凝集系核科学国際会議は11月27日から
新横浜プリンスホテルにて開催予定で
国内外から70件程の発表が予定されています。
参加者数の減少が危惧された通り、
予定より件数が少ないようです。
とはいえ、欧米の重鎮は今回も参加し
活発な議論が期待されます。
病気療養中のフライシュマンの参加は未確定で、
自ら核変換反応について肯定的な意見を初めて述べ、
ノーベル賞受賞者のジョセフソンから常温核融合分野への
理解と期待を表明した前回会議に比べると物足りなさが残ります。
総会では、凝集系核科学の透明性と信頼性が
議論されるべきだと考えます。
学会のHPで紹介されているGoogleグループは会員制で
一般の人の閲覧は制限されており、普及・発展に対して
大きな妨げとなるやもしれません。
一般の理解を得る為には、広く門が開けていることが重要で
欧米のやり方は必ずしも評価されるものではありません。
その点、日本は非常に進んでいるようです。
果してブレークスルーはあるのでしょうか。
残り1ヶ月。
上記会議が開催され世界各国より100名を超える研究者が集まり
最新の研究成果が紹介されました。
参加者数が少なかったのは、やはり参加費用が高額だった為のようです。
イタリア・アメリカ・イスラエルの国際共同プロジェクトによる最新の成果が報告されました。
初めに、イスラエルグループより電解中のPdにレーザーを照射することで、
入力の数倍の過剰熱を計測したと報告され、過剰熱量・再現性共に
レーザー照射によって上昇が期待できると言うことです。
続いて、イタリアグループより、レーザー照射中の試料からのHe4計測の結果が発表され、
過剰熱量はあらゆる化学反応による熱を10倍以上上回っているとのことです。
過剰熱に関して、近年最も注目されているグループで、今後の研究の進展が期待されます。
続いて、日本の文化功労者の先生からPdナノ粒子を詰めた二重構造Pd容器に
重水素ガスを透過した結果、大きな過剰熱が得られたとの結果が報告されました。
これは従来のDS(二重構造)カソード電解法をさらに発展させたものです。
今後は本DSリアクターの100倍の規模の物を計画していると言うことですが
80歳を超えてなお、現役の先生には、大きな拍手が送られたようです。
後の晩餐会でこの功労に対して、メダルが授与されました。
トピックを核変換に移した翌日の会議では
三菱重工からSPring-8との協力による最新の分析結果が報告されました。
これにより選択的な核変換は一層疑いのないものとなり
新規にLaに近いピークが見出されつつあるとのことです。
もはや、核変換に関する報告は三菱の成果に関連する物が主流となりました。
続いて、同一試料に関して放電法による元素変換の確認
及び、透過再現実験の成功、La近傍ピークの検出、
多体核融合仮説による理論的な説明の試み、等が次々と報告されました。
本理論は、現時点で上記一連の現象を説明しうる最も有力な理論です。
ポスターセッションにおいても、重水素透過後のガス組成の異常ピーク
逆向き透過の結果等の興味深い報告がなされました。
これまで、本分野では主要な学会誌に論文を投稿しても
受け入れてもらえることは殆どありませんでした。
しかしながら、雑誌J. Fusion Energyの編集長が先入観を捨てて
熱核融合と分け隔てなく、査読を引き受けても良いとの理解を示してくれたことで
今後一層の研究を続ける上で、大きな進展が望めそうです。
当該雑誌の副編集長から発表時に、「門は大きく開かれつつある」との声明がなされました。
旧ソ連からは生物学的元素変換等の独特な発表がなされました。
また、旧来よりのPd内DD核融合を実証する荷電粒子計測も精力的に行われているようです。
彼等に対して、資金面での援助があれば大きな進展が期待できそうです。
同時に低エネルギーDイオン入射によって、固体内DD核融合率が異常に促進される
データも示され、クーロン遮蔽以外にも未知の遮蔽機構が存在することを強く示唆しています。
その後行われた晩餐会で4名の功労者にメダルが授与されました。
一名は上記の日本人です。
これまで、D/Pdの吸蔵比が再現性の必要条件であると見なされてきましたが、
この吸蔵比を抵抗値の変化から求めるにあたっての物性データの見直しが報告されました。
これについては、スタンフォードとイタリア核物理研から類似の報告がされ、信頼性を裏付けています。
現象の本質についてはともかく、物性に関しては顕著な進展が見られています。
過剰熱計測については、旧来の低電流密度による重水電解と併せて
プラズマ電解による報告が多かったようです。
再現性は低いものの大きな過剰熱が計測された例もあり、精密測定が試みられました。
水素エネルギー協会の会長からは、絶対の自信を持っている測定系において、
極最近になって有意な結果が得られつつあると報告されました。
大きな過剰熱が確認されたわけではありませんが、さらに本格的に調査するとのことです。
また、固体電解質を用いた実験も有意な結果が得られつつあるようです。
グロー放電による実験結果に基づいて、ITERのようなトカマク型熱核融合炉の対抗壁においても
低エネルギー核反応による損傷が無視できないという興味深い報告もなされましたが
これに関しては、いまだ初等的な段階にあり反論も多く寄せられました。
既に、研究進展の為の学会・論文誌・受賞の三要素は揃っており
復権へ向けての三要素である過剰熱・核変換・再現性についても
再現性の問題がクリアできれば満たされるとの副会長からの私見が披露されました。
一方で、16年間で信頼できるデータを何一つ示せていない実態を指摘する声もあり
今後の展開については、不明瞭なところが多いのかもしれません。
次回の開催はロシアという当初の約束ではありましたが
日程の都合上、アメリカ開催が有力なようです。
場所はワシントンもしくはサンフランシスコかと思われます。
詳細についても、これから詰めていくようですが、
時期は2007年の春頃を予定しているようです。