「……という訳なんだ」
「ふんふん」
「で、どう?」
「うんっ!あたしも賛成ー!」
「じゃ、決定だね?」
「あはは、もちろん!」
いやー、お友達想いだね、本当。
あたしも何かしようかなって思ってたけど、
やっぱり皆でお祝いした方が楽しいもんね。
話をまとめると、こういう事だ。
穂多琉ちゃんの誕生日に、お祝いをしてあげたい。
それで、あたしにも協力して欲しい。
二人で話し合った結果、
穂多琉ちゃんをあたしが前に働いていた喫茶店まで連れて来て貰い、
そこでお祝いをしよう、って事になったんだ。
何でそのお店かって言うと、そのお店、土曜日は定休日なんだ。
店長も、話をしたら「良いよ」って言ってくれたから、
あたし達はその日に向けて、策を練ったのだった!!
……なんちって。
そろそろかな?
もうそろそろ、穂多琉ちゃん達がやって来るはずの時間だ。
あたしは準備万端、今か今かと待ち構えていた。
「かずみちゃん。そわそわしなくっても大丈夫だよ」
店長に言われてしまう。
うーん、そんなに待ち切れなさそうにしてたかなー……。
「最初『お店を使わせて下さい』って聞いた時に何をするのかなって思ったけど……」
店長が楽しそうにしている。
「かずみちゃんは、本当に良い子だねぇ……」
そう言うと、一人でウムウムって感じに頷いているのだった。
「お店、本当にありがとうございました」
快くお願いを聞いてくれた店長に、改めてお礼を言う。
「良いんだよ、こっちもかずみちゃんにはお世話になってるんだから。いつもありがとう」
一応、あたしは既にこのお店を辞めてはいるんだけど、
どうしても人手が足りない時なんかは、臨時でお店を手伝っていたりしている。
もちろんレギュラーで入っているバイトが優先ではあるのだが、
それでも時間の都合が許せば手伝ってあげていた。
そういう場合、店長はこっそり多目にお給料をくれていた。
あたしは貰いすぎだって言うんだけど、店長は「うん? 昇給したんだよ♪」と言って耳を貸さない。
店長は、変な所が頑固だったりする。
そうこうしている間に、からんからん…と、来客を示すベルが鳴る。
「それじゃ、行って来るね」
店長が、席の案内の為に出て行く。
店長が戻ってきたら、あたし達の番だ。
頑張んなきゃっ。