脱糞に疲れて、ふと窓の景色に目をやった望は、俺の存在に気が
つくと、困ったような、はにかんだような曖昧な笑みを見せた。
といっても、望には実際、俺が誰なのかすら既に分かってはいな
いだろう。
ただ、窓の外に写る珍しい景色の1つとして、俺を見ているに
過ぎない。
沈黙の中で、俺は望を、俺が愛した女を見つめ続ける。
狭い部屋の中で毎日、5kgもの食物を食っているというのに、
望のスタイルはおよそ、崩れるということを知らない。
可愛い望。美しい、俺だけの望。
俺も笑みを返して、10分ばかり見つめ合ったのち、望は俺に
飽きたのか、また食物と糞便の山の中に引き返す。
望が元に戻る可能性は、万に一つも無いだろう。
でも、俺は望を一生、愛し続けていくつもりだ。
例えIOCが見捨てても、俺が人生の全てをかけて、
彼女を守っていく。
あの木の伝説が永遠であるように、俺達の関係も
永遠なのだから。
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