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ライカールトへ
この手紙をもって僕のアドバイザーとしての最後の仕事とする。まず、バルセロナの問題を
解明する為にミケルス御大に解剖をお願いしたい。
以下にバルセロナ再建についての愚見を述べる。バルセロナの発展を考える際、
第一選択はあくまでウイングスタイルであるという考えは今も変わらない。
しかしながら、現実には僕自身の場合がそうであるように、就任した時点で
典型的なウイングが不在のことがしばしば見受けられる。
その場合には主としてCFをサイドに張り出させてスペースを作らせる方法があるが、
残念ながら未だ満足のいく成果には至っていない。
これからのバルセロナの飛躍はウイングの選手が新たなスペースを作り出せるように
他の選手がサポートできるか否かにかかっている。
僕は君がその一翼を担える数少ない監督であると信じている。
能力を持った者にはそれを正しく行使する責務がある。君にはバルセロナの発展に
挑んでもらいたい。
遠くない未来にイタリアによるスペースを使わないサッカーがこの世から無くなる事を信じている。
ひいては僕のドリームチームを解剖の後、君の研究材料の一石として役立てて欲しい。
屍は生ける死なり。
なお、自らバルセロニスタの第一線にある者が阻止できず、ファンハールの監督就任を
許したことを心より恥じる。
ヨハン・クライフ