智代は朋也とここに残ると言った。
でもそれは同時に智代の才能を摘んでしまうことになる。
それは教師も言っていたことだ。輝かしい未来を潰す気かと。
そして朋也も痛いほどそれがわかっていた。
本当に智代のことを想うのであれば朋也は身を退くべきだった。
智代の未来を奪ってしまった朋也だって辛いだろう。
生涯に渡って朋代に対する罪悪感を背負って生きていかなくてはならないからだ。
朋也が別れを告げたとき、そこで二人は終わるべきだった。
そして再び智代が現れたときも朋也は突き放すべきだった。
朋也はわかっていたはずではなかったのか。
智代にとって自分という存在が足手纏いになることを。
智代にとって自分という存在が消えることこそが智代の未来の可能性を拓くことを。
にもかかわらず朋也は安易に智代と共に歩む道を選んでしまった。
智代の未来へ通じる道をぶち壊してしまった。俺はこれが許せない。
本当に智代の幸せを願うならその未来への道に誘導してやる、それが本当の優しさではないのか。
朋也自身すでに悟っていたじゃないか。智代とは住む世界が違うのだと。
智代の長所は学歴だけではない。人望に厚くまわりから信頼されている。
そしてなにより自ら挑戦し新しい未来を切り拓いていく能力に長けている。
すべて朋也にはないものばかりだ。そして朋也はこれを踏まえたうえで智代は自分と別れたほうが
彼女のこれからの人生にとって有益だという判断をしたはずではなかったのか。
正直自分勝手でわがままな人生の選択をした朋也には失望した。
こんなことなら生徒会選挙に落選して堕落した快楽に溺れていくエンドのほうがよっぽどマシだ。