レーザー兵器の小型化は可能か?

このエントリーをはてなブックマークに追加
244オーバーテクナナシー
人工の光「レーザー」を、現在とはまったく異なる原理で発生させる「一方向レーザー」理論を、
金大大学院自然科学研究科・工学部の山田実教授(量子電子工学)らの研究グループが実証し、
国際誌に発表した。
光を電子ビームで増幅し、一つの方向だけに発生させるのが特徴。
人類が初めて手にした極めて純粋な光といえ、実用化できれば、光通信や光ディスクに“技術革命”をもたらすとされる。

一方向レーザーの原理は、光ビームと電子ビームを並んで飛ばした際、
電子が光より速い速度になると、電子のエネルギーが光に移るという「チェレンコフ・レーザー」の理論に基づいている。
これまでに電磁波の領域で理論を実証した例はあったが、光の領域で成功したのは金大が初めて。
テレビのブラウン管にも使われている電子銃から電子ビームを飛ばしてガラス中の光ビームを増幅する実験で、
光の強さを示すグラフが、わずかながら高くなった。

現在のレーザー発振器は、二枚の鏡を向かい合わせに置いた「合わせ鏡」の中で、
光を幾度となく往復させながら強さを増幅する原理。
外部で反射して発振器に戻ってきた光も一緒に「合わせ鏡」の中で増幅してしまうため、
レーザーが不安定になったり、雑音が出てしまったりと、原理的な問題をはらんでいる。
光技術の進展とともに、ディスクの読み取りエラーや、通信の乱れなどの課題が浮き彫りとなってきた。

一方向レーザーはこれまでのものと原理が根本的に違うため、現在のレーザーが持つ問題はあり得ず、
将来の超高速大容量の記憶媒体や通信を開発する上で、大きな力を発揮すると考えられる。
山田教授は「現在は発振源がない遠赤外の領域でもレーザーが得られ、
電子工学のみならず、環境分析の分野も飛躍的に伸びる可能性がある」と話している。

浅田雅洋・東工大大学院教授(電子工学) 
現在のレーザーは入り口も出口もない原理で、トランジスタをはじめとする
電子回路の仕組みから考えると極めて不自然な素子と言わざるを得ない。
山田教授の実験はこの点を解決するものであり、ようやく小さな信号をとらえた状況ではあるが、
物理現象としても非常に興味深いものだ。
http://www.hokkoku.co.jp/_today/H20050407001.htm