思い出に残る食事

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167スイカジュース
まだ私が高校生だった頃、父の田舎に帰ったときに、
おじいちゃんがスイカジュースを作ってくれた。

おじいちゃんは呆けてて、ミキサーにスイカの皮まで入れて、
茶色いスイカジュースが出来上がってしまった。
それを、私に「飲め飲め」と進めた。
おばあちゃんも、両親も「そんな物飲まなくて良いよ」と言ったが、
私のために、畑で重いスイカを採ってきて、一生懸命作ってくれた
おじいちゃんに申し訳なくて、一気に飲み干した。
「美味いか?美味いか?」と何度も聞くおじいちゃんに、
「うん、美味しかったよ」と、何度も嘘を付いた。

数年後、癌で亡くなったおじいちゃんのお通夜に出席した。
「いやー、成仏してくれて、清々したわ〜」と、
どんちゃん騒ぎする親族を後目に、私は一晩中おじいちゃんの側で、
「スイカジュース、ほんとに美味しかったよ」と言い続けた。

あの青臭い、苦いスイカジュース。
今でも味を覚えてます。