申し訳ありません(´Д`;)アイルランド代表です8
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六月五日、W杯グループリーグE、アイルランド対ドイツ。
前半、新鋭クローゼの鮮やかなヘディングで先制したドイツは
守護神カーンを中心に堅陣をしき、1−0での逃げ切りを計る。
予選突破の為にどうしても追いつきたいアイルランド。
長身FWクインを投入してパワープレイに全てを賭ける。
しかし、老獪なドイツ守備陣を前に、ゴールはどこまでも遠い・・・。
試合は遂に後半ロスタイムへと突入した!
380 :
:02/07/03 02:16 ID:ypIi5B3C
イアン・ハート 「みんな頼む・・・」
ガリー・ケリー 「こ、ここまでなのか・・・」
ベンチからの祈りをあざわらうかのように、刻一刻と時間が過ぎていく。
ドイツの死力を振り絞ったプレスに圧倒され、
ロビングボールを放り込むことさえ出来ないアイルランド。
実況 「ああっ、今、ニールセン主審が時計を見ました」
マッカーシー監督「くっ・・・時間がない」
敗北の二文字がアイルランド選手達の脳裏をよぎる。
ロビー・キーン 「まだだ!まだ試合終了のホイッスルを聞いてないぞ!
Never say die!オレ達はまだ死んでない!」
381 :
:02/07/03 02:17 ID:ypIi5B3C
シェイ・ギブン 「ロ、ロビー・・・・」
マッカーシー監督「そうだ、諦めるな!
ゴール前だ、ゴール前にボールを送るんだ!」
カニンガム 「よしっ、みんな、頼むーーっ!」
実況 「アイルランド最後の賭けに出たー。
ハーフウェイライン手前からのロビングボールだ。
選手達がゴール前に殺到する!!」
カーン 「止めろっ!これを跳ね返せば、オレ達の勝ちだ!!」
落下点にいちはやく入り込んだクイン。跳躍の体勢に入る。
ラメロー 「打たせるなっ!ヘディングでシュートを狙ってくるぞ」
屈強なドイツ人DFがクインの元へと激しく迫る!!
382 :
:02/07/03 02:18 ID:ypIi5B3C
実況 「クイーン君、ドイツ守備陣に空中戦を挑むっ!!」
トーマス・リンケ「ぐおおおっ、させるかー!」
実況 「ああっ!!と、飛んだーーっ!!!?」
ニール・クイン 「ふっ、かかったな」
メッツェルダー 「なっ、何?」
ニール・クイン 「オレはおとりさ・・・。ゴールを決めるのは
アイルランド真のエース。頼むぞ、ロビー」
満身創痍の状態で放ったクインのヘディングは
まるで定規で計ったかのようにピタリとロビー・キーンの足下に落ちる。
ニール・クイン 「ぐはっ・・・あ、後は・・・た、頼んだ・・・」
実況 「ああーーっ、カシマの芝に崩れ落ちるクイン君」
ダミアン・ダフ 「ク、クイーン!!」
383 :
:02/07/03 02:19 ID:ypIi5B3C
ポストプレイから受けたパスをロビー・キーンが正確にトラップする。
ロビー・キーン 「熱き血潮の兄弟よ、お前のパス、無駄にはしない!!」
バラック 「止めろ、何としてもここで止めるんだ!!!」
ツィーゲ 「ぐおっぅ!・・・・な、なにぃーー!!?」
実況 「速い、速いぞロビー・キーン君!!!
一瞬でドイツDFを置き去りだーーーっ!!」
ロビー・キーン 「き、決める!!!」
384 :
:02/07/03 02:20 ID:ypIi5B3C
ロビー・キーン 「ここで決められなかったら・・・
オレ達は何の為に日本へやってきたと言うんだ・・・。
欧州予選の死闘で散っていったライバル達・・・
オレ達を鼓舞する為に、敢えてチームを離れたロイ・・・
遥か日本までやって来てくれたサポーター達・・・
そして何よりも祖国の誇りの為に・・・
オレは決める、決めてみせる!!!」
実況 「ロビー・キーン君、シュート体勢に入ったーーーっ」
クローゼ 「カ、カーンさん、頼む止めてくれ!!!」
ロビー・キーン 「唸れボール!!今こそドイツゴールに突き刺されーっ!!」
カーン 「止めるっ!!!」
385 :
:02/07/03 02:21 ID:ypIi5B3C
体勢を崩しながらも、足首を捻りつつ、右足を降り抜くロビー・キーン。
ロビー・キーン 「オレ達の魂のシュート。
止められるものなら、止めてみろーーーっっ!!」
実況 「これが最後のシュートだーーーーーーーっっ!!!!!」
カーン 「くっ!!入れさせはせん。入れさせはせんぞ!!!
輝かしいドイツサッカーの歴史。
W杯優勝三回、無敵のドイツチーム。
我々がたかがGLで苦戦するわけにはいかんのだ。
ドイツサッカーに再び栄光をもたらす為にも、
ここで入れさせるわけにはいかんのだーーーーーっっ!!」
実況 「カーン君、パンチングに行くっ!!」
カーン 「と、届け!!!」
目一杯のばしたカーンの腕。その指先に・・・
386 :
:02/07/03 02:21 ID:ypIi5B3C
実況 「な、何とカーン君。
この至近距離からのシュートに触ったーーー!!」
ロビー・キーン 「な、なにぃーー!」
ヤンカー 「カ、カーンさーーーーん!!!」
実況 「弾かれたボールはゴールポストに向かって飛んでいくっ」
カーン 「は、外れろーーーーっ!!!」
バチン!!
カシマスタジアムのポストが、今、両者の命運を分ける!!!
387 :
:02/07/03 02:23 ID:ypIi5B3C
実況 「ゴ、ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーール!!!」
その瞬間、カシマスタジアムが四万人の歓声に包まれる。
ある者は歓喜の涙を流し、ある者は呆然と揺れるネットを見つめ、
またある者はサッカーという素晴らしい競技が見せる奇跡の瞬間に酔いしれる。
サポーター席へと走り寄るロビー・キーン。
でんぐり返しからの二丁拳銃。
得意のポーズでサポーターへの感謝を示した。
ロビー・キーン 「み、みんな決めたぞ。オレ達はやったんだ」
走り寄るチームメイト達。
うれし涙を流し、泣き崩れるチームスタッフ。
そして、スタジアムはアイルランド選手への惜しみない拍手で満たされた。
388 :
:02/07/03 02:24 ID:ypIi5B3C
アイルランド11は、確かにその日、日本の地に何かを残した。
Team of never say die
アイルランド代表よ、ありがとう。