地雷除去ってさ・・・

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80オーバーテクナナシー
地雷原開設ロケットは、地雷原が広く(長い)ないと効果的ではないのです。
ロケット後部に付けられたワイヤーと並列に取り付けられた爆導索を推進力で展張するので、
飛翔距離が数百mないと使用できないからです。
爆索が地面に付いたときに索が破裂しその威力でもって地雷を無効化します。
その破壊距離は幅50cm位のあぜ道程度。
この隙間に作業員が入ってTNT(台に載せ浮かす)を仕掛けて開設エリアを広げていきますが、
この方法はコストがかかり過ぎる上に、立ち木や窪地の地雷は処理できずに残されることになります。
それを潰すには破壊筒や梱包薬で虱潰しにしていくほかありませんが、
大掛かりな準備と莫大な予算が必要となります。
そしてこの方法は軍隊が行動する為のものですから、
生活圏を確保するような完全なものではないのです。

そして地域紛争地帯の対人地雷原でやっかいなのは、幅数十m規模の小規模な地雷原が人知れず無数に存在することです。
人命の為のコストが幾らなのかといったドライな話になりますが、
資金に限りがある以上、何もかも吹き飛ばすような開設方法では結局全てを除去出来ずに残されることになります。

さらに地雷除去を困難にさせているのが、対人地雷には散布式と埋設式の二通りがあるからです。
基本的な除去方法は同じものの、埋設式の対人地雷は難しさが倍化します。
チンケな仕掛けであろうとも、それを無効化するまでは充分脅威ですし、
少しの失敗で作動するよう作られた厄介な存在です。

ちなみに、手押し式ローラーは、散布式には辛うじて有効だとしても、
上記埋設式の地雷には危険すぎます。
埋設式にはワナ線という作動ワイヤーが付いていて(場合によっては複数本)、
それに触れると数十cmから150cmほど地面から飛びあがって、破片をばら撒くからです。


埋設式対人地雷除去の難しさを例えるなら、
暗闇に張り巡らされた糸(ワイヤー)をすべて発見し、
それを1cmも揺らさないで根元と先端を特殊にクリップで止めたあと、
静かに真ん中を切る(乱暴に切るとクリップ毎ワイヤーが動く)作業に等しいです。
でもそれで終わりではなく、地雷を持ち上げる前に、
その下に取りつけられたワイヤーも同じ方法と注意力で除去しなければなりません。
少しでも失敗したら駄目です。そらにワナがある場合すらあります。
そしてこの作業は付近に人が居たらできませんので(一人の失敗で作業員全員が破片に晒される)、
一人づつ行うので時間がかかります。


除去の発見と自動化はさまざまに考えられていますが、
個々の状況にしか対処できないので、複合的な状況に対処するように作るのははなただ困難です。
そして地雷は簡単な仕組みで全ての除去方法を阻害するよう作られています。
だからこそコレ程までにばら撒かれたのでしょう。
全てに対処するような装備を複数整えるのは難しいと言わざるを得ないので、
誰もが言う事ですが人間の手と目が一番確かなのです。

ただ唯一考えられるとしたら、遠隔操作ロボットや、
ロボット技術を応用した工兵用装甲スーツが一番有効だと思います。
ただここでも莫大な予算を必要とするので、
たった数百円でこのような出費を強要する兵器はなくならないでしょう。残念ですが。