昔懐かし慟哭スレ P2

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どこにでもあるようなビジネスホテルの一室。
その部屋の中には寝泊りするのに困らない程度の物しか置いていない。
質素だが疲れている人間の睡眠欲を満たすには十分なベッド。
小さいが機能は立派に果たしてくれるであろうテレビ。
そんな一室で、椎名真理絵は俯きながらベッドに腰を下ろして、
自分を呼び出した男―――神田川国昭―――を待っていた。


 「先生、学校が終わったらいつものホテルに来てください…。」
そう告げ終わると、真理絵の携帯電話が切れる。
 「…………。」
返事も聞かずに電話は切れてしまったが、電話をかけた主は
当たり前のようにそのホテルへ向かっていることだろう。
真理絵にはその”命令”に逆らう事はできないのだから。
そうして、今日も真理絵にとって屈辱の一日が始まるのである。
 
 コンコン。

やや控えめにドアがノックされる。
 「………はい」
真理絵がそう答えると、ガチャとドアが開き、御老体が杖をつきながら入ってくる。
 「お待たせしてすみませんねぇ、先生。」
その御老体は真理絵を見ながらテレビの前にある椅子に腰を下ろした。
 「……今日は何の御用ですか?神田川さん…」
神田川と呼ばれたその御老体は、真理絵の身体に目を向け、
 「いえ、今日も楽しませてもらおうと思いましてねぇ…ひっひっひ。」
 「……っ!」
真理絵の身体が強張る。
それは自分に向けられた視線のためか、これから起こるであろう出来事を
想像してかはわからない。
 「……いつまで私を辱めれば気がすむのですか!?もうたくさんです、こんな事!」
堪忍袋の尾が切れたのか、真理絵が神田川に怒鳴り、
腰を上げてこの部屋から出て行こうとドアを開けた。
 「おや…私は別にいいんですがねぇ。困るのはあなたの方じゃないんですか、先生?」
真理絵が足を止める。下を向き、ぐっと奥歯を噛んで何かを考えているようだ……。
 「それに…先生だけならまだしも、教頭先生まで路頭に迷わせるのですか?ひっひっひ」
 「くっ…………!」
真理絵が自校の教頭先生とホテルに泊まっているのを、
盗聴癖のある神田川に知られてからずっとこのような関係が続いている。
 「先生はお優しい方ですから、他人の人生を狂わすような事はなさらないでしょうねぇ……。」
 「…………ひ、卑怯よ…。」
 「さぁさ、お戻りください先生。ドアを開けっぱなしで、誰かに見られたら困るのは
  先生ではありませんか?ひっひっひっひ。」
 「…………。」

ぱたん。

観念したのか、真理絵はドアを閉めて再びベッドの上に腰を下ろした。
 「さすが先生、物わかりが良くていらっしゃる。」
真理絵は身を固くして、ただ俯いているだけだ。
 「さて……今日は面白い趣向で遊ぼうと思いましてね……。」
真理絵が目だけを神田川に向ける。
 「もうそろそろ来るはずなのですが……」

コンコン。

 「本当にここで合ってるのかよぉ?」

 「大丈夫だよ、ちゃんとフロントで聞いたからー。」
突然の来訪者に、真理絵は視線をドアの方へ向けた。
 「ああ、来たみたいですね……どうぞ、開いてるよ。」
 「失礼しまーす……。」

ガチャ。

ドアを開けて、2人の少年が入ってきた。年は11〜12歳ぐらいだろうか…。
ちょうど小学校5、6年生ぐらいの印象を受ける。
 「神田川のおじいちゃん、約束通りの時間に来たけど……。」
 「あれー?このお姉ちゃん誰ー?」
2人の少年がベッドに座っていた真理絵を見て不思議に思ったのか、
神田川に尋ねた。
 「今日はねぇ、このお姉ちゃんと一緒に遊んでもらうんだよ。」
 「えっ!?」
声を上げたのは真理絵だった。驚きの表情で神田川を見る。
 「そうなんだー。楽しみだなぁ。」
 「あっおじいちゃん、僕達今日学校でドッジボールやってて
  そのまま来ちゃったからちょっと汚れちゃってるんだ…手ぇ洗ってくるよ。」
 「そう。それじゃ部屋のドアの近くに洗面所があるから、そこで洗ってきなさい。」
 「はーい。行こうぜ、淳。」
 「あ、ちょっと待ってよぅ。一也君っ」
2人を見送った後、神田川は真理絵に向き直る。
 「あの子達はねぇ、この間私が散歩している時に横断歩道で手を引いて
  くれた子達でねぇ…。それ以来、私が暇だと言うと遊びに来てくれる
  優しい子達なんですよ。今日は何も知らないあの子達に
  大人の遊びを教えてあげてください…ひっひっひ。」
 「そ、そんな事……!」
真理絵が想像し得なかった神田川の提案に反論しようとした時、2人が戻ってきた。
 「お待たせー。ん?どうしたの…?」
 「おじいちゃん、何かあったんですか?」
2人は大人達の間の異様な空気に気づいたのか、怪訝そうな表情で尋ねた。
 「いやいや、なんでもないよ。さて、じゃあ2人とも、服を脱いでベッドに上がりなさい。」
そう神田川が言うと、2人はぎょっとして神田川を見る。
 「服を脱ぐの!?な何をするのさ?」
 「僕、恥ずかしいよぉ……。」
 「大丈夫、痛いことなんてしないよ。気持ち良くなる遊びさ…ひっひっひっひ。」