大量の肥料を空輸していたジャンボジェットがきらめき市上空で突如、炎上、爆発した。
町中に降り注ぐウンコ。
「きゃーーーーーーー!」悲鳴をあげ逃げ惑う人々。
そんな中、降りそそぐウンコに只ならぬ執着心を見せている女がいた。
そう、われらが清川望だ!
「うんこーーーーーーーーーーー!」
交差点の真中に飛び出し、可能な限り口を開け、両手を広げ茶色の空を仰ぐ。
ぼちゃ、ぼちゃ、ぼちゃ、ぼちゃ……。
ウンコというウンコが頭、腕、そして口と望の全身を侵した。
(たまんねぇ…! たまんねぇ!)
口内はすでにウンコまみれ、そのせいで喜びを声に出す事は叶わなかった。
それでも彼女は幸せだった。
(うめぇ…うめぇよ!!!)
全身で味わうウンコが望の五感を十二分に刺激する。
シャキイィィン!
その音は望にだけにしか聞こえなかった。脳内麻薬が分泌した音である。
パシャアアアァァ!
望は潮を噴いた。
もっとも全身にウンコをまとい褐色のオブジェと化した今、その事に気づく者は周りには居なかったが。
パシュ〜! パシュ〜!
鼻穴に入り込んだウンコが邪魔をして呼吸困難に陥る望。
(苦しい…。苦しいぜ…)
しかし、その苦しさも心地よい。ウンコで視界が曇っているのも喜びだ。
(もっとオレをみてくれよ! 視線をもって犯してくれ!)
望みは人ごみに向かってのろのろと動き出した。だか――
「う、動くな!」
警察だろうか? 望みは殺気のこもった視線をウンコ越しに感じた。
「うごっぷ…ごっぷぅ!」
出す声もウンコのせいで聞き取れない。
カチリ…。撃鉄が起こされる音。避難していた人達も、固唾を飲んで見守る。
パアァァン!
銃声 ――――その瞬間望は脱糞した。
吹き出すウンコが銃弾を飲み込む。そのおかげで銃弾が望の体に届く事はなかった。
(反撃いくぜ?)
パッシャアァアァ!
すぼめた口から噴水のように飛び出すウンコ。
さすが水泳部。肺活量が伊達じゃない。…いや、これもウンコへの執着がなせる技か。
「うわああああああああああ!」
警官は瞬く間にウンコの波に飲みこまれた。ニ階級特進。
もはや誰も望を止める事はできない。
完