一也「イキそうなの?青木さん」
千砂「え?」
僕は肉芽をコリコリと擦りあげ、青木さんの絶頂を促した。
千砂「はあぁッ!!ダメ、時田さん、ダメ、いやぁッ!!」
一也「青木さん、可愛いっ……可愛いっ」
千砂「時田さんッ……っ、ひ、いやぁぁ!!来るぅぅッッ!!」
大量の愛液を僕の手に吐き出して、一瞬大きく瞳を開いたかと思うと、
青木さんは強張った身体からゆっくりと力を抜いていく。
千砂「ぁ………」
そのまま後ろに倒れてしまった青木さんをいつみが押さえた。
いつみ「あ〜らら、千砂ったら気ぃ失っちゃったぁ。ちょっとやりすぎちゃったかな?」
そう言うと、いつみは青木さんを僕のベッドに寝かせ、頬を優しく撫でる。
いつみ「んふふぅ、千砂ってば可愛かったよ。あーんなに乱れちゃって……。」
青木さんの顔はどこか穏やかで、すぅすぅと呼吸を続けている。
僕は荒くなった息を整えようと胸を押さえた。すると青木さんの愛液で濡れた指が目に入った。
ちろ、とそれを舐めると、しょっぱくて、青木さんの味がしたような感じがした。
いつみ「やーらしい。」
抜け目なくそれを見ていたいつみが茶々を入れてくる。
一也「う、うるさいな。いいだろ別に!」
いつみ「まぁいいけどね。アンタもHなんだね、なんか安心しちゃった!」
一也「なんだよそれ……」
いつみ「さて、と。」
いつみが青木さんの足元でごそごそと何かしている。
僕はいつみの意図がわからず、じっとその行動を見守っていたのだが、
彼女の手に白い布が現れた時、思わず叫んでしまっていた。
一也「な、何やってんだよ!そ、そ、それ……」
いつみ「んー?欲しいの?」
ヒョイと掲げられたいつみの手には、青木さんのパンティが握られていた。
一也「バ、バカ!何を…」
いつみ「気持ち悪いんじゃないかと思って。さ、洗濯機は?」
一也「え?」
いつみ「だからぁ、洗ってあげようって思ったの!一階?ほら、行くよ。」
僕の腕を掴んで、いつみは強引に部屋から連れ出した。
いつみ「………いつまでチャック下げてんの?」
一也「え?……うわぁ!」
開かれたズボンの窓から、僕のモノが顔を出したままだった。
僕は急いでその窓を閉めたが、これを開けたのはそもそもは目の前の彼女だ。
一也「こ、これは元はと言えば……」
いつみ「いいからいいから、行こう。」
バタン。
いつみ「ね。」
一也「ん?何?」
いつみ「それで、どうだった?」
先に階段を降りたいつみが、僕に向き直ってそう言ってきた。
一也「何がだよ?」
僕はいつみの隣に並ぶと、彼女を先導するために先に洗面所に歩き出す。
いつみ「決まってるじゃん、千砂だよぉ。ね?可愛かったでしょ?」
先ほどの行為が頭の中に甦ってきて、僕は赤面しながら答えた。
一也「え……そ、それは……」
いつみ「やっぱ!?ね、ね、あんな可愛いコいないよぉ?」
僕の答えを待たずにいつみは喋りかけてきた。言葉より先に顔に出てしまったのか。
一也「そ、そりゃあ青木さんは可愛いとは思うよ、言っただろ?
でもいきなり付き合うとかっていうのもちょっとなぁ……」
いつみ「アンタはいきなりかも知んないけど、
千砂はあれからずっとアンタの事気にしてたんだから!」
ぐっと僕に詰め寄ってくるいつみ。
その真剣な表情とは裏腹に、手に握られているパンティがやけに滑稽に見える。
一也「そ、そんな事言ったって、僕にも好きな人が…」
いつみ「え!!?好きな子、いるの!?」
クリクリとよく動く大きな目をさらに見開いて、いつみが驚く。
その驚き様にこっちまでびっくりしながら僕は小さく呟いた。
一也「そ、そりゃあ……気になる人ぐらい、いるよ」
いつみ「なぁーんだ…がっかり。」
一也「え?」
いつみ「う、うぅん、何でもない。んで、誰?」
落ちこんだかと思うと、今度は身を乗り出して問いかけてくる。
コロコロと変わる表情は見ていてとても面白いが、今回ばかりは勝手が違う。
一也「そ、そんなの言えないよ。……ほら、ここ洗面所だから。」
ちょうど話を切りたかった時に、洗面所に辿り着いた。
だがいつみは手に持った白い布地を握り締め、お構いなしに詰め寄ってくる。
興味は完全に”僕の好きな人”にいっているようだ。
いつみ「ごまかさないでよぉ。誰?アタシ、その人知ってる?」
僕はその問いかけに答えるつもりもなく洗濯機の蓋を開けて少量の洗剤を放りこんだ。
一也「ほら、洗濯し終わったらこの乾燥機使っていいからさ。」
いつみ「そじゃなくて、誰なの?」
全く諦める様子もなく、僕の口からその名前を聞き出そうと、いつみは僕を凝視する。
困ったな……僕がなんとか言い逃れようと考えていると、
ピンポーン。
来客を告げるチャイムが鳴った。僕は逃げ出さんばかりに玄関に向かう。
一也「洗濯するんだろ?ちょっと見てくる。」
いつみ「あ、ちょっとぉ!……」
洗面所から脱出に成功した僕は、ほっとしながらつっかけを履いた。
一也「はーい、今出ますよー。」
ひんやりとしたノブに手をかけ、ドアを開く。
ガチャ。
「やー、おひさー。」
ニッとお日さまのような笑顔を向けてくる女のコ。
その横に付き添う大人びた女性。
彼女らの後ろには強い陽射しを浴びて黒光りする立派なリムジンが止まっている。
一也「ノ、ノーマ……だよね?それに子鈴さん……!?」
おおよそ信じ難い光景に、しばし目を疑う。
何故僕の家に2人が?そんな疑問を尻目に、子鈴さんが微笑んで僕に挨拶してきた。
子鈴「御無沙汰しておりました、時田さん。」
ノーマ「おぉ一也!元気してたかぁ?」
一也「ど、どうして僕の家知ってるの?」
ノーマ「そんなモン、ウチの情報網つこたら簡単にわかるわ。
ウェンディ財閥ナメたらあかんで!?」
彼女が財閥の令嬢だというのは以前聞いていたけど、
そこまでして僕の家を突き止める理由がよくわからない。
一也「あ…そうなんだ……そ、それで何か用があって来たのかな……?」
相変わらずなノーマのテンションに押されながら、僕は恐る恐る用件を聞こうとする。
そんな僕に、ノーマはあからさまに顔を曇らせて言い返してきた。
ノーマ「何や、つれないなぁ一也。
まぁ今日来たんは……前世話なったからお中元持ってきたんや。子鈴!」
車の傍で運転手さんから渡された小包を受け取り、子鈴さんが僕の方へ歩み寄ってきた。
お中元?それなら郵送すれば済むのに何で手渡しなんだろう……。
子鈴「はい時田さん、どうぞお受け取りください。」
ポンと僕に手渡されたその包みは小さいながらも結構な重さを持っていた。
予想していなかったその重さに、気持ちよろめきながら僕は中身を聞いてみる。
一也「あ、有り難うございます。これ…何ですか?なんだかずっしりしてますけど……」
ノーマ「一也の大人の仲間入り記念や!あんたも強うなっとかなあかんで!」
子鈴「ブランデーです。」
一也「ブ、ブランデー……?」
一介の真面目(?)な高校生に贈るにはおそらく間違っているのではないかと思いながら、
僕は耳に入ってきた言葉を反芻した。
一也「僕、お酒はちょっと……」
ましてやブランデーなんて口にした事もない。
気持ちだけ受け取って、これは返した方が良さそうだ。
ノーマ「わかっとるて!ウチが付きおうたるから大丈夫や!」
子鈴「ノーマ様、お酒は止めておいた方が……」
ノーマ「何や、固い事言うなや子鈴ぅ。ちょっとだけやから、な?」
子鈴「はぁ……」
子鈴さんは半ば諦めたような表情で溜息をついた。
こういうやり取りには慣れているのか、あまり深く追求はしない。
一也「だ、駄目だって!呑んだ事すらないんだから!」
ノーマ「大丈夫やて。そんなん言うヤツに限ってハマるもんなんや。
そんじゃちょぉお邪魔させてもらうでー。」
一也「えっ!?」
ノーマはすっと僕の横を当たり前の如く通り過ぎ、僕の家に入ろうとする。
一也「ちょちょっと!ちょっと!」
ノーマ「んー?何や?」
一也「あ……上がるの?家……」
それは遠慮してほしいという意味も込めたつもりだったが、ノーマはそんな事など
全く意に介さず、ズイズイと家に上がりこんでくる。
ノーマ「当たり前やろ。わざわざ家まで来たったんやから、茶ぁの1つでも出すんが
礼儀ってモンやろ?じぃ、夕方頃迎え来て!」
子鈴さんの後ろの初老の男性がぺこりとお辞儀をして車に乗りこんだ。
静かにエンジンがかかり、リムジンは音もさせず滑るように去って行く。
ノーマ「ほんじゃお邪魔しますー。」
一也「あ、あ、ちょっと待って!」
颯爽と走り去ったリムジンに目を奪われていた僕は慌ててノーマに声をかけた。
すでに靴を脱ぎ終えた彼女の前に立って、行く手を遮る。
まずいぞ、今は……。
ノーマ「何やねんな、さっきから。なんか都合悪いんか?」
一也「いや、そのぉ………、い、今ちょっと来客中なんだよ!そう!だ、だから……」
ノーマ「あぁ、そんなん全然構へん。人多い方が楽しいわ。
ほら子鈴ぅ、突っ立ったっとらんとアンタも早ぅ来ぃ。」