★あやかし忍伝くの1番★

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月の光がかすかに届く、深く静かな森の中。
忍び装束の桜華が、木々をかきわけ駆け抜けてゆく。
(一人…。二、三人か)
全力で走りながら桜華は気を飛ばし、姿を見せず
延々と追ってくる追撃者達の数を数える。
(はぁ〜、いい加減疲れてきたよ…)
シュシュシュッ!
「…うわっ、と!?」
身体を回転させ、突然襲ってきたモノを
かわすと慌てて木の陰に隠れた。
陰からそっと顔を覗かせ、元いた場所を見る。
天高くそびえる木々の間から零れる月の光が、暗い森の中で
唯一その辺りを照らし出していた。
その中で月の光を浴びきらりと光る手裏剣。
(っちゃ〜、失敗失敗)
木々のざわめきが止み、しんと静まりかえる。
桜華は気持ちを静めて辺りに気をめぐらし、相手の動向を探る。
(…ここまで、やるしかないかな)
シュシュシュッ!
ひらりと身を翻しそれらをかわす。
「へっへ〜んっだ! 当たらないよ☆」
シュシュシュッ!
「えいっ! よっ! ほっ!」
身軽く襲い来る手裏剣をかわす。
シュシュッ!
「よっと! ほいっ!」
シュッ!
「ほっ」
しゅ

しゅ