衛日誌

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910仮面シスターあにぃ  
妹達と離れて暮らし始めてもう半年が経つ。 
あの時僕は、誰か一人を選ぶ事なんて出来なかったんだ・・・・・
苦し紛れの一言・・・・
「一年経ったら必ず迎えにくる、それまでには僕の気持ちも整理出来てるはずだから・・・だから待ってて欲しい。」
納得のいかない妹達をなだめ、僕は一人暮らしを始める為に都会へと戻る。

「今日は偉い目にあったよ・・・・」
帰宅途中に突然激しい雨が降り出し、散々な目にあった。
いつものように、食事を取り、シャワーを浴びて、ソファーに腰を落とし観る当ても無くテレビのチャンネルを変える。
そういえば、そろそろ、妹達にメールを送らなきゃいけないかな・・・・・・・・・・  
そんな、考えをしながら時間を潰す。頭にあるのは半年後の事・・・・・・・・
半年後には誰か一人を選ばなきゃいけない、誰もが僕のこと好きなんだろうけれど全員の想いに答えれる訳じゃ無い。
僕はいったい誰を好きなんだろう?・・・・・妹達の顔を思い出しながら考えに耽る。 
少なくとも彼女からは嫌われてるかな・・・・・・あの時、彼女は僕の見送りに来なかったから・・・・
コーヒーがなくなったので、煎れにいこうかと思った時、突然玄関のチャイムが鳴った。
911仮面シスターあにぃ  :02/06/01 20:45 ID:???
「誰だろう?こんな時間に来るなんて?郵便配達か?それとも新聞の勧誘か?」
そんな考えを巡らせながら、玄関へと向かう。
「は〜い、今開けます。」
ドアを開けて訪問者を確認した時、僕は凄く驚いてしまった・・・・・・・・・・
「ま・・・衛・・・・・?」
目の前には雨でずぶ濡れになっている少女がうつむきながら震えていた。
衛は消えかかりそうな声で一言だけ喋った。 
「あ・・・・あにぃ・・・・・・来ちゃった・・・・・・」
突然の衛の訪問に僕の頭は少しだけ冷静さを失っていた、声をかける事すら忘れていたが、衛の姿を確認すると
少しだけ冷静になり声をかける。
「そのままだと、風邪をひいちゃうよ?とにかく早く部屋の中に入りなよ。」
僕は衛の手を掴み、部屋の中に案内する。
「さあ、まずは身体を温めるためにシャワーでも浴びておいで。その間に着替えとか食べれるものを用意しておくから。」
衛は少しだけ頷いて僕の言う通りにし始める。
僕は料理を用意しながら、突然の衛の訪問の事を考えていた・・・・・・・
「なんで、あの時いなかった衛が、突然僕の所に・・・・・・・」
他の妹から僕の言葉を聞いてるはずだから、知らずに来たということは無いはずだ・・・・・
じゃあ、何故?
考えながら、料理を準備するとバスルームから衛が出てきた。
「あ・・・あにぃ・・・・ちょっとこれ大きすぎだよ・・・・・・」
さすがに、僕の服じゃあ、衛とサイズが合わないのも無理は無い。
「ごめんよ、僕の服じゃ大きいと思ったけれど、さすがに濡れたままの服を着させるわけにもいかないだろ?
それよりも、温ったかい物を用意したよ。お腹、空いてるだろ?冷めない内に食べなよ。」
こう優しくいってあげると、少しだけ安心したのか衛は笑みを浮かべてくれた。
「じ・・じゃあ、頂きますあにぃ。」
「味に自信は無いけどね。」
衛は僕の作った料理を美味しそうに食べてくれている。
912仮面シスターあにぃ  :02/06/01 20:46 ID:???
ちょっとだけ気持ちがいい。なんだか、こんな気分は久しぶりのような気がする・・・・・・・
「あにぃ、これとっても美味しいよ。ボクより料理が上手いなんて、なんか女の子としての自信なくしちゃうな・・・・・・」
「まあ、半年も一人でいれば自然に上達するさ。」
他愛もない会話が食事中続く、お互いをかばういあうように話をする。  
衛が料理を食べ終わり、一息ついた所で僕は本題を切り出す。
「ねえ、衛?どうしてここに来たんだい?僕は一年間会わないようにみんなにいったはずだよね?
別に怒ってるわけじゃないんだ。
衛は僕の見送りの時にいなかったから、もしかすると他の妹達から聞いてなかったかもしれないし・・・・・」
僕は優しく衛に質問をした。
しかし、衛はそれを聞き始めると顔を落としうつむいてしまった・・・・
そして、震えるような声で答えてきた。
「ご、ごめんなさいあにぃ・・・・・・ボク知ってたんだ・・・・あにぃがいってた約束。 
一年間会わないって事、でも約束破っちゃった・・・・・・ 
あにぃ?ボク、悪い子だよね?酷い子だよね?他の娘達は我慢してあにぃとの約束守ってるのに、ボクだけ自分勝手な事して、あにぃの迷惑も考えずにここに来ちゃって・・・・・・・・」
「衛・・・・・・・・・・・」
「でも、あにぃ・・・・・もう嫌なんだ、自分の気持ちを言えないまま、あにぃとお別れするかも知れないなんて
そんなの絶体嫌だ!!どんな事いわれてもボクはあにぃに伝えたいんだ。あにぃの事・・・・・好きだって・・・・・・
でもあにぃにとっては迷惑だよね?」
衛がせきを切ったように言葉を僕に投げかけてくる。
「迷惑なんかじゃないよ、でも衛・・・・・僕は・・・・・今、衛の気持ちに答えてあげることは出来ない。
だってそうだろ?僕のわがままを他の妹達に押し付けてる。
勿論、衛がこんなにまでして気持ちを伝えてくれてるのも、凄く嬉しい。だからこそ僕は自分の決めたこと守らないと
妹全員の気持ちを裏切る事になるんだ。わかるよね?」
913仮面シスターあにぃ  :02/06/01 20:46 ID:???
衛はだまって僕の言葉を聞いている。
「ただ、僕は衛の事が・・・・多分好きなんだろうな。」
「えっ?」
衛は、僕の台詞に驚きの表情を見せた。
「さっき、衛が玄関の前にいた時、僕は衛を見て驚いたと同時に凄く嬉しくもあった・・・
半年前に衛が見送りに来てくれなくて、ちょっと落ち込んでたんだよ。
どうして、衛は来てくれなかったのか?僕は嫌われてるんじゃないか?ってね。」
「あ・・あにぃ、あれは・・・・・・」
僕は衛が何か言おうとしたのを止めて、優しく衛の事を抱きしめた。
「でも、もうそんな事どうでもいいんだ。衛は僕の追いかけて来てくれた。たった一人でこんな遠くまで。故
それが、僕にとってどんなに嬉しかったか、こんなにも想われてるって思うとやっぱり決意が鈍ってしまう。 
だから、こんな事で衛の想いに答えれるか分からないけれど、今だけは衛の想いに少しでも答えてあげたいんだ。」
衛の目から思わず涙がこぼれる。
「あ・・・・あにぃ・・・・・本当にボクの事好きなの?ボクみたいな子でもいいの?」
「ああ、僕にとって衛は 大事な妹じゃなく大切な女の子だって、気がついたよ。だから、今はお互いを近くに感じ合いたい
こうして、抱き合ってるだけでも衛の鼓動が僕に伝わってくる。衛だってそうだろ?」
衛は恥ずかしそうに顔を背けるが、小さな声で囁く
「あ・・・あにぃに包まれてると、ボクとっても安心出来るんだ。ボクの身体全てをあにぃに委ねてもいいくらいに。
・・・・・ねえ、あにぃ・・・・・・ボクあにぃになら・・・・・その・・・・・あげてもいいよ。
選んでもらわなくても構わない、今あにぃの事もっといっぱい感じあえるんだったら、ボク後悔しないよ・・・・」
「・・・衛」
僕は衛のことがたまらなく、いとおしくなり衛の唇にキスをした。
「あ・・・・うれしい、あにぃ・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次の日の朝
いつもの様に、目覚ましが鳴る。
けれど、いつもと違うのは隣に可愛い天使が眠っている事だ。
僕はその寝顔をいつまでも見ていた。この笑顔をずっと守りたい、そう思った。
END