名古屋鉄道を模型で楽しむスレ  5両目

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718名無しさん@線路いっぱい
名古屋市南区。名鉄桜駅前の踏切を渡って徒歩1分の場所に、
サクラ模型という模型屋がある。老夫婦が営んでいる小さな模型屋だ。
僕は物心ついた時からキハ8500系が大好きだった。
北アルプス廃止が決まった時はマジ泣きした。
最終日も連絡線へ最後の勇姿を見に行った。
ずっと模型化されなかったキハ8500系の模型化が決まったのは僕が
小6の時だった。メーカーはエンドウ。廃止記念のような形での発売は
皮肉としか言いようがなかったが、僕は迷わず買うことを決心した。
価格は5両で261,000円。小学生には荷が重過ぎる値段。
しかし僕はその日から金を使うことをやめた。
中学2年。いよいよ発売。意外と発売が遅れたが、僕はまだ
75,000円しか貯まっていなかった。目標金額に達した時には、
とっくに一般量販店から消えている。
そう思った僕は、サクラ模型に学ラン姿で向かった。
「いらっしゃいませ」
そう出迎えたおばあさん。オレは事情を説明し、金が貯まるまで
待ってもらえないか聞いた。
サクラ模型は、最高のもてなしをしてくれた。
KATO・TOMIX以外のHOは入荷しなくなっていたのに、僕のために
わざわざ5両入荷してくれ、
「お金が貯まるまで待ちます。消費税はおまけでいいですよ」
と言ってくれた。
僕はマンガも売ってお金を作り、高校1年の初夏、ようやく5両
買うことができた。あの日の喜びを僕は一生忘れないと思う。
しかし高校3年の終わり頃、サクラ模型に行ったら模型の値段がすべて
三割引の消費税抜きになっていた。
「もう年なんでねぇ。やめることにしたのよ」
ショックだった。あのサクラ模型がなくなってしまうなんて。
僕は最後に家族とお金を出し合って、ワールド工芸のC55を買った。
「ありがとうございました」
それから僕は東京の私立大学へ通うため上京した。
いまでもエンドウ製キハ8500系は僕のそばにいる。
ふところの厳しい小学生にやさしく接してくれたおばあさん。
ジョーシンなどにはない何かがそこにはあった。
今。
夢を扱っている模型屋が、どんどん減っている。