【Les Bleus】フランス代表【Part27】

このエントリーをはてなブックマークに追加
362010年、南アフリカであったこと 1/2
大ざっぱにまとめる。

・メキシコ戦のハーフタイムに、(関係者しかいない)ロッカールームでアネルカが暴言を吐いた。

ただ、これ自体は「よくあること」でしかない。アネルカは決して優等生キャラじゃないし、
アネルカのキャラを抜きにしても、熱くなった選手が暴言を吐いてしまうのは珍しいことではない。
「○○選手が監督に暴言を吐いた」なんてニュース、サッカーでは(それ以外のスポーツでも)よくあることだ。

・翌日の金曜日の時点では、アネルカはまだドメネクを無視していた。

この時点では、それでもどうにかなる問題だった。まだ関係者しか知らないのだから、
アネルカをグループリーグ第3試合のメンバーから外し、(仮にトーナメント行ったとしても)プレーさせない。
後になって「なぜアネルカを使わなかったか」を聞かれたらそこで初めて「(具体的な言葉は伏せて)暴言があった」
とでも明かせばいいんだし、W杯中のアネルカのパフォーマンス自体良くなかったから納得された可能性は高い。

・そして『レキップ』紙が土曜日の朝刊で、メキシコ戦のハーフタイムにあったことをスクープした

金曜の夜くらいから噂になっていたらしく、アネルカは金曜深夜に「明日記者会見を開きたい」と申し入れているが
騒動が大きくなってそれは不可能になった。
騒動が大きくなった時点でアネルカが公式に謝罪するか、さもなくばアネルカを追放するかといった措置が必要になった。
だが、アネルカは弁護士に「謝罪すると後で不利になる」と言われたらしく、謝罪を拒否した。

・土曜日、選手たちは疑心暗鬼になっていた
「誰が記者に教えたのか」という疑惑があって全員を信用できる状況ではなく、
仲の良い選手数人で集まっては「あいつじゃないか」と推理を巡らせていたグループが複数あった。
冷静に考えれば、選手本人とは限らず、代理人や各種スタッフがリークした可能性だってあるのだが……

主に疑われていたのはアンリ(アネルカ追放でスタメンが回ってくる可能性が高い)、
ドメネク(失敗を選手のせいにできる)、アネルカ(低パフォーマンスから目を反らすことができる)あたりだが、
決定的な根拠があるわけではなかった。だがともかく、選手たちからはドメネクも疑惑の目で見られていた。
(続く)
372010年、南アフリカであったこと 2/2:2013/05/19(日) 14:38:41.62 ID:QTe5DPBO0
・土曜日の正午、エブラ(キャプテン)、リベリ(副キャプテン)、トゥルランとあと2,3名の選手がアネルカを囲んで
「俺たちの誰かの中でドメネクが許可した人物が立ち会うから、ドメネクに直接会って謝罪しろ」と説得した。
アネルカはこれを受け入れたらしいが、ドメネクが「まず公の場でアネルカが謝罪しろ。密室で会うのはそれから」と拒否した。

既にレキップが書いている以上、密室の中で謝罪しても根本的解決にはならない。その意味でドメネクの意見には一理ある。
ただ、このドメネクの態度が選手たちの態度を硬化させた。

・↑の経緯をエブラとリベリが中心になって他の選手たちに説明した。
ただ、エブラとリベリの説明は「アネルカが公式の謝罪を拒否している」ことは意図的に隠した上で
「誰かの立ち会いの下でアネルカがドメネクに謝罪しようとしたが、ドメネクが拒否した」という内容になっていた。
要するに意図的にドメネクが悪者にされていて、聞いた選手たちはそれを聞いて(エブラやリベリの思惑通り)ドメネクに反感を持った。
(後にシセは「ストを決めた時点で僕は全部を知っていたわけではない」と言っているし、他にもそう証言した選手はいた)

・日曜日の午前にフランスのテレビ局による生放送があり、ドメネクも出演して
『レキップ』の報道の責任について記者とやりあっていた。
そこにリベリが急に「出演させてくれ」と言ってきて、「全てのフランス人に許しを請いたい」
「明後日の南アフリカ戦を勝つべく全力を尽くす」「アネルカのことをリークしたのは自分ではない」などを涙ながらに訴えた。
TV局は「想定外だが、結果として高視聴率になったし、もうこの先は流れに任せた方が良い」という雰囲気だった。
実際、リベリ出演の直後からTV局には取材が殺到した。

・そして日曜日の午後、選手たちはストライキを決行した。もちろんリベリも。
個人主義のフランス人だってある程度空気は読む。内心でストに同意していない選手はいたが、一人で言い出せる状況では無かった。
16時頃、エブラが声明を読み上げた。この声明は、エブラたちがトゥルランの友人に依頼して書いてもらったものだった。
そして涙ながらに「明後日の試合に全力を尽くす」と語ったリベリもストに加わったことで悪役になった。

・こんな状況でGL突破できるはずなかった