貴明は「女の子が苦手」なはずなのだが、クラス委員長の小牧愛佳が
いつも学校中から頼みごとを受けて忙しそうにしているのを見てられなかったのか、
愛佳の遠慮にも関わらず多少強引に仕事を手伝うようになる。
ある日愛佳の日課でもある図書室の書庫整理中、お互い異性が苦手な事を知り
愛佳の提案により異性に慣れる練習として書庫内限定の恋人ごっこを行うことに。
最初はぎこちないものの、共同作業や書庫でのお茶会を通じて仲良くなっていく2人だが、
ある日図書委員長と出くわし、書庫の整理は図書委員でもない愛佳が勝手に行っていること、
書庫の蔵書自体を大学等に寄付してCD貸し出し用の倉庫に変える予定だと告げる。
それでも愛佳は作業を辞めるつもりは無く、誕生日のデートを通じて2人の仲は更に進展し、
書庫を残す価値があると証明するために蔵書から貴重な本を探す作業も始めるのだが、
そんな中愛佳は自分には病気の妹が居ること、その妹がこの学校に来るかもしれないこと、
書庫の整理は元々はほとんど学校に行ったことのない妹の居場所を作るためだったと告白し、
愛佳の遠慮がちな性格は妹に掛かりきりな両親に迷惑をかけないための物だったと知る。
結局強制的に書庫から追放され、貴明と一緒にいたい、でも迷惑はかけられないと嘆く愛佳に
貴明は自分も一緒にいたい、もっと迷惑をかけてもいいと思いを告げる。
そして愛佳の妹である郁乃の手術当日、手術が終わったら何か欲しいものはないかと
尋ねる愛佳に対し郁乃はもう5月中頃なのに「桜が見たい」と答える。
長い病院生活とその症状から時間間隔が曖昧なための発言だが、愛佳達はそれに答えようと
町中や学校を駄目元で探すが当然見つかるはずもない。自分は結局郁乃に対して
何もしてあげられないと泣きだす愛佳だが、貴明はそんなことはないと証明するため
愛佳の生徒手帳を持って後者に向かう。一人泣き続ける愛佳だが、顔を上げると
季節外れの桜の花びらが舞い散っている。今まで愛佳が助けてきた生徒達が事情を聞き、
恩返しのために自分達の制服のタイを切って撒いた物であり、愛佳が今までやってきたことは
無意味ではなく、そのやさしさが学校中に伝わっていたことが証明されたのだった。