。食欲は?」
「……少し」
恥ずかしそうに俯きながら答える。
「ゼリーを冷やしてあるんだ。持ってくるよ」
「うん、ありがとう。お兄ちゃん」
遥の笑顔を見届けると、俺は遥の部屋を後にする。
───────────────────────
「やっぱ遥ちゃんには敵わないね」
「七海……私は……あきらめないんだからねっ……」
「まずは先輩にツンデレの魅力を知ってもらわないとねー」
「わ、私はそんなつもりじゃ……」
「でもねー、ライバルは多いんだよー。今野あきらにー、宮原先輩にー」
「頑張ってみせるもん……」
そんな二人の会話など知る由も無く。
今日はお嬢様の従者になる俺。……あぁ、なんかこのポジションしっくり来るなぁ……。
───────────────────────
ネガティブ兄,vsツンデレ編の後編。
このキャラを、僕自身が随分気に入っているのでしばらくはこのネガティブ兄で行きたいなと。
次は、クール娘と絡ませたいと計画中です。
えーっと……あまり大きな口で言えた義理ではないですが、
出来れば、このスレはsage進行でのんびり行きたいなと……。
GJ!!
何か姉スレが最近少し活気付いてきましたね。
383 :
真性姉好き:2008/03/22(土) 19:11:57 ID:i2+BBVOm
姉属性はブームにこそ、ならんが。人気自体は、根強いからな。
このスレももっと盛り上がって欲しい
妹「私はお兄ちゃんの所有物だから・・・・・好きに使っていいよ?」
386 :
長い物には巻かれろ:2008/03/25(火) 04:45:12 ID:pw6bWqFv
>>385 それはむしろ姉に言われたいな。
「私は○○○のお姉ちゃんだから………○○○のしたい事…………させてあげる。」
って、感じで。
妹スレでしたね。スレ違いでスイマセン。
sage忘れてました。
>>386 うわっ高っ
お兄ちゃんの目線って、こんな風に見えるんだね
389 :
No.2:2008/03/25(火) 21:43:27 ID:PcgBdz1M
┼─┐─┼─ / ,. `゙''‐、_\ | / /
│ │─┼─ /| _,.イ,,.ィ' ─────‐‐‐‐ゝ。←>>某791
│ | │ | | | イン ,'´ ̄`ヘ、 // | \
__{_从 ノ}ノ/ / ./ | \
..__/}ノ `ノく゚((/ ./ |
/, -‐===≡==‐-`つ/ ,.イ  ̄ ̄// )) / ;∵|:・.
_,,,...//〃ー,_/(. / /ミノ__ /´('´ / .∴・|∵’
,,イ';;^;;;;;;;:::::""""'''''''' ::"〃,,__∠_/ ,∠∠_/゙〈ミ、、
/;;::◎'''::; );_____ @巛 く(. ( ゙Y} ゙
≧_ノ __ノ))三= _..、'、"^^^ \ ! }'
~''''ー< ___、-~\( ,' /
\( ,'.. /
妹かぁ
長女、長男、次女。という三人姉弟。
長女は弟達に対して優しく接し。
長男は姉を支えていき、妹を可愛がった。
次女はそんな二人が大好きで、いつも二人にくっついてまわっていた。
仲の良い三人だったが、成長していくに従って、少しづつ関係が代わっていく。長女は長男を特に可愛がる様になり、長男もその愛情に応えた。
次女は兄に対して、男性としての好意を抱く様になるが、同時に周囲の目も気になり始め、少しだけ距離を置く様になり。「お兄ちゃん」から「兄さん」へと呼び方も変えた。
↑という設定で、
仲良く並んで歩く姉と兄の背中を、切なそうに見つめながら、
「少しは私の方も見てよ………お兄ちゃん。」
……………orz
その設定でSS化を希望!
>>391 SS………SSかぁ。
「ほら。」
差し出された小さな手。
向けられたのは、大好きな二人の優しい微笑み。
(あぁ………夢か。)
そう、これは過去の夢。
姉さん達についてまわっていた頃の、幼い記憶。
「お兄ちゃん………」
そう言って、記憶の中の私は、差し出された手をとる。
小さくって頼りないけれど、温かくって、優しくて………安心できる手。
この夢は………記憶。
初恋の始まりの記憶。
これから積み重ねていく想いの………最初のひと欠片。
「…………大好きだよ。」
ーーーーー・ーーーーーー出だしだけ書いてみたけど、難しいです。
>>392 乙、そして、実はこれだけでも十分完結してますよ。
足りない分は想像で補わせるのもありですから。
これは!
姉妹両方のエピソードが楽しめそうで何かワクワクしてきたぞぉ!(悟空)
続きも待ってます
>>394 続きっすか。
ゆさゆさ
ゆさゆさ
心地よいリズムで体が揺さぶられている。
私はおそらく寝ていたのだろう。意識が少しづつ覚醒していくのが分かる。
「……きて、…起きて。」
柔らかい、優しい声が聞こえる。聞き慣れた声、自分にとって、最も近しい人間の内の一人。
「おねえ………ちゃん?」
ぴたっ
与えられていた、心地良いリズムが止まる。それが引き金となり、意識が急激に覚醒していく。
「うぅん。」
少々間の抜けた声を発し、体を起こし、目をあける。
「………姉さん。」
目の前にいる人物に声を掛ける。
整った顔立ち、綺麗な長い黒髪、大人びた雰囲気に、少女のあどけなさを垣間見せる、矛盾した美………御国 桜(みくに さくら)、私の姉。
「……………」
姉さんは、黙って私を見つめていた。真摯な表情で、不覚にも、見とれてしまうぐらいに美しい瞳で、瞬きもせずに。
「………雪華」
名を呼ばれ、緊張してしまう。
周囲の全てが、姉だけに注目しているような、姉以外、発言を禁止されているような………そんな、緊張感。
「もう一回……………お姉ちゃんって呼んで!!」
を、当の本人がぶち壊した。
ーーーーー・ーーーーー
とりあえず、出来たとこまで貼った感じです。
最近、遊星さんとか、見ないですけど、居ないんでしょうか?
酷いや……。この雰囲気で、僕が出る幕なんてどこにもないじゃない……w
>>396 いえ、遊星さんが貼ってくれれば、みんな食いつきますよ(勿論自分も)。
そうすれば自分も、ひっそりと観客に回れますから。
少なくとも職人様が作品を貼ってくれる今は需要が無いでしょう……あくまで、僕は前座ですからね。
また、人が少なくなればこっそりと貼って……という感じでいこうかなと。
>>398 少なくとも、自分は職人では無いかと。
SS書くのも、今回が初めてですし。
なぁ、バレてるぜ。
>>長い物に巻かれたさん
グッジョブ!まったり待っとりますので続きもヨロっす!
>>遊星さん
このスレは今でも十分に人すくないかと……w
とりあえず自己責任という事で、390のシチュは、書ききる事にします。
ズザザザザッ!!
周囲からの、盛大に転んだような音で我にかえる。
「……昔は…おねえ…」
冷静になって、周りに目を向けてみると………
「でも………最近……」
どう見ても学校だった。
先程の音は、『ような』 では無く、実際に周囲の人間が転んだ音だったらしい。
「……だから………」
記憶をたどってみると、六時限目の途中から眠ってしまっていたらしい。
つまり、今は放課後。姉さんは私に用があって、訪ねて来たのだろう。
「という訳で、もう一回、お姉ちゃんって呼んで欲しいの。」
…………………………。
「あの、姉さん。いきなり結論から言われても。」
「…………聞いてなかったのね。」
姉さんが、ものすごくショックを受けたという顔をする。どうやら、途中を聞き逃していたらしい。
「とりあえず、一回だけでいいから、お姉ちゃんって」
「用件はなんですか?姉さん。」
「だから、おねえ」
「用件はなんですか?姉さん。」
「おね」
「用件はなんですか?姉さん。」
「………………。」
姉さんは一瞬だけ、絶望したような(余命三ヶ月と宣告された、末期ガンの患者のような)顔をしたが、すぐにいつもの表情に戻り、訪ねて来た理由を話しはじめた。
「今日、お母さんの帰りが遅くなるらしいの。」
「そういえば………朝、そんな事を、言ってましたね。」
「そうなの。だから、今日の夕飯は、外食で済ませようとおもって。」
「そうですか。兄さんには、もう伝えたんですか?」
「まだだよ、紅葉は、これから誘おうと思って。」
そう言った一瞬、姉さんの声が微かに弾む。
紅葉……御国 紅葉(みくに くれは)、御国家の長男で私の兄、姉さんからすると弟。
そして、私の……
「すみませんが、私は無理です。友達と帰る約束をしてしまっているので。」
「そうなの?残念だけど、それじゃあ仕方ないね。」
そう言って、姉さんは本当に残念そうな顔をする。
その顔に、少し罪悪感を感じながら、私は帰る約束をしている友達に声をかけた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
「しかし、桜先輩も相変わらずだよね。」
帰りに寄った喫茶店で、休憩している時、友達……由佳が突然、そうきりだした。
「相変わらず?」
「うん、悪く言っちゃえば、姉馬鹿っていうか。
私にも姉がいるけど、あんなに仲良くはないよ?」
「姉さんは………昔から変わっていませんから。」
「あー、そんな感じだよねー。」
(………違う。)
心の中で、自分の言葉を否定する。
姉さんは、昔と同じように見えて、昔とは違う。
おそらく、自分に訪れた変化と同じ変化が、姉さんにも訪れている。
御国 紅葉を………異性として認識し始めたという、変化が………。
兄さんを、異性として意識し始めたとき、私のとった行動は、『距離を置く事』だった。近くに居すぎると、取り返しのつかない所まで、好意が強くなりそうで、恐かった。
そしてなにより、周囲の視線が気になった。仲の良すぎる兄妹は、余り周囲に歓迎されないという事を痛感した。
しかし、姉さんは違った。私と正反対の行動を、涼しい顔で実行し、周囲を呆れさせつつ、納得させてしまった。
「あれ?」
由佳の声に反応し、思考を打ち切り、由佳の方へと意識を傾ける。
「どうかしました?」
「いや、あれ桜先輩じゃない?」
そういった由佳の視線をたどってみる。
そこには、姉さんと、
「兄さん。」
そう、兄さんがいた。
二人は楽しそうに、まるで恋人同士であるかの様に、仲良く並んで歩いていた。
ズキッ
心の奥深くで、鋭い痛みを感じた。暗い、醜い感情が込み上げてくる。
堪えようとして、堪えきれなくて、抑えているはずの言葉が、溢れてしまった。
「少しは、私の方も見てよ…………お兄ちゃん。」
だってお兄ちゃんは。
私の…………初恋の人だから。
ーーーーー・ーーーーー
やっと終わりました。長かったです。心理描写多くて読みにくいです、ごめんなさい。
あと、これ書いてる途中、『ボクっ娘妹メイド』という謎フレーズが思い浮かんだ自分は、病院に行った方がいいでしょうか?
GJ!!
そして次回作が決まった様で何よりですw
お疲れ様です。
そして、
>>227-230あたりの悲願がとうとう叶いそうな予感……楽しみにしておりますw
ボクっ娘妹メイド
これで書くと、終始バカなノリになりそうなんですけど。
うはwみなぎってきたよ、これ
試験的に書いてみました。
大学進学と同時に、一人暮らしを始めて、はや一年。
たしかに気楽なのだが、問題も多々ある。
部屋にお札が貼ってあったり、雨漏りしたり、隣の部屋のカップルが致し始めたりと、数えたらキリが無いのだが、今はもっと重大な問題を抱えていた。
妹が突然襲来してきたのだ。
奴ときたら、部屋のゴミを片付け、普段100円のカップ麺で済ましている俺に、うまい飯(300円のカップ麺)を食わせ、あげくの果てに、バル○ン焚くからと部屋から追い出しやがった。
全く、家主を追い出してなにをするつもりなのやら……あ、バ○サン焚くのか。「あれ?」
まてよ。バルサ○、焚く、アパート………。
「焚くなぁーー!!バ○サン焚くなぁーー!!」
往来の真ん中で突如絶叫する変態……つまり俺。
「他の住民が迷惑するんだよ!!俺が白い目で見られるんだよ!!」
バル○ン星人とか呼ばれたら、どうすんだよ!!
ようやく(家を出てから、30分ぐらい)事の重大さに気付いた俺は、スプリンターも真っ青のスピードで、アパートへと戻った。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
アパートへと戻った俺を待っていたのは、予想をおもいっきり、裏切る事態だった。
バ○サンは焚かれておらず、本がきっちり整頓されて並べられていた……………エロ本が。
『メイドのご奉仕』『メイドにお任せ!!』『メイド図鑑』 etc…………趣味が偏ってる?うるさい、メイドは男のロマンだ。
「お帰りなさいませ、ご主人様!!」
メイド的な声が聞こえたので、そちらを見てみると、
「へへぇー、どう?お兄。ボクもこういう服を着ると、中々カワイイでしょー。」
メイド服姿の妹………可奈が居た。
一体何故コイツは、メイド服を着ているのだ?
そして、いつの間に用意したんだ、ソレ?
「それは、企業秘密だよー。」
モノローグに反応するな。
「そんな事より、カワイイ?欲情する?」
そう言って、クルリとターンをする可奈。
ただでさえ短いスカートが、ふわりと浮き上がり、健康的なフトモモが、チラリ、と覗く。
その瞬間、俺の中でなにかがキレた。
「ふっざけんな!!ミニスカートなんざ、邪道だ!!フトモモになんぞ興奮しねーよ!!足首だ!!足首に萌えるんだよ!!」
すみません、キレたのは堪忍袋でした。エロい展開になんなくて、すみません。
「うっせー作者!!モノローグに入ってくんな!!俺は、今から、この阿保に、メイドのあれこれを叩き込んでやんなきゃなんねーんだ!!黙ってろ!!」
説教が続くこと一時間
「すみません、ボクが間違ってました。すみません、もうしません。すみません。」
「分かればよろしい。」
可奈も反省した様だし、許してやるか。
いや、もう一カ所気になる所があったんだった。
「なあ、可奈よ。」
「うぅ、なに?」
「メイドは、『ボク』なんて言わないんだ。」
「ふぇ?」
「よし!治すぞ!!」
「ええーーーー!!もう勘弁してーーー!!」
よく晴れた空、響き渡る可奈の絶叫。
今日も平和だ。
「全然平和じゃないよ!!ボクにとっては、厄日だよぉーーー!!」
ーーーーー・ーーーーー
なんか、暴走してしまいました。
もう還っても良いですか(土に)?
グッジョブ!
これで作品は2本。コテもあるし、貴方はもう立派なSS職人さんですw
自分ばっか書いてるのも、なんか申し訳ない気がするんですが。
とりあえずSSではなく、心の叫び。
病弱で丁寧口調の妹に、
「兄様」
とか、呼ばれてぇーーー!!
前回の自分のレスを除けば、丸二日レス無し。
過疎気味か?
なんか投下すべきか、黙って見守るべきか…………………。
俺はどんどん新作とか続きとか貼ってほしいけど……
このスレをよく見てる名無しさんは今どれ位いるんかね
ROMさんも含めた名無しさん、ちと挙手をおねがいします。
まず俺、1人め
俺で二人目
三人目
417 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/04/01(火) 17:41:17 ID:rmXR2EYR
おれで四人目
相部屋で妹にごみ箱を見られ
ため息の後…
妹「(はぁ〜)お兄ちゃんはごみ箱を孕ませるつもり?」
って言われたい…。
欲を言うと
妹「なんの為に私がいると思ってるの?私を使ってよ!」
と実姉が居る俺が言ってみる
姉も妹も居る俺が5人目か。
リアルの妹は生意気だぞ。姉ちゃんは可愛いけど。
投下待ちの6人目
妹が欲しい普通な七人目
義理の妹がこの前できた[人目
携帯から9人目
では10人目と言ってみよう。
424 :
1人め:2008/04/01(火) 22:24:16 ID:VbbkCi3A
ありがとうございました。何気にけっこう人いたんですねぇ……
ドMっぽい妹が欲しい11人目がここにw
親の再婚で義理の双子妹ができた俺が十二人目?
暖かい。
暖かい。
暖かい。
……寒い……?
寒い……眩しい……。
「兄さん……兄さん……?」
うるさい……。
「未来ぅ……まだ眠いって……」
どちらかといえば、まだ夢の中。
「誰なの?そのミクって人は」
「あ……うん……?」
誰だろ……。
次第に頭がハッキリしてくるにつれ、自分に対しての疑問がわきあがってくる。
「静流さん……だね……?」
目を開けて、僕を起こしてくれた妹の顔を見る。
「うん、静流。静かに流れると書いて、静流。忘れちゃった?」
彼女は僕の義理の妹、静流さん。
背が高くて、線が細くて。切れ長の目にサラサラの黒髪ストレートヘア。
見るからに付き合いづらそうな女性だが
「さて、寝惚けるのはココまで。遅刻しちゃうよ?」
実は人懐っこい、ということに最近気がついた。
そして、
「……あ?あぁ……あれ、目覚まし鳴らなかったのか……」
「鳴ってたよ」
小さく微笑んで答える静流さん。
「私が止めたの」
「え?」
「兄さんが今日一番最初に見るものは、私であって欲しいからね」
「……え?」
「私は兄さんが好きだから。兄さんの特別になりたいんだ」
恥ずかしげも無く、こういうことを言ってくる静流さん……。
「……」
言われた僕のほうが恥ずかしいって……。
「いい加減、慣れて欲しいかな」
「……ゴメン」
「謝る事じゃないよ。そういう新鮮な反応をしてくれると、私も嬉しいよ」
「……」
すっかり遊ばれている感のある兄である僕……。
「それにしても静流さんは朝から元気だね」
「お弁当を作らなくちゃならないからね。嫌でも目が覚めちゃうよ」
「あ……ゴメン……僕だけ……」
「兄さんは気にしなくていいよ。私は好きでやってるんだ。兄さんが私のお弁当を食べてくれるだけで幸せだよ」
「でも……」
「そう申し訳なさそうな顔をしないで欲しいな。こっちだって気兼ねしてしまうじゃないか……」
少し落ち込んだ様子で俯いてみせる静流さん。
しかし、何かを思いついたようで
「じゃあ、こうしようか」
「え?」
「兄さんは極力私と一緒に昼食を取る。
その時、兄さんはその日あった事や、聞いた話、料理の感想などを私に教えて」
「それだけ?」
「違うよ、兄さん。正しくは『それこそ』だね」
「え?」
拍子抜け。
「何度も言ってるじゃない。私は兄さんが好きなんだ。
私は、兄さんが私にしてくれることなら何でも、喜んで受け入れるよ」
「ん……よく分からないけど、そういうことなら」
僕の言葉に対し、パッと表情を輝かせる静流さん。
「じゃあ、決まりだね。時間もないし、詳しいことは朝食を食べながら決めようか」
「そうだね」
静流さんに促されるように、自室を後にする。
なんというか……静流さんのペースに流されっぱなしだ。
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妹に言われたいセリフスレのベテランROMが空気を読まずに参戦です。13人目。
つーか……こんなに人いたのね……恥ずかしくなってきた……。
これもひとえに新職人様のお陰ですね。
えっと、今回の台本ですが、ネガティブ兄ではありません。
素直クールといいますか、クールなんだけど愛情表現はストレート、みたいなイメージで。一応続きます。
GJ
十四人目です。
うぅ……予想以上に多い………。投下するのやめようかな…………一応しとこう。
「アハハ、お兄ちゃんもお姉ちゃんも相変わらずだねー。ご愁傷様」
『笑うな!!大変だったんたぞ!!』
「いや、どっちかというと、お姉ちゃんの方が……て、もうこんな時間。お風呂入るから切るね、バ、ル、○、ン、星、人さん。」
『な!!由佳、おま』
プッ、ツーツーツー
兄との会話を打ち切り、入浴の準備をする。電話の向こうから、抗議の声が聞こえたような気がしたけど、多分気のせい。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
お風呂に入る為、一階に降りると、姉がミシンを使い何かを作っていた。
気になったので、手元を覗いてみると………………………ナース服?
「…………なに作ってるの。」
「なにって。ナース服!!」
見れば分かります。
「お兄が、メイド好きの変態さんだって判明したから、目を覚まさせてあげるの!!
ボクの魅力と、このナース服で!!」
………………あえてツッコミませんでした。
「ふぅ」
湯舟に浸かり、一息つく。私はお風呂が好きだから、日本人に生まれて来て、正解だったと思う。
「うーん。」
髪の毛をいじる。ふわふわのくせっ毛。羨ましいって言う人もいるけど、私はやっぱり、ストレートの方がよかった。
視線を落とす、女性特有の膨らみが二つ、湯舟に浮いている。姉と違って、私は発育がいい。少しだけ、自分で揉んでみた。
「………んぅっ」
……………変な所を触ってしまった。
天井を見上げる。胸は、べつに大きくなくてもよかった。小さすぎるのも嫌なので、普通サイズが一番だと、私は思っている。
髪のことも、胸のことも、無い物ねだりだと、自分でも思う。それでも、そう思ってしまうのは、まさしく『理想』と呼べる女性を知っているから……
少しは、私の方も見てよ………
数日前の事を、唐突に………本当は、唐突ではないかもしれないけれど………思い出す。
あの時は、聞こえない振りをしたけど、本当は聞いてしまった………親友の、切ない本音を。
「はっぱ………かけようかな。」
親友の………あんな顔なんて、見るのは嫌だから。
どんな結果だろうと、今のままより、きっとましだから。
「よし!!」
決行は明日。月曜日。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
ちょっと伏線気味に書いてみました。
短くまとめるつもりが、予想以上に長く………orz。
遊星さん、GJです!!続き待ってます。
職人さんお二方ともGJ!続きも待っとります!
二人とも乙!
テラ萌えるわぁ
「……」
「……」
青空の下、沈黙の二人。
別に気まずいわけではない。
黙って、この二人の間に流れる雰囲気を楽しんでいる。
……のだと僕は思っていたが……
「兄さん?」
「ん?なに?」
「やっぱり私はつまらない?」
「え?」
「さっきから黙ってる……」
そうか、さすがに無口すぎたか。
「あぁ、ゴメン。少しボーっとしてた」
「はは。こんな何も無いところに呼び出して悪かったね」
「いや、静かで良いと思うよ」
「そんな私なんかに気を使ってくれなくても構わないよ。文句があるなら、遠慮なく言えば良いのに」
「ううん。こんなに良くしてもらってるのに、静流さんに文句なんていったら罰が当たるよ」
「当たらないよ。私は兄さんと一緒にいることが嬉しいんだから、怒られたくらいじゃ」
「なんか大仰だなぁ……」
「それだけ、私の中の兄さんが占める割合が大きいってことだよ」
微笑む静流さん。
うーむ……それはそれで、申し訳ない気も……。
「そうだ。兄さんに少し相談したいことが、あるんだ」
「ん?相談?珍しいね」
「うん。で、相談なんだけど……」
座りなおし、ジッと俺の目を見る静流さん。
「私たち、出合ってもう随分経つよね?」
「そうだね、もう……3ヶ月くらいかな?」
「うん。正確には3ヶ月と12日。それでなんだけど……」
「……?」
珍しい。
静流さんが口篭っているなんて……。
「えっと……うーんと……」
「静流……さん……?」
「だから!そろそろ……静流さんなんて他人行儀な呼び方は……辞めてほしいななんて……」
徐々に小さくなっていく声。
でも、ちゃんと一字一句逃さず僕の耳には聞こえた。
「あぁ……そんなことでいいの?」
静流さんの硬い雰囲気から発せられた提案に、肩透かしを食らった気分。
「そ、そんなことって、兄さん!私にとってはとても重要なことで……!」
「あ、えっと、ゴメン。そんなつもりじゃ……」
怒っているというより、お説教と言うのに近い言葉に思わず、頭を下げて謝ってしまう。
「悪気があるわけじゃないんだ……許してよ、静流ちゃん」
「……!」
睨まれた……。
「……呼び捨てが良い……」
ボソッと呟く静流……。
こだわっているんだ……。
「分かったよ……静流」
「もう一回呼んで……?」
「うん。静流」
「ありがとう。幸せだよ、兄さん」
いつもの口調でそう言った静流、でも嬉しさを隠せない顔。
「兄さん、いつものやろうか」
「え?ここでっ!?」
「いいからいいから。ほら、ちゃんとコレも」
家からそんなものを持ってきたって事は……最初からそのつもりですか。
「こんなに天気が良いんだ。きっと気持ち良いよ」
「……じゃあ……お言葉に甘えようかな……?」
「クス……いっらしゃいませ」
穏やかな太陽。
心地よい春風。
柔らかな静流の膝枕に横になり、耳かきをしてもらう贅沢。
ただ、冷静に考えると、この体勢は恥ずかしいぞ……。
「ふふ、気持ち良いんだね。兄さん」
「あぁ……」
間抜けな声……。
「愛してるよ、兄さん」
「こんなときに言わなくても……」
「本当は、四六時中言っていたんだけどね」
「勘弁してよ……」
「はは、今日は今の兄さんの横顔に免じて許してあげるよ」
時を忘れてしまいそうな、ゆったりとした時間。
今日もしっかり静流に乗せられてしまったが……まぁ、いいか。
「そうだ。たまには静流にもやってあげるよ」
「え?わ、私はいいよ!」
「まぁまぁ、そういわずに。膝枕もちゃんとするよ」
「う……じゃ、じゃあ……」
ちょっと勝った。
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作品を貼った後は人が増えるが、急速に人がいなくなるね……。
他のSSスレとかはどうしてるんだろうか。
素直クール妹後編。好きなんだけど、妹である必然性が薄い……いつものことか。
次回はネガティブ兄vsクール娘編……よく考えたら冬の話だったなぁ……。
GJ!
次の作品も楽しみにしてます
グッジョブ!
一応、投下しときます。
御国家です。
雪華が風邪をひいた。
普段から、健康管理はしっかりしている妹なので、すぐに治るとは、思うんだか。
「けほっ……けほっ。」
「大丈夫か?」
辛そうだったので、背中を軽くさすってやると、雪華は、申し訳なさそうな顔をしながら、
「大丈夫…です、兄さん。………気を遣わせてしまって、すみません。」
そう、返事をした。
背中をさするのをやめ、頭を軽く撫でる。
「あまり、大丈夫じゃなさそうだな。
あと、こういう時ぐらい、甘えろ。」
「……………ずるいです、兄さん。」
そんなやり取りの後、しばらく黙ったまま、雪華の頭を撫で続ける。
………………
「紅葉、開けてー。」
部屋の外から、姉さんの声が聞こえたので、撫でるのをやめ、ドアの方へ向かう。手が離れる一瞬、雪華が、寂しそうな顔をした気がするが、それは自意識過剰というものだろう。
「雪華、具合のほうはどう?」
「いえ、大丈」
「あまり、大丈夫とは言えない。けど、朝よりは大分マシにはなってる。」
雪華が「大丈夫」と、返事をしようとしたので、それを遮り、正確な現状を、姉さんに伝える。
姉さんは、少しだけ、困ったような、呆れたような顔をしたが、結局は、とびきり優しい微笑みを浮かべながら、俺がしたのと同じ様に、雪華の頭を撫でた。
「もう、あんまり無理しちゃ駄目だよ?」
「はい………姉さん。」
「風邪ひいた時くらい、甘えて良いんだからね?
それと、お粥作ってきたから、食べさせてあげるね。」
「え!ちょっ、姉さん。」
「食べさせてあげるね。」
にこっ。
逆らう気を奪うような、綺麗な笑顔を、雪華に対して向ける姉さん。雪華も観念したようで、諦めたような溜息をついた。
「あ、紅葉。少しだけ外に出ていてくれる?」
と、そこで唐突に、姉さんがそう言った。
「ん?なんで?」
「もー、気が利かないなぁー。」
軽く頬を膨らませながら、姉さんは、お粥の乗っているお盆に視線を移す。
「あー、なるほど。じゃあ俺は、薬でも持ってくるよ。」
お盆の上には、お粥と一緒に、濡れタオルが置いてあった。
「うん、分かればよろしい。」
そういえば、随分汗かいてたなぁ、雪華。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
コンコン。
「姉さん、雪華、もういいか?」
30分程時間をつぶし、薬を持って、雪華の部屋を訪れる。
「兄さん?もう、入っても問題ありませんよ。」
雪華の返答があったので、扉を開け、部屋に入る。
「あれ?姉さんは?」
部屋の中には、雪華しかいなかったので、疑問に思い、質問してみる。
「夕飯の買い出しに行くと言って、少し前に出掛けましたが。行き会わなかったんですか?」
「ああ、俺もさっきまで、部屋にいたからな。」
そう答えて、ふと違和感を感じた。
雪華の声が、少しだけ強張っているように感じたのだ。
「………姉さんと、何かあったのか?」
気になったので、そう質問すると、雪華は、少しだけ驚いたような顔をして、
「こういう時だけ………鋭いんですね。」
と、拗ねたような声で答えた。
「兄さんは………姉さんの事、好きですか?」
間を置かずに、雪華が質問をしてきたので、
「そりゃあ……」
好きだよ、家族だから。と続けようとして………やめた。
雪華が、とても真剣な目で、とてもまっすぐな瞳で、見つめてきていたから。だから……………『そういう』意味なんだと、理解した。理解………してしまった。
「どうして………分かったんだ?」
隠しても無駄だと思い、遠回しに、けれど正直に、自分の気持ちを白状した。
「分かるに………決まってるよ。」
声色に含まれる悲しみに……ズルイ俺は、気付かない振りをする。
「そう…………か。」
それしか、言えなかった。頭を撫でてやりたかったが、出来なかった。今それをするのは、とても残酷な事だから………。
「薬、置いておくから、しっかり飲めよ?」
耐えられなくなって、薬だけ渡して、部屋を出ようとする、
「…………あのね。」
背中を向けたところで、雪華に呼び止められた。
振り返るのは、怖かった。けれど、
(本当は…………逃げるべきじゃあ、ないんだろうな。)
そう思い、振り返る。
雪華は…………笑っていた。大粒の涙を流しながら………それでも、吹っ切れたような、穏やかな笑顔を浮かべていた。
「頑張ってね、お兄ちゃん。」
ごめんな、雪華。お前の気持ちに応えれなくて。
許さなくてもいいから、信じて欲しい。
『妹』として、お前の事、愛しているよ………。
ーーーーー・ーーーーー
な、長かったです。また、無駄に心理描写多いです。読みにくいです。すみません。
一応、雪華の気持ちには、決着を付けました。続きも一応考えては有るんですが、桜お姉ちゃん中心の展開になってしまうので、妹スレで書くのは………。
後は、今回のSSの雪華sideぐらいです。
GJ!姉スレへの投下もまってます。
盛り上がって来た感じだな
なにを投下しようか、悩んでます。
とりあえず、脳内設定(妄想)を書いておきます。
ちょっと、話に関わる設定も有ります。
御国家side
御国 桜→御国家長女、才色兼備で家事万能、姉馬鹿と、テンプレな姉。演劇部部長。
御国 紅葉→御国家長男、桜と同等レベルの完璧超人、クールだが、隠れシスコン。演劇部所属。
御国 雪華→御国家次女、成績優秀だが、基本的には、努力の人。冷静で健気。美術部所属。
バカ兄妹side
バカ兄→可奈、由佳の兄、ノリに生きる男。
可奈→ボクっ娘、明朗快活、オープンブラコン。貧乳だが、身長は、それなりにある。
由佳→可奈の妹、雪華の親友。一番普通な人。繋ぎ役。ちょいレズっ気あり。
草木生い茂る密林。
あらゆる生き物がその繁栄を求め、他の生き物よりも抜きん出ようとその牙を振るう。
「!?」
ふと空高くに鋭く尖った気配を感じた。
「来るな……」
周囲を警戒しつつ、相棒とも言える武器に魂を込める。
重く輝く、重弩。
これを持ち歩くことはこの業界では随分と変わり者と称されるが、
俺はこの武器こそ自分の命を預けるに相応しいと思っていた。
「来るの、お兄ちゃん?」
俺の後ろを歩いていた妹が俺が立ち止まったのを見て、足を止める。
そういえば、今日は二人で来ていたことを思い出す。
「あぁ、どうもそのようだ」
天空から飛来する気配の正体を、スコープで捉える。
「じゃあ、私たち兄妹の初陣、がんばろー!」
妹は背中から、刃を引き抜き構えた。
美しいカーブを描いて湾曲した刃。
自分にとってはなんとも頼りない武器に見えるが、彼女にとってはこれが頼れる相棒のようだ。
「始めようか」
ゆっくりと飛来してくる標的の翼に、挨拶代わりの銃弾を撃ち込む。
「!?」
どうも効いているようには見えないのだが、少なくともこちらには気付いてくれたようだ。
威嚇のつもりだろうか、耳を劈くような咆哮。
それが盾により阻まれ、咆哮は盾をビリビリと震わす。
「うるさあぁぁぁあぁああああい!!」
しかし、妹はというと、その大音響により思わず耳を塞ぎうずくまっている。
このままでは敵の攻撃をまともに受けるのが関の山。
「世話のかかる奴め」
前転で彼女から急速に離れると、そこから銃弾を弾倉にある限り放つ。
陽動は成功したようで、標的はターゲットを俺に定めると、その口から赤く燃える火球を投げつけた。
とはいえ、狙いは正確とは言い難い。もう一度前転でその火球を難なくかわす。
「おぉ……」
騒音から回復した妹が驚嘆のため息を漏らす。
「感心してないで戦え!」
が、褒められて喜んでいるような場合ではない。
若干上ずった声で叫ぶ。
「う、うん!いっくぞー!!」
刀を構えなおし、敵に向かっていく妹。
俺はその背中を眺めながら、標的の弱点を狙って銃弾を打ち込んでいく。
「よし!羽も壊れたぞー!!」
「いいから黙って尻尾切れよ」
「あ、そっか。ボウガンじゃ切れないもんね」
「……」
「痛いっ!!お、お兄ちゃん!?今、私撃ったよねぇ!?」
「撃ってない」
「いや、絶対撃った……って、うわぁぁっ!」
「わ、バカ!こっち来るなよ!!」
妹を追いかけて巨体が迫る。
全くの無防備だった俺は、指が追いつかない。
「あ、お兄ちゃんがやられた」
「……」
「痛っ!ホントに殴ることないでしょー!?」
「……」
「あ、ほらほら!尻尾切れたよ!!ね?怒らないでよ?」
「俺も尻尾が切れたら一人で行くのに……」
「そんなこと言わないで、二人も楽しいよ。兄妹水入らずでさ。ね、お兄ちゃん?」
「……お前……」
ちょっと嬉しい。嬉しいけど……。
「あ、お兄ちゃんがまたやられた」
チクショウ、こんな相手に……。
───────────────────────
えっと……一応モンハンネタというか……完全に趣味の領域ですな。最上級の自己満足です。
だけど、可愛い妹と一緒にゲームがしたいんだよ、俺は!!
すいません……次回はちゃんとしたのを貼りますので。今回はお目溢しを……。
GJ!!
あえて聞いときますが雌火竜?w
分かるのか……。
一応元ネタになった女友達が居るのですが、彼女とリオレイアを狩りまくった思い出が強くて……。
分かってくれる方が居て、気分的に救われました。
ですが、スレ違いになりますので、これ以上モンハンの話はやめときましょうw
……理由は定かではないが、年頃の若者は普通ならば男女問わず異性を求めるようだ。
次回の授業から英語の授業で二人一組にならなきゃいけないとか。
どこぞのバカが、男女で組んだ方が良いとか言い出したこととか。
放課後残ってそのペアを決めることになったこととか。
男子代表と女子代表、ジャンケンで勝ったほうが使命権を得るとか。
男子代表が勝ちやがったこととか。
……本当にどうでもいい事だらけだ。
まぁ、本来俺も男子の端くれなのだから、好きな女子を一人選ぶ権利が与えられているのだが……
「じゃあ、残った大野は冬月とペアだな」
最後の一人ってホント楽で良い。大体女子の名前知らないしね。
が、最低限で済んだとはいえ、女子一人と交流しなければならないのは辛い。
うんざりしながら、その女子と顔を合わせる。
「はじめまして」
もうこの時期になってこの挨拶はおかしいのだが、本当にはじめましてなのだから仕方がない。
「……冬月真雪。よろしく」
俺の前に居たのは、小さくて細くて白くて、とても不健康そうな女の子。
大人しそうな上に、自己主張が激しくなさそうなので、俺でもなんとかなるかもしれない。
「大野賢太郎君……だよね……?」
声小せぇ……。
「俺の名前知ってるのか?」
「……同じクラス……」
「……」
同じクラスでも俺はお前のこと知らんがな……。
「まぁ、なんでもいいや……冬月さん……だっけ?」
「うん。覚えて」
「努力する」
きっとすぐに忘れる前提のこのセリフ。
「……じゃあ……帰っていいのか」
「男子は女子を送ってく……って、いってるよ?」
阿呆が……。
「嫌なら私一人で帰るよ……?」
「いや、いい。そういうことなら送る……妹も一緒になるが良いか?」
「遥ちゃん……?私は……構わないけど」
有名なんだな、遥……。
「助かる。帰るか」
「うん」
鞄をつかみ、浮き足立つ教室からそそくさと脱出。
「なぁ……冬月さんの家って……」
ふと思い出したように足を止め、後ろの冬月に振り返る。
「わっ……」
驚いて俺にぶつかる冬月。
あ……なんか、冬月から甘くて良い匂い……。
ん……?何なんだ、俺らしくない……。
「……?」
「あ……悪い。家は近いのか?」
「大丈夫……大野君の家と方向は同じだから……」
「そうか、それなら……」
ふと思ったが、普通に話せてるな、俺。
遥ほどじゃないが、もしかしたらある程度の付き合いがあるあきらや宮原よりも気が楽かもしれない。
などと考えながら、歩いていたが
「あれ……冬月……?」
いない……。
どうしよう……どっかに置いてきちゃったのか……。
俺は、責任という言葉に非常に弱い。
今回も非常に重い責任を感じ、慌てて来た道を引き返す。
「冬月ー……?」
誰もいない廊下は俺の濁声が非常によく響く。
汚ねぇなぁ、俺の声……。
「……ん?」
……階下から物音。
とはいえ、急いで行って違う人だったら、赤恥をかくことになる。
思慮深い俺は、早足で階段を駆け下りる。
そこには真っ暗な廊下に、一人の少女。
「……大野君……」
半泣きの冬月が壁にうずくまって座っていた。
「……悪い。置いてったりして」
「私もゴメン……迷っちゃって……」
震えた声で謝っている冬月。
強がっているのか、無理に冷静に振舞おうとしているのは俺でも分かる。
「無理すんな。寒いし、暗いし、静かだし最悪だよな」
「……うん……」
「置いていって悪かったな。もう少しだけ付き合ってくれ」
冬月に手を差し出す。
「うん……」
冬月の目が覚めるほど冷たい手が俺の手を掴む。
「暖かいね」
「冷たいな」
「ねぇ、大野君……」
「呼び捨てで良い」
「じゃあ……私も真雪でいい」
下の名前か、ハードル高いな……。
「で、なんだっけ?」
「……もう少し、このまま握ってても良い?」
……握る……。
おぅっ!?
手を握ってる!?俺が!?女の子の!?
「まさか……こんなことが……」
「あ、ゴメン……嫌なら……良いんだけど」
ゆっくりと手を離す真雪。
「いや……そうじゃなくて……」
「?」
不思議そうに顔をかしげる真雪。
……特別なのかな、真雪は……。
「手、握ってていいの……?」
「リジェクションが出るまでは……」
「りじぇ……?」
rejection:拒絶反応。
「聞き流せ」
「うん」
冬月真雪……。
不思議な女だ……。
───────────────────────
昨日のがあまりにもアレだったんで、二日連続ですが貼ってしまいましょう。
ネガティブ兄vsクール娘編。今更冬の話なのは……想像力で補ってください。
こういう娘、好きなんで随分贔屓目になっちゃって……。
しかし、やっぱり妹関係ないじゃん……?いつものことか、もう開き直っちゃうか。
GJ!
自分、ネガティブ兄シリーズ好きです!!
遊星さんの後に投下するのは、ちと緊張するんですが、とりあえず、『雪華』の物語の、シメを投下しときます。
「ごちそうさまでした。」
姉さんの作ったお粥を食べ終わり、手を合わせる。
姉さんは、最初の一口こそ、「アーン」をしてきたけれど、それ以降は、私が食べ終わるまで、嬉しそうに見つめているだけだった。
おそらく、私が自分のペースで食べられる様にと、配慮してくれたのだろう。
(ありがとうございます、姉さん。)
言葉にするのは、恥ずかしかったので、心の中でお礼を言う。
「それじゃあ、汗、拭いてあげる。」
「すみません、お手数おかけします。」
「だから、こういう時は甘えていいの。」
「………はい。」
姉さんの厚意に甘える事にし、パジャマの上を脱ぐ。姉さんは、私の身体を、まるで壊れ物を扱うかのように、丁寧に、優しく拭き始めた。
「姉さん、演劇部の方は、どうですか?」
ただ黙っているのも、なんだか気まずいので、適当な話題を振る。
「順調だよ。脚本もいい感じ。」
「演劇部の、一年生の娘が書いた脚本らしいですね?」
「うん、そうだよ。私と紅葉に、是非演じて欲しいんだって。」
「そうなんですか。」
そう、返事をしたが、実は私は、その話を知っていた。
『鏡写しの恋』………それが、脚本のタイトル。
想いを寄せ合う、双子の姉弟の、綺麗で切ない恋の話。
その内容を、親友の由佳から聞いた時、姉さんと兄さんの為に作られた物語だと、はっきりと分かった。
おそらく、脚本を書いた娘は、気付いていたのだろう。二人が胸に秘める、許される事のない恋心に。
「よし、これくらいでいいかな?」
「はい、ありがとうございました。」
思考を中断し、姉さんにお礼を言う。
そして、パジャマに袖を通す。汗による不快感は無く、さらりとした、布の感触が心地いい。
「さてと、私はお夕飯の買い出しをしてくるから。なにかあったら、紅葉に頼んでね?」
「え?あ、はい。」
少し、意外だった。姉さんなら、兄さんが来るまで、ここで待っていると思っていたからだ。
そうこう考えているうちに、姉さんは、手際よく、お粥の容器と濡れタオルを、お盆の上に乗せると、それを持って、ドアの方へと向かった。
「雪華。」
ドアの前で立ち止まり、私に背中を向けたまま、姉さんが、私の名前を呼んだ。「遠慮なんて、しなくて良いんだよ。」
「……………え?」
ひどく真面目な声で発せられたその言葉を、私はすぐには理解出来なかった。
しかし、続けて発せられた言葉で、私は、姉さんの言いたい事を理解した。
「すごく…………つらそうな顔をしてたから。」
「!!」
姉さんは、その言葉だけを残すと、少しだけ急ぐ様に、私の部屋から、出て行った。
「優し過ぎますよ………姉さん。」
ベッドの上で、一人呟く。
姉さんは、私の気持ちに気付いているのだろう。そして、その気持ちが、自身の想いと同じ物だと、理解していて尚、ああいう風に、私を気遣えるのだ。
だからこそ、敵わないと思ってしまう、笑顔でいて欲しいと願ってしまう。自分の気持ちを抑えてでも、姉さんの想いは成就して欲しいと、心の底から、そう思えてしまうのだ。
私は…………どうするべきなのだろうか。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
【Epilogue−Side雪華】
「つらい……ぐすっ…ですよ……兄さん。」
涙が止まらなかった。胸が痛かった。独り……失恋のつらさに泣いた。
それでも………後悔だけは、していなかった。
だって………
だって………
「どっちも同じ位………大好きなんだよ………お兄ちゃん。お姉ちゃん。」
ーーーーー・ーーーーー
長くなりましたが、一応雪華の話は、これで終わりです。
御国家関連では、番外編である『由佳編』と、続きで在り、完結編でも在る『桜編』の構想は、有るんですが、どちらもこのスレだと、スレ違いになってしまうので自重することにします。バカ兄妹の方は、ちまちま書いていくことにします。
遊星さん、自分もああいうキャラは、大好きなんで、続きを楽しみにしております。
>>461 お疲れ様!面白かったよ!
ところで番外編と完結編はどのスレに貼るの?
>>462 桜(完結)編は、やっぱり姉スレが妥当とは、思うんですが…………いきなり続きを貼っても、訳わかんない人も多そうですし。
由佳(番外)編は、何処に貼るべきか、全く考えていません。百合っぽい展開になるので、見当違いのスレに貼ると、迷惑でしょうし。
職人さん乙
ちょっと見ない間に良い感じに
図書室。
遥は……勉強してる。真面目ー。
「待たせたな、遥」
「ううん、全然……」
出来るだけ小さな声で話しかけると、遥はペンを置いて、ゆっくり顔を上げる。
「……」
顔を上げた遥がそのまま固まった。
「遥ー?」
「え……お、お兄ちゃん……?後ろの人……」
やっぱり真雪に対してか。
「あぁ、成り行きで送っていくことになった」
振り向いた斜め後ろ。
「冬月真雪……です……」
俺の後ろで小さくお辞儀をする真雪。
「え、えっと、お兄ちゃんの妹の大野遥です」
立ち上がって大きく頭を下げた遥。
真面目な遥でお兄ちゃんは嬉しいよ……。
「帰るぞ」
色々面倒なことがあったせいで一刻も早く帰りたい俺は、そんな遥を急かす。
「ね、ねぇ、お兄ちゃん……?」
遥が耳打ちするように話し始めた。
「何だよ」
遥は真雪をチラッと見た後、
「どうしたの?何か女の子と一緒なのにあんまり嫌そうじゃないけど」
「そうなんだよ。だけど理由は俺にも……」
「もしかして、お兄ちゃんの運命の人なのかも」
「はぁ!?」
誰かにも言われたな、そんなこと……。
「冗談だよ、冗談。でも、仲良くなれるかもね」
「確かに、少しは克服できるかもな」
「うん、頑張ってね」
ボーっと立っている真雪を二人で振り返る。
「……」
ジト目の真雪……。
やめろ……怖い……。
「あぁ、悪い。帰ろう」
「仲、いいんだね」
「よく言われる……」
「シスコン……?」
辛辣……。
「遥がブラコンなんだよ」
「ち、違うよぅ!お兄ちゃんがシスコンなの!!」
「クスクス……」
真雪が笑ってる。
笑うんだな、こいつ……。
───────────────────────
ネガティブ兄vsクール娘。今回は短いです。やっと妹が出てきましたね。
もう二、三回は続きます。遅く貼れば貼るほど、季節はずれになっていく……早くしなければ。
>長い物に巻かれた様
乙です。そして、ありがとうございます。次回作、楽しみにしておりますので。
とりあえずバカ兄妹の方を落としときます。
扉を開けると、そこはナースだった。
え?意味が分からない?
うん、そうだろうな。まあ、簡潔に説明すると、ナース服を着た可奈が、居たんだが…………幻覚?違う違う、俺正常。
いや、だから正常だって。あ!黄色い救急車呼ばなくていいから!だから正常だって!!
「あ、お帰りなさーい!!」
「なんだ可奈、来てたのか。」
アパートに帰ると、そこに居るのが当然であるかの様に、可奈が居た。前々から思っていたんだが、何故こいつは、わざわざ大声で挨拶をするのだろう?
まあ、どうでもいいか。
「お湯沸いてるから、これ食べよー!!」
そう言って、カップ麺(二百円)を掲げる可奈。…………前より、安物になってやがる。
お湯を注ぎ三分待つ。程よく麺がほぐれた所で、液体スープをいれ、よくかきまぜたら完成。
「「いただきます!!」」
ハモる辺りが、兄妹っぽい。
ズルズル。ズルズル。ズルズル。
もぐもぐ。もぐもぐ。ごくごく。ごっくん。
「「ぷはぁー!!」」
またハモった。なにも、食べるペースまで似なくても。
「て!あっさりスルーしないで!!忘れてる!!重大な、ツッコミを忘れてるよ!!お兄!!」
長いノリツッコミだったな。
「ナース服!!ボクナース服着てるんだよ!!普通は、ツッコムか、欲情するかでしょ!!それをなに!?なに普通にスルーしてるの!?なにラーメン完食してるの!?なんでハモってるの!?な(中略)!?」
「長い台詞だな、作者も思わず、中略してるぞ。」
「ボクが沢山しゃべるのが普通なの!!ここは、妹に言われたいセリフスレなんだから!!前回お兄ばっかりしゃべり過ぎだったの!!てゆうかそんなのどうでもいいいいよ!!萌えるでしょ!!欲情するでしょ!!こんなに可愛いボクが、こんなにセクシーな、ってむかつく!!その顔むかつく!!」
「そんなに、むかつく顔してるか?」
「してるよ!!読者様にお見せ出来ないのが残念な位むかつく顔してるよ!!て!だからって真面目な顔しないで!!真面目な顔して見詰めないで!!惚れちゃう!!惚れなおしちゃう!!」
「…………可奈よ、テンション上がってるとこ悪いが、言わせてもらう。ナース服なんぞただの服だ。全然興奮しない。」
「…………」
いきなり沈黙する可奈。とりあえず五月蝿いのが黙ったので、カップ麺の容器をくずかごに入れる為、可奈に背中を向ける。
「……………ど」
ど?
「どっせぇーーーい!!」
やたら男らしい掛け声と同時に、首に凄まじい衝撃。(可奈よ、女の子が、どっせーい、はないと思うぞ?)
そんな事を考えながら、俺の意識は、深い闇の底へと、沈んで行くのだった。
〜fin〜
「終わらないよ!!まだ続くよ!!」
〜・〜・〜・〜・〜・〜
目を覚ますと、そこはナースだった。
…………あれ?これやったな。割愛しとこう。
「あ、お兄起きた?」
目が覚めた俺に、そう問い掛ける可奈………もとい、諸悪の根源。
「………………」
ジト目で可奈を睨みつける俺。
「そんな目をしても無駄だよー。今日こそは、お兄の変態性癖を、僕の魅力で治すんだから。」
妹やナース服に興奮するのも、充分変態だと思うぞ?
「まずは、お熱を計りますよー。」
そう言って、顔を近付けて来る可奈。キスが出来る位、顔が近付き………こつん。
おでことおでこをくっつけて、熱を測り始めた。顔が近い為、可奈の吐息がかかる。しかし、俺も百戦錬磨のツワモノ(童貞だけどな!!)、この程度では、ちっとも興奮しない。
「むー。」
不満そうな声を出し、おでこを離す可奈。
「こうなったら!!最後の手段だよ!!」
そう言って、ナース服の一番上のボタンを外す。ていうか、いきなり最後かよ。レパートリーの少ないやつだ。
「ど、どう?」
前屈みになり、上目使いで訪ねてくる可奈。その頬は、微かに赤く染まっている。それも、当然といえば当然だろう。ボタンを外したことにより、元々大きめだったナース服は、大きくはだけ、可奈の健康的な肌が、鎖骨から胸元にかけて、随分と露出している。
そんな光景を目の当たりにして、俺は……………
「ナース関係ねぇじゃん。てゆうか、そういうポーズは、谷間が出来る位、胸を大きくしてからしろ。このド貧乳。」
割と冷静かつ、致命的なツッコミをいれた。
ピキッ!!
可奈のこめかみに青スジが浮かぶ。ヤバッ!!死亡フラグか?
「ど、どうして言っちゃうの!!文章だけだから、その話題に触れなければ、気付かれないと思って、触れないでいたのに!!お兄のバカー!!」
「……………いや、可奈さんよ。作者が
>>448で解説いれてるから、もうバレバレなんですが。」
「あ、ホントだ。てゆうかなんでお兄、アンカー入れれるの!?てゆうか誘導しないで!!ボクの貧乳をこれ以上晒さないでよ!!」
「可奈、兄ちゃん疲れたから寝るよ。お休み。」
「なんで!?さっきまで寝てたじゃん!!眠い訳無いじゃん!!」
「暴走し過ぎて、収拾が付かなくなったから、強引にでも、終わらせたいんだよ。」
「それ、お兄の言葉じゃないよね!?作者が言わせてるよね!?てゆうか認めないよ!!こんな終
ーーーーー・ーーーーー
バカ兄妹の第二弾です、暴走しすぎました、ハイ。今は反省してます。ごめんなさい。
謝りついでにもう一つ、由佳編貼るとこ無いので、ここに貼っても良いですか?駄目なら諦めます。
遊星さん、ニヤニヤしながら読ませていただきました。ホントよかったです!!続きを楽しみにしております。
GJ
続きが気になる。
「おぉ……」
知っていることとと知っていることが繋がる瞬間。
通学途中、いつも大きくて良い家だと思っていた家が、まさか冬月の家だとは……。
「……」
隣の遥も俺と同様に、呆然と鉄製の門を眺めている。
「デカいな、真雪の家……」
「一人だと広すぎるくらいだよ」
「一人で暮らしてるのか……?」
「うん。お父さんもお母さんもたまにしか帰ってこないから」
少しだけ、寂しそうな顔。
「そうか……」
ものの見事に地雷を踏んでしまった俺は、少し言葉を弱める。
「あの……冬月先輩……?」
そんな俺に、遥の助け舟。
「良かったら、家でご飯食べていきませんか?」
遥はホンマにええ子や……。
「いい……の?」
「はい。もともとお鍋の予定でしたから、一人くらい増えても大丈夫ですよ」
「そりゃいいや。食べてけよ」
「うん……じゃあ、お邪魔する」
微笑。
何だ、思ってたより笑うじゃないか。
「真雪は、なかなか笑顔もいけるな」
「え……?」
微妙に驚きの真雪。
「!?」
かなり驚きの遥。
っていうか、ヒいてる……?
「……各々の驚きの内訳を聞こうか」
ヘコみながら辛うじての質問。
「だ、だって、お兄ちゃんが女の人を自然に褒めるなんて!?」
「……私は……笑顔なんて褒められたことないから……」
……。
……なんていうか、真雪は意外と笑うんだな。ってぐらいの意味合いなんだが……。
妙に誤解されてる気がする……。
「別にそういう意味で言ったんじゃねぇ……」
「照れなくても良いのに。冬月先輩可愛いもんね」
「……か……かわ……っっ……」
「あ、先輩も照れてる」
……ダメだ、コイツら……。
───────────────────────
しばらく来ていない間にめっきり人がいなくなって……。
責任の一端を感じているので、短いですが貼ってしまいます。
もう1、2回で終わりますので、しばらくのご辛抱を。
あと、長い物に巻かれた先生は早めに次回作を貼ってください。先生の力が必要ですw
えーと、妹あんまり関係無いですが、とりあえず由佳編を貼ります。
叶わぬ想いというのは、存在するのだろう。痛みをともなって、確かに、胸の奥深くに、存在するのだろう。
痛みに耐えられ無ければ、別の想いで上書きしてしまえば良い、想いを忘れてしまえば良い。それが1番、確かな方法なのだから。
なら……………
想う事を止められない私は、どうすればいいの?
〜・〜・〜・〜・〜・〜
シャッ シャッ シャッ シャッ
放課後の教室に、軽快な音が響く。親友の雪華が、デッサンをしている音だ。
このリズムが、雪華のリズムなのだろう。軽快でありながら、どこか繊細さを感じさせるリズム。
私はこのリズムが好きだ、もちろん、このリズムを奏でる事が出来る、雪華の事も大好きだ。
「………」
雪華は、ただ一点のみを見つめ、それが自分のすべき唯一の事であるかの様に、絵を描く事に集中している。
雪華の視線の先を追ってみる。そこには、綺麗な紅色に染まった、紅葉の木があった。
(その景色の先に見えるのは……………誰?)
本人に問うまでもなく、答えは出た。
紅葉先輩に決まっている。
雪華が風邪を引いた日、私はお見舞いに行った。そして、帰り際に一言「がんばれ」とだけ言った。
その言葉が、引きがねになったのか、ならなかったのかは分からない。雪華がどういう意味で受け取ったのかも分からない。
ただ、これだけは確実に言える。雪華は、あの日を境に、少しだけ変わった。
なにがあったのかは聞いていない、雪華が、自分から話をしてくれるのを待つのが、マナーだと思うから。だから、自分からは聞かない。そう、誓った。
「そろそろ………帰りましょうか。」
その声を合図に、紅葉の木から視線を戻すと、雪華は絵を描くのをやめていた。
「うん、帰ろっか」
私は、雪華にそう返し、二人並んで、夕暮れ時の校門をくぐった。
ーーーーー・ーーーーー
許可も得て無いのに、由佳編を貼ってしまいました…………えーと、ごめんなさい。季節外れの上に妹関係無いですね。
一気に全部書こうと思っていたんですが、長くなりそうだったので、前半、後半に分ける事にしました。
遊星さん、一応貼りましたが、こんな拙い作品で良いのでしょうか?
それと、一ファンとして、ネガティブ兄シリーズ、続きを楽しみにしております。
最後に言い訳を少しだけ、G級に対抗するために、古龍狩りしてて、余り時間が取れませんでした。て、言い訳になってませんね、ごめんなさい。
>>475 また、名前書き忘れました…………orz
お二人とも乙!!!
続きが楽しみです。
職人さま方GJ!
四人用のテーブル。形は正方形。座る人間は三人。
どう考えたって、一辺に一人座るべきだろうが。
「遥……狭いぞ」
俺と真雪が同じ辺に。
遥は向かいに座って
「そう?ほら、やっぱり近い方が良いって」
「……」
絶句。
「あ、私居ない方が良いかな?」
「遥!?」
いかん……声が裏返った……。
「冗談だよ、冗談」
むぅ……なんだか遥に良いように遊ばれているような気がする……。
「……悪いな、真雪……」
「別に……気にしてないから……」
「ならいいんだが」
問題は……妙に浮ついている遥だな。
どうしたものかねぇ……。
「まぁまぁ、お兄ちゃん。そんな難しい顔しないで。お兄ちゃんの好きな鶏団子もう煮えてるよ」
俺の顔色をうかがいながら、お皿に取り分けてくれる遥。
そう……鶏団子多めにな。
「……」
待っている間ふと横を見ると、何故か俺の顔を覗き込んでいる真雪に気付いた。
「どうした、真雪……?」
「大野君に聞きたいことがあるんだけど……」
「何を?」
「遥ちゃん以外に妹が居るって本当……?」
……いる……のか……?
「いるのか……?」
遥に丸投げ。
遥は歯切れ悪く、
「……あきらさんや宮原先輩のこと……かな……?」
あれを妹に含めるんだ、やっぱり……。
「いるんだ……」
何か考えるように呟いた真雪。
あぁ、嫌なノリ……。
「っていうか、どこで聞いたんだよ、そんなこと」
「……」
少し俯く真雪。
「知りたいから……」
「はい?」
「大野君のこと……何でも……」
……ストーカーかなにか……?
それとも、敵を知り己を知らば百戦危うからず。的な……?
「お兄ちゃん……そういうことじゃないってば」
遥が見事に呆れた表情で俺の心を読む。
「というと?」
遥に尋ねるべきじゃないね、ここは。
「先輩、ちゃんと言ったほうが良いですよ」
「うん……」
言う?何を?
「あの……大野君のこと……好き」
……はいはい。なんとなく分かってましたよ、この展開。
ああ、そうですよ。信じたくなかっただけですよ。
「……でも……私も、妹で良い」
「……」
良かないけどな……。
「だって。どうする、お兄ちゃん?」
「……」
どうって……性懲りも無く三回目ですぞ?
もう遥も慣れちゃってるし……。
出来れば聞かなかったことにしたいが、ばっちりアイコンタクトをとってしまった俺。
「勝手にしろ……」
肩の力が抜ける。
もうどうでもいいや……。
虚空を眺める俺の肩を、チョンチョンと優しく小突く真雪。
「賢にぃ……。食べないの……?」
ヘンな呼び方された……。
「食べるけどさ……」
美味いよ、鍋。
美味いってば……。
「賢にぃ」
「ん?」
「これからもよろしくね」
「……あぁ」
胃が……。
胃が痛いのに……腹が減っている……。
もうダメだな、俺……。
───────────────────────
このクール娘編は一応終了ですかね。もう同じパターンであることを開き直っている感があります。
まぁ、あと一回エピローグ的なものをよういしてますので、あと一回ご辛抱を。
しかし、自分で言うのもなんだけど、真雪可愛いなぁ……。可愛く書けないのが申し訳ないなぁ……。
>長い物に巻かれた先生
乙です。次回作も楽しみにしてますので。
しかしハンター多いんだなぁ……。頑張りましょう、皆さん。
GJだ!
コンコン。
お兄ちゃんの部屋を軽くノック。
「ん?」
「お兄ちゃん、お風呂空いたよー」
ドアを開けて、お兄ちゃんの部屋に。
この部屋寒いなぁ、湯冷めしちゃうよ……。
「……ん?」
ベッドに寝転んでいたお兄ちゃんが、妙な表情になる。
「どうしたの?まだヘコんでる?」
「いや……ちょっといいか?」
ゆっくり立ち上がるお兄ちゃん。
そして、真顔で私の傍に……。
「……」
お兄ちゃんが私の耳に顔を寄せる。
耳に息が当たって……ヘンな感じ……。
そんな……お兄ちゃん……私なんかでいいのかな……。
「お……お兄ちゃん……?」
そう考えたら凄くドキドキしてきて、耐えられなくなりそうで……口を開いた。
「……やっぱりそうだ!」
「え……?」
「同じなんだよ」
「何が……?」
「真雪がさ、何か良い匂いがすると思ったんだが、遥と同じ匂いなんだな」
「へ……?」
「使ってるシャンプーが同じなのかな」
「さあ……そうなんじゃない?」
安心したような、ガッカリしたような……。
「……ってことは……お兄ちゃんは私と同じ匂いだから冬月先輩と抵抗無くお話できるって事?」
「説明的だな……。恐らくそうだと思う」
お兄ちゃん、野生動物みたい……。
「意外と俺の女嫌いもたいしたこと無いのかな」
と、手ごたえを感じているのか小さく呟くお兄ちゃん。
翌日このことを七海ちゃんに話したら、
次の日から、宮原先輩とあきらさんと亜紀ちゃんの髪の匂いが同じになった。
まぁ……お兄ちゃんは相変わらずだったけど……。
───────────────────────
少し時間が空いてしまいました。ネガティブ兄クール娘編、これで最後になります。
しかし人いないな……俺のせいですか、やっぱ。
いやいや遊星氏を待ってるんですよ。
このシリーズ好きなんでこの先も続けて欲しい…。
ともかくGJ!
487 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/05(月) 02:03:34 ID:fGEYg8bV
ネガティブ兄好きだ〜。
GJ!
流星さんも長い物には巻かれろさん二人の投下楽しみに待ってますよ。
今回もGj
遥が相変わらず良い妹で可愛い、最高だ!
真雪も可愛いですが、しかしこの兄ちゃんも上手くすれば
ナチュラルに妹を含めたハーレムを造れそうなのにw
小学3〜5年の実妹or養子(義妹?)を俺専属のメイドにする妄想
文才無いのは理系なので仕様
由佳「にいさま、ご飯出来ましたよ♥」
俺「ありがとう由佳、じゃあ食べようか」
由佳「はいっ♥今日は兄さまの好きなハンバーグを作ったんですよ♪」
俺「ははは、それはとても楽しみだよ」
由佳「冷めないうちに持ってきますね♥」
30秒後
由佳「はわわっ」 ガシャン!
俺「あぁ…あ…ハンバー…グ…ぁ…」
由佳「すっ、す、すす、すみません!、今すぐ片付けますのd」
俺は由佳のエプロンを掴み揚げると、思いっきり腹を殴る
由佳「…っが…ぁ…にい…さ…ま」
俺「お前さ、誰に養ってもらってると思ってんの?俺さ今超腹減ってるんだよね、解かる?」
由佳「すびっ…すみ…はぁっ、はぁガッ…ません、ごめ…ご免なs」
俺「じゃあ今すぐ作り直せよ!早くしろよこのカス!!」
怒りに任せて由佳を絨毯の上に突き倒す
由佳「ひぃ…許し…て…ご免なさい、ご免なさい、ご免なさい…」
俺「早くしろっつってんだろおおおおおおお」
絨毯の上に寝転んだ由佳に、殴る蹴るなどの暴行を数分間続ける
由佳「ごめ………さ…い…許して、許し…て…兄…さま」
俺「…はっ!、由佳!由佳!僕は…何て事を…」
由佳「違うんです兄さま、由佳が…由佳が悪いんです、どうか御自分を責めないで下さい」
俺「由佳、こんな…僕を許してくれるのか?」
由佳「いいえ兄さま…許してもらうのは由佳の方です、こんな駄目な妹を許してくれますか?」
俺「当然だよ由佳…ご飯なんてまた作り直せば良いんだからね」
由佳「うぅ…兄さま、兄さまぁ…ぐすっ…うぅ」
泣き付いてきた由佳をそっと抱きしめる
俺「痛かったよね…御免ね…でも由佳の為なんだよ、解かってくれるよね?」
由佳「ぐすっ…はい…兄さまは由佳の事を大切にしてくれていますから…大丈夫ですよ♥」
俺「ありがとう、由佳はいい子だね…」
由佳「に…兄さま…っています」
俺「何だい由佳?」
由佳「お腹にっ…兄さまのモノがっ、ひゃぁ…♥」
鬼畜ロリコンは死ぬべきですね
ギャルゲ版は長文規制が有るんだな
他の板では1レスで書けたのに
このスレも随分寂れてしまったなぁ・・・・。
海中さんとか夢ノ又夢さんとか健在だった頃が懐かしい。
あの頃がピークだったのかもしれんね、
もう一度、巴ちゃんが読みたい・・・
続き期待保守
えーとお久しぶりです、そしてすみません、由佳編投げっぱなしで。
由佳編ですが、続きが上手く書けないので別のを投下します、ホントすみません。
妹が死んだ。
急な事故………という訳ではない。
妹は五年前から入退院を繰り返しており、死ぬ間際も病院で生活していた。
そして………あっさりと死んだ。
病院から連絡を受け、駆け付けるまでの一時間、その間に、現実は残酷な程簡単に、妹の命を奪った。
死に際を看取る事さえ出来なかった。
そして僕には、『空虚』という名の、大きな傷が刻まれた。
その傷が疼く度、思い出してしまう。妹との十五年間………特に残酷だった五年間を。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
その知らせは突然だった。
今年十歳になった妹、自分より五つ年下の妹が、病院に運ばれたのだ。
学校の授業を投げ出して、病院へと急いだ。
ロビーで病室の番号を聞き、妹の病室へと向かう、途中で看護婦の人達に注意されたが、それでも構わず、病室へと急ぐ。
病室の前には、母さんがおり、慌てている様子の俺を見て
「静かにっ」
と、視線でたしなめた。
それで我にかえり、気持ちを落ち着かせる。
一呼吸置いてから、ドアノブに手をかけ、母さんの方へと視線を向ける。母さんが無言で頷いたので、そのままドアを開けた。
妹は、少し多めの汗をかいていたが、それ以外は比較的穏やかに寝ているようだった。
「紗夜………」
その様子を見て、妹の名を呼ぶと共に、安堵のため息をはく、この様子ならたいしたことないか、と思ったからだ。
けれど、三日後に…………僕はこの時の自分を、呪いたくなる程憎む事になる。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
あの後しばらくして、紗夜は目を覚まし、少しだけ会話をして、僕は病院を後にした。
紗夜は検査の必要があるらしく、三日間の入院を余儀なくされた。
僕は、学校が終わると病院に寄り、紗夜の話相手を務めた。周囲からはシスコンとからかわれたが、僕はこれが兄としてやるべき事だと思ったし、やめる気も無かった。
それも今日で三日目、つまり紗夜が退院する日だ。
僕は学校が終わると、急いで帰宅し、母さんと共に紗夜の待つ病院へと向かった。
ロビーで待っていた紗夜を見つけ、二言三言話していると、母さんが医者に呼ばれた。
「私はお医者さんと話して来るから、二人は先に帰っていて?」
その言葉に僕たちは頷き、二人並んで病院を出た。
思えばこの時気付くべきだったのかもしれない。看護婦達が紗夜に対し、同情の視線を向けていた事に。
帰り道、紗夜はいつもと様子が違っていた。僕のシャツの裾を不安げに掴み、
「お兄ちゃん…………」
と何度も語りかけてきた。
僕は呼びかけられる度に返事をしたが、紗夜は結局最後まで、同じ言葉を繰り返すのみだった。
母さんは僕たちが家に着いてから、2時間程後に帰ってきた。少し疲れたような顔をして、僕が病院での事を聞いても、上の空でなにも答えてくれなかった。
その日の夜、受験勉強を済ませ、寝る準備をして電気を消そうとすると、
コンコンッ
と、随分軽いノックの音が聞こえた。
「お兄ちゃん……私」
「紗夜、どうした?」
ドアを開けると、不安そうな表情をした紗夜が、枕を持って立っていた。
「あのね……久しぶりに………一緒に寝て。」
怯えるような、甘えるような、複雑な声色で、そう嘆願してきた。
僕はやっぱりシスコンなのかもしれない、紗夜にそんな風にお願いされて、断れる訳無いじゃないか。
紗夜が布団に入ったのを確認して、電気を消す。僕が布団に入ると、紗夜が身を寄せてきたので、頭を撫でてあげた。
「………うぅ…ひっぐ…………ぐすっ」
「ど、どうした!?」
しばらくそうしていると、紗夜が突然鳴咽をあげはじめた。僕はどうしていいか分からなかったので、とりあえず紗夜の頭を撫で続けた。
「ひぐっ…………あのね」
10分程泣いた後、紗夜の口から出た言葉は………………
「私………死ぬらしいの」
あまりに残酷過ぎるものだった。
その後、紗夜に色々聞かされた。看護婦と医者が話している内容を聞いてしまった事、いつ死んでもおかしくないという事、手術をしても助からない可能性の方が高いという事。
聞く度に、絶望的な気分にさせられる言葉を、一字一句逃さず聞いた。
全てを話し終え、泣きじゃくる紗夜を強く抱きしめ、現実を恨んだ、自分を恨んだ……………紗夜を、精一杯愛そうと誓った。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
夢を見た、三日程前の現実の夢を。
夢のなかの自分を、どうしようもなく、呪いたくなった。どうしようもなく、殺したくなった。
なにも知らず、楽観的な考えを持っていた自分を、どうしても、許せそうになかった………
〜・〜・〜・〜・〜・〜
朝、カーテンの隙間から、朝日が差し込んでいる。
腕の中に、まだ温もりはあった。その温もりは、もう起きていたようで、笑顔で………涙の痕がしっかり残っているが、それでも………精一杯の笑顔で、僕を見つめていた。
「お兄ちゃん、私………簡単には死なないから。」
その日から、僕たちの、辛くて残酷で…………少しだけ幸せな五年間が始まった。
ーーーーー・ーーーーー
なんか予想以上に長くなってしまいました。それになんか場違い感が…すみません、なんか色々すみません。
つ、続きが気になります…
やっべぇ…むっちゃ続き気になるっす…
続き待っております!!
500 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/05/21(水) 22:54:42 ID:/dWJKyE5
500
501 :
原:2008/05/21(水) 22:57:55 ID:8/5peZpv
イェヤアー
セーックス
一年目・夏 〜僕がすべき事〜
紗夜の病気が発覚して、僕たちの周りは、少しだけ状況が変わった。
まずお金の問題があった。
長期に渡り、入退院を繰り返す事を前提にした治療。それにはやはり、かなりのお金がかかるらしい。
そういった経緯があり、母さんは、今まで週に二日程度だったパートの仕事を、毎日するようになった。父さんも、夜遅くまで帰って来ない日が多くなった。
だから自然、僕と紗夜、二人でいる時間が増えた。
僕にも少し高めの目標が出来た、ワンランク上の高校に、志望校を変えたのだ。
変えた理由は簡単、家から1番近い高校だからだ。
今の僕の学力では、ぎりぎり合格圏内と言ったところだが、ここに受かれば、少しでも長く、紗夜と一緒に過ごせる。だから僕は、今まで以上に受験勉強に力を入れた。
出来る限り紗夜のそばにいる事。それが僕のするべき事だと思ったから、そのための努力を怠る気はなかった。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
『あの日』から一週間が過ぎ、学校は夏休みにはいった。僕の基本的に、昼は紗夜と一緒に遊び、夜はひたすら受験勉強を頑張る、という毎日を繰り返していた。
おかげで学力も少しづつだが、順調に伸びているし、紗夜と多くの時間を過ごせたが、友人達と過ごす時間がめっきり減ってしまった事が、やはり心苦しかった。
まあ、1番の親友で幼なじみの紅葉は、部活の引き継ぎが忙しいらしく(演劇部部長)、僕の状況を抜きにしても、余り遊べなかったと思うけど。
そんな紅葉も、今日は午後からはフリーらしく、僕の家に来て、勉強を教えてくれると言ってくれた。紅葉は成績がよく、僕が志望している高校より、更にワンランク高い高校への推薦の話が出ているぐらいなので、その申し出は素直に有り難かった。
ピンポーンッ
昼食を食べ終わり、紗夜と一緒にテレビを見て時間をつぶしていると、玄関のチャイムが鳴った。
「ハーイ、今いくよ。」
紅葉が来たのだと思い、返事をして玄関へと向かう。しかし、玄関の扉を開け、そこにいる人物を見て、僕は少しだけ驚いた。
そこにいたのは紅葉ではなく、予想外だけど、ある意味納得出来る人物だった。
愛らしく、優しげな瞳。肩の辺りまで伸びた、少しウェーブのかかった綺麗な黒髪。肌の色は初雪のように白く、街ですれ違えば、ほとんどの人が振り返るであろう、文句なしの美少女。
「せ、雪華ちゃん?」
紅葉の妹の雪華ちゃんだった。
「お久しぶりです、南先輩。」
そういって、軽く微笑んでから、頭を下げる雪華ちゃん。
(や、やっぱり雪華ちゃんて、凄く可愛いなぁ………て、違う違う。)
一瞬鼻の下を伸ばしそうになったが、思考を切り替え、気になった事を聞いてみる。
「せ、雪華ちゃんがどうしてここに?紅葉は?」
僕がそう聞くと、雪華ちゃんは微苦笑をしながら答えた。
「兄さんは急な用事で来れなくなってしまったので。」
雪華ちゃんの表情から考えて、部活の後輩達に引き止められたのだろう。相変わらず凄い人気だなぁ、紅葉は。
「ですから、兄さんに頼まれて、これを届けに来ました。」
そういって、五冊のノートを差し出してくる雪華ちゃん。
「これは?」
「兄さんのノートらしいです。参考になれば、と言っていました。」
紅葉のノートか、それは参考になりそうだ。
「お兄ちゃーん、まだぁー?」
雪華ちゃんからノートを受け取った所で、リビングの方から、紗夜が顔を覗かせてきた。そして、雪華ちゃんの姿を確認すると、嬉しそうな顔をして、玄関まで歩いてくる。
「お久しぶりです!!雪華さん!!」
物凄く興奮した様子で、雪華ちゃんに挨拶する紗夜。てゆーかキャラが変わってないかい?
「お久しぶりです。紗夜さん。」
僕にしたのと同じ様に、雪華ちゃんは紗夜にも挨拶した。
「遊びに来てくれたんですか!?」
とても嬉しそうに言う紗夜。そういえば紗夜は、昔から雪華ちゃんに懐いてたな。
雪華ちゃんの方をちらりと見ると、少し困ったような微笑を浮かべながら、なにかを確認するように、僕の方を見ていた。
「えーと、僕は構わないけど?」
「ありがとうございます。」
お礼を言いたいのはこっちなんだけどね。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
その後は、僕、紗夜、雪華ちゃんの三人で、Tvゲームをしたりして、時間を潰した。
ちなみに、総合的な勝率は、雪華ちゃんの圧勝だった。紅葉といい、桜先輩といい、この姉兄妹はなにをやっても凄いらしい。
時計の針が四時半を指す頃になって、雪華ちゃんは家に帰って行った。
紗夜は久しぶりに雪華ちゃんと遊べて満足だったらしく、今は幸せそうな顔をしながら、リビングのソファーで寝ている。
紗夜に毛布をかけてあげると、僕は紅葉のノートに目を通す事にした。
紅葉のノートは丁寧に纏められている上に、少し先の範囲まで予習までしてあったので、とても参考になった。
ススス、ぴと。
2時間程たった頃、いつの間に起きたのか、紗夜が僕によりそうようにして、隣に腰掛けてきた。
僕は右手でシャープペンシルを動かしながら、左手で紗夜の頭を撫でてあげた。
紗夜の体温は夏場だというのに、それほど不快ではなく、逆に心地よい程だった。
…………………そんなはずないだろ?
心の中で、誰かが囁いた。そう、そんなはずがない。夏場だぞ?人間の体温が心地いいなんてあるわけないだろ!?
「紗夜!!」
紗夜の方に目を向ける、紗夜は………………不思議そうな顔でこちらを見ていた。
「どうしたの?お兄ちゃん?」
まるでなんでも無いかのように、そう答えた。
その様子を見て、肩の力が抜けた。そうだよ、紗夜は最初から体温が低いんだった。気温が高いと、人の体温の方が逆に涼しく感じるということも、思い出した。
安堵すると共に、ある感情が、僕の心に深く突き刺さっているのも感じていた。
『恐怖』
いつ、最悪の自体になってもおかしくないという現実に対する、ソレ。
ソレが僕をたまらなく不安にさせた。
その不安が顔に出ていたのか、紗夜が心配そうな顔をしていた。
「ああ、大丈夫だよ。紗…」
言い終わる前に、紗夜が僕を抱きしめてきた。十歳の平均よりも、幾分か小さいその体で、精一杯僕を抱きしめていた。
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。紗夜はまだ、大丈夫だよ。」
不覚にも、涙が出そうになった。だけど、堪えた。僕が泣けば、紗夜はもっと心配するだろうから。
紗夜に抱きしめられながら、僕は、雪華ちゃんが帰り際に残していった言葉を、思い出していた。
『頑張って、下さいね?紗夜さんと一緒に。』
そうだよ、紗夜が頑張ってるんだ。僕が不安に負けてどうする!?紗夜を信じてあげなくてどうする!?
僕は紗夜の背中に手を回し、大切な妹を、優しく抱きしめた。
「ありがとう、紗夜。」
〜・〜・〜・〜・〜・〜
その日の夜、僕と紗夜は一緒に寝た。僕が抱きしめてあげると、紗夜は、凄く嬉しそうに、少しだけ照れたようにしながら、僕の胸に、頭を押し当ててきた。
『恐怖』という名の楔は、相変わらず心に突き刺さったままだったけど、その日は、とても安らかに眠る事が出来た。
ーーーーー・ーーーーー
『紗夜』の二回目です。相変わらず場違い感が……………次の話は一気に時間が跳んで、二年目の春の話です。なるべく早く書き込みたいとは思いますが、いつになるかはわかりません。
>>503 また、名前いれ忘れてました…………orz
これは続きが気になる
全然場違いじゃないです。
読んでてドキドキする…
投下期待age
前回の投下から、結構な時間が開いてしまいました。スミマセン。しばらくぶりですが、『紗夜』投下します。
季節は流れる。
夏が過ぎ、紗夜は一つ歳をとった。
11歳の誕生日、僕が贈ったのは、蝶があしらわれた髪飾りだった。決して高い物でもなかったけど、紗夜は凄く喜んでくれた。
新学期になった。僕は学校に行かなければならなくなったけど、紗夜はもう学校に通っていない。
通えないのだ。
だから紗夜は、僕が学校に行っている間は一人ぼっち。仕方がない事とはいえ、僕にはそれが、とても辛かった。
学校が終わったら、真っすぐ家に帰り、なるべく多くの時間を紗夜と過ごす。そして夜は受験勉強にうちこんだ。
単純な日々の繰り返し、それでも僕は、自分に出来る事を、精一杯頑張った。
季節は流れる。
二年目・春 〜茨の刺〜
秋が終わり、冬が過ぎ、春になった。
紗夜はその間、数回の入退院を繰り返した。
最初の頃は、小学校の友人達が沢山お見舞いに来てくれたが、二回、三回と入院を繰り返すたび、お見舞いに来てくれる子達は、その数を減らしていった。
無理して笑う紗夜に、僕はなにも言ってやれなかった。
僕の方は志望の高校に無事合格した。夏休み前にはぎりぎりだった学力も、紅葉や桜先輩の協力もあって、二学期が終わる頃には、合格ラインを十分にクリアする程まであがっていた。
春、微かな変化をともなって、温かなこの季節を迎えた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
今日は紗夜と一緒にピクニックに出掛けた。
紗夜が言うには、僕の入学祝いにデートをしてくれるらしい。
という訳で、今日はピクニック改め紗夜とのデートだ。
朝、一緒に家を出て、目的地ヘと向かう。その間、紗夜は僕と腕を組み、時折鼻唄が口ずさむ程上機嫌だった。
紗夜の歩幅は小さい。僕はその歩幅に合わせて、ゆっくりと歩いた。
しばらく歩いて目的地に着いた。時刻は午前11時頃、思っていたより時間がかかったが、まあよしとしよう。
…………チクリ。
「少し早いけど、お昼にしよ?」
紗夜がそう言ってきたので、少し考える。
きゅるる〜〜〜〜
だが、考えるまでもなく、僕のお腹が鳴った。
「そ、そうしよっか。」
恥ずかしくなって、苦笑しながらそう答えた。
適当な場所にシートを敷き、その真ん中にバスケットを置く。朝、早起きして紗夜と一緒に作ったお弁当だ。中身はサンドウィッチ。僕も紗夜も、料理は余り得意ではないので、うまく出来たとは言い難いが、作っている時は、なぜかとても楽しかった。
トマト、タマゴ、玉葱のサラダ等々、紗夜の体を考えると、肉系は避けた方がいいと思ったので、野菜中心の具材構成。いろんな種類が楽しめる様に、小さめに作って種類を豊富にした。
紗夜がトマト、僕がタマゴをそれぞれ手にとって、とりあえず一口食べてみる。
ばくりっ
「………………」
「………………」
「普通だね。」
「ああ、普通だ。」
うん、普通だった。特別美味しいという訳ではないが、別に食べれないという訳でもない。まあ、うん、普通だ。
モグモグ
最初の一つは、なぜか二人とも黙って食べた。食べ終わるのは、僕の方が幾分か早かったが、二つ目には手をのばさず、なんとなく紗夜が食べ終わるのを待った。
「普通だけど……」
「普通だけど?」
「普通だけど、うん、美味しいね。」
一つ目を食べ終えた紗夜が、ニコッと笑って、そんな矛盾したことを言う。
言っている事は明らかにおかしいんだけど、僕には紗夜の言いたい事が、なんとなく分かるような気がした。
その後、二人で話しをしながら食べたサンドウィッチは、やっぱり普通だけど美味しかった。
少なめに見積もって作ってきたんだけど、全部を食べ終わる頃には、僕のお腹はしっかり満腹になっていた。
……………チクリ。
昼食を食べ終わり、その場で少しお腹をおちつけた後、僕と紗夜は、小川の近くに移動した。僕の膝程の深さしかないので、激しい運動が出来ない紗夜と遊ぶには、ちょうどいい場所だ。
「つめたーいっ。」
紗夜は靴を脱いでから、足首辺りまでを川につけて、無邪気にはしゃいでいる。
僕は紗夜がはしゃぎ過ぎない様に注意しながら、紗夜の後ろ姿を見守っていた。
花柄のワンピースに麦藁帽子。今の紗夜の精一杯のオシャレ。
端から見ればほほえましい光景だろう。しかし、その光景を見つめる僕の心境は、とても複雑だった。
今の紗夜はとても生き生きしている様に見える。しかしそれは、事実とは違う。
無力だから、儚いから、必死に強がっているだけなのだ。
『あの日』から、八ヶ月の時間が過ぎた。紗夜の身長は少しだけ伸び、僕が進学して…………確実に、残された時間は短くなった。
(諦めない。)
この八ヶ月、何度も反芻した言葉を、再度繰り返す。
希望はまだ有る、時間はまだ残されている。だから諦めない、無力だからこそあがく、紗夜の為に。
決意を改めて確認し、紗夜の後ろ姿を見つめる。紗夜はしばらく水面を見ていたが、ふいにこちらに意識を移し、小走りに駆け寄ってきた。
「お兄ちゃっ。」
その途中、紗夜は小石に足をとられたのか、転びそうになる。僕は慌てて反応し、紗夜が転ぶ前に抱きとめた。
「うあ、大丈夫か?紗夜。」
「う、うん、ありがと、お兄ちゃん。」
紗夜は転びそうになった事が恥ずかしいのか、慌てた様子で返事をする。そこで、ふと気付いた。
「紗夜、眠い?」
「う、うん、ちょっと……」
ちょっととは言っているが、僕がみたところ、かなり眠そうだ。僕はそのまま紗夜を抱き抱えると、適当な木陰まで、紗夜を運んだ。
「ほら、無理はしない。」
「で、でも〜。」
「いいから、大人しく寝なさい。」
「う゛ー」
紗夜は不満そうにしていたが、やはりかなり眠かったらしく、すぐに寝息をたてはじめた。
「て、どこに寝かそう。」
地面にそのまま降ろす訳にもいかない、仕方ないので紗夜の帽子をとり、頭を僕の膝の上に乗せた、まあ、いわゆるひざ枕って奴だ。
ひざ枕をしたまま、紗夜の寝顔を見つめる。しばらく見つめていると、ある事に気が付いた。
「これ…………」
麦藁帽子に隠されて気が付かなかったが、紗夜の髪には蝶のあしらわれた髪飾りが着いていた。言うまでもなく、僕が紗夜の誕生日に贈ったものだ。
普段は大事にしまってあるから、今日、僕とのデートの為に着けてきたのだろう。
その事に気付いて、少しむず痒くなったので、照れ隠しの為に、寝ている紗夜の頭を、いつもより優しくなでた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜
紗夜が目を覚ましたのは、結局少し日が傾いてからだった、暗くなってはいけないので、そのまますぐに家に帰った。大半を寝て過ごしてしまった紗夜は、とても残念そうな顔をしていたが、また出かける約束をすると、目を輝かせて喜んでいた。
夜、ベッドに横たわり、今日の事を思い出していた。
目的地に着くまでの少しの遅れ…………僕は紗夜の歩幅の狭さを考慮に入れて、予定を考えた筈だった。
少なめに作ったお昼ご飯…………紗夜が食べる量は、少しづつだが、日に日に減っている。
そして、紗夜を抱きとめた時………………紗夜の体重は、驚く程軽くなっていた………………
今まで気が付かない振りをしていた事がある。紗夜の体は、病魔という名の茨に、ゆっくりと、だが確実に、侵食されているという現実。
目を反らすのは、もう限界かもしれない。
そう思うと、僕の心に刺さった刺が、はっきりとその姿を見せる。
『恐怖』が顔を覗かせる。
現実は、多分甘くない……………
ーーーーー・ーーーーー
『紗夜』の三回目です、また思っていたより長くなってしまいました…………。えーと、次は秋の話デス。例によって、いつ貼れるかは分かりません。なるべく早く貼れる様にはするつもりです。
投下乙
結末がわかってるだけにキツい展開ですなぁ・・・
517 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/01(日) 05:03:07 ID:aLTabkSo
続き待ってます。
test
519 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/06(金) 02:54:05 ID:33cLwIws
テスト?
520 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/06(金) 11:39:33 ID:cJh9laNk
お兄ちゃん・・・
言われたいセリフか・・・
凄まじく可愛い異母妹に潤んだ瞳でお兄様・・・とか言われたい
お兄様、投下をお待ちしております・・・
523 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/06/20(金) 19:03:01 ID:fu5fGQY7
人いねー
過疎だ……。
何か貼りたいけどネタが無いなぁ……具体的なリクエストとかあれば書くけど。
うn
作家様方の妹系以外の作品も読んでみたい。
【幼なじみ】
>>524 ド直球な素直で甲斐甲斐しい兄に尽くす妹物が読みたいかも
兄上ー
529 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/07/06(日) 15:18:59 ID:4SgT/RLt
しかし過疎だな
びっくりした……
>>522 「お兄様、股下をお待ちしております・・・」って読めた。
ゴメンね、筆が遅くて……。
幼馴染が、もうすぐ書きあがるけど……よく考えたら、ここじゃ貼れないね。
期待して待ってます!
>>よく考えたら、ここじゃ貼れないね。
そう言えばそうですね……
たびたびあることではないので特別に、このスレに貼ってもらうって事はできませんかね?
どうせなら別のスレよりここで読みたいですし、
俺も期待してる
そういや、今日は7月12日でした……。
全く忘れてたんで、一応リクエストの幼馴染とお蔵入りするつもりだったネガティブ兄を貼ろうかなぁ……。
───────────────────────
いつもと同じ朝。
……眩しい朝日に、少しため息がこみ上げてくる。
そのため息を飲み込んだまま、玄関のドアを開けた。
「おはよう、いっくん。偶然だね」
目の前には、朝日の下で微笑を浮かべる幼馴染、野咲このは。
「あぁ……悪かったな」
ため息を紛らわすように、野咲の首辺りに話しかける。
「え?何で?」
「いや、いつも時間ズラしてたのに、重なって悪いなと思って」
「ん?別に悪くないよ?一緒に学校行けるの嬉しいよ」
相変わらず、このはは俺なんかにも優しい。
「っていうか、いっくん時間ずらしてたの?」
「朝から、わざわざ俺の顔なんか見たくも無いだろう?」
「え?そんなこと無いよ?」
この曇りの無い笑顔。
この否定の言葉の裏を考える俺は、随分とネガティブが板についているようだ……
「ねぇ、いっくん。いっくんが思ってるほど、私気にして無いよ?あんまり気を使わないでよ、幼馴染でしょ?」
「……気をつける」
気をつけたってどうにかなるもんでも無いとは思うが、このはに言っても分かるまい。
当たり障りの無い言葉でお茶を濁す。
「うん。さぁ、立ち話してる時間も無いし、行こうか?」
クルリと振り返る野咲。
「あぁ、先に行くといい」
「え?どうしたの?忘れ物?」
「別に自惚れているわけじゃないが、俺と何か関係があると思われても困るだろう?」
「ううん、全然困らないよ。だから、一緒に行こう?」
差し出された手。
……これは……どうしろと……。
固まる俺。
「遅刻しちゃうよ?」
煽る煽る……。
「行くか」
迷った挙句、その手をスルー。
少し焦っているフリをして、仕方ない感をアピール。
「あ、待ってよ、いっくん!いっくんに話したいこと、たまってるんだから!!」
いつもと同じ朝……というのを撤回しよう。
今日はいつもよりも良くない……。
「それでね、私ね……」
「……」
気まずい思いをかかえながら、このはの言葉を黙って聴き続ける。
このはには悪いが、返すような言葉は俺は持ち合わせていない。
徐々に近づいてくる学校に、安堵を隠せない俺。
ため息だけは何とか我慢した。
しかし、気がついた。
人が多くなるにつれてこのはと一緒に歩いているというのは、結構恥ずかしい。
次第に歩くペースが上がっていく。
完全にこのはと離れてしまう俺とこのは。
距離が離れていくにつれて無口になっていくこのは。
近づいていく玄関。
このはは少し手前で駆け出して
「じゃあね、いっくん!今日は楽しかったよ!」
「あ、あぁ……」
「帰りも……一緒だといいね!」
「そうだな」
白い嘘をつく。俺も立派な大人だ。
───────────────────────
思っていたより、朝の一件は尾を引いているようだ。
気付けばこのはの事ばかりを考えてしまう有様。
まぁ……これは、あまりいい意味では無いのだが。
「何で俺なんかに……」
確かに、幼馴染ではあるが、たまたま家が隣だというだけの話で、俺そのものには一切関係の無いことだ。
顔だって良くは無い。
成績だって良い方ではない。スポーツも同様。
性格なんてこの有様だ。
俺なんか見捨てて、もっといい人のトコに行けばいいのにな。
こみ上げてくる申し訳なさと、自信の持てない時自分に対する情けなさ。
今も、このはを避けて、裏門からコソコソと帰ろうとする俺。
すると、体育館裏に見知った人影。
「このはと……男だ」
この出来すぎなシチュエーション。
さすがの俺だって、どういう状況かは分かっている。
「……」
覗いて行きたいという好奇心もあったが……やはり、そういうのは良くない。
このはの幸せを祝って、俺は黙って退こうじゃないか。
足音を立てぬように、サッと死角に逃げ出す。
……不思議と、悪い気分はしないものだ。
───────────────────────
コンコン。
勉強中の俺の部屋、ノックされる音が響く。
「何か?」
特に何も考えず、扉の向こうの人間に声をかける
「うん」
予想しなかったこのはの声に驚いて振り向く。
「こ……野咲?」
「ゴメンね、いきなり……ちょっと話があって」
「いや、気にするな。俺も少し話がある」
「いっくんも……?」
「俺は後でいい。先に言ってくれ」
「うん、いっくん……」
俯きがちのこのはが小さな声で話し出した。
「いっくんは……昔の約束、覚えてる?」
「約束……?」
「あ、覚えてないならいいんだ。忘れちゃうよね、普通……」
自己完結してしまったこのはにそれ以上何も言えない。
約束について色々考えていたが、
「……そ、それで、いっくんのお話って……何かな……?」
気まずくなったのか、このはが俺に話を振ってくる。
この雰囲気で話しづらいが、言わなければどうしようもない。
「野咲……もう俺とは関わらないほうがいい」
「……え……?」
「幼馴染は今日で終わりにしようと思ってな」
「……何で……」
何故か浮かない野咲。
「直して欲しいところがあるんだったら直すよ!だから……これで終わりなんて……言わないでよ……」
「でも、お前……」
「何で……何で……」
全身の力が抜けたように、肩を落とし、同じ言葉を繰り返すこのは。
このはの気持ちが全く分からずに、何も言えない俺。
「私……いっくんのこと諦めないって、決めたのに……」
「諦める……?俺を……?」
「分かってたよ……いっくんが私のこと、よく思ってないことは……。でも、好きだから……」
「何が……?」
「いっくんがだよ!!」
「俺が……?」
「そうだよ!!私、ずっとずっとずぅっと……いっくんのこと好きだったんだから!!」
……繋がらない。
「ちょっと待って、野咲!?だって、お前……今日校舎裏で彼氏と会ってたじゃないか……?」
「え……」
今のこのはの顔には『キョトン』という擬音が物凄く似合う。
「……いっくん、あれ見てたの……?」
「見た。約束したじゃないか。野咲を幸せにするって。だから、いつまでも俺は野咲の足を引っ張っちゃいけないと思ってだな……」
「え……だって、いっくん……約束忘れちゃったんじゃ……」
「約束なら山ほどしたじゃないか。……まぁ、さすがに全部有効とは思っちゃいないが……」
間。
このはは、ゆっくりと顔を上げて、
「いっくん……あれは……告白されたのを……断わっただけだよ」
「何で?」
「何でって……いっくんのこと、好きだから……」
頬を赤らめるこのは。
……何で胸が熱いんだ……。
「ねぇ、いっくん……?」
「ん?」
「誤解が解けたところで、改めて言うね……」
立ち上がるこのは。
並々ならぬ真面目な雰囲気に、俺も立ち上がる。
このはの少し潤んだ真っ直ぐな目、逸らしたいけど逸らせない不思議な視線。
「いっくん……じゃなくて、今井一郎君……私とお付き合いしてください!私は、いっくんが一番好きです……!」
……身構えてはいたが……これはクる……。
そりゃあ……嬉しいけど……でも……
「……いや!?俺なんかでいいのか!?」
「いい!っていうか、いっくんじゃないとイヤ!!」
何も言い返せない……。
俺のネガティブ加減をすっかり忘れたこのはは、瞳を潤ませながら……。
連投規制厳しいなぁ……
続きはまた後ほどに。
「いっくんは……私じゃ嫌?」
「そんなこと……いや、俺だって、このはのこと……」
「こと……?」
ニヤニヤしてる……。
ふと考える。
このはなら……このはならば、俺は信じることが出来る気がする。
そこまで決まれば、あとは勇気だけだ。
このはの目を見る。大きく息を吸う。
「好き……だ」
あぁ、顔から火が出そうだ……。
「ふふふふふっ……」
顔を伏せて笑い出すこのは。
さっきから、こいつのリアクションは……
「わ、笑うなよ!!」
「ふふふっ、ゴメンね。でも、両想いだったなんて……嬉しくて……」
「このは……」
「あと、それ!!久しぶりに、このはって呼んでくれた!」
「嫌ならやめる」
「じゃあ、止めないでいいよー。ずっと呼んでいいよ、いっくん」
「そうか……」
テンションの高いこのは。
満更でもない俺。
「ねぇねぇ、いっくん!もう一回、名前で呼んでくれないかな?」
「このは……」
「うぅ〜!このは、幸せだよっ!!」
「うおっ!?」
「きゃあっ!?」
勢い良く俺の胸に飛びついて来るこのは。
受け止めてもらえると思ったのかもしれないが、突然の事過ぎて対応できずそのままベッドに倒れる。
「いっくん……」
「……」
俺の胸に寝転ぶこのは。
顔が近い……
これは……ヤバい雰囲気……。
「いっくん……さっきの約束。まだ有効かな?」
「……このはが有効だと思えば」
「じゃあ……いっくん。このはのこと……いっぱいいっぱいいっぱい、ずっとずっとずっと!幸せにしてください!」
俺の腹の上に座って言うことじゃないな、と思いつつも……。
「うん……」
「へへ、じゃあ……」
意地悪に光る子猫のようなこのはの眼……。
「こ、このは……!?」
「このはの初めて……もらっちゃってください!」
……。
接吻ですからね……?
───────────────────────
日付が変わってしまいましたが……続きです。もう一つは、少し時間を開けることにしましょう。
幼馴染……自分の書いた作品にムカついたのは初めてだ……w
ともあれ、今の僕にはこれが精一杯です……
リクエストなんて身の丈に合わないことをするもんじゃないですね……。
リクエスト書いてくれてありがとうございます!
いやはや、やっぱりさすがです。
何か読んでいて萌えすぎて体中がむずかゆくなってきたw
エロスレがまだあった頃なら続きはそっちで…ってことになったかもしれない!?
ネガティブ兄の方も待ってますのでよろしくです!
これは萌えた。
このはタン良いキャラだ
その日は雨が降っていた。
氷のように冷たい雨が、持ち主から離れた傘に弾かれ音を立てる。
その音が途絶えた瞬間、冷え切った体にさらに冷たい血が流れ始めたのを感じた。
目の前の敵と鈍く輝く刃を、仇として認識する。
「……お前か、お前が遥を……」
───────────────────────
「結局、傘は必要なかったな……」
帰り道。
すっかり持て余してしまった傘の先端を軽く蹴飛ばす。
「わかんないよ。今から降るかも」
隣の遥は空を見上げながら、
「……確かに」
青空が大嫌いな俺でも気持ちの悪いと感じる色の空。
いつ一雨降ってもおかしくはない。
「ま、もう家だし俺には関係ないけどな」
「私は買い物に行かなくちゃいけないから関係有るんだけど……」
「そうだったな。付き合おうか?」
「ううん」
珍しく提案した俺。遥は首を小さく振って
「今日は、お兄ちゃんには秘密」
「何を?」
「お兄ちゃんの好きなものを作るから、今日は付いてきてくれなくても良いんだよ」
「ほぅ……」
遥もなかなか可愛いことを言う。
さほど気にはならないが、少しは楽しみにしておこう。
「じゃあ、私は荷物置いたらこのまま行くから、留守番よろしくね」
「おぅ。まかせとけ」
「うん、じゃあね」
小さく手を振って、遥は制服のまま再び家を出て行く。
「さてと……」
一人残された俺は、とりあえずポストを。
ダイレクトメールが数枚と……ファンシーな封筒。
遥宛かと思ったが、どうやら俺にらしい。
といっても、差出人も住所も、切手も何もない。
……直接ポストに入れたのか。
正直言って怪しかったが、一応中を確認する。
「何だ……こりゃ……」
中に入っていたのは、4枚の写真と一枚のメモ。
写真には遥、あきら、宮原、真雪が。
しかし、顔の部分には絵の具で描かれたような掠れた赤のバツ印。
そしてメモには
「『もうすぐ会えるね』……って……」
性質の悪い悪戯……というワケでも無さそうな予感……。
肝心なときに一番話を聞いて欲しい人がいない……。
少し悩んだが、一応これも俺の責任だ。
気は進まないが、皆に連絡を入れようと決断した。
その時
「お、お兄ちゃん!!」
あきらが、必死の形相でこちらに駆けて来る。
「……どうした?」
並々ならぬ鬼気を感じ、俺もシリアスモード。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
堰を切ったように、俺の胸で泣き始めたあきら。
「ど、どうしたんだよ!?」
「怖かったよ!怖かったよぅ!!」
「何が?」
「スコップ持った変な女の人に追っかけられて……必死で逃げてきて……!!」
「で、大丈夫なのか?ケガは!?」
「ボクは平気……ちょっと、転んで膝擦り剥いちゃったけど……」
「でも……何なんだそいつ……あきらの危ないファンか何かか?」
「分かんない……けど……ボクのこと……邪魔だって言ってた」
「邪魔……?」
「ボクがいると、あの人のところに行けない……って」
「……」
もしかして……。
「こりゃ不味いかもなぁ……」
「何が……?」
「さっきこんな封筒がポストに入ってたんだよ」
さっきの写真をあきらに見せながら、話を続ける。
「もしかしたらなんだが、この写真のみんながヤバいんじゃないのか」
「だとしたら……」
「とりあえず、みんなに伝えよう!!あきらは宮原に連絡してくれ」
「う、うん……」
俺は……とりあえず真雪に連絡を取る。
焦っている空気。
徐々に不安になってくる。
ケータイを持つ手が震えているのを自覚し始めていた。
───────────────────────
時間空けるっていうのも限度があるだろう……。
しかも、今回はここまでで。……連投制限五回はキツいです……。
一応、僕の想像するヤンデレのお話になりますが、まぁ、あまりヤンデレ度合いには自信は無いです。
あと、もう一つ
>>527さんのリクエストを頂いてますが、
登場人物がネガティブになってしまう奇病に冒されたため、もう少し時間がかかります。申し訳ない。
これは怖いな…
これからどうなるのか気になるわ…
続きが気になる
ヤンデレキターーーーーーーーーーーー
とりあえず、宮原も真雪も学校に居るらしい。
遥だけが、連絡が付かないまま。
「探しに行ってくるから、あきらは家の中で待ってろ」
「ぼ、ボクも行くよ!!」
「駄目だ。危ない」
あきらも対象であることに変わりは無い。
あきらは少し不満そうな顔をしながら、
「分かった……気をつけてね」
「ああ」
返事も適当に遥が向かったであろう道を走り出す。
何も無いなら何も無いで良い。
大袈裟なら大袈裟で良い。
が、この胸騒ぎを気のせいで片付けられるほど、俺も素直な人間じゃない。
今日は昼間だというのに暗いし、このあたりは人通りもない。
絶好の襲撃環境と言ったところか。
「……」
我ながら最低の冗談に呆れて物も言えない。
良い感じに絶望感を蓄えながら、緩やかなカーブを曲がる。
視界が開けた瞬間、足が止まった。
地面に開いた見覚えのある傘。
その向こうに見える、どこかの学校の制服の女。
そして、その手には鈍く輝くスコップ。
足を止めた瞬間、雨が降っていることに気付いた。
「あ、兄上様……」
確かに女はこう言っていた。
もちろん面識はない。
危ない女の登場に、一気に全身の筋肉が張り詰める。
「……お前か、お前が遥を……」
「ううん。まだなの」
予想以上の軽口に、血液が凍ったまま沸騰し始めているのを感じる。
「まだ、生きてるもの」
「……」
一安心。
が、この言葉はつまり、
「でも、安心して兄上様。この女、もうすぐ死んじゃうから」
「……」
「見てて」
その得物を振りかざす女。
それを黙って見ている気は更々無い。
手に持った傘を全力で投げる。
自分のコントロールに自信が無い俺は、傘の軌跡を見ずに距離を詰め、女と遥の間に入る。
「……!?」
驚きからか、顔を引きつらせている女。
「遥!!起きろ!!」
女から眼を離さずに後ろに下がり、遥の肩を抱き上げる。
「ん……お兄ちゃん……?」
ゆっくり目を開けた遥。
重いものをおろしたように、全身が軽くなったのを感じた。
「良かった……。怪我とかないか!?」
「う、うん……大丈夫だよ」
「はぁ……本当に良かった。立てるか、遥」
「うん。ふふ、お兄ちゃんもそういう顔するんだね」
「何が?」
「なんでもない」
遥の微笑みにホッとする。
という状況ではないようで、
「何をするんですか、兄上様。遊びたいなら、あとでゆっくり……」
「何故こんなことをする」
こいつの意味不明な話はもう沢山だ。
「もちろん兄上様のためですよ。あんな女達がいるから、兄上は私に会いに来れない……」
かみ合わない会話。
次第にイライラしてくる。
「だから、兄上様、意地悪はやめてそこを退いてください」
スコップを構える女。
答えなど考えるまでもない。
牽制のつもりで放つ蹴り。
「兄上様!?」
本気で驚く辺りが癇に障る。
「次は当てるぞ」
「冗談は辞めてください」
それでもずんずんと進んでくるこの女。
どうも威嚇で応じてくれるほど楽じゃ無さそうだ。
警告通り、今度はマジ当て。
といっても、蹴るというより押す感じに近いが。
バランスを崩し、水溜りの中に突っ込む女。
泥が跳ね、彼女の顔にかかる。
これで退いてくれるという淡い期待……
「ふふっ……」
しぶとい……。
笑いながら立ち上がる女。
「兄上様を私のものにしちゃうのが先みたいですね」
とスコップを振り上げる。
……つまり、標的は俺になったと。
「遥。下がってろ」
「だ、大丈夫なの!?」
「当然」
遥を下がらせる。
あまり、取り乱している姿は見せたくないんだけど。
「はぁ……」
意識を……塗り潰す……。
───────────────────────
ネガティブ兄vsヤンデレ風、第二回。
……まぁ、そろそろお蔵入りになるべく台本だったという意味が分かっていただけるのではないかと。
僕自身がヤンデレという属性をいろんな意味で理解していない、というのもそれに拍車をかけていますね……
そんなこんなで、もう少し続きます。申し訳ない。
やっぱり遥カワイイな
続きがんばって
これをおくらいりにするなんてとんでもない!
ネガティブ兄ちゃんが頼れる男に見えてきたw
続き待ってますよ!
冷蔵庫からフルーチェを取り出して、部屋で食べる。
バターン!
勢いよくドアを開けて妹登場。
「おにーちゃん!わたしのフルーチェ取ったでしょ!?」
すごい剣幕に思わず固まる俺。
「あ!やっぱり勝手に食べてる!返せっ!」
俺の手からフルーチェの器を奪い取る。
「もうっ!ほとんど食べちゃってるじゃん!」
「あうっ・・・ごめん」
「口の中のも返せっ!」
怒りながら、いきなりディープキス。
ちゅぱっちゅぱっ
「フルーチェおいし〜」
あーあ、妹がいるやつっていいな〜
こんなことばっかりしてんでしょ?
>>556 そうだね、前半はそれとまったく同じ状況が起こり後半は地獄絵図だね。
食い物を巡り兄妹で地獄絵図・・・
まぁ、普通にあるな
おちんちんは食べ物です
続き期待
「はぁ……」
ため息と一緒にお兄ちゃんの頭が、一気に下がる。
「お、お兄ちゃん!?」
危ないっていう自覚が無いのか、前も見ていないお兄ちゃんに思わず焦りの声が出てしまった。
どうしよう……でも、間に合わない……。
そう思った瞬間、斧のように振り下ろしたスコップを、左足を軸にクルッと回って避けるお兄ちゃん。
そしてその勢いのまま、側頭部に強烈なキック。
「くっ……」
体勢を崩した女の子の右手を狙って、全体重をかけた飛び蹴り。
女の子の力が抜け、なすすべなくスコップが落ちる。
お兄ちゃんはそのままもう一回転、女の子の足を間髪入れずに払った。
「うわぁ……」
あっという間に、相手を倒してしまった。
……強い……無駄に……。
でも、足技ばっかりなのは何で……?
「はぁ……」
でも、頭は垂れたまま。
お兄ちゃんは落ちたスコップを拾って、
「お前は良いよなぁ……」
「え……」
「そんな簡単に人を殺すとか言えてさ……どうせ俺なんか……」
寝転がった相手の耳元でネガティブ全開な発言を繰り返すお兄ちゃん。
暗い……お兄ちゃん、暗いよ……。
「……」
あんまり聞こえないけど、何言ってるんだろう……。
相手の女の子も何だか暗い顔してるし……。
逆に可愛そうになってきちゃったな……。
「は、遥ちゃん、大丈夫!?」
後ろから声がして振り返る。
「みんな……。私は大丈夫だけど……」
あきらさんを先頭に、宮原さんと冬月さん、そしてお兄ちゃんの友達の州田さん。
「あれ、州田さん?どうしたんですか?」
「私が……頼んだ……」
「冬月先輩が?」
この二人……どういう関係だろう……。
まぁ、いいけど。
「で、遥さん?何をやってるんですか、アレは……?」
宮原さんが恐る恐る指差した先には、
雨の路上で傘も差さずに、寝転がっている女の子の耳元に片膝付いてボソボソ呟く男の人。
どう見ても見ても怪しいよね……。
「それが私にも……」
「うーん……遥ちゃんにも分かんないんじゃお手上げだねー」
「ですね」
「……だね」
この人たちは……私を何だと思ってるんだろう……。
「でも……そろそろ……」
「そ、そうだね。お兄ちゃーん?」
恐る恐る。
矛先がこっちに向いたらヤダなぁ……。
「ん?あぁ、遥。いや、すっかり夢中になってしまった」
と、振り向いたお兄ちゃんはビショビショだけど異常なほど爽やかで、ちょっと気味が悪い……。
「あぁ、みんな。来てたのか」
みんなリアクションが無い……。引いてるんだ、やっぱ……。
「……その人は?」
お兄ちゃんの笑顔とは対照的に、さっきの女の子はこの世の終わりのような顔をして、地面に倒れている。
「さぁ。さっきから一言も喋らないんだ」
……大丈夫かな。
「……どうするの?」
「んー……警察で良いんじゃないか。電話しよう」
軽いノリで警察に電話するお兄ちゃん。
……説明するの、私なんだろうなぁ……。
───────────────────────
お久しぶりで……。ネガティブ兄vsヤンデレ風、第三回。次で終わりになります。
まぁ、多くは語らずとも、やっぱり封印すべき作品だったなぁとこれを貼る前に思いました……。
ネガティブ兄が蹴り主体で戦うのは、もちろんあの人をリスペクトだからです。
遥可愛いよ遥
続きも期待!
「つまり、アレはお兄ちゃんへの愛情表現のつもり……ってこと?」
「この文章を平たく解釈するとそうなるな……」
後日、びっしりと書かれた紙を読みながら。
「だが、一応心を入れ替えたってことらしいがな」
「安心して良いのかなぁ……」
ちょっと不安そうな遥。
まぁ、ああいう人間は何するか分からないからな。
「その……悪かったな」
「何が?」
「完全に俺のことなのに遥や真雪達には迷惑をかけた」
「ううん、気にしてないよ」
「……」
「お兄ちゃんが私のことを助けに来てくれたのが嬉しかった。だから、今回は許す」
「そうか」
本当はもっと責めてくれた方が、こちらとしても気が楽なのだが……
遥の微笑を見ているとそういう気分ではなくなってしまう不思議。
「うん。で、何が問題なの?」
「近いうちに本人が謝りに来るらしい」
「あぁ……お兄ちゃんには大問題だねぇ……」
「それもだし……それすらも罠なんじゃないかってふと思うんだが……」
「お兄ちゃんのネガティブも今回ばかりは大袈裟じゃない気がしてきたよ。あの人……ちょっと普通じゃないからね」
「……そうだな。その時は、俺一人で行く」
気は進まないけどな。
遥は心配そうに俺の顔を覗き込んで、
「大丈夫……?」
「死ぬほど嫌だ。でも、仕方ない。遥に危険が及ぶ」
「お兄ちゃん……」
「何だよ?」
「たまにはカッコいいこと言うんだ」
「……すまん……」
「え?褒めたのに!?」
「いつももっとカッコよかったらよかったのに……」
「それはちょっとキモいと思うよ……」
「キモい……」
気持ち悪いならともかく、キモい……。
もう立ち直れない……。
「……どうせ俺なんか……」
「お、お兄ちゃん?そんなに落ち込まないで!?別にお兄ちゃんに言ったんじゃないからね!?」
「……」
遥の声も遠く聞こえてきた。
ピンポーン。
インターホンが鳴った……気がする。
「わ、お客さん……えと……お客さんが来たから行ってくるけど、落ち込んじゃダメだよ!?」
「……」
「あと、自棄起こして、洗剤一気飲みとかしちゃだめだからね!?」
しねぇよ……。
「あと……あとは……」
「良いから行けよ……」
「う、うん……!」
テンパる遥を追い出して、ソファーの上で一人体育座り。
と思っていたが、すぐに遥が戻ってきて
「お兄ちゃん?」
「……何だ?キモい俺に何か用か……」
「噂をすれば。だよ……」
「いっ!?」
マジかよ……まだ心の準備が……。
落ち込んでいる暇がなくなった俺は……ソファーに座ってみたり。
「あ、あの……突然お伺いしてすいません」
この前の女が入ってくる。
「遥は下がってなさい」
一応、俺が命令したという形に。
うん、なかなか良い判断だぞ、俺。
「まぁ、座って」
「はい……」
うーん……なんつーか、狂気の色が消えているし……心配には及ばないかもなぁ。
「あの……この度はご迷惑をおかけしました。お怪我とかありませんでした?」
「はぁ、あの……こちらこそ、随分暴れまわってしまって……」
あんまり記憶にないが。
「とんでもないです!!私を止めてくれて……ホントに感謝してます」
「もう……大丈夫なんですか……?」
「そのことなんですが……。私……気付いて……しまって……」
恥ずかしそうに俯いてしまった女。
「……何にです?」
売り言葉に買い言葉。仕方なくこう聞いてみる。
すると、女はゆっくりと顔を上げて、
「蹴られることがあんなに気持ちの良いものとは……思いませんでした……♥」
訂正だ!!この女、怖ぇえ!!
「ちょ、ちょっと……!?」
「これからも、もっともっといじめてくださいね、兄上様♥」
……全身の体液が逆流しているような気分だ……。
拒絶する気力も、逃げる気力も、冗談にする気もない……。
「うぉぇ……」
喉の奥がちょっと酸っぱい……。
……夢なら……覚めてくれよ……。
───────────────────────
お久しぶりでございます。ヤンデレ編、最終話です。
この程度のものを引っ張りすぎじゃないか……。
まぁ、なんつーか、やっぱりヤンデレってよく分かんないなー、とか、シリアスはガラじゃないなー、とか。
せっかくの夏なんで、夏の話でも書きたいと毎年思うんですが……
色々している内に毎年夏が終わってしまう……今年もダメそうだ。
お疲れさん。
もう休んでいいよ。
流星さんお疲れさま
遥可愛いなやっぱり。
グッジョブ!
ヤンデレ怖えぇ…
>>572 流星…?
遥は俺の妹
作品来ないかな
577 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/08/29(金) 23:09:11 ID:HlD1hw5m
下がり過ぎ
578 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/08/31(日) 22:53:30 ID:d7Hris2B
保守
この前、友達の部屋でゲームやってて、そいつにお菓子とジュースを買いに行ってもらった。
そのまま一人でゲームしてたら、いきなりガツーンと脳天に衝撃!
涙目で振り向いたら、友達の妹さんがいた。驚いて青ざめた顔してる。
どうやら友人と間違えて、脳天に思い切りエルボー落としたらしい。
「なんなの?」って言ったら、妹さんの表情がぶわわっと泣き顔になって、
「間違えたのごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめ(ry」
大粒の涙をボタボタこぼしながら泣き叫びはじめた!
さらに嗚咽しながら俺の足にすがり付いてくる。
俺の足に涙がボトボトかかって、ジーパンごしに涙の熱さが伝わる。
人ってこんなにも大量に涙が出せるもんなのか〜と冷静に思った。
泣きながら必死に「ごめんなさい」を繰り返す妹さんに、
「いいから、だいじょうぶだからw」と笑顔で答えながら、ええ、思い切り勃起しましたよw
581 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/14(日) 10:37:17 ID:skTJrN4h
アゲん
582 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/15(月) 00:30:16 ID:IVS92ooz
583 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/15(月) 08:22:22 ID:hNZmqcFO
>>580 そこから友人の妹フラグですね。わかります。
584 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/17(水) 23:13:07 ID:yyOh+6eC
エルボーで死ななくて良かったね。
585 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/09/17(水) 23:56:46 ID:yyOh+6eC
兄貴とか兄さんとか呼ばれたいな。弟にはあんちゃんと呼ばれるが…
「反省したら今からPSP買ってくるといって、その通りに実行しなさい。」
>>580 まだマシだろ・・・俺なんか友達と遊んでたら、そいつの妹がしょっちゅう嫌がらせしてくるぞ。
しかも地味に嫌な事ばっかorz俺は妹さんに嫌われるような真似した覚えはないんだがな・・・・
まあ、相手は中学生だから別に腹は立たないけど
それなんてフラグ?
>>588 まあ、その子かなりブラコン入ってるから、多分俺がいるのが邪魔なだけだと思うが。
でも、女相手ならともかく、男相手にそれはないか・・・・とするとやっぱ単純に俺が嫌われてるだけかなorz
いいさいいさ、嫌われるのは実の妹で慣れてますよっと
保守。
大分廃れたねぇ
もう気が済んだんだろ
592 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/14(火) 22:50:02 ID:IazpJaBZ
保守
593 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/14(火) 23:52:53 ID:eV1DDWZT
ほす
594 :
No.2:2008/10/15(水) 00:41:19 ID:WVlF/cqB
どもども
ご無沙汰しております
近日中に過去ログ倉庫を移転させます
行き先はさくらの既存mewlog垢か
このたびCORESERVERにて新たに取得した垢のどちらかです
いずれにせよ0ch Scriptによる掲示板形式とし
専ブラで閲覧できるようにさせて頂きます
移転が完了次第お知らせ致しますので
何卒ご理解のほどよろしくおながい致します
595 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/10/15(水) 22:11:17 ID:OJIW1/DB
おながい致します…
「にいさん」
「ん?」
「まるむし あげようか」(手を出す)
「・・・」
599 :
No.2:2008/10/19(日) 23:32:12 ID:ryx1M6zp
600 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/04(火) 08:41:54 ID:vPU1fUCz
600
人が……
いない…
いるけどね。作品無いけど。
この時期は、俺みたいな人間には生き辛い。
誰かの誕生会なんて都合のいい言い訳に過ぎない。
結局、人は自分の愚かさに自覚していて、その愚かさを誤魔化すために口実を作り、騒ぐ。
それはそれでも構わないが……何故、そのメカニズムに乗らない人間を卑下するのか、それだけは不満だ。
「……今年の言い訳は決まりましたか?」
隣の遥が、ため息混じりに尋ねた。
「……大体……」
遥の質問に対し、言葉交じりにため息で返す。
「この時期は最低だな……」
まだこの俺に追い討ちをかけようと手薬煉引くテレビを、リモコンで消し、またため息をつく。
「みんな、楽しいことが大好きだからね」
「楽しめない俺みたいなヤツもいるけど……」
クリスマスの日って、みんな何してんだろうな。
「お兄ちゃんだってその気になれば……」
「その気にはならないんだ。不思議なことに」
「じゃあ、しょうがないよ」
「しょうがないな」
でも、憎い気持ちは少しある。不思議なことに。
自覚できるほどの苦い顔。
「何かクリスマスプレゼント買ってあげようか?」
「いや、そういうのは毎年断わっているだろ」
毎年大野家にはクリスマス禁止令が……というか、遥が空気呼んでくれるだけだが。
「うん。でも、少しでも楽しみがあったほうがいいよ……」
意味深な遥。
「どういうことだ?」
「どういうことって……」
何だか呆れたご様子。
俺、何か変な事言っただろうか。
……まぁ、いいか。
「とにかくだ。今年もクリスマスとは縁の無い年末を送りたい……」
この単語を自分で言うのも嫌だな……。
ちょっと口の奥が苦くなる。
「だと良いけどね……」
何だかさっきから引っ掛かる遥。
「どうした、さっきから……」
もしかしてご機嫌斜めでいらっしゃる?
恐る恐る尋ねてみた。
「いや、だって……」
躊躇いがちの遥。
「?」
意味が分からない俺。
「何何何?ケンカはダメだよ?」
背後からの声。
……。
……?
「あきらっ!?」
「やっほー。久しぶりだね、お兄ちゃん」
冬でも元気なボク女……。
「……勝手に入ってくるなよな」
「勝手じゃないよ。ちゃんとお邪魔しますって言ったよ」
別に突っ込むほどのテンションは無い。
腹を立たせながらも流す。
「何か用か」
「クリスマスの予約を取りに来たの!」
今一番聞きたくない言葉をさらりと言いやがった……
「遥……頼む」
「え……うん……えっとね、あきらさん……?お兄ちゃんは、クリs……が大嫌いで……」
「うそだー。そんな人、聞いたこと無いよー」
もはや俺の存在があきらの常識外……ヘコむなぁ……。
「ね?ウソだよねっ?お兄ちゃん?」
リアルで信じていないらしい。
いつもより何だかテンション高めのあきらが後ろから、俺の首に巻きついてくる。
「あっ……お、お兄ちゃんっ!!怒っちゃダメだからねっ!?」
「怒りはしないけど……」
はぁ……もう今年終わらねぇかなぁ……。
「だから、お兄ちゃん。クリスマス、ボクと一緒に遊ぼう!!」
「……」
「お仕事があるから、夜からになっちゃうけど……でも、いいよね!クリスマスは夜でも!!」
……帰って欲しいなぁ。
「じゃあ……私は……朝でもいいよ……」
またも背後で声。
「真雪か……」
「うん……。寒いね」
「ああ……寒いな」
……中身の無い会話。
「プレゼント、何がいい……?」
「いらない」
「じゃあ……自分で考える」
もうここまで来ると、日本語が通じていない可能性があるな……。
「少し遅れてしまいましたね。こんにちは、兄様」
……もういい。もう誰でもいい……。
「宮原……」
……ここ俺の家なんだけどなぁ。
「この様子ですと……クリスマスの予定はあまり空いて無いですか」
またその話かよ……。
クリスマスになると大野賢太郎の需要が増大すると言う話は聞いたことが無いが……。
まぁ、ともかく来る人来る人に嫌いな言葉を浴びせられ、どんどん弱っていく俺の体。
頼みの遥も、もはやどこにいるのかすら分からない……。
周りを見渡せば、何だか記憶に無い連中もいるし……一体俺は何をすればいいんだろう……。
流れに逆らわぬように、ジッとソファーで耐えていると、
「じゃあ、平等にみんなでクリスマスパーティーを開くということで」
と、誰かが言った。
……もう決定の雰囲気。
「というわけで、お兄様。楽しみにしててくださいね。詳しくはまた追って連絡しますので」
宮原のこの笑顔を正直殴ってやりたいと思った。殴らないけど。
ぞろぞろと捌けていく人。
残る遥と俺。
「どうしよう……」
「どうしようもないよ……」
「……はぁ……」
うん、逃げよう。
───────────────────────
脱出は簡単だった。
俺の家を会場にしたのは方法としてはいいが、遥を完全に味方に付けられなかったのはかなりのミスだな。
目下の問題は、ほとぼりが冷めるまで俺はどこで何をすればいいか。だ。
友人のほとんどが今日をお楽しみだろうから、そんな中に入っていく勇気は無いし、
そもそもどこまで根回しが進んでいるか……。
買い物しようにも絶対『口に出すのも憚られる二人組』が沢山いるだろうし……。
とすると、もう行ける場所はそうないな……。
「……何もかも今日と言う日が悪い」
呟いた言葉。
恨み節は、自爆の合図。
『お前が負け犬なだけじゃないか』と北風が囁く。
「そうか、これが遥の罠だったんだな……」
遥にまで被害妄想が出ている。
これは本格的にヤバいかもしれないな……。
「どうしようかなぁ……」
帰る?
帰らない?
まぁ、少なくとも手ぶらでは帰りづらい空気ではある。
かといってこれから何処に行けば良い?明日の朝までは安心は出来ないぞ……。
もはや八方塞の俺。
小さな公園のベンチだけが、かろうじて俺に扉を開いている気がした。
「はぁ……」
すっかりため息も白い季節だ。
こんな真っ黒な体から出てきたのにな。
「そうか……これが孤独か」
そういえば、いろんな負の感情を抱いてきたつもりだが、
孤独、というのは自分には縁がなかった気がするな。
そう考えると、遥の存在は偉大だな。
……五分前の自分の言葉を忘れた発言に、少し情けなくなる。
「悪かったな、遥よ」
とりあえず曇り空に向かって謝ってみた。
青空に劣等感を掻きたてられる俺だが、この嫌なことが起こりそうな曇り空も……。
「サンタさんはこんな寒い日に、何してるのかな?」
そんな声を顎で聞いた。
頭を下げ、前方に視線を向ける。
「遥っ……!?」
ヒマから解消されたと言う感情が少しと、見つかった!という感情がかなり……。
即座にダッシュの姿勢。
「お、お兄ちゃん!!大丈夫だよ、連れ戻しに来たわけじゃないから!!」
小動物の相手をするように、まずは優しい言葉。
「本当か……?」
「うん。まぁ……一応、探してくる、ってことになってるけど」
「いいのか?」
「ちょっと悪いとは思うけど……」
困り顔の遥。
遥も被害者であることに変わりは無い気もするなぁ。
俺はとりあえず逃走体制を解除、もう一度ベンチに座る。
「隣、お邪魔するね」
「どうぞ」
クリスマスの昼間に兄妹二人。
誰もいない公園のベンチで。
傍目カップルですかね、俺たち。
「……寒くないか?」
「私は平気。お兄ちゃんは?」
「俺も別に」
……ホントは結構寒い。
多分遥もそうじゃないかと思う。
「……お兄ちゃんは覚えてるかな」
そんな遥が空を見上げながら、ゆっくりと話し出す。
「何を?」
「小さいとき、お兄ちゃんが私にくれたクリスマスプレゼント」
……あっさり言うなぁ。
「なんかあげたか……?」
「ふふ、覚えてない?」
「昔の俺は死んだと思ってくれたほうが良いぐらいだ」
というか、俺にも小学生の時期があったんだろうか。今となっては謎である。
「お兄ちゃんがくれたのはね……温もり」
……。
「何言ってんだよ、遥……」
ネガティブ兄シリーズとは思えないハートフルな単語が……。
この体のど真ん中からこみ上げる気持ち悪さは何だ……。
「お、お兄ちゃんが言ったんだからね!?」
恥ずかしそうに反論する遥。
「俺が……?」
衝撃の事実……。
やっぱり昔の俺は死ぬべき存在だったんだ。
「うん……『僕にプレゼントできるのは温もりだけだけど……』って」
気持ち悪いことするなぁ、我ながら……。
「そんなこと言ったかな……」
「うん。クリスマスにお父さんもお母さんも帰れなくて……でも、お兄ちゃんは私の傍に居てくれた」
穏やかな微笑の遥……。
その微笑を向けるのは、俺ではなく、いつの間にかいなくなってしまった俺。
……あまり良い気分ではない。
「ちょっと不機嫌になっちゃった?」
全てお見通しとでも言いたげな、意地悪な顔の遥。
「そりゃまぁ」
そのことを含めて、バツの悪い俺。
「でもね、お兄ちゃんは……今でも私に温もりをくれてるよ?」
「バカな。そんなもの、何処にあるって言うんだ……」
「わかんないけど……きっといろんな所にあるよ。お膝の上とか、腕の中とか、胸の真ん中に」
「……」
ヤバい、この雰囲気に少し飲まれていた……。
「ずっと、一緒にいよう?」
「……」
この疑問符を恨む。
俺の答えを待っている遥の瞳。
あぁ、昔の俺はこういうところに生きていたなぁ。
「今の俺に温もりなど無い……と思いたい……。
だが、まぁ……遥が俺の中に何かを見つけたなら……好きなだけ持って行けばいい」
昔の俺の心が今の俺の言葉を使って。
……まぁ、遥が俺にとって大事な妹なのは、そんなに変わって無いような。
「うん」
真正面を見つめて、小さく頷く遥。
「……変なこと言わせやがって」
俺も遥の眺める方を見ながら、足を組みなおす。
「さ、兄妹交流も済んだことだし!そろそろ引導を渡してもらおうかな」
「……」
まぁ、予想通りではある。
いつまでも逃げ切れるとは……思って無いけどさ。
「そんな嫌な顔しないの!私もついててあげるから、ね?」
「遥の方が姉さんみたいだな……」
「あはは……久しぶりに言われたよー」
……言われてるのか。
「……悪かったな、世話焼かせて……」
「お、お兄ちゃん!?べ、別にそういう意味じゃ……」
「分かってるよ……」
本当はもっと謝り倒してやりたいが……少し空気を読んだ。
遥は少し不満そうな顔をしながらも、
「さぁ、帰ろう?」
立ち上がり振り帰る。
俺も、そのあとに続いてゆっくりと立ち上がって
「遥……少し寄り道を許可してくれよ」
「寄り道?いいけど、何処行くの?」
「姉さんに何かプレゼントでも」
「もう……」
遥は小さく不満の吐息を漏らしながらも
「じゃあ、私からも何かプレゼントしてあげるよ、おとーとクン」
意地悪に微笑んで、遥が俺の手を取り走り出す。
嫌な流れに飲まれてしまった俺とその流れを操る遥。
……やっぱり嫌いだな、クリスマス。
───────────────────────
GJ!
613 :
No.2:2008/12/27(土) 01:07:26 ID:fjQzd3Cl
乙ぬるぽ!
614 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/12/28(日) 23:57:43 ID:qO1aUJ7A
あげええ
615 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/12/29(月) 00:11:38 ID:YHEr3WDP
de? dounaruno
ド変態
617 :
名無しくん、、、好きです。。。:2008/12/29(月) 21:28:09 ID:Rlvhvy97
小説まだ〜?
( ^ ^ ) オニイチャン!!
Zガンダムのロザミィとか年上の妹ってありなのか?
2メートルはあるだろう塀の上。
見たこと無いような派手、それでいて奇抜な服を着用。身長が1.5mほどの少女が、俺を睨んでいる。
「ちょっとそこのアナタ!!」
「……」
せめて遥の居るときに話をして欲しいもんだ……。
間違いなく会話のベクトルは俺に向いているが、あえてのスルー。
「無視するなぁー!!」
そう叫びながら、俺のすぐ目の前に飛び降りてくる女。
「いったぁーっ……!!」
やっぱ痛かったか……。
「あの……何か?」
「い……1分待ちなさい……」
何故命令口調……ムカつく……。
仕方ないから待つけど……。
「58……59……1分。で、何か用ですか」
「無視することないんじゃない!?」
「僕じゃないと思ったので」
「しっかり目があったでしょ!?」
「気のせいじゃないですか?」
「はぁ……そんなんでよくこの社会で生きてるわね……」
何故だ……何故見ず知らずの他人にここまで言われねばならん……。
「……絶望した……」
「そんなことで落ち込まないでよ、鬱陶しい」
鬱陶しい……。
「……俺を詰るだけの用なら帰りますが……」
「そんなワケないでしょ。アナタ、名前は?」
「……矢車……」
「嘘仰い」
「大野賢太郎です……」
「やっぱり……」
「やっぱりって……?」
「大野賢太郎君……」
真顔で俺を見つめる……何……?
「……?」
「やっと見つけた!私と交際しなさい!!」
「交際……って……?」
「俗に言う、付き合うってことよ」
……何を言うかと思えば……。
こんな展開にはもううんざりしている。
あとはどう断わるかだが……
「……」
無言で逃げる。
「ちょ、ちょっと!!待ちなさい!!」
待つわけ無いだろう。
とにかく、全力ダッシュ。
自分の知る限りの細道や、分かれ道を出来るだけ通過し、いつもの倍以上の時間をかけて自宅まで。
……俺は、悪くないんだよ、うん。
───────────────────────
「遅かったわね」
リビングのドアの向こうには、悪夢が待っていた。
「お兄ちゃん、お帰りなさい」
女にお茶を出しながらなんとも能天気な遥。
って、そうではなく……
「な、何故だ……っ!?」
「撒いたつもりかもしれないけど、家ぐらい知ってるわよ。フィアンセなんだから」
……。
「遥!?何か今聞こえなかったか!?」
「え……?うん……」
どうも聞き間違いではないらしい。
しかし、遥。何故お前はそんなに普通なんだ……。
まぁ、いい。そんなの今は些細なことだ。
「どういうことだ、婚約者って!?」
「婚約者は婚約者よ。知らないの?」
「誰と、誰が!?」
「私とアナタに決まってるでしょ?」
「人違いだろ」
「じゃあ、どうしてこの家に来たって言うのよ」
「……でも、全然記憶に無いぞ」
そう。それが一番大事なんだよ。
何で気付かなかったんだ、俺は。
「フィアンセの顔を忘れたって言うの!?」
「言う。お前なんか知らん。女と婚約した覚えもない」
やさぐれモード発動。
「な、何言ってるのよ!?したでしょ!?」
「知らんといっている。いつだ、いつ婚約したというんだ!?大体お前誰だ!?」
「そ、そんなの忘れる方がどうかしてるわよ!!」
「どうかしてるのは今に始まったことじゃない。四の五の言わずに教えなさい」
普段もココまで言えれば良いんだが……いや、ちょっと困るかな。
「ね、ねぇ……お兄ちゃん……?」
今まで黙っていた遥が不意に口を開く。
「黒河さん……忘れちゃったの……?」
「はっ!?」
遥が裏切った!?
「ふぅ……やっと薬が効いてきた……」
「何か言ったか!?」
「いえ、何も」
確かに言ったが、今の優先度はそっちじゃない。
「遥、大丈夫か!?この女になんか脅されてるのか!?」
「え?えぇ……っと……別に何も無いけど……お兄ちゃんこそどうしたの?あんなに仲良かったのに……」
悲しそうな顔の遥……
なんか、妙な思い出を捏造されてる気がする……。
「……」
チラッと女を見ると、したり顔がムカつくこと……。
しかし、こいつはともかく……どうも遥が嘘をついてるって感じじゃないんだよなぁ。
「お兄ちゃん……ホントに大丈夫なの?」
「よく分からんが……とりあえず遥。下がってもらって良いぞ」
「う、うん……あの……お兄ちゃん?黒河さんにひどい事しちゃダメだよ……?」
「覚えとく」
遥が部屋から出て行くのを見届ける。
さて……どうしたものか……。
「うむぅ……」
「思い出してもらえたかしら?」
「いや、全然……出合ったのって、そんなに前だったか?」
若干信じ気味の発言……。うーん、なんか急に俺が忘れてるだけのような気がしてきた。
「……いつだったかしらね」
「俺が女嫌いになる前なんだよな」
「そうね」
「じゃあ、小学生くらいか」
「多分ね」
「それなら、あきらに聞こう。アイツなら知ってるかもしれん」
「そ、そんな私たちのことに巻き込んだら、彼に悪いじゃない」
……。
「ついに尻尾出しやがったな」
「え……?何を?」
「高羽あきらは女だ。彼じゃない」
「……」
「さて……いろいろ話してもらおうか。とりあえずは……俺の妹に何をしたのかを。
言っておくが、俺の足は女だって容赦なく蹴り飛ばすからな」
若干脅し気味だが、この際関係ない。
女はしばらく俯いていたが、急にコチラを睨んで
「アンタが……アンタが悪いんじゃない!!」
「は……」
逆ギレかよ……これだから……。
「順を追って説明しろ。俺が何をした」
「言っても信じないわよ……」
「信じるつもりもないが、一応言っておけ」
「……変な女だと思わないでね」
「もう思っているし、俺のまわりは変な女だらけだ」
俺の一言に意を決したとは思えないが、ゆっくりと口を開く女。
「私……魔女なの」
……。
…………。
…………やべぇ、コイツ本物だっ……!
「だ、だから言いたくなかったのに……!」
「それを信じろというほうがどうかしている……せめて証拠を見せろ証拠を」
「それは……無理」
……騙す気ゼロかよ。
「使えないの……今は」
「何故?」
「恋しちゃったから……」
「ふざけてんのか?」
耳を疑うセリフに、思わず口が乱暴になる。
俺は悪くないだろ……!?
「ふざけてないわよ!!だって、しょうがないじゃない……恋しちゃったのも、魔法が使えないのも……」
「で、何だ。何で婚約者偽って俺のとこに来た」
「……魔女に戻るためには……好きな人と添い遂げる必要があるの」
「だから、何で俺なんだよ。その好きな奴のトコに行けよ」
「……だから!!アンタが好きになったって言ってるのよ!!女の子にココまで言わせないでよ!!」
不意打ち……。
苦いし気持ち悪い……吐きそうだ、俺……。
「……別に良いじゃないか……魔法なくても……生きていけるぞ……」
頭をガックリ落としながら、声を絞り出す。
「そんなワケには行かないのよ!!こうしてる間にもアイツらが……っ!!」
「アイツら?」
「アンタは気にしなくても良いのよ。さぁ、早く!私を愛しなさい!!」
もう全く会話の道筋が分からねぇ……。
「急にそんなこと言われても困るからなぁ……少し考えさせてくれよ……」
「だから!そんな悠長なこと言ってる場合じゃないんだってば!!」
「何をそんなに急いでるんだよ……ん……?」
そこまで言いかけて止める。
女が緊迫した表情で窓の外を眺めていた。
「どうした……?」
「ほら、来ちゃったじゃない!!」
怒鳴るように叫んで玄関から外に出て行く女。
あぁ、お仲間の登場ですか……。
しかし、これはチャンスだ。
玄関に鍵をかけてやろうと、肩を落として向かうと……
「とうとう見つけたわっ、覚悟なさい」
さっきの女と、白い変な服の女と黒い変な服の女の二人組みが向かい合っている。
何だか緊迫した雰囲気。
「……えっと、これは何……?」
「出て来ちゃダメよ、賢太郎!」
手を大きく広げて、俺を庇う姿勢の女。
「は……?」
「こいつらは、アナタたち人間の魂を奪いに来たの!!」
「……お前は……?」
「私はアイツらと戦うために……きゃっ!!」
少し先の地面が爆発した。
「そんな話を聞く必要は無いのよ、人間さん」
黒娘が小馬鹿にしたような口調で語り始めた。
「そうそう。はやく魂欲しいなぁー!」
と、白娘。もうこいつについては語りたくない……。
設定についていけない俺。
そんな俺の背後から、
「え、え!?何、何なの、お兄ちゃん!?」
遥の登場。
もうどうしよう、この場……。
「遥、出てこないほうが良いらしいぞ」
「え……何で……?」
何でと言われても、俺もよく分からないしなぁ。
「賢太郎!のんきに話してる場合じゃないでしょ!?」
そんな場合じゃないのか……。
そんな場合が掴めない俺と遥は、どうしようもなくて、棒立ち。
「魔法力が無くなったアンタなんてもう敵じゃないの」
「そうそう。早く死んじゃいなよ!」
身の丈ほどもある杖を構える二人組。
あぁ、そういう状況……。
「賢太郎……ゴメンね、巻き込んじゃって……」
「おいおいおいおい!!やめてくれよ!?そんなこと言われたら一生悔やむだろ、俺!?」
「でも……」
しかし、俺もどうせなら一矢報いてから死にたいなぁ……。
「「消えな!」」
杖の先から放たれた禍々しい光が迫る。
考える間もない。女を突き飛ばし、その光を体に受ける。
「賢太郎っ!!」
「お兄ちゃんっ!?」
全然痛くない……死んだのか、俺。
と、思ったのは一瞬。
「あれ……?」
生きてる。
っていうか……何にも感じなかったぞ。
「え?えっ?」
周りを見回すも、敵味方ともにポカーンとしている。
……俺もそのリアクションに乗ってみる。
「そ、そんな……魔光力が効かないなんて……」
「うそうそ!?人間なんかに!?」
我に返った敵さんが焦ってらっしゃる……。
周りの人が騒いでいるのに、当事者がよく分からないんですけど……。
「遥……?」
もう何したら良いのか分からなくて、遥のほうを振り返る。
「お兄ちゃん……?」
瞳に涙を浮かべた遥が、キョトンと俺の目を覗き込んだ。
「……驚いた。まさか、賢太郎が魔封心の持ち主なんて……」
魔封心って……その設定、何だよ……?
「魔封心!?」
「魔封心!?」
魔封心……?
敵さんも驚いている……そんなに凄いのか、俺……?
「魔封心って……何?」
女に聞いてみる。
「要するにあらゆる魔法の干渉を受けない体質というか、性格みたいなものね……」
「性格……?」
「まぁ……魔法は所謂催眠術みたいなものなの。その催眠術自体を疑っちゃうから、かかりにくいのよ」
「つまり、お兄ちゃんがネガティブだから、魔法が効かないって事なのかな……」
「まさかでも、本人の周囲にまで影響が及んでるなんて……凄いわね、賢太郎!」
褒められたことがイマイチ腑に落ちないが……俺は今、相手に対して絶対的な高みにいるということだ。
「ま、魔封心なんて無いに決まってるじゃない!!」
「そうそう。さっきは何かの偶然よ!!」
もう一度、さっきの光が迫る。
そしてもう一度直撃したが、やっぱ何ともない。
二度目なんてどうしたら良いのか……。
「うーん……」
ここまできて何にもないと恥ずかしいな……。
「ど、どうしよう……」
「うそうそ……やっぱりホントに」
「慌てちゃダメよ!!かくなる上は……!!」
「そうそう。最後の手段!!」
最後の手段……?
「「喰らえ!!」」
俺の右側、遥に向かって放たれる光弾。
そのなんとも全く予想通りの攻撃を高めの蹴りで消す。
当てた。という視覚と当たってない。という触覚が齟齬を生んで、非常に気持ちが悪い。
その上、見事な空振りで少し体制を崩したまま足を付く。バツが悪い……。
「無事か、遥」
「うん……ありがとう」
遥が無事で何より。
グッと頭を下げて、
「……こんなことだろうと思ったよ……」
「そんな……」
「うそうそ?ヤバいんじゃない?」
焦る表情に柄にも無く少し強気になる。
「……遥に矛先向けやがったな……!?」
「そ、そんなつもり無かったわよっ!?」
「そうそう。私たちは……」
弁解を聞くつもりは残念ながら無い。
身を縮め、バネを使って距離を詰める。
「……お前らはいいよなぁ……そうやって、人間を見下して……なぁ?」
「み、見下すなんてそんな、ねぇ?」
「俺の力だけでも……相当痛いからな」
少し右足を引く。
さて、どちらから蹴り飛ばしてくれようか……。
「「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」」
───────────────────────
「……迷惑かけたわね、賢太郎」
……例の如く、記憶は無いが。
「一応、お前には世話になった。もっとゆっくりしてけばいいのに」
「人間界に長居するわけには行かないわ……私は、魔女なんだから」
「ご苦労さんだな」
「ええ……まぁね……」
何だか暗い。
「そういえば……」
「何?」
「名前を聞いていなかった。黒河は本名なのか?」
「ええ、黒河夜影。まだ名乗ってなかったわね」
……黒河夜影……ダークな名前だ。
「……そういえば……」
「まだ何か?」
「魔法はどうした?」
「……それは……あの……」
「ん?」
「あなたの魔封心の影響で……一時的に……で、でもっ、あなたのこと好きじゃなくなったわけじゃなくて……」
そんなことかい……。
「もう何でもいいや。そもそもこの設定に間違いがあったんだな」
「設定って何よ……」
「こっちの話だ」
まさか……ファンタジーに片足突っ込むとは思わなかったからなぁ。
「じゃあ、これでお別れね」
「ああ」
「また、何かあったら呼んで頂戴」
「また何も無いといいけどな」
本心だ。
「そう……そうよね……」
そう呟いて、ゆっくりと振り返る黒河。
その背中には黒い翼が。
……驚いてもいい場合なのかな、この状況は。
戸惑う俺に、黒河は肩越しに俺を見て
「じゃあね、兄」
「……」
兄って言った……?
「妹なら、また会いに来てもいいでしょう?」
「……」
「いけないかしら?」
「こういう場合……好きにしろ。ということにしているが」
「ふふふ、ありがとう。じゃあ、また会いましょう、兄?」
黒河の微笑がフッと消えた。
……あまりにも一瞬だったな。
「まぁ、一件落着ってことに……」
夕暮れの街、胃を押さえながら歩く。
……今日の記憶を消してもらえばよかったなぁ。
───────────────────────
GJ!今回はいつも以上に、
俺の好みのツボにジャストフィットしておもしろかったっす!
まぁ、別にどうということもない一日。
俺は別に急いでいるわけでもなく廊下を歩いている。
すると、
「やぁ」
……見慣れぬ声に振り返ると、やっぱり知らない女が立っていた。
「学校で会うのは初めてだな」
「……?」
あまりの出来事にもはや疑問符しか出てこない俺。
「今日も……ん?どうかしたかい?」
あまりに何も言わない俺に、話を続けようとした女が尋ねてくる。
「いや……誰……ですか……?」
勇気を出して聞いてみた。
「ん?あぁ……そういうことか」
どういうことだ!
心の中で突っ込みを入れながら相手の出方を伺っていると、
「まぁ、近いうちに分かるさ」
不敵な笑みを浮かべながら、女がそう呟いた。
「積もる話は、その時にしようじゃないか」
「はぁ……」
なんともリアクションが取りづらい……。
「じゃ、また今度」
満足したのか小さく手を振って、去っていく女。
どうしようもなく、ただそれを眺めている俺。
……新たな面倒は、もう避けられそうに無い……。
───────────────────────
「……というようなことがあってだな……」
帰り道、昼間の一件を遥に語る俺。
遥は一瞬だけ真面目な顔を見せてから、
「その女の人、誰なの?」
「それが……全然心当たりが無い」
「どんな人だった?」
「……あんまり見てない……」
「それじゃ、わかんないよ……」
呆れた表情の遥。
「だろうな」
当然だと頷く俺。
「まぁ、二度と会わなきゃ問題は無いわけだ。だから、俺は先に帰るぞ」
「あ、うん。私は買い物してから帰るよ」
「おう。後でな」
分かれ道で遥と別れる。
しばらく早歩きで自宅へと向かっていたが……
「……暗いな……」
俺の不安心が活動を開始した。
……そうだよな、この時期この時間なら真っ暗だよな……。
……遥は一回危ない目にあってるわけだし……いいのか、一人で行かせて……。
……でも、あの女には会いたくない……。
……どうしたものか……。
「あれ、お兄ちゃん!?帰ったんじゃないの!?」
「……いや……やっぱり夜道は危ないなと……」
「じゃあ……私のために……?」
「まぁ、そういうことだ……」
スーパーで何とか遥に合流に成功。
前回の発言を覆すのは、何かと言い訳がちになってしまうな……。
「ありがとう、お兄ちゃん」
何だかご機嫌な遥。
俺はカートを押して歩き出した遥のあとをゆっくり付いていく。
……まぁ、買い物の付き合いなんて退屈なものだ。
何が家にあって、何が安くて、何ができるか。
それら全てを理解してなければ、夕飯のメニューのアドバイスなど出来ない。
結局、付いてきたものの何にもしてないわけだ、俺は。
若干退屈になってきた時、
「やっぱり来たな」
……マジかよ……。
出来るだけゆっくりと振り返る。
視線の先には、なんだか白っぽい服を着ているさっきの女が
「そんなに嫌そうな顔をするな、僕だよ」
……だから嫌なんですけど……。
「……」
今度はじっくり顔を見るが……やっぱり分からない。
「お兄ちゃん?」
異変に気が付いたのか、遥がこちらに参戦してくる。
「あ」
「どうも」
発見の声を出す遥と、軽く頭を下げる女。
「あぁ、遥の知り合い……」
取り残された俺が一人、納得していると
「何だ、まだ分かってなかったのか、キミは」
呆れたような女。
……っていうか、歯に衣着せないね、この人……。
「……で、遥。誰なんだ、この人は」
「僕はパン屋だよ」
そう答えたのは遥ではなく例の女。
「パン屋……?」
「そう。ほら、そこの」
女が振り返って、指をさすお店。
そこは……
「あそこはっ!?」
「お兄ちゃん、そこのカレーパン大好きなんだよね」
確かに、あそこのパンは好きだ……。
しかし、こんな店員がいた記憶が無い……のは、当然か。女の顔を覚えられない障害を抱えているからな。
「……バイトしてるのか?」
もう一体どういうリアクションをとればいいか分からず、下らない質問でお茶を濁す。
「まぁ、そんなトコロだ」
「へぇ……」
話、膨らまず。
気まずいよ。
「さてと、素性が分かったところで自己紹介と行こうか。僕は笹野くるむ、よろしく」
「えと、私は妹の大野遥です」
「兄の賢太郎……」
自己紹介が苦手なのは分かってもらえたと思う……
「あぁ、兄妹なんだな。あまりに仲がいいから、てっきり恋人同士かと思っていたが」
「こここここここ、恋人同士っ!?」
テンパる遥。
……そんなに嫌か。
「笹野だったな。あまり遥をいじめないでやってくれ……」
「いじめる?そんなつもりは無いが……気に障ったなら申し訳ない」
「こんな不逞の兄がいるだけでも可愛そうなヤツだ……そこを刺激しないでやってくれ……」
「……ははは!面白いなぁ、キミは」
嘲笑われた……。
……もういいや、こいつ嫌いだ……。
俺が一人落ち込んでいると、
「おっと、もう帰らなければ。では、また学校で会おう」
自己完結的にあっという間に帰ってしまう笹野。
落ち込む俺に遥は、
「……お疲れ様……あんまり、私の出る幕無かったね」
「どんな気持ちであのパン食えばいいんだ……俺は……」
「買い物、続けようか」
「うん……」
肩をガックリ落として、俺は遥の後を付いていく。
この話、まだ、続くんですか……?
───────────────────────
「やぁ。探したよ。クラスぐらい聞いておけばよかったな」
あれから、二日後。
とうとう見つかってしまった……。
「……あぁ、久しぶり」
心底会いたくなかった俺は、げんなりしながら答える。
「元気が無いぞ、大丈夫か?」
「気にするな」
「それならいいが。無理はするんじゃないぞ。そうだ、カレーパンが好きだったな、これは土産だ」
小さな、見慣れた紙袋を机の上に置く。
……この俺を物で釣ろうってか……。
「で、何か用か?」
若干いい気分の俺。
……釣られてるなぁ、見事に。
「この前は、大事なことを言い忘れていたからな」
「大事なこと……?」
「ああ、大野賢太郎君、僕は君を愛している。僕と付き合ってくれないか」
「……」
……?
…………?
「何だとっ!?」
「ん?変な事言ったか、僕は?」
いたって普通の笹野。
それに対し、俺は大慌てで、
「普通!!」
「普通……?まぁ、そんなに個性的な方では無いな。普通と言えば普通だ」
「は……」
お前が普通なものか!!
いや……この突っ込みもおかしいぞ。
「いきなり!!」
まだ全然身の上話とか聞いて無いし、言っても無いし!!
「昔から善は急げと言うからな。あの子が恋人で無いことも分かったしな」
「……」
こいつは手強いぞ……。
俺の性格を知らないから遠慮が無い……。
いや、この女の性格を考えたら、それすらも乗り越えてきそうだが……。
しかも、こういうときいると心強い遥がいない。
……どう断わろうかなぁ。
げんなりしながら、次の一手を練っていると、
「そんなことより……そろそろ返事をもらえないか……その……僕だって不安なんだ」
あら、そういうところもあるんですね……。
「……」
『残念だけど……』
いや、あまり遠回りな表現が効果的な相手では無さそうだ。
『俺、彼女いるし』
いねぇし。
『ダメに決まってんだろ!!』
言えない言えない……。
もうやさぐれそうだなぁ……。
そんなことを考え始めたとき、
「……っ!?」
背筋が凍るようなこの感覚は……殺気……?
凍ってしまった首をなんとか動かして、何にも言わずに振り返る。
視線の先には
「賢にぃ……誰……その人……」
「ま、真雪……」
絶対零度の視線を容赦なく刺しこんでくる冬月真雪……。
これはヤバいんじゃないかなぁ……。
「あぁ、賢太郎君の友達だね。僕は笹野くるむ。今、賢太郎君に告白して、返事を待っているところなんだ」
空気を全く読まない笹野。
流血沙汰ですか、これは……。
「賢にぃ……答えは……?」
何でこんなノリで言わなきゃならないんだ……。
全く性質の違う二つの視線が痛い……。
「まぁ……そりゃ、お断りさせてもらうつもりだったけど……」
もはや尋問だよ、これは……。
「そうか、残念だね。いや、僕としたことが早とちりしてしまったようだね」
「は……?」
「遥君が恋人でないことを聞いて、君に恋人がいないと勘違いしてしまった。君にはこんな恋人がいたんだな」
……。
……それも違うんじゃないかな……。
いつもはその辺の複雑な事情を説明してくれる遥がいないので、仕方なく俺が。
「あの……確かに恋人いないけど……真雪も恋人とかじゃなくて……」
痛痛痛痛っ!間違って無いだろ!?
「ん?ちがうのか?」
「なんていうか……あの……俺は女性が苦手で……」
あぁ、自分で何を言っているんだ俺は……。
「賢にぃ……説明……しようか……?」
こんなグダグダな俺を哀れんで、真雪からの助け舟。
「……じゃあ、頼む」
本当に助け舟かどうかは疑問が残るが……。
もうどうでもいい……事実が伝われば……。
もはや投げやりな俺は説明を真雪に託し、机に崩れ落ちる。
帰りたいなぁ、もう……。
「なるほど、じゃあ、僕にもまだチャンスはあるんだな」
「うん……ライバル……」
「そうか。僕も晴れて君の妹だな。兄上」
こんな台詞が遠くで聞こえる。
もうどうでもいいから、この話、早く終われ……。
───────────────────────
いつもの帰り道。
いつもと同じくらいの時間。
いつもと同じようにいつものスーパー。
いつもと違う遥……。
「あ、あのね……えとね……」
ハキハキしている遥が今日に限ってモジモジ。
一体何が……。
「……熱でもあるのか?」
不思議に思って、立ち止まり、振り返る。
「熱は……ないんだけどね……」
珍しい表情の遥。
遥の感情が読めず、出方を伺うのみの俺。
「買い物に付き合ってくれて……ありがとう」
「……あぁ」
いつものことじゃないかと思いつつも、この状態の遥に水を差す気は無い。
何食わぬ顔を装って、何にも言わずにカートを押す。
「ねぇ、お兄ちゃん?お兄ちゃんは何が食べたい?」
「遥なら分かるんじゃないか」
まぁ、俺の好きな物には詳しいわけだし……。という意図の発言であり、
やんわり否定するなり、考えるなりして欲しかったわけだが、
「えっ!?そ、そんなこと……ないよぉ……」
照れるように否定した遥。
……どうしちゃったんだ、俺の妹は。
「遥……?」
何気なく肩に置いた手に、
「え……?お、お兄ちゃん……」
胸焼けのするリアクションの遥。
嫌ではないが、何なんだ、この空気……。
「やぁ、兄上」
空気をぶっ壊す笹野の声。
今回ばかりはありがたい……。
「あ、ああ、笹野。今日もバイトか」
この空気を断ち切った笹野に、出来るだけ好意的な視線。
「そうだが……兄上?」
「どうした?」
「本当に君たち兄妹は仲がいいんだな」
「こんなもんじゃないか。なぁ、遥?」
「え……?あ、うん……そうかもね」
さっきと対照的になんだか素っ気無い遥。
その遥を見て、
「兄上。遥君、何だか暗いけど、何かあったのかい?」
「さぁ、俺にも……ちょっと疲れてるんじゃないか、遥?」
「そ、そうかもしれないね」
相変わらず素っ気無い。
……遥のことなら少しは分かっていたつもりだったが、まだまだ知らないことも多いんだな。
───────────────────────
ネガティブ兄に『胃が痛い』とか『胃に穴が開く』みたいなことを言わせまくっていたら、
僕本人がクリスマスイブの日に胃潰瘍に苦しむ羽目になりました……。
というわけで、俺にも遥みたいな妹がいればなぁという意味を込めて、
ネガティブ兄の書きかけの奴を急遽完成させて、厄払い。
まぁ、創作のペースはかなり遅いですが、来年もよろしくお願いします。っと。
胃潰瘍ってマジですか…お大事に…
名無しを代表して、今年も宜しくお願いします。
642 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/01/02(金) 19:45:10 ID:pI+pjDsY
投下乙です。
お体お大事に、そして今年もよろしくお願いします。
保守。
盛り上げるためには、俺なんかでも何か書かなきゃいけないとは思ってるんだが、
書きたいネタはあるけど、文章に出来る程じゃない……。
土曜日。
まぁ、別に何かあるわけでもなく。
のんびりといえば聞こえはいいが、ただ暇なだけの休日。
忙しそうな遥とは対照に、リビングでコーヒーを啜る俺。
「何かつまむもん無いかな」
ちょっとコーヒーだけでは物足りなくなってきた。
何か食べ物を探すために立ち上がる。
そのとき、
ピンポーン
チャイムが鳴る。
少しだけ遥の方を見たが、どうも手が放せなさそうな顔。
俺が出るしかないのか……。
滅茶苦茶嫌。というワケではないが、結構嫌なものだ。
ちょっと暗い顔でドアを開けると、
「お早う。朝早くからすまないね。すぐ済むから勘弁してくれよ」
と、笹野。
「まぁ、忙しくは無いからいいけど……何か用か?」
「ん。まぁ、そうだな。ほら、これを」
と言って、バッグから小さな紙袋を。
「今月は何かと物入りでな、ちょっと安物になってしまって申し訳ないが」
少し、小さな声で呟いた。
俺は不審に思いながらもその紙袋を受け取って、
「あぁ、ありがとう。何だこれ?」
「ん?そんなに変なモンじゃないぞ、普通のチョコレートだ」
何故俺に突然チョコレートをくれるんだろう……。
パンの材料が余ったのかな……。
「あぁ、ありがとう。あとで食べるよ」
理由は不明だが、チョコは嬉しい。コーヒーのお茶請けにしよう。
「うん、喜んでくれて何より。美味しく食べてくれると、嬉しいよ」
「あぁ、悪いな」
「気にするな、僕と君の関係を考えたら……じゃあ、僕はバイトがあるから、失礼するね」
小さく手を挙げて、コートを翻す笹野。
それを黙って見送る俺。……笹野に食で買収されすぎじゃないか、俺……。
───────────────────────
短すぎですが、一応バレンタインにはギリ間に合った……。
続きはまた明日書きます……。
GJ!
. ,、r‐''''''''''''''''ー 、
,r' `' 、
/ ヽ
. / , ヽ
,,' ; ,、、,_ ニニ ,、」、
l. :;;;i ´ .._`ー ‐''"....|
l:,;'"`'、, . ,;ィェ、.. ,rェ;〈
. ';i l :::i;;,, ::' "......::'''ン .., .:::'''"゙,
l;゙、',.::l;;;i r ヽ. l, いやあっだめっ
l;;;;`‐;;;;;ヽ . './'ー'''ー‐' ', l;;;,, なんでそんなとこ舐めるの!?
. ,、rイ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ゝ ,r";;二二二,ヽ, !;;;;:' 汚いよっ!
'.:.:.l ll ;;;;;;;;;;;;;;;;;' ,rニン"  ̄二´ `ノ;;;;;`-、
:.:.:.| l.l '';;;;;;;;;;;;;;' ,イ l''' l `
:.:.:.:| ','、 ''''''''' , ‐---,ェr'".l.| | |
:.:.:.:| ゙、゙、 `''''''''"",ノ l l .| |
:.:.:.:.| ヽヽ `'---‐'" .// !
「早速食べるか」
リビングに戻った俺。
一段落着いたのか、ソファに座って茶を飲んでいる遥。
「あ、お兄ちゃん。もしかして、チョコレート?」
「よく分かったな。笹野からもらった」
「笹野さんから……。それにしては、嬉しそうだね?」
「丁度何か食べたいと思ってたんだ。せっかくだ、一緒に食おうか?」
「え、私はいいよ!」
強く否定する遥。
それに、ちょっとヘコむ……。
「……じゃあ、一人で食おうかな……」
ちょっと出鼻を挫かれたが、俺の動き出した甘いものを食べたい気分は止まらない。
紙袋から、上品な箱を取り出し、その箱を眺めながらテーブルへと向かう。
その最中、
「お兄ちゃんがバレンタインにそんな嬉しそうな顔してるの、初めて見たよ」
……。
ドサっ……。
……。
「お、お兄ちゃんっ!?」
遥が大声を張っている。
足の上に、小箱的なものが落下してきた痛みを感じる。
「まさか、気付いてなかったの!?」
遥の目を見る。
視線を下にズラす。
「忘れていた……」
俺はそっとチョコを拾い、そのまま紙袋に戻す。
「遥、いるか?」
「ううん……私はそれを食べる勇気は無いよ……」
「だよなぁ……」
ソファに座り、カップに残ったコーヒーを一気に飲み干す。
まさか、チョコレート一個がこんなに俺にダメージを与えるとは……。
「うわ、お兄ちゃん凄い……苦くないのー?」
もう別にあきらが来たって驚きはしない。
というより、もはや感情が半分凍っている。
「……熱い」
「そっかー、でも、気をつけたほうがいいよ。ベロをヤケドすると痛いよー?」
「ああ……気をつける」
「あ、でも、もしヤケドしちゃっても、ほら!ボクのチョコは食べられるよ!!」
両手で差し出されたチョコ。
「……チョコは熱くないな」
「うん。ボクはあんまり詳しくないんだけど、有名なお店のチョコなんだって!」
「ふぅん……」
出されたチョコ。覚悟は決まった。
それを中指と親指で受け取る。
「あとで食べる」
「うん。じゃあ、ボクは帰るね?」
「気をつけてな」
「うん、ありがとう。じゃあね、お兄ちゃん」
帰ったか。
……。
「え、お兄ちゃん?な、何で私をそんな目で見てるのかな……?」
「……やり場の無いこの感情をどうしたものかと思って……」
「うー……美味しいチョコでも食べたら?」
「今食べたら、諸々を認めることになる気がする……」
「そうだね……コーヒー、もう一杯飲む?」
「……もらおうか……」
立ち上がる遥。
二つのチョコを前に、頭を抱える俺。
「……居留守、使う?」
手早くコーヒーを入れてくれた遥。
コトリとカップを置いて、言い辛そうに提案。
「……もう二人にもらった時点で遅いだろ……」
そりゃ逃げたいは逃げたいが、後々面倒なことになる気が物凄くしている……。
「それもそうだね。じゃあ、先は長いけど頑張ろう」
コーヒーが薄い……。
……バレンタインなんて無くなればいいのに。
「気分が優れないようですが、大丈夫ですか?お兄様」
「……うん。大丈夫」
宮原。
宮原か。
「バレンタインのチョコを持って参りました、よかったら受け取ってください」
あぁ、手書き風の花柄が書かれた薄い紙袋。
「……手作りか……?」
「すいません……あまり時間がなかったもので……手の込んだものは……」
「いや、そういうつもりじゃないんだ……」
あぁ、俺のせいで気を悪くさせてしまった……。
ただでさえ元気が無いのに、さらにヘコむ……もう嫌だ……。
「ごめん……手作りのチョコなんて貰い慣れて無いから……」
「ふふ、私も本命チョコなんて渡すの初めてです」
……すっげぇパンチ打ってきやがった。
「……」
俺も初めて。とか何とか言ってやろうと思ったが、やっぱ無理だ……。
「ありがとう……あとで食べる」
「はい。では、お兄様もお忙しそうですし……私もそろそろ失礼しますね」
「……悪いな、お構いもしなくて」
「いえ。受け取ってもらえただけでも嬉しいです。それでは、また月曜日に会いましょう?」
……会いたくない。
「だから……その目は辞めてよぉ……私が悪いんじゃないよ……」
「……分かってるけど」
テーブルに突っ伏して、少し休憩。
三杯目の遥のコーヒーはさっきよりも随分濃い……。
……口の中に残る苦味では、喉の奥の苦味は紛らわせそうに無い。
───────────────────────
立て続けに三人の自称妹たちに会って、俺の心ももうボロボロ。
毎年俺以外の男はこの時期になるとチョコを欲しがるが……こんなのが本当に幸せだと思ってるのか……。
半分死んだような気持ちで土曜日の午前中を過ごしている。
テーブルの上には三つのチョコ。
もはやこのソファから立ち上がる気力も起きない……。
……まだ土曜で良かったな。明日はゆっくり休もう。
せめて明日のことを考えて明るくなろうとしているというのに、
「おはよう兄。っていうか、もう『こんにちは』かしら?」
背後から襲い掛かる非現実女、夜影。
「別にどっちでもいい……」
「ま、それもそうね。兄、チョコレートは好きかしら?」
「……普段なら」
今、俺のチョコレート株は大暴落しているが。
「そう……良かったわ、甘いもの嫌いだったらどうしようかと思ってたの」
四個目のチョコか……。
「……これ、大丈夫なんだろうな」
「な、何よ!!その言い方!?」
「……」
ヘコんでしまった心は大きな声に弱い……。
だって、蛙とか蛇とか入れてそうな感じするじゃないか……。
「あ、ゴメン……」
俺の死にそうな雰囲気を察してくれたのか、すかさず謝罪を入れる夜影。
「いや……俺も……」
……悪くは無いはずだ、俺は……。
「でも、そんな言い方……向こうの世界にはチョコレートはないし、ちゃんとこっちの世界で買ったものなんだから……」
「……」
「作るのだって、魔法は使ってないのよ……?」
「それは……悪かった……」
「そう思うのなら、このチョコ、受け取りなさい!」
「……はい……」
受け取る。
……別に、置いてってくれればいいのに。と今更ながら思う。
「じゃ、じゃあ、私は帰るから!!」
「おぅ……」
と言った瞬間には夜影は消えていた。
……アイツ便利だなぁ。
もう動く元気すらなく、しばらくそのまま食器棚の方向を眺めていると
「何処見てるの?賢にぃ」
虚空を眺める俺を本気で哀れむ真雪の声。
この人たち、今日はホントにテンポがいいなぁ……。
「……別に」
「そう……」
……心配されているね。
「遥ちゃんは?」
「……そういや、いないな。まぁ……忙しいんだ、遥は」
「忙しいんだ……」
「ああ、そうらしい」
見の無い会話は相変わらず。
「……そ、その……賢にぃ……?」
「ん……?」
「こ、これ……」
はいはい。チョコだよね、チョコ。
受け取りますよ。
「……あんまり気に入らないかもしれないけど……」
……あぁ、相手の卑屈に返す言葉が無い……。
俺も少し反省した方がいいなぁ……。
「気にするな、チョコ好きだぞ」
俺、ちょっと優しい。
「……よかった……」
真雪の微笑。
別に俺は今日に関しては何とも思いませんがね。
「……今日は……帰るね……」
「おぅ、気をつけて」
真雪の背中をボッーと見つめる。
……真雪のチョコを仲間達の中に入れてみた。
───────────────────────
「ふぅ……」
ため息にも色々あるが、まぁ、その色々を含んだため息を吐いてみる。
……もう誰も来ないはず。誰も来ないはずだ……。
「……あぁ……」
机の上のチョコレート五つを見る。
どうしようかなぁ……。
食べたい気持ちはかなりあるが、前述の理由を考えると食べられるはずが無い……。
「あー……チョコが食いたい!!」
買いに行こうかなぁ。
……いや、今日買いに言ったら、もうそれは恥ずかしい人じゃないか。
「遥に買ってきてもらおうかなぁ……」
「え?私がどうしたの?」
背後から遥の声。
まぁ、みんなの今日のタイミングの良さと来たら……。
俺は首をそのまま後ろに倒して、
「ん?チョコが食べたいんだが……さすがに今日買うのは恥ずかしいし、遥、買ってきてくれよ」
「お兄ちゃん……それは、出来ないよ……」
なんだか困り顔の遥。
「……何で?」
「こっち、向いて」
「んー?」
折れそうな首を正常な位置に一旦戻し、今度は捻る。
視線の先には
「あ……」
「……私も……チョコ、あるんだけど……やっぱり私のもダメ?」
「いや、遥のだったら食べるよ」
こういうのは失礼かもしれないが、遥には一番気兼ねが無い。
当たり前か。妹だし。
「ち、ちなみに……私のチョコも……他の皆とあんまり変わらない感じだけど……」
「ん?どういうこと?」
「そ、その……込められてる気持ちが……」
……?
手を後ろに組んで、モジモジの遥。
「そりゃ、そうじゃないか?」
「え……?」
「遥だって……というか、遥こそ、俺の妹だからな」
「……え?」
呆然顔の遥。
「あぁ……そっちか……」
今度は、ちょっと納得した遥。
「どっち?」
「ううん、何でもない……はい、チョコ。コーヒーは……いらないよね、もう?」
「あぁ、ありがとう。コーヒーはもうさすがにいらないね」
「私は……ちょっと疲れちゃった……休んでくるね」
「あ、あぁ……」
ヨロヨロとリビングから出て行く遥。
チョコを一つ頬張る俺。美味い。
机の上を見なければ、今幸せだなぁ。
様子のおかしい遥は……まぁ、今日は気にしないことにしよう。っていって、二度と思い出さないのだけど。
───────────────────────
何だこのあまりにも、なストーリーは。とか。
そもそも、もう日本語が上手く書けて無いじゃねぇか。とか、
こんなん書くのに何日かけてんだ。とか……。
俺、本格的に台本書きとしての能力がヤバいみたい……。
……次に会うのはいつだろうね。
GJ!
乙
行く場所が無い、目的も無いというのは悲しいことだ。あるのは時間だけ……。
せめて暇な時間を共有できる人間がいればいいんだが、今の俺にはそれすらも。
まぁ、別に本屋やらコンビニやら時間をつぶせそうな場所を目指してブラブラと歩く。
「いっくん……?」
すれ違った女が振り返って呟いた。
が、この『いっくん』と呼ばれる要素を持っていない大野賢太郎には、関係の無いこと。
何にも気にせず歩き続ける。
「……いっくん……」
泣き出しそうな声。
あぁ、携帯音楽プレイヤーの電池さえ切れていなければ、聞き流せたのに……。
いや、俺には関係の無いことだ。だって、いっくんじゃないし!
少し気にしながらも、歩き続けた。
今度は、
「うぅっ……うえぇぇぇん……」
とうとう泣き出した。
周りには俺達以外は誰もいない。
少し離れたところからは、数人の人が歩いてくる。
……あぁ、この状況はどう考えたってマズいねぇ。
「……」
仕方なく振り向く。
当然女には見覚えが無い。
「……?」
何故お前も俺と同じ顔をしているんだ。
「誰……?」
泣きながら、ポツリ。
……それはこっちの台詞だ。
「人違いなら、行ってもいいですよね?」
という言うが早いか、逃げるように女から背を向ける。
大丈夫、おじさんも変な顔はして無いし。
「ん……?」
袖が掴まれている。
「待ってくださいぃぃ……」
鼻声でこんなことを言ってくる女。
……何でだよ……関係ないだろ、俺と……。
「私、アナタにぃ〜……」
……周りの目が痛い。
家で大人しくしてりゃ良かったよ……。
───────────────────────
買い物の帰り道。
ビニール袋を手に提げた私は、正面から来る人に見覚えがあることに気づく。
そうだ、あの人は……
「あ……一郎くん」
「え……あ、遥さん」
今井一郎くんは私の従兄。
親戚だけあって、お兄ちゃんを水で薄めたような人……っていうと、少し失礼かなぁ。
「偶然だね。何してるの?」
「え……」
明らかに焦っている一郎くん。
聞いてみただけ。聞いてみただけ。
「あ、忙しそうだね。邪魔したら悪いし、私はもう行くね」
適当に気を使って、その場から抜けようとする。
「あ、あの……」
時間にして2秒後くらい。
一郎くんの声が……。
「え?」
にわかに信じられなかったが、もしかしたら私を呼んでいるかもしれない。
首を少しだけ向けて、目だけで一郎くんを確認する。
「あ、ゴメン。ちょっと聞きたいことが……」
どうも本当に私の用らしい。
……うーん、お兄ちゃんならこんなこと絶対しないのに……。
「何かな?」
「えと……人を探してるんだけど……」
「人?どんな人?」
「このは……」
「このは……?」
このは……このは……。
……名前かなぁ、苗字かなぁ。それとも木の葉ってことなのかなぁ……。
しばらく考えていると、
「あ……」
そうだ。昔2、3回会ったことがある気がする。
確か……
「彼女さん?」
何度か一郎くんの家に遊びに行ったとき、いつも、一郎くんの後ろから離れなかった女の子の名前。
「え……?何で、それを……」
照れながらも答える一郎くん。
そんなこと忘れてたって、一郎くんの顔を見れば十分理解できるのに。
「それで、どうしたの?」
「……ちょっと……ケンカして……。俺が悪いのは……分かってるから……謝りたいんだけど……」
「なるほど、そんなことなら私も手伝うよ」
「え、いいよ!」
そうだそうだ、ここで押しても無駄だったね。
「そう?じゃあ、写真とか無い?見つけたら連絡するから」
「え?……う、うん……」
一郎くんにケータイで写真を見せてもらう。
幸せそうな顔。
……仲直りさせてあげたいな。
───────────────────────
お久しぶりです。ネガティブ兄、いつぞやのネガティブ幼馴染編。
まぁ、全く関係は無いんだけど、裏設定を破綻させるセルフコラボ。
……当初の予定というか願望はこんな話じゃなかったんだけどなぁ。
しかし、一ヶ月書き込みなくても、落ちないんだね……
俺一人、目指せギャルゲー板最下層。
GJ!
更新来た!これでかつる!
「……」
「……」
「……」
公園のベンチ。
隣同士の俺と女。
……何か言ってくれよ。
「……落ち着いた……?」
仕方ないので、何故か俺が気を使う。
「す、すいませんっ!!私、ちょっとっ……」
「まぁ、いいけどさ……」
気が弱いなぁ、俺……。
「で……何か、俺に聞きたいことがあったんじゃないのか?」
もう早く帰りたい。
まぁ、嫌では有るが、仕方なく話を振ってみる。
「あ、はい……えと、その前に……私、野咲このはっていいます。あの……お名前を……」
「大野賢太郎」
「大野さん……すごくつまらないことなんですけど、大野さんが……私の友達と似てて……」
あー……。
この話は恐らくめんどくせぇぞ……。
「で、よかったら相談に乗ってもらえないかと……」
やっぱり……。
しかし、少し考えてみると、そんなことを見ず知らずの人間にすがるなんて、普通の感覚じゃない。
……それだけ友達に入れ込んでるのか、それともこの女が相当変なヤツなのか。
「まぁ、仕方ない……。で、具体的に何を?というか、どこが似てるのかまずは聞きたいんだが」
「……えと、雰囲気というか、オーラというか……陰々滅々とした感じというか……」
あー、そうか。
バカにされてんだ、俺……。
「ご、ゴメンなさい!!べ、別に大野さんがそういう人って言うつもりじゃ……」
……言ってるじゃん……。
でも、まぁ、
「……いいんだ、間違ってない……」
「で、でも……私、そういうところも嫌いじゃなくて……!!」
「……」
全く俺へのフォローになってないぞ……。
「えと、えと……と、というか……そういうとこも、好き……なんですけど……!!」
「……」
もう何を言っても負けな気がする。
……どうすりゃいいの?怒っていいの?
なんか女はフォローを続けてるけど、もう惚気にしか聞こえない……。
「……で、そこまで言っといて、何を俺に相談することが……」
ちょっとやさぐれた。
「……え……?」
……え……?
もしかして、いい事言った、俺……?
そんな気はなかったのに、何だかアドバイスっぽくなってしまったことに自分でも驚いている。
「そ、そうですよね、大野さん!!私は、いっくんのことが……」
全く意図してなかったんだ、その目はやめてくれよ……。
あー……消え失せたい……。
「……もう、帰っていいか……」
「あ、お礼をさせてください!」
「そういうの、いいから……」
「いえ、是非!」
……いっそ殺してほしい……。
───────────────────────
一郎くんと別れた後、一度家に帰り、もう一度このはさんを探す。
気を使わせないように、一郎くんには見つからないようにしていたが……
「あ、あれ、遥さん?」
まずい……見つかった……。
「遥さん、帰ったんじゃ……」
「うん。天気もいいし、ちょっとお散歩ついでに、このはさん探しのお手伝いをしようかなって」
……うーん、これもちょっとイマイチな言い訳……。
「そう……ゴメンね、わざわざ」
やっぱり今一つ納得していない一郎くんの顔。
「気にしないで。ついでだから」
焼け石に水ではあるけど、『ついで』を強調してみる。
しばらく、二人で歩いていたが、
「あ、お兄ちゃんだ」
「ホントだ、賢太郎さん……」
公園の向こうの方にお兄ちゃんがいる。
そして、遠くてよく分からないが女の人……あぁ、またお兄ちゃんは変なことに巻き込まれてるのか……。
「あれは……このは……」
「え、あの人が……?」
言われてみると、確かに特徴は似ている。
……これは、もしかして……。
「一郎くん。多分、怒るだけエネルギーの無駄だよ?」
「どういうこと?」
「……別に怒って無いならいいけど……。あのお兄ちゃんが女の人を好きになることなんてないから」
「うん……知ってる。でも、このははどうかな……」
「あの顔が、お兄ちゃんのこと好きな顔に見える?」
「……いや」
「じゃあ、行こう。お兄ちゃんも困ってるし」
「ああ」
大きく息を吐く。
そして、少し明るい口調で、
「おーい!お兄ちゃーん!!」
───────────────────────
第二弾。次で終わり。意外に短い……。
しかし、俺だけのスレかと思ったら、まだ人がいるんだねぇ。
あとは職人様がいらっしゃることを祈るばかり、と。
GJ!
投稿待ちでROMってるんだ
ノシ俺もだ
遊星氏は我々の希望の星なのさ!!
保守
「おーい!お兄ちゃーん!!」
聞きなれた声。
このタイミング……さすが遥と言ったところか。
「は、遥!!」
完全に『助けてくれ』を込めた言葉。
その言葉に、何故か今まで俺の腕を掴んでいた女の手が離れる。
「……いっくん……」
視線の先。
アイツは……。
「なんだ、一郎じゃねぇか。ってことは、この女が一郎の彼女……?」
「どうもそうみたいだよ、お兄ちゃん」
……あー、そう……あの一郎にも……。
「このは……」
俺を無視して、この女に話しかける一郎。
……あぁ、もしかして俺達が邪魔?
「このは、ゴメン!俺が悪かった!!俺が……こんなだから……」
「ううん、いいの。私は、そんないっくんが好き」
「このは……」
「いっくん」
あー、何か抱き合ってるよ。
……気持ち悪ぃ!!
これネガティブ兄シリーズじゃねぇの!?
「で、何でこんなことに……?」
何と言うか敗北感のような感情に目を背けるように、遥にしょうもない質問を。
「お兄ちゃんこそ、何があったの?」
「俺は……話せば長くなるが、一郎と勘違いされて、何やかんやで相談に乗ってた。遥は?」
「私は、このはさんを探してる一郎くんに偶然会って、一緒に探してたの」
しかしまぁ、あれが一郎の彼女ねぇ……。
「羨ましい?」
「そういうのが全く無いといえばウソになるが……嫌悪感の方が強い」
「お兄ちゃんらしいよ」
……呆れた様子の遥。
「……帰ろうかな」
もう別に何かを言い返す気にはなれない。
何も考えずに、帰宅を提案する。
「帰りますか」
賛同する遥に心からホッとする。
しかし、
「待ってください」
帰らせてよ、バカップルさんよ……もう俺の負けなのは明白だからさぁ……。
「……」
言葉は語らない。
死ぬほど元気の無い顔で、振り返る。
「大野さん、本当に有り難う」
「……」
黙って頷く。もうどうでもいいから。
「あの、お礼といってはなんですが、お二人とも一緒に食事でも……」
「あ、もちろん奢りますから」
……この二人と一緒に?
このさっきから自分達の世界を展開しっぱなしの二人と?
死んでも嫌だ。……とは言えないんだが、どうしたらいいんだろう。
遥をチラッと見る。
お見通し、とばかりに視線を背ける遥。
……あぁ、助けてはくれないんだ……。
沈黙の俺。
三種の視線が突き刺さる。
「わかった……」
「わっ!?ホントですか!?」
驚く女。
……このリアクションなら、行かないという選択肢も十分有りだったな。
「ふふ〜♪」
ニヤニヤ顔の遥。
そして、
「良かった。俺たちがよく行くお店があるんです。紹介しますよ」
何か、いいトコ見せたいんだか何だか知らんが、よく喋る一郎。
ここから先はもう語りたくも無い。もう最低だよ……。
───────────────────────
……今回の話はこれで終わり。
毎度のことながら、このオチ弱さ。さすが俺。
相変わらず、アイデアは出ません。
まぁ、何か浮かべば出来るだけ書くようにはしますんで、その時もこのスレがあればな、と。
ほしゅ
保守
・・・保守
お兄、保守するねっ
680 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/06/25(木) 20:50:46 ID:xI1N8OQW
妹に言われたいセリフか…
可愛くて綺麗で俺に優しくて甘い妹にお兄ちゃんが一番好きだよって言われたい。
父の会社の取引先の社長令嬢と俺との結婚式が終わりホテルの中庭にて
妹「ずっと…、ずっとお慕いしておりました…」
俺「え…ッ?」
妹「ごめんなさい、お兄さま」
俺「え…ッ?えぇ〜ッ?」(俺ハジマタ的なニュアンスで)
>>681 血の繋がった妹とのドロドロの不倫に突入するのか
でも妻になった社長令嬢は外見だけでなく性格も素晴らしく自分を一心に慕ってくれて…
683 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/07/09(木) 01:36:31 ID:2vX6uc08
保守
684 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/07/09(木) 13:21:36 ID:6um/aRH8
妹「わたし、初めて」
685 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/07/09(木) 14:16:17 ID:q2jHLym/
お兄ちゃん一緒にお風呂入ろ♪
やだやだぁ一緒に入ってくれないと駄目ぇ
686 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/07/11(土) 00:15:36 ID:Bc7AZ5dG
「わたしが起きるの手伝ってあげるね♪それぇ」
「!」「きゃあ(>_<)お兄ちゃん裸で寝てる!」
「!!」「ウ・ソ・だよ」「…」「でも、はみ出してるヨ」
『お兄!手、何か付いてるよ。ゴミかな?ちょっと見せて…あっ、あのお店…行こっ』そういって、俺の手を握ったまま、妹が駆け出した
688 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/07/11(土) 21:47:28 ID:fKxy5U4B
お兄ちゃんのエッチ
689 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/07/11(土) 22:58:36 ID:9TKPQ+r4
「お兄ちゃん…最近アニメとかしか見なくて私と全然遊んでくれないよね…付き合ってくださいなんて無理なことは言わない……でも…もう一度だけあの頃みたいに私と遊んでよ…お兄ちゃん…(ここで妹涙目)」
by妹のいない俺
690 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/07/11(土) 23:06:18 ID:eIu3dzYb
妹 「そんなゲームばかりして馬鹿兄さん この変態 変態 変態〜」
妹『お兄ちゃんが彼氏だったらなぁ…いや、何でもないよ』
妹『・・・・・いいよ』
それでもっ、あたしは、あんたのこと好きなの!
妹『保守するよ』
この全てを蒸発させそうなほど暑い日。
頬を流れる暑い汗すらも凍りつかせるその絶対零度の視線……。
「あ、あの……真雪……?どうかし……」
視線の持ち主は恐る恐る尋ねた俺の言葉を目で潰す。
「賢にぃに聞きたいことがある」
俺の言葉を遮って、淡々と言葉をつむぐ真雪さん。
「な、何でしょう?」
「3組の新谷さんと……付き合ってるって、本当?」
「は……?」
「色んな人から噂を聞いた」
僕らのイメージする取調べのように、机に手をつく真雪。
蛍光灯があれば、顔に押し付けられているところだ。
あぁ、そうだった……コイツ、俺のことが好きなんだった……はぁ……。
「いや、残念ながら心当たりが……」
「あるの?」
感情の無い言葉に妙な威圧感。
真雪……怖い……。
「あ、あの……冬月さん……?第一、僕その人知りませんし……そもそも、女嫌いなんですが」
めっちゃ下手から。
だって怖いし……。
「本当?」
「本当です……」
「……」
冷たい視線でジッと俺の目を見る真雪。
しばら沈黙が続いた後
「……じゃあ、賢にぃを信じる」
フッと微笑む真雪。
「あぁ……つーか、そんな有り得ないデマを信じないでくれ……」
「それも……そうだね」
その噂、根も葉も無さすぎなんですけど……。
「喉渇いたな……」
「賢にぃ、何か飲み物買いに行く?」
「……行くか」
恐怖の数分間の終焉……。
まさかこれが最悪の事態の予兆であるとは……薄々気付いていた。
───────────────────────
授業終了後、妹と合流すると逃げるように校舎裏へ。
ここに来た理由は、三つ。
一日中日陰なので涼しいというのが一つ。妙な噂に振り回された人間に会いたくないのが一つと、もう一つは
「お兄ちゃん、どこ行くのー?」
「コンビニでアイス買う」
「こっちにコンビニなんてあったっけ?」
「俺も知らなかったが、穴場らしい」
こういう嫌なことがあった日は、冷たい物を食べて現実逃避したい……という淡い期待。
が、
「あー……そういうことか……」
何だか含みがあるような遥の言い方。
気になって、隣の遥を見る。
その遥の視線は前方右側に。その視線を追うと……少し高い場所に張り巡らされたフェンス。
そういえば、使ったこと無いが、プールってここだったな。
「で、プールがどうかしたか……?」
「え……だって……」
「だって……?」
今一つ、歯切れの悪い遥。
その理由は
「あ、大野君」
プールからの声に思わず振り返る。
「!?」
余りの眩しさに目を反らしてしまった……。
スラッとした肢体、少し日に焼けた肌、スクール水着という相当眩しさレベルの高い女性を直視してしまった俺。
眼が眩むぅ……。
「だ、大丈夫!?大野君!?」
「いや、大丈夫っす……」
ぼやけた視界のまま、平静を装う。
「顔色悪いよ?部室使っていいから、少し休んでいったら?」
しゃがむ謎の女。
くぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
の、脳が侵されるっ!?
「もう……いっそ殺してくれ……」
「お、お兄ちゃん……落ち着いて……人前だよ……」
「そ、そうか……そうだったな……」
大きく息を吸う。そして、吐く。
「少し落ち着いた……」
しかし、まだ脅威は去っていない。
「あのー……本当に大丈夫なんですか?」
向こうの人。
「えっと……多分大丈夫なんで、あんまりお構いなく」
と遥。しかし、この後、遥が衝撃的な一言を付け加える。
「新谷さん」
……新谷……?
……どこかで聞いた……。
「新谷……」
「自分の彼女の名前、忘れちゃったの?お兄ちゃん?」
「……あぁ……って、違ぇよ!!」
ノリツッコミは苦手だね。
「え?違うの?」
「遥までも変な噂を……。俺ってそんなに信用無いんだな……」
「私も嘘だとは思ってたけど……お兄ちゃんがプールの方にわざわざ来るから……」
「あの『あー……そういうことか……』って、そういう意味か……」
「いや、だってー!」
落ち込む俺と必死でフォローの遥。
「あ、あのー……私に何かあったんですか?」
すっかり忘れてた。
っていうか、泳いでろよ、水泳部は。
「んと……何ていうか……新谷さんとこの人に噂が……」
複雑な顔で説明をする遥。
この人っていうなよ、遥……。
「え!?初耳ですよ!?」
「会ったこともないのにな」
「え!?一年生のとき同じクラスだったじゃないですか!?」
「……あぁー……」
……。
知らん。
にも関わらず、納得したかのような素振り。こういうのは得意だ。
「まぁ、それにしても……困るよなぁ」
「あはは、私は困りませんよ?」
新谷の先制攻撃。
「……」
俺、スルー失敗。
「あ、あはははっ。新谷さん、お兄ちゃんをからかわないでくださいよー」
遥のフォロー。
「そ、そうだねー」
この悲壮感がたまらなく辛い……。
この最低な空気をどうしたものかと悩んでいると
「新谷ー!サボってるんじゃないぞー!!」
青春大好き!と言った感じの水泳部男子がこちらに叫ぶ。
ああいう奴も苦手だなぁ、俺。助かったけど。
「あ、部長ー!すいませーん!!」
振り返って叫んだ新谷。
そして、立ち上がって
「呼ばれちゃった。じゃあね、大野君!」
小さく手を振って駆けて行く。
「……死ぬかと思った……」
「お疲れ様」
……暑い。
───────────────────────
久しぶり。
もう秋だね……。
やっと投下が…。GJです。
702 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/09/22(火) 03:56:09 ID:YO7PvvYK
投下乙過ぎです
遊星殿、お久しぶりです
「……お兄ちゃん……」
「ん?」
「……そんなTVの番組表なんか立ち読みしてないで、帰ろうよ……」
「わぁ、今日は野球があるぞー」
「野球なんて見てるの、見たこと無いよ……」
「明日はサッカーだぁー」
「……お兄ちゃん、スポーツ嫌いでしょ」
「今度の二時間ドラマは何だろー」
「……あ、怖い顔した冬月先輩が」
「何っ!?」
「……」
ジト目の遥。
『ベタなネタに引っ掛かってんじゃないわよ』という視線が痛い。
「……」
気まずい俺。
「帰ろう?」
「……はい……」
現実逃避はあっさりと終了。
遥のあとに続いて、コンビニを後にする。
「あ……」
入り口付近で立ち止まる。
「あ、大野君」
まさかの……。
いや、ある意味予定調和。
『ほら、早く帰ればよかったのに』という遥の視線が痛い痛い……。
「えと……体は大丈夫?」
「お陰様で」
……と、体調不良の原因に気を使う。
「良かった。それなら、えと……」
ここまで言いかけたのち、チラっと俺と遥の顔を見る新谷。
「?」「?」
よく分からずに顔を見合わせる俺たち。
新谷は俺の顔を見て、
「……少し、お話聞いてくれないかな」
「……え?」
思わぬ言葉……。
横目で遥を見ると、気の毒そうな遥の顔……。
そして、ニコッと笑って一歩下がる。
諦めろということですか……。
「……手短に頼む」
最大限の譲歩。
行きたく無いんだけどなぁ……。
「うん、ゴメンね」
遥が引いたのを確認すると、俺の前に一歩近づいて
「えっと、噂、あったよね。私と大野君の」
「あぁ……」
思い出したくなかった記憶が……。
苦虫を噛み潰しながら、遥の顔を見る。
「?」
わざとらしく首を傾げる遥。……助けて。
「その……ゴメンね。あの噂流したの、水泳部の後輩だったみたいで……」
「はぁ?そりゃ、また何で……?」
別に興味は無いけど、話さないと気まずくなりそうだったから……。
「……えっと……それは……」
「……?」
嫌ぁな予感……。
「や……やっぱり言えません!!ゴメンなさい!!」
物凄い勢いで走り去っていく新谷。
「早っ……」
「ど、どうしたの!?」
走り去っていく新谷と同じくらいの速さで遥が駆けて来る。
「俺……何かしたかな……」
妙な責任……。
謝らなきゃいけないのかな……。
「お、お兄ちゃん!!落ち着いて、きっとお兄ちゃんが悪いんじゃないよ!!」
「そうだと……いいけど……」
「さ、帰ろう!お腹すいたねー!」
「……うん……」
こっからはあんまり覚えてない……。
───────────────────────
意外に人多いね。
じゃあ、また。
GJ!次回も期待してます
709 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/10/07(水) 22:06:29 ID:T5/KTjld
今頃投下に気付いたよ
遊星さんGJ
まぁ、そんな一件ももはや一週間も前の話。
誰も俺と新谷の噂をするものはいなくなり……っていうか誰ですか、新谷って。
「……聞いたことはある気がするんだけどな」
「お兄ちゃん、本気……?」
「あぁ……女……?」
遥のリアクションを読んだ。
「そうだけど……」
「で、新谷だっけ?その人がどうしたって?」
「うーん、新谷さんの話をする感じじゃないけど……えと、大会で優勝したんだって」
「ふーん……」
知らないからピンと来ない……。
「ま、お兄ちゃんらしいね」
「そう。俺らしいんだ」
開き直り大失敗!……ま、これが下手だからネガティブなんですけどね。
ぐったり肩を落としつつ遥の先を歩いていく。
こんな日はアイスに限るね。
「……ねぇ、やっぱり……」
「ん?」
何だかキレが悪い遥に思わず振り返る。
「なんでも……ないけど……」
変な遥だ。
再び前を向く。
「ん?」
するとそこには、水着姿の女が。
「大野君……」
「……?」
名前を呼ばれたが、知らない。
「お兄ちゃん、新谷さんだよ」
妹がこっそり耳打ちで教えてくれる。
「あぁ、優勝した」
「……それだけじゃないでしょ……」
「……ん……?」
それだけじゃない……?
必死に記憶を辿るが、思い出そうとするたびに記憶のブラックボックスに行き着くこと以外は、特に何も無い。
「大野君」
しばらくこの謎の女を放置していたが、向こうは向こうの都合があるらしい。
混乱気味の俺に、何か伝えようと、俺の目をジッと見ている。
「私……ずっとアナタのことが好きでした!!」
「……」
えぇ、この展開にはもう慣れたモンですよ。
俺の事好きなんだ、へぇー……。
キリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリキリ……
「ホントは……アナタと付き合ってるって噂が流れたのも……凄く嬉しくて……」
「……」
「大会で優勝できたら……ずっと伝えようと思ってたから……」
「……」
胃に意識が行き過ぎて、断片的にしか頭に入ってこない。
ただ一つ言えるのは……
「ダメなんだ……」
「え……?」
「俺は……もう……ダメだ……」
水着女が俺の前で、何か優勝したらどうとか青春地味たこと言ってるし、
何か夕焼け綺麗だし、遥もいつの間にかいなくなって、二人きりだし、
っていうかコイツと俺、一週間前に一悶着あったばっかりだし、その時も辛い想いしたし……
遠のきそうになる意識を何とか保って、
「……妹からで……頼めないか……」
いや……このシリーズの設定的には間違っていない。間違っていないが……何言ってんだ!?俺は!?
「え……?」
「ちょっと体調が悪い……詳しい話は、『妹』にでも聞いてくれ」
「え、う、うん……」
胃を押さえながら、ゆっくりと校門へ向かう。
この事件について、後に遥に苦言を呈されたが……残念ながら、俺の限界はこのあたりだと思う……。
───────────────────────
「にぃに!おはよう!!」
翌朝。
性格も悪ければ、タイミングも最低な俺。
珍しく新聞を取りに行って、新谷とばったり……。
「……」
昨日の一件がどうなったのかを知らない以上、沈黙して、相手の出方を伺うほかは無い。
俺の思惑など当然知らず、新谷本人は極めて明るく、
「ランニング中なんだけど、よかったら、一緒に走らない?」
「……いや、今日はいい」
気弱な正確が言わせた『今日は』。
と、なれば当然……。
「そっか、じゃあ明日は?」
「……考えとく」
絶対行かない。
「毎日走ってるのか?」
「うん。朝走るのって、気持ちいいよ」
「そうか……」
爽死(さわやかし)するな。俺なら。
「にぃにも、明日は一緒走ろうね!!」
……さっきは流したが、この呼び方は……。
被っちゃいけないって言う、偽妹間の協定でもあるんだろうか……どんどん奇を衒った物に……。
そんな諸々の感情を含めての、
「あぁ……」
「じゃあ、またね!」
俺の返事に満足したのか、笑顔で去っていく新谷。
それを見届けて朝日に崩れ落ちる俺。
今日も良い一日には到底なりそうにも無いな……。
───────────────────────
今回の話はこれで最後。
じゃあ、またいつか。
にぃに吹いたw
715 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/10/20(火) 23:13:33 ID:CGyafp6Z
保守
最近、他の職人様を見ないな。
「……帰りたい」
人ごみの中、誰にも聞こえぬように呟いた。
……文化祭って……。
因数分解が何の役に立つんだ!という屁理屈をテスト前に幾度となく聞いたが、
じゃあ、聞こう……この文化祭は一体何の役に立つんだ?
「……はぁ……」
残念ながら、こういう祭りのときに盛り上がれない奴は悲しい奴とみなされるが、
まさに俺は悲しい奴の典型。
帰る、もしくは静かな場所に一人でいたいんだが……。
何かみんな楽しそうだなぁ、何故か。
あぁ、妬ましいこと。
「……どこか、静かな場所は……」
……どうせ有る訳無いな。
じゃあ、どうすればいいのかな……。
仕方なく、校舎内を死んだ目でウロウロしていると、
一階中央付近で、さらに濃い人ごみが……。
「何だ……?」
退屈よりはマシという意味では、興味はある。
だが、中に入っていくほどではない。
人ごみの一番外側に立って、中央の様子を伺うと、
「……誰だ……?」
真ん中には、一人の王子。……俺は、間違ったことは何も言っていない。
どうも俺の嗅覚によるところによると、男装の女性といった感じだろうか。
女ではあると思うのだが、少なくとも遥ではないことしか分からない。
確かに、外殻の奴らは全員その女を見ている。
男だけでも、俺には意味が分からないが、その中に女も含まれているのは不思議だ。
……随分人気者のようだが、人気者であればあるほど、俺には縁の無い人間だ。
こんな場にいることに対して、ため息を吐くと、
「はぁー。劇、終わったみたいですねぇ」
騒音の中、耳元で聞こえる声。
もちろんシカト。
「アナタに言ったんですよ、大野賢太郎先輩?」
少し棘のある言い方で、耳元の声が間違いなく俺を詰った。
幻聴だったら良かった……いや、それも良くないか。
嫌々ながらも、首をそちらに向ける。
「賢太郎先輩も、あの王子様に興味あるんですね?」
「……君は……」
顔は見たことがある。
というか、遥の友達だ。
だが、
「菊池七海です。自己紹介、何度目ですか?」
察していただけたようで。
「……遥から聞いてないか?」
「もちろん聞いてます♪」
分かっているなら。とも思ったが、きっと楽しんでいるな……。
「ところで、賢太郎先輩。今お暇ですか?」
「今は何もしたくない。だから、きっと暇ではないのだろう」
俺が苦い顔で伝えると、菊池は軽くため息を吐いて、
「心配しないでください。ウチのお兄さんは、賢太郎先輩よりずっとステキですよ?」
「……だろうな」
「あれ?お兄さん、知ってましたっけ?」
「知らないが……」
俺ほどの盆暗は、そういるもんじゃない。
と、言いかけて止めた。
「そこまで胸張って言われたら、そう信じるしかない」
「そうですね。残念ですが、受け入れてください♪」
まぁ、コイツの兄は絶対会いたくない奴だってことはわかった。
「じゃあ、質問変えますね。今から、行きたい場所とか行かなきゃいけない場所とか、あります?」
「……それはない」
「それは良かった。先輩、私のクラスのお店に来ませんか?」
「……客引きが目的か」
「はい♪先輩の察しがよくて嬉しいです♪」
ここまでだと逆に清清しいな。嫌な気分にはなるが。
「残念なことに、遥ちゃんはいませんが……損はさせませんよ」
「……何をやっているんだ?」
「あ、遥ちゃんに聞いてないんですか?」
聞かないようにしていた。当たり前だろう。
「喫茶店です。ただの」
「……在り来たりだな」
「と、言いつつも先輩は行った事無い。と見ましたが、どうでしょう?」
さすがは情報通。
「その顔は、図星ですね?さ、初体験しちゃいましょー?」
「……」
遥の友達は、とんでもない奴だ……。
だが、コイツが敵(キャンセル待ち)でなくて、本当に良かった……。
───────────────────────
久しぶり。
今更文化祭。昔のを読んでて書きたくなったから。
あと、他人様の作品に僕のキャラクタを出してもらったのを思い出したから。
まだ続く。
GJ、続きに期待
おお、投下が!!GJ!!!
723 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/11/30(月) 17:38:36 ID:e8Fspc3L
続き期待してます!
「ささ。賢太郎先輩、どうぞー」
最後の数メートル、菊池に背中を押され、何度か来たことのある遥の教室へ。
なかなか盛況している様子だったが、菊池はその人並みを掻き分け、
「賢太郎先輩、ご案内ー!」
大声で叫ぶ。
ざわつく遥のクラスメイト。
別の意味でざわつく客。
……何?嫌がらせ?
何故か注目を浴びてしまった俺は、体を小さくしながら教室内へ。
ドアをくぐると、
「あ……」
小さな声。
そこには、
「遥……?」
この服、メイド……だっけ?
「違いますよー、賢太郎先輩。ウチのメイドさん、カプチーノちゃんですよ?」
「か、カプチーノ……?」
あぁ……カプチーノだけあって、見事に俺の顔を苦々しくさせたね……。
「か、カプチーノですっ!!お帰りなさいませ、ご主人様!!」
もはやヤケクソな遥、もといカプチーノ。
死にそうなくらいに痛々しいその姿に、何故だかアキレス腱辺りが痛くなる。
「……」
ムリだよ……こんなのにリアクション取れねぇよ……。
っていうか、正しい反応が分からないんだ……俺、ご主人様経験ないし……。
「ほらほら。カプチーノちゃん、ご主人様の椅子を引いてさしあげないと」
「は、はい!!どうぞ!!」
椅子を引いてくれるカプチーノ……。
苦笑いで、その椅子に座る俺。
そもそも、妹にマジ敬語を使われて、俺は軽く死にたくなっているのだが。
「何かお飲みになりますか?それとも、甘いものはいかがでしょうか?」
正直、頭の中で普通の接客用語に変換すんのがめんどくせぇ……。
死にたい気持ちが収まらないし、普通に喋ってくれないかなぁ……。
「……コーヒー、頼めるか……?」
「はい。しばらくお待ちくださいね、ご主人様」
やたらと短いスカートを翻して、奥へと消えるかと思ったが……。
何故俺の裏にいる?
「……」
「……えっと……ご主人様とお話、しなくちゃ……」
極小さな声で、段取りを確認する遥。
聞こえてはいるが、それは聞かなかったフリ。大人だから。
「あの……遥さん……?」
「……」
まぁ、まともな神経なら、否定するのに躊躇するのは分かる。
「あの……俺、今、相当ヤバいんで……素に戻っていただけませんか……?」
「……うー……でも、みんなに見られちゃうと……」
……まぁ……一応……夢を売っているお店だものな……。
「だが……あくまで文化祭の店だ。商売じゃない……」
「それも……そうかな……うん、いらっしゃい。お兄ちゃん」
……素。
それもどうかねぇ、そんな格好で。
「俺は……妹がメイドだなんて、知らなかったぞ」
振り向かず、壁に向かって呟く。
「……怒ってる……?」
「怒ってはいないが……兄としてだな……そういう……格好というか……振舞いというか……」
要するに破廉恥な格好をするんじゃない。といいたいが、さすがに言えない。
そういうことを考える人間だとは思われたくない。まして妹相手に。
「……それは……私も……ちょっと、恥ずかしいけど……」
顔を赤らめ俯く遥。
……そりゃ、大事な妹だもの。俺の感情だって、変じゃないよ。変じゃないはず。
「だが……文化祭ってそういうものなんだろうな、多分」
「お兄ちゃん……?」
そんなに意外かい、遥。
「……遥は楽しめばいいんだ。変なのにさえ、気をつけてくれれば」
俺は別のメイドが運んできたコーヒーをトレーから奪うと、
一気に飲み干し、その場から立ち上がる。
「やっぱり……俺は場違いだったな」
遥の顔をチラッと見ると、出口へ。
「お兄ちゃん!」
ガタっ!!
……一斉に椅子が動いた。
あの……振り向くのは俺だけでいいはずなんだが……。
まぁ、いいか。
「もうすぐ……終わるの。そのあと……一緒に文化祭回ってくれる?」
俯いた顔から、囁くような声。
「……遥の頼みじゃ仕方ない」
少し俯く遥の頭にしばらく触れ、頭のリボンを少し直してやる。
「へへ……」
くすぐったそうに微笑む遥に苦笑いで返し、振り返って出口へ向かう。
とたんに吐き気に襲われる俺……雰囲気に飲まれた……。
ニヒルぶった俺の先ほどの態度が、鼻について鼻について……。
……これも、まさか菊池の陰謀ではあるまいな。
───────────────────────
今回の話はこれで最後。
じゃあ、またいつか。
遊星殿GJです!!遥フラグktkr
続き楽しみにしてまつ
729 :
名無しくん、、、好きです。。。:2009/12/05(土) 02:45:37 ID:IWOQD8M4
「お兄ちゃん」って呼ばれたい
「○○ちゃん」呼びだよ、うちは。。。
おにぃって呼ばれたい
もー、お兄ちゃん!日曜だからっていつまで寝てるのよっ
お布団干すんだから、ホラ起きた起きた!
あ、あのね?こんなに天気いい日なんだからさ
二人で遊園地行きたいな、…ダメ?
734 :
No.2:2009/12/22(火) 23:19:55 ID:nXIrMg+Y
>>733 だ、たったらぁ
昨日、隣にいたひとは誰なの?
735 :
No.2:2009/12/22(火) 23:22:29 ID:nXIrMg+Y
遊星さん、乙です
漏れの方は、インスピレーションの泉が涸れたまま数年が経ちますが
いつも遊星さんのSSを楽しみにしています
もう寝ようかって夜中に雨がざんざか降ってる中、ドアの呼び鈴が鳴った
「はいはい、どちらさまぁ…こんな夜中に誰だよ、おれぁもうねむ」
そこには傘もささずにアパートまで来た妹が立っていた
「来ちゃった…」
「おま、ずぶ濡れじゃねーか。どうしたんだよ?こんな時間に」
「…ごめん」
はぁ、こいつが何を聞いてもごめんしか言わなくなったら
何を聞いても無駄だな、ほんと誰に似たんだか
「ったく、しょーがねーなぁ。いいからさっさと風呂入って来い
サイズは合わねーだろうけど、俺の服貸してやっから」
あのさ、ケータイ電話買ったんだけど
番号の登録とかよくわからなくてさ
た、試しに兄貴のケータイでメールの練習してみても、いい?
>>736 新星現る!!続きが気になるぞ
>>737 あっ、コラ!人の携帯勝手に見るな!!
待て!SDカードの中身見るなー!!
おにぃになら、いいよ…
「じゃ、ボクはシャワーを浴びてくるから
朝食の準備はよろしく」
「へいへい」
「なんなら一緒に入るかい?
なに、恥ずかしがるコトはないじゃないか
昨夜のキミは素直で可愛かったよ」
「ちょ、変な言い方してんじゃねー!!
だいったい昨日はお前のほうから雷が怖えーからって
俺のベッドに入ってきたんだろーが!!」
「ふふ、怒った顔もまた可愛いね。愛してるよ?おにぃ」
>>741 ごく短い単発オムニバスしか思い浮かばんのです、申し訳ない。
「なんでこんな寒みー日に花火なんてしたがんだよ〜」
「ねえねえねえねえ!蛇玉って花火としてどーなの?やる気あんの?
あ、鉄砲型のヤツはあたしんだかんね!あー!ちょっとおにぃ!
なーに線香花火一束持ってんのよ!?それは最後にすんだかんね!!」
「ったく、聞いちゃいねーよ。ま、いっか…」
短いのでも投下して頂ければ個人的には満足
買い物行くのに付き合わされて、自転車に二人乗りしてて
下り坂になって、風でお互いの声が聞き取りにくい時に
「おにぃちゃーーーん!だーーーーーーい好きーーーーーーー!!」
「なぁ、お前さっきなんか叫んでなかった?」
「へ?別に何にも言ってないけど?」
ねぇお兄ちゃん、こんな風に腕組んで歩いてたら
周りの人にはどんな風に思われるかな?
え、映画のチケットが、友達と行く予定だった映画のチケットがあるんですが
その友達が急に行けなくなってしまって、それで…あの、その
チケット捨ててしまうのも勿体無いですし、兄さんさえ良ければなんですが
映画、一緒に観に行ってもらえま…せんか?
も、もぅ兄さん!わたしだっていつまでも子供じゃないんですから
いい加減、この頭を撫でるクセはやめてください…
748 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/02/21(日) 13:36:22 ID:JqHRUoeS
749 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/02/22(月) 00:19:44 ID:sCeetmcy
兄さん、好きです。
だから、ねぇ…
死んで。
「ねぇねぇねぇ、高校の頃さ、おにぃのコトが好きだって娘、いたんだよ」
「はぁ?んなワケねーだろ、俺ほとんど学校行ってなかったんだから」
「ホントだもん。おにぃのコト、ずーっとずーーーっと好きだって娘、いたんだもん。
あの、ね?その娘が誰か…知りたい?知りたくない?」
「今更だろ?何年前の話だよ、どうせならタイムリーで言えっての(笑)」
「ふーんだ。折角さ、教えてあげようって思ったのに…」
「キャーーーー!!窓窓!お風呂場の窓になんかおっきい影が映ってガサガサって!!
なんか怖いからおにぃ外見てきt…って、ちょっとぉ聞いてるんの?なんでさっきからそっぽ向い…て
キャーーーーーーーーー!!!おにぃのエッチ!バカ!変態!信じらんない!!」
754 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/02/23(火) 23:41:08 ID:pKr1ObnF
もっと盛り上がれ
朝に「お兄ちゃん、起きてください」
家に帰る時「お帰りなさい、お兄ちゃん」
夜に「お兄ちゃん、今日一緒に寝ってもいいですか」
「勿論いいですよ」
「ありがとうお兄ちゃん、やっばりお兄ちゃんのことが大好きだよ、ずっと一緒にいってください」
実はわたしは妹がいません- -妹がほしいだ
756 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/02/24(水) 09:18:53 ID:TdHcUNLf
>>732 なぜかそう呼ばれてる。
おかげで、シュタゲの後にカオヘをやって泣きそうになった。
>>755 そんな妹いる奴いねえ。
せいぜい親が旅行中に朝ごはんを作ってくれて、
「べ、別にあんたのために、作ったんじゃないんだからねっ!」
と言ってくれるのが限界だな。うちは。
「バカっ!バカバカ!!ほんと!ほんっっと信じらんない!
今まで散々ほっといて、今更んなって兄貴面とかやめてよ!!
…………でも、ありがと…」
「兄妹でもいいでしょ?BLよりは生産的だもん♪」
「…いや、兄妹で生産したら色々とダメだろ…」
759 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/02/24(水) 17:56:50 ID:5v99LUbM
760 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/02/25(木) 20:34:56 ID:httG+5yF
久々に盛り上がってるみたいで嬉しい
リアル妹は萌えないので二次元の妹が好きです
「お兄ちゃん、それドロップちゃう!クローズや!!」
「ほら、ネクタイ曲がってますよ?
もぅホント兄さんは朝が弱いんですから」
763 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/02/28(日) 01:05:39 ID:2HdN04vn
可愛い二次元妹萌えるよ
「明日も頑張ろうね、お兄ちゃん♪」
頑張るよ
766 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/03/03(水) 22:48:16 ID:E5HJFNXP
復帰記念
767 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/03/04(木) 09:54:15 ID:1gAawFQK
768 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/03/04(木) 16:25:12 ID:CEGIjkOt
じゃあ俺はゆかなで
お兄ちゃん、お口くさーい
「やーっと追いついた〜。駅の階段トコでおにぃの頭が見えたからさ
走って追いかけて来ちゃった、にへへ♪一緒に帰ろうよ
あー走ったら喉渇いちゃったー、なーんか喉渇いちゃったな〜」
771 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/03/06(土) 00:27:46 ID:TBlt2Edy
健気な妹かわゆすなぁ
「えっとね、あのね?このえほん、よんでくえゆ?」
はなまる幼稚園の見すぎだ
いや、GS美神の美神が子供に戻ったヤツだろ
「横島どーん!!」
うん、スレ違いもいいとこだ
ごめん、でも反省はしてない
777 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/03/11(木) 19:36:56 ID:1Jkc24N6
幼くて可愛らしい妹が欲しい
「新婦さんキレイだねー」
『そうだなー』
「あっブーケ投げるよ!…あっ!アタシ、と、取っちゃった!!お兄ちゃーん!!!」
『ばっ、抱き着くな!』
「おにぃちゃん、えへへ呼んでみただけ♪」
>>778 ぐはっ!!(脳内妹テロが起きた様子です)
781 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/03/14(日) 19:40:22 ID:j/wEJu7E
妹可愛いな
可愛すぎてヤヴァイ確かにこれはテロ
「おにぃ〜、コンビニ一緒に行こうよー。で、あたしにアイスおごろうよ!
ダッツねダッツ。あたしダッツじゃなきゃヤだかんね?」
妹(長女)「お兄ちゃん、今日は私と遊ぶんだよね!!」
妹(二女)「違うよお姉ちゃん!!私が遊ぶの〜!」
妹(三女)「みんなで遊べばいい…」
あぁ…弟よりも妹が欲しかった…orz
「お兄ちゃん!」
『……んーー…』
「起きてってば!遅刻しちゃうよ!」
『うんんーー?』
「………起きないとチューするぞ…」
『んーー(おちょぼ口になる)』
「ばっ、バカッ///」ベチッ
良い感じに子ネタの投下が続いてるね
遊星さんの投下も期待
「お兄ちゃん、だ〜い好き?」
普通すぎた、後悔はしていない
可愛い妹のブラコン魂?
「あ、お兄ちゃん」
『おう、どうした?先帰ったんじゃなかったのか』
「傘忘れちゃって。お兄ちゃん傘ある?」
『あるけどビニ傘だから小さいぞ』
「大丈夫!くっついて帰るから。えへへ…相合傘」
『あんまりくっつくなよ…ああ、周りの目が痛い』
「恥ずかしがらなくてもいいじゃん、兄妹なんだから」
『いやしかしですね、微妙に柔らかいものがですね…』
「つべこべ言わない(お兄ちゃんあったかいな///」
うん、俺きめえ
うん、確かにきめぇ
2828しながら見てる俺きめぇ
「お兄ちゃん、ボンキュボンってなんて意味?」
792 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/03/27(土) 04:05:07 ID:To5o3GZB
『ふああぁ…おはよう』
「やっと起きた。お兄ちゃん遅いよ」
『うるさいなぁ。春休みなんだから別にいいだろ?
よいしょっと。なあ、メシなんかある?』
「ありません」『作って』
「イヤです」『お願い』
「お断りします」『そんな殺生な』
「……うーん…作ってあげてもいいけど…お願いきいてくれる?」
『できる事ならば何でも』
「あの、さ…アタシをどっか連れてってよ」
『はあ?!何だいきなり?』
「だってせっかくの休みなのにお兄ちゃんずっとダラダラしてんだもん、勿体ないよ」
『確かにそれは言えてる』
「でしょ?だから運動がてらアタシをエスコートしなさい!」
『うーん……じゃ水族館でも行くか、前にお前が行きたいって言ってたトコ』
「え、本当!!じゃ、ちょっと待っててね。すぐご飯作るから」
『よろしく頼む。というかご機嫌だな』
「えへへーー」
兄と二人きりで出掛けるなんて久しぶり
電車の中で一人浮かれる私は変な目で見られてはいないだろうか
『いい天気だねー』
「そうだなー」
しかし横に座る兄は生返事で私の問いに応え携帯をいじっている
ホントは私と出掛けるの面倒なの…かな…?
「よし」
兄はそう小さく呟くと携帯をしまい私を見て問い掛ける
「ところで水族館って何見たいのさ?」
『え?あっホラ、水族館と言えばイルカでしょ!ペンギン、ラッコ…
…あとフグ!』
「フグ?!フグ見たいのか?」
『えーだってフグ可愛いじゃん』
兄の横顔を目の端でチラリと見る。いつもの兄だ
不安がってたのは私の気のせい…かな
ふと腕時計を見ると今はちょうどお昼どき。
入館してからあっという間に時間が過ぎていく…
『そろそろお昼だね。ご飯どうしようか?』
私が尋ねると兄は不敵な笑みを浮かべた
「ふっふっふ…任せなさい…連いてきたまえ!」
言われるまま、兄に連れていかれたのは館内のレストランだった
それも少し高級そうな…。それでも兄は躊躇いもせず店内に入っていく
「あの…予約した者ですが…」
『予約って?』兄の袖を引っ張る私
「ああ、電車で来る時に携帯で予約しといた」
そうだったんだ。安堵と同時に嬉しさが込み上げてくる
案内された席につくと兄は申し訳なさそうに言う
「コースになってるからメニュー選べないけど良かったか?」
『うん、私は構わないけど…お兄ちゃん大丈夫なの?その…値段的に』
「お前にはいつも世話になってるからこれ位はな。
それに三割引きだし」
『え、そうなの?』
「おう、カップルで予約すると値引いてくれるらしい」
『か、カップル…』
兄のさりげない言葉にドキッとしてしまう
周りからすれば私たち恋人同士に見えるのかな…
「まあ俺らカップルじゃないけどバレやしないだろ」
私の気も知らずに兄がケタケタ笑う
「アハハ…あれ、怒ってらっしゃいます?なんで?」
『何でもありません!』
もう…少しは察してよね…鈍感なんだから……
『あー楽しかった!今日はありがとうございました』
「どういたしまして。喜んで頂けて幸いです」
昼食を取ったあとも私は兄を連れ回し、気付けば閉館ギリギリになっていた
名残惜しい気持ちで兄と並ぶ帰り道
バッグの携帯が震える。メールだ、誰からだろ?
『お母さんからだ…えっと
“父さんと夕飯食べて帰るのでヨロシク”だって』
「相変わらず仲がよろしいようで」
兄が半ば呆れた様子で言う
『じゃあ夕飯用意しないとね』
「疲れてないか?」
『ううん平気。さっ、早く帰ろ』
「そうだな。昼も良かったけどお前の作るメシが一番だよ」
サラリと放たれた兄の言葉に私は感極まって抱き着いてしまう
「またお前はそうやって…
ああ、周りの視線が痛い……」
『…暗いから誰も見てないよ』「それもそうか」
『えへへ…お兄ちゃん何食べたい?』「んーそうだなーー……」
おわり
駄文失礼いたしやした
あっ…で、出ちゃった…
ナイス、GJ
ピンポーン
休日のある日、時刻は九時過ぎ。
普段は誰も訪ねてこないような俺の部屋のチャイムが鳴る。
「……?」
普段は人が訪ねてこない部屋に訪ねてくるようなヤツなど、ろくな用ではない。
居留守という選択肢も考慮してそろそろと玄関へ。
怪訝な顔をしながら、客の顔を見ようとドアに顔を近づけると、
「にいさま。いるのは分かってるんです。開けてください」
……女の子の声だった。
しかも、聞き覚えのある。
「その声……馨か」
「にいさま!?いるんですね!?」
何を切迫しているのかは分からないが、何か事情がありそうだ。
「あぁ、今開ける」
「え……えぇ……」
今ひとつ納得しない。と言ったふうな声を聞きながら、鍵を外しドアを開ける。
「久しぶり」
と、俺が声を掛けるかかけないかという間に、部屋の中に入ってくる女。
「えぇ、お久し振りですね。にいさま」
和服、長い黒髪、色白な娘。
典型的な大和撫子と言ったふうだが、これが自分の妹では。
とりあえず、在り来りな台詞で、奥のテーブルに座ってもらう。
「お茶は?」
「にいさまは下手ですから、いりません」
じっと正座したまま、冗談とも思えない口調で返事をする馨。
「そうかい。で、今日はどうした?」
「やっと……やっと見つけましたよ」
感慨深げな馨。
唐突なセリフに少し戸惑いながらも、
「どうして私に何も言わずに出ていったんですか!?」
「いや、まぁ、多少事情が」
「事情って何ですか!?私、それを聞くまでは帰りませんから!!」
珍しく声を荒らげる馨に少し驚く。
「あまり言いたくないし、言わない方がいいとおもったから黙って来たんだよ」
「……にいさまは馨のことが嫌いになったのですか?」
「は?」
「だから、馨に黙って出てきたんですか!?」
「いや、違うけど」
「じゃあ……」
ミィ。
馨がそこまで言いかけた瞬間、隣の部屋で物音がした。
正確には……
「猫……?にいさま、ネコちゃん飼ってるんですか?」
「あぁ、まぁ」
隣の部屋の様子を伺いながら、答える。
……起きおったか。
「にいさま。まさか、それが理由とか言わないですよね?」
「……そうだけど?ほっとけなくてさ、猫を。馨、猫嫌いだっていってたし」
「い、言ってないですよ!?」
「そうだっけ?」
言っていたような気がするんだが……まぁ、いいや。
「なんだ……てっきり馨は……」
「ん?何?」
「何でも無いです!!」
顔を急に赤らめて、顔を背けた馨。
それを不思議に思いつつも
「でも、にいさま……?今度からは、馨もあそびにきてもいいんですよね?」
「まぁ、それは構わないけど……」
「じゃあ、明日も来ます!」
「ああ」
「明後日もいいですか?」
「構わないけど」
「じゃあ……」
この流れが無限に続きそうだったので、
「もういっそ一緒に住んじゃえば?」
「にににににににににいさまっ!?そんなっ、同棲だなんて、そんなっ!!」
……飛躍している。
「馨は……まだ、心の準備がっ……!」
面白いから今日は放っておこう。
───────────────────────
805 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/04/09(金) 21:58:24 ID:7j0hPvdH
806 :
便乗スマソ:2010/04/10(土) 07:23:32 ID:B9XhU302
「お兄様、おはようございます」
『ふああ…おはよう』
「相変わらずだらし無いですね。早く食卓について下さい」
『おっ、今朝は塩鮭に卵焼きか…和食なんて珍しいな
というか何だその“お兄様”ってのは?』
「私はいつもこうです。無駄口を叩かずに早く召し上がって下さる?」
『…言葉遣いが所々おかしいんですけど』
「な、何をおっしゃいますか!そんな事あるはずありませんわ!」
『ははーん…さては大和撫子な妹のウケがいいからあやかるつもりだな?
残念だったな、ボロが出てるぞ』
「!!」
『ハハハ、慣れないことはするもんじゃねーな
っておいコラ、皿を下げるな!』
「そういう事言う人に食べさせる食事はありません」
「……(ジ〜〜ッ)」『……(うっ)』
『……悪かったよ。ただな、お前はそのままでいいんだよ』
「え…?」
『大和撫子を演出しなくても普段通りにしてくれれば充分魅力的だぞ』
「………(//////)」
『ほい、皿返せ。
いやぁたまには和食もいいよな』
「…美味しい、お兄ちゃん?」
『ウマイ!!』
「えへへ…。お兄ちゃん今日はどうする?どっか行こうよ」
『金なら無いぞ、先週の水族館で』
「もう!お昼なら私が作るから…ね?」
『そっか…なら花見でも行くか!』
「うん!」
808 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/04/11(日) 03:53:03 ID:Lch1yem3
良スレage
( = 3 =) おにぃ〜
810 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/04/11(日) 14:07:49 ID:chnPYP7F
これで読んでくれる人とか出たらさいこーなんだけど
お嬢様っぽい妹ってどうよ?
「お兄様、私(わたくし)の宿題につきあってくださる?」的な
812 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/04/16(金) 11:59:53 ID:3MHizFMU
>>810 同人でもプロの声優さん使ってるとこあるし
職人さんの許可と金出す人がいればここ投下作品もプロの声優さん使って一次創作同人ドラマCDに出来る
>>811 最高だろ
「今度飲みに行かない?…兄貴の奢りで。」
>>812 それホントにできたらすごいねー。
僕なんかのでよければ全然使ってもらって構わないんだけど。
>800-802を書いたのが実は僕、ということなんだが伝わらなかったか……
バタバタバタ……ガチャ
「お兄ちゃん!!」
『うおっ、なんだ!!』
「遊星殿キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!」
『もちつけ』
>>816 うお、そうだったのか
でも確信持てなかったのです
続き待ってます
819 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/04/21(水) 01:09:12 ID:v2eiWn51
保守
先日リアルお兄ちゃんに「中の上の顔だね」と言ったらへこんでました
ちょっと気遣って「上の下ぐらい」と言えば良かったかなと反省しています
821 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/04/21(水) 23:49:04 ID:BeMyN2Pi
(ユサユサ)「お兄ちゃんそろそろ起きてよー?ごはんだよ?(ユサユサ)・・・もうーせっかく早起きして作ったのにー(プンプン)」
822 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/04/25(日) 00:28:38 ID:9jZeAGer
二次元の妹可愛いよ
823 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/04/25(日) 09:34:34 ID:xSPHLhqw
三次元の妹そんなことない
だって三次元の妹はリアルに居るから…
俺は二次元の可愛くて幼い妹が良いな!!!!
3次元の妹も欲しい
826 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/05/01(土) 20:59:37 ID:OdGKsie/
明日二次元の妹の職場に行ってきます
フヒヒ
『む〜ですの〜』
「はぁ…」
カランカラン。グラスの中の氷が溶け、音を奏でる。
『まったく、お兄様はこんな飲み物で私(わたくし)が機嫌を直すとお思いですの?』
ズズズ…
「とか言いつつ飲んでんじゃねぇか」
『これはこれ!ですの』
突然こんな没頭から始まるのには訳がある。簡単なことだ、俺が遅刻したからだ。
べ、別にどう始めを書けばいいか分からなかったなんてことはないんだからね!!
と、一応ツンデレっておこう。
そして、機嫌をとるために近くの自販機でジュースをおごって、今に至る。
『お兄様も、た、ま、に、は、私より早く来て、「ごめん、待たせた?」「今来たとこさ。HAHAHA」みたいにできませんですの!?』
「無茶言うなっての〜」
『そのために5分送れてきたというのにですの…(ゴニョゴニョ)』
「? なんか言ったか?」
『ふみゅ〜う、ですの』
「いででででぇ、、、」
なんか知らんがつねられた。
「んで、今日はなんの用だ?」
『これですの!!』
バーン!と、目の前に突き出されたのは、
祭りのチラシであった。
『今日は祭りがあるのですのよ!!』
「んなもん、俺じゃなくてお前のダチと行けばいいじゃねえか」
『お兄様…。私はお兄様と行きたいのですの!』
もじもじさせながら少し紅くなって俯きながら言っている。
『ダメ…ですか…?お兄様…?』
→仕方ないな、付き合ってやるか。
すまん、今日は他の奴と行くんだ…。
>>827 書いてから気付いた。
自販機だとグラスとか氷の音とかしないよね…
"自販機"
の部分を
"喫茶店"
に変更でお願いします。
>>826 リアル知り合いに声優さんかシナリオライターにいらっしゃるのですか?
>>827-828 私も可愛い二次元妹にお兄様って言われたい><
→仕方ないな、付き合ってやるか。
遅れたのもあるしな…
「仕方ねえな、付き合ってやるぜ」
『やった!』
何かをやり遂げたようにガッツポーズをしている。そこまでうれしいか、おい。
「そ、そんなにうれしいか?」
『う、うれしい訳…あるですの…』
指をあわせ、再びもじもじ。
「行くならとっとと行くぞ」
『はいですの!』
こうして、祭りに向かうことになった。
祭り編に続く
833 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/05/29(土) 23:23:05 ID:Zj1K4Vnv
保守
「こら!このくそ兄貴!ぼけ!かす!」
蹴り×10
「変態!きもい!最低!」
ストンピング×10
「エロ本見るくらいなら私の・・・」
沈黙。
「ちっ!」
部屋を出て行く妹。
兄貴は、思う。
「これで邪魔がいなくなった♪」
835 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/05/31(月) 22:12:43 ID:np9eDx+D
>>834 ツンデレ妹ですか
強気なのは兄に対してのみで
基本的に家庭的で引っ込み思案な妹萌えます
僕も何か書きたいなー。
是非お願いしまふ
840 :
名無しくん、、、好きです。。。:2010/06/05(土) 23:10:30 ID:nb2Xu4fi
んふふ、、、カワイイアニキ、、食べちゃいたい
>>1の本文をおっさんが一生懸命考えてタイピングしたかと思うと今更ながら吐き気がするな
それを言っちゃあおしめえよ
まぁ、一生懸命かどうかは忘れたけど、タイピングした当時は大学生だけどね。
お兄たち週末厨に構っちゃダメだよ!
妹『私の足を舐めるか、それとも死ぬか。選んでお兄』
兄『そんなことより俺を踏むのか、それともなじるのか。選べ妹よ』
『お兄ちゃん…。お兄ちゃん。いや、これは絶対無い』
『…うーん』
『…』
『お兄』
いつもの呼び名を口にする。やっぱり、これだった。
『なんなのよこのエロビデオ…』
妹百選とうち付けられたタイトルを睨む。中身はと言えば妹と兄の…まぁ、そういう内容だった。
『はぁ、お兄の部屋なんて掃除したのが間違いだった…』
お兄ちゃんお兄ちゃんと連呼していたツーテールの女が脳裏に浮かぶ
『……はぁ』
残念な気持ちと、そういう性癖を持っていた兄に対する何とも言えない嬉しさが、私の中でぐるぐる回る。
(って!なんで嬉しがってんの私は!!)
ふと首を横にする。いつも着替えに使っているのだろう私の身長くらいはある鏡があった。
そこに写るひどくにやけた顔。
『…うわ〜』
「それ、俺の台詞な」
『へっ?』
思わず裏返る声。
『お、おにっ!?』
「…鬼?いや、そんな事よりお前その手に持っ
『いや私は別におにぃがどんな性癖持とうがそんなの人それぞれだしまぁ実妹がいるのにこのビデオはどうなんだろうとは思うよだって目の前に性癖を満たす塊が居るって言うのにおにぃときたらもうそれは
「おちつけーーっっ!」
ぽかっ!額にチョップ。
『アヴッ』
「それは友達のイタズラだ。俺のじゃねぇよ」
『……そ、そうなんだ』
「ったく…」
『…。……へ、部屋掃除しといたからっ!じゃねっ』
「あ、おいっ」
エロビデオをその場に置き、ダッシュで駆け抜け勢いよく扉を閉める
『……なにやってんだ…私』
おい続きはまだか
息子が怒張したままなのだが
後日イタズラをした友人とやらが私に謝りに来た
「まさか妹ちゃんに見られるとは思わなくてさ…。ごめんね」
『い、いえ。いいですよ。あはは』
あの時の私は上手く笑えていたのだろうか?
…何故ならあの時の私は――
酷く落ち込んでいたからだ
『…ハァ』
世間一般の妹ならこんな反応はしないだろう。しかし仕方ない。私は変な子だからだ。
実の兄に恋をする…変な子
(いやいやいや!ていうか世間の風潮がおかしいのよ!何で兄弟の恋愛が駄目なのよ意味わかんないでしょ!絶対私は変じゃないそうそうよ変なのは世の中様よいつも昔から私を守ってくれるし優しいし格好いいし私を理解してくれるし惚れない方が無理ってもんでしょ!!)
『…ハァアアア』
「本日二回めー」
「めー」
『えっ?』
食堂で一緒にお昼をとっていた友人二人が言う。
「最近溜め息多いねー」
「ねー」
『な、べっ、別にそんな事ないわよ!?』
「ふふーん」
全てを見透かすような目で私を見る。昔から仲が良い分、本当に見透かされている気分だった。
「ズバリ、お兄さんだね!?」
『んなっ!!べ、べつにあんなやつのことなんてこれぽっちもおもってなんかいやしな
「…あ、あんたのお兄さん」
『へっ!?ど、どこ!?』
『……あ』
「うふふ、嘘だにゃ。にやにや」
「うひうひ」
『……〜〜っ!!も、もうっ!さっさと食べて教室戻るわよ!』
「ふふ。はーい」
「へーい」
850 :
おしマイケル:2010/06/14(月) 01:15:11 ID:JzmY5J4N
『ただいま』
そう言いながらリビングへと繋がるドアを開く。
「おかえり」
声のする方を見ると、兄はエプロンをつけて料理に励んでいた。
「晩飯そろそろ出来るからさ、先に風呂入ってこいよ」
『う、うん…手伝わなくて良い?』
「いいよ、大丈夫」
『そ、そっか』
・・・・・・
ドサッ。ベッドに全身を預けるように仰向けになって倒れた。
『…ちゃんと…笑えてたかな…』
もう食事どころではなかった。あの日の一件以来…いつも以上に兄を意識し始めている私。
『…ハァアアア…』
窓の外を見ると雨が降り始めていた。遠くで雷の音も聞こえ…
フッ『え』
不意に部屋の明かりが消える。
『嘘…停電!?…やだ…』
昔から暗闇は苦手だった。そう言えばこういう時はおにぃが手を握ってくれてたっけと、ふいに思い出す。その刹那、ゴゴゴと落雷の音。かなり近い。
『ひゃっ』
『う、うう…』
目を閉じ両手で耳を塞ぐ。
『…怖いよぅ……おにぃ…ちゃん』
ドンっ
『ひっ』
唐突に開く部屋のドア。
「おい、大丈夫か!」
私が一番好きな人の声が耳に届く。
『おにぃ…ちゃん?』
「おにぃちゃんて。全く、よっぽど気が動転してるみたいだな。急いで来てよかった…ってお前泣いて―――
暗闇に慣れていない目で懸命に兄の姿を捉え、駆け寄り抱きしめた…そして…
キスをした
イイ!GJ!!
時に貴殿、姉妹スレ〜文才スレで活躍なさった職人ですよね?
そんなこたぁあるかもしれない
>>852 お兄が投下サボったから文才スレ落ちたんだからね!
でも…このスレで会えて嬉しいよ
って何ニヤニヤしてんの!べっ、別にそんなんじゃないんだから!!
『お兄ちゃん』
「んぁ」
聞き慣れた声で目を覚ます。目の前には視界いっぱいに広がる妹の顔。
「…近い」
『あ、ごめん///』
顔を赤らめながら一歩後退する妹。と同時に俺は上体を起こした。
「あふ……んん。で、何か用か?」
『友達のいないお兄ちゃんのために、今日のお誘いを全て断った妹を、まずは褒めて下さい☆』
「んー。友達いますけどね、俺」
『はいはい。人を疑う事しか出来ないお兄ちゃんに、ホントの意味でのお友達なんて居ないでしょー』
いつも思うがコイツは、もう少しオブラートに包むという事を学ぶべきだ。
「悔しいけどその通りに御座います」
まぁ、人を疑いやすい性格なのは事実だし、言い返せないので素直に肯定した。
『という訳で!』
右手人差し指をビシッと一本突き出して俺を指す。
「はい」
『遊びに行きましょうお兄ちゃん!』
「嫌だ」
即答した。
『なんでですか!?』
「疲れてるから」
昨日は体育祭で、今日はその振替休日。身体が、「早く二度寝しようぜ相棒…」と呟いているのを、全身で感じる。
『ヤングマーン!』
ヤングマン…つまり翻訳すると、『若者がなに言ってるんですかお兄ちゃん!私はこんなに元気なんだからお兄ちゃんはその3倍くらい元気でいないとダメなんですよこの腐れカス野郎!!』と言っているのだろう。
だから俺はこう返す。
「3倍とか無理。あと兄に腐れカス野郎はどうなんだ」
『よくわかりましたねお兄ちゃん!でも腐れカス野郎ではないです。鬼畜腐れカス早漏野郎って思いながら言いました』
「お前の事なら大体はわかるさ〜…って後半なんて!?」
まぁいいや…そう言いながら再びベッドに身体を預ける。
『私の事がわかるのであれば、これから私がどう出るのか…。わかりますよね?お兄ちゃん』
…これを翻訳するとつまり…
『お兄ちゃんが遊ぶと約束するまでこのままここに死ぬまで居座ります。早く着替えて下さいお兄ちゃん』だろう。
『よくわかりましたね』
「俺まだ何も言ってないよ!?」思わずツッコミをいれつつ上体を起こす俺。
『しかし惜しい。早く着替えて下さいお兄ちゃん…ではなく、早く私に着替えさせて下さいお兄ちゃんハァハァ。の間違いです』
「ちょっと今何て!?」
『早く私に着替えさせて下さいお兄ちゃんハァハァハァ』
「増えてる!?」
857 :
おしまい:2010/06/18(金) 00:02:23 ID:wIKrS1is
『いいから早く遊びにヴヴヴ
「ん」
枕元に置いてあった携帯が鳴る。サブ画面には友人の名前が表示されていた。
「ちょっと待って」
妹に一言断りを入れ、携帯をとろうとしたその時だった。妹の腕がいち早く伸びて…
ぴっ!
『おかけになった電話番号の契約者は現在妹と愛の逃避行中です。馬に蹴られぬ内に回線をお切り下さい。というかこちらから切りますさようならもう話す事もないでしょう』
ぴっ!
「……」
『…』
見つめあう二人。
『ふふ…お兄ちゃんっ!』
ビシィッ!と 親指を突き立てる妹。
『さぁ有言実行!愛の逃避行といきましょう!!』
「いくかぁぁぁぁぁあああああああああああっっ!!!」
「お前は何をしているんだ!何だ愛の逃避行って?!え?!?」
『わかってる癖に……辞書、持ってきましょうか?』
「そぉおーゆぅうう話しじゃあぁあないぞーーっっ!!?」
『……ごめんなさい。一度、やってみたくて…』
「あははそっか☆」
『はいっ☆』
ゴスッ!喉仏に突きをお見舞いする。
『ごぇっ』
「ったく…はぁ…。…。…着替えるから出てけよ」
『……えっ?…じゃあお兄ちゃん…!』
「あぁもうわかった観念するよ、行―――――
『着替えさせてくれるんですね!!!?』
「ちがうわぁああああああああぁあぁあああ!!」
ゴスッ!
『ぎゃぇっ』
興味深いな、続けて
というかお出かけはどこかね?
続きはおまいの脳内で
『兄貴ィィィィィ!!』
「うぉ!?」
突然、休み時間の余暇を楽しんでいた所に突如現れる。
『体育着貸せェェェェ!!』
「まてぇい!他の女子から借りればいいだろ!」
『いやぁ〜、今日あたしらの学年全クラスで体育なのに忘れちゃってさ〜』
「なら別の学年からだな…」
『先輩達、体育ないって〜』
そういえば男子だけ外でサッカーだったような…
「さっきまで体育だったからかなり濡れてるぞ?」
『なっ…!?そ、それでいいから貸しなさい!(ハァハァ…)』
息が荒くなっている。
「マジで?」
『え、えらくマジで(ハァハァ)』
「んじゃ、ほいよ」
『サンキュゥゥゥ!』
そのままダッシュで廊下を走り去る。
「よかったのかなぁ…?」
後々後悔するのだが、今は話さない方がいいだろう。
先生「ちょwwwお前何着てる!?w」
『え?兄貴のですヨ…』
先生「あとニヤニヤ&ハァハァしすぎ」
『うへへ〜』
周りの人A「あの子ブラコン?」
周りの人B「みたそうね…」
その日の妹はとてもよい記録が出せたそうな。
『ねぇ、早く入れてよ…』
「そっちからこいよ」
『え…?わ、わたしから?やだ、恥ずかしいよぉ…』
「そういうのもういいから。早くしてくれ。さっさとイくぞ」
『さっさとイくって…嫌だよ』
「なんでだよ」
『おにぃとゆっくり楽しみながらイきたいの』
「俺はさっさとイきたいんだよ…」
『…なんで?』
「ゆっくりイってたら結構体、濡れちゃうだろ」
『イイじゃん別に…おにぃと濡れあうのも悪くない』
「…もういい」
そう言って妹の背中に手を回し強引に抱き寄せる。
『あんっ、もう…乱暴しないで…』
「さっさと帰るぞ。ったく、次は傘忘れんなよな」
そう言い捨て校舎を後にした。
「じゃあ、もう行くよ」
兄が私に振り向き、言う。
兄の上京――――――――
いつか来ると待ち構えていたけれど、やっぱり嫌なものは嫌だった。
『上京して一人になっちゃうけど、大丈夫なの?』
「はは。その台詞、今日だけで何回目だよ?」
あっ。となった。顔が赤らんでいくのが自分でもわかる。
『…わ、悪かったわね…』
「…。父さんと母さんによろしく言っといてくれ」
『う、うん。あの二人も休日に仕事が入るなんて残念だよねー、あはは』
無理に笑う。そうしないと泣いてしまいそうになるから。
「…それじゃあ」
『あ、お兄ちゃん…』
「うん?」
『…ううん。な、なんでも…』
「?」
手を振る兄。閉まりだす電車のドア。
気付けば私は兄を追って――――
「髪型変えようかな……」
雑誌を見ながら、ポツリと呟く妹。
「え……?」
「お兄ちゃん。そんなに私が髪型変えるのおかしいですか?」
「おかしいっていうか、何で今になって?」
「意味はないですけど……暑いし、イメージチェンジに」
「ふーん……ま、好きにしたら?」
「……」
「どうした?」
「お兄ちゃんは、どう思います?」
「は?だから好きに……」
「そういうことじゃなくて!」
「どういうこと……?」
「……お兄ちゃんは、どういう髪型が好きですか?」
「考えたこともない……」
「たまにはバッサリ切ってみても可愛いかなー?」
「……」
「それともパーマとか」
「……」
「あ、髪を染めてみるのもいいかも知れませんね」
「……」
「……どうですか?」
「俺は……」
「うん」
「俺が贈ったヘアピンを使ってくれてる髪型だとうれしいな」
「え……?」
「ほら、ちょうど今みたいな」
「……お兄ちゃん……?」
「ま、髪型は好きにしたらいいよ」
「うん……!!」
ふんふんふー
『いい、メロディーだな』
私の鼻歌に反応する兄
『よく口ずさむよな、ソレ。なんて歌なんだ?』
お兄ちゃんなら知っていて当然の曲なのに。兄の言葉が、私の胸を締め付ける
「ん、とね……この曲は……」
兄が妹へ贈った歌。そう答えた
『……あ…』
「……お兄……ちゃん?」
私の言葉に何かを感じ取ったのか。何かに気付いた、感づいたような声をだす兄
『…はは…』
気付くと兄の目には涙が浮かんでいた
『歌詞が……でてこねぇや。………俺が…』
「…」
『俺が作った歌なのに……!』
嗚咽をもらす兄。もう見ていられなかった
「…っ…」
『……』
「お兄ちゃん……!!」
涙で霞む兄。ふと、白い天井を見上げる。釣られて私も見上げた
『……記憶障害…なんだ…よな。それすら忘れてたよ。事故で頭ぶつけて…って、何の事故だったっけ?あはは』
「…」
『…あのさ。俺の記憶がある内に…頼みたい事があるんだ』
「…頼み?」
『……俺はもう死ぬだろうから』
「お兄ちゃん!!」
ガタッと立ち上がる。悲しみよりも怒りが勝った。助かる可能性が無い訳じゃない。兄に生きて欲しいと願うから。だからこそ、叫んでしまった
『聞け!!!…俺の……俺の棚に陳列されてある辞書のカバーを外すとエロ本が隠されてるんだ。それ、処理しといてくれ、いやまじで。あんなの置いてちゃ死ぬに死ねねぇ!!』
「は?…………………ぷっ」
『な、なんだよ!』
「……自分で片づけなさいっ」満面の笑みで、そう言った
「ただいま」
ウキウキ気分で帰宅。そりゃそうだ。なんてったって今日から夏休み。宿題?…知らんな。
「…?誰も居ないのか?」
やけに静かだ。俺はリビングに駆け寄り、ガチャリとドアを開いた。
『あ…おかえり、兄貴』
そこには、妹が一人、テーブルに肘をつきながら棒状のアイスを頬張っている姿が。
「母さん達は?」
『海外赴任。二人ともね』
マジかよ。そういやそんな事言ってたような言って無かったような…。
『親の話しはよく聞こうね、兄貴』
俺の心中を察したかグサリと突き刺さる一言。伊達に俺の妹をやっているワケではないようだ。
「…ふっ。しかしそんな嫌み、これから始まる俺のサマータイムのおかけで全て受け入れられるぜ…」
『何ブツブツ言ってんの……?あ、あとお姉ちゃんだけど』
姉貴か。そういや居ないな。
「遊んでから帰ってくんのか?」
まだ時間は昼過ぎ。どっかでよろしくやってんだろう。
『や、お母さん達、海外赴任でしょ?それをいい事に彼氏の家に泊まるって…』
なん…だと…!?まさか彼氏とよろしくやっているとは…。
「じゃあ当分は二人暮らしか」
『いや………実は、私もさ、彼氏の家行くから…さ』
…
…
「なん…だと…?!」
866 :
続き:2010/07/02(金) 00:45:27 ID:dnNdcJuM
「お兄ちゃんは許しませんよ!!!!?」
『お、お姉ちゃんの時とはえらい違いだね…』
そりゃそうだ!可愛い妹だもの!
「そりゃそうだ!可愛い妹だもの!」
思わず口に出してしまった。きゃっ、恥ずかしいっ☆…って、んな事より彼氏がいたなんて初耳なんですけどぉおおっっ!?
『……ま、ま…まぁ、冗談なんだけどね』
「…はっ?」
『…冗談』
何故か火照りながら言う妹。オイ夏風邪か?
「…んだよタチ悪いなぁ…」
安心したのか、脱力感が俺の全身を駆け巡る。思わずその場にしゃがみこんだ。
『どんな反応…するかなって…。ま、まさか兄貴があんな反応するとはブツブツ』
何だかブツブツ言っていてよくわからない。まぁいいや。
「腹減った」
『ん』
食べかけのアイスをこちらへ差し出される。
「いらんわっっ!」
そう言って冷蔵庫の方へと足を進めた。
『……ねぇ』
「んー?お、見事に何もねぇな」
『…な、何で私とお姉ちゃんで反応が違ったワケ?』
「…」
『…』
「……さぁ?」
『なっ、なによそれ…バカアニキ…期待して損したじゃないブツブツ』
「…?」
なんか言ってる。まぁいいや。
「買い物行くぞ」
『あ、うん』
妹と俺。当分は二人暮らし。一体どうなる事やら
お久しぶりです。
>>800-802の続きです。
前回のがアレだったんで、急遽です。
───────────────────────
駅から少し歩いた、とあるマンション。
エレベーターを降り、自室前のドアに鍵を差し込む。
……手応えが無い。
確か朝はちゃんと鍵をかけてきたはずだが。
「……ということは」
残念なことに犯人の目星はついている。
溜息とともにドアを開ける。
「……お」
開けたドアから、醤油と鰹出汁の匂いが漂ってくる。
「にいさま?にいさまですか!?」
部屋の奥からそんな声が聞こえた。
「あぁ、ただいま……」
と答えてみる。
声の主は部屋の奥でドタドタ音を鳴らした後、玄関に全力で駆けてくる。
「にいさま!おかえりませいませ!!」
流れるように玄関前に膝を付き、三つ指付いてお出迎えをする妹。
俺は一切それには触れず、
「どうやって入った……?」
「大家さんに事情を話して入れてもらいました!」
馨の何とも嬉しそうなお顔だが……こちらとしてはセキュリティの甘さに身の毛がよだつ思いだ。
「妹だって話したら、似てるね!って言われちゃいました!!」
「お世辞に決まってるだろ……血の繋がりもないのに」
疲労のせいか、マズい事を言った!と気付くのがワンテンポ遅れた。
前に同じようなことを行って塞ぎ込ませてしまったのを思い出す。、
いつでも謝る姿勢をとりながら、妹のほうを見ると、
「ふふん、にいさま。馨は大事なことに気付いたんですの!」
なぜか自慢気。
「はぁ?どんな?」
拍子抜けながらも、気になって尋ねた。
「双子は顔がそっくりでも性格が違うように、遺伝子が同じでも人は変わるんです!」
「うん……それで?」
「逆をいえば、にいさまと馨はずっと一緒に過ごしてきたんですから、二人が似てきても不思議じゃありません!」
何だか嬉しそうな馨。
そして、ゆっくり立ち上がって
「にいさま。馨にとっては、にいさまと一緒に過ごした時間が、にいさまとの兄妹の証なんですよ?」
「あぁ……」
「これからも一緒にいましょう、にいさま?」
「……」
馨の甘ったるい顔に耐えきれず、目をそらし、靴を脱いで、家に上がる。
だが、まぁ……
「合鍵、無くしたりはしないよな?」
「え……っ!?は、はい!!絶対大事にします!!」
「明日作ってくる」
「あっ!!はい!!私も明日来ます!!夕飯作って待ってます!!」
「冷たいのにしてくれ。明日も暑いらしいから」
「はい!にいさまのお願いなら!!」
服を脱ぎながら、妹と会話。
あとは、ウチの同居人にお伺いを立てないとな。
お兄たちGJなんだから!
『兄貴、これなんて読む?』
(汚兄ちゃん)と書かれた紙を出される。
「おにいちゃん?」
『お、正解〜』
ブスッ
『目がァァァァァ』
「全国(俺を含む)の兄貴に謝れ!!今すぐ謝れ!!」
『ニコ○コ動画のタグだからいいじゃん!!』
「御馳走様」
箸をおき、食卓から立ち上がる。
「お粗末様。どうだった、新メニュー?」
先に食べ終わっていた妹の遥はエプロンを装着しながら、俺に尋ねる。
「あぁ、美味かった。やっぱり遥が作るのが一番だな」
「あはは……褒めても何も出ないよ?」
照れくさそうに目を逸らす遥。
つい言ってしまった言葉だが、お互いに褒め慣れても褒められ慣れてもいないためギクシャクしてしまう。
「あ、お兄ちゃん。お茶碗、水に浸けといてくれる?」
「あぁ、分かってるよ」
「それと、お風呂沸いてるから、すぐ入っちゃって」
「おぅ」
「あと、明日から二人で旅行だから、準備しといてね」
「了解……んっ?」
『明日から二人で旅行』……?
「……遥、今なんて言った……?」
「明日から二人で旅行?」
「うん、それ。で、旅行って……何?」
「明日から、二人で海に」
「何で!?」
「お父さんとお母さんがホテルの宿泊券くれたから」
「……何故俺には何も言わない……」
「絶対嫌がるから言うなって……」
……なんてヤツら……俺の性格を分かってやがる……。
「行きたくない?」
「行きたくない」
「何で?」
「……俺みたいな日陰者の行くところじゃない……」
「言うと思った……」
うんざりしたと言いたげな遥。
どうせ語彙が少ないよ、俺は……。
「ならば、なぜ俺を海に連れて行こうとする!?」
「お兄ちゃんにもメリットがあると思うんだけどな」
「メリット?」
「あきらさんや宮原さん達に会わなくて済むじゃない?」
ん?それは確かに大きなメリット……。
だが、しかし……。
「……待て、遥……このノリ、海でも一悶着ある気がする……」
「大丈夫でしょ。万が一海で女の子に会っても、こっちに帰ってきちゃえば問題ないじゃない?」
「いや、普通に越してくるぞ、こっちに。で、絶対に同じ学校だ」
「そんな偶然あるかなぁ……」
「今更何を……今年の夏は確実に女関係の運が悪い」
『今年の夏は』で済めば良いのだが……。
「うーん、無いと思うけど……もし、そんなことになったらお兄ちゃんに協力するよ」
「……」
あんまり気が進まない……。
「行かない?」
「気が進まない」
「行こうよ。遥はお兄ちゃんと行きたいよ」
俺とねぇ……。
しかしまぁ、遥がここまで言うなら……。
「たまには……遥の役にも立たなきゃな」
「行ってくれるの?」
「遥の頼みだ、今回は仕方ない。ただ、そうそうあることと思うなよ」
「うんうん!じゃ、準備しなきゃ!!」
嬉しそうな遥。
珍しいなと思いながらも……やっぱり嫌な予感は……消えない……。
───────────────────────
最近良くお目にかかります。
えっと。別に狙って書いたわけじゃありません。なぜなら二年前に書いたから。
タイミングは完全にアレを狙ってますが。
久しぶりにネガティブ兄の台本になります。いいですね、この兄は。
どんなものか知りたければ、このスレを検索してください。
待望の遥ルート!!!!
遊星殿GJです
広い部屋。
高級そうな和内装。
大きな窓。そして広い海。
「……」
落ち着かない……。
大体、子供二人で泊まるようなホテルじゃない……。
一旦チェックインしたら、遥はどっか行っちゃったし……。
「色々見て回るか」
……部屋の中を、だが。
今いるここがまぁ、メインとなる部屋だろう。
隣の部屋へと続くであろうふすまを開ける。
掘り炬燵がある……まぁ、夏なので布団は無いが。しかし、どうやら遥もいないようだ。
「……暗いな」
窓の方を見ると、障子のようなものが日差しを遮っている。
隣の部屋から察するに、この先にはベランダのようなものがあると見た。
バカと煙は……という法則に則り、ブラインドを開けベランダに……
「きゃっ!?」
……遥の声。
「あぁ、遥。ここにいたのか」
声のするほうに振り向くと、なにやら木製の箱に水。そして、さらにその中に肌色の遥。
平たく言えば露天風呂付き個室。
なるほど、初めて見た。
「……え?……う、うん……」
「露天風呂か、なかなかいいじゃないか」
「……!?」
俺の顔を見ながら口をパクパク動かす遥。
「どうかしたか?」
「あっと……えっと……」
珍しく歯切れの悪い遥。
まぁ、そんなこともあるのだろうとキョロキョロと辺りを見回す。
遥の服と下着……なるほど、服はここで脱ぐのだな……。
「お、お兄ちゃん……あんまり……」
「何?」
「……なんでもない……」
「?」
もしかして……避けられてる……。
「じゃあ、俺行くから」
まぁ、ここはもう見るもの無いしな。
「あ、うん……」
やっぱり浮かない返事の遥。
俺……何かしたかな……。
───────────────────────
続きを貼るのをすっかり忘れてました。
一応まだまだ続きます。夏が終わるまでには終わらせたいですね。
妹が、あゆが死ぬ…
そう聞かされて、俺は呆然としていた。
「もう長くはないでしょう、今日生きれればいいぐらいです。」
医者からそう告げられた。
『お兄ちゃん、あゆ、退院したの?』
「あぁ、また家で一緒に暮らすんだ。」
妹が今日死んでしまうなら、今まで一緒に暮らしていた家にいさせてあげたかった。
…妹の病気は突然発覚した。
学校の検査で引っかかっただけだったのに、病院で精密検査させただけなのに…
元気そうな妹は、最近見つけられた極めて珍しい病気にかかっていた。
世界でも1〜2人しかかかっていないらしい。
元気な子でも突然死ぬ。そんな病気に何故、妹が…
俺達の家族は、事故で死んでしまって俺と妹しかいない。
俺が働いて、妹を養わせる。2人になってしまった時、そう決めた。幸せにしてやるって決めたんだ。
街へ、海へ、あゆが行きたい所へと行った。空が暗くなる。今日が終わる。
『お兄ちゃん、一緒に寝てくれる?』
「そうだな、ずっと病院で1人だったもんな…。」
互いに寄り添って、温もりを確かめ合う。
『明日も遊ぶよね、お兄ちゃん。』
「あぁ、、、」
明日があるなら、あげられるなら、明日をあげたい。
『おやすみ、お兄ちゃん。』
寝息が聞こえる。このおやすみも、最期を意味するのだろうか。
『お兄…ちゃ…ん』
「どうした!?」
『トイレ…』
「…」
今までの緊張が一気に緩む。とりあえず、トイレに連れて行く。
時計の針は進んでいく。
壁を殴る。
「俺には…何も出来ないのか…?」
妹が出てきたから布団に戻る。
「あゆ…」
妹を抱きしめる。
『お兄ちゃん…大好き…。』
そう言って抱きしめてくる。
「ぜったい幸せにしてやるって…な…」
冷たくなっていく体をずっと抱きしめていた。
俺は何もできない。そう思っていた。本当にそうだったのか?そうじゃなかった。できた。だが、認められなかった。
今なら認められるか?今なら。
泣いてる俺の辺りが白くなる。
次の朝、妹を守るように、白い羽根が辺りを覆っていた。
『お兄ちゃん…?』
思いつきで書いた。この最後の文の続きは貴方が考えている通りです。
深夜にいい年ぶら下げたオジサンを泣かせるでない
「お兄ちゃん、準備できた?」
掘り炬燵の部屋から現れた遥が唐突に切り出す。
「何の?」
「海」
「……え?」
「あ……そっか。私が持ってたんだった」
一旦消えた遥。
そして現れたとおもいきや、
「はい、ゴメンね」
……変な布を手渡す。
「……何?」
変な布と遥の顔を見比べながら尋ねる。
「水着」
「何で?」
「お兄ちゃんにまかせると絶対持ってこないから」
「いや、そうじゃなくて……何故水着が?」
「泳ぐから」
海……泳ぐ……?
「嫌だ!!絶対嫌だ!!」
「何で?」
「場違いだ。場違いの極みだ!!」
「そう?黙ってれば普通だと思うけど」
「俺ほど醜い人間がいるか!!」
「ネガティブだね……誰も気にしないって」
「だとしても……無理だよ……そんな華やかな場所には耐えられない……」
「はぁ……じゃあ、恋人って設定にしよう!それなら場違いじゃないよ?」
「こ、恋人っ……!?」
何だ、この語感から感じる眩しさは……!!
……負けた……もう動けねぇ……。
「……負けた」
「え?行ってくれるの?」
「……違う……無理だ……もう立てん……」
「何で……?」
「眩しすぎて……死ぬ……」
「お兄ちゃんは、本気なところがすごいんだよね……」
呆れ顔の遥が、細いため息を吐く。
「全然嬉しくない……」
「まぁ、褒めてないからね」
うんざりした様子の遥。
グッタリした俺。
「アレか……彼女はまぁまぁだけど、男はねぇー……って言われたりとか……
可愛い女の子に不細工な彼氏がいるのって世界の七不思議の一つだよねー。っていわれるんだ……」
「お兄ちゃんは私のこと褒めてるつもり?」
「相対的に……」
「喜んで良いのかな?」
「……嬉しきゃ喜べば……?」
「じゃあ、ダメだ……」
ため息の遥。
そして、
「……一人で行っちゃおうかな……」
ボソッと呟く遥。
「いや……それは……」
不味いだろう、女の子一人じゃ……。
「じゃあ、どうする?遥は一人でも行くよ?」
「……分かった……耐える……」
「ありがと。恋人設定は?」
「断固拒否だ」
「言うと思った。さ、隣行ってるから着替えて。で、早く行こう?」
……流された。
───────────────────────
海。
海……。
「海なんか消えてなくなれば良いのに……」
「お兄ちゃん……そういうこというと気持ち悪いと思われるよ……」
そういう独り言に限って、聞き逃してくれない遥。
ちなみに……ビキニ姿の隣の遥を、直視することが出来ず、何だか変な方向を眺めている。
「そうだね……」
言葉にすら力が入らない……。
「とりあえず、幸せな人間が憎い……」
「やめてよ、そういう発言」
「……自然に出てくるんだ……」
どんどん暗い……。
「楽しもうよ、せっかく来たのに」
「どうやって……」
「お兄ちゃんも男なんだから、こう……水着の女の人とかに鼻の下伸ばしたりとかしないの?」
「逮捕されないか……?」
「されないと思うけど……」
「少なくとも、言葉の暴力あたりは受けそうだな……キモいとかなんとか言いたい放題言われた挙句に……」
んで……あぁ、やっぱり警察沙汰……。
「……遥のハダカ見たくせに」
「何?」
ポツリと呟く遥。唐突すぎて反応できなかった俺。
「別に。妙に納得した」
「何を?」
「女の子にしか分からない話」
「ならいいや」
絶対に分からんからな。
「まぁ、騙されたと思って遥と遊んでみようよ」
「気乗りしない……」
「でも、ジッとしてる方が逆に変だよ?」
「だろうな……」
「覚悟決めちゃえ!」
「覚悟……」
「ほれほれ!」
水をかけてくる遥。
それに対し、
「……悪かった……」
「何がっ!?」
「いや、何か怒らすようなこと言ったかと……」
「そのリアクションに驚きだよ……」
「どういうリアクションが正解なんだ……?」
「『あ、やったなー!この〜!』みたいな……」
「……要求する所が高い……」
「だよねぇ……」
呆れている遥。
そんな遥に俺も半ば呆れている。
「私と一緒じゃ嫌?」
「そんなことはないが……」
女に縁の無い男が考える、女のキラーフレーズ。俺にも、兄にも有効。
「じゃあ、行こう?」
「仕方ない。泳げないと思われたら嫌だしな」
「うんうん。行こう行こう」
遥に連れられ、大嫌いな海へ。
……あぁ、気が重い……。
───────────────────────
長かったけど、やっと太陽が沈んだ。
日頃から日の当たる道を歩けない俺だが、今日ほど太陽が憎かったことはない……。
「あははっ!!楽しかったね!!」
海水浴場からの帰り道、テンションの上がりきった遥と、
「俺は気まずくて死にそうだったよ」
テンションの下がりきった俺……。
「そう?よく遊んでたじゃない?」
「一種の擬態だ」
そして、擬態も楽ではないのだな。
「お兄ちゃんは……楽しくなかった?」
「このリアクションで分からないか……?」
「そっか……」
悲しそうな声の遥。
少しミスったかなと後悔していると、
「ありがとう」
「は……?」
「遥のワガママに付き合ってくれて」
「あ、あぁ……?」
「私は楽しかったよ。お兄ちゃんが楽しくないのが残念だけど……」
自然に俺の手を握ってくる遥。
「でも、ありがとう」
コイツは俺如きに、なんて笑顔を見せてくるんだろう……。
笑顔の浪費家め……。
「……いや、俺こそ……遥にしてもらってること考えたら、これじゃ足りないくらいだ」
「……」
あ、凄い嫌な顔……。
「じゃあ、明日はもっと付き合ってもらおう!!」
「は!?」
「ううん、今晩もしっかり付き合ってもらう!!」
「……」
抜け目ないなぁ……。
「まぁ……いいか」
今日は遥の休日だ。
そう思うことにして……これから起こることに対して少し身構える……。
───────────────────────
夕飯を食べ終え、テレビでも見ながらお茶をすする。
……若さが無いなと、少し苦笑いしたとき
「お兄ちゃん退いてー。布団敷くからー」
「あぁ、悪いな」
ゴソゴソと布団を敷き始める浴衣姿の遥。
……しかし、そこには大きな落とし穴が
「何故二人分?」
「え?だって、向こうの部屋、掘り炬燵があるから布団敷けないし」
「あぁ……」
何となく別々の方がいい気がしているのだが……。
「まぁ、遥が良いなら良いか」
「え?何の話?」
「別に……もう寝るのか?」
「うん。疲れちゃったから」
「じゃあ、俺も寝るか……」
「あ、いいよ。私、明るくても……」
「気にすんな。遥に付き合ってやるよ」
「……そう?」
といいつつ、布団も既に敷き終えて、明かりを消す気満々。
テレビを消してその布団に潜り込む。
待ってましたとばかりに電灯の紐を引く遥。
「ふぁ……疲れたね、今日は」
興奮冷めぬ口ぶりの遥が右のほうから聞こえる。
「まぁ、あれだけはしゃげばなぁ」
「うん。楽しかったよ。お兄ちゃんのおかげだね」
「……」
不意打ち……。
「どうしたの?」
「あまり日陰者を褒めるな……褒められるのには慣れていない」
……。
突っ込みなし……?
「ねぇ、前から聞きたいことがあったんだけど」
「何?」
「お兄ちゃんはよく自分のこと日陰者とかいうじゃない?じゃあ、お兄ちゃんが陰なら、私は何?」
「ん……まぁ……光……的な」
拒絶ワード:光。
吐きそう……。
「そうかなぁ……」
「そうだよ」
「じゃあ……それでもいいや。でもね、お兄ちゃん……」
「……?」
「でも、忘れないで。私が光なら……私を私に作ったのは、間違いなくお兄ちゃんなんだから」
「……だから褒めるなって」
「うん。だったら、少しずつ慣れていこう」
「キツいな……」
まさに褒め殺し……。
「お兄ちゃん?」
「ん?」
「一緒の布団で寝ても良い?」
「何だよ、今日は……やけに接近してくるじゃないか」
「あきらさんや宮原さんたちと一緒に居ることが最近多いからね……今まで一緒だった身として、ちょっとジェラシー」
「正直な奴……。まぁ、遥が良いなら俺は何でも良いけど」
「へへへ、お邪魔します」
俺の布団に転がってやってくる遥。
……暑苦しい。
「光があるから陰がある。私たちって、ある意味バランスとれてるのかもね」
「そういえば聞こえは良いが……」
「……が?」
「結局俺が遥の足を引っ張ってるんだよな……」
「……んー……そういう話じゃ無いんだけどなぁ……」
すっかり呆れてる様子の遥。
「相手が俺だから、仕方ない」
「ネガティブだね」
「褒めても何も出ないからな」
「……」
何故黙る、妹よ。
「……」
「お休み、お兄ちゃん」
「お休み」
───────────────────────
長めですが。まだ続きます。
少しペースを上げないと、夏が終わってしまいそうなので。
あとはスレの容量が持てばいいですが。
シベリアに抑留されてたのでGJできませんでした
というわけで遊星殿GJ!!!!
「……」
眠れない。
この状況で、眠れるはずが無い。
「すぅ……すぅ……」
……抱き癖があるとは聞いて無いぞ、遥。
「くすっ……」
俺の頭を抱く力を少し強めて、ちょっと笑った。
どうしよう。
エアコンのタイマーが切れて、少し熱いこの部屋。
遥の寝息と、妙にうるさい俺の呼吸音と。
「いいよ……」
何が。
「お兄ちゃん……」
何が?
「……遥は……んぅ……」
……寝言に突っ込みいれるのも野暮だが。
さて、どうしたものか……。
「……」
仕方ない。ゆっくり動いて、脱出しよう。
……と思ったのもつかの間。
「お兄ちゃん……風邪引くよ……」
抱き寄せる力がグッと強まり、俺は遥の胸の中に……。
遥の匂いが鼻腔を通じて肺の中を満たす。
起きてんじゃねぇのか、コイツ……。
「妹なら……問題にならないのか……?」
ふと、裁判沙汰の四文字が頭に浮かんだ瞬間……。
痛たたたたたたたたたたたたたたたたた!!
もはや、抱き寄せるというより、ベアハッグに近い。
「お兄ちゃん……!」
「……」
口が塞がって、何もいえない。
息が苦しい……。
何、俺が悪いことしたか!?
「今日は……一緒なんだから……。放さない……」
「……」
全く、急に寂しがりになりやがって……。
「……」
少し話をしようと思ったが、この位置では物も言えない……。
仕方なく、遥の腕を軽く叩く。
「お兄ちゃん……?」
分かってくれたようで、ちょっとだけ力が弱まる。
その隙に、顔を胸前から顔前に移動させて、
「んなことしなくても……離れやしないって」
「……ホント?」
「ま、認めたくはないが、お互いブラコンでシスコンだしな……」
「へへへ……」
くすぐったそうに笑う遥。
寝てる人間にクサいことを言って、心の底から恥ずかしい俺。
……明日には忘れていたい。
「だからいい加減放せ……苦しくて眠れん」
「うん……」
寂しそうな声。
これをほっとけない辺り、俺も立派な兄だね。
「手ぐらいは繋いでやるよ……」
「うん」
黙って、遥の手を握る。
……ちょっと冷たい。
───────────────────────
遊星殿GJ!!!
遥みたいな面倒見のいい妹がほすい
ヤバい素晴らしいよ
こんな投下があったのに規制でGJを書き込めなかった…
「嫌だ!!絶対嫌だ!!というか無理だ!!」
「えー?なんで?海には行けたじゃない?」
「レベルが違う!!」
「水族館はそんなにレベルが高いの?」
「高い!高すぎる!!」
「違いが分からないんだけど……」
「海に行く理由はまぁ、如何わしい理由以外にも色々あろう。が、水族館はなぁ……」
家族連れorカップルじゃないか……。どっちも嫌いだし……。
「じゃあ、他にどこか行くところある?」
「……」
「もう一回海に行く?」
「え……」
さすがに……もう……。
「魚見に行くだけだよ?生物の勉強みたいなものでしょ?」
「生物、履修(と)ってないし……」
「私はやってるよ。じゃあ、決まりだね。行こう。生物の勉強に」
「えぇ……」
生物の勉強(魚類限定)……乗れないなぁ……。
あまり良い顔をしていない俺に対して、遥は
「お兄ちゃん」
「ん?」
「私に付き合ってくれるんでしょ?」
「はい……そうでした……」
まさに切り札……というか、拒否しすぎですか、俺……。
「謹んでお供させていただきます……」
「そ、そんな硬くならないでいいから」
「お姫様扱いはご不満か」
「それじゃ面白くないじゃない?いつもみたいなのでいいよ」
「それはそれで……」
というか、意識するとどうにも……。
「まぁまぁ、行ってみたら面白いかもしれないよ?よし、行こう!」
「……」
遥の頼みは……断われませんものねぇ……。
───────────────────────
「でか……」
大きさ。というのは、最も単純であるが、最も説得力のあるパラメータである。
大きくすれば良いというものではないとは重々承知だが、それも突き詰めれば何もいえなくなるわけだ。
「お兄ちゃん……」
「ん……?」
「固まってるよ」
「あ、あぁ……大きいな」
「驚いたでしょ?」
「まぁ……」
自分の気持ちを相手に悟られるのはあまり良い気分ではない。
まぁ、その相手が遥なら慣れるべきだが。
「もう行くいこう?早くしないとイルカショーに間に合わないよ」
「イルカ……」
「どうしたの?」
「アイツら……目が怖い。あれは人を馬鹿にしている目だ」
「動物にまで劣等感を持たなくても……」
やはりというべきか、遥の共感は得られなかったようだ。
呆れる遥。
呆れながらも、しっかり俺の腕を掴んでいるあたり、俺のことを分かってる、と言わざるを得ない。
逃げ場は無いし、もともと選択権が無いのだということをこれで思い出す。
それにしても……何だろう、この腕の感じ……。
「……!?」
三度目の衝撃。
一度目は目で。二度目は顔で。三度目は腕で……遥の柔らかい部分を感じた。
まぁ、意識したのは今回が初だが……。
「は、遥……?」
「何?」
無垢な顔。
……そっち方面の感情を持っているのは俺だけか……。
そうなると余計言えない……。
「行くから……手、離してくれよ……」
「どうしたの?急に……」
言える訳がない。
「イルカも……悪くないかもしれない……」
「そ、そうなの?何だか、微妙な顔してるけど……」
「気にするな……行こう……」
俺、もう人としてダメかも……。
───────────────────────
遊星さん乙です!!!
しかしネガティブ兄は実妹しか女性は無理な身体なんだなw
「……はぁ……」
夕日を背景に、ため息をつく遥。
ため息は俺の専売特許では……。
「どうした?」
両手に二人分の旅行鞄を持ちながら、そんな遥に尋ねる。
「……あっという間だったな、って……」
本当に寂しそうな面の遥。
「そんなに楽しかったか?」
「うん……でも、仕方ないね」
「まぁな」
正直なところ、そんなことはどうでもよく、はやく両手の重量から開放されたい……。
「帰るぞ」
「うん……」
とは言うものの、やはり口調は重い。
夕陽が、遥の憂いを帯びた表情にさらに影を作る。
しょうがないやつ……。
「あのな、遥……」
「あ、うん。分かってる。分かってるよ、帰ろう」
「いや、そうじゃなくてだな……」
荷物を置く。
「言いたいことがあるなら、はっきり言えば良い……まぁ……」
遥の目を見る。
「今回は何が言いたいかは俺でも分かったけどな」
「……?」
「今から入れる宿探すぞ」
「え……」
「ダメなら潔く帰るからな!!」
「う、うん!!」
痺れる腕を少し振って、再度荷物を手にする俺。
その後を、跳ねるようについてくる遥。
「ねぇ、お兄ちゃん」
「ん?」
「今夜は何食べようか」
「宿が決まったらガイドブック見て決めよう」
「ねぇ、お兄ちゃん?」
「んー?」
「ホテル、空いてるかな?」
「まぁ……贅沢言わなきゃ大丈夫じゃないか。保障は出来んが」
「うん。あるといいね」
「出来れば、シングルを二つとれればいいがな……」
「何で?」
「……」
赤く染まる駅を背に、海に向かって坂を下っていく。
……まぁ、とんでもない安請け合いをしたものだと思いつつも、期待を持ってしまう。
変な気起こさないといいけどなー、俺。
───────────────────────
長きに渡ってお邪魔いたしましたが、今回の話はこれで最後。
随分前に書いたんですが、ずっと貼るタイミングを見失ってまして。
僕も久しぶりに読んだので、自分自身楽しめました。
遊星殿、毎度GJです!
細かいことを気にせず投下して頂ければ幸いです
待ち望んでますゆえ
規制解除来たー
遊星さんGJ!
904 :
名無しくん、、、好きです。。。:
ほ