★☆★White Princess the second★☆★

さて、一人でいるのも寂しいし。俺は誰に付き合うかな。

「せっかくだから鳴海」

よし、せっかくだから俺は鳴海を選ぶぞ。
って、ちょっと待て芝原圭介。
ここで鳴海を選んでどうする。こんなに沢山の美少女に囲まれてるのに、何が悲しくて男に付いて行かなきゃならんのだ。
それに何だかこの選択は、俺やみんなの関係にとって、後々すごーく重要な意味をもつ予感がする。
ここで鳴海を選んでしまうと、俺は何だか一直線に大事なものを失って、新しいものを手に入れる、そんな気がするのだが……

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

男たるもの初志貫徹！守りに入った人生なぞ面白くもないわい。
さぁ行こう、鳴海の元へ！
素敵な世界が俺を待っているに違いない！！
………………。
…………………………。
……というのは、やはりどうかと思うわけで……

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

男に二言はない！
ってこれ既に二回目だったな。

二度あることは三度ある。
ってことは………

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

いえーい！仏の顔も三度まで！！
しかし、三度しか耐えられないとは、昔の人も心の狭い……
俺なら仏の顔を20回はキープ出来るだろう。
ああっなんて心の広い俺なんだ……

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

選ぶさ、四度だろうと五度だろうと……
しっかしなんだな、こんなに俺が一途に選択肢を選び続けているというのに、まったく進展しないのはどういう訳か。
何か、神の視点から制御されているような、そんな気がしてくるな。

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

圭介「鳴海〜〜〜！」
………………
………………
ざざ〜ん。
………………

………………
ざざざ〜ん。
俺は何をしているんだ……

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

うぉぉぉ！！またしてもハズレな空気！！
しかしながらこんなことで諦めたりはしない！！
俺の名は、初志貫徹男ことジェファーソン！
もはや、自分が何を言っているかもわからなくなってきたか……

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

ここまで俺が電波を飛ばしているというのに、鳴海のヤツ一向に姿を現さないな。
きっと恥ずかしがって出て来ないのか、もしくは……
俺から電波が出てないな、ってか普通出ないわな。
次はもうすこし作戦を立てて挑むとするか……

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

そう、作戦だ。闇雲に突撃するだけでは、ただのガキだ。
俺ももう子どもじゃない。
知性溢れる、そして歴史に残るような作戦で対応しよう。

うーん、とは言ってもなかなか……

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

そうだ！この手があったか！
圭介「鳴海よ！このメロンパンは要らぬか！」
どうだ、完璧な作戦だ！
あの鳴海のこと、これで釣れないハズがない。
完璧だ！
花織「…………」
圭介「ぬぁぁ！何だその可哀想な目は！」
ちくしょう、変なヤツだと思われてないか？

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

先の『ラブリーメロンパンキッス作戦』が失敗したことは誠に遺憾ではあるが、一つ教訓も得た。
砂浜の中心で愛を叫ぶと漏れなく白い目で見ていただけるということだ。
つまり、愛はひっそりとはぐくまなければイケナイのだ。
人の恋路を邪魔するヤツはジャイアントスイングで飛んでいけって気もするがな。
まったく世の中邪魔が多くてくじけそうだぜ……

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

そう、でもくじけないのが俺のいいところ。
こんなに俺を焦らすなんて、い・け・ず。
この想い、きっと届け。
俺は砂浜に思いの丈をつづることにし……
ざざ〜ん
圭介「…………おのれ……」

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

たとえ森羅万象全てから拒否されようとも、この想い、必ず実らせてくれるわ！
しかし、直接攻撃も間接攻撃も受け付けないとなると、こいつはなかなか攻略しづらいな。
攻略法も見えぬまま闇雲にコインを投入するのは得策ではないということを俺は知っている。
それは努力という名の浪費である。

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

そうっ！たとえそれが浪費であっても、俺は鳴海を選び続ける！
嘲られてもいい……
罵られてもいい……
圭介「これがアタイの愛情表現っ！」
花織「…………」
圭介「ああ！だからその目で見るなよぉぉ！！」
くそう……またしてもくじけそうだ。

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

ここまで飽きもせず選び続けている自分に拍手してあげたい。
圭介「アナタニモ、ちぇろきーアゲタイ」
はっ……不可能っていうか、意味不明なことをくちばしっている……
もはや末期症状と言わざるを得ない。
このまま続けると命に関わるかもしれんな……

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

命……？
ふっ！鳴海様の居ない世界になんの価値があろうか！？
そんなものいくらでもくれてやるわっ！！
……………
…………誰に？
圭介「さぁ？」
今夜も沖縄の風は、俺の身体を優しく包んでいた。

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

沖縄とかそんなの関係ない！
俺が求めて止まないのは鳴海様唯一人！

L・O・V・Eラブラブ鳴海―！いえーい！！
圭介「はぅ！！」
急に偏頭痛がぁぁ……暴走しすぎ……か？

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

暴走なんて関係なーい、ここは沖縄、Not房総！
圭介「レッツ偏頭痛トゥギャザー！！」
花織「…………」
圭介「へっ！何だよ！文句あっか！？」
ちゃらら〜ん。冷徹な視線を克服した。

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

もはや俺に敵はいない！
というかモラルというか、道徳心というか、人としての尊厳というか……
…………
圭介「うけー！ここまで来て弱気になってどうする！！」
倒せ、常識、破れ、日常。
圭介「しっかし、さっきから偏頭痛がとまらんな」

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

こんな頭痛なんぞに負けられるか！
俺は鳴海を捕獲、培養し、ワクチンを作らねばならないのだ！！
野口英世な心意気！
むむっ、鳴海レーダーから反応が消えた……？

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

だからといって諦める俺ではないわぁぁぁぁぁ！！！
既に、我が必殺の圭介ノーズが貴様のにおひを感じ取っておるわ！
さぁ、観念するがいい！ナルミンよ！！
だけど、そんなボクにも少しだけ不安があった。
これだけの武器で、アイツを倒せるのか……と。

「それでも俺は鳴海を選ぶ！」

だがしかし、俺様は意を決して銃をとった！
ヤツはどこだ！コテージの中か！？
圭介「ふしゅるーふしゅるるるー！！！」
いざ出陣！！

圭介「……！！んあぁ！！頭痛ががが」
………………
（ここで正気に戻る）

以上、プロローグの最後の選択肢で鳴海を選び初志貫徹でずーっと選び続けた場合の文章でした。
確か20回ぐらい選んでいたんじゃないかと。しかしこれだけ選ばれても結ばれないってのはある意味悲しいｗ