♪TLS総合ネタフリパロスレッド♪

このエントリーをはてなブックマークに追加
1名無しくん、、、好きです。。。
TLSキャラ使って楽しむスレッドです♪
補完SS・パロディネタ・AA・なりきり、なんでもOK!
基本的にはエロネタもいいけど、過激な表現は控えて下さい。
SS職人さん大歓迎!まったりと楽しみましょう♪
2キジモト:02/01/13 03:51
じゃあな!
一発目のネタフリ。「オカノ三世」
ルパン=丘野陽子。さる口の緑ジャケット。
    「こんなことをするヤツァ、ばつんと当たりがつくぜ」
次元=沢田璃未。プロフィショナルでクールな転校生。
   「その酒は飲まねぇほうがいいようだぜ」
五ェ門=風間こだち。ありがちキャスティングすまそ。
    「たしかに手応えがあった。だがヤツはルパンじゃねぇ」
不二子=安藤桃子。敵か見方か謎の女。
    「裏切り者を消しにきたってワケ?」
銭形警部=森下茜。やつはエリート、侮るなかれ。
     「殺しはしない。麻酔弾さ!」
クラリス=七瀬かすみ。髪型つながり。
     「泥棒はまだできないけど、きっとおぼえます」
カリオストロ伯爵=高林勇次。クラリスがかすみならねぇ。
         「どこまで逃げるつもりかな?クラリス」

その他キャスティング思い付かん。
森下「見つけたぞ、ルパ〜ン!」
丘野「うそ〜、とっつぁ〜ん!」
沢田「悪いがルパン、俺は逃げるぜ!」
丘野「お〜いおい、じげ〜ん、オ〜レ様は動けないんだぜぇ〜?」
沢田「じゃあな!とっつぁん、ままごとでもしてな!」
森下「さぁ観念しろ、ルパン!」
丘野「ごぜんぜうな〜、こんなことがあろうかと〜」
森下「ルパーーン!!」
本スレへのリンクを貼っておく。

トゥルーラブストーリー☆☆総合スレッド・その6
http://game.2ch.net/test/read.cgi/gal/1009882486/
6:02/01/14 22:12
>>5
ありがとう。ついでになにかネタフリほしいよ。
遊季と梢と翼子の三人でままごとをすると、
梢=母親、遊季=子供、翼子=父親ってとこだろうか。
そこにたかねが通りかかって、不倫相手にされる。(w
泣きまねして、離婚だともめる梢と翼子。
けっこう乗り気で上手い芝居をするたかね(アドリブに強い)
遊季、ここぞとばかり不良少女になりきり一気に積木くずしな展開に(w
翼子飲んだくれ前田吟に。
そこにかなめが飛び入り参加。正義の格言教師(金八っつぁん)に。
立ち所ににスピード解決。
そんな感じですかね。
梢=母親、遊季=父親、翼子=子供、、、

べたべたいちゃいちゃ夫婦で子供放置!!
9名無しくん、、、好きです。。。:02/01/25 23:59
なんでもいいからネタ下さい。ショートSS書きます。
>>9
茜とかすみで主人公のちんぽ奪い合いSS

あ「私の○○○○に先に入れるのー」
か「ううん、私の○○○が先なのー」
主「じゃあ、二人一緒にしてやるか(藁」

というネタでお願いします。
11名無しくん、、、好きです。。。:02/02/01 11:01
                  
12TLS3・BR:02/02/03 14:53
「本当に実行するつもりですか?」
「…辻村くん、これは決定だよ。来週から計画を開始する」
男は冷たく言い放ち、言葉を続ける。
「参加させる生徒のリストは以下の通りだ。
 蒼月たかね、関谷かなめ、関谷朋貴、紺野遊季、工藤翼子、佐伯梢、
 柳瀬里佳、本条笑、二階堂時子、久保田実、三宮太一、真弓千鶴…
 以上だ」
まるで出席を取るように淡々と生徒の名を上げた。
この生徒達が殺しあうことを知っていながら。
「!? わたしの選んだ生徒じゃあない! どういうことですか?
 計画に適した生徒は、素行が悪い不良か両親のいない生徒のはずです
 わたしはそれに沿って人選をしました。その生徒達を選んだ理由は
 なんなんですか!?」
「…君には伝えてなかったが、今回は特別でね。いままでと違った環境
 での実験でどのように違った結果が出るか期待しての人選なのだよ。
 特に半年前での結果に納得できない上層部の意向でね。
 しかたがなかったんだよ、辻村くん」
「しかし、この人選は…生徒会長の二階堂ほどの優秀な生徒まで参加
 させるのは……ッ!」
「君も解らん奴だな、もう決定なんだよ。君の受け持つ生徒を死なせた くない気持ちも解らないでもない。だが、計画の準備は始まっている んだ。」
そういうと、男は部屋から出ていった。
辻村はなにも言わずただ静かに男の背中を見送った。
13TLS3・BR:02/02/03 15:03
季節は2月上旬ー、美空中学三年生達は最後の進路相談を受け、
月末の高校受験に向けてのラストスパートをかける時期だ。
関谷朋貴もそんな受験を控えた生徒である。
「朋貴ーー!」
校舎内で朋貴を呼ぶ声がする。呼んでいるのはー双子の姉、かなめだ。
「朋貴、帰り?」
「ああそうだけど、かなは帰らないのか?」
どうせまた一緒に帰ろうというつもりなんだろう、と思っていると。
「う〜ん、ざんね〜ん。わたしはバレー部の集まりがあるの。
 だから寂しくても一人で帰ってね〜」
「あれ、まだ三年も部活あるんだっけ?」
「部活じゃないよ〜。バレー部員達で集まって話するだけ。三年は
 みんな受験勉強でストレス溜まってるから、ガス抜きの意味での集ま りなの。里佳もくるんだけど、一緒に来る?」
最後のほうがにやけている。
「べつにいいよ。女だけの方が気兼ねしないだろ」
「そう? みんな喜ぶとおもうんだけどね」
まぁいいか、と言うとじゃあねと手を振り行ってしまった。
こんなやりとりも卒業したら出来なくなる。そう思うと、
とても貴重な時間に思えてくる。
そんなことを考えながら帰路を行くと、見覚えのある制服
が目に止まった。美坂綾菜先輩だ。
「美坂先輩!」
「あら、朋貴くん。お久しぶりね。
 今日はかなちゃんは一緒じゃないの?」
「お久しぶりです。かなといつも一緒ってわけじゃないですよ」
「ふふふ、それもそうね。すこし話さない? せっかく会えたんだし」

「へぇ〜、先輩その人に告白したんですか!」
「うん、そうなの。転校前に二人きりになって…勇気を出して告白
 しちゃったの。そうしたら彼もわたしのこと好きだって言ってくれて
 ……。嬉しかったなぁ〜。高校卒業したらこの街に戻ってくるから、 それまで待っててくれるか。って言ってくれたの…」
美坂先輩が照れながら話してくれた。その表情はとても幸せそうで、
関谷朋貴としても、幸せであった。
彼女がまだ美空中の生徒であった頃、朋貴やかなめ共々良くしてもらい
彼女には尊敬と憧れを感じていた。いまにして思えば初恋に似た感情を持っていたのかもしれない。その美坂先輩の幸せはとても嬉しく、
心から祝福してあげたくなった。
「朋貴くん、これ」
「えっ?」
ふいに、先輩から小さな包みを渡された。中身はー
「合格祈願のお守りよ。かなちゃんの分も入っているから」
ふわり。心の中から温かくなるような感覚。
「先輩、わざわざ用意してくれたんですか?」
「うん、二人が高校受験で頑張れるようにね。今日渡すことが出来て
 よかったわ。ほんとはもっと早く渡したかったの、ごめんね」
嬉しくて、嬉しくて、先輩の気持ちが嬉しくて、何も言えなかった。
これならどんな高校受験だってー
「ちょっとスイマセン、関谷朋貴くんかな?」
14TLS3・BR:02/02/03 15:10
「関谷朋貴くんかな?」
突然、知らない中年男性に声を掛けられた。
美坂先輩のプレゼントに喜んでいた気持ちが、いきなりの出来事に
対処できず、ひどく間を開けてしまった。
「……はい、そうですけど…なにか?」
こちらがポカンとしている間、終始同じ姿勢でいた男がこちらの返答に
笑顔を見せた。人の良さそうな笑顔だ。
「あぁいやいや〜、びっくりなさってたので人違いかと思いました〜。
 スイマセン〜。どうもわたしは人を驚かせる顔をしてるようで、
 初対面の人はたいていびっくりさせてしまうんですよ〜」
この男は笑顔のまま、ゆっくりとした物腰で関係ないことを話している
いったいなにがどういう用なのか、二人共わけがわからない。
「いったい、なんの用があるんですか?」
ほうっておいたら喋り続けそうなので、つい語尾が荒くなってしまった
「あ、いやスイマセン〜。いえね、わたしはこういうものでして」
そういって、懐から黒い手帳を出した。ーー警察?
すると男はすぐに手帳をしまってしまった。
「実は、関谷かなめさんについて聞きたいのですが〜」
え!? 警察がかなを? なんでかなのことを? かなになにかあった?
「かなちゃんになにかあったんですか!?」
美坂先輩も同じことを考えたのだろう。男に激しく問い詰める。
「……えぇ〜と、スイマセンがあなたは〜」
「わたしはかな…関谷さんとよく知り合う仲です。関谷さんになにか
 あったんですか? もしかしてなにかの犯罪に巻き込まれたとか…」
犯罪という言葉に不安が襲う。よくない想像が頭をよぎり、それを
振り払った。かなは学校だ。なにかあるはずはない。
「え〜…と、ですね。スイマセンがすこし待って下さい。連絡します」
と言うと、男は少し離れ携帯電話を出し、どこかに電話を掛けている。
先輩はとても不安そうだ。大丈夫だと思っていても、やはり不安だ。
男は連絡が終わったらしく戻ってきた。
「かなめさんは我々に無事保護されたそうです。よかったですね〜。」
男の言葉に胸を撫で下ろす二人。よかった無事なんだな。
「それでですね、朋貴くんに会いたがっているそうなんですよ。
 わたし達の車が用意してありますから、ついてきて下さい」
「あのっ、わたしも一緒に行っていいですか!?」
美坂先輩の言葉に男の笑顔が崩れる。…なにか、なんだろう?
なぜだか、いやな予感がする。かなはなんの事件に巻き込まれたんだ?
「……わかりました、あなたも一緒についてきてください」

すこし歩くと人気の少ない公園の横にワゴン車が停車してある。
「あの車です。あれに乗って行きます」
男は横のドアを開けると先に乗るように促した。
中は暗い。車のガラスが刷りガラスになっているせいだろう。
なにか嫌な雰囲気を感じたが、先輩が乗ってしまってはしょうがない。
自分も乗り込むと、ふいに先輩が
「あ」
と声を出した。同時にドアがしまる。シューーッという音が聞こえ
先輩の方を向くと、運転席の男がこちらにスプレーを向けていた。
そのドライバーはガスマスクを付けていた。
ものすごくねむい…このままねてはいけないとおもったが、
どうすることもできなかった。


            _       ___ ∧∧       _        人人人人人人人人人人
        /⌒\ \     〔〔 |Ξ (,,゜Д゜)つ /⌒^\\    <               >
        //⌒\ |◎|   _/ ||Ξ/ つ¶¶  / /⌒\|◎|   <   はくそリーナへ
      /     )|日|\/__\|/ ̄ ̄ ̄ ̄\  _____.|日|\_  <              >
     /  ●   ___  \|/       ●  ●/\  ̄\__〉  ∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨
   /      Y     Y )ヽ Y  Y       \..\ _/^~           /^|/^|__
   | ▼       |     | /. )).|   |       ▼ |/\\              /^/.^/_⊃
   |_人__ノ⌒|     |/ノノノ\__人   、_人_|    \\______ __/^/^/^/⊃
          / ̄ \__|  ||  ̄/目>、 ___ノ\.   /| ̄    |  ̄  ̄ ||γ〜〜〜 |
         /   /  ./|___||_/ ̄/{三|三|三}|    \/|||‐‐‐‐‐‐\  ⊂二⌒) γ  /
        /__/_./ \_|ロ/ ̄{三|三|三}ロ|      ^^|____\_||{ ヽーー/
      /   /  |/     〉−−−−−〈_             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      /======/   |   / ̄ ̄ ̄|^^ ● ^^ ●)\
    /~/⌒|\.||  /   | ̄ ̄__|_   ▼  |  ̄|
  ( ̄()|⌒| )|| /    /   / /ミ三\_人__/三{.|
  ( ̄()|_|/ ||/     /   / / /   ̄/|:::::|::::|   \
  ( ̄()/)/ ̄     /    / / /   ./ |:::::|::::|\   \
   ^( ̄)/        /__/_/ /    /  \__/  \   \
     ̄^             /^^ /   /   \    \ | ̄ ̄|
                   /   /   /       \    /    |
                 __/三|/   /         >三三\___/
               / \/ ̄ ̄〉         /\  /  /
             /\   |__/|         /  | /  /
           /   | /     /        /   |_/ __/
         /     |_/___/         /    / ̄ /
        /    __/     /         /|   /__/
       /   /   ̄ ̄| /       〈 \/__〈/
       /_/_/ ̄\_|/          \  \_\
       ^ / ̄   | __ \            \. |   |
        |___/___|            \|_/


┏━━━━━━━━━━━━━━┓
┃              ┃
┃     終  了     ┃
┃     The End      ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━┛
┏━━┯━━━━━━━━━━━┓
┃12│ ↑出 口 Exit     ┃
┗━━┷━━━━━━━━━━━┛
なんでリカとカンチが出てこないんだ?
「Tokyo Love Story」なのに
┏━━━━━━━━━━━━━━┓
┃                     ┃
┃     終  了           ┃
┃     The End           ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━┛
┏━━┯━━━━━━━━━━━┓
┃17 │ ↑出 口 Exit          ┃
┗━━┷━━━━━━━━━━━┛


1917:02/02/09 13:27
>>18
まさか見る奴がいるとはオモワんかった、ユダンした。
20TLS3・BR:02/02/10 02:02
泣いている…泣いている…泣いている。 …………誰が?
「……もき………」
泣いている、誰かが、誰だろう…。よく知っている女性のような…。
「……ともき……朋貴……ッ!」
あれ、かなが呼んでいる…。もう朝なのか…。起きて学校いかなくちゃ
……あれは、美坂先輩だったような。………

「朋貴、起きて、朋貴っ!」
「……かな、おはよう…。……あれっ?」
かなめの声で目を覚ますと、あたりがまだ暗いのに気付く。
周りを見ると…なんで教室にいるんだろう? 他にも生徒がいる。
「朋貴、大丈夫? 怪我とかしてない?」
「……? かな、なんで俺教室にいるんだ? たしか帰ったと思ったけど
 ………」
おかしい。寝る前に何があったんだっけ。下校中に先輩に会って、
へんな男に声かけられて、車に……っ!?
「かなっ! おまえ大丈夫だったのか!? なにか事件に巻き込まれたん
 じゃないかって先輩と心配してたんだぞ。…先輩……」
「えっ? えっ? なんのことかわからないよ、先輩って美坂先輩?
 ここにはいないけど……。一緒に連れてこられたの?」
何? 連れてこられた? わけがわからない。美坂先輩の姿を探してみる
が、ここの教室内には見あたらない。まわりの机には自分達以外にも
生徒の姿があった。まだ眠っている生徒もいる。……驚いた。
ほとんど知り合いじゃないか。蒼月さん、紺野さん、工藤さん、佐伯さん、実に太一に里佳、本条さん、二階堂さんまで!
それだけじゃない、知らない女子もいる。中に違う制服の女子が一人、
うそだろう? なんで結由子ちゃんがいるんだ?
よくみると、ここは美空中の教室ではなかった。古い木造の教室だ。
…ざわざわと不安が背筋に這い上がってきた。ここは、どこなんだ?
かなが不安そうに見ている。そのすぐ近くでまどかちゃんが震えていた。一年生までいるのか。いったい……
「朋貴、これ……」
かなが自分の首を指さした。首輪が付いている。…首輪っ!?
自分の首に手を持っていくと、金属に当たって弾かれた。
周りの皆も首に金属の輪が見える。うそだろう?
「かな…、これってなんだ? なんで首輪なんか……ッ!」
「………………」
かなは黙って首を振った。かなも自分も何も分からない。
この二月の寒々しい教室内に、さらに寒い空気が漂っていた。
しくしくと誰かが泣いている気がした。
21TLS3・BR:02/02/10 02:12
がらり、突然扉が開かれた。誰か入ってくる。…辻村先生!?
カツカツと靴音を鳴らしながら辻村先生が入ってきた。
「みんな、起きろーー! ほら、工藤起きろ。説明を始めるぞ」
教室内に漂う不安を拭うような明るい口調だった。先生は教壇前の席に座って眠っている工藤さんに声を掛けている。怒ったふうでない、優しい声だ。むにゃむにゃと工藤さんが返事(?)をした。
「すまないが、起きている人は寝ている人を起こしてくれないか。
 ほら、工藤起きろ」
先生の呼び掛けに、皆は状況を理解できぬまま協力をした。
特に二階堂さんは積極的だ。他の生徒の代表、生徒会長だからではなく
いち早くこの状況の説明を聞きたいためなのだろう。誰より口調が荒かった。最後に工藤さんが起きて全員がこの現状の異常さに気付いた。
「さて、みんな起きたな」
辻村先生がコホンと咳払いをした。全員に緊張が走る。いったいなにが起こっているのか、何故夜の見知らぬ教室に集められたのか、集められた意味がなんなのか、それを先生は知っている。
そしてその答えがけして普通でない事は予感できていた。
少なくとも俺は見知らぬ男達に無理やり連れてこられたのだ。
尋常ではない。
「みんなも気付いているかもしれないが、ここは美空中学校ではありま せん。ここは、島です。
 どこの島かは教えられないが、その島の学校です。
 みんなは政府の対仮想敵国用兵士育成計画、通称BR計画の被験者に
 選ばれました。ここはその実験場です」
………………。
教室内は静まりかえっていた。意味がわからない。対仮想敵国?
被験者に選ばれた? 頭の中は?マークでいっぱいだ。
二階堂さんが手を上げた。先生が指す。
「言っている意味が解りません」
ぴしゃりと言い放つと席に着いた。まったくそのとうりだが、挙手をしていちいち発言するのは、二階堂さんらしい。たぶん怒っている。
「みんなも解らないだろうから、順を追って説明しよう。……」

対仮想敵国用兵士育成計画。通称BR計画。この計画の元々は明治時代
の政府による自国軍兵士の強化政策が発端らしい。特定の兵士同士で闘わせより非常な精神を持つ、敵兵を恐れない部隊を作るという計画だ。第二次世界大戦後、米国の占領下にあった頃に計画は廃止されたが、
独立後再開。戦前は毎年行われていたが、四年に一度に期間を定め、
その特異な性質故に民間感情をあおる危険性を考慮し、この計画は
民間人(諸外国も含む)に対して国家機密である。
現在行われている計画の対象年齢は14〜15歳。肉体的に健全な男女
十数名を特定の範囲の限られた場所で一人になるまで闘わせる。最後に残った者を「優秀者」とし、その後生活のあらゆる社会的援助を約束される。だが計画の存在を民間に知らせる等の行為は禁じられている。

「…そして、今回のBR計画に美空中学校が選ばれた。………」
皆、静かに聞いていた。なにかの間違いだと、冗談だと思いながら。

「みんなにこれから、殺し合いをしてもらいます」
22TLS3・BR:02/02/10 02:26
「みんなにこれから、殺し合いをしてもらいます」
そんなことを先生はさらりと言った。ヒィ、と誰かが短い悲鳴をあげた
本条さんだ。俺の斜め前に座っている本条笑がみるからに青い顔をして
震えていた。たしかに恐がるのも分かるが、いまいち信じられない。
殺し合いをしろだって? 政府が、俺達に? バカげてる。
本当にそうだとしてもするわけがない、人を殺すなんて。
二階堂さんがまた手を挙げている。今度は指される前に立ち、
「先生。それは本気ですか? 本当に私達に殺し合えと?」
叩きつけるように言葉を放ち、辻村を睨みつける。
二階堂は冗談が嫌いだ。特にこんなタチの悪い冗談は。
皆も同じ気持ちで先生を見ている。冗談だと祈る気持ちで。
「……………………」
辻村先生は黙っていた。それは肯定の沈黙なのか。
背中に冷たい汗が流れる。長い沈黙が続いた。
痺れを切らした二階堂がなにかを言おうとした時、扉を開く音と共に
ザカザカと靴を鳴らして三人入ってきた。肩に大きな銃を担いでいる。武装したフルフェイスマスクの連中が突然教室に入ってきたのだ。
教室内に大きなざわめきが起こる。辻村先生も驚いている様子だ。
なにか大きな寝袋の様なものを運んでいる。中に何か入っているようだ……まさか人? 連中は辻村先生を退かせると教壇の上にそれを乗せた。「よく見ておけ! 我々に逆らうとこうなる!」
連中の一人が大声で怒鳴ったあと、寝袋のチャックに手を掛けジーーと
開いていった。中身が見えてきた。ひっ、と工藤さんが悲鳴を上げた。
ここは一番後ろの席だ。よく見えない。前の席から悲鳴が出始めて……
見えた。人だ。長い髪の中にピンクの髪止めのリボンがある。
額から血が出ている。撃ち殺されたんだ。美坂綾菜だった。
見覚えのある制服だ。美坂先輩に似合っている制服だ。俺はとても好きだった。
『勇気を出して告白しちゃたの。そうしたら彼もわたしのこと好きだっ て言ってくれて……。嬉しかったなぁ〜』
幸せそうな先輩。
『合格祈願のお守りよ。…二人が高校受験で頑張れるようにね』
俺とかなのこと、大切に思ってくれる先輩。
『かなちゃんの身になにがあったんですか?』
俺が、俺だけが選ばれたのに、先輩まで巻き込んで…………………ッ!!

「てめぇらぁぁァァーーーーーー!!ぶっころしてやるッ!!!」
関谷朋貴の怒号が、教室中に響いた。全員がそれに合わせるように
悲鳴や罵声を上げた。殺された、人が! こんな狂った世界を許せるか!それが明日の我が身の姿かもしれないなんて、認めたくはない!
帰りたい! 帰りたい! 殺したくない! 殺されたくない!

教室内はパニックになった。
23TLS3・BR:02/02/10 02:38
「みんな、落ち着け! ここで暴れても殺されるだけだぞ!」
辻村がしきりに呼びかけている。だが、悲鳴にかき消され聞こえない。
タタタタタタタタタタタッ!!
武装した連中が肩に背負っていた銃を上に向けて発砲した。
ぱらぱらと天井から破片が落ちてくる。
『逆らえば殺される』
皆の心に恐怖のブレーキがかかり、一旦治まった。ようにみえたが、
関谷朋貴は止まらなかった。ずんずんと前に進んでいく。
側にいた実、太一が飛びかかり朋貴を止めた。
「やめろ! 殺されるぞ!」
「朋貴、落ち着け!」
二人に組み付かれてもなお、朋貴は前進をやめない。目は連中しか見えてない。三つの銃口が朋貴に向けられている。
「もう少しでも近づけば、関谷朋貴を不適性として処分する!」
連中が喚く。うるせぇ。
「殺してやる! 殺してやるぞォォオラァァッ!!」
「落ち着くんだ、関谷っ! 逆らっても殺されるだけ…」
辻村が説得の声を上げた時、朋貴の前にかなめがやってきて、
バシッ!!
「落ち着きなさいっ!!」
平手とともに、これ以上ないぐらいの怒鳴り声で朋貴を叱りつけた。
「…………かな……」
まわりの皆が驚いていた。かなめの怒鳴り声なんて聞いたことはなかったからだ。それもそのはず、朋貴も生まれて初めてだ。
生まれて初めて双子の姉に頬を叩かれ怒鳴られた。
朋貴は冷静になって思った。かなは先輩が殺されて怒っているはずだ。
冷静でいられるはずはない。かなの目を見ればわかる。
許せない。許せるはずがない。
でも、それでも今奴らに立ち向かってもあっけなく殺されるだけだ。
今は耐えて、チャンスを待つの。わかって朋貴……。
……わかった、かな。ありがとう。
「……席に戻れ、関谷。ほかのみんなも席に着いてくれ」
辻村の声の後、ぞろぞろと皆が席に戻っていった。
もう誰もしゃべろうとはしない。
ただ双子の心にはごうごうと怒りの炎が燃えていた。いつか必ず
この炎で連中を焼き殺そうと、燃え盛っていた。

辻村が計画のルールの説明をした。皆には一人一つバッグを渡す。
その中身にはこの島の地図とコンパス、食料、水、時計、そして
戦うための武器が一つ入っている。入っている武器はバッグごとに違い
使い辛い武器や強力な銃火器など色々用意されている。
筋力や身体能力のハンデを埋める配慮だ。
被験者の首に付いている首輪には爆発物が仕掛けられている。
首輪はショックに強く作ってあるが、分解しようとすると爆発する。
計画中に設けられる禁止エリアに入ると爆発。禁止エリアは計画中に
ランダムで決定、二時間ごとに指定の区域が禁止エリアになる。
最後には一つの区域を残して全部禁止エリアになるので、隠れて
やりすごそうとしてても、最後には誰かと出会ってしまうということだ
誰も死なないで二十四時間経てば、計画は中止。全員の首輪を爆破。
島から逃げようとしても爆発する。

「つまり、殺し合って最後に残るしか生きる道はないってか」
実が、自嘲ぎみに呟いた。聞いてて吐き気がする。ここは地獄だ。
緩やかに、しかし確実に絶望が近づいてくる。死だ。
この教室を出ると死が待っている。
出席順に一人一人出ていくらしい。一番目は……

「蒼月たかね、前に出てバッグを受け取りなさい」
はい…、あまりの元気の無い声が別人に聞こえた。

【残り14人】
読ませていただきました。
TLSBRスレは未完のままDAT落ちしたのが残念だったけど
こちらも楽しみに読ませていただきます。
25:02/02/10 21:46
>>24
サンクス! 楽しみなんていわれると嬉しいね。
登場人物みんな非道い目に遭う話なんだけど、よかったらお付き合い
下され。次誰が死ぬか予想するのもいいかもね。(ひでぇ奴)
なるべく早くUPしたいけど、三、四日は待たせるかもしれません。
では、完結まで頑張ります。
>>25
うい〜、このスレが立ったときは
ネタが尽きてすぐ消えると(←失礼)思っとりましたが、
TLSBR面白いんでちょこちょこ覗きに着ます〜。

頑張って下さいね。
文章上手いですね。
SSのセンスがあると思います。
1さんの書かれたTLSエロも読んでみたいです。
これからも、頑張ってください。
保護sage
29名無しくん、、、好きです。。。:02/02/18 08:38
このスレこそ7.0に統合するといいと思う。
7.5でもいい。
ここは補完妄想の生まれ変わり?
それともTLS3BRスレの後継?
>>30
妄想補完とは違うかと。
32TLS3・BR:02/02/19 01:51
「蒼月たかね、前に出てバッグを受け取りなさい」

たかねには、その声がまるで裁判官の死刑宣告のように聞こえた。
「はい…」
声に力が無い。いつものお昼の校内放送で聞き馴れた明るい声とは違う
この子は本当にたかねなのだろうか?
ガタガタ、と席を立つ音。たかねではない。
久保田実だった。
「ちょっと待ってくれ! 先生に質問があるんだけど…」
皆が一斉に実を見た。なにを言うつもりなのだ?
「……いいだろう、なんだ? 久保田」
「さっきまでの説明では、被験者に選ばれる生徒は美空中の三年って
 ことだよな? だったらなんで他校の生徒や一年までいるんだよ!?
 おかしいじゃねぇか、なぁみんな」
実はわざと大声で質問した。ビビッてなかったらもっと大袈裟に身振り手振りもしていたのだが、重要なのは勢いだ。
『こいつらの言うことには穴がある!』
それを全員に知らせる必要があった。
「あそこに座っているセーラーの生徒見ろよ! ありゃどー見たって
 うちの制服じゃねぇし、後ろに座ってる子なんか一年だぜ!?
 おかしいよなぁ〜、辻村センセイ!」
実は結由子とまどかを指さし、両手を広げて不敵にニヤついてみせた。
銃持った奴相手によくやるよ、実はそう心の中で愚痴った。
そして、チラリと。ほんの一瞬だけ、結由子の顔を見た。
今にも泣きだしそうな顔をして心配そうに実を見ている。

 ……心配すんな、結由子。
実は、こんな状況での自分の行動がどれほど危険かを知っている。
 ……これがうまくいかなくっても、
だが実は、もっと大切なことも知っていた。
 ……俺が必ず
どんなことだって、諦めればそこでオシマイだってことを。

「だからさぁ、関係ない生徒は帰ってもいいんじゃないっスかぁ?」

 ……お前を守ってやる!

カチャリ、銃を構える音がした。
33TLS3・BR:02/02/19 02:00
「お姉さま……」
まどかが不安そうにかなめを見た。かなめもまどかを見ていた。

小野寺まどかは一年生だ。かなめを慕っていて、『お姉さま』と呼ぶ
ほどだ。かなめと同じバレー部に所属している。
だが、それが彼女の運命を大きく変えてしまった。
かなめや里佳、バレー部の三年達が集まる席にまどかも加わっていた。一年生は呼ばれてはいない。だが、かなめがまどかの気持ちを汲んで
参加を許したのだった。かなめはあと一ヶ月で卒業をしてしまうからだ。まどかはかなめの配慮がたまらなく嬉しかった。だから、お開きになった後もかなめや里佳と一緒にいたのだ。
もう少し、ほんの少しでもいい。お姉さまの側にいたい……
三人で思い出話をしながら片付けをしている所に突然、清掃業者の制服を着た男達が入ってきて、無理やり口にハンカチを当てられたのである。三人は眠らされ、ゴミ袋に入れられて運ばれたのだった。

「まどか……」
かなめはあの時の判断を激しく後悔して、自分を責めていた。
あの日、あの時、まどかの参加を認めなければ。早く帰していれば。
それだけにまどかには無事でいてほしいと願った。
たとえ危険に我が身が晒されたとしても。
そんなかなめにとって、実の提案は希望を与えてくれるものだった。

「まどかは一年生です! 被験者の対象ではないはずです! 先生!」
わずかに声が震えた。かなめは必死だ。
だが、かなめや実は忘れている。
殺された美坂綾菜は被験者の対象外だったことを。
「…………しかたがないな」
辻村ではない。連中の一人がやれやれ、といった口調で呟いた。
スッ、と手を上げると残り二人がズカズカと近づいてきた。
一人は結由子に。もう一人はまどかに。
連中は歩きながら腰に備えてある拳銃を抜いた。
なぜかその動きがやけにスローモーションに見えた。…ヤバい。
ヤバい。
ヤバいヤバいヤバいッ!!
「やめろっ!!」
辻村が叫んだ。
ぴたり、二人の動きが止まる。一人は結由子の額に拳銃を突き付けていた。結由子の肩が震えている。目は実を見続けている。涙がこぼれた。
「………み、実く、ん……」
歯がガチガチと鳴って、よく聞き取れない。
もう一人はかなめの胸に拳銃を突き付けていた。まどか前に立ったからだ。まどかはかなめの背中にしがみついて震えていた。
まどかにはそうすることしかできなかった。
34TLS3・BR:02/02/19 02:08
「結由子っ!!」
「かなっ!!」
実が飛び出そうとする。が、そうできなかった。実のネクタイが後ろにいた遊季に捕まれていたからだ。実が振り返り遊季を睨みつける。
だが遊季はまっすぐ実の目を見つめ、ネクタイを離さなかった。
実と同時に立ち上がろうとした朋貴だったが、かなめに片手で制された
。かなめの両の瞳はまっすぐに、拳銃を持った男の目を見続けていた。
男の目がゆっくりと、かなめのつま先から頭の天辺までなめるように
見ている。フルフェイスのマスクの上からでもわかった。
野郎、ニヤついてやがる。
丸腰の少女が、銃を持った大人の男を睨みつけている。
その図が滑稽で、野郎はニヤついてやがるんだッ!
朋貴の奥歯がギリギリと音を立てる。あと少しでもかなを侮辱してみろ
殺されてもお前だけは殺してやる。

「計画の進行の妨げになるのなら、その二名をこの場で処分する。
 計画の存在を明るみにするわけにはいかないのでね。
 家に帰すことは出来ない」
教壇の近くに立っている男が淡々と言った。
「君達に選べる選択は二つ。被験者になるか、ここで死ぬか、だ」
……………。
「和泉結由子、どちらかを選べ」
男は問う。
「……………被験者になります」
額に向けられた銃口が下がる。結由子はへたり、と力無く座った。
「……ごめんね、実くん。……」
実はなにも答えられなかった。ネクタイはいつの間にか離されていた。

「小野寺まどか、どちらかを選べ」
男は問う。
「……………………………」
まどかは答えない。答えられない。その一言は、自分が人を殺して
最後の一人になるまで殺して生き残るという現実を認めることになる。
まどかは震えていた。まだ13歳の少女に迫る選択には厳しすぎた。
まだ沢山の幸せの可能性があった。輝ける未来も待っていた。
いまこの少女の未来は、天界から吊るされた一本の蜘蛛の糸。
奪わなければいけない。愛する人の命さえ。
恐い。恐い。恐い。こわい。こわい。こわい。…………

「まどか」
震えるまどかの肩を、かなめが掴んでいる。強く、しっかりと。
自分の震えを悟られないように。
「お願い、まどか。わたしと、みんなを信じて。誰も殺し合いなんて
 しないよ。きっと助かる方法がある。だから…被験者になって。
 ここで諦めたら0だよ。生きて、機会を待つの。…ね!」
自分でもこれほどの気休めな言葉はないと思っている。
でも信じられる。みんなのこと。けっして人殺しなんてしないと。
まどかは信じた。かなめの言葉を。お姉さまは嘘をつかない。
確信のないことを口になんてしないと。だからもう恐がらない。
全身の震えが止まった。

「わたしも被験者になります」

目の前に広がる闇が何処までも続いていても、歩いて行ける。
信じられる光の道標がある限り。
良いっすね、作者さん、頑張って完結させてください
3624:02/02/24 13:59
>>1
読んでます。続き楽しみです。
できたら次のウプ予定なんか書いてくれたらうれしい。
図々しくてスマソ。
37:02/02/25 00:44
>>24
お待たせしてしまって申し訳ないです。
なかなか上手い展開にならなくて、遅れています。(言い訳大王)
明日のこの時間にはなんとか続きを載せたいので……。
あと、わたしも図々しくお願いがあります。
あおり、催促でも結構ですのでスレ落ち防止に時々書き込んで下さい。
三日に一つくらいで。(俺がもっと早く書けばいい話だろーが)
すいません、では。
38TLS3・BR:02/02/26 00:08
それから後は順調に進んでいった。
「一番、蒼月たかね」
「はい」
先ほどより、少し力が篭った声だ。前に出てバッグを受け取りに行く。
手渡すのは武装した男の一人だ。ぶっきらぼうに山積みの上からバッグを一つ掴んで投げよこした。バッグは外見からは違いは見あたらない。
だが、山積みの中に明らかに大きい物が入っているバッグがあった。
あの中にはどんな武器が入っているのだろう?
これから自分達の運命を左右するバッグを、選ぶ権利すらないのだ。
たかねは辻村を見た。すがるような目ではない、まっすぐな目。
たかねは見極めようとした。辻村の本心を。
「蒼月……。先生は、お前達を信じている」
たかねは辻村の目を見て、少し頷いた。
そして、静かに教室を出ていった。

二分後。
「二番、和泉結由子」
「……はい」
結由子が立ち上がると、実が近づいていった。
「貴様! 勝手に席を立つな!」
連中の一人が怒鳴りつける。
「うるせぇな! 別れの言葉ぐらい言わせろよ!」
実も同じぐらいの大声で怒鳴り返した。少し怯んでしまった男が拳銃に手をかけようとしたが、リーダーらしき男に止められた。
一言ぐらいの情けはあるらしい。
実は結由子の耳元でボソボソと呟いた。
結由子は、うんうんと頷くとポロポロと涙をこぼした。
「バカ、泣くな結由子」
「うん……ごめんね、実くん。……もう、行かなきゃ」
涙を拭いながら、結由子はバッグを受け取り教室を出ていった。

「三番、小野寺まどか」
呼ばれて立ち上がる、まどか。かなめの方を向いて、
「お姉さま、まどか……行ってきます」
「まどか、学校の外で待ってて。必ず…」
かなめは不安でしかたがなかった。まどかを一人になんてしたくない。
みんなを信じてはいるが、なにが起こるか分からない。
「はい! …必ず待ってます。じゃあ……」
まどかの指が震えている。まどかも同じく不安だったのだ。
だがそれをかなめに悟られまいと震えを隠した。
前に出てバッグを受け取る。まどかにはそれがとても重く感じた。
教室を出る時、もう一度かなめの顔を見ようとしたが、やめた。
きっと今の自分の顔を見せたら、心配させてしまうから。

教室を出て、まどかの膝が震えた。
目の前に続く廊下の闇が、あまりにも暗かったから。
39TLS3・BR:02/02/26 00:22
「四番、工藤翼子」
「…………」
返事が無い。翼子の返事は隣のクラスにまで聞こえる程元気なのだが、
今の翼子にはまったくの元気が抜けてしまったかのようだ。
無理もない。彼女が一番目の前で死体を見てしまったのだ。
「翼っ!」
遊季が呼ぶ。その声にも反応が無かった。…すこし変だ。
「工藤、大丈夫か?」
辻村が声をかけ、肩に手を置き少し揺すってみる。
翼子が辻村の顔を見て、こう言った。
「……先生、この女の人は悪い人なの?」
辻村は絶句した。違う、断じて違う。美坂綾菜は被害者だ。
「おい、立て。質問の時間はもう無い」
リーダーらしき男が翼子に銃を向ける。辻村は下を向いたまま動かなかった。銃を向けられた翼子はゆっくりと立ち、バッグを受け取ると、
教室の外へと向かって歩き出した。
「翼っ!」
遊季、梢、かなめが翼子に呼びかける。なにか危なげな翼子が心配だった。翼子は振り向かずにこう言った。
「わたし……、なにも悪いことなんてしてないよ。死ななくちゃならな いような悪いこと……」
そう言うと、教室を飛び出していった。

「五番、久保田実」
「へ〜い」
すっくと立ちあがり、すたすたとバッグを受け取りに行く。
男がバッグを投げようとすると、
「俺、そっちのデカイのがいいなぁ〜」
と、言ってみせた。
「……いいかげんにしておけよ」
「……………ジョークですよ〜、やだなぁ〜」
男の凄味にあっさり手を引く実。渋々バッグを受け取る。
「久保っち!」
「実!」
遊季と朋貴、太一が声を掛ける。
「おう、じゃあな。生きてたらまた会おうぜ〜」
バイバイと手を振って陽気なサヨウナラ。次に会うのはあの世かもしれんだろうから、せめて明るくサヨウナラ。今生最後のサヨウナラ。
教室を出た実は走った。あいつにだけは別れを言うわけにはいかない。
『絶対にお前を守ってやる』
結由子に伝えた言葉を、もう一度心の中で呟きながら。

「六番、紺野遊季」
ガタン!と立ち上がるとズカズカ!と前に出て、男からバッグをバシ!
とぶん取った。
「梢、外で待ってるから」
そう言うと振り返り、連中に向かって右手の中指を立て、左手で右腕を
パシッ!と叩く。F××K YOU。女子中学生がやることではない。
そうして遊季は出ていった。
40TLS3・BR:02/02/26 00:46
七番、佐伯梢。八番、三宮太一。共々、何事もなく教室を出ていく。
次はかなめの番だ。朋貴がかなめを見ると、緊張している様子だった。
「かな」
「えっ、な、なに? 朋貴」
朋貴が、かなめの手を握る。かなめの手は震えていた。
「大丈夫、わたし平気だよ」
震えは止まらない。
「かな」
見つめ合う瞳と瞳。嘘はわかる。昔から。
「……正直、ね。わたし恐いの。死ぬかもしれないってことも恐い。
 けど、もっと恐いのはみんなの中の誰かが死ぬかもしれないっこと。
 人殺しなんてしないって信じてるの、信じてるけど……」

もしも殺されそうになったとして、何人が相手を殺さないでいられる?
かなめはその問はしなかった。あまりにも残酷すぎる。
いくら人を殺さないつもりでも、殺されそうになれば抵抗するだろう。
無抵抗ならば殺されるだけだから。

「かな、俺は生き残る。もちろんみんなでだ。先輩を殺したあいつ等を
 許す気なんてない。ここを出たら……復讐してやるんだ。必ず」
「………朋貴」
かなめは不安になった。
かなめの手を握る朋貴の手が強く強く握られていた。

「九番、関谷かなめ」
「はい! ……朋貴、外で待ってるから」
するりと二人の手が離れた。なにか大切な物をなくした様な気持ちになり、朋貴の胸に言い様のない焦燥感が湧いてきた。
「かなっ!」
バッグを受け取り、教室を出ようとするかなめを呼び止めた。
いくなっ! そう言いかけたが、その無意味さに気がついた。
「かなちゃん!」
里佳が声を掛ける。里佳もまた不安でいっぱいだった。
「朋貴、里佳。外で待ってるよ。きっと大丈夫だよ…また後でね〜!」
かなめは明るく笑顔で出ていった。
朋貴にも里佳にも、その笑顔が辛そうに見えた。

「十番、関谷朋貴」
二分間がこんなにも長く感じるのは初めてだ。朋貴は外の様子が知りたかった。早くかなめと合流しなければ。不安と焦りでおかしくなりそうな二分間だった。立ち上がりバッグを受け取りに行こうとすると、
「関谷くん」
本条笑に呼び止められた。
「……本条さん、俺行くよ」
朋貴は居ても立ってもいられない。つい、ぶっきらぼうに言ってしまった。外でかなめが待っている。一秒だって無駄にしたくない。
「……気をつけて」
「……本条さんも、気をつけて。ごめん。俺もう行くから」
「うん、ありがとう。かなめちゃんを守ってあげてね」
「ああ、必ず」
笑の言葉は温かかった。すこし気持ちが落ち着いたような気がする。
バッグを受け取ると、里佳に向かって
「外で待ってる」
そう一言いうと、外に向かって走り出した。
「なによー、わたしにはそれだけ? 他の娘よりも少ないじゃないの!」教室内から里佳の怒ったような声が聞こえてきた。
そうそう、そうじゃないと里佳らしくない。

朋貴は走った。その先にどんな闇が広がっていたとしても。
4124:02/03/01 14:06
期待しつつsage
>>1
会社からだと書き込めないけど常時チェキしてますよ。
なんだ!こんなすばらしいスレがあったのか!
んじゃ、綾音ちゃんのエッチ系SSでも書こうかな?
高台で綾音、女の喜びをはじめて知るなんてどう?
43TLS3・BR:02/03/07 23:10
教室の外は暗い。不安を煽るような暗さに、心が逸る。足が自然に前に
出ていく。早く、速く、待っているかなの所へ―――

階段を降りた先に、古ぼけた下駄箱が見えた。玄関口だろう。そこから外に出ていけば、かなや皆が待っているに違いない。
ふと、自分は上履きなのか気になって靴を見る。いつもの安いスニーカーだった。ここで靴を履き替える必要はない。さぁ、外へ……
「かなっ!」
返事は無い。外には大勢の武装した男達がいた。かなめの姿は見えない。連中は強い照明で朋貴を照らしてこう言った。
「十番、関谷朋貴! お前はD−7だ! 車に乗れ!」
「は!? どういう意味だよ!」
いきなり訳の解らない命令に戸惑った。外に出たらそこからスタートじゃないのか!? ……それじゃあ、かなと離れ離れになるってことか!
おそらく、二分前にかなは別の場所に移動させられてしまったのだろう。こんな説明してないじゃないか! 体十から嫌な汗が吹き出てきた。
「俺より一つ前の女子は、何処に移動したんだ!?」
「うるさい! 早く乗れ! 抵抗すれば殺すぞ!」
問い詰めた男に乱暴に衿を掴まれ、顔を車のボンネットに押し付けられる。後頭部に拳銃を突き付けられ、銃口でゴリゴリと擦られた。
息が詰まりそうになったが、すぐに引き起こされ腹を殴られた。
本当に息が詰まる。次の呼吸をする前に車に放り込まれ、朋貴は連れていかれたのだった。

「これで全員出たな」
教室内、最後の柳瀬里佳が出ていってから十分後。部屋の中に残っているのは辻村と連中三人――そして美坂綾菜の死体。
男はトランシーバーで外の状況を確認して言った。
「各馬、ともにゲートに並び一斉にスタート! といったところかな」
ぴくり、下を向いたままだった辻村が反応した。
「……なぜ殺した」
ゆっくりと顔を上げていく。その途中に美坂綾菜の顔があった。
額の銃痕の他に、殴られた痣が紫色をして残っている。目の周りには涙の跡がある。寝袋の衿の隙間から見える制服が所々破れていた。

「答えろ!! なぜ殺した!!」
44TLS3・BR:02/03/07 23:34
辻村は美坂が連れてこられている事を知らなかった。結由子やまどかの
事も知らなかった。被験者に選ばれた以外の者を連れてくるなんて、
前例の無い不手際だ。いくら半年で準備された計画としても、だ。
まして、その関係の無い人間を自由に扱うことなど許されていない!
かつて美坂綾菜は辻村の受け持つ生徒だった。
明るく真面目で、教師達の間のみならず同級生や下級生にも慕われていた。辻村はそんな美坂の担任だということを嬉しく、誇りに思っていたのだった。それが、そんな美坂が、こんな姿で、………

「なぜ殺した!! 殺した理由を聞かせろ!!」
辻村の怒声に怯みもせずに、男が答えた。
「理由つったって、銃奪って抵抗したから…だよなぁ?」
隣の男に振る。
「そそ、銃奪われたマヌケでも撃たれるわけにはいかなくてねぇ」
「なっ!!?」
辻村は絶句した。ならこの死体の痣はなんだっていうんだ!?
「ふざけるなっ!! なら、なんで暴行した跡があるんだっ!!」
「そりぁ、抵抗したからなぁ。大人しくしてりゃ殴らないで済んだんだ けどよ」
ニヤニヤと笑いながら男が言う。
「ま、最初だけだったな。あとは無抵抗」
なんの話をしているんだ?
「あんだよ、まだわからねぇのか? レイプしてやったんだよ、強姦!
 俺達全員で輪姦して犯ったんだよ! なぁ?」
「ああ、泣いて悦んでたぜ。でも殺したのはもったいなかったな〜」
「俺ら計画終わるまでの間、やることないもんな。暇潰しに丁度よかっ たのにさ〜、具合も良かったし。銃で脅しながら犯ると脅えて締まる
 とか言ってたバカは誰だっけか?」
「ん〜あ〜〜、忘れた。あんときゃ何人で犯ってたかわからガゴッ!」
辻村の拳が一人の顎を捉えた。二撃目を隣の男の腹に食い込ませた。
「ぐげぇ……ッ!」
三撃目、鳩尾に喰らって動けない男の顔面を狙う!が、空振り。
リーダー格の男の蹴りが辻村の腹にめり込んでいた。
45TLS3・BR:02/03/07 23:40
男は辻村の髪を掴むと、頭を黒板に叩きつけた。そして右腕を持ち、
背中に廻し逆関節に極める。動けない辻村の足を払い、床に転がした。
腕は極められたままだ。もうなにも抵抗できない。
「貴様ら! 被験者に対する必要な脅し程度しか許されてない筈だろう! 対象外の者を連れてきて殺害するなんて何を勘違いしているんだ!」
辻村の怒りは収まらない。こんな体勢からでも怒鳴りちらしている。
「勘違いしてるのはあんたの方だろぅが」
「な…なんだと?」
「あんたはこの計画の責任者のつもりだろうが、実際は委員会からは  なんの権限も与えられてないんだよ。責任者は、オ・レ。
 俺達の働きを監視してるつもりだったんだろうけど、監視されてるの は辻村センセェの方なんだなぁこれが」
「なっ! 出鱈目を言うなっ! 俺はBR委員なんだぞ! 今回の計画の
 責任者として同行しているんだ! そんな話は…」
「この計画の被験者達を選んだのは、あんたじゃないだろ」
「!!……なに、を言っている」
確かに選んだ被験者は却下された。にもかかわらず、再検討もなく今の
メンバーが既に決まっていた。選ばれた生徒は皆共通点が多い。
美空中学校の内部に詳しい人間でない限り、こんな人選は出来ない。

「あんたには常に監視がついているんだよ。なんせあんたは…
 元『優秀者』なんだからな」
4624:02/03/09 14:33
>>1
お疲れ様です。
可哀想な美坂先輩に涙・・・。
徐々に明らかとなる辻村の過去とは・・・?
って感じですね。
つづきも楽しみにしてます。
めんて
4824:02/03/16 14:52
なんす
>>1さん。いる?