【妹は】シスプリに姉が嫉妬しました4【どうした】
397 :
千影:2005/08/06(土) 18:38:42 ID:5G1Je8gH
さて……こうして「もし機械に記憶領域が有限しかないなら……私は存在できない」……ということを確認した……。
でも……これはもっときちんと一般的な形で……述べることができるんだ。実は……機械にくっついている
記憶領域の性質と……その機械が見せる挙動――全ての行動は対応する駆動機械への指令に過ぎないと考えると……
結局これら挙動は全て「言語」なんだと考えることにしよう――は……実は密接に対応している。
例えば……有限の記憶領域しか持たない機械――有限状態機械は――正規言語と呼ばれる言語しか扱えない……。
正規言語とは……一般にはこんな形をした……
1. 空記号列 ε は正規表現である
2. a や b 、あるいは"協力"や"裏切り"などの適当な一文字は正規表現である
3. X と Y が正規表現ならば、
a. X|Y (X または Y) も正規表現である
b. XY (X の後に Y が続く)も正規表現である
c. {X}* (X が何回か繰り返される) も正規表現である
……正規表現で現されうるもの全てとなっている……。
では……この正規言語で出来ることは何だろう……?
先ほど見たように……「しっぺ返し」は正規言語の一種だね……。
一方……簡単に分かるけれど……正規言語を使って足し算を表現することはできない……。
有限の記憶領域しか無いのに……いくらでも大きい数同士の計算を許さなければ足し算ではない
……つまり結果を憶えておけない大きさの入力が絶対にあるから……だ。
398 :
千影:2005/08/06(土) 18:39:14 ID:5G1Je8gH
では……もう少し機械を強くして……スタックと呼ばれる記憶領域を一つだけ許してみよう。
スタックとはこんな感じで……無限の履歴を保存できるけれど……読み出す時は必ず直前に
憶えた(プッシュ)した結果しか読み出(ポップ)すことのできない記憶領域のこと……。
http://pepper.is.sci.toho-u.ac.jp/classes/ap04_spring/stackmodel.gif すると……メカ鈴凛ちゃんはもう少しだけ……いろいろなことが出来るようになる。
このようにスタック付きの機械で生成できる言語を……文脈自由言語と呼ぶ。
文脈自由言語を使えると……結構いろいろなことが……可能になる。例えば……日本語のような
私たちが使っている言葉……自然言語……を考えると
「この(指示代名詞)文(名詞)は(副助詞)文脈自由言語(名詞)です(助動詞終止形)」
のように……文法的な要素からなっている。そして……実は自然言語の品詞分解後の構造は……
文脈自由言語なんだ……。だから……スタックマシンと各単語が品詞として何に属しているかを
調べるための辞書があれば……入力された文が文法的に正しいかどうかの判定が……可能になる。
つまり……少し言葉を理解することが……出来るようになる……。
399 :
千影:2005/08/06(土) 18:39:54 ID:5G1Je8gH
でも……これだけでは「文法的には正しくても間違っている」文……例えば
「石(名詞)が(格助詞)走る(動詞終止形)」のような文と……先ほどのような正しい文との
区別が付かない……。
その区別を付けるためには……記憶した順番に関係なくどこでも読み出すことの出来る記憶領域……
例えば白紙のノートみたいな……が必要だ。このような……自由読み出し可能な記憶領域を持っている
機械をチューリングマシンと呼ぶ……本当はもっとずっときちんと定義しないといけないけれど……
今日のところはお預けにしよう……。
実は……チューリングマシンに対してなら……全てのアルゴリズムをプログラムすることができる。
兄くんが今つかっている各ソフトウェアも……一つ一つのチューリングマシンとして作ることは可能だ……。
それでは……チューリングマシンになると今度は何が出来るだろう……?実は……真に驚くべきことに……
チューリングマシンは……「自分を出力するプログラム」を実装することができる。
さて……ここで私の電子の使い魔 LISP の妖精に登場してもらおう……。この使い魔に命令を与えると……
命令をそのまま実行してくれる……。そこで……次のような――ややこしいから理解する必要はない――
プログラムを与えてみると……?
400 :
千影:2005/08/06(土) 18:40:26 ID:5G1Je8gH
input>((lambda (x)(list x (list (quote quote) x)))
(quote
(lambda (x)(list x (list (quote quote) x)))))
output>((lambda (x)(list x (list (quote quote) x)))
(quote
(lambda (x)(list x (list (quote quote) x)))))
というわけで……入力したプログラムそれ自体が出力されてくる……。つまり……このプログラムの意味は……
「実行されると『私』を返す」というわけで……だんだん分かってきたね……?
そう……チューリングマシンは……『私』を扱うことが出来るんだ……。これの一つの結果として……
チューリングマシンと等価な機械である……セルラーオートマトンは……自己再生産能力を持っている……。
そして……チューリングマシンのもっとも危険な機能は……この宇宙には特別なチューリングマシンが一つ
あること……。先ほどの LISP の妖精がそうで……彼女は……「他のチューリングマシンを指定したプログラム=
アルゴリズムを書き下した文字列」を入力として受けとって……書かれたチューリングマシンと同じ動作を
することが出来る……。
401 :
千影:2005/08/06(土) 18:40:57 ID:5G1Je8gH
input>((lambda (x)(list x (list (quote quote) x)))
(quote
(lambda (x)(list x (list (quote quote) x)))))
output>((lambda (x)(list x (list (quote quote) x)))
(quote
(lambda (x)(list x (list (quote quote) x)))))
というわけで……入力したプログラムそれ自体が出力されてくる……。つまり……このプログラムの意味は……
「実行されると『私』を返す」というわけで……だんだん分かってきたね……?
そう……チューリングマシンは……『私』を扱うことが出来るんだ……。これの一つの結果として……
チューリングマシンと等価な機械である……セルラーオートマトンは……自己再生産能力を持っている……。
そして……チューリングマシンのもっとも危険な機能は……この宇宙には特別なチューリングマシンが一つ
あること……。先ほどの LISP の妖精がそうで……彼女は……「他のチューリングマシンを指定したプログラム=
アルゴリズムを書き下した文字列」を入力として受けとって……書かれたチューリングマシンと同じ動作を
することが出来る……。
402 :
千影:2005/08/06(土) 18:41:57 ID:5G1Je8gH
こういう特別なチューリングマシンを……特に万能チューリングマシンと呼ぶんだ……。
そして……LISP の妖精のような万能チューリングマシンは……当然それもチューリングマシンだから……
プログラムとして書き下すことが出来る……。フフフ……頭がこんがらがってきたね……?
さあ……ココまでの説明をまとめよう……。フロイトの心理学は……結局のところ『私』を機械化することに
本質がある……。そして……『私』を機械化するためには……少なくともチューリングマシンが必要だ……。
では……最後の質問。チューリングマシンには出来ないことがあるんだろうか……?
実は……その答えこそが「ゲーデルの不完全性定理(正確にはそれの計算機バージョンである
チャーチ=チューリングの定理)」。先ほど見たように……私たちは……自分自身を出力するような
チューリングマシンを作ることが出来る……。これを少し弄ると……今まさに実行中のプログラムの挙動――
当然プログラムだけではなくて入力にも依存しているのに――を監視したり……あるいはそれを利用したり
する万能チューリングマシンを作ることが……できる。つまり……自分の存在しているという事実それ自体を
問題として考えようとするプログラム……真の意味での『自我』……を持った機械……。
403 :
千影:2005/08/06(土) 18:45:35 ID:5G1Je8gH
そして……不完全性定理は……そうした「自己言及したプログラム」を用いれば……
正しいプログラムとして実行できるのにも関わらず……その実行が停止しない……
つまり結論を知ることはこの世の誰にも不可能……なプログラムを作ることができるという定理だ……。
そして……その定理に使われたプログラムは……まさしく万能チューリングマシンを表現したプログラムなんだね……。
それ故……心を機械とみなし……機械に『私』を与える方向性を知った時……私たちは私たちが限定された存在――
極めて慎重に問いかけない限り……『私』に関する質問はそれの回答を与えるプログラムすら書けるくらいハッキリと
定義されているのに……その回答を与えることが誰にも出来ない場合がある――ことを知ったんだ……。
例えば……典型的な不完全性定理型の問題は……「『私』が考えていることについて以下の性質を満たすか述べよ」
というもの……。ほら……ほとんどの自我に関する問題はこの形に書けてしまいそうだろう……?だから……
これらの問題を「問う」ことは可能でも……もしかしたら……それに答えることは数学的な意味で絶対に……
不可能かもしれないんだ……。
さあ兄くん……『私』達は……どこからきて……どこへ行くんだろうね……?
参考文献:『メタマジックゲーム』、『ゲーデル、エッシャー、バッハ』、『マインズ・アイ』等のD.ホフスタッターの著作等。
流石だ、千影。
俺は門外漢なので、せっかくの説明をちゃんと理解できたとは言い難いけど。
読んでるうちに千影の声に酔ってしまった。とても心地よかった。
なんか、千影の心理や魔術がわからない兄の気持ちが少しわかった気がした。
>>388 美術史って、興味があるんだけど何を学問しているかよく分からないんだな。
やっぱり、例えば特定の美術様式の通時的性質や、あるいはある文化圏の
美術分野で登場する様式の変遷を取り扱ったりするの?
……個人的に、中華民国以降の中国で、陶磁器や絵画といった伝統美術が
どうなっちゃったのか興味があるんだけど、こういうのは流石にマイナーかなぁ……
曹操について語ってくれ
春歌
流石に夏休みかな?
ヒルベルトは?
412 :
名無しくん、、、好きです。。。:2005/08/19(金) 12:59:37 ID:haUMFEGd
千影詳しいよ千影!
414 :
名無しくん、、、好きです。。。:2005/08/26(金) 01:52:34 ID:jM6WBLRH
千影が姉になって勉強を教えてもらいたくなってまった。
きっと収拾のつかない知識を教えてもらえるぞ。
こういうスレがあってもいいな。
面白いし、シスプリの妹達はそれぞれキャラも立ってるから様になってるよ
>>職人様期待してます
417 :
千影:2005/08/27(土) 18:27:20 ID:38rLWzFN
>>410 返事が遅くなってしまったが……今回は、本来の不完全性定理……数学基礎論における
ヒルベルトのプログラムの失敗ではなく……それの計算機版……チャーチ=チューリングの定理を
扱ったよ……。心理学に絡めようとすると……どうしても脳との関わりから……計算機のほうが
分かりやすくなるからね……。
>>417 千影さすがだよ千影!dクス!
ところで四葉に質問がある。
『究極超人あ〜る』で
「まず使用するフィルムだが、“トライXで万全!”
これを4号か5号で焼くと味が出る。」
「逆光は勝利」
「ピーカン不許可」
「頭上の余白は敵だ」
「世はなべて3分の1」
とかいう科白が出てくるけど、
これってどんな事なんだ?
偏ってるらしいんだけど。
>>418の兄チャマ
もう夏休みも終わりで、兄チャマに宿題手伝ってってお願いしたいけど、兄チャマのお顔を見ると、
ついつい言いそびれちゃう四葉デス…。
それで、「トライXで万全」というのは、コダック社のモノクロフィルムを選んでおけば
間違いないってことデス。良いフィルムで有名だったってことかな。
ちなみに、「ネオパンSS」というのはフジフィルムのモノクロフィルムデス。
4号とか5号というのは、印画紙の号数(区分)のことで、この号数が大きいほど、
コントラストがはっきりするデス。
トライXというフィルム自体、高感度でコントラストも高いフィルムなので、使う印画紙が
4号とか5号だと、かなりメリハリが効いた写真になるデス。
きっと、このことを「味が出る」と言っているデス。
「逆光は勝利」というのはデスネ…普通は被写体の顔が暗くならないように順光で撮る
写真ですが、失敗しないけど当たり前すぎの写真になってしまうデス。
あえて逆光にして、撮影者の技術の見せる…という意図なのカナ。
「ピーカン不許可」は、晴天の日の下で人物を撮影する場合、顔に影が出やすくなるデス。
影を出さないために晴天じゃないときに撮影する…ことだと思うデス。
「頭上の余白は敵だ」は、人の顔を写真の中心にすると頭の上に無駄な余白ができて
良くないって聞くデス。無駄な余白を作らないような構図を心がけなさいってことデスネ。
「世はなべて3分の1」は、写真の構図を決めるときに、上・中・下とか左・中・右というふうに
分けて決めなさいということだと思うデス。
偏っているというのは、このセリフですべての写真のことのセオリーにはならないからだと思うデス。
被写体や状況によって使うレンズやフィルムも替えるデスし、失敗しない写真ならともかく、作品に
絶対コレというのはないと思うデス。
説明がわかりにくくなっちゃってゴメンナサイ。夏休みが終わっても兄チャマをチェキするデス。
420 :
四葉:2005/08/28(日) 23:05:34 ID:mNIYyv1s
名前欄に四葉って入れ忘れたデス……。
四葉、可愛いよ四葉。
なんと、光画部の連中は、結構マジメに写真を撮っていたのか。
漏れはまた、何か裏のある発言かと読んでいた……orz
四葉ありがとう四葉
うはっwwww俺の親交深い人がたくさんいまくりwwwwwww ってか女性男性区別ないんだね、知り合いで女の子結構いるから気付いたけど
425 :
某173:2005/09/07(水) 02:10:08 ID:afSBWHXx
四葉も千影もすごいな。
426 :
名無しくん、、、好きです。。。:2005/09/10(土) 15:22:25 ID:bwaDN6H+
誰か、ヒトクローン胚やES細胞について説明してくれないか?
鞠絵か千影が詳しそうなのだが。
427 :
名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/10(土) 17:26:43 ID:ztlEqsVs
妹がもしも勉強でわからないとこがあるんだけど
と、聞いてきたらこう答えよう
「保健体育か、なら家に帰ったら1から最後まで教えてやろう」
「エロおやじパワー全開」
>>427 >>347で咲耶がコンドームのことを解説していたのだが、
ここは是非、コンドームの生産数について調べてきてほしいものである。
429 :
鞠絵:2005/09/22(木) 20:11:57 ID:NgBAqjBB
掲示板をご覧の兄上様、こんばんは。鞠絵は元気です。
今日は、ES細胞について説明いたします。でも、
それにはまず、肝細胞の成り立ちについて説明しないといけませんね。
ES細胞は「胚性幹細胞」とも呼ばれておりますから。
ちなみに英語では、Embryonic Stem Cellと表記されます。
それでですね、まず肝細胞のことですけど。
成長した生物の細胞は、普通は特定の細胞にしかならないように
機能が限定されております。分裂増殖しても胃の細胞は胃の細胞ですし、
皮膚の細胞は皮膚の細胞にしかならないものです。
このときの分裂増殖を「分化(ぶんか)」と呼びます。
また、皮膚の細胞からは皮膚のクローンしか作れません。
そして、「万能細胞」とさえ呼ばれる幹細胞は、
分化によって別の機能を持つ細胞になることができる特殊な細胞なのです。
トランプのジョーカーのように。
例えば、受精卵は最初はたった一個の細胞ですが、分化していくと
身体の各部分向けに機能が変わった各種の細胞になっていきます。
この「機能分け」と「変化」こそ、「分化」と呼ばれる由縁ですね。
430 :
鞠絵:2005/09/22(木) 20:12:50 ID:NgBAqjBB
もし幹細胞からお望みの身体の各部位を作り出せるようになれば、
臓器移植や再生医療の可能性が大幅に広がります。ですが幹細胞が
どのような条件のもとでどの様な機能を持つ細胞になっていくのかは、
まだ研究中です。
胚(受精卵)から取りだした「胚性幹細胞」 や、
成人の骨髄から取りだした「骨髄性幹細胞」 などが
まず幹細胞の代表的ですね。
ほかには、ヘソの緒からの臍帯血に含まれる幹細胞をはじめとして
胎盤、血液、毛根、筋肉、脳、皮膚などにも幹細胞が
分布していることが研究の結果、明らかになってきています。
431 :
鞠絵:2005/09/22(木) 20:14:12 ID:NgBAqjBB
受精卵から取り出す人間の胚性幹細胞は、一見しますと、
最も万能性が高そうですし研究者の方からも注目されておりますけど、
授精した胚は言い換えればこれは初期の赤ちゃんですから、
それを殺して取り出すこととなってしまいますので
多くの国で倫理問題の論争の的になっているのが現状です。
(倫理問題を起こしてしまうのもジョーカーのような性質だとすると、
悲しいです。)
骨髄など成人の体から採れる成人性幹細胞は、
現状ではES細胞に比べると分化能力や万能性の面で劣ってしまいます。
ですがもし、受精卵を殺してしまう倫理問題も無く、
患者さん本人の細胞を使えば拒絶反応もない、など、
万能性を持たせる方法を開発できさえすれば、
ES細胞よりも肝細胞の方が医療の場で適切な材料になると思われます。
ES細胞は肝細胞の中でも、特殊なものだったのですね。
それと、こうした医療技術が発展すればきっと、
事故で失明しかけた眼球に換わる新しい眼球を作ることも
可能となるでしょう。
以上です。
兄上様、お役に立てたでしょうか?
うわぁ、お疲れ様、鞠絵!
うーむ、勉強になるなぁ。
stem cwllよりneural crestの解説をして欲しかった
チェキデス
436 :
鞠絵:2005/10/02(日) 20:40:03 ID:NDCewDl+
>>433兄上様へ。
ただいま調べていますので、もうしばらくお待ちください。
それと、
ことの本によると、いい肝細胞が親不知の歯の奥から摂れるそうです。
うぉ、お疲れ、鞠絵!
保守
鞠絵活躍してるよ鞠絵!
医学は重要だなぁ。
age
sage
443 :
鞠絵:2005/10/23(日) 21:36:07 ID:US10GMG7
>>433兄上様へ。
neural crest(神経冠)についての、
どのような解説をお望みなのでしょうか?
何なんだろうね?神経幹細胞の話、っていうなら十分クローニングの話題っていうか、
ぶっちゃけ超初期の再生医療で実際に話題になっていたパーキンソン病の治療に
胎児の神経幹細胞移植、ってのがまさしくそれだけど。
よっ、保守♥
チェキデス!