沙雪はどっちでも好きだから
ラブホテルの一室に籠ってすぐさま、俺たちは纏っていたものを脱ぎ捨てて、生まれたままの姿になる。
抱きあってのキスも早々に、沙雪がベッドに身を投げだして、うつぶせになった。
いつものように俺は、沙雪の後ろの窄まりにローションを擦り込む。
言葉はないものの、沙雪は気持ちよさような表情でアヌスへの愛撫を喜んでいる。
ぬるぬるになったその穴に、人指し指を第一関節まで挿し入れてみた。
「あっ、はっ、はあん」
彼女の口から快楽が甘い声となって漏れ出てくる。後ろの入り口がきゅっときつく関節を締めつけて、指先に触れる中の壁は
にゅるにゅると蠢動している。
普通なら、このままさらに指を進めていくところだが、今日はとっておきのものがその役目を担うことになっている。だから
俺は、すっと指を引き抜いてしまう。
「え、あ、お兄ちゃん? な、なんで」
「今日はね、いいものがあるんだ」
両手両足で這ったまま振り向いて、けげんそうな顏をする沙雪に、俺はにっこりと笑みを返す。そして、持参した袋から、
今日の主役を取り出した。
それはアナルビーズ。お尻の穴でされるのが大好きな沙雪が、きっと気に入ってくれるはずのもの。
それなのに沙雪は、見慣れないこれを見て、びくっと縮こまってしまった。
「な、なに、それ?」
「まあまあ、俺に任せて」
にこにこしながら俺は、先頭にあるビーズに、たっぷりとローションをつける。それを指で摘むと、肛門にぴったりと宛がう。
「ふ、あ、な、なに、へ、変な感じ」
指でもペニスでもない初めての物体。純粋な球面の感蝕に沙雪はとまどっている。でもその声に、未知なものが与えてくれる
快感への期待が混じっているのを、俺の耳はしっかりと聞き取っていた。
菊花を塞いだビーズ玉を、指先で押す。
穴が広がり、玉が埋もれていく。直径の部分が肛口に入ろうというところで、
「ひゃはっ」
短い叫びが上がった。そのときに筋肉が緩み、すっと玉が腸に入ってしまう。
「あ、ああ、それ、入ったの、それ、変だよお」
ぷるぷるとお尻が揺れる。俺のペニスを易々と受け入れる沙雪のアナルが、二センチ程の大きさの玉に衝撃を受けている。
入り口は閉じられたのに、腸内には固い無機質な球がしっかりと体積を占めているのだから、当然かもしれない。
ふと見ると、窄まりからビーズが顏をのぞかせていた。動物としての本能が異物を排出しようとしている。
「だめだよ」
すぐに俺は指で、ビーズを中に押し戻す。
「あう、だ、だって、あくう」
「気持ちいいはずだよ。もっと素直にお尻の穴の中で感じて」
少し深く押し込んでおく。そしてチェーンでつながる次の玉をまた湿らせてから、アヌスに触れさせる。
「まだまだ、あるからね」
「へ。あ、そ、そんなの、これ、これだけで……あああっ」
二個目が沙雪の中にうずまった。
「あひっ、あ、ああっ、ごりごり、して、くふっ」
ようやく慣れてきたのか、入ったばかりの玉を排出する気配はない。たどたどしく言葉を発する彼女の表情を見れば、ビーズで
感じる快感を堪能しているのがわかる。
あとはもうスムーズに、残ったビーズを次々に腸内へ押し込めてしまった。玉を呑み込むたびに、沙雪はうっとりとなって
嬌声をあげ、アヌスをひくひくさせて喜んでいる。
全てを受け入れた沙雪のヒップが高々と掲げられた。
綺麗なカーブを持つ魅力的なこのお尻が、たっぷりとビーズを呑み込んでいるなんてとても見えない。それを示しているのは、
尻穴からはみ出たチェーンだけだ。
「どう、お尻にビーズ入れられて」
「あん、い、いいわ、お兄ちゃん。お尻の中でごりごりと動いて、これ、いい、あっふう」
「それはよかった。じゃあ」
俺はチェーンを吐き出している窄まりに向かいあうと、ふっくらとした尻房を掴んだ。そして、房をぐるぐると大きく回して
腸腔を外から変形させる。ビーズを動かすだけが腸に刺激を与える手段じゃない。こんな方法もある。
「ふ、ふわっ、き、ひい、お兄ちゃん、それ、そんなこと、お、あ、きつい、いいああ」
ぐちゃぐちゃとビーズにかき混ぜられて沙雪は感極まっている。涙と悲鳴がひっきりなしに流れてくる。
中を程々に弄んでから、今度はチェーンをちゃらちゃらと揺らせて、閉じている皺皺をくすぐる。
「やはっ、で、出ちゃう、漏れちゃう」
ひくひくと窄まりが痙攣する。気を抜けばビーズを出してしまうのだろう。入り口への刺激はかなり効く。
出させては元も子もない。慎重に、出るか出ないかというところを見極めつつ、沙雪をいたぶって楽しむ。
しばらく沙雪のお尻で遊んでいたが、あくまでもこれは前座。本番はこれからだ。
「さて、そろそろ俺のモノも味わってね」
「へ? あ、あの、お、お兄ちゃん?」
ビーズからの悦楽にうっとりしていた沙雪は、ペニスの先が膣口に宛がわれているのに、ようやく気づいた。
「や、今、お尻にあるのに、う、あっ、ああああっ」
問答無用で俺は、ペニスを膣へと打ち込んだ。
「ひいいいっ」
沙雪が啼く。そして僕は、
「うわ、すごっ」
初めての感蝕に、思わず腰をぶるっと震わせてしまった。
壁の肉一枚の隣に、ごりごりした玉の感蝕がある。しかも、それがいくつも連なってペニスを圧迫してくる。
細かな襞々の擽りとは違う大味なそれが、亀頭にもカリにも、棹にもぶつかってきて肉棒全体に途方もない快楽パルスが
びりびりと流れる。
「いいよっ、沙雪のが、お尻にあるのが、俺のをっ」
「あーっ、ああっ。お、お兄ちゃん、も?」
「ああ。玉がぶつかって、すごいよ」
「わ、私も、前にお兄ちゃんのが、がはっ、後ろ、こりっと、いっぱい、いっぱい入ってるう」
絶叫した沙雪が腰をひくつかせている。俺は彼女の腰をしっかりと抱くと、肉棒の抜き差しを開始する。
ペニスの先で、子宮だけでなく裏にある玉のでっぱりをも小突く。普段なら止まるところでないところで止まった亀頭が
その膣壁を初めて叩く。振動がアナルに伝播して、ヒップの肉がわなないている。もちろん膣もペニスから快楽を受け取って、
沙雪の全身を蕩けさせている。それはいつもとは違うリズムの抽送になって、沙雪を狂わせる。いつしか彼女も、肉壁を俺の
ペニスへぶつけるように腰を淫らに振っていた。
沙雪がペニスからの享楽に耽っているのを見て、俺はにやりと笑う。
チェーンを指で摘み、軽く引っ張ってみる。
「うふっ、ひ、ああん」
今の刺激がどこから来たのか、ずっと腰を動かしっぱなしの沙雪がわかるはずもない。でも俺は、ビーズがアナルにどれほど
銜え込まれているか、はっきりとわかった。
抽送の勢いを増す。新たな衝撃に、惚けた声を沙雪が垂らした瞬間を狙って、チェーンをぐいっと引っ張り抜いた。
当然その先にあるものも引っ張られ、ぽんという音がしそうなほど勢いよく玉が排出された。
「あひいいっ、いあっ」
沙雪の前後移動がストップして、頭を仰け反らせてびくんびくんと身悶える。ビーズの放出はそれだけ鮮烈だったのだろう。
膣の締まりも半端じゃなかったが、俺は腰に力を入れてなんとか踏み止まった。
「ふふ。どう、外に出すのは?」
「き、きつ、あ、きゃ、ああっ」
返事を聞くより先に腰の抽送を再開している。過敏になった腸壁を、膣側から突いて責める。
面白いことに、数が減ったことで、腸での玉の位置が再調整されているようだ。ごろごろと腸を下っていくのが感じ取れて、
それが俺を興奮させる。
沙雪の息と後ろの具合が整ってきたところで、もう一個、玉を抜いた。
「ぐぅ、はあっ」
さすがに最初ほどの刺激はなかったようだ。
しかしよく見ると、窄まりが妖しくひくついている。玉をひりだすことで本来の役を思い出してきたに違いない。
すかさず指を伸ばそうとすると、
「ひっ、やあっ。だめ、触っちゃ、だめ」
「どうしたの?」
「だめ、だめだめ、おかしくなっちゃうの」
小刻みに揺れるアヌスは、そのままさらに排出してもおかしくない気配だ。
弄られたら実際にそうなってしまうと、沙雪は恐れている。
俺もそこまでする気はない。改めてヒップを抱え、ただひたすらに前の穴の感蝕を楽しむことにする。
「はうっ、あ、ああっ、お兄ちゃん、わたし、わたしは」
直線的な動きで、ペニスが秘筒を通り抜ける。
沙雪が悦楽の声を放つたびに、綺麗な黒髪が揺れて汗が散り、かぐわしい香りが広がってくる。沙雪の香りを嗅いで
俺のペニスはさらに猛猛しくなって、いっそう荒々しく彼女の肉穴を抉り、啼き声を上げさせた。
そろそろ限界が近づいてきた俺は、チェーンをしっかりと握ると、ぱんぱんと勢いよく腰を打ちつけて沙雪を攻めたてる。
「ひいっ、も、もうだめ、お兄ちゃん、私、先に、あ、イッ、ちゃ」
「まだ、俺も、もうすぐ」
同時、いや、沙雪を先にイカせるべく最大速度で腰を抽送させた。スピードについていけない肉襞が、ぶるぶると蠢動する。
まるで大津波の前の海のように、沙雪の口から音が消え、肉の打つ音だけになる。時は満ちた。
腰を引いて一呼吸置き、これでイクんだとばかりに鋭くせり出して子宮をズシンと突き揺さぶった。
「ひっ」
沙雪が絶頂を迎えるその瞬間にチェーンをぐいっと引っ張り、残った三つを一気に抜き出す。
「くはあ、で、でるでる、出ちゃうのおおおおお」
ずぶずぶという粘着音を鳴らして次々に肛門からビーズが落ちていく。
さらにビーズを追って、ぐちゃぐちゃした液が排出された。
沙雪の腸液だ。何度もアナルセックスをして、ペニスで感じることはあったけど、目にするのは初めて。
綺麗にしているだけあって、便の混ざることのない体液。それが穴を、房のあわいを、べとべとにしていく。
腸液の噴射に呼応して、前の穴に愛液がどばっと溢れてくる。
「うおっ」
肉棒全体が熱液に浸されるのを感じて、俺も熱い精の滾りを沙雪の膣奥に放出する。
「ひいっ、お兄ちゃん、お兄ちゃあん」
叫ぶ彼女の肉襞が俺のモノを締め込んでくる。ありったけの思いを込めて、俺は溜まっていた全てを彼女へ注ぎ込む。
沙雪は、前後の穴から肉汁を漏らしつつ俺の精液を貪って、歓喜に全身を蠢かせていた。
長く続いた至福の時間もやっと終わり、俺たちはベッドで休んでいる。
「も、もう……私、死んじゃうかと思ったよ、お兄ちゃん」
「ははは、それだけよかったということでしょ。ビーズ入れられて」
俺の言葉に沙雪は、うなずくようにして頭を下げてしまった。
「う、うん。でも、やっぱり後ろも、お兄ちゃんのモノでしてもらうほうが、いいかな」
顏を隠して小さな声で囁く。その姿が愛らしくて、そのまま俺は彼女の体を抱きすくめた。
「あ……」
「それなら今度は後ろで、もっともっと気持ちよくしてあげるよ」
「うん。お願い」
返事を耳に吹き込むと、沙雪は顏を上げてくれた。
視線が交差する。柔らかな彼女の唇を、俺のそれで塞ぐ。
静かに唇を絡ませながら俺は、そのときだって前の穴にはいいものを入れてあげるよという思いを胸に潜ませていた……。
終り