僕は立ち上がり、子鈴さんの部屋を家捜しした。勿論、目的は母乳が出るようになるという薬を探すためだ。それは薬箱の一番奥に隠すようにしまわれていた。粉薬は一つしかないので恐らくこれだろう。
やがて子鈴さんが帰ってきた。手には缶コーヒーを二つ持っている。
「あ。子鈴さん、すみません。飲み物まで買いに行かせて」
「いえ。いいんですよ」
外を歩いて少し落ち着いたようだ。子鈴さんはいつもの落ち着いた笑みを返す。
彼女はカップに缶コーヒーを移してこちらの部屋に来た。
「そういえば部屋の鍵、閉めました?」
「え?」
慌ててドアの鍵を確認しに戻る。僕はその間に手に入れた粉薬を子鈴さんのコーヒーに入れる。
(即効性じゃないかもしれないからな。このくらい入れておこう)
一つだけでは心もとなかったので見つけた分全てを入れた。
「有難うございました。かかってませんでした」
「最近は何かと物騒ですから。気を付けませんとね」
何食わぬ顔で僕は自分のコーヒーを飲む。子鈴さんもコーヒーを飲んだ。
僕はあえて何も喋らなかった。そうすれば子鈴さんがどんどんコーヒーを飲むと思ったからだ。
こくん……
そして、彼女がコーヒーを飲み干した。
「? 私の顔、何かついてますか?」
僕がまじまじと彼女の顔を見ているから不思議に思ったのだろう。
(変化がない。もしかして間違ったか?)
と思った瞬間、子鈴さんの身体がびくんと震えた。
「……え?」
子鈴さんは間の抜けた声をあげ、次に切なそうな表情で自分で自分の肢体を抱きしめるようにした。
「そ…んな、どうし…て、き、急に……ん!」
こぼれるような彼女の声だったが僕にはしっかりと聞こえた。
「どうかしましたか?」
「い…え。何でもないですぅ……」
僕は気遣う振りをして子鈴さんに近づく。
「こ、来ないで…下さい。おね……が…い」
「でも……」
僕がそういいかけたところで、
ぽたっ。
「!?」
見ると、子鈴さんの母乳がセーターからしみ出してきている。
「そん…な……!」
子鈴さんの驚きにも拘らず、セーターからしみ出た母乳はコタツの上に小さな水溜り、いやミルク溜りを作っている。
(まさかここまで効果があるとはね)
子鈴さんは何とか止めようと自分の肢体を強く抱きしめるがそれは逆効果だった。ますますミルクがしみ出してくる。
ぷぴゅ。ぴゅ。
子鈴さんの顔が苦しそうにゆがみ、目尻には涙すら溜めている。おそらく乳房が張り過ぎて痛くなっているのだろう。
「子鈴さん。苦しいんじゃないですか。乳搾り。お手伝いしましょうか?」
「え?」
後ろに回りこんだ僕は子鈴さんの答えを待たずセーター越しに子鈴さんの胸を力一杯掴んだ。
「んっ!」
ぷちゅううううううう!
「ひああああーーー!!」
子鈴さんの双乳房から弧を描くようにミルクが搾り出される。
「すごいですね! まさかこんなに出るなんて思ってませんでしたよ!」
「時田…さん。やめて下さい……んん!」
潤んだ瞳で懇願する子鈴さんだが、その行為が僕の嗜虐心を高めることに彼女は気付いていない。
「構いませんけど、そうしたらこのアパート中に子鈴さんの母乳のことが知られることになりますよ?」
言いながらも僕は乳房を搾る手を休めない。子鈴さんの乳房からはとめどなくミルクが溢れて出てくる。
「そ…んな。ひどい……!」
「口止め料、払ってくれますよね?」
少しの逡巡の後、子鈴さんは小さく頷いた。