★★怒涛のボランチ 稲本潤一 PART11★★

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ロンドンの稲本宅で電話が鳴る
稲本「(受話器をとる)」
「もしもし(ボソボソ)」
稲本「はい・・・?」
「オレだよ、おれ」
稲本「はい?!」
「オレだよ、西澤」
稲本「なあんだ、西澤さんか。電話番号しらへんのに、よくわかりましたね」
西澤「確かに教えてもらってへんかったからなあ」
稲本「いや、別にわざとしらせへんかった訳やないですよ〜。それに今までずっとホテル暮らしだっとわけだし」
西澤「おめでとう」
稲本「えっ?! なにがですか?」
西澤「CL出場したんやろ」
稲本「はい。もっとかかると思ってたやんだけど、まさかいきなりCLとは。ほんま興奮しました。でも西澤さんかてカップ戦に出場して得点取ったやないですか。ほんま凄い刺激になりました」
西澤「カップ戦っていっても、ワージントンカップやしなあ〜。二線級のカップ戦で得点してもなァ(ため息)」
稲本「・・・・・・」
西澤「それに前の試合にはベンチからもはずされたわ。訳の分からんとこからきた奴が俺の替わりにベンチに入っていきなり得点するしなあ。人生うまいこといかへんなあ」
稲本「これからですよ。まだ始まったばかりやないですか」
西澤「紅白戦で得点してるのになあ」
稲本「・・・・・・」
西澤「ベンゲルなんかいってへんかったかな?」
稲本「はい?!」
西澤「コンフェデで出場した日本人FWのひとりがイングランドに渡ったんやろ、とか話してへん?」
稲本「いや、別に・・・・」
西澤「話のネタとして俺のこと話題にしたことあるやろ?」
稲本「ないですけど・・・・」
西澤「・・・・・・」
稲本「(ちょっと慌て気味に)あんまりベンゲルとはプライベートではなすことないないし」
西澤「・・・・・・」
稲本「(機転を利かして)それにしてもセレッソ調子悪いみたいですねえ。やっぱり西澤さんがいないと。西澤さんの偉大さがわかりますよね」
西澤「なんや、わしにセレッソに戻って泥舟に乗れってゆうんかい」
稲本「いや別にそんなつもりにいったつもりやないですけど・・・・」
西澤「どや、イナも一緒に大阪に戻るというのはどうやろ?」
稲本「なんで僕も一緒に戻らなあかんのや。でも今セレッソに戻ったらきっと救世主になりますよ、西澤さん!」
西澤「セレッソ? なんでわしがセレッソに戻らなあかんのや? わしがいくのはガンバや!」
稲本「だったら一緒にガンバでプレーするわけですか?」
西澤「なんで一緒にプレーするねん? おまえはセレッソや!」
稲本「えっ?! それじゃあべこべやないですか。なんで西澤さんはセレッソに戻りたくなんですか?」
西澤「だから二部に落ちるような泥舟クラブに、なんで俺が戻らなあかんのや」
稲本「だったらなんで僕が泥舟のセレッソにいかなあかんの?」
西澤「可哀想やろ」
稲本「はあ?!」
西澤「わしかてセレッソにはここまで育ててもらった恩義もあるし忘れてへん。でもわしも妻子をもつ身や」
稲本「・・・・・・」
西澤「短い選手生活、無駄に凄くわけにはいかんのや。それに来年はワールドカップや。」
稲本「・・・・・・」
西澤「しかし、恩義忘れて自分勝手な行動起こすのは男の恥や! でもイナがセレッソにいくんやったらきっと許してくれるよろ。イナは人気もんやし、わしほどやないけどきっと観客もふえるやろ」
稲本「・・・・・・」