ドラクエのSSを書くスレ

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1名前が無い@ただの名無しのようだ
では
2名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/06/19(水) 19:49:37.53 ID:4Wqh6pK60
こ↓こ↑
3名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/06/19(水) 19:57:25.55 ID:eKWiRhTw0
したらば
いいかげん
4名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/06/19(水) 20:20:18.03 ID:OkCoOpWc0
SSまでは誰でもなれる
伝説になるのが大変や
5名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/06/20(木) 09:49:39.73 ID:DJSeH//F0
それよりエロいSSを頼む
6名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/07/04(木) NY:AN:NY.AN ID:hw2ZIlH30
7名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/07/15(月) NY:AN:NY.AN ID:OaqBOXcQ0
ドラクエのセガサターン
8名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/07/19(金) NY:AN:NY.AN ID:2DKmyfhd0
小学生は最高だぜ
9名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/07/25(木) NY:AN:NY.AN ID:MyhMl+Cu0
だな
10名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/08/09(金) NY:AN:NY.AN ID:7hUw3Xc10
>>7
セガサミーかもしれん
11名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/08/10(土) NY:AN:NY.AN ID:1l+qRgCZO
星新一の
12名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/08/18(日) NY:AN:NY.AN ID:H/DggrvP0
投下
13名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN ID:D1gpQczg0
期待
14名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN ID:ofDPPn4B0
てすと
15名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/08/21(水) NY:AN:NY.AN ID:o7wW6FSO0
・憧れのエル子様やたらと海外(笑)に出かけるようになってなかなか会いに来てくれないから拗ねるフウラの話

・ぬいぐるみ見たいなプクを毎晩抱っこして寝てたんだけどプクが人間大人♀に戻っちゃってからは照れて抱っこ出来なくなったエル子様の話

・一族の中では一番身長が低くてそれをコンプレックスに思ってるオガ子がエル子と会って「私より小さいw」と優越感抱いて色々助けてあげるけど実はエル子攻めだった話



取りあえずこの3つよろ
16名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/08/23(金) NY:AN:NY.AN ID:FRJDH3GF0
>>15
3番目の話は身長よりおっぱいのほうがいいと思うわっふるわっふる
17名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/08/29(木) NY:AN:NY.AN ID:Vmrkfmpu0
書いたとしてもどこに投下すんの
18名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/08/30(金) NY:AN:NY.AN ID:qUTE5OjJ0
ここ
19名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/09/09(月) 08:46:49.73 ID:Y5LZ+5uc0
勿論ここだよ
20名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/09/17(火) 19:22:36.91 ID:e/MBysZh0
ここ!
21名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/09/25(水) 16:03:39.34 ID:BCtABFue0
マダガスカル!
22名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/09/26(木) 08:34:13.47 ID:YqsrVsET0
途中で打ち切っていいなら
23名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/09/26(木) 08:52:52.46 ID:5YI54qt50
エル子エル子言っててきもい
24名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/09/29(日) 11:08:32.67 ID:BVMjwjU50
誰が書くの?
25名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/09/30(月) 09:22:08.45 ID:4sYf6tJU0
原作まんまのドラクエSSじゃなくていいんだよな?

例えば、ロトが帰れなくなった後の上の世界とか
26名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/10/12(土) 19:13:09.72 ID:FsvtSmmo0
自由
27名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/10/29(火) 05:34:50.70 ID:vsX3Ge2x0
期待
28名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/10/29(火) 07:07:10.58 ID:A7KFjTUT0
リーネ物でエロいのかほんわかする奴を頼む
29名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/11/05(火) 00:59:30.73 ID:1IX6M2HA0
昔々ある所に
30名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/11/20(水) 21:04:11.15 ID:V5+KSvDg0
〜〜ムーンブルクの城〜〜

これは ロトの子孫たちが破壊神を滅ぼしてから

およそ100年が経った 頃であった。

一度は廃墟となったムーンブルクの城であったが

今では すっかり復興を遂げていた。

そして今、新たな物語がこの地より始まる――





的な?
31名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/11/21(木) 17:18:59.02 ID:2+CFeCj00
王様「なんと!?」

王様「魔物が 凶暴になってきておるとな!?」

兵士「ただ凶暴に なっただけでは ありません。」

兵士「まえは 夜しか 出なかった魔物が 昼間も 出るようになったとか。」

王様「魔物の活動が 活発になっておるわけだな。」

兵士「はい。 王様! なにとぞご対策を……。」

王様「ふむ……。 竜王を倒してから およそ200年」

王様「そして 破壊神シドーを滅ぼしてから およそ100年」

大臣「そろそろ 何かが起こっても おかしくありませんな。」

王様「しかし 対策をと言われてものう……。」

大臣「原因が なにも分からぬとあっては」

大臣「手の打ちようが ございませんな。」
32名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/11/28(木) 11:20:44.01 ID:F3/UgLoe0
いいね
33名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/12/09(月) 01:53:30.67 ID:DK9+httq0
いいね!
34名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/12/18(水) 10:31:04.95 ID:7cBAQZSE0
Uの後日談
35名前が無い@ただの名無しのようだ:2013/12/25(水) 08:05:32.23 ID:49ZGHR7W0
いいね
36名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/01/06(月) 09:51:59.30 ID:wxA40Vtg0
王子の子孫どれくらい居るんだろ
37名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/01/22(水) 03:55:26.92 ID:ZTixvrfu0
子沢山
38名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/01/29(水) 22:05:05.16 ID:VpCkIC700
俺はお前のいとこやはとこだって奴が世界中にw
39名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/01/30(木) 01:09:39.48 ID:jKnfiikk0
オスの匂いにあふれるのも頼むのだ
40名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/02/14(金) 08:12:57.65 ID:Iatx5AJK0
期待
41名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/02/18(火) 04:59:57.90 ID:MZvKTdD60
王様
42名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/02/25(火) 10:02:38.28 ID:kH7Izc4I0
「誰か続きを書くのじゃ」
43名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/02/27(木) 14:37:08.75 ID:QM9cjhsq0
 
44名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/10(月) 13:49:53.24 ID:rN4o/yqw0
(´・ω・`)
45名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/11(火) 18:18:42.89 ID:o0CkJPGS0
王様「もう だめだ。」

大臣「おいたわしや うつに なって しまわれたのか。」

吟遊詩人「るらら〜 聞くところによると さえずりのみつ というアイテムがあれば 治るそうだが。」
46名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/14(金) 19:40:21.84 ID:tG73X/zA0
続けてみる
>>31
王様「うーむ、魔物の問題において、
こと勇者ロトの血を引きし、
我がムーンブルクの王家の者達が黙っておったのでは、示しがつかぬ」

大臣「左様でございます。
はるか昔のハーゴン征伐における、かの王女様のご活躍、
全く忘れがたきことでございます。」

王様「うむ、偉大なる伝説であった。
やはり、ロトの子孫がうごかねばならぬようだ。
魔物の活発化の原因がわからぬとは言え、手をこまねいている訳にはいくまい。
わが息子を旅立たせることにしよう。
だれか!王子を呼んで参れ!
王子に旅立ちの命をくだす!」
47名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/14(金) 19:44:05.20 ID:tG73X/zA0
王子の人物像、つぎの人に任せた!
48名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/14(金) 20:07:48.35 ID:Z0/OfEPR0
王子「報酬は?」
49名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/14(金) 20:39:36.78 ID:tG73X/zA0
続き書く人いたらお願い
50名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/14(金) 21:20:24.63 ID:Z0/OfEPR0
冗談を露骨に流されると何か気分悪いな
勝手にしろ
51名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/14(金) 21:41:43.51 ID:tG73X/zA0
流した訳じゃなかったんだが、
あんたのネタを元に続き書いてくれっていったつもりだった。
言葉足らずだったな。
52名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/14(金) 21:42:56.96 ID:Z0/OfEPR0
そうか
俺も短慮だった
すまないな
もう邪魔しないから頑張ってくれ
53名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/14(金) 21:47:19.34 ID:3AgXT9U90
「報酬は?」
「いつものスイスの銀行に振りこんでおこう」
「了解した」
54名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/14(金) 22:28:11.94 ID:J+ARcq5W0
終わり
55名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/16(日) 16:38:24.28 ID:Y/yppnGh0
兵士A「はっ?報酬…ですか?」

王子「じょうだんだよ。ハハ」

兵士A「はっ?は、はは…(わかりにくい)」


王子「だってさ。なぜ僕が旅立たなければいけない?そういうのは君たちの仕事だ」

兵士A「ごもっともです」

王子「………。父上はどうしても僕をローレシアの伝説にならわせたいらしいな……」
56名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/16(日) 20:48:14.54 ID:faU3xjTz0
兵士「…」

王子「わかっているさ。父上の御命令とあらば拒むわけにもいかないよ。
…外の世界に出るのも悪くないしな。
さあ、王室へ行くとしよう。」
57名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/17(月) 07:33:47.08 ID:9Yec3hpr0
王子「父上。では出立の準備に取り掛かります。しかし僕にその重役が務まるかどうか…」

王様「今まで隠していたが、お前にはモンスターと合体出来る能力がある」

王子「なんと。僕にそのような秘めた能力が」

王様「うむ。早速ここに捕獲したグレムリンがおる。手をかざして念じてみせよ」

グレムリン「ギャギャーッ」

王子「はい…… おお、嘗て無い力が漲ってくる…。 して、元に戻るにはどうすれば?」

王様「……」

王子「……まさかずっとこのままなのですか」

王様「フッ、戯れじゃ。聖水を被れば元に戻る」

幼女ベビーサタン「ロトの一族がついに動いたか。これは一大事だ。軍師様に報告せねば」
58名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/18(火) 17:55:33.46 ID:/+TS5iqs0
王子「父上、僕はなぜ、このような能力を身に付けているのですか?」

王様「おまえが赤ん坊の時に、ある秘法を行った。
その秘法によって、おまえはその能力を獲得したのじゃ。」

王子「父上もこの能力をお持ちなのですか?」

王様「いや、わしはもっておらぬ。
なにしろ、王族ではおまえが初めて授けられたのじゃ。
なにを隠そうこの秘法は、かの大王女が生涯をかけて研究をなしたものじゃ。
しかし完成は叶わずして大王女は亡くなった。
その後も極秘に研究は続けられた。
そして近年、すなわちおまえが産まれる数年前にようやく完成したのじゃ。
この秘法は赤ん坊の時分でないと、効果がない。
そして、おまえが産まれ、この秘法は実践された。」

王子「ふーむ…まだお聞きしたいことはありますが、今はよすといたしましょう。
ところで…このグレムリンはどうされるのですか。」

王様「牢に閉じ込めておくことになるだろうな。」
59名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/18(火) 18:25:38.96 ID:/+TS5iqs0
王子「このグレムリン、僕に預けていただけませんか?」

王様「ふむ?どうしてじゃ?愛着が湧いたとでも申すのか?」

王子「…そうかもしれません。
帰してやろうと思ったのです、やつらの棲みかに。」

王様「ふむ…構わん。好きにせよ。」

王子「ありがとうございます。
……おいっ!そこのモンスター、出てこいっ!僕は気付いているぞ!」

王様「な、なんじゃと…モンスターが…」

ざわざわ…

幼女ベビーサタン「くっ…き、気づいていたとはな…人間のくせに」

大臣「ま、魔物ではないか!お、王室まで侵入されたというのか!兵士達は何をしておったのだ!」

王子「グレムリンと合体した時に気がついた。合体しているときは知覚能力も大幅に伸びるらしいな。」

幼女ベビーサタン「ふ、ふん…私をどうするつもりだ…」

王子「偵察に来たんだろう?帰してやるさ、親玉の元へ。
このグレムリンをつれて帰るがいい。」

幼女ベビーサタン「な、なんだと…情けでもかけたつもりか。
ふん、感謝などけっしてしないぞ。…おいっ、そこのグレムリン!早くこっちに来い!」

王子「一つ訊きたいことがある。」

幼女ベビーサタン「…なんだ。」

王子「おまえたちの親玉は誰だ」
60名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/19(水) 13:19:14.94 ID:99XYHqgn0
幼女ベビーサタン「・・・ハーゴン様だ」

王子「なにっ ハーゴンは 我等の祖先が 討ち倒したはずだが」

幼女ベビーサタン「正確には ハーゴン様の 意志と名を継ぐ者 と申されていた 本名は私とて知らぬ」

王子「どこを本拠にしている?」

幼女ベビーサタン「見くびるな それを言うと 思うてか」

王子「わかった もう行って いいぞ」

幼女ベビーサタン「せいぜい 滅亡の日を迎えるまで 震えておれ では さらば」

大臣「よかったのでしょうか?こんなに あっさりと 見逃してしまって」

王子「僕と グレムリンの 感覚は まだつながっている おおよそだが 位置がつかめるんだよ 北の方に 飛んでいったようだな」

王様「遠出をするようなら 城下町でしっかりと 準備をして いくのじゃぞ」

王子「はい しかし お言葉ですが 先立つものがなければ」

王様「わかっておる 1万ゴールドで よいか」

王子「えっ そんなに いただいてよろしいのですか?」

王様「思えば 今まで お前には 王族としての 義務を 押し付けてばかりで 親らしいことを してやれなかったからな」

王子「・・・父上 ありがとう 父上・・・」
61名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/20(木) 16:53:53.56 ID:xiZJag+d0
DRAGON QUESTU―2
〜慟哭の魔神〜
62名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/20(木) 16:56:35.64 ID:xiZJag+d0
なまえをにゅうりょくしてください
63名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/21(金) 01:01:17.85 ID:eXcsFJit0
トルネコ
64名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/21(金) 02:18:18.93 ID:/p0B6/JF0
王子「金も入ったことだし久々に飲むかな」
65名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/21(金) 20:48:54.96 ID:/qePhHVo0
マスター「いかがです。ウチの店の奏者は?」

トルネコ「ああ、いいね。宮廷の楽隊のとはまた違った良さがあるよ。」

マスター「でしょ。」

トルネコ「かれらはこの町の者かい?」」

マスター「町の周辺に住んでますね。ほら、いま農閑期でしょ。あいつらは普段、百姓をやってるんです。」

トルネコ「そうか、そのような人もいるのか。知らなかったな。」
66名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/21(金) 20:50:50.02 ID:/qePhHVo0
トルネコ「あの連中は?見慣れないが。」

マスター「ああ、オアシスの商隊ですか。東の砂漠から来てるんです。」

トルネコ「東の砂漠から?」

マスター「ご存知ないですか。オアシスに新興の都市がありましてね。そこからモノを運んでいる。
ここから、ムーンペタを経て、さらにローレシアまで足を伸ばす者もいるって話ですよ。」

トルネコ「ふうん、ローレシアか…少し話しを聞いてみたいな…」
67名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/21(金) 21:17:40.97 ID:/qePhHVo0
マスター「お。いらっしゃい。」

武器屋の親父「こんばんは!マスター。あ、王子!昼間はどうも!」

トルネコ「ああ、親父さん。銅のつるぎ、大事に使わせてもらうよ。」

親父「や、ありがてえお言葉。武器屋冥利につきますな。」

トルネコ「僕の命を支えるモノだからね。」

親父「支えるにはチト頼りないでしょう。銅のつるぎじゃあね。」

トルネコ「そんなことはないさ。」

親父「いや、これじゃあ、実際心許ない。
でも、いいモノを作ろうにも、ムーンブルクの武器製造業はまだまだ日が浅い。たいしたモノを、作りたくても作れないんですよ。」

トルネコ「仕方ないさ。一度滅んだ国だから。」

親父「そうです。しかし、もうすぐですよ。ムーンブルクは世界に名を成す武器売りの街になる。アレが完成すりゃあ…」

トルネコ「…もうすぐなのかい?魔術製の武器の完成は?」

親父「ああ、いけねえ、これは機密情報でしたな。アイツから聞いたことをベラベラと…」

トルネコ「かまわないさ。実際完成してくれると僕も大いに助かるんだ。」

親父「王子の旅立ちに間に合ってくれればよかったんですがねえ。」
68名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/21(金) 21:19:13.93 ID:/qePhHVo0
トルネコ「いつになる?完成は?」

親父「すいません。オレはそこまで…ウチの次男坊に聞いてやって下さい。」

トルネコ「すまないね。親父さんを急かしても仕様がない。そうだな。サムシンに後で聴いておこう。」

親父「マスター、いつものやつを」

トルネコ「僕がおごるよ。臨時収入があってね」

親父「よろしいんですか。大事な門出の資金でしょう。」

トルネコ「いいさ。元々君達からの税金でもあるしね。」

親父「ははっ、王子はやはり面白いお方だ。」
69名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/21(金) 21:20:56.59 ID:/qePhHVo0
>>66
東じゃなくて西だ…
70名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/22(土) 00:51:25.61 ID:eVJRW+530
トルネコ「ちょっと隊商の連中と話しをしてくるよ。」

親父「お止しになったほうがいい。王子。ヤツら、少しアラい。」

トルネコ「構わないさ。これも経験だ。」

トルネコ「やあ!君達。少し話を聞かせてくれないか?」

隊員A「…誰だい、アンタ?」

トルネコ「僕の名はトルネコ。今日付けの旅人さ。」

隊員A「トルネコォ、誰だ、知らねえよ。」

隊員B「…オレ、この人知ってるよ。この国の王子サマだ。」

隊員A「アァ!王子サマだァ!?…なんだって王子サマが旅に出てんだ」

トルネコ「マア、固いことは言わずに、な。おごるからさ。マスター!!ベラヌール産の362年モノあったでしょ!あれ出してよ!」

マスター「よろしいんですか!高いですよ!」

トルネコ「いいって!」

隊員A「おおっ、ベラヌール産かよ。へへ、話がわかってんじゃねえか…いいぜ、なんだい、話してみろよ。」
71名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/22(土) 00:54:09.90 ID:eVJRW+530
トルネコ「そうだな…まず君達の仕事のことが聞きたいな」

隊員A「俺達の仕事?そりゃオマエ、町から町へ品物を運搬するのさ。
貴金属や鉱物をなんかだな、馬やラクダの背にのせて方々を練り歩く。
着いた町で品を売りさばき、その町の特産物を仕入れてまた別の町へ行く。それの繰り返しだ。」

トルネコ「大変そうだね。」

隊長A「ああ、ホントくたびれるぜ。」

トルネコ「魔物はどうだい?最近のことなんだが」

隊員A「以前とくらべりゃ、増えたかもしれねえ。それでも街道をたどればそうそう出会うもんでもねえ。ま、昼の話だがな」

トルネコ「夜は?」

隊員A「妙なヤツらがいるね。明らかに。吠え声も聞こえることもよくある。見張りを立ててもオチオチ眠れやしねえ。
ま、それでも今のところはまだ、死ぬような目にはあってねえよ。そんなことになりゃあ、こんな仕事、とっとと辞めてやる」

トルネコ「そうか…一人旅についてどう思う?僕はこれからするつもりなんだが」

隊員A「…アンタがどれだけのモンかは知らないが…止めとけ。強けりゃどうにかなるもんじゃねえよ。旅ってのは。
途中で食料がもし切れたらどうする?水はどうやって手に入れる?第一、見張りも立てずに夜一人で寝るなんざ、正気じゃねえな。」

トルネコ「そうか…」

隊員B「あんた、なんで旅なんかにでるんだ?王子なんだろう?

トルネコ「早い話が、魔物退治さ。ロトの宿命というヤツだね。」
72名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/22(土) 00:56:31.40 ID:eVJRW+530
隊員A「…また、なにか起ころうってのか。100年前のような?」

トルネコ「いや、そこまではわからない。そこも含めての調査だね、今は」

隊員A「ふうん、ま、俺達にはカンケーない話さ。」

トルネコ「それでいいさ。…そうだな、後はローレシア地方の実情なんかを聞かせてくれないか」

隊員A「ローレシアか?ローレシアは今きな臭いね」

トルネコ「きな臭い?どういうことだ?」

隊員B「サマルトリアとローレシアがケンカしてんのさ」

トルネコ「サマルトリアとローレシアがケンカだって?そんな話僕は知らないな…」

隊員A「オレも詳しくは知らねえ。なんったってこれから向かう場所だからな。」

トルネコ「まさか戦争しようとしているのか?」

隊員A「だから、知らねえって。おお、酒がきたな…」

トルネコ「もう少し聞かせろよ。」

隊員A「ちょっと待て、呑ませろよ…ハアァーこりゃあ格別だ、生きてる内にコレが呑めるとは…」

隊員B「俺たちは一隊商でしかねえ。王家同士の小競り合いなら、あんたがたの方が良くしってるんじゃないのか?」

トルネコ「いや、なにも聞いていない…父上や大臣が隠していたというのか…?」

隊員A「さて、な…ま、噂だしな」

トルネコ「…」
73名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/22(土) 01:00:57.76 ID:eVJRW+530
????「あーら、あんたら仲良く、なにくっちゃべってんだい?」

隊員A「お。隊長。おかえり。」

隊長「あ、アンタ、ムーンブルクの王子だろう?町中がアンタの旅立ちで色めき立ってるよ。人気者なんだねえ」

トルネコ「この商隊の隊長かい」

隊長「その通り。女だがね。こいつら荒くれ者の保護者役をやってんのさ。」

トルネコ「すまない。一つ尋ねたいんだが。」

隊長「その前に一杯もらうよ。ん、なんだ、随分いいモン呑んでんじゃないか?」

隊員B「この王子のおごりですよ。」

隊長「へえ、なるほど、こいつ等を酒で釣ったわけだ。うん、いいよ、先に話を聞こう。何の話だい?」

トルネコ「ローレシアとサマルトリアが揉めているというのは本当か?」

隊長「その話か。ホントだね。」

トルネコ「しかし、僕は全く知らなかった。あの両王家と僕等ムーンブルク家は強く結びついている。
この国のトップ達の耳に入らないわけがない。そして、もし王や大臣が知っていたなら、これから旅立つ僕にわざわざ隠す意味がない…」
74名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/22(土) 01:03:08.36 ID:eVJRW+530
隊長「なにも知らないのさ、この国の者は」

トルネコ「どういうことだい?」

隊長「そりゃ、裏でやりあってる揉め事を、表沙汰にしてわざわざ伝えるやつはいないだろう?
連中同士、外部に漏れないようにしてるのさ。」

トルネコ「なるほど…それは有り得るか」

隊長「そういうことだ、王子サマ。さ、私も呑ませてもらおうか」

トルネコ「…」

トルネコ「…頼みたいことがある」

隊長「ん、なんだい?」

トルネコ「ローレシアにこれから向かうのだろう?僕を仲間に加えてくれないか?」
75名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/22(土) 23:13:44.70 ID:eVJRW+530
三人はトルネコの顔を見た。
トルネコの差し向かいに座っている女隊長は、
手に持ったグラスに顔を近付けたまま、視線だけをトルネコに向けている。
「なぜ、私達と行きたい?」
「あなた方は旅慣れている。
翻って僕はロクに道も知らない素人だ。
あなた方と一緒にいけば、旅が確実なものとなると思った。」
「フウム」
女隊長はテーブルにグラスを置いた。
「あんたは何ができる?私達になにを提供できる?」
女隊長はさらに続ける。「ただのお荷物なら…いらないね。」
「用心棒を務めよう。戦いは僕の領分だ。」
「フン」と鼻で笑ったのは、言葉遣いの荒い隊員だった。
さらに、「実戦はまだなんだろう?王子様よ。」と付け足した。
トルネコは視線を少し落とした。
「…その通りだ。まだ誰とも戦っていない。だが。」
「だが、何だ。」
「自信はある。」
隊員は嘲笑した。
「なんだあ?ロクに経験もせずに自信ってお前…」
それを遮るように、女隊長は尋ねた。
「アンタ、剣の腕はどれ程だい?訓練は積んだんだろう」
トルネコはやや思案し、「王宮の中ではトップクラスだった、とは思うよ。」と言った。
「呪文は?何か使えないのか?」
「回復と攻撃、それぞれの呪文を少しずつ、といった程度だ。」
「そうか…」女隊長は目をそらしながら言った。
76名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/23(日) 20:56:12.20 ID:XvELna2p0
「今言ったことが本当だって証明できるかい?」
それまで、特に発言もせずに、酒をちびりちびりやっていた隊員の男が発した。
「見たところ線も細く、そんな力があるようには見えないがね」
トルネコはその男を見た。
「…腕相撲でもしてみるかい?」
「よしな。」
女隊長は割って入った。
「この王子が言っていることは多分本当だ。この王子はロトの末裔だ。
連中は、それだけで人並み外れた力を持っているんだよ。
マア、力ってのは、人によっては魔術の力であったりもするんだが…
いずれにせよ、何らかの戦闘技能を持っている。この王子も例外じゃないだろう。でなけりゃ、旅立ちを許されたりしない。
あんたたちもロトの勇者の伝説はいくらか聞いたことはあるだろう?
ガミジン、あんたはどうだい?」
ガミジンと呼ばれた言葉遣いの悪い男は自嘲気味に笑った。
「知らないヤツなんか、いやしねえ。この世界が今あるのも、ロトの御蔭ってんでしょ?」
「ま、その通りだね。私達の世界はその昔、ロトの勇者が救ったものだ。」
「ヘッ。」
ガミジンは鼻を鳴らし、高級な酒をあおった。
77名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/23(日) 22:59:51.99 ID:XvELna2p0
女隊長は尋ねた。
「王子、アンタ名前は?」
「僕はトルネコだ。」
「私はシャロンという。」
「シャロンだね。」
「ああ。で、こっちがゲイツ。ガミジンはさっき言ったね。」
トルネコは頷いた。
「トルネコ。私達の用心棒になるということは、私達と対等な立場で契約する、ということなんだ。
それぞれが出来ることを持ち寄って、やるべきことをやるんだよ。
つまり、雇う側は雇われる側に報酬を、雇われる側はその見返りに私達を危険から守る。これは分かるね?」
「分かるよ。僕もそれを望んでいる。」
「でもね、それだけじゃあ、納得できないこともあるんだ。つまり、これはさ、プライドの問題なんだよ。」
「プライド?」
「そう。あんたは旅慣れていない素人だとさっき言った。そんな素人に私達は色々教えたり、指図しなきゃいけないだろ。
そして、そんな素人に、自分の命を丸ごと預けなきゃいけない。これが案外、我慢にならないものなのさ。
この二人が気に入らないのも多分そんなところじゃないかい。」
ガミジンとゲイツは何も言わなかった。
「私はこれでも隊商としての自分に誇りを持っている。職業意識というやつかな。誰だって多かれ少なかれ持っているものだ。
トルネコ、あんたもそうじゃあないかい?
自分のやっていることはバカにされちゃあ我慢にならないだろう?」
「僕のやっていること…」
トルネコは沈した。
「ふん、まあアンタはまだ早いかもね。始めたばかりだし。でも長くやれば、そういう意識は芽生えるものさ。」
78名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/23(日) 23:03:17.45 ID:XvELna2p0
トルネコは嘆息した。
「…僕は世間知らず、なのかもしれないな…」
その言葉に対してガミジンは言った。
「そうだ、お前は何もしりゃしねえよ。」
トルネコは言い返さなかった。
シャロンはトルネコを見やった。
「トルネコ、アンタを用心棒としては雇うことはできないが、単に同行するというのなら、私は許そうと思っている。」
「隊長…」
「ゲイツ、アンタは嫌かい?」
「オレはどっちでも構いやしません。正直に言って、職業意識とやらもさほど気にならない。ただね…」
「なんだ」
「パジャークの旦那の許可を取らなくていいんですかね?」
「ああ、そうだった。よく言ってくれたよ、ゲイツ。」
トルネコは尋ねた。
「パジャークといういうのは誰なんだい?」
「言ってなかったね。この商隊にはすでに用心棒を雇っているんだ。」
「そうだったのか?」
「ああ、あっちを見てみな。」
シャロンは顔をフイと巡らし、視線を誘導した。
そこは壁際であり、小さいテーブルを前にして、男が足を組み酒を嗜んでいる。
大柄な男であり、青黒いマントを羽織っている。足を覆う毛皮のブーツは嫌に大きく見える。
皮鞘の剣は木床に立てられ、男の脇に支えられている。
79名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/24(月) 00:19:46.99 ID:bL1cwYQx0
「あの男か…」
「そうさ。まあ、無愛想な男だがね。」
「僕は分かっていなかったんだな。用心棒を雇っていない商隊など、あるわけない。」
トルネコは壁際の男を見やりながら言った。男はこちらに気付いている素振りは見せていない。
「その通り。魔物だけじゃないからね。敵は。夜盗なんかもゴマンといる。ああいう武闘派はどうしても必要なのさ。」
「さて、ちょっと呼んでくるとしよう。」
シャロンは椅子から立ち上がり、男のテーブルへ向かった。
「おい」
ガミジンがトルネコを見ていた。手に酒瓶を持っている。
「飲めよ。お前が買った酒だ。まあ、もっとも王族のお前には珍しいものでもないだろうが。」
ガミジンはトルネコのグラスに酒を注いだ。
「そんなことはない。酒なんて滅多に飲めるもんじゃない。」
「そうなのか?」
トルネコは一飲みした。
「これはいい。美味いよ。」
「ヘッ、ホントにわかってんのかよ。」
「よ、なんだ、ちょっと私が外している間に仲良くなってるじゃないか。」
シャロンが席に戻ってきた。その後ろにパジャークがいる。
トルネコは一瞥した。
「トルネコと言う。よろしく。」
パジャークは応えずに、手に持っていた椅子を下ろし座った。
80名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/24(月) 00:22:37.99 ID:bL1cwYQx0
「ふう。初めに言っておこう。私はムーンブルクの王子が加わるのなら、用心棒を辞めさせて貰う。」
シャロンは眉をひそめた。
「バカ言ってるんじゃない。契約を忘れたのか。アンタは私達がローレシアに着くまで、警護の役を果たさなくちゃいけない。途中で投げ出すなんて許されないよ。」
「契約には、途中でロトの子孫が加わるなどという取り決めは無かったぞ。私が言いたいのはこの王子を連れて歩けば、それだけ危険が増すということだ。
考えてみろ。ロトの子孫を狙って魔物が街道に押し寄せてくるぞ。」
シャロンは返事に窮した。
「それは、そうかもしれないが…しかし…」
「ちょっと待ってくれ。」
トルネコはパジャークに言った。
「魔物達は僕の顔を知らない。僕を見ても、ロトの子孫だとは分からないだろう。」
パジャークはトルネコを見下ろすように黙している。
ゲイツが言った。
「顔が分からないなら、手当たり次第狙うことも考えられるがね。」
トルネコは言った。
「だったら、用心棒の数は多いに越したことは無い。いや、僕は用心棒として参加はできないが。」
パジャークはトルネコに言った。
「魔物はそこまで馬鹿ではない。手当たり次第狙うなどと効率の悪いことはしない。顔はわからなくても年の若い男とだけ知っていれば十分だ。」
トルネコは反論できなかった。
「わかったか。この中で年の若い男は君だけだ。つまり君を連れて歩けば、私達は危険な目に遭うかもしれないということだ。」
トルネコは黙っている。
「シャロン。決めてくれ。」
「…」
81名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/24(月) 01:17:26.57 ID:bL1cwYQx0
シャロンは暫く黙っていたが、ややもして、口を開いた。
「トルネコ、アンタを連れて行くのは難しいのかもしれない。みんなを危険に晒すわけにはいかないから…。」
パジャークは目を閉じ、息をついた。
「決まったな。では、私は宿に戻る。また明日会おう。」
パジャークは立ち上がった。
残された四人は暫く言葉を発しなかった。
「ごめんよ。」
シャロンはそう言った。
82名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/24(月) 01:20:22.63 ID:bL1cwYQx0
その後、シャロン達一行は酒場を後にし、残されたトルネコは一人テーブルに向かっていた。
しかし、程なくしてトルネコは立ち上がった。
会計は高くついた。マスターは少し、代金を負けてくれた。
武器屋の親父に挨拶し、店を出た。
酒場の外は路地裏であった。石積みの建築物が細々とした狭い道を形造っている。
トルネコは面をあげ、星空を見た。
「ねえ。」
不意に声を掛けられた。
トルネコが視線を落とした先には女が立っていた。際どい身なりをしている。
「王子様でしょ。こんばんどうかしら?」
「いや…今日は…」
「あら。残念。じゃ、またね。」
女は踵を返し、肌が露になっている背中を見せた。トルネコはその後ろ姿を見ていた。
隘路の中を歩く女を、トルネコはじっと見ていた。
髪は結い上げられ、うなじがよく見える。ドレスは花柄。肩にはフリル。腰ですぼまり、そこから下はフワリと広がり…
「妹に着せられたな…あんな感じのヤツ…」
トルネコは呟いた。
「…ん?」
トルネコはハッとした。
「これだ!」
トルネコは前を行く娼婦に向け駆け出した…
83名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/27(木) 19:34:19.31 ID:7AaTqgJ00
城門

早朝、朝もやが立ちこめる街は静かである。
城下町と外界とを仕切る城壁上の、石畳の回廊に、一人の衛兵が姿を現した。
衛兵は回廊の際まで進み、外をぐるりと見渡した。
さらに、城壁の直下方向へ頭を垂れ、左右を確認した。
そして振り返ると、ただ今自身が昇ってきた階段の入り口の側へと戻り、そこで身をかがめ、階下へ向け叫んだ。
「異常なし!」
声は城壁内の暗い小部屋へと届いた。
小部屋には数人の衛兵達が、階段に座りこんだり、壁にもたれ掛かかったりしている。
声が届くと、その内の一人が動きだし、小部屋の中を横切り、木の扉を開け外に出た。
外に出た衛兵はすぐに、一人の女の姿に気が付いた。
衛兵は扉を閉め、城壁の側に座りこんでいる女の方へ歩み寄った。
そして、アーチ状のトンネルの入り口のすぐ側で、声を掛けた。
「おい君。今からここで城門を開く。危険だからここから離れていなさい。」
女は衛兵の顔を見上げた。薄く化粧がかった若い女だった。
「ああ、すみません。すぐに離れます。」
ややハスキーな声でそう言うと、立ち上がりながら、
足元にあったカバンを肩に掛け、木鞘の剣を手に掴み、そこから離れた。
84名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/27(木) 20:30:13.02 ID:7AaTqgJ00
女は質素な身なりだった。
ゆったりとした青い長衣は七分袖であり、腰のすぐ上で革のベルトに締められ、腰から膝上までは、フレア状のスカートになっている。
薄手の白いズボンは、足首の周りを幾重にも巻かれた綿布により、固められている。
少し癖のかかった長い紫色の髪は、首の上辺りの高さで二つに分かれ、それぞれの髪房の根本は銀色の髪飾りによりくくられている。
衛兵はそんな後ろ姿を見ていた。
「女剣士か…」
「おおい!どうした!女に見とれて!」
上から怒声がした。衛兵は慌てて周囲を見渡し、トンネルの中を確認し、上の衛兵に向け叫んだ。
「すまん!こっちは大丈夫だ!」
それを聞いた上の衛兵は首を引っ込めた。下の衛兵は先程の女が、近くの建物からこちらを眺めているのを見た。
上方から掛け声が響いた。すると、ガチャリ、という金属音がアーチ状のトンネル内から生じた。そのトンネルの中では鎖がギリギリと突っ張っていた。
大きな木の格子状の門がトンネルの出口を陣取っている。
木の格子状の門の下方の、左右両端のそれぞれの金属製のカバーには鎖が取り付けられており、二つの鎖は中空で一つに繋がっている。
一つに繋がった鎖の先方は天井に開いた滑らかな周縁の穴へと続いている。その滑らかな周縁部は金属製である。
鎖は少しづつ穴の中へ引き寄せられ、同時に鎖と繋がった扉の下部をも引き上げていく。
トンネルの暗き空間は、世界への重き幕を開けようとしていた。
85名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/29(土) 22:12:24.61 ID:ZD6FkHiz0
ムーンブルクの王女

荷車を引く騾馬と、それらを取り囲む者達の一団が、街の大通りをゆっくり進んでいた。
太陽は地平線上に姿を現していた。
街の南北を貫く大通りの東側の建築群は路上に長い影を投げかけていた。
荷馬車の一団は荷車に荷物を満載しながら、南へと下っていた。
大通りを進む一団の周りのそこかしこから人の活動の気配がしていた。
大通りから逸れる横道には奥の方まで天幕が張られ、そこで働く者達の朝がかい間見える。
横道の入り口付近では、白い頭巾を被った女が、大きな籠に詰め込まれた赤い果物を店の軒先の木の台に移していた。
大通りでは、杖を突きながら通りの端を歩く老人とすれ違った。
一行は中央広場へと出た。
建物に囲まれた広場は南北に狭く、東西に長く広がり、西側の中央には教会が見える。
周りの建物と比べて教会は高さで頭一つ抜けており、その天辺には十字架が掲げられている。
広場の東面の中央辺りで、太陽に向かい平伏している者がいた。何かを唱えているようだ。
一行は広場を通り過ぎようとしており、再び続く大通りの先のずっと先の終点が、一行の行く先に見えてきた。
86名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/30(日) 20:42:40.21 ID:cAjwAcja0
騾馬は二頭立てであった。一つの荷台を二頭が並んで引いていた。
二頭の馬達の左右には、それぞれ一人づつが並び、手綱を持っていた。
二人の内の一人、背は低めだが体格の良い男が、二頭の灰色の背中越しに話しかけた。
「あの王子、一人で大丈夫ですかね。」
それを聞いた妙齢の女は、なかなか豊かな体型の持ち主であった。
男の言葉を聞いた女は面食らった表情を発言者に見せた。
「なんだ、ガミジン。あんた心配してんのか。」
男は前を向き苦笑いをした。
「いや、心配とかじゃないんですが…」
男は一時言葉を切った。
「ただ少し引っ掛かるってえだけですよ。」
「引っ掛かる、か…まあ私も似たようなもんだね。いや、違うか。あの子には悪いことをしたかもしれない。
付いてきていいって言ったが、そうならなかった。無用な期待をさせてしまったな。」
それを聞いた男は抑え気味に言葉を発した。
「隊長は悪くないでしょ。あの坊やを連れて歩けば魔物が付いてくるっていう。
そんなことになりゃ命が幾つあっても足りゃしない。」
「それはそうだが…まあ、一人で行くってのはあの子の運命なのかもしれない。」
「運命ですか。オレには馴染みない言葉だ。」
男は興味を示さず言った。
87名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/03/31(月) 20:57:12.94 ID:g7NNgQOa0
トンネルの中は薄暗かった。
トンネルの中ほどから眺められる城外の景色は、アーチ状の出口の、縦に長い枠の中に収められていた。
城外の景色の中心は踏み固められた土の道であった。
その道は周囲の平原より一段へこんでおり、それはまるで巨大な指の爪が平原を一思いに引っかいたようであった。
道は南方向まである程度の距離まで延び、ある地点で直角に交わる大道へと吸収されていた。
「そろそろかな…。」
女は呟いた。
女はトンネルの中ほどの壁に背を向けて立っていた。
女のいる場所にガラガラという音が届き始めた。
その音は少しずつ大きくなり、やがてトンネル内で反響し始めた。
騾馬と人が現れた。
先頭の者達は、壁際の女に一瞥を与えはしたが、それ以上の反応を見せないまま女の横を通り過ぎていった。
次に壁際の女を認めたのは、荷車の横を歩いていた痩せた男であったが、この男も先の者達と同様に通り過ぎていった。
最後尾には丈高い男が、荷車と少し距離を置いて歩いていた。丈高い男は女を見た。
女は足を踏み出し、男の行く手を塞いだ。
男は立ち止まった。不可解な表情を浮かべ女を見ていた。
それまで俯いていた女は顔を上げた。笑顔であった。
「薬草はいかがですか、剣士様。」
差し出された両手には、小さな袋があった。
男はため息をついた。
「…朝からご苦労だが、薬草なら間に合っているのでね、すまないが。」
そう言って自身の進路に立ち塞がる女の傍を迂回し、前へと歩を進めた。
「男には見えないだろう?」
朗々とした声がトンネル内に響いた。
男はとっさに半身を捻り振り返った。背後には男を見つめる者がいた。
88名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/01(火) 21:04:00.26 ID:v0WaUEf10
後方から男のものらしき声が聞こえたとき、先頭を行くガミジンとシャロンは丁度、トンネルを出ようとしたところだった。
二人は歩みを止めずに後方を振り返った。
たった今トンネルから出たシャロンが見たのは、立ち止まって後方を見ているゲイツと、
積荷によって半身が隠れたパジャークと、先ほどすれ違った女と思しき小さな姿であった。
シャロンが歩く側へと、パジャークは顔を出した。
「おーい!大丈夫か!周りを確認しろ!」
パジャークの声が響いた。
「なんだ?」
ガミジンは周りを見やった。
シャロンも同じ様にした。城壁沿いの平原に人は見当たらない。
「こっちには、誰もいないよ!」
シャロンは大声で叫んだ。
「ガミジン。一旦止めよう。…せーの!」
二人は同時に立ち止まり、それぞれが持つ手綱を引き寄せ、騾馬の歩みを止めさせた。
シャロンは後方へ向いた。丁度ゲイツがシャロンを見ていた。
「さっきの女か…男はいねえのか…?」
ガミジンは腰に差した剣の鞘に手を掛けながら、再度周りを見ていた。
「ガミジン。ちょっと馬と積荷を見ていて。私が行って来る。」
「大丈夫ですかい?」
「たぶんね。」
シャロンは持っていた手綱をガミジンに渡し、腰に差してある鞘に収まったナイフに目をやり、トンネルの中へと向かった。
場の様子を眺めているゲイツの横を通り過ぎた。シャロンはパジャークの隣までやってきた。
「なんだ、どうした?」
パジャークが応えた。
「この女に見える者…彼は王子だ。」
89名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/02(水) 20:59:05.70 ID:HMknvzCO0
シャロンは目を丸くして、目の前にいる者を見た。
「王子だって…?この子が…?」
パジャークはため息をついた。
「…ああ。」
「なんだって女の格好なんか…。」
「若い男は魔物に狙われると、私が昨日言ったのを覚えているか?」
「あ、昨日のことか…。」
パジャークはぶっきらぼうに頷いた。
「ああ、そうだ。」
トルネコは所在無さ気に下を向いていた。
シャロンは俯くトルネコの顔を覗き込むようにして尋ねた。
「トルネコ…私達と行きたいからそんな格好をしたのかい?」
トルネコはバツが悪そうにシャロンを見た。
「そうだ。僕は…」
トルネコは一旦言葉をそこで切った。
「…いや、まず謝らなくちゃあいけないな。…こんなに驚かせるつもりはなかったんだ。すまない。悪ふざけが過ぎた…」
シャロンは嘆息した。
「確かに驚いたよ。何が起きたのかと思った…。盗賊でも襲ってきたんじゃないか、ってね…。」
シャロンは下を向くトルネコを見やりながら言った。
「…でも今は、そんなに怒ってるわけじゃないよ。」
トルネコは俯いたままだった。
シャロンはパジャークを見た。パジャークは固く口を結んでいた。
「パジャーク、あんたはどうだい?なにか言いたいことがあるんじゃないかい?」
パジャークはトルネコを見下ろすように話し始めた。
90名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/03(木) 23:30:37.89 ID:z8UXbukn0
「私は用心棒だ。闘いでは命を賭けねばならない。
敵はどこにいるのか、分からない。女が注意を引いたその隙に、別の誰かが襲い掛かることだって、考えられる。
…君はただ、驚かせたいだけだったのかもしれない。だが実際は、余計な緊張を生んだだけだ。」
トルネコは注意深く聞いていた。
「パジャーク。すまなかった。…君の仕事について、何も考えていなかった。」
トルネコは自分を見た。
「女になったこの姿に、自信があったんだ。
それを君に見てもらえれば、納得してくれるだろうと思っていた。だが少しばかり、やり方を誤ったようだ。」
パジャークは言った。
「そうだ。君はタイヘン間違ったことをした。」
ひと時、場は沈黙した。シャロンはため息がてら、口を開いた。
「フウ…トルネコ、アンタ、私達と行きたいんだろう?」
トルネコは口ごもった。
「ううん…そうだが…いいかどうかを決めるのは、僕じゃない。君達だ。」
シャロンは鼻を鳴らした。
「ふっ、そりゃあね。でも私なら構わないよ。今のアンタなら、誰も王子だとは分からないだろう。旦那もそう思うだろう?」
「ん、そうだな…狙われるのは若い男だと、私は言った。それを曲げるつもりはない。だからもう反対はしない。ただ…。」
パジャークは少しの間を空け、二の句を継いだ。
「君はなぜ、私達と共に行きたいのだ?先にそれを聞かせてもらいたい。」
「ああ、理由だね…。」
トルネコはしばし黙考した後、ゆっくり話し始めた。
「それは…ローレシアへと、できるだけ早く辿り着きたいためだ。ローレシアでは今、政変が起こっている恐れがある。
僕はムーンブルク家の者として、いち早く現場に赴き、事態を解決の途に導きたいと考えている。」
「ホウ…。」
パジャークは目を細めた。
「ローレシアの噂に関しては、私も少しは聞いている。確かに君も気が気ではないだろう…同族の者としてな。」
91名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/04(金) 23:14:37.22 ID:cn13TYXR0
「うん、そうだね。まあ、少しだけ予想はついているんだ、何で揉めているのか。」
「君はローレシア、サマルトリアとは縁戚だからな。私達より事情に通じているのだろう。」
それを聞いたトルネコは、苦笑いをした。
「んーまあ、知っていることもあれば、そうでも無いこともある。元々この話は君達から聞いたしね。」
「隊商は各地で色々な噂に触れるものだ。王宮に先んじて知るようなこともある。」
「そうだろうね。…パジャーク、これでいいかな。君達と行きたい理由については。」
「ああ、構わないだろう。」
パン、と何かを叩く音がした。シャロンが両手を合わせていた。
「よし。じゃあ、そろそろ行くとしよう。出発をこれ以上遅らせたくない。」
シャロンは勢いよく喋った。
「そうだが…しかし、ガミジンとゲイツには、訊かなくていいのか?」
「うん。まああの二人なら大丈夫だと思うけど。」
「ゲイツは反対気味ではなかったか?」
「そうだったかい?まあ、聞いてみようか。」
シャロンは振り返った。
「ゲイツ。話は聞いていたんだろ。トルネコが来るけど、いいよね?」
ゲイツはもたれ掛かっていた壁から離れた。
「…もう決まったようなモンでしょ。今更反対はしませんよ。」
シャロンは外を見た。明るい世界の中、ガミジンは道端の草地に腰を下ろしていた。     。
「ガミジーン!あんた、トルネコが付いてくるけど、構わないよねー!」
ガミジンはこちらに顔を向けた。そしてガミジンは大声を発した。
「ハア!?なんですかあ!?」
シャロンは笑みを浮かべた。
「よくわかってないな…ちょっと話してくる。すぐ戻るから。」
シャロンは外へと歩いていった。トルネコはその後姿を見ていた。
92名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/04(金) 23:15:27.58 ID:cn13TYXR0
「何が起こっている、ロトの者よ。君は何か知らないのか。」
トルネコは一瞬キョトンとした。真顔のパジャークがいた。
「ああ…ええと、僕が知っていることか。そうだな…ハーゴンが現れた。二代目なんだけど。」
「ハーゴンの二代目、だと?」
「ああ。正確にはハーゴンの意思と名を継ぐ者、と名乗っているらしいが。まあ何者かはまだよくわかっていない。」
「これから調べていくというわけか。」
「そうだね。」
93名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/05(土) 23:50:13.60 ID:faWGPy3R0
忘れ物

「…で、酒場から出たところで娼婦の人に会ってね…彼女の服を見て思い出したんだ。」
「ホウ、なにをだ。」
パジャークとトルネコは言葉を交わしていた。
「うん、それはね…」
「お待たせー。」
シャロンが戻ってきた。
「ガミジンもいいってさ。さあ、出発しよう。正午までには直轄領を出たいんだ。トルネコ、準備は出来てるね?」
「ああ、僕の荷物なんだが…。」
「ちょっと待ってくれませんかね。」
それを発したのはゲイツであった。
「ん、どうした?」
「いえ、さっきからちょっと考えていたんです。気になることがありましてね。」
「気になること?なんだい?」
「王子の髪の色なんですがね。」
「髪の色…?」
皆はトルネコの、紫色の頭髪を見た。トルネコは自身の髪先をつかみ、目の前に持ってきた。
「ええ…つまりですな…魔物たちは若い男を捜しているってんでしょう。
でも、もしですよ、魔物たちが捜しているのが、紫色の髪をした若い男、だとしたらどうです?
それならたとえ女にしか見えなくても、怪しまれるかもしれんでしょう。」
トルネコは目を見開いた。
「あ…そうか…。」
94名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/07(月) 00:36:05.72 ID:MSOvMXP50
「ウム、あり得る話だ。」
パジャークは頷いた。
シャロンは唸った。
「ううん…どうすればいいんだ…頭を隠せってことかい?いっそフードでもかぶってみるか…?いや、それじゃ女装する意味がないか…。」
ゲイツは再び話し始めた。
「まあ、それでね。一応、対策も考えたんです。つまり、髪の色を変えてしまえばいいんです。染めるんですよ、別の色に。」
「染める…?」
シャロンは少しの間、考えた。
「あ、そうか、染め髪屋か?」
「そうです。染め髪屋はムーンブルクにもあるでしょう。」
「どうだい。トルネコ。この街にも染め髪屋はあるのかい?」
「うーん、どうだったかなあ…。でも街の人が髪の一部分だけ別の色に染めているのは見たな…。だからある、とは思うんだけど…。」
「場所は分からないのか?」
「すまない、そこまでは知らないんだ。」
ゲイツが話を継いだ。
「場所は街の誰かに聞くとしましょう。問題は、この時間に開いている店が無いってことですよ。」
シャロンは街の方を見た。大通りには人が点在していた。
「店が開くまではまだありそうだねえ。ここでいつまでも待つってわけにはいかないし。
こんなトコで待ってたんじゃ、衛兵がとやかく言ってくるだろうからねえ。」
「どこか、馬車ごと置ける場所ですな…。宿屋に戻りますか?」
「いや、宿屋は料金がかかるだろう。なるべく避けたいな…。」
「あー、ちょっといいかな。」
トルネコが手を上げていた。
「どうした、トルネコ。」
「いい考えを思いついたんだよ。」
95名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/08(火) 00:34:21.18 ID:o2mV40gY0
「え、宿屋以外で?」
トルネコは笑った。
「いや、その話じゃない。髪の話さ。つまり、カツラを使うんだ。」
「カツラ?」
「ああ、城に女性が使うカツラがいくつかあってね。それを借りてくればいい。そうすればわざわざ店が開くのを待つ必要もない。」
シャロンは不思議そうな顔をした。
「カツラ、ねえ。名前は聞いたことはあるが…。頭に被るんだろう?その、髪の毛の束を。」
「そうだ。」
パジャークが答えた。
「カツラは貴族の女性が装飾品としてよく使用するものだ。
例えば…晩餐会や式典など、宮廷の行事でこぞって使われている。…まあ、一般的に流通しているものではないな。」
「ふうん…。」
「王子、無論、君の城には、君の髪色以外の色もあるのだな?」
「ああ。紫だけじゃない。黒や金もあったはずだ。」
「フム…ならばなるだけ地味な色を選ぶんだ。それに、髪型もだ。ごく一般的な髪型がいい。」
「うん、わかった。そうしよう。」
シャロンが話を続けた。
「よし…。後は私達が落ち合う場所か…。トルネコ、城まで行って、取って戻ってくるまで、どれ位時間が掛かる?」
「そうだなあ…。」
トンネルの中から、街の方を眺めた。
不揃いの高さの家並みに囲まれ、大通りはまっすぐ奥へと伸びていた。
その果てには、幅の広い建造物が、空気に霞みながらも鎮座していた。
96名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/08(火) 00:36:26.00 ID:o2mV40gY0
トルネコは腕を組み、呟き始めた。
「城まで走ったとして…。そこから…勝手に取っていくわけにはいかないし…。で、またここまで戻ってくるとしたら…。」
トルネコはゆっくり顔を上げた。
「半刻の半分、を少し過ぎる位、かなあ。」
シャロンはそれを聞くと思案した。
「フン…それ位なら…広場で待っていても文句は言われないかな。広場なら日時計もあったはずだし…。
うん、私達は中央広場で待つことにするよ。」
「中央広場だね、わかったよ。」
「なら、行ってくるんだ。急いでね。」
「すまん、一つだけいいか。」
パジャークが口を挟んだ。
「王子、王宮に入る前に女装は解いた方がいい。」
「…なぜだい?」
「王宮の者達に王子が女装していることを知られるからだ。つまりそこから、魔物たちにも知られる恐れがある。王子が女装しているとな。」
「うん…。…そうだな。女装は一旦止めよう。」
「ウム。君は王子であるということを極力知られてはならない。そしてそれは、これからの旅においての基本でもある。わかっているな?」
「うん。肝に銘じておこう。」
「私からの話はこれだけだ。」
シャロンは頷いた。
「じゃ、行っておいで。出来るだけ急いで。」
「わかった。それじゃあ後で。」
トルネコはさっと振り向き、駆け出した。足取りも軽やかに、トンネルを抜け、朝の街中を走る人となった。
「おおい!どこ行くってんだ、アイツ!オレはいつまで待てばいいんだよお!」
ガミジンの嘆きが後ろから生じた。
97名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/08(火) 23:11:15.04 ID:o2mV40gY0
お金の授業

丸眼鏡を掛けた男が、木の机の後ろに立ち、訥々と語りかけていた。
「…現在、世界中に流通しています、擬似金貨、俗にフェイクゴールドと呼ばれていますが…これは特殊な性質を持っています。
つまり、見た目は単なる鉛色のコインに過ぎないのですが、このコインを互いに近づけると…」
机の上には二枚のコインがあった。男はそれらを、左右それぞれの手で拾い上げ、近づけた。すると、二つのコインは鈍く輝き始めた。
「このように、金色に染まるというわけです。
この特殊な性質は錬金術により生み出されているものであり、門外不出の秘術となっています。」
語り手の話を聞く、幾人かの少年少女たちは、木製のペンを手に、二列の長机を前にして座っていた。彼らの面前には紙がある。
「そしてこの秘術は、世界銀行が独占的に管理しており、鋳造を一手に引き受けています。
このように世界銀行が秘匿する理由は分かりますね?いかがです?アレサ姫。」
呼び掛けられたのは、窓際の席に座る少女だった。
「偽造を防ぐためです。」
「その通り。もしこの秘術が盗まれたなら、擬似金貨がいくらでも生み出され、擬似金貨は通貨としての役目を果たさなくなるでしょう。
今言ったように、擬似金貨は通貨としての役割を持っています。通貨は世界中どこでも使えるのです。これはとても便利なことです。
通貨を持ち歩けば、世界のどこにいても買い物が出来るからです。しかし、通貨が使われ始めたのはおよそ五百年程前のことです。
では、通貨が生まれる前はどのような仕方で取引がされていたのでしょうか。通貨が生まれる前の時代の話をしましょう。」
アレサ姫は手許の紙に、文字を綴っていた。
「古き時代、人々は物と物を直接交換することによって取引をしていました。これは物々交換とよばれるやり方です。
しかし、物々交換にはある難点がありました。物によっては蓄財するということが出来なかったのです。
そのような物とは、魚や動物の肉といった生ものです。
蓄財が難しいということは、高価値な物が生まれにくいということでもあります。買い手がいないからです。
蓄財が可能な物として穀物類があげられますが、これとて保存するには大変なものです。
虫や小動物から守るための、設備や容器が必要となるからです。
つまり物々交換の時代にあっては蓄財が難しく、そのため経済は発展しにくい状況であったということができます。
そして、時代を下ると、貨幣というものが生まれました。最初期の貨幣は金や銀といった希少金属によって出来ていました。
この貨幣によって、人々は自身の労働を貨幣に変換し、容易に蓄財をすることができるようになったのです。
このことによって、経済はその規模を大きくしました。広い地域で人々の交流が生まれ、多彩な物が流通するようになったのです。
しかし、この時代の貨幣にも問題はありました。それは貨幣の価値が安定しないことです。」
98名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/08(火) 23:14:19.91 ID:o2mV40gY0
一人の少年は、ぼうっとして頬杖をついている。
「貨幣の価値は金属の種類と重量によって決まります。その金属が希少であればあるほど、重ければ重いほどその価値は上がります。
しかし、ある金属でできた一定の重量の貨幣も、その価値は不変ではありません。その金属の流通量は常に変動するからです。
もし流通量が少なければその価値は上がります。希少であるということになるからです。また、その逆も然りです。
つまり、希少金属による貨幣も蓄財するには最適なものではなかったのです。
さらに時代を下ると、擬似金貨が登場します。擬似金貨は重量によって価値は決まりません。
コインに刻された数字が価値を表するのです。例えばこのコインなら…。」
教師は先に見せたコインをもう一度手に取った。コインには兜をかぶった人の横顔と、それを囲んでいる文字が彫られている。
「千ゴールドの価値があります。分かりますか。千ゴールドもの大金がこの小さなコインにあるということを。
大きな価値はそれなりの重さを持つものであったのが、これほど小さなものへと集約されたのです。」
部屋の最前から発せられる、一連の語りの末に混じり、廊下の方から石畳を踏む足音が入ってきた。
「このことは大金の持ち運びを大変簡単にし…。」
教師の言葉は尻切れトンボになっていった。教師は生徒達に向けていたその視線を、後方の隅へとやっていた。
生徒達も釣られるようにそちらを見た。トルネコが軽く息を切らしながら立っていた。男の姿である。顔中、汗によってか濡れていた。
99名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/09(水) 23:24:54.30 ID:7fv0/jAR0
部屋にいる者たちは皆、トルネコを見ていた。教師は呆気に取られた様子であった。
トルネコは教師への視線を固めた。そして落ち着いた口調で言った。
「カルス先生、突然の闖入、ご容赦ねがいます。」
そう言って、背をかがめ、中程度のお辞儀をした。その態勢を三秒程続けた。そして、ゆったりと元の姿勢に戻った。
教師は困惑した様子であった。
「…トルネコ王子…?…一体、ここにどのような…?」
少年と少女たちの観察対象は、話者から話者へと移っていく。
「驚かせてしまい、申し訳ありません。…実はここに伺ったのは、僕の妹に用があるからなのです。」
言いながらトルネコは、ほんの少しだけ自身の兄妹へと目を配った。
「私?」
アレサ姫はキョトンとした。構わず、トルネコは言葉を続けた。
「授業中ではあるのですが、妹を教室の外に連れ出したいのです。…ご許可を頂けませんか?」
トルネコは目を逸らさず、しかし若干含みのある言い方をした。
教師はいくらか不満げな様子を見せた。
「…休み時間になさればよいでしょう…何も今でなくとも…。」
トルネコは少しだけ戸惑いを見せるも、答えた。
「はい。それは、ごもっともではあるのですが…。少し、急がなくてはならないのです。
人を待たせていて、なるべく早く、彼等の元に戻らねばなりません。
…勿論、今、僕が先生の授業を妨害していることは承知しているつもりです。大変、失礼なことをしていると…。」
トルネコの言葉はそこで切れた。そして少しの間、目線を落としていた。
その様子を見ていた教師の顔には、すでに不満げな様子は消えていた。
そして口を開いたが、そこにはやや諦めたような調子もあった。
「…わかりました。…これ以上授業を中断する訳にもいきません。宜しいでしょう。」
そう言って、アレサ姫へと顔を向けた。
「アレサ姫。あなたは宜しいのですね?」
「はい。」
返事は少し気の抜けたものだった。
100名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/11(金) 00:46:02.83 ID:ZFDAWFTB0
兄妹の会話

部屋から出れば、そこは廊下である。付近に日光は、直に届かず、石畳はうす青い。
廊下を包みこむのは、一方は石壁、一方はずらりと立ち並ぶ列柱である。列柱の外は、影の中の、芝生である。
太く丸い柱の影で、二人は向かい合っていた。
「すまないね。授業中だというのに。」
「それは構わないけど。どうしたの、私に用があるって言ってたけど。」
「ああ、そのことなんだが…。歩きながら、話さないか?」
「いいけど…。どこかに行くの?」
「ん、まあね…。」
トルネコは、アレサを促し、背を向け、歩き始めた。アレサもそれに、付いてきた。
「お前の部屋にカツラがあっただろ?あれを借りたいんだ。」
歩きながらトルネコは言った。
「カツラ!?」
横を歩くアレサは、率直な驚きを見せた。
「…どうしてカツラなんかがいるの?」
「うん…。まあ、お前には話さなくちゃいけないか。黙っててもらう為にも。…実はね、僕は今、女装をしているんだ。」
アレサは目を見開き、トルネコを見た。口を開けたり閉めたり、しかし言葉は出てこなかった。
「女性の格好をしているんだよ、わかるだろう。女装?」
「…そりゃ、わかるけど…。」
アレサは明らかに困惑していた。
二人は廊下を曲がった。狭い廊下のすぐ先に、上りの階段が控えている。
「あの、どうして女装なんかしたの…?」
アレサは上目遣い気味に兄を見た。二人の背丈はさほど変わらない。トルネコは苦い顔をした。
「僕を変な目で見ているな…。違うぞ、僕に変な趣味は無い。」
トルネコはキッパリ言った。
二人は階段に足を掛けた。上方からは、陽の光が届く。
101名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/11(金) 23:49:45.83 ID:ZFDAWFTB0
トルネコは階段を上りながら話し始めた。
「いや、まあ説明するとだね…。僕はロトの者として、旅立つことになっただろ?
それを魔物たちが、黙って指をくわえているわけはないよな?僕をやっつけてやろうと、そこら中探し回るはずだ。」
アレサは頷いた。
「でもさ、魔物たちは僕の顔を知らないんだよ。そりゃ、会ったこともないからね。…だからさ、情報が必要なんだよ。僕の情報。」
「情報?兄さんの?」
踊り場へと差し掛かった。曲面状の壁に、うがたれた窓穴から光が差し込み、踊り場を照らしつけている。
「そう。まあ情報というより、特徴といったほうがいいか。」
壁に沿って、トルネコは外側を歩く。
「つまり、僕の特徴は、紫色の髪をした、若い男、ということなんだ。」
アレサはゆっくりと言葉を反芻した。
「紫色の髪をした、若い男…。」
そして立ち止まった。
「あっ、だから女装して…。カツラをかぶって…。」
トルネコは、次の階段の最初の段に、片足を置いていた。
「そういうこと。わかってくれたようだね。」
「へえ、成るほどねえ。よく思いついたね。」
「きっかけは…まあ、昔さ、僕にドレスを着せただろ?アレだよ。」
トルネコは階段を上り始めた。アレサも続いた。
「ああ、あったねえ。子供の頃にね。兄さん子供の頃、女の子みたいだったもの。」
「よくからかわれたもんだ、そのことで。まあ、今じゃそれが役に立ってるんだから、わからないものだよな。」   
トルネコは苦笑した。階段を上り終え、狭い廊下へと進む。
102名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/12(土) 00:22:05.70 ID:LH22cREe0
開けた空間に出た。床の無い吹き抜けが、回廊に四方を囲まれている。
回廊と吹き抜けは、何本もの柱と、柱の合間をうめる鉄の手すりにより、その境を仕切られている。
二人は回廊を進んでいた。向こう側では、空からの光が降り注いでいる。
「兄さんの女装、見てみたくなったんだけど…ダメ?」
「悪いけど時間がないんだ。それと、僕が女装してること、カツラを借りたこと、黙っていてくれよ。」
「どうして?」
「城のみんなが知ったなら、そこから魔物にも知られるかもしれないだろう?」
「うん…そうね。わかったわ、私、誰にも言わない。」
「ああ、頼むよ。…っていうか、貸してくれること前提で話してるけど、結局いいのかい?貸してくれるということで。」
「え、いいよ。だって、カツラがないと危ない目に遭うんでしょ?」
「ま、そうだね。ありがとう、アレサ。よき妹よ。」
トルネコは両手を掲げた。
「なにそれ。」
アレサは笑った。
二人は曲がり角の隅へとやってきた。そして、金属で補強された木の扉を前にした。アレサはスカートのポケットから鍵を取り出した。
「カツラはなるだけ、シンプルなヤツにして欲しいんだ。目立たない感じのね。」
「うん。実際見ていってよ。部屋入っていいからさ。」
アレサは鍵穴に鍵を差し込んだ。
「いいのか?」
「ちょっと、聞いておきたいこともあるの。」
鍵を持った手を軽く捻ると、カチャリと音がした。
103名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/13(日) 23:38:36.55 ID:S4NP27jE0
アレサは、鍵をポケットに仕舞いなおした。扉に付いた、鉄の輪っかを片方の手で掴み、もう片方の手を扉に当てて軽く押した。
開く扉に合わせて一歩踏み込んだ。
「入って。窓開けるから。」
そう言って、中へと入り、迷いもなく暗がりを進んでいった。トルネコは、一人でに閉まろうとする扉を手で支え、敷居を跨いだ。
アレサは、外光が漏れ入ってくる窓の前で、鎧戸に掛けられた閂を外し、傍に立てかけた。閂が外れ、フラつく鎧戸の周りは明るくなった。
鎧戸を押し、外へと開け放った。トルネコは入り口付近で扉を支えていた。アレサは振り返った。
「どうぞ。」
「うん。お邪魔するよ。」
「ここに座ってね。」
アレサは椅子がある方へと、軽く手を差し向けると、すぐ傍にある扉へと向かい、それを開けて隣の部屋へと入っていった。
アレサが指した部屋の隅には、赤茶色の光沢を放つマホガニー製の机と、椅子があった。
トルネコは椅子の背もたれを掴んで引いた。椅子の脚が床を引きずる音がした。
そしてクッション付きの座面へと腰掛けた。机の隅には、ランプがある。
今しがた、アレサが入っていった部屋への扉は閉まっている。
開け放たれた窓からは、外の音が入ってくる。規則的なリズムで、土を踏みしめる音である。訓練中の兵士たちと思われる。
トルネコは、椅子を横向きに腰掛けながら、部屋を眺め始めた。壁際には、白い本棚がその側面を見せ、佇んでいる。
白い本棚の下部には小さな引き戸がいくつかあり、小物入れのようである。本棚そのものは二段である。
本は、棚に詰め込むほどの量はない。
机の上へと目を向けた。一冊の本が、閉じた状態で置いてあった。トルネコはそれを手に取り、背中を丸め、本の表紙を見つめた。
「…しばらく読めないなあ。」
本を開いたり、裏返したりしていた。金属がきしむ音がして、扉が開いた。
アレサが髪の毛の束を両手に抱えていた。そのまま机の横までやってきた。トルネコは立ち上がった。
持っていた本を、机の隅、ランプの横の壁に立てかけておいた。アレサは、両手に抱えた色とりどりのカツラを机の真ん中に置いた。
そして、一つ一つ掴み上げ、机上に仕分け始めた。
黒、銀、金…アレサの手で取り分けられていった髪の束は、マホガニー製の机の上で艶やかにとぐろを巻いていた。
「綺麗だね。」
トルネコはそう言った。アレサは手を動かしながら、ほんの少し吹き出した。
「ふっ、地味なのがいいんでしょ?」
104名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/15(火) 00:50:47.01 ID:uBVWaZnC0
それを聞いたトルネコの口角は、軽く持ち上げられた。
「ああ、そうだった。」
机上で仕分けられたカツラは、六つであった。
「さて…どれにしようか…。」
トルネコは目を泳がせた。そして、やおら手を伸ばし、掴み取ったカツラを胸の前に持ってきながら、トルネコはアレサへと向いた。
「これにしようかな。」
アレサは、その茶色いカツラに目をやった。
「いいんじゃない?かぶってみたら?」
「そうだね。」
トルネコは背中を少しかがめ、両手に持ったカツラを、頭へとかぶせた。茶色い髪の毛でトルネコの顔は覆われた。
トルネコはカツラを頭にのせたまま、手によって、ずらすように廻していった。トルネコの顔が再び現れた。
肩にかかった髪の毛を払いのけ、背中へとやった。前髪を指でといた。そして、アレサに再び尋ねた。
「どうかな?」
「うん…。ちょっと待ってね。」
アレサは手を伸ばし、指先で撫でるようにして髪を整えた。そして少し身を離し、出来を確認し、頷いた。
「うん、いいと思う。鏡見る?」
「うーん、いや、今はいいよ。お前がいいと言うのなら。」
「そっか。」
「…それで、何か聞きたいことあるって言ってたよね、さっき。」
言いながらトルネコはカツラを外した。
「なんだい?」
「うん、それなんだけど…。」
アレサは言葉を途中で切って、視線を落とした。トルネコは茶色い髪のカツラを片手で持ちながら、妹を見ている。
アレサは慎重に話し始めた。
「あの、ハーゴン、なんだよね?今度の敵…。」
トルネコは別段驚いた様子を見せなかった。
「…ああ、そうだよ。一応、初代とは別人らしいけど。」
アレサは俯き加減にしている。
105名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/16(水) 00:31:34.91 ID:86gJyldj0
アレサは語り始めた。
「昨日ね、考えたんだけど…。百年前にムーンブルクが攻められて、その、滅ぼされたでしょ…?
…大丈夫かな、今回。また突然、魔物が攻めてきたりしないかな…?」
不安を訴えるアレサを前にして、トルネコは言い聞かせるように語り始めた。
「恐らく、大丈夫だと思う。なぜなら、敵の本拠地はロンダルキアじゃないから。」
「…そう、なの?」
「ああ。今のロンダルキア高原にはね、色んな王国から監視員が派遣されていて、常駐しているんだ。
それで、ついこの間にも、そこから報告があったんだが、ロンダルキアに魔物が集結している様子はない、ということだった…。
今のロンダルキアに、魔物の大群はいない、ということなんだよ、アレサ。」
「そっか…。だったら、昔みたいに、ロンダルキアから魔物が押し寄せてくることはないのね?」
「うん、そうだ。」
アレサは納得した様子を見せた。
「わかったわ。ありがとう。」
「まあ、まだ百年前の時ほど、状況が悪化しているわけでもないしね…。それに、そうなってしまう前に、僕がなんとかするさ。」
アレサは目を伏せた。
「そうよね…。兄さんが行かなくちゃいけないんだよね。」
アレサはトルネコの傍へと進み、その手を取った。
「私、兄さんが無事なように毎日お祈りするから。」
「頼むよ、お前の祈りがあれば心強い。」
「うん。」
「…僕はそろそろ行くよ。」
アレサは頷き、トルネコは手を下ろした。そしてアレサを残して、トルネコは場を離れた。
出口の扉へと向かい、そこまで行ったところで動きを止めた。
扉を開けようとはしない。そんなトルネコの後ろ姿を、アレサはしばし見ていたところ、トルネコが不意に振り向いた。そして声を上げた。
「アレサ。お前が本当に聞きたかったのは、合体の能力について、だったんじゃないか?」
アレサはうろたえた。
「えっ…。な、なんで?」
「机の上にあった本だよ。『能力者たち』なんて、お前趣味じゃないだろう?」
106名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/17(木) 23:37:23.23 ID:nm/uaYAa0
「あ…。」
アレサは、自身の傍へと目をやった。日光の当たらぬ薄暗い場所である。机上の隅には黄土色のランプがある。
そのランプのガラス越しに、本が見える。
「やっぱり、そうなのか?」
トルネコは言った。
「う、うん…。」
アレサは目を丸くしながら、頷いた。
「だったらその話、僕に聞かせてくれないか?」
そう言いながらトルネコは、扉の傍を離れた。
「え、で、でも…少し、聞きにくいんだけど…。」
アレサはうろたえながら、言った。
「…アレサは、何か知っているんじゃないのか?この能力の秘密について…。」
「え、秘密?ごめんなさい。私、秘密なんて何も知らない…。」
アレサは目を伏せた。
「そうか…。」
トルネコは若干、気の抜けた風であった。
「あの…合体の能力のこと…兄さん、聞かれたらイヤじゃない?」
アレサは、伺うように尋ねた。
「いや、別に構わないけど…。」
トルネコは平静であった。
「そう…?だったら、聞いてみようかな…。」
アレサは尋ね始めた。
「兄さん、あの能力はどんな役に立つの?」
「そうだな…。体の力が大いに増すから、戦いには絶対役に立つだろうね。」
「そうなんだ…。王女さまが能力を研究されたのは、そうやって私達の役に立つようにってことだよね?」
トルネコは不思議そうな顔をした。
「そう、だろうけど…。…私達ってお前、もしかして、自分にもこの能力があるって、考えているのか?」
「え、ええ…。私にあったっておかしくはないと思う。」
107名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/19(土) 23:06:40.80 ID:uwIw7xBS0
トルネコは首を傾げた。
「どう、かな…。ちゃんと考えたことはなかったけど…。」
そう言って、トルネコは考える様子を見せた。
「兄さん、いいの。わざわざ考えてくれなくても。自分のことは、今はいいの。」
アレサはきっぱりと言った。
「そうか…?」
「ねえ、兄さん。合体の能力ってすごく長い間、研究したんだよね?」
「ん、ああ、そうだな…。大王女さまが生涯を賭けて、と父さんが言ってたからな。相当長い間になるだろうね。」
「だとしたら、その間になにか失敗があったなんてことはないかな?つまり…取り返しのつかないような失敗…。」
アレサはトルネコをじっと見た。
「それは…。僕はあった、とは考えていないよ。」
「そうなの?どうして?」
アレサは緊張した面持ちで尋ねた。
「もしそうなったなら、ほぼ間違いなく、研究は終わる。
大王女さまが、取り返しのつかないような失敗をしたとして、研究をそのまま続けるとは思えない。
大王女さまの死後になされたという研究も一緒だよ。父さんが黙っちゃいないだろう。」
「兄さんの言っていることは、最もなように聞こえるけど…。」
アレサは納得していない様子である。トルネコはアレサに語りかけた。
「父さんが言うには、王族の中だと、秘法を授けられるのは僕が初めてだということだった。
つまり、僕より先に秘法を授けられた者がいるんだ。これが誰なのか、僕にはよく分からないんだが、まあ、それは成功したはずだよ。
そうでないと、父さんも僕に授けることを良しとしなかっただろうから。」
「でも、先に秘法を授けられたその人が、最初の人だとは限らないんじゃない?更にその前に秘法を授けられた人がいるかもしれない。」
「その人への秘法は、失敗したと言いたいのかい?」
トルネコはアレサの返事を待たず、続けた。
「さっきも言ったけどそれは無いよ。そうなったのら、その時点で研究は取り止めになる。
つまり、この研究は完成するまで、取り返しのつかないような失敗はなかったのだろうと僕は思う。」
アレサは暫く返事を控えていた。そして、話し始めた。
108名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/19(土) 23:07:23.86 ID:uwIw7xBS0
「でも、やっぱり変だよ。兄さんより前に秘法を授けられた人の時、成功するか失敗するかわからないまま行ったんでしょ?
一か八かでするなんて…それじゃ、どうしたって、危険な秘法を研究していたということになってしまう…。」
アレサの言葉を聞いたトルネコは、当惑した様子であった。
「うーん…。」
トルネコは目を落とした。
「確かにそうかもなあ…。どうしたって、危ない橋を渡ることは避けられないのか。
誰かが必ず秘法の第一被験者になる。成功するかどうか、確かではない状況で。
…そう考えれば、父さんは秘法の研究に対して、本当にキチンと監督できていたのかな…?
いや、そもそも、大王女さまはこの秘法の危険性をわかって研究していたのか…?
アレサは浮かない顔であった。
「あまり王女さまやお父さんのことを悪く言いたくはないんだけどね…。」
トルネコは頭を掻いた。
「ううん。またよく分からなくなってきたな…。」
二人は沈黙した。窓からは、外界の取りとめの無い音が入ってくる。
「…あの、兄さん。」
考えに耽る兄へと、アレサは言った。
「確か、人を待たせてるって言ってなかった?」
トルネコは目を見開いた。
「そ、そうだった!」
トルネコはあたふたした。
「参ったなあ。約束の時間はとうに過ぎただろうなあ。悪い、アレサ。話しはここで打ち止めだ。」
「うん。私は構わないから、もう行った方がいいよ。」
「そうか。じゃあ、行くとするよ。」
トルネコは身を翻し、早歩きで出口へと向かっていった。手には茶色いカツラを持っている。
扉を引いたところで、アレサの方へと振り返った。
「カツラ、ありがとうな!アレサ!」
「う、うん!」
「元気で!」
「兄さんも!」
挨拶を終えたトルネコは、部屋を後にした。アレサは一人残された部屋で、軽く一息をついた。それからしばし呆けていた。
「授業、どうしようかな…。」
そう呟いた。ふと部屋の片隅へと目をやった。机の上にはカツラが並べられている。アレサは机に近づき、カツラを一つ一つ拾い始めた。
109名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/23(水) 17:42:11.18 ID:STgMFws20
出発

ガミジンとシャロンは、並んで立っていた。二人の背後に見えるのは、荷車の後部である。
ガミジンは腕を組んでおり、シャロンは腰に手を当てている。
「隊長。」
ガミジンは、シャロンへと目を向け言った。
「なに?」
シャロンは、正面を向いたまま答えた。
「そろそろ半刻ですよ?」
ガミジンは親指で、自身の真横を指した。少し離れたそこには日時計があった。
数字の刻まれた円形の台座に、三角形の金属板が直立している日時計は、空からの日光を浴びることで、
影と日なたの境目を映し出し、これを見る人々に、現在時刻を教えている。
「わかってるよ。」
「アイツ、なにしてんですかね。」
「…さあね。まあ、いい加減来るだろ。」
シャロンの言葉を聞いたガミジンは、鼻からたっぷりの息を放ち、再び正面を見た。
隊商の一行は、広場の一角で、停車していた。広場は、民家や店舗といった建物に取り囲まれている。
しかし、この広場へと通じる小道がそこかしこに点在し、建物の囲みを不完全なものに仕立てている。
小道だけでなく、大道も広場へと通じている。大道は、広場の中心を貫く道である。
シャロンとガミジンは、その大道が広場へと入ってくる付近を見ていた。
不意に、誰かが大道から飛び出してきた。それはトルネコであった。息を切らして、周りを眺めている。
勢い余って、大きく飛び出したため、建物に近い場所に留まる、シャロンたち一行には気付かない様子である。
「おお、来たか…。」
ガミジンは組んでいた腕を解いた。そして声を張り上げた。
「こっちだー!おおい!」
トルネコはこちらを見、駆け寄ってきた。
「やっとかい…。」
ゲイツが呟きながら、前に出てきた。パジャークは黙したまま、立ち現れた。
「すまない、みんな!待たせてしまって!」
待っていた者たちを前にして、トルネコは開口した。息を切らし、顔中は汗まみれで、肩を上下に揺らしている。
110名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/23(水) 17:43:00.94 ID:STgMFws20
「待たせすぎだ。」
言ったのはガミジンである。
「お前、半刻を少し過ぎる位じゃあなかったのかよ。」
皆、トルネコを見ている。
「ごめん…。妹と話しこんでしまった。」
ガミジンは髪を掻いた。
「俺達を待たせておいて、話し込む、か…。王家の特権ってやつかい?」
「い、いやそんなつもりじゃ…。」
「じゃあ、どういうつもりだ?」
「…みんなのことを忘れていたんだ、話に夢中になって…。」
「バカやろう。人を待つ身にもなってみろ。」
「ごめん…。」
トルネコは俯いた。
「もう十分だ、ガミジン。皆が言いたいことを、言ってくれたね。」
シャロンが言った。
「王子、カツラは持ってきたんだな?」
パジャークが言った。
「あ、ああ。」
トルネコの手には、巻きつけられた髪があった。トルネコはそれをほどいて、皆の前に差し出した。
茶色の長い髪が、トルネコの手から垂れ下がった。
「まあ、悪くないだろう。」
パジャークが言った。シャロンがカツラに顔を近づけた。
「すごいね。本物みたいだ。」
シャロンの感想に、パジャークが答えた。
「それは当然だ。これは本物の髪の毛だからな。髪の持ち主から、買い取る仕組みがあるんだ。」
「へえ、本物か…。」
シャロンはしげしげと眺めていた。
111名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/04/23(水) 17:45:06.70 ID:STgMFws20
「隊長。」
発したのはゲイツである。
「早く行かないと。大分遅れてます。」
「ああ、そうだったね。行こうか。トルネコ、あんた荷物はどうした?」
「ああ、荷物なら、城門の外の草むらの中だよ。」
シャロンは少々面食らった様子を見せた。
「また、無警戒というか…。まあ、いいや。あんたの荷物の点検もやりたかったんだがね。そんな暇はないな。
…トルネコ、城門を出る時に、荷物は忘れず取るんだよ、いいね?」
「わかった。」
「よし、ガミジン。馬を出そう。」
「ヘイ。」
シャロンとガミジンは、場を離れた。
「王子。」
パジャークがトルネコへと話しかけた。
「なに?」
「君は先に行って、城門の外で待っていろ。カツラを着けてな。」
「ああ、いいけど。どうして?」
「私達と一緒に出発するところを見られたくない。ここは君の街だ。男の格好では、王子だと丸わかりだろう?」
「なるほど。わかった。シャロンに言ってくるよ。」
「ああ。」
荷車が、重々しく動き始めた。トルネコは前へと駆け寄り、手綱を引くシャロンへと歩きながら呼びかけた。
「シャロン!」
「どうした!」
シャロンは騾馬の手綱を、両手で引き寄せながら、答えた。騾馬は旋回していく。
「先に、城門の外へ行ってる!そこで待ってるよ!」
「んー?ああ、好きにしな!」
その言葉を聞いたトルネコは、踵を返し、走って広場を横切っていった。
112名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/05/01(木) 02:45:13.82 ID:B0DOI7VC0
 
113名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/05/01(木) 17:20:49.61 ID:/g3uMfGr0
プクリポ♂ オガ子はプクのものぷくー!

プクリポ♂2 ちがうもんっ!プクの彼女にするんだぷくぅ!

勝負ぷく!!

ふりふりふり♪

プクリポ♂ どうだぷく!お尻いっぱいふりふりしてるプク!

ふりんふりんふりん♂

プクリポ♂2 そんなことないもんっ!プクの方が激しいぷくー!

オガ子 プクリポはお尻の振りで戦うのか。面白くて可愛いなプクリポは^^

おしまい
114名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/05/07(水) 16:55:25.56 ID:4g+NRbBZ0
>>113
消えな
115名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/05/10(土) 05:29:25.54 ID:aLz3Nt/k0
 
116名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/05/12(月) 07:27:20.16 ID:w4YaIMb+0
(`・ω・´)
117名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/05/14(水) 09:17:37.85 ID:r1sht0TE0
SS
118名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/05/15(木) 06:08:09.07 ID:m2jWX5q30
【トルネコと上手にホモセックスする方法】

これをテーマにSSきぼんぬ (←あえて死語を使う)
119名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/05/19(月) 08:59:19.04 ID:bJCFT2AK0
〜〜スーランの里〜〜

スラリン「ZZZZZ……」

スラみ「ちょっと お兄ちゃん!

  いつまで 寝てるのよー!?

  もうみんな 待ってるわよ!」

スラリン「?」

スラみ「その反応……

  もしかして 忘れちゃったの?

  今日 ホウレン草原に 伝説の薬草を 

  探しに行くんだったでしょ!?」

スラみ「とにかく 起きて

  里のふもとに 早く来てよ! 

  あたし 先に行くからねっ!」
120名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/05/19(月) 09:13:17.48 ID:bJCFT2AK0
〜〜ホウレン草原〜〜

ミイホン「おう やっと来たな スラリン!」

ドラお「スラリン君 おそいッスよ〜!」

ミイホン「さて メンバーもそろったし

  さっそく 伝説の薬草を 探すとしようぜ!

ドラお「グランじいさんの話によると

  むか〜しむかし 草原の南のほうに

  生えていたそうッス!」

ミイホン「ようし それじゃ 南にしゅっぱ〜つ!」

一同「お〜っ!」
121名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/05/19(月) 09:23:12.62 ID:bJCFT2AK0
グランじいさん「これ おぬしたち 

  どこに行くつもりじゃな?」

ミイホン「へ?」

ドラお「うわあっ! グランじいさん いつのまに!?」

グランじいさん「おぬしたち 伝説の薬草を 

  探しに行こうと しておったんじゃろ?

  ならん ならんぞっ!」

グランじいさん「草原の南は 

  200年前から 禁断の地だと 言ったはずじゃ!

  だれも 立ち入ってはならんのじゃっ!」

ミイホン「わ 分かったよ……。」
122名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/05/19(月) 09:33:12.45 ID:bJCFT2AK0
〜〜スーランの里〜〜

スラゾー「あっ! みんな お帰りだゾー!

  でんせつの薬草は 見つかった?

  ちょっとオイラにも 味見させてほしいゾー!」

ミイホン「いや……それがさ

  グランじいさんに 見つかって

  ダメだったぜ……とほほ。」

スラゾー「なんだ がっがりだゾー……。」
123名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/05/19(月) 09:40:37.48 ID:bJCFT2AK0
ミイホン「しっかし 分かんねえよなー

  なんで 禁断の地になったんだろうな?

  でんせつの薬草が 生えるような場所なのに」

ドラお「そんなこと ご先祖さまじゃなきゃ

  わかんないッスよ。」

ミイホン「まあ この謎は いつか

  かならず 解いてみせようじゃないか!

  とりあえず……今日のところは帰ろう。」

ドラお「そうッスね。」

スラみ「じゃあ またね〜!

  さあ 帰ろうっ お兄ちゃん!

  スラみ もう おなかペコペコなの!」
124名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/05/24(土) 21:06:29.51 ID:JmNzSWdY0
支援
125名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/06/03(火) 17:20:26.07 ID:7mErsFae0
支援
126名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/06/14(土) 00:19:13.90 ID:uD4koji30
支援
127名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/06/14(土) 15:22:33.71 ID:lPlo6V0A0
支援
128名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/06/23(月) 04:10:55.07 ID:ue19qjeM0
支援
129名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/06/23(月) 06:54:23.82 ID:NqITe4s+0
紫煙
130名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/06/28(土) 20:17:38.93 ID:3B+5r2X30
支援
131名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/07/05(土) 18:57:16.97 ID:WL6Ay5hK0
私怨
132名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/07/05(土) 19:01:57.52 ID:93U60jKW0
「や、やめろーーっ!」

勇者の悲痛な叫び声が響く中、彼の母親や幼馴染達の体は厳つい魔物達によって蹂躙されている。
強い者よりもその周りの弱い者を狙う。
魔族軍による狡猾な作戦は充分以上の成果を上げていた。
133名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/07/12(土) 13:23:18.77 ID:slc9BU/z0
支援
134名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/07/12(土) 13:47:58.60 ID:UH4+JG17O
ザパーン……
「ふう…」
ターニアは広い浴場で疲れと悩みを洗い流す。幸い利用者は一人のようだ。
すると誰かが入ってきた。
「わわっごめん!」
「あっ、おにいちゃん……やだっ!」
「ターニアがいるとはしらなかったんだ、す、すぐ出るよっ!」
あわてて出ようとすると
「おにいちゃん、ま、まって……」
135名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/07/16(水) 21:57:39.93 ID:3vNyBnmd0
 
136名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/07/20(日) 18:56:59.32 ID:lXUCj/ie0
 
137名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/07/26(土) 12:18:39.00 ID:S40XGVMn0
支援
138名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/08/09(土) 12:51:19.35 ID:moLf8rjW0
支援
139名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/08/23(土) 00:24:39.28 ID:sRlsK8ft0
何もない
140名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/08/27(水) 14:01:46.24 ID:m+fR0HJg0
支援
141名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/09/03(水) 19:58:35.18 ID:m4eLHigj0
支援
142名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/09/07(日) 21:03:59.56 ID:+9wwjc2J0
紫煙
143名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/09/08(月) 21:43:45.06 ID:Gmfj6sP30
私怨
144名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/09/14(日) 01:04:40.50 ID:gC7wg8Lj0
支援
145名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/09/17(水) 05:50:43.29 ID:uioGv7AC0
支援
146名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/09/24(水) 20:46:24.59 ID:I6H1OBJJ0
支援
147名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/09/28(日) 19:46:10.94 ID:QUDc7MZh0
test
148名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/10/03(金) 02:29:43.29 ID:sfKO3kqd0
 
149名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/10/08(水) 23:27:11.92 ID:ecG56beJ0
支援
150名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/10/10(金) 02:57:47.55 ID:iGzEZim00
ヘンリーの胸は高鳴っていた。
さきほど通路で見かけた少女。
薄暗い通路がうっすら明るくなるほど白い肌と金色の髪の毛。素直に美しいと言える顔立ちや体格。
あれはマリアとかいう名前の女だ。たしかこの間までは教祖のくそったれのお付き人をしていたんじゃなかったっけ。
雲の上だと思っていたその娘がなぜここに下りてきたのか。
ヘンリーはその理由を知らなかった。知りたいと思ったが、それよりもマリアが自分やリュカと同じ境遇に転落してきたということに
陰湿な喜びを覚えたのだった。
ヘンリーは早速リュカを探しに行った。彼ならあのマリアについてどんな意見を言うだろう。
あいつは決して他人の悪口を言わないやつだ。マリアのことだって気の毒がって同情の言葉を口にするだろうさ。



あきた
151名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/10/15(水) 20:20:23.29 ID:UFwa9g6S0
 
152名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/10/22(水) 01:06:57.22 ID:1hh3MqYS0
支援
153名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/10/28(火) 11:49:35.55 ID:W7Tf2WUP0
 
154名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/10/31(金) 01:36:52.29 ID:nJ9hd0lE0
>>151
支援
155名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/11/04(火) 06:11:47.86 ID:L8Mw5FFL0
支援
156名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/11/08(土) 19:05:05.47 ID:cHeibySS0
支援
157名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/11/10(月) 16:10:32.29 ID:X7tOEU/O0
>>150
支援
158名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/11/14(金) 03:10:39.66 ID:Ywhkvp6k0
支援
159名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/11/20(木) 06:34:42.11 ID:W+Sp7MCR0
支援
160名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/11/24(月) 15:05:59.24 ID:4WO334mu0
支援
161名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/11/28(金) 09:33:47.78 ID:9mGe5din0
支援
162名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/11/30(日) 06:29:03.90 ID:PTJv0/QP0
支援
163名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/12/05(金) 02:36:48.09 ID:YPj/cWbg0
支援
164名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/12/10(水) 15:56:33.48 ID:g55W5/n20
支援
165名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/12/11(木) 19:21:52.19 ID:XsXPFaPO0
紫煙
166名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/12/18(木) 13:42:41.73 ID:2K4KwloD0
支援
167名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/12/23(火) 15:48:41.82 ID:KCr26A5s0
支援
168名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/12/23(火) 16:42:16.55 ID:I1d5eBt60
とりあえず、依頼をやり続ければ
どの職人でもSSになれるよ
そのなかでもランプ、ツボ錬金が速いかな
169名前が無い@ただの名無しのようだ:2014/12/27(土) 19:24:01.10 ID:MHuxS/VL0
支援
170!otoshidama:2015/01/01(木) 01:23:40.70 ID:+4DqvrMn0
c
171名前が無い@ただの名無しのようだ:2015/01/04(日) 07:15:11.34 ID:oIjtMAX10
支援
172名前が無い@ただの名無しのようだ:2015/01/09(金) 03:23:25.98 ID:qD8a+eKo0
ネネ「あ、あなた…重いわっ」
トルネコ「大丈夫かい、ネネ?ほら、こうやって場所を替えたら軽く感じるだろ」
ネネ「そうね、だいぶ良くなったわ。」
トルネコ「じゃあ動かすよ。どれ、そうっと…あれ、抜けそうだ。きちんと嵌まってないのかな?」
ネネ「ちょっと緩いみたいね。あなた、挿し込み直してくださる?」
トルネコ「ああ、これでどうだい?具合いよいかな?」
ネネ「ええ、きちんと嵌まったわ。それじゃ続けましょ。」
トルネコ「それっ!…ハア、ハア。もっとそうっとやったほうがいいかい?」
ネネ「あ、あいたたっ!痛いわ、あなた。ちょっと急に来ちゃって激しかったわ、いまの…」
トルネコ「ごめんごめん、ネネ。バランスを崩しちゃいそうになった。やっぱりそうっとやろうか。じゃあ、そこの布団の上に…」
ネネ「それじゃお布団が汚れちゃうわ、あなた。私、先に敷物を敷いておいたから、そこにしましょう」
トルネコ「さすがはネネ、気が効く。じゃあそこまで、どっこいしょ」
ネネ「うふふ、あなたってやっぱり力持ちね。頼りになるわ」
トルネコ「毎日重たい武器を仕事で扱っているのだから(トム爺さんも押したりしてるし)、このくらいの腕力はあって当然さ。…あっ!」
ネネ「また抜けちゃったわね、納まりが悪いわ」
トルネコ「仕方ないよ、親の代から使ってるもの」
ネネ「そうよね…あなた、やっぱり置いていきましょうか、この箪笥。裏板もきちんと嵌まってないみたいだし、エンドールまで運んだらそれこそ木端微塵よ」
トルネコ「名残惜しいけれど…次に引っ越してくる人がトム爺さんの息子さんなら修繕して大切に使ってくれそうだしな。置いていくか」

エンドールに店を買ったトルネコ一家がレイクナバから引っ越すときにあったかもしれないひとコマ。
レイクナバのトルネコの自宅にあった箪笥のお絵かき帳がどうしてずっとあそこに放置されたままなのかが気になっていて…。
173名前が無い@ただの名無しのようだ:2015/01/14(水) 13:52:27.51 ID:ATMnCvW90
支援
174名前が無い@ただの名無しのようだ:2015/01/21(水) 12:16:32.85 ID:KgkIxWJV0
支援
175名前が無い@ただの名無しのようだ:2015/01/27(火) 21:59:53.83 ID:Cs+jXevO0
支援
176名前が無い@ただの名無しのようだ:2015/02/02(月) 22:17:53.44 ID:3SsVYPUT0
支援
177名前が無い@ただの名無しのようだ:2015/02/05(木) 21:13:47.04 ID:rrxCovF40
178名前が無い@ただの名無しのようだ:2015/02/08(日) 13:57:25.44 ID:56a2wnQa0
支援
179名前が無い@ただの名無しのようだ:2015/02/11(水) 21:17:23.56 ID:GAc4a2ej0
気軽に書いてね☆
180名前が無い@ただの名無しのようだ:2015/02/16(月) 11:38:12.02 ID:Lqgd/EAP0
支援
181名前が無い@ただの名無しのようだ:2015/02/21(土) 20:32:47.46 ID:gnzDj98V0
支援
182名前が無い@ただの名無しのようだ:2015/02/22(日) 17:13:16.14 ID:ThV83ozl0
これジョジョの宿敵のディオじゃねーか
183名前が無い@ただの名無しのようだ:2015/02/25(水) 16:55:22.22 ID:yCSpLI070
>>182
死ね
184名前が無い@ただの名無しのようだ