倉敷保雄2Get

今週はＷＯＷＯＷの『リーガエスパニョーラ国内放映権独占』で持ちきりだった｡
スカパーにチャンピオンズリーグの放映権を奪われたＷＯＷＯＷが起死回生策に打って出たところだろうか。
開幕直前に突如発表、第一節は生放送の対応が間に合わず、朝八時台の中継録画を組んだ｡（つづく）

岩佐徹アナが公式サイト『ＷＯＷＯＷ・ＯＮＬＩＮＥ』のコラム（反響が大きかったらしく、アップしてすぐに削除された）で明らかにしてことによると、放映権獲得交渉は粘り強く秘密裡に行われたらしい｡
僕の入手した情報ではスカパーのチャンピオンズリーグを持っていかれたのが今年の１月である。
キラーコンテンツを失ったＷＯＷＯＷはかなり早い時期から巻き返しを画策していたのは見て間違いの無いだろう｡
岩佐アナはその動きを知って内心､ハラハラのし通しだったの由。『敵を欺くにはまず味方から』ということで、その思いは秘めていた｡

欧州リーグが独・仏を皮切りに開幕し、レアル・マドリードのアジアツアーが話題をさらっても、リーガエスパニョーラ自体の開幕はどうなるのか全然見通しがたたれなかった｡
放映権料を廻ってクラブ間の対立が激化したせいだ。
昨シーズンのセリエＡでも同じことが起きたが、ビッククラブと中小クラブの契約の格差が問題になっていた｡
国内放映権の交渉はその渦中で詰められていたのだ。ＷＯＷＯＷにはチャンピオンズリーグが浮いた分の豊富な資金があり、結果的にＪスカイスポーツとＮＨＫは出し抜かれた格好になる。

ビジネスの原則を考えれば､企業努力は結構なことで、ハタがとやかく言う問題じゃないのかもしれない。
又､僕個人ことを言えば､再三書いてきたようにＷＯＷＯＷと契約しているので、今シーズンもリーガエスパニョーラの熱戦を楽しむ事が出来る。
だけど、全然愉快ではない。ひとつには、これまで馴染んできたＪスカイの倉敷保雄アナの名実況が聴けなくなることだ｡ＮＨＫ−ＢＳなら長谷川健太さんの絶叫解説が聞けなくなることだ｡
両局はそれぞれ愛情を持って､質の高い中継を重ねてきた｡ファンには当然、喪失感めいた感情がわだかまっている。

それよりももっと大事な事は、こうした放映権争いで結局､ワリを食うのはファンだということだ。
チャンピオンズリーグがスカパーに移り、リーがエスパニョーラがＷＯＷＯＷ独占になる。視聴者であるサッカーファンに何かメリットが生じたかというと大したものは見当たらない｡
スカパーは『ＵＥＦＡチャンピオンズリーグセット』を設定､『グループステージは毎節８試合生中継』『ベスト１６から決勝まではすべて生中継』とうたっているけど、既存の高額セットと組み合わせても、月１０００円の負担増になる。
一方､ＷＯＷＯＷは『レアル、バルサ等を中心に毎節三試合放映』を打ち出したけれど、Ｊスカイ視聴者にとっては試合数減であるし、ＮＨＫ−ＢＳの広範さを思えばスペインサッカーに触れる数は大幅に減ることになる。
どちらにしてもチューナーだ｡月額契約だとサッカーファンにとっては何かと物要りだ。
まあ、ＷＯＷＯＷとスカパーの『仁義なき戦い』は９０年代のセリエＡ争奪戦にさかのぼることだろうが、色んな出来事の度に、結局のところファンの出費がかさむような気がしてならない。

大局的には海の向こうで『ベッカム移籍』が引き起こしたような、一種、ミもフタもない、あからさまなサッカービジネス・欲望の波がザップーンッとこちらまで打ち寄せてきた感がある。
いや、ジャパンマネーは大きな要素だから、テレビのこっちの肥大した欲望が『ベッカム移籍』のところまで届いちゃったのか。最近、僕は『見れるものを心をこめて見りゃいいんじゃないか』という心境にかられている。
欲望もほどほどにしないと、お金ばっかりかかってキリがインテル移籍

　　　　　　　　　　　　（今週発売のサッカーマガジン・茶柱観測所より）