ギャルゲー板最萌トーナメント一回戦 Round12
「ふぅ……、ヒヤヒヤさせやがって……」
観客席から悪友(笑、えみるの試合を観戦していた、次戦の選手・松岡千恵。
対戦相手と健闘を称え合うその姿を、微笑ましく、かつ、燃える瞳で見つめている。
「……負けられないな」
千恵は一人ごちる。
入場口に向かい、一歩一歩足を踏み出す。
肩には彼女の相棒というべきギターが担がれている。
負けたくない。
負けず嫌いだから。
負けたくない。
今まで勝ち残ってきた、悪友達に。
あれほど熱い試合を見せられて、黙っていられる事などできないから。
負けたくない。
力を出しきった笑顔と共に、会場を去っていった悪友達のために。
アイツらの分まで、自分がやらなくてはならない。そう思っているから。
負けたくない。
試合の勝ち負けではない。
自分も、アイツらのようにいい試合をしたい。
自分も、アイツら以上の素晴らしい試合をしたい。
「千恵りんっ!」
薄暗い、入場口前廊下。
その向こうで、充実しきった笑顔と共に、えみるが右手を高く上げる。
千恵の唇が、可笑しさと嬉しさに歪む。
「そんじゃ、行ってくるよ!!」
「ファイトだりゅん!」
二人の熱いハイタッチが、高らかに廊下に響いた。