「えーと、出しっぱなしの本はないな…。」
僕は部屋を見まわす。
ノーマと結ばれてから、僕はどうすれば女のコが気持ち良くなれるかというのを
周りの友達から聞いたり、本を読んで調べていた。
あの時は僕ばかり気持ち良くなってしまったので、
今度はノーマを気持ち良くさせてあげたいと思ったからだ。
もちろんノーマには恥ずかしくて言ってない。
そりゃそうだ、
「ノーマぁ、今度は俺が気持ち良くしてやるから待っててくれよな、げへへへへ」
なんて死んでも言えないよ。
見られると赤面してしまうような本が僕のベッドの下や机の中にあるのだが、
しまい忘れがないか再度チェックする。……よし、大丈夫だな。
「ノーマぁ、もういいよー!」
とんとんとんとん。
ノーマが階段を上がってくる。
「人待たせて何をしとるんや。何か見せたないモンでもあんのかぁ?」
ぎくっ。
「そ、そうじゃなくて片付けてたんだ。ちょっと散らかってたから…。」
「ふ〜ん…まぁエエわ。へぇ、結構さっぱりした部屋やなぁ。
ウチこういう部屋も好きやで。」
「そ、そう…ありがとう……。」
ノーマがきょろきょろと周りを物珍しそうに見まわす。
「ぼ、僕お茶入れてくるね……。」
「あー、おーきにー。」
ふぅ、自分の部屋を見られるのってなんだか緊張するなぁ…。
あ、それよりノーマは紅茶でいいのかな…?
やっぱり飲み物も高級な物ばかり飲んでるのかな?
……高級な飲み物って何だ?うーん、思いつかない…。
まぁいいか。もし気に入らなかったら他の物を入れ直そう。
「はいノーマ、お待た……」
ぱら。ぱら。ぱら。
「ほほぅ…。一也はこんなんが好きなんか…。それにしても皆胸大きいな。
おっ、このコやったらウチの方が胸大きいわ!」
「…………。」
ノーマガベッドノウエデナニカヲミテイル。ナンダロウ、アレハ?
「あっ、一也、見たって。ほら、このコよりかはウチの方が……」
「…………。」
「わっ。この女はちょっとデカ過ぎるなぁ。ここまで行くと牛やな、牛……」
「わぁぁぁぁぁっ!!な何してるのノーマっ!!」
「何て、一也の夜の御供を拝見させてもろてるんや。
しっかし、ベッドの下に入れてるなんて一也もベタやなぁ……。」
ノーマは僕のトップ・シークレットを興味津々な面持ちで鑑賞していた。
「……っっっ。」
僕は真っ赤になって俯く。
ぱたん。
「…………でも」
「…?」
顔を上げると、ノーマは本を閉じてただ俯いていた。
「こんなん見んでも……ウチに言うてくれたら……。」
「え……」
「いつでも……エエのに…。」
「………。」
2人とも黙ってしまう。
僕はどうして良いかわからず、ただノーマを見つめ続ける。
やがてノーマが顔を上げ、青い瞳で真っ直ぐに僕を見た。
「今日は……一也に聞きたいコトあったんや。
どうしても聞きたぁて押しかけたんや…。」
強い意志のこもった言葉。
「な、何だろう…?」
「………。」
自分の中で言葉を整理しているみたいだ。
僕はノーマが話し始めるのをじっと待っていた。
「ここ最近ずっと…一也、ウチの事避けてへん?
電話してもあんまり話せえへんし……。
やっぱり、ウチとしたコト後悔してるん……?
ウチの事嫌いになった………?」
「そっ……そんな事有る訳ないよ!!
僕の方こそ、ノーマが気にしてるんじゃないかと……」
「あの時も言うたやろ。ウチは前から初めては一也とって
決めてたんや…気にする訳あらへん!」
「…………。」
「…………。」
しばらくの沈黙。
うーん、ここで隠してももう意味ないか。正直に言っちゃおう。
「そうだね…そう思われても仕方ないか。
実際、ノーマを避けていたのは事実なんだから……。」
「!?やっぱり……そうやったんや…。」
「でも違うんだ!それは…その…実は僕、友達に話を聞いたりしてて……」
「何の話や?ウチより大事な話かっ!?」
「ノ…ノーマをどうしたら気持ち良くさせられるか…を…
それで……そういう本とかも読んで勉強したり……。」
そう言って、ノーマの手元にあるやーらしい本に目を向ける。
「え……?」
「休日はほとんど友達の家に出かけたりしてて…
それに、ノーマと会うとちょっと恥ずかしかったし……。」
「それは…ウチもそやけど、会えへん方が寂しいやん……。」
「うん…そうだよね、ごめん。僕、自分の事ばっかり考えて、
ノーマの気持ちを全然考えてなかったんだ……本当にごめん。」
「そやったんや…。ウチてっきり一也に嫌われてしもたとばかり…。」
「そんな事絶対にないよっ!僕は…ノーマの事を……もっと…知りたい。」
「…………。」
僕が言いたい事は言った。これで隠し事はもうないぞ。
「うん……ウチも、一也の事もっと知りたい……。」
ノーマが潤んだ瞳で僕を見る……。
「して…一也、ウチの事、気持ち良うして……?」
「………うん。」
僕はベッドに座っているノーマに近づき、そっと口付けをした。
お互いに座ったまま、キスだけを繰り返す。
軽くついばむようなバードキス。
「ノーマ、口を開けて……。」
「………はぁっ」
言われた通りに開いたノーマの口内に僕の舌を侵入させる。
お互いの舌を絡ませ、僕はノーマの味を堪能する。
ぎゅっ。
僕はノーマのボリュームある身体を抱きしめ、そのまま押し倒した。
そして上からノーマの口内へ唾液を流し込む。
「んむ……ごくっ、ごくっ…」
ノーマが喉を鳴らして僕の唾液を飲んでる…。なんだか嬉しい。
「んふふ……お返しや…。」
口を離してそう言うと、ノーマは態勢を入れ替え僕の上に覆い被さってきた。
ノーマの唾液が僕の口内に入ってくる……。
「……っ、ごく、ごく、ごく。」
僕は何の躊躇いもなくそれを飲み干す。
「おいしい…」
「ふふふぅ、そか。そんならもっと御馳走したるわ。」
「んむっ……。」
再びキスをしてくるノーマ。唾液をより喉の奥へと流し込もうと深く深く口付けする。
すごく幸せな気分だ。ずっとこうしていたい……。
僕はノーマのお尻をぎゅっと掴んで、お互いの腰を密着させる。
ノーマは僕の下半身の変化に気づいたのか、少し微笑んだように見えた。
「一也、キス上手なったなぁ……ウチ、ごっつ興奮したわ……。」
「……この前はノーマの言う事を聞いたから、
今日は僕の言う事を聞いてもらうよ?」
「あぁ……そやったなぁ。しゃぁない、約束やからな。
でも、…優しぃしてな。」
「……うん。今日はノーマに感じて欲しいんだ…。」