1 :
名無しさん@LV2001:
2 :
名無しさん@LV2001:2001/03/07(水) 08:52
まじかよ!今日でおわるの?
俺も毎日見てたよ。
リノアには拷問って言うよりエッチな悪戯路線きぼん。
また何か書いて続けてくれ…。
毎日の楽しみをいつも有難う。
本編は好きじゃないけど、あんたの書く話は好きだったよ・・・今まで有難う。
4 :
名無しさん@LV2001:2001/03/07(水) 19:44
イデアの突然の一言に目を丸くする落ちこぼれの三人と不良SEED達。
「お、おい!いま、あいつ何か言ったぞ!」
「す、すげぇ眼だ!マ、マジで人間じゃねえぞ、あいつ!」
イデアは彼らのざわめきに微動だにせず、虚ろな目で天を仰ぐ。
イデア「臭い。身の程をわきまえず、我が命を狙うブタどもよ。
死ね。死んであの世で我が身の愚かしさを後悔するがよい・・・・」
イデアの体中から真っ黒なオーラが立ち上る。
エルオーネが放っていたオーラの比ではない。
そしてイデアのオーラは凄まじい圧迫感を与える暗黒のオーラなのである。
普通の者ならばそのオーラに触れただけで昏倒してしまうほどである。
したがって不良SEED達は何とか耐えているが、よわっちい落ちこぼれの三人には耐えられない。
彼らは慌てて後方に下がりだした。
「ち、チキショウ!!こ、この化け物があっ!!お、おい、みんな何をしているっ!
かかれ!!かかるんだ!!1億ギルだぞっ!!あいつを捕まえれば1億ギルやるっ!!」
落ちこぼれのリーダーがそう叫ぶと金の魅力に負けているSEED達はジリジリとイデアに近づいた。
不良「お、おとなしくしやがれ、こ、この魔女めっ!!」
不良「て、てめえいっぺん敗北してるんだろうが!!
なに意味もなく復活してんだよこの再生怪人軍団があっ!!」
不良達は自分達の士気を鼓舞しようと気勢を上げるが、イデアの様相に変化はない。
フシュウウウウウウゥゥゥゥ・・・・・
といった感じで恐怖のオーラを振りまきつつ、腰の引けたSEED達をねめまわしいる。
するとついに一人の勇気あるSEEDが、剣を振り上げ、
不良「オラアアアアアアアアッ!!!!!」
イデアに突進した。
すると他の十数人のSEED達も手柄を取られてはたまらないと、一斉にイデアに襲いかかった。
その様子をみて落ちこぼれのリーダーは少し安心して、
「そ、そうそう。それでいいんだよっ!とにかくこっちは100人からのSEEDがいるんだ!
一つの国を滅ぼせるくらいの戦力だよ、これはぁっ!みんなで力を合わせれば大丈夫だっ!」
「し、しかし、大丈夫かな?イデアの奴、まったく動揺していないぞ?」
「大丈夫だ、捕まえることさえできれば・・・・・」
と言いかけた瞬間、イデアから放たれたいくつもの雷撃が向かっていったSEED達の頭上に
シュバタアアアアアァァァンッッッッ!!
シュバタアアアアアァァァンッッッッ!!!
不良「うげあああああああっっ!!!!」
不良「うおおおおおおおぉぉぉぉっっ!!!」
一撃で次々に倒されていくSEED達。イデアに近づくことすらできないでいる。
向かっていったSEEDのうち、最初の一人だけがぽつねんと残され、彼は自暴自棄になって、
不良「ウワアァァァァァァァッッッ!!!!」
と突進をかける。そしてイデアの眼前まで近接すると剣を彼女に振り下ろした瞬間、
不良「ヒィアアアアァァァァァァッ!!!!」
イデアが放ったよくわからない何かの力でふっとばされ、海の向こうのはるかなたまで飛んで
いってしまう。静まり返る一同。
「や、やべえよっ!!な、なんだよいまの!!」
「一瞬でSEEDどもが20人も・・・・・!!!む、無理だああ、かなうはずがねえ!!」
弱気な落ちこぼれ。落ちこぼれのリーダーは絶望に怯えながらも大声で、
「次々行けっ!!!か、金が欲しくねえのか!!お前らあ!!一撃を加えれば勝てるっ!!
あの細身の女だっ!!あんなかっこうして俺達をビビらしているだけだ!!いけえっ!!」
不良化しているとはいえ、SEED達は厳しい訓練を積み、腕には自信がある。
恐怖を克服する方法も知っている。相手が恐ろしい存在だとは感じながらもさらに他の
SEED達は勇気を振り絞ってイデアに向かっていく。
イデアのほうは相変わらず体をゆったりと妙な感じに動かせながら手を前にのばすと指を立て、
強力な魔法を繰り出そうとしてくる。
「罪を・・・死で償うがよい・・・・・。金に目のくらんだ愚か者どもが・・・・消滅せよ。」
するとイデアから誰も見たことのないようなエネルギーがSEED達に
シュバタアアアアアアンッ!!!
ドガラチャアアアアアアンッ!!
次々に倒れていくSEED達だった。
落ちこぼれの面々は見る見るうちに減っていく戦力に身を震わせていた。
「や、やばいっ!!これはマジでやばいっ!!もう50人くらいやられてるっ!」
「イデアは傷一つ負ってねえぞ!!あいつがこ、これほどだったとはあ!!」
「い、今すぐ逃げようぜ!!今ならあいつらがやられているうちに逃げられる!」
だが、落ちこぼれのリーダーは息を荒くし、体を震わせながらも、
「ま、まだだ・・・・。まだいくつか切り札があるっ!」
「切り札あ?な、なんだよそれは?」
と落ちこぼれの一人が尋ねると、彼らの後ろの方から、
「おハロー!!待たせてごめんねー!!」
と場違いな間の抜けた声がしてきた!!まさしく切り札の一人リノアであった。
落ちこぼれのリーダーはハッと後ろを振り返って、
「お、遅いじゃねえかよっ!!な、なにやってたんだよっ!!!」
と月300万ギルという契約金で自分の女にしたリノアにつばを飛ばした。
リノアはたくさんのお金を手にしてすっかり高級娼婦気取りだ。
バラムガーデンの生徒、それも特に弱々しい女子生徒を選んで自分の乗る
ミコシを担がせ、そしてそのミコシには風雨に耐えられる天幕、そして豪華な調度品、
食べ物、でっかいウチワでリノアを仰がされている二人の黒人の生徒が乗っている。
いくら傭兵学校のバラムガーデンの生徒だとはいえ、これほど重いものを徒歩で担がされてきた
女子生徒4人はハァハァと息を切らせ、自分の置かれた状況が信じられないでいる。
だがリノアはお構いない、目の前に置いてある南国のフルーツを食べながら、
リノア「ごめんねー!!こいつらの歩みがカメより遅くってさあ!!」
とミコシをゆさゆさと揺らす。衝撃をまともにくらって泡を吹く女子生徒達。
落ちこぼれのリーダーは呆れながらも、
「て、てめえメチャクチャしてんじゃねえよっ!ミコシ担がせるならもっと数揃えてこいよ!
そいつらもうぶっ倒れそうだぞ!!」
リノアはあっけらかんと、
リノア「いやいやー、あたしもそう思ったんすよー。でもねー、途中で半分ぶっ倒れちゃったのー!」
と陽気に笑う。そうこうしている間にもSEED達は倒されまくり、残り30人位になっている。
しかも戦況にまったく変化はない。このままでは全滅は必至だ。
慌てた落ちこぼれのリーダーは大声で、
「そ、そんなことはどうでもいいっ!!み、見ろ!!この状況を!!」
と死屍累々たる戦闘の有様をリノアに指し示す。
リノア「あらら・・・。やられまくってるね・・・。」
「そうだよっ!イデア一人にやられてんだよっ!!このままじゃ全滅だあっ!」
リノア「あっ、あいつ、イデアだ!あたしあいつ嫌いなんだ〜!捕まったことあるし。
それにスコールやキスティとは知り合いのくせあたしは全然知らないから結構むかついていたし。」
「なら、あいつを倒せ!ぶっ倒せ、リノアっ!!」
リノア「それは無理でしょう。あたし一人じゃ。」
ミコシの上からフルーツをかじりかじり、屈託のない笑顔を見せるリノア。
落ちこぼれはその様子にイラツキながらも、
「別に戦えって言ってんじゃねえよっ!!あいつを油断させて魔女の力を継承するんだっ!
お前があいつから継承すれば、あいつは能なしになるっ!」
リノア「なるほどねえ。でも危険だなあ〜!」
「やれっ!イデアもお前相手ならきっと油断する。あいつの手を握るだけでいいんだっ!」
リノア「これだから素人は・・・・。そんな簡単なものじゃないんだけどね。
まあいいよ。やってあげる。あたしもこの生活を失いたくないしね。
じゃあ、行くよ、みんな、進め!進め!!」
とミコシ担ぎの女子生徒をうながしてイデアの方にゆっくりと進ませるリノア。
それを後ろから落ちこぼれ達は不安そうに見守りながら、
「バカッ!ミコシから降りて行けよ!あからさまに怪しいじゃねえかっ!」
「あ、あんなやつに任せて大丈夫なのかあ???」
「わからんが、うまくいけばイデアを無力化できる。頼むぞ、リノアよっ!」
ミコシに乗ってゆっくりとイデアに近づくリノア。
彼女に気付いて少し後ろに下がる不良SEED達。息をのむ落ちこぼれ。
イデアはリノアに気付いているのか、気付いていないのかまったくわからない。
あくまでも虚ろな目で宙をにらみ、体からオーラを発散させ続けている。
だが、リノアを攻撃する様子は今のところ見えない。リノアはミコシの上から、
リノア「こんにちわ、イデアのおばさんっ!」
イデアはリノアに視線を向けはしたが、答えないでいる。
リノア「無視しないでよ〜!え、えと、えと、ママ先生だっけ?」
沈黙するイデア。リノアはミコシがイデアに近接しすぎたのを見て、担いでいる女子生徒達に
リノア「ば、バカっ!!ち、近づきすぎてるだろっ!離れろっ!ちょっと離れろっ!」
だが意識朦朧としている女子生徒達はその声が聞こえない。
女「ハァハァハァハァハァハァハァ・・・・・・」
女「フゥフゥフゥフゥフゥフゥ・・・・・・」
ぼんやりした頭でイデアに近づいていく。
リノア「ちょ、ちょっとストップッ!止まれっ!!降りるからっ!降りるからっ!」
慌てて叫んでミコシをゆらすリノアだったが、女子生徒達の耳には入らない。
ついに先頭の一人がイデアにぶつかってしまう。
するとそれまで沈黙していたイデアだったが、
イデア「はぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ・・・・・・・!!!!」
とオーラを充満させ、突然反応し始めた。指先にエネルギーを集めているようだ。
それでやっと我を取り戻す女子生徒。その上でリノアが、
リノア「コ、コラァッ!さ、さがれえ!!ぶ、ぶつかってるって、イデアとお!!
ホ、ホラ、下がれ、下がるのよお!!」
女「・・・・・・は?」
と意識を回復させた女子生徒が眼前のイデアの顔に目を移した瞬間、
ズガアアアアアアアアンッッッッ!!!!!
雷撃がミコシに命中する。遙か彼方にふっとばされるリノア達。
一連の状況を見つめていた落ちこぼれ達は唇をかみしめて、
「く、な、なにやってんだよっ!あのアホ女っ!!無意味な奴めっ!!」
「や、やばいぞっ!!ま、またイデアがSEEDを蹴散らし始めたぞおっ!」
その時向こうの方から一人のSEEDが大声で、
不良「おおいっ!!捕まえたぞっ!シドの野郎を捕まえたぞっ!」
それを聞いた落ちこぼれ達は顔を輝かして、
「でかしたっ!!でかしたぞっ!!!」
「よ、よしっ!これでイデアは手も足も出せねえっ!!」
「泣かしてやるっ!ヒィヒィ泣かして・・・・」
と言った瞬間、その声がした方角にカミナリが
ズガアアアアアアアアァァァァンンッッッッ!!!!!
不良「ギャアアアアアアアアァァァァ!!!!」
それから弱々しい声で
「ウウウウウウゥゥゥゥゥッ・・・・・!」
顔面蒼白となった落ちこぼれ達は顔を見合わせて、
「い、いまの、シ、シドの声じゃなかったか?」
「や、やりやがった!こ、こいつシドをやりやがったっ!!」
「ひ、人質もきかねえっ!こ、こいつ正真正銘の魔女だっ!!」
落ちこぼれ達が戦場に目を移すと最後のSEEDがイデアが放った雷撃によって
脳天を撃ち抜かれているところであった。ガクガクと足を震わせる落ちこぼれ達。
「ひっ!ぜ、全滅したっ!!全滅してしまったぁ!!」
「も、もう駄目だ、こ、こっちへ来るっ!!イデアがこっちへ来るぅ!!」
「だ、だから言ったんだっ!!こいつには手を出しちゃいけなかったんだっ!!」
イデアがフワフワと浮かびながら落ちこぼれの方に向かってくる。
彼女は暗黒の瘴気を発散させながら、恐怖を振りまき、ゆっくりと向かってくる。
もう落ちこぼれ達は恐ろしさで気が狂ってしまいそうだった。
足を震わせながら、情けなく三人抱きつき合いながらあとずさる三人。
イデアとの距離はもう10メートルもない。
「も、もうだめだあああぁぁぁぁっ!」
落ちこぼれのリーダーがそう情けない声を上げた瞬間、彼の足下のほうから、
「う・・・・・うぅうううううう・・・・・・・」
と誰かがうめく声が聞こえた。ハッとそちらの方を向く落ちこぼれのリーダー。
見るとそれはセルフィだ。イデアに脳天を撃ち抜かれたはずのセルフィがまだ生きていた。
(そ、そうかっ・・・・・!イ、イデアのやつ、手加減してやがったな・・・・・!
よ、よしっ!!!)
落ちこぼれはバッとセルフィを抱きかかえると、セルフィの大きな胸を再びわしづかみにし、
意識朦朧としている彼女の耳元で大声で叫んだ!
「コラアァァァッッ、セルフィィィィッッ!!!よく聞けえええええいっっ!!
いますぐジエンドを発動させろっ!!発動させるんだっ!!早くしろおおっっっ!!!」
そう言って渾身の力を込めてその胸を握りつぶそうとする。
セルフィはぼんやりしていたところにいきなり激痛に襲われて、ヒィッと声を上げたかと思うと、
セルフィ「ジエンド!!!!」
発動させちゃいました。
すると天がパッと開け、何条もの聖なる光がイデアのもとに舞い降りてくる。
イデアがその天に目を向けた瞬間、パアアアッッと彼女の体が光に包まれる。
イデア「グアアアアアアアアアアァァァァァァァッッッ!!!!!!!」
物凄い悲鳴であった。落ちこぼれ達が息をのんで見守る中、イデアは絶叫している。
イデア「ギヤアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!!」
イデアの眼前に美しい花畑の幻影が現れる。同時に物凄い衝撃が彼女を襲う。
イデアは5分ほど、断末魔の叫びを上げ続けた。
落ちこぼれ達は声も出せないでその間、ずっとイデアを見つめている。
しばらくののち、イデアの叫び声が段々と小さくなっていく。
そしてついに沈黙。バタリとその場に身を倒すイデア。
彼女は徐々に遠のく意識の中で、
イデア(ご・・・・ごめんなさい・・・・・あなた・・・・・。あたし・・・・学園を・・・・救えなかった・・・・・・)
完全に意識を失うイデア。
一方、落ちこぼれ達は事態がよく飲み込めなかった。
魔女イデアが倒れた?どういうことだ?
これをもくろんだリーダーですらそう思ったほどである。
それほどまでに先ほどまでのイデアは圧倒的に強く、恐ろしげで、落ちこぼれ達は死を
覚悟すると同時に自分達を虫けらのように思わされた。
力尽きて倒れ込んでいるイデアを目の当たりにしてもまだ全然信じられない。
しばらくは近づけないでいる。
やがてリーダーは再び気絶しているセルフィをぽいっと投げ捨て、ジリジリとイデアに近づく。
そのうしろから付いていく仲間の二人。
ちょん、ちょん。
リーダーが足でイデアの頭を軽くこつく。イデアは目を覚ます様子はない。
次は手でイデアの体を揺すってみる。完全に失神している。
しばらく三人は黙ってじっとイデアを見下ろしていたが、リーダーの口元から息がもれる。
「ふはっ、ふははっ」
彼の表情には邪悪な笑みが戻りつつある。仲間の二人も同様である。
「ふひっ、ふひっ、ふひひひひひひひひっ!!イ、イデアがっ!!イデアが気絶したっ!!」
「くけっ!シシシシシシシっ!俺達の前で魔女イデアが無様にぶっ倒れているっ!!」
「にははははははははっ!!!!や、やったぞっ!!!お、俺達の勝ちだあっ!!!!」
完全に勝ち誇る三人の落ちこぼれ。
「ギハッ!!ギハハハハハハッ!!約束通りっ!!!泣かせてやるっ!!
拷問にかけてっ!イジメ狂わせてやるっ!!!フィ、フィナーレにふさわしいっ!!
す、すばらしく惨めな拷問でなあああっっっ!!!」
「よ、よし!!こ、拘束しろっ!!こいつが意識を回復する前にオダインブランドの
魔女拘束器でこいつを拘束するのだあああっっっ!!!!」
大逆転に大喜びの落ちこぼれ。最後の戦いに向けて彼らはイデアをバラムへ運んだ。
そう、彼らの聖典、『世界拷問大全』が待つバラムへと。
バラムガーデン中庭。
深夜0時。
そこにはたくさんの不良SEED達が集結している。
勿論、皆、魔女イデアによって瀕死にまで追いつめられた者達だ。
ギプスをしている者、包帯でグルグル巻きの者、点滴を受けながらの者。
みんな重傷を負ってはいるが、誰一人死んではいない。
そうなのだ。イデアは自分達の学園の生徒、我が子とみなしている子達を殺すことはしなかった。
セルフィだけでなく、自分を殺そうとしたにもかかわらず、全員を生かしていたのだ。
だが、彼らはまったくそのことを恩に感じている様子はない。
口々に怨嗟の声を口にする。
不良「この傷、見ろよ。イデアにやられたよ。多分一生傷だよ、これは。」
不良「俺もだ。2ヶ月の重傷だってよ。くそっ!!」
不良「まあ、イデアが捕まったっていうから思う存分恨みを晴らしてやるけどよ。」
不良「まさか、あの三人がイデアを捕まえるとはなあ。信じられんぜ。で、イデアはどこなの?」
不良「もうすぐここに連れてこられるってよ。おっ、来た、来たみたいだぜ!」
その不良が指さした方向から、何か大きなものが中庭の方にゆっくりとやってくる。
それは、まさしく魔女!!魔女拘束器によって厳重に固定された魔女イデアの姿だった。
不良「おおおおっっっ!!!!」
魔女を目の当たりにして一斉に声を上げる不良達。
イデアはその十字架型の拘束器に固定されたまま、中庭の中央にまで引っ張って来られた。
彼女はライトアップされていた。
完全に意識を失ってはいるが、その恐ろしげな冠、黒いロングドレス、黒いマント、
背中の変なもの、そして奇妙な化粧はまさしく魔女イデア本人であることを指し示していた。
そんな恰好の奴は世界に二人といない。一斉に罵倒の声を浴びせるSEED達。
不良「ま、魔女めえっ!!!火あぶりにしろぉっ!!!」
不良「魔女を殺せえっ!!八つ裂きにしろおっ!!」
目の色を変える不良達だったが、その時、闇の彼方から、
「ふふふふふふ。君達は素人だねえ。殺す?とんでもない!そんなもったいないこと!!」
そう言って姿を現したのはまさしく、三人の落ちこぼれ達だった。
にやにやと下卑た笑いとともに現れた三人はまさしくヒーローだった。
彼らに称賛の拍手が集まる。それを気持ちよさそうに浴びていた彼らだったが、やがて不良達に向かって、
「みなさん、こいつを今殺したいとか言っておられましたねえ!!」
不良「そうだよっ!!ぶっ殺せ!!ぶっ殺してくれっ!!」
一人のSEEDがそれに答える。落ちこぼれはそちらの方を向いて、
「それもいいことだよ。だがな。お前はこいつを殺した位で気が晴れるのかい?」
不良「な、なんだって?」
「ほほほほ。俺はダメだね。そんなことでは。俺はこいつを泣かせてやりたいね!
泣かせて命乞いさせてみたいね!命乞いをさせて俺達に媚びさせてやりたいねっ!!」
静まり返る不良達。やがてその中の一人が、
不良「だ、だけど、そ、そんなことができるのか?」
落ちこぼれのリーダーはにやりと笑って、ふところから出した本を指し示して、
「これだあっ!!この『拷問大全』に従って、この魔女イデア!!
恐怖の象徴魔女イデアを拷問にかけてやるのだあっ!!泣くっ!!絶対に泣くッ!!」
そして落ちこぼれの一人に合図した。
「おいっ!!あいつらを連れてこいっ!!」
リーダーの指示に従って落ちこぼれが闇の向こうに姿を消し、やがてイデアと同じように
拘束された二人の女を連れて戻ってきた。
それは裸にひんむかれたキスティスとセルフィであった。
キスティスはすでに発狂しており、ワケの分からないことを叫んでいる。
セルフィはただ泣きじゃくっているだけだ。
二人の入場で不良達はどよめきたつ。
不良「おおっ!キスティスとセルフィだぜ!はだかにひんむかれてやがるっ!」
不良「俺、キスティスのファンクラブに入っていたんだよなあ。でももう全然興奮しないや。」
不良「そりゃ、あのザマじゃな。よだれ垂らしまくってるただのバカだもん。
それよりセルフィはどうよ?結構胸でかいぞ。」
などと下卑た話題で盛り上がっている。
その間に落ちこぼれ達はツカツカとその二人のところに歩み寄って、
「ひひっ、どうだよ。丸裸にされて、野獣どもの真ん中に放り出された気分は?」
「お前達のママ先生もあのザマだ。もう終わりだな、お前らも。」
「キスティス、ローレンツは元気か?ヒヒッ!」
しかしキスティスは完全に狂っているため、まったく相手にならない。
落ちこぼれはチッと舌打ちをして正常なセルフィの方に、
「おおっ!セルフィちゃん!!お前のおかげでママ先生を捕まえることができたよ!ありがとね!」
セルフィはそのまま泣きじゃくっている。落ちこぼれは声を荒げて一歩下がり、
「お前達みたいな、どうしようもないカスが存在しているのはあのママ先生のせいだよ。
あいつがお前らを育てたんだろ?つまりお前らの罪はあの魔女の罪だ。
お前らの分もイデアをいたぶってやるからそこでよく見てろ!」
そう言って落ちこぼれ達は今度はイデアの方へ向かった。
そしてリーダーは気を失っているイデアの腹に思いっきり足蹴りを食らわした。
バコッッッッ!!!
突然のことに静まり返る一同。そしてついにイデアがパチリと目を覚ました。
彼女の眼は相変わらず物凄い眼光を放っている。
目覚めたイデアの恐ろしさはまったく衰えていない。だが、落ちこぼれのリーダーは
「ギャハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
大声を上げる落ちこぼれのリーダー。
「ギハハハッ!!そんなににらんだってもう怖くねえよっ!!動けねえんだろうがっ!!」
イデアは体をゆっくりと動かそうとしているがやはり力は封印されている。動けない。
ただ弱った恐怖のオーラだけが、その体から舞い上がっている。
「どうよっ!このクソ魔女っ!!頭に変な冠かぶりやがってっ!ヤギかお前はっ!!」
とイデアを罵倒し続けるリーダーだったが、イデアの様子は全く変わらない。
イデア「はあああぁぁぁぁぁぁああああああ・・・・・・」
といかにも恐ろしげにうめいている。それを見て落ちこぼれの一人が不安そうに、
「や、やめといたほうがいいぞ、これは。あいつまさに魔王だぞ?この世のものじゃねえよ。
こんなもん、泣くとか屈するとかいう次元じゃねえよ。普通に処刑しようぜ。
なにもわざわざ、こんなやつやらなくても・・・セルフィくらいでいいじゃん・・・」
落ちこぼれは彼の方を向いて、
「バカッ!!ヘタレのセルフィなんかいじめてもおもしろかよっ!
ヒヒッ、こいつだよっ、こいつをやってやるんだよっ!俺も想像できないよ、こいつの泣き顔なんか。
見ろよ、この悪魔のような顔。まさに地獄の使者って感じだ。だがな、これ、この拷問大全さえあれば
大丈夫なんだよっ!!こいつの言うとおりにやってれば、この魔女の恐怖の仮面が剥がれ、
その弱々しい本性が現れるんだよっ!!おいっ!例のものを用意しろっ!!」
彼の合図とともに数人のSEEDがフウフウいいながら透明のガラス張りの大きな部屋を運んできた。
【拷問開始前】
落ちこぼれはガラス張りの部屋が中央まで運ばれるのを確認するとイデアに向かって、
「ヒヒヒ。どうだよ、ママ先生よお。見ろよ、あの部屋。これからな、あそこにお前ほおりこむ!
そして色々拷問してやるよ。お前のかわいい子供達の前でなあ!!」
そう言ってセルフィとキスティスをちらりとみやる。だがイデアに変化はない。
落ちこぼれはSEEDに目配せすると、その不良SEED達は数人がかりでイデアを
拘束器にとりつけたまま、なんとかその部屋の前まで連れてくる。落ちこぼれはうなずいて、
「入れろ。」
イデアは入れられてしまった。
ガラス張りの部屋に放り込まれるイデア。それを遠巻きに眺めるSEED達。
不安げなセルフィ。狂っているキスティス。そして落ちこぼれの三人。
落ちこぼれのリーダーは拷問大全を片手に再び大声を上げる。
「よしっ!!!まずはっ!!イデアをひんむけっ!!まるはだかにしろっ!!
こいつから少しずつ恐ろしい魔女の仮面をはぎとっていくのだあっ!!!」
リーダーの合図で落ちこぼれの一人があるスイッチを押す。
すると部屋の床から数本のアームがにょきりと伸びてきて、イデアのマントをビリッ!
ロングドレスをビリリッ!!冠をむしり取ってしまう。
イデア「はぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁああ・・・・・・」
相変わらず不気味なうなり声を上げるイデア。
だが、服をむしり取って丸裸にしただけでイデアの恐ろしさは随分と減少していた。
その仰々しい装いから現れた体は単なる細身の女。別に体が鉄でできているわけでもなんでもない。
頭にツノが生えているわけでもない。ただの、弱々しい、色白の女なのだ。落ちこぼれは
「ひひっ、ざまあねえなあ、イデアよ!その姿でいくら吠えてもさまにならんぞ?」
「けけっ、見ろよ、あの胸をよお!だらしなく垂れ下がってるぞ。」
「ふひっ。そりゃそうだって。もう結構いい年よ?40近いんじゃないの?」
イデアの弱々しい裸を眼にすることで落ちこぼれ達にはいつもの調子が出てきた。
「マジ?40であのかっこうしてたの?なに考えてんだよ、お前はっ!!」
「大体、何が世界征服だよっ!そんなこと考えるのはいまどき小学生でもいないぞ!!
この電波女がっ!!」
大声で口々にはやし立てる。そうしているうち、落ちこぼれのリーダーが、
「さて、拷問を始めるか。」
「おう、今回の拷問はどんなの?年増いじめるんだから一番面白いやつにしようぜ。」
「分かってる。この「拷問大全」の中でも一番きついやつだ。
でもその内容はシンプルなもんだ。あいつの体をいたぶり倒してやるのよ。」
「体を?斬ったり刺したりするのか?でも、それは・・・・・」
「慌てるな。そうじゃねえよ。もっとファンキーで楽しいやつだよ。」
「どんな?」
「くすぐりの刑だ。」
「はあ?そ、そんなもんで?つ、つまらなそうだぞ、それは!!」
「まあそういうな。だがな、くすぐりってのはマジで各国の特殊機関が実際に使ってるんだぞ。
一瞬アホらしく思えるが、やられている奴はそれどころじゃねえよ。マジで気が狂うらしい。」
「ほんとかなあ。」
「ま、そのうち信じるようになる。少しずつ強度を上げていくからな。我慢できた最高時間は
1時間45分ジャストだ。それに考えて見ろよ、あの恐怖の魔女イデアにはピッタリの拷問だと
思わねえかよ。あの魔王がだよ、笑い狂うんだよ?みっともねえぞ、これは。」
「た、確かに・・・・・。ちょっと楽しみになってきた。」
「だろ?よし、行くぞ、レベル1からだ。スイッチを入れろ。」
ピコン。スイッチが入れられた。
【拷問開始】
落ちこぼれがスイッチを入れると同時にイデアが閉じ込められている部屋の床からニョキリと
アームが伸びてきて、イデアの体に触れる。
サワサワサワサワサワ・・・・・・
いやらしい感じだ。
サワサワサワサワ・・・・
だがイデアには何の変化もない。さっきと同じように悪魔のような形相で周りをにらみ、
不気味に吠え続けている。一方、見ている不良SEED達の方が呆れ顔だ。
不良「はあ?なにやってんの、あれ。あれが拷問かよ。」
不良「あんなもんでイデアが泣くわけねーだろうが。さっさと殺せよ。」
だが、落ちこぼれ達は別に何もこんなもんでイデアが屈するとは思っていない。
「よし、レベルを2にしろ。」
ピコン。レベルが上げられる。
だが、イデアの様子は全く変わらないでいる。
不良SEED達はざわめき始めている。だが、落ちこぼれのリーダーは静かに、
「レベルを3に上げろ。」
【5分経過 レベル3】
アームは先ほどより激しくイデアの体をくすぐり始めている。
だがイデアの様子にまったく変化はない。
ざわめくSEEDをちらりと見、落ちこぼれは不安そうだ。
「お、おい。大丈夫かよ。イデアのやつ全然変化がねえぞ。まったく感じてねえんじゃねえのか?」
「そ、それにSEEDの奴らも騒ぎ始めてるし・・・。このままじゃあいつら暴れるぞ。」
「ほっとけ。この程度でイデアが音を上げるとは俺も思ってねえよ。」
「だけどよお・・・あれは人間に対しての拷問だろ?イデアはまさに悪魔だぜ?」
「違う。奴も人間だ。絶対に音を上げる。まだレベル3じゃねえか。そろそろ4に上げろよ。」
「・・・・で、そのレベルは最高いくらなんだよ?」
「40だ。でもま、そこまでいくことはないだろうな。どんな奴でも30くらいで降参する。」
「だけど、40にしても何も変化がなかったら・・・・・・」
「うるせえな。『拷問大全』を信じろ。さっさと4に上げろよ。」
「分かったよ・・・・」
レベルが上げられる。だが、イデアはまったく変わらない。悪魔のようにうなり続けている。
その後も5,6,7とレベルが上げられ、ついに15まで上げられたが、変化は無かった
ついにSEED達が騒ぎ始めた。
【15分経過 レベル15】
コチョコチョコチョ・・・・
いくらアームがイデアの体をくすぐっても彼女の様子にまったく変化は見られない。
その様子を見れば、拷問している落ちこぼれ達の方がアホみたいに見えた。
怒号する不良SEED達。
不良「オイコラァッ!なにやってんだあああぁっっ!!」
不良「あそんでんじゃねえぞぉぉぉっ!!くだらねえことはやめてさっさと処刑しろぉ!」
不良「それとも、俺達がやってやっかああ!!」
怯える落ちこぼれ。
「ま、まずいぞ、あいつらが怒り始めてるぞ。も、もうやめようぜ。」
「黙れ。さっさとレベルを上げろ。」
「意味ないって。」
「・・・・・・上げろ。」
うながされてしぶしぶスイッチを16に上げる落ちこぼれ。だが効果はない。
「ほら、全然ダメだよ。あきらめようぜ・・・・・」
と言った瞬間、イデアの表情がピクッと動いたのをリーダーは見逃さなかった。
だが、すぐに表情は元に戻る。リーダーは、
「見たかよ、今の。」
「え?」
「・・・・まあいいや。とりあえず、そうだな、今度はいっきに20まで上げろ。」
「まだやんのかよ。」
「大丈夫だ。今度でまったく変化がなかったらやめてもいいよ。」
「そうか。じゃ、上げるぜ。」
ピコン。レベルが20まで上げられた。
【20分経過 レベル20】
レベルが上がると同時にさらにアームがイデアの体をくすぐりまくる。
わき、顔、あご、お腹、胸、足、陰部、そのすべてをアームが更に激しくくすぐり始めた。
イデア「ううっ・・・・・・」
イデアが始めて機械に反応した。すごく小さな声だ。
だが、その声は恐怖の魔女イデアのものではない。女の、か弱い女の声だった。
そして落ちこぼれ全員がその声を耳にした。
「フヘヘヘヘヘヘヘ。ついに声を出しやがったな。」
「マ、マジか。き、効いたのかよ。」
「だから言っただろ。だけどまだ耐えているみたいだな。かなり辛そうだが。」
イデアはさらに声を上げた。
イデア「ううっ・・・・・ううううっ・・・・・・・・!」
「ひひっ。また声を上げたぞ!顔もかなり歪ましているなあ。」
「さて、ここらでちょっと声をかけてみましょうか。おい、イデアぁッ!!」
イデアがギロリと落ちこぼれ達を睨む。
「ほほっ。こわいこわい。どうよ、気分は?」
イデア「くぁぁぁぁぁぁぁあああああああ・・・・・・・」
今度は悪魔のうなり声だ。
「へっ、頑張っちゃって。せいぜい吠えてろよ、おい、レベルを21にしろ。」
「おうっ。」
レベルが上げられた。
23 :
名無しさん@LV2001:2001/03/08(木) 00:05
【25分経過 レベル21】
イデア「うぐっ!!ああああああっ・・・・・!!!」
今度は少し大きい声を上げた。かなり効いているのが分かる。
アームが彼女の弱点をくすぐるたびにイデアは苦悶の表情を浮かべた。落ちこぼれはにやにやと
「おいっ!!そろそろ何とか言ったらどうだ?まだまだレベルは上げられるんだぞ?」
イデアはその落ちこぼれの方を再びギロリと見たかと思うと、
イデア「はぁぁぁあぁああああぁ・・・ブタ共がぁあああ・・・・」
「ほわっ。こえーなこいつ。ブタ共だってよ。」
「まさに魔王のセリフだな。どこで覚えたんだろ、こーいうの。」
「そりゃ、なんかの本だろ。漫画とかによくあんじゃん。」
大喜びだ。そして、大声を上げて、
「けっ、いい加減本性を現せよ、ヴォケッ!!
テメエが実は弱々しい人間の女だってことはセルフィが生きていた時点で分かってんだよっ!
さっさと命乞いしろよ、そうやっていきがっても、苦しいだけだぞ。」
イデアは時々、
イデア「ウッ・・・・ウウッ・・・・・」
と声を上げながらも、落ちこぼれ達に向かって
イデア「許さぬ・・・・・許さぬぞぉ・・・・・・・下等な人間の分際で・・・・・八つ裂きにしてくれる・・・・・・」
「今度は下等だと来たよ」
「けっ。ありきたりだなあ。ありきたりな魔王のセリフだよ。くだらねえ。レベル1コ上げてやれよ。」
リーダーにうながされてレベルが上げられる。
【30分経過 レベル22】
イデアに対するくすぐりの激しさが増す。
遠巻きにしてみているSEED達もイデアの様子の変化に気付き、騒ぐのを止めている。
イデアの息が少しずつ荒くなってきた。額に汗もにじみはじめた。落ちこぼれは、
「おうい!ママ先生さんよ!汗でメイクが流れていますよお!!ケケケッ!」
「ったくなんて化粧してんだよ、このオバハンは。そりゃ特殊メイクだぜ。
自分でやったのかよ、それともシドにやってもらったのかよ。アホじゃねえか?」
「まあ、こいつこういうのが好きなんだろう。それでわざわざ黒いドレスとか新調したりしてさ。」
「あれもこいつが自分でこしらえたんだろうな。夜なべとかしてよ。あの冠も手製。」
「ケケッ。だろうな。どこにも売ってねえもんな、ああいうの。貧乏くせえな、こいつ。」
とかなんとか落ちこぼれは大はしゃぎだが、イデアはかなり苦しそうになってきた。
イデア「ううっ・・・・うううっ・・・・・・」
ともう悪魔のうなり声も出せずにひたすら耐えている。
「ケケッ。頑張ってますなあ。魔女イデアさん。やっぱり魔王のプライドって奴ですかあ?」
「うむうむ。メイクが全部流れちゃっても、こいつは魔王のつもりだからな。
よし、レベルをもう1個あげてみよう。」
落ちこぼれがそう言った瞬間、イデアが悪魔の声に戻って、
イデア「ふはぁぁぁぁああ・・・・・やめぬかあ・・・・・・やめないかあぁぁぁぁぁ・・・・」
にやりと笑う落ちこぼれ。
「ああ!?魔王が俺達に頼み事ですかあ?なんでしょうか?伝説の勇者でも倒してこいっての?」
「ぎゃははは!じゃあ、あれくれよ、魔王のつるぎと悪魔のよろいをよお!!ぎはははっ!!」
イデアは苦しげに顔をひきつらせて女の声に戻って、
イデア「うっ・・・・うあああああっ・・・・・・・いああああっ・・・・・・・」
魔王バージョンの時とのギャップがすごかった。
【35分経過 レベル23】
ピコン。レベルがまた1コ上げられた。
イデア「いいいいいいっっ!!うあっ!うああああああっ!!!」
段々その声が激しくなってくる。落ちこぼれはスキップを踏みながら、
「おほほほっ。かわいい声だねえ、魔女イデアちゃん。さっきと全然違うじゃん。」
「でも40。ギャハハハハハッ」
「40にもなって声色使って魔王気取りか。どうしよもうない人生だね。
じゃ、レベルを上げて。次々行こうよ。」
するとイデアは、
イデア「いいいいっっ!!や、やめろおっ!!やめるのだっっ!!」
その声はもう悪魔の声ではなかった。まさに女の、女の声である。落ちこぼれは、
「ふん。もう声色も使えなくなったかよ。でも上げるぞ。」
イデア「ううっ!!と、とめろっ!!早くとめないかあっ!!」
「それなら、俺達に謝るか?」
イデア「ううっ・・・・・うううっ・・・・・・・」
「ならいいわ。いっとくけど謝るまでレベル上げ続けるからよ。こっからが地獄よ。」
イデア「や、やめるのだあああっ!!くだらぬことはやめろおおぉぉぉぉっ!!」
ピコン。レベルが上げられる。
【40分経過 レベル24】
イデア「ひいいいいいぃぃぃぃっ!!うはあああっっっ!!!」
アームはイデアの体をいたぶり回す。悲痛の声もかなりかわいいものに変わってきた。
その恐ろしげな化粧もダラダラと流れる汗によってかなり落ちてしまっている。落ちこぼれは、
「あらら。化粧が落ちてるね。黒い汗が流れてるぜ。」
「オラ、謝る気になったかよ。」
イデア「ううっ!!あああああっっ!!だ、誰がっ!!誰が貴様等なんぞにぃっ!!」
「おお、さすが魔王だよ。そうだよな。いくらメイクが流れても魔王だもんな。」
「じゃ、レベル上げますか。まだまだ先は長いから。」
と言ってスイッチに手をかけようとした瞬間、イデアが
イデア「ま、待てっ!!」
動きを止めて振り返る落ちこぼれ。
「なんだよ?謝るのか?」
イデア「ううっ・・・・・ううううううっ・・・・・・・!」
と我慢している。落ちこぼれは顔を輝かして、
「おおっ!!いつもならここでごめんなさいっていうパターンなのに!!
さすがだよ、魔女イデアはっ!!魔王の貫禄ってやつかああ?じゃ、上げるよ?」
イデア「うぎぃっっ!!ひっひいぃぃっ!!!ま、待てええっ!!」
ピコン。またレベルが上げられた。
【45分経過 レベル25】
落ちこぼれはホントいい顔して楽しんでいる。
「ほほっ。イデアちゃん、苦しそうだね。あっ、ゴメン、イデアちゃんて呼んでいい?」
と、にやにやとイデアに顔を近づける。だが魔女イデアはそれどころではない。
イデア「ふぐあぁぁあぁぁっっ!!ひいっっ!ひいいいっっ!!」
と大騒ぎだ。だが落ちこぼれはそれに構わず、
「なあ、言ってくれよ、イデアちゃんて呼んでいいですかあ?答えねえとレベル上げるぞ?」
イデアはたまらず、
イデア「ひぃっ、か、か、勝手にしろぉぉぉっっっ!!」
「バカ、誰が呼ぶかよ。40のオバハンのくせに何がイデアちゃんだよ、ヴォケ。」
イデア「ひあっ!だ、だれも!!ひいっ、そんなことあはっ!!」
「うるせえなあ。オバハン。それにまだその態度。いい加減むかついてきたわ。
おい、いっきに3コレベル上げてやれ。もうチンタラするのイヤになってきた。」
イデアは体をビクッと震わせ、
イデア「や、やめろっ!!くうっ!やめてくれっ!!」
「なら謝るか?」
イデア「ううっっ・・・・・・」
「ああっ!!なんだよ、こいつはぁ!!!いいから28まで上げろ!!
いつまでもこんなオバハン相手にしたくねえよっ!!!」
イデア「ま、待てッ!!待ってくれっ!!」
「・・・・・・・上げろ。」
ピコン。レベルが3個も上げられる。
イデア「ひぁぁぁぁぁぁぁぁあっっっ!!!!!」
【50分経過 レベル28】
イデア「ひゃああああああああぁぁぁぁっ!!いはっ!ひいっ!!ひいっ!!!」
涙こそ流していないが、イデアはえらいことになっていた。だが落ちこぼれは構わずに
「段々最高記録の30に近づいてきたね。さすがイデアだよ。記録塗り替えますな。
さて、上げてちょ。」
と落ちこぼれの一人がスイッチに手をかけた瞬間、
イデア「待って!!!待って!!!!」
「なに?」
イデア「レ、レベルをあ、上げないでっ!!」
「あら?口調が変わったね。メイクも落ちちゃったし、魔王の貫禄がないぞ、それじゃ。」
イデア「ひいっ!!ふああっ、レ、レベルを上げるな!!」
「元に戻さなくて良いんだよ、ヴォケッ!で、なんなんだよ、謝るのか?」
イデアはさすがに耐えかねたのかウンウンとうなずいている。
やったあ!!と顔を輝かせる落ちこぼれ。
「ほう。お前がねえ。セルフィとかキスティスも見てるけど、いいの?」
イデアはウンウンとうなずいている。
「なるほどね。魔王も50分で音を上げる、と。じゃ、謝ってよ。」
イデア「・・・・・・うっ・・・ううっ・・・・・・」
「・・・・・たく、こいつは何なんだよ、上げろ、レベル。」
イデア「・・・ま、待って!!!ご、ご、ご、ご、ご」
「上げろ、レベルを。」
イデア「ごめんなさいぃぃぃぃ!!!」
すると落ちこぼれは後ろを振り返って息をのんで見ていたSEED達に、
「おうい!!イデアが謝ったぞおおおっっ!!!!」
SEED達は大喜びだ。
「なんだよ、あのザマはよ。ごめんなさいぃ、だってよ。」
「40女が黄色い声上げてよがるんじゃねえっての!気色悪いっ!」
落ちこぼれは更に続けて、
「どうするよおおお!!!イデアを許してやるかああああ!??」
【55分経過 レベル28】
不良「誰が許すかよおおおおおお!!!」
不良「そんなもんじゃだめだああああああ!!」
口々に叫ぶ不良SEED達。落ちこぼれはくるっと振り返ってイデアに、
「ダメだってさ。つうわけでレベル上げるぜ。」
とスイッチに手をかける。
イデア「や、やめてっ!!やめろっ!!やめてえええっ!!」
「ダメ。」
ピコン。レベルが上げられる。
イデア「いああッ!!エァァァァアッ!イヒィッ!!」
涙を流し始めている。落ちこぼれは容赦なく、
「泣いたか。魔王の目にも涙、と。さて、30いってみましょうかね。」
イデアはその声に激しく反応して、
イデア「や、やめてっ!!お、お願いっ!!やめてえっ!!」
「お願い、ね。さっきまで殺すぞとかブタとか言ってた者の言葉とは思えんな。
ええ?さっきの威厳はどうなったんだよ。」
イデア「うぐぁっ!!それはああっ!!」
「答えろよ。レベル上げるぞ。」
イデア「い、いやっ!!それはいやっ!!さっきまでのはあっ!!」
「大分、従順になってきたなあ。どう答えるのだろう、この40女は。」
「けっ。だからワンパターンだって言われるんだよ。さっさと答えろよ、この夜なべ女!」
イデア「ううっ!!そ、それはっ!魔女っていうのはっ!!そ、そういうものだからああ!!」
「はっ。それは勝手にお前が作り上げたイメージだろうが。妄想しすぎなんだよ、テメーわ。」
イデア「ううっ!!!ゆ、許してっ!!これくらいでかんべんしてぇ!!!」
「勘弁しろってか。さすが40女だな。使う単語が違うよ。」
イデア「うひっ!うひいぃ!!そ、そんなにはいっていないぃぃぃ!!」
「あ?ならいくつだよ、お前は。」
イデア「さ、さんじゅう、さんじゅうろくう!!」
「大して変わらねえよ、ヴォケ。ま、お前くらいの年の女は結構気にするんだろうけどな。」
イデア「も、もう、もういいでしょ!!??と、とめてぇ!!早くとめてぇ!!!」
「ダメだ。口答えした罰として上げるぞ」
【1時間経過 レベル30】
もうイデアは限界に来ているようだった。髪を振り乱して絶叫を続けている。
眼からはダラダラと涙を流し、鼻水、さらにはヨダレまで垂らし始めていた。
呆気にとられてそれを見ているセルフィ。狂っているキスティス。
落ちこぼれは彼女達を指で指し示して、
「ほら、お前の醜態をあいつらが見ているぞ。お前らをママ先生と慕う奴らがな。」
イデアはそれどころではない。
イデア「ひいいっっ!!!た、助けてっ!!助けて下さいっ!!!
お、お願いですっ!!お願いですからっ!!」
「ちっ。またそのセリフかよ。聞き飽きたぜ。ワンパターンだなあ。」
とあくびをする。そして、
「お前さ、昔孤児院やってたんだって?海辺の家で。」
イデア「ふはっ!!は、はいぃ!!や、やってましたぁ!!」
「で、あの出来損ないどもを育てたわけだな。
けど、そうやってみっともなく命乞いするようなお前にそんな資格あるのかな?」
イデア「ひいっ!!そ、それはあああ!!!」
「見ろよ、あいつらを。キスティスはバカみたいに口開けて笑ってるし、セルフィなんかは
お前を裏切ったような奴だぜ?お前が育てたからあんなんになったんじゃないの?」
イデア「あああああああっ!!で、でもお!!捨てられてたからあ!!可哀想でえ!!」
「ああ、あれか。捨て犬を拾ってくるのと同じ感覚か。」
イデア「ひああっ!!そ、それはああっ!!!」
「そうなんだろ?お前、ブリーダーかなんかやってみようとしたんだろ?
それで育てて品評会かなんかに出そうとしたんだろ?」
めちゃくちゃな落ちこぼれであったが、イデアにはどうすることもできない。
大喜びの三人、そして不良SEED達。
だが、そんな彼らを物影から見つめる影があった。
それは、かつて学園長シドであった。
シド「イ・・・・・・イデア・・・・・・・・い、今、助けてやるぞ・・・・・・」
シドはある決意を胸にイジメられまくりの妻の姿を物影からじっと見ていた。
彼もイデアによる雷撃を受けた一人だが、勿論殺されてはいない。
弱っていた体に更にダメージは受けたものの、とらわれたイデアが心配でやってきたのだ。
シド「くう・・・・・・悪魔のような奴らだ・・・・・よくも・・・・・・・・」
シドがそうやって唇を噛んでいると、後ろから
「あれ?どうしたの?シドおじちゃん!」
と無邪気な声がした。エルオーネであった。
エルオーネも完全に狂ってしまっており、ハタチ近いというのに本当に魔法少女みたいな
ロリロリした恰好をしている。手にはさきっぽが星形の安っぽいステッキを持っている。
シド「エ、エルオーネ・・・・!ど、どうしてここに?」
エルオーネ「そんなことよりぃ、遊ぼうよう!」
まとわりついてくるエルオーネに、
シド「こ、こら!や、やめなさい!!コラ、服をつかむんじゃない!!」
とかやっているうちに、不良SEEDの一人に見つかってしまった。
シド「し、しまった!!!」
不良「おお?おお、誰かと思えばシドじゃねえかよ、こいよ、おい!!」
ズルズルと引っぱり出されてしまうシド。
引き出された彼を見て場は大盛り上がりだ。
不良「おお!!シドだぜ!!イデアのダンナだぜ!!」
不良「自分の妻があんな風にバカみたいに命乞いしているのをみて、どう思うかなあ!」
などとひどいことを言ったりしている。落ちこぼれ達もシドに気付いた。
落ちこぼれのリーダーはイデアはほったらかしにして、
「おほっ!ダンナ登場かよ!!お前の奥さんのイデアは、ほれ、この通り、泣いて命乞いしてるけど
お前は助けにでもきたのかよ?オラ、イデア、助けを求めろよ!」
イデアは涙や鼻水を流しながら、
イデア「ううううう・・・・・・あなたあああああ・・・・・ごめんなざいぃぃ・・・・・・・」
と非常に無様だ。あの勢いは一体どこへ行ったのだろうか。
シドはそんな妻の痴態にショックを受けながらも、落ちこぼれ達に
シド「・・・・・もう、お前達の愚行も終わりだ。」
と堂々と言い渡す。落ちこぼれはせせら笑って、
「はあ?なにいってんの、お前。このどこが終わりだよっ!!
お前らの切り札のイデアはこのザマだっ!!ここにいるキスティスも!!セルフィも!!
そこのエルオーネも!!シュウも風神も!!!この『拷問大全』、
いやこの俺様にはかなわなかったんだよお!へっ!もうこんな本は不要だっ!!」
と、今までお世話になりつづけの本をぽいっと投げ捨てる。
「おい、いいのかよ、あれ。」
と落ちこぼれの一人。だが、リーダーはフン、と鼻を鳴らして、
「いいんだよっ!もうあれは必要ねえよ。拷問にかけるやつももういねえからな!
あんな本には用はねえんだよっ!」
と言ってしまった。その瞬間、その本はボロボロっと一瞬で風化してしまった。
だが、そんなことを気にとめる奴は誰もいない。
シドは大声で、
シド「落ちこぼれども!!これを見ろぉ!!!」
と勢いよく自分のベストを開けてその中を見せる。
静まり返る一同。その中には何十というダイナマイトが結びつけられていたのだ。
だが、次の瞬間、落ちこぼれのリーダーは、
「ギャハハハハハハハハハッ!!!ヒヒッ!!
すげー!!スゲーよっ!!!!あんたサイコーだよっ!!
ヒヒっ、ダイナマイトかあ!!よくあるよなあそういうパターン!!
捨て身の特攻ってやつかよ!!お前はジャッカルかよっ!!
だがなあ!!そんなもんをここで爆発させたら、俺達やお前はおろか、
お前の妻のイデアっ!!セルフィにシュウ、そこのエルオーネ!!
そしてお前の大事な学園が吹っ飛んでしまうことになるんだぞお!!
分かってんのかああ、ヴォケがあっ!!!」
だがシドはまったく動揺しなかった。
静かにイデアの方に顔を向け、
シド「すまん、イデア。わたしにはこうするしか他になにもできん。
セルフィ、キスティス、エルオーネ。許してくれ。この無力な男を。」
と真剣そのものだ。これには落ちこぼれのリーダーは大焦りだ。
「や、やめろ!!つまらんことはっ!!わ、分かった!イ、イデアは解放してやるよっ!」
だが、シドは構わずに、空を仰いでライターに火をつけた。
シド「さようなら、バラムガーデン。我が人生よ。」
とダイナマイトに火をつけようとした瞬間、後ろからエルオーネが、
エルオーネ「ウオータぁぁぁ!!!」
といきなり魔法を唱えてきた。ライターに水がバッシャーとかかり点火不可能に。
焦りまくるシド。カチッカチッ!全然付かない。
その様子を見ていた落ちこぼれは大はしゃぎだ。
「よ、よしっ!!!よくやったぁ!!よくやったぞ、魔女ッ子エルう!!
ヒヒ、シドさんよお!!その死の決意も狂った育ての子に邪魔されてご破算とはなあ!!
ケケケッ!イデアと一緒にお前もいじめ抜いてやる!!
イジメぬいてイジメぬいてイジメ殺してやるう!!」
と、ふところを探ったが、もうそこには『拷問大全』はない。
「あ・・・・・・・・・・」
と落ちこぼれのリーダーが声を出した瞬間、エルオーネが再びシドにステッキを振りかざして
エルオーネ「ファイヤァァァァァ!!!」
次の瞬間、
ドッッカアアアアアアアアアンンッッ!!!!!
というものすごい爆音とともにバラムガーデンが大爆発した。
ダイナマイト99本。それはガーデンを完全に破壊するに十分な量であった。
あらゆるものが吹っ飛び、すべては灰燼に帰した。
そしてこのワンパターンな悪夢にも終止符が打たれたのであった。
FIN
34 :
名無しさん@LV2001:2001/03/08(木) 02:13
なんとか終わった。しんどかった。
>>34 面白かったです、ありがとう
>810の
>落ちこぼれであったが、今や彼らには希望があった、お楽しみがあったのだ。
ここの展開が大好きだったよ(w
ありがとう。面白かったよ。
またネタが思いついたら何か書いてね。
どもども。
また書きます。
主役にしてよ
>>38 そーいやずっと前に書いたことある。
夢オチ。
40 :
名無しさん@LV2001:2001/03/11(日) 13:22
age
…最後は爆発ですか。。。。。
42 :
名無しさん@LV2001:2001/03/13(火) 18:34
誰かが書いてくれることを期待してage
43 :
小説:2001/03/14(水) 03:39
書きたい人はここでどうぞ!!
44 :
(*:2001/03/14(水) 15:38
俗っぽすぎてつまらなかった
ならば!というわけで今度は俗っぽくないのに挑戦する
彼がこの街に足を踏み入れるのは本当に久しぶりのことだった・・・・。
かつては顔見知りばかりだったこの街にも、もう見覚えのある人間はいない。
(変わったな・・・・・バラムも・・・・・・。)
休日の昼下がり、どんよりと曇った空の下、スコール・レオンハートはほこりっぽい街路を
ゆっくりと歩いていた。
だがスコール懐かしいこの街に特に感慨を感じることもなかった。
遠くには勇壮なガーデンの建物がそびえているが、改めて懐かしさを感じることもない。
全ては、全ての記憶は余りにも遠く、かつて躍動していた頃の記憶もほとんどその形を失っていた。
スコールは人気のない街路を歩きながら、小さな建物に目をとめ、立ち止まった。
本当に小さな、ふとすれば見落としてもおかしくない小さな建物。
『トゥリープ洋服店』
建物には決して失われることはないであろうかつての仲間の名前が刻まれていた。
「・・・・・キスティスか?」
スコールは煉瓦造りの小さな店の入り口のドアをじっと見つめ、そしてごく自然に足を
店に向けて踏み出した。
店のドアを開ける。こじんまりとした内装だ。
だが陳列されている洋服が小綺麗に整頓されていることや、ゴミ一つ落ちていない清潔な
床からは、この店の主人がいかに店に愛情を注いでいるか、がよく分かった。
・・・・店の主人は、入り口扉の反対側にあるカウンターの向こうに座っていた。
眼鏡をかけて本を読んでいた彼女は、扉の開く音が聞こえると本を閉じた。
「いらっしゃいませ・・・・・・。」
入ってきた男の姿に気付くと、彼女は眼を丸くして立ち上がった。
まばたきを繰り返して、何を言おうとしていた彼女はやっとのことで声を絞り出した。
「ス、スコール!?ス、スコールなの・・・・?」
スコールは優しく微笑んで店の女主人に静かに近づいた。
スコールは、キスティスがまったく変わっていないのに驚いたが、また安心もした。
確かに長い歳月は彼女の美しい顔や手のひらに幾つもの皺を刻み込んでいたが、彼女の
気品とそして美貌は、昔に比べてもさほどの衰えを見せていなかった。
後ろで一つに束ねられたブロンドの髪、サファイアのような瞳、雪のように白い肌・・・・・
スコールはキスティスという女の記憶を全く失っていないことに気付いた。
しばらく呆然としていたキスティスはやがて信じられなかったことが確信に変わるに従って
やがて何年も忘れていたような心からの笑顔を浮かべた。
「やっぱり!やっぱりスコールなのね!ああ!信じられないわ!
何年ぶりかしら、そうねぇ20年ぶりくらいじゃないの?」
「ああ。それくらいたつかもしれないな。」
「うんうん。あなたがバラムに来てたなんて!もう今日は店はお仕舞いにするわ!
ゆっくりしていけるんでしょ?」
キスティスは子供のようにはしゃぎながら店のシャッターを降ろそうと扉に向かった。
だがスコールは彼女を制止して、
「いや・・・悪いが、もういかなくちゃならないんだ・・・・・。仕事があるんでね。」
それを聞いたキスティスの表情が曇る。彼女は悲しそうな顔でスコールに
「そ・・・そうなの?何の仕事?」
「相変わらずの傭兵さ。だけど、もう昔みたいに華々しい舞台で、ってわけにはいかないが。」
スコールの言葉をじっと聞いていたキスティスは、やがてうんうんとうなずいて、
「そう。残念だわ。本当に残念。でもコーヒー位飲む時間あるんでしょ?
今入れるからそこで待ってて。」
キスティスはスコールの返事も待たないで奥の部屋に姿を消した。
キスティスの入れてくれたコーヒーは冷えていたスコールの体を温めてくれた。
(そう。昔はこうやってよくキスティスにコーヒーを入れてもらっていたな。
周りにはたくさんガーデンの仲間がいて・・・・・)
スコールは目を閉じ、静かにコーヒーを飲んでいた。
キスティスは黙ってその様子を見ている。
静寂・・・・・・・。
二人とも余りにも久しぶりであるが故、話したいことは山ほどあるはずなのに何も喋ることが
できないでいるのだ。
キスティスは早く何か喋りたかった。スコールはもう行ってしまう。
なんでもいい。話がしたい。
「スコール・・・・。あなた、リノアと別れたんだって聞いたわ・・・・・。」
キスティスは言った瞬間後悔した。なんでこんな悲しいことを。
久しぶりに会ったというのになんでこんなことを喋らなければならないの?
だが、そんなキスティスの気持ちを察するかのように、スコールは淡々と答えた。
「ああ。もう10年も前のことになるがね。」
「どうして・・・・。あんなに仲が良かったのに・・・・・。」
二人はバラムガーデンで開かれた結婚式のシーンを思い出した。
ガーデンを卒業すると同時にスコールはリノアと結婚した。
純白のウェディングドレスに身を包んだリノア。
その横には少し照れながらスコールが・・・・・。
祝福するキスティス、ゼル、セルフィ、アーヴァイン、シド、イデア・・・・・・・。
全てが古き良き思い出だった。
「俺が彼女の気持ちを理解してやれなかったんだ。
リノアはいつも俺の気持ちを理解しようとしていたのに・・・・・・。」
スコールは淡々と言うだけだったが、その表情には少し哀しみがこもったように見えた。
部屋は重い空気に包まれた。
スコールはそんな空気を振り払うかのように少し明るい表情をキスティスに向けた。
「キスティス、この街も変わったね。海辺のレストランもなくなったんだね。」
「ええ。あれも5年前になるわね。ガルバディアの方に引っ越すって。」
「そうか。あれはゼルの思い出の場所だから反対したんじゃないのか?」
「そりゃあすごかったわよ。絶対に続けさせるって毎日毎日通っていたもの。
それでゼルが最後に選んだ方法は、一緒にガルバディアに移るって選択。
結婚したのよ、彼。ガーデンの女の子と。」
「へぇ。ゼルが結婚か。人も変わるものだね。」
スコールがいたずらっぽい視線をキスティスに向けると彼女はくすりと笑った。
「うん。それでね、セルフィとアーヴァインはトラビアガーデンで働いてるのよ?」
「トラビアで?バラムガーデンで夫婦で教師やってるって風の噂で聞いたけどな。」
「シドさんが学園長辞めた時に変わったのよ。
シドさんのいないバラムガーデンって私たちにとってはちょっと寂しいものね。」
スコールもその考え方には同感だった。
懐かしいバラムも、バラムガーデンも、懐かしい仲間達がいなければただの過去の記憶だ。
古い思い出にすぎない。彼はそう思った。
「そういえば、サイファーの奴はどこへ行ったんだ?
一時期あいつもバラムガーデンで教官やってたってきいたが、そのあと全然噂を耳にしないが。」
スコールがキスティスにそう尋ねると、彼女は表情を曇らせて首を振った。
「サイファーは・・・・・・まだバラムにいるわよ。」
「バラムに?そうか!あいつはここでまだ頑張ってるのか!」
「いえ・・・・・彼はすっかりやつれたわ。昔の彼からは想像も付かないわよ。
性格だけはあの頃のままだけど、ガーデンを辞めてから彼は変わったわ。」
「辞めたの?教官を。」
「雷神と風神が結婚したのを気に病んで、っていう噂もされたけどそれは嘘よ。あの二人を
くっつけるためにサイファーがものすごい努力をしたんだから。
真相は・・・・シドさんが学園長を辞めてちょうど1年経ったくらいだったかな、サイファ
ーの受け持ちのクラスの子が自殺したのよ。なぜかはわからなかったけど、サイファーの体
罰が原因って噂されたわ。サイファーも悩みに悩んで・・・・結局辞職。
本当は・・・・・・すごく心の純粋な人だから、罪の呵責に耐えられなかったのね。
それで・・・・あれからずっとサイファーは孤独。昔よりもずっと孤独。
この街で変わり者と言われながらもこの街を離れられないでいる。
サイファーにはバラムの思い出がすべてなのよ。だから離れられない。可哀想な人。」
スコールは目を閉じた。
常にサイファーのライバルであり続けた彼には少し残酷な話であった。
彼はすっかり覚めたコーヒーに口をつけようとし、止めた。
「サイファーが・・・・・・。人は変わるものだな・・・・・・。」
キスティスは両腕を互いの脇に回して、首を少し傾けて言った。
「そう。変わるのよ、スコール君。街も。人も。
年月っていうのは全てを変える。私も変わったわ。
もうこんなにオバサンになっちゃった・・・・・。」
そう言って笑うキスティスに目を向け、初めてスコールはキスティスにも老いが訪れている
ことに気が付いた。年月とそれに伴う様々な労苦が、彼女をも変えていったのだ。
「旦那さんは?」
スコールの質問にキスティスは目を天井に向けて、
「別れたわ。あなたと一緒。平凡だけど優しい人だった。でも去年別れたの。
子供なら、いるわよ?」
そう言ってキスティスは腕の肘を折り曲げて窓の外を指さした。
スコールが外に目を向けると一人の女の子が目に入った。
ひとめでキスティスの子供だと分かる、美しい、五歳位の女の子だった。
彼女にはこれから素晴らしい未来が待っているのだろう。
そう俺達が昔味わった、あの躍るような、輝かしい青春時代が。
「それじゃ・・・・そろそろ行くよ。コーヒーごちそう様。」
スコールはそう言って立ち上がった。
「もう行くの?もう少しゆっくりしていけばいいのに・・・・・・。」
「そうしたいが、列車の時間があるんでね。」
スコールはそう言うと、もう扉に向かって歩き出していた。
キスティスは何も言えず、黙って見送っていたが、
「スコール・・・・。あなた・・・帰る家はあるの?」
足を止め、向こうを向いたまま首を振るスコール。
キスティスは、唾を飲み込み、震える声でスコールに言った。
「ス、スコール・・・・・。
あなたさえよければ・・・・・・この家で・・・・・・・・・」
だが、スコールはキスティスに次の言葉を言わせなかった。
ゆっくりと振り向き、目を潤ませているキスティスに優しい笑顔を向けた。
「今日はありがとう。久しぶりに幸せな気持ちになれたよ、キスティ。
お嬢ちゃんに優しくしてやれよ。」
・・・・・・・・・・。
扉が閉められて、スコールは出ていってしまった。
残されたキスティスはしばらく微動だにしなかったが、やがて大きなため息をつくと
椅子に座り直した。そして静かになった部屋の中、一人つぶやいた。
「そうよね。あなたが正しいわ、スコール。
過ぎ去った時間は・・・・二度と戻らないわよね・・・・・・」
スコールはバラムの駅に向かって歩き続けていた。
この街の記憶はすっかり薄れていたが、キスティスとの会話は彼が胸の中にしまいこんでいた
仲間達との青春時代の出来事を鮮やかに蘇らせていた。
記憶は決して消滅したわけではなかった。ただ、眠っていただけなのだ。
バラム駅がスコールの視界に入る頃、街の悪童達がはやし立てる声が聞こえてきた。
「やーい、この飲んだくれー!!」
「お前は人殺しだって父ちゃんが言ってたぞー!」
「何が元SEEDだよー、このウソツキー」
スコールはハッとして声のする方に頭を向けた。
そこでは一人の痩せた男を、悪童達数人が取り囲んではやし立て、石を投げている。
痩せた男は酔っているのかフラフラとした足取りで、木ぎれを振り回しながら応戦している。
「こ・・・このクソ餓鬼ども!!つきまとうんじゃねえ!!ぶっ殺すぞ!!」
悪童達は散々その男をからかったあと、憎まれ口を叩きながら去って行った。
男はボロボロの服に付けられたほこりを払いながら、ブツブツと文句を言っている。
スコールはその男を知っていた。忘れるはずがなかった。
顔にスコールと同じ傷を持つ男。スコールは思わず声を出した。
「サイファー・・・・・・・・・・」
サイファーはスコールの声に気が付いた。
だが目が悪いのか、その声の主には気が付かなかった。
フラフラとした足取りでゆっくりと近づいてくる。
「だ・・・誰だテメェは・・・・・・俺の名を気安く呼びやがって・・・・・」
その眼にはもうかつての光はなく、肉体も衰えて覇気は感じられなかった。
スコールは驚きながらもサイファーに声をかけた。
「サイファー。俺だよ。分からないか?」
「んんー????」
サイファーは眉間にしわをよせながらゆっくりと近づいてくる。
かつてはそれだけで人は彼を恐れたものだが、今では子供でもこわがらない。
二メートルほどの距離になったところでサイファーはピタリと足を止めた。
目を大きく見開き、口をパックリと開けている。
じっと見つめるスコール。
サイファーはようやく声を出した。
「テ・・・テメェ・・・ス、スコールか!!??」
スコールは黙ってうなずいた。
サイファーの驚きの表情が更に増す。
「き・・・き、貴様!!な、なにしに戻ってきやがった!!!
に、二十年もこの街を捨てて逃げてやがったくせに!!!」
「仕事でちょっと立ち寄っただけだ。思ったより元気そうだな。」
「あ、当たり前だ!!俺を誰だと思っている!!!泣く子も黙るサイファー様だぞ!!」
「そうだった。風紀委員のサイファー。魔女の騎士サイファーだな。」
56 :
名無しさん@LV2001:2001/03/15(木) 21:49
サイファーはスコールの言葉に調子づいて大声で叫んだ。
「そうだ!!その通りさ。この街は俺が守ってやってるんだ!
それより、スコール!!お前とはまだ勝負がついていなかったな!!
こ、ここで勝負しやがれ!!」
スコールは黙って首を振った。
「今日は遠慮しておくよ。」
「な、なにぃ!?さては臆したか?
テ、テメェは昔から根性無しだったからな!ゼルの野郎と変わらねえぜ!」
「いや・・・・。もう列車の発車時刻に時間がないんだ。もう行かなくては。」
スコールの言葉を聞いてサイファーの声のトーンが落ちた。
「な、なんだと?い、いっちまうだと?勝負もつけずにか?
そ、そんなことはゆるさねえ!!俺の断りもなくバラムを出るなんざ・・・・・」
「サイファー。会えてうれしかった。勝負は俺が今度来たときつけよう。」
スコールはにやっと笑って歩き出した。
その後ろからサイファーの声が聞こえてくる。
「ま、待て!!しょ、勝負なら今だ!俺は、俺はあの頃から衰えちゃいねえ!!
お前だってそうだろう、スコール!も、戻ってこい!!勝負だ!!」
スコールは遠くからありったけの大声を出して叫んだ。
「次にここへ来るときはガンブレードを持ってくるぜ!!」
サイファーは疲れからかガックリと膝を曲げ、スコールが消えていった方角をもう何も言わずに
涙の浮かんだ瞳で見つめていた。
その涙は、青春時代に流した、あの頃の涙と同じものだった。
完
>>56のところはもっとふくらまして欲しかったです。
ちょっとあっさりしすぎ(;;)
そのとおりでふ。
ちょっと息切れしたでふ。
落穂牛
60 :
名無しさん@LV2001:2001/03/22(木) 21:38
8の小説はここで!
61 :
緊急速報:2001/03/23(金) 03:20
ラグナ氏逝去!
エスタ大統領ラグナ=レウァール氏が亡くなりました。
8は面白くなくてディスク1も終わらない内にやめた。
ので下げながら書いてる。
63 :
名無しさん@LV2001:2001/03/26(月) 23:55
君が書くまでage続ける
8やってないから書けないっす。
それじゃしかたないね
67 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2001/03/31(土) 05:59
今日、ギルガメッシュの模型を買ったんです。
コトブキヤのです(限定のレジン版)。
で、疑問に思ったことがあるんですけど
ギルガメッシュは設定では右腕は全部無いのでしょうか?
模型ではそう表現されていたものですから・・・。
68 :
名無しさん@お腹いっぱい。 :2001/03/31(土) 06:10
何でこんな8みたいなクソゲー出たんだ。
69 :
名無しさん@LV2001:2001/04/03(火) 22:38
age
70 :
名無しさん@LV2001:2001/04/07(土) 14:28
なんでもいいから書いてくれ。
71 :
知念の目と目の間は何cm?:2001/04/07(土) 14:30
72 :
名無しさん@LV2001:2001/04/09(月) 13:57
新作キボン
三日目。
正直言って悪い気分ではなかった。
いや、それどころかこれほど晴れ晴れとした気持ちで純粋に楽しめたのは初めてかもしれない。
真っ青な空。一面に広がる銀幕の世界。
他人に冷めているとよく言われるこの俺も久しぶりに爽快な気持ちを感じた。
勿論最初はこのような訓練にやってくるのはいやだった。
スキーなんて生まれて一度もやったこともないし、覚えたとて役に立つとも思われない。
その上、一週間共に生活することになるメンツが最悪だ。
教官として随行するキスティスとシュウや同じ班にいるゼル、アーヴァイン、セルフィはまだいい。
だがなぜサイファーら風紀委員の三人組が一緒なのだ?
「久しぶりに一緒の班になったな。よろしく頼むぜ。」
珍しく丁寧にそう言ったサイファーの顔は自信に満ちていた。
俺がスキー初心者なのを知っているのだろう。サイファーはかなりうまいらしい。
・・・・・まったく、子供みたいなやつだ、と思いつつ少し悔しいが。
そして最後にはリノアまでがついてくることになってしまった。
しばらくリノアと一緒に生活できるということは悪くない気分だがこれは訓練ではなかったのか?
どうして許可するシド?
かつての魔女戦争が終わって半年以上も経ち、世界が平和になったから
訓練も適当でいいということなのか?
だが、リノアにベタベタされるとみんなの手前かなり気恥ずかしい。
複雑な心境だ。
一日目はかなり屈辱的な思いをさせられた。
スキーの訓練といっても実際はほとんど遊びのようなものだった。
魔女戦争が終わってからの学園の授業はかなり楽なものになっている。
一日目も最初にキスティスとシュウがスキー初心者である俺、セルフィ、ゼルに
丁寧に基礎を教えるというものだった。
だがすでに滑れる者は自由にゲレンデを滑っていて良かった。
俺がぎこちない動きでボーゲンとかいうやつの練習をしていると
リフトに乗ってもっと上級者コースに向かおうとしているサイファーが大声で笑った。
「ハッハー!!何を雪遊びしてんだよ、スコール!さっさと上に来いよっ」
「スコールにも苦手なものがあったもんよ。結構笑えるもんよ!」
「上達遅」
俺は気にしない振りをしてひたすら緩やかな斜面で練習に励んでいたが
やはり悔しそうな表情をしていたらしい。横から多少滑れるリノアが、
「スコール、気にしないで。誰だって一つくらい苦手なものはあるんだから。」
・・・・・・屈辱だ。
スキーを初めて初日だぞ、畜生。
俺はその悔しさを原動力にして黙々と練習にいそしんだ。
そのおかげで・・・・・日が暮れる頃にはかなり上達していた。
「すごいわ、スコール!!一日でそこまで上手くなれるなんて!」
キスティスが眼を丸くして大げさに拍手した。
何の進歩もしていないセルフィはおいとくとして、すでに俺はリノアよりも上手くなっていたし、
上級者のアーヴァインにもなんとかついていくことができるようになっていた。
やればできるもんだ。
75 :
【かまいたちの夜】:2001/04/09(月) 23:28
二日目にはすでに上級者用コースを滑れるまでになっていた。
一緒に滑ってくれているアーヴァインはさすがにうまい。
軽やかに急斜面を滑り降りていく。
だが奴と一緒に滑っているおかげで俺も目覚ましく上達していた。
昼はアーヴァインと一緒に山頂のレストランで昼食をしたのだが、
「すごいよ〜、スコール!上級者用の斜面でも完璧だよ。
あとはサイファー達のすべってる最上級者用のゲレンデだけだね。」
俺もアーヴァインの提案にのって昼からはそこを滑ることにした。
サイファー達も俺が一日目の無様な姿とあまりにも違うので
かなり驚いた様子だった。
勿論まだサイファーよりは下手だろうが奴は俺の上達のスピードにイライラしていた。
俺が滑っていると三人でなんとか転ばせようと何度も邪魔をしてきた。
・・・・まったく子供みたいな奴らだ。
だがそれもある意味、いい訓練になった。
俺は何度か転ばされながらも次第にコツをつかみ、二日目が終わる頃には
風紀委員達を軽くやり過ごせるようにまでなった。
つまり、サイファーと同じくらいの技術をもつようになったのだ。
夕暮れになり、麓に降りると相変わらずセルフィは転んでいた。
俺より先に降りたアーヴァインがつきっきりで教えているのにまったく進歩がない。
ゼルはもうスキーには飽きてスノボに手を出していた。
なかなかうまかった。さすがだな。
76 :
【かまいたちの夜】:2001/04/09(月) 23:41
そして三日目。
俺は完全にこのウインタースポーツの虜になっていた。
なんて面白いんだろう。
風を切って銀色の斜面を滑走する。
舞い上がる白い粉が肌に触れるのも心地よく感じる。
アーヴァインと俺と、そしてリノアは共に一日中ゲレンデを滑り続けた。
サイファー達も俺に喧嘩をふっかけるよりは普通に滑っていた方が楽しいことに気づいたのか
もうなにもしてこなかった。
頭の中をからっぽにして滑っていると、やがてかなり日が落ちていることに気づいた。
今日もアーヴァインはセルフィに教えるために先に山を降りている。
「暗くなってきたな・・・・そろそろ、降りるか?」
俺がそういうとリノアが腕にしがみついてきた。
「もうちょっとこうしていたいなー。せっかくの二人きりの時間なんだから・・・・」
ま、確かに俺も同じ気持ちだった。
俺達が泊まっているロッジは俺達で貸し切っているとはいえ、
リノアとは部屋も別だし周りの眼もあり、あまりいちゃつけない。
俺もこうしてずっとリノアを抱きしめていたかった。
・・・・・だが、あまり遅くまでここにいるのは危険である。
山の天気は変わりやすく、いつ吹雪いてくるかわからない。
実際、晴れ渡っていた空には真っ黒な雲が広がりだしているし風も強くなっている。
いつの間にか雪の降るのも強くなりはじめていた。
俺達は山を降りた。
77 :
【かまいたちの夜】:2001/04/10(火) 02:08
俺とリノアがなんとか山を降りた頃、すでに辺りは真っ暗になっていた。
降る雪の勢いは一層激しさを増し、今夜が吹雪になる前兆であることを示していた。
麓には当然もう誰もいない。
恐らくみんな先にロッジに戻ってしまったのだろう。
「危なかったわね・・・・・・」
リノアはスキー板を外し、暗雲広がる空を見上げながらそうつぶやいた。
いささか疲れていた俺もしばらくその場でじっと空を見上げていたが
いつまでもこうしてはいられない。
ロッジでは仲間達が俺達が遭難してしまったのではないかと心配しだしている頃だ。
早く帰らなくては。
「すっかり遅くなってしまった。
・・・・・さ、帰るぞ。そろそろ夕食の時間だ。」
「そうだねっ。でも、みんな怒ってるだろうな・・・・
あたし達の夕ゴハンなかったらどうする?」
リノアはそう言っていたずらっぽく笑った。
雪の中、俺達は足早にロッジに向かって歩き出した。
日が暮れてしまっていることと降り積もった雪のせいで景色はすっかり変わってしまっている。
何度か道に迷いそうになりながらも俺達はやっとのことで見慣れた館にたどり着いた。
バラムガーデン御一行貸し切りのロッジである。
暖かい部屋を求めて俺達は急いで玄関に向かい、扉を開ける。
すると、玄関ではサイファー達が待ちかまえていた。
78 :
【かまいたちの夜】:2001/04/10(火) 02:20
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ヽ/\::/ /:::::::::/ |:::::::::::ヽ ─
うーむ・・シルエットだから楽だと思ったら死ぬほどめんどかった。
しかも省略されまくりだし。雷神削りまくりw
80 :
名無しさん@LV2001:2001/04/10(火) 03:06
オレがスクウェアのスタッフだったら坂口に
「つまんない」と進言していたはずのゲームだ。スクウェア社員はどう思ってるんだ
81 :
名無しさん@LV2001:2001/04/10(火) 03:19
シルエットとは・・・凝ってるなぁ・・・・
鎌井達の夜w
82 :
名無しさん@LV2001:2001/04/10(火) 03:23
まんなかの奴は承太郎にみえるw
83 :
名無しさん@LV2001:2001/04/10(火) 03:25
チュンソフ党の野望編はどうやって見るの?
84 :
ロミオ:2001/04/11(水) 06:09
おお
85 :
名無しさん@LV2001:2001/04/11(水) 15:40
今度は殺人事件(?)か・・・面白そうだ(w
うう・・・シルエット作る方でヘトヘトになってしまうヨ。
最近帰宅遅いしさ。気長に見守ってくだされ。
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-::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ サイファー「遅すぎるぜ馬鹿野郎!」
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|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: サイファーは俺に顔を近づけると吐き捨てるように:
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: そう言った。
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 「何時だと思っている?」
-:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: たたみかけるように非難するサイファー。
さすがに俺とリノアにはひけめがあるので
黙っているしかなかった。
89 :
【かまいたちの夜】:2001/04/12(木) 22:22
その時、ロッジの奥からキスティスが声をかけてきた。
「もう8時よ。吹雪いてきたし、中に入ったらどう?風邪引くわよ。」
俺とリノアはこの場から脱出するのはこの時しかないとばかりに
サイファー達を横目にロッジの中に入った。
一方的に俺を攻撃できる時間がすぐに終わってしまったのでサイファーは
非常に残念そうだ。
それはともかくとして、中にはいるとすでにキスティスの他全員が勢揃いしていた。
「もぉ〜心配させて〜」
「遅いぜ、スコール。二人でなにしてたんだよっ」
口々にそう言うが、みんな安堵の表情を浮かべている。
やはりかなり心配させていたようだ。
確かにこの吹雪じゃな・・・・・・
俺はますます激しく雪が降り出している外をチラリと見やると
心配させた詫びをした。
90 :
名無しさん@LV2001:2001/04/13(金) 13:53
ワラタ>シルエット
この調子で頑張ってくれ。
91 :
:2001/04/15(日) 18:51
92 :
名無しさん@LV2001:2001/04/15(日) 23:28
あげ
93 :
【かまいたちの夜】:2001/04/16(月) 00:46
・・・・・俺とリノアが着替えを済ませ、談話室に戻るとキスティスが一人雑誌を読んでいた。
「あれ?他のみんなは?」
リノアがあたりをキョロキョロと見回して尋ねる。
キスティスは俺達に気づくと眼鏡を上げて、
「みんな部屋に戻ったわよ。もう少ししたら降りてくるんじゃない?
それよりあんた達、さっさと食事をすませたほうがいいわよ。
お料理暖めて待ってくれてる、まま・・イデアさんにご迷惑よ。」
(やはり、食事時間は終わってしまっていたのか・・・・・)
俺はごくあたり前のことに気づいた。
ロッジ『シュプール』はシド学園長とまま・・イデアが最近経営しだしたペンションだ。
シドとイデアは学園経営からそろそろ手を引こうかと考えているという噂なので
引退をふまえた上でのことなのかもしれない。
そして今回の半分遊びのスキー合宿も当然の成り行きでここに泊まることになった。
2階建ての小さなペンションだがこじんまりとした綺麗な造りで悪くない。
それよりシドの作る料理は意外とうまく、疲れ切っていた俺は急に空腹を覚えた。
「じゃあ、急いで食べに行こう。これ以上迷惑かける訳にはいかんからな。」
と珍しく正当派なことを言った俺だが実は食欲に押されているだけだった。
リノアもそれを知ってか知らずか微妙な笑みを浮かべている。
小さく手を振るキスティスをあとに俺達は談話室を出て食堂に向かった。
「ポッポー」
談話室の鳩時計が一つ鳴る。
もう8時半になったのか。
94 :
【かまいたちの夜】:2001/04/16(月) 01:08
当然のごとく食堂には誰もいなかった。
近くのテーブルにつき、疲れのあまりじっとしているとイデアが料理を運んできた。
「二人とも、大丈夫?」
遅れたことを責めることもなく優しく声をかけてくれる。
「あ、大丈夫です。遅れてすいません」
イデアの優しさに対して逆に後ろめたさを覚え、ひたすら謝る俺達だった。
イデアはにっこりと優しく笑い、
「いいのよ。気にしないでね。それより今日のメニューはシチューよ。
主人の自信作。暖まるわよ。」
リノアはそう言って厨房に戻っていった。
「さて、いただこっか。」
リノアは早速シチューに手を伸ばしている。それを見て俺も早速一口。
うまい。
かなりうまい。さすがはシドだ。冷え切った体がみるみる暖まっていく。
「おいしいねぇ」
リノアも満足そうに言い、俺も心からうなずいた。
10分ほどで二人とも平らげてしまった。
するとリノアがとんでもないことを言い出した。
95 :
【かまいたちの夜】:2001/04/16(月) 01:08
_
/::::::::ヽ/:::ヽ
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/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| 「今からナイタースキー、行くわよ!」
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ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
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|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
96 :
名無しさん@LV2001:2001/04/16(月) 01:10
これってバッドエンドになったりする??
97 :
【かまいたちの夜】:2001/04/16(月) 01:15
冗談じゃない。この吹雪の中でスキーなんかできるはずがないじゃないか。
時々恐ろしいことを言い出すな、この女は。
俺がいやだと言い出す前に、突然シュウが姿を現して
「ナイターなんてやってる場合じゃなさそうよ。
かなりきつい吹雪になってきているみたい。これじゃ明日も滑れないかもね。」
シュウは食堂にジュースを取りにやってきたようだ。
とにもかくにもシュウの言葉にさすがのリノアもしぶしぶ納得したようだ。
「あーあ。残念だなー。せっかくスコールがうまくなったっていうのにー。」
「んー、今日のところはあきらめなさい。さんざん滑ったでしょ?
山の天気はすぐ変わるから、明日になったらガラっと良い天気になるかもしれないでしょ?」
シュウはそれだけいって食堂から出ていってしまう。
ま、リノアを説得してくれただけでもありがたい。
俺とリノアはそれからしばらく楽しく喋った後、席を立ち、食堂を出た。
その際、窓ガラスから外を見たが外は完全に嵐のような状況になってきている。
スキーはおろか、この有様では外に出ることすら危険な状況だ。
今日はさっさと寝るに限るな。
俺はそう思いながら談話室に向かった。
98 :
【かまいたちの夜】:2001/04/16(月) 01:16
99 :
【かまいたちの夜】:2001/04/16(月) 01:28
談話室にはキスティスの言った通り、数人の男女が戻ってきていた。
夕食が終わって俺達を待った後、しばらく部屋で休んでいた人間が歓談のために
戻ってきていたのだ。
そこには、眼鏡をかけて雑誌を読んでいるキスティスの他、
先ほど食堂に来たシュウはジュースを飲んでおり、
ゼルはテレビの西部劇を熱中して見ている。
すると突然階段の方から甲高い声が聞こえた。
「あーっ、もうほんまにめっちゃ体痛いわー」
姿を現したのはセルフィであった。
横には長身のアーヴァインが控えている。
「もうあたしにはスキーは無理!向いてへんねんてー」
「そ、そんなことないって。明日も頑張って練習すればさー」
アーヴァインがそう言ってもセルフィは耳も貸さない。
「そんなこといってアーヴァインはスコール達とどっかいっちゃうでしょー?
もうやる気ないっちゅうねんー」
二人の漫才を見てキスティスやシュウは吹き出している。
リノアもクスクスと笑っている。
その場に和やかな雰囲気が訪れた。
100 :
名無しさん@LV2001:2001/04/16(月) 01:29
100
101 :
名無しさん@LV2001:2001/04/16(月) 01:46
音楽が欲しいよーっ
102 :
名無しさん@2001:2001/04/16(月) 01:50
8好きage
103 :
名無しさん@LV2001:2001/04/16(月) 01:58
がむばれ
104 :
【かまいたちの夜】:2001/04/16(月) 02:07
__ヽ/─
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丶:::::::::::::::::::::::::::::丶ノ
/|丿::::::::::::::::::::::::::::::::ノ
ヽ:::::::::::::丶::::::::/─
─ -_|::::|_-
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/:::::::::::::::::::::::::ヽ 「もうー、やめやめ!
/:::::/ヽ::::::::::::::::/ 明日からはゼルと一緒にスノボするよー!」
__/:::::/ ヽ::::::::::::::丶
\:::::::/ /::::::::::::::::::::|
 ̄ |::::::::::::::::::::::ヽ
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105 :
【かまいたちの夜】:2001/04/16(月) 02:18
セルフィがそう言うとゼルはハッと振り返った。
その顔つきからかなりイヤそうなのは誰にだって分かる。
セルフィもその様子に気づき、
「なによーっ、イヤなのーっ?」
とちょっとムッとしている。
言葉に詰まるゼル。
その時クレイマー夫妻が談話室に現れた。
イデアはカップをいくつものせたお盆を持っている。
「みなさん、紅茶はいかがです?体があったまりますよ。」
「わー!欲しい欲しい!ありがとう!」
セルフィはもうさっきの話など忘れて紅茶を受け取っている。
俺とリノアを含めたその場にいる全員に紅茶が配られ終わると
シドがあたりを見回し始めた。
「ん?サイファーは?それに風神雷神もいませんね?彼らはどうしました?」
「あの子達つきあい悪いもの。どうせ二階の自室にいるんでしょ」
と、そっけないシュウ。シドは眉をひそめて、
「うーん、一応彼らの分の紅茶を入れたんですけどね・・・・。
シュウ、悪いですが、ちょっと呼んできていただけませんか?」
「はーい。」
シュウは気ののらない返事をして二階に上がっていった。
その場に何ともいえない空気が流れた。
風紀委員の彼らがやってきてはきっとこの和やかムードは壊されてしまうだろう。
でもま、あいつらも仲間。
なんだかんだいって良いとこもあるし。
これを機会にうち解けるようにつとめてみるべきか。
俺はそう前向きに考えることにしてみた。
106 :
名無しさん@LV2001:2001/04/16(月) 16:42
最初の犠牲者は雷神か?(藁
107 :
【かまいたちの夜】:2001/04/16(月) 20:27
俺達はそのまま談話室で紅茶を飲みのみ、やもすればすぐに冷えてしまう体を温めていた。
すると、しばらくしてシュウが2階から降りてきて、
「来るってさ。」
と肩をすくめがなら笑う。
そして再び和やかな談笑が始まる。
やはり話題のネタは俺のスキーの上達ぶりであり、みんな口々に褒め称えた。
ま、悪い気はしないな。
リノアも尊敬の眼差しだし、来て良かったな。
その時、
「ポッポー ポッポー ポッポー・・・・・・・・」
と鳩時計が9回鳴る。
もう9時か。それにしてもサイファー達は来るといったくせに遅いな。
鳩時計が鳴ったときに他のみんなも同じことを考えたとみえ、誰とはいわずに2階を見上げた。
「遅いわね。なにしてんのかしら?」
とキスティスがイライラした様子で言う。
最近キスティスはすぐにイライラする傾向にある。ストレスがたまっているのだろうか?
「荷物でも整理してんじゃないのですか?」
とイデア。すると今まで見ていた西部劇が終わってしまったゼルが振り返り、
「あいつらがそんな几帳面なことしないぜ。どうせダラダラしてんですよ。」
「じゃあ、ゼル、申し訳ないけどもう一度呼んできてくれないかしら?」
ゼルは苦手な風紀委員を呼びに行くなんて仕事は決してやりたくなかったに違いない。
そう言われた瞬間顔を引きつらせたが、何とか平常を保って、
「あ、ああ、いいですよ!俺が呼んできてやるよ!」
とダダダッと騒がしく階段を駆け上がっていった。
大丈夫だろうか?
108 :
【かまいたちの夜】:2001/04/16(月) 20:31
「大丈夫かしら・・・・・?」
リノアも同じことを思っていたようだったがやはり女、
ゼルのプライドなんておかまいなしに心配を声に出した。
「大丈夫だろ?別にサイファーと決闘しにいったわけでもあるまいし。」
と俺。すると、
「あはは、今時決闘なんてするのはあなたとサイファーぐらいのものよ!」
そうキスティスが横ちゃちゃを入れた時、階段から奴の声がした。
「俺とスコールがどうしたって?」
109 :
【かまいたちの夜】:2001/04/16(月) 20:33
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|::::::::::::::::丶 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ |::::::::::「俺をそんな奴と
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ヽ/\::/ /:::::::::/ |:::::::::::ヽ ─
風紀委員三人組は思った通りいきなり喧嘩腰だ。
「別に悪い意味でいったんじゃな・・・・」
「フン、別にどうだっていいけどな」
サイファーはキスティスの言い訳の言葉も聞かずにズカズカと場に割って入った。
風神がイデアから紅茶のカップを受け取り、それをサイファーと雷神にも渡す。
(あーあ。もうこいつらのペースになってきたなー)
俺は小さくため息をついた。
だがサイファーはそれを決して聞き漏らさず、
「スコール。なんか辛いことでもあったのか?
ははっ、ホームシックにでもかかったのかよ。」
そう言って大笑いする。
サイファーに合わせて笑いだすとりまきの二人。
俺は非常に不快な気持ちになったがここで言い返せば収拾がつかなくなるかもしれない。
そこで黙っていると、サイファーがさらにたたみこむように言う。
「スコール。お前、スキーで俺に負けたのが悔しいからってくだらない悪戯すんなよ!」
「子供同類」
俺は訳がわからなかった。
「・・・・・・・なに?」
「しらばっくれるんじゃねえっていうんだよ!
俺をビビらせようと部屋につまらん紙切れ入れやがっただろうが。」
「なんだと?」
「えっ?えっ?どんな紙切れなのー?スコールのイタズラ知りたいー」
セルフィが好奇心満々でそう言うとサイファーが雷神に目配せした。
雷神はポケットから小さな紙切れを取り出すと、
「こんなものが俺とサイファーの部屋の床に入っていたもんよ。」
こんや、 12じ だれかが 死ぬ
それを見て一瞬場の全員がハッと息をのんだ。
今夜、12時誰かが死ぬ?
単純ではあるがあまりにも明快でショッキングな内容。
イタズラにしてはあまりにも陳腐だし、あまり良い趣味とはいえない。
セルフィが不安げな顔を俺に向けた。
「こ、これ・・・・ス、スコールなの?」
「馬鹿な!俺なわけないだろう!!」
と即座に否定する俺。
冗談じゃない。こんな子供じみたことをなんで俺がやらなきゃいかんのだ。
「ちょっと見せてください。」
シドが雷神からその紙切れを受け取り、マジマジと見た。
「今夜12時誰かが死ぬ。・・・・・くだらない。
誰です?こんな馬鹿なことをしたのは?」
教育者からの観点からか珍しくシドが腹を立てている。
あるいは将来のペンション経営に傷をつけかねないイタズラに対する怒りからか。
「スコール違?」
風神の再度の質問にも俺はきっぱりと首を振る。するとサイファーは、
「フン。お前じゃないとすると、ゼルってとこか。」
そのサイファーの結論にみんなは納得したように顔を明るくさせた。
「なるほど!ゼルならこんな幼稚な仕返しもやりかねないわね。」
キスティスがそう言い、一同はウンウンとうなずく。
ゼルの存在って一体・・・・・・・。
「・・・・・・ところでゼル、まだ帰ってきてないわね。あんた達を呼びにいったんでしょ?」
とキスティス。だがサイファー達は怪訝な顔だ。雷神は
「知らないもんよ。俺達はシュウに呼ばれて降りてきたもんよ。ゼルとは会ってないもんよ。」
他の二人も表情で同意を示している。
「・・・・しかし、確かにゼルはお前達を呼びにいったぞ。」
俺がそう言うと、サイファーは怒った顔をして、
「知らねえって言ったらしらねえよ!あいつ部屋で寝てんじゃねえのか!?」
サイファーがそう叫んだ瞬間、
「ガッシャアアアアアアアアアアンンンッッッ!!!!!」
2階でガラスが割れる大きな音がした!
顔を見合わせる一同。
「な、なに、いまの?」
リノアが不安そうにそう言うと、シドは表情を曇らせて
「2階の部屋のガラスが割れたようですね.....」
「寝ぼけて、チキン野郎が暴れてんじゃねえのか?」
クック・・・・と笑うサイファー。
そうかもしれない。だがガラスが割れたとあればこのままにもしておけない。
「とりあえず見にいきますか?」
俺がシドに言うと、シドはうなずいて
「そうですね.....。
ひょっとすると面倒な作業になるかもしれませんから男性陣は来てもらえますか?」
俺とアーヴァイン、そして雷神は首を縦に振ったが、サイファーはソファーに寝っころがって
「あ、俺はパスね。ここで脅迫状書いた殺人鬼から女どもを守ってるからよ。」
と笑っている。さっきまで犯人はゼルだと言ってたくせに調子のいい奴。
結局俺達はシドを含め4人で2階のゼルの部屋に向かうことになった。
ダン・・・ダン・・・・・ダン・・・・・・・
階段をゆっくりと上がる4人。
全く面倒くさいことになったものだ。
窓ガラスが割れているとすれば部屋はかなり寒い状況になっているはず。
ゼルのやつめ・・・・・・・・・・だが・・・・・なぜ奴は降りてこないんだ?
ゼルの部屋までやってくるとアーヴァインがポツリと言った。
「だけどガラスが割れたのは何もゼルの部屋だとは限らないんじゃないかな?
この吹雪だし、吹き飛ばされた何かが窓ガラスに当たって割れたってことも考えられるし」
もっともな意見だ。だがシドはそれに対してもっと的確な意見を言った。
「このドアを開けてみればわかりますよ。」
シドはノブに手を伸ばし、開けようとする。
だが鍵がかかっており開かない。シドはポケットから合い鍵を取り出すと鍵穴に差し込み回す。
ガチャリ。
鍵が開いた。
ノブに手をかけ、ドアを開けると同時にアーヴァインの仮説が破られたことが分かった。
中から突風が吹き出してきたのだ。
びゅうううううううううぅぅぅぅ・・・・・・・・・・・・・・
「チェッ、やっぱりゼルだもんよ!」
雷神がそう文句を言い、俺達4人は部屋の中に入った。
部屋の大きく割れた窓ガラスから突風が入り込んでおり、まさに冷蔵庫状態だった。
「うわぁ!寒い!!」
アーヴァインが当たり前のことを口にする。
シドは呆然として窓に近寄り、
「あー・・・・・。これでは応急処置もできませんね・・・・・。
このまま朝まで置いておくしかないようです・・・・・。
この部屋、痛んじゃいますね・・・・・・・。」
確かに、シドにとってはえらい出費だと同情していた俺だったがあることに気がついた。
ゼルは?ゼルはどこにいるのだ?
「ゼルがいないぞ?」
俺はそう言ったがこの部屋が吹雪の吹き込む状態であることを考えると少々変かもしれない。
だが2階に上がったはずのゼルが部屋の中にいないということはもっと変であった。
「うーん、おかしいですね・・・・・・。」
シドが周りをキョロキョロと見回していたが当然いるはずもない。
「脅かそうと隠れてんじゃないの〜?」
そう言ったアーヴァインの方を見た瞬間、俺は足下に妙な感覚を覚えた。
窓の近く。ベッドのそば。俺の足はそこで何かを踏んづけた。
ぐにゃり。
いやな感触が広がる。
なんだこれは・・・・・・・?
俺が下を向くと同時に他のみんなもその様子に気づいて俺の足下を見た。
俺の足下には、バラバラになった人形が転がっていた。
真っ白な手、そして足。胴体は半分雪に隠れている。
そして・・・・・・・真っ赤な鮮血にまみれた頭。見覚えのある顔・・・・・・・。
「う、うわああああああっ!!!!!」
アーヴァインが大声を上げた。もっとも過敏に事態に反応したといえる。
「ま、ま、待ちなさい、い、一体、これは!!!」
「ゼ、ゼルッ!!ゼルの人形だもんよ!!」
馬鹿な・・・・・・・・・・。人形じゃない。
それはゼルのバラバラになった死体だった。
「う、うわあああああああっ!!!!」
絶叫するアーヴァイン。俺も恐怖で足がふるえている。
「と、とりあえず出ましょう!!」
シドの言葉にすがるように俺達は転がるように部屋の外に出た。
116 :
名無しさん@LV2001:2001/04/16(月) 22:30
続き楽しみにしてるよ。あげあげ
117 :
名無しさん@LV2001:2001/04/16(月) 22:36
本編は面白くないのに、ここの小説は面白いよ(w
118 :
名無しさん@LV2001:2001/04/16(月) 22:45
完結したら保存するよお
がむばってくれ
119 :
【かまいたちの夜】:2001/04/16(月) 23:30
談話室に戻った俺達は恐怖を振り払うように水をガブガブと飲んだ。
その様子を不安げに見つめる女達。
サイファーも怪訝な様子で俺の様子をじっと見つめている。
「はぁはぁはぁはぁはぁ・・・・・・」
アーヴァインは一気に水を飲み干したがちっとも気が収まる様子もない。
顔面を蒼白にし、息を荒くさせている。
恐らく俺も同じようなものだっただろう。
「どーしたの?アーヴァイン?ねえ?いったいなにがあったの?」
セルフィが不安げにアーヴァインの顔をのぞき込む。
アーヴァインはセルフィの顔をチラリとみやると今度は俺の方に目を移す。
すがるかのような目だ。
だが俺も何もいえない。
この衝撃的な事実をどうやって伝えたらいいのか!
その時、たまらなくなったのか雷神がうわずった声で叫んだ。
「ゼ、ゼルが!!ゼルが死んでいるもんよ!!!バラバラになって死んでいるもんよ!」
静まり返る一同。
そしてキスティスが、
「な、なにを言ってるの・・・・?ゼ、ゼルが・・・・・」
「死んでるんだよっ!!体がバラバラになって!!」
アーヴァインが叫ぶ。再び場に沈黙が訪れたかと思うと、
「うわああああああああああっっ!!!」
突然セルフィが泣き出した。当然の反応だ。俺も泣きたい気持ちだった。
信じられない。信じたくない。だが、だが、あれはまさしくっ!!
リノアが震える声で俺に尋ねてくる。
「な、なぜ、ゼルが・・・・・一体、誰に・・・・どうして・・・・・」
俺はこのリノアの質問に対して・・・・・
A 「ス、スパイだ!これはスパイの仕業だっ!」
→
http://piza.2ch.net/test/read.cgi?bbs=ff&key=984755580&st=399&to=410 B 「わからない。だが、確かにゼルは死んでいた。」
→ このままこのスレッドを読み続ける(更新は明日以降)
120 :
名無しさん@LV2001:2001/04/17(火) 00:16
8のんいくつかここで書かせてもらって思ったのだが8のキャラってとても小説にしやすい。
俺は今まで8のキャラって中途半端っていうか未完成な人間が多いな、って思っていたのだが
なんか書いてみるとそれぞれすごく性格に「余地」があるのだ。
小さく固定されていない。どれだけでも広がっていく余地がある。
そう思いました。
121 :
名無しさん@LV2001:2001/04/17(火) 00:20
あー、わかります
確かにゲームの中では全部表現しきれてないって感じがしますね
きっと肝心のゲーム自体が糞だからだと思うよ…
123 :
名無しさん@LV2001:2001/04/17(火) 09:41
ごめん、Aの方おもろい(w
Aの方一応保管した。面白かったよ。
>>120さん。まだ選択であっちのスレ使う?
>>124 うう・・・・勢いだけで書いているので誤字脱字表現の誤り重複があるのはご容赦を。
あっちのスレはまた使おうかと思います。
126 :
【かまいたちの夜】:2001/04/17(火) 22:33
「わからない。だが、確かにゼルは死んでいた・・・・・・」
俺はやっとの思いでそれだけの言葉を絞り出した。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁっ!!!」
再びセルフィが目をつぶり、悲鳴を上げた。
その場には殺されたゼル以外の全員が集合していたわけだが、誰もが目を点にしている。
あのサーファーですら俺には青ざめているように見えた。
その時、沈黙を破るかのように鳩時計が鳴り出した。
「ポッポー ポッポー ポッポー・・・・・・・・・・」
もう10時だ。鳩時計が鳴りやむのを待っていたかのようにリノアが口を開いた。
「も、もう一度・・・・もう一度どういうことなのか説明して。」
そこで俺達4人はなんとか協力しながらその場の状況を一同に説明した。
ガラスが割れていたのはやはりゼルの部屋であったこと、
そしてゼルがその部屋で死んでいたこと、
その凄惨な死体の状況・・・・・・・
あまり話したくないことだが、黙っていても意味はない。
すべてを話し終えるとシュウが暗い口調で言った。
「なんてこと・・・・!
あのゼルが・・・・・。
さっきまであれだけ元気だったゼルが・・・・・・」
確かにその通りだ。
つい30分前まではこの談話室でみんなと一緒にいたあいつが死ぬなんて・・・・・。
「俺も未だに信じられない。だが・・・・・・・・」
「でも・・・・なんでそんな惨たらしい死に方で・・・・・・・」
キスティスがそう言ったとき、突然アーヴァインが立ち上がって静かに言い放った。
127 :
【かまいたちの夜】:2001/04/17(火) 22:34
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128 :
【かまいたちの夜】:2001/04/17(火) 22:49
俺達は突然の発言に少し面食らい、いぶかしげにアーヴァインの顔を見つめた。
「かまいたち?」
シドが尋ねる。
「そう。知らないはずはないよね。
空気中に真空状態ができて、突然ものがパックリと切られたりする、あれだよ。
この現象によって人が傷つけられたって話はよく聞くし、命を落としたっていう記録もある。」
「くだらねぇ。それにやられてゼルが死んだっていうのかよ!」
サイファーが吐き捨てるように言う。
確かに俺にもあれほど無惨な死体がそのような訳の分からないもののせいだとは思えない。
だがアーヴァインはまったく動じなかった。
「どうかな。だけどかまいたちってのは実在する自然現象なのは確かだよ。」
「それは知ってるが、君も見ただろう、あの死体を。
あそこまでバラバラにする風ってのも聞いたことはないぞ。」
とシド。
「ええ、僕も聞いたことはありません。
けれどこの外の恐ろしい吹雪を見てると・・・・・・・・・そんな気がしたのです。」
一斉にみんなの目が窓の外に集まる。
恐ろしい風がびゅうびゅうとうなりを上げて巻き起こっている。
確かに経験したこともないような吹雪だ。だが・・・・・・・しかし。
その時、アーヴァインの横で今まで泣いていたセルフィが突然声を張り上げた!
「アルテマよ!!アルテマのせいだよ!!!」
部屋が静まり返る。キスティスが
「セ、セルフィ・・・・。アルテマ・・・・って魔法の?どういうこと?」
「そうにちがいないよ!!アルテマなのよ!!それだと納得がいくもの!!」
ちっとも納得がいくようには思えない。キスティスはため息をついて、
「ちょっと、落ち着いてよ・・・・。アルテマなんか関係ないわよ。
どっちかというとエアロラ・・・・・・・」
キスティスはそれだけいうとハッと息をのんだ。
何を思ったのか真っ青な表情をしている。
俺を含めたその場の人間は一瞬その意味がつかめなかったが、
すぐに気づいてある人の方向に一斉に目を向けた。
129 :
【かまいたちの夜】:2001/04/17(火) 22:52
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名無しさん@LV2001:2001/04/17(火) 22:54
わしが男塾塾長江田島平八である!!
131 :
【かまいたちの夜】:2001/04/17(火) 23:16
視線を向けられた風神はその意味が分からず、キョトンとしていたが、やがて察して顔をひきつらせた。
「・・・・・・・・!違!!!!」
必死に否定する風神の姿にいつもの冷静さは全く見受けられず、恐怖に怯えた表情をしていた。
「馬鹿野郎!!!バカかてめえらっ!!!」
突然そう大声を上げたのはサイファーである。
「なんで風神がゼルを殺さなくちゃならない!!!馬鹿なことを考えてんじゃねえっ!!!
キスティス、お前もくだらないこと言ってんじゃねえぞっ!!!」
サイファーは風神が疑われたことに対して本気で怒りまくっている。
だが、奴の言うとおりだ。
確かにこの場ではエアロラを使えるのは風神だけだがそれが事件と何の関係があるのか。
アーヴァインが突然言い出したかまいたちとかなんとかが飛躍してエアロラに結びついただけ。
まったく彼女を疑う理由はない。
その場にいた全員がそう思ったのだろう、みんな後ろめたそうにうつむいた。
キスティスも申し訳なさそうに、
「ご、ごめん、風神。確かにサイファーの言うとおりだわ。
疑うつもりなんかまったくなかったけど失言には違いないわ。謝ります」
風神はあらぬ疑いが解けてホッとしたのかすぐに元通りの表情になり、
気にしていないというようにクビを振った。
「・・・・・でもいつまでもこんなことをしていられないもんよ。早く警察に電話するもんよ。」
警察。なぜそんな当たり前のことに気づかなかったのか。
シドは思い出したようにロビーにある電話機の受話器を取り上げるとダイヤルを回し始めた。
だが、やがて苛立ったようにつぶやいた。
「ダメです。電話が通じません。」
「な、なんですって!!!」
キスティスが大声を上げる。すると横にいたシュウが、
「キスティ、あなた携帯持ってたでしょ?それでかけてよ!」
だがシドはクビを振り振り、
「無理ですよ。ここは電波が届かないのです。携帯は通じません。」
「じょ、冗談じゃないもんよ!!
ペンションの中に殺人鬼がいるってのに警察に連絡が取れないのはまずいもんよ!!!」
雷神のその言葉に空気が凍り付いた。
そうだ。そうなのだ。
これは紛れもない殺人事件。かまいたちやアルテマなど関係ない。
ゼルを殺した凶悪な殺人鬼が館の中に潜んでいるのだ。
132 :
名無しさん@LV2001:2001/04/18(水) 12:39
期待age
133 :
【かまいたちの夜】:2001/04/18(水) 21:53
「さてと。」
突然サイファーが立ち上がった。
スタスタと談話室の出入り口に向かって歩き出す。
「ど、どこへ行くの???」
リノアが驚いて尋ねる。
「決まってるだろうが。ゼルを殺しやがった犯人をぶちのめしに行く。
外はこの吹雪だ。まだ建物の中にいるに違いないからな。」
雷神も来い。まず1階を捜索するぞ。」
「わかったもんよ!」
二人は呆然と見守る一同をあとにして部屋を立ち去りかけた。
俺は二人に向かって、
「勝手に行くと危険だぞ!」
「けっ。腰抜けかよお前は。ゼルの仇をとる気はないのかよ。」
それだけ言うとサイファー達は出ていってしまった。
取り残された俺達は黙り込んだ。
「本当に・・・・・大丈夫かな・・・・・・・・」
リノアがポツリと言う。俺は少し考えて、
「ま、大丈夫だろう。あの二人なら。
それに十分警戒もしているし、滅多なことはないだろう。」
その時、キスティスが立ち上がった。
「確かにサイファーの言うことにも一理あるわ。
私たちも手分けして中を捜索しましょう。
でも散り散りになってむやみやたらに探しまくるのは危険だから
私とシュウ、それからアーヴァインは2階を捜索します。
スコールとリノアはサイファー、雷神を追いかけて一緒に1階の捜索。
シド先生、イデアさん、セルフィ、風神はここを確保しておいてください。」
キスティスがテキパキと指示を出す。さすがいつも冷静なキスティス。
俺達はキスティスの指示に従って三つに分かれて館の捜索にとりかかった。
俺とリノアはサイファー達を見つけると訳を話した。
サイファーは何も言わなかったが別に嫌みをいうこともなかった。
さすがに事態の深刻さは理解しているようだ。
134 :
【かまいたちの夜】:2001/04/18(水) 22:13
1階には談話室の他に玄関の大広間、食堂、クレイマー夫妻の部屋、倉庫、乾燥室
などがある。
俺達はその一つ一つを丹念に見て回ったが、隠れている人どころか何の手がかりも見つけられなかった。
「くそっ。どこに隠れていやがるんだ、クソ殺人鬼はっ!」
イラつきはじめたサイファーが怒りをぶちまけ始めた。
リノアは俺のあとからついて来ていたが、
「でも・・・・・・あの脅迫状はいったいなんだったのかしら・・・・?」
「そりゃ、犯人が書いたもんだろ?」
と俺。
「でも、あれには『12時』に人が死ぬってかいてあったのに・・・・・。まだ10時半よ。」
するとサイファーが苛立たしげに俺達の方を向いて、
「そんなもん、俺達を混乱させるために決まってるだろうが!深く考えんなっ!
・・・・・ちくしょう。この倉庫にも虫一匹いないぜ。
だとすると奴が隠れているのは2階か・・・・・。」
2階では今キスティスやシュウ達が捜索を行っているはずだ。
俺は少し心配になった。
2階の捜索組は女3、男1。
いくら鍛えられているといっても男が一人だけというのは心細い。
もし彼女たちが凶悪な殺人鬼に出会ったら・・・・・。
「戻ろう。」
俺がそう言うと他の三人も特に異議はなく、俺達は何の収穫も得られないまま談話室に戻った。
135 :
【かまいたちの夜】:2001/04/18(水) 23:04
談話室にはすでに2階の捜索メンバーが帰ってきていた。
談話室確保組のシド、イデア、風神がソファーに座り、
捜索組のキスティスとアーヴァインは揃って腕組みをしながら頭をひねっている。
どうやら俺達と同様、何も見つからなかったようだ。
「どうだった?そっちは?」
キスティスの質問に俺はクビを横に振る。現時点では建物の中には何も潜んでいなかった。
ホッとするところもあるがわだかまりは消え去らない。
その時、リノアがあたりを見回して、
「あれ?セルフィは?」
するとアーヴァインはそれに答えて、
「ああ。セルフィは護身用のヌンチャクを取りに自分の部屋へ戻ったよ。」
「ちょっと、アーヴァイン。大丈夫なの?一人にさせて。」
「え?あ、ああ。でもシュウも上にいるから大丈夫だと・・・・・。」
「シュウが?シュウもまだ上なのか?」
とサイファー。散り散りにはならないはずだったのにこの有様か。
俺も段々不安になってきた。
「ちょっと様子を見てきた方が・・・・・。」
俺がそう言うと風神がさっと立ち上がり、
「呼戻」
と階段をタッタッタッと上がっていき、その様子を俺達はじっと見つめた。
しばらく時間が経つ。
「ポッポー ポッポー ポッポー ・・・・・・・・」
鳩時計が鳴り、11時になったことが分かる。
遅い。なにをしているんだ彼女たちは。まさか・・・・・・・・。
その時、階段から風神がセルフィを連れて戻ってきた。
「なにしてたのよ!セルフィ!!怖がってたクセに勝手な行動しちゃダメでしょ!」
とキスティスが怒る。
「ご、ごめん・・・・・ヌンチャク忘れてきたみたいだったから手当たり次第に
身を守れそうな道具を探してたの・・・・・・」
そう言ってセルフィが見せたものはモップや消火器など部屋に備え付けのばかりだ。
それほど役に立つとは思えなかった。
するとシドが不審げに風神に尋ねる。
「シュウは?シュウの姿が見えませんが、彼女はどうしました?」
「不在」
風神は簡潔に答える。シドはますます困惑しながら
「いない?そんなはずはありません。シュウは2階に上がったきり、降りてきていないのですよ。
ちゃんと探したのですか?」
「全部屋捜索。姿未発見。」
風神の言葉にその場のみんなは顔を見合わせた。
かまいたちの夜面白いー
137 :
【かまいたちの夜】:2001/04/19(木) 21:36
「様子を見に行ってくる。」
いつになく真面目な表情でそう言って立ち上がったのはサイファーだ。
俺達もその意見には賛成だったし、また散り散りになってはいけないというので
今度は全員で2階にあがってみることにした。
狭い通路や階段に10人もの人が密集し、おしめきひしあいしながら2階に上がった。
2階の通路には等間隔にドアが6つならんでいる。
手前から順番にキスティス・シュウの部屋、サイファー・雷神の部屋、風神の部屋、
セルフィ・リノアの部屋、ゼル・アーヴァインの部屋、そして俺の部屋だ。
すべての客間が埋まり、他に部屋はないので俺達は手前の部屋から順に調べていくことにした。
まずは俺の部屋。ここにシュウがいるはずはないと思いながらも俺はドアを開けて中に踏み込む。
当然誰の姿も見えない。
だが一応念のため、ベッドの下からバスルームまで隅々を探してみた。
だが何も見つからない。俺達は部屋を出た。
こうやって順番に一つずつ部屋をチェックしていく。
部屋の中にはいるのは4,5人であとは廊下で待機している。
そうして一番奥のキスティス・シュウの部屋まで調べたが結局彼女は見つからなかった。
「妙だな・・・・・・」
俺はつぶやいた。
「ひょっとしたら誰も気づかないうちに下に降りたんじゃないの?」
とリノア。だがシドはクビを振って、
「そんなはずはありません。2階から降りるためには階段を使うしかありませんからね。
階段で下りてきたのなら談話室にいる我々が気づかないはずはありません。」
「それならシュウは一体・・・・・・・?まさか窓から出たのかしら?」
キスティスが心配そうにそうつぶやくと、その隣にいたセルフィが、
「あ、あのロッカーはなに???ちょ、ちょっとだけ開いているみたいだけど・・・・・」
セルフィが指し示したのは廊下の隅っこに据え付けられているステン製の物置だ。
シドは大したものではないというふうに、
「ああ。あれは掃除道具とか懐中電灯なんかを入れた倉庫ですよ。」
「・・・・ちょっとヘコんでいるみたいね。それで扉がきちんと閉まらないのね。」
とキスティス。シドはクビをひねって、
「おかしいですね・・・・・。この前見たときにはあんなことはなかったはず・・・・」
その時、サイファーがそのロッカーに向かって大股で歩き出した。
その表情からは何か思い当たることでもありそうな感じがする。
俺達は呆然と彼の行動を見つめる。
サイファーはロッカーのドアに手をかけ、少しためらったように動きを止めたあと、
勢い良くドアを開けた。
すると中に入っているモップがわさっと倒れ込んできた。
いやに大きなそのモップはサイファーの体にドサリとのしかかった・・・・・・。
サイファーが口がパックリとと開けて喉の奥から声を絞り出した。
「・・・・・・・シュウ・・・・・・・・・・・」
そうだった・・・・。
・・・・・・それは・・・・・モップではなかった。
鮮血にまみれ、髪を振り乱した・・・・・女の・・・・・・・シュウの死体だった。
シュウの頭部は真っ赤な血に染まり、焦げ茶色の髪の毛はすでに生気を失っている。
体は乱暴に折り曲げられ、各部分が不自然に湾曲している。
彼女は、シュウは、殴り殺されて絶命し、無慈悲な殺人鬼によってこの倉庫に押し込められたのだ。
俺達は事の重大さを理解し、すでに死体となったシュウを取り囲む。
「なんてこと・・・・・・・・」
キスティスは目に涙を浮かべてヘタヘタと座り込んだ。
セルフィは顔を真っ青にし、惚けたように天井を見上げて口をぱくぱくさせている。
その他の者もこのことを信じられないでいる。
俺も同じだ。足がガクガクと震えている。
その時、サイファーが長い沈黙を破ってうめき声に似た声を上げた。
\_
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-:::::::::::::::::::-
/:::::::::::::::::::::::::丶
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/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ 「な・・・・・なんてことを・・・・・
):::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::) ・・・・・・・・・・シュウ・・・・・・・・
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ちくしょう・・・・・・・・・・
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| な、なんてことだっ!!!」
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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そしてサイファーは突然叫びながら狂ったように暴れ出した。
「だ、だれだっっっ!!!
シュウを!!シュウを殺しやがったのはっっ!!!!
ち、ちくしょう!!!!
出てこいっ!!!!
出てきやがれーーーーーーーっ!!!」
壁や柱を手当たり次第に殴り、蹴っているサイファーの姿に俺達は呆然となった。
こ、これはいったい・・・・・・・・?
この様子からサイファーとシュウの間になんらかの関係があったのは明らかだった。
俺は全く知らなかった。うすうすも気づいていなかった。
目を丸くして驚いているリノアの表情を見ても俺と同様であることがわかる。
だが、知っていた人間も何人かいたようだった。
悲しげな目でサイファーを見つめるキスティスやシドは二人の関係を多少は知っているかにみえた。
そして・・・・・風紀委員。
雷神は鈍感なのか気づいていなかったようでびっくりしているが、
風神は明らかに以前から勘づいていたようだった。
ただ、表情をまったく変えずに黙って暴れるサイファーを見つめている。
俺はサイファーを止めなければならないことに気づき、後ろから奴の体をつかんだ。
「殺してやるっ!!犯人のクソ野郎をぶっころしてやるっ!!!」
まったく収まる様子がない。
俺の目配せで雷神とアーヴァインもサイファーを止めに入り、シドが
「落ち着きなさいサイファー!!ここで暴れてどうなるというのですっ!」
と一喝すると少しは気持ちが落ち着いてきたのかやっと暴れるのをやめた。
それでも目は涙があふれ、大声を上げて泣いている。
そこまで・・・・・
そこまでサイファーはシュウを・・・・・・・・。
俺はかなり意外な思いにとらわれた。
サイファーは風神の方に気があるのだと思っていたからだ。
サイファーは体をつかんでいる俺達を突き飛ばすとシュウを抱きかかえ、
ゆっくりと階段を降りていった。
慎重に慎重に・・・・・・・・。
可憐な花嫁を運ぶかのように。
俺達が1階の雑談室に降りてるとサイファーの姿が見えなくなっていた。
一瞬俺はいやな予感にとらわれたが、彼が陰鬱な表情をして戻ってきたので杞憂だと分かった。
恐らくシュウを誰にもけがされることのない場所に置きに行ったのだろう。
サイファーはもう泣いてはいなかったがただ俯き、その瞳からは黒い光が憎悪の炎を燃やしていた。
場に再び沈黙が訪れる。まるで本当のお葬式のようだ。
セルフィはシクシクとなき、キスティスも呆然としている。
風神は比較的冷静に見えたが、
雷神やアーヴァインなどは事態を理解しきれないのかオロオロしているように見えた。
イデアも言葉を失って地べたに座り込み、シドはそんな彼女をずっと心配していた。
なぜ俺はこんな目に遭わなければならないのか?
楽しいスキーを楽しみに来ただけなのに。
なぜ仲間を殺され、恐怖にさらされなければならないのか?
その場にいる全員がそう思ったであろう。
すると突然ずっと泣いていたセルフィがもう限界だというように叫んだ。
「もういやっ!!もうあたしは帰るっ!!!!!」
すると彼女は立ち上がってスタスタと一人玄関の方に向かおうとし、他の者に止められた。
かなりの錯乱状態だ。
俺だって脱出できるものなら早くしたい。
だがそれができないからこのような悲劇が起こっているのだ。
俺はイライラしながら言った。
「セルフィ、もう勝手な行動をしないでくれ。出られるわけがないだろう?」
するとセルフィは泣きながら叫んだ。
「いやよっ!帰るっ!これ以上あなた達と一緒にいるのはいやっ!」
・・・・・・・?
・・・・・・・・・・・・?
どういうこととだ?
このペンションにいるのがイヤ、ではなくて、
あなたたちと一緒にいるのがイヤ・・・・・・・・・、だって?
142 :
【かまいたちの夜】:2001/04/19(木) 22:47
俺は瞬時にその意味を理解した。
この女は、俺達を疑っている・・・・・・・
知らない殺人鬼ではなくて、俺達の誰かがゼルやシュウを殺したと思っている。
最初に風神に嫌疑がかかったりもしたがあれは疑いというほどのものでもない。
だが、今回のセルフィの態度は明らかに信用できないといった態度だった。
「馬鹿な。なにを言っているんです、セルフィ。
我々がゼルやシュウを殺す理由がどこに・・・・・・・・」
とシドが言いかけたとき、アーヴァインがぽつりと言った。
「いや。セルフィの考えもあながちおかしくはないと思うね。
1階も2階も捜索したのに犯人は見つからなかった。
そして外は見ての通りの嵐。
それならこの中に犯人がいると考えてもおかしくはないんじゃないのかな?」
「し、しかし・・・・・・・・!」
シドは反論しかけたが言葉につまった。
そうなのだ。
アーヴァインやセルフィの言っていることはまったく当たり前のことなのだ。
この中に犯人がいる。
それは誰もが頭の片隅には置いてはいたが、およそ考えたくないことだった。
だから姿の見えない凶悪な殺人鬼のせいにして自らを安心させていた。
だが・・・・・シュウまでもが殺された今となっては、
現実をしっかりと見ないと自分までがやられてしまう。
他の者達も同じようなことを考えていたのだろう、全員が真剣な表情で黙り込んだ。
だがシドはまだ納得してないようだ。
「そんな馬鹿なことが・・・・・・・・キスティス、あなたもそう思うのですか?」
と助けを求めるように話しかける。だがキスティスも彼を援護してくれることはなかった。
「考えたくないことだけど、十分に可能性はあるわ。」
と冷たい答え。
これで全員が疑心暗鬼に陥ることが決定した。
小さな部屋に十人もの人間がいるというのに誰も隣の人が信じられないのだ。
その時、リノアが俺に向かって言った。
「スコールは・・・・・どう思うの?」
もうサバゲだけにする。
144 :
名無しさん@LV2001:2001/04/19(木) 23:20
じゃあ結局BADENDかよ!?(藁
サバゲでも生き残るパターンはあったりする
146 :
名無しさん@LV2001:2001/04/20(金) 10:03
せめて誰が犯人なのかは書いて欲しいデス。
147 :
名無しさん@LV2001:2001/04/20(金) 14:38
本物の「かまいたち」とはトリックも違うみたいだね。
どうやって殺したのかな?
もっと書いてよ!
149 :
名無しさん@LV2001:2001/04/20(金) 19:03
エルオーネやラグナ(関西の社長)も出して欲しかったぜ・・・
150 :
【かまいたちの夜】:2001/04/20(金) 20:46
リノアが突然そう尋ねたので俺はドキリとした。
俺とてここにいる人間の中の誰かが犯人だという見方は否定できない。
だが・・・・・・今の状況でそのような発言をして皆を不安にさせてよいものだろうか?
しかしよく考えてみると安易に楽観的な発言をすることこそ危険なのではないだろうか?
アーヴァインの言うとおり、屋敷中を捜索したにも関わらず犯人を発見できなかったというのは
この中の誰かが犯人である可能性は極めて高い。
それをあえて、信じたくない、などという私情によって隠してしまっては
第三の被害者が出ないとも限らない。俺は思いきって言った。
「俺も、ここにいる誰かが犯人じゃないと言い切る自信はない。」
俺までが疑い始めていることを知ってシドは天を仰いだ。
まるで俺の発言によって全ての希望がたたれてしまったかのようだ。
それを見た俺は少しフォローするように、
「いや、別にみんなを疑っているわけではない。
でも用心するにことしたことはないと言っているだけだ。」
その時、玄関付近にいたセルフィの甲高い声が再び響きわたった。
「あ、あたしっ、帰れないのなら、へ、部屋に戻るっ!」
だが俺は少し強い語調で、
「ダメだ。それは危険だ。ここにいろ。」
セルフィは恐怖に引きつった顔で、
「い、いやよっ!い、今スコールだってこの中の誰かが犯人かもしれないっていったよっ!
それならそんな人がいるかもしれないところにいたくないよっ!戻るっ!!」
俺の発言がより彼女により大きな恐怖を与えてしまったようだ。
だが俺は秩序を守るためにはここは退いてはいけないと、
「ダメだ。この中の誰かが犯人かもしれないからこそ、お前に勝手な行動をされてもらっては危険なんだ。」
「な・・・・なんでよ!?」
俺はこんなことは言いたくなかった。だが言わなければならなかったのだ。
みんなの命を守るために。再び凄惨な人殺しが起こらないようにするために。
俺は静かに言った。
「だから・・・・・・セルフィ、お前が犯人だって可能性もあるわけだから・・・・・・・」
haha.....(藁
152 :
【かまいたちの夜】:2001/04/20(金) 21:00
「ひ、ひどい!!ス、スコールひどいよっ!!」
セルフィは目に涙を一杯ためながら叫んだ。
その姿に俺の胸はえぐられるかのようだったがここで黙るわけにはないかない。
「セルフィ、お前は談話室を確保する役だったんじゃないのか?
なにしに2階に上がった?」
「だ、だからそれはっ!護身用のヌンチャクを取りに・・・・・・」
「えらく時間がかかっていたみたいだが。だがこの行動の意味するところは、
少なくともセルフィはシュウを殺す機会があったということだ。」
「そ、そ、そ、そ、そんなぁっっっ!!!!!!!」
セルフィは一層大声で泣き出した。
こんな悲痛な声を張り上げて泣く人間は見たことがない。
俺はまるで物の怪にでも出くわしたかのように体を震わせた。
もはや正視できず、目をそむける。
大きな声でわんわん泣き続けるセルフィ。
しばらく誰も何も言わずに黙っていたがやがてキスティスが苛立たしそうに
「いい加減にして。メソメソうるさいわよ。
大体最初に仲間を疑ったのはあなたなのよ、セルフィ?」
そう言って眼鏡ごしにきつい目をセルフィに向ける。
彼女はそれを聞きピタリと泣きやんだ。
場に気まずい雰囲気が流れる。
みんなをずっとここにいさせるための発言だったのだが、
逆にお互いを憎しみ合わせることになった。果たして俺のしたことは正しかったのか?
俺はそんな自分の心の痛みをを少しでも和らげようと、
「いや、別に俺はセルフィが犯人だなんて思ってはいないよ。
俺の言いたいのはだな、つまり、そうやって勝手な行動をすると
みんなに疑われる要素が・・・・・・・」
しどろもどろになりながらそう言いかけると、突然サイファーが叫んだ。
「まるで自分だけは疑われる要素がないっていうような口振りだなっ!」
>>152 いいね・・・君・・・いいよ・・・
もっとかいてくれ
154 :
【かまいたちの夜】:2001/04/20(金) 21:23
「な、なんだってっ????」
俺はびっくりして振り返った。正直俺が疑われることなんて夢にも思わなかった。
「だから!スコール、貴様にもシュウを殺す可能性はあったということだ。
ゼルもお前に殺されたのかもしれん。」
本気で疑っているわけではないのだろう。
本気なら奴のことだ、とっくに飛びかかってきているだろう。
だがいずれにせよ、ここで妙な疑いを残したままうやむやにするわけにはいかない。
完全なぬれぎぬだからだ。
俺は必死になって弁明した。
「何を言っている?俺はゼルが死んだときはこの談話室にいた。
ここにいるほとんだがそれを証明してくれている。
そしてそれから2階には上がっていない。それもみんな知っている!」
だがサイファーは唾をとばしながら反論した。
「2階には上がっていないだと?
貴様とリノアは1階の捜索をしている俺と雷神に一緒に探すと言ってやってきたな。
だが、その前に一度二階に上がり、シュウを殺してから再び1階に降りたのかもしれんだろうが。」
「馬鹿な!!リノアも一緒だったし、2階に上がったのなら談話室を確保している
校長達に見られるに決まっている!」
「いっとくがリノアは証人にはならないぜ。
それに館の捜索をしているときはかなりバタバタしていたからな。
談話室にいる人間が見落としていたとしても不思議じゃない。」
俺はサイファーの言いがかりにかなりムカッときた。俺も激しく言い返す。
「ならいわせもらうがなっ!
サイファー、ゼル殺しに関しては貴様の方がずっと疑わしいのだぞ?」
「・・・・・・・・なんだと?」
「ゼルが殺されたとき、2階にいたのはシュウを除いてはお前達風紀委員3人しかいなかった。
つまりゼルを殺したのはお前達の中の誰かだ!!
そうなるとシュウも何らかのトリックを使って殺したいう話にもなってくるっ!!」
俺がそれだけ言うとサイファーの顔が徐々に憤怒の相に変化していくのが分かった。
青ざめていた顔が真っ赤になっていく。
「お、俺が・・・・・・・・・シュウを・・・・・・・殺したとでも・・・・・・・」
「その可能性がないとはいえないっ!!」
その瞬間サイファーが俺に飛びかかってきた。
「な、なんだとっっ!!!!もういっぺんいってみろぉぉぉぉっっ!!!」
155 :
名無しさん@LV2001:2001/04/20(金) 23:46
ドキドキage
156 :
【かまいたちの夜】:2001/04/21(土) 21:49
サイファーが俺に飛びかかろうとしたその瞬間、イデアの悲しい声が響きわたった。
「もう、やめてっっ!!!」
見るとイデアは力を失って床に座り込んでいる。
「あなた達は仲間でしょ・・・・
同じ学園の生徒じゃないの・・・・・・・
それが・・・・そんな風にお互いをののしりあって・・・・疑いあって・・・・・」
その姿をみた俺は罪悪感を感じるとともにサイファーとやり合う気力も失った。
サイファーも俺と同様だったようだ。
振り上げた拳を降ろし、力無く、
「だけど・・・・・現に二人もの人間が殺されているんだぜ・・・・・・・・」
だがイデアはその声も耳には入らないようだ。
うつろな目を床に向けながら、
「嘘よ・・・・・こんなのは全部夢よ・・・・・悪い夢なのよ・・・・・・あるはずがないもの・・・・・」
ともはや正気を失っている。シドはイデアの体を揺さぶり、
「しっかりしなさい!」
などと必死に元気づけている。
俺は後味の悪いものを感じながら事件について思いを巡らしていた。
ゼルを殺すチャンスがあったのは誰か?
シュウを殺すことのできたものは何人いたか?
この目の前のサイファーはどうか?
こいつはゼルが死んだときには確かに2階にいた。
だから風紀委員、最低でも雷神と一緒ならば犯行は可能だ。
だが、奴はシュウが2階に上がってからは一度も2階には上がっていない。
そのアリバイは完全に思える。
・・・・・・ん?
アリバイ?
アリバイだと?
突然俺の頭の中に一つの考えが浮かんだ。
157 :
【かまいたちの夜】:2001/04/21(土) 22:28
158 :
名無しさん@LV2001:2001/04/21(土) 22:38
マジでおもろい!
159 :
【かまいたちの夜】:2001/04/21(土) 22:54
「つまり・・・・・・・」
すっかり犯人の目星がついた俺はいきなり犯人の名を言うよりも
その根拠を言うべきだと考えて語り始めた。
「曖昧なことを言うつもりはない。きっちりとした根拠があるのだ。」
みんなはまだ半信半疑の目つきだったが俺は構わずに続けた。
「消去法で考えてみよう。ゼルとシュウの二人を殺せない者は消していくのだ。
まずゼル。
奴が2階に上がっていったときは風紀委員を除いて全員が談話室にいた。
そしてゼルはそのまま自分の部屋に入って殺され、降りてきてはいない。
だから1階にいた俺達にはどう考えてもゼルを殺すのは不可能だ。」
サイファーの顔つきが険しくなった。俺は言葉を続けて、
「そしてシュウ。
シュウが死んだときにサイファーと雷神は俺とリノアと一緒に1階の捜索をしていた。
それからシュウが死ぬのを発見するまでサイファーはここを離れていない。」
サイファーの表情が少し和らいだように見えた。俺は少しためらいながら、
「以上だ。今言った人は少なくとも片一方の殺人についてはアリバイがある。」
俺のその言葉にサイファーの隣でずっと沈黙を守り続けていた女が体を強ばらせた。
サイファーも妙な雰囲気に気づき、ちょっと眉をひそめて考えていた様子だったが
やがてハッと気づいて隣を見た。
風神は顔面蒼白となり、表情を引きつらせていた。
サイファーが手を震わしながらやっとのことで声を上げた。
「ス、スコール・・・・・!お前は!お前はまだそんなことを!!」
だが俺は動じなかった。自分の推理に自信があったからだ。
「俺は事件を整理して事実を言ったまでだ。いい加減なことは言っていない。
風神だけは、二つの殺人事件両方にアリバイがないのだ。
それに、事件を順序よく話しただけでそういう反応をするということは
お前も風神が犯人である可能性を少しは感じたのじゃないのか?」
俺は少し冷たすぎたかもしれない。
だがここでうやむやにするわけにはいかないのだ。
そういう態度はより事態を混乱させる。
サイファーはガックリと膝をつき、風神の顔を見ないようにして叫んでいる。
「お、俺は信じない!!そ、そんな馬鹿な話あってたまるか!!!」
風神は怯えた目つきでそんなサイファーをじっと見つめている。
160 :
弟切草:2001/04/21(土) 23:46
結末が楽しみですな・・・
俺はじっと風神の表情を見つめた。
推理に間違いはないと思うがもし風神が犯人ならここでボロを出すかもしれない。
風神の顔からは完全に血の気が引き、色白な肌が更に真っ白になっていた。
恐怖に顔を引きつらせ、口もきけないでいる。
これは演技なのだろうか?
それとも自分が犯人だと言い当てられてショックを受けているのだろうか。
それとも・・・・・・・。
俺が何とも判断をしかねているとシドがすっかり弱々しい声で、
「しかし・・・・動機がありませんよ。風神がなぜ、シュウを・・・・・?」
するとキスティスが突然立ち上がった。
「動機ならあるわよ!」
/|/
_ヽ:::::丶
/:::::::::::::::::ヽ
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_丶 (:::::::::::::::::::::::::丶 「私にもすべてがわかったわ」
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|:::::::::::: ヽ 丶::::::-
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 ̄ ̄  ̄ ̄
今度はキスティスに一同の目が向けられる。
風神が犯人だと言った俺も動機に関しては何も分からなかったので興味を持って見守る。
キスティスは何も言えないでいる風神を一瞥して冷静な口調で語り始めた。
「シュウがサイファーと付き合っていたってのは・・・・・・前から知ってたわ。
直接シュウから聞いてたから。
わたしは別に何も言わなかった。だって恋愛に身分なんて関係ないでしょ?
だけどね。わたしには一つだけ気になることがあったの。
それは風神、あなたの存在よ。
あなたもサイファーのことを思っていたのは誰もが知っていること。
シュウとサイファーの仲が深まればあなたはどう思うかしら?
それだけが心配だった。
ガーデンの教官であるシュウの命取りにもなるかもしれないと思ったから。
でも・・・・・それが本当の意味での命取りになるなんて・・・・・」
風神は初めて口を開いた。
「事、事実無根!!!我無実!!」
だがその必死の言葉もキスティスの氷のように冷たい言葉によってかき消された。
「あなたがやったのよ。」
それは憎悪に固められた言葉だった。
キスティスは親友のシュウが風神に殺されたとを完全に信じていた。
だから冷静を装いながらも心の中ではもの凄い憎しみの炎が燃えていたのだろう。
風神はそれを感じてか力を失ってフラッとアーヴァインの方に倒れかかった。
だが彼は彼女を受け止めるどころか、
「うわっ!!」
と言って反対方向に風神を突き飛ばす。
今度は風神はセルフィのいる方に倒れ込み、二人は重なるように床に倒れた。
次の瞬間、セルフィが恐怖の叫び声を上げた。
「ヒッ、ヒィッ!!!!!」
見ると倒れ込んだ衝撃で風神の服から2枚の円月輪が床に落ちて転がっていた。
そこにいた全員がハッと息をのむ。
もうこいつが犯人だ。
動機もある。
エアロラ、円月輪という凶器もある。
アリバイはない。
こいつしか考えられない。
ほとんどの人間ががそう感じたと思って間違いはなかった。
「ヒィッ、ヒィイイッ!!」
セルフィが言葉にならない声を上げながら腰でも抜かしたのか
ズルズルと這うようにして必死に風神から離れようとしていた。
その様子を倒れ込んだ風神は悲しげな、また不安げな様子で見つめていた。
セルフィは再び大声を上げる。
「ひ、人殺しっ!!」
そのかんだかい声のおかげで俺を含めたみんなの体に戦慄が走った。
だがシドだけはまだ事態を丸く収めたいようだ。
「ちょっと落ち着きなさい、セルフィ。まだ犯人と決まったわけじゃ・・・・」
そう言いかけたシドに向かってセルフィは鬼のような形相で叫んだ。
「いい加減にして!!こいつが殺ったのよ!!
こいつをどっかに閉じこめてよ!!でなきゃあたしが殺されるわっ!!」
俺はそう叫ぶセルフィの姿を見てまばたきを繰り返した。
誰だ、こいつ?
こんなやつ俺の知り合いにいたか?
そう思うほどセルフィの人相は一変していた。
極限の恐怖によって血走りった目はつり上がっている。
いつもの明るくておっとりしたセルフィと同一人物だとはとても信じられなかった。
そのギラギラとした目ににらみつけられてシドはかなり動揺した。
あまりの圧迫感からか無意識のうちに一歩後ずさりしたほどだ。
俺は息をのみながらもなんとかシドをフォローしようと思い、言った。
「ま、待てセルフィ。シドさんを責めてもしょうがないだろう。」
今度はセルフィの恐ろしい眼光が俺に向けられる。
怖い。
本当に怖かった。
こんな目ができるならこいつも人を殺せるかも、とそう思ったほどだ。
俺は目をそらしながら、
「い、いや、閉じこめるって案には別に反対はしない。
一番怪しいのが風神っていうは分かっているのだから。
地下室があっただろう。あそこに入れておけば問題ない。
明日警察が来るまで・・・・・」
すると今度は風神が叫び声を上げた。
「い、いやだっ!!
人殺しがいるかもしれないってのにあんなところに閉じこめないで!」
言葉遣いも変化していた。
立ち上がり、身を震わせながら必死に俺に訴えかけてくる。
その様子は演技かもしれないとはいえ、俺にはとてもまともに見ることはできなかった。
だが他の者はそうでもなかったようだ。
アーヴァインは守るようにしてセルフィの前に立つと、
「君が犯人なんだから何も心配しなくていいんだよっ」
と皮肉をこめた調子で言う。だが風神はそれでも哀願するように周りを見ながら、
「いやっ!お願いだから信じて!」
もういつもの凛々しくてクールな風神の姿はそこにはなかった。
まるで子供のように泣きじゃくりながら無実を訴え続けていた。
俺は少し自分の推理が正しいのか不安になった。
これが演技なのだろうか?
本当に風神があんな恐ろしいことをやったのか?
風神は誰も自分に味方をしてくれないのを感じ、最後の頼みの綱に助けを求めた。
「サイファー!!お願い!なんとかいって!あたしがやってないことを証明して!!」
だがサイファーは顔を上げようともしなかった。
力を失って座り込んだ彼は頭を振りながらブツブツと何やら言っている。
「わからない・・・・・俺にはなにもわからない・・・・・・わからないんだ・・・・・・・!」
俺は意外だった。
サイファーは風神の助けに応じて必ず彼女をかばうものだと思っていたからだ。
だが彼は今やすっかり弱気になり、立ち上がろうともしない。
その様子から彼もまた、風神に対して疑いを抱き始めていることが分かった。
殺されたシュウ、そしてそのシュウを殺したかもしれない風神。
サイファーが風神を擁護することができないということから、
彼がシュウと風神のどちらに対する思いが強かったかという事が明白だった。
だが風神が受けたショックは俺の何倍も大きかったように見えた。
サイファーにも信じてもらえない。
彼女はガックリと膝をつき、観念したようにみえた。
「さて、アーヴァイン。彼女を地下室に案内してあげて。」
キスティスが事務的な口調で冷たく言う。
俺は風神を立ち上がらせようと彼女の華奢な腕に触れた瞬間驚愕した。
風神はウサギのように震えていた。
まるで高熱にかかったみたいに体中を小刻みに震わせ続けていた。
これが演技か?
それとも罪の呵責に耐えかねているのか?
俺はますます訳が分からなくなっていた。
その時、雷神が意を決したように立ち上がって発言した。
「俺は、俺は風神を信じるもんよ!!」
雷神の言葉に風神は意外な顔をしたが、すぐに顔をパァッと明るくさせて彼の懐に飛び込んだ。
泣きじゃくりながら唯一の味方、雷神の体に顔を埋めている。
普段の雷神風神の関係からは考えられないことだ。
よほど怖かったのか・・・・いやこれも演技かもしれない。
俺は決して油断はしまいと様子をうかがっていた。
だがキスティスはこの美しい風景にも全く心を動かされなかったようだ。
「そう。信じるのは勝ってだけど、地下室の中で殺されても知らないわよ。」
風神のこのか弱い姿にも動揺しないキスティスを見て俺は背筋に冷たいものを感じた。
「そ、そんなことありえないもんよ!」
雷神がそう言うとアーヴァインは、
「なるほどね。二人が共犯って可能性もあるしね。」
「ええ、それもあり得ることね。
いずれにせよ、この二人を朝まで地下牢に閉じこめておけば私たちは安心して寝られるわ」
わざと地下室を地下牢と呼んだキスティスの精神状態はどんなものなんだろうか?
考えたくもなかった。
アーヴァインは半ば強引に雷神と風神を地下室に入れるとカギをかけた。
そしてカギをシドに返して、
「さて、これで今夜もぐっすりと寝られるね」
シドはまだ憮然とした表情だ。
「しかし・・・・よかったのでしょうか、これで。」
俺はシドの心中を察してなだめるように言った。
「仕方がないですよ。それにこの方法が一番良いと思います。
もし風神が犯人でなかったとしても、カギのかかった地下室にいるということは
彼女たちを守ることにもなる。」
シドはなるほど・・・・と少し納得した様子で何となくうなずいた。
キスティスはパンパンと手を叩いた。
「それじゃ、今日はこれでお開きにしましょう。
明日の朝になったらまたこれからどうするかをゆっくり考えるのよ。
それじゃ、お休みなさい。」
それだけ言うとキスティスはスタスタと階段を上がって2階にいってしまう。
シドとイデアも1階の自室に戻り、その他の者もゆっくりと階段を上がった。
すっかり力を失ってやつれたサイファーは幽霊のようにすぅっと自室に戻る。
セルフィは怯えながら、アーヴァインに向かって、
「ア、アーヴァイン・・・・きょ、今日は一緒に寝て・・・ね、いいでしょ?」
と頼んでいる。
アーヴァインは少しビックリした顔つきだったが、
「う、うんうん、もちろんさ。当然だよっ。
じゃ、ス、スコール、リノア、お休み、気をつけてね」
と言って二人はセルフィの部屋に姿に消した。
当然、俺もこんな夜にリノアを一人にするつもりはない。
「俺の部屋にこないか?」
そう言うと、リノアは黙って首を縦に振った。
俺達は2階の一番はしにある俺の部屋に入り、カギをかけた。
そして長い夜が始まった・・・・・・・・・・
続きが楽しみ〜
170 :
【かまいたちの夜】:2001/04/22(日) 20:21
俺は部屋にはいると、二つあるベッドの一つに座った。
リノアは俺と向かい合うようにしてもう一つに腰掛ける。
今夜はとても眠れそうになかった。
色々なことが起こりすぎた。
長い沈黙。
そしてリノアが、悲しげな目で静かに口を開いた。
「ねぇ・・・・本当に、本当に風神が犯人なの???」
俺は首を振った。
「・・・・本当のところはわからない。
だが、風神が一番疑わしいことだけは確かなんだ。」
「でも・・・・あたしには風神があんな恐ろしいことをやったなんて思えない・・・・」
リノアは目を潤ませながら激しく頭を振った。
俺は彼女を落ち着かせるためにその肩に手をやりながら、
「俺も同じ気持ちだ。明日になれば総てが明らかになる」
「明日・・・・・。
そんなもの来てもらわなくてもいいよ・・・・。
ゼルとシュウが死んで・・・・風神が殺したかもしれない明日なんて・・・・・
なにもかもが夢だったら・・・・・・う・・・ううっ・・・・・・」
リノアは泣き出した。
俺はリノアの隣に座り、黙って彼女の肩に手を回した。
そうだ。
俺だってこんな凄惨な事件の結末など見たくはない。
だが・・・・俺がここで現実に目をそむけてしまったら・・・・
俺が負けてしまったらこのリノアの命すら・・・・・・・
俺は何があってもリノアだけは守るという決意を新たにし、強く彼女の体を抱きしめた。
そうして俺達は体を寄せ合いながら・・・・・いつしか眠りへと落ちていった・・・・・。
171 :
【サバイバルゲーム】:2001/04/22(日) 20:27
俺は目を覚ました。
物音がしたような気がしたのだ。時計を見るともう午前4時だ。
そして俺は隣にいるはずのリノアがいないことに気づき、愕然とした。
どこだ?
どこにいる??
シャワーでも浴びているのか?
俺は暗がりの中、焦りながら部屋の中を見回して恐ろしいことに気がついた。
ドアが小さく開いていた。
そんな馬鹿な。
リノアが部屋を出た?
いくら風神が閉じこめられているとはいえ、まだ犯人とははっきりとはしない中、
一人で部屋を出たのか???
俺は息をのみこみながら慌ててドアを開け、2階廊下に飛び出す。
廊下に据え付けられたいくつかの電灯だけが照らしているがリノアの姿は見えない。
その時、身を震わせるような悲鳴が響きわたった。
「きゃぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!」
恐ろしい悲鳴だった。
足がすくみ、体が硬直する。
これほどの悲鳴をあげさせた何かとは一体どれほどの恐ろしいものなんだろうか?
「ひ、ひいっっっ!!」
再び悲鳴が上がる。先ほどよりは短いが更に恐怖のこもった声だ。
だが、間違いない。リノアの声だ。
俺は恐怖をかみ殺し、無我夢中で階段を駆け下りた。
1階に降りて俺は思わず声を上げそうになった。
風神を閉じこめたはずの地下室の扉が開いていたのだ。
ま、まさか・・・・・・!
風神が脱出したのかっ???
その時、シドとイデアの部屋に通じる廊下からリノアが足を引きずらせてやってきた。
その表情から彼女が何か恐ろしいものを見たというのは明白であった。
俺の姿を見つけると安堵からか少し表情を和らげて抱きついてくる。
俺は叫んだ。
「どうしたんだ!なにがあった!!」
するとリノアは再び顔をゆがめながら、
「うっ・・・ううっ・・・・・シドさんが・・・・・イデアさんが・・・・・・・・!」
俺は何が起こったのか、何をリノアが目撃したのかを大体理解した。
放っておくわけにはいかない。
「来てくれリノア。確認しにいく。」
するとリノアは必死にかぶりを振りながら、
「いやっ!!あんなところに戻るのはいやよっ!」
俺は彼女を落ち着かせるためにギュッと抱きしめながら、
「分かっている。お前は部屋には入らなくても良い。
だが俺は確認をしておかなければならないんだ。お前を一人にするわけにはいかない。」
リノアはしぶしぶといった感じでうなずいた。
俺はリノアを後ろに引き連れながらゆっくりとシドとイデアの部屋に通じる廊下を歩いた。
ギシッ・・・・ギシッ・・・・・と床が音を立てる。
不気味なその音に俺はゼイゼイと呼吸を荒くさせながらただ歩き続けた。
なんて長い廊下なのだ。
なんて長い時間なのだ。
俺がそんなことを考えていると二人の寝室のドアに当たった。
後ろを振り向く俺。
リノアの様子からするとこの中に二人が・・・・・・
恐ろしかった。
だがためらってなどいられない。
俺はドアを開けた。
薄暗い寝室。
天井の照明のオレンジ灯だけがなんとか部屋の中を照らしている。
だがそれだけではよく見えなかった。
リノアはもう入ってこようともしない。
俺は一人で部屋の中に入り、まっすぐ進んだ。
そして発見した。
ベッドの上で血塗れになって死んでいるシドの姿を。
胸を中心に刺されたのだろう、白い寝間着が真っ赤に染まっている。
目は白目を向き、口を大きく開けている。
そのひどい有様に俺は気が遠くなりそうだった。
胸の奥からなにかがこみ上げてくるようだ。
出なくては。
もうの部屋から一刻も早くでたい。
俺はシドの死体から後ずさりすると後ろを振り返った時、思わず声をあげてしまった。
「わあっ!!!」
‖
‖
‖
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それは首にロープを縛られ、宙吊りにされたイデアの死体だった。
部屋のドアのすぐ横で人形のようにぶら下がっている。
だから入ってくるときには気づかなかったのだ。
両腕は後ろ手に縛られ、絶対に助からないようにされている。
目は恨めしげに上を向いたまま開きっぱなし、口は泡を吹いていた。
俺は驚きの余り、うしろに倒れ込んだ。
なんてひどいことを・・・・・・。
なんて恐ろしいことを!!
こんなことをできるのは人間ではない!
そう思って恐怖におののきながらも俺は大事なことに気がついた。
そうだ。これは風神の仕業なのだ。
風神の地下室のドアは開いていた。
だとすると一緒に閉じこめられていた雷神が危ない!
若しくは雷神も共犯なのか???
俺はリノアの手を取ると転がるようにして1階のロビーに向かった。
談話室の隣に位置するロビーもまた暗闇。
そしてそこにはまるで地獄に通じる入り口のような地下室の扉が口を開けていた。
まるで俺達を死に誘うかのようだ。
だが、恐らくここにはもう風神はいまい。
すでにどこかに姿をくらましているだろう。
俺は意を決してドアを開け、地下室に通じる階段を降りていった。
後ろからはリノアがおっかなびっくりついてくる。
下に降りると完全な暗闇だ。
これではなにも見えない。
俺は電気のスイッチを求めて壁を探しまくるとやがて手応えがあった。
壁と・・・・・・そして足下に。
ぐにゃりと何かを踏んづけたのだ。
いやな感触。
人だ。
これは間違いなく人だ。
俺はスイッチをオンにし、電気をつけた。
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\二::::::::::::::::::/─丶:::::::/
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 ̄ ̄
意外なことにそれは風神の死体だった。
真横を向き、死ぬ直前何かに仰天したかのように目は大きく見開かれている。
喉をひとつき。
のどから出た大量の血が床にあふれている。
死ぬ間際に流したと思われる涙が水たまりをつくっている。
どういうことだ??
なぜ風神が??
風神が犯人でなかった?
するとやはり犯人は俺達の全く知らない外部の者だったということか!
その時風神の死体に目をそむけながら部屋の奥に行っていたリノアが小さな叫び声を上げた。
「ス、スコール!!ら、雷神も死んでる!!」
慌ててリノアの元に駆けつける俺。
雷神も壁にもたれかかるようにして動かなくなっていた。
胸は口から吐いたと思われる血で汚れ、足元には食べ物が転がっていた。
「毒か・・・・・・・」
俺はつぶやいた。
雷神達がここに入れられるときに誰かが差し入れたか、
若しくは元々ここにあったと思われる毒によって雷神も命を落としたのだ。
俺はすぐにそう理解した。
もうこれはぐずぐずしていられない。
すでに更に4人もの犠牲者が出たのだ。
すぐに一致団結して身を守らなければ俺達まで殺されてしまう。
だが、キスティスやサイファー達は無事なのか?
もし彼女たちもすでに殺されていたとしたら・・・・・?
いやそうではなく、彼女たちの中にこれほどのおぞましい殺人を繰り返した
犯人がいるとしたら・・・・・・・?
俺は脳裏に浮かぶそんな恐ろしい考えを振り払うかのように頭を振り、
「行くぞ!!」
俺は叫んでリノアの手を引き、地下室を飛び出した。
179 :
名無しさん@LV2001:2001/04/22(日) 23:01
思うんだが、アレイズ使ったらみんな生き返るんじゃ・・・ていう考え方駄目だよね?(w
面白いなあ。
作者さまがんばってください!
ドキドキsage
183 :
【サバイバルゲーム】:2001/04/24(火) 00:33
俺はリノアの手を引いて必死の思いで階段を駆け上がった。
とにかく生き残っている全員を起こさなくてはならない!
まだ生きている者がいればの話だが・・・・・
ダンダンダン!
ダンダンダンダン!!
各部屋を叩いて回る俺。
お願いだ!
早く出てきてくれ!!
切実な思いをこめて狂ったように扉を叩いているとやっとのことで一つのドアが静かに開いた。
それはアーヴァインとセルフィの部屋だった。
アーヴァインが用心深く少しだけドアを開けて何も言わずにじっと俺とリノアを見つめている。
俺は叫んだ。
「大変なんだ!!風神が殺された!雷神も死んでいた!!あいつらは犯人じゃなかったんだ!」
少しだけ開いたドアの隙間に見えるアーヴァインが瞳孔が大きく広がる。
「な、なんですって・・・・・・・」
それは騒ぎを聞きつけて部屋から出てきたキスティスの声だった。
彼女も恐らく一睡もしていないのだろう。
「も、もう一度言って・・・・」
冷静を装うキスティスの声が震えている。俺は再び大声で
「死んでいたんだよ、二人とも!!
それに・・・それに・・・・・シドとイデアも殺されていたっ!!」
アーヴァインもワナワナと声を震わせながら、
「そ、それじゃ4人も殺されたのか・・・・・」
部屋の中のセルフィがひゅうっと息をのむ音が聞こえた。
俺はキスティスとアーヴァインの双方を交互に見ながら、
「犯人は恐ろしい殺人鬼だ!ここはみんなで団結しなくては・・・・・・・・!」
そういう俺の袖を引っ張るものがあった。
リノアだ。
彼女はかすかに開いた一つの部屋を指さしながら、
「ス、スコール・・・・・・・サイファーの部屋が開いている・・・・・・・・・」
俺はリノアが指し示すドアに顔を向けた。
開いている!
少しだけだが開いている。
それは俺が総てのドアをさっき叩きまくった勢いで開いたのだった。
つまりカギがかかっていなかった。
そしてサイファーが出てきていない・・・・・・・・!
あの注意深いサイファーがこの状況下でのほほんと寝ているとはとても思えなかった。
俺はリノアと共にサイファーの部屋に飛び込む。
いない。
どこにもいない。
バスルームにも。
クローゼットにも。
隅々まで探したがどこにもいなかった。
俺はそれによって一つの結論を出すに至り、部屋を飛び出した。
キスティスは半開きになったセルフィ・アーヴァインの部屋の前でじっと立っていた。
そして彼女は俺の思考を読むかのように、
「サイファーが・・・・・・犯人なの?」
だが俺は答えなかった。
そんなことより一刻も早く全員で固まって身を守りたかったのだ。
俺はアーヴァインに向かって言った。
「ここを開けてくれ!お願いだ!みんなで協力しないと・・・・・・!」
アーヴァインはどうしたものかと困惑気味で後ろを振り返った。
すると奥からセルフィが金切り声で
「絶対に入れちゃダメ!ダメだよ!!」
「違う!俺達は違う・・・・・・・・!」
俺が必死に説得を続けていると横からキスティスが厳しい声で言った。
「犯人はサイファーよ!!開けなさい!!
このままじゃ皆殺しにされるわよ!!」
再び後ろを見るアーヴァイン。セルフィは黙りこくった。
ゆっくりとドアが開けられ、俺とリノア、そしてキスティスが入り、
堅くカギがかけられた。
長い沈黙が続いた。
生き残った5人。
俺とリノア、キスティス、アーヴァイン、セルフィ。
みんな何も言わない。
全員疲れ切っていた。
アーヴァインはセルフィを守るようにその傍らについているが、
本人も恐怖の極限にあるのかもの凄い汗をかき、目を不安げにキョロキョロ動かしている。
セルフィは頭からふとんをかぶり、ガタガタと震えて俺達を見ようともしない。
リノアも呆然としていて意識が朦朧としているようだ。
無理もない。彼女は俺と一緒に4人の死体を目撃しているのだから。
俺を除いてはかろうじてまともな精神状態を保っているのはキスティスだけだった。
彼女は目をつぶって腕を組み、何やらじっと考え込んでいる。
男の俺が言うのもなんだが、やはり彼女はこういときには頼りになる。
しばらくしてアーヴァインが沈黙を破った。
「・・・・・・ほ、本当にサイファーが、みんなを、やったのか??」
一つ一つの語句を確認するようにゆっくりと言葉を吐き出した。
「・・・・・恐らくは。サイファーがここにいないということは・・・・・・」
俺がそう言った瞬間、奇妙な音が部屋中に、いやペンション中に響きわたった。
ピン ポーン...................
ピン ポーン...................
それは玄関のインターホンの音のようだった。
更に一つ。
ピン ポーン...................
もう一つ。
ピン ポーン...................
「ひ、ひいっ!!」
アーヴァインがたまらず声を上げた。
「天にまします我らが父よ・・・・・・迷える子羊をおま、おま、おま、おまもり・・・・・」
布団の中ではセルフィがガクガクと震えながらひたすら祈りの言葉を唱え続けている。
こ、これは罠か・・・・・・
俺が思ったとき突然キスティスが叫んでドアの方へ走り寄った。
「た、助けだわ!!誰かが助けにきてくれたのよっ!!」
そんな馬鹿なことが・・・・・・。
俺は慌ててキスティスを止めに入る。
「違う!これは絶対に罠だ!出てはいけない!!
こんな吹雪の真夜中に助けが来るものか!!」
だがキスティスは俺の腕を必死に振りほどきながらにらみつけた。
「何言ってるのよ!!助けが来てくれたのよっ!!
早く行かなくちゃ帰ってしまうわよっ!!」
一番冷静だと思っていたキスティスが・・・・・・実は一番錯乱していたのだ。
こんな誰でも罠だと分かる事も見抜けない有様だ。
彼女もそれほど見えない殺人者の恐怖に追いつめられており、
インターホンのベルの音でその恐怖のタガが外れてしまったのだ・・・・・・
キスティスは必死に止める俺の腕を振り払うとドアを開けて出ていってしまう。
どうしたのものか・・・・・?
一瞬躊躇する俺。
するとリノアが叫んだ。
「キスティスを一人にしちゃだめ!!スコール!行ってあげて!!」
俺はうなずくとキスティスを追って部屋を出た。
ダダダッ、と俺は階段を転げ落ちるように駆け下りた。
急いで玄関口に向かう。
そこにはペタンと尻餅をついて惚けたようにあらぬ方を眺めるキスティスの姿があった。
「あ・・・・あああ・・・・・・あああ・・・・・・・・・」
もうその声は言葉にならない。
俺は玄関扉を見て愕然とした。
玄関のガラスをつきやぶって、誰かの腕が・・・・・・
俺は無我夢中でドアを開け、腕の本体を部屋に引きずり入れた。
雪にまみれたその男は・・・・・・・・サイファーだった。
頭から吹き出したと思われる血が雪を汚している。
完全に命を失っていた。
サイファー・・・・・・・・・この男もまた犯人ではなかった。
では、一体誰が?
その時、ヘタリ込んだキスティスが顔を真上に向け、ブツブツと言い出した。
「もうだめ・・・・・・みんな死んでいく・・・・・・・・・・誰も助からない・・・・・・・」
そんなことがあってたまるかっ!!
俺は怒りを覚えてキスティスをにらみつけたが彼女は何もわからないようだった。
「死んでいく・・・・・みんな死んでいく・・・・・・・ここであたしも死ぬ・・・・・・」
これ以上、俺に恐怖を与えるなっ!!
俺はブツブツと言い続けるキスティスを殴りつけて黙らしてやりたかった。
ん???
恐怖を与える??
混乱させる??????
その時、俺の脳裏に一つの考えが浮かんだ。
きになる
わくわく
190 :
【サバイバルゲーム】:2001/04/25(水) 00:13
見えない殺人者の影に最初からおびえ続けていたセルフィ。
そして常にその発言を擁護しつづけてきたアーヴァイン。
アーヴァインはゼルの死がかまいたちによるものだと言っては俺達を惑わし、
セルフィは仲間が信用できないといっては俺達を疑心暗鬼に陥れた。
この二人の言動は常に俺達の結束をかき乱し、混乱させ続けてきた。
そう考えられなくもない。
そして、俺とリノア、そして俺の目の前で呆然としているキスティスを除いては
生き残っている者は彼らしかいない。
まさか・・・・・・彼らが・・・・・・・・・。
そう考えるといても立ってもいられなくなった。
リノアがあの二人と一緒にいるのだ。
俺は2階に駆け上がって三人のいる部屋に向かおうとした。
すると先に階段を降りてくる者がいた。
リノアだった。
「スコール!!」
俺にしがみつくリノアに俺は、
「どうしたんだ・・・・勝手に出てきたりして・・・・・・」
「だって・・・・・スコールが遅いからっ」
リノアは体を震わせて俺にしがみついてくる、
俺は、何を考えるまでもなく、彼女を強く抱きしめた。
殺伐とした空気が流れる中に、一瞬だけ和らぎの瞬間が訪れる。
だが・・・・・いつまでもこうしてはいられない。
俺はリノアの腕を掴んで、共に2階に駆け上がった。
セルフィとアーヴァインのいる部屋を素通りするとリノアは、
「ど、どうしたの!?セルフィの部屋を通り過ぎたよっ!」
俺は何も言わず、自分の部屋のドアを開けると素早く開けてカギを閉めた。
リノアは以前としてじっと俺の顔を凝視し続けている。
ついさっき、みんなで団結しなければならないといった俺の行動を理解しかねている風だ。
俺はそんな彼女を安心させるために、考えを告げた。
「リノア。サイファーが死んでいたんだ。」
ある程度予想していたとはいえ、やはり彼女にとってサイファーの死はかなりのショックだったようだ。
クラッと倒れそうになる。俺はそんなリノアの体と心をしっかりと支え、
「良く聞いてくれ。俺達を除けば、生き残っているのはセルフィとアーヴァイン、
それにキスティスだけだ。
キスティスはさっき見たとおりの有様だ。
つまり、犯人だと考えられるのは、セルフィとアーヴァインしかいない。」
「そ、そんな・・・・・セルフィが犯人??そんなことって・・・・・」
とても信じられないといった感じだ。
「信じがたいことだからこそ、これほどの惨事になってしまったのだ。
いいか?もう絶対に部屋を出てはダメだ。
朝まで二人でこの部屋にいるんだ!」
リノアは涙を流しながら俺の手を握りしめた。
よほど怖いのだろう。そして悲しいのだ。
だが次の瞬間彼女は驚くほどしっかりした語調で、
「でも!キスティスは?キスティスをほっておいていいの?
もしセルフィ達が犯人だとしたらキスティスが殺されちゃうよ!」
「・・・・・・・・だが、もうここを出るのは危険すぎる・・・・・・」
「そんな!自分たちだけ助かればいいの??ダメだよ!キスティスを助けて上げて!」
俺はためらった。確かにリノアは守りたい。
キスティスだってここに連れてきてやりたい。
だが、俺だって怖いのだ。
正直あの死体の山を見せられた今、もう一度ドアを開けて部屋の外へ出るというのは
どれほどの勇気を必要とするかわからなかった。
俺が逡巡していると突然、叫び声が聞こえた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
恐らくはセルフィの声だった。
悲鳴とも雄叫びともつかぬ奇妙な声だ。続いてアーヴァインの声。
くぐもった悲痛に満ちた声だ。リノアは俺の目を見つめて、
「な、なに・・・・・今の・・・・・・?」
「わからな・・・・・・・」
と俺が言いかけたとき、
ドギュウウウウンンンンッ!!
銃声だった。ライフルが撃たれる音。
「い、いまのライフルの音??ア、アーヴァインのライフル???」
それは間違いない。
だがそのアーヴァインのライフルを誰が撃ったのか、誰に向けて撃ったのか全く分からない。
セルフィとアーヴァインがキスティスにとどめをさしたところなのかもしれない。
「スコール!!キスティスが!!」
リノアが叫んだ。
俺も覚悟を決めた。
ここでキスティスを見殺しにするわけには行かない。
俺はドアを開け、真っ暗な闇の中に一歩を踏み出した。
ぎしっ・・・・ぎしっ・・・・・・・
廊下がきしむ。
階段のところまでやってきた。
左が階段。右がセルフィの部屋。
俺は少し迷った後、セルフィの部屋を開けることにした。
するとそこにはある人影が・・・・・・・
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ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::| )ヽ
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/:::::::::::::/ ───
アーヴァインだった。
虚ろな目をしている。
次の瞬間彼は後ろに隠し持っていたライフルをサッと構えて俺に銃口を突き付けた。
至近距離。
撃たれたら間違いなく死ぬ。
俺は文字通り必死になった。
彼が引き金をひくより早く銃の先を持ち上げた。
ガガーンッ!!!
銃弾が天井に向けて発射され、天井の壁がポロポロっと落ちてくる。
だがアーヴァインは力を緩める様子を見せない。
憎悪と恐怖にみなぎった目で俺をにらみつけ、突然懐に手を入れると短銃を取り出した。
俺は反射的にライフルを奪い取ると・・・・・・それでアーヴァインの頭を殴りつけた・・・・・・
一発
二発
三発・・・・・・
アーヴァインは殴られるごとに体を沈め、三発目には床に崩れ落ちていた。
頭から血を吹き、涙を流して口からは血を吐いている。
俺は既に息絶えようとしているアーヴァインの耳に顔を近づけて
「言ってくれ・・・・・お前がみんなをやった犯人なのか・・・・・・」
だが彼はもう俺の声は耳には入らないようで一つだけ呟いて事切れた。
「ごめんよ、セフィ・・・・・。君の仇がとれなかった・・・・・・・・」
俺は初めてアーヴァインを殺してしまったことに気がついた。
俺も人殺しだ。
この手で仲間を殺した。
だが・・・・しょうがなかったじゃないか!
他にどうすればよかったというんだ!!
俺は錯乱しかけたがアーヴァインの最期の言葉が頭に浮かんで我に返った。
仇・・・・だと?
・・・・・・どういう意味だ?
アーヴァインがセルフィを撃ち殺したのではないのか?
俺はその意味を確かめるために部屋に踏み込む。
もう何度も経験をさせられておなじみになっている臭いが立ちこめた。
血の臭い。
死の臭い。
そこには予想通り胸にぽっかりと穴を開けられ、そこから吹き出た血で
ワンピースを真っ赤に染めて死んでいるセルフィの姿があった。
セルフィは床に座り込むようにして死んでおり、その周辺には血が水たまりを作っている。
撃たれた衝撃からか、ドアの向かいの壁にまでぶっとばされている。
まさに凄惨な殺人現場だった。
これをやったのはアーヴァインではないのか?
殺したのは外からやってきた他の誰かでセルフィを撃ち殺し、
アーヴァインはセルフィを守りきれなかったことを悔いながら再び敵が来るのを
じっと待ち受けていたとでもいうのか?
それで俺をその殺人鬼と勘違いして襲った?
★ 犯人の名前 ★
┌─────────┐
│ │
└─────────┘
あ か さ た な は ま や ゃ ー
い き し ち に ひ み ゆ ゅ
う く す つ ぬ ふ む よ ょ ~
え け せ て ね へ め わ ゚
お こ そ と の ほ も ん
198 :
俺の結論は・・・:2001/04/25(水) 19:15
★ 犯人の名前 ★
┌─────────┐
│きすてぃす │
└─────────┘
あ か さ た な は ま や ゃ ー
い き し ち に ひ み ゆ ゅ
う く す つ ぬ ふ む よ ょ ~
え け せ て ね へ め わ ゚
お こ そ と の ほ も ん
当たるかな?
199 :
弟切草:2001/04/25(水) 21:50
★ 犯人の名前 ★
┌─────────┐
│リノア │
└─────────┘
あ か さ た な は ま や ゃ ー
い き し ち に ひ み ゆ ゅ
う く す つ ぬ ふ む よ ょ ~
え け せ て ね へ め わ ゚
お こ そ と の ほ も ん
う〜ん・・・難しい・・・
ら行は?
「犯人はキスティスだ。間違いない。」
俺は無意識のうちにそう声に出していた。
ふと背後に気配を感じて振り返る。
するとリノアが真後ろに立ち、俺をじっと見つめている。
俺の独り言を聞いたのか、困惑したような表情を浮かべている。
リノアの手にキラリと光るものを見つけた。
リノアは慌ててそれを隠したが、それが鋭利なピックであることに俺は気づいた。
だが俺はリノアの気持ちを理解した。
当然彼女が犯人だと疑うこともない。
これほどの死体を見せられ、そして俺がアーヴァインを殺すところまで目撃したのだ。
リノアが俺を疑っても仕方のないことだ。
俺は、リノアの瞳を見つめた。
犯人が誰なのかは分かったが、ここでリノアに疑われて殺されるのなら仕方のないことだ。
俺も今まで無実だった人達を疑い続けてきたし、アーヴァインは実際に殺したのだ。
俺はリノアの判断を待った。
彼女は、手に持ったピックを床に落とした。
カランカランカラン・・・・・・
ピックが転がっていく。
俺はリノアの手を握りしめ、視線を離さずに言った。
「下へ降りよう。この惨劇の幕を下ろさなくてはならない。」
俺達はゆっくりと階段を降りた。
1階の玄関ではキスティスがさっきと同じように床に座り込み、あらぬ方に目を向けていた。
俺は意を決してキスティスに言った。
「キスティス。もう芝居はやめろ。お前が犯人だということは分かっている。」
キスティスは俺の声に反応し、ゆっくりと顔を向けた。
虚ろな目の奥に鈍い光が見える。
俺は言葉を続けた。
「お前がシュウを殺した犯人だ。そしてこの惨い大量殺戮もお前の仕業だ。」
キスティスの瞳が放つ鈍い光が一瞬、まばゆい閃光を放ったかに見えた。
「あたしが・・・・・シュウを・・・・・・・?」
「そうだよ。あんたは今まで常に冷静な判断を持って事態を収拾し、
常に的確な行動を支持てしてきたように見えた・・・・・
だが、それは総てあんたの計算通りにことを運ぶためだったんだ。
俺達は最初から最後まであんたのもくろみ通りに動かされてきたんだ。」
まったく表情を変えないキスティス。
リノアは理解できないと言った感じで俺に言った。
「確かに捜索隊の班分けをしたのはキスティスだったわ。
でも、あの時にはシュウとキスティス以外にもアーヴァインがいたのよ。
それにセルフィや風神だって2階に上がっていた。
彼らに気づかないようにシュウを殺してロッカーに閉じこめるなんてことが・・・・・」
俺はまったく動じずに答える。
「シュウと親友のキスティスだからできた芸当だ。
シュウは恐らく・・・・・・殺されてロッカーに入ったんじゃない。
自分からロッカーに入ったんだ。」
俺がそう言うとキスティスの頬がかすかにピクリと動いたように見えた。
「ど、どういうことなの??」
と一層混乱するリノア。
俺は考えた通りのその時の状況を説明し始めた。
「ゼルの死体が発見されて・・・・・俺達は決して言葉には出さなかったが、
仲間内に犯人がいることの可能性も少なくとも考えてはいた。
2階に上がって犯人を捜索することになったとき、シュウもそんな思いにとらわれていた。
2階を捜索するのはいいが、仲間の誰かが犯人だったら犯人が見つかるはずもないし、
探しているうちに証拠を隠滅されてしまう恐れもある。
そこでキスティスはこうシュウに耳打ちしたのだろう。
『犯人が外部の者とは限らない。
ゼルの部屋を捜索している間に誰かが不審な動きをしていないかどうか見張っていて欲しい。
廊下が見渡せる・・・・・あのロッカーの中に入って見張れば、様子がよく分かる』
シュウは親友のキスティスの言葉を信じた。
状況から内部の人間の犯行であることが高いということを感じていたシュウも
キスティスが自分を殺そうとしているとは夢にも思わなかった。
シュウはキスティスに協力して他の人間に不審な動きがないか見張るつもりで
ロッカーに入った瞬間、キスティスに頭を殴打され、命を落としたのだ。」
俺が説明を終えるとキスティスは不気味な笑みを浮かべた。
リノアは俺の説明を聞いてもまだキスティスが犯人だとは信じたくない様子で、
「でも、ゼルは??ゼルが死んだときはキスティスはあたし達と一緒だったよ!」
「共犯がいたんだ。それは恐らく雷神・・・・・・・・・」
このときキスティスが口元をゆがめて俺に言った。
「どうしてかしら・・・・・・・・・?」
今のキスティスは冷静というより冷酷、そして非情だった。
まったく罪の意識を感じていない。またはすでに麻痺しているのだろうか。
俺は答える。
「死体の山を見つけたとき、たった一つだけ不自然な死に方をしている人間がいた。
それは風神。あれほど怯え続けていた風神。そして彼女を守ろうとしていた雷神。
なぜ風神は地下室の入り口で死んでいたのか?
なぜ風神より奥で雷神が倒れていたのか。
アーヴァインもセルフィを守るためにドアの入り口にいたのだ。
答えは一つ。
風神は雷神に殺された。
逃げようとして出口に向かったところで後ろから雷神に殺されたのだ。」
「そして、あたしが雷神をも殺した、とでも言いたげね。ははっ」
キスティスは笑った。
「だけど全然違うわよ。犯人はあたしじゃない。
さっき銃声がしたけどあれ、アーヴァインのじゃないの?
あんた、彼を殺したんでしょう?」
キスティスは笑みを浮かべながらゆっくりと立ち上がった。
「う、動くなっ!!」
俺の声は震えていた。
それはそうだ。
大量虐殺の現場を見せられ、その犯人がキスティスだった・・・・・・
その余りものショックは憎しみというよりは恐怖感に変化していた。
俺はゆっくりと近づいてくるキスティスに向かって身構えた。
その時、キスティスが突然目の前から消えた。
どこだ???
どこにいった????
俺が慌てて周りを見回していると、リノアが叫んだ。
「スコール!!後ろっ!!!」
だがすでに遅かった。
俺の一瞬のスキをついて跳躍したキスティスは俺の背後に周り、首に腕を回して絞め始めた。
「くっ・・・・・・・・・・・!」
女の力だ。力任せに締め上げてくるわけでもない。
だがそれはその必要がないからだ。
SEEDの教官でもあるキスティスは言ってみれば殺しのプロ。
確実に急所をねらって締めているのだ。
このままではあと数秒で俺は気を失う。
そうすればキスティスは安心してリノアを殺し、俺にとどめを刺すだろう。
だがどうすることもできなかった。
すう・・・・・っと意識が遠のいていく。
もうダメだ・・・・・・薄れゆく意識の中、そう思ったとき、鈍い音が響いた。
ガツンッ!!
キスティスの腕から力が失せ、俺は振りほどいて振り返った。
そこにはキスティスの頭めがけてぱいぷ椅子を振り下ろしているリノアの姿が。
キスティスはガックリと床に崩れ落ち、動かなくなった。
リノアはパイプ椅子から手を離し、腰を下ろしてキスティスを触りながら、
「し、死んだのかな・・・・・・・・?」
俺は首を振った。
「いや、まだ生きているようだ。皮肉なことだがな。
この女は死んで当然のようなことをやったのだが、死ななかった以上
俺達が手を下すわけにはいかない。
あとは司法の手に任せるしかない。」
俺にもリノアにももう不思議に涙は出なかった。
枯れてしまったのか、それとも感覚が完全に麻痺してしまったのか。
もうすぐしたら朝が訪れる。
そうなれば町に降りて警察に連絡しよう。
車のキーを総て持っていけば、キスティスが万一意識を回復させても逃げることはできまい。
今はただ、朝が来るのを待てばよい。
悪夢は終わった。
だが、これから迎える朝が昨日まで迎え続けた朝とは全く違うものになるであろうことは明らかだ。
なぜなら・・・・・・仲間はみんないなくなったのだから・・・・・・・・・。
完
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/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| 原作
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/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ かまいたちの夜(1994 チュンソフト)
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-::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ FINAL FANTASY 8(1999 スクウェア)
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丶:::::::::::::::::::::::::::::丶ノ
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ヽ:::::::::::::丶::::::::/─ 合成
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/:::::::::::::::::::丶 steev
/:::::::::::::::::::::::::ヽ
/:::::/ヽ::::::::::::::::/
__/:::::/ ヽ::::::::::::::丶
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/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ CAST
ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::| )ヽ
ヽ:::::::::::::::::::::::::::/ ノ スコール・レオンハート
ヽ:::::::::::::::::::_ リノア・ハーティリー
/::::::::::::::::::::::::::::丶
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶 ゼル・ディン
ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ キスティス・トゥリープ
ノ:::::::(ヽ-::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ アーヴァイン・キニアス
(::::::(丶 )::::::::::::::::::::::::::/ セルフィ・ティルミット
(:::ゝ /::::::::::::::::::::::::/ シュウ
( /::::::::::::::::::::::::ヽ
/::::::::::::::::::::::::::::ヽ サイファー・アルマシー
/:::::::::::::::::::::::::::::::ヽ 雷神
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 風神
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丶:::::::::::::::::::::::::::| シド・クレイマー
/:::::::::::::/|:::::::::::| イデア・クレイマー
/:::::::::::/ |:::::::::::|
/:::::::::::/ |::::::::::-
/:::::::::::::| |:::::::::::::\
/:::::::::::::/ ───
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/::::::::::::::ヽ
/:::::::::::::::::ヽ
/:::::::::::::::::::::ヽ
/::::::::::::::::::::::ヽ 協力
ヽヽ::::::::/
|:::丶- ロミオ
/:::::::::::::::)
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\::::::::::::::/ 100番getの方
/:::::::::::ヽ
(:::::::::::::::/ 男塾塾長江田島平八
ヽ:::::::/
|:::::::| アナコンダ
|:::::::|
|:::::::| sorry
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/::::/ 弟切草
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/:::::::\ その他応援して下さった名無しの方々
ヽ/\::/
/|/
_ヽ:::::丶
/:::::::::::::::::ヽ
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|::::::::::::::::::::::::ノ
ヽ:::::::::::::::::::|
|:::|丶::::: ::| 放映
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_丶 (:::::::::::::::::::::::::丶 FINAL FANTASY 8,6
ヽ::::::::::丶-:::::::::::::::::::::::::丶
 ̄ \::::/::::::::::::/ \::丶 荒らしてよいスレッド
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|:::::::::::: ヽ 丶::::::-
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|::::::::::::::::::::::::::| 音楽
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ヽ:::::::::::::::::::/ Kunadonic System
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ttp://www02.so-net.ne.jp/~akutsu/ /::::::::::::::::ヽ
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ん,終了?
お疲れさまー。
ところで,殺人の動機はなんだったの?
「こんや 12じ だれかが 死ぬ」
そう書かれていた紙の裏面にも次のような奇妙な文字の羅列があったことに
誰も気づかなかったのは不思議としかいいようがない。
あせは流れないが血はとめどなく流れる
見ることすらかなわぬ光
畏怖すれば死が待つ
フィルムには総てが残っている
あすは来ない
晴れる日も二度とない
11時に彼が死に
10時には彼女が泣く
再三の忠告も虚しく響く
闇へ帰れ
悪い事など忘れて
受けとるべきものはそこにある
わからーん!
恋愛関係のもつれ?
犯人の暴露に至る流れが死ぬほど強引だったこと、
まったくトリックなんてなかったということに関して深くお詫びする。
最初は全滅させて終わりにするつもりだった。
だが段々そうもいかなくなってしまったなぁと思った頃には
ゼルとシュウはすでに死んでいた。ううっ・・・・
単独犯の犯行にするトリックは夜中中どう頭を捻っても思いつかなかったのです。
つーわけで、とりあえずつなげるだけつなげました・・・・・・
動機も一応あるのだが、更に長ったらしく言い訳がましくなるのでカットしました。
ごめんねっ。
218 :
186:2001/04/26(木) 10:44
あ・・・当たっちまったよ(w
とりあえずお疲れ様。
でも動機は知りたかったな・・・スタッフロール後のエピローグとして書いてもらえないでしょうか?
ナカナカヨイ
220 :
名無しさん@LV2001:2001/04/26(木) 22:39
オモシロイヨ
よかったー
怒られるかと思ってましたーw
222 :
名無しさん@LV2001:2001/04/26(木) 22:42
オレモドウキシリタイ
それでは
>>215の暗号を解いた所で動機をば・・・・・
ま、せれくとをおせってなもんで・・・・
Qの悲劇?
暗号解けたけど、みつかんないよー。
セルフィで検索せよ
227 :
名無しさん@LV2001:2001/04/27(金) 19:31
全く分からん。
228 :
知念の目と目の間は何cm? :2001/04/27(金) 20:58
まさかFF8,5スレがこう言う発展するとは思ってもみなかったよ。
すげえ。こんなにおもろいスレがあったんだなあ。スレごと保存してしまった。かまいたちなんか当時リアルタイムでまってたから。
8って、ぜんぜんふぁんたじっくじゃないから、こういうオハナシにしても違和感ないわ。ゲレンデにスキーウェア姿のキャラ達がすぐに浮かんだ。
スクウェアがユーザーがこうやって自由な世界に遊べるように、という意図も含めて8をつくってたとしたらスゲエんだけど、さすがにそこまで考えちゃあいないかな。
ありがとね。名無しさん。
>226
ありがとう!見つかりました。
231 :
【万引きキャッチャーの活躍】:2001/04/28(土) 02:25
皆さんは万引きキャッチャーというものをご存じだろうか。
万引きが多発しているスーパーなどに雇われ、万引きの常習犯をとっつかまえることを
生業にしている人達(おばはんが多い)の通称である。
ここ、バラムスーパーもここ数年万引きに悩まされている。
近くに学校があることから恐らくはその生徒達の犯行だと思われるが、
店員達ではその巧妙な万引きの手口を暴くことができなかった。
そして、ついに万引きキャッチャーが雇われることになったのだ。
我々取材班はその万引きの実態とキャッチャー達の活動ぶりを取材を申し込み、
ねばり強い交渉の末、ある程度の制限付きでようやく彼女らの承諾を得ることができた。
「あ、あの娘、あやしいわね。なんか、動きがすごく変よ。」
キャッチャー歴15年というスミレさん(48)さんがある女子生徒を指さしてささやいた。
このベテランのおばさんは今まで5000人の万引き常習犯を捕まえたという強者だ。
我々取材班はスミレさんの指さす方向に目を向けると確かに不審な動きの女子生徒がいる。
制服から近くにある某バラム・Gーデンの女子生徒だということが分かった。
陳列されている化粧品を手にとっては元に戻すという作業の繰り返し。
一体彼女は何がしたいのだろうか。
232 :
【万引きキャッチャーの活躍】:2001/04/28(土) 02:34
そしてついに我々は目撃した!!
店員が目を離したスキにその女子生徒は高級そうな化粧品をカバンの中に滑り込ませたのだ!
「今入れたわね。見たでしょ。入れた入れた。入れたわ今。」
スミレさんはそう言って気づかれないように女子生徒に近づいた。
その女子生徒は目的を果たしたからか、もう何食わぬ顔でスーパーの入り口に向かって
歩き出している。
レジでお金を支払う気はまったくないようだ。
逃がしてはならないと慌ただしくそのあとを追う。
そして自動ドアからスーパーを出た女子生徒をスミレさんは呼び止めた。
「ちょっといいですか?」
「え・・・・・?」
「今、あなたとったでしょ?さっきの化粧品売場で。」
「え・・・・!?と、とってないです、とってないです」
「いや、オバサンね、ちゃんと見てたのよ。あなたが万引きするところをはっきりね」
「とってないですとってないです!」
シラを切り通す女子生徒。顔は心なしか青ざめている。
だが、スミレさんは冷静に、
「もうわかったから。ここじゃ恥ずかしいからね、ちょっと事務室来ていただけますか?」
「とってへんっ、とってへんっ」
外巻きのその少女は焦りからかなまりを出しつつもスミレさんの言うがままに事務室に連れて行かれた。
233 :
【万引きキャッチャーの活躍】:2001/04/28(土) 02:45
事務室では女子生徒が椅子に座ってうなだれていた。
スミレさんが向かい合うようにして座っている。
スミレさんが尋ねる。
「ちょっとカバンの中、見ていい?」
女子生徒は黙ったままうなずく。もはや観念したのか。
「じゃ、ちょっと見せてもらうわよ。
・・・・・・・・・・・・ほおら、やっぱり。
これ、あなたお金払ってないでしょ?」
「いや払うつもりでした」
「つもりってあなたね、レジ通らずにお店出ちゃったら万引きになるのよ。
わかるでしょ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうなの?とったんでしょ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「しょうがないわね。ちょっと生徒手帳見せてもらうわよ。
Sルフィさん・・・・あ、やっぱりあそこの学校の生徒さんね。
学校に連絡しなきゃならないわね、これは。」
スミレさんの言葉に今まで押し黙っていたその女子生徒が叫んだ。
「や、やめてくださいっ、お願いしますっ、連絡だけはしないでくださいっ」
「あなたが黙っているからしょうがないでしょう。
誰かに引き取りにきてもらわなきゃ。」
「連絡はしないでくださいっ、お願いしますっ」
そう言ってその女子生徒は泣き出した。
ひたすら自分の悪事が世間にばれることだけを恐れ、悪いことをしたという自覚はまったくないようだ。
「あんたね、これが初めてじゃないでしょ?」
「は、初めてですっ。」
「また嘘ついた。
おばさんね、こういう仕事長くやってるから分かるの。
ああいう手つきは初めてじゃできないの。学校に連絡するわよ。」
「お願いですぅ〜!」
女子生徒はさめざめと泣き出し、スミレさんを拝むようにして懇願した。
234 :
【万引きキャッチャーの活躍】:2001/04/28(土) 02:52
しかしここで情けをかけるわけにはいかない。
痛い目を見なければこの女子生徒は再び同じ事を繰り返すだろう。
数分後、スミレさんの連絡を受けて、学校の担任だという金髪の女性が姿を現した。
すらりとした長身で真っ赤な服を着ている。
その女性は部屋に入るなり女子生徒を怒鳴りつけた。
「Sルフィ!なんて馬鹿なまねをしたのっ!」
「ううっ・・・・・・ううっ・・・・・・・・・・」
「情けないっ!
あたしは・・・・・・・情けないわよっ!!!」
「ごめんなさいごめんなさいっ」
女子生徒はひたすら泣いている。
泣くくらいなら万引きなどしなければいいのだ。
結局女子生徒はその金髪の教師に連れられて行った。
だが、彼女は果たしてこれで更正できるのだろうか。
最初はスリルを味わうだけだったのかもしれない。
次第に病みつきになった万引きからSルフィさんが足を洗えることになる
日がいつか訪れることを我々取材班は願ってやまない。
終
235 :
名無しさん@LV2001:2001/04/28(土) 02:53
お疲れ様です。
つまんねーの。何これ。
チクショウw
238 :
名無しさん@LV2001:2001/04/28(土) 20:09
結局動機は何なんだ?
239 :
名無しさん@LV2001:2001/04/30(月) 22:58
あげ
乱立防止
241 :
名無しさん@LV2001:2001/05/03(木) 00:52
なんかタイトルが変になってる
242 :
名無しさん@LV2001:2001/05/03(木) 22:45
モリスのせいだ
243 :
名無しさん@LV2001:2001/05/06(日) 13:20
あげ
age
245 :
名無しさん@LV2001:2001/05/08(火) 21:05
タイトルが変
246 :
名無しさん@LV2001:2001/05/09(水) 03:04
誰か書いてね
247 :
名無しさん@LV2001:2001/05/09(水) 22:50
タイトルが6になってる・・・
248 :
名無しさん@LV2001:2001/05/10(木) 00:03
かちゅーしゃだとタイトルちゃんと見えるんだけど
ブラウザだと6だね。
249 :
名無しさん@LV2001:2001/05/10(木) 23:06
関係ないけど、こことか某オンライン小説スレ見てると、FF8のキャラが結構好きになったよ。
要するに、リノアを恋人役にしたからいけなかったんだね(w
250 :
名無しさん@LV2001:2001/05/12(土) 00:19
私も書いているうちに好きになった
これは予想外w
「かまいたちの夜」おもしろかったよー
252 :
名無しさん@LV2001:2001/05/12(土) 22:32
誰かなんか書いて
253 :
名無しさん@LV2001:2001/05/12(土) 22:45
このスレッド惜しいけどタイトルがぶっこわれてる時点でもう使えないな。
次スレ立てとくか・・・・・・・。
でももう8で引っ張るのもきつい気がするけどな。
254 :
名無しさん@LV2001:2001/05/14(月) 21:27
あげ
255 :
名無しさん@LV2001:2001/05/18(金) 01:08
探すのに苦労
誰か書いてちょ
愛と希望の1行リレー小説『俺とリノア』
第一章『出会い』
あれは熱い夏の夕方だった・・・
俺は確かに見たんだ。あれは決して見間違いなんかじゃない。
だが誰も信じてはくれなかった。
いや・・・・・一人だけ・・・・・・一人だけ俺を信じてくれた奴がいたっけ。
「ハグハグ」・・・それが彼女の最期の言葉だった
俺はそれを聞いて心の底からこう思ったのだ。
sage
「この女、松たか子に似ている」と。
すると突然背後から声がした。
265 :
名無しさん@LV2001:2001/05/22(火) 00:31
「ハグハグ」…よしよしベアハッグ…メキメキメキィ
なんだこのスレタイトル
267 :
名無しさん@LV2001:2001/05/22(火) 21:26
訳の分からない言葉を発しながら現れたのが彼女・・・オハローだった。
269 :
名無しさん@LV2001:2001/05/26(土) 23:55
まけ
270 :
名無しさん@LV2001:2001/05/27(日) 00:27
見つけるの苦労するよこのスレ。
アル意味隠しスレッド
271 :
名無しさん@LV2001:2001/05/29(火) 19:17
かちゅーしゃだと普通にタイトル見えてるんだけどなぁ。
272 :
名無しさん@LV2001:2001/05/29(火) 20:09
だから時々あがるんだね。
俺も表示は「6」。
273 :
名無しさん@LV2001:2001/06/03(日) 00:18
aage
274 :
名無しさん@LV2001:2001/06/03(日) 07:20
またかまいたちの夜みたいなの誰か書いてくれないかなぁ…
と期待してage
275 :
名無しさん@LV2001:2001/06/07(木) 23:27
あげ
276 :
名無しさん@LV2001:2001/06/07(木) 23:28
これホント探すのに苦労する。
まず荒らして良いスレッド行ってからこっち来るようにしてるくらいだから。
277 :
名無しさん@LV2001:2001/06/08(金) 00:06
age
278 :
名無しさん@LV2001:2001/06/12(火) 00:02
あと2ヶ月したらfinal fantasy 10.5でも立てるか・・・・
279 :
名無しさん@LV2001:2001/06/15(金) 00:13
against
8
age
282 :
名無しさん@LV2001:2001/06/17(日) 04:01
8好きな奴χ買うか?ついでにあげ。
8好きだが、xのCM見るとひいちまう・・・。
くそげーの予感・・・。ついでにさげ。
284 :
名無しさん@LV2001:2001/06/23(土) 22:54
285 :
名無しさん@LV2001:2001/06/28(木) 01:09
誰か書いてよ
286 :
名無しさん@LV2001:2001/06/28(木) 01:11
8は嫌いだが9を買ったが、9も最期のシナリオで萎えた・・・
でも10も買うぞ!
287 :
名無しさん@LV2001:2001/07/04(水) 00:05
288 :
名無しさん@LV2001:2001/07/04(水) 01:31
おお!
まだdat落ちしてなかったのかあ、このスレ!
つーかタイトルが6ってなんじゃいこれ!
んで、287さんありがとね。
しかし大阪の社長のテーマはなんか迫力がちょい弱いかもしれんね
それにしても幽霊編とOの喜劇のパロもやりたかったなぁ・・・・・
あと不思議のペンション編とかも
290 :
名無しさん@LV2001:2001/07/05(木) 11:58
age
291 :
名無しさん@LV2001:2001/07/05(木) 17:41
拷問シリーズの作者とかまいたち夜シリーズの作者って同じ人?
292 :
名無しさん@LV2001:2001/07/05(木) 19:10
バトルロワイヤルFFバージョン キボン
293 :
名無しさん@LV2001:2001/07/10(火) 16:55
age
>>291 よくわかったね。
結局作風が一緒っていうことかいなw
バイオレンスアクション作家
296 :
名無しさん@LV2001:2001/07/14(土) 00:46
そろそろ誰か書いて。
レイン「な、なにをする気なの?あなた達?」
「クックック・・・・教えて欲しいか・・・テメェをな、これからじっくり拷問にかけて・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・イメージわかねーーーーっ!