思い出に残る食事

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707。☆。
去年の話。
俺がまだ高校生だったころ。
母親の金をちょこちょこ盗んでは遊びまくってた。
ある時どうしても金がなくなり、欲しくなり、
バイト先で金を盗ってしまった。
結局バレて、母が店に呼ばれた。母はすまなさそうに下を向いていた。
当然俺はバイト先を首になった。
帰り道、母は俺が母の財布からお金を抜いていた事を知っていた。
それで母は俺に、
「何か欲しい物でもあるの?ウチは母子家庭だけど
あなたにはお金のことは不自由させたくないの。引け目を感じさせたく無いから」
と言った。
俺は何も言えなくなった。
それまで「何で気付かないんだろう」「気付いた時に怒られればいいや」
と思ってた自分が恥かしくて小さくて、泣いた。
そして最後に、「人様の物に手出ししちゃダメよ」とだけ言って
それからお金のことに触れなくなった。
その晩、いつものように変わらず出てきた夕食が暖かかった。