+基本ルール+
・参加者全員に、最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう。
・参加者全員に、<ザック><地図・方位磁針><食料・水><着火器具・携帯ランタン>が支給される。
また、ランダムで選ばれた<武器>が1〜3個渡される。
<ザック>は特殊なモノで、人間以外ならどんな大きなものでも入れることが出来る。
・生存者が一名になった時点で、主催者が待つ場所への旅の扉が現れる。この旅の扉には時間制限はない。
・日没&日の出の一日二回に、それまでの死亡者が発表される。
+首輪関連+
・参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
この首輪には爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
・24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
・日没時に発表される『禁止技』を使うと爆発する。
・日の出時に現れる『旅の扉』を二時間以内に通らなかった場合も、爆発する。
・無理に外そうとしたり、首輪を外そうとしたことが運営側にバレても爆発する。
・魔法や爆発に巻き込まれても誘爆はしない。
・首輪を外しても、脱出魔法で会場外に出たり禁止魔法を使用することはできない。
+魔法・技に関して+
・MPを消費する=疲れる。
・全体魔法の攻撃範囲は、術者の視野内にいる敵と判断された人物。
・回復魔法は効力が半減。召喚魔法は魔石やマテリアがないと使用不可。
・初期で禁止されている魔法・特技は「ラナルータ」
・それ以外の魔法威力や効果時間、キャラの習得魔法などは書き手の判断と意図に任せます。
3 :
テンプレ:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN ID:fGuaf2U40
+ジョブチェンジについて+
・ジョブチェンジは精神統一と一定の時間が必要。
X-2のキャラのみ戦闘中でもジョブチェンジ可能。
ただし、X-2のスペシャルドレスは、対応するスフィアがない限り使用不可。
その他の使用可能ジョブの範囲は書き手の判断と意図に任せます。
+GF継承に関するルール+
「1つの絶対的なルールを設定してそれ以外は認めない」ってより
「いくつかある条件のどれかに当てはまって、それなりに説得力があればいいんじゃね」
って感じである程度アバウト。
例:
・遺品を回収するとくっついてくるかもしれないね
・ある程度の時間、遺体の傍にいるといつの間にか移ってることもあるかもね
・GF所持者を殺害すると、ゲットできるかもしれないね
・GF所持者が即死でなくて、近親者とか守りたい人が近くにいれば、その人に移ることもあるかもね
・GFの知識があり、かつ魔力的なカンを持つ人物なら、自発的に発見&回収できるかもしれないね
・FF8キャラは無条件で発見&回収できるよ
+戦場となる舞台について+
・このバトルロワイアルの舞台は日毎に変更される。
・毎日日の出時になると、参加者を新たなる舞台へと移動させるための『旅の扉』が現れる。
・旅の扉は複数現れ、その出現場所はランダムになっている。
・旅の扉が出現してから2時間以内に次の舞台へと移らないと、首輪が爆発して死に至る。
現在の舞台は闇の世界(DQ4)
ttp://www43.atwiki.jp/ichinichiittai?cmd=upload&act=open&pageid=16&file=%E9%97%87%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C.PNG 地図CGIはこちら
ttp://www20.atpages.jp/~r0109/ffdqbr3/ ━━━━━お願い━━━━━
※一旦死亡確認表示のなされた死者の復活は認めません。
※新参加者の追加は一切認めません。
※書き込みされる方はCTRL+F(Macならコマンド+F)などで検索し話の前後で混乱がないように配慮してください。
※参加者の死亡があればレス末に、【死亡確認】の表示を行ってください。
※又、武器等の所持アイテム、編成変更、現在位置の表示も極力行ってください。
※人物死亡等の場合アイテムは、基本的にその場に放置となります。
※本スレはレス数500KBを超えると書き込みできなります故。注意してください。
※その他詳細は、雑談スレでの判定で決定されていきます。
※放送を行う際は、雑談スレで宣言してから行うよう、お願いします。
※最低限のマナーは守るようお願いします。マナーは雑談スレでの内容により決定されていきます。
※主催者側がゲームに直接手を出すような話は極力避けるようにしましょう。
4 :
テンプレ:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN ID:fGuaf2U40
書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。
みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであれば保管庫にうpしてください。
・自信がなかったら先に保管庫にうpしてください。
爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない保管庫の作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
できれば自分で弁解なり無効宣言して欲しいです。
書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・極力ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
5 :
テンプレ:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN ID:fGuaf2U40
書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
・経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
・キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
(今までの話を平均すると、回復魔法使用+半日費やして6〜8割といったところです)
・戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
雑談スレにも目を通してね。
・『展開のための展開』はイクナイ(・A・)!
キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
+修正に関して+
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・NGや修正を申し立てられるのは、
「明らかな矛盾がある」「設定が違う」「時間の進み方が異常」「明らかに荒らす意図の元に書かれている」
「雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)」
以上の要件のうち、一つ以上を満たしている場合のみです。
・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・書き手が批判意見を元に、自主的に修正する事は自由です。
6 :
テンプレ:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN ID:fGuaf2U40
+議論の時の心得+
・議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。
・『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』
+読み手の心得+
・好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
・好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
・荒らしは透明あぼーん推奨。
・批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
・擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
・嫌な気分になったら、モーグリ(ぬいぐるみも可)をふかふかしてマターリしてください。
・「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
・「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
・感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
・ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。
7 :
テンプレ:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN ID:fGuaf2U40
参加者名簿(名前の後についている数字は投票数)
FF1 4名:ビッケ、スーパーモンク、ガーランド、白魔道士
FF2 6名:フリオニール(2)、マティウス、レオンハルト、マリア、リチャード、ミンウ
FF3 8名:ナイト、赤魔道士、デッシュ、ドーガ、ハイン(2)、エリア、ウネ、ザンデ
FF4 7名:ゴルベーザ、カイン、ギルバート、リディア、セシル、ローザ、エッジ
FF5 7名:ギルガメッシュ、バッツ、レナ、クルル、リヴァイアサンに瞬殺された奴、ギード、ファリス
FF6 12名:ジークフリート、ゴゴ、レオ、リルム、マッシュ、ティナ、エドガー、セリス、ロック、ケフカ、シャドウ、トンベリ
FF7 10名:クラウド、宝条、ケット・シー、ザックス、エアリス、ティファ、セフィロス(2)、バレット、ユフィ、シド
FF8 6名:ゼル、スコール、アーヴァイン、サイファー、リノア、ラグナ
FF9 8名:クジャ、ジタン、ビビ、ベアトリクス、フライヤ、ガーネット、サラマンダー、エーコ
FF10 3名:ティーダ、キノック老師、アーロン
FF10-2 3名:ユウナ、パイン、リュック
FFT 4名:アルガス、ウィーグラフ、ラムザ、アグリアス
DQ1 3名:勇者、ローラ、竜王
DQ2 3名:ローレシア王子、サマルトリア王子、ムーンブルク王女
DQ3 6名:オルテガ、男勇者、男賢者、女僧侶、男盗賊、カンダタ
DQ4 9名:男勇者、ブライ、ピサロ、アリーナ、シンシア、ミネア、ライアン、トルネコ、ロザリー
DQ5 15名:ヘンリー、ピピン(2)、主人公(2)、パパス、サンチョ、ブオーン、デール、王子、王女、ビアンカ、はぐりん、ピエール、マリア、ゲマ、プサン
DQ6 11名:テリー(2)、ミレーユ、主人公、サリィ、クリムト、デュラン、ハッサン、バーバラ、ターニア(2)、アモス、ランド
DQ7 5名:主人公、マリベル、アイラ、キーファ、メルビン
DQM 5名:わたぼう、ルカ、イル、テリー、わるぼう
DQCH 4名:イクサス、スミス、マチュア、ドルバ
FF 78名 DQ 61名
計 139名
8 :
テンプレ:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN ID:fGuaf2U40
生存者リスト (名前に※がついているキャラは首輪解除済み)
FF1 0/4名:(全滅)
FF2 0/6名:(全滅)
FF3 0/8名:(全滅)
FF4 0/7名:(全滅)
FF5 2/7名:バッツ、ギード
FF6 4/12名:リルム、マッシュ、ロック、ケフカ
FF7 2/10名:ザックス、セフィロス
FF8 3/6名:※スコール、アーヴァイン、サイファー
FF9 0/8名:(全滅)
FF10 0/3名:(全滅)
FF10-2 2/3名:ユウナ、リュック
FFT 2/4名:※アルガス、ラムザ
DQ1 0/3名:(全滅)
DQ2 0/3名:(全滅)
DQ3 1/6名:セージ
DQ4 2/9名:ソロ、ロザリー
DQ5 2/15名:ヘンリー、プサン
DQ6 1/11名:クリムト
DQ7 0/5名:(全滅)
DQM 0/5名:(全滅)
DQCH 0/4名:(全滅)
FF 15/78名 DQ 6/61名
うち首輪解除済み 2名
計 19(21)/139名
9 :
テンプレ:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN ID:fGuaf2U40
■現在までの死亡者状況
ゲーム開始前(1人)
「マリア(FF2)」
アリアハン朝〜日没(31人)
「ブライ」「カンダタ」「アモス」「ローラ」「イル」「クルル」「キノック老師」「ビッケ」「ガーネット」「ピピン」
「トルネコ」「ゲマ」「バレット」「ミンウ」「アーロン」「竜王」「宝条」「ローザ」「サンチョ」「ジークフリート」
「ムース」「シャドウ」「リヴァイアサンに瞬殺された奴」「リチャード」「ティナ」「ガーランド」「セシル」「マチュア」「ジオ」「エアリス」
「マリベル」
アリアハン夜〜夜明け(20人)
「アレフ」「ゴルベーザ」「デュラン」「メルビン」「ミレーユ」「ラグナ」「エーコ」「マリア(DQ5)」「ギルバート」「パイン」
「ハイン」「セリス」「クラウド」「レックス」「キーファ」「パウロ」「アルカート」「ケット・シー」「リディア」「ミネア」
アリアハン朝〜終了(6人)
「アイラ」「デッシュ」「ランド」「サリィ」「わるぼう」「ベアトリクス」
浮遊大陸朝〜日没(21人)
「フライヤ」「レオ」「ティファ」「ドルバ」「ビアンカ」「ギルダー」「はぐりん」「クジャ」「イクサス」「リノア」
「アグリアス」「ロラン」「バーバラ」「シンシア」「ローグ」「シド」「ファリス」「エッジ」「フルート」「ドーガ」
「デール」
浮遊大陸夜〜夜明け(19+1人)
「テリー(DQ6)」「トンベリ」「ゼル」「レオンハルト」「ゴゴ」「アリーナ2」「わたぼう」「レナ」「エドガー」「イザ」
「オルテガ」「フリオニール」「ユフィ」「リュカ」「ピエール」「ハッサン」「ビビ」「ブオーン」「ジタン」「ライアン」
浮遊大陸朝〜終了(7人 ※うち脱落者1人)
「アルス」「ギルガメッシュ」「ウネ」「ウィーグラフ」「マティウス」「アリーナ」 ※「ザンデ」(リタイア)
闇の世界朝〜 (13人)
「サックス」「タバサ」「テリー(DQM)」「ルカ」「パパス」 「フィン」「ティーダ」「スミス」「カイン」「ピサロ」
「ターニア」「エリア」「サラマンダー」
10 :
テンプレ:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN ID:fGuaf2U40
11 :
テンプレここまで:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN ID:fGuaf2U40
さるさん回避
◆◆◆
手に抱くは若者たちから奪ったザック、胸に抱くは果てなき狂気。
魔導の力によって壊れた心に突き動かされるその男、ケフカ=パラッツォは、『救われるべき存在』だろうか?
――否。
魔導の力は精神に影響を及ぼすが、生まれ持った才能を塗りつぶすことはできない。
彼の残虐さは理性という箍が外れた結果であっても、その狡猾さはやはり魔道士自身の素質だ。
そして今一つ。人が変わろうとも、過去は変わらない。
勇者ソロが【闇】に憑かれた二人の銃士に手を差し伸べたいと願ったのは、彼らの過去を知っていたからだ。
力を求めて未完成の実験に身を捧げ、精神を病んだという過去を知る者達ですら、悉く悪と断じ否定した――
それ即ち、ケフカという人物が生来邪悪な存在であったことの証左に他ならない。
そして彼自身も、その評を否定することはないだろう。
救いを求める事もないだろう。
今や、彼の望みはただ二つ。
全てを超えるに足る力と、それによって齎される万物の破壊だけだ。
故に彼は、かつて魔王が求めたという進化の秘法を手中に収めるため、主亡き魔城の前に立つ。
そしてその掌に握りしめた機械と、南方に広がる草原を省みて――
彼は化粧に隠された口の端を、大きく吊り上げた。
「おやおや。またまたカッパちゃんが釣れたようですねえ……ヒッヒッヒ!」
◆◆◆
『オール・オール・アビュージズ』
◆◆◆
ぼくちんはレーダーを見ながらこっそり笑いました。
南からまっすぐこちらに向かっている光点は見えても、その光が指し示す人物の姿はあまり良く見えません。
逆に考えれば、それは草原の色に紛れるような容姿の人物だということ。
そーーーんなの、ちんちくりんなカッパちゃんしか居ませんよねぇ!
どうせぼくちんの素晴らしいファッションに気付いて、身の程知らずにも復讐してやろうって魂胆なんでしょうけど……
そうや問屋もサンマも卸しませんコトよ!
セフィロスくん! 君のようなカッパは日干しになって焼かれてダイコンオロシを乗せられていればいいのだ!
この俺様に逆らおうだなんて百万飛んで一億年と二千年、いや未来永劫永遠に早ぁーい!
キレッキレに冴えわたるケフカ様の叡智で、存分に料理して差し上げましょう!
テレッテテテテッ♪ テレッテテテテッ♪
えー、悪い子の皆様こんばんわ。
ムービー・ボイスにコストもハイクオリティな、ケフカさま3次元クッキングのお時間ですよ〜ん。
今日の材料は飛んで火に入る生カッパと、おそらく城内に居るであろうユウナちゃん。
あとついでに城の中に残っちゃってるトンデモナク運の悪い有象無象どもです!
まずは一旦帽子を脱ぎまして、毎度おなじみとなりましたテレポを唱えます。
これは私の身体を一定距離、任意の方向に瞬間移動させる魔法です。
目標地点は当然上方向ですよ。
これですっトロいカッパ巻の具材よりも、素早く上階に行けるわけですね。
そして同時にバニシュ! 後から唱えないと透明効果が剥がれちゃうので注意が必要です。
「カー!」
あっ。
……まあ、極稀に予想外に早くてバッタ顔負けの脚力を持つカッパがいたりして、タッチの差でバルコニーから乗り込んでくることもあったりします。
そういう時は落ち着いて、抜き足差し足忍び足しましょうね。
……そう、今のぼくちんのようにスタコラサッサとね。
「カー…クァックァックァッ」
ああ、なーんか一匹85ギルぐらいで身売りされてそうな釣り餌のカッパがイッチョ前にニヤニヤしてますねえ。
間抜けヅラ晒しやがって、きゅうりでも探してるんですかぁ?
どうせそのヌルヌル生臭い身体じゃ、気配もわからなきゃ集中力も保てないに決まってるですからぁ。
大人しく一階に行って「きゅうりおいちいでち」って、そこらへんのロウソクでもかじってなさいよ!
ポッキリ折れるし火ィつけたら燃えるし、どっちも似たようなモンデショ!
だからあっち行け! アッチ!!
さるさん除け
「……カー」
……フン、あくまでもバルコニーに陣取るつもりか。
そういうことなら、こっちは先に進化の秘法とやらを探してやろうじゃあーりませんか。
アーヴァインから騙し取った情報は断片的なものだけど、ぼくちんの慧眼と天災的頭脳は些細な情報も逃さないのであーる!
まず昨日の夜の出来事。
ピサロはアーヴァインを殺すべきだと考えるほどに警戒していた。
ゆ・え・にィ! 研究の内容をピサロが自発的に教えたとは考えニクーーい!
そんな状況が成り立つとすれば、実は口が上手いアーヴァインくんが色ボケのピサロを奇跡的に丸め込んだか――
さもなけりゃ、ピサロが教えるまでもなく研究の内容を知ることが出来た状況にいたか、だ!
で、前者の可能性はどう考えてもゼロだから、窓からポイします。丸めてポーイ。
そういうわけで、アーヴァインは件の研究を行っていた部屋に長時間居た可能性が高いに決まっている!
そしてその位置を指し示す手がかりは、ズヴァリ! 城の入り口に落ちていたロープだ!
そもそもあんな所にロープが落ちている理由なんて一個しかない。
誰かが出入りしやすくするためにバルコニーにロープを結び、用が済んだか敵が入り込んだかして切り落としたのだ。
では、何故侵入される危険を冒してまでロープをブラブラぶらさげていたか?
答えはひとォつ! ロープが結ばれていたバルコニーは『入口からだと酷く離れた場所に繋がっている』のだ!
んでもってついでに、『発見されるリスクを負ってでも頻繁に出入りしたがる人物がいた』!
そしてそして、そ・し・てェ!
場所とロープの長さを鑑みるに、カッパが陣取ってるバルコニーとは別の――対岸のバルコニーである可能性が高ァい!
これらの情報を合わせれば、探すべき研究室はあそこのバルコニーから行ける場所であることは間違いないのだじょー!
どうですか? 私にかかればこの程度の情報でこれだけの推理が可能なのですよ。
サァサァ、崇めろ称えろ褒め称えろー!! そしてぼくちんのすんばらしいアタマにひざまずけー!!
アーヒャヒャヒャヒャヒャ!
――ツマラン。
カッパの分際で、どこまでも私の邪魔をしやがって。
それにユウナもここにいるだろう。
城に来る道すがらで草むらから野性動物みたいに飛び出してこなかった以上、本物のアーヴァインをワザワザ無視して城に行った可能性しかない。
マッタク、誰だよ! ラムザなんかを追っかけさせた奴は!
それもこれも全部あのガキンチョとぼくちんを見間違えたユウナが悪い!
あーもう、あの女のフシアナめんたまと、セフィロスのストーカーめんたまを交換すればいいのになー。
おまけにマッタクマッタク、このレーダー、なーんで横方向の位置関係しかわかんないんでしょうかねぇ?
高低差も合わせてわかんなきゃ意味がナイナイナーイのだ!
こんなものを支給する魔女ってアレですね、間違いなくアナログ世代の人間なんでしょうね。
きっと部屋にはエアコンも扇風機も置いてなくて、ウチワでパタパタ仰ぎながら「あづーい」って大の字になって寝そべっているんですよ。
ああヤだヤだ、ババア臭くて化粧臭いだけでも繊細なぼくちんには耐えられないのに、ついでに汗臭いなんてシンジラレナーイ!
脱出に成功した暁にはあの城ごと瓦礫の塔で押し潰して、キンモクセイのかほりの消臭剤をたっぷりとぶちまけてやりましょう!
アーヒャヒャヒャヒャ! アーッヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!
……ツマラン!
私はレーダーの画面に再び視線を向ける。
光点は全部で七つ。
中心の私と、すれ違ったばかりのセフィロスを除き、どれが誰の位置を示しているのか絞り込む情報はない。
ただ、並走していた二つの光点が別の光点の近くで立ち止まり、そのまま動かなくなった。
そしてそれとは別に、追いかけっこをしているらしい光点が、少し西側に一組映っている。
このすんばらしくかっこいい俺様と、瀕死のセミのようにじたばたもがいてるガキンチョを見間違えるよーな絶望的にどうしようもないユウナちゃんが、誰かと一緒に行動したり、立ち止まって話をするとは思えない。
つまり、追われているのか追っているのかはわからないが、西側の光点のうちどちらかがユウナであるはずだ。
さて、ここで問題です。
私が目指すべきバルコニーは東側と西側、どっちにあったでしょーか。
ぼくちんがマルをつけたいのは1番なのですがここは二番で我慢するしか……って、え? 三択問題じゃない?
てへ、ごめんちゃーい。
……うっきゃーーーーーーーーーーっ!! チクチクチクチクチクッショー!!!
ドイツもコイツもソイツもアイツも! 空気読むって言葉を知らないんですか虫ケラどもが!
ぼくちん、もう我慢の限界ですことよ!
やっぱりセフィロス殺しましょう! ユウナも殺しましょう! そして俺様の出番を増やしましょう!
妨害なんかにくじけないワ!
邪魔者どもを排除した暁には見事進化の秘法を見つけ出し、神を超える神として降臨してやるんだじょー!!
幸い、廊下は静かである。
足音の類は一切聞こえない。
レーダーにどう映っていようと、実際に近くにいるのはセフィロスだけなのだろう。
ならば奥に進んでしまえば、一度バニシュを解いても平気なはずだ。
そしてこの城は、そこそこ頑丈に作られているようだ。
これならやりようというものがある。
ぼくちんはぴょんこぴょんこと歩きながら、一旦帽子を脱ぎます。
二度唱える必要がない魔法というのもありますからねェ。
例えば……
「まーずーは、レビテトにヘイストっと」
詠唱が終わると同時に、透明化が解け、代わりに私の身体がふわりと浮きあがります。
ヘイストはモノのついでです。詠唱時間を短くしたい、という目論見もあったりなかったりしますがね。
「うーん。この辺りで良いカナー?」
ぼくちんは帽子を被り直しながら、ちょっとだけ開けた広間のど真ん中に立ちました。
近くにユウナちゃんが来たらイイ的にされちゃいそーですね。
きゃー、コワイ!
でもだいじょーぶ、見つかる前にぼくちんの魔法が完成するに決まってます!
神であるぼくちんがそう決めたのだ! カッパやキチガイ女にどうこうできるハズがないないなーーーい!
さあ、無知で無能な愚民どもに教えて差し上げましょう。
地を這う虫ケラなんかが、神に敵うわけないってことを。
二回分。
体感時間で二分ばかりの詠唱を終えた私は、魔力を解き放ちます。
「クエイク」
力ある言葉と魔力が城の基盤たる大地に亀裂を走らせ、結界に包み込みます。
『クエイク』
みなさんご存じの通り、ユウナから奪った帽子は山彦を生み出す事で多重詠唱を可能としまして。
「クエイク」
私が身に着けている装飾品は同時詠唱を可能とします。
『クエイク』
当然、一回目の詠唱も二回目の詠唱も、山彦となって反響し、魔力を集めて再構成するわけです。
一発唱えただけでも地割れを引き起こし、極地的大地震を呼び起こす広範囲無差別破壊魔法。
ソイツを私の圧倒的魔力で四重詠唱したとなれば、どうなるか――
アーヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!
その答えがコレだぁあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
ミドガルズオルムのアースサラウンドなんて雑魚すぎて目じゃない!
彫像が倒れ窓が割れ照明具が落下し棚が倒れ家具という家具が揺れに翻弄され跳ね踊る!
トーゼン、中にいる人間は空でも飛べなきゃ揺れ動く床に翻弄され叩きつけられる!
倒れた家具に押し潰され、ガラスに刺さり、階段や吹き抜けに落下する!
破壊が破壊を産む破壊のスパイラル!!
ハカイの大判ぶるまいだぁああああああああ!!!
で・も!
クエイクならばメルトンやメテオと違って熱的破壊は伴わない!
故に城全体を巻き込んだところで研究資料が焼失する心配はぬわぁーい!!
棚が倒れたって、肝心の資料さえ無くならなければ問題はナーイのだ!
嗚呼、なんてナンテすんばらしい!
これが魔導の力! これが俺様の本気! これがケフカ様の実力なんだじょーーー!
ひれ伏せ! ひざまづけ! ぺっちゃんこになって頭を下げろ!
あ、カッパとキチガイ女と雑魚どもは亡くなって結構です。
どうぞどうぞ、皆さまどしどし死んじゃってくださァい!
アッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!
アーーッヒャッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!
◆◆◆
かつて彼女は召喚士として、世界に救いをもたらした。
かつて彼女はスフィアハンターとして、失われた愛を取り戻させた。
スピラの民に希望の象徴たる人物の名を尋ねれば、まず彼女が挙がるだろう。
それほどに彼女は愛され、親しまれ、崇められた、紛れもない英雄だ。
ならば、もし。
今の彼女をスピラの民が見たならば、何と称するのだろうか。
今の彼女が求めるものは、救いなどではない。
今の彼女に残っているものは、愛などではない。
嫉妬に狂って真実から目を逸らし、妄執に憑りつかれたまま血で血を洗い、
差し伸べられた救いの手に憎む男の幻影を重ねて、己が殺戮を愛の証と信じ込む。
かつての彼女を知る者は、今の彼女をどう感じるのだろうか。
神ですら慄かせた狂気に突き動かされるまま、彼女は【闇】を身に纏い、勇者にその手を向ける。
◆◆◆
『闇化症候群』
◆◆◆
許さない。
許さない、許さない許さない、許さない許さない許さない許さない。
こいつさえいなければ私は幸せだったのに何度も何度も邪魔をして。
こいつさえいなければ私はずっと大好きなティーダと一緒に居れたのにこいつが……
――違う。
こいつは私を騙したんだ。偽物のティーダを連れてきて騙してたんだ。
人殺しのくせに私を騙して二人で嘲ってたんだ。私が傷つくのを見て笑ってたんだ。
ねえ、楽しかった? そんなに私は騙されやすかった?
私の気持ちを弄ぶのはそんなに楽しかった? 面白かった?
そうだよ、いつだって『 』は偽物の傍で笑ってて、偽物をカレの名前で呼んで……ああああああ。
許さない。
許さないユルサナイゆるさないゆるさない。
人殺しの分際で。私を騙して。
――違う。
私はスピラに帰る為に皆を殺すの。だって早く帰らなきゃティーダに会えないもの。
なのに『 』が邪魔をする。私が皆を殺す前に『 』が殺していくんだ。
私がティーダをどれだけ愛しているか、その証を『 』が消していく。
そんなの許されない。ユルサナイ。許さない。ゆるさない。
本当にティーダの事を好きなのは私だから私はティーダに会うために全力を尽くしたいのにこいつが邪魔をするんだ。
ティーダの偽物を持ち出して、リュックの名前を持ち出して。
私の気持ちを愛じゃないって否定して、騙そうとしてるんだ。
そうだよ、エドガーさんもあの女もクリムトさんも全部『 』が用意した偽者なんだ。
眼の前に居るこいつのせいで私はこんなに苦しんでるんだ。
でも大丈夫だよ。私は騙されないから。絶対に騙されないから。
許さなければいいんだよ。殺せばいいんだよ。
みんな殺してスピラに帰ってティーダに会いに行くんだから。
でもだからこそ『 』だけは絶対に許せない。
絶対に許さない。
許さない。ゆるさない。ユルサナイ。
ぜったいに、ゆるさない。
きぐるみ士。
私が持っている中で、多分最強のドレスフィア。
暑くて頭が重くてクラクラするけど、文句は言っていられない。
『 』を逃がすくらいなら、動きにくい不恰好なモーグリの姿でいるほうがマシだよ。
そう、『 』は最低なヤツなんだ。
追いかけっこをするとかいって、最初に見せた姿とは別人の姿に化けたんだ。
それからあんな偽物を見せつけて、私を城の中に来るように誘導してから地震を起こしたんだよ。
また私を騙そうとしたんだ。
もう長く苦しめなんて甘いことは言わないよ。
こいつの声なんて一秒でも聞いていたくないから、何も言えないようにしてやる。
苦しめるのはそれからでいい。
『 』は呆然とした表情で私を見ている。
きっと自分の策が見破られるとは思ってなかったんだろうね。
あはははは。
このチャンスを見逃すほど私は弱くないんだよ。
モグチャージで周囲の魔力を掻き集め、モグビィームを叩き込む。
並みのモンスターなら一撃で殺せる、とっておきの技だけど――
「ユウナさん。リュックは貴方の身をずっと案じていました」
光が止んだ時、そこに居たのは無傷で銀色の盾を構える『 』だった。
ああ、本当に。
本当に本当に本当に本当に――コイツはどこまで私を馬鹿にすれば気が済むの!?
「リュックだけじゃない。リルムだって貴方の事を心配しています。
その二人も、貴方は殺すつもりなんですか?」
うるさい。黙れ。
どうせお前が言ってるリュックやリルムだって――
「偽物なんでしょ。誰も彼もみんな、お前が作った魔物なんでしょ。
騙されないよ。もう騙されない。だから……
その汚い声でリュックの名前を呼ぶなァアアアアアアッッッツ!!」
前にパインが言ってた。魔法が効かない奴はメッタ切りにすればいいって。
雷鳴の剣。テリー君が残してくれた武器を手に、全力で切りかかる。
「くっ……!」
なのに、『 』は白銀の剣で私の攻撃を受け止めた。
狙撃手だって言ってたのに。銃以外はまともに使ったことがないって言ってたくせに。
騙してたんだ。
ムカツク。
剣の使い方だって、ティーダのことを思い出しながら、たくさん魔物と戦って身に着けたモノなのに。
こんな奴に通じないなんて、私の努力と思い出にべったりと墨を塗られた気分だ。
バカにしてる。
許さない。
殺す。絶対にここで殺す。殺さないと気が済まない!!
「エクスカリバー!」
気合と共に刀身から聖なる光が伸びる。
醜い魔物には効果覿面のはずだ。
でも、『 』の翳した盾がまたもや光を弾いてしまった。
「ラリホーマ!」
聞きたくもない声で『 』が何かの魔法を唱える。
妙な色の光が見えたと思った瞬間、激しい眠気が襲ってきた。
どこまでも私の事をコケにする腹積もりらしい。
冗談じゃない。ふざけるな。
怒りに意識を集中させ、眠気を散らす。
「ユウナ!」
背後からしわがれた声が響いた。
クリムトさんだ。
振り切ったつもりだったけど……さすがに追いつかれちゃうか。
でも、あれだけの地震に見舞われたせいか、腕や肩から新しい血が流れてる。
目が見えないんだから当然だよね。
本当に酷い。私を殺すためだけにこんな地震を起こして他の人を巻き込むなんて。
最低だよ。
許せない。
「ご老人……? もしかして、貴方が」
『 』が間抜けな問いかけをした、その隙を狙って振りかぶる。
なのに――死角から一陣の風が吹いた。
同時に腹部にずしんと衝撃が走り、逆に吹っ飛ばされてしまう。
一体、誰が?
さらに追い打ちをかけるように、クリムトさんの声が響く。
「マヌーサ」
たちまち周りに霧が立ち込め、見たくもない『 』の姿がいくつも映し出された。
どうして? 体当たりみたいな攻撃も、クリムトさんの仕業だってこと?
クリムトさん、さっきも私の邪魔をして――ああ、いや、なんだ。そういうことか。
彼がこんなことをする理由は、一つしかないじゃない。
「クリムトさん。貴方も……そうなんですね」
『 』の作った偽物。
私を騙すためだけにいる存在。
そんなの、わかりきっていたはずなのに、どうしてこんなに苦しいのか。
決まっている。
全部『 』のせいだからだ。
ムカツク。
「君は……助けてくれたのか? いや、それよりも、ユウナさん!」
「青年達よ、聞け! その娘は悪しき力に憑かれ正気を見失っている!
憎むべきは――!!」
「わかってます。彼女は僕の仲間の、大事な人なんです。
だから死なせるわけにはいかない。絶対に……絶対に、助けてみせます!」
二人が何か言っているけれど、もう聞きたくない。
「もう騙されない……絶対に、許さないッッ!!」
その気持ちだけが、私の心を真っ黒く塗りつぶしていた。
◆◆◆
四重に引き起こされた大地震はトレジャーハンターと亀の姿をした賢者を翻弄し、
召喚士は妄執に駆り立てられるまま勇者と盲目の賢者に殺意を向ける。
黒幕たる魔道士は平然と城内を掛け回り、貶められた英雄は――
そして、彼らの明暗は分かたれる。
◆◆◆
【開戦アンダーグラウンド】
◆◆◆
「カー?」
地震……クエイク?
いや、この規模はクエイガかもしれん。
ならば、既に気付かれていたということか……
道化の分際で、どこまでも味な真似をしてくれる。
「チッ」
上階の窓から降ってきたガラスの破片を拳で弾き、壁を蹴って屋根へ飛び上がる。
素直に考えればケフカは一階にいて、道を塞ぐ私を排除する為に地震を起こしたと推測すべきだが……
『だからこそ』、その可能性を真っ先に切り捨てる。
あの不愉快な道化が、そんなわかりやすい思考と策謀で事を起こすとは思えない。
私が考える最も望ましくない事態は、『ヤツがこちらの存在を察知した上で私の眼を潜り抜け、既に上階に向かっている事』。
奴を相手取るならば、常に最悪を前提として事に当たるべきだ。
故に私は上を目指した。
激しく揺さぶられていた瓦が着地の衝撃で崩れたが、滑り落ちる前に走り抜けてバルコニー部の柵を掴む。
だが――普段の私ならば有り得なかった現象が起こった。
まとわりついている粘液と揺れのせいで、手が滑ったのだ。
「ック……!」
掴んだ柵の位置も悪かった。
ケフカを待ち構えるために陣取っていた二階のバルコニーではなく、地上まで落下する羽目になる。
短い手足でもどうにか受け身は取れた。
しかし未だに続いている地震のせいで足がもつれ、たたらを踏んでしまう。
何たる無様。
何たる屈辱か。
過去の『私』はおろか、自らを人と思い込んでいた『神羅の英雄』であれども、これほどの醜態など晒さぬというのに。
ケフカへの怒りを募らせながら、私は今一度、バルコニーへと飛び上がる。
すると唐突に、上階から女の絶叫が響いた。
それが最悪の予測を肯定するものなのか、別の意味を持っているのかはわからない。
だが、高層で何かが起きたことは事実なのだろう。
一階分の高さであればどうにか柵を飛び越えていけるが、揺れはまだ続いている。
不安定な足場に翻弄され、予想外の失敗を繰り返しながら。
今朝方見た外観の構造を思い出し、この身体でもよじ登れるルートを探す。
それにしても、あまりにも長い地震だ。
ケフカめ。
ソウルオブサマサとやら以外にも、何か別の道具を使っているのだろうか。
それを知った所で引く気はないが……
……だが、地震。
この規模の地震、か。
アンジェロは無事だろうか。
もし小僧どもに付き合って、城内に留まっているなら、少し不味いかもしれない。
あんな犬を当てにする気はないが、生きているなら使い様がある。
それにこの状態では貴重な『話の通じる相手』だ。
獣に似合わぬ聡明さといい、ちっぽけな雌犬と思えぬ胆力といい、ケフカごときに殺されるなど惜しいに決まっている。
どうせなら生きていてほしい。
あるいはいっそ、城を離れていてくれたなら、気が楽だ。
先に単独行動を取ったのはこちら。あの犬が何処へ行こうが、別に裏切られたとは思わない。
それこそ、勝手に死なれる方がよほど裏切られた気分になる。
かつて行方をくらませたアンジールに対してそう思ったように、
あるいはアリアハンでクジャと別れた時に感じたように、あの犬の生を願う自分がいる。
……これもまた、『私』らしくない、か?
いや。
話が出来る。協力の余地がある。
何より、このままケフカを見つけられなかったり城から逃げられてしまうことがあれば、あれの助力はやはり必須という事になる。
それは紛れもない事実だ。
進んで認めたいことではないが、否定しても仕方がない。
「カー……」
試行錯誤を重ねている内に、ようやく揺れが収まった。
高層からは相変わらず女の声が響いている。
誰かと会話をし、決裂したようだが……その相手がケフカ、あるいはアンジェロを連れた小僧という可能性はどれほどあるだろうか。
考えていても仕方がない。
さっさと上階に昇れば済む話だ。
――。
結論を言えば、騒いでいたのは着ぐるみなぞを着た妙な女で、相対していたのはソロとかいう小僧と盲目の男だった。
アンジェロと同行している可能性を考え、とっさにソロを襲っていた女の方を突き飛ばしたが……
残念なことに、あの犬の姿は近くにはない。
あるいは戦闘に巻き込まれ死なれるリスクを考えれば、『運が良いことに』と表現すべきかもしれないが。
「君は……助けてくれたのか? いや、それよりも、ユウナさん!」
ソロが勝手な事を喚くが、どうでもいい。
アンジェロが居なければ用は無い。
さっさとケフカを探しに行く方がマシだ。
「青年達よ、聞け! その娘は悪しき力に憑かれ正気を見失っている!
憎むべきは――!!」
「わかってます。彼女は僕の仲間の、大事な人なんです。
だから死なせるわけにはいかない。絶対に……絶対に、助けてみせます!」
二人が何か言っているが、興味はない。
どうせアンジェロ以外は最終的に死んでもらうのだ。
【闇】の集積という目的があるため、私自身が直接手を下す予定はないが。
「もう騙されない……絶対に、許さないッッ!!」
ぎゃあぎゃあと叫ぶ黒いモーグリ女を無視し、私はケフカを探しに戻ろうとする。
だが、鈍重そうな外見に反し、女は素早く剣を振りかざした。
瞬間、雷鳴が響き、糸のような雷がこちらに向かって降り注ぐ。
「……ッ!」
交わしきれる範囲ではないと判断し、とっさに取り出した矢を一本、虚空へ投げる。
金属の鏃に引き寄せられた雷は、矢を焼き尽くし炭へと変える。
しかし安堵する間もなく、雷光に紛れて距離を縮めていた女が剣を振るう。
「カー!」
しゃがんで避け、足払いをかけようとするが、着ぐるみの厚い生地に阻まれたのか女は体勢を崩さない。
不味い。
そう考えた時だ。
「水よ!」
「スカラ!」
ソロが突きだした指輪から迸った怜悧な水刃が女を襲い、同時に奇妙な光が私の身体を包む。
切りさく水を交わしながらも執念で振るった斬撃は、何故か私の腕の皮膚半ばで止まった。
どうやらプロテスに酷似した守護の魔法をかけられたようだ。
「気に食わない」
気に食わない?
それはこちらの台詞だ。
「私は彼に会いたいだけなのに、どうしてそんなに邪魔をするの?
どれだけ私を苦しめれば気が済むの?
お前も、お前も、お前も……! なんでッ!! なんでェエエエッ!!」
ケフカを追いに行きたいというのに、わざわざこちらを執拗に狙ってくる女も。
頼んでもいないというのに、助け船を出したこの二人も。
何より、ケフカどころかこんな女一人に手こずる自分自身も。
何もかも気に食わないのは私の方だ。
ならば、どうする?
どうすれば私は、この忸怩たる思いを晴らす事ができる?
「死んでよぉおおおおお!! さっさと!! 今すぐ!!! 死んでッッ!!」
私が答えを出す前に、女は動く。
そして、女が一撃を繰り出す前に
「良い事言いますねェ、ユウナちゃん。
私もテレポを使いまくった甲斐がありますよん」
宙空に寝そべる、見覚えのない帽子を被ってニヤニヤと笑う道化が
「そーれ」
あの、忌々しい白マテリアを手に
「ホーリーに、ホーリーっと」
『ホーリー』『ホーリー』『っと』
――声と、谺を、響かせた。
【セフィロス (カッパ 性格変化:みえっぱり 防御力UP HP:????)
所持品:村正 ふういんマテリア いかづちの杖 奇跡の剣 いばらの冠 プレデターエッジ 筆記具
ドラゴンオーブ、スタングレネード、弓、木の矢28本、聖なる矢14本、
ウィンチェスター(みやぶる+あやつる)、波動の杖、コルトガバメントの弾倉×2、E:ルビーの腕輪
第一行動方針:?????
第二行動方針:ケフカを殺す/カッパを治して首輪を外すため、南東の祠に向かう
第三行動方針:進化の秘法を使って力を手に入れる/アーヴァインを利用して【闇】の力を得たジェノバとリユニオンする
第四行動方針:黒マテリアを探す
最終行動方針:生き残り、力を得て全ての人間を皆殺しにする(?)】
【ソロ(HP3/5 魔力1/8 マホステ状態)
所持品:ラミアスの剣(天空の剣) 天空の盾 ひそひ草
ジ・アベンジャー(爪) 水のリング 天空の兜
フラタニティ 青銅の盾 首輪 ケフカのメモ 着替え用の服(数着) ティーダの私服
第一行動方針:????
第二行動方針:サイファー・ロック達と合流し、南東の祠へ戻る
基本行動方針:PKK含むこれ以上の殺人を防ぐ+仲間を探す
※但し、真剣勝負が必要になる局面が来た場合の事は覚悟しつつあり】
【クリムト(失明、HP1/3???、MP1/3) 所持品:魔封じの杖
第一行動方針:????
第二行動方針:首輪の研究と脱出方法の実験をする
基本行動方針:誰も殺さない
最終行動方針:出来る限り多くの者を脱出させる】
【ユウナ(きぐるみ士、HP9/10???、MP1/6、ティーダ依存症)
所持品:銀玉鉄砲(FF7)、官能小説2冊、
天空の鎧、血のついたお鍋、ライトブリンガー 雷鳴の剣
スパス スタングレネード ねこの手ラケット
ビーナスゴスペル+マテリア(スピード) 水鏡の盾
第一行動方針:皆殺し
基本行動方針:脱出の可能性を潰し、優勝してティーダの元へ帰る】
【現在位置:デスキャッスル外観4Fバルコニー】
【ケフカ (MP:1/8、レビテト、ヘイスト)
所持品:ソウルオブサマサ 魔晄銃 魔法の法衣 アリーナ2の首輪
やまびこの帽子、ラミアの竪琴、対人レーダー、拡声器 白マテリア
リュックの支給品袋(刃の鎧、チキンナイフ、首輪×2、ドライバーに改造した聖なる矢×3)
サイファーの支給品袋(ケフカのメモ)
レオの支給品袋(アルテマソード 鉄の盾 果物ナイフ 君主の聖衣 鍛冶セット 光の鎧)
第一行動方針:セフィロスやユウナといった邪魔な人間を殺す/デスキャッスルで進化の秘法の情報を集める
第二行動方針:アーヴァイン達に首輪を解除させる
第三行動方針:「できるだけ楽に殺す方法」を考えつつ全員を殺す
最終行動方針:ゲーム、参加者、主催者、全ての破壊】
【現在位置:デスキャッスル外観4Fバルコニー(空中)】
【ギード(HP3/5??、残MP1/4)
所持品:首輪
第一行動方針:ソロ達と合流して南東へ向かう
第二行動方針:首輪の研究と脱出方法の実験をする】
【ロック (左足負傷、?????)
所持品:キューソネコカミ クリスタルソード 魔石バハムート 皆伝の証、かわのたて
死者の指輪、ひきよせの杖[0]、レッドキャップ、ファイアビュート、2000ギル
デスキャッスルの見取り図
第一行動方針:ソロと合流/ギードの護衛
第二行動方針:リルム達と合流する/ケフカを警戒
基本行動方針:生き抜いて、このゲームの目的を知る】
【現在位置:デスキャッスル内部・4F〜5Fの階段付近】
新作乙です!!スレ立て乙です!!こんなんじゃ感謝の言葉が足りないでしょうけど乙です!!
ここのケフカはほんとケフカらしすぎwwマーダーではなく策士として優秀すぎる
ついにキターーーーと言わざるを得ない。
乙!
ユウナとケフカは毎回素晴らしくて飽きないね。
おおおスレにまたがる大作が!
しかも構成も展開も面白すぎる...超絶GJです!
吹っ切れないロック、生真面目なソロ、壊れたユウナ、苛立つセフィロス
それぞれの内面の声がキャラ立ちまくりな上にストーリーもしっかり進展しているのがすごい
でもってケフカの脳内語りがいつもながら楽しいw
シリアスモードとぶっ壊れモードの瞬発的な切り替えといい、
ぼくちん3分クッキングとか「天災的頭脳」とか小ネタ満載っぷりといい、
実際にやってることのえげつなさといい、輝いてるな〜
一つだけ難を言うなら
続きが気になって仕方ないことだw
新作乙です
デスキャッスルホーリーに包まれたかwww
ケフカは闇の世界に来てから如何なく本領を発揮してるな。
……あれ?これってロックもやばい?
フラフラの所に彫像ダイレクトアタック喰らったってことだよね?
乙です乙です続きが気になる!
しかしケフカが輝きすぎてる。4連続大魔法とかやめろwww
MP1/8だけど山彦はMP消費しないんだっけ
やばいっていうか>【ロック (左足負傷、?????) とかもうなんていうか
ロックさんはメタ的に死亡フラグ乱立レベルだしこの場においては限りなく場を動かせると思うしすげー輝けると思うよ。ろうそくの火はとか言わない
ケフカとセフィロスはお互いを狙ってるけど最後の大乱戦になりえるデスキャッスル戦後こいつらのスタンスどーなるかなーマジで
セフィロスがカッパの姿のまま死んだら伝説になりそうだな
大作乙!久しぶりに書き込み。
長く書いておらず、また書き手参加したい気持ちもあるが
面白い展開が思いつかない以前に
この先どうなるのかすら全く想像が及ばないから読み手に徹する俺。
ケフカの思考最高です。
>>56 俺も続きかきたいけどなんもおもいつかねえよ……
>>56>>57 俺も。今、このクオリティで継続して書いている人はマジですごいと思う。
>>56 おおっと書き手さん登場!
とりあえず、あんまり展開に絡んでないセージお兄さんを
何とかするあたりから再開してみるのとか、どうでしょう
60 :
56:2013/08/29(木) NY:AN:NY.AN ID:Sh1hbPhf0
ほんとだ。セージは見事に孤立してるから、現状でもまだ書き手次第な立ち位置にいるんだな。美味しい。
でも、
>>59が現書き手だとしたら、俺が新作を書くことは……正直期待しないでくれw
考えてはみたい、が……。
その時既に行動は終わっているんだーッ
1〜3kbのリハビリでもまずは書いてみるといいんじゃないかナ
闇の世界編が始まってからデスキャッスルにいろんな人が出入りしてたけど
このタイミングで、このメンバーで戦いが始まるとは思いもよらなかった
熱すぎる展開だぜっ!!
「…………悪い。いや、助かったギード」
「気にするな。ワシは甲羅があるからの」
立つことも許されない大地震の中。
彫像に襲われたはロックだったが、ギードの影隠れる形で難を逃れてた。
みっともなくひっくり返りながらの避難だったのは秘密だが。
「今の、地震か?」
「ふむ。しかし自然的なものとは思えんのぅ……」
「ってなると…………」
人為的なもの、ということになる。
ユウナか。
それとも別の誰かか。
だが、あれほどのことをできる人間が、いるというのだろうか?
実力的な話だけではなく。
倫理や常識的な意味でも。
だが間違いないことがある。
ここで何かが起きている。
誰かが何かを起こしている。
何かの意思によって。
何かの悪意によって。
「いったい、何が起きてるんだ…………?」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
混沌とした状況で、真っ先に動いたのは緑の影セフィロスだった。
セフィロスは一息でバルコニーの縁に足をかけると、そのまま弾丸のような勢いで宙に浮かぶケフカに向けて一直線に飛びかかった。
「…………ひょ?」
まさかノータイムで飛びかかってくるとは、さすがのケフカもこの行動にも意表を突かれた。
なにせ白マテリアによるホーリーは発動している。
そこに真正面から飛び込むなど、みすみす餌食になりに行くようなものだ。
だが、白マテリアを用いたホーリーは、他世界のホーリーとは趣が異なる。
黒マテリアにより発動する究極の破壊魔法メテオ。
それと対を成すのがこの白マテリアによる究極の防御魔法ホーリーである。
その力は強大にして絶大。
だが強大であるが故に、その発動には時間がかかる。
その事実をこの場にいるモノの中で唯一、セフィロスだけが知っている
発動までの僅かなタイムラグを付いて、ケフカの目の前にセフィロスは到達する。
道化とカッパの視線が交錯する。
けっこう呑気してたケフカだったが、あまりに迷いのない行動に意表を突かれ、その接近を許してしまった。
余裕ぶっこいて適当な体勢をとっていたのも仇となった。
拳を構えるセフィロス。既に射程権だ。
ホーリーの発動は、撃退には間に合いそうにない。
カッパの身であるとはいえ、その中身は魔人である。
その一撃を喰らうのはまずい。
だがかわそうにも、体勢は悪く対応も厳しい。
ならば、
「――――ディスペル」
ヘイストにより呪文は即座に完成する。
自らにかけたレビテトは打ち消された。
浮遊効果は失われその体は地上へ向けて自由落下を開始する。
振るわれた緑の剛拳はケフカを捉えることはなく、その上空を掠めた。
「ブヒョッヒョッヒョ! 残念でした〜ぁ」
べろべろばー、と落下しながら道化師が笑う。
だが、セフィロスはそんな挑発を見向きもしない。
そもそも狙いはもとよりケフカではない。
突き出されたセフィロスの手が捉えたのは、発動を待ち、淡く緑に輝く白マテリアだった。
ホーリーを、発動前に潰す。
エアリスの発動させたホーリーを妨害した時のように、セフィロスにはそれが可能だ。
白マテリアの働きを阻害するべく、意志を込める。
ジェノバの呪われた力、そしてセフィロスの意志力により、今にも生み出されそうなホーリーを封じる。
水際にて、その発動を防ぐことに成功した。
そう、『一つ目』ホーリーは、だ。
「!?」
確かに封じたはずの輝きが、再び燈る。
ならば、再度封じるまでと、セフィロスが掴んだ手に力を込める。
だが、それは不運か。あるいは必然か。
確かに掴んだはずのその手が、粘液によりぬるりと滑った。
「カッ…………!」
カッパが舌を打つ。
何と忌々しい。
たましても呪いのようにこの体が足を引っ張る。
片翼すらないその身は、もはや重力に従い墜ちるしかない。
落下する。
その頭上で、世界を塗り替える青白い極光が生まれ、デスキャッスルを覆った。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「シンジラレナーイ! なんなんですかあのカッパ!」
はるか上空から地上に達した道化が、着地するなり叫びをあげた。
当然、この道化は落下などで死ぬタマではない。
空では閃光とともに持続的な破壊音が響いていた。
砕かれた瓦礫が雨のように降り注ぐ。
その光景を僅かに目を細めながら見つめ。
「うーん。研究資料とか、無事なんですかねぇ、これ」
それはケフカの知るホーリーよりも何回りか大きい破壊規模。
まさか城ごと吹き飛ばすほどのものとは、さすがに予想外である。
「ま。こういうのは大体、都合よく爆風とかで重要資料は助かってるもんですから、気にしないでおきましょ。
それよりも、」
ケフカは気持ちを切り替えて、頭上に向けていた視線をクルリと背後の足元に向ける。
「セフィロスくぅ〜ん。君もしつこいですねぇ。
まったく、ボクちんがいったい何をしたっていうんですかぁ?」
そこにいたのは、わずかに遅れて地上に降りた小柄な緑の影。
カッパとなったセフィロスである。
もちろん、セフィロスも落下などでは死ぬはずもない。
「カー。カァカア?(面白い。忘れたというのならこの場で思い出させてやろうか?)」
対峙する互いの距離は5メートルほど。
セフィロスならば、その気になれば一息で詰められる距離だ。
ケフカならば、その距離を詰める間に呪文の一つや二つ完成させることはできるだろう。
だが石や岩、何かの破片が降り注ぐ中、睨み合った二人はそこで動かなくなった。
いや、動かないのではなく動けない。
互いに油断ならない相手だと理解している。
うかつに動いていい相手ではない。
「ああ、思い出しましたよ。
そういえばそんなこともありましたっけねぇ」
体を動かせずとも、口を動かすのならばタダだ。
挑発に乗って相手が動いてくれるなら、それこそ儲けものだ。
「それで、僕との約束はどうなってるんですか?
もう5人、10人といわず、20人くらい殺しちゃってくれました?
ポイント足りなければ、何ならここで自殺してくれてもぼくちん的には無問題ですよ?
なんと今ならポイント5倍感謝DAY。死ぬなら今!」
「カー。カァーカアカア(そうだな。お前を殺して一人目としようか)」
ジリ、とセフィロスが間合いを僅かに詰める。
来る気だ。
それを見てケフカはクククと喉を鳴らす。
「…………さっきからカアカア、カアカア。
何言ってんのかわかんなぁいんだよ、ブァーーカ!!」
道化師の叫び。
それと同時に、二人の視界を遮るほどの巨大な塊がが落下した。
「!?」
崩壊した城壁の一部だろう。
瞬間的に視界は遮られ、二人の間が完全に分断される。
「カっ(ふん)」
してやられたな、とセフィロスは息をつく。
立ち位置的に、ケフカにはこれが来ることが見えていたのだろう。
ケフカは落下のタイミングに合わせ、一目散にその場を離脱していた。
追うべきか、それとも見ておくべきか。
セフィロスはいまだ破壊の止まぬ上階を見つめる。
瞬くように炸裂する極光を見ながら、セフィロスは思う。
ホーリーは本来、星の害となるものを打ち滅ぼす防御魔法である。
それは言わば星の自浄作用。
つまり星の害悪となるものは、その発動時の条件、状態、脅威度により破壊の規模も、対象も“自動的”に設定されるということ。
あるいはそれはメテオであり、あるいはジェノバであり、あるいは人間であることもあるだろう。
ならば、今放たれたこの極光は、いったい何を打ち滅ぼすのだろうか?
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
それは、その身に纏う闇故か。
はたまた彼女自身の邪悪な意志か。
蠢くような無数の光帯。
その狙いの対象となったのはユウナだった。
もちろん、個人を狙ったところで、その破壊規模から周囲の被害は免れない。
辺り一帯を消し飛ばすような光の渦がバルコニーに迫る。
だが、その破壊の光に向かって出る影があった。
勇者ソロである。
彼は今マホキテの効果により、どれほどの規模であろうと、それが魔法的効果であるのならば無効化できる状態にある。
もっともこれほどの破壊魔法であれば、直接的被害を無効化したところで二次的被害は免れないだろうが。
その程度を防ぎきる技量も彼にはある。
だが、それではダメだ。
ソロは勇者である。
勇者とは、いかなる困難に対しても立ち向かう勇気を持った者へ送られる称号だ。
自分一人ならばともかく、周囲にはクリムト、そしてユウナがいる。
マホキテで自分の周囲の身だけを守るのではなく、辺り一帯を守らねばこの破壊から彼らを守ることはできない。
それが勇者の務めである、逃げることはできない。
「盾よ――――!」
ソロは天空の盾を掲げる。
すると光の壁が彼を包んだ。
それはあらゆる魔法を跳ね返す光の結界。
呪文ごと押し返す。
それ以外にこの場を守る方法はない。
対するは恐るべき光の奔流。
衝突とともに、絶対安全圏であるはずの結界内ですら衝撃を感じた。
「く――――ッ!」
その圧力に、思わずソロの足が押されそうになったその時。
詠唱の声を上げながら、前に踏み出る者がいた。
賢者クリムトだ。
クリムトはソロの意図を読み取り、呪文を唱えその隣に並び立つ。
唱える呪文は。
「マホカンタ―――――!」
勇者と賢者。
障壁となり究極呪文へと立ち向かう二人。
この状況でも反射呪文は正しく作用し、ホーリーを押し返すことに成功した。
いや。
正確には。
『二つ目』のホーリーは押し返すことに成功した。
今だ止まぬ白マテリアの輝き。
『二つ目』から僅かに遅れて『三つ目』のホーリーが発動した。
これにより生まれる結果は一つ。
跳ね返されたホーリーと、遅れて放たれたホーリーの衝突である。
生まれるのは弾けるような閃光。闇の世界が光に染まる。
相殺により凄まじいまでの熱量が生み出され、爆風により運ばれる。
それは彼らの皮膚をひり付かせるのみならず、城壁を溶かし破壊する。
ぶつかり合うのは同じ究極魔法。
拮抗は必然。
余波による破壊をまき散らしながらも、打ち消しあい消滅も時間の問題かと思われた。
だが、
そこに、トドメとなる『四つ目』のホーリーが発動した。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
均衡はあっさりと、そして完全に崩れた。
4階から上は完全に吹き飛んだ。
あるのは瓦礫の海ばかりで跡形もない。
その瓦礫の一部が崩れ落ちる。
伸し掛かる岩片を払いながら立ち上がるモノがいた。
現れたのはソロだった。
幾つかの瓦礫に襲われたが、天空の兜が防いだ。
無傷とはいかないが致命傷はない。
その横には血を流し倒れるクリムトが。
ホーリー自体の破壊はマホカンタにより防いだはずだ。
クリムトのダメージはホーリーに破壊され生み出された瓦礫などによる二次的なものだろう。
「大丈夫ですか!」
「うっ……く」
息はある、だが意識は朦朧としているようだ。
頭部からの流血もひどい、迂闊には動かせそうにない。
ひとまず回復してから安全な場所に避難させるべきか。
ソロがそう判断し、魔法を唱えようとしたその時。
後方から、ガラリと瓦礫の落ちる音が聞こえた。
見れば、そこに幽鬼が経っていた。
ユウナだ。
魔法的効果は防いだ二人と違い、一時的効果まで受けた彼女の表面はやや焼け焦げている。
だがソロとクリムトが盾となったお蔭か、十分に五体無事といえるだろう。
あの破壊規模を思えば奇跡的ともいえる。
「……………………許さない」
だが、向けるのは憎悪。
助けられた恩義などない。
そもそも攻撃してきたのも『 』なのだ
助けたのが『 』だったところで許す理由もない。
襲ったのも助けたのも同じ人間で、それが複数いるだなんておかしな話だ。
だが、そんなまともな理屈など、今の彼女に期待するほうがどうかしている。
もはや常識(ルール)が違うのだ。
彼女の中で彼女は絶対的に正しい。
「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない
殺してやる、■■■■■■」
向けられるどす黒い殺意。
クリムトは動けそうにない。
彼をおいて逃げることはできない。
「戦わなきゃ、ダメなのか……ッ?」
そう呟くと、勇者は悔しげに天空の剣を握りしめた。
【ソロ(HP3/5 魔力1/8)
所持品:ラミアスの剣(天空の剣) 天空の盾 ひそひ草
ジ・アベンジャー(爪) 水のリング 天空の兜
フラタニティ 青銅の盾 首輪 ケフカのメモ 着替え用の服(数着) ティーダの私服
第一行動方針:戦う?
第二行動方針:サイファー・ロック達と合流し、南東の祠へ戻る
基本行動方針:PKK含むこれ以上の殺人を防ぐ+仲間を探す
※但し、真剣勝負が必要になる局面が来た場合の事は覚悟しつつあり】
【クリムト(失明、意識朦朧、HP1/8、MP1/3) 所持品:魔封じの杖
第一行動方針:????
第二行動方針:首輪の研究と脱出方法の実験をする
基本行動方針:誰も殺さない
最終行動方針:出来る限り多くの者を脱出させる】
【ユウナ(きぐるみ士、HP2/3、MP1/6、全身に軽度の火傷、ティーダ依存症)
所持品:銀玉鉄砲(FF7)、官能小説2冊、
天空の鎧、血のついたお鍋、ライトブリンガー 雷鳴の剣
スパス スタングレネード ねこの手ラケット
ビーナスゴスペル+マテリア(スピード) 水鏡の盾
第一行動方針:皆殺し
基本行動方針:脱出の可能性を潰し、優勝してティーダの元へ帰る】
【現在位置:デスキャッスル跡 3〜4F辺り】
【セフィロス (カッパ 性格変化:みえっぱり 防御力UP)
所持品:村正 ふういんマテリア いかづちの杖 奇跡の剣 いばらの冠 プレデターエッジ 筆記具
ドラゴンオーブ、スタングレネード、弓、木の矢28本、聖なる矢14本、
ウィンチェスター(みやぶる+あやつる)、波動の杖、コルトガバメントの弾倉×2、E:ルビーの腕輪
第一行動方針:ケフカを追う/ホーリーの跡を確認する
第二行動方針:ケフカを殺す/カッパを治して首輪を外すため、南東の祠に向かう
第三行動方針:進化の秘法を使って力を手に入れる/アーヴァインを利用して【闇】の力を得たジェノバとリユニオンする
第四行動方針:黒マテリアを探す
最終行動方針:生き残り、力を得て全ての人間を皆殺しにする(?)】
【ケフカ (MP:1/8)
所持品:ソウルオブサマサ 魔晄銃 魔法の法衣 アリーナ2の首輪
やまびこの帽子、ラミアの竪琴、対人レーダー、拡声器
リュックの支給品袋(刃の鎧、チキンナイフ、首輪×2、ドライバーに改造した聖なる矢×3)
サイファーの支給品袋(ケフカのメモ)
レオの支給品袋(アルテマソード 鉄の盾 果物ナイフ 君主の聖衣 鍛冶セット 光の鎧)
第一行動方針:セフィロスやユウナといった邪魔な人間を殺す/デスキャッスルで進化の秘法の情報を集める
第二行動方針:アーヴァイン達に首輪を解除させる
第三行動方針:「できるだけ楽に殺す方法」を考えつつ全員を殺す
最終行動方針:ゲーム、参加者、主催者、全ての破壊】
【現在位置:デスキャッスル跡 1F外】
※デスキャッスルの4Fより上は完全に崩壊ました、下階も無事とは限りません
※白マテリアはどこかに落ちてます
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「なんじゃあこりゃああああああああああ!!!」
ロックの叫びが空に響く。
彼は今、ギードと主にはるか上空を飛んでいた。
何が起きたのか。
謎の閃光が城を覆ったと思えば、突然下階がぶっ飛んだ。
何言ってるのかわかんないだろうが、彼らもわけがわかってない。
恐ろしいものの片りんを味わったのである。
幸か不幸か、うまく足場ごと吹き飛ばされたため、今のところダメージはない。
が、まともな人間は、こんな高さから落ちたら間違いなく死ぬ。
爆風による上昇が終わる。
一瞬の浮遊感。
落下が始まる。
どうする?
【ギード(HP3/5、残MP1/4)
所持品:首輪
第一行動方針:状況に対処
第二行動方針:ソロ達と合流して南東へ向かう
第三行動方針:首輪の研究と脱出方法の実験をする】
【ロック (左足負傷)
所持品:キューソネコカミ クリスタルソード 魔石バハムート 皆伝の証、かわのたて
死者の指輪、ひきよせの杖[0]、レッドキャップ、ファイアビュート、2000ギル
デスキャッスルの見取り図
第一行動方針:着地
第二行動方針:リルム達と合流する/ケフカを警戒
基本行動方針:生き抜いて、このゲームの目的を知る】
【現在位置:デスキャッスル跡 上空】
新作乙です!!
予想に違わずデスキャッスル崩壊した…がロックとギードがこうなるとは読めなかった!
ただ、マホキテじゃなくてマホステですよね?揚げ足取りで申し訳ない…
投下乙です。1stの大神殿と言い、三日目の世界にあるデカイ建物はぶっ壊される運命なのかw
上空に吹っ飛んだロックとギードはどうなってしまうのか。何にせよGJ
ロックとギードが一難去ってまた一難すぎるwww
上空って面白い位置で引いたなあ
ところで10-2やったことないんだけど着ぐるみで全身火傷ってなるのかな。描写的に着ぐるみが燃え落ちてるのかなって思ったんだけど
ホーリー周りは考え込んだらよくわかんなくなったけどソロが熱いわ。ここを勇者として頑張って欲しい
新作乙
ロックギードは、こうくるとは思わなかったわ何かワロタ ロックここにきておいしいな
いよいよユウナとガチバトル来るか?
>>67 15行目
>彼は今マホキテの効果により、どれほどの規模であろうと、それが魔法的効果であるのならば無効化できる状態にある。
を
>彼は今マホステの効果により、どれほどの規模であろうと、それが魔法的効果であるのならば無効化できる状態にある。
24行目
>マホキテで自分の周囲の身だけを守るのではなく、辺り一帯を守らねばこの破壊から彼らを守ることはできない。
を
>マホステで自分の周囲の身だけを守るのではなく、辺り一帯を守らねばこの破壊から彼らを守ることはできない。
に修正します
>>76 ご指摘、ありがとうございます
ついにデスキャッスル「跡」にwww
ホント、城とか町とかよく消し飛ぶな。投下乙!
>何が起きたのか。
>謎の閃光が城を覆ったと思えば、突然下階がぶっ飛んだ。
>何言ってるのかわかんないだろうが、彼らもわけがわかってない。
>恐ろしいものの片りんを味わったのである。
ロックがポルナレフ顔になってるのが目に浮かぶようだ
乙
絵板死んでる?
>>84 今は普通に見れるよ。昨日はダメだったけど
*SIDE:サイファー
混乱した思考がいくら足掻こうとも、溜まった疲労の前には無力だった。
目を閉じるだけで眠気が襲ってくる。
足元からせり上がる虚脱感は、まるで底なし沼に引きずり込まれているようだ。
身体を休める為の眠りが、何故こんなにも忌々しい感覚を伴うのか。
答えはわかりきっている。
今から見る夢で、安らげるわけがないからだ。
――。
「来たみたいだな。
まあ、子供のお使いぐらい出来て当然か」
扉を潜ったとたん浴びせられた嘲笑に、俺は思わず舌打ちする。
ふてぶてしい物言いは間違いなく、昨日の朝方に出会ったいけすかねぇ奴のものだ。
失ったはずの左眼までも細めてニヤニヤと笑うアルガスから視線を逸らし、辺りを見回す。
どうやら飛空艇かなんかの機内らしい。
乗った事がないから断言できねえが、大方、スコールが使ってたラグナロクって機体だろう。
現にアルガスとは少し離れた場所で、スコール本人が、項垂れているティーダのヤツと差向いに座っている。
こっちの眼差しに気付いたのか、スコールは顔を上げ、バツが悪そうに余所を向いた。
「……信じてくれたか」
『良かった』とか寝言をほざかなかったあたり、テメェが何をしたかはよーくわかっているようだ。
そもそも俺だって信じたくて信じたわけじゃない。
普段なら鼻で笑い飛ばすような与太話でも、それ以上に荒唐無稽な現実を見せつけられた後じゃあ、否定しようがねえだけだ。
「どういうことだ」
俺はスコールの視界に入るように回り込み、立ったまま問い詰める。
スコールは観念したように顔を上げ、小さくため息をついてから、淡々と話し出した。
「……夢の中で話す道具をアルガスが持っていた。それを俺が借りた」
今聞きたいのはそんな事じゃねえよ。
そう思ったが、俺が罵声を浴びせる前に、アルガスの声が響く。
「感謝しろよ? 俺が婆さんの鍵を拾ってやっていたから、こうして魔女に気付かれずに話が出来るんだ。
危険な状況にも関わらず単独行動したマヌケが仲間にいてもな」
頭にカッと血が上るのを感じた。
アリアハンでもそうだったが、やっぱりコイツはコレが素らしい。
いくら片目を失った状態で助けを求めてきたからといって、匿ってやった事がバカらしく思えてくる。
「誰に向かって言ってるんだ? あぁ?」
激情に任せて拳を振り上げたい衝動を抑え込み、アルガスを睨みつける。
けれどもヤツは大人しくなるどころか、不満と敵意を露わにして叫んだ。
「お前こそ自分の立場と愚行を弁えろッ!
セフィロスを討伐すると言っておいて、当の本人が目の前にいたにも関わらず野放しにしたのは誰だッ!」
ガルバディア野郎がコイツの眼を抉るなんて真似をした理由が、少しだけわかった。
他人を見下すタイプの人間を従わせようと思ったら、恐怖と暴力で縛り付けるのが一番楽だろう。
そう、自分が安全地帯にいるからといって調子こいてるヤツを黙らせることができるのは、言葉なんかじゃねえ。
有無を言わせない一発だ!
「止めろ」
アルガスに近寄ると同時に、腹が立つほど淡々としたスコールの制止が飛ぶ。
俺は構わず足を進め、アルガスの胸倉を掴み上げた。
「殴りでもするか? この――」
奴は一丁前に軽蔑の表情を浮かべ、何かを言いかける。
だが、こっちにしちゃ聞く気も聞いてやる義理もない。
そう思っていた俺の拳と、アルガスの嘲笑を止めたのは、やはりスコールの奴だった。
「止めろと言ったんだ、アルガス」
アルガスが呆然とスコールを見つめる。
『何故俺が止められるんだ』とでも思ったのだろう。
「今、俺が話したいのはサイファーだ。……邪魔をするなら起きてもらう」
「……ッ。
くそっ、わかったよ。ああ、俺が悪かった」
どうやって躾けたのか。
アルガスは恐ろしく素直にスコールの言葉を聞き入れ、顔を逸らしながら曲がりなりにも謝罪の言葉を口にする。
だからといって俺の苛立ちは収まらなかったが、眠りについた理由を思い出し、仕方なく手を離した。
俺はスコールの所へ戻り、空いている椅子にどっかりと腰を下ろした。
『さっさと話せ』と顎をしゃくると、スコールは目を閉じ、例によって唐突に切り出す。
「……騙して済まなかった」
驚きのあまりこっちが腰砕けになりそうなほど、しおらしい態度だった。
少なくとも俺の中にある、『むかつくほどスカしてる癖に、目障りなほど頑固で退かない奴』という印象には似合わない。
そんな俺の表情を見て取ったのか、スコールは憮然とした表情を浮かべた。
「今回は俺達が明らかに悪いからな。………いくらなんでも、謝るに決まってるだろ」
なるほど。
まあ、下らない弁解や逆ギレを聞かずに済むのはイイことだ。
――この苛立ちを消すには程遠いが。
「手帳を読んだ以上想像はついているだろうが……
俺とアルガスの死は、アーヴァイン達と一緒に仕組んだ狂言だ。
首輪に生存判定機能があった為に、解除に際して俺達の死を偽装する必要があった」
「あの野郎のキチガイっぷりは、全部演技だったってわけか?」
俺の言葉に、スコールは目を閉じながら「半分は」と答えた。
「あんた達に対する殺害予告は演技だし、過剰な表現はアイツのアドリブだ。
ただ、【闇】が実在することは間違いない。
……それに、ティーダを殺した人物についても裏付けが取れた」
そこまで言って、スコールがちらりとティーダを見やる。
ティーダは俯いたまま、拳を握り締める。
本当に、何がどうなってるのかわかんねえことばかりだ。
「ティーダの事は……後にしよう。
一番重要なのは、【闇】についてだ」
そう言ってスコールは【闇】とやらについて、改めて説明をした。
殺し合いによって生み出された、魔力を通すことで霧状に具現化する、魔女の意思と力が混ざった不純なエネルギー。
それ自体はヘンリーから聞いた話と殆ど変らなかったが、そこに隠された可能性――
『魔女の意思による電波障害』まではちっとも思い至らなかった。
悔しい話だが、……こいつの頭の出来には舌を巻く。
しかし、しれっと語るスコールを前にして、そんなことを素直に認めたくなかった。
だから聞かなくてもわかる質問を口にしてしまう。
「なんでガルバディア野郎を外に放り出した?」
スコールの表情が曇る。
そうなることはわかっていたし、答えも見当はついている。
「……俺達を『殺した』張本人が祠に留まるのは、余程の理由を付けないと不自然に見られる。
加えて、アイツ自身が外に行ってユウナを探したいと願った。
さらにアーヴァインが習得していた、首輪の解除に必要な技を、バッツが覚える事が出来た」
バッツの事だけは予想外だったが、後は殆ど俺の予想通りだった。
となると、首輪を外された人間にアルガスが入っているのも、アーヴァインを野放しにして大丈夫なのか試す為だろう。
ああ、アイツ自身の意志だけを問うなら、監視を付けずに放っておいても問題は無いだろうな。
能力的にも雑魚じゃない。前衛で戦えるリュックもセットで、チョコボまで連れていやがる。
オマケに気前よくビームライフルとパンデモニウムをくれてやったなら、対処できない敵なんざいないと考えても仕方がない。
俺がスコールの立場で、『ソイツ』の事を目の前で見てなかったら、やっぱりアーヴァイン達を送り出しただろう。
――だが、現実には『ソイツ』はアーヴァインを見つけ、容易く捕えた挙句、とんでもない事をしやがったワケだ。
スコールだけを責められないってことはわかってる。
だが、それでもこれは聞いておく必要があった。
「アイツがどんな状態か知ってんのか?」
俺の質問に、スコールはますます面持ちを暗くする。
「……多少は本人とティーダから聞いている」
いつの間に、と思ったが、祠に来るまでアーヴァインが眠っていた事を思い出す。
コイツもアイツもいちいち手が早いが、だったら尚更、どうにかならなかったのか……
そう考える事さえも責任転嫁でしかないが、考えずにはいられない。
「外見の一部がモンスター化していること。セフィロスに精神汚染を受けているということ。
しかし現時点ではほぼ正気の状態であり、自発的にこちらに協力する意思があるということ」
「アレが正気だと?」
俺はアーヴァインの容態を思い出し、眉根を寄せる。
確かに操られているような様子ではなかったが、表情には生気がなかったし、口調も錯乱気味だった。
そんな俺の疑問を読んだか、アルガスは性懲りもせず、鼻を鳴らす。
「フン。お前に殺されないよう、哀れな狂人の演技でもしてたんじゃないのか?」
「演技だ?」
「そうさ。奴が元気な化物なら、誰も保護しようとは考えない。
だから追い詰められて弱ったフリをしたんだろう。姑息な考えだ」
「……姑息かどうかはさておき、俺もそう思う」
スコールも今度はアルガスを止めず、逆に同意を示す。
「アイツは『発狂して俺達を殺した人間』だ。
あんた達に保護されるとなれば、『現時点で殺し合いに乗らない理由』が必要だろう。
確かに、外見が変貌しているという以上、精神に異常が生じてもおかしくはないが――」
「ちょっと待てよ。アービン、こっちで会った時は元気だったじゃないか。
さっきは苦しそうにしてたけど……精神がおかしくなってるってことはないだろ?」
ティーダまで口を挟んできた。
なるほど、どいつもこいつも、夢の中でマトモに振舞ってたからマトモだろうって言いたいわけだ。
「ああ。少なくとも夢で会ったアイツは、普段と変わらないレベルの思考が出来ていた。
おかしかった点は、セフィロスの名前を出した時に苦しむ素振りを見せた事ぐらいだ。
あんたがどういう場面を見たかは知らないが、錯乱したフリという可能性では片付けられないのか?」
――実にごもっともな意見だ。
俺が何を見たかも、アイツがどんな目に合ってるかもわからずに言ってやがるんだからな!
*SIDE:リュック
サイファーが寝た後、あたしはまず『掃除』を始めた。
これまでの話を聞こうにも、先に盗撮対策をしておかないとマズイからだ。
ネズミや虫といった目につく小動物を手当たり次第に捕まえて、殺す。
少し可哀想だけど、あのケバい魔女がジャ……ジャンクフード? ジャンクション?
そうそう、ジャンクションだジャンクション。そんなカンジの技術を持っている以上、放置することはできない。
――えっ? 今日の晩御飯候補!?
いやいやいや。
あんなの、スコールが考えたデマカセだってば。
そりゃ、ヘンリーはネズミも虫も食べたことあるって言ってたけどさ……
いくらザックごとご飯を持って行かれたからって、こんなネズミとか、でっかい蜘蛛とか、へんな虫とか――
絶対に食べていいものじゃなーいって、見た目が全力主張してるって!
"ぐぅ〜〜〜〜"
「…………」
我ながら空気を読んでくれないお腹が鳴る。
でも、食べる物は無い。
無いったら――無い。
「……どーしよ」
思わず独り言をこぼし、燃やすつもりで集めた戦果を見つめる。
妙に大きめのネズミが三匹、クモ一匹、蛾が一匹。
虫は論外だとしても、ネズミは……うーん……た、食べるところは、ある、サイズ、だけど……
どうだろ……やっぱ一食ぐらい我慢した方が……でも明日の朝や昼もおんなじよーに食料不足だったら……
「……、……」
つんつん、と不意に肩を叩かれた。
振り向くと、いつの間にか這いずって近づいて来てたアーヴァインが、小さな袋を差し出していた。
中を見てみると、どこかで拾ったらしい干乾びたチーズが二切れ入っている。
どうやら、ネズミの死体を前にして頭を抱えているあたしを見かねたらしい。
「食べていいってこと? でも、あんたの分は?」
「………」
あたしの質問に、アーヴァインは項垂れ、眼を逸らした。
そして首を横に振り、そのくせ袋を押しつける。
さっきまでは自分勝手なヤツだって思ってたけど……やっぱり、サイファーの言ってた事が正しいのかもしれない。
"自分の事情は二の次で、他人に尽くす事が望みみたいな人間"。
その評価が当たってるなら、ティーダが心配したり、気遣う理由もわかる。
――三年前までのユウナが、そういうタイプだったから。
さる除け
「あたしが気遣うならともかく、あんたみたいなズタボロの奴が気ぃ遣ってどうするのよ。
こーゆーのは、あんたとサイファーで分けて食べなさいっ!」
あたしは袋を突っ返し、頭を吹き飛ばされたネズミを手に取った。
気はすすまないケド……とりあえず、捌いて、焼いてみよう。
もしかしたら奇跡的に食べてもダイジョブなヤツかもしれないし……
「……、……」
アーヴァインがますます顔色を悪くしてこっちを見てるけど、気にしないことにする。
火種は……ランプを使えばいいか。
アーヴァインの荷物を確かめると、ちゃんと残っていた。
さて、ネズミの方は……頭と手足を落として、皮を剥いでっと。
……うげっ。なんかお肉の部分からもへんな臭いがする。
いや、焼けばなんとか………
……ナントカ……なんとか……ななな、なんと、か?
「……、………!、………!」
……うん。そだね。
声は聞こえないけどアーヴァインが何を言いたいかはわかるよ。
どう嗅いでも、食べ物としてダイジョバナイ臭いだよね。
クサさでサイファーが起きちゃう前に、さっさと捨てよ……
「はーぁ」
ため息を吐きながら、他のネズミや虫と一緒に部屋の隅に持って行って、燃やす。
キッチリ炭と灰になったのを確かめてから戻ると、アーヴァインが泣きそうな顔であたしを見上げていた。
右手と両足で上半身を支えながら、必死に左手に持った袋を突きだしている。
『そんなことするぐらいならこっち食べなよ!』って言いたいようだ。
でも、あたしの気持ちはさっきと変わらない。
立って歩くことも出来ないほど消耗しきった仲間から、残り少ない食べ物をもらうなんてできない。
あたしはアーヴァインの後ろにササっと回り込んで、妙な翼ごと両腕を抱え、勢いよく彼の身体を引き起こした。
そして途中でくるりとひねって、ずりずり引きずって壁際に連れ戻し、足を延ばした格好で座らせる。
「そんな心配しなくてもダイジョブだってば。
あたし、朝も昼もがっつり食べたから、夕食抜くぐらいでちょうどいいもんね!」
――そう言って笑って見せても、アーヴァインは辛そうな表情を浮かべるだけだった。
*SIDE:アーヴァイン
……さっきから、気遣われてばっかりだ。
そりゃまあ、確かに体調は最悪に近いよ。
昨日の夜中に逆戻りどころか、身体中が痛んだりするし、眩暈が酷くて立てないし、声まで出せないと来てる。
だけどさ〜……だけどさ。
仮にも女の子が、食べ物があるって言ってるのに遠慮して、ネズミ食べようか迷う必要はないだろ?
もちろん、リュックが僕を心配する気持ちはわかるよ。
誰がどう見たって、今の僕は「ただでさえオカシイのにカッパのせいで魔物化して発狂しかけてる人間」だ。
顔色は死人並み。声もアレ。ロックと再会した辺りから、原因のわからない気絶を何度もしてる。
オプションパーツも危険要素も増える一方だし……ああ、間違いなくサイファーやリュックの反応は正しい。
それは認める。
でもね。
今はまだ、頭までおかしくなったわけじゃなーい!
お腹は空いちゃいるけど、一食抜いたぐらいでヘバるほど、衰弱してるわけでもな〜〜い!
多分、物理的にあのカッパと距離を取れたことが功を奏したんだろう。
魔物化が進んだ時はちょっと……いや、かなりヤバかったけど、リュックの魔法のおかげもあってどうにか落ち着いた。
幻覚も幻聴も止まったし、洗脳されそうなカンジも少しづつ治まってきた。
だから、もう、そんなに気ぃ遣わなくても大丈夫なのに……
昨日の夜もそうだったけど、もどかしい!
すっごく、すんごく、も・ど・か・し〜〜〜〜い!!
だいたい、リュックは接近戦の方が得意って言ってたじゃないか!
食中毒になってお腹壊したらマズいだろ?
それに空腹で、あのカッパの中身とやり合うことなんて出来るの?
『お腹が痛くて力が出ない〜』とか『お腹が空いて力が出ない〜』とか、そーゆーことになったらどーすんのさ?!
「………! ……、……!!」
(リュック! 食べてよ、気にしなくていいから!)
「もー! いいったら、いーいーの!」
……ダメだ。
言葉が通じる通じない以前に、僕の話を聞く気がない。
やっぱり頭もおかしくなってるって決めつけられてるんだろうなあ……
そりゃそーだよな〜。どう見ても僕、頭のおかしいモンスターだもんな〜。
――しょうがないか。そう見えるように演技してた部分も多いし。
例えば放送前、ひそひ草でサイファー達を挑発した時にも、ワケわかんないこと言ったりしたよね。
『みんな殺せば僕の中で生きるんだーわーははははー』的な。
アレもソレもコレも、全部盗聴対策の一環なんだ。
ああ言っとけば、主催側には『頭のおかしい僕は自分の中でスコール達が生きていると思い込んでる』って伝わる。
だから僕が錯乱したフリをしながら『スコールは生きてる』って公言しても、首輪越しで聞いてる主催側は、字面通りには受け取らない。
真意が伝わるのは、スコール自身が書いた走り書きを見て、意図を理解した相手だけ。
いつでも筆談できるとは限らないし、言葉で喋って説明できるなら、そっちの方が楽でいいだろ?
……結局、物理的に喋れなくなったワケだけどさ。
――って、あれ?
何だろう。
ロックの時は普通に話しちゃってたような記憶がある。
南東の祠とか、手帳とか。
……そうだよ。
思いっきりペラッペラ喋っちゃってたじゃないか。
なんであんな不注意な事したんだ?
カッパがまだ近くにいて、頭がぼうっとしていたせいかな?
僕もリュック達も無事だからいいけど、ちょっと迂闊だったな……
って、そうだよ。ロックだよ。
なんでロックが居ないんだ?
それにリュック、どうして食べ物を持ってないんだろう?
サイファーもザック持ってないみたいだし……
――あれ?
「……!! ………!? …、…、…、……!!!」
(リュック! アレはどしたの!? ドライバー!!!)
そっぽを向いて水を飲んでいたリュックの肩を叩き、口パクで問いかける。
リュックはしばらく頭を捻っていたけど、どうにか僕の言いたいことがわかったらしく「あっ!」と叫んだ。
「えっと……あんね、アーヴァイン。
実はあんたが会ったロック、ロックじゃなくて、ケフカって奴で……
……その時に、荷物、取られちゃったの」
――え?
「……で、でもさ。武器は取られてないし、
あんたも水とか、道具は持ってるからヘーキだって、ヘー……あれ?」
笑顔を引きつらせながら答えていたリュックが、もっと表情を硬くした。
そして断りもしないまま僕の荷物を手元に引き寄せ、慌てた様子で探り出す。
「どどど、どーしてアレがないの!?」
「……、……、………」
(例のカッパに取られたんだよ)
正確に言えば、希望の祠でカッパに荷物をぶちまけられた後、中身を拾う余裕が無かったんだ。
ティーダが頑張ってくれたけど、それでも僕を連れて逃げるのに精一杯だった。
スプラッシャーや変化の杖なんて危険物がアイツに渡らなかっただけでも、十分すぎるほど有り難い。
……てゆーか、あんなただの矢が大事なものだなんて、僕とリュック以外にわかるわけないじゃないか。
「……どーしよ」
リュックが肩を落として落ち込む。
そりゃそうだ。こっちだって頭が痛くてしょうがない。
例え僕に余力があったとして、ドライバーがなけりゃ首輪は外せないんだ。
このままじゃ、スコールの計画に大きく支障を来たしてしまう。
「うーん……木じゃダメだし……石、かなぁ」
リュックは呟きながらザックを放り出し、壁際に向かった。
彼女が持ってた剣――今は何故かサイファーが傍に置いてる――は、金属も削れる業物だ。
あの剣とリュックの器用さがあれば、周囲の壁を切り取って、ドライバー型に削り出す事も出来るだろう。
だけど石は金属と違って変形する性質が全くないから、ドライバーにしても薄い所からポキっと折れちゃうはずだ。
何か、金属並みに固くて、ある程度変形する性質があるもの……
爪とか?
いやいや、確かに緩んだネジを締めることはできるけど、固く締まったネジを開けようとしたら爪が指から剥がれちゃうよ。
痛いよそんなの。止めよう。
そもそも緩んだネジなら石ドライバーでも開けられるだろうし――
……待てよ?
「……!! ………!」
僕はリュックに呼びかける。
でも、壁をコンコン叩いて唸っている彼女は気づかない。
また這いずって近寄ろうかと思ったけど、面倒だ。
ザックを手元に引き寄せてピサロの剣を取り出し、鋭利な刃を長く伸びた右手の爪の根元に当てる。
柄を掴む左手に意識を集中させ、剣を押して、引くと、不愉快な音と共に刀身が僅かに爪に食い込んだ。
「ちょ、何やってんの!?」
さすがに気づいたリュックが僕の元に駆け寄ってくる。
でも、僕は手を止めない。
そこらのナイフより長くて分厚く、剣でも中々切り落とせない堅さ。
彼女もその事に気付いたんだろうか。
傍に来たところで足を止め、「爪、切りたいの?」と聞いてきた。
僕が頷くと、彼女はサイファーの手元から例のメタリックな剣を持ってきてくれた。
「ちょっと右手を向こう側に真っ直ぐ伸ばして、ついでにそっち見ててくんない?」
彼女に言われた通り、腕を身体と垂直に伸ばし、右側を向く。
「いい? 絶対コッチ見ちゃダメだかんね!」
――え?
ええええええええええええええええ?!
「よーし! パラディンリュック、推参! ってね」
な、なんでよそ見しなきゃいけないのかわからなかったけど……
ドレスチェンジってこうなってたのか!?
服が砕けて再構成って……ちょっと待ってちょっと待って……
どうなってるんだ……色々とどうなってるんだ……うわああああああああああああ。
ドレスフィアを借りて彼女の姿に変装した時にも思ったけど……リュックってスタイルいい方だから、かなりヤバイ。
戦闘中なら気にしてる余裕はないんだろうけど、こういう状況で見てしまうと……!
はっ。
の、覗き見しようと思ったわけじゃないぞ!
見るつもりは無かったけど、右手側からの視界に偶然入っちゃったんだ!!
本当! 本当だって!! 信じて!! お願い!!!
うう……落ち着け、僕。
これじゃただの変態だ。
いや確かに見た目も変化してるけど、そっちの変態じゃなくて世間一般が言う方のヘンタイだ。
うわあああ、意識しちゃダメだ……心臓が……呼吸が……ドキドキが……
そうだ、目を瞑って他の事を考えるんだ……
ムンバ……コヨコヨ……シュミ族……顎たぷたぷ顎たぷたぷ……
*SIDE:リュック
パラディンのドレスに着替え直したあたしは、メタルキングの剣を構え、アーヴァインの爪を切り落とす。
剣の方が切れ味バツグンなだけあって、見事にスパッといけたけど、手ごたえはかなり大きかった。
見た目だけじゃなく、堅さまで本物のナイフみたいだ。
さっきも自分の身体を傷つけちゃってたし……こんなのが伸びてたら不安にもなるだろう。
切りたくなるのもトーゼンだ。
「……はぁ、はぁ、………っ、……」
呼吸は相変わらず荒い。
瞼をぎゅっと閉じて唇を震わせている様子からも、体調の悪さが伺えた。
「大丈夫だよ。あたしもサイファーも味方だからさ」
どうにか安心させてあげようと、左手を握りながら声をかける。
アーヴァインはびくりと身を強張らせたけど、ややあって、ゆっくりと頷く。
「………、………」
ありがとう、って言ってくれたのかな。
さっきから全然声が出せてなくて、何を話したいのか、おぼろげにしかわからない。
ただ、不安と焦りでいっぱいの表情を浮かべてるのは見て取れた。
ドライバーが無くなって、首輪を外せなくなったことが怖いのかもしれない。
それとも自分の身体の変化に怯えているのかもしれない。
判断はつかないけど、とにかく落ち着けて、励ましてあげる事を優先した方が良さげだ。
「心配しなくても、人間に戻れる方法、一緒に探すってば。
良くわかんないけど、ティーダも協力してくれてるんでしょ?
だから絶対にダイジョブ! なんたってあたし達、究極召喚ナシでシンを倒した伝説のガードだもんね!」
泣く子も笑うとびっきりのスマイルを浮かべ、ピースしてみる。
けれどアーヴァインは呆然とした表情で、目を瞬かせるだけだ。
「ぅ……ぃ、……、…………」
唇を動かし、首を横に振る。
今回は、最初の部分だけは微かに聞こえた。『無理だし』って言ったんだ。
「諦めちゃダメ! 皆で探せばきっと見つかるから!」
「……、……………」
励ましても励ましても、アーヴァインの表情はどんどん暗くなっていく。
ううん……そんなにあたしって信用ないのかな?
そりゃまあ、ドライバーを無くしてる時点で、何をかをいわんやってヤツだけどさ……
――ドライバー?
「そうだ!」
異常に長く、硬く伸びた、鋭い爪。
あれを削ればドライバーを作れないだろうか。
何せ、床に傷をつけるぐらいだ。丈夫さは間違いなく周囲の石材より上。
それでいてこの剣で切れるわけだから、加工もできるはずだ!
「待ってなさい! あたしがやるって所、見せたげるかんね!」
あたしは爪を拾い上げ、もう一度ピースサインを出す。
今度こそアーヴァインの表情が緩んだ――そう見えたのは、あたしの気のせいじゃなかったと思いたかった。
*SIDE:サイファー
「ふざけてんじゃねえ!!
あんなのが演技で出来るワケねえだろうがッ!!」
怒りに任せ、スコールの頬を殴り飛ばす。
「ちょ、止めろって!」
ずっと黙っていたティーダが俺を羽交い絞めにする。
だが、俺の拳は止まらない。ティーダの制止を振り払い、もう一発を腹に入れた。
初撃も二発目もクリーンヒットだ。
スコールの奴なら躱せただろうに――どちらもわざと受けやがった。
「……っ、……魔物化が進行したのか」
夢の中でも唇は切れるものなのか。
スコールは血の糸を口から垂らしながらも、冷静な声音を崩さない。
「えっ?!」
驚きの声を上げたのはティーダだ。
あの変貌を見る前に姿を消したから、気づいていなかったんだろう。
「どどど、どうして!?」
「……そこまではわかるわけないだろう。
だが、あんたがアイツの為にそこまで怒るとなれば、相応の理由があるに決まってる。
そして演技でどうにもならない事なんて……それしかないはずだ」
「ああそうだ、正解だよ優等生。
で、どうするんだ?」
俺の言葉に、アルガスの奴が「いっそ殺してしまえッ!」と叫ぶ。
当然、ティーダはその台詞に憤り、「ふざけんな!」と吠えながらアルガスへ詰め寄る。
「サイファー、確認させてくれ。
今のアーヴァインの意志は、あんたから見てどうなっている?
操られている素振りがあるのか? それとも意識自体が失われているような状態なのか?」
「……意識はあるし、テメェを信じろって訴えてたよ。クソッタレが」
「そうか……」
スコールは顎を撫でさすりながら、目を閉じる。
他の二人は口論を始めやがるし、さっさと答えろ、って気分でいっぱいだ。
そんな俺の意図を汲んだのか、スコールは三十秒ほどで瞼を開けた。
「【闇の操作】が出来るのはバッツとアイツだけだ。
切り捨てる事も無理強いも出来ない以上、休ませて様子を見るしかない」
――実に優等生らしい回答だ。
もちろん、首輪解除の仕組みを聞いた以上、殺すなんて決断を下せるとはハナから思っちゃいなかったが。
「ティーダが気づいていなかったのだから、変化が起きたのは召喚が終わった後だろう?
なら……召喚による疲労……あるいは魔力とやらの浪費が引き金になった可能性が高い。
別の原因であれば、ティーダにエリクサーを持たせてあんた達に送ることも出来たが……
すまない。現状では有効な手立てが思いつかない」
「………」
「……納得いかないか」
「当たり前だ」
「だろうな」
喰ってかかっちゃいるが、俺自身、妙案があるわけでもない。
スコールもそれを見抜いているんだろう。
案が無いのかと聞き返すこともせず、口を噤む。
バカみたいにうるさい金髪二人がいなきゃ、長い沈黙が訪れていた所だ。
「……アルガス、ティーダ。………あんたらもいい加減にしろ」
「ふざけんなッ! この死にぞこないが食ってかかってきたんだぞッ!」
「あんたがアイツを殺せっていうからだろ!?
アービンがどんだけ苦しんでるのか知りもしないくせに!」
「バカがッ! 初日に四人も殺した殺人鬼なぞ苦しみのた打ち回って死ぬのが当然だッ!
まして心も身も魔物になった以上、人を喰らい出す前に殺してしかるべきだろう!」
「アービンは魔物じゃない! 人間だ!!
生きてる人間で、罪を償ってみんなに協力しようって頑張ってきたんだ! それをアンタは――!」
スコールの制止も通じやしない。
アルガスとティーダは敵意をむき出しにして、互いを罵りながら口論を続ける。
――そう思った矢先だった。
すっ、と二人の間に入り込んだスコールが、右手と左手でそれぞれの身体を押しのける。
静かな怒気を感じ取ったのか、アルガスもティーダもぴたりと黙った。
「俺の判断でアーヴァインを殺す事はしない。その代わり、アルガスの安全は俺が保証する。
あんた達が何と言おうと、この二点を動かす気はない」
「だ、だが――」
これだけきっぱり言い切られてもなお、アルガスは食い下がろうとする。
スコールはため息を吐き、言葉を足した。
「『そう』ならないように事を進める。
ティーダ、あんたも協力しろ。アイツが死んだり苦しんだりするのは嫌なんだろう?」
「そ、そりゃ、もちろん!」
リュックの仲間らしく、こいつも相当な単細胞らしい。
……じゃなきゃ、そもそもあんなナリで苦しんでる奴に『死んだら泣く』なんて言いやしないだろうが。
「あんたは向こうの部屋で待っててくれ。
サイファーの次は、またアイツを眠らせて休ませる……そうしたら、世間話でもしていてほしい。
何だったら遊んでてもいい。アイツにユウナやセフィロスの事を考えさせないようにして、落ち着かせるんだ」
「なるほど! そういう事なら俺に任せろッス!」
ニコニコ笑ってるが……わかってんのか?
スコールの奴、テメェを殺した恋人の件について一切相談すんなって言ってるんだが。
それにアーヴァインがあんな状況じゃ、ユウナと会う機会は廻ってこない可能性の方が高い。
――まさかとは思うが、コイツがユウナに殺されたのは【闇】とか何とか関係ナシに、ド鈍すぎて痴話喧嘩が起きた結果ってオチじゃねえだろうな。
「もうすぐマッシュが来るはずだ。
アルガスはあっちの部屋で、マッシュと一緒に攻略本の解析を進めてほしい。
もちろん俺も後から手伝う」
「……あのモンクみたいな奴か。
まあ、どこぞの20歳児やそこの馬鹿よりはマシだが」
いちいち皮肉を言わなきゃ気が済まないのか、アルガスはティーダを見やりながら呟く。
その割にスコールの意見には従う辺り、マジに気に食わない。
「あんな格好だが、マッシュも一応王族だし、俺より頼りになる大人だ。
少なくともヘンリーと同程度にはあんたに合わせてくれるだろう」
「王族ゥ? ……ああ、なるほど、修道院に送られたクチか。
それならいい。何歳で送られたにせよ、礼儀はなっているだろうからな」
礼儀がなってねえのはテメェだろ。
「礼儀がなってないのはあんただっつーの」
俺は言葉を飲み込んだが、ティーダは臆面もなく声に出す。
しかし、言い返しても埒があかないということをやっと学んだのか、アルガスは黙殺した。
スコールはまた呆れたように首を振り、ふぅ、と息を吐いた後、俺に向き直る。
「サイファー。『死んでいる』俺達は表立って動けない。
情報の収集や整理、計画の立案といった、裏方的な作業が関の山だ。
俺の方針は今言った通りだが………現場の人間でなければ対応できない事もあるだろう」
そこまで喋ってから、ヤツは視線を彷徨わせる。
言いたいことは何となく予測がついた。
だが、あえてスコールが言葉にするのを待つ。
「……あんたやアイツがどんな決断を下すにせよ、俺はそれを受け入れる。
それだけは先に言っておく」
「そうか」
会話を聞いていたアルガスが、わずかに唇の端を吊り上げる。
ド鈍いティーダは言外の意味に気づいてないらしく、何も言わない。
まあ、面倒な事になるのは目に見えているから、理解していない方がいいんだろうが。
「さて。今の段階で俺から説明できる事は以上だ。
ティーダに関しては俺も良くわからないのが実情だからな。
……だから、先にあんた達の状況を聞かせてほしい。出来れば、ソロや城のグループについてもだ」
俺は舌打ちしながら頷いた。
仲間を危険な目に合わせて、自分は奥に引っ込んでるという状況こそ気に食わないが――
脱出手段が確立されていない状況で首輪を外す事がどれほど危険かぐらいはわかるし、話を聞けばスコールの言い分は妥当なものが多かった。
それに、少なくともアーヴァインが危険な目に合った原因を作ったのは俺だ。
何でもかんでも棚上げして、スコールに責任を押しつけるわけにはいかねぇだろう。
「――どっから話すか」
苛立ちと憂鬱さが胸に重くのしかかるのを感じながら、俺は今までの事を話し出した。
【サイファー(右足軽傷+重度の疲労、睡眠)
所持品:G.F.ケルベロス(召喚不能)、正宗、スコールの伝言メモ
第一行動方針:状況説明
基本行動方針:マーダーの撃破(セフィロス優先)
最終行動方針:ゲームからの脱出】
【リュック(パラディン、MP9/10)
所持品:メタルキングの剣、ロトの盾 クリスタルの小手 ドレスフィア(パラディン) マジカルスカート
破邪の剣、ロトの剣
第一行動方針:首輪解体用のドライバーを作る
第二行動方針:ユウナを止める/皆の首輪を解除する
最終行動方針:アルティミシアを倒す】
【アーヴァイン(変装中@白魔服、MP微量、半ジェノバ化(中度)、右耳失聴、声枯れによる一時的失声)
所持品:ビームライフル 竜騎士の靴 手帳、G.F.パンデモニウム(召喚×)、リュックのドレスフィア(シーフ)
ちょこザイナ&ちょこソナー、ランスオブカイン、スプラッシャー、変化の杖、祈りの指輪
チョコボ『ボビィ=コーウェン』、召喚獣ティーダ
第一行動方針:休む
第二行動方針:脱出に協力しない人間やセフィロスを始末したい/ユウナを止めてティーダと再会させる
最終行動方針:魔女を倒してセルフィや仲間を守る。可能なら生還してセルフィに会う
備考:理性の種を服用したことで、記憶が戻っています。
ジェノバ細胞を植え付けられた影響で、右上半身から背中にかけて異形化が進行しています。
MP残量が回復する前にMP消費を伴う行動をするとジェノバ化が進行します。
セフィロスコピーとしてセフィロスに操られる事があるかもしれません】
【現在位置:南西の祠】
【アルガス(左目失明、首輪解除、睡眠中)
所持品:インパスの指輪 E.タークスの制服 草薙の剣 高級腕時計 ももんじゃのしっぽ 聖者の灰 カヌー(縮小中)天の村雲(刃こぼれ)
第一行動方針:攻略本を調査する
第二行動方針:可能なら自分の手を汚さずにアーヴァインを始末する
最終行動方針:とにかく生き残って元の世界に帰る】
【スコール (HP4/5、微度の毒状態、手足に痺れ(軽度)、首輪解除、睡眠中)
所持品:ライオンハート エアナイフ、攻略本(落丁有り)、研究メモ、 ドライバーに改造した聖なる矢×2G.F.カーバンクル(召喚○、コマンドアビリティ×、HP2/5)
吹雪の剣、セイブ・ザ・クイーン(FF8) 、貴族の服、炎のリング、ウネの鍵
第一行動方針:南西組の状況を把握する
第二行動方針:首輪解除を進める/脱出方法の調査
基本行動方針:ゲームを止める】
【現在位置:南東の祠:最深部の部屋】
乙でした!
思ったよりも落ち着いた再開だったな
アーヴァインもいろいろな意味でちょっと元気になって安心したw
新作乙!
顎たぷたぷで吹いて、頼りになる大人発言でうっかり涙腺緩んだ
マッシュの人柄もだけど成長したなあ
乙
マッシュはブオーン以来の活動が夢の世界だったからもっと夢側来て欲しいな
しかしデスキャッスルと比べてこの安心感よ。班長とサイファーだからだろうけど
月報の方、集計お疲れ様です。
FFDQ3 694話(+ 6) 21/139 (- 0) 15.1(- 0)
新作乙です!
原作と比べて一番カッコよく描かれてるのってサイファーだよなあ。性格はほぼまんまなのに立ち位置でここまで違うとは
新作乙です
ようやく接触できたか…長い道のりだったなあ
苛立ちながらもわりと冷静に状況を見てるサイファーが面白い
そしてはっきり言ってしまうティーダGJ
アルガスと缶詰状態で攻略本の解析ってなかなか嫌な役回りだが、マッシュの人柄なら無問題か。
新作激しく乙です!
絵板凄い
126 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/09/18(水) 20:44:24.19 ID:NH8m8N9m0
ケフカ率が高いのがなんとも
覗いてみようと思ったらアク禁食らってたでござる
書き込めないのはいいけど見ることすらできないのは切なす
爪鞭斧きたああああああああああ
見事な誤爆だなw
しかし、仮に4thが開催されるとしたらDQ10は入れる事が出来るんだろうか
>>4th
是非開催して欲しいが、DQ10とFF11は不参加の可能性があるよなあ
参加人数の削減を考えると作品ごと切られそうだからねえ
参加者増やすだけだと次は200名超えかねんし
FF11は板違いだから不参加だったけどDQ10は板違い扱いではないんだよね
やってることは同じなのに
あまりこのシリーズのロワについて知らないから失礼な質問をするかもしれないけど、このロワは原作ゲーム以外の作品は取り扱えないのかな?
ドラクエで言うならロト紋とかダイ大とか、やっぱややこしくなっちゃう?
新作群に乙!
やはりピサロ城は何かに包まれ、夢組は順調に対話中……だがアービン周りも厳しいのう。
この離れ離れの奴らがそれぞれ他グループの状況を知ったらどうなるんだろう。
ユウナとケフカの暴れっぷりもなぁwwwwwww
>>132 ゲームの板だし、世界観や設定がかなり尖ってるからどうだろうなぁ。
個人的には、難しいんじゃないかという思いが強い。
>>133 丁寧な回答ありがとう!やっぱ難しいかー。ロト紋もダイ大も好きだから、ジョジョロワみたくいつか参加できる機会がやってくるかなーって淡い期待を抱いてたんだけどね。
でもここってFFとDQ二作品のロワだから、FF側も同じようにしなきゃ吊り合い取れないし、作品をこれ以上増やそうものなら各作品毎の参戦キャラが少なくなってそれはそれで寂しいというか、なんかもう色々と上手くはいかないんだなーって思った。
わざわざこんな質問に付き合ってくれてありがとう!
そう考えるとFFってまともなメディアミックスがないな。
映画版FF参戦しても誰得だし。
ヴィンセント「お前にふさわしいソイルは決まった」
問題は逆に対応できる気が全くしないことだ
ダイやロトは好きだけど漫画とかそっちの範疇になりそう。同じ外伝でもDQMやFFTあたりとはやっぱり別物に感じるし
FF11・DQ10から主催者側のジョーカーとして無理矢理3・4人ねじ込むとか?
ただ今回はジョーカー自体存在しなかったからルール自体変わっちゃうのが問題か……
世の中には、大空を猛スピードで駆け抜けることを快感とするド変態がいる。
どこの誰とは言わないが、その変態っぷりは筋金入りだ。
必要以上の速度を出してはその風を全身に受け、吹き飛ばされそうなスリルを味わうのだという。
その時もクレイジーすぎて同意できなかったし、その考えは今も変わっていない。
ただ、この状況になって一つわかったことがある。
奴がそんなクレイジーな行為に興じていられたのは、あの船に"安心感"があったからだ。
大空を最高速で飛び回っても、落ちて死ぬことはない。
人間にはない、大空を駆けめぐる翼があれば、そんな趣味も持つのだろう。
まあ、そんな翼を手に入れても、自分はそんな趣味に目覚めることはなさそうだが。
ともかく、今。
大空を舞い、全身で風を受け止めて最高速へとたどり着こうとしている自分たちは。
その最高速のまま、地面に衝突しようとしている。
つまり、このまま行けば。
落ちて死ぬ。
と、いったところでどうするのか?
それが今回の課題だ。
〜テストケース・ワン〜
「フ、フフフ」
ロックは笑う。
大空を舞い、超速で風を切りすぎて、ついに頭がおかしくなってしまったか? とギードは少しだけ彼の頭を案じる。
「天才だ、俺って、天才なのかも知れない」
「いったいどうしたというのじゃ」
「ちょっと耳貸してくれないか?」
狂気じみたロックの言動を不思議に思いながらも、ギードは耳を貸す。
きっと何か秘策があるのだろうと、淡い期待を抱き、次の言葉を待つ。
「――――コンフュ」
しかし、囁かれたのは混乱の魔法。
全身の神経が、思考がまともに機能しなくなるそれは、いとも簡単にギードの体をグルグルと回していく。
「ロ、ロック、お前何を」
「まあ見てろよ」
持ち前の精神力で何とか保っていた自我で、ロックに問いかけるも答えは返ってこない。
「ヘイスト」
立て続けに唱えられる魔法、ギードの体が素早く動いていく。
グルグルとまるで駒のように回転し始めたところで、ロックは素早くギードの背に飛び乗り、次の魔法を唱える。
「行くぜ、トルネド!」
そして、極めつけの魔法を完成させる。
生まれた竜巻が、ギードとロックを飲み込む。
両者の体を回転させながら、空へと舞いあげていく。
「うおおおおおおおお!! 超速回転ベイ・ブレェェェェェッド!!」
意味不明の言葉を紡ぎながら、ロックはギードの体にしがみつき、超高速で回るギードと共に大空を駆けた。
「未来へ向かって、ゴォォォォォォーーーーッ!! シュゥッ!!」
暗い闇の世界で、大空を舞うロックの表情は。
誰も見たことがないほど、生き生きとしていた。
この結果? どうなったかなんて聞くまでもないだろう。
射出方向の調整に失敗していたことに気がつくこともなく、デスキャッスル付近の溶岩に真っ逆様に落ちていった。
ズブズブと沈んでいく中、ロックだけは大笑いをし。
天に向かって、親指を突き立てていた。
【□ック 死亡】
【≠"ード 死亡】
.
〜テストケース・ツー〜
「くそっ、なんか無いのか……!!」
大空を舞い、焦りながらもロックは自身の袋を漁る。
剣、証、指輪、鞭、役に立たないものが次々に現る中、コロンと一つの道具が現れる。
「そうだ、これなら!!」
オレンジを中に宿した薄緑の石。
それを鷲掴みにして、ロックはためらいもなく空に掲げる。
まもなくして、現れるのは幻獣王。
大きな口から放たれる、全てを飲み込む破壊の吐息。
先ほどまで足場となっていた瓦礫が、瞬時に塵と化していく。
「ヒューッ!! やっぱこう言うときは幻獣に限るぜ!」
やっぱり幻獣ってすごい、ロックはそう思った。
「してロックよ」
「おう」
「バハムートは、どれほどの間現世に留まっていられるのだ?」
そんなロックに、ギードは一つの問いかけを投げる。
「えっ、ああ、そりゃあまあ」
ロックは満面の笑みで、ギードの問いに答える。
「持って一分、じゃねえの?」
その瞬間、幻獣王の姿がふっと消え。
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ……」
何ら変わらない結末、地面へ真っ逆様に落ちていってしまった。
【口ック 死亡】
【ギー卜" 死亡】
.
〜テストケース・スリー〜
何も起こらない、何も出来るわけがない。
所詮生きるものは自然現象に勝つことはできない。
ギードも静かに首を横に振る、なにも出来ないということなのだろう。
重力に従い、この瓦礫達と一緒に着地する。
当然、瓦礫は崩壊するし、とんでもない衝撃が自分を襲うだろう。
それを受けてまで、生き残っていられる自身などあるわけもない。
不思議と、諦めは早い。
どうあがいても無理、というのがわかったのならば、あとは受け入れるだけというのも大きいだろう。
「ああ、レイチェル――――」
最後の最後、ロックは最愛の人の名前を呟く。
「愛している」
そして、大きな崩壊音。
ギードは甲羅があるから助かるかな? なんて事を考えながら。
何もかもが崩れ去っていく中、自分の意識をノイズに預けていった。
【ろっく 死亡】
【ぎいど 死亡】
――――もちろん、これらは全て虚偽"フィクション"。
では、真実"ノンフィクション"はどうだったのか?
.
〜ケース・エックス〜
「……なあギード」
「何じゃ」
空を飛んでいる、というのに不思議と落ち着いた声がでる。
人間、焦りすぎるとイヤに冷静になると言うが、ロックは今まさにそれなのかもしれない。
「アンタの甲羅って、裏面も結構丈夫なのか?」
「まあ、そんじょそこらの石よりかは堅い自信はあるのう」
ひとまず、ギードはロックの問いに答えていく。
アダマンタイマイほどといわないまでも、自分の甲羅の堅さにはそこそこ自信がある。
だが、ロックはそれを聞いてどうしようというのか?
「ロックよ、もう地面が近いが……」
そうこうしているうちに、地面は迫ってくる。
自分の事はともかく、ロックはこの衝撃に耐えられるわけがない。
けれど、その当のロックは異常なほどに落ち着いている。
ぶつぶつと何かを呟きながら、頭を抱えている。
「ロック!」
「あーもう! レビテト覚えてりゃもうちょい楽だったんだけどな!」
檄を飛ばした瞬間、何かが弾け飛ぶかのようにロックは顔を起こす。
その勢いに、思わずギードは一歩引いてしまう。
そして、ロックは皆伝の証を携え、右手に鞭を、左手に杖を持ち、一つ深呼吸を置く。
「一か八か、やらずに死ぬよりやってみるか……!」
「何を――――」
「悪ぃ! 黙って首と両手両足を引っ込めてくれ!!」
ギードに必要最低限の事だけを伝え、意識を集中していく。
「行くぜ――――」
ギードが甲羅に身を隠したことと、もうまもなく地面にたどり着くと言うことを認識し。
もう地面に着弾する、と言ったところでロックは目を見開き。
「クイック!!」
高らかに、魔法を唱えた。
ロックの周りの時間が、まるで停止するかのように凍り付く。
いや、ロックの体だけが、動くことを許された空間。
その僅かな時間を掴んだことを認識し、ロックはひとまずため息をつく。
そして、勢いよく崩壊が始まる直前の地面を蹴り、本来の大地へと降り立っていく。
そのまま、息をつくまもなく全力疾走していく。
自分一人が助かるなら、それだけでも済むが、そういうわけにはいかない。
何より、彼もしっかり救うためにこれらを持ってきたのだから。
粉塵と破片が舞わないであろう領域まで走ってきたロックは、そのまま振り向きざまに一本の杖を投げ飛ばす。
杖は、一直線にギードの体にこつんとあたり、そのまま落ちていく。
何も起きない、何も、今は何も起きない。
残り時間は後少し、けれどそれはロックの計算通り。
両足のバネを生かし、天高く飛び上がっていく。
「行くぜコンニャロー!!」
その叫びと同時に、全ての世界が動き出した。
.
着弾の衝撃で崩壊し、破片とともに四方八方へ粉塵をまき散らしていく瓦礫。
それと同時に、まるでビー玉のように射出されるギードの体。
超高速で移動するギードは、ある場所を目指して突き進んでいた。
それは、ロック・コールの元。
だが、このまま行けば高速で引き寄せられたギードの体はそのままロックへと体当たりをかます事になるだろう。
人体を引き寄せて使うのならばともかく、言ってしまえばモンスターを引き寄せているのだ。
長き時を生きてきたギードの巨体を、ロックが受け止められるわけがない。
だから、だからこそ、彼はクイックが切れる間際に"跳んだ"。
そして、綺麗な放物線を描き。
「ジャスト、ライド、オン!!」
爆速で迫るギードの背に、乗ることに成功した。
そのまま地面を滑るギードの体の揺れと自身の足の痛みに、少しだけバランスを崩してしまう。
けれど、それも想定済み。
右腕に掴んでいた鞭を上手く操り、近くの木を支えに体を起こしていく。
「ひゅおう! よっ、ほっ、うらっ!!」
そのまま、スノーボードを駆るように、地面を滑っていく。
右、左、右、と器用にギードの甲羅を操り、障害物を回避していく。
その姿、正にSSStylish!!!!!!!
しばらくして、ようやく止まることに成功した二人。
全てを成し遂げたような表情のロック。
反するように、ゲッソリとした表情のギード。
まあ、無傷でやり過ごせたから良かったものの、さすがに他に方法はなかったのかとギードは少し考えてしまう。
が、いつまでもそんなことを言っている場合ではない。
窮地を脱したところで、ギードはロックに問いかけていく。
「時にロックよ、これからどうするのじゃ」
「ん? ああ、そりゃあ……」
ギードに問いかけられ、頭を掻きながら悩むロック。
かなり遠くまで吹き飛ばされてしまっている、ソロ達の元に戻るにしても少し時間がかかるだろう。
おそらく、それまで"コト"は終わってしまう。
やっかいな騒動に巻き込まれたな、とため息をつくと同時。
「ガメゴン……」
男のような、けれど女のようなそんな不思議な声に振り向いてみる。
そこには、青い法衣に身を包んだ男が、こちらを驚愕の目で見つめ続けていた。
.
【ギード(HP3/5、残MP1/4、げんなり)
所持品:首輪
第一行動方針:状況に対処
第二行動方針:ソロ達と合流して南東へ向かう
第三行動方針:首輪の研究と脱出方法の実験をする】
【ロック (左足負傷)
所持品:キューソネコカミ クリスタルソード 魔石バハムート、皆伝の証、かわのたて
死者の指輪、レッドキャップ、ファイアビュート、2000ギル
デスキャッスルの見取り図
第一行動方針:状況に対処
第二行動方針:リルム達と合流する/ケフカを警戒
基本行動方針:生き抜いて、このゲームの目的を知る】
【セージ(MP2/3、多重人格)
所持品:ハリセン、ナイフ、ギルダーの形見の帽子、イエローメガホン
英雄の薬、厚手の鎧、般若の面、釘バット(FF7)、グラディウス、聖なるナイフ、マテリア(かいふく)
陸奥守、マダレムジエン、ボムのたましい
基本行動方針:『アルス』:悪人を倒したい/城へ向かいたい
『ローグ』:正気に戻りたい/精神状態が悪化しないよう、本物の『勇者』との接触を避ける
『フルート』:皆と一緒にいたい/城へ向かっているつもり
『セージ』:特にない/『アルス』の意見に従う
最終行動方針:『共通』:みんなと一緒に魔女を討伐する、目の前の状況に対処】
【現在位置:デスキャッスル南西の茂み(分かれ道のあたり)】
タイトルに気づくまで荒らしかと思ったwww
まさかデスキャッスルの大乱戦からゴールドソーサーよろしく離脱とは
どっちの戦闘でも面白そうでどちらに絡むことになるのかと思ってたからまさかまさかのセージさんで逆に不安が止まらないwww
大変乙です!
自分も荒らしかと思ったw
ロックの文字が違うのも3/6でやっと気づいた
んで最後のガメゴンに糞ワロタw
ああ、乙でした
乙忘れ申し訳ない
新作乙wwwwww
もう笑うしかねぇwwwwwwww
ガメゴン……じゃねーよwwwwwwwwww
そんでもってまた火種が生まれそうなのもまたwwwwwwww
全体的にネタっぷりが激しいのに文章力やら結果やらがガチだから困るわこれwwwwこんなん面白いに決まってるわーwwwwwwwwwww
新作乙です!!
ロック、お見事!!だがメッタクソ笑ったwww
シリアス展開続く中こんなコメディテイストな繋ぎが来るとはw職人様は凄い
孤立していたセージ兄さんがどう動くか楽しみで仕方ない!!
乙
どうする、どうするよ俺ー! だったもんなあw
ギードは森でラムザと会った時にレビテト使ってたから、
ロックもレビテトは使えるけど高すぎてまずいかもしれないと判断した。とかに修正いただいたりは出来ないかな
>>153 ご指摘ありがとうございます。
〜ケースエックス〜の章始まりから、本文に入るまでの間に以下の文章を挿入させていただきます。
超高速で地面に向かいつつある中、ギードとロックは考え込む。
両者共に扱うことができるレビテトは使えない、というのもアレはそもそも地面から少し浮くだけの魔法。
決して、空が飛べる訳ではない。
確かに今の状況を凌ぐには最適かもしれないが、魔法が切れた瞬間に地面へ真っ逆様だ。
地面に立っているならともかく、空中かつ短時間の詠唱は難しい。
なら地面スレスレで唱えればいいとなるのだが、それで空中に逃げても崩壊する瓦礫に襲われてしまう。
無傷は免れないか、とギードがため息をついたときだった。
この後にロックの台詞が続く感じでお願いします。
ガメゴンクソワロタ
修正乙です
ガメゴンネタは最初からあったのにこの時期だとまた違う破壊力があるなw
乙です
乙
159 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/10/20(日) 19:06:09.11 ID:fbu7m2Ik0
乙
目を開けると、そこはもうじっとりと薄暗い祠の中だった。
かび臭い空気に妙な落ち着きと安心感を覚えながら、俺はぐいっと背伸びをする。
どっかの誰かに撃たれた傷跡がずきんと痛むが、泣き言は言っていられない。
「ふぁああ……うっかりうたた寝しちまったぜ」
わざとらしいかもしれないが、現実の世界じゃあ首輪の機能は生きている。
無言で寝たり起きたりを繰り返していたら、さすがに怪しまれるだろう。
そんな俺の考えを汲んだのか、リルムがウィンクしながら応える。
「色々あったからしょうがないよね。
オジサンも一応怪我人だし、トシみたいだしさ」
「トシなのは認めるけど、一応ってなんだ、一応って。
俺は立派な怪我人なんだぞ……って、マッシュ、あんたも起きてたのか?
もしかして気ぃ使わせちまったか?」
気遣いの言葉は演技ではなく本心だ。
俺自身、ピサロから貰った指輪が無けりゃベッドの上にいるような人間だが――
それでもやはりマッシュの方が重傷だし、精神面でも辛い境遇にいる。
何せ失ったのは、互いに信頼し合っていた双子の兄弟って話じゃないか。
俺とデールとの関係とはワケもモノも違う。
それで利き腕まで無くしてるとなれば……口が裂けても『気持ちはわかる』なんて言えないぜ。
「いや、いいって。
えっと、あれだ。腹減って眠気が飛んじまったんだ」
マッシュは左手でサムズアップしながら、ニカっと笑った。
存外にしっかりした受け答えだ。
表情はただの強がりかもしれないが、生命力や体力は、俺が思っているよりも回復しているのかもしれない。
リュカやパパスさんを上回るガタイからしても、鍛え方が違うってヤツなんだろうな。
「そうか。まあ、喰うもん食わなきゃ治る怪我も治らないよな。
せっかくだ。皆で夕食――って、バッツとラムザは?」
周囲を見回すが、部屋の中にはリルムとマッシュしかいない。
寝る直前までは一緒にいたはずなんだが……
「リルム達が起きたあと、ラムザが二人で見張りした方がいいだろうって、バッツ連れて上の階に行ったんだ。
ついでに、『ココロザシ半ばで倒れたスコールの分まで首輪を調べる』って言ってた」
ああ、なるほど。
魔女の監視を考えて、自分達に意識を集中させようって腹づもりか。
あるいは、あえて首輪を調べると言いだす事で、スコールの研究は完成していなかったと思わせたいのかもしれない。
どちらにしても、考えて動ける奴がいるってのは頼もしい事だ。
心強い協力者を連れて来てくれたリルムには感謝………
……しようと思ったけどやめた。
この子、コリンズと同じで、おだてたら際限なく付け上がりそうな気がする。
「あっちはあっちで任せていいんじゃない?
それより夕ご飯食べようよ。昨日貰ったビン詰め、まだ残ってるしね」
俺の心情を知らないリルムは、(こうやって機嫌よくしていれば)可愛らしい笑顔を浮かべながら、見覚えのあるラベルが貼られたビンを取り出す。
十中八九、レーベで拾ってアーヴァインに恵んでやった奴だ。
夢で会ったアイツは、割合元気に見えたけれど……
いくらリルムがアーヴァインを心配していようと、アイツの現状なんて絶対に教えられない。
リルムがどうやって今まで生き延びたのかは、アーヴァインに対する弁護の中で何度も聞かされた。
当然、成り行きでラムザとウィーグラフ、銀髪の殺人者セフィロスの話にも触れている。
彼女にとって、セフィロスは仲間になり得たかもしれない男を目の前で殺した張本人だ。
そいつがアーヴァインを捕まえて化物に変えた挙句洗脳しようとしてるなんて知れたら、容赦なく脱走して助けに行くに決まってる。
ダメだダメだ、そんなのダメだ。
「……よーし。おじさんもまだ食料どっさり持ってるからな。
三人で腹いっぱい食べて、元気出して行こうか」
幸い、リルムから先に飯を食べようと誘ってきた。
だったらその流れに乗って、食事に意識と時間を割かせるのが一番だ。
もしかしたらパクパク飯食ってる間に事態が好転する可能性も……期待は全くできないが、0%じゃあないだろう。
それにマッシュの体調もある。
本当に食欲があるなら、眠ってもらう前にしっかりしたものを食べさせたい。
さっきも言ったが、例え呪文で傷を塞いでも、血肉の元になるものがなきゃ体力なんて戻りっこないんだ。
スコールだって、食事に時間を割く程度の事は認めるだろうよ。
……アルガスはブーたれるかもしれないけど、まあ、スコールが説得するだろ。うん。
俺はザックから食料とランプを取り出した。
薪の類は無いといえ、燃料はそれなりに残っている。
大事な大事なひそひ草に燃え移らないよう、リルムに預けてから、ランプの火を大きくする。
「こんなもんかな……リルム、マッシュ、フライパンとか持ってないか?」
「リルム、ピサロのお城にしか寄ってないもん。
持ってきてるわけないよ」
「俺も、まともな状態の町には立ち寄れなかったからなぁ……
あんたが持ってないならお手上げだぜ」
「だいたい、そういうオジサンが持ってくれば良かったんじゃないの?」
「まー、そうなんだが……
一昨日も昨日も普通に村があったから、今日の世界も集落の一つや二つあんだろって思っちまったんだよな」
さすがにこれは俺が迂闊だった。
こういう切羽詰まった状況じゃ、食事一つが士気や生存率に直結するもんだ。
こんな世界だって知ってたら、小型鍋ぐらいは持ってきてたんだが……後悔しても仕方がない。
「しょうがないよな。このまま直接パンと干し肉を焼いて、挟んで食べよう。
瓶詰の中身をソースに使えば、マズくはならないだろ」
「あ、おいしそーかな? ……と思ったけど、パンもお肉もカタイんだっけ」
「軽く水で湿らせてから焼けば、多少はマシになるさ。
ほら、二人の分もやってやるから、リルムはソロに連絡が取れないか試しててくれよ」
「えっ」
リルムがぽかんとした表情で俺を見る。
何か変な事を言ったかと反射的に身構えたが、彼女の口から出た言葉はどうしようもなくバカバカしいものだった。
「オジサン、料理とかできんの?」
「……あのなあ」
俺はため息を吐きながら肩を落とす。
「料理が出来なきゃ旅も遠征も出来ないし、困る事の方が多いだろう。
いや、それ以前に肉やパンを焼くなんて料理の範疇にすら入らないぞ」
「ふーん……そういうもんなの? 王子様って」
「そういうもんだ」
ランプの火力を調節しながら、少しだけ昔のことを思い出す。
俺が料理の知識や技術を覚えたのは、王宮での勉強や旅路の中じゃない。
数年間に渡る奴隷生活で、ムリヤリ身に着けさせられたものだ。
だから趣味でもなんでもないし、好きか嫌いかで聞かれたら、やや嫌いな方に入る。
仮にこの場にソロがいたなら、レーベでそうしたように、あいつに丸投げして任せていただろう。
ただ、リルムは女の子だしマッシュは怪我人だ。
火を扱わせて火傷しようものなら目も当てられないし、俺の辛気臭い身の上話を語ったってしょうがない。
――そう思って口をつぐんでいたんだが、残念ながら顔に出てしまっていたらしい。
「あんた……いや、やっぱなんでもない」
マッシュは複雑な表情で何かを問おうとし、すぐに言葉を濁す。
そういえばエドガーって奴がどっかの王様ってことは、彼も一応王子様に当たるのか。
まさかそこまで俺と似たような境遇だった、ってことはないよなぁ。 ……ないよな? ないよな?
「あれ? ……あ、もしかしてワケありってヤツだった?」
俺達の様子に気付いたリルムが、こちらとマッシュを交互に見やる。
いっそアルガスみたいに意地悪く笑いながら言ってるなら、小突きながら誤魔化すことも出来た。
だけどこんな、本気で心配する表情をされたら、とんでもなくリアクションに困る。
ふざけてあしらうのも気が咎めるし、黙っていたら勝手に邪推されそうじゃないか。
ああ、くそっ。せっかくパンが焼けてきたのに、空気がどんどん重苦しくなるのを感じる。
こうなったら……!
「――だぁあーーーーっ!!」
「「!?」」
思いっきり息を吸い込んで、叫ぶ。
そして二人が驚いた所で、一気に言いたい事を捲し立てる!
「いいか! 俺達はみんなで生きて帰るためにこれから美味いメシを明るく楽しくバリバリ貪り食うんだっ!
それ以外の事は後で考えろ!! わかったらはいかイエスで返事だ!!」
「「……は、はい」」
うむ。よろしい。
――ああ、何でこんなことしたのか、一応説明するとだな。
人間って奴は驚かされると、一瞬だけ心が無防備になるんだ。
だから上手くタイミングを見計ってテキトーな事を言うと、そいつがそのまま暗示として機能するのさ。
ガキの頃はイタズラと組み合わせてオバケを信じこませたり、いきなり嘘泣きして説教を打ち切らせたりと、良く使ってた手だぜ。
料理もそうだけど、芸は身を助けるってのは真理だなあ。
*********************
腕を狙う。躱される。
胴を狙われる。刀身で受け流し切っ先に引っかけて跳ねあげる。
間合いを取る。詰められる。
見切ってすれ違いざまに足を狙う。捕えたけれど手ごたえは無い。
どうやら着ぐるみ部分だけが斬れたようだ。彼女の動きは衰えず、ただ、僕を執拗に狙う。
表情すら判別できなくなるほどに焼け焦げた着ぐるみは、ところどころが破けて煤けた綿をはみ出させている。
その内部で剣を振るっているユウナさんだって、絶対に無傷ではないはずだ。
けれども彼女は止まらない。
呻き声のような呟き――「殺してやる」という呪詛と、断言はできないけど多分アーヴァインの名前――を延々と繰り返しながら、ひたすら僕へと斬りかかる。
動けないクリムトさんを狙おうとしないことが、せめてもの救いか。
でも、この状況で戦いを長引かせるのは危険だ。
先の呪文のせいでクリムトさんは深手を負っている。
頭からの出血を止めて手当をしなければ、最悪、死んでしまうかもしれない。
そもそも呪文を唱えた魔道士・ケフカがどこに行ったかわからない。
それでなくてもあの男、ロックさん達の世界を崩壊に追いやり、ピサロとロザリーさん達をたばかった張本人のはずだ。
カッパ君が果敢にも飛びかかっていったけど、彼一人で倒せるほどの相手じゃないだろう。
それに、城の中に件のロックさんやギード、サイファー達が取り残されているかもしれない。
城の破壊に巻き込まれて怪我を負っているかもしれない。
早く決着をつけるべき。
わかってる。わかってるんだ。
だけど、希望を捨てることはできない。
少し打ち合うだけでもわかる。
ユウナさんの太刀筋は、どうしようもなく歪だ。
守りを捨て、回避と攻撃に特化したヒットアンドアウェイの戦術。
それに理がないとまでは言わないけど、自分の才能や持ち味を考慮してるとは思えない。
誰がどう見たって、我流で剣を振るっていた『誰か』の動きを、徹底的に模倣し続けただけの剣だ。
剣で受ければいい攻撃も大きく躱そうとする。
単調な斬撃が中心で、突きやフェイントといった手を絡めようとしない。
言ってしまえば隙だらけ。
驕る気はないけれど、どう考えても僕と彼女の実力差は大きくて――
これなら止められるんじゃないかと、期待を抱いてしまう。
けれど、生きた状態で捕えようとするなら、四肢を封じるしかない。
腕でも足でも、急所を避けて動きだけを止めようというなら、狙える箇所は限られる。
さらに彼女の身体を包む着ぐるみは僕の目測を惑わし、こちらの攻撃も大振りになりがちで。
避けられて、あるいは捉えても浅すぎて、有効打を与えられないまま無情に時間が過ぎていく。
――やはり、彼女がこれ以上罪を重ねないうちに、殺してしまうしかないのか?
いや、まだ……まだ、諦めたくない。
「ラリホーマ!」
正攻法で通じないなら、絡め手はどうか。
そう考えて間合いを取り、呪文を紡ぐ。
一度防がれた呪文とはいえ、先ほどは単純に気力で眠気を振り切っただけに見えた。
あの白い光のダメージで弱っているなら。抗わず眠りに落ちてくれれば。
クリムトさんも彼女も救うことができる――
そんな僕を嘲うように、彼女は歩を緩めなかった。
「死ね! 死ねシネしねぇえええええええええええ!!」
足元から胸を狙って切り上げられた刃を、僕は身体をひねって避けた。
続けざま、脳天を叩き割るために振り下ろされた一撃を盾で受け止め、わざと体勢を崩しながら足払いを掛ける。
けれども彼女は素早く飛び退いて、構え直した。
……こうなった以上、覚悟を決めるしかないのか。
命に価値の差はないけれど、優先順位は存在する。
僕はクリムトさんを守らなければならないし、仲間の無事を確かめなければならない。
世界樹の花を手にした時の事を思い出す。
あの日、僕はシンシアを蘇らせる事だって出来た。
それをしなかったのは、そうしても僕の自己満足にしかならないとわかっていたからだ。
仲間達もピサロも僕の事をお人よしだと言ったけれど、そうじゃない。
僕は自分が生きるために、シンシアを、父さんと母さんを、村の人達全員を死なせた。
ピサロは良く『自分が憎くないのか』と聞いてきたけれど、そうじゃない。
切欠を作ったのがピサロであっても、『大切な人全員の命と引き換えにただ一人生きる事』を選んだのは僕自身だ。
シンシアを蘇らせたいと願うぐらいなら、『あの日』、彼女を引きとめて階段を上がって外に出るべきだった。
そうしなかった.僕は、村の人達が信じたように、シンシアが信じたように、一人でも多くの人を救う勇者でなければならない。
そう、一人でも多くの人を救う為に、その為に僕は――
僕は飛び退く素振りを見せながら、背負っていたザックを投げつけた。
当然、ユウナさんはザックを切り払って突っ込んでくる。
けれどザックを注視して回避行動を取った『その瞬間』だけは、僕の姿は彼女の視界に入らない。
「!!」
彼女がフェイントに気づいた時には、もう遅い。
僕は既にザックを追って間合いを詰めている。
すれ違いざまに斬りつけられ、反撃を喰らいにくく、それなりに致命的な箇所――彼女の腹部を狙い、剣を振るう。
「ぐっ、うぅうう……!!」
それは苦し紛れの反撃だったのかもしれない。
彼女の手に握られた剣が輝き、急激に黒雲が形を成す。
とっさに僕は天空の盾を翳し、反射障壁を作り出す。
そして降り注いだ雷光は――"光の壁をすり抜けて"、僕の身体を撃ちぬいた。
閃光が脳を揺らし、激痛と痺れが全身の筋肉を硬直させる。
マホカンタの効果が打ち消されたわけじゃない。
失念していたんだ。
『精霊の加護を受けた武具によって引き起こされた奇跡は、呪文とは似て非なるもの』……『故に、マホステやマホカンタを貫通する』。
普段ほとんど起こらなかった、けれどこの状況下ではどうしようもなく致命的な事実を。
ざく、と肩に衝撃が走り、反射的に身をよじる。
さすがにユウナさんも隙を見逃すほど素人じゃあなかったようだ。
でもそこまで深手じゃない。血は吹き出しているけれど、まだ剣を握っていられる。
足も動く。間合いも取れる。戦うことは出来る。
でも、問題は、雷撃が通じると露呈してしまったこと。
僕の読み通り、ユウナさんもまた僕から離れ、後ろに下がる。
当然だ。遠くから剣をかざすだけで彼女は確実に僕を殺せるのだ。
そしていずれはクリムトさんも巻き込んで、彼の命まで断つだろう。
もはや迷う余地はない。一刻も早く彼女を殺さなければ……!
――そう思い、剣の柄を強く握り締めた、その時だった。
『だぁあーーーーっ!!』
「「!?」」
聞こえるはずのない声がどこからともなく響き渡る。
その人の姿を探して周囲を見渡せば、落ちていたのはザックからこぼれた、ひそひ草。
『いいか! 俺達はみんなで生きて帰るためにこれから美味いメシを明るく楽しくバリバリ貪り食うんだっ!
それ以外の事は後で考えろ!! わかったらはいかイエスで返事だ!!』
大音声といっては少し大げさかもしれない。
けれどユウナさんの耳に届き、彼女の動きを止めてしまう程度には、その声ははっきりと聞き取れた。
そして場違いな励ましは、僕の中にあった後ろ向きな感情を吹き飛ばしてくれた。
(……ありがとう、ヘンリーさん)
僕は心の中で呟きながら、足を踏み出す。
クリムトさんを案じる。ロックさん達を案じる。サイファーを案じる。カッパ君を案じる。
それは大事な事だけれど、今、この時に考えるべきことじゃない。
ユウナさんを殺せば他の人が助かるかもしれないとか、ユウナさんを助ければ他の人が助からないかもしれないとか……
そんな計算を挟みながら振るう剣が、通用するはずがなかった。
迷いながら振るう剣で、僕が望む奇跡を起こせるわけがなかったんだ。
ヘンリーさんの言葉が思い出させてくれた。
僕は出来る限り多くの人を助ける。
そして、皆で生きて帰る。
『絶対に』。
もう迷わない。
僕はユウナさんだけを見据え、駆ける。
真っ直ぐに。
こちらの動きに気付いた彼女が剣をかざす。
あの雷撃が来るというなら……!
「光よ!!」
僕は剣を掲げ、残っている魔力で自ら雷を呼び起こす。
ユウナさんが呼んだ紫電は、僕が呼んだ雷光に飲み込まれ、刀身に纏わりつきそのまま長大な光の剣となった。
「邪悪を断つ力となれ――ギガソードッ!!」
本来なら頭上から振り下ろし、悪しき者を両断する為の技。
だけど今ばかりは、距離を開けたまま足を狙い、真横に振るう。
実体のない雷撃の刀身は僕の願い通りに、アリーナが振るうグリンガムの鞭のように鋭くしなりながら彼女の両足を捕えた。
「―――ッッ!!」
ユウナさんはがくりと両膝をつき、そのまま崩れ落ちる。
死なせないで倒すために全力を注いだ一撃だ。
当て方を選び、威力を抑えたといえど、雷の力は全身を麻痺させているだろうし……足に至っては当分の間使い物にならないだろう。
「……カー」
今まで階下で様子を伺っていたのだろうか、それともケフカを見失って戻ってきたのだろうか。
いつのまにか、カッパ君が崩れた柵を飛び越えて歩いてきている。
「無事だったのか……! 良かった!」
「カー」
僕の言葉に、カッパ君は「フン」と言わんばかりに顔を背ける。
どうやらかなり機嫌が悪いようだ。
「あの道化師は? 逃げたのか?」
「カー。カーカー」
カッパ君は肩を竦め、首を縦に振る。
それから床を指し示し、そっぽを向きながら足を踏み鳴らした。
『断言はできないけど、ボロボロになった城の中に逃げ込んだようだ』ってことなんだろう。
「中、か。倒壊する危険も、倒壊させられる危険も高いし、追わない方が良さそうだね」
こっちで暴れてたユウナさんは、どうにか止められたけど……
光の魔法がケフカの仕業なら、マホステで防げた大地震も十中八九そうだろう。
僕らが城内に入っていったとして、デスキャッスルごと潰されようものなら、勝ち目どころか逃げ場がない。
「カー」
『お前に言われなくてもわかってる』といった様子だ。
ものすごく悔しげに吐き捨てて、ギリギリとくちばしを鳴らす。
本当は追いかけたかったんだろうな。
まあ、敵意がなくて人手があるっていうのは有り難い。
「ねえカッパ君。クリムトさんの手当を頼めないかな?
僕はユウナさんが起きた時に暴れないよう、縛っておくよ」
「……カー」
仕方ないな、と言ったんだろうか。
切り裂かれたザックから飛び出した、目立つ服を拾い上げながら、カッパ君はクリムトさんの傍に行きテキパキと処置を始める。
頭に服を押しつけ、止血しながら身体を横たわらせて、と、乗り気ではなさそうなのに手慣れた様子だ。
サイファーは警戒していたけれど、やっぱりそんなに悪いカッパではないように思える。
……いや、そんなことを考えてる場合じゃない。
ユウナさんが回復する前に拘束を――
――カンッ。
え?
僕がその音を聞いた時、認識できた事は、『誰かが何かを投げたらしい』ということだけだった。
そして音に気付いたカッパ君は、僕よりも多くの事を知っていたらしい。
彼が「カー!!」と叫び声を上げた。
その言葉が『気をつけろ!』とかそういう類の絶叫だったとわかったのは、次の瞬間だった。
鼓膜を破りそうな爆音と目を焼き尽くすばかりの閃光。
叫ぶ余裕も無く、一瞬で感覚がオーバーヒートし、頭の中が真っ白になる。
『スタングレネードだ』、とサイファーの声が聞こえた気がした。
『目と耳を塞いで遠くに投げるだけだから女子供でも扱えるし、誤爆しても死ぬことはねぇ。
何より、誰も傷つかなくて血も出ねぇって当たり、お前にはピッタリだろうよ』
そうだ。ターニアとエリアさんに渡されたはずの武器。
誰が投げた? ――ユウナさんしかいない。
じゃあ、何故ユウナさんが持っている?
二人を殺したのも彼女だったのか?
いや、そんなことを考えている場合じゃない。
ユウナさんは何をしようとしている?
わからない。何も見えない。聞こえない。
だけど、無性に嫌な感覚がする。
ダメだ。止めさせないと。
くそっ! 見えろ、聞こえろ! 早く、早く、早く!!
***************
「おい、ソロ! ソロ!! 何があったんだ!?」
パンを焼き終えそうな時だった。
リルムに持たせたひそひ草から、爆発音が響いたんだ。
それもイオラってレベルじゃない。イオナズンクラスとしか思えない轟音だった。
必死に呼びかけたけど、ソロの返事は無い。
――そう、『ソロの』返事は無かった。
『うるさいのよ、『―――』!!』
俺が聞いた事のない女の声だった。
でも、そいつが呼んだ名前と、リルムの顔が青ざめたのを見て、相手が誰なのか推測する事はできた。
『止まるわけないじゃない、諦めるわけないじゃない、逃がすわけないじゃない!!
殺してやる殺してやる絶対に殺してやる許さないユルサナイ絶対に絶対に絶対にィイイイ!!
忌まわしき影の力、命を傷つける力、この苦しみを力に変えてよォオおおおっ!!
" 暗 黒 の 空 "ッ!』
その呪詛にどんな効果があったのか。
はっきりと知る術はない。
俺達にわかるのは、続いて聞こえた声と音だけだ。
『バシルーラ!!』
老人らしい、しゃがれた声が何かの呪文を叫び。
『クァアーーー!!』
場違いに甲高い動物の鳴き声が後を追う。
『邪魔しないで……ッ!!? 何?! 何よこれ?!
ふざけ――』
憎悪の声が急に困惑にすり替わり、遠ざかって行って。
『カーー!! カーカー! ……クァッ!?』
『くそっ、何が……危ないッ!?』
動物の声とソロの声が重なり。
落盤や落石に似た、建物全体が崩れるんじゃないかって轟音が、全てを覆い潰した。
「……メテオ?」
マッシュがぽつりとつぶやく。
「まさか、嘘だよね」
リルムが青ざめた表情で顔を上げる。
「嘘だよね? ねえ、嘘だよね?
こんなの、嘘だよね?」
普段の生意気で気丈な態度はどこかに消え失せ、俺とマッシュを交互に見つめ、小さな身体を震わせながら袖や肩に縋る。
でも、俺にもどう答えればいいかわからない。
マッシュも何も言わない。
断片的な情報は繋ぎ合わせれば繋ぎ合わせるほど、絶望的すぎて――
手元でパンが焦げる臭いさえ、酷く遠いもののように思えた。
【ソロ(HP2/5 MP微量 マホカンタ状態)
所持品:ラミアスの剣(天空の剣) 天空の盾 水のリング 天空の兜 着替え用の服1着
第一行動方針:????
第二行動方針:サイファー・ロック達と合流し、南東の祠へ戻る
基本行動方針:PKK含むこれ以上の殺人を防ぐ+仲間を探す
※但し、真剣勝負が必要になる局面が来た場合の事は覚悟しつつあり】
【クリムト(失明、意識朦朧、HP1/8、MP1/6) 所持品:魔封じの杖
第一行動方針:????
第二行動方針:首輪の研究と脱出方法の実験をする
基本行動方針:誰も殺さない
最終行動方針:出来る限り多くの者を脱出させる】
【セフィロス (カッパ 性格変化:みえっぱり)
所持品:村正 ふういんマテリア いかづちの杖 奇跡の剣 いばらの冠 プレデターエッジ 筆記具 ティーダの私服
ドラゴンオーブ、スタングレネード、弓、木の矢28本、聖なる矢14本、
ウィンチェスター(みやぶる+あやつる)、波動の杖、コルトガバメントの弾倉×2、E:ルビーの腕輪
第一行動方針:?????
第二行動方針:ケフカを殺す/カッパを治して首輪を外すため、南東の祠に向かう
第三行動方針:進化の秘法を使って力を手に入れる/アーヴァインを利用して【闇】の力を得たジェノバとリユニオンする
第四行動方針:黒マテリアを探す
最終行動方針:生き残り、力を得て全ての人間を皆殺しにする(?)】
【現在位置:デスキャッスル跡 3〜4F辺り】
*ソロの荷物である ひそひ草 ジ・アベンジャー(爪) フラタニティ 青銅の盾
首輪 ケフカのメモ 着替え用の服(数着)が近くに落ちていますが、
デスキャッスルと付近の生存者及びこれらのアイテムが無事かどうかは不明です
【ユウナ(きぐるみ士、HP1/3、MP0、全身に軽度の火傷、下半身麻痺、ティーダ依存症)
所持品:銀玉鉄砲(FF7)、官能小説2冊、
天空の鎧、血のついたお鍋、ライトブリンガー 雷鳴の剣
スパス ねこの手ラケット ビーナスゴスペル+マテリア(スピード) 水鏡の盾
第一行動方針:皆殺し
基本行動方針:脱出の可能性を潰し、優勝してティーダの元へ帰る】
【現在位置:デスキャッスル跡 3〜4F辺り→闇の世界のどこか】
【ヘンリー(HP1/2、リジェネ状態)
所持品:アラームピアス(対人) リフレクトリング バリアントナイフ 銀のフォーク キラーボウ
グレートソード、デスペナルティ、ナイフ 命のリング(E) ひそひ草 筆談メモ
第一行動方針:ソロ達が心配
第二行動方針:食事/マッシュを眠らせてカードデッキを持っていく/出来れば別行動中の仲間を追いかけて事情を説明したい
基本行動方針:ゲームを壊す(ゲームに乗る奴は倒す)】
【リルム(HP2/5、右目失明、MP1/10、錯乱気味)
所持品:絵筆、不思議なタンバリン、エリクサー、 静寂の玉、
レーザーウエポン グリンガムの鞭、暗闇の弓矢 ブラスターガン 毒針弾 ブロンズナイフ
第一行動方針:なんでこんなことになったのかわからない
第二行動方針:食事/他の仲間と合流
最終行動方針:ゲームの破壊】
【マッシュ(HP1/10、右腕欠損)
所持品:なし】
第一行動方針:何が起きているのかわからない
第二行動方針:食事
最終行動方針:ゲームを止める】
【現在位置:南東の祠(奥の部屋)】
投下乙!
あまりの展開に愕然としてたのに行動方針のカードデッキで吹いたww
新作乙
ソロいいね 聖人主人公だね 熱いね
激しく乙です
10-2やったのに暗黒の空が魔法だなんて調べるまでわからなかったorz
バシルーラの結果も気になるところ。
乙
空からヤンデレが降ってくるとか胸が痛くなるな… なお何があろうとデレない模様
ロックやギード、サイファーが取り残されて〜でスケートギード思い出して吹いた後にずっと行動共にしてたヘンリーがソロを(偶然とはいえ)立ち直らせたのはじわっときた
デスキャッスルで色々決着つくのかと思ってたからマーダー一人も落ちなかったのは意外だったけど
あと草挟んだカッパ評と行動も笑ったけど登場してないのにケフカの脅威が消えてないどころか増してるってもうこいつなんなんだよwww
新作乙です!
建造物崩壊したのに犠牲者ゼロなんて予想できねえよ
ユウナの着地点だけでなく、ソロとカッパのコンビが続くとなるとこれも相当な爆弾に成り得る
そしてケフカも健在とまだまだ盛り上がるな
乙
最近のセフィロスが全然悪者っぽくなくて良い
乙
デスキャッスルさん崩壊で何人死ぬかと思ってたからこの展開は予想外
対マーダーはママ先生の領域まで持ち越しあるんじゃないかってわくわくしてきた
新作乙です!
熱い、熱いよソロ。まじ勇者さんっすよ
しかしこの潔癖さがいつか命取りになりそうで怖いな
城が本格的に崩壊して、中のケフカが潰れてないか心配なんだが
おおかた瓦礫に挟まっても一人でうきゅ!とか騒々しくやってるんだろうな、うん
さて問題だ。
『俺達』は今、良くわからない地下世界(notアレフガルド)にいる。
ついさっき、中央の城がある方角で謎の発光現象が起き、地響きが伝わってきた。
同時に、そちらの方角から若い男がガメゴン種と思わしき魔物に乗って飛んできた。
この状況で連中が敵である可能性は――
「お前たち、ゾーマと魔女の手先だな!?
悪しき魔物め、勇者の名において成敗する!!」
あっ。
……俺が考えをまとめるよりも早く、『フルート』を押しのけて表に出た『アルス』が刀を取り出し振りかぶった。
しかしガメゴンに乗ってた銀髪の男が、素早く水晶の剣で攻撃を受け止める。
「ちょ、ちょっと待てよ! 誰だよゾーマって!」
「わしらには他者を害する意思はない! どうか話を……」
「うるさい! 魔物風情と交わす言葉などない!」
タバサやリュカの事を欠片も覚えていないとはいえ、短絡的すぎる思考で、『アルス』は一方的に攻め立てる。
対する男は明らかに防戦に専念していて、喧嘩を売られた側にも関わらず、『俺達』を狙う素振りを見せない。
ガメゴンに至っては、何故か人間の言葉を喋って平和的解決を訴えている。
ガメゴンロードのさらに上位種なんだろうか。ガメゴンレジェンドとか、そんな感じの。
「待て、待ってくれ! あんたセージってヤツじゃないのか?!
ティーダとプサンのおっさんが言ってた! サスーンで一人先に行っちまったっていう!」
――ティーダにプサンだって?
ああ、確かに覚えている。俺だけは、だが。
「ふざけるな! 死者の名を出して僕達を惑わそうというのか!
その罪万死に値するッ!!」
なーんも覚えちゃいない『アルス』は吠えながら剣を握り直す。
隠す気のない強烈な敵意と殺意が、セージの身体を通して俺にも伝わってくる。
でも、十中八九言いがかりで誤解だろうな。
そりゃ確かにティーダもプサンもこんな二人組の事は喋っちゃいなかったけど……
サスーンに居なかったのに、プサンを置き去りにしたなんて、どうでもいいような細かい話を知ってるんだ。
常識的に考えて、プサン本人から聞いたとしか思えない。
第一、本気でこの連中が敵なら、二人がかりで『アルス』を返り討ちにしてるはずだ。
疑う点が片割れの種族だけだってなら、限りなくシロだろう。
そういうわけで、俺としては『アルス』の事を止めたい。
フィンや焔色の髪の男みたいにバリバリ悪意があるってならともかく、友好的に接しようとしてる相手なんだからな。
マジに殺しちまったら、いくらなんでも寝覚めが悪すぎる。
……けれども、だ。
この二人が、又聞きとはいえセージって男の事を知っている以上、そう簡単にはいかない。
仮にこいつらと落ち着いて話をすれば、ほぼ確実に『今の俺達』の異常性に触れられるだろう。
自分が狂っているという事実を『セージ』が受け入れるはずもない。
どんなに良くても、今『アルス』がそうしているように、敵とみなして殺すことを選ぶはずだ。
悪ければ何度も言っているけど、そのまま精神崩壊直行コースに行ってしまう。
そいつはそいつで、望ましい事態じゃない。
(『フルート』。あの銀髪男、『俺』の同業者みたいだ。
悪いことは言わねぇからピオリム使っとけ)
幸い、向こうはそんなにやる気じゃない。
速度を補えば『アルス』でも多少はやり合える。
話が通じなくて物理的に捻じ伏せもできないとなれば、あっちも逃げる事を考えてくれるだろう。
軽くやり合って十分ほど追いかけっこすれば、ピオリムの効果が切れて、こっちが振り切られるはずだ。
これなら『アルス』のメンツを立てつつも、お互いに被害を抑えた形で決着がつけられる。
「は〜い! ピオリム!」
俺の助言に従って『フルート』が呪文を唱える。
いきなり裏声になったからビビったんだろう。銀髪男が一瞬だけ動きを止め、目を瞬かせた。
その隙を見逃さず、『アルス』が胴を切りつける。
「ッ!」
(バ、バカ! やりすぎだ!!)
銀髪男がかすかに悲鳴を上げ、俺が焦ったところで、時すでに遅し。
男の腹から血が吹き出し、服と草を赤く染める。
けれど銀髪男は倒れることなく踏み留まり、『俺』の想像を絶する速さで剣を振るった。
いったい何をしたのか――答えはすぐに提示される。
「なっ……!?」
数時間ぶりに感じるダイレクトな痛みが『俺達』を襲う。
『アルス』が剣を取り落とし、片膝をつく。
手首、膝、足、肩。
いずれも致命傷には程遠い、浅い傷だったけど、目の前の男はたった一瞬で四か所に切りつけたんだ。
こんなソードイドもビックリな手並みを見せつけられたら、本物のローグなら『ヒュー!』って口笛吹いてたんじゃねえか?
当事者の俺としては、そんな気分にはなれねぇけどよ。
「ケアルガ!」
ガメゴンが、ガメゴンのくせに聞き覚えのある魔法を唱える。
ふりそそぐ光は銀髪男の身体に吸収され、出血を止めた。
どうやら俺も『アルス』も、相手の力量を甘く見積もりすぎてたようだ。
(さっさと俺と変われよ、『アルス』)
(うるさい! 魔女に与する魔物を前にして退けるか!)
何故だろうか。
焔髪の男と戦った時のように『アルス』を押しのけてようとしても、上手くいかない。
(……『アルス』に任せなよ、『ローグ』)
ずっと押し黙ってた『セージ』がぽつりと呟いた。
同時に、背筋にぞわっとした冷たさが走る。
じっとりと絡みつくようなほの暗さ――それが『自分自身』の声だと認めたくないほど、薄ら寒い声音だった。
(『アルス』の判断は正しいんだ……いつだって正しいんだよ。ねえ、『アルス』)
――その言葉で、俺はようやく察した。
察することが出来てしまった。
何故、今、『アルス』と入れ替われなかったのか。
何故『俺』は今になるまで"自分から逃げる"ってシンプルで安全な発想が浮かばなかったのか。
その……出来る事なら永遠に認めたくない理由を。
目の前にいる連中はプサンの知り合いだ。
プサンがタバサとパパスの為にジタンを見捨てた時、セージって男は自分の無力を棚に上げてプサンに恨み言を吐いた。
それでもプサンはこっちの身を案じていたっていうのに、セージって男はアルスを探したいなんて身勝手な理由で見捨てた。
そして何より、セージって男は、プサンの知人であるフィンを返り討ちにしている。
ああそうだ。はっきり言おう。
"どれほど友好的であっても、『プサンとその仲間』は、セージという男にとって自分の罪を想起させる存在だ"。
だからセージという男の抜け殻である『セージ』は、本物とはかけ離れた、殺したがりの『アルス』を創って全権を委ねた。
目障りな奴に魔女の手下だの、魔物だのというレッテルを貼って、『勇者アルス』の手で殺してしまえば、自分は正義を成していると主張できる。
そして殺意を抱いた本当の理由を暴かれたとしても、『セージ』は『アルス』に任せただけだと言い張れる。
"僕はこんなことはいけないと思ったんだけど、『アルスの人格』を抑えられなかったんだ"
そう言ってしまえば、誰かを殺した罪は全部『偽物の勇者アルス』の物だ。
"『セージの中にいる人格が悪い』って事になるなら、『セージ本人は悪くない』"。
……なんで今まで気づかなかったんだ。
正義感の象徴? 正気の象徴? 優しさの象徴?
違う。
『俺達』はそんなキレイなものじゃない。
セージって男は、感情を代弁させるために俺達を創ったんじゃない。
失った仲間の代替でさえない。
『セージ』は……セージという男の主人格は。
自分を守りたいって理由で、自分でない誰かに罪を着せる為だけに、自分でない仲間達の偽物を創っただけだったんだ!
「魔女の手先が! そんな演技で騙されるものか!!」
「だから違うって! 話を聞けよ!」
いちいち叫ぶな。
わかってるんだよ、『俺』は。……セージって男はわかってるんだよ!
あんたらは魔女の手先なんかじゃないし敵でもない、プサンの仲間ってだけの友好的な亀とその同行者ってことを理解してるんだ。
だけどあんたらが何を言ったって、『アルス』は絶対に止まらないし、『俺』も暴走を止められない。
セージって男はただ殺したいだけなんだ。
手も心もどうしようもなく穢れてるってのに、綺麗なままだと思い込んでいたいから、汚ねぇって指摘してきそうな奴を消そうとしてるだけなんだ!
死人に口はないし、妄想で作った偽物ならセージって男に都合が良い事しか言えないからな!!
「スロウ!」
ガメゴンがまたまた魔法を唱えた。
今度は白い光が『俺達』の身体に纏わりつく。
もったりとした感覚が全身を包み、同時に、連中の動きが数段素早くなる。
どうやら相手の素早さを下げる補助魔法らしい。
「サンキュー、ギード!
後は俺に任せて、適当に避難しててくれ!」
ああ、そうだ。それでいいんだよ。
だけどガメゴンだけじゃなくて、銀髪男、頼むからお前もさっさと逃げてくれ。
セージって男の眼の届かない所へ行ってくれ!
「逃がすか!」
「ハッ、誰が通すか!
こう見えても俺はトレジャーハントだけじゃなくて、ティナにエドガーにバナンとVIP護衛にも定評が……」
「うるさい! 邪魔だ!」
「うおっ!? こ、こういう台詞は最後まで言わせろよ!」
実力差も空気も読まない『アルス』がガメゴンに追い縋ろうとする。
その足と腕を、銀髪の男が力ずくで阻む。
何度も言うが力量は相手の方が上だ。当然、横をすり抜けていけるはずもない。
「済まぬ、ロック……ここは任せたわい!」
無事にガメゴンが逃げていく。
この二人の声音に宿るのは悔恨でも悲しみでもなく、圧倒的な信頼だ。
"彼ならこの場を任せられる"。"無事に逃げてくれる"。"間違いなくまた会える"。
その判断を互いに欠片も疑ってないってことが、聞くだけでわかる。
本当の意味で『仲間』なんだろう。こいつらは。
(『アルス』!!)
こいつらは、フィンや焔色の髪の男とは違う。
敵意があるわけでも殺意があるわけでもない。こんな奴らを殺すことが正義になるはずがない。
それをわかっているのは俺だけだ。
だからこそ叫ぶ。無駄だとわかっていても、無意味だとわかっていても、せめて『俺』だけは『ローグ』でありたい。
本物のローグには到底及ばなくても、その名とイメージに恥じない存在でありたい!
(さっきの攻撃は見ただろ! 勝てるわけねーだろ!
さっさと逃げろ! 逃げちまえ!!)
気力を振り絞ったのに、出てきたのはこんな情けない台詞だ。
これが『俺』に許される精一杯の言葉だ。
正気でありたいってことしか願えない、ちっぽけな良心が訴えられる唯一の言葉だ。
――なのに、セージって男が抱いた狂気は、予想通りに俺の希望を封殺する。
(正気で言っているのか、『ローグ』!!
命惜しさに魔女の手下を見逃すなんて勇者一行のすることじゃない!)
(そうだよ……『アルス』の言うことが正しいよ)
狂人は、どこまでも現実を認めない。
頭の中に『仲間』って名前のスケープゴートを生み出し、自分が救われたいからって理由で他人を殺め、身勝手に堕ちていく。
「……さっきからガメゴンだの魔女の手先だの、好き勝手に言ってくれてるけどな。
ギードは俺達にとって大事な仲間で、皆にとってものすごく重要な事を調べててくれたんだ。
例えティーダやオッサンの知り合いでも、本気で俺達を殺す気なら、俺だって本気で止めさせてもらうぜ?」
銀髪男が真剣な表情で『俺』を睨みつける。
澄んだ瞳は生気と希望で一杯だ。
本物のアルスやローグやフルートと同じ、でっかい事を成し遂げて多くの人を救おうとしてる奴の目だ。
もし、セージって男の心がもう少しだけ強かったなら。
現実と自分の罪を認めて受け入れられるだけの度量があれば。
せめてこの場の主導権を『俺』に握らせるだけの判断力と良心が残っていれば、他人を助ける為に彼らに協力するって選択肢を取れたんだろう。
……。
セージ。
『俺』が正気に戻りたかったのは、本物のアルスやローグやフルートが守りたかった人達を助けたかったからだ。
タバサに出会った時の、ビアンカさんやギルダーを助けた時の、誰かを助けるために戦ってたあの頃の自分自身に戻りたかったからだ。
だけど死んで何も言えなくなった仲間の幻想に、自分の罪を押し付ける狂人が、セージって男の姿だというなら。
自分が救われたいから他人を殺そうとする人間がセージって男の本性だというなら、そんな奴は救われるべきじゃない!!
ああ、そうだ!
そうさ!!
本物のアルスやローグやフルートだって、きっとこう言うだろうさ!!
"頼むから死んでくれ! これ以上、アルス達と賢者セージの名を汚す前に!"
【ギード(HP3/5、残MP1/8、精神的にさらにげんなり)
所持品:首輪
第一行動方針:セージから逃げる
第二行動方針:ソロ達と合流して南東へ向かう
第三行動方針:首輪の研究と脱出方法の実験をする】
【現在位置:デスキャッスル南西の茂み(分かれ道のあたり)→移動】
【ロック (左足負傷)
所持品:キューソネコカミ クリスタルソード 魔石バハムート、皆伝の証、かわのたて
死者の指輪、レッドキャップ、ファイアビュート、2000ギル
デスキャッスルの見取り図
第一行動方針:セージを足止めした後、逃げてギードと再合流する
第二行動方針:リルム達と合流する/ケフカを警戒
基本行動方針:生き抜いて、このゲームの目的を知る】
【セージ(MP3/5、多重人格)
所持品:ハリセン、ナイフ、ギルダーの形見の帽子、イエローメガホン
英雄の薬、厚手の鎧、般若の面、釘バット(FF7)、グラディウス、聖なるナイフ、マテリア(かいふく)
陸奥守、マダレムジエン、ボムのたましい
基本行動方針:『アルス』:ロックとギードを殺す/魔物や悪人を倒したい/城へ向かいたい
『ローグ』:セージに死んでほしい
『フルート』:皆と一緒にいたい/城へ向かっているつもり
『セージ』:特にない/『アルス』の意見に従う
最終行動方針:『ローグ以外共通』:みんなと一緒に魔女を討伐する、目の前の状況に対処】
【現在位置:デスキャッスル南西の茂み(分かれ道のあたり)】
乙!
え、ガメゴンネタで笑ってたけどこれどうなるん…?
調理が極めて難しそうだけど楽しみすぎて困る
どうしてこうなった…
投下乙てす!
ロックvsセージ……変にもつれる前に、なんとかしたいけどねえ……
新作乙です!
こうなったか……裏フルートが出てきたらロックがヤバいし
出てこなくてロックが逃げおおせても表フルートの方向オンチで祠に向かわれたらアービンがヤバい
それでもどこかに飛んでったあの方よりはマシに見えるのがな……
空飛ぶあの方はどこに飛んでもビックビクやでぇ
ヤンデレの位置によってはこの相対で一段落つきそうだけど放送にはまだ早いよね?
投下乙です!
またも分断か……マーダーもまたばらけたし、どの組も安心出来無いな。
セージはどうなってしまうんだろうか……。
>>204 まだまだ夜は長い
関係ないが空飛ぶあの方って言い方にクソワロタ
乙です!
ギードが孤立したか…あとガメゴンネタを拾えるのはヘンリーとロザリーだけかねえ
避難所でちょいと話が出てるんだけど、次ステージは必要かな?
書き手さん読み手さん問わず避難所も一度回ってもらえると助かります
何となくバラムガーデンに決まってる雰囲気かと思ってた
人数も相当少ないだろうし、バラムガーデンを推す
月報集計何時もお疲れ様です
FFDQ3 697話(+ 3) 21/139 (- 0) 15.1(- 0)
ロザリーはギードと合ってるから難しそうだな
DSのDQ4起動したら闇の世界狭くてあれこんなんだったっけってなったわ
日が沈むまでと比較するとデスキャッスルから南西・南東・希望のほこらまで3時間くらいかかりそうで今後は逆にこんなんだったっけってなったけど
次は帝国首都ベクタなんかもいいな
城、城下、魔導研究所、トロッコ道なんかもあるし
ベクタだとちょっとぼくちん様に有利すぎないか?
そうでなくても対人レーダー持ってるんだし
一人ずつ分断されてなぶり殺しにされる展開しか想像できんばい
それはそれでいいけど。
10人以下なら、魔列車を…
いや、なんでもない
FF6ならゾゾ街なんかも面白そうだが
雨が降ってるシチュと入り組んだ高層ビルといくつもの廃墟の建物、裏の山
人が多い序盤じゃ色々無理だがラストかラス2マーダーになったら楽しそうだな>ゾゾ・魔列車
魔列車に旅の扉が開かず時間切れでつれてかれる全滅オチが浮かんだ
乙
保守
乙です
班長の持ってる貴族の服だけど
ターニアを気遣って、レーベで血のついた服を着替えたヘンリーか
ずっと女物のスーツ着てるアルガス君にプレゼントしてはどうだろうか
と、保守ついでに最近ふと思ったどうでもいいことを書いてみる
思えばもうすぐ10周年迎えるのな
10月の10周年までにどんな展開になるのか楽しみです
あけましておめでとうございます
乙です
保守
今バトルしてるのはロック達だけで他は一応区切りはついてるのか
どこもかしこも危険は孕んでるが
保守
空飛ぶあの方もいるし油断は出来無いな
一体何処に着地してしまうのか
保守
空飛ぶあの方本人もだけど、置き土産で城がどうなったのかも心配
カッパとケフカだけ死んでくれれば平和だけど、その前にクリムトがやばそう
乙
乙です
乙
乙です
まーーーーだやってたのかwww
完結しないし長すぎて読む気失せるしマジ糞だな
稚拙でも完結した1stの方がはるかにマシだ
@wikiでIDとかパスとか流出したらしい
1stのまとめが@wikiにあるから見るのは危険かもね
乙です
乙
乙です
保守
ドラゴンオーブって今セフィロスが持ってるのか
マスタードラゴン復活はまだまだ遠そうだな
乙保守
乙
まとめ更新乙です
乙です
乙
何が乙なんだろう
242 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/05/22(木) 01:08:08.00 ID:ydpcvoQT0
うんごぶりぶりんこ!!!!ドビュビュビュビュドバババババブッ!!!
ドリュルリュルウリュリィブブブブブブッッ!!!!あへあへうんこまん!!!ぶりっちょ!!!
ケツの穴からドババババババババッバwwwwwwwwwwwwWWWW
wwwwwwwwwwww
WWWwwwwwwwwwww??? ? ? ? ? ? ? ????? ????????wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
なお、まにあわんもよう
自動狩り大学を知った頑丈そうな昔のカレシは、100点を取ってもダメだったので、90点を取ってみた
保守
支援
「ライフカードを切れ」のテストケース・スリーの展開みたく
ロックが最期にレイチェルの名前言って死んだら
死者スレがすげぇ修羅場になりそうだw
と、保守ついでに最近読み返してみてふと思ったことを書いてみた
本編もだけど、死者スレのクオリティもすごいよね
支援
てす
「――決めた」
最初にそう言ったのはリルムだった。
ぐしぐしと目をこすりながら顔を上げると、素早く俺の傍から離れ、ザックを拾い上げる。
「リルム、ユウナとみんなのこと、助けに行く!」
今まで泣いていた子供の台詞とも思えない、突拍子もない発言は、俺の思考を硬直させるには十分だった。
けれど、この場に居合わせたもう一人の奴は、こんな言動をも予想していたのだろう。
深緑の輝きが俺の視界を横切り、廊下へ飛び出そうとするリルムの前に回り込んで、行く手を阻む。
「どいてよ、おっさん!
ユウナ、ケバケバおばさんに操られてるんだよ!
だからリルムがニブチンのぶんまでユウナのこと助けに行くの!!」
「ダメだッ!」
出口を塞いだヘンリーは、鋭い叱咤でリルムの抗議を封殺する。
「ユウナが正気じゃないってのはオジサンにだってわかる!!
だからこそ、絶対にダメだ!! 大人しくここに居ろ!!」
険しい表情と語気に飲まれたのだろう。さすがのリルムも足を止めた。
しかし大人しく諦める事も出来なかったらしく、「でもっ」と何かを言いかける。
それほど負けん気の強いリルムが、続く言葉を飲み込んだのは――
何故か、ヘンリーの方が廊下へと飛び出して行ってしまったからだ。
「えっ!?
……ちょ、ちょっとー!? おっさんこそどこ行くの!?」
数秒ほどして我に返ったのか、リルムは慌てて部屋の外に向かって叫んだけれど……
その声が届いたとは思えない。
リルム自身もそう感じたのだろう。
呆然とした表情のまま、こっちを見た。
「どうしよう」
……なんて、聞かれても、だ。
当然、俺としては『行っていいよ』なんて言えるわけがない。
「リルム……気持ちはわかるけど、ここに居てくれないか?
リルムが危険な目にあったら俺も嫌だし……
兄貴がここに居たら、やっぱり、絶対に外には行かせないと思うんだ」
兄貴は――エドガーは、リルムの事を随分と気に入っていた。
何せ、親しい人以外には明かしちゃならないはずのミドルネームを、自分から教えていたぐらいだ。
仲間としての好意か、十五歳ぐらいになったら口説くつもりだったのか、今となってはもうわからないけれど……
とにかくリルムに何かあったら、兄貴に申し訳が立たない。
……あ、それともちろん、ストラゴスの爺さんにも。
「ずっこい」
リルムがぷうっと頬を膨らませる。
ここに居ない人を持ち出すのはずるい、と言いたいのだろう。
だけど俺にだって、譲れないものがある。
リルムはしばらく俺を睨んでいたけれど、どうにか気持ちが通じたようだ。
素直に俺の傍に戻ってくると、ぺたんと座り込んだ。
遠出を諦めてくれた様子に、ほっと胸を撫で下ろす。
でも、すぐに安心していられる状況でもないと思い直した。
ひそひ草から聞こえた声からしても、この世界のどこかでユウナって女が大暴れしていて、ヘンリー達の仲間が危ない目に合っているのは間違いないんだ。
あの轟音が俺の思った通り、本当にメテオだったら――はっきり言って、運が良くなきゃ生き残れないだろう。
リルムが飛び出していきたくなる気持ちも、半分はわかる。
わかるけど……
どうしても、嫌なんだ。
"兄貴に気に入られてたリルムが、兄貴を殺したかもしれない奴を助けに行くだなんて"。
「……」
こんな感情、口には出せないし、出したくもない。
もっと言えば、兄貴が死んだという事自体、認めたくない。
それでも参加者リストの赤線やスコール達の態度がある以上、兄貴の死は現実に起きた事なのだろう。
そしてティーダって奴の錯乱っぷりは、『ユウナが犯人としか思えない』って言ってるようなもんだった。
リルムは、ユウナが【闇】に操られていると言い張ってるけれど――
みんなの説明じゃ、【闇】は『殺人を犯した』『心の弱い人間』に憑りつくはずだ。
なら、ユウナだって初めはあくまで自分の意志で人を殺したって事になる。
リルムは昨日の夕方まで、ユウナと一緒に居た。
俺はそう聞いてるし、リルムがこれだけユウナのことを信じているってことは、少なくとも夕方まではユウナはまともだったんだろう。
それに、俺が聞き逃した放送は、今朝の明け方に一度きり。
当然、兄貴が死んだ時刻は、昨日の日没から今日の夜明けまでのどこかで間違いない。
ユウナが狂ったのも、兄貴が死んだのも、昨日の夜。
この時期の一致を、偶然で片付けていいのか?
ユウナは、【闇】でおかしくなったから兄貴を殺したんじゃなくて……
兄貴を殺したことが原因で、【闇】に憑りつかれたんじゃないのか?
正気なのに、身勝手な理由で、兄貴を――
「――マッシュ?」
「!?」
耳元で響いたリルムの声が、俺を我に返らせる。
振り返って下を向けば、不安げに揺れる隻眼に自分の顔が映りこんだ。
眉間に皺を寄せ、暗い影を落としたその表情は……自分でも、『俺らしくない』と言いたくなるほどだ。
「な、なんでもない。大丈夫だ」
何やってるんだ、俺。
いくらリルムの意見に納得できないったって、この子を怖がらせてどうするんだ!
俺は気合で笑顔を作り、残っている左手でリルムの頭を撫でた。
ぱちくりと瞬きしたリルムは、物言いたげに小さな唇を動かしたけれど、結局何も言わずに俺を見つめ続ける。
俺はもう一度「大丈夫」と告げ、兄貴が良くやっていたように、ぱちりとウインクしてみせた。
「似合ってないよ、そーゆーの」
リルムは口を尖らせ、ぷいっとそっぽを向いた。
「まー、だいじょぶだってならいいけどさっ。
……それより、あのオジサン、どこまで行っちゃったんだろ?」
あ。
そういえば、ヘンリーは行先を言っていなかった。
でも――
「ラムザやバッツに説明しに行ったんじゃないか?」
全員で生還するために計画を練ってたというのに、別行動中の仲間が壊滅したかもしれないんだ。
手を打つ打たないは別として、他の連中にも話しておかなきゃいけないだろう。
「まー、遠くに行くわけないんだし、すぐに戻ってくるさ」
気休めみたいな言い方になってしまったけれど、戻ってこない理由が無い。
リルムも俺の言葉に納得したらしく、「だよねえ」とうなずいて、絵筆を手に取った。
(……って、絵筆?!)
彼女の特技をよーーーく知ってるこちらとしては、ぎょっとするし、身構えざるを得ない。
けれどリルムが描き出したのは得意の似顔絵ではなく、明らかに手を抜いた落書きだった。
バンダナ巻いた棒人間と、ゴーグルつけた棒人間と、トサカっぽい髪の棒人間。
最初がティーダってのはわかるが、残りはわからない。
ヘンリーが戻ってくるまで、不安を紛らわせるために絵を描いていたいのかもしれない。
そんなことを思っている間に、バンダナ棒人間の隣にローブ着た棒人間と、帽子をかぶった小さい棒人間が増えた。
そう言えば、リルムはアーヴァインにも懐いていたっけな……
ため息が出そうになるのを、ぐっと堪える。
はっきり言って、アーヴァインの奴に対しても、釈然としない気持ちは残ってる。
ティナやマリベルの事がある以上、アイツが戻ってきたら、最低二発は殴っときたい。
ただ――それでもユウナに比べれば、心の天秤は『許す』方に傾いている。
スコールから聞いた魔女との因縁とか元の世界にいる子だとか、殺し合いに乗った動機がそれなりにわかるってのが一つ。
既に改心してスコールに協力し、首輪の解除を成功させたってのが一つ。
それに何より、マリベルの遺言を汲んで、アイツを止めようと駆け回ったスコールの努力を間近で見てきた以上……
憎むより、スコールと一緒に喜んでやりたいって気持ちの方が強いんだ。
でも、それなら――
例えば、ユウナが兄貴を殺した理由が少しでも同情できるものであるならば、俺は素直にリルムを応援できるのか?
ユウナが心を入れ替えて、人を助けようとしているなら、俺はユウナのことを許す気になれるのか?
考えてみても答えは絞れない。
『悪い事をしたって認めて謝るなら、兄貴も許すに決まってる!』って気持ちが半分。
『ふざけんな!』って突っぱねたい感情が半分。
ちょうど真っ二つに割れている。
ユウナは何を考えて殺し合いに乗ったのか?
彼女と兄貴との間に何があったのか?
わからないことが多すぎて、『実は何もかも嘘だったりしないのか?』なんて現実逃避じみた考えすら浮かんでくる。
(……ん?)
待てよ。
脳裏に走った閃きに、俺は慌てて記憶を辿る。
スコールがティーダと話した時、アイツはなんて言っていた?
"そうだ、ティーダ。もう一つ言っておくことがある。
ユウナがエドガーを殺したかもしれないというのは、ある人物の推測だ"
――……そうだ。
ユウナが殺し合いに乗っているのは間違いない。
だけど、兄貴を殺したという証拠は……無いんだ。
なんでこんなことに気付かなかったんだ?
ティーダの態度がいくらそれっぽくても、そりゃアイツが『ユウナ犯人説』に納得してるってだけだ。
スコールが言う『ある人物』ってのも、誰かわからない。
それこそアルガスって可能性すらありそうだ。
とにかく話の出所が不確かな状況で、正気だったころのユウナを知っているリルムに、彼女を疑えなんて無理に決まってる。
むしろアルガスの言葉だけでユウナを兄貴の仇だと決めつけて憎んでしまっている、俺の心の弱さの方がよっぽど問題だ。
兄貴が居なくなったことがショックだからって、真実を確かめもせずに人を憎んでいいわけない。
そんなんだからダンカン師匠の時だって、死んだなんて早とちりしたんじゃないか!
いくら兄貴が死んだなんて聞かされたからって……動揺しすぎだ、俺。
一度リルムに謝ろう。
ユウナのこと、一方的に疑って悪かったって――
「――あれ?」
そう考えた矢先、唐突にリルムが顔を上げ、きょろきょろとあたりを見回した。
タイミングが良すぎて、自分の考えが見透かされたような錯覚を感じたけれど……そんなわけがない。
遠くで人の声とかすかな足音が響く。
慌てて耳を澄ましてみれば、誰かがリルムの名前を呼びながら、こっちへと走って来ているようだ。
俺が声の主に思い至る前に――彼は、弾丸のように部屋へと駆け込んできた。
「リルム!」
金髪をなびかせながら叫んだ、鎧姿の若者の姿に、俺は兄貴の幻影を垣間見る。
けれど瞬きをしてみれば、そこにいるのは当然ながら全くの別人だ。
「ラムザ? どったの?」
名指しで心配されたリルムは落書きを止め、若者――ラムザの傍へと近寄る。
その姿に安堵したのか、彼は少々大げさな動きで胸を撫で下ろした。
「ああ、良かった。
僕達が気付かないうちに、どこかへ行っていたらどうしようかと……」
俺にはラムザの気持ちがよーくわかるけど、リルムにとっては不本意だったらしい。
「マッシュのこと放っておいてどっか行くわけないでしょ!
リルム様の事をなんだと思ってるんだー!」
絵筆を握りしめたまま、ぽかぽかとラムザを叩いて抗議する。
そんな二人の後ろから、能天気な声が飛んだ。
「まあまあ、前科があるんじゃしょうがないって」
苦笑しながら現れたのはバッツだ。
その両手は数個のザックで塞がっている。
「ラムザ。荷物、一旦ここに置いとくからな!
例のカードだけ、スコールんとこに供えてくるから!」
「ああ、宜しく頼むよ」
わけのわからないやり取りをしながら、バッツはザックを床におろし、何かのケースを持って外へ出ていった。
ヘンリーの姿や声が無いけれど、いったいどうしたんだろう?
そんな俺の疑問を代弁するように、リルムが尋ねた。
「ねーねー、ヘンリーのおっさんは?」
「ん? ああ、彼は――」
ラムザはわずかに表情を曇らせながら、言葉を探すかのように視線を巡らせる。
しかし良案が浮かばなかったのか、小さなため息をつきながら答えた。
「彼は、中央の城へ向かったんだ。
ソロさんなら助かってる可能性があるから、状況を伝えに行きたいって」
「「は……はあああああああ!?」」
俺とリルムの声が見事に重なる。
でもな。さすがに、こればっかりはこう言うしかねえって。
「何やってんだ!?」「何やってんの!?」
「ですよねー……ああ、いや、僕達も話を聞いて止めたんです。
本当に。さすがに、いくらなんでも、危険ですから。
ただ、その……」
ラムザはこめかみの辺りをぽりぽりと掻きながら、リルムに視線を注ぐ。
「……ここに居るメンバーの現状を鑑みると、ですね。
『祠を守る戦力』の中で抜けても問題がなく、単独行動ができる体力が残っていて、
戦闘も交渉も説明も出来る人物となると、彼しかいないんです。
僕もバッツさんもやるべき事がありますし、リルムもマッシュさんも休息を取るべきですから」
『リルムも』という個所をやたらと強調している辺り、よっぽど暴走を警戒してるんだろう。
何度でも言うけど、その気持ち、すっげえわかる。
「リルム、そんなに疲れてないよ!」
俺らの気苦労に気付いてないのか、無視してるだけなのか。
リルムは両手を振り上げ、大声でラムザに詰め寄った。
けれどラムザは動じることなく、冷ややかな目でリルムを見つめる。
「本当に? アルガスを追っかけるのに、城からここまで歩いてきたんだろう?
それに回復魔法だって、ヘンリーさんやアーヴァイン相手に結構使ったそうじゃないか」
「うっ……」
「だいたい、君はいつも無茶をしすぎだ。
確かに君は頭が良い、僕やセフィロスを出し抜けるぐらい賢い。それは認める。
周りに子供扱いされたくない気持ちだってわかる。
でも、それでも君は、客観的に見れば華奢な女の子なんだ。
殺し合いに乗った人間に見つかったら、真っ先に狙われる立場にいるんだ」
「で、でも、あのネクラの犯罪者の誘拐犯は……」
「ウィーグラフが特別なだけだよ。
彼が憎んでいたのは僕だけだった。君を殺す気は最初から無かった。
けれど例えば、それこそセフィロスに見つかったらどうする?
ヘンリーさんは、ヤツとは一度も会ってない。
だからこそヤツの邪魔にならないと判断されれば、生還できる可能性が残ってる。
けれど僕や君は違うよね。今朝戦った上に真正面から逃げ切られた相手だ、見逃す選択肢なんてあるはずがないよ。
その目で、一人で、僕も誰も近くにいない状況で、無事にヤツから逃げ切れると考えているのかい?」
「そ、それは……」
真っ向から言い返され、さしものリルムも口をつぐむ。
すっかり蚊帳の外に置かれた俺は、『よくそんなに喋れるなあ』と感心することしかできない。
「だからね、リルム。皆の事はヘンリーさんに任せよう。
彼だって君と同じぐらい、一人でも多くの人を助けようって考えて行動してるんだ。
だから彼を信じて、マッシュさんや僕らと一緒に、この場所を守りながら待っていよう。
皆を助ける事に成功した時、ここに君や僕達がいなかったら、ヘンリーさんも他の人も悲しむに決まってるからね」
「……むーっ」
おおっ。リルムが舌戦に押し負けるところなんて、初めて見たぞ。
しかしラムザの言い方だと、誰かが仲間を助けに行くことでリルムを納得させて外に出さないようにする、って目的もあったのか?
うーん。でもなあ、そうだとしても……
「なあ……こういう事、あんまり言いたくないけどさ。
メテオ級の魔法に巻き込まれた人間が五体満足でいる確率って、そんなに高くないだろ。
ヘンリーがどう説明したのか知らないけど、その。
……無駄足になる可能性の方が、大きくないか?」
俺の言葉に、ラムザが目を瞬かせる。
何を言っているかわからない――というよりも、純粋に驚いているような表情だ。
もしかしたら、『ユウナが魔法か何かでソロ達を攻撃した』という事は聞いていても、
『隕石でもぶつけて城ごとぶっ壊したんじゃないか』なんて話は知らされていなかったのかもしれない。
……そもそも、隕石の音なんて、聞いたことなきゃ気付くわけないしなぁ。
「うーん……」
ラムザは額を手で押さえ、少しばかり唸り声を上げたが、すぐに首を横に振る。
「ええと、その、確かに、攻撃方法や規模までは聞いていなかったのですが……
それが『魔法』であるならば、ソロさんは無事だろうというのが、ヘンリーさんの意見だったんです。
魔法反射障壁を作れる盾と、魔法の効果を打ち消す剣を持っている他、魔法自体を無効化する魔法まで使えるそうなので」
「えっ?」
おいおい。魔法反射に打ち消しに無効化って、どこのセリスだよ。
それが本当なら確かにスゴいし、ヘンリーがソロって奴の生存を信じるのももっともだ。
でも――
「え、でも、メテオってリフレクも、まふーけんも効かなかったんじゃ……」
リルムの言葉に、ラムザもとうとう言葉を失う。
そう。
俺達が知る限り、メテオはあらゆる魔法防御を貫通する魔法だったはずだ。
メチャクチャ高度で貴重な魔法だし(そもそも俺の世界じゃ魔法自体が希少だし)、ンなこと知らない方が当然ではあるのだが……
「………」
「………」
気まずい沈黙があたりを包む。
それを破ったのは、やはりラムザだった。
「……その、ええと、本当に、メテオだったんですか?」
「あ、いや……わかんねえ。
音だけだし、『暗黒の空』とか言ってたから、メテオに似た別の魔法かもしれないな」
縋るような視線から目を逸らし、俺は答える。
実際、音以外の事は知りようがないのだからどうしようもない。
「そ、そうだよ!ユウナが使ったの、打ち消せる魔法かもしれないし……
ソロって人が使う魔法が、まふーけんよりすっごいかもしれないじゃない!
き、きっとみんな無事だよ!」
リルムが明るい声音で叫ぶ。
しかしその笑顔は見事に強張っていて、無理に元気づけようと言っているのが丸わかりだ。
ラムザは額を抑えながらため息を吐き――淡々と呟いた。
「……ええとですね、ヘンリーさんは、こう言っていました。
何が起きたのか自分の目で確かめたいし、それ以上にソロさんの事を見捨てたくないと。
自分の身を危険に晒そうと、どんな結果が待っていようと、仲間で在り続けるために仲間を助けに行きたいのだと。
僕も、僕なりに最悪の事態を考えて、"説得"したり"おどす"ような事を言ったのですが……彼の意志を揺るがすことはできませんでした」
リルムを言い包められるほどの話術を使いこなせるラムザが、説得できなかった?
俺は眉を潜めながらも、ヘンリーの人柄や言動を思い返す。
――『よくわからない行動もするけど、基本的に気さくで面倒見がいい』。
それ以外の表現が出てこない。
少なくとも、人の説得をハナから無視するような、頑迷な人間とは思えない。
そんな俺の感想を肯定するように、ラムザは言葉を続ける。
「あの人は、僕が言った事態も考慮した上で、『行くべきだ』と判断したんです。
ソロさんを見捨てたくないから。
ソロさんが生きていれば、いずれ来る戦いで重要な戦力になるから。
ソロさんが助からなくとも、どこかで誰かがユウナさんを止めなければいけないから。
リルムやリュックさんの気持ちを汲んでやりたいから。
そしてさっきも言った通り、ここに居るメンバーで単独行動が可能なのは、実質的に彼しかいないから。
――そこまで言われてしまったら、使えそうな物資を分けて見送る以外の選択肢はありませんでした。
さすがにメテオというのは想定外でしたが……そうと知っていたら――」
『そうと知っていたら止めていたのに』と言いたかったんだろう。
しかしラムザは言葉を濁し、目を伏せる。
「……すみません」
「あ、いや、別に謝らなくてもいいって。
俺だって五体満足で、スコールがピンチになってたら、どんだけ遠くでも助けに行くしな。
そこまでしっかり考えてるだけエラいと思うぜ」
これは本心だ。
そもそも俺だったら――
「そうだよ!
そこの筋肉男がヘンリーおじさんの立場だったら、絶対そこまで考えないで一人で勝手に助けに行ってるよ!」
……その通りだ。
さすがリルム、よくわかってやがる。
俺が顔を引きつらせると、ラムザも苦笑を浮かべた。
けれどそれは束の間のことで、何かを思い出したのか、急に真顔に戻る。
「あ、そうだ。
マッシュさんには悪いのですが、その……ちょっと、この手紙を見てほしいんですが」
ラムザは、彼に似つかわしくない歯切れの悪さで呟きながら、一枚の紙切れを取り出した。
「ん?」
「なになに?」
何故か俺よりも早く、リルムがぴょこんと前に出てメモ書きを覗き込む。
そこに立たれたら見えないんだけどなぁ……
「……うわ」
リルムがものすごい呆れた声音をこぼす。
その反応に、俺は猛烈に嫌な予感を覚えながら、横合いから回り込んだ。
やたらと丁寧な字で書かれていた文面は――
"マッシュへ。
言い忘れてたけど、スコールが夢の世界に来てくれって言ってた。
そんなわけで、悪いが状況説明は任せたぜ!
俺も機会があれば連絡するけど、遅くなるから先にヨロシク。
追伸:今の夢のホストはスコールだ。驚くなよ〜"
「……おい」
なんだ、これ。
なんかどう考えても厄介な事を、すっげえ気楽に書いて、押し付けてくれてるように見えるんだけどさ……
悪いって思う気持ちがあるなら、それこそスコール達に説明してから行ってくれよ!!
ああもう、口に出して全力で『ふざけんな』って叫びたい。
スコール達の事がバレたらまずいからやらねぇけどさ。
ラムザは俺の気持ちをわかってくれるのか、同情の眼差しを送ってきている。
そしてリルムは俺とラムザを交互に見やり、ひどい片言口調で呟いた。
「……リルム、とーぶん寝ないで起きてる。
ラムザと一緒に、見張りがんばる」
アルガスとの相性の悪さを自覚しているのか、単純に見張りが多い方が良いと思ったのか。
どっちにしても、リルムなりの精一杯の気遣いなのは間違いない。
「……うん、頼んだ」
俺は、そう答えるだけで精一杯だった。
【ラムザ(話術士、アビリティ:ジャンプ・飛行移動)(HP3/4、MP3/4、精神的にすごく疲労)
所持品:アダマンアーマー、ブレイブブレイド テリーの帽子 英雄の盾 エリクサー×1
ミスリルシールド、スタングレネード×1
エクスカリパー、ドラゴンテイル、バリアントナイフ、黒マテリア
第一行動方針:祠の警備
第二行動方針:首輪解除及び脱出に協力する
最終行動方針:ゲームから抜ける、もしくは壊す
備考:首輪の解体方法を覚えました】
【リルム(HP2/5、右目失明、MP1/9)
所持品:絵筆、不思議なタンバリン、エリクサー、 静寂の玉、
レーザーウエポン グリンガムの鞭、暗闇の弓矢 ブラスターガン 毒針弾 ブロンズナイフ
第一行動方針:祠の警備
第二行動方針:他の仲間と合流
最終行動方針:ゲームの破壊】
【マッシュ(HP1/10、右腕欠損、精神的に疲労)
所持品:なし】
第一行動方針:眠る/夢の世界でスコール達に状況を説明する
最終行動方針:ゲームを止める】
【バッツ(HP3/5 左足負傷、MP1/6、ジョブ:青魔道士(【闇の操作】習得)
所持品:アポロンのハープ アイスブランド うさぎのしっぽ ティナの魔石(崩壊寸前)
マッシュの支給品袋(ナイトオブタマネギ(レベル3) モップ(FF7) バーバラの首輪)
スコールのカードデッキ(コンプリート済み)
第一行動方針:スコールにカードデッキを渡してくる
第二行動方針:祠の警備/機会を見て首輪解除を進める
基本行動方針:『みんな』で生き残る、誰も死なせない
備考:首輪の解体方法を覚えました】
【現在位置:南東の祠(奥の部屋)】
【ヘンリー(HP1/2、リジェネ状態)
所持品:アラームピアス(対人)、リフレクトリング、銀のフォーク、キラーボウ
グレートソード、デスペナルティ、ナイフ、命のリング(E)、ひそひ草、筆談メモ
魔法の絨毯、スタングレネード×1
第一行動方針:デスキャッスルに向かい、ソロ達を助ける
第二行動方針:仲間と合流し、事情を説明する
基本行動方針:ゲームを壊す(ゲームに乗る奴は倒す)】
【現在位置;南東の祠→移動】
以上、投下終了です。
おおお久しぶりに新作が!乙です!
この期に及んでもユウナへの怒りを鎮めてしまうマッシュのお人好し加減が泣けるわい
新作乙!
マッシュがどこまで事態を把握してるのか気になってたから彼目線の話はかなり嬉しい
しかしヘンリーはひそひ草も持って行っちゃったのか
新作乙です
空飛ぶあの方の着地地点候補が増えてしまった
>ひそひ草
たしかに、祠のメンツが持っていた方がいい気はするな
だが城の状況考えると、片割れは応答無くなった時点で消滅しててもおかしくないんだよな
草原がざわりと音を立てる。
夜の闇さえ存在しない地の底にも風は吹くのか。
それとも、睨み合いを続ける男達の気迫に、草といえども身じろぎをせずにいられなかったのか。
赤い羽帽子に水色の髪の賢者、セージ。
青いバンダナに銀の髪のトレジャーハンター、ロック。
今まさに剣を交えんとする彼らの目的は、その実同じ、殺し合いを強いる魔女への叛意。
歯車さえかみ合ったなら、仲間となることも出来ただろう。
――それを知るのは、現実には存在し得ない盗賊だけだったが。
「ピオリム!」
セージの中に居る『フルート』の人格が、落ちた速度を補うべく倍速の呪文を再び唱える。
同時に表に出ている『アルス』の人格が、陸奥守を振りかざし間合いを詰める。
常人には不可能であるはずの二回行動、けれどロックはうろたえない。
ロック自身も魔石を用い、時空魔法の最高峰であるクイックを習得している身だ。
『賢者という職に就く者は魔法を極めている』という知識もある。
多重人格という異常こそ見破れずとも、連続行動それ自体は予測の範疇。
真に警戒すべきは、そこから派生する戦術の方だ。
そう考え、魔法を詠唱していたロックは、あえて身を躱さずににクリスタルソードを構える。
手傷を負うことになったとしても、一刻も早く魔法を完成させるためだ。
「リフレク!」
あらゆる魔法を反射する光の壁が、ロックの眼前に出現する。
「うおおおおおおおおおお!」
一拍遅れて『アルス』の叫びが轟き、踏み込みと同時にすらりと伸びた刀身が振り下ろされる。
脳天を狙う剣閃に、ロックは
「ふっ!」
と短い雄叫びを上げ、腰を落としながらクリスタルソードを跳ね上げた。
ギィン、と澄んだ金属音が周囲に響き渡る。
「ぐぅううううううううッ!」
セージの体を動かすアルスの人格は、ぎりぎりと歯噛みをしながらも、両腕に力を込める。
それでも所詮は非力な賢者の肉体だ。いくら扱い慣れぬ騎士剣を握っているといえど、腕力の絶対量が違う。
ロックが打ち負ける道理はない――はずだった。
「――バイキルト」
「ッ!?」
急激にセージの腕力が増す。
分裂した精神の影に隠れた『セージ』本来の人格が、攻撃力を倍加する呪文を唱えたのだ。
あらゆる悪を断罪する勇者アルスの剛剣を再現するために。
「くっ!」
このままでは押し切られると判断したロックは、素早く手首をひねり剣を傾ける。
力の流れを変えられた薄刃は、つややかな水晶の表面を滑り落ち、勢いが余ったのか草を薙ぎ祓いながら地面に突き刺さった。
その機を逃さず、ロックは飛び退いて距離を取る。
「チッ……フルート、セージ、援護を!
ピオリム! スカラ!」
セージは舌打ちをしながら、傍から見ればわけのわからぬ一人芝居を繰り広げる。
だが言動はともあれ、その作戦は理にかなったものだ。
壁状に広がった光を見てマホカンタと同義の呪文と判断し、『アルス』による接近戦を軸にするため、速度と防御を上げる。
見よう見真似の拙い剣術であっても、パワーとスピードを兼ね備えていれば十分な脅威となる――
それはロックも知悉していることだ。
ギードがかけたスロウの効果も、上昇補正に相殺され、失われつつある。
なればこそ、ロックが取る戦術は一つ。
魔法で強化するというのなら、その魔法を解除してしまえばいい。
「デスペル!」
波動がセージの体を包み込み、重ねがけされた呪文の効果を全て消し去る。
「なっ……凍てつく波動だと!?」
彼の世界では大魔王にしか出来なかった所業を、こうもあっさりと使われては、『アルス』といえど動揺を隠せない。
そしてその隙を見逃さず、ロックは次の魔法を唱えながら距離を取る。
「くっ!」
『アルス』の人格はおろか、『セージ』の知識をもってしても、ロックが使う魔法系統とその効力を見破ることはできない。
世界が異なる以上当然の話なのだが……相手の行動が予測できないという事が、戦闘時において、それがどれだけ不利か。
それだけは『アルス』にも理解できる。
虚構の勇者は苦し紛れにナイフを投げ、ロックの動きを牽制しようとする。
だが本来接近戦を得意とするロックにとって、狙いの甘い一投など簡単に撃ち落とせるものだった。
「ピオリム〜!!」
わずかに遅れて『フルート』の呪文が完成するが、それが効果を発揮するよりも早く、
「ストップ!!」
ロックが紡ぎ上げた時間停止魔法が、セージの体を絡め取らんとする。
しかし賢者として神に選ばれたほどの男が、他人の呪力になすすべもなく縛られるはずもない。
「はぁっ!」
戸惑う『アルス』を押しのけた『セージ』は、タイミングを見計らい、気合と共に僅かな魔力を放出する。
術式の完成そのものを阻むことで、ストップをレジストしたのだ。
物理的な回避行動や魔法発動後の効果抵抗とは異なり、そこには一切の隙が存在しない。
「『アルス』を傷つけさせはしない……」
体勢を崩さぬまま、『セージ』はロックをねめつけ――すぐに『アルス』に交代する。
「『セージ』のためにも、勇者の力、見せてやる!」
己が虚構の存在であることに未だ気付かぬ幻想の勇者は、敵を切り伏せんと大地を蹴る。
「くそっ、わけわかんねーことばっか言いやがって!」
ロックはバックステップで距離を取りながら、苛立ち交じりの愚痴をこぼす。
伸びた草に隠れてはいるが、その脇腹と左足からはじわじわと血が滲み出していた。
この世界において、回復魔法の効力は大きく制限されている。
いかに卓越した魔力を持つギードがケアルガを唱えたところで、これほど派手に動けば、傷口が開くのも当然だ。
(少し早いけど、潮時か……?)
放送まで休息を取っていたとはいえ、ロックは城から吹き飛ばされた時に、クイックを唱えてしまっている。
さらにリフレク・デスペル・ストップと、中位から高位の魔法を連発している。
このまま消耗戦にもつれこんでしまえば、逃げ出す事も難しくなるだろう。
ロックはとび色の瞳で周囲を見回す。
ギードの姿はもう見当たらない。
鈍重そうな外見で老齢であるとはいえ、大人をかついで若者に歩調を合わせるぐらいの能力を持っているのだ。
稼いだ時間は数分程だが――
(こいつもこんだけ魔法を連発してるんだ。
疲れてきてるはずだし、そう簡単にギードには追いつけないだろ!)
そう判断し、ロックは痛みをこらえながら、魔力を振り絞り詠唱を始めた。
だが――ロックは重要な点を見落としていた。
似たような効果の魔法であっても、魔力消費が同じとは限らないのだ。
「ピオリム! ……バイキルト!」
素早さを引き上げるピオリムに、攻撃力を倍加するバイキルト。
ロックの世界においては、上級魔法であるヘイスガやブレイブに準ずる効果であっても――
セージにとって前者は低位の僧侶呪文であり、後者は中級の魔法使い呪文に過ぎない。
ましてそれらを行使しているのは魔法使いから賢者の道を歩んだ男なのだ。
連発しても消耗は微々たるものだし、例えあと数回打ち消されたところで、その都度唱え直す余裕さえ残っている。
「観念しろ、魔女の手先ッ!」
積み重ねたピオリムによって、ロックとセージの速度はまたもや逆転している。
矢のように奔る『アルス』の剣が間合いに入るまで時間は要らない。
横に薙いだ刃がロックの服もろとも腹の皮を切り裂く。
致命傷には程遠い一撃だが、次に放つ攻撃は確実にロックの急所を捕え、命を狩りうるものになっただろう。
――『アルス』が本物のアルスであったならば、だが。
カタナは刀身が細く、薄く、反身で片刃という特徴を持つが故に、扱いがきわめて難しい武器の一つだ。
最上級の業物である陸奥守といえど、例外ではない。
それでも勇者アルスであれば、かろうじて使いこなせただろう。
ジパング生まれの鍛冶師が鍛え上げた王者の剣は、直刀両刃といえ、カタナに通じるバランスを持っているからだ。
けれど、セージは決してアルスではない。
王者の剣を持つ資格などなく、そもそも剣の戦闘を好まなかった彼が、この日初めて持ったカタナを――
陸奥守をまともに使えるわけがない。
不慣れで未熟な者が、"手を返し、流れるように切り付ける"といった侍の所作など出来はしない。
故に、ロックを斬るために、セージは剣を構え直さねばならなかった。
真の勇者ではないが故に必要となってしまった、その無駄な動きが、ロックの命を繋ぐ時間を生む。
「ストップ!」
それが先ほどの魔法だと気付いた『アルス』は、今度は自発的に『セージ』に交代する。
『セージ』もまた当然身構え、打ち消しに挑む。
だが。
(……?)
『セージ』はすぐに異変に気付いた。
発動したはずの、すぐに自分を襲ってくるはずの魔力が、一切感じられないのだ。
一体、何故?
理解できないという焦りと困惑が、『セージ』の思考を混乱させる。
そして、それを見計らったかのように――突如発生した時間停止の縄がセージを縛り上げた!
「!!」
抵抗しようとしたところで、最早間に合わない。
止まった時に捕らわれて、セージの動きが凍りつく。
「へへっ……上手くいったぜ」
ロックはニヤリと笑いながら、腹を押さえ、走り出した。
ロックが仕掛けたのは、俗に言うデルタアタック戦法。
リフレクをかけた自分自身に魔法を唱え、反射した魔法を相手にぶつけたのだ。
これは本来"一度反射した魔法が反射されないことを利用し、相手のリフレクを貫通するためのテクニック"である。
しかしセージが使ったレジスト方法は、魔法発動時にタイミングを合わせて打ち消すという技術だった。
ならば逆に、"魔法発動のタイミングをずらせばセージのレジストを無効化できるはずだ"と、ロックは読んだのだ。
そして、ギャンブルのごとき試みは見事に成功した。
上手くいけば一分近く、セージの認識と行動を止める事ができるだろう。
(――けど、な)
ロックの脳裏を過ぎった楽観的な希望を、左足の痛みが打ち砕く。
与えられたわずかな時間で、セージから完全に逃げ切った上でギードと合流できるだろうか?
自問自答してみたところで『NO』という言葉しか出てこない。
ギードが逃げた方角はセージも知っている。
それにストップで時間を止めたといっても、既にかかっている強化魔法を解除したわけではない。
むしろ速度を上げられていた分、ストップの効果そのものも相応に短くなってしまうはずだ。
「うーん……やっぱ、仕方ねえか」
ロックは一人ごちながら、進路を南へと変えた。
ギードとは全く違う方向に逃げれば、セージがどちらを追うかで悩んだり、ギードを諦めてロックを追ってくる可能性が生まれる。
そうなればギードが無事でいる確率はぐんと上がる。
また、『即座にストップが解けて迷いなくロックを追われる』という状況にさえならなければ、ロックも逃げ切れる自信があった。
地形的には一本道の袋小路であるが、何せこの世界は背丈の高い茂みだらけだ。
血痕を残さないよう、必要以上に草を踏みしだかないように気を付ければ、環境に紛れて潜伏することも難しくない。
(俺だって何も知らずに死ぬのはごめんなんだ。
追ってくるのは歓迎するけど、絶対に振り切ってやるぜ!)
仲間のため。無駄に自分の命を捨てぬため。
そして何より、生き抜いて真実を見つけるという己が目的のために。
苦痛を堪え、ロックは闇の世界を走り抜ける――
【ロック (HP7/8、MP2/3、左足負傷、軽度の疲労)
所持品:キューソネコカミ クリスタルソード 魔石バハムート、皆伝の証、かわのたて
死者の指輪、レッドキャップ、ファイアビュート、2000ギル
デスキャッスルの見取り図
第一行動方針:セージから逃げ切る
第二行動方針:ギード、リルム達と合流する/ケフカを警戒
基本行動方針:生き抜いて、このゲームの目的を知る】
【現在位置:デスキャッスル南西の茂み(分かれ道のあたり)→南へ移動】
「くそっ……!」
セージのストップが解けたのは、およそ40秒後だった。
当然ながら、ロックの姿は既に見当たらない。
さらに補足すれば、彼の認識は魔法に捕らわれた時点で途切れているため、
一体何分間動きを止められていたのかすら判別できない。
落ち着いて冷静に耳を澄ませれば、逃げ行くロックの足音を聞き分けることもできたかもしれないが……
そんな精神的余裕は、彼には無かった。
「くそっ、くそっくそっ!
魔女の手先が、卑怯な真似をッ!」
(………)
歯噛みする『アルス』――
その陰で、セージの中に未だ残る人格『ローグ』は、ロックの事を思い返していた。
己が半身達が散々殺意を向けていても、とび色の目に敵意が宿ることはついぞなかった。
あくまでもセージを殺める気は無く、先にこの場を離れた同行者が無事に逃げ延びるまでの時間稼ぎに徹する。
そんな彼と、今のセージ。
『勇者の仲間』に相応しいのがどちらかなど、問うまでもない。
(……いっそ、殺してくれりゃいいんだ)
『ローグ』の呪詛は、誰にも伝わらない。
正気の断片である彼の言葉は良心の呵責に他ならないというのに、半身達は誰も耳を傾けない。
(それもそうだろうな)
と、『ローグ』は自嘲する。
そうしたところで何も解決できないとわかっていても、そうすることしか出来ないのだ。
昼間に見た夢――死してなおセージの心を守ろうとしたギルダーとビアンカの願いも、届かなかった。
ギルダーを、ビアンカを、ジタンを、タバサを、共に過ごした時間はおろか出会った事すら忘れ。
本物のローグを、本物のフルートを、本物のアルスを、生きていると思い込むために、『別人格』という形で偽物を作り上げて。
そして襲ってきたという理由でフィンを、魔物と同行していたという理由でプサンの仲間であろうロックを殺す。
誰も守れなかった無力な自分を、縋る相手すら居ない孤独な自分を否定するために、過去を知る者を消す。
この世界には全てを見守る精霊神は居らず、死者を甦らせる呪文も意味をなさない。
街も城も大地さえもたった一日で跡形もなく壊れ、死体すら残らない。
こんな状況で現実を定義できるのは、生存者の言葉だけだ。
そう、極論すれば――
"セージ以外の語り部がいなくければ、セージが信じる現実こそがただ一つの真実だ"。
そして遠からず、『アルス』と『セージ』はその歪んだ結論に行きつくだろう。
"魔女の手先を倒す正義の勇者一行"という名目で、己を正当化しながら。
(……どうしようもねえよ)
『ローグ』は首を横に振り、ゆっくりと目を閉じた。
他の『偽りの仲間』と異なり、ただ一人彼だけはセージが経験した全ての記憶を保持している。
セージにとって、極めて都合が悪い現実を知っている。
それ故に"遅かれ早かれ自分は消されるだろう"という確信があった。
それを為すのが『セージ』か『アルス』か『フルート』か、別の代替人格かはわからないが。
(なんでこうなっちまったんだろうな……)
『ローグ』が考えたところで、答えなど見つからない。
――もしも彼に相談相手が居れば。
そしてその相談相手が【闇】とかつての魔女の目的を知っていたならば、話は別だっただろうが。
【闇】。それはこの殺し合いの世界に溢れる不可視のエナジー。
死者の無念と魔女の思念が生み出した不純物。
セージも、彼の中にいる『アルス』と『フルート』の人格も、
最も正気に近い『ローグ』でさえも気付いていないが、それは確かに存在している。
弱き心を穢し、侵す、猛毒として。
"自分以外の全存在を時間圧縮によって否定することで、忌まわしき過去と運命を消し去る"
それが魔女アルティミシアが長年抱いていた目的だった。
黒いクリスタルによって復活し、仮面の男との記憶を取り戻したところで、死の運命もろとも世界を拒んだ感情は消えない。
漏れ出てた憎しみは魂の残滓と結びつき、【闇】となり、そして今セージの身体と精神を蝕んでいる。
常軌を逸した現実逃避と、そこから生じた異常な攻撃性は、その結果だ。
決して、セージという男に元から狂人となる素質があったわけではない。
けれど『ローグ』には、そんな外部要因があることなど知る由もない。
ただ仲間の死と己が無力さに打ちひしがれ、一人で気が触れた挙句、
悪人どころか罪なき人間まで身勝手極まりない理由で殺そうとしているようにしか見えない。
それなのに、そんな救いようのない愚者が自分自身であるということだけは認識してしまっている――
(俺は……何のためにここにいるんだ……)
せめて『セージ』の足を引っ張ってロックに有利になるように立ち回ることができたなら、ここまで無力感に襲われることもなかっただろう。
だが、そんな真似さえできなかった。
二度目のストップが通じたのは、ロックの小細工があったからこそ。
"自分が唱えた呪文は反射できない"マホカンタと、"自分が唱えた呪文を敵に向けて反射できる"リフレクの差が、セージの認識を潜り抜けた結果だ。
ロックが何の工夫もしなければ、『ローグ』の願いなど顧みられることもなく――セージは、確実に相手を殺していたのだ。
(もう、救われなくてもいい……
だから誰か、俺達を――……俺を、殺してくれ……)
セージという男に残された無力な良心の嘆願は、しかし、誰に聞き入られることもない。
彼自身たる欠片達にさえも。
【セージ(MP1/2、多重人格)
所持品:ハリセン、ナイフ、ギルダーの形見の帽子、イエローメガホン
英雄の薬、厚手の鎧、般若の面、釘バット(FF7)、グラディウス、聖なるナイフ、マテリア(かいふく)
陸奥守、マダレムジエン、ボムのたましい
基本行動方針:『アルス』:ロックとギードを殺す/魔物や悪人を倒したい/城へ向かいたい
『ローグ』:セージに死んでほしい
『フルート』:皆と一緒にいたい/城へ向かっているつもり
『セージ』:特にない/『アルス』の意見に従う
最終行動方針:『ローグ以外共通』:みんなと一緒に魔女を討伐する、目の前の状況に対処】
【現在位置:デスキャッスル南西の茂み(分かれ道のあたり)】
うお!?わずか3日で新作が!?乙です!
ロックが予想以上に健闘してるな…まさか魔法でセージを出し抜くとは思わなかったわ
しかし、裏フルート無しだとセージはここにきてガッカリマーダーになりかねんなw
乙です乙です!ラッシュ期到来か?
いろんな設定が存分かつ細やかに活かされていて、短い場面ながら濃密な話だった。
ロックは南に向かったってことは、南西の祠組に合流かな?(誰かが空から降ってこなければ)
もうどうしようもない所まで崩壊してしまったセージが、いまだにギルダーの帽子とかハリセンとか持ってるのがなんか泣ける
乙
ドラクエモンスターズスーパーライトの招待コードです!
招待コード入力で最高ランクのssゲット!!!!
招待コード w573VLs8
乙
班長の胃が痛くなりそうな展開が続く……
乙です
班長の場合は眉間の皺が増えそうだ
ゲーム的な事は置いといてロックは遊撃や撹乱ポジションが活きるからな
流石盗トレジャーハンター
乙〜
乙です
乙
乙です
どっかんどかーん、またどっかーん。
真っ暗な空から暗黒塊が雨あられと降り注ぎ、中々ユカイな音を立てています。
私は城の外――と言っても外門を出ていないので、厳密に言えば敷地の中ですが――で、
下に落ちるばかりの汚い花火を、一人優雅に眺めておりました。
えっ? なんで城内に逃げこんだはずなのに、外に居るのかって?
なにをおっしゃるウサギさん。
ぼくちんはさいしょからおそとにイマシタワー。
……まさか、マサカ、まーさーかー、ですよ?
この俺様ともあろうものが!
スタコラサッサと城の中に逃げ込んで探し物をしようとした矢先に、すんげー音がしたから慌ててテレポで飛び出したなんて……
そーんなサンシタっぽいことするワケがナイ! ナイない!
――ナーイったら、ないの!
良い子なら私の言う事は信じなさい!
イワシの頭も信心からっていうでしょ!
そう、ぼくちんはイワシ……じゃなくって神なのだ!
神の言う事は絶対なのだー! わかったな!
しかし、それにしても……
これほど見境のない破壊魔法、いったい誰の仕業なのでしょうか?
パッと見メテオにそっくりだけど、隕石や宇宙空間を召喚しているようでも無いし……
実に俺様好みだ!
――が、身の程とTPOを弁えていただきたいものです。
まあ、幸いというべきか胸糞悪いというべきか、堅物ピサロの居城なだけあって完全崩壊とはいかないようですね。
ぼくちんのだーいじな進化の秘法が部屋ごと破壊されちゃったらヒジョーに悲しいので、今回ばかりは残念だなんて言えません。
あー残念残念。
ついでに言えば、私の了解もなくこんな品も計画性もない破壊をまき散らすヤツのおつむも、相当残念なんだじょ。
後先を考えない人間など、存在するだけで非常に迷惑なので、さっさと消えていただきたいですね。
え、私?
俺様はホレ、人間という矮小な存在を超えた魔導師にして神ですので。
そして神たるぼくちんに内緒でこんな大技隠し持ってるなんて、とってもいけないんだぁー!
言ーってやーろー言ってやろー、せんせーに言ってやろー。
こんな隠し事してぼくちんの大事なものを勝手に壊す悪い子は、バケツ持って溶岩ダイブの刑だ!
寂しくないようガイド人形ちゃんもつけてあげるから、コンガリテンプラになるまで揚がってきなさァい!
アーヒャヒャヒャ!
……あー、ツマラン。
たまには真面目にやりましょうか。
生真面目なヤツには反吐が出るけど、シリアスな雰囲気はそこまで嫌いではありません。
ぼくちんの神オーラを引き立てる、良いスパイスですからねぇ。
だから他の雑魚どもはギャグ空間に巻き込まれて面白おかしく死ねばいいんだじょー。
あっ、でもギャグ世界の住人になると何度死んでも翌週には復活してしまうのでわ……
……スミマセン、やっぱりシリアスに死んでいいです。
1話に1人ぐらいのペースでサクサク死ぬと、読者もダレないからオススメですよォ!
そういうわけで、ぼくちんはシリアスな雰囲気を作るべく、手元のレーダーに視線を移して光点を確認しました。
一つ、二つ、三つ、四つ。
なんだかこの城に来た時よりも少なくなっていますが、きっと二人ぐらい、私が唱えた魔法でバイバイキーンと吹っ飛ばされたのでしょう。
――と、そんなことを考えた矢先に、点の一つが高速でバイバイキーンと離脱していきます。
思わず空を見上げてみたけど、もうお星様は見えません。
いったい誰が飛んで行ったのか。
自力で逃げたのか、強制転移の類なのか。
知る術はないですけど、こんなの考えるまでもないですね。
マジギレしてるユウナちゃんが、今更特定の個人をターゲットにするとは思えない。
カッパになってるセフィロス君は、魔法もアビリティも使えない。
そしてソロとかいうパセリ頭の小僧と、アジの干物より干物みたいなジジイは、ユウナを助けようとか考えちゃう筋金入りのBAKA。
ここからまず、見境なくメテオもどきを唱えたのはユウナだと断定できる。
そしてこの状況で逃げる、あるいは吹き飛ばされるとすれば……
それは無力で無能でガキとジジイに保護されるのがお似合いのカッパか、
ここに存在するだけで被害を拡大する、無脳だけど有能なユウナのどちらか。
そして今、不自然なほど静かになったことを加味すれヴぁー!!
吹っ飛ばされたのもユウナで決定なのだー!
こーんなコト、指一本で逆立ちして足でラクガキしながらだって、0.00001秒でわかりますよん。
ほーれほれほれ、褒め称えろ!
そういうワケで。
シロート目には危険に見えても、案外今は再潜入のチャンス! ……だと信じたいでちゅ。
これ以上城がぶっ壊れる前に、進化の秘法の手掛かりを掴まなければいーけませェん!
あの銀髪でカッコツケでロザぴぃロザぴぃうるちゃい、コミュ障のくせに恋愛脳な魔王ゆかりの地なんて、
そうそう都合よく転がってるワケはないんですからね!
……それに、だ。
セフィロスが体勢を立て直し、こちらの目的に気付く前に、事を済ませるべきだろう。
カッパになって尚、奴には手駒を作るという発想力も、人の魔法を発動前に封じるという行動力もあるチート野郎だ。
下手に時間を与えてしまえば、俺様の意図を察して先に進化の秘法の資料を見つけ出し、破壊しかねない。
ぼくちん、壊す事は大好きですし、ぼくちん好みのお人形ちゃんや塔を作ることも好きです、が!!
自分の怪我以外の物を直すことだけは、大・ダイ・だーーーいッきらい! です!
ましてやあのピサロが用意してセフィロスくんにぶっ壊されたものなんて、……キーッ!
ちまちま治すところ想像しただけで、ジンマシンがぶわーってなっちゃったじゃないですか!
あー、カユイカユイ!
もうイヤ、シンジランナーイ!
……ぜーはー、ぜーはー。
と、とにかく、奴が変なことやりだす前に、資料を探した方がいいじょ。
気を取り直したぼくちんは、再び勇気を振り絞り、決死の潜入行へ挑みます。
まあ、目的地が破壊されることはあっても、目的地が大幅に動くことは有り得ませんからね。
ここは騒がず焦らず、例の部屋に繋がっているであろうバルコニーに向かいましょう。
ホントは中から回り込めればいいんだけど……
上の階を経由しなきゃいけない構造になってた場合が、ね。
当の『上の階』が、ポポポポーンと吹っ飛んじゃったから、ね。
たのし〜いハカイ〜でポポポポーンと。
誰だこんなことしたやつは! 謝罪と賠償を求めて……あっ、ぼくちんでした。
せちがらい世の中だけど、ツマラン昔の事はスパッと忘れてしまう方が、ストレスもたまらないし長生きできるってものです。
そんなわけで、まずは二階のバルコニーに向かいましょう。
私は軽快なステップを踏みながらボロっちくなった扉をくぐり、城内に侵入します。
天井からパラパラと細かい砂塵が降っていることを除けば、さっきと大して変わりません。
ですが――
神という私の眼は、ポツンと存在する、不自然に砂塵が積もっていない床を見逃しませんでした。
「ふむ、これはこれは……またツマランもん作りましたねえ」
ひょいひょいと近寄ってみると、そこにあったのは血で描かれた魔法陣。
どうやら防御結界のようです。
こんな地味なモン作るのは、ロザリーちゃんぐらいなものですね。
最初に城に入った時、ぼくちんが気付かなかったことを考えると、それなりに前に出て行ったんでしょうか。
あー、モッタイナイモッタイナイ!
城に残っててくれりゃ、カッパの押し寿司ジジイの干物とパセリ添えに、デザートのネコ娘せんべいがついてたのに。
まあいいや。
ロザリーのことは後回し、後回し。
進化の秘法の資料を見つけつつ、セフィロスくんをカッパエビせんにする方が圧倒的に先決ですことよ!
ついでに偽善者ぶってる奴ら二人も間引いておきましょうねー。
――え? 厚化粧の喪魔女オバさんを殺すための戦力は、どうするのかって?
そんなの南西にいる三人と、南東にいる連中をこき使えばいいだけですよ。
南東組の構成はわかりませんが、『死んだはずの二人』を匿う必要がある以上、そこそこの人数がいるはずです。
少なくとも、前日にスコールと同行していたマッシュは一緒に居るでしょうねえ。
それからロックやソロを除いた、ピサロとリュックちゃんの仲間――
現在も生きている可能性があるのは、ヘンリーとバッツ、だったかな?
そいつらを含めると、男手五人分は保障されていると判断できる。
合計で8人、魔女にぶつける鉄砲玉としては十分だろう。
万が一撃ち漏らしたとしても、進化の秘法を手に入れてアルティメット神イングになった俺様なら
態度がデカいBBAなど、指先一つでダウンさせられるに決まってるのだー!
よって、今更ソロくんもジジイもいりませんえーん。
資料確保したら、カッパくんと一緒にプチっと殺っちゃいましょ。
――えっ? 資料探しに手間取って逃げられたらどうするのかって?
さっきから細かい事ばっかり気にしますねェ。
そんなんだからハゲるんだよ、ハゲ。
……まあ、そうなってしまったら、「セフィロス君を殺すため手段を選んでいられなかった」って言うだけですね。
実際、そうでしょ?
そこらの雑魚どもが、カッパじゃないセフィロス君を真っ向から殺すとなれば、死亡者続出のザックザクですよ。
例えば――そうですねェ、一人がタイマン挑んで殺されて、一人がおびき寄せて殺されて、
一人が特攻して殺されて、一人が回復で力尽きて死んで、一人が普通に戦って殺されて、
あとは……最後に後ろから羽交い絞めにして「俺ごと止めをさせー」って展開になるかナ?
そーんな感じで犠牲者タップリ出して、さんざんお涙ちょーだいした挙句、やっとこさっとこ勝つような相手でしょ。
ホントーはね。
でも、そ・れ・が!
ぼくちんの大魔法でぶっ殺すことが出来れば、被害は運悪く巻き込まれただけの雑魚どもの命だけで済むんです!
今だけお得なバリューセット! ヤスイヤスイ、実際ヤスイ!
さあさ、みなさんご一緒にどーぞ!
3・2・1、で、シンジランナーイ!
アーヒャヒャヒャヒャヒャ! アーーヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!
――つまらん。
戯言もここまでにしておきましょうか。
第一目標はあくまでも資料の捜索と入手、これは動きません。
ですが、セフィロスは確実に殺す必要があるのも事実。
進化の秘法の入手、魔女にぶつける生存者の確保、それらの邪魔しかしないゴミ以下の生ゴミを生かす理由はない。
それとは別に、レオの奴を思い出しそうになるソロや、ウザったいジジイも要らにゃい。
可能であるならば、三人ともここで始末しておきたい!!
これもまた、まっこと心からの本心なのです。
しかし、私の魔力も無限ではありません。
逃走経路や移動手段として、テレポ用の魔力を温存する必要もあります。
となると、魔力を回復しない限り、使える魔法はあと一発が限度です。
それも、ソウルオブサマサを外した状態で唱える必要がありますね。
もちろんぼくちんには山彦の帽子があるから、実質二発撃てることになるけど……
視界外の相手にも効果的な魔法となると、クエイクとトルネドぐらい。
クエイクはさっき使ったばっかりだし、トルネドはそもそも対象を絶対に殺さない攻撃魔法です。
悲しいけど、これ、現実なのよね。
それに――屋上に残っていたユウナ・ソロ・ジジイは、確実にホーリーの直撃を喰らっているはずだ。
なのに、ぼくちんがレーダーを確認した時、セフィロスともどもケッコー動き回っていたように見えた。
どう考えても、誰かが『魔法の被害を防ぐアビリティ』を持っているとしか思えない。
城はかなり吹っ飛んだ点を踏まえると、魔封剣のようなものではなく、対人レベルの防御に留まるのだろうが。
そしてユウナが吹っ飛んでいったことを考えると、ソロかジジイがアビリティの持ち主なんだろう、……
――ムッキーー!
ウザイ、ウザウザウザァァーーーイ!!
邪魔くさい! 青臭い! セリフもクサーーーイ!
あの小僧、パセリじゃなくてセロリか! あのジジイ、干物は干物でもクサヤか!
シュールストレミングが手元にあれば頭からぶっかけて殺してやるのにーーー!
ぢくじょー、ぢくぢくぢっぐじょー!!
あいつらなんか大っ嫌いだー!
ケバイババアのクッサイ化粧にまみれて死んじまえー!!
……ふぅ。
どうしたもんでしょうかね。
直接奴らを狙うより、搦め手を使う方が良いんでしょうか?
例えば城を本格的にぶっ壊して、生き埋めにして、その時点で殺せなくとも旅の扉だけは潜れないようにするとか――
……ただ、城を破壊する場合、それをやる前にやっぱり資料を回収しなければいけません。
となるとトーゼン、その前に奴らが城から逃げちゃう可能性があるわけで……
うーん。めんどクサァ〜〜〜イ。
しかし真の天才であるぼくちんは、文句を言っても始まらないという事を知っています。
資料を回収し終わって、それでもまだこのレーダーに奴らが映っていたら――
その時に、どんな魔法をプレゼントするか、じっくり考えると致しましょう。
クルクル〜と回りながら階段を上ったぼくちんは、とうとうバルコニーに辿り着きました。
ところどころに生じていた亀裂を、ほっぷ・すてっぷ・かーるいす!と華麗なトリプルアクセルで飛び越え、
対岸のバルコニーが見える位置までやってきます。
崩落や倒れた柱なんかで通行不能になってたら困っていたところですが、そんな事はマッタクありませんでした。
やっぱり進化の秘法を手に入れるというフラグがある以上、世界が空気を読んだようです。
まあぼくちんは神だからトーゼンなんですがね!
アヒャヒャヒャヒャヒャ!
……とまあ、大声で笑いたいんだけど、がまんして口パクにしておきます。パクパクパクパク。
ついでにテレポも小声で唱えて、さっさと対岸のバルコニーに渡りました。
そして辺りを見回し、城内への入り口を見つけたぼくちんは、無駄のない無駄な動きでカササササと高速移動します。
念のためにレーダー画面を確認してみましたが、光点が動く様子はありません。
これはもしかして、全☆滅ゥ!
……しててくれるなら、気分爽快なんですけどね。
大方、気絶してるだけか、治療中ってところでしょう。
ぼくちん、『楽してズルしていただきかしら!』が座右の銘だけど、くぉ〜〜んな状況で楽観視できるほどノーテンキじゃありましぇん。
それに、進化の秘法ちゃんが『はやくきて〜はやくきて〜』って嘆いているでしょうからね。
カカッと急遽参戦して、『メイン使い手きた!』と安心させてあげるのが、ナイスガイな私の役目なのですよ!
ひゃひゃひゃひゃひゃ!
――……と、まあ、こういうわけで高らかに笑いながら通路を走り、部屋という部屋を覗いてみたのです、が。
が。
「……どぼじよお」
ぼくちん、思わずため息をついてしまいました。
別に、私の華麗な推理が外れていたわけではありません。
この一帯は、明らかに何らかの研究を行うための施設群です。
瓦礫で潰されたガラクタの山でいっぱいの物置。
殆どの棚が倒れ、本が散乱した書庫。
ご丁寧に、紙と壁の両方にピサロ本人の書置きが残っている、床に器具や机や椅子や標本がコロコロ転がってる研究室。
このように、整理整頓という言葉を真っ向から否定し冒涜する、眼前に広がるゴミ屋敷の汚部屋っぷりに、
繊細極まりないぼくちんは強いショックを受けてしまったのです。
――え?
どう見てもぼくちんが唱えたクエイクのせい?
……う、うるさいうるさいうるちゃーーーい!!
なんでもかんでもぼくちんのせいにしやがって!!
そんな風に正義ぶってカッコツケてるやつは大・大・ダーイキラいだ!
反省したらぼくちんのためにこの部屋を片付けてクツを綺麗にしろ!
ホレ! ホレ!! ホレホレホーーーレぃ!!
……アッハイ。
ここに居るの、ぼくちんだけですよね。知ってます。
「ほんとにほんとに、どぼちましょ」
こんだけグッチャグチャになった部屋から、有用な資料を見つけるだなど……面倒くさすぎて死んじゃうじょ。
ピサロの残した文章も、壁にあるものは、ザンデが見つけた脱出方法の一部を説明したものにすぎない。
紙の方も、殆どが首輪の解除や脱出方法に関する筆談だ。
ただ、拾い集めて軽く目を通してみたが、どうも話題が二つに分かれている。
ピサロが書いたと思われるメモに対し、会話として話が成り立つメモをピックアップしてみる。
筆者は一人。不自然に崩れた汚い字で、ところどころ落書きがあった。
……とまあ、引っ張りましたが、ぶっちゃけアーヴァインくんですよね。この字。
手帳に認めてあった遺書とパーペキおんなじ字体ですし。
話の内容からして、先にピサロとアーヴァインが会話をし、
その後にやってきた何者かが、二人の書置きを見て脱出方法を考察していた、ってところでしょう。
結局のところ、どいつもこいつも『進化の秘法』の手掛かりにはなり得ません。
あえて言うなら、ピサロとアーヴァイン君が口頭で話していたダミーの話題が『進化の秘法』……ってことはないですかね?
ないですか。ないですね。
スミマセン。
ただ……アーヴァイン君みたいな凡人が『100%ウソだと言ってほしくなる話題』というのは、ちょっぴり気になります。
それにピサロのやつのテノヒラクルーっぷりも気にかかる。
『人殺しだから殺しておけ』とか言った相手と、こんなに仲良くお話してるなんて、イカにもオカシイじゃないか!
繋がってるとは思われない相手だからこそ、重要な情報を流した――なーんて可能性もあります。
もちろんユウナちゃん級に頭のおかしい奴だったら『なーんて、ンなワケあるかー!』と断言できるんですが……
アーヴァインくんの場合、言わばステルス対主催という立ち位置のようですからねぇ。
セフィロスくんをぶっ殺したら、本腰入れてアーヴァイン君の精神を弄ってみるのもアリかもしれません。
けど――記憶を破壊せずに人格だけをぶっ壊して支配下に置くってのも、中々難しいんですよね。
ぼくちん渾身の自信作だった操りの輪も、記憶喪失という副作用が残ってしまいましたし……
進化の秘法のついでに、そういう精神操作系魔術の資料も転がってるとぼくちんウ・レ・P! いんですが。
でも、そこまで期待するのは無駄とか無駄じゃないとか以前に――
ここを片付けながら探していかないと、あるかどうかすらわかりませんよね。
「めんどくさーい……お前らてつだえー!」
なーんて言っても、周りは誰もいません。
私は肩を落としながら、資料探しという地味ィーーな仕事を始めます。
全国七十億人のケフカファンの皆さん!
可哀想なぼくちんを、てつだってチョーダイな! ……ヨヨヨ。
【ケフカ (MP:1/9)
所持品:ソウルオブサマサ 魔晄銃 魔法の法衣 アリーナ2の首輪
やまびこの帽子、ラミアの竪琴、対人レーダー、拡声器
リュックの支給品袋(刃の鎧、チキンナイフ、首輪×2、ドライバーに改造した聖なる矢×3)
サイファーの支給品袋(ケフカのメモ)
レオの支給品袋(アルテマソード 鉄の盾 果物ナイフ 君主の聖衣 鍛冶セット 光の鎧)
第一行動方針:部屋を探索し、進化の秘法に関する資料や役立ちそうな資料を手に入れる
第二行動方針:セフィロス・ユウナ・ソロ・クリムトを初めとする、邪魔な人間を殺す
第三行動方針:アーヴァイン達に首輪を解除させる
第三行動方針:「できるだけ楽に殺す方法」を考えつつ全員を殺す
最終行動方針:ゲーム、参加者、主催者、全ての破壊】
【現在位置:デスキャッスル内部・隠し通路内部の一室】
相変わらずケフカはネタまみれだなw
セフィロス討伐部分は1stネタか。懐かしいね。投下GJ!
投下乙! ケフカは毎話見てて楽しいw
乙
311 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/08/14(木) 13:46:48.82 ID:jk3PWNx90
ニコ生ガンダム荒らしのキチガイ、他のゲームでもキチガイとして有名
どちらも同一人物
PSID
Konoha310
Lhasa310
バカッターもあって両方こいつ
ttps://twitter.com/konoha_310 ←ツイートだけ削除
ttps://twitter.com/dought1113 ←削除
春から社会人の大学4年らしいwwwやってることも発言も大学生には思えない嘘乙www
荒らして人のせいにするガンダムゲー好きのキチガイ
尚特にダークソウルでもマナーの悪い事を繰り返し複数のプレイヤーにブロックリストに入れられてる模様
格ゲーやFPSでも暴言煽り放題のキチガイとして話題に、FF14もやってるようだ、この池沼には気をつけろよ
主に184も使う、コテは「このは」か「Konoha310」と残すのが多い馬鹿
ニコID 380943 これもこいつである
支援
お絵かき掲示板見れなくなってる?
なんか「404 Not Found」とか言われるんだけど
支援
保守
賢者とは何か。
七百年の時を生き抜いてきた賢者であるギードは、こう答える。
『賢者』とは、『己が集めた知恵を用いて他者を助ける者である』と。
彼は亀として生まれたが、ただの亀として生きるには賢すぎた。
そしてそれ以上に好奇心が強すぎた。
"鳥や他の獣達は、いったいどんな話をしているのだろうか?"
そんな疑問から彼らの言葉を学び取り、たまたま水辺にやってきた渡り鳥の会話から、世界の広さを教えられた。
"見たことのない世界にはどんなものがあるのだろうか?"
好奇心はすぐに強烈な誘惑へと変わり、ギードは故郷を飛び出した。
そして今とは比べ物にならないほど鈍重だった亀は、すぐに人間達に見つかり、人の世で暮らすようになった。
幸いな事に、ギードを見つけた人間達は、極めて気の良い人物ばかりであった。
半ば戯れではあったが、ギードに食事を与え、世間話を聞かせ、古びた玩具や絵本を与えた。
ギードはすぐに人の言葉を覚え、文章を読み取れるようになった。
小説や叙事詩から始まり、歴史書、学術書、武術書、魔術書……
人の世でなければ決して得られぬ叡智の結晶は、彼を飽きさせる事など無かった。
毎日のように書物を読み、時に内容を実践し、時に新たな発見をし、時に自ら本を書き記し――
そうして二百年の時が過ぎたある日、人間達の間で大きな戦乱が起きた。
数多の命を散らし、夥しい血を流しながら広がる戦火は、ムーアの大森林にまで及んだ。
"ムーアの大森林には自然を司る四つのクリスタルが眠っている"
古文書を読み解き、そのことを知っていたギードは、クリスタルの安否を確かめるために長老の木を訪れた。
そして――運命というべき邂逅を果たした。
生まれ出でたばかりの、"死を超える存在"に。
――広がり続ける戦火が、勇気の心を蛮勇へと変え、意味なき破壊をまき散らす。
――仲間や家族を失う嘆きが、いたわりの心を憎悪や嫉妬で塗りつぶす。
――焼き払われつつある木々は、生という希望の代わりに死を望む絶望を訴える。
――住処を失った動物たちの怨嗟は、元凶を探し求め風に乗ってこだまする。
地水火風のクリスタルが、全て一つ処にあったからこそ。
光の心の裏返しともいうべき【闇】が、世界中の邪悪が、ただ一本の樹に集ってしまった。
その結果、ソレは樹などではなくなった。
ソレは未だ生きている兵士たちを見境なく襲い、喰らい、蹂躙していた。
ギードは己の叡智と力を振り絞り、ソレを封印した。
そして生き延びた兵士や将を助けた後、ギードは"襲いかかってきたモノ"の正体を説き、戦を止めるよう訴えた。
訴えるだけでは足りないと悟れば、戦の原因を聞き、解決方や妥協案を提案し続けた。
やがて彼の努力は実を結び、戦乱は終結を迎えた。
その時から、人々は彼をこう呼び称えるようになったのだ。
『賢者』ギードと。
魔女によって作り出された偽りの地を走り抜けながら、ギードは考える。
『賢者として、己が為さねばならぬことは何であるか』を。
心に過ぎったのは、デスキャッスルに向かい仲間の安否を確かめたいという衝動。
ギード自身は城外まで吹き飛ばされたが、クリムトやソロはまだ城内に残っているかもしれない。
打倒魔女の志を共にする仲間である以上見捨てたくはないし、脱出路を確保するためにも彼らの能力は必要だ。
しかし――
ここで危険だとわかりきっているデスキャッスルに戻っては、セージの足止めを買って出たロックの想いを無駄にする。
そもそもソロやクリムトを見捨てるべきではないというのなら、ロックの事も見捨てるべきではない。
(やはり、向かうべきは南東か……)
南東の祠。
サイファーとリュックの仲間が集い、リルムが保護されている場所。
既にプサンとアンジェロが向かっているとはいえ、道中に殺人者が待ち構えていないとは言い切れない。
万が一の事態に備え、脱出方法を伝えに行くべきだ。
決意を固め、茂みをかき分ける。
やがて木立ちが途切れ、デスキャッスルの影が視界に映った。
不自然に城の上空を覆う雲のような闇――
その理由は一秒もしないうちに判明した。
ぶわり、と旋風が頬を叩く。
思わず目を閉じ、そして開ければ、闇は空一面に広がり、その隙間から真黒き流星雨が降り注ぐ。
遠目からでもそれとわかるほど削り取られていく城塞。
崩れる尖塔。
砂浜に築いた城のように、崩れていくシルエット。
気付けばギードの背筋を、ぬめついた汗が伝い落ちていく。
しかし突如小さな光球が、闇に対抗するかのように天を切り裂き、どこかへと飛んでいった。
やがて破壊の雨はぴたりと消え、音という音が止まる。
ギードはごくり、と唾を飲みこんだ。
誰の仕業かなどわからない。
だが、城を何度も揺るがした大地震<クエイク>、
ギードとロックを城のフロア諸共吹き飛ばした規格外の光条<ホーリー>、
そしてたった今目の前で降った隕石の雨<メテオ>は、いずれも生半可な魔導師が使いこなせるものではない。
賢者ギードの知識を持ってしても、脳裏に浮かぶ、それらを操るに相応しい存在などただ一つ――
"死を超える存在"
"この世の邪悪が集まった一本の樹"
――"暗黒魔導師エクスデス"。
その名を思い出した時、ギードの脳裏に在りし日の光景が過ぎった。
炎に巻かれた森の奥で、歪な人型を取りながら兵士達に襲いかかるエクスデスの姿を。
この世の邪悪に憑りつかれ、樹であることを辞めたものの姿を。
(【闇】……負の思念……憑りつく……
………まさか?)
記憶と単語、かつて起こった現象と眼前で起きた異変。
様々な要素がジグソーパズルのようにかみ合い、一つの仮説を描き出す。
国と国の戦乱と、人と人との殺戮遊戯。
無為な流血の果てに樹に集った【この世の邪悪】と、死者の怨念から生まれ人に憑りつき狂わせる【闇】。
規模こそ異なれどその本質は極めて近しく。
ならば、この殺し合いは――
(『人為的にエクスデスを作り出す儀式』――!?)
蠱毒のように、邪悪を集め。
ただ一人生き残った者が第二のエクスデスとなる。
そうすることにどのような意味や目的があるのかなど、ギードにはわからない。
結果的に似たようなものが生まれてしまうというだけで、魔女の意図ではないという可能性さえもある。
しかし……殺し合いが続けば、ソレは確実に生まれるだろう。
あるいは既に生まれているのかもしれない。
今、城で起きた破壊が、ただ一人の手によって引き起こされたとするならば。
既に【闇】に飲まれ正気すら失ってしまったというアーヴァインか、
サイファーの言を信じるならばティーダを殺めてしまったらしいユウナか、
支離滅裂な言動で先ほど襲いかかってきたセージか、
圧倒的な強さを持ちながらなお力を求め暗躍するセフィロスか、
ギードの与り知らぬ誰かか。
答えなどわからない。
この目で確かめてみなければ。
(……すまぬ、ロック!)
ギードは賢者だ。
七百年の時を生き、五百年前に生まれたばかりのエクスデスを封じ、三十年前にも暁の四戦士に協力しエクスデスと戦った。
そんな彼が考える『賢者』とは、『己が集めた知恵を用いて他者を助ける者である』。
しかし――『賢者ギードとは何を成す者であるか』?
その問いであれば、ギードはこう答えるのだ。
(ワシはエクスデスを封じなければならん!
この世に新しく生まれ出でようとしているならば、尚更に!)
心を奮い立たせた彼は、進路を変えて城へと向かう。
自らの使命を果たさんとする、その歩みに迷いは無く。
その決意に曇りは無かった。
【ギード(HP3/5、残MP1/8)
所持品:首輪
第一行動方針:デスキャッスルに行き、エクスデス(=ホーリーやメテオを使った存在)を倒す
第二行動方針:ソロ達と合流して南東へ向かう
第三行動方針:首輪の研究と脱出方法の実験をする】
【現在位置:デスキャッスル南西の茂みからデスキャッスルへ移動】
賢者とは何か。
若くして賢者という職についた青年・セージは、かつてこう答えた。
『賢者』とは、『神に選ばれし者である』と。
人生は悟りと救いを求める巡礼の旅であるという。
しかしセージ達――勇者アルス一行が赴いた旅路は、己ではなく世界を救済するための魔王討伐。
襲い来る魔物の群れから、魔法使いであるセージを庇う為、仲間達はみな前線に立って戦い続けた。
勇者は剣を薙ぎ、武闘家は拳を振り抜き、盗賊は薬草を配りながらも鞭で敵を牽制し……
彼らが傷ついていく様を間近で見ながらも、セージに出来る事はいつだって『敵を倒す呪文を唱える事』だけ。
仲間を癒すことも出来ない。
仲間を庇うことも出来ない。
せいぜいがスクルトやボミオスでの援護、だがそれらを唱えるのにも時間は必要で、結局仲間達は手傷を負う。
役割分担だとか必要経費といった言葉で割り切ることができれば良かった。
あるいは自らの無力さに気付かないほど愚鈍な人間であったなら、苦悩することも無かっただろう。
けれども生来の"切れ者"であったセージは、無力な自分を許せなかった。
それ故に、
(ダーマで僧侶に転職すれば仲間達を癒す力が手に入る)
そんな考えに行きつくのは当然の流れで。
(でも……僧侶になるってことは魔法使いを辞めるってことだ。
今より高位の呪文は絶対に習得できなくなる……)
そんな恐怖を抱くのも仕方のない話。
夢の為にこのまま仲間を苦難に晒すか。
仲間の為に夢を諦め新たな力を手にするか。
悩んだ末に、セージが選んだのは第三の選択肢だった。
即ち――自分に素質がある事に賭けて、悟りの書を手に入れ賢者になる。
その為に、
『ガルナの塔に挑戦したい』
雲どころか霧を掴むようなセージの申し出を、仲間達は快く受け入れた。
そしてダーマから山を越え、塔を上り、飛龍や魔鳥の襲撃を潜り抜け――
死と隣り合わせの冒険の果てに、ついにセージは念願の悟りの書を見つけ出した。
(これが……悟りの書……!
……でも、本当に僕に読めるんだろうか?)
そんな不安を余所に、勇者アルスが紐を解き、書を広げる。
セージはちらりと背後から覗き込み――
(!!)
びっしりと書き込まれた文字、それらの意味を『理解』できることに気付いた。
一方のアルスはといえば、首を横に振りながら書を閉じる。
そしてセージに手渡そうとしたところで、他の仲間――ローグとフルートが声をかけた。
『記念で良いから見せてくれよ』
『あっ、私もちょっとだけ見てみたいです〜!』
その言葉に応え、セージは二人に悟りの書を渡す。
ローグは興味深げに、フルートはいつもと変わらぬ微笑みを浮かべて、書に目を通し始めたが……
一分ほど経ったところでこう言った。
『めんどくせぇ。やっぱセージ専用品だな、こいつは』
『ですねぇ……うん、やっぱりセージが賢者さんになって、私が僧侶さんになります!』
『『『えっ?』』』
『え? どうかしました?』
『……フルート、僧侶に興味あったの?』
『すっごくありますよ〜!
旅に出てからずーっと薬草もしゃもしゃしてますけど、あの味、やっぱり好きになれません〜!
だから私が回復呪文が使えるようになれば、もう薬草もしゃもしゃしなくてもいいじゃないですか〜!』
『……まあ、そりゃ、そうだけど。
でも、それならフルートが賢者になっても……』
『あっあっ! それは無理です〜。
私、さっぱり読めませんでしたからぁ。
きっと選ばれた人しか読めないんじゃないですか〜?』
『ああそうだな、俺も無理だったし。
でも、セージには読めたんだろ?
さっきからスゲェ嬉しそうな顔でニヤニヤしてるしな』
『えっ』
『……あ、本当だ。
すごいなセージ、あれが読めるなんて!』
『い、いやぁ、それほどでも……あるかも』
仲間と会話を交わしながら、セージは思った。
(あのアルスが読めなかった。
ローグもフルートも読めないって言ってる……
もしかして、この書はこういうものなのか?
賢者に相応しい人間だけが読めるようになっているのか?)
その仮説はすぐに裏打ちされた。
他でもないダーマの神官が認めたからだ。
悟りの書を読み解き賢者に転職できる者は、神に選ばれたほんの一握りの人間だけであると。
元より高い自意識が、セージの心を支える誇りとなるまで時間は要らなかった。
ダーマで賢者に転職したセージは、その誇りに相応しくあろうと、魔道の研鑽に励んだ。
その甲斐あって、彼は見る間に数多の回復呪文や補助呪文を修め、勇者一行の旅を支えた。
――が。
(でも、本当に……あの時、ローグとフルートは悟りの書を読めなかったんだろうか?)
ある時、そんな考えが心を過ぎった。
盗賊、武闘家、魔法使い。
もしも三人に平等に資格があり、誰か一人だけが賢者になれるというのならば。
普通、盗賊か武闘家を賢者に転職させるに決まっている。
その方がパーティ全体の戦力を底上げできるからだ。
既に魔法使いの呪文を覚えている人間を、わざわざ賢者にする必要はない。
――だからこそ。
本当は読めていたのに、読めないふりをして。
自分達も使えたのに、セージ専用の道具だと言って。
二人は、セージが後腐れなく賢者になれるように、身を引いたのではないかと。
そう思えて仕方が無くなった。
さりとて、二人に直接確かめる勇気などそう簡単に出せるものではない。
セージは悩みを心の奥に隠し、戦いの日々を続けた。
転機が訪れたのは、セージの昔馴染である女商人が開拓した街を訪れた時のこと。
セージは、仲間の眼を盗んで彼女に会いに行き、相談をもちかけた。
鉄格子の向こうで粗末なベッドに腰掛けていた商人は、セージの話を聞いた上で、こう言った。
『そんなの悩む事じゃないじゃん。
フルート達が言った事が嘘だろうがホントだろうが、そこまで含めて神様の思し召しってことでしょ』
神様、などという言葉が商人の口から出たことに驚くセージを余所に、彼女は説明を始める。
『そもそも貴重な本とか道具ってのは、しかるべき人間の元に行くようにできてるわけよ。
もしあんたが賢者になるべき人間じゃ無かったら、悟りの書自体手に入ってないの。
手に入れて読めたって事実がある時点で、あんたは賢者になるべき人間だったわけ』
『そういうものなのかなぁ』
『そういうもんよ。あんたが賢者になるべき人間だったから、悟りの書が手に入った。
あんたが賢者になるべき人間だったから、フルート達は賢者にならなかった。
そういう風に神様の采配が働いたってだけ。
神様だってちゃーんと人のことを見てるってことは、今のあたし見りゃわかるでしょ?』
『……君の場合、神様は関係ないんじゃないかな?
町の人が見ていたっていうだけでさ』
『あのね、誰も居ないから言うけど。
……人なんてのは、自分の事以外なんも見てないわよ。
町の連中だって、あたしが強引な手段を取った理由も聞かずに「革命だー牢屋に押し込めー」だし。
かくいうあたしも、町の連中がどう思ってるかなんて見てこなかったもんね』
『……』
『もう、止めてよ。そういう真剣な顔すんの。
あたしは自分のやるべきことをやっただけ。後悔なんて一つもしてない。
それよりあんたも、あんたのやるべきことをしなさいよねっ』
『僕がやるべきこと……ね。
心配されなくても、アルスや他の二人に迷惑かける気はないよ』
『わかってんなら、今更どーにもならないことでウジウジ悩むの止めなさいよ』
『えっ? そ、それとこれとは話が別じゃ……』
『同じよ!
あんたね、自分以外の人間が全員あんた並みの鈍感野郎だと思ってんの?
アルスだってローグだってフルートだって、あんたが悩んでる事ぐらい気付くわよ!
そんであんたの事を心配して、戦いに身が入らなくなったらどーすんの!?』
『うっ……そ、それは』
『あんたがすべきことはたった一つ!
いつもの調子で「僕は神に選ばれた賢者なんです貴方達とは違うんですキリッ!」ってやってりゃいいのよ!
そんで、アルス達に「君が賢者で良かった、実際安心だ」って言わせなさい!』
『ちょっと待ってちょっと待って。
ねえ、君ってば僕の事どう思ってるの?』
『え? 切れ者って自分で言っちゃう、自意識過剰なやつ。
そんで正義感と同じぐらいプライドが高い、超高い、高すぎてナジミの塔より高いやつ』
『あのさあ……君との友人関係、見直していいかな?』
『あっ嘘嘘! とっても頼りになるセージお兄さんダヨーって思ってるってば!』
茶化しあい、笑いあいながらも、セージは女商人の言葉を噛みしめた。
"自分が賢者となれたのは神の意志。
なればこそ神に選ばれし賢者として、勇者の仲間として、相応しくあれ"
……不適切な発言を削って意訳すれば、彼女の言っている事はそういう事だ。
そしてその考え方は、セージの胸にすとんと収まり、わだかまりを消し去った。
――けれど、それも、昔の話。
セージという青年の一欠片、偽りの『ローグ』は思う。
セージという男は、神に選ばれるべき存在ではなかったと。
彼の足はデスキャッスルへと向かっている。
あくまでも魔物であるギードを追う、という『アルス』の意図によってだ。
そこに『ローグ』の意志が介在する余地はない。
例え『ローグ』が幾万の言葉を費やして説得したところで、『アルス』は考えを変えないだろう。
彼らはそういうものでしかないから、だ。
『アルス』はセージの行動に大義名分を与えるための存在。
だからセージの歪んだ本心に従って行動するが、セージの意志に沿わない発想は持てない。
『ローグ』はセージに正気が残っている事を示すための存在。
だからセージの本心に反する行動が出来るが、真に自分の意志だけで動くことは出来ない。
行動する権利はあるが意志がない。
意志を持つ権利はあるが自由がない。
例外があるとすれば、それはどの人格にもはっきりわかるほどの危険が迫った時だけ。
それを踏まえても、セージが都合よく事態を運ぶための傀儡というわけだ。
……少なくとも『ローグ』はそう捉えているし、誰も否定しないだろう。
(もしもあの時、本物のローグやフルートが賢者になっていたら――)
心に過ぎって止まないifが『ローグ』の思考を縛る。
もしも接近戦で後れを取る事も無い、心の弱さに押しつぶされる事も無い者が賢者になっていたのなら。
セージという男が、魔道を究める夢をきっぱりと諦め、もっと別の道を選んでいたのなら。
誰も彼もが今よりずっとマシな道を歩んでいたのではないか?
――そんな、存在しない可能性をシミュレートせずにはいられない。
(……神が、選ぶ人間を間違えやがったんだ)
精神の片隅で、『ローグ』はぽつりと呟く。
本物のアルスやローグ、フルートを責める事は出来ない。
故にセージという男と、心の弱い人間に誤って賢者の素質を与えてしまった神にしか恨み言を吐けなかった。
『正気』を割り振られた人格でなければ、そのまま神を呪い、心の【闇】に全てを委ねていただろう。
だが――どれほど歪んでいても、『ローグ』の中には未だ賢者セージとしての矜持が残っている。
(このままぶっ壊れて魔物以下の存在になるなら、死んだ方がマシだ。
亀やさっきのニィちゃんみたいなまともな奴なんかじゃなくて、殺し合いに乗った奴に見つかって殺されて――
……ああ、いや、出来ればそういうマジで悪い奴とは相打ちになりてぇが)
セージという男の足は、デスキャッスル方面へと向かっている。
ギード達と共に吹っ飛んできた瓦礫や、遠目でもそれとわかるほどボロボロに崩れた城影からして、
大規模な戦闘行為が行われたことは間違いない。
だからきっと、そこには人としての誇りを捨てた殺人者がいるだろう。
そしてきっと、そこには魔物であっても生きるべき者がいるのだろう。
(……)
『ローグ』の記憶に、女商人と交わした最後の会話が過ぎる。
『ねえ、君は……町の人たちや僕らを恨んでいないのかい?』
――老人と共に町を開拓し、勇者の旅路を支援する為に大量の金を集め、その結果全てを失った彼女は。
『は? なんでよ』
と、呆けた顔で答えた。
『なんでって……その、だって、まるっきり悪者扱いじゃないか。
おじいさんの夢を叶えて町の人たちの暮らしを良くするために、一生懸命頑張ってきたのにさ。
僕らのオーブ探しを手伝ったせいで、余計なお金が必要になって、そのせいで恨まれて投獄だなんて』
『そんなんでいちいち恨んでたら、商人なんてやってけないわよ。
それにあたしだって慈善事業はしてないし、色々と美味しい汁を吸ってたのは事実だもん』
彼女は猫のようににやりと笑ったが、セージの表情に気付くと真顔に戻った。
こほん、と咳払いをし、バツが悪そうに壁を見やる。
『……まあ、だから。
神様ってのは、あたしたちが思ってる以上に、あたしたちの事を見てて――
あたしがちょっと調子乗ってたから、反省する機会を与える為に天罰を与えた。
これはそういう話で……恨むとか、誰が悪いとか、そういう話じゃないのよ』
――彼女のように、他人を憎まず、それ以上に自分自身を否定することもなく。
罪も罰も全てを受け入れて生きていくことができたなら、セージという青年は心を壊す事もなかったのだろう。
けれど、最も正気に近しいはずの『ローグ』でさえ、それが出来ない。
セージという男の道程全てを否定し、その死を願わずにはいられない。
(もしも……もしも彼女を罰した神<アンタ>の眼が、このクソッタレな世界にも届いているのなら)
『ローグ』は願う。
(あんたが賢者に選んだ男に、相応しい罰を与えてくれよ。
……この際、賢者らしくだなんて贅沢は言わねえから)
罰と死を希う、その想いだけは曇りなく。
されどセージという青年は、迷走の果てに城へと向かう。
賢者としての使命を忘れ、自分自身のあるべき姿さえも見失ったまま――
【セージ(MP1/2、多重人格)
所持品:ハリセン、ナイフ、ギルダーの形見の帽子、イエローメガホン
英雄の薬、厚手の鎧、般若の面、釘バット(FF7)、グラディウス、聖なるナイフ、マテリア(かいふく)
陸奥守、マダレムジエン、ボムのたましい
基本行動方針:『アルス』:ギードを追い、殺す/魔物や悪人を倒したい/城へ向かう
『ローグ』:セージに死んでほしい、出来れば本物の殺人者と相打ちがいい
『フルート』:皆と一緒にいたい/城へ向かっているつもり
『セージ』:特にない/『アルス』の意見に従う
最終行動方針:『ローグ以外共通』:みんなと一緒に魔女を討伐する、目の前の状況に対処】
【現在位置:デスキャッスル南西の茂み(分かれ道のあたり)からデスキャッスルへ移動】
新作乙です!!
デスキャッスル跡で再度乱戦フラグが…今度は跡形なく吹き飛ぶかねえ
投下乙です!
闇≒エクスデスの解釈は新しいなあ。
そんでもってカッパとケフカのいる城にセージとギードか……
乙!
乙です
久々に来たけどまだ続いてるんだなあ
10年くらい続いてるよな
>>339 乙です!
とりあえず、ギード、ロック、セージ、ヘンリーの4名を移動させてみましたが
こんな感じで大丈夫でしょうか
>>340 ありがとうございます!
長い間更新できない状態でほったらかしで申し訳ございませんでした
乙です
乙
乙です
乙
乙です
乙
乙です
乙!
何となく参加者見返したが、FFだと10-2までDQだと7までしか参加してないんだな
要するにFFは12発売前、DQだと8発売前からやっているってことかw
かなり長々とやっているんだなあ。それでも進行は遅いけど着実に進んでいるのが凄いがw
もうかれこれ15年くらいやってるからな
それだけの間頓挫せずに続いてるのも凄いし、これだけかけて完結してないのもまた凄いw
乙
乙です
おつ
保守と乙勘違いしてると思う
まとめサイトのお絵かき掲示板はもう消えてるんだな
マジかよ
支援
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支援
書き手はまだ残ってるのかな?
そういえば八章に入ってからはまだ死者が出てないんですね…
超久しぶりに見に来た。FFDQ板自体本当に久しぶり
これ始まったの確か2004年ごろだったかな
最初の頃だけ書いてたけど頑張ってくれ
生き残りの内で女性は4名(一人マーダー)、DQ勢は6名か…
この板で一番長く続いてるよな
マジかよ
バトロワ3rdスレPart1がが04/10/29に立ってるから10年以上続いてるな
7章までは書いてたが、DQ10が出てからそっちが忙しすぎてあまり参加しなくなったな
仕事が忙しいだけなら時間作るのは簡単だが、趣味で忙しいと時間が創れなくなる
支援
誰も続きが思い浮かばないんやろか?
支援
エイブラハム