〓 パルマの中田さん その16 〓

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21笑うしかないサンスポの
中田に出ていた“シュート封印指令”

 【モルジュ(イタリア)28日=志田健、坂本万里雄】セリエA・パルマMF中田英寿(24)にレンツォ・ウリビエリ監督(60)から“シュート封印指令”が出ていたことが、関係者の証言で明らかになった。9日の合宿からチームに合流したばかりの指令塔に、連携不足解消の奥の手としてパス専念を要求していたもの。同時に地元紙で「消極的」と批判された“不調”の原因も判明。いよいよシュートも解禁だぁ!〔写真:シュート封印指令が出されていた中田。シュート解禁で得点力を見せつける=PEGASO〕



 やはり、だ。何かあるとは思っていたが…。「中田は攻撃の核」。ウリビエリ監督のそんな信念を象徴する指令が出されていた。

 「今まではシュート、ゴールを見たかったのではない。ヒデが全体のバランス、新たなチームでどう機能するかを見たかった。シュートは打たせずにね」

 ウリビエリ監督がニヤリと笑った。練習試合で30点さえ挙げた昨季のチームと比較し「ヒデは消極的すぎないか」という地元記者の質問に、グイッと胸を張って異例の“シュート封印指令”を明かした。

 セリエA1年目のペルージャ時代、指令塔ながら10得点を挙げた中田の決定力。同監督も注目している。FW的な位置での出場も考えているほどだ。

 しかし、ACミランらと優勝を争うためには計算できる中田自身のシュートとともに、そのキラーパスから生まれる多彩な攻撃は必要不可欠。公式戦初戦、8月8日のチャンピオンズリーグでもフランス1部最少失点のリールと対戦するだけに、抜群の決定力をあえて封印。2トップへのパスを要求し“得点の方程式”連携構築を図ったというわけだ。

 26日の練習試合でも、63分間出場のうち、37回のボールタッチでシュートは2本のみ。対してパスは30回。「消極的」「ネガティブ」と批判され右太もも痛の影響、2トップとの不和が地元紙をにぎわしたが、あくまで無理にパス専念した結果だった。

 公式戦まで練習試合は29日と8月1日のみ。29日の「4チーム対抗戦」で、監督は勝利優先を掲げるだけに“シュート解禁”は必至。28日の練習ではそれを表すかのようにパルマ移籍後初のシュート練習も敢行した。ようやく100%ヒデに変身する。


★封印効果★


 中田の“シュート封印指令”は、野球でいうところの“右打ち指令”と同じ効果。公式戦開幕前、ホームランバッターにあえて右打ちを強制することで打線のつながりを重視。ホームランという決定力はあくまでプラスαと考え、計算できる攻撃パターンをつくる。

 “シュート封印”も中田自身の決定力は証明済みだけに、連携を実戦で組み立てたい監督の考えがある。