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976ささきそうしろう

短編小説「ボケの花」 :04/11/24 16:52:04 ID:IR/bvN3r
2048年 ある街の小さな柔道場経営の一家での会話

「ただいま〜」孫が部活からかえってくる。孫は柔道をやっていて将来のオリンピック候補だ。
祖父は孫のことを「おばあちゃんに似て美人で運動神経抜群だ」と思っている。

リビングの戸棚にはオリンピックの金メダルを始めとして数々のトロフィーや
賞状が飾られている。
「ところでおじいちゃん、おじいちゃんも昔スポーツやってたんだって?」と孫が話し掛ける。
「ああ、野球をやっていたよ」
「野球?ああ、ベースボールのことね。アメリカとかオーストラリアでは
人気があるみたいだよね、で、おじいちゃんはどれくらい凄かったの?」
「ああ、銅メダルを取ったんだよ」
「ええっ?すごーい、見せて見せて!!」
そこに、おばあちゃんが顔を出して
「そんなもの、とっくに捨てちゃったわよ、私の金メダルがあるから良いじゃない!!」

祖父は心の中で40年以上思いつづけてきた言葉をつぶやく
「いや、これで良かったんだ、これで良いんだ、俺の人生これで良いんだ」