うらぶれた雰囲気のエレベーター内で、いつみは全裸にスニーカーという格好で立ち尽くしていた。対して僕は、上はワイシャツ一枚、下半身は丸出しという状態だ。
熱っぽい視線で、お互いに見つめ合う。廃屋の一室に相応しくない、淫靡な感情がふたりの間を漂っていた。
僕は、いつみの秘所に手を伸ばした。火照った柔肉がしっとりと濡れている。
割れ目をなぞるように指を動かすと、
「あ…あぁっ、はぁ…」
いつみが喉の奥から搾り出したような声を発した。
僕はしゃがみ込んで、いつみの股間に顔を寄せる。
「いつみ…脚、開いて」
「う…うん」
いつみは恥ずかしそうに俯いて僕を見ている。返事はしたものの、なかなか脚を開いてくれない。僕は催促するように、ふとももの内側をそっと撫でた。
「あんっ」
いつみは身体を震わせると、緩慢な動作で脚を広げた。成熟した女性の性器がそこにあった。
思わず吐いた溜め息が、淡い茂みを揺らした。
「やん…くすぐったいよ」
頬を赤らめながら、いつみが微笑する。
指を添えて、大陰唇を広げると、サーモンピンクの秘肉が見えた。
「いつみのここ、凄く綺麗だよ」
「そぉ…? 恥ずかしいけど…嬉しいな」
「ねぇ、お願いがあるんだけど」
「何?」
「そこ…舐めて」
いつみの言葉に、僕は行動をもって応えた。いつみの陰唇に、そっとキスをする。くさむらに鼻が当たって、くすぐったかった。
「あぁ…うぅん…」
熱い肉ヒダを丁寧に舐める。外側から、内側へと。舌先で、クリトリスを刺激すると、いつみは叫ぶような声で喘いだ。
「はぁっ…はぁ、あっ、あっ、あぅぅぅっ…」
繰り返し繰り返し、ひたすら舐め続けた。次第に秘肉が蜜で潤ってくる。
充分に濡れていないと、後でいつみに痛い思いをさせてしまう。両手をお尻に回して、やわらかな肉を強く揉みしだく。つられて舌の愛撫も激しくなる。
「はぁっ…はぁっ、き、気持ちイイ…気持ちイイよぉ…」
いつみの声は、完全に欲情した雌のそれだった。
溢れ出た愛液がふとももを伝って落ちた。もうこれで潤滑液は充分だろう。いつみの性器で、もはや僕の舌が触れていない部分は無い。
いつみの潤った秘肉を見つめて、僕は今すぐにでも突っ込んでしまいたい衝動に駆られた。いつみの陰唇を夢中で舐めているうちに、だいぶ興奮してしまい、僕の肉棒は怒張していた。
いつみの股間から顔を離し、立ち上がる。
「いつみ…もう我慢できない」
彼女の脚を広げさせ、亀頭を入り口にあてがう。僕は、吐息がぶつかる距離でいつみの顔を見た。
「はぁ、はぁ…アタシも…我慢できないよ…。アンタの、欲しい…」
「入れるよ…」
いつみのお尻を両手で支える。
「うん、早くぅ…入れて」
僕の首に、いつみが両腕を回す。僕は腰を突き出し、肉棒をゆっくりといつみの中へと沈めた。
挿入した瞬間、いつみの中で僕のペニスは溶けた。ひとつになったと強く感じる。いつみの膣内は暖かく、優しく肉棒を包んでくれた。
もっと、もっと深く…。僕は肉棒を根元まで押し込み、下腹部を密着させた。
「はあぁ…くぅぅぅぅぅぅっ!」
いつみが苦しそうな喘ぎ声を上げた。
「ほら…いつみ。僕たち、つながってるよ」
「はぁ、はぁ、はぁ……え…?」
いつみが視線を結合部に落とす。
「はぁはぁはぁ…やだっ…恥ず、かしい…。あなたの、オチンチンが…全部、入ってるよぉ…」
「いつみの中、とても気持ちいいよ」
「はぁ…ふぅ…アタシも、あなたのオチンチンが入ってると…凄く気持ちイイよ…」
恍惚の表情でいつみが言う。
僕は、腰を引いた。
「あ…」
そして、強く押し出す。
「はぅあぁぁぁッ!」
いつみがのけぞって悲鳴を上げる。乳房が、ぷるぷると震えた。たった一度の摩擦でも、気が遠くなるほどの快感を得られた。やわらかい肉壺が、きつく締めつけてくる。
僕は夢中で挿入を繰り返した。いつみも僕に合わせるように腰を振る。その振動で廃屋のエレベーターがガタガタ揺れた。
「はぁッはぁ…イイ…ふはぁっ、ぅ…んッ、はぅ…気持ちイイよぉ…」
いつみの呼吸が荒くなっていく。いつみの顔は紅潮して、口からは少しよだれが垂れている。目は熱っぽく虚ろだ。感じまくって欲情しているようだ。
「いつみ…いつみっ」
「あぁッ、あん、あぁ…イイ、すっごく…感じるよぅ…」
挿入が繰り返される。だがそれは、逃げようとする僕の肉棒を、いつみの陰唇が咥え込んで離さないように見えた。
それでもいい。
いつみが感じてくれている事が素直に嬉しく思える。
僕の肉棒にも、いつみの秘肉が与えてくれる快楽がある。暖かく心地良い感触。激しく腰を動かすと、いつみは絡みつくように締め付けて、さらに快感を高めてくれる。
「い、いつみ…もうダメだ…イク…」
どれほど腰を振り続けただろう、絶頂が近づいてきた。
「はぁ…はぅッ、まだ…ダメ…もうちょっと…」
いつみが両手に力を込めて言った。くぅ…キツイ。今にも暴発しそうな肉棒を抑え、僕はピストン運動を続けた。それだけではなく、揺れる乳房を揉み、首筋を吸い、お尻を愛撫する。
「はぁっ、はぅ…ふぁ、はぁ、はぁッ、はぁぁ…」
いつみが激しく喘ぐ。彼女の腰使いも、かなり大胆になり、どん欲に僕の肉棒を味わっている。
「はぁ…もう…あぁ、イキそう…」
僕の待ち続けた言葉が、いつみの口から洩れた。
「いつみッ…出すよ…!」
「うん、出して…アタシの中に…いっぱい出して…イク…イクッ!」
最後に渾身の力を込めて肉棒を突き出した。根元まで押し込んで、ほんの少し気を緩める。肉棒は激しく痙攣して熱い精液を吐き出した。いつみの暖かい膣の中で射精する。僕はしばらく目を閉じて、その快感に浸った。
肉棒をいつみの中から抜くと、陰唇から白濁した液体がドロドロと溢れ出した。
いつみが、ぐったりと体重を預けてきた。
僕はそれを受け止める。
快楽の余韻に浸りながら、ふたりは言葉も無く抱き合っていた…。
彼女の背中を両手であやすように撫でる。
いつみに頬を寄せ、髪を優しく触る。
「好きだよ…いつみ」
自然と言葉が出てきた。
「…………アタシも、大好き」
いつみが微笑んで答える。
それが素直に嬉しくて、僕はいつみを優しく抱き締めてキスをした。自分が置かれている状況も忘れ、僕は漠然とした幸福感に満たされていた。
不意に、何かの機械音が聞こえた。
エレベーター内に、微震のような振動が伝わってくる。
「きゃあっ」
「これは…エレベーターが上昇しているぞ!」
ここから出られる。
本来ならば待ち望んだ事であるはずなのに、僕は何故か残念な気持ちだった。
「ふたりの時間が終わっちゃうね…」
どうやら、いつみも同じ事を考えていたようだ。
振動が止まる。エレベーターは無事、二階へ到着した。
古めかしい格子の向こうに薄暗い廊下が見える。
「時間は作るもんだよ。今度はベッドのある部屋で…な、いつみ」
「うん! そうだねっ。ちゃんとここから出て、うちに帰ろう!」
身支度を整え、扉を開く。
一歩踏み出すと、さも当然といったふうに、いつみが手を繋いできた。
僕たちは歩き出す。
この廃屋から脱出するために。
(完)