軌道エレベータ

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109初等力学
モーメントの保存則を考えてるんだね。
スピンするスケーターが腕を伸ばすと回転が遅くなるというあれだ。
同じ理屈で、軌道エレベータの構造は、
輸出する(上げる)質量の方が多ければ西に引っ張られるし、
輸入する(下ろす)質量の方が多ければ東に引っ張られることになる。
この力で、上りと下りのワイヤーは、こう↓離れるはずだな。
        ()
        ◎
でも、輸出と輸入のバランスをとれば構造全体は同じ位置に留まる。
輸出入のバランスが取れてれば、
システム自体の運行にエネルギーを必要としないことになるしね。
そういう具合に、運動エネルギーと位置エネルギーを交換し、
バランスをとるための施設というのが、
そもそも軌道エレベータの存在意義なんだよ。

地球が完全な球体ではないせいで、
静止軌道でも地球から見て振れの成分が残るらしい。
その成分が無いのはスリランカ上空とガラパゴス上空で、
本当に完全な静止衛星はこの二点でのみ実現できる。
クラークが舞台をスリランカに設定したのはそういう理由。
でも、上りと下りのバランスを調節して振れを相殺すれば、
他の位置でも軌道エレベータを造れるわけで、これはむしろ恩恵だな。
うまくくねって、軌道エレベータと交差する衛星から逃げるという
なかなかマッドなアイデアも、クラークは書いてるね。