環境ホルモンねぇ…
まだ研究段階だからエラソーなことは言えないんだけどさ。
とりあえずカップヌードルで話題になった環境ホルモンは、「スチレンの二量体・三量体
(スチレンダイマー・トリマー)」
これに関しては環境庁(当時)の見解は
「スチレン二量体・三量体は、リスクが低く今後行政施策としての試験は行わないが、 今回
得られた結果は未解明な点も多く、今後研究的・学問的に追求していくことが了承された。」
ということで「環境ホルモンの疑いがある化学物質」のリストから除外。
つまり、「環境ホルモンである可能性は低いんで、税金使ってまで今後研究はせんけど、
まだよう解らんトコもあるんで民間の皆さん、どうぞ研究したって下さいな。」って感じかな。
もう一つ、フタル酸エステルについて
環境ホルモンの疑いをかけられているフタル酸エステル類は現在のところ9種類。
現在の研究段階では、最もホルモン様活性が強いとされる「フタル酸ブチルベンジル」
の活性は、代表的な女性ホルモン「17β-エストラジオール」の活性の100万分の1。
また、睾丸萎縮とかの生殖毒性が疑われているけど、環境に最も多く存在するフタル酸
エステルであるフタル酸ジオクチル(DEHP)の動物実験結果として、
「ラットに、DEHPを2g/kg/day で与え続けたところ、睾丸重量の減少が見られた」
何となく恐そうだけど、体重50kgの人間に置き換えた場合、毎日毎日100gのフタル酸
エステルを飲みつづける、と言う事になる。
カップヌードルで問題になったフタル酸エステルの濃度は1.1ppm。
スープを300ml飲んだときの摂取量はどうなるかというと、0.00033g。
動物実験の結果を即、人間に当てはめるのは乱暴だけど、カップヌードルのスープによって
フタル酸エステルの生殖毒性が出るためには、スープを91トンずつ毎日飲み続ける必要が
あるわけ。
「しかし環境ホルモンは、低い濃度の時にこそホルモン様活性を示すときがある」
研究段階だから否定も肯定もしないけど、このフタル酸エステルの生殖毒性については、
摂取量に比例した毒性しか出てないけどね。
まあ、日常生活でフタル酸エステルを1日100g、毎日毎日摂取する状況を身近なものと
捉えるかどうかでしょう。
あと、多摩川の鯉のメス化が言われていて、結論は出ていないけど、似たような例でロンドン
の河川に生息するローチという鯉科の魚がメス化する現象があるけど、原因として現在最も
有力視されているのが、「人間の女性の尿」。
それに、5にもあるように日常摂取する食品で最強の環境ホルモンは「野菜」。
特に大豆に含まれるフラボノイド類には植物エストロゲン(女性ホルモン)の作用があり、
かつ摂取量も多いので、更年期障害に悩む女性以外には、これが「毒性」を示すことも
有り得ないとは言い切れないわけ。
もちろん「食品中に元々環境ホルモン様物質が含まれるのだから、人工物質由来の環境
ホルモンなんてどうでもいい」 とは言う気はないわけ。
ただ、現在問題になっている、「環境ホルモンとして疑われる物質のリスト」に名前の
上がっている各種化学物質は、普通の食品中に含まれる同作用の物質の数百分の1か、
それ以下の程度の活性しかないという事実は知っておいてもいいかな。
それに加えて摂取量もケタが違うしね。
もちろん、研究段階なんだから結論は出せないし、気になる人は今は紙容器のカップ麺も
多いのでそちらをどうぞ、といったところ。