844 :
:
前園真聖をご存じだろうか?1996年、アトランタオリンピックにて中田英寿、城彰二、川口能活ら個性派集団をキャプテンとして率い、28年ぶりのオリンピック出場を、そして
ブラジルを敗る大波乱を引き起こしたチームの主役であったこの男は、キャプテンという
立場にありながら「日の丸」という言葉を一度として言おうとはしなかった。 それは、メ
ディアの批判を喰らい、チームの仲間からも指摘された。しかし、彼は断固として「日の
丸」の一言を口にはしなかった。様々な批判を受けても、彼は「自分のために戦う」と公
言し、「日本のために戦う」とは言わなかった。
だが、この話にはこんな余談がある。大会前、彼はかかりつけの歯科医の元に出向
いた。彼の目的は、奥歯に日の丸を描いたコーティングを施す事だった。言葉に出ない
口の中から、彼の”ヤマトダマシイ”は奏でられていた。
プロのスポーツ選手とは、グラウンドで語るモノ。そう教えられる逸話である。