■出ました!杉山茂樹【やっぱ4バックだぜ】...■

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 レバークーゼンVS.リバプール。僕はこのチャンピオンズリーグ準々
決勝第2戦の、どんでもなく面白い壮絶な撃ち合いを現場で取材観戦
しながら、トゥルシエ・サッカーを思わずにいられなかった。'98年フラ
ンスW杯以降、欧州クラブシーンに起きた現象と、日本との隔たりは
大きい。
 
 '98年W杯で、ヒディング率いるオランダは、数で並べれば4-2-3-1と
表記されるスタイルで戦い、各方面から「もっとも良いサッカーをした
国」と称賛された。
 
 イタリアを中心に流行していた4-4-2のプレッシングサッカー(別名、
攻撃的守備)と、ウイングを使ったサイドアタックを重視する4-3-3の
オランダの伝統的な攻撃的サッカーとの融合型。このようにコンセプ
トを言い表せる4-2-3-1のスタイルは、以降の欧州シーンで瞬く間に
流行した。'98年W杯優勝国のフランスでさえ、これに切り替え今大会
に臨もうとしている。
 
 ヒディング・サッカーが行った選手交代も、以降の欧州シーンに大
きな影響を与えた。ベンチに下げる選手とは別ポジションの選手をピ
ッチに送り込み、1度の選手交代で複数のポジションに変化を起こさ
せる、いわゆる戦術的交代だ。この交代は、複数ポジションをこなす
選手のユーティリティな才覚なしには実現不能な、高度に見える交
代だが、これもいまや当たり前なものとして定着している。
 
 多様なメンバーチェンジに基づく攻撃的サッカー。「三都主が出場
すれば、小野は出場しない。それがバランスというものだ」という言
葉を吐くトゥルシエのサッカーには、欧州のこのスタンダードが決定
的に欠けている。攻撃力の高い小野と三都主を、どう綺麗にバランス
良く配置するかを考えることこそ、現代の監督に課せられた使命だと
撲は思う。トゥルシエのサッカーは、恐ろしく古い。
 
 いま、欧州クラブシーンでは、この時代にありながら守備的意識を
深めているイタリア勢が大不振に陥っている。トゥルシエ監督と、そ
こで日本代表と同様な3-4-1-2のスタイルで采配を振るう監督たちと
に共通する点は多い。だが、そのイタリアにさえ、このままではマズ
イという空気はある。時代がNOを突きつけた采配でW杯に臨もうとし
ている日本。少なくとも時代にはYESと言われているヒディング率い
る韓国。2002年W杯の共催国にまつわるこの関係性を、僕はとても
残念に思う。