免疫力という概念で 投稿者:菊地成孔 投稿日: 1月29日(月)13時59分29秒 z239.220-213-30.ppp.wakwak.ne.jp
乱暴にくくっても構わないと思うんですが、ふるきちさん個人がどうこうというより、現代的な問題だなあ。と思っています。
どういうわけだが、ネット環境内世界と言うのは、悪罵と崇拝(そしてなれ合いと無視)ばかりが純化される、デジタルな(コンピュ
ーターがデジタルだと言っているのではありません。コンピュータはデジタルですが)世界で、「とんでもねえキチガイだが何か好きだ」
「人非人だが偉人である」「とてつもなく汚いが、崇高だ」といった、非常にシンプルな両義性すら駆逐されて行く傾向にあると思うん
ですよ。悪や敵に対する免疫力と言うか。この環境は宙吊りを(基本的には)許さず、幼児化や動物化傾向を煽る気がしますが、まあそう
いうメディア論もどきは置いといて(転移が生じると極端なまでにいやみったらしく成ってしまう人や、自己撞着的な人や、動きたい×
動けない。のアンビバレンスにいる引きこもり。といった宙吊り傾向は、この両極化への過敏な反動形成だと思います)。
前田が鈴木と揉めたなんて、前田キャラがとっくに確定してからですよね。私個人が前田に対して「この人は何かヤバいぞ。孤立するぞ」
と思い始めたのは、第一次UWFが崩壊した頃です。その後、崇高だったり偉大だったりは、強引にパーセンテージに還元すれば20%ぐらいで
しょうか。80%はエグい話で、こっちは解読どころか、どんどん傷ついて行く訳です。ワタシは業界内での話なども聞きますから、一般の
ファンの方よりもキツいかも知れないですね。最初に結論を言ってしまえば、因にこの立場の前任者は、今や老化して誰も免疫力を必要と
しないアントニオ猪木でした。横道に逸れますが、ワタシは、過去猪木イズム、前田イズム、大山イズムに傾倒した山口日昇氏が、その総て
と離れ、逆の極であるPRIDEとハッスルに組して行ったという経緯は重要にして盲点だと思います。
アインシュタインは知人の恋人や配偶者ばかりと寝たがる非常に厄介なキチガイでしたし、ワタシは野球の事は解りませんが、イチローと
いうのはあれはとんでもないワルで、松井というのもとても一面的な善人には思えません。はっきり申し上げてワタシとてある側面ではクソ
人非人です。「誰だってそういう所は有るよ」などという、それこそなれ合いじみた、図式的な、毒抜きされた相対化を言っているのではな
いです。もっとレアな、デジタル社会でキャラクター化されるという回路を経由しない、生臭く泥臭くエゲツない人間理解の話であります。
亀田一家をワタシがそれほど評価しないのは、八百長して人気が出たらムカつく。といった、園児すら超えた嬰児の倫理ではなく、大した悪を
感じないからです。