宇宙空間に人間を宇宙服無しで放置

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197オーバーテクナナシー
こんなにヘンだぞ!『空想科学読本』 /著 山本 弘(と学会)
からの引用。(ちょっと長文)
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 人間が真空にさらされたらどうなるか?昔のSFには「破裂する」とか「内蔵が口から飛び出す」とか書いたものがしばしばあった。
 それが間違いであることを最初に示したSF作家は、スタンリイ・G・ワインボウムである。
彼は『アスタウンディング・ストーリーズ』1935年11月号に掲載された「赤い妖精ペリ」という中編の中で  -中略-
特に大きな論拠は、ラットを容器に入れて真空にする実験だ。1930年代にはこうした実験が頻繁に行われていたらしい。ラットは真空中でも破裂したりしないのだ。
 アーサー・C・クラークもまた、長編「地球光」や短編「大きく息を吸って」の中で  -中略-  真空で人体が破裂するとか血液が沸騰するというのは迷信にすぎないと説明した。
 ワインボウムとクラークの考察は、宇宙開発の初期の1960年代前半、実験によって裏づけられた。
テキサス州のブルックス空軍基地で、真空が肉体に与える影響が調べられたのである。チンパンジーや犬を容器に閉じ込め、気圧を2ミリバール(1気圧の約1/500)以下まで下げたのだ。
 実験は何度も行われたが、犬はいずれも2分以上生き延びた。チンパンジーは失神したものの2分半生き延び、実験後は回復した!もちろん、目玉がポンと飛び出すとか、血液が沸騰するなんてことは起こらなかった。【註1】
198オーバーテクナナシー:03/10/12 23:25 ID:dlyOjtrO
【註1】
 水の沸点は1気圧では100℃だか、気圧が下がるほど低くなる。0.063気圧で37℃になりそれより気圧が下がると体温が沸点を上まわる。
 そうなると、気圧がゼロになっても血液が沸騰しないというのはおかしな気がする。しかし、よく考えてみるれば当然だ。
正常な人の動脈には90〜140mmHg、つまり0.12〜0.18気圧の血圧がかかっている。
血管内が0.063気圧以上保っていれば沸騰は抑えられる。だから全身の血液がいっせいに沸騰しだすわけではなく、血圧の低い一部の静脈内でしか沸騰は起こらない。
 また、血液が沸騰しようとするなら、当然、血管の体積が増えなくてはならない。
しかし、血管はゴムのように膨らまないから、血管内の圧力が高まる…つまり、血液の沸騰によって生じる圧力そのものが沸騰を妨げるわけだ。
 じゃあ、負傷して血管が切れていたら、傷口から血液が真空中に吸い出され、沸騰することはあるだろうか?
 おそらく最初の数秒は沸騰する。しかし、すぐに傷口は凍りついてしまうだろう。血液は気化する際に周囲から大量の気化熱を奪う。
そのため、まだ沸騰していない部分が急速に冷やされ、凍結してしまうのだ。
 実際、水の入ったビーカーを容器に入れて、容器内を真空にすると、最初は沸騰するが、すぐに凍りついてシャーベット状になってしまう。
199オーバーテクナナシー:03/10/12 23:26 ID:dlyOjtrO
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息を止めてはいけない。
なぜ息を止めてはいけないのか。息を止めると肺胞の中の気圧が高いままなのに、血管内の圧力が下がるため、肺胞中の空気が血管内に押し出されてしまう。
そのため多量の気泡が内蔵の血管を詰まらせ、死に至るのである。空気塞栓と呼ばれる現象だ。
 この他にもダイバーがあせって急浮上すると、潜函病になることがある。血液中に溶けていた窒素が急激な圧力変化で気泡になり、やはり血管を詰まらせるのだ。
この場合、急いで圧力を戻してやると助かる。
 潜函病を防止するには、予めボンベ内の酸素にヘリウムやネオンを混ぜておくとよい。これらの希ガスは窒素と違って血液に溶け難いので、気泡も生じないのだ。

 1971年6月、旧ソ連の飛行士3人が、ソユーズ11号で帰還途中、圧力調整用バルブが誤って開いてしまい、船内の空気が吸い出される事故が起きた。
 カプセル自体は無事に着陸したが、3人の飛行士は既に死亡していた。だが、回収された遺体には表面上、目立った損傷はなかったという。
死因は空気塞栓だったらしい(やっぱり息を止めたのだろうか?)。
 そう、真空中でも人体は破裂したりしないのだ。
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物が物だけに引用するのはどうかと思ったけど、大間違いというようなところは見られないので参考程度になら良いと思って引用。

「準真空への急速減圧がチンパンジーにおよぼす影響」
アルフレッド・G・ケストラー編集、NASA・CR・329号(1965年11月)

「準真空環境への動物減圧実験」
R・W・パンクロフト&J・E:ダン、SAM・TR・65・48(1965年6月)
テキサス州ブルックス空軍基地内、米国空軍航空宇宙医学校
という資料があるみたいだけどWEB上では確認できない…(´・ω・`)