家畜のふん尿を発酵させたメタンを使って、化学繊維やプラスチックの
原料になるベンゼンや燃料電池に使われる水素を効率よく製造する
触媒技術を市川勝・北海道大触媒化学研究センター教授らが開発したと、
27日発表した。北海道開発土木研究所がこの技術を導入した装置の
長時間稼働にも成功しており、実用化にめどを付けている。石油から
作られるベンゼンは原油高騰で価格が上昇しており、二酸化炭素を排出しない
利点もあり、産業界の注目を集めそうだ。
市川教授は、水素を作る過程を研究する中で、メタンを分解すれば
水素のほかにベンゼンが得られる可能性に気づいた。無数の小さな穴を
持つセラミックス材の一種「ゼオライト」を加工し、ベンゼンと同じ大きさの
1億分の5センチの穴を作り、750度、5気圧の環境でメタンを通すと、
ベンゼンと水素が得られることを発見した。メタンが分解しやすいよう穴の
内側に金属のモリブデンや白金を付着させ、ベンゼンの生産性を高めた。
同研究所が根室管内別海町で、牛1000頭のふん尿を使い、100時間以上の
実証実験を行った結果、1日当たり200立方メートルのメタンから
120立方メートルの水素と50キログラムのベンゼンができた。1年間稼働
すれば約15万着分のシャツを生産できる量のベンゼンを得られ、
製造コストは石油を利用した場合の半分以下で済む。
市川教授は「どこにでもあるふん尿や生ごみなどのバイオマスを利用しており、
循環型社会の構築に役立つ」と話す。
ソース
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050128k0000m040108000c.html 引用元:毎日新聞