〓 パルマの中田さん その24 〓(信者専用)

このエントリーをはてなブックマークに追加
82 
日南学園寺原 8回10K出た155キロ
<全国高校野球4日目1回戦:四日市工(三重)1─8日南学園(宮崎)>
 南国エクスプレスこと日南学園(宮崎)の寺原隼人投手(3年)が強烈な甲子園デビューを果たした。四日市工(三重)相手の初戦で、プロ野球スカウトの手にするスピードガンが最速155キロを計測。西武松坂大輔投手らが高校時代に記録した「甲子園最速記録」151キロを塗り替えた。8回を投げ5安打1失点、10奪三振で初勝利もものにした。
 球速を知るすべのないスタンドのファンも、高鳴るミット音にどよめきの声を上げた。2回2死だ。寺原が、5者連続三振に斬(き)った22球目の直球が夢の記録をはじきだした。「155キロ」。広島スカウトのスピードガンで、6月の練習試合で出した自己記録タイを計測。大会前からの宣言通り、初戦であっさりと甲子園最速記録を更新した。

 甲子園デビュー戦。1球目から度肝を抜いた。大リーグ・メッツの大慈弥スカウトのスピードガンでいきなり95マイル(約153キロ)。この1球で球場の視線をくぎ付けにした。それでも怪物は冷静だ。テレビ中継画面の最速は甲子園記録タイの151キロ。「151キロは2回にベンチに戻って聞いた。狙ったのは全部で5球です」。スカウト計測で155キロと聞かされても「全国の人がすぐに分からないので、テレビで出さないと意味がない」と言い放ち、それどころか「体調が万全でなかったから151キロしかでなかった」と悔やんだ。

 17日ぶりの実戦登板だった。3日に大阪入りした後、右肩痛、右手中指痛などアクシデントの連続。まともな投球練習は、甲子園練習と前日のブルペンだけだった。先発回避も検討され、ゴーサインが出たのはこの日午前中。それでもフタを開ければ8回5安打10奪三振1失点。「体調は70%の中で最高の表現をしてくれた」と小川茂仁監督(54)は目を丸くしたが、寺原自身は「最後まで投げるつもりだった」。

 負けん気が強い。小学時代、6歳年上の兄淳一郎さん(24)が1日50回の腹筋を日課にしたときだ。「それだったら僕は60回をするんだと言って、その通りやっていました。素質を持っていると言われるが、本当に努力もやってました」と父薫さん(50)は話す。県大会では逆に熱くなりすぎて制球を乱す場面があったが「甲子園では楽しんで投げようとした。マウンドもなじみやすかったし、リラックスして投げられた」と精神面も成長した。

 中学時代には生徒会長にも立候補。文化祭ではバンドを結成しドラムを担当した。抽選でも「開幕試合」がよかったという強心臓の持ち主は、大舞台ほど強い。「自分の取りえはスピードなので、次はテレビでも151キロの上を出したい」。勝ち進みながら、夢の160キロへ新たな伝説をつくっていく。【村田義治】

 ◆寺原の昨夏 昨夏もエースナンバーを背負った寺原は宮崎大会1回戦の延岡工戦で最速142キロをマーク。12奪三振と好スタートを切った。チームもその後、順調に勝ち進んだが、準決勝で宮崎日大に5―10で敗れた。

 ◆スピードガン 高校野球では球場の球速表示はない。各球団で球速に違いが出るのは計測位置や角度、メーカーの違いなどによる。NHKは昨年から球速をテレビで表示。寺原は3度あった151キロが最速だった。これまでの高校生の球速はスカウト計測。

■98年夏に151キロをマークした西武松坂
 151キロ見ましたよ。スカウトのガンで155キロ? そうですか。でも145、6キロの直球の方が見た目では速く見えました。これから常総学院といった打線のいいチームとやるのが楽しみですね。

■ラソーダ氏が観戦「メジャーやれる」
 近鉄のアドバイザーを務めるドジャースのトミー・ラソーダ副社長(73=元監督)が11日、甲子園の貴賓席から日南学園―四日市工戦を観戦した。「いつかこの大会を見たいと思っていた」と熱心に見入った。印象に残った選手には日南学園の寺原、安田、井手、四日市工の太田を挙げ「寺原は将来メジャーでやれる」と話した。