昔懐かし慟哭スレ P2

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倒れかける青木さんの肩をつかみ、支える。セーフ。
もっとも倒れたところでしょせん海、怪我などするはずもなかったろうけど。……それにしても。
「あ、ありがとうございます」
……青木さんが、僕の、腕の中にいる。
「石を踏んだんですけど、その石が傾いて」
……甘い、匂い。
「時田さん?」
僕は思わず彼女の身体を後ろから抱きしめた。
「ひゃっ」
「青木さん、好きです」
肩がびくりと震えるのが分かった。耳元に顔を近づけて、もう一度言う。
「ずっと好きでした。はじめて逢ったときから……」
おなかに回した僕の腕に、青木さんの指が触れた。おとなしく離すべきか、それとも。
「…嬉しい」
絡ませた僕の腕をさらに硬く結びつけるかのように、手の平をぎゅっと押しつけてきた。
「私も、ずっと、ずっと、好きでした。あの時から……」
いったん離しかけた身体をふたたび密着させる。青木さんの鼓動と僕の鼓動が混じり合って二人を揺さぶった。
そのまま抱き合っているだけでも、良かったのだが。
「青木さん」
腕を抜いて正面に廻り、肩をつかんだ。そのままゆっくりと顔を近づける。
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だが、彼女は手を挙げて僕の顔を押さえた。
「え」
「お願いがあります。…千砂って呼んでくれませんか?」
「…千砂」
「…一也さん」
千砂が顔を上げ、目を閉じる。再度、顔を近づけ、今度こそ、

キスをした。

ずいぶんと長い時間だったように思う。心臓が激しく踊っていた、それこそ飛び出てきそうな程に。
その高鳴りに耐えきれなくなって、ようやく唇を離した。
改めて千砂の顔を見る。閉じていた瞼が開かれ、僕を見つめ返す。見つめ合ううちに、その瞳から涙がこぼれだした。
「や、やだ」
あわてて目もとを拭う。
「ごめんなさい、あんまり嬉しかったから……」
「千砂……」
愛おしさが更に膨らんで、もう一度彼女を抱きしめる。
「一也さん……」