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【 金子達仁フランス戦評・完全版 】

こんな日本代表を見たのは生まれて初めてである。前半よりも後半、後半の立ち上がり
よりも中盤と、時間を追うごとにチームが美しくなっていく。判断力が劣ると外国人に
嘲られ、事実、試合前に立てたゲームプランにすがるしかなかった日本しか知らなかった
日本しか知らなかった人間からすると、この日の戦いぶりは掛け値なしに驚愕した。

いまは、コンフェデ杯に期待しない、などと考えた自分の早計を恥じるばかりである。
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885::03/07/02 20:06 ID:wQexm398
合後、インタビューに答える中田英寿は腹立たしげだった。勝利に手が
届きかけた試合だっただけに、悔しさもひとしおだったのだろう。
だが、日本代表でこれほど輝いた彼を見たのは、ジョホールバルでのイラン戦
以来のような気さえする。周囲からマラドーナ的な動きを期待され、頼れるのは
己のみ、といった状況で戦ってきたのがこれまでの中田だとしたら、この日の
彼には、対等の関係となるパートナーがいた。

関係の成熟度が高まっていけば中田の、そして中村の輝きはさらに増していくに
違いない。

それにしても、驚くべきは日本人の、いや、人間の持つ能力の高さである。
上からの命令によって動く集団は、時間がたつにつれて、つまり命令の
新鮮さが薄れるにつれてまとまりが失っていく。

ところが、自分たちで考えることをことを求められた集団は、時間の経過とともにまとまっていく
ばかりか、当初は予想だにしなかった領域にまで足を踏み入れることが出来るらしい。
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886::03/07/02 20:08 ID:wQexm398
そのことを痛感させられたのは、後半の途中に投入された小笠原のプレー
だった。彼の出来が悪かったとは思わない。にもかかわらず、そのパスは
明らかに周囲の選手とは合っていなかった。

個人が考え、互いに要求し合う時間を体験してきた先発メンバーたちは
途中から入った選手がアジャストしきれないほどに密度の濃い関係を築いて
いたのである。
        
最終戦で対戦するコロンビアは、アルゼンチンよりはるかに弱く、けれども
パラグアイよりはずいぶん強い、といったチームである。この日の日本の
出来からすれば、決して勝てない相手ではない。

稲本の出場停止は痛いが、代わりの選手がチームに適応できれば、日本の
選手層はさらに増すことになる。
         
負け試合にこんな表現を使うのが適切かどうかわからないが、フランス戦は
日本代表にとってここ5年間でのベストゲームだった。

あとは、なぜか負け試合で称賛されることの多かったジーコの現役時代の不運が
監督になってからも引き継がれないことを祈るばかりである。(終)