昔懐かし慟哭スレ P2

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プルルル……プルルル……
プルルル……プルルル……

ある土曜日の午後。時田家に
 「はいはい、今出ますよー。」
僕は急いで部屋のコードレスホンを取る。
 ガチャ。
 「もしもし、時田で―――」
 「遅いわっ!!あと一回コールして出んかったら
  根性焼きの刑やったで!!」
 「………。」
いきなりの金切り声に脳が揺れる…。
 「こらぁっ!聞いてんのか?一也っ!?」
僕の知人でこんな失礼な女の子は一人しかいない。
 「…聞いてるよ。何か用事?ノーマ。」
 「用無かったら電話なんかせえへんわ。
  あんなー、今むっちゃヒマやねん。そやから遊びに来て!」
 「はぁ?またいきなりな話だね。そんな急に言われても無理だよ。
  そっちに行くのに結構時間かかるし、用意もしないと…」
 「そんなんいらん!必要なモンはこっちにあるの使えばええから!
  家の前に車来たらそれに乗り。はよ来ぃや!!」
 ガチャ。ツ――ツ――ツ――……
 「………。」
ちょっとまだ状況が掴みきれていないようだ。
ええと、今のはノーマだよな。名前言ってないけど…。
それで、遊びに来いっていう誘い。
…でもノーマの家までは電車を乗り継がないと行けないぐらい遠い。
往復するとなれば一日がかりだ。行くとしたら、泊りがけになるだろう。
以前、あの事件の後にみんなで遊びに行ったことがある。
(帰らせてくれないだろうな、きっと…)
あの時の記憶が甦る。
前回はノーマのペースに振り回されて、
帰りの電車ではみんな疲れて眠ってしまったんだっけ。
まぁ楽しかったからいいんだけど。
 キッ。バタン。  ――ピンポーーン。
 「あれ、もう来たのかな?」
早足で玄関へ向かいドアを開けると、
 「お迎えに上がりました。」
タキシードを着た、いかにも「執事」という言葉が似合う人が立っていた。
 「……まぁ、いいか…。」
僕は結局、着の身着のままで平素な住宅街に似合わないリムジンに乗りこんだ。

 「遅い!!乙女を2時間も待たせるとはどういう事や!?」
 「……ご、ごめん。」
大きな一室に案内された僕はソファに座っているノーマに謝る。
と言うか、僕の家からここまで2時間で来たあの執事さんって一体…。
 「まぁええわ。さ、何して遊ぼうか?」
 「え?あの……他に誰か来てないの?」
 「ああ、なんか皆都合悪い言うて。今日は一也一人や。」
 「ぼ…僕一人?」
ノーマの相手を僕一人で……。何をやらされるんだろうか…。
 「プール行こ!プール!」
 「え……うわっ!」
いきなり僕の手を引っ張り走り出そうとするノーマ。しかしすぐに止まって、
 「あっと…そや、水着やな。ちょっと待っとって。」
そう言ってノーマはまた走って部屋を出ていった。
落ち着きがないというか何というか……。
でも、楽しくなりそうだからいいか。もう来ちゃったんだから楽しまないと損だな。
 「ほらぁ一也ぁ!一緒に泳ごうやー!」
 「う、うん、ちょっと待ってー!」
ノーマってば、もう水の中に入って。足つったりしても知らないぞ。
だけど…相変わらずあのカラダは犯罪だ。
黒のハイレグビキニなんて、明らかに僕の反応を楽しむために着ているとしか思えない。
でもよく見ると乳首が透けて…………
はっ!!だ、ダメだダメだ。準備運動でもして冷静さを保とう…。
 ざば――。ぺた。ぺた。ぺた。
 「準備運動なんかええからっ。さ、行くでーー!!」
 ぐっ。
 「うわっ、ちょちょっとノーマ……っ」
いきなり腕を掴んで走り出す。
プールサイドは走っちゃダメだって言われなかったのか? ……言われても聞かないか、ノーマは。
 「それーーー!!」
 「おわーーー!!」
 ザブン!ドボン!
跳びこみは危ないって言われなかったのか? ……言われても聞かないな、ノーマは。
そう思い、水中で目を開けてノーマを見る。
 「…………。」
 「…………?」
 「ぷはーーっ」
 「っはーーっ」
お互いがほぼ同時に水面から顔を出した。
何だ?今のノーマの眼は…。なんか妙に色っぽいというか……。
 「……。」
 「ん?どないしたん?」
あれ、普段のノーマだ…。
 「え、いや、別に、何でもない…」
 「何でもないことあれへん。隠し事なんて男らしないで!?」
 「ほ、ホントに何でもないってばっ」
 「ほ〜〜…そうかー、そんならカラダに聞こかぁ……」
手をワキワキさせてノーマが近づいてくる…。
 「白状せぇやぁっ!!」
 「わわっ、わはは、あははははっ!!」
ノーマの手が僕の脇をくすぐる。
 「絶えられるんかぁ、この攻めにぃっ!」
 「わはははは、やめ、やめ、ノーマ、」
 ザブン!ブクブクブクブク………
しつこいって、ノーマ…。
 「ほんま、今日はエエ天気やなー。」
 「ああ……ホント。」
あのじゃれ合い(?)の後、最後はバテてプールサイドで休むことにした僕達。
ノーマは敷かれているシートの上にごろんと仰向けになって太陽の光を全身で受け止めている。
しかし僕は膝を抱えて三角座りの態勢を崩せないでいた。
なぜなら…さっきのじゃれ合いの最中、ノーマの胸や生足が
ぼんよぼんよ僕の身体に当たりまくって、今だその感触の名残りがあり、
僕の一部が人様に見せられない状態だから。
 「ほんで、さっきの隠し事は何やったんや?」
 「ぐっ……」
くそぅ、さすがにさっきの今じゃ忘れないか。
 「本当に大した事じゃないって。」
 「大した事ないんなら言うたってええやんか。」
うっ……墓穴だ。
 「いや…人に言う事じゃないって言うか・・・」
ノーマが状態を起こしてすすす、とこっちへ寄ってくる。
 「ウチは聞きたいんや。なぁー、教えてぇやー。」
ぐいっ。
腕を取り、無理矢理僕を正面に向かせる。
 「引っ張ったら痛いって、ノーマ……」
 「…………。」
 「?」
何だ?ノーマの視線が下のほうに……。
 おわぁッッ!!!
 「…………。」
そこには今だ見事なテントを張った僕の海パンが。
 ザザザッ!!
僕はテント状態のソコを押さえて後ずさる。
 「…………。」
 「いやッ、これは、その、えーと、何と言うか…」
 「…………。」
 ノーマがやっと僕の顔を見上げる。
 
 ニヤリ。
 
 「えっ?」