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サッカー協会にて監督会議を終えたファビオ・カペッロとロベルト・マンチーニ
が、立ち話をしている。
カペッロ
「マンチーニ君、君のラツィオはなかなかやるじゃないか。成功の秘訣はなんなん
だい?」
マンチーニ
「カペッロさん、秘訣なんて簡単ですよ。頭の良い選手を起用するんです」
カペッロ
「しかし、頭が良いか悪いか、そう簡単にわかるものかね。君はどうやって見分け
ているんだい?」
マンチーニ
「簡単ですよ。質問をして、賢い答えができるかテストをするんですよ」
カペッロ
「ふむふむ、それは興味深いね。ちょっと、具体的な例を示してくれんかい?」
マンチーニ
「いいですよ。今、ウチのステーファノ・フィオーレ君に電話してみますね」
◇
マンチーニは、カペッロにも聞こえるように、スピーカーフォンでフィオーレに電
話をかける。
マンチーニ
「フィオーレ君? マンチーニだ」
フィオーレ
「はっ、監督。なんのご用でしょうか?」
マンチーニ
「フィオーレ君、このなぞなぞの答えを言いたまえ。君のお父さんとお母さんに子
供がいて、それが君の兄弟ではないとしたら、それは誰だろう?」
フィオーレ
「監督、答えは簡単ですよ。それは、僕です!」
マンチーニ
「そのとおりだ。フィオーレ君、ありがとう」
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:03/11/06 00:11 ID:Vv8Ed0Ax
◇
カペッロは深く納得した様子。
カペッロ
「なるほど。これは選手の頭の良さを判定するのに最高の方法だ。私もさっそく、
採用してみようではないか」
◇
マンチーニの“インテリジェンス・テスト”がよほど気に入ったのか、カペッロは翌
日、トリゴリア・ローマ練習場で自軍選手の頭の良さを試すことにする。まずは、
トッティを呼ぶ。
カペッロ
「フランチェスコ、ちょっと」
トッティ
「なんスか、監督。FKの練習っスか?」
カペッロ
「違う、違う。ちょっとテストをしたいんだ。簡単な質問に答えてくれたまえ」
トッティ
「いいっスよ、監督。なんスか?」
カペッロ
「フランチェスコ、君のお父さんとお母さんに子供がいて、それが君の兄弟ではな
いとしたら、それは誰なんだろう?」
◇
沈黙するトッティ。
一生懸命考えるが、答えが全くわからない様子だ。
トッティ
「ええっと……。父さんと母さんの子供だけど……オレの兄弟じゃない……、誰っ
スかねぇ!? 監督、すいません。ちょっと考える時間、もらっていいっスか?」
カペッロ
「もちろんだよ、フランチェスコ。答えは練習が終わってからでもいい」
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:03/11/06 00:12 ID:Vv8Ed0Ax
◇
トッティはチームメートと合流し、カペッロの質問について語る。
トッティ
「おぅ、みんな。監督の頭がおかしくなっちゃったみたいだぜ。なんか変な質問を
するんだ。君のお父さんとお母さんに子供がいて、それが君の兄弟ではないとした
ら、それは誰かって」
◇
チームメートも一生懸命考えてみるが、答えは出てこない。 マルコ・デルヴェッキ
オも、ヴァンサン・カンデラも、アントニオ・カッサーノもお手上げ状態。 そこ
で、トッティは用具係のマリオにも同じ質問をする。
トッティ
「おぅ、マリオ。よく聞けよ。あんたの父さんと母さんに子供がいて、それがあん
たの兄弟じゃないとしたら、それが誰なのかわかるかい?」
◇
用具係のマリオはすかさず答える。
マリオ
「それは、オレだよ、オレ」
◇
ようやく謎が解けたトッティは、得意そうにカペッロのところへ行く。
トッティ
「監督、答えがわかりました!」
カペッロ
「そうか、そうか。では、言ってごらんなさい」
トッティ
「用具係のマリオ、です!」
カペッロ「なんだ、君は本当に頭が悪いね。正解は、ラツィオのフィオーレだ
よ!」