〓 パルマの中田さん その12 〓

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セリエA・パルマMF中田英寿(24)が17日午後に行われた
約30分間の紅白戦に出場。レンツォ・ウリビエリ監督(60)は、
レギュラー組に、すべてのシュートの前に中田をはさむ攻撃パターン
の徹底練習を命じ、中田中心の攻撃体制整備に没頭した。文字どおり
パルマの王様となった中田が、強力2トップとの恐怖のトライアングルで、
相手を窮地に陥らせる。

 肌寒いモンブランの麓にこだまする怒声は、ウリビエリ監督の期待の
表れだった。

 「ナカータ! ナカータ! もっと右。次は中央だ!」

 この日、紅白戦で当然のようにレギュラー組に入った中田だが、
その表情は充実感に満ちていた。すべてのボールが中田に集まる。
ディバイオ、ミロセビッチの強力2トップのシュートは、必ず中田
のパスを起点とする徹底ぶりだ。中央からのキラーパスに加え、
サイドに流れてのボールの受け方、右・左両サイドからのクロスを
直接指導した同監督。その心はまさに“すべてのゴールは中田から”。
ASローマでMFトッティの控えに甘んじた悪夢は完全に一掃。
移籍会見で「もっと、サッカーをしたかった…」と話した言葉が現実になった。

 そして、ウリビエリ監督が中田を引き立てる最大の作戦“恐怖の三角形”
を紅白戦で初披露。常に中田とディ・バイオ、ミロセビッチが三角形を形成。
通常、中田がトップ下に入り、逆三角形で2トップがゴール前にいる状態だが、
中田が右サイドに行けば、ミロセビッチがトップ下、ディ・バイオが
ゴール前へ、左サイドに行けばその逆など、2トップのさらなる得点力
アップへ、中田中心の“中田トライアングル”が生まれたのだ。

 練習終了後のクールダウンでは、DFテュラムの後継として正式に
主将に就任、16日に合宿合流のDF、F・カンナバーロと初のピッチ
会談を敢行した中田。「守備と攻撃のバランスを話した。
ヒデは攻撃の核だから」とカンナバーロ。守備陣の中心がカンナバーロなら、
攻撃の中心は中田。新天地で、中田は確実に“王様”の座を手にしようと
している。